特許第6027130号(P6027130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027130
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】ベースバンド信号処理クラスタ
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20161107BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04W24/02
   H04W92/20
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-541579(P2014-541579)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公表番号】特表2015-504270(P2015-504270A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】EP2012068859
(87)【国際公開番号】WO2013072108
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】11306485.1
(32)【優先日】2011年11月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12305557.6
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】ハーベルランド,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】デラクフッサン,ファリボルツ
(72)【発明者】
【氏名】グロブ−リプスキー,ヘイドラン
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−318561(JP,A)
【文献】 特開2009−201046(JP,A)
【文献】 特開2009−206769(JP,A)
【文献】 特開2001−285172(JP,A)
【文献】 特開2007−019724(JP,A)
【文献】 特表2007−529926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースバンド・クラウド・コンピューティング・アーキテクチャを用いるワイヤレス通信ネットワークの第1の無線セル・クラスタに関連する第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)であって、
前記ワイヤレス通信ネットワークの前記第1の無線セル・クラスタにサービスを提供する第1の複数のラジオ・ヘッドとインターフェース接続されるように構成された複数のベースバンド信号処理ユニット(110)であって、関連するベースバンド信号処理ユニット(110)内の第1の処理リソース割り当てを管理するように動作可能な少なくとも1つのユニット特有の処理リソース管理エンティティ(120)をそれぞれが備える、複数のベースバンド信号処理ユニット(110)と、
前記少なくとも1つのユニット特有の処理リソース管理エンティティ(120)のそれぞれに結合され、前記複数のベースバンド信号処理ユニット(10)間での第2の処理リソース割り当てを管理するように動作可能なクラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)と、
クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)に結合された第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)であり前記ワイヤレス通信ネットワークの第2の無線セル・クラスタにサービスを提供する第2の複数のラジオ・ヘッドとインターフェース接続された第2のベースバンド信号処理クラスタと前記第1のベースバンド信号処理クラスタとの間での第3の処理リソース割り当ての管理を達成するために、該第2のベースバンド信号処理クラスタの第2のクラスタ間処理リソース管理エンティティと協同して該第2のクラスタ間処理リソース管理エンティティと情報を交換するように動作可能である、第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)と
を含む、第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項2】
前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)は、
前記複数のベースバンド信号処理ユニット(110)の前記少なくとも1つのユニット特有の処理リソース管理エンティティ(120)から提供されるユニット特有の負荷状態情報(502)に基づいて、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の利用可能なベースバンド信号処理リソースを決定するように動作可能な情報管理エンティティ(132)と、
ユーザ特有のベースバンド信号処理タスクに対する必要な処理リソース容量前記ユニット特有の負荷状態情報(502)の比較に基づいて、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の1つまたは複数のベースバンド信号処理ユニット(110)に、前記ユーザ特有のベースバンド信号処理タスクを割り当てるように動作可能な決定エンティティ(134)と
を含む請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項3】
前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)は、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の利用可能な処理リソースが、前記ユーザ特有の特定のベースバンド信号処理要求(506)に対して十分でない場合、前記第1のベースバンド信号処理クラスタと前記第2のベースバンド信号処理クラスタ間での特定の第3の処理リソース割り当てを初期化するために、前記複数のベースバンド信号処理ユニット(110)の内の少なくとも一つから前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)に、ユーザ特有のベースバンド信号処理要求(506)を転送するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項4】
前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)は、前記第2のベースバンド信号処理クラスタのリモート・ベースバンド信号処理ユニットに関連するユーザのユーザ特有のベースバンド信号処理を実行するために十分な利用可能な処理能力を持つ1つまたは複数のベースバンド信号処理ユニット(110)の特定の第2の処理リソース割り当てを初期化するために、前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)を介して、ユーザ特有の特定のベースバンド信号処理要求(628)を受信するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項5】
前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)は、前記第2のベースバンド信号処理クラスタのリモート・ベースバンド信号処理ユニットに関連するユーザのユーザ特有のベースバンド信号処理を実行するために十分な利用可能な処理能力を持つ割り当てられたベースバンド信号処理ユニット(110)のネットワーク・アドレス、前記リモート・ベースバンド信号処理ユニットのネットワーク・アドレス、および前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)のネットワーク・ルータ(180)および/または前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)の前記ユーザの識別子を提供するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項6】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、
前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の利用可能な処理リソースについての情報にアクセスするように動作可能な情報管理エンティティ(142)であって、前記情報は、前記複数のベースバンド信号処理ユニットの内で前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の最大利用可能な処理容量を持つベースバンド信号処理ユニット(110)についての情報を含む情報管理エンティティ(142)と、
前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の利用可能な処理リソースが前記ユーザ特有のベースバンド信号処理要求(506;508)に十分でない場合、前記利用可能な処理リソース(504)についての情報に基づいて、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)からユーザ特有のベースバンド信号処理要求(506;508)により利用可能な十分な処理リソースを持つリモート・ベースバンド信号処理クラスタを決定するように動作可能な決定エンティティ(144)と
