特許第6027204号(P6027204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6027204
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】三次元計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20161107BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20161107BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G01B11/25 H
   H05K3/00 Q
   H05K3/34 512B
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-197516(P2015-197516)
(22)【出願日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年6月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】今枝 昭弘
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−281665(JP,A)
【文献】 特開2014−055815(JP,A)
【文献】 特開2013−167464(JP,A)
【文献】 特開2012−053015(JP,A)
【文献】 特開2010−164424(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0206204(US,A1)
【文献】 HUI, Tak-Wai,3-D Measurement of Solder Paste Using Two-Step Phase Shift Profilometry,IEEE Transactions on Electronics Packaging Manufacturing,2008年10月,Vol. 31, No. 4,pp. 306-315
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縞状の光強度分布を有する光パターンを被計測物に対し照射可能な照射手段と、
前記光パターンの照射された前記被計測物上の所定の計測領域を撮像可能な撮像手段と、
前記照射手段及び前記撮像手段を制御し、前記光パターンの位相を複数通りに変化させ、該各光パターンの下でそれぞれ撮像した前記計測領域に係る複数通りの画像を取得可能に構成されると共に、前記計測領域について取得すべき画像数を前記計測領域に応じて変更可能な画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された画像を基に、位相シフト法により前記計測領域内における計測対象について三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記画像取得手段は、
前記計測領域内に所定の判定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、第1所定数通りとして4通り又は3通りの位相で光パターンを照射し撮像した4通り又は3通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第1所定数よりも少ない第2所定数通りとして2通りの位相で光パターンを照射し撮像した2通りの画像を取得するものであり、
さらに、前記画像処理手段は、
所定の撮像条件により定まるゲイン及びオフセットの関係と、
前記画像上の各画素の輝度値から定まる該画素に係るゲイン又はオフセットの値とを利用することにより、
位相シフト法による三次元計測を、2通りの画像を基に実行可能としたことを特徴とする三次元計測装置。
【請求項2】
縞状の光強度分布を有する光パターンを被計測物に対し照射可能な照射手段と、
前記光パターンの照射された前記被計測物上の所定の計測領域を撮像可能な撮像手段と、
前記照射手段及び前記撮像手段を制御し、前記光パターンの位相を複数通りに変化させ、該各光パターンの下でそれぞれ撮像した前記計測領域に係る複数通りの画像を取得可能に構成されると共に、前記計測領域について取得すべき画像数を前記計測領域に応じて変更可能な画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された画像を基に、位相シフト法により前記計測領域内における計測対象について三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記画像取得手段は、
前記計測領域内に所定の判定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、第1所定数通りの位相で光パターンを照射し撮像した前記第1所定数通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第1所定数よりも少ない第2所定数通りの位相で光パターンを照射し撮像した前記第2所定数通りの画像を取得するものであり、
特に、前記計測領域内に前記判定条件のうちの特定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、前記第1所定数通りとして4通りの位相で光パターンを照射し撮像した4通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれているが、前記特定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第1所定数通りとして3通りの位相で光パターンを照射し撮像した3通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第2所定数通りとして2通りの位相で光パターンを照射し撮像した2通りの画像を取得し、
さらに、前記画像処理手段は、
所定の撮像条件により定まるゲイン及びオフセットの関係と、
前記画像上の各画素の輝度値から定まる該画素に係るゲイン又はオフセットの値とを利用することにより、
位相シフト法による三次元計測を、2通りの画像を基に実行可能としたことを特徴とする三次元計測装置。
【請求項3】
前記画像取得手段が前記第1所定数通りの画像を取得した場合において、
前記画像処理手段は、
前記計測領域内における前記判定条件を満たす前記計測対象については、前記第1所定数通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記計測領域内における前記判定条件を満たさない計測対象については、前記第2所定数通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元計測装置。
【請求項4】
外部操作に基づき前記判定条件を設定可能な条件設定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項5】
前記条件設定手段により設定した前記判定条件の下で前記被計測物の計測にかかる予定時間を表示可能な予定時間表示手段を備えていることを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項6】
前記ゲイン及びオフセットの関係は、前記ゲインと前記オフセットとが相互に一義的に定まる関係であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項7】
前記ゲイン及びオフセットの関係は、前記ゲインと前記オフセットとが比例関係であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項8】
前記2通りの画像に係る光パターンの相対位相関係をそれぞれ0、γとしたときの該2通りの画像の各画素の輝度値をそれぞれV0、V1とした場合に、
前記画像処理手段は、
下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たす位相θを求め、該位相θに基づき三次元計測を行うことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の三次元計測装置。
V0=Asinθ+B ・・・(1)
V1=Asin(θ+γ)+B ・・・(2)
A=KB ・・・(3)
但し、γ≠0、A:ゲイン、B:オフセット、K:比例定数。
【請求項9】
γ=180°としたことを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項10】
γ=90°としたことを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項11】
予め前記ゲイン及びオフセットの関係を把握する関係把握手段を備えていることを特徴とする請求項乃至10のいずれかに記載の三次元計測装置。
【請求項12】
前記計測対象は、前記被計測物としてのプリント基板に印刷されたクリーム半田であること、又は、前記被計測物としてのウエハ基板に形成された半田バンプであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の三次元計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相シフト法を利用して三次元計測を行う三次元計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント基板上に電子部品を実装する場合、まずプリント基板上に配設された所定の電極パターン上にクリーム半田が印刷される。次に、該クリーム半田の粘性に基づいてプリント基板上に電子部品が仮止めされる。その後、前記プリント基板がリフロー炉へ導かれ、所定のリフロー工程を経ることで半田付けが行われる。昨今では、リフロー炉に導かれる前段階においてクリーム半田の印刷状態を検査する必要があり、かかる検査に際して三次元計測装置が用いられることがある。
【0003】
近年、光を用いたいわゆる非接触式の三次元計測装置が種々提案されており、例えば位相シフト法を用いた三次元計測装置に関する技術が提案されている。
【0004】
該位相シフト法を利用した三次元計測装置においては、所定の光を発する光源と、該光源からの光を正弦波状(縞状)の光強度分布を有する光パターンに変換する格子との組み合わせからなる照射手段により、光パターンをプリント基板(被計測物)に照射する。そして、基板上の点を真上に配置した撮像手段を用いて観測する。撮像手段としては、レンズ及び撮像素子等からなるCCDカメラ等が用いられる。
【0005】
上記構成の下、撮像手段により撮像された画像データ上の各画素の光の強度(輝度)Iは下式(U1)で与えられる。
【0006】
I=f・sinφ+e ・・(U1)
但し、f:ゲイン、e:オフセット、φ:光パターンの位相。
【0007】
ここで、上記格子を移送又は切替制御することにより、光パターンの位相を例えば4段階(φ+0、φ+90°、φ+180°、φ+270°)に変化させ、これらに対応する強度分布I0、I1、I2、I3をもつ画像データを取り込み、下記式(U2)に基づいてf(ゲイン)とe(オフセット)をキャンセルし、位相φを求める。
【0008】
φ=tan-1[(I1−I3)/(I2−I0)] ・・(U2)
そして、この位相φを用いて、三角測量の原理に基づきプリント基板上の各座標(X,Y)における高さ(Z)が求められる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
これに対し、近年では、上述した4回撮像方式に代えて、光パターンの位相を3段階に変化させ、3通りの画像データから位相φを取得する3回撮像方式も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−280945号公報
【特許文献2】特開2002−81924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、4回撮像方式は、より多くの画像データを基に計測を行うため、高精度な計測が可能である反面、計測(特に画像データの取得など)に時間がかかる。逆に、3回撮像方式は、計測時間が短くなる一方、比較的サイズの小さいクリーム半田(計測対象)について計測精度が不足する場合もある。
【0012】
そのため、高精度の計測を必要とする比較的サイズの小さいクリーム半田を含むプリント基板の検査などにおいては、計測により多くの時間を要していた。
【0013】
例えば、所定の計測領域(撮像領域)につき、1回の撮像にかかる時間をそれぞれ[10msec]、1回の格子の切替等にかかる時間をそれぞれ[20msec]と仮定した場合には、所定の計測領域に係る全ての撮像処理(最後の撮像処理)が終了するまでに必要な時間は、4回撮像方式の場合、図8(a)に示すように、〔撮像処理に要する時間[10ms]×4回〕+〔格子の切替等に要する時間[20ms]×3回〕=合計[100msec]となる。一方、3回撮像方式の場合には、図8(b)に示すように、〔撮像処理に要する時間[10ms]×3回〕+〔格子の切替等に要する時間[20ms]×2回〕=合計[70msec]となる。
【0014】
勿論、一枚のプリント基板上に計測領域が多数設定されているような場合には、該一枚のプリント基板の計測に要する時間はそれぞれその数倍となる。
【0015】
尚、上記課題は、必ずしもプリント基板上に印刷されたクリーム半田等の高さ計測に限らず、他の三次元計測装置の分野においても内在するものである。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、位相シフト法を利用した三次元計測を行うにあたり、必要な計測精度を維持しつつ、計測速度の向上を図ることのできる三次元計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0018】
手段1.縞状の光強度分布を有する光パターンを被計測物(例えばプリント基板など)に対し照射可能な照射手段と、
前記光パターンの照射された前記被計測物上の所定の計測領域(計測エリア)を撮像可能な撮像手段と、
前記照射手段及び前記撮像手段を制御し、前記光パターンの位相を複数通りに変化させ、該各光パターンの下でそれぞれ撮像した前記計測領域に係る複数通りの画像(画像データ)を取得可能に構成されると共に、前記計測領域について取得(撮像)すべき画像数を前記計測領域に応じて変更可能な画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された画像を基に、位相シフト法により前記計測領域内における計測対象(例えばクリーム半田など)について三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備え、
前記画像取得手段は、
前記計測領域内に所定の判定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、第1所定数通り(例えば4通り)の位相で光パターンを照射し撮像した前記第1所定数通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第1所定数よりも少ない第2所定数通り(例えば3通り)の位相で光パターンを照射し撮像した前記第2所定数通りの画像を取得することを特徴とする三次元計測装置。
【0019】
一般に、三次元計測装置によって計測されるプリント基板上には、大きさの異なる種々のクリーム半田が印刷されており、その種類や配置は各計測領域ごとに様々である。つまり、高精度の計測を必要とする比較的サイズの小さいクリーム半田を含むプリント基板であっても、高精度の計測を必要としない計測領域は存在し得る。
【0020】
それにも拘らず、従来では、プリント基板上に設定された全ての計測領域について、予め設定された同一の撮像方式(例えば高精度の計測を行う場合には4回撮像方式、計測精度をそれほど必要とせず、より短い時間で計測を行う場合には3回撮像方式)によって画一的に計測を行っていた。
【0021】
これに対し、上記手段1によれば、所定の判定条件(例えば大きさが所定値未満)を満たす計測対象を含む計測領域については、第1所定数通り(例えば4通り)の画像を基により高精度に三次元計測を実行する一方、それ以外の計測領域については、前記第1所定数よりも少ない第2所定数通り(例えば3通り)の画像を基により短時間に三次元計測を実行することができる。
【0022】
結果として、位相シフト法を利用した三次元計測を行うにあたり、所定の判定条件を満たす計測対象(高精度の計測を必要とする計測対象)に必要な計測精度を維持しつつ、計測速度の向上を図ることができる。
【0023】
尚、上記「所定の判定条件」には、計測対象の大きさが所定値未満であること(例えば「面積」、「体積」、「周囲長」又は「短辺長」が所定値未満であること)や、計測対象が所定の属性に属するものであること(例えば計測対象となるクリーム半田に対し実装される部品の品種が所定の品種であること)などが含まれる。尚、計測領域内に所定の判定条件を満たす計測対象が含まれているか否かの判定は、所定の記憶手段に予め記憶された被計測物に係る設計データ(ガーバデータ等)を基に行うことができる。
【0024】
手段2.前記画像取得手段が前記第1所定数通り(例えば4通り)の画像を取得した場合において、
前記画像処理手段は、
前記計測領域内における前記判定条件を満たす前記計測対象については、前記第1所定数通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記計測領域内における前記判定条件を満たさない計測対象については、前記第2所定数通り(例えば3通り)の画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行うことを特徴とする手段1に記載の三次元計測装置。
【0025】
上記手段2によれば、所定の判定条件を満たさない計測対象(計測精度をそれほど必要としない計測対象)については、より少ない画像を基により短時間で三次元計測を行うことができる。結果として、計測速度のさらなる向上を図ることができる。
【0026】
また、第1所定数通り(例えば4通り)の画像を取得した場合における「所定の判定条件を満たさない計測対象」についての計測精度と、第2所定数通り(例えば3通り)の位相で光パターンを照射し撮像した第2所定数通りの画像を基に三次元計測を行った場合における「所定の判定条件を満たさない計測対象」についての計測精度とを同等にすることができる。
【0027】
手段3.外部操作に基づき前記判定条件を設定可能な条件設定手段を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の三次元計測装置。
【0028】
上記手段3によれば、所定の判定条件を任意に設定することができ、利便性及び汎用性の向上を図ることができる。
【0029】
手段4.前記条件設定手段により設定した前記判定条件の下で前記被計測物の計測にかかる予定時間を表示可能な予定時間表示手段を備えていることを特徴とする手段3に記載の三次元計測装置。
【0030】
上記手段4によれば、作業者が求める計測時間や計測精度を満たす最適な判定条件を見付けるために、事前に何度も三次元計測装置を実際に稼働させる必要がない。結果として、利便性の向上を図ることができる。
【0031】
手段5.前記画像取得手段は、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、前記第1所定数通りとして4通り又は3通りの位相で光パターンを照射し撮像した4通り又は3通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第2所定数通りとして2通りの位相で光パターンを照射し撮像した2通りの画像を取得することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0032】
上記手段5によれば、所定の判定条件を満たさない計測対象(計測精度をそれほど必要としない計測対象)については、より少ない画像を基により短時間で三次元計測を行うことができる。結果として、計測速度のさらなる向上を図ることができる。
【0033】
手段6.前記画像取得手段は、
前記計測領域内に前記判定条件のうちの特定条件を満たす前記計測対象が含まれている場合には、前記第1所定数通りとして4通りの位相で光パターンを照射し撮像した4通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれているが、前記特定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第1所定数通りとして3通りの位相で光パターンを照射し撮像した3通りの画像を取得し、
前記計測領域内に前記判定条件を満たす前記計測対象が含まれていない場合には、前記第2所定数通りとして2通りの位相で光パターンを照射し撮像した2通りの画像を取得することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0034】
上記手段6によれば、上記手段5の作用効果に加え、さらに細かく計測対象の違いに対応することができ、さらなる計測速度の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、上記手段2の構成下における手段6では、
