特許第6027232号(P6027232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027232
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】屈折矯正のための角膜片へのマーキング
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   A61F9/008 120Z
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-515401(P2015-515401)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2015-522321(P2015-522321A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2012060832
(87)【国際公開番号】WO2013182245
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】513146099
【氏名又は名称】バーフェリヒト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】イェルク クレンケ
(72)【発明者】
【氏名】カトリン スケルル
(72)【発明者】
【氏名】テオ ザイラー
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0078240(US,A1)
【文献】 特表2011−502585(JP,A)
【文献】 特許第3078564(JP,B2)
【文献】 独国特許出願公開第102008049401(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜片をマーキングするための装置であって、
複数の超短パルスを有するパルスレーザー照射を用いて眼の角膜の中に前記角膜片をマーキングするように構成されたレーザー装置であって、前記パルスレーザー照射の焦点を制御するように構成された1つ以上の制御可能な構成要素を含む、レーザー装置と、
制御コンピュータであって、
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に角膜片マーキングを作製し、
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に前記角膜片を作製するように、前記1つ以上の制御可能な構成要素を指示するように構成される、制御コンピュータと、を備え
前記制御コンピュータは、
前記角膜片の角膜片深さを決定することと、
前記角膜片マーキングのマーキング深さを、前記角膜片深さよりも50〜300マイクロメートル(μm)深く計算することと、
前記角膜片の角膜片外周形状を決定することと、
前記角膜片外周形状と実質的に一致する前記角膜片マーキングのマーキング外周形状を確立することと、により、前記角膜片マーキングを作製するように前記1つ以上の制御可能な構成要素を指示するように構成される、装置。
【請求項2】
前記制御コンピュータは、
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に皮弁を作製するように、前記1つ以上の制御可能な構成要素を指示するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御コンピュータは、
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に除去切開を作製するように、前記1つ以上の制御可能な構成要素を指示するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
マーキング幅が0.5〜300マイクロメートル(μm)である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
マーキング高さが1〜100マイクロメートル(μm)である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
超短パルスが1ナノ秒未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行された時に、
複数の超短パルスを有するパルスレーザー照射の焦点を制御し、
角膜片をマーキングするために、パルスレーザー照射で眼の角膜の中に角膜片マーキングを作製し、
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に前記角膜片を作製するように構成される、角膜片をマーキングするためのコンピュータコードを記憶し、
前記角膜片マーキングを作製することは、
前記角膜片の角膜片深さを決定することと、
前記角膜片マーキングのマーキング深さを、前記角膜片深さよりも50〜300マイクロメートル(μm)深く計算することと、
前記角膜片の角膜片外周形状を決定することと、
前記角膜片外周形状と実質的に一致する前記角膜片マーキングのマーキング外周形状を確立することと、を含む、1つ以上の有形のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に皮弁を作製するようさらに構成される、請求項に記載の媒体。
