特許第6027124号(P6027124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧
特許6027124ハロゲン化アシルモノマーを含有するカルボン酸由来の複合ポリアミド膜
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027124
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】ハロゲン化アシルモノマーを含有するカルボン酸由来の複合ポリアミド膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/56 20060101AFI20161107BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20161107BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20161107BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161107BHJP
   C08J 9/36 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B01D71/56
   B01D69/12
   B01D69/10
   C08J7/04 BCER
   C08J9/36CEZ
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-533584(P2014-533584)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-531979(P2014-531979A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】US2012055271
(87)【国際公開番号】WO2013048765
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/540,555
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/675,613
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】アビシェーク・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ディー・ジョンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ディー・コーブ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・エイチ・ピーリー
(72)【発明者】
【氏名】シャオフア・サム・チウ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ローゼンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】イーアン・エイ・トムリンソン
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−516264(JP,A)
【文献】 特開2000−117076(JP,A)
【文献】 特表昭56−500062(JP,A)
【文献】 特表2003−531219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 − 71/82
C02F 1/44
C08J 9/00 − 9/42
C08J 7/04 − 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性アミンモノマーおよび多官能性ハロゲン化アシルモノマーを多孔質支持体の表面に塗布するステップと、前記モノマーを界面重合して薄膜ポリアミド層を形成するステップとを含む、多孔質支持体および薄膜ポリアミド層を含む複合ポリアミド膜を製造する方法であって、
i)炭化水素溶媒と、
ii)単一のカルボン酸官能基および少なくとも1個のハロゲン化アシル官能基で置換された脂肪族または芳香族部分を含み、30個以下の炭素原子を含むカルボン酸モノマーを含む0.01重量%超の追加のモノマーと、
iii)式(I):
【化2】
(式中、R、RおよびRは独立に水素および1〜10個の炭素原子を含むヒドロカルビル基から選択され、但し、R、RおよびRの1つ以下が水素である)
により表されるリン酸トリヒドロカルビル化合物と
を含むコーティング溶液を前記多孔質支持体の表面に塗布するステップを特徴とし、
前記界面重合が前記カルボン酸モノマーおよびリン酸トリヒドロカルビル化合物の存在下で行われる方法。
【請求項2】
前記コーティング溶液が多官能性ハロゲン化アシルモノマーをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記カルボン酸モノマーが前記炭化水素溶媒中のその溶解度限界より大きいが、前記コーティング溶液中のその溶解度限界未満の濃度で前記コーティング溶液中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸モノマーが0.02重量%より大きい濃度で前記コーティング溶液中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記カルボン酸モノマーが、水を多官能性ハロゲン化アシルモノマー、リン酸トリヒドロカルビル化合物および炭化水素溶媒と合わせることにより調製されるコーティング溶液中インサイチュで形成される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング溶液が
i)1重量%未満の濃度の水と、
ii)10重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシルモノマーと、