「前記画像取得手段が4通りの画像を取得した場合において、
前記画像処理手段は、
前記計測領域内における前記特定条件を満たす前記計測対象については、4通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記計測領域内における前記特定条件を満たさずかつ前記判定条件を満たす前記計測対象については、3通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記計測領域内における前記判定条件を満たさない計測対象については、2通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記画像取得手段が3通りの画像を取得した場合において、
前記画像処理手段は、
前記計測領域内における前記判定条件を満たす前記計測対象については、3通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行い、
前記計測領域内における前記判定条件を満たさない計測対象については、2通りの画像を基に、位相シフト法により三次元計測を行うこと」とすれば、さらなる計測精度の向上を図ることができる。
【0036】
手段7.前記画像処理手段は、
所定の撮像条件により定まるゲイン及びオフセットの関係と、
前記画像上の各画素の輝度値から定まる該画素に係るゲイン又はオフセットの値とを利用することにより、
位相シフト法による三次元計測を、2通りの画像を基に実行可能としたことを特徴とする手段5又は6に記載の三次元計測装置。
【0037】
上記手段7によれば、所定の撮像条件により定まるゲインA及びオフセットBの関係〔例えばA=K(比例定数)×B〕と、画像上の各画素(x,y)の輝度値V(x,y)から定まる、該画素(x,y)に係るゲインA(x,y)又はオフセットB(x,y)の値とを利用することにより、2通りの画像を基に位相シフト法により三次元計測を行うことが可能となる。
【0038】
これにより、4通り又は3通りの画像を必要とする従来技術に比べて、計測時間を飛躍的に短縮することができる。
【0039】
一般に上記「照射手段」は、所定の光を発する光源、及び、該光源からの光を縞状の光強度分布を有する光パターンに変換する格子を有し、該光パターンを被計測物に対し照射可能に構成されている。
【0040】
そして、光源から照射された光は、まず格子を通過する際に減衰され、次に被計測物(計測対象)にて反射する際に減衰され、最後に撮像手段においてA/D変換(アナログ−デジタル変換)される際に減衰された上で、画像の各画素の輝度値として取得される。
【0041】
従って、撮像手段により撮像された画像の各画素の輝度値は、光源の明るさ(輝度)、光源から照射された光が格子を通過する際の減衰率、光が被計測物にて反射する際の反射率、撮像手段においてA/D変換(アナログ−デジタル変換)される際の変換効率等を掛け合わせることにより表現することができる。
【0042】
例えば、光源(均一光)の明るさ:L
格子の透過率:G=αsinθ+β
α,βは任意の定数。
【0043】
被計測物上の座標 (x,y)における反射率:R(x,y)
撮像手段(撮像素子)の各画素の変換効率:E
被計測物上の座標(x,y)に対応する画像上の画素の輝度値:V(x,y)
被計測物上の座標(x,y)における光パターンのゲイン:A(x,y)
被計測物上の座標(x,y)における光パターンのオフセット:B(x,y)
とした場合には、下記式(F1)で表すことができる。
【0044】
【数1】
【0045】
ここで、ゲインA(x,y)は、「sinθ=1」の光による輝度値V(x,y)MAXと、「sinθ=−1」の光による輝度値V(x,y)MINとの差から表すことができるので、
例えば、格子がθ=0の時の透過率(=平均透過率):Gθ=0
格子がθ=π/2の時の透過率(=最大透過率):Gθ=π/2
格子がθ=−π/2の時の透過率(=最小透過率):Gθ=-π/2
とした場合には、下記式(F2)で表すことができる。
【0046】
【数2】
【0047】
また、オフセットB(x,y)は、「sinθ=0」の光における輝度値V(x,y)であって、「sinθ=1」の光による輝度値V(x,y) MAXと、「sinθ=−1」の光による輝度値V(x,y) MINとの平均値であるので、下記式(F3)で表すことができる。
【0048】
【数3】
【0049】
つまり、輝度値の最大値V(x,y)MAX、最小値V(x,y)MIN、平均値V(x,y)AVはそれぞれ下記式(F4)、(F5)、(F6)で表すことができ、図3のグラフに示すような関係となる。
【0050】
【数4】
【0051】
図3から見てとれるように、所定の座標(x,y)における輝度値の最大値V(x,y)MAXと輝度値の最少値V(x,y)MINの平均値V(x,y)AVがオフセットB(x,y)となり、該オフセットB(x,y)と最大値V(x,y)MAXとの差、及び、該オフセットB(x,y)と最少値V(x,y)MINとの差がそれぞれゲインA(x,y)となる。
【0052】
また、輝度値V(x,y)は、光源の明るさL又は反射率R(x,y)に比例して変化するため、例えば反射率Rが半分となる座標位置では、ゲインAやオフセットBの値も半分となる。
【0053】
次に上記式(F2)、(F3)を下記式(F2´)、(F3´)とした上で、両者を合わせて整理すると、下記式(F7)が導き出せる。
【0054】
【数5】
【0055】
さらに、上記式(F7)をA(x,y)について解くと、下記式(F8)となり、図4に示すグラフのように表すことができる。
【0056】
【数6】
【0057】
つまり、光源の明るさL又は反射率R(x,y)の一方を固定して他方を変化させた場合には、オフセットB(x,y)が増減すると共に、該オフセットB(x,y)に比例してゲインA(x,y)も増減することとなる。かかる式(F8)により、ゲインA又はオフセットBの一方が分かれば、他方を求めることができる。ここで、比例定数Kは、光源の明るさLや反射率Rとは無関係に、格子の透過率Gにより定まる。つまり、下記の手段8,9のように換言することができる。
【0058】
手段8.前記ゲイン及びオフセットの関係は、前記ゲインと前記オフセットとが相互に一義的に定まる関係であることを特徴とする手段7に記載の三次元計測装置。
【0059】
ゲインAとオフセットBとが相互に一義的に定まる関係であれば、例えばゲインAとオフセットBとの関係を表した数表やテーブルデータを作成することにより、ゲインAからオフセットB、或いは、オフセットBからゲインAを求めることが可能となる。
【0060】
手段9.前記ゲイン及びオフセットの関係は、前記ゲインと前記オフセットとが比例関係であることを特徴とする手段7に記載の三次元計測装置。
【0061】
ゲインとオフセットとが比例関係であれば、例えばA=K×B+C〔但し、C:カメラの暗電流(オフセット)〕のような関係式で表すことができ、ゲインAからオフセットB、或いは、オフセットBからゲインAを求めることが可能となる。ひいては下記の手段10のような構成とすることができる。
【0062】
手段10.前記2通りの画像に係る光パターンの相対位相関係をそれぞれ0、γとしたときの該2通りの画像の各画素の輝度値をそれぞれV0、V1とした場合に、
前記画像処理手段は、
下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たす位相θを求め、該位相θに基づき三次元計測を行うことを特徴とする手段7乃至9のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0063】
0=Asinθ+B ・・・(1)
1=Asin(θ+γ)+B ・・・(2)
A=KB ・・・(3)
但し、γ≠0、A:ゲイン、B:オフセット、K:比例定数。
【0064】
上記手段10によれば、上記式(3)を上記式(1)に代入することにより、下記式(4)を導き出すことができる。
【0065】
0=KBsinθ+B ・・・(4)
これをオフセットBについて解くと、下記式(5)を導き出すことができる。
【0066】
B=V0/(Ksinθ+1) ・・・(5)
また、上記式(3)を上記式(2)に代入することにより、下記式(6)を導き出すことができる。
【0067】
1=KBsin(θ+γ)+B ・・・(6)
上記式(6)を上記式(5)に代入し、下記[数7]に示すように整理していくと、下記式(7)を導き出すことができる。
【0068】
【数7】
【0069】
ここで、「V0cosγ−V1=a」、「V0sinγ=b」、「(V0−V1)/K=c」と置くと、上記式(7)は下記式(8)のように表すことができる。
【0070】
asinθ+bcosθ+c=0 ・・・(8)
ここで、下記[数8]に示すように、上記式(8)を位相θについて解いていくと、下記[数9]に示す下記式(9)を導き出すことができる。
【0071】
【数8】
【0072】
【数9】
【0073】
従って、上記手段10における『下記式(1)、(2)、(3)の関係を満たす位相θを求め、該位相θに基づき三次元計測を行うこと』とあるのは、『下記式(9)に基づき位相θを求め、該位相θに基づき三次元計測を行うこと』と換言することができる。勿論、位相θを得るアルゴリズムは、上記式(9)に限定されるものではなく、上記式(1)、(2)、(3)の関係を満たすものであれば、他の構成を採用してもよい。
【0074】
尚、上述したカメラの暗電流C等を考慮すれば、計測精度のさらなる向上を図ることができる。
【0075】
手段11.γ=180°としたことを特徴とする手段10に記載の三次元計測装置。
【0076】
上記手段11によれば、位相が180°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像を基に三次元計測を行うこととなる。
【0077】
上記式(2)においてγ=180°とすることで下記式(10)が導き出される。
【0078】
1=Asin(θ+180°)+B
=−Asinθ+B ・・・(10)
そして、上記式(1),(10)から下記式(11)を導き出すことができ、これをオフセットBについて解くと、下記式(12)を導き出すことができる。
【0079】
0+V1=2B ・・・(11)
B=(V0+V1)/2 ・・・(12)
さらに、上記式(12)を上記式(3)に代入することにより、下記式(13)を導き出すことができる。
【0080】
A=KB
=K(V0+V1)/2 ・・・(13)
また、上記式(1)を「sinθ」について整理すると、下記式(1´)のようになる。
【0081】
sinθ=(V0−B)/A ・・・(1´)
そして、上記式(1´)に、上記式(12),(13)を代入することにより、下記式(14)を導き出すことができる。
【0082】
sinθ={V0−(V0+V1)/2}/{K(V0+V1)/2}
=(V0−V1)/K(V0+V1) ・・・(14)
ここで、上記式(14)を位相θについて解くと、下記式(15)を導き出すことができる。
【0083】
θ=sin-1[(V0−V1)/K(V0+V1)] ・・・(15)
つまり、位相θは、既知の輝度値V0,V1及び定数Kにより特定することができる。
【0084】
このように、上記手段11によれば、比較的簡単な演算式に基づいて位相θを求めることができ、計測対象の三次元計測を行うに際し、さらなる処理の高速化が可能となる。
【0085】
手段12.γ=90°としたことを特徴とする手段10に記載の三次元計測装置。
【0086】
上記手段12によれば、位相が90°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像を基に三次元計測を行うこととなる。
【0087】
上記式(2)においてγ=90°とすることで下記式(16)が導き出される。
【0088】
1=Asin(θ+90°)+B
=Acosθ+B ・・・(16)
上記式(16)を「cosθ」について整理すると、下記式(17)のようになる。
【0089】
cosθ=(V1−B)/A ・・・(17)
また、上記式(1)を「sinθ」について整理すると、上述したように下記式(1´)のようになる。
【0090】
sinθ=(V0−B)/A ・・・(1´)
次に上記式(1´)、(17)を下記式(18)に代入すると下記式(19)のようになり、さらにこれを整理することで、下記式(20)が導き出される。
【0091】
sin2θ+cos2θ=1 ・・・(18)
{(V0−B)/A}2+{(V1−B)/A}2=1 ・・・(19)
(V0−B)2+(V1−B)2=A2 ・・・(20)
そして、上記式(20)に対し上記式(3)を代入すると下記式(21)のようになり、さらにこれを整理することで、下記式(22)が導き出される。
【0092】
(V0−B)2+(V1−B)2=K22 ・・・(21)
(2−K2)B2−2(V0+V1)B+V0212=0 ・・・(22)
ここで、上記式(22)をオフセットBについて解くと、下記式(23)を導き出すことができる。
【0093】
【数10】
【0094】
つまり、オフセットBは、既知の輝度値V0,V1及び定数Kにより特定することができる。
【0095】
また、下記式(24)に上記式(1´)、(17)を代入すると下記式(25)のようになり、さらにこれを整理することで、下記式(26)が導き出される。
【0096】
tanθ=sinθ/cosθ ・・・(24)
={(V0−B)/A}/{(V1−B)/A} ・・・(25)
=(V0−B)/(V1−B) ・・・(26)
そして、上記式(26)を位相θについて解くと、下記式(27)を導き出すことができる。
【0097】
θ=tan-1{(V0−B)/(V1−B)} ・・(27)
つまり、位相θは、上記式(23)を用いることにより、既知の輝度値V0,V1及び定数Kにより特定することができる。
【0098】
このように、上記手段12によれば、「tan-1」を用いた演算式に基づいて位相θを求めることができるため、−180°〜180°の360°の範囲で三次元計測可能となり、計測レンジをより大きくすることができる。
【0099】
手段13.予め前記ゲイン及びオフセットの関係を把握する関係把握手段を備えていることを特徴とする手段7乃至12のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0100】
関係把握手段としては、例えば予めキャリブレーションによりゲイン及びオフセットの関係を把握する構成が挙げられる。例えば基準板に対し3通り又は4通りに位相変化させた光パターンを照射し、これらの下でそれぞれ撮像した3通り又は4通りの画像に基づき各画素におけるゲインA及びオフセットBを特定し、上記式(3)から定数Kを決定しておく。かかる構成によれば、各画素においてより精度の良い計測を行うことができる。
【0101】
また、関係把握手段としては、例えば別途行った計測時(実測時)に撮像した画像を基にゲイン及びオフセットの関係を把握する構成が挙げられる。かかる構成によれば、キャリブレーションの手間を省略することができ、さらなる計測時間の短縮化を図ることができる。
【0102】
ここで、上記「別途行った計測時に撮像した画像」には、例えば4通り又は3通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した4通り又は3通りの画像は勿論のこと、2通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像も含まれる。
【0103】
尚、2通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像を基にゲイン及びオフセットの関係を把握する場合には、例えば上記式(12)等を用いて画像の全画素についてオフセットBを求め、その中でオフセットBの値が一致する画素の輝度値Vを抽出し、そのヒストグラムを作成する。そして、そのヒストグラムから輝度値の最大値VMAXと最小値VMINを決定する。
【0104】
上述したとおり、輝度値の最大値VMAXと最少値VMINの平均値がオフセットBとなり、最大値VMAXと最少値VMINの差の半分がゲインAとなる。これを基に、上記式(3)から定数Kを決定することができる。
【0105】
手段14.前記計測対象は、前記被計測物としてのプリント基板に印刷されたクリーム半田であること、又は、前記被計測物としてのウエハ基板に形成された半田バンプであることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0106】
上記手段14によれば、プリント基板に印刷されたクリーム半田、又は、ウエハ基板に形成された半田バンプの高さ計測等を行うことができる。ひいては、クリーム半田又は半田バンプの検査において、その計測値に基づいてクリーム半田又は半田バンプの良否判定を行うことができる。従って、かかる検査において、上記各手段の作用効果が奏されることとなり、精度よく良否判定を行うことができる。結果として、半田印刷検査装置又は半田バンプ検査装置における検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1】基板検査装置を模式的に示す概略斜視図である。
図2】基板検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】光源の明るさ又は反射率と輝度値との関係を示すグラフである。
図4】ゲインとオフセットの関係を示すグラフである。
図5】条件設定画面を示す図である。
図6】検査ルーチンを示すフローチャートである。
図7】クリーム半田や検査エリアの配置関係等を説明するためのプリント基板の一態様例を示す模式図である。
図8】(a)〜(c)は、カメラ及び照明装置の処理動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9】各データ区間に含まれる輝度値の数の分布を表した分布表である。
図10】各データ区間に含まれる輝度値の数の分布を表したヒストグラムである。
図11】別の実施形態における条件設定画面を示す図である。
図12】別の実施形態における条件設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
〔第1実施形態〕
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態における三次元計測装置を具備する基板検査装置1を模式的に示す概略構成図である。同図に示すように、基板検査装置1は、計測対象たるクリーム半田が印刷されてなる被計測物としてのプリント基板2を載置するための載置台3と、プリント基板2の表面に対し斜め上方から所定の光パターンを照射する照射手段としての照明装置4と、プリント基板2上の光パターンの照射された部分(すなわち当該部分からの反射光)を撮像するための撮像手段としてのカメラ5と、照明装置4やカメラ5の駆動制御など基板検査装置1内における各種制御や画像処理、演算処理を実施するための制御装置6とを備えている。制御装置6は、本実施形態における画像取得手段及び画像処理手段を構成する。
【0109】
載置台3には、モータ15,16が設けられており、該モータ15,16が制御装置6により駆動制御されることによって、載置台3上に載置されたプリント基板2が任意の方向(X軸方向及びY軸方向)へスライドさせられるようになっている。
【0110】
照明装置4は、所定の光を発する光源4aと、当該光源4aからの光を正弦波状(縞状)の光強度分布を有する光パターンに変換する液晶格子4bとを備えており、プリント基板2に対し、斜め上方から複数通りに位相変化する縞状の光パターンを照射可能となっている。
【0111】
より詳しくは、照明装置4において、光源4aから発せられた光は光ファイバーにより一対の集光レンズに導かれ、そこで平行光にされる。その平行光が、液晶格子4bを介して投影レンズに導かれる。そして、投影レンズからプリント基板2に対し縞状の光パターンが照射される。
【0112】
液晶格子4bは、一対の透明基板間に液晶層が形成されると共に、一方の透明基板上に配置された共通電極と、これと対向するように他方の透明基板上に複数並設された帯状電極とを備え、駆動回路により、各帯状電極にそれぞれ接続されたスイッチング素子(薄膜トランジスタ等)をオンオフ制御し、各帯状電極に印加される電圧を制御することにより、各帯状電極に対応する各格子ラインの光透過率が切替えられ、光透過率の高い「明部」と、光透過率の低い「暗部」とからなる縞状の格子パターンを形成する。そして、液晶格子4bを介してプリント基板2上に照射される光は、回折作用に起因したボケ等により、正弦波状の光強度分布を有する光パターンとなる。尚、液晶格子4bにおける格子態様は制御装置6(格子制御手段)により切替制御される。
【0113】
カメラ5は、レンズや撮像素子等からなる。撮像素子としては、CMOSセンサを採用している。勿論、撮像素子はこれに限定されるものではなく、例えばCCDセンサ等を採用してもよい。
【0114】
カメラ5によって撮像された画像データは、該カメラ5内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置6に入力され、後述する画像データ記憶装置24に記憶される。そして、制御装置6は、該画像データを基に、後述するような画像処理や検査処理等を実施する。
【0115】
次に、制御装置6の電気的構成について説明する。図2に示すように、制御装置6は、基板検査装置1全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース21(以下、「CPU等21」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置22、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置23、カメラ5により撮像された画像データを記憶するための画像データ記憶装置24、各種演算結果を記憶するための演算結果記憶装置25、ガーバデータ(設計データ)や後述するキャリブレーションデータなど各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置26を備えている。なお、これら各装置22〜26は、CPU等21に対し電気的に接続されている。
【0116】
次に、基板検査装置1よるプリント基板2の検査手順について詳しく説明する。まずはプリント基板2の検査を開始する前に行うキャリブレーションについて説明する。キャリブレーションは、光パターンのばらつき(位相分布)を把握するためのものである。
【0117】
液晶格子4bでは、各帯状電極に接続された各トランジスタの特性(オフセットやゲイン等)のばらつきにより、上記各帯状電極に印加される電圧にもばらつきが生じるため、同じ「明部」や「暗部」であっても、各帯状電極に対応する各ラインごとに光透過率(輝度レベル)がばらつくこととなる。その結果、被計測物上に照射される光パターンも正弦波状の理想的な光強度分布とならず、三次元計測結果に誤差が生じるおそれがある。
【0118】
そこで、予め光パターンのばらつき(位相分布)を把握しておく、いわゆるキャリブレーション等が行われる。
【0119】
キャリブレーションの手順としては、まずプリント基板2とは別に、高さ位置0、かつ、平面をなす基準面を用意する。基準面は、計測対象たるクリーム半田と同一色となっている。すなわち、クリーム半田と光パターンの反射率が等しくなっている。
【0120】
続いて上記基準面に対し光パターンを照射すると共に、その反射光をカメラ5により撮像することで、各座標の輝度値を含んだ画像データを得る。本実施形態では、キャリブレーションを行う際には、光パターンの位相を90°ずつシフトさせ、各光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを取得する。
【0121】
そして、制御装置6は、上記4通りの画像データから各画素(座標)における光パターンの位相θを算出し、これをキャリブレーションデータとして設定データ記憶装置26に記憶する。
【0122】
さらに本実施形態では、上記4通りの画像データから各画素における光パターンのゲインA及びオフセットB、並びに両者の関係を特定し(図3,4参照)、これをキャリブレーションデータとして設定データ記憶装置26に記憶する。
【0123】
ここで、ゲインA及びオフセットBを算出する手順についてより詳しく説明する。4通りの画像データの各画素における輝度値(V0,V1,V2,V3)と、ゲインA及びオフセットBとの関係は、下記式(H1)、(H2)、(H3)、(H4)により表すことができる。
【0124】
【数11】
【0125】
そして、4通りの画像データの輝度値(V0,V1,V2,V3)を加算し、上記式(H1)、(H2)、(H3)、(H4)を下記[数12]に示すように整理すると、下記式(H5)を導き出すことができる。
【0126】
【数12】
【0127】
また、上記式(H1)、(H3)から、下記式(H6)を導き出すことができる。
【0128】
【数13】
【0129】
また、上記式(H2)、(H4)から、下記式(H7)を導き出すことができる。
【0130】
【数14】
【0131】
そして、下記[数15]に示すように、上記式(H6)、(H7)を下記式(H8)に代入し、整理していくと、下記式(H9)を導き出すことができる。
【0132】
【数15】
【0133】
さらに、上記式(H5)、(H9)から導き出された下記式(H10)を基にゲインA及びオフセットBの比例定数Kを算出する。
【0134】
【数16】
【0135】
そして、上記のように算出された各画素における光パターンのゲインA、オフセットB、及び、比例定数Kをキャリブレーションデータとして設定データ記憶装置26に記憶する。勿論、比例定数Kのみをキャリブレーションデータとして記憶する構成としてもよい。従って、比例定数Kを決定する上記一連の処理機能により本実施形態における関係把握手段が構成される。
【0136】
尚、本実施形態では、位相が90°異なる4通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを基にキャリブレーションを行う構成となっているが、これに限らず、例えば位相の異なる3通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された3通りの画像データを基にキャリブレーションを行う構成としてもよい。
【0137】
また、キャリブレーションを行う際に、光源の輝度を変えて複数回行う構成としてもよい。かかる構成とすれば、下記式(28)に示すようなカメラ5の暗電流(オフセット)Cまで求めることができる。
【0138】
A=KB+C ・・・(28)
但し、A:ゲイン、B:オフセット、C:カメラの暗電流(オフセット)、K:比例定数。
【0139】
あるいは、ゲインAとオフセットBとの関係は、式として求めることなく、ゲインAとオフセットBとの関係を表した数表やテーブルデータを作成することにより、ゲインAからオフセットBあるいはオフセットBからゲインAを求めることが可能に構成しても良い。
【0140】
また、キャリブレーションに代えて、別途行った計測時(実測時)に、4通り(又は3通り)に位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した4通り(又は3通り)の画像データを利用してゲインAとオフセットBとの関係(比例定数K)を求める構成としても良い。
【0141】
次に、プリント基板2の検査を開始する前に行う条件設定処理について説明する。条件設定処理は、画像取得手段としての制御装置6が各検査エリア(計測領域)について取得(撮像)すべき画像データ数(撮像回数)を決定する際に参照する所定の判定条件を事前に設定するためのものである。従って、この条件設定処理を実行する制御装置6の機能(入力装置22や表示装置23を含む)により本実施形態における条件設定手段が構成されることとなる。
【0142】
後述するように、本実施形態では、ここで設定された判定条件を満たすクリーム半田が検査エリア内に含まれている場合には、第1所定数通りとして4通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した4通りの画像データを取得する一方、検査エリア内に前記判定条件を満たすクリーム半田が含まれていない場合には、第2所定数通りとして2通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像データを取得する構成となっている。
【0143】
本実施形態における条件設定処理は、表示装置23に表示される条件設定画面230(図5参照)を介して行われる。条件設定画面230には、判定条件として設定可能な複数の項目欄が設けられている。
【0144】
より詳しくは、クリーム半田に対し実装される電子部品が所定品種であることを判定条件の1つとして設定可能な「属性」項目欄231、クリーム半田の体積が所定値未満であることを判定条件の1つとして設定可能な「体積」項目欄232、クリーム半田の面積が所定値未満であることを判定条件の1つとして設定可能な「面積」項目欄233、クリーム半田の周囲長が所定値未満であることを判定条件の1つとして設定可能な「周囲長」項目欄234、クリーム半田の短辺長が所定値未満であることを判定条件の1つとして設定可能な「短辺長」項目欄235が設けられている。
【0145】
各項目欄231〜235には、その項目を選択するためのチェックボックス236が設けられている。本実施形態では、例えば「属性」及び「体積」といったように、同時に複数の項目を選択可能に構成されている。但し、本実施形態では、複数の項目(条件)を選択した場合には、いずれか1つの項目を満たせば、判定条件を満たす構成となっている(いわゆるOR条件)。勿論、これに代えて、複数の項目(条件)すべてを満たすことが判定条件を満たす構成としてもよい(いわゆるAND条件)。
【0146】
「属性」項目欄231には、判定条件となる電子部品の品種として、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−leaded)、SOT(Small Outline Transistor)、QFP(Quad Flat Package)、PLCC(Plastic leaded chip carrier)、BGA(Ball grid array)が挙げられている。勿論、判定条件となる電子部品の品種は、これらに限定されるものではなく、例えばLGA(Land grid array)など他の品種を判定条件として設定可能な構成としてもよい。
【0147】
また、「属性」項目欄231には、電子部品の各品種に対応して、これらの品種を選択するためのチェックボックス237が設けられている。ここでチェックボックス237にチェックを入れて選択した所定品種の電子部品が判定条件の1つとして設定され、設定データ記憶装置26に記憶されることとなる。
【0148】
尚、各品種のチェックボックス237は、「属性」項目欄231のチェックボックス236にチェックを入れ、該「属性」項目を選択することによりはじめて、チェックを入力可能(選択可能)となる。また、本実施形態では、例えば「SOP」及び「SOJ」といったように、同時に複数の品種を選択可能に構成されている。但し、本実施形態では、複数の品種(条件)を選択した場合には、いずれか1つの品種を満たせば、判定条件を満たす構成となっている(いわゆるOR条件)。
【0149】
一方、「体積」、「面積」、「周囲長」及び「短辺長」の各項目欄232〜235には、判定条件となる数値を入力するための入力欄238が設けられている。ここで入力欄238に入力した数値が判定条件の1つとして設定され、設定データ記憶装置26に記憶されることとなる。尚、各入力欄238は、それぞれ対応する各項目欄232〜235のチェックボックス236にチェックを入れ、該項目を選択することによりはじめて、数値入力可能(選択可能)となる。
【0150】
例えば、ここで『「体積」が「1mm3」未満』であることを判定条件として設定した場合には、『「体積」が「1mm3」未満』のクリーム半田が検査エリア内に含まれている場合、4回撮像方式により画像データが取得される一方、検査エリア内に『「体積」が「1mm3」未満』のクリーム半田が含まれていない場合には、2回撮像方式により画像データが取得されることとなる。
【0151】
