(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
【0011】
(実施形態)
図1は、本実施形態の頭部装着型の表示装置1を説明する図である。
図1は、表示装置1を鉛直方向上方から見た図である。
なお、
図1を含め以下に示す図中及び以下の説明において、理解を容易にするために、観察者が頭部に表示装置1を装着した状態において、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向及びY方向とする。また、この水平方向のうち、導光板に入光した映像光の導光される方向(導光板の左右方向)をX方向とし、それに直交する方向(導光板の厚み方向、正面方向)をY方向とする。このY方向の−Y側を観察者側とし、+Y側を背面側とする。
【0012】
表示装置1は、観察者が頭部に装着し、観察者の眼前に映像を表示する、いわゆるヘッドマウントディスプレイである。
図1に示すように、本実施形態の頭部装着型の表示装置1は、不図示のメガネフレームの内側に、映像源11と、投射光学系12と、導光板20とを備えており、観察者がメガネフレームを頭部に装着することによって、映像源11の映像を、導光板20等を介して観察者に視認させることができる。具体的には、表示装置1は、映像源11に表示された映像光を、投射光学系12を介して導光板20へ入射し、導光板20内において+X方向に導光した上で、導光方向に直交する−Y方向に反射して、表示装置1を頭部に装着した観察者の眼E前に映像情報を表示する。
また、表示装置1は、外界から光の一部を、導光板20を透過させ観察者側に到達させて、映像と外界の光とを重ねて見せる、いわゆるシースルー機能を備えている。本実施形態では、半透過型反射シートを導光板20に適用した例で説明する。
【0013】
映像源11は、映像光を表示するマイクロディスプレイであり、例えば、透過型の液晶表示デバイスや、反射型の液晶表示デバイス、有機EL等を使用することができる。映像源11は、例えば、対角が1インチ以下のマイクロディスプレイが使用される。
投射光学系12は、映像源11から出射された映像光を平行光として投射する複数のレンズ群から構成される光学系である。
導光板20は、光を導光する略平板状の透明部材であり、本実施形態では、鉛直方向(Z方向)から見た形状が略台形形状に形成された台形柱形状に形成されている。導光板20は、
図1に示すように、互いに平行であり、互いに対向する第1全反射面20b及び第2全反射面20cと、−X側端部に、この第1全反射面20b及び第2全反射面20cに対して傾斜した反射面20aとが設けられている。
【0014】
反射面20aは、第1全反射面20b及び第2全反射面20cに対して所定の角度で傾斜しており、その面の全面に反射膜27が形成されている。反射面20aは、導光板20内に入射した映像光を、この反射膜27よって第1全反射面20b側に反射する。ここで、反射膜27は、光反射性の高い金属、例えば、アルミニウムや、銀、ニッケル等により形成されている。本実施形態では反射膜27は、アルミニウムを蒸着することにより形成されている。また、これに限らず反射膜27は、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したり、金属薄膜を含有した塗料を塗布したりする等により形成されてもよい。
反射面20aは、反射膜27で反射した映像光を第1全反射面20bにおいて全反射させるために、第1全反射面20bに対して25°〜40°の範囲で傾斜している。
【0015】
第1全反射面20bは、導光板20を形成する面のうちXZ平面に平行であって、観察者側(−Y側)に位置する面であり、反射膜27によって反射した映像光を第2全反射面20c側に向けて全反射させる。また、第1全反射面20bは、第2全反射面20cにおいて全反射した映像光を、第2全反射面20c側に向けて全反射させる。
第1全反射面20bは、その−X側の端部が、映像源11から投射された映像光を入光する入光面となっており、また、+X側の端部が、単位光学形状部30(後述する)において反射した映像光を導光板20外へ出光する出光面となっている。
第2全反射面20cは、導光板20を形成する面のうち、XZ平面に平行であって、背面側(+Y側)に位置する面(観察者側から離れた側の面)であり、第1全反射面20bにおいて全反射した映像光を、第1全反射面20b側に向けて全反射させる。
以上により、反射膜27を反射した映像光は、第1全反射面20b及び第2全反射面20cの間で全反射を繰り返すことによって、導光板20内の+X方向(導光方向)に導光されることとなる。
【0016】
次に、導光板20の層構成について説明する。
図2は、本実施形態の導光板20の詳細を説明する図である。
図2(a)は、
図1のa部詳細図であり、導光板20の層構成を示す。
図2(b)は、
図2(a)のb部詳細を示す図である。
図2(a)に示すように、導光板20は、観察者側(−Y側)から順に、基材部21、接合層24、第2光学形状層23、第1光学形状層22が積層されている。