iii)10重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物と
を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング溶液が
i)0.5重量%未満の濃度の水と、
ii)5重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシルモノマーと、
iii)5重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物と
を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング溶液が1:2〜100:1の水とのモル比で前記多官能性ハロゲン化アシルモノマーを含む、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング溶液が100:1〜1:1000の前記多官能性ハロゲン化アシルモノマーとのモル比で前記リン酸トリヒドロカルビル化合物を含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング溶液が少なくとも80v/v%の前記炭化水素溶媒を含む、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合膜ならびに同膜を製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合ポリアミド膜は種々の流体分離に使用されている。膜の1つの一般的なクラスには、「薄膜」ポリアミド層でコーティングされた多孔質支持体が含まれる。薄膜層は、非混和性溶液から支持体上に順次コーティングされる多官能性アミン(例えば、m−フェニレンジアミン)と多官能性ハロゲン化アシル(例えば、塩化トリメソイル)との間の界面重縮合反応により形成され得る。例えば、Cadotteの米国特許第4277344号明細書を参照されたい。膜性能を改善するために、種々の構成要素がコーティング溶液の一方または両方に添加され得る。例えば、Cadotteの米国特許第4259183号明細書は、二−および三−官能性ハロゲン化アシルモノマー、例えば、塩化イソフタロイルまたは塩化テレフタロイルと塩化トリメソイルの組み合わせを使用することを記載している。Mickolsの米国特許第6878278号明細書は、広範囲の錯化剤を種々の亜リン酸含有種を含むハロゲン化アシルコーティング溶液に添加することを記載している。米国特許第6521130号明細書は、重合前にカルボン酸(例えば、脂肪族および芳香族カルボン酸)またはカルボン酸エステルを一方または両方のモノマーコーティング溶液に添加することを記載している。米国特許出願公開第2009/0272692号明細書、米国特許出願公開第2010/0062156号明細書、米国特許出願公開第2011/0005997号明細書、国際公開第2009/129354号パンフレット、国際公開第2010/120326号パンフレットおよび国際公開第2010/120327号パンフレットは、種々の多官能性ハロゲン化アシルおよびその対応する部分加水分解対応物を使用することを記載している。改善した膜性能をもたらす新規な添加剤の探索が続いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、多官能性アミンおよび酸ハロゲン化物モノマーを多孔質支持体の表面に塗布するステップと、モノマーを界面重合して薄膜ポリアミド層を形成するステップとを含む、複合ポリアミド膜を製造する方法を含む。本方法は、i)単一のカルボン酸官能基および少なくとも1個のハロゲン化アシル官能基で置換された脂肪族または芳香族部分を含むカルボン酸モノマーと、ii)トリヒドロカルビル化合物との存在下で界面重合を行うステップをさらに含む。本発明は、多くの追加の実施形態を含む。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、複合膜もしくは用途の具体的な型、構成または形状に特に限定されない。例えば、本発明は、正浸透(FO)、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)、限外濾過(UF)および精密濾過(MF)流体分離を含む種々の用途に有用な平板、管状および中空繊維ポリアミド膜に適用可能である。しかしながら、本発明は、ROおよびNF分離用に設計された膜に特に有用である。RO複合膜は、事実上全ての溶解塩に比較的不浸透性であり、典型的には塩化ナトリウムなどの一価イオンを有する塩の約95%超を拒絶する。RO複合膜はまた、典型的には約100ダルトンより大きい分子量を有する無機分子ならびに有機分子の約95%超を拒絶する。NF複合膜は、RO複合膜よりも浸透性であり、典型的には一価イオンを有する塩の約95%未満を拒絶する一方で、二価イオンの種に応じて、二価イオンを有する塩の約50%超(および通常90%超)を拒絶する。NF複合膜はまた、典型的にはナノメートル範囲の粒子ならびに約200〜500ダルトンより大きい分子量を有する有機分子を拒絶する。
【0005】
複合ポリアミド膜の例には、FilmTec Corporation FT−30(商標)型膜、すなわち、不織裏打ちウェブ(例えば、PETスクリム)の最下層(裏面)、約25〜125μmの典型的な厚さを有する多孔質支持体の中間層、および典型的には約1ミクロン未満、例えば、0.01ミクロン〜1ミクロンであるが、より一般的には約0.01〜0.1μmの厚さを有する薄膜ポリアミド層を含む最上層(前面)を含む平板複合膜が含まれる。多孔質支持体は、典型的には浸透物の本質的に無制限の通過を許すのに十分なサイズであるが、上に形成された薄膜ポリアミド層の架橋と干渉するのに十分大きくない細孔サイズを有する高分子材料である。例えば、支持体の細孔サイズは、好ましくは約0.001〜0.5μmに及ぶ。いくつかの例では、約0.5μmより大きい細孔直径は、ポリアミド層が細孔中に垂れ下がるのを可能にし、平板形状を崩壊させる。多孔質支持体の非限定的例には、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリフッ化ビニリデンなどの種々のハロゲン化ポリマーでできたものが含まれる。ROおよびNF用途については、多孔質支持体は、強度を提供するが、その比較的高い多孔度のために耐流体流性をほとんど提供しない。