【請求項9】
前記パルスレーザー照射で前記角膜内に除去切開を作製するようさらに構成される、請求項に記載の媒体。
【請求項10】
マーキング幅が0.5〜300マイクロメートル(μm)である、請求項に記載の媒体。
【請求項11】
マーキング高さが1〜100マイクロメートル(μm)である、請求項に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に角膜外科手術用装置、より具体的には、屈折矯正のための角膜片へのマーキングに関する。
【背景技術】
【0002】
屈折矯正手術は、眼の屈折欠陥を矯正するために角膜を再整形するレーザーを使用している。いくつかの技術によれば、眼の皮弁が、エキシマレーザーを用いて、切除によって整形された角膜の部分を露出させるために、持ち上げられる。この皮弁はその後交換される。他の技術によれば、角膜片を作製するためにフェムト秒レーザーで角膜を切開する。角膜片は角膜を再整形するために除去される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ある特定の実施形態では、角膜をマーキングするための装置は、レーザー装置および制御コンピュータを備えている。このレーザー装置は、超短パルスを有するパルスレーザー照射を用いて目の中に角膜を作製するように構成されている。このレーザー装置は、パルスレーザー照射の焦点を制御するように構成された1つ以上の制御可能な構成要素を含む。この制御コンピュータは、1つ以上の制御可能な構成要素が、角膜片をマーキングするパルスレーザー照射が眼の角膜の中に角膜片のマーキングを作製し、次いでパルスレーザー照射で角膜の中に角膜片を作製することを指示するように構成されている。
【0004】
ある特定の実施形態では、角膜片をマーキングするための方法は、超短パルスを有するパルスレーザー照射の焦点を制御することを含む。角膜片のマーキングが、角膜片をマーキングするパルスレーザー照射で眼の角膜の中に作製される。角膜片はその後、パルスレーザー照射で角膜内に作製される。
【0005】
ある特定の実施形態は、有形のコンピュータ可読媒体が、コンピュータによって実行された時に、超短パルスを有するパルスレーザー照射の焦点を制御するように構成されている角膜片をマーキングするためのコンピュータコードを記憶する。コンピュータコードはまた、角膜片をマーキングするパルスレーザー照射で眼の角膜の中に角膜片のマーキングを作製して、次いでパルスレーザー照射で角膜の中に角膜片を作製するように構成されている。
【0006】
添付の図面を参照して、本開示の例示的な実施形態をより詳細に例示して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ある特定の実施形態に基づいて屈折補正を行うように構成された装置の一例を示す。
図2】ある特定の実施形態に基づいた角膜片のマーキングの例の平面図を示す。
図3】ある特定の実施形態に基づいた角膜片のマーキングの例の断面図を示す。
図4】ある特定の実施形態に基づいて角膜片のマーキングを作製する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで説明および図面を参照して、開示された装置、システムおよび方法の例示的な実施形態が詳細に示す。説明および図面は網羅的なものではなく、また別様に、図面および説明の中で開示されたある特定の実施形態を限定または制限することを意図するものでもない。図面は可能な実施形態を表しているが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴が、より良く実施形態を例示するために簡略化、誇張、除去、または部分的に分割されている場合がある。さらに、特定の図面は概略的な形式であり得る。
【0009】
図1は、ある特定の実施形態による、角膜片をマーキングするように構成された装置10の一例を示す図である。実施形態では、装置10はレーザー装置15と制御コンピュータ30を含む。レーザー装置15は、超短パルス(ピコ、フェムト、またはアト秒パルスなど)を有するパルスレーザー照射で眼の角膜(間質など)の中に角膜片マーキングを作製することができる。レーザー装置はそれからパルスレーザー照射で眼の角膜の中に角膜片を作製することができる。角膜片は、角膜片が除去された時に屈折矯正されるように、屈折矯正形状に従って整形することができる。ある特定の実施形態では、レーザー装置は、角膜片の除去を可能にするために、パルスレーザー照射によって角膜の中に、皮弁または除去切開を作製することができる。この角膜片マーキングは、角膜片が完全に除去されたかを、外科医が判定できるようにする。
【0010】
図1で示した例では、装置10は試料22の手術を行う。装置10は、図示されるように、レーザー装置15、患者アダプタ20、制御コンピュータ30、およびメモリ32を含む。レーザー装置15は、図示のように、結合されたレーザー光源12、スキャナ16、1つ以上の光学素子17、および/または焦点対物レンズ18を含むことができる。患者アダプタ20は、図示のように、結合された接触素子24(試料から外向きに配置された隣接面26を有している)およびスリーブ28を含むことができる。メモリ32は制御プログラム34を記憶する。試料22は目であり得る。
【0011】
レーザー光源12は、超短パルスレーザーでレーザービーム14を発生する。この文書では、光の「超短」パルスとは、ピコ秒、フェムト秒またはアト秒台のような1ナノ秒未満の持続時間を有する光パルスのことを指す。レーザービーム14の焦点は、角膜などの組織の中でレーザー誘起光学破壊(LIOB)をなすことができる。レーザービーム14は、角膜細胞層内での正確な切開を可能にするように正確に集束させることができ、それにより、他の組織の不要な破壊を低減または回避することができる。
【0012】
レーザー光源12としては、フェムト秒、ピコ秒、およびアト秒レーザーを含む。レーザービーム14は、300から1500ナノメートル(nm)までの範囲内の波長、例えば300から650まで、650から1050まで、1050から1250まで、または1100から1500nmの範囲内の波長のような、任意の適切な波長を有することができる。レーザービーム14は、比較的小さい焦点体積、例えば、5マイクロメートル(μm)以下の直径であり得る。ある特定の実施形態では、レーザー光源12および/または送達チャネルは、真空または真空に近い場合がある。
【0013】
スキャナ16、光学素子17、焦点対物レンズ18はビーム経路内にある。スキャナ16は、レーザービーム14の焦点を横方向と縦方向に制御する。「横」とはレーザービーム14の伝播方向に直交する方向を意味し、「縦」とはビーム伝播方向のことを指す。横断面は、x―y平面として指定することができ、縦方向をz方向として指定することができる。ある特定の実施形態では、患者インターフェース20の隣接面26はx−y平面上にある。
【0014】
スキャナ16はレーザービーム14を任意の適切な方法で横方向に向けることができる。例えば、スキャナ16は、互いに垂直な軸の周りに傾斜させることができる検流計作動スキャナミラーの対を含むことができる。別の例として、スキャナ16は、レーザービーム14を電気光学的に誘導する電気光学結晶を含むことができる。スキャナ16は、レーザービーム14を任意の適切な方法で長手方向に向けさせることができる。例えば、スキャナ16は、長手方向に調整可能なレンズ、可変屈折力のレンズ、またはビーム焦点のz位置を制御することができる変形可能ミラーを含むことができる。スキャナ16の焦点制御構成要素は、ビーム経路に沿った任意の適切な方法、例えば同一または異なるモジュラーユニットででも配置することができる。
【0015】
1つ(またはそれ以上)の光学素子17は、レーザービーム14を焦点対物レンズ18に向ける。光学素子17はレーザービーム14を反射、屈折、および/または回折することができる任意の適切な光学素子でもよい。例えば、光学素子17は固定された偏位ミラーであってもよい。焦点対物レンズ18はレーザービーム14を患者アダプタ20上に焦点を合わせ、患者アダプタ20に別途結合することができる。焦点対物レンズ18は、fθ対物レンズなどの、任意の適切な光学素子であってもよい。
【0016】
患者アダプタ20は眼22の角膜とインターフェースする。この例では、患者アダプタ20は、接触素子24に結合されたスリーブ28を有する。スリーブ28は焦点対物レンズ18に結合する。接触素子24はレーザー照射に対して半透明又は透明であることができ、角膜とインターフェースした隣接面26を有し、角膜の一部を平らにすることができる。ある特定の実施形態では、隣接面26は平面であり、角膜上の平面領域を形成する。隣接面26はx−y平面上に位置することができるので、平面領域もx−y平面上にある。他の実施形態では、隣接面26は平面である必要はなく、例えば凸状または凹状であってよい。
【0017】
制御コンピュータ30は、制御プログラム34に従って、例えばレーザー光源12とスキャナ16などの制御可能な構成要素を制御する。この制御プログラム34は、制御可能な構成要素に領域の少なくとも一部を光破壊するために、パルスレーザー照射を角膜の領域に集束させることを指示するコンピュータコードを含んでいる。
【0018】
手術のある特定の例では、スキャナ16は、任意の適切な形状の切開を整形するためにレーザービーム14を方向づけることができる。この切開のタイプの例は、床の切開および横方向の切開を含む。床の切開は、通常、x−y平面上の二次元の切開である。スキャナ16は、レーザービーム14を一定のz値で隣接面26の下に集束し、x−y平面内のパターンの中に焦点を移動させることにより、床の切開部を整形することができる。横切開は、角膜表面(例えば床切開からなど)の下から表面までに延びる切開である。スキャナ16は、レーザービーム14の焦点のzの値を変更し、必要に応じて、xおよび/またはyの値を変更することにより、横方向の切開部を整形することができる。
【0019】
角膜の任意の適切な部分を光破壊することができる。角膜の層のいずれか1つまたは複数を光破壊のために選択することができる。加えて、細胞層の一部をz方向に光破壊することができるが、細胞層の一部は角膜上に残る場合がある。さらに、x−y平面内の特定の領域(または「目標域」)を光破壊のために選択することができる。例えば、床の切開を形成する目標域を光破壊することができる。
【0020】
装置10は任意の適切な方法で角膜層を光破壊することができる。ある特定の実施形態では、制御コンピュータ30はレーザー装置に対して、隣接面26の下に一定のz値でレーザービーム14の焦点を合わせ、実質的に目標域をカバーするx−y平面内のパターンで移動することを指示することができる。任意の適切なパターンを使用することができる。例えば、走査パスはジグザグパターンