【課題を解決するための手段】
【0005】
無線フロントエンドから処理機能を取り除き、処理機能としてクラウド・コンピューティングまたは負荷分散された処理ユニットを使用することによって、無線アクセス・ネットワークのコスト効率を改善できることは本発明の発見の1つである。そのような処理機能は、多くの無線フロントエンドに割り当てることができ、それによって、全体的な処理機能をより効率的に利用することができる。したがって、実施形態は、より少ない全体的な処理容量を用いる概念を提供することができ、それと同時に、移動通信システムの全体的な電力消費、OPEX、およびCAPEXを減らすことができる。
【0006】
クラウド・コンピューティングは、プールとして大規模な設置されたリソースを共有して使用することによって運用コストを下げることができる。さらに、ハードウェアの拡張効果(scaling effect)ならびに高価な周辺装置およびハードウェアに対する(ユーザごとの)要件の低下によって、設置コストを下げることができる。設置された処理リソースの高度な負荷分散によって、屋内(企業または住居)または屋外の用途のために時間の経過とともに異なる負荷プロファイルを考慮することで、サイトおよび必要なハードウェアの大幅な減少を達成することができる。これは、オペレータにとってOPEXおよびCAPEXの削減につながる。負荷バランシング/処理リソースの分散に加えて、本発明の実施形態は、また、一般的な負荷管理の状況において、低トラフィック領域から高トラフィック領域に処理リソースを割り当てることを可能にすることができる。
【0007】
個々の処理要素が、所定の時に1つの無線標準または無線アクセス技術(RAT)しか運用できない場合でも、ソフトウェア(SW)の交換によって半静的な方法で、複数標準の構成を調整できることはもう1つの発見である。これにより、オペレータは、ハードウェア(HW)を変更する必要なく、複数標準のシステムをより柔軟に展開することができる。
【0008】
よって、本発明の実施形態は、クラウド・コンピューティング要素を統合する非集中化された負荷バランシング/分散手法を提供することによって、次世代のモバイル無線アクセス・ネットワーク(RAN)のために現在のRANアーキテクチャを更新することを目的としている。
【0009】
実施形態では、RANアーキテクチャは、無線フロントエンドと見なすことができる、つまり実際の無線信号を受信して送信し、少なくとも1つの無線セルを確立する、リモート・ラジオ・ヘッド(RRH)から構成することができる。以下において、2方向の送信が考えられる。第1の方向は、ダウンリンクまたは順方向リンクと呼ばれる。これは、RAN、つまりRRHから通信領域内のモバイル端末またはユーザ機器(UE)への送信を表す。第2の方向は、アップリンクまたは逆方向リンクと呼ばれる。これは、モバイル端末からRAN、つまりRRHへの送信を表す。アップリンクでは、RRHは、受信された無線信号を伝送帯域からベースバンド受信信号に変換し、クラウド・コンピューティング・ネットワークの分散された負荷バランシング/分散アーキテクチャにベースバンド受信信号を提供することができる。ダウンリンクでは、RRHは、クラウド・ネットワークで処理された、ベースバンド送信信号を伝送帯域に変換し、1つまたは複数のアンテナを使用して、信号を送信することができる。
【0010】
以下において、システム帯域幅および搬送周波数を持つシステム周波数帯域として伝送帯域を表すだろう。伝送帯域は、たとえば、周波数分割双方向(FDD)システムのように、無線信号のダウンリンク送信のためのサブバンドおよびアップリンク受信のためのサブバンドを含むことができる。一部の実施形態では、時分割二重通信(TDD)システムのように、同じ伝送帯域をダウンリンクおよびアップリンクに使用することができる。
【0011】
従来のソリューションでは、ベースバンド処理ユニットとRRHとの間に1:1の関係があり、ここでベースバンド処理容量は、ピーク・トラフィックによって分けられる(dimension)。一部の実施形態では、RRHは、送信(Tx)、受信(Rx)、およびアンテナの機能を提供することができる。RRHは、従来のベースバンド処理要素のプールとして、関連するベースバンド処理ユニットまたはベースバンド・ユニット(BBU)から空間的に分離できるため、後者は、複数のBBUのBBU間クラウド・コンピューティング・クラスタ内で組み合わせることができる。これにより、クラウド・コンピューティングの技術を適用し(BBU内およびBBU間)、分散化または非集中化された負荷バランシング/分散を確立し、必要な処理サイトの数と同時に関連する設置コスト、メンテナンスおよび電力消費を直接的に減らすための道が開かれる。
【0012】