【0006】
その相対的薄さのために、ポリアミド層は通常、例えば、多孔質支持体の平方メートル表面積当たり約2〜5000mgのポリアミド、より好ましくは約50〜500mg/mの、多孔質支持体上のコーティング被覆率または充填の点で記載される。ポリアミド層は、好ましくは米国特許第4277344号明細書および米国特許第6878278号明細書に記載されているように多孔質支持体の表面上での多官能性アミンモノマーと多官能性ハロゲン化アシルモノマーとの間の界面重縮合反応により調製される。より具体的には、ポリアミド膜層は、多孔質支持体の少なくとも1つの表面上で、多官能性アミンモノマーを多官能性ハロゲン化アシルモノマーと(ここでは、各用語は単一種または複数種の使用の両方を指すことを意図されている)界面重合させることにより調製され得る。本明細書で使用する場合、「ポリアミド」という用語は、アミド結合(−C(O)NH−)が分子鎖に沿って生じるポリマーを指す。多官能性アミンおよび多官能性ハロゲン化アシルモノマーは、最も一般的には、溶液からのコーティングステップを経て、多孔質支持体に塗布され、ここでは多官能性アミンモノマーは典型的には水系または極性溶液からコーティングされ、多官能性ハロゲン化アシルは炭化水素溶液(本明細書では、「有機系」または「非極性」溶液とも呼ばれる)からコーティングされる。コーティングステップは特定の順序に従う必要はないが、好ましくは多官能性アミンモノマーが最初に多孔質支持体上にコーティングされ、引き続いて多官能性ハロゲン化アシルがコーティングされる。コーティングは、様々なコーティング技術の中でもとりわけ噴霧、フィルムコーティング、圧延、または浸漬タンクの使用を通して達成され得る。過剰な溶液は、エアーナイフ、乾燥機、オーブンなどにより支持体から除去され得る。
【0007】
多官能性アミンモノマーは、少なくとも2個の一級または二級アミノ基を含み、芳香族(例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソールおよびキシリレンジアミン)または脂肪族(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびトリス(2−ジアミノエチル)アミン)であり得る。好ましい多官能性アミンモノマーの例には、2個または3個のアミノ基を有する一級アミン、例えば、m−フェニレンジアミン、およびピペラジンなどの2個のアミノ基を有する二級脂肪族アミンが含まれる。1つの好ましい多官能性アミンはm−フェニレンジアミン(mPD)である。多官能性アミンモノマーは、極性溶液として多孔質支持体に塗布され得る。極性溶液は、約0.1〜約20重量%、より好ましくは約0.5〜約6重量%の多官能性アミンモノマーを含有し得る。いったん多孔質支持体上にコーティングされたら、過剰な溶液は任意選択により除去され得る。
【0008】
多官能性ハロゲン化アシルは気相から送達され得る(例えば、十分な蒸気圧を有する多官能性ハロゲン化アシルについて)が、多官能性ハロゲン化アシルモノマーは、少なくとも2個のハロゲン化アシル基を含み、好ましくは炭化水素溶媒(例えば、有機系または非極性溶媒)からコーティングされる。多官能性ハロゲン化アシルは特に限定されず、芳香族または脂環式多官能性ハロゲン化アシルがその組み合わせと共に使用され得る。芳香族多官能性ハロゲン化アシルの非限定的例には、トリメシン酸クロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ビフェニルジカルボン酸クロリドおよびナフタレンジカルボン酸クロリドが含まれる。脂環式多官能性ハロゲン化アシルの非限定的例には、シクロプロパントリカルボン酸クロリド、シクロブタンテトラカルボン酸クロリド、シクロペンタントリカルボン酸クロリド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロリド、シクロヘキサントリカルボン酸クロリド、テトラヒドロフランテトラカルボン酸クロリド、シクロペンタンジカルボン酸クロリド、シクロブタンジカルボン酸クロリド、シクロヘキサンジカルボン酸クロリドおよびテトラヒドロフランジカルボン酸クロリドが含まれる。1つの好ましい多官能性ハロゲン化アシルは塩化トリメソイル(TMC)である。
【0009】
多官能性ハロゲン化アシルは、約0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲で炭化水素溶媒に溶解することができ、連続コーティング動作の一部として送達され得る。適当な炭化水素溶媒は、多官能性ハロゲン化アシルを溶解させることができ、水と非混和性であるものである、例えば、溶媒は好ましくは800ppm(より好ましくは500、400、300または200未満、またはいくつかの実施形態では150ppm未満)の水溶解度を有する。本明細書で使用する場合、「水溶解度」という用語は、ASTM D4928−11により測定される、20℃(101kPa)で測定される選択された炭化水素溶媒に可溶性の水の濃度を指す。炭化水素溶媒の選択は特に限定されず、複数の溶媒の組み合わせが使用され得る。溶媒は、好ましくは20℃(101kPa)で液体である。適用可能な炭化水素溶媒の非限定的例には、パラフィン(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン)、イソパラフィン(例えば、ISOPAR(商標)L)、芳香族(例えば、ベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、トルエン)およびハロゲン化炭化水素(例えば、FREON(商標)シリーズ、クロロベンゼン、ジ−およびトリ−クロロベンゼン)が含まれる。
【0010】