基材部21は、導光板20の基礎となる平板状の部材であり、例えば、光透過性の高いアクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリカーボーネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等から形成されている。上述の第1全反射面20bは、この基材部21の観察者側(−Y側)の面となる。
【0017】
第1光学形状層22は、導光板20の観察者側から最も離れた側に位置する層である。第1光学形状層22は、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等から形成されており、その屈折率は、上述の基材部21と同等の屈折率である。第1光学形状層22は、その観察者側(−Y側)の面であって、+X側の端部近傍に、単位光学形状部30が複数設けられている。
この単位光学形状部30は、鉛直方向(Z方向)に延在し、映像光の導光方向(X方向)に沿って複数配列されている。また、単位光学形状部30は、観察者側(−Y側)に凸になるようにして、映像光が出光する方向(導光板20の厚み方向、Y方向)に平行であって単位光学形状部30の配列方向(X方向)に平行な断面(XY面)における断面形状が略三角形状、いわゆるプリズム形状に形成されている。したがって、単位光学形状部30は、第1傾斜面30aと、この第1傾斜面30aよりも映像光の進行する側(+X側)に、第1傾斜面30aと対向して設けられた第2傾斜面30bとから構成される。
なお、上述の第2全反射面20cは、この第1光学形状層22の背面側(+Y側)の面となる。
【0018】
本実施形態では、この単位光学形状部30は、鉛直方向(Z方向)に延在するリニアプリズム形状に形成される例で説明するが、これに限定されるものでなく、リニアフレネルレンズ形状や、同心円状に単位光学形状部30が複数配列されるサーキュラーフレネルレンズ形状に形成されるようにしてもよい。
第1傾斜面30aは、第1全反射面20bを全反射した映像光が直接入射する面であり、その+X側の端部が、−X側の端部よりも観察者(出光)側(−Y側)に位置している。第1傾斜面30aには、反射層(半透過型反射層)25が設けられている。
第2傾斜面30bは、第1全反射面20bを全反射した映像光が直接入射しない面であり、その+X側の端部が、−X側の端部よりも背面側(+Y側)に位置している。
【0019】
第2光学形状層23は、単位光学形状部30を覆うようにして、第1光学形状層22の観察者側の面に設けられた層であり、第1光学形状層22の観察者側(−Y側)の面を平坦にするために設けられている。第2光学形状層23は、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等から形成されている。第2光学形状層23の観察者側の面は、接合層24を介して基材部21に接合される面であり、また、第2光学形状層23から基材部21へと通過する光の出光面となる。この第2光学形状層23の出光面は、導光板20の第1全反射面20b(出光面)と平行である。
なお、第2光学形状層23の観察者側に設けられる基材部21を省略して、第2光学形状層23の観察者側の面を導光板20の出光面にしてもよい。
【0020】
ここで、単位光学形状部30の第1傾斜面30aが、第1全反射面20b(出光面)に平行な面(XZ平面)となす角度は、αである。また、第2傾斜面30bが第1全反射面20bに平行な面となす角度は、β(β>α)である。
また、単位光学形状部30の配列ピッチは、Pであり、単位光学形状部30の高さ(導光板の厚み方向(Y方向)における単位光学形状部30の頂部tから単位光学形状部30間の谷底となる部位vまでの寸法)は、hである。なお、配列ピッチPは、単位光学形状部30の配列方向(X方向)における幅寸法と同等である。
本実施形態の単位光学形状部30は、配列ピッチPが一定であり、また、角度β=90°で一定であるが、角度αが映像光の進行する側(+X側)へ向かうにつれて次第に大きくなり、また、それに伴い高さhも大きくなっている例で説明するが、これに限定されるものでない。例えば、配列ピッチPや角度α、角度β、高さhが一定に形成されるようにしてもよい。
【0021】
図3は、単位光学形状の第2傾斜面における外界の光の軌跡の一例を示す図である。
ここで、第1光学形状層22と第2光学形状層23とは、基本的には、同一の材料等で形成することによって、両層の屈折率が同等になるように形成されているが、微小な屈折率差(例えば、1/1000以下)が生じてしまう場合がある。例えば、第1光学形状層の屈折率が第2光学形状層の屈折率よりも大きい場合、
図3(a)に示すように、第1光学形状層を透過した外界の光の一部G10が、第2傾斜面において全反射してしまい、出光面の法線方向に対して若干傾斜した状態で観察者側へと届いてしまう。また、第1光学形状層の屈折率が第2光学形状層の屈折率よりも小さい場合、