を含む請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項7】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記第2のリモート・ベースバンド信号処理クラスタからの受信されたユーザ特有のベースバンド信号処理要求(618)に応じて、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の利用可能な処理リソースの情報(620)にアクセスし、十分な利用可能な処理リソースの場合には前記受信されたユーザ特有のベースバンド信号処理要求(618)を肯定し(642)、またはそうでない場合は、前記受信されたユーザ特有のベースバンド信号処理要求(618)を拒否するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項8】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、オリジナル無線ベアラ要求(506)のサービスの品質パラメータから得た関連する処理容量記述とともに前記第2のリモート・ベースバンド信号処理クラスタから、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)の前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)に、受信されたユーザ特有のベースバンド信号処理要求(618)を転送する(628)ように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項9】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記ベースバンド信号処理クラスタ(100)と、前記少なくとも1つのリモート・ベースバンド信号処理クラスタとの間の信号伝播遅延を決定するために時間遅延測定(612)を開始するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項10】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記時間遅延測定(612)に応じて、可能な隣接として適切なリモート・ベースバンド信号処理クラスタの隣接リストを更新する(616)ように動作可能であり、最大の許可された時間遅延を下回るリモート処理の信号伝播遅延につながる請求項9に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項11】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)から、前記更新された隣接リストの潜在的な前記リモート・ベースバンド信号処理クラスタのすべてのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティに、ユーザ特有のベースバンド信号処理要求(506;508)を転送する(618)ように動作可能である請求項10に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項12】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、無線ベアラ要求(506)に関係するリモート処理について、前記第2のベースバンド信号処理クラスタを含む他のベースバンド信号処理クラスタからリモート・ベースバンド信号処理クラスタを選択するように動作可能であり、選択された該リモート・ベースバンド信号処理クラスタは、前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)から転送された処理リソース要求(618)を肯定するためのリモート・ベースバンド信号処理クラスタであり、または前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記最大の利用可能な処理能力を示す、リモート・ベースバンド信号処理クラスタを選択するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項13】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記ユーザに関連する無線ベアラ・データのリモート処理のために、ベースバンド信号処理ユニット(110)のネットワーク・アドレス、および前記ベースバンド信号処理ユニット(110)の少なくとも1つのリモート・ラジオ・ヘッドに関連するユーザの識別子を選択されたリモート・ベースバンド信号処理クラスタに転送するように動作可能である請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【請求項14】
前記第1のクラスタ間処理リソース管理エンティティ(140)は、前記第2のリモート・ベースバンド信号処理クラスタのリモート・ベースバンド信号処理ユニットに関連するユーザのユーザ特有のベースバンド信号処理を実行するために十分な利用可能な処理能力を持つ少なくとも1つのベースバンド信号処理ユニット(110)の割り当てを初期化するために、該第2のリモート・ベースバンド信号処理クラスタから受信されたユーザ特有のベースバンド信号処理要求(628)を前記クラスタ内処理リソース管理エンティティ(130)に転送するように動作可能であり、前記ユーザ特有のベースバンド信号処理要求(628)は、前記リモート・ベースバンド信号処理ユニットのネットワーク・アドレスおよび前記ユーザの識別子を含む請求項1に記載の第1のベースバンド信号処理クラスタ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的にワイヤレス通信に関し、より具体的には、無線アクセス・ネットワークにおける分散された負荷バランシングまたはベースバンド・リソースの分散に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル・サービスにおいて、より高いデータ転送速度に対する需要が着実に増加している。同時に、第3世代(3G)システムおよび第4世代(4G)システムなど現在の移動通信システムは、より高いスペクトルの効率を実現し、より高いデータ転送速度およびセル容量を可能にする拡張された技術を提供する。変化が増えつつある高速サービスに対する需要がセル容量より速く増大しているため、オペレータは、ネットワーク内のセルの数を増加させることを促される。つまり、基地局の密度が高くなる。基地局送受信装置は、移動通信システムまたはネットワークの全体的な電力消費に大きな影響を与えており、それと同時に、オペレータが直面する運用経費(OPEX)にも大きな影響を与えている。1つの省電力戦略としては、基地局送受信装置から処理容量を取り除き、複数の基地局送受信装置のために処理機能を提供する集中処理ユニットに移すことである。基地局送受信装置の処理装置は、基地局送受信装置の合計電力のかなりの部分を消費するが、基地局送受信装置の処理機能は、高負荷条件のみで完全に利用される。それは永続的に発生するものではなく、ピーク時だけのものである。無線アクセス・システムにおける異なるセルは、時間の経過に伴うそれらのトラフィック負荷に関して、相互に非常に不均一である。これが意味するのは、セルのクラスタにおいて、異なるセルはピーク最繁時が同時ではないということである。
【0003】
現在、モバイル・ネットワークの無線アクセス(RAN)では、たとえば、最新技術であるLTE(Long Term Evolution)に関して、たとえばeNodeBなどの基地局または基地局送受信装置を使用して、すべての無線ベースバンドおよび制御機能に対応している。
【0004】
したがって、全体的なRANの資本的支出(CAPEX)およびOPEXの多くは、たとえば、サイトの賃貸料、インフラストラクチャ、処理ハードウェア、メンテナンスなど、各サイトの個々の処理ユニットの影響を受ける。これらのコスト要素の少なくとも大部分を削減するために、複数の手法が最近の研究活動の対象になっている。一部のソリューションでは、放射される電力および処理の複雑性を減らし、それと同時に必要な量を減らすが、これらのソリューションでは、必要なサイトの数を増やすという犠牲がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線フロントエンドから処理機能を取り除き、処理機能としてクラウド・コンピューティングまたは負荷分散された処理ユニットを使用することによって、無線アクセス・ネットワークのコスト効率を改善できることは本発明の発見の1つである。そのような処理機能は、多くの無線フロントエンドに割り当てることができ、それによって、全体的な処理機能をより効率的に利用することができる。したがって、実施形態は、より少ない全体的な処理容量を用いる概念を提供することができ、それと同時に、移動通信システムの全体的な電力消費、OPEX、およびCAPEXを減らすことができる。
【0006】
クラウド・コンピューティングは、プールとして大規模な設置されたリソースを共有して使用することによって運用コストを下げることができる。さらに、ハードウェアの拡張効果(scaling effect)ならびに高価な周辺装置およびハードウェアに対する(ユーザごとの)要件の低下によって、設置コストを下げることができる。設置された処理リソースの高度な負荷分散によって、屋内(企業または住居)または屋外の用途のために時間の経過とともに異なる負荷プロファイルを考慮することで、サイトおよび必要なハードウェアの大幅な減少を達成することができる。これは、オペレータにとってOPEXおよびCAPEXの削減につながる。負荷バランシング/処理リソースの分散に加えて、本発明の実施形態は、また、一般的な負荷管理の状況において、低トラフィック領域から高トラフィック領域に処理リソースを割り当てることを可能にすることができる。
【0007】
個々の処理要素が、所定の時に1つの無線標準または無線アクセス技術(RAT)しか運用できない場合でも、ソフトウェア(SW)の交換によって半静的な方法で、複数標準の構成を調整できることはもう1つの発見である。これにより、オペレータは、ハードウェア(HW)を変更する必要なく、複数標準のシステムをより柔軟に展開することができる。
【0008】
よって、本発明の実施形態は、クラウド・コンピューティング要素を統合する非集中化された負荷バランシング/分散手法を提供することによって、次世代のモバイル無線アクセス・ネットワーク(RAN)のために現在のRANアーキテクチャを更新することを目的としている。
【0009】
実施形態では、RANアーキテクチャは、無線フロントエンドと見なすことができる、つまり実際の無線信号を受信して送信し、少なくとも1つの無線セルを確立する、リモート・ラジオ・ヘッド(RRH)から構成することができる。以下において、2方向の送信が考えられる。第1の方向は、ダウンリンクまたは順方向リンクと呼ばれる。これは、RAN、つまりRRHから通信領域内のモバイル端末またはユーザ機器(UE)への送信を表す。第2の方向は、アップリンクまたは逆方向リンクと呼ばれる。これは、モバイル端末からRAN、つまりRRHへの送信を表す。アップリンクでは、RRHは、受信された無線信号を伝送帯域からベースバンド受信信号に変換し、クラウド・コンピューティング・ネットワークの分散された負荷バランシング/分散アーキテクチャにベースバンド受信信号を提供することができる。ダウンリンクでは、RRHは、クラウド・ネットワークで処理された、ベースバンド送信信号を伝送帯域に変換し、1つまたは複数のアンテナを使用して、信号を送信することができる。
【0010】
以下において、システム帯域幅および搬送周波数を持つシステム周波数帯域として伝送帯域を表すだろう。伝送帯域は、たとえば、周波数分割双方向(FDD)システムのように、無線信号のダウンリンク送信のためのサブバンドおよびアップリンク受信のためのサブバンドを含むことができる。一部の実施形態では、時分割二重通信(TDD)システムのように、同じ伝送帯域をダウンリンクおよびアップリンクに使用することができる。
【0011】
従来のソリューションでは、ベースバンド処理ユニットとRRHとの間に1:1の関係があり、ここでベースバンド処理容量は、ピーク・トラフィックによって分けられる(dimension)。一部の実施形態では、RRHは、送信(Tx)、受信(Rx)、およびアンテナの機能を提供することができる。RRHは、従来のベースバンド処理要素のプールとして、関連するベースバンド処理ユニットまたはベースバンド・ユニット(BBU)から空間的に分離できるため、後者は、複数のBBUのBBU間クラウド・コンピューティング・クラスタ内で組み合わせることができる。これにより、クラウド・コンピューティングの技術を適用し(BBU内およびBBU間)、分散化または非集中化された負荷バランシング/分散を確立し、必要な処理サイトの数と同時に関連する設置コスト、メンテナンスおよび電力消費を直接的に減らすための道が開かれる。
【0012】