いったん互いに接触したら、多官能性ハロゲン化アシルおよび多官能性アミンモノマーはその表面界面で反応してポリアミド層または膜を形成する。通常はポリアミド「識別層」または「薄膜層」と呼ばれるこの層は、複合膜に、溶媒(例えば、水性供給液)から溶質(例えば、塩)を分離するための主要な手段を提供する。
【0011】
多官能性ハロゲン化アシルと多官能性アミンモノマーの反応時間は1秒未満であり得るが、接触時間は典型的には約1〜60秒に及び、その後過剰な液体が任意選択によりエアーナイフ、水浴(複数可)、乾燥機などを経て除去され得る。周囲温度での空気乾燥も使用され得るが、過剰な溶媒の除去は、高温、例えば、約40℃〜約120℃で乾燥させることにより達成され得る。
【0012】
一実施形態では、本発明は、カルボン酸モノマーおよびトリヒドロカルビル化合物の存在下で界面重合を行うステップをさらに含む。カルボン酸モノマーは、単一のカルボン酸官能基および少なくとも1個のハロゲン化アシル官能基で置換された脂肪族または芳香族部分を含む。好ましい実施形態のセットでは、カルボン酸モノマーは、700、600、500、400または300ダルトン未満の分子量を有する。別の実施形態のセットでは、カルボン酸モノマーは、30、20、15または12個以下の炭素原子を含み、好ましくは4個以上の炭素原子を含む。なお別の実施形態のセットでは、モノマーは4〜12個の炭素原子を含む。脂肪族部分に基づくカルボン酸モノマーの非限定的例には、4−クロロ−4−オキソブタン酸、5−クロロ−5−オキソペンタン酸、6−クロロ−6−オキソヘキサン酸、7−クロロ−7−オキソヘプタン酸、8−クロロ−8−オキソオクタン酸、9−クロロ−9−オキソノナン酸、10−クロロ−10−オキソデカン酸、11−クロロ−11−オキソウンデカン酸、12−クロロ−12−オキソドデカン酸;3−(クロロカルボニル)シクロブタンカルボン酸、3−(クロロカルボニル)シクロペンタンカルボン酸、2,4−ビス(クロロカルボニル)シクロペンタンカルボン酸、3,5−ビス(クロロカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸、および4−(クロロカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸が含まれる。芳香族部分に基づくモノマーの非限定的例には、4−(クロロカルボニル)安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニル)安息香酸、7−(クロロカルボニル)−2−ナフトエ酸および5,7−ビス(クロロカルボニル)−2−ナフトエ酸が含まれる。適用可能なモノマーの追加の例には、追加のハロゲン化アシル官能基を含む類似体に沿った前記種の分岐類似体が含まれる。
【0013】
適用可能なリン酸トリヒドロカルビル化合物の例は、式(I):
【化1】
(式中、「P」はリンであり、「O」は酸素であり、R、RおよびRは独立に水素および1〜10個の炭素原子を含むヒドロカルビル基から選択され、但し、R、RおよびRの1つ以下が水素である)
により表される。R、RおよびRは、好ましくは独立に脂肪族および芳香族基から選択される。適用可能な脂肪族基には、分岐および非分岐種の両方、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれるが、3〜10個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。適用可能な芳香族基には、フェニルおよびナフチル基が含まれる。リン酸トリヒドロカルビル化合物の具体的な例には、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸プロピルビフェニル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸ブチルジエチル、リン酸ジブチル水素、リン酸ブチルへプチル水素およびリン酸ブチルへプチルヘキシルが含まれる。追加の例は、米国特許第6878278号明細書、米国特許第6723241号明細書、米国特許第6562266号明細書および米国特許第6337018号明細書に記載されている。
【0014】
カルボン酸モノマーおよびトリヒドロカルビル化合物は、炭化水素溶媒(溶媒は多官能性ハロゲン化アシルモノマーに関して以前記載されたのと同じ基準に基づいて選択される)中で合わせられてコーティング溶液を形成し、これが例えば、多官能性ハロゲン化アシルのコーティングが塗布される前もしくは後の数秒以内で多孔質支持体上に塗布される、または多官能性ハロゲン化アシルと合わせられて、単一溶液として多孔質支持体に塗布される。
【0015】
別の実施形態では、カルボン酸モノマーは、水を、炭化水素溶媒、多官能性ハロゲン化アシルモノマーおよびリン酸トリヒドロカルビル化合物を含むコーティング溶液に添加することにより、インサイチュで形成され得る。例えば、上記構成要素が合わせられて、好ましくは任意選択により以下の1種または複数:i)溶媒中のその溶解度限界より大きい(例えば、溶解度限界の10%より大きい濃度)が炭化水素溶液についてのその溶解度限界未満(less that)であるモル濃度の水、ii)溶媒中のその溶解度限界未満のモル濃度および1:2〜1000:1の水とのモル比の多官能性ハロゲン化アシル、ならびにiii)100:1〜1:1000の多官能性ハロゲン化アシルとのモル比のリン酸トリヒドロカルビル化合物と共に、少なくとも80v/v%の炭化水素溶媒、およびいくつかの実施形態では少なくとも90v/v%、92v/v%または95v/v%の炭化水素溶媒を含む溶液を形成し得る。好ましい実施形態では、溶液は、10:1〜1:100の多官能性ハロゲン化アシルとのモル比でリン酸トリヒドロカルビル化合物を含む。別の実施形態では、溶液は、1:2〜200:1、および他の実施形態では1:2〜100:1の水とのモル比で多官能性ハロゲン化アシルを含む。さらに別の実施形態では、溶液は、以下の少なくとも1つであるが好ましくは全部を含む:1重量%未満の濃度の水、10重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシル、または10重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物。なお他の実施形態のセットでは、炭化水素溶液は、以下の少なくとも1つであるが好ましくは全部を含む:0.5重量%未満の濃度の水、5重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシル、または5重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物。代表的な反応経路は以下に示される。