図3(b)に示すように、第1光学形状層及び第2光学形状層を透過した外界の光の一部G11が、第2傾斜面において全反射してしまい、出光面の法線方向に対して若干傾斜した状態で観察者側へと届いてしまう。このように、出光面の法線方向に対して若干傾斜した状態で外界の光が観察者側に届いてしまうと、正面方向へ出光する外界の光G0の近傍に、この若干傾斜した状態の外界の光G10や、光G11が出光してしまい、2重像、いわゆるゴーストが生じて観察者によって視認される外界の光が不鮮明になってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態の導光板20は、上述のゴースト発生の問題を解消するために、
図2(b)に示すように、第2傾斜面30b上に微細な凹凸形状が設けられている。このように第2傾斜面30bに微細な凹凸形状が設けられることによって、導光板20の背面側から入射した外界の光のうち第2傾斜面30bに入射した光が、第2傾斜面30bにおいて全反射してしまうのを抑制することができる。これにより、導光板20は、上述のゴーストが生じ、観察者によって視認される外界の光が不鮮明になってしまうのを抑制することができる。
この微細な凹凸形状は、
図2(b)に示すように、第2傾斜面30bから凸となって鉛直方向(Z方向)に延在する単位形状31が、第2傾斜面30bに沿って導光板20の厚み方向(Y方向)に複数配列されることによって構成されている。
【0023】
本実施形態の単位形状31は、その配列方向(導光板20の厚み方向、Y方向)に平行であって、単位光学形状部30の配列方向(X方向)に平行な断面(XY面)における断面形状が、略三角形状に形成されており、斜面31aと、斜面31aに対向する斜面31bとから構成されている。上述のゴースト発生をより効率よく回避するために、この微細な凹凸形状は、単位形状31の配列ピッチをP2とし、単位形状31の底部bから頂部pまでの距離(高さ)をh2とし、高さh2とピッチP2とのアスペクト比をA=h2/P2としたときに、以下の式(1)を満たすことが望ましい。
【0025】
このように単位光学形状部30が上記式(1)を満たすようにして形成されることによって、導光板20の背面側から入射した外界の光のうち第2傾斜面30bに入射した光の一部は、微細な凹凸形状によって拡散することとなり、他の一部は、第2傾斜面30bにおいて全反射することなく、観察者の正面から離れた位置へ出射することとなる(
図4のG2参照)。これにより、本実施形態の導光板20は、上述のゴーストが生じてしまうのを抑制することができ、観察者側に届く外界の光を鮮明にすることができる。
仮に、アスペクト比Aが0.05よりも小さい場合、第2傾斜面30bにおいて外界の光が全反射し易くなり、ゴースト発生の抑制効果が低下してしまうので望ましくない。また、アスペクト比Aが0.5よりも大きい場合、一部の映像光が斜面31bに入射してしまう可能性があり望ましくない。
なお、上述のゴースト発生の要因となる全反射を十分に抑制する観点から、第2傾斜面30bにおける単位形状31の斜面31a及び31bの比率は、30%以上であることが望ましい。
また、本実施形態では、単位形状31の配列ピッチP2及び高さh2が一定である例を示すが、これに限定されるものでなく、配列ピッチP2及び高さh2が第2傾斜面30bの位置に応じて変動するようにしてもよい。
【0026】
ここで、斜面31aと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす角度をθ1とし、斜面31bと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす角度をθ2とし、第1光学形状層22又は第2光学形状層23の屈折率をnとしたときに、角度θ1及び角度θ2は、それぞれ{arcsin(1/n)}/2以上であることが望ましく、また、arcsin(1/n)以上であることがより望ましい。
このように角度θ1、角度θ2がそれぞれ上記範囲を満たすことによって、斜面31a、斜面31bにおいて外界の光が全反射してしまうのをより確実に抑制することができる。これにより、観察者の左右端側(−X側端部、+X側端部)から入射する外光の光が、観察者の正面側に届いてしまうのを抑制し、ゴーストの発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態の単位形状31は、その配列ピッチP2が1μm、高さh2が0.18μmに形成、すなわちアスペクト比がA=0.18であり、θ1=θ2=約19.8°に形成されている。
【0027】
接合層24は、基材部21及び第2光学形状層23を接合する粘着剤である。接合層24は、基材部21及び第2光学形状層23間を透過する映像光が屈折しないよう、これらの層と同等の屈折率を有する材料、例えば、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等により形成されている。
【0028】
反射層25は、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層、いわゆるマジックミラー(ハーフミラー)である。反射層25の反射率と透過率の割合は、適宜設定することができるが、映像光を良好に反射させるとともに、外界の光を良好に透過させる観点から、透過率が40〜60%の範囲であることが望ましい。本実施形態の反射層25は、反射率及び透過率がともに50%のハーフミラー状に形成されている。