言い換えると、実施形態は、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャのノードを形成するRRHおよびベースバンド(信号)処理ユニットを用いるRANアーキテクチャを提供することができる。そのため、各個々のネットワーク・ノード、つまりBBUは、処理リソース割り当てエンティティを装備するため、ネットワーク・ノードの個々の相互に連結された負荷バランシング/分散エンティティはともに、分散化または非集中化された負荷分散装置を形成し、これは、また、非集中化されたクラウド・コントローラ(DCC)と呼ばれる。そのため、DCCは、クラウド・コンピューティング・ネットワークの他のDCCと協力して、RRHからネットワークの他のノードまたはBBUに、その関連するBBUによって受信された負荷を分散またはルーティングすることができる。これにより、オペレータにとってトラフィック分散の柔軟性が高まる。
【0013】
本発明の第1の態様によると、ワイヤレス通信ネットワークのベースバンド信号処理クラスタが提供される。ベースバンド信号処理クラスタは、複数のベースバンド信号処理ユニットを含み、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つのリモート・ラジオ・ヘッド(RRH)に結合される。そのため、RRHは、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも1つの無線セルにサービスを提供することができる。よって、ベースバンド信号処理クラスタは、ワイヤレス通信ネットワークの第1の無線セル・クラスタに関連させられる。また、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、その関連するベースバンド信号処理ユニット内、またはその(ベースバンド)信号処理リソース割り当てを管理するように動作可能なユニット特有の(信号)処理リソース管理エンティティに結合されるか、またはそれを含む。ベースバンド信号処理クラスタのベースバンド信号処理ユニットは、また、後にベースバンド・ユニット(BBU)と呼ぶことができる。そのため、そのようなベースバンド信号処理ユニットは、ワイヤレス通信ネットワークの1人または複数のユーザのベースバンド信号を処理するためにサービスを提供することができる。ベースバンド信号処理クラスタは、少なくとも1つの(具体的にはそれぞれの)ユニット特有の処理リソース管理エンティティに結合され、クラスタの複数のベースバンド信号処理ユニットの間で信号処理リソース割り当てを管理またはバランス/分散するように動作可能であるクラスタ内(信号)処理リソース管理エンティティを含む。クラスタ内処理リソース管理エンティティに、場合によっては信号処理クラスタの(信号)処理負荷を示す情報を交換するように動作可能であるクラスタ間(信号)処理リソース管理エンティティが結合され、リモート処理割り当てを達成または管理するために、少なくとも1つのリモート・ベースバンド信号処理クラスタの少なくとも1つのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティは、ワイヤレス通信ネットワークの第2の(異なる)無線セル・クラスタに関連する。すなわち、ベースバンド信号処理クラスタの利用可能な処理リソースが、クラスタのユーザに関係する特定のユーザまたはベアラ特有のベースバンド信号処理要求を扱うのに十分でない場合、加えて、または代わりに、リモート・クラスタのリモート・ベースバンド信号処理リソースを割り当てることができる。
【0014】
本発明の実施形態は、原則的に、様々な現在および将来のワイヤレス通信システムで用いることができる。たとえば、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)、GSM/EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN)、Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)もしくはEvolved UTRAN(E−UTRAN)、Long Term Evolution(LTE)もしくはLTE−Advanced(LTE−A)、など、3rd Generation Partnership Project(3GPP)によって標準化されたワイヤレス通信システム、またはたとえば、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WIMAX)IEEE802.16もしくはワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)IEEE802.11、一般的に時分割多元接続(TDMA)に基づく任意のシステム、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、符号分割多元接続(CDMA)など、異なる標準を用いるワイヤレス通信システムなどである。以下において、ワイヤレス通信システムおよびモバイル通信ネットワークという用語は、同義的に使用することができる。本発明の概念は、前述のワイヤレス通信システムに限定されず、将来的なワイヤレス通信システム標準だけでなく他のものに適用可能であることに注意されたい。