言い換えると、実施形態は、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャのノードを形成するRRHおよびベースバンド(信号)処理ユニットを用いるRANアーキテクチャを提供することができる。そのため、各個々のネットワーク・ノード、つまりBBUは、処理リソース割り当てエンティティを装備するため、ネットワーク・ノードの個々の相互に連結された負荷バランシング/分散エンティティはともに、分散化または非集中化された負荷分散装置を形成し、これは、また、非集中化されたクラウド・コントローラ(DCC)と呼ばれる。そのため、DCCは、クラウド・コンピューティング・ネットワークの他のDCCと協力して、RRHからネットワークの他のノードまたはBBUに、その関連するBBUによって受信された負荷を分散またはルーティングすることができる。これにより、オペレータにとってトラフィック分散の柔軟性が高まる。
【0013】
本発明の第1の態様によると、ワイヤレス通信ネットワークのベースバンド信号処理クラスタが提供される。ベースバンド信号処理クラスタは、複数のベースバンド信号処理ユニットを含み、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つのリモート・ラジオ・ヘッド(RRH)に結合される。そのため、RRHは、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つの無線セルにサービスを提供することができる。よって、ベースバンド信号処理クラスタは、ワイヤレス通信ネットワークの第1の無線セル・クラスタに関連させられる。また、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、その関連するベースバンド信号処理ユニット内、またはその(ベースバンド)信号処理リソース割り当てを管理するように動作可能なユニット特有の(信号)処理リソース管理エンティティに結合されるか、またはそれを含む。ベースバンド信号処理クラスタのベースバンド信号処理ユニットは、また、後にベースバンド・ユニット(BBU)と呼ぶことができる。そのため、そのようなベースバンド信号処理ユニットは、ワイヤレス通信ネットワークの1人または複数のユーザのベースバンド信号を処理するためにサービスを提供することができる。ベースバンド信号処理クラスタは、少なくとも1つの(具体的にはそれぞれの)ユニット特有の処理リソース管理エンティティに結合され、クラスタの複数のベースバンド信号処理ユニットの間で信号処理リソース割り当てを管理またはバランス/分散するように動作可能であるクラスタ内(信号)処理リソース管理エンティティを含む。クラスタ内処理リソース管理エンティティに、場合によっては信号処理クラスタの(信号)処理負荷を示す情報を交換するように動作可能であるクラスタ間(信号)処理リソース管理エンティティが結合され、リモート処理割り当てを達成または管理するために、少なくとも1つのリモート・ベースバンド信号処理クラスタの少なくとも1つのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティは、ワイヤレス通信ネットワークの第2の(異なる)無線セル・クラスタに関連する。すなわち、ベースバンド信号処理クラスタの利用可能な処理リソースが、クラスタのユーザに関係する特定のユーザまたはベアラ特有のベースバンド信号処理要求を扱うのに十分でない場合、加えて、または代わりに、リモート・クラスタのリモート・ベースバンド信号処理リソースを割り当てることができる。
【0014】
本発明の実施形態は、原則的に、様々な現在および将来のワイヤレス通信システムで用いることができる。たとえば、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)、GSM/EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN)、Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)もしくはEvolved UTRAN(E−UTRAN)、Long Term Evolution(LTE)もしくはLTE−Advanced(LTE−A)、など、3rd Generation Partnership Project(3GPP)によって標準化されたワイヤレス通信システム、またはたとえば、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WIMAX)IEEE802.16もしくはワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)IEEE802.11、一般的に時分割多元接続(TDMA)に基づく任意のシステム、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、符号分割多元接続(CDMA)など、異なる標準を用いるワイヤレス通信システムなどである。以下において、ワイヤレス通信システムおよびモバイル通信ネットワークという用語は、同義的に使用することができる。本発明の概念は、前述のワイヤレス通信システムに限定されず、将来的なワイヤレス通信システム標準だけでなく他のものに適用可能であることに注意されたい。
【0015】
したがって、少なくとも1つのRRHは、たとえば、GSM、EDGE、UMTS、LTE、またはLTE−Aセルラ方式の無線送受信装置を含むことができる。もちろん、RRHは、また、将来のワイヤレス通信システムの少なくとも1つのセルにサービスを提供することができる。少なくとも1つのRRHは、ベースバンド処理ユニットと少なくとも1つのRRHとの間で複雑な値のデジタル・ベースバンド・データを交換するためにベースバンド処理ユニットに結合することができる。その目的のために、たとえば、共通公開無線インターフェース(CPRI:common public radio interface)として知られているインターフェースを使用することができる。
【0016】
ベースバンド信号処理ユニットまたはBBUは、ベースバンド(信号)処理クラスタの処理ノードとして理解することができる。個々のベースバンド処理ユニット(BBU)およびベースバンド処理クラスタの両方は、複数のそのようなベースバンド処理クラスタを含むクラウド・コンピューティング・ネットワークの一部でもよい。ベースバンド処理クラスタまたはBBUクラスタ内のBBUの中でデータを交換するために、BBUは、BBUクラスタの第2の信号処理ノードとしてサービスを提供する第2のBBUに第1のBBUを接続するインターフェースを含むことができる。前述のインターフェースは、信号処理ユニット(BBU)間でデジタル・ベースバンド・データを交換するように適応させることができる。BBUクラスタの個々のBBUの間のそのようなデータ交換は、よって、クラスタ内負荷バランシング/分散エンティティと見なすことができる、クラスタ内処理リソース管理エンティティによって管理することができる。インターフェースは、たとえば、LTEの3GPP規格の一部として拡張されたX2インターフェースなど、相互に接続されたBBUの間で制御情報を交換するためにさらにサービスを提供することができる。
【0017】
クラウド・コンピューティングまたはクラウド・コンピューティング・ネットワークは、サービスを伝達するシステムまたはネットワークの物理的な位置および構成についてエンド・ユーザが知ることを必要としない、計算、ソフトウェア、データ・アクセス、および保管サービスを提供できる技術として理解することができる。よって、クラウド・コンピューティングは、たとえば、インターネット・プロトコル(IP)に基づいて、ITサービスの補足、消費、および伝達モデルを表すものであり、典型的には、動的に拡張可能で、多くの場合、仮想化されたリソースの供給を含む。よって、BBUクラウド・コンピューティング・ネットワークには、BBUハードウェアまたはベースバンド処理ユニットのクラスタのプールがある。各BBUは、クラウド・コンピューティング・ネットワークのネットワーク・ノードと見なすことができ、ここで各ノードは、そのようなコンピュータ・リソースまたは信号処理リソースの1つまたは複数を収容する。実施形態によると、ベースバンド信号処理タスクは、特定のネットワーク・ノードに必ずしも関連しておらず、本発明の実施形態の分散型負荷管理および分散手法を使用して、同じBBUクラスタの任意の他のネットワーク・ノードまたはさらに他のリモートBBUクラスタのネットワーク・ノードに動的に割り当てることができる。よって、利用可能な分散型ハードウェア・リソースの効率的な使用を達成することができる。ワイヤレス通信システムの遅延要件が準拠されている場合、これはすべて実施することができる。
【0018】
各BBUは、複数の専用ユーザ・データ・プロセッサを含むことができ、ここで専用ユーザ・データ・プロセッサのそれぞれは、S1終端から、それぞれのBBUに結合された少なくとも1つのRRHによってサービスを提供される無線セルに関連する物理レイヤのユーザ部分までユーザ特有のデータをすべて処理するように動作可能である。セルの物理レイヤとしてのBBUの専用ユーザ・データ・プロセッサの間の信号処理タスクは、ユニット特有の信号処理リソース管理エンティティによって管理することができる。
【0019】
実施形態では、ユーザ特有のデータは、また、ベアラ特有のデータとして理解することができる。すなわち、ユーザ特有のデータまたはデータ・ストリームは、異なる無線ベアラを表すことができ、無線ベアラは、ユーザのデータ・サービスについてプロトコルの状況による。言い換えると、ユーザは、異なる無線ベアラを使用して提供される、複数のサービスを利用することができる。より詳細については、たとえば、無線インターフェース・プロトコル・アーキテクチャ3GPP TS25.301、V10.0.0など、3GPP規格を参照すること。UMTSまたはLTEでは、物理レイヤ(レイヤ1またはPHY)、メディア・アクセス制御レイヤ(レイヤ2またはMAC)、RLCレイヤ、およびRRCを含めることができる。これらのプロトコルはすべて3GPPによって標準化され、それぞれの規格が公開されており、本明細書の続きにおいて知られているものと考えられる。
【0020】
処理クラスタのBBUに関連するユーザのユーザ特有のデータ(パケットまたはストリーム)の信号処理は、クラスタの特定の信号処理負荷につながる。BBUクラスタは、クラスタ間インターフェースを介して少なくとも第2のリモートBBUクラスタのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティと負荷情報を交換し、したがって、交換された負荷情報に応じて、第1のクラスタおよびリモートの第2のクラスタの複数のBBUの間で処理タスクを分散するように動作可能なクラスタ間処理リソース管理エンティティを含む。クラウド・コンピューティング・ネットワークにおける異なるBBUクラスタのBBUの中での処理タスクの分散は、負荷バランシングまたは負荷分散基準により実施することができる。そのような負荷分散/分散基準は、たとえば、個々のBBUクラスタおよび/またはBBUの間で均等に共有された負荷の分散でもよい。他の基準は、BBUクラスタおよび/またはBBUの電力消費を最適化することでもよい。たとえば、他のアクティブなBBUが負荷を扱うことができる限り、一部のBBUまたはその部分はオフにすることができる。
【0021】