次に、各検査エリアごとに行われる検査ルーチンについて、図6のフローチャートを参照して詳しく説明する。この検査ルーチンは、制御装置6(CPU等21)にて実行されるものである。
【0152】
制御装置6は、まずモータ15,16を駆動制御してプリント基板2を移動させ、カメラ5の視野をプリント基板2上の所定の検査エリアに合わせる。なお、検査エリアは、カメラ5の視野の大きさを1単位としてプリント基板2の表面を予め分割しておいた中の1つのエリアである。
【0153】
そして、ステップS101において、この検査エリア内に、上記条件設定処理にて設定した所定の判定条件(例えば体積が所定値未満)を満たすクリーム半田が含まれているか否かを判定する。ここでの判定は、予め記憶されたガーバデータを参照して行われる。
【0154】
ガーバデータには、例えばプリント基板2上に設けられたランド、及び、該ランド上に印刷される理想的なクリーム半田の位置、大きさ、形状などが記憶されると共に、これらランドやクリーム半田が属する電子部品の品種などが記憶されている。
【0155】
ここで、検査エリア内に、前記判定条件を満たすクリーム半田が含まれている場合には、ステップS102に移行し、かかる検査エリアについて4回撮像方式により画像データを取得する。すなわち4通りの位相で光パターンを照射し撮像した4通りの画像データを取得する。
【0156】
より詳しくは、制御装置6は、まず照明装置4の液晶格子4bを切替制御し、該液晶格子4bに形成される格子の位置を所定の基準位置(位相「0°」の位置)に設定する。
【0157】
液晶格子4bの切替設定が完了すると、制御装置6は、所定のタイミングTa1にて、位相「0°」の光パターンの下で1回目の撮像処理を開始する〔図8(a)参照〕。
【0158】
具体的には、照明装置4の光源4aを発光させ、光パターンの照射を開始すると共に、カメラ5を駆動制御して、該光パターンが照射された検査エリア部分の撮像を開始する。かかる撮像処理の手順は、後述する2〜4回目の撮像処理においても同様である。
【0159】
そして、制御装置6は、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTa2において、1回目の撮像処理を終了する。つまり、光パターンの照射を終了すると共に、該光パターンに係る1回目の撮像を終了する。ここで、カメラ5により撮像された画像データは、画像データ記憶装置24へ転送され記憶される(以下同様)。
【0160】
同時に、制御装置6は、タイミングTa2にて照明装置4の液晶格子4bの切替処理を開始する。具体的には、液晶格子4bに形成される格子の位置を基準位置(位相「0°」の位置)から、光パターンの位相が4分の1ピッチずれる位相「90°」の位置へ切替える処理を開始する。
【0161】
そして、制御装置6は、液晶格子4bの切替処理の開始(タイミングTa2)から所定時間(本実施形態では20msec)経過後のタイミングTa3において、該切替処理を終了する。
【0162】
液晶格子4bの切替処理の完了と同時に、制御装置6は、タイミングTa3にて位相「90°」の光パターンの下で2回目の撮像処理を開始し、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTa4において、2回目の撮像処理を終了する。
【0163】
2回目の撮像処理の終了と同時に、制御装置6は、タイミングTa4にて照明装置4の液晶格子4bの切替処理を開始する。具体的には、照明装置4の液晶格子4bに形成される格子の位置を位相「90°」の位置から、光パターンの位相が4分の1ピッチずれる位相「180°」の位置へ切替える処理を開始する。
【0164】
液晶格子4bの切替処理の完了と同時に、制御装置6は、タイミングTa5にて位相「180°」の光パターンの下で3回目の撮像処理を開始し、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTa6において、3回目の撮像処理を終了する。
【0165】
同時に、制御装置6は、タイミングTa6にて照明装置4の液晶格子4bの切替処理を開始する。具体的には、液晶格子4bに形成される格子の位置を位相「180°」の位置から、光パターンの位相が4分の1ピッチずれる位相「270°」の位置へ切替える処理を開始する。
【0166】
次に、制御装置6は、液晶格子4bの切替処理の開始(タイミングTa6)から所定時間(本実施形態では20msec)経過後のタイミングTa7において、該切替処理を終了する。
【0167】
液晶格子4bの切替処理の完了と同時に、制御装置6は、タイミングTa7にて位相「270°」の光パターンの下で4回目の撮像処理を開始し、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTa8において、4回目の撮像処理を終了する。
【0168】
このように、上記一連の撮像処理を行うことにより、4通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像された4画面分の画像データが取得される。
【0169】
一方、ステップS101において、検査エリア内に前記判定条件を満たすクリーム半田が含まれていないと判別された場合には、ステップS103に移行し、かかる検査エリアについて2回撮像方式により画像データを取得する。すなわち2通りの位相で光パターンを照射し撮像した2通りの画像データを取得する。
【0170】
より詳しくは、制御装置6は、まず照明装置4の液晶格子4bを切替制御し、該液晶格子4bに形成される格子の位置を所定の基準位置(位相「0°」の位置)に設定する。
【0171】
液晶格子4bの切替設定が完了すると、制御装置6は、所定のタイミングTc1にて、位相「0°」の光パターンの下で1回目の撮像処理を開始する〔図8(c)参照〕。
【0172】
具体的には、照明装置4の光源4aを発光させ、光パターンの照射を開始すると共に、カメラ5を駆動制御して、該光パターンが照射された検査エリア部分の撮像を開始する。かかる撮像処理の手順は、後述する2回目の撮像処理においても同様である。
【0173】
そして、制御装置6は、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTc2において、1回目の撮像処理を終了する。つまり、光パターンの照射を終了すると共に、該光パターンに係る1回目の撮像を終了する。ここで、カメラ5により撮像された画像データは、画像データ記憶装置24へ転送され記憶される(以下同様)。
【0174】
同時に、制御装置6は、タイミングTc2にて照明装置4の液晶格子4bの切替処理を開始する。具体的には、液晶格子4bに形成される格子の位置を基準位置(位相「0°」の位置)から、光パターンの位相が2分の1ピッチずれる位相「180°」の位置へ切替える処理を開始する。
【0175】
そして、制御装置6は、液晶格子4bの切替処理の開始(タイミングTc2)から所定時間(本実施形態では20msec)経過後のタイミングTc3において、該切替処理を終了する。
【0176】
液晶格子4bの切替処理の完了と同時に、制御装置6は、タイミングTc3にて位相「180°」の光パターンの下で2回目の撮像処理を開始し、撮像開始から所定時間(本実施形態では10msec)経過後のタイミングTc4において、2回目の撮像処理を終了する。
【0177】
このように、上記一連の撮像処理を行うことにより、2通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像された2画面分の画像データが取得される。
【0178】
ここで具体例を挙げて説明する。例えば図7に例示するプリント基板2においては、所定の判定条件となるBGAやSOP、QFPなどの電子部品が実装される比較的サイズの小さいランド(図示略)に対応して比較的サイズの小さいクリーム半田Jsが印刷されると共に、抵抗やコンデンサ、トランジスタなどの電子部品が実装される比較的サイズの大きいランド(図示略)に対応して比較的サイズの大きいクリーム半田Jbが印刷されている。
【0179】
従って、かかるプリント基板2においては、所定の判定条件を満たす比較的サイズの小さいクリーム半田Jsのみが含まれる検査エリアW1、並びに、前記判定条件を満たす比較的サイズの小さいクリーム半田Js及び前記判定条件を満たさない比較的サイズの大きいクリーム半田Jbを含む検査エリアW2に関して、4回撮像方式により画像データが取得される。一方、前記判定条件を満たす比較的サイズの小さいクリーム半田Jsを含まず、前記判定条件を満たさない比較的サイズの大きいクリーム半田Jbのみを含む検査エリアW3,W4に関しては、2回撮像方式により画像データが取得される。
【0180】
そして、制御装置6は、ステップS104において、上記ステップS102又はステップS103にて取得した画像データを基に位相シフト法により三次元計測(高さ計測)を行う。
【0181】
まずステップS102において4通りの画像データを取得した場合について説明する。制御装置6は、位相シフト法により、上記4通りの画像データ(各画素の輝度値)から各画素に係る光パターンの位相θ1を算出する。
【0182】
ここで、上記4通りの画像データの各画素に係る輝度値V10,V11,V12,V13は、下記式(H1´)、(H2´)、(H3´)、(H4´)により表すことができる。
【0183】
【数17】
【0184】
上記式(H1´)、(H2´)、(H3´)、(H4´)を位相θ1について解くと、下記式(H11)を導き出すことができる。
【0185】
【数18】
【0186】
続いて、制御装置6は、上記のように算出された各画素の位相θ1と、上記設定データ記憶装置26に記憶したキャリブレーションデータ(キャリブレーションに基づく各画素の位相)とを比較して、同一の位相を有する画素のズレ量を算出し、三角測量の原理に基づき、検査エリアの各画素(x,y)に係る高さデータ(z)を算出し、かかる高さデータ(z)を演算結果記憶装置25に記憶する。
【0187】
例えば、被計測画素(x,y)における実測値(位相)が「10°」であった場合、該「10°」の値が、キャリブレーションにより記憶したデータ上のどの位置にあるかを検出する。ここで、被計測画素(x,y)よりも3画素隣りに「10°」が存在していれば、それは光パターンの縞が3画素ずれたことを意味する。そして、光パターンの照射角度と、光パターンの縞のズレ量を基に、三角測量の原理により、被計測画素(x,y)の高さデータ(z)を求めることができる。
【0188】
次にステップS103において2通りの画像データを取得した場合について説明する。制御装置6は、位相シフト法により、上記2通りの画像データ(各画素の輝度値)と、上記設定データ記憶装置26に記憶したキャリブレーションデータ(キャリブレーションに基づく各画素の比例定数K)とを基に、各画素に係る光パターンの位相θ2を算出する。