【化2】
カルボン酸モノマーは、典型的には炭化水素溶媒中1重量%未満、およびいくつかの実施形態では0.1重量%、0.05重量%、0.02重量%未満、およびさらに他に0.01重量%未満の溶解度限界を有する。カルボン酸モノマーは溶媒中その溶解度限界より大きい(例えば、その溶解度限界の10%より大きい)モル濃度にされるが、モノマーは溶液に可溶性のままである。
【0016】
理論により拘束されることを望むものではないが、リン酸トリヒドロカルビル化合物の対象クラスは、炭化水素溶媒中の水(およびカルボン酸モノマー)の溶解度を増加させ、多官能性ハロゲン化アシルモノマーの一部の加水分解を選択的に触媒すると考えられる。加水分解産物は、主にモノ加水分解類似体である(例えば、加水分解産物の70重量%、80重量%および90重量%超さえモノ加水分解型である)。この技術的効果は、リン酸トリヒドロカルビル化合物の記載されるクラスに独特であると考えられ、改善した性能を有する膜を製造することが分かった。
【0017】
別の実施形態では、カルボン酸モノマーは、リン酸トリヒドロカルビル化合物と共に多官能性ハロゲン化アシルコーティング溶液に添加される。カルボン酸モノマーの上限濃度範囲は、溶液中のその溶解度により限定され、溶液中に存在するリン酸トリヒドロカルビル化合物の濃度に依存する、すなわち、リン酸トリヒドロカルビル化合物は溶媒中のカルボン酸モノマーの可溶化剤として働くと考えられる。ほとんどの実施形態では、上限濃度は1重量%未満である。1つの実施形態のセットでは、カルボン酸モノマーは、少なくとも0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%または0.1重量%の濃度でさえ溶液中に提供されるが、コーティング溶液に可溶性のままである。別の実施形態のセットでは、コーティング溶液は、0.01〜1重量%、0.02〜1重量%、0.04〜1重量%または0.05〜1重量%の炭化水素化合物を含む。なお別の実施形態のセットでは、溶液は、0.01〜10重量%のリン酸トリヒドロカルビル化合物を含む。上記構成要素は、合わせられて好ましくは少なくとも80v/v%の炭化水素溶媒、およびいくつかの実施形態では少なくとも90v/v%、92v/v%または95v/v%の炭化水素溶媒を含むコーティング溶液を形成し得る。上記構成要素は、室温で、反応器中で合わせられ、混合され得る。カルボン酸モノマーとリン酸トリヒドロカルビルの好ましい比は、1:1000〜2:1、より好ましくは1:100〜1:1である。
【0018】
多官能性アミンとハロゲン化アシルモノマーとの間の界面重合中にカルボン酸モノマーを包含することにより、性能が改善した膜が得られる。また、薄膜ポリアミド層の表面上で起こり得るポスト加水分解反応と異なり、界面重合中にカルボン酸モノマーを包含することは、薄膜層の全体にわたって有利に修飾されたポリマー構造をもたらすと考えられる。
【0019】
多くの実施形態では、対象モノマーを用いて調製された膜は、当該モノマーを用いないで調製された実質的に類似の膜と比べて低い溶質通過を示す。また驚くべきことに、多くの実施形態で、対象モノマーを用いて調製された膜はより高い流束を示す。
【0020】
特定の型のポリアミド膜に限定されないが、本発明は、ROおよびNF用途に一般的に使用されるものなどの複合膜、さらに特にROおよびNF用途に使用される平板複合ポリアミド膜に適用するのに特に適している。薄膜ポリアミド層は、任意選択によりその表面の少なくとも一部の上に吸湿性ポリマーを含んでもよい。このようなポリマーには、高分子界面活性剤、ポリアクリル酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(オキサゾリン)化合物、ポリアクリルアミド、ならびに米国特許第6280853号明細書;米国特許第7815987号明細書;米国特許第7918349号明細書;米国特許第7905361号明細書および米国特許出願公開第2011/0220569号明細書に一般的に記載されているような関連する反応生成物が含まれる。いくつかの実施形態では、このようなポリマーは、ブレンドおよび/または反応させられてもよく、さらに共通溶液からポリアミド膜にコーティングまたは塗布あるいは連続的に塗布されてもよい。
【0021】
本発明の多くの実施形態が記載されてきて、いくつかの例では、特定の実施形態、選択、範囲、構成要素または他の特徴が「好ましい」として特徴づけられてきた。「好ましい」特徴の特徴づけは、決してこのような特徴を本発明に要求される、必須であるまたは重大な意味を持つとみなすこととして解釈されるべきではない。種々のコーティング動作は合わせられるまたは別々のステップに分けられ得る、例えば、多官能性ハロゲン化アシルおよびカルボン酸モノマーは、共通のコーティング溶液から、別々の溶液から、または種々の比の各々を含む複数コーティング溶液からコーティングされ得ることが理解されるだろう。
【0022】
上記米国特許文献の各々の主題全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0023】