よって、実施形態は、ベースバンドまたはベアラの信号処理は、たとえば、空間的に分割されたBBUクラスタに配置できる処理ノードとして複数の異なる相互に接続されたBBUによって実行できるため、分散型またはクラウドのような方法で、ベースバンドまたはベアラの信号処理方式を提供することができる。これは、特定のBBUクラスタにトラフィックのホット・ゾーンがある場合、BBUクラスタおよび/またはBBUの分散ネットワークの利用を通じて、より多くの処理能力を利用可能にできるという利点を提供することができる。
【0022】
さらに、実施形態は、無線セルのサービスをサービスまたはユーザに特有のデータ・パケットへと多重分離することができ、次に、クラウドの異なる処理ノードにルーティングできるため、無線セルごとに拡張可能な処理能力を利用可能にできるという利点を提供することができる。言い換えると、ユーザまたはベアラに特有のデータの処理を所与の負荷バランシング/分散基準により、様々なネットワーク・ノードの間で分散することができる。それが意味するのは、RRHによって処理されたユーザまたはベアラに特有の信号は、必ずしも、物理的に接続されたBBUによって前処理または後処理しなくてもよいため、所与のRRHと、RRHが物理的に接続されたBBUとの間のユーザ処理に固定された関連はないということである。実施形態の分散された負荷バランシングおよび/または負荷分散アーキテクチャのために、BBUクラウド・ネットワークは、どの信号処理ノードが、負荷バランシング/分散基準に基づいて、所与のユーザのベースバンドまたはベアラ処理を実行するべきかを決定する。
【0023】
特定の負荷状況では、クラスタ内処理リソース管理エンティティは、クラスタ内のBBUの中で負荷バランシング/分散状況を改善するために、ユーザ特有のデータのベースバンドまたはベアラ処理をクラスタの第1のBBUから同じ信号処理クラスタの他の第2のBBUにシフトことを決定することができる。よって、信号処理クラスタの第2のBBUは、第1のBBUに結合されたRRHまたはセルに実際に関連するユーザからユーザ特有のデータを処理することができる。
【0024】
BBUクラスタのBBUの制限された利用可能な信号処理機能のみが、ユーザまたはベアラに特有のデータを処理するためにBBUクラスタのBBUの割り当てを許可しない場合、クラスタ間処理リソース管理エンティティは、第1のBBUクラスタから要求されたユーザまたはベアラに特有の信号処理タスクを引き継ぐために利用可能である十分な信号処理機能を持つリモートBBUクラスタを割り当てるために、1つまたは複数のリモートBBUクラスタと通信することができる。よって、次に、リモートの第2のクラスタのBBUは、第1のクラスタのBBUに実際に関連するユーザのユーザ特有のデータを処理することができる。BBUのこの階層構造、クラスタ内処理リソース管理エンティティ、およびクラスタ間処理リソース管理エンティティは、異なるクラスタ間のわずかな相互通信のみを用いて分散された負荷バランシング/分散を可能にする。
【0025】
一部の実施形態によると、BBUクラスタの複数のBBUは、たとえばUMTSのCDMAなど、第1の無線アクセス技術(RAT)により、ユーザ特有のデータを処理するように動作可能なBBUの第1のグループを含むことができる。さらに、BBUクラスタの複数のBBUは、また、たとえばLTEのOFDMAなど、第2のRATにより、ユーザ特有のデータを処理するように動作可能なBBUの第2のグループを含むことができる。BBUの異なるグループは、場合によっては、同じRATをサポートするそれぞれのセル物理層プロセッサとともに、チャネル要素モジュール(CEM)と呼ぶことができる、1つまたは複数の異なるプリント回路基板(PCB)に実装することができる。すなわち、第1のRATおよび信号処理ユニットの第1のグループをサポートする第1のセル物理レイヤ・プロセッサは、第1の共通のCEMに統合することができ、第2のRATおよび信号処理ユニットの第2のグループをサポートする第2のセル物理レイヤ・プロセッサは、同じBBUの第2の共通のCEMに統合することができる。よって、BBUクラスタは、また、マルチサイト・マルチ標準(MSS:MultiSite MultiStandard)BBUクラスタと呼ぶことができる。
【0026】
本発明の他の態様によると、クラウド・コンピューティング・ネットワークの異なるネットワーク・ノード・クラスタとして、実施形態による、少なくとも2つのベースバンド信号処理クラスタを含むクラウド・コンピューティング・ネットワークが提供される。それと同時に、非集中化された負荷バランシング/分散は、非集中化された負荷分散装置として可能になり、それぞれ第1および第2のクラスタのクラスタ内処理リソース管理エンティティおよびクラスタ間処理リソース管理エンティティは、第1のクラスタと第2のクラスタと間のインターフェースを介して負荷情報を交換し、クラウド・コンピューティング・ネットワークの異なるBBUクラスタの間で信号処理負荷を分散するために、交換された負荷情報に応じて、第1のクラスタおよび第2のクラスタの複数のBBUの間のベースバンド信号処理タスクを分散するように動作可能である。
【0027】
本発明のさらに他の態様によると、ワイヤレス通信ネットワークのベースバンド信号処理クラスタ(BBUクラスタ)のための方法が提供され、ベースバンド信号処理クラスタは、複数のベースバンド信号処理ユニット(BBU)を含み、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、ワイヤレス通信ネットワークの第1の無線セル・クラスタにサービスを提供する少なくとも1つのRRHに結合される。方法は、BBUクラスタの複数のBBUの利用可能な(信号)処理機能についての情報を提供するステップを含む。クラスタのBBUに結合されたリモート・ラジオ・ヘッドに関連するユーザに対するユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に応じて、方法は、BBUクラスタ内の利用可能な信号処理機能についての情報が、ユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に対して十分な利用可能な処理リソースを示す場合、BBUクラスタの複数のBBUの中で処理リソースを割り当てるステップを含む。しかしながら、BBUクラスタ内の利用可能な信号処理機能が、ユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に対して十分に利用可能な信号処理リソースがないことを示している場合、方法は、クラスタのクラスタ間処理リソース管理エンティティを介して、異なる第2の無線セル・クラスタに関連する少なくとも1つのリモートBBUクラスタにリモート処理リソース要求を送信するステップを含む。
【0028】
一部の実施形態は、方法を実行するために装置または信号処理クラスタ内に設置された1つまたは複数のプログラム可能なデジタル制御回路を含む。そのようなプログラム可能なデジタル制御回路、たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはハードウェア・アクセラレータを備えた汎用プロセッサは、それに応じてプログラムする必要がある。よって、さらに他の実施形態では、また、コンピュータ・プログラムがプログラム可能なハードウェア・デバイスで実行されたときに、方法の実施形態を実行するためのプログラム・コードを持つコンピュータ・プログラムを提供する。
【0029】
実施形態の利点の1つは、分散された負荷バランシング/分散のために、多くの基地局サイトおよび/または基地局処理容量を減らすことができることであり、このために、次にOPEX/CAPEXの低減につながる。さらに、半静的なマルチRAT無線アクセス・ネットワークをCEMソフトウェア交換によって提供することができる。これにより、扱いにくいハードウェアの変更なく、無線標準の展開を追求することが可能になる。
【0030】
装置および/または方法の一部の実施形態について、例示のみを目的として、添付の図面に関して以下に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態によるワイヤレス通信ネットワークの複数の相互に接続されたベースバンド処理クラスタを示す図である。
図2a】一実施形態によるベースバンド処理ユニット特有の処理リソース管理エンティティを示す図である。
図2b】一実施形態によるクラスタ内処理リソース管理エンティティを示す図である。
図2c】一実施形態によるクラスタ間信号処理リソース管理エンティティを示す図である。
図3】一実施形態による方法を図式的に示す流れ図である。
図4】時間の経過に伴うクラスタ内の利用可能な信号処理リソースの変化を示す図である。
図5】第1の実施形態のメッセージ・シーケンス・チャート(MSC)を示す図である。
図6】第2の実施形態のMSCを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、様々な例示的実施形態について、一部の例示的実施形態を示した添付図面に関してより完全に記述する。図において、線の太さ、レイヤ、および/または領域は、明瞭さのために誇張している場合がある。
【0033】
したがって、例示的実施形態は、様々な変更および代替形式が可能であり、その実施形態は、一例として図面に示され、本明細書に詳細に記述されるだろう。しかし、例示的実施形態を開示された特定の形式に制限する意図はなく、それとは反対に、例示的実施形態は、本発明の範囲内にある変更、等価物、および代替案をすべて包含することを理解するべきである。同様の番号は、図の記述の全体にわたって類似または同様の要素を表している。
【0034】
要素が他の要素に「接続される(connected)」または「結合される(coupled)」と言及された場合、他の要素に直接的に接続または結合することが可能であり、または介在する要素が存在する場合があることを理解されるだろう。これとは対照的に、要素が他の要素に「直接的に接続される(directly connected)」または「直接的に結合される(directly coupled)」と言及された場合、介在する要素は存在しない。要素間の関係を記述するために使用される他の言葉は、同様に解釈されるべきである(たとえば、「の間(between)」と「直接的に間に(directly between)」、「隣接する(adjacent)」と「直接的に隣接する(directly adjacent)」など)。
【0035】
本明細書に使用する用語は、特定の実施形態についてのみ記述することを目的とするものであり、例示的実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書に使用する場合に、単数形の「a(1つの)」「an(1つの)」、および「the(その)」は、そうでないことが文脈に明白に示されていない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書に使用する場合、「comprise(含む)」、「comprising(含んでいる)」、および/または「including(含む)」という用語は、記述された機能、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を示すものであるが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在や追加を排除するものではないことをさらに理解されるだろう。
【0036】