【0189】
ここで、上記2通りの画像データの各画素に係る輝度値V20,V21とした場合、各画素に係る光パターンの位相θ2は、上記式(15)に基づき、下記式(H12)により表すことができる。
【0190】
θ2=sin-1[(V20−V21)/K(V20+V21)] ・・・(H12)
但し、K:比例定数。
【0191】
続いて、制御装置6は、上記同様、このように算出された各画素の位相θ2と、上記設定データ記憶装置26に記憶したキャリブレーションデータ(キャリブレーションに基づく各画素の位相)とを比較して、同一の位相を有する画素のズレ量を算出し、三角測量の原理に基づき、検査エリアの各画素(x,y)に係る高さデータ(z)を算出し、かかる高さデータ(z)を演算結果記憶装置25に記憶する。
【0192】
次に、制御装置6は、ステップS105において、上記ステップS104の三次元計測結果(各座標における高さデータ)に基づき、クリーム半田の良否判定処理を行う。具体的に、制御装置6は、上記のように得られた検査エリアの計測結果に基づいて、基準面より高くなったクリーム半田の印刷範囲を検出し、この範囲内での各部位の高さを積分することにより、印刷されたクリーム半田の量を算出する。
【0193】
続いて、制御装置6は、このようにして求めたクリーム半田の位置、面積、高さ又は量等のデータを、予め設定データ記憶装置26に記憶されている基準データ(ガーバデータなど)と比較判定し、この比較結果が許容範囲内にあるか否かによって、その検査エリアにおけるクリーム半田の印刷状態の良否を判定する。
【0194】
かかる処理が行われている間に、制御装置6は、モータ15,16を駆動制御してプリント基板2を次の検査エリアへと移動せしめ、以降、上記一連の処理が、全ての検査エリアで繰り返し行われることで、プリント基板2全体の検査が終了する。
【0195】
以上詳述したように、本実施形態によれば、所定の判定条件(例えば大きさが所定値未満)を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、4回撮像方式により画像データを取得し高精度に三次元計測を実行する一方、それ以外の検査エリアについては、2回撮像方式により画像データを取得することにより、短時間に三次元計測を実行することができる。
【0196】
結果として、位相シフト法を利用した三次元計測を行うにあたり、所定の判定条件を満たすクリーム半田(高精度の計測を必要とするクリーム半田)に必要な計測精度を維持しつつ、計測速度の向上を図ることができる。
【0197】
また、本実施形態では、所定の判定条件を満たすクリーム半田を含まない検査エリアについては、所定の撮像条件により定まるゲインA及びオフセットBの関係〔例えばA=K(比例定数)×B〕と、画像データ上の各画素(x,y)の輝度値V(x,y)から定まる、該画素(x,y)に係るゲインA(x,y)又はオフセットB(x,y)の値とを利用することにより、2回撮像方式により取得した画像データを基に位相シフト法により高さ計測を行う構成となっている。
【0198】
これにより、所定の検査エリアに係る全ての撮像処理(最後の撮像処理)が終了するまでに必要な時間をより短縮することができる。図8(c)に示すように、2回撮像方式の場合、所定の検査エリアに係る全ての撮像処理を終了するまでに必要な時間は、〔撮像処理に要する時間[10ms]×2回〕+〔液晶格子4bの切替処理に要する時間[20ms]×1回〕=合計[40msec]となる。
【0199】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0200】
上記第1実施形態では、各画素における光パターンのゲインA及びオフセットBの関係(比例定数K)を、予めキャリブレーション(4通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した4通りの画像データ)により求める構成となっているが、これに代えて、第2実施形態では、光パターンのゲインA及びオフセットBの関係(比例定数K)を、2回撮像方式により別途行った計測時(実測時)に、2通りに位相変化させた光パターンの下でそれぞれ撮像した2通りの画像データを基に求める構成となっている。
【0201】
その手順としては、まず上記式(12)を用いて画像データの全画素についてオフセットBを求める。次に、その中でオフセットBの値が一致する画素の輝度値V(=Asinθ+B)を抽出し、そのヒストグラムを作成する。その一例を図9,10の表に示す。但し、図9,10はゲインAを「1」、オフセットBを「0」とした場合を例示している。図9は、輝度値Vを「0.1」幅のデータ区間に区切って、そのデータ区間に含まれる輝度値の数を表した分布表であり、図10は、それをプロットしたヒストグラムである。
【0202】
そして、このヒストグラムを基に輝度値の最大値VMAXと最小値VMINを決定する。「sinθ」の特性を利用することにより、上記ヒストグラムにおいて発生する2つのピークをそれぞれ輝度値の最大値VMAXと最小値VMINとして決定することができる。図9,10に示す例では、輝度値Vが「−1.0〜−0.9」及び「0.9〜1.0」のデータ区間に入る輝度値Vの個数がそれぞれ「51」となり、ここが2つのピークとなる。
【0203】
続いて、輝度値の最大値VMAXと最少値VMINを基にゲインA及びオフセットBを算出する。上述したとおり、輝度値の最大値VMAXと最少値VMINの平均値がオフセットBとなり、最大値VMAXと最少値VMINの差の半分がゲインAとなる。つまり、図9に示すように、2つのピークの中間値がオフセットBとなり、2つのピークの幅の半分がゲインAとなる。
【0204】
このようにして得たゲインAとオフセットBの値を基に比例定数Kを決定することができる〔上記式(3)参照〕。従って、比例定数Kを決定する上記一連の処理機能により本実施形態における関係把握手段が構成される。
【0205】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、上記第1実施形態のようなキャリブレーションの手間を省略することができ、さらなる計測時間の短縮化を図ることができる。
【0206】
尚、本実施形態では、位相が180°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に、画像データの全画素について比例定数K等を求める構成となっているが、これに限らず、例えば位相が90°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に比例定数K等を求める構成としてもよい。また、画像データの全画素ではなく、被計測画素の周辺など画像データの一部の範囲において、比例定数K等を求める構成としてもよい。
【0207】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0208】
(a)上記実施形態では、三次元計測装置を、プリント基板2に印刷形成されたクリーム半田の高さを計測する基板検査装置1に具体化したが、これに限らず、例えば基板上に印刷された半田バンプや、基板上に実装された電子部品など、他のものの高さを計測する構成に具体化してもよい。
【0209】
(b)上記実施形態では、光源4aからの光を縞状の光パターンに変換するための格子を、液晶格子4bにより構成すると共に、これを切替制御することにより、光パターンの位相をシフトさせる構成となっている。これに限らず、例えば格子部材をピエゾアクチュエータ等の移送手段により移送させ、光パターンの位相をシフトさせる構成としてもよい。
【0210】
(c)上記実施形態では、所定の判定条件を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、位相が90°ずつ異なる4通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを基に三次元計測を行い、前記判定条件を満たすクリーム半田を含まない検査エリアについては、位相が180°ずつ異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に三次元計測を行う構成となっている。
【0211】
これに限らず、例えば所定の判定条件を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、位相が90°ずつ異なる4通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを基に三次元計測を行い、前記判定条件を満たすクリーム半田を含まない検査エリアについては、位相が120°(又は90°)ずつ異なる3通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された3通りの画像データを基に三次元計測を行う構成としてもよい。
【0212】
また、所定の判定条件を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、位相が120°(又は90°)ずつ異なる3通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された3通りの画像データを基に三次元計測を行い、前記判定条件を満たすクリーム半田を含まない検査エリアについては、位相が180°(又は90°)ずつ異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に三次元計測を行う構成としてもよい。
【0213】
勿論、位相シフト量は、上記例示した各種シフト量に限定されるものではなく、位相シフト法により三次元計測可能な他のシフト量を採用してもよい。
【0214】
(d)上記実施形態では、所定の判定条件を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、4回撮像方式により三次元計測を行い、前記判定条件を満たすクリーム半田を含まない検査エリアについては、2回撮像方式により三次元計測を行うといったように、撮像方式を2段階で切替える構成となっているが、これに限らず、撮像方式を3段階に切替える構成としてもよい。
【0215】
例えば図11に示す条件設定画面330を用いて、検査エリア内に所定の判定条件(例えば図11中の中精度計測欄331において設定される条件)のうちの特定条件(例えば図11中の高精度計測欄332において設定される条件)を満たすクリーム半田が含まれている場合には、4回撮像方式(4通りの位相で光パターンを照射し撮像すること)により4通りの画像データを取得し、検査エリア内に前記判定条件を満たすクリーム半田が含まれているが、前記特定条件を満たすクリーム半田が含まれていない場合には、3回撮像方式(3通りの位相で光パターンを照射し撮像すること)により3通りの画像データを取得し、検査エリア内に前記判定条件を満たすクリーム半田が含まれていない場合には、2回撮像方式(2通りの位相で光パターンを照射し撮像すること)により2通りの画像データを取得する構成としてもよい。
【0216】
例えば、ここで『「体積」が「2mm3」未満』であることを「判定条件」として設定し、『「体積」が「1mm3」未満』であることを「特定条件」として設定した場合には、『「体積」が「1mm3」未満』のクリーム半田が検査エリア内に含まれている場合、4回撮像方式により画像データが取得され、検査エリア内に『「体積」が「2mm3」未満』を満たすクリーム半田が含まれているが、『「体積」が「1mm3」未満』を満たすクリーム半田が含まれていない場合には、3回撮像方式により画像データが取得され、検査エリア内に『「体積」が「2mm3」未満』を満たすクリーム半田が含まれていない場合には、2回撮像方式により画像データが取得されることとなる。
【0217】
(e)上記実施形態では、判定条件を満たすクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Js)と、判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)の両者を含む検査エリア(例えば図7の検査エリアW2)について、位相の異なる4通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを取得した場合において、該検査エリア内における両クリーム半田(例えば図7のクリーム半田Js,Jb)ともに、4通りの画像データを基に三次元計測を行う構成となっている。
【0218】
これに限らず、例えば判定条件を満たすクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Js)と、判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)の両者を含む検査エリア(例えば図7の検査エリアW2)について、位相の異なる4通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された4通りの画像データを取得した場合において、該検査エリア内において判定条件を満たすクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Js)については、4通りの画像データを基に三次元計測を行い、該検査エリア内において判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)については、撮像された4通りの画像データのうちの2通り又は3通りの画像データを基に三次元計測を行う構成としてもよい。
【0219】
かかる構成によれば、所定の判定条件を満たさないクリーム半田(計測精度をそれほど必要としないクリーム半田)については、より少ない画像データを基により短時間で三次元計測を行うことができる。結果として、計測速度のさらなる向上を図ることができる。
【0220】
また、4通りの画像データを取得した場合における「所定の判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)」についての計測精度と、2回又は3回撮像方式により取得した2通り又は3通りの画像データを基に三次元計測を行った場合における「所定の判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)」についての計測精度とを同等にすることができる。
【0221】
勿論、判定条件を満たすクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Js)と、判定条件を満たさないクリーム半田(例えば図7のクリーム半田Jb)の両者を含む検査エリア(例えば図7の検査エリアW2)について、位相の異なる3通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された3通りの画像データを取得した場合においても同様の構成とすることができる。
【0222】
また、上記(d)に例示した撮像方式を3段階に切替える構成の下、4回撮像方式により4通りの画像データを取得した場合において、検査エリア内における特定条件(例えば『「体積」が「1mm3」未満』)を満たすクリーム半田については、4通りの画像データを基に位相シフト法により三次元計測を行い、検査エリア内における前記特定条件を満たさずかつ判定条件(例えば『「体積」が「2mm3」未満』)を満たすクリーム半田については、取得した4通りの画像データのうちの3通りの画像データを基に位相シフト法により三次元計測を行い、検査エリア内における前記判定条件を満たさないクリーム半田については、取得した4通りの画像データのうちの2通りの画像データを基に位相シフト法により三次元計測を行い、3回撮像方式により3通りの画像データを取得した場合において、検査エリア内における前記判定条件を満たすクリーム半田については、3通りの画像データを基に位相シフト法により三次元計測を行い、検査エリア内における前記判定条件を満たさないクリーム半田については、取得した3通りの画像データのうちの2通りの画像データを基に位相シフト法により三次元計測を行う構成としてもよい。
【0223】
(f)上記実施形態では、条件設定画面230を介して判定条件を設定する構成となっているが、条件設定手段の構成はこれに限定されるものではない。
【0224】
例えば図12に示す条件設定画面350を介して判定条件を設定する構成としてもよい。条件設定画面350では、スライドバー351を左右にスライドさせることにより、判定条件となるクリーム半田の体積値を変更することができる。尚、スライドバー351とは、表示装置23に表示されたスライドバーを模した画像であり、タッチパネルを介して操作することができる。
【0225】
ここで、スライドバー351を操作して設定した所定値未満の体積のクリーム半田を含む検査エリアについては、4回撮像方式により三次元計測を行い、前記所定値未満の体積のクリーム半田を含まない検査エリアについては、2回撮像方式により三次元計測を行うこととなる。
【0226】
図12において、例えばスライドバー351を右端まで動かすと、判定条件となるクリーム半田の体積値は最大値となる。つまり、プリント基板2上の全てのクリーム半田が判定条件を満たすこととなり、全ての検査エリアについて4回撮像方式により三次元計測が行われることとなる。一方、スライドバー351を左端まで動かすと、判定条件となるクリーム半田の体積値は最小値となる。つまり、プリント基板2上の全てのクリーム半田が判定条件を満たさないこととなり、全ての検査エリアについて2回撮像方式により三次元計測が行われることとなる。
【0227】
また、条件設定画面350には、スライドバー351を操作して設定した判定条件(所定の体積値)の下でプリント基板2の計測にかかる予定時間を表示可能な予定時間表示部352(予定時間表示手段)が設けられている。ここに表示される予定時間は、スライドバー351を操作して設定した判定条件と、ガーバデータとを基に算出される。
【0228】
例えば図8に示した例において、1つの検査エリアに係る全ての撮像処理を終了するまでに必要な時間は、4回撮像方式の場合は100msec(0.100sec)となり、2回撮像方式の場合は40msec(0.040sec)となる。
【0229】
従って、プリント基板2上に設定される検査エリアの数をN個とすると、1枚のプリント基板2の全範囲の画像データを取得するまでに要する時間は、全ての検査エリアについて4回撮像方式により画像データを取得する場合には、100×N(msec)となる。一方、全ての検査エリアについて2回撮像方式により画像データを取得する場合には、40×N(msec)となる。
【0230】
また、スライドバー351を操作して設定した所定値未満の体積のクリーム半田を含む検査エリアの数がN1(個)で、前記所定値未満の体積のクリーム半田を含まない検査エリアの数がN2(個)である場合には、1枚のプリント基板2の全範囲の画像データを取得するまでに要する時間は、100×N1(msec)+40×N2(msec)となる。
【0231】
さらに、モータ15,16を駆動してプリント基板2を所定の検査エリアから次の検査エリアへ移動する移動時間を含めた時間を予定時間として予定時間表示部352に表示する構成としてもよい。
【0232】
(g)上記実施形態では、2回撮像方式において、位相が180°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に三次元計測を行う構成となっている。これに代えて、例えば位相が90°異なる2通りの光パターンの下でそれぞれ撮像された2通りの画像データを基に三次元計測を行う構成としてもよい。かかる場合、上記式(23),(27)を用いることにより、2通りの画像データ上の各画素における輝度値V20,V21と、既知の比例定数Kを利用して、各画素における光パターンの位相θ2を算出することができる。
【0233】
かかる構成によれば、「tan-1」を用いた演算式に基づいて位相θ2を求めることができるため、−180°〜180°の360°の範囲で高さ計測可能となり、計測レンジをより大きくすることができる。
【0234】
勿論、この他にも、上記式(1)、(2)、(3)の関係を満たすものであれば、他の構成を採用してもよい。位相θ2を得る一般式としては、上記式(9)が一例に挙げられる〔[数9]参照〕。
【符号の説明】
【0235】
1…基板検査装置、2…プリント基板、4…照明装置、4a…光源、4b…液晶格子、5…カメラ、6…制御装置、23…表示装置、24…画像データ記憶手段、25…演算結果記憶装置、26…設定データ記憶装置、230…条件設定画面、A…ゲイン、B…オフセット、K…比例定数、Js,Jb…クリーム半田、W1〜W4…検査エリア。
【要約】
【課題】位相シフト法を利用した三次元計測を行うにあたり、必要な計測精度を維持しつつ、計測速度の向上を図ることのできる三次元計測装置を提供する。
【解決手段】基板検査装置1は、プリント基板2の表面に対し斜め上方から所定の光パターンを照射する照明装置4と、プリント基板2上の光パターンの照射された部分を撮像するカメラ5と、基板検査装置1内における各種制御や画像処理、演算処理を実施する制御装置6とを備えている。制御装置6は、所定の判定条件を満たすクリーム半田を含む検査エリアについては、4回撮像方式により画像データを取得し高精度に三次元計測を実行する一方、それ以外の検査エリアについては、2回撮像方式により画像データを取得することにより、短時間に三次元計測を実行する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12