反射層25は、単位光学形状部30の第1傾斜面30aの面上に光反射性の高い金属、例えば、アルミニウムや、銀、ニッケル等により形成されている。本実施形態では反射層25は、アルミニウムを蒸着することにより形成されている。また、これに限らず反射層25は、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したり、金属薄膜を含有した塗料を塗布したりする等により形成されてもよい。
【0029】
本実施形態の反射層25は、アルミニウムの蒸着によって約100Åの厚みに形成されているが、光の反射率及び透過率を上述の好ましい範囲に設定できるのであれば、その材料等に応じて厚さを自由に設定することができる。
ここで、効率よく映像光を反射して導光板20から出光させる観点から、第1傾斜面30aの角度αは、20°≦α≦35°の範囲内に、単位光学形状部30の高さhは、20μm≦h≦700μmの範囲内に形成されるのが望ましい。また、単位光学形状部30の配列ピッチPは、50μm≦P≦1000μmの範囲内で形成されるのが望ましい。
【0030】
次に、本実施形態の導光板20に入射する映像光L及び外界の光Gの動作について説明する。
図4は、第2傾斜面を透過する外界の光の軌跡を説明する図であり、
図2(b)に対応する図である。
図1に示すように、映像源11から出射した映像光Lは、投射光学系12を介して導光板20の第1全反射面20bへと入射する。導光板20内に入光した映像光Lは、反射面20aの反射膜27に入射して第1全反射面20b側へと反射する。それから、その映像光Lは、第1全反射面20bに入射して第2全反射面20c側へと全反射した後に、第2全反射面20cに入射して第1全反射面20b側へと全反射する。このように第1全反射面20b及び第2全反射面20c間において全反射を繰り返すことにより、映像光Lは、導光板20の−X側から+X側に向けて導光され、第1光学形状層22に設けられた単位光学形状部30に入射する。
本実施形態の導光板20では、
図1に示すように、映像光Lが第1全反射面20bにおいて2回全反射し、第2全反射面20cにおいて1回全反射するように形成されているが、これに限定されるものでなく、各面においてより多く又は少なく全反射を繰り返すようにしてもよい。
【0031】
単位光学形状部30に入射した映像光のうち、一部の映像光L1は、
図2(a)に示すように、第1傾斜面30aの反射層25に入射して第1全反射面20bに対してほぼ垂直な方向(−Y方向)に反射して、第1全反射面20bから観察者の眼Eに向けて出光する。また、他の映像光は、ハーフミラー状に形成される反射層25を透過して単位光学形状部30内に入射することとなるが、そのほとんどが第1光学形状層22の背面側(+Y側)へ出光する。
【0032】
外界の光Gは、
図1に示すように、導光板20の背面側(+Y側)の第2全反射面20cから導光板20内に入光する。この導光板20内に入光した外界の光Gのうち一部の光は、第1傾斜面30aの反射層25に入射し、その一部は反射層25によって導光板20の背面側へ反射してしまうが、他の一部G1は、
図2(a)に示すように、ハーフミラー状に形成される反射層25を透過して、第1全反射面20b(出光面)から観察者の眼E(正面)に向けて出光することとなる。
また、第2傾斜面30bに入射した外界の光の一部は、微細な凹凸形状によって拡散し、そのほとんどが観察者側に届くことはない。また、他の一部G2は、
図4に示すように、全反射することなく第2傾斜面30bを透過して、第1全反射面20b(出光面)から観察者の正面から離れた位置に向けて出光し、観察者に視認されることはない。更に、第1光学形状層22の屈折率が第2光学形状層23よりも大きい場合、第1光学形状層22の背面に(+Y側の面)に対して入射角度が大きい状態で入射する外界の光G3は、第2傾斜面30b(斜面31b)において全反射するが、これも第1全反射面20b(出光面)から観察者の正面から離れた位置に向けて出光すし、観察者に視認されることはない。
【0033】
次に、本実施形態の導光板20の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態の導光板20の製造方法を説明する図である。
図4の各図は、導光板20が製造されるまでの過程を示す図である。
まず、
図5(a)に示すように、単位光学形状部30に対応する形状が設けられた金型を使用して、導光板20を構成する第1光学形状層22を押出成形法や、射出成形法等により形成する。
次に、
図5(b)に示すように、単位光学形状部30の第1傾斜面30a上に、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着して反射層25を形成する。なお、反射層25は、光反射材料が含有された塗料を塗布等することによって形成されるようにしてもよい。
【0034】
続いて、
図5(c)に示すように、第1光学形状層22の単位光学形状部30が形成された側の面に、第2光学形状層23を構成する樹脂を充填し、平坦面が形成された金型によって押圧し、硬化させた後に離型する等により、第2光学形状層23が形成される。
次に、
図5(d)に示すように、この単位光学形状部30上に形成された第2光学形状層23と、平板状の基材部21とを接合層24を介して貼り合せて、基材部21、接合層24、第2光学形状層23、第1光学形状層22が順次積層された積層体が完成する。
そして、最後に、この積層体を所定の形状に裁断した上で、+X側(単位光学形状部が形成される側とは反対側)の背面側(−Y側)の角部を加工して反射面20aを形成し、その反射面20aに真空蒸着法等によってアルミニウムを蒸着する等して反射膜27を形成する。以上により、導光板20が完成する。
【0035】
以上より、本実施形態の導光板20は、第2傾斜面30bに微細な凹凸形状が形成されているので、導光板20の背面側から入射した外界の光のうち第2傾斜面30bに入射した光が、第2傾斜面30bにおいて全反射してしまうのを抑制し、観察者の正面から離れた位置へ出射させることができる。これにより、本実施形態の導光板20は、透過する外界の光にゴーストが生じ、観察者によって視認される外界の光が不鮮明になってしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態の導光板20は、微細な凹凸形状を構成する単位形状31の配列ピッチをP2とし、単位形状31の底部bと頂部pとの距離をh2とし、これらのアスペクト比をA=h2/P2としたときに、0.05≦A≦0.5を満たす。これにより、第2傾斜面30bに入射した光の多くが、第2傾斜面30bにおいて全反射してしまうのをより効率よく抑制し、観察者の正面から離れた位置へ出射させることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0037】
(変形形態)
図6は、変形形態の第2傾斜面の形状を示す図である。
図6の各図は、
図2(b)に対応する図である。
図7は、変形形態の半透過型反射シートを説明する図である。
(1)上述の実施形態において、第2傾斜面30bの微細な凹凸形状を構成する単位形状31は、XY面に平行な断面における断面形状が、略三角形状に形成される例を説明したが、これに限定されるものでない。単位形状31は、例えば、
図6(a)に示すように、同断面形状が波状(正弦波状)に形成されるようにしてもよい。この場合、単位形状31は、曲面31aと曲面31bとから構成され、曲面31aと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす平均角度がθ1となり、曲面31bと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす平均角度がθ2となる。
また、単位形状31は、
図6(b)に示すように、同断面形状が台形状に形成されるようにしてもよい。この場合、単位形状31は、斜面31aと、斜面31bと、両斜面の間に形成される平坦面31cとから構成され、斜面31aと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす角度がθ1となり、斜面31bと導光板20の出光面(XZ面)の法線方向とがなす角度がθ2となる。微細な凹凸形状の単位形状31を以上のような形態にしても、上述の導光板20と同様の効果を奏することができる。
【0038】
(2)上述の実施形態において、半透過型反射シートを導光板20に適用した例で説明したが、これに限定されるものでない。例えば、半透過型反射シートは、
図7に示すように、表示装置1の映像源11からの映像光を導光させずに第1傾斜面30aにおいて観察者側に直接反射させる反射シート20に適用することもできる。この場合、第1傾斜面30aの角度αは5°≦α≦35°の範囲内に、単位光学形状部30の高さhは5μm≦h≦700μmの範囲内に、単位光学形状部30の配列ピッチPは50μm≦P≦1000μmの範囲内に形成されるのが望ましい。
また、自動車等のフロントウィンドウに搭載されるヘッドアップディスプレイや、背景等の外界の光を透過するスクリーン等に適用することも可能である。
更に、半透過型反射シートをコンバイナー等の大型の虚像投影に適用する場合、単位光学形状部は、フレネルレンズ形状に形成されるようにしてもよい。
【0039】
(3)第2傾斜面30bの角度βは、出光面に対して垂直(β=90°)に限定するものでなく、所定の角度(例えば、2×α以内)で傾斜するようにしてもよい。このようにすることで、映像光の第1傾斜面30aへの入光を妨げることなく、より効率よくゴーストが生じてしまうのを抑制することができる。
【0040】
(4)上述の実施形態において、導光板20は、第1全反射面20bと映像光が入光する面とを同一面内に形成する例を示したが、これに限定されるものでなく、第1全反射面と映像光が入光する面とが相違する面として形成されていてもよい。
また、上述の実施形態において、導光板20は、第1全反射面20bと映像光が出光する出光面とを同一面内に形成する例を示したが、これに限定されるものでなく、第1全反射面と映像光が出光する面とが相違する面として形成されていてもよい。