特に定義しない限り、本明細書に使用するすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的実施形態が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持っている。用語、たとえば一般に使用される辞書に規定されているものは、関連する技術分野の文脈における意味に一致する意味を持つものと解釈するべきであり、特に本明細書に規定されていない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されるものではないことをさらに理解されるだろう。
【0037】
図1は、複数の相互に接続されたベースバンド信号処理クラスタ(MSS−BBUクラスタ)100−1、100−2・・・100−Nを含むクラウド・ネットワークを概略的に示しており、ここでNは、2以上の正の整数を示している。複数のベースバンド処理クラスタ100−1から100−Nは、UMTSネットワーク、LTE−もしくはLTE−Aネットワーク、または他の現在もしくは将来のワイヤレス通信ネットワークなど、ワイヤレス通信ネットワークのアップリンクおよび/またはダウンリンクのデータを処理するためにサービスを提供する。信号処理クラスタ100−1から100−Nのそれぞれは、複数のベースバンド信号処理ユニット(BBU)110を含み、BBU110のそれぞれは、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つのRRH(図1に図示せず)に結合することができる。さらに、BBU110のそれぞれは、関連するBBU110の信号処理リソース割り当てを管理するように動作可能なユニット特有の処理リソース管理エンティティ120を含むことも、またはそれに結合することもできる。ユニット特有の処理リソース管理エンティティ120は、また、各BBU110のローカル・リソース・マネージャ(LRM)と呼ぶことができる。さらに、MSS−BBUクラスタ100−1から100−Nのそれぞれは、BBU110のそれぞれおよび/またはそのユニット特有の処理リソース管理エンティティ120のそれぞれに結合できるクラスタ内処理リソース管理エンティティ130を含むことができる。クラスタ内(信号)処理リソース管理エンティティ130は、また、クラスタ内リソース・マネージャ(イントラRM)と呼ぶこともできる。イントラRM130は、MSS−BBUクラスタ100−1、100−2・・・100−N内の複数のBBU110の中でユーザまたはベアラに特有のデータ処理のために処理リソース割り当てを管理するように動作可能である。MSS−BBUクラスタ100−1から100−Nのそれぞれは、また、イントラRM130に結合することができ、その関連するMSS−BBUクラスタで利用可能な(信号)処理機能または負荷を場合によっては示す情報を交換するように動作可能であるクラスタ間処理リソース管理エンティティ140と、リモート・ベースバンド信号処理のリソース割り当てを管理するためのワイヤレス通信ネットワークのリモートMSS−BBUクラスタの少なくとも1つの他のリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティ140とを含む。クラスタ間処理リソース管理エンティティ140は、また、MSS−BBU間リソース・マネージャ(インターRM)と呼ぶことができる。異なるMSS−BBUクラスタ100−1から100−NのインターRM140は、クラスタ間信号インターフェース150を介して互いに通信することができる。クラスタ間信号インターフェース150は、たとえば、イーサネットの拡張されたX2(eX2)インターフェースでもよい。イントラRM130およびインターRM140の両方は、それぞれのMSS−BBUクラスタ100−1から100−Nで利用可能である、いわゆる非集中化されたクラウド・コントローラ(DCC)160を形成する。
【0038】
その後、MSS−BBUクラスタ100−1は、説明のために、関連する無線セルのクラスタのホームMSS−BBUクラスタと見なすことができる。ユーザのホームMSS−BBUクラスタ100−1は、ユーザごとの論理機能と見なすことができ、ユーザが位置する無線セルにサービスを提供するRRHに接続されたその制御エンド・セル機能を備えたホームBBU110を含む。リモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nは、ユーザごとの論理機能と見なされ、クラウドへのリモート・ユーザ機能を持つBBU110を含む。
【0039】
各信号処理ユニットまたはBBU110は、また、無線ベアラのセットアップ手順の間にホームMSS−BBUクラスタ100−1でアクティブな役割を演じる無線ベアラ制御機能(RBC)170を含むか、またはそれに結合される。RBC170は、また、イントラRM130に対して直接的なインターフェースを持つことができる。RBC170が、各MSS−BBUクラスタ100−1から100−Nの各BBU110に存在できる場合でも、図1は、リモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nに対するRBC170を示していない。よって、MSS−BBUクラスタ100の各BBU110は、前述のBBUに結合された少なくとも1つのRRH(または無線セル)に関連するユーザ専用であるユーザ特有のデータ処理を初期化するように動作可能な無線ベアラ制御エンティティを含む。
【0040】
各MSS−BBUクラスタ100−1から100−Nは、多数のBBU110を含むことができる。各BBU110は、少なくとも1つのRRHを扱い、たとえば、MACアドレスまたはIPアドレスなど個々のネットワーク識別子を持つことができる。BBU110に関連するRRHは、たとえば、CPRIなど光インターフェースを介してそれぞれの関連するBBU110と通信することができる。1つのBBUクラスタ100−1から100−Nの様々なBBU110は、内部的な高速クラスタ内バス(図1に明示的に図示せず)を介して互いに相互連結することができる。クラスタ100の個々のBBU110への信号処理リソース割り当ては、各BBU110のLRM120へのインターフェースを持つイントラRM130によって管理され、LRM120は、各BBU110内で処理リソースを管理し、たとえば、ハードウェア・アクセラレータ・モジュール、DSP、FPGA、など、占有されている、または占有されていない処理リソースを報告する。
【0041】
各MSS−BBUクラスタ100−1から100−NのイントラRM130に結合されたネットワーク・ルータ・エンティティ180がある。そのため、ルータ・エンティティ180は、たとえば、イーサネット・プロトコルを介してMSS−BBU内または間のレベルで、ユーザ特有の信号処理のために割り当てられたBBU110との間でS1データをルーティングするためにタスクを持つ。さらに、ルータ・エンティティ180は、イーサネットを介してMSS−BBU内または間のレベルで、セルの物理レイヤ処理機能との間でユーザ特有のデータをルーティングすることができる。MSS−BBUクラスタ100の各BBU110は、イーサネットにそれ自身のIPアドレスおよびMACアドレスを持つと想定されることに注意されたい。
【0042】
信号処理クラスタ100のインターRM140は、クラスタ100−1から100−Nによって含まれるMSS−BBU間の処理リソース・プールの信号処理リソース・クラスタを選択する。その目的のために、異なるインターRM140は、よく知られているX2インターフェースの高速な変形形態を含むイーサネットの拡張されたX2(eX2)インターフェースでもよい、クラスタ間インターフェース150を介して互いに通信することができる。DCC160のイントラRM130とインターRM140との間の通信は、たとえば、共通の共有メモリを介して行うことができる。MSS−BBUクラスタ100−1・・・100−NのDCCエンティティ160は、実施形態によるそれ自身のイーサネットMACアドレスを持てることに注意されたい。
【0043】
図1に関して以前の項でクラウド・システムの概要を提示した後、ホームまたはリモートのMSS−BBUクラスタ100−1・・・100−Nの個々の階層的エンティティについて、以下により詳細に記述する。
【0044】
LRM120、イントラRM130、およびインターRM140はそれぞれ、1つまたは複数エンティティを含む:
・情報収集、監視、および報告を担当する、情報管理エンティティ(IE)、
・決定アルゴリズムが実装され、リソース・マネージャの決定を行うため、および他のユニットと通信するために必要なエンティティをすべて所有する、意思決定エンティティ(DE)、および
・意思決定エンティティの決定を実装する、実行エンティティ(EE)。
【0045】
図2aを見ると、ユニット特有の処理リソース管理エンティティ(LRM)120を示しており、LRM120は、情報管理エンティティ(IE)122および実行エンティティ(EE)124を含むことができる。IE122は、関連するBBU110の処理リソース・ステータスを監視し、監視された処理リソースおよび/または負荷状態を示す情報をイントラRM130に提供すように動作可能でもよい。言い換えると、IE122は、関連するBBU110の使用済みおよび/または未使用の信号処理機能を監視/報告するように動作可能、または適応可能でもよい。EE124は、イントラRM130から受信または転送された(ホームまたはリモート)信号処理要求に応じて、その関連するBBU110の信号処理リソースを割り当て、または指定するように動作可能、または構成可能でもよい。そのため、信号処理要求は、同じ(ホーム)クラスタのBBU110に関連するユーザまたはリモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−NのBBUに関連するユーザのユーザまたはベアラに特有の信号処理に関係することができる(リモート信号処理要求)。言い換えると、EE124は、関連するイントラRM130の命令の実行に責任を負うものと見なすことができる。
【0046】
ここで図2bを見ると、イントラRM130は、MSS−BBUクラスタ100−1・・・100−Nの主な処理リソース・マネージャと見なすことができる。それは、複数のベースバンド信号処理ユニットまたはBBU110を含むMSS−BBUクラスタのベースバンド信号処理リソース全体を管理することができる。イントラRM130は、クラスタの複数のBBU110のLRM120から提供される監視および報告された信号処理リソース・ステータス情報に基づいて、その関連するMSS−BBUクラスタの利用可能なベースバンド処理リソースを決定するように動作可能な可能性がある情報管理エンティティ(IE)132を含むことができる。すなわち、イントラRM130のIE132は、各LRM120から未加工のリソース情報を取得し、量子化されたリソース状態を処理することができる。さらに、イントラRM130は、LRM120によって提供されるユニット特有のリソースまたは負荷状態情報に基づいて、内部的に(=ホーム)要求された信号処理タスクまたは外部的に(=リモート)要求された信号処理タスクをBBU110の1つまたは複数に指定するように動作可能な決定エンティティ(DE)134を含むことができる。言い換えると、イントラRM130のDE134はリソース要求の指定を担当することができ、リソース要求またはそれぞれの要求された処理リソース容量をユニット特有の負荷状態情報と比較することによって、適切なBBU110を選択することができる。リソース割り当て要求が関連するMSS−BBUクラスタ100−1の容量を超える場合、イントラRM130のDE134は、リモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nの少なくとも1つで処理リソースのリモート割り当てを開始するためにインターRM140に要求を転送することを決定することができる。言い換えると、自身(ホーム)のクラスタ100−1の利用可能な処理リソースが処理要求に十分でない場合、インターRM130は、少なくとも1つのリモート処理クラスタ100−2から100−N内のリモート・ベースバンド信号処理リソース割り当てを初期化するためにクラスタのインターRM140にBBU110から信号処理要求を転送するように動作可能でもよい。
【0047】
ここで図2cを見ると、インターRM140の略ブロック図が示されている。インターRM140は、MSS−BBUクラスタ・プールの異なる処理クラスタ100−1・・・100−Nの中の処理リソースの割り当てを担当すると見なすことができる。その目的のために、クラスタ間処理リソース管理エンティティまたはインターRM140は、その関連するMSS−BBUクラスタのリソース状態として、利用可能な処理リソースについての情報にアクセスするように動作可能な情報管理エンティティ(IE)142を含むことができる。そのため、利用可能な処理リソースについての情報は、たとえば、イントラRM130とインターRM140との間で共有されるメモリ・デバイス(=共有メモリ)を介して、イントラRM130によって提供することができる。さらに、ホームMSS−BBUクラスタ100−1の利用可能な処理リソースが前述の信号処理要求に十分でない場合、インターRM140は、利用可能な信号処理リソースについての情報に基づいて、自身(ホーム)の関連するMSS−BBUクラスタ100−1からの信号処理要求により、利用可能な十分な信号処理リソースを持つリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nを決定するように動作可能な決定エンティティ(DE)144を含むことができる。クラスタ間リソース割り当てがイントラRM130によってトリガーされると、インターRM140のDE144は、他の相互に接続されたMSS−BBUクラスタに相互リソース割り当て要求をリモートで所有するために適切な信号処理リソースを見つける必要がある。それは、したがって、2つのクラスタ間の信号処理プロセスを転送するためにリソース報告からターゲットMSS−BBUクラスタの決定まですべての必要な処理リソース共有メカニズムに参加する。インターRM140のIE142は、リソース状態としてイントラRM130とインターRM140との間の共有メモリから未加工のリソース情報を取得することができる。
【0048】
本発明の実施形態は、また、ワイヤレス通信ネットワークのベースバンド処理クラスタ100−1・・・100−Nのための方法を含み、処理クラスタは、複数のベースバンド処理ユニットまたはBBU110を含み、BBU110のそれぞれは、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つのリモート・ラジオ・ヘッドに結合される。図3は、そのような方法300の一実施形態の図式的な流れ図を示している。
【0049】
方法300は、MSS−BBUクラスタの複数のBBU110の中、またはその利用可能な信号処理機能についての情報を提供するステップ310を含む。既に説明したように、MSS−BBUクラスタの利用可能な信号処理機能についての情報の準備は、MSS−BBUクラスタの各BBU110の個々の信号処理リソースを監視するサブステップと、BBU110またはそのLRM120のそれぞれに結合されたイントラRM130に監視された個々の信号処理リソースを報告するサブステップとを含むことができる。利用可能な信号処理機能についての情報をさらに提供するステップ310は、報告された個々の信号処理リソースに基づいている。方法300は、クラスタ100−1のBBU110に結合されたセルまたはRRHに関連するユーザの信号処理要求を(たとえばユーザ特有の無線ベアラ要求に応じて)受信するステップ320をさらに含むことができる。方法300の他のステップ330では、MSS−BBUクラスタ100−1の利用可能な信号処理機能についての情報が、受信された信号処理要求に対して十分な利用可能な信号処理リソースを示すかどうかをチェックすることができる。該当する場合、すなわち、クラスタ100−1の利用可能な信号処理機能についての情報が、十分な利用可能な信号処理リソースを示している場合、クラスタ100−1の複数のBBU110の中の信号処理リソースは、要求を処理するために割り当てることができる(ステップ340)。しかし、クラスタ100−1内の利用可能な信号処理機能が、ベースバンド処理または無線ベアラ要求に対して十分に利用可能な信号処理リソースがないことを示している場合、方法300は、少なくとも1つのリモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nにリモート処理リソース要求を送信するステップ350を含む。言い換えると、ステップ340は、ホーム・クラスタ・ベースバンド処理につながり、要求によるベースバンド処理は、ホーム・クラスタ100−1の1つまたは複数のBBU110により実行され、ステップ350は、リモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−NのリモートBBUのリソースを使用する要求の(リモート)処理につながる。ここで、図3の両方の分岐について、図4から図6を参照してより詳細に説明する。
【0050】
いずれの場合にも、方法300の情報管理は、2つの部分に分割することができる。ステップ310は、イントラRM130およびインターRM140の両方に対するリソース・ビュー(resource view)を処理するための準備段階を示している。ステップ340は、続くクラスタ内処理リソース割り当てを示し、ステップ350は、リモートのクラスタ間処理リソース割り当てを示している。処理プール管理は、S1終端からPHYユーザ部分(ユーザ関連のベースバンド処理)またはその一部までのユーザ機能に対処する。セルおよび制御の機能(セルの物理プロセッサ)は、ホームBBU110に位置することができ、対象のセルを持つRRHが接続される。以下において、一般性を失うことなく、肯定応答(ACK:ACKnowledge)を用いる誤差のないケースのみについて記述する。
【0051】
図5の代表的なメッセージ・シーケンス・チャート(MSC)から見ることができるように、分散型RANのリアル・タイム制約において階層制御プレーンにおける高パフォーマンス・リソース情報交換のためのシナリオを示しており、準備段階の間に、ホームMSS−BBUクラスタ100−1の各BBU110に関連するLRM120は、BBU110のリソース・ステータスを継続的に監視し、たとえば、重要な変更の場合には、直接的に関連する(ホーム)イントラRM130にそれを報告することができる。参照番号502を参照すること。ステップ502で個々のBBU110の監視されたリソース・ステータスを使って、イントラRM130は、すべてのLRM120のリソース・ステータスを取得し、たとえば、最大の利用可能な処理リソースを持つBBU110からのリソース・ステータスを含むリソース状態を処理する(504を参照)。イントラRM130は、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のBBU110の中で最大容量を検出し、共有メモリへの過去の経験(たとえば最大値の変動)に基づいて、最大値のエンベロープを構築することができる。この点において、図4は、処理クラスタ100の個々のBBU110の使用された処理リソースの変形形態402を描写している。第1の時間間隔Tでは、クラスタ100のBBUの最大処理負荷404が検出される。この最大値404に基づいて、イントラRM130は、クラスタの他のBBU110の過去の最大値の変動および/または追加的な処理能力に基づいてマージン(margin)としてエンベロープ406を導き出すことができる。続く時間間隔Tに対して同じことを実行することができる。エンベロープ406は、BBUの空またはまだ利用可能な処理リソースを決定するために、BBUの最大の利用可能な処理リソース408に関して設定することができる。
【0052】
共有メモリにホームMSS−BBUクラスタ100−1の処理リソース状態を持っているため、他のリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−NのインターRM140から到着する信号処理リソース要求または需要の場合には、各MSS−BBU100−1から100−NのインターRM140は、共有メモリから前述のリソース状態を取得することができる。ホーム・インターRM140は、よって、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのそのピア・インターRM140と、要求に応じて、クラスタ特有のリソース状態情報を交換することができる。
【0053】
ホームMSS−BBUクラスタ100−1のBBU110内において、無線ベアラ要求が(サービスの品質パラメータから得た容量記述とともに)、BBU110に関連する発信元のRBC170からLRM120に到着した場合(ステップ506)、イントラRM130は、たとえば、フィリング・アルゴリズム(filling algorithm)に基づいて、ホームMSS−BBUクラスタ100−1内のこの要求のBBU割り当てを決定することができる(ステップ508、510を参照)。ステップ512でLRM120による肯定応答(ACK)の後に、イントラRM130は、割り当てられたBBU110のIPアドレスをホームMSS−BBUクラスタ100−1のルータ・エンティティ180に送信することができる(ステップ514を参照)。ルータ・エンティティ180の肯定応答516の後に、イントラRM130は、発信元のRBC170に肯定応答を送信することができ、また、要求された無線ベアラを設定することができる。よって、イントラRM130は、ルータ180のMSS−BBUクラスタ100−1に関連する無線セルのユーザ専用であるユーザ特有の信号処理を実行するために十分な利用可能な信号処理能力を持つ割り当てられた、または指定されたBBU110のネットワーク・アドレス(たとえば、IPアドレスを含む)を提供するように動作可能でもよい。このようにして、データは、ユーザのセルが関連する発信元のBBU110からホーム・クラスタMSS−BBU100−1の他のベースバンド処理ユニット110にルーティングすることができる。
【0054】
ここで図6を参照して、分散型RANのリアル・タイム制約において階層制御プレーンにおける高パフォーマンス・リソース情報交換のための他のシナリオについて記述する。図6の場合には、ホームMSS−BBUクラスタ100−1内には、他の処理リソースは利用可能ではない。ここでも、情報管理は、2つの部分に分割することができる。すなわち、各MSS−BBUクラスタ内のイントラRM130およびインターRM140に対するリソース・ビューを処理するための準備段階310、ならびにステップ350のクラスタ間処理リソース割り当てである。リモート処理プール管理は、ここで、S1終端からPHYユーザ部分(ユーザ関連のベースバンド処理)またはその一部までのユーザ機能に対処する。セルおよび制御の機能は、ホームMSS−BBUクラスタ100−1に位置し、対象の無線セルに結合されたRRHが接続される。説明のために、誤差なしのケースだけを記述する。
【0055】
準備段階310の間に、図5、およびそこに描写したステップ502、504に関して記述したのと同じ手順が実行されている。ホームMSS−BBUクラスタ100−1の複数のBBU110の中で利用可能な信号処理能力についての情報を提供した後に、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のBBU110に結合されたセルに関連するユーザの無線ベアラ要求は、サービスの品質パラメータから得た容量記述とともに、ステップ506で開始することができる。よって、ホームBBU110内で、容量記述を持つ無線ベアラ要求が、BBUのRBC170からBBUのLRM120に到着する場合、およびホームMSS−BBUクラスタ100−1の利用可能な処理リソースが、対応する処理リソース要求を満たすのに十分でない場合、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のイントラRM130は、容量記述を満たすリモート・リソース割り当てについて、ステップ608で、その関連するインターRM140にリソース要求または需要を転送することができる。すなわち、ホームMSS−BBUクラスタ100−1の利用可能な処理リソースが、関連するホームBBU110からの受信された信号処理要求に十分でない場合、イントラRM130は、少なくとも1つのリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100N内において、リモート信号処理リソース割り当てを初期化するために、関連するホームBBU110からインターRM140に、ベースバンド処理要求を転送するように動作可能な場合がある。
【0056】
ステップ608の転送された信号処理要求に応じて、ホーム・インターRM140は、ステップ610で、隣接する、つまりリモートのMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nのリストを取得またはアクセスすることができる。次に、ホームMSS−BBU100−1のインターRM140は、ステップ612で遅延初期化手順の結果として、その隣接リストのMSS−BBUクラスタへの実際の遅延測定をトリガーすることができる。すなわち、インターRM140は、その関連するホームMSS−BBUクラスタ100−1と、少なくとも1つのリモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nとの間の信号伝播遅延を決定するために、時間遅延測定を開始するように動作可能でもよい。ステップ612の遅延測定に応じて、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140は、1つまたは複数のリモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nから、ステップ614で実際の遅延応答を受信することができる。潜在的なリモートMSS−BBUクラスタ100−2から100−Nによる応答の後に、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140は、必要な遅延要件を満たすeX2インターフェース150で許可された最大時間遅延との新しい比較の後に、ステップ616でその隣接リストを更新することができる。言い換えると、クラスタ間処理リソース管理エンティティ140は、ステップ612の時間遅延測定に応じて、ステップ616で、適切なリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのリストを更新するように動作可能な場合があり、最大の許可された時間遅延を下回るリモート信号処理の信号伝播遅延につながる。
【0057】
ステップ616で隣接リストを更新した後、ホーム・インターRM140は、更新された隣接リストにより、その関連するイントラRM130から潜在的なリモートMSS−BBUクラスタのすべてのリモート・インターRMに、容量記述を含む「リソース需要」メッセージを転送することができる(参照番号618を参照)。よって、インターRM140は、その関連する(ホーム)MSS−BBUクラスタ100−1から、更新された隣接リストの潜在的なリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのすべてのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティ140に、信号処理要求を転送するように動作可能でもよい。
【0058】
ステップ618のそのような「リソース需要」メッセージを受信する各リモート・インターRM140は、ここで、そのそれぞれの関連するイントラRM130を用いて共有メモリからリソース状態を読み込むことができる。ステップ620を参照すること。たとえば、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nの最大かつ自由な信号処理容量を持つリモートBBU110に関係する、読み込まれたリソース状態が、ホーム・インターRM140によって要求された処理容量を満たす場合、潜在的なリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−N(つまりリモート・インターRM140)は、ステップ622で、場合によっては、リソース・ステータスを含む肯定応答(ACK)で応答することができる。しかし、ステップ620で取得されるリソース状態が要件を満たさない場合、リモート・インターRM140は、代わりにNACKで応答することができる。ステップ622の肯定応答を受信した後、ホーム・インターRM140は、ステップ624でリモート処理割り当てに関する決定を行うことができる。この決定に対して、2つのオプションがあってもよい。つまり、ホーム・インターRM140は、ステップ622で最初に肯定メッセージで応答したリモートMSS−BBUクラスタに決定するか、またはホーム・インターRM140は、実際の隣接リストにより、それぞれのリソース状態を含む潜在的なリモートMSS−BBUクラスタのすべてのリモート・インターRMの応答を待つことができる。次に、それは、ステップ622で肯定メッセージで応答した潜在的なリモート処理クラスタの中から、そのリソース状態で示された最大の処理マージンを持つ1つのリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nを選択することができる。これが意味するのは、一実施形態によると、ホーム処理クラスタのインターRM140は、ホーム・クラスタに関連するユーザの無線ベアラ要求506に関係するリモート信号処理について、最大の利用可能なリモート信号処理能力を示す、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nを選択するように動作可能な場合がある。他の実施形態によると、ホーム処理クラスタ100−1のインターRM140は、また、無線ベアラ要求506に関係するリモート信号処理について、ホーム・インターRM140から関係するリモート信号処理リソース要求618を肯定する最初のリモートMSS−BBUクラスタである、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nを選択するように動作可能でもよい。
【0059】
ステップ624の決定の後に、ホーム処理クラスタ100−1のインターRM140は、「MSS−BBUのリモート割り当て」メッセージ626を送信することができる。これは、たとえば、オリジナル無線ベアラ要求506が関係するユーザ専用のホームBBU110のイーサネットMACアドレスを含むことができる。さらに、「MSS−BBUのリモート割り当て」メッセージ626は、前述のユーザのユーザIDを含むことができる。すなわち、ホーム処理クラスタ100−1のインターRM140は、前述のユーザに関連する無線ベアラ・データのリモート信号処理について、ホーム・クラスタに属するBBU110のネットワーク・アドレス(イーサネットMACアドレスおよび/またはIPアドレス)および前述のBBU110に対応する無線セルに関連するユーザの識別子を選択されたリモート処理クラスタ100−2・・・100−Nに転送するように動作可能でもよい。
【0060】
リモートMSS−BBUクラスタのインターRM140は、ここで、ステップ628でその関連する(リモート)イントラRM130に「リソース要求」メッセージを送信することができ、ここで「リソース要求」メッセージは、「リソース需要」メッセージ618、ホームBBUのイーサネットMACアドレス、および対応するユーザIDとともに既に受信されている可能性がある容量記述を含むことができる。リモート・インターRM140の観点から見て、リモート信号処理クラスタ(つまりホーム・クラスタ100−1)のリモート信号処理ユニット(つまりホームBBU)に関連するユーザに関係するユーザ特有の信号処理を実行するために、十分な利用可能な信号処理能力を持つMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nの少なくとも1つのBBU110の割り当てを初期化するために、リモート(つまりホーム)クラスタから受信された信号処理リソース要求をその関連するイントラRM130に転送するように動作可能でもよく、ここで信号処理リソース要求は、前述のリモートBBU110(つまりホームBBU)のネットワーク・アドレスおよび前述のユーザの識別子を含む。
【0061】
選択されたリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのリモート・イントラRM130は、ここで、そのフィリング・アルゴリズムにより、ジョブを処理するためにリモートBBU110を決定できるため、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nの複数のリモート処理ユニット110の間で利用可能な信号処理能力についての情報を考慮することができる。ステップ630を参照すること。リモート・イントラRM130の観点から見ると、それは、リモート処理クラスタ(つまりホーム処理クラスタ)100−1のリモートBBU110(つまりホームBBU)に関連するユーザのユーザ特有の信号処理を実行するために十分な利用可能な信号処理能力を持つ1つまたは複数の関連するBBU110(つまり、リモートBBU)の割り当てを初期化するために、その関連するイントラRM140から信号処理要求を受信するように動作可能でもよい。
【0062】
(リモート)BBU110に関する決定の後に、(リモート)イントラRM130は、選択された(リモート)BBU110のLRM120に「BBU割り当て」メッセージを送信することができる。参照番号632を参照すること。次に、ステップ634でこのLRM120からACKを受信した後、(リモート)イントラRM130は、S1/eX2インターフェースで、「ホーム/リモートBBUへのルーティング情報」メッセージ636をリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのルータ180に送信することができる。このメッセージは、対応する(発信側)ユーザIDだけでなく、ホーム(つまり発信側)およびリモートBBUのイーサネットMACアドレスを含むことができる。よって、リモート・イントラRM130の観点から見ると、リモートBBU(つまり発信元のホームBBU)に関連するユーザのユーザ特有の信号処理を実行するために十分な利用可能な処理能力を持つ割り当てられた、または指定されたベースバンド処理ユニット110のネットワーク・アドレス、前述のリモートBBUのネットワーク・アドレス、および前述の(発信側)ユーザの識別子をその関連するMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−Nのネットワーク・ルータおよび/またはインターRM140に提供するように動作可能でもよい。ステップ638のルータ180のACKの後に、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−NのイントラRM130は、ステップ640でその関連する(リモート)インターRM140にACKメッセージを送信することができる。このACKメッセージ640は、リモート処理クラスタの(リモート)処理ユニット110のIPアドレスおよびイーサネットMACアドレスを含むことができる。
【0063】
次に、リモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−NのインターRM140は、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140に、選択されたリモートMSS−BBUクラスタ100−2・・・100−NのリモートBBUへの完全なルーティング情報を含む、このACKメッセージ640を転送することができる。よって、ここでも、リモート・インターRM140は、ホームMSS−BBUクラスタ100−1にリモートBBUのネットワーク・アドレスを転送するように動作可能でもよい。リモート・インターRM140の観点から見ると、関連するBBUのネットワーク・アドレスをリモートMSS−BBUクラスタ100−1に転送するように動作可能でもよい。
【0064】
ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140によるこのACKメッセージ642の受信により、リモート割り当て手順は終了と見なすことができる。ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140は、ここで、その関連する(ホーム)イントラRM130に、リモートBBUへの完全なルーティング情報を含む、この受信されたACKメッセージを転送することができる。ステップ644を参照すること。次に、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のイントラRM130は、S1/eX2−インターフェースで、その関連するルータ・エンティティ180に「ホーム/リモートBBUへのルーティング情報」メッセージを送信することができる。これは、次の情報要素を含む:リモートBBUのIPアドレス、リモートBBUのイーサネットMACアドレス、ホームBBUのイーサネットMACアドレス、およびユーザID。よって、イントラRM130は、十分な利用可能な信号処理能力を持つ割り当てられたリモートBBUのネットワーク・アドレス、前述のリモートBBUのネットワーク・アドレス、およびMSS−BBUクラスタ100−1のネットワーク・ルータ180および/またはインターRM140へのユーザの識別子を提供するように動作可能でもよい。ルータ180からACKメッセージを受信した後(参照番号648を参照すること)、ホーム処理クラスタ100−1のイントラRM130は、ホームBBU110に含まれる発信元のRBCモジュール170に無線ベアラ要求ACKメッセージを送信することができ、ここでセルおよび制御の機能が割り当てられる。これにより、図6に描写した無線ベアラ要求手順を終了することができる。
【0065】
最小の1つのアクティブなリモートで割り当てられた無線ベアラ処理を用いる各リモートMSS−BBUクラスタへの実際の遅延測定は、時々繰り返すことができることに注意されたい。測定期間は、初期化の間、または1つのMSS−BBUセル・クラスタ内のユーザのハンドオーバーの後に測定された、拡張されたX2インターフェース150での許可された最大遅延への遅延変動および利用可能なマージンに応じることができる。同じMSS−BBUセル・クラスタ内のセルへのユーザのハンドオーバーの場合には、ユーザが、MSS−BBUクラスタにより近い、またはより離れたRRHに属するセルに移動する場合、拡張されたX2インターフェースで許可された遅延は変更する場合がある。この場合、新しい潜在的な隣接リストは、ホームMSS−BBUクラスタ100−1のインターRM140によって処理および適用することができる。
【0066】
要約すると、本発明の実施形態は、プールでリモート・ラジオ・ヘッドの異なるクラスタのベースバンド処理を管理する複数の協調するマルチサイト・マルチ標準ベースバンド・ユニット(MSS−BBU)を含むクラウドRANに環境に関し、各RRHクラスタは、MSS−BBUクラスタに接続される。各MSS−BBUクラスタは、多数のベースバンド処理ユニット(BBU)を含む。MSS−BBUクラスタは、低トラフィック領域から高トラフィック領域にベースバンド処理を移すためにリソース・プーリングおよび能力において高度な柔軟性を達成するためにさらにともに接続される。2レベルの抽象化におけるリソース、すなわちイントラMSS−BBUクラスタおよびインターMSS−BBUクラスタのリソース・プーリングを含むモバイル・クラウドの全体的なリソース管理に対処する新しいアーキテクチャが提案される。そのようなプーリング概念の目的の1つは、セル・クラスタ内において時間を通じて不均一な低プロファイルから生じる、統計的多重化による利得(CAPEX低減)から利益を得ることである。さらに、従来の展開(OPEX低減)と比較して、BBUサイトが大幅に減る。これはすべて、たとえばLTE/UMTS(HSPA)など、複数標準の状況に適用することができる。
【0067】
実施形態は、階層的リソース管理システムに基づくモバイル・クラウドのためのコントロール・プレーン・アーキテクチャに関する。モバイル・クラウドは、2つの抽象化レベルに多数のリソースを含む。したがって、ネットワーク全体のリソースの管理は、大きな課題と見なすことができる。実施形態では、処理リソース管理は、クラスタ内の部分およびクラスタ間の部分に分割される。これらの部分は、異なるリソース管理ユニットによって別々に管理される。さらに、実施形態は、クラスタ内およびクラスタ間のレベルで含まれるすべてのリソース管理ユニットの通信シナリオを処理する。
【0068】
記述および図面は、単に本発明の原理を示すものである。本明細書に明示的に記述して示していないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲に含まれる様々な配置を当業者であれば考案できることを理解されるだろう。さらに、本明細書に詳述したすべての例は、原則として、読者が本発明の原理、およびその技術を推進する発明者(ら)によって提供された概念を理解するのを支援するために、教育のみを目的とすることを明確に意図するものであり、そのような具体的に詳述された例および条件に限定しないものとして解釈するべきである。さらに、本明細書において、本発明の原理、態様、および実施形態を詳述するすべての記述、およびその特定の例は、その等価物を包含することを意図するものである。
【0069】
(特定の機能を実行する)「・・・ための手段」として示された機能ブロックは、それぞれ特定の機能を実行するために適応された回路を含む、機能ブロックとして理解するものとする。よって、「何かのための手段」は、「何かのために適応された、または適している手段」として理解するべきである。よって、特定の機能を実行するために適応された手段は、そのような手段が前述の機能を(所定の瞬間に)必ずしも実行していることを意味しない。
【0070】
任意の機能ブロックを含む、図に示す様々な要素の機能は、プロセッサなどの専用ハードウェア、および適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行する機能を持つハードウェアの利用を通じて提供することができる。プロセッサによって提供される場合、プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、またはその一部を共有できる、複数の個々のプロセッサによって提供することができる。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアを排他的に指すものと解釈するべきではなく、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向けIC(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を限定することなく、暗黙的に含むことができる。従来型および/またはカスタムの他のハードウェアも含むことができる。
【0071】
本明細書に示すブロック図は、本発明の原理を具体化する実例となる回路についての概念的な視点を表していることは当業者には自明であろう。同様に、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかに関わりなく、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体において本質的に表され、したがって、コンピュータまたはプロセッサによって実行できる様々なプロセスを表していることを理解されるだろう。
【0072】
さらに、以下の請求項は、これによって詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、それ自体で個別の実施形態として有効である。各請求項が個別の実施形態として有効であるが、特許請求の範囲において、従属請求項は1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを言及する場合があるが、他の実施形態は、また、他の各従属請求項の主題との従属請求項の組み合わせを含むことができることに注意されたい。特定の組み合わせを意図しないと述べられていない限り、そのような組み合わせは本明細書で提案されている。さらに、この請求項が独立請求項に直接的に依存しない場合でも、他の独立請求項に請求項の主張の特徴を含めることを意図する。
【0073】
明細書または特許請求の範囲に開示された方法は、これらの方法のそれぞれのステップのそれぞれを実行するための手段を持つデバイスによって実装できることに注意されたい。
【0074】
さらに、明細書または請求項で開示された複数のステップまたは機能の開示は、特定の順序であるものと解釈されないことを理解されるだろう。したがって、そのようなステップまたは機能が技術的な理由から交換可能ではない限り、複数のステップまたは機能の開示によって、これらを特定の順序に制限するものではない。さらに、一部の実施形態では、単一のステップは、複数のサブステップを含むことも、または複数のサブステップに分解することもできる。そのようなサブステップは、明示的に除外されていない限り、この単一のステップの開示に含めることができ、またその一部となることができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6