【0015】
したがって、少なくとも1つのRRHは、たとえば、GSM、EDGE、UMTS、LTE、またはLTE−Aセルラ方式の無線送受信装置を含むことができる。もちろん、RRHは、また、将来のワイヤレス通信システムの少なくとも1つのセルにサービスを提供することができる。少なくとも1つのRRHは、ベースバンド処理ユニットと少なくとも1つのRRHとの間で複雑な値のデジタル・ベースバンド・データを交換するためにベースバンド処理ユニットに結合することができる。その目的のために、たとえば、共通公開無線インターフェース(CPRI:common public radio interface)として知られているインターフェースを使用することができる。
【0016】
ベースバンド信号処理ユニットまたはBBUは、ベースバンド(信号)処理クラスタの処理ノードとして理解することができる。個々のベースバンド処理ユニット(BBU)およびベースバンド処理クラスタの両方は、複数のそのようなベースバンド処理クラスタを含むクラウド・コンピューティング・ネットワークの一部でもよい。ベースバンド処理クラスタまたはBBUクラスタ内のBBUの中でデータを交換するために、BBUは、BBUクラスタの第2の信号処理ノードとしてサービスを提供する第2のBBUに第1のBBUを接続するインターフェースを含むことができる。前述のインターフェースは、信号処理ユニット(BBU)間でデジタル・ベースバンド・データを交換するように適応させることができる。BBUクラスタの個々のBBUの間のそのようなデータ交換は、よって、クラスタ内負荷バランシング/分散エンティティと見なすことができる、クラスタ内処理リソース管理エンティティによって管理することができる。インターフェースは、たとえば、LTEの3GPP規格の一部として拡張されたX2インターフェースなど、相互に接続されたBBUの間で制御情報を交換するためにさらにサービスを提供することができる。
【0017】
クラウド・コンピューティングまたはクラウド・コンピューティング・ネットワークは、サービスを伝達するシステムまたはネットワークの物理的な位置および構成についてエンド・ユーザが知ることを必要としない、計算、ソフトウェア、データ・アクセス、および保管サービスを提供できる技術として理解することができる。よって、クラウド・コンピューティングは、たとえば、インターネット・プロトコル(IP)に基づいて、ITサービスの補足、消費、および伝達モデルを表すものであり、典型的には、動的に拡張可能で、多くの場合、仮想化されたリソースの供給を含む。よって、BBUクラウド・コンピューティング・ネットワークには、BBUハードウェアまたはベースバンド処理ユニットのクラスタのプールがある。各BBUは、クラウド・コンピューティング・ネットワークのネットワーク・ノードと見なすことができ、ここで各ノードは、そのようなコンピュータ・リソースまたは信号処理リソースの1つまたは複数を収容する。実施形態によると、ベースバンド信号処理タスクは、特定のネットワーク・ノードに必ずしも関連しておらず、本発明の実施形態の分散型負荷管理および分散手法を使用して、同じBBUクラスタの任意の他のネットワーク・ノードまたはさらに他のリモートBBUクラスタのネットワーク・ノードに動的に割り当てることができる。よって、利用可能な分散型ハードウェア・リソースの効率的な使用を達成することができる。ワイヤレス通信システムの遅延要件が準拠されている場合、これはすべて実施することができる。
【0018】
各BBUは、複数の専用ユーザ・データ・プロセッサを含むことができ、ここで専用ユーザ・データ・プロセッサのそれぞれは、S1終端から、それぞれのBBUに結合された少なくとも1つのRRHによってサービスを提供される無線セルに関連する物理レイヤのユーザ部分までユーザ特有のデータをすべて処理するように動作可能である。セルの物理レイヤとしてのBBUの専用ユーザ・データ・プロセッサの間の信号処理タスクは、ユニット特有の信号処理リソース管理エンティティによって管理することができる。
【0019】
実施形態では、ユーザ特有のデータは、また、ベアラ特有のデータとして理解することができる。すなわち、ユーザ特有のデータまたはデータ・ストリームは、異なる無線ベアラを表すことができ、無線ベアラは、ユーザのデータ・サービスについてプロトコルの状況による。言い換えると、ユーザは、異なる無線ベアラを使用して提供される、複数のサービスを利用することができる。より詳細については、たとえば、無線インターフェース・プロトコル・アーキテクチャ3GPP TS25.301、V10.0.0など、3GPP規格を参照すること。UMTSまたはLTEでは、物理レイヤ(レイヤ1またはPHY)、メディア・アクセス制御レイヤ(レイヤ2またはMAC)、RLCレイヤ、およびRRCを含めることができる。これらのプロトコルはすべて3GPPによって標準化され、それぞれの規格が公開されており、本明細書の続きにおいて知られているものと考えられる。
【0020】
処理クラスタのBBUに関連するユーザのユーザ特有のデータ(パケットまたはストリーム)の信号処理は、クラスタの特定の信号処理負荷につながる。BBUクラスタは、クラスタ間インターフェースを介して少なくとも第2のリモートBBUクラスタのリモート・クラスタ間処理リソース管理エンティティと負荷情報を交換し、したがって、交換された負荷情報に応じて、第1のクラスタおよびリモートの第2のクラスタの複数のBBUの間で処理タスクを分散するように動作可能なクラスタ間処理リソース管理エンティティを含む。クラウド・コンピューティング・ネットワークにおける異なるBBUクラスタのBBUの中での処理タスクの分散は、負荷バランシングまたは負荷分散基準により実施することができる。そのような負荷分散/分散基準は、たとえば、個々のBBUクラスタおよび/またはBBUの間で均等に共有された負荷の分散でもよい。他の基準は、BBUクラスタおよび/またはBBUの電力消費を最適化することでもよい。たとえば、他のアクティブなBBUが負荷を扱うことができる限り、一部のBBUまたはその部分はオフにすることができる。
【0021】
よって、実施形態は、ベースバンドまたはベアラの信号処理は、たとえば、空間的に分割されたBBUクラスタに配置できる処理ノードとして複数の異なる相互に接続されたBBUによって実行できるため、分散型またはクラウドのような方法で、ベースバンドまたはベアラの信号処理方式を提供することができる。これは、特定のBBUクラスタにトラフィックのホット・ゾーンがある場合、BBUクラスタおよび/またはBBUの分散ネットワークの利用を通じて、より多くの処理能力を利用可能にできるという利点を提供することができる。
【0022】
さらに、実施形態は、無線セルのサービスをサービスまたはユーザに特有のデータ・パケットへと多重分離することができ、次に、クラウドの異なる処理ノードにルーティングできるため、無線セルごとに拡張可能な処理能力を利用可能にできるという利点を提供することができる。言い換えると、ユーザまたはベアラに特有のデータの処理を所与の負荷バランシング/分散基準により、様々なネットワーク・ノードの間で分散することができる。それが意味するのは、RRHによって処理されたユーザまたはベアラに特有の信号は、必ずしも、物理的に接続されたBBUによって前処理または後処理しなくてもよいため、所与のRRHと、RRHが物理的に接続されたBBUとの間のユーザ処理に固定された関連はないということである。実施形態の分散された負荷バランシングおよび/または負荷分散アーキテクチャのために、BBUクラウド・ネットワークは、どの信号処理ノードが、負荷バランシング/分散基準に基づいて、所与のユーザのベースバンドまたはベアラ処理を実行するべきかを決定する。
【0023】
特定の負荷状況では、クラスタ内処理リソース管理エンティティは、クラスタ内のBBUの中で負荷バランシング/分散状況を改善するために、ユーザ特有のデータのベースバンドまたはベアラ処理をクラスタの第1のBBUから同じ信号処理クラスタの他の第2のBBUにシフトことを決定することができる。よって、信号処理クラスタの第2のBBUは、第1のBBUに結合されたRRHまたはセルに実際に関連するユーザからユーザ特有のデータを処理することができる。
【0024】
BBUクラスタのBBUの制限された利用可能な信号処理機能のみが、ユーザまたはベアラに特有のデータを処理するためにBBUクラスタのBBUの割り当てを許可しない場合、クラスタ間処理リソース管理エンティティは、第1のBBUクラスタから要求されたユーザまたはベアラに特有の信号処理タスクを引き継ぐために利用可能である十分な信号処理機能を持つリモートBBUクラスタを割り当てるために、1つまたは複数のリモートBBUクラスタと通信することができる。よって、次に、リモートの第2のクラスタのBBUは、第1のクラスタのBBUに実際に関連するユーザのユーザ特有のデータを処理することができる。BBUのこの階層構造、クラスタ内処理リソース管理エンティティ、およびクラスタ間処理リソース管理エンティティは、異なるクラスタ間のわずかな相互通信のみを用いて分散された負荷バランシング/分散を可能にする。
【0025】
一部の実施形態によると、BBUクラスタの複数のBBUは、たとえばUMTSのCDMAなど、第1の無線アクセス技術(RAT)により、ユーザ特有のデータを処理するように動作可能なBBUの第1のグループを含むことができる。さらに、BBUクラスタの複数のBBUは、また、たとえばLTEのOFDMAなど、第2のRATにより、ユーザ特有のデータを処理するように動作可能なBBUの第2のグループを含むことができる。BBUの異なるグループは、場合によっては、同じRATをサポートするそれぞれのセル物理層プロセッサとともに、チャネル要素モジュール(CEM)と呼ぶことができる、1つまたは複数の異なるプリント回路基板(PCB)に実装することができる。すなわち、第1のRATおよび信号処理ユニットの第1のグループをサポートする第1のセル物理レイヤ・プロセッサは、第1の共通のCEMに統合することができ、第2のRATおよび信号処理ユニットの第2のグループをサポートする第2のセル物理レイヤ・プロセッサは、同じBBUの第2の共通のCEMに統合することができる。よって、BBUクラスタは、また、マルチサイト・マルチ標準(MSS:MultiSite MultiStandard)BBUクラスタと呼ぶことができる。
【0026】
本発明の他の態様によると、クラウド・コンピューティング・ネットワークの異なるネットワーク・ノード・クラスタとして、実施形態による、少なくとも2つのベースバンド信号処理クラスタを含むクラウド・コンピューティング・ネットワークが提供される。それと同時に、非集中化された負荷バランシング/分散は、非集中化された負荷分散装置として可能になり、それぞれ第1および第2のクラスタのクラスタ内処理リソース管理エンティティおよびクラスタ間処理リソース管理エンティティは、第1のクラスタと第2のクラスタと間のインターフェースを介して負荷情報を交換し、クラウド・コンピューティング・ネットワークの異なるBBUクラスタの間で信号処理負荷を分散するために、交換された負荷情報に応じて、第1のクラスタおよび第2のクラスタの複数のBBUの間のベースバンド信号処理タスクを分散するように動作可能である。
【0027】
本発明のさらに他の態様によると、ワイヤレス通信ネットワークのベースバンド信号処理クラスタ(BBUクラスタ)のための方法が提供され、ベースバンド信号処理クラスタは、複数のベースバンド信号処理ユニット(BBU)を含み、ベースバンド信号処理ユニットの少なくとも1つ(具体的にはそれぞれ)は、ワイヤレス通信ネットワークの第1の無線セル・クラスタにサービスを提供する少なくとも1つのRRHに結合される。方法は、BBUクラスタの複数のBBUの利用可能な(信号)処理機能についての情報を提供するステップを含む。クラスタのBBUに結合されたリモート・ラジオ・ヘッドに関連するユーザに対するユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に応じて、方法は、BBUクラスタ内の利用可能な信号処理機能についての情報が、ユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に対して十分な利用可能な処理リソースを示す場合、BBUクラスタの複数のBBUの中で処理リソースを割り当てるステップを含む。しかしながら、BBUクラスタ内の利用可能な信号処理機能が、ユーザまたはベアラに特有の信号処理要求に対して十分に利用可能な信号処理リソースがないことを示している場合、方法は、クラスタのクラスタ間処理リソース管理エンティティを介して、異なる第2の無線セル・クラスタに関連する少なくとも1つのリモートBBUクラスタにリモート処理リソース要求を送信するステップを含む。
【0028】
一部の実施形態は、方法を実行するために装置または信号処理クラスタ内に設置された1つまたは複数のプログラム可能なデジタル制御回路を含む。そのようなプログラム可能なデジタル制御回路、たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはハードウェア・アクセラレータを備えた汎用プロセッサは、それに応じてプログラムする必要がある。よって、さらに他の実施形態では、また、コンピュータ・プログラムがプログラム可能なハードウェア・デバイスで実行されたときに、方法の実施形態を実行するためのプログラム・コードを持つコンピュータ・プログラムを提供する。
【0029】
実施形態の利点の1つは、分散された負荷バランシング/分散のために、多くの基地局サイトおよび/または基地局処理容量を減らすことができることであり、このために、次にOPEX/CAPEXの低減につながる。さらに、半静的なマルチRAT無線アクセス・ネットワークをCEMソフトウェア交換によって提供することができる。これにより、扱いにくいハードウェアの変更なく、無線標準の展開を追求することが可能になる。
【0030】
装置および/または方法の一部の実施形態について、例示のみを目的として、添付の図面に関して以下に記述する。