モノ加水分解多官能性酸塩化物の調製:高純度モノ加水分解多官能性酸塩化物は、例えば、表Aに例として記載する量で、非極性溶媒100mL中で多官能性酸塩化物(その多くは市販されている(例えば、塩化トリメソイル(TMC)および塩化イソフタロイル(IPC))、リン酸トリアルキル(例えば、リン酸トリブチル(TBP)およびリン酸トリエチル(TEP))、および微量の水を合わせることによりスターター溶液を調製するステップを含む、種々の経路を介して得ることができる。スターター溶液を14〜20時間撹拌させ、その時間に追加の多官能性酸塩化物1gおよび水0.0076mLを添加する。溶液を1〜2時間撹拌させ、追加の水0.0076mLを添加する。水0.0076mLを合計4回スターター溶液に添加するまでこれを繰り返す。反応中、モノ加水分解多官能性酸塩化物が溶液の外に沈殿する。白色沈殿を、濾紙を使用して回収し、新鮮な溶媒で繰り返し洗浄して高純度モノ加水分解多官能性酸塩化物を得ることができる。
【表1】
【0024】
モノ加水分解多官能性酸塩化物のインサイチュ調製:2%w/wリン酸トリアルキルのIsopar L中溶液を水200ppmと合わせて、1時間激しく撹拌する。Isopar最上層を水からデカントし、多官能性酸塩化物を添加して0.2w/w%溶液を調製する。溶液を72〜96時間または多官能性酸塩化物の60〜80%加水分解がモノ加水分解されるまで(H NMRにより観察される)撹拌させる。この溶液を、未反応多官能性酸塩化物、モノ加水分解酸塩化物およびリン酸トリアルキルの混合物として使用し、以下の実施例に記載の処方を提供するように適宜処理することができる。
【0025】
カルボン酸基を有する芳香族酸塩化物(実施例1〜5):
特に明言しない限り、全ての試料膜をパイロット規模の膜製造ラインを使用して製造した。原材料は、純粋型でまたは上記のように濃縮溶液で、インサイチュで調製したモノ加水分解多官能性酸塩化物を除いて、いくつかの業者を通して市販されていた。ポリスルホン支持体を、ジメチルホルムアミド(DMF)中16.5重量%溶液から鋳造し、その後3.5重量%メタ−フェニレンジアミン(mPD)水溶液に浸漬した。次いで、得られた支持体を一定速度で反応テーブルを通して引きながら、非極性溶液の薄い均一層を塗布した。非極性溶液は、イソパラフィン系(ISOPAR L)、トリメソイル酸(acyl)塩化物(TMC)、少なくとも1個のカルボキシレート部分を有する酸塩化物(対照膜を除く)、および任意選択により以下に同定するリン酸添加剤を含んでいた。過剰な非極性溶液を除去し、得られた複合膜を水洗槽および乾燥オーブンに通した。次いで、試料膜のクーポンを、150psi、pH8および室温で塩水溶液(2000ppm NaCl)を使用して標準圧力試験に供した。試験結果を、各実施例を以下で提供する表に要約する。
【0026】
実施例:1−カルボキシ−3,5−ジクロロホルミルベンゼン(mhTMC)
非極性コーティング溶液は、イソパラフィン系溶媒(ISOPAR L)、変化する比のトリメソイル酸塩化物(TMC)および1−カルボキシ−3,5−ジクロロホルミルベンゼン(mhTMC)の組み合わせを含んでいたが、総酸塩化物含量を0.26重量%で、また任意選択によりリン酸トリブチル(TBP)をTMCとの1.1:1の一定の化学量論的モル比で維持した(TBPを含む−表1A;TBPを含まない−表1B)。
【表2】
【表3】
【0027】
実施例2:3−(クロロカルボニル)安息香酸
試料膜を調製するために使用した非極性溶液は、イソパラフィン溶媒(ISOPAR L)中にTMCおよび3−(クロロカルボニル)安息香酸(対象モノマーとして)を含んでいた。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総塩化アシル含量を0.21%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0から0.04%w/vまで変化させた一方で、残りの塩化アシル含量をTMCによってのみ与えた。非極性溶液も約0.27%w/vのリン酸トリブチル(TBP)を含有していた。
【表4】
【0028】
実施例3:3−(クロロカルボニル)安息香酸対1,3−ベンゼンジカルボニルジクロリド
試料膜を調製するために使用した非極性溶液は、イソパラフィン系溶媒(ISOPAR L)中にTMC、対象モノマーとしての3−(クロロカルボニル)安息香酸(試料3−3)または比較モノマーとしての1,3−ベンゼンジカルボニルジクロリド(試料3−2)を含んでいた。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総塩化アシル含量を0.2%w/vで一定に維持した。非極性溶液も約0.27%w/vのTBPを含有していた。
【化3】
【表5】
【0029】
実施例4:3−(クロロカルボニル)−5−ニトロ安息香酸対5−ニトロイソフタロイルジクロリド
試料膜を調製するために使用した非極性溶液は、イソパラフィン系溶媒(ISOPAR L)中に対象モノマーとしての3−(クロロカルボニル)−5−ニトロ安息香酸(試料4−2)および比較モノマーとしての5−ニトロイソフタロイルジクロリド(試料4−1)を含んでいた。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総塩化アシル含量を0.175%w/vで一定に維持した。非極性溶液も約0.195%w/vTBPを含有していた。
【化4】
【表6】
【0030】
実施例5:3−(クロロカルボニル)−5−ヒドロキシ安息香酸対5−ヒドロキシイソフタロイルジクロリド
試料膜を調製するために使用した非極性溶液は、TMC、対象モノマーとしての3−(クロロカルボニル)−5−ヒドロキシ安息香酸(試料5−2)および比較モノマーとしての5−ヒドロキシイソフタロイルジクロリド(試料5−1)を含んでいた。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総塩化アシル含量を0.175%w/vで一定に維持した。非極性溶液も約0.195%w/vTBPを含有していた。
【化5】
【表7】
【0031】
実施例6:リン酸トリアルキルを含まない3−(クロロカルボニル)安息香酸の評価
手圧鋳造(hand cast)試料複合ポリアミド膜を、3.0重量%mPD水溶液ならびに、イソパラフィン系溶媒(ISOPAR L)中に塩化トリメソイル(TMC)および対象モノマーとしての3−(クロロカルボニル)安息香酸を含む非極性溶液を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液のTMC含量を0.13%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度は、試料6−1中約0.01%w/vであり、対照中0%であった。非極性溶液はまた、Isopar Lとの共溶媒として8%メシチレンも含有していた。膜を225psi、2000ppm NaCl、pH8および室温で試験した。
【表8】
【0032】
示されるように、対象モノマーを用いて調製した膜は、類似の対照および比較膜と比べて改善した性能(例えば、高い流束、低い塩通過または両方)を示した。
【0033】
モノ加水分解脂肪族酸塩化物(実施例7〜13)
全ての試料膜をパイロット規模の膜製造ラインを使用して製造した。ポリスルホン支持体を、ジメチルホルムアミド(DMF)中16.5重量%溶液から鋳造し、その後3.5重量%メタ−フェニレンジアミン(mPD)水溶液に浸漬した。次いで、得られた支持体を一定速度で反応テーブルを通して引きながら、非極性溶液の薄い均一層を塗布した。非極性溶液は、イソパラフィン系(ISOPAR L)、トリメソイル酸塩化物(TMC)、および以下に同定する対象モノマーを含んでいた。非極性溶液はまたTMCに対して1:1.4の化学量論的比でTBP(リン酸トリブチル)を含有していた(比が1:1.1である実施例9を除く)。過剰な有機溶液を除去し、得られた複合膜を水洗槽および乾燥オーブンに通した。次いで、試料膜を、以下の条件:室温で150psi、2000ppm NaCl、pH8下で標準試験に供した。
【0034】
実施例7:
試料複合ポリアミド膜を、「対象モノマー」として4−(クロロカルボニル)ブタン酸を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.24%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0から0.03%w/vまで変化させた一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表7に示すように、塩通過は、4−(クロロカルボニル)ブタン酸の濃度が増加するとともに0.99%から0.52%まで減少した。
【表9】
【0035】
実施例8:
試料複合ポリアミド膜を、対象モノマーとして2−(クロロカルボニル)エタン酸を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.24%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0から0.03%w/vまで変化させた一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表8に示すように、塩通過は、2−(クロロカルボニル)エタン酸の濃度が増加するとともに1.46%から0.73%まで減少した。
【表10】
【0036】
実施例9:
試料複合ポリアミド膜を、対象モノマーとして5−クロロカルボニルペンタン酸(試料9−2および9−4)を使用して調製した。比較のために、膜を、1,4−ジクロロカルボニルブタンおよびTMC(比較試料9−1および9−3)を用いて同様に調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.175%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0から0.02%w/vまで変化させた一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表9に示すように、対象モノマー、5−クロロカルボニルペンタン酸(試料9−2および9−4)を用いて調製した膜は、構造上類似の1,4−ジクロロカルボニルブタン添加剤(試料9−1および9−3)を用いて調製した試料と比べて塩通過の30%の改善を示した。
【表11】
【0037】
実施例10:
試料複合ポリアミド膜を、対象モノマーとして9−クロロカルボニルノナン酸を使用して調製した。比較のために、対象モノマーを用いずに対照膜も調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.21%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0.011%w/vとした一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表10に示すように、9−クロロカルボニルノナン酸を用いて調製した膜は、対照膜に対して塩通過の26%を超える改善を示した。
【表12】
【0038】
実施例11:
試料複合ポリアミド膜を、対象モノマーとして2,4−ジオキソ−3−オキサビシクロ[3.3.1]ノナン−7−カルボン酸を使用して調製した。比較のために、対象モノマーを用いずに対照膜も調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.24%w/vで一定に維持した。対象モノマーの濃度を0.03%w/vとした一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表11に示すように、対象モノマーは、TMCのみを用いて製造した膜と比べて塩通過の改善を示した。
【表13】
【0039】
実施例12:(比較)
試料複合ポリアミド膜を、非極性相中1,8−ジクロロカルボニルオクタンを使用して調製した。比較のために、1,8−ジクロロカルボニルオクタンを用いずに対照膜も調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.21%w/vで一定に維持した。非加水分解試料モノマー、1,8−ジクロロカルボニルオクタンの濃度を0.011%w/vとした一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。表12に示すように、試料多官能性酸塩化物を加水分解しない場合、塩通過の実質的な改善は認められなかった。
【表14】
【0040】
実施例13.
試料複合ポリアミド膜を、3.5重量%mPD水溶液ならびにイソパラフィン溶媒(ISOPAR L)中にTMCおよび対象モノマーとして4−(クロロカルボニル)ブタン酸を含む非極性溶液を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液のTMC含量を0.11%w/vで一定に維持した。どの試料もリン酸トリブチル(TBP)を含まなかった。対象モノマーの濃度は試料13−1中約0.01%w/vであり、対照中0%であった。非極性溶液はまた共溶媒として4%メシチレンも含有していた。塩通過は、4−(クロロカルボニル)ブタン酸をポリマーに組み込んだ結果として減少した。
【表15】
【0041】
mhTMCを用いた膜を製造するためのTBP代替物
全ての試料膜を、手圧鋳造法を用いて製造した。ポリスルホン支持体(ジメチルホルムアミド(DMF)中16.5重量%溶液から鋳造)を3.5重量%メタ−フェニレンジアミン(mPD)水溶液に浸漬した。次いで、得られた支持体を一定速度で反応テーブルを通して引きながら、非極性溶液の薄い均一層を塗布した。非極性溶液は、イソパラフィン系(ISOPAR L)、トリメソイル酸塩化物(TMC)および以下に同定する追加の添加剤を含んでいた。過剰な非極性溶液をヘキサンによる洗浄により除去し、得られた複合膜を水中に保持した。次いで、試料膜のクーポンを、225psi、pH8および室温で塩水溶液(2000ppm NaCl)を使用して標準試験に供した。試験結果を、以下で提供する表に要約する。
【0042】
実施例14:
試料複合ポリアミド膜を、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)(TEHP)を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.13%w/vで一定に維持した。モノ加水分解塩化トリメソイル(mhTMCと呼ぶ)の濃度を0から0.03%w/vまで変化させた一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。TEHPの濃度を0.235%w/vで一定に維持した。
【表16】
【0043】
実施例15:
試料複合ポリアミド膜を、リン酸トリエチル(TEP)を使用して調製した。各試料を調製するために使用した非極性溶液の総酸塩化物含量を0.13%w/vで一定に維持した。モノ加水分解塩化トリメソイル(mhTMCと呼ぶ)の濃度を0から0.01%w/vまで変化させた一方で、残りの酸塩化物含量をTMCによってのみ与えた。TEPの濃度を0.098%w/vで一定に維持した。
【表1】
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
多官能性アミンモノマーおよび多官能性酸ハロゲン化物モノマーを多孔質支持体の表面に塗布するステップと、前記モノマーを界面重合して薄膜ポリアミド層を形成するステップとを含む、多孔質支持体および薄膜ポリアミド層を含む複合ポリアミド膜を製造する方法であって、
i)単一のカルボン酸官能基および少なくとも1個のハロゲン化アシル官能基で置換された脂肪族または芳香族部分を含むカルボン酸モノマーと、
ii)式(I):
【化1】
(式中、R、RおよびRは独立に水素および1〜10個の炭素原子を含むヒドロカルビル基から選択され、但し、R、RおよびRの1つ以下が水素である)
により表されるトリヒドロカルビル化合物と
の存在下で前記界面重合を行うことを特徴とする方法。
[態様2]
前記カルボン酸モノマーおよびトリヒドロカルビル化合物を炭化水素溶媒と合わせてコーティング溶液を形成し、該コーティング溶液を前記多孔質支持体の表面に塗布する、上記態様1記載の方法。
[態様3]
前記カルボン酸モノマーが前記炭化水素溶媒中のその溶解度限界より大きいが、前記コーティング溶液中のその溶解度限界未満の濃度で前記コーティング溶液中に存在する、上記態様2記載の方法。
[態様4]
前記カルボン酸モノマーが0.02重量%より大きい濃度で前記コーティング溶液中に存在する、上記態様3記載の方法。
[態様5]
前記コーティング溶液が多官能性ハロゲン化アシルモノマーをさらに含む、上記態様2記載の方法。
[態様6]
前記カルボン酸モノマーが多官能性モノマーのモノ加水分解類似体である、上記態様1記載の方法。
[態様7]
前記カルボン酸モノマーが、水を多官能性ハロゲン化アシルモノマー、トリヒドロカルビル化合物および炭化水素溶媒と合わせることにより調製されるコーティング溶液中インサイチュで形成される、上記態様1記載の方法。
[態様8]
前記コーティング溶液が
i)1重量%未満の濃度の水と、
ii)10重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシルモノマーと、
iii)10重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物と
を含む、上記態様7記載の方法。
[態様9]
前記コーティング溶液が
i)0.5重量%未満の濃度の水と、
ii)5重量%未満の濃度の多官能性ハロゲン化アシルモノマーと、
iii)5重量%未満の濃度のリン酸トリヒドロカルビル化合物と
を含む、上記態様7記載の方法。
[態様10]
前記コーティング溶液が1:2〜100:1の水とのモル比で前記多官能性ハロゲン化アシルモノマーを含む、上記態様7記載の方法。
[態様11]
前記コーティング溶液が100:1〜1:1000の前記多官能性ハロゲン化アシルモノマーとのモル比でリン酸トリヒドロカルビル化合物を含む、上記態様7記載の方法。
[態様12]
前記コーティング溶液が少なくとも80v/v%の前記炭化水素溶媒を含む、上記態様7記載の方法。
[態様13]
前記カルボン酸モノマーおよびリン酸トリヒドロカルビル化合物が1:1000〜2:1のモル比で前記コーティング溶液中に提供される、上記態様2記載の方法。
[態様14]
前記カルボン酸モノマーおよびリン酸トリヒドロカルビル化合物が1:100〜1:1のモル比で前記コーティング溶液中に提供される、上記態様2記載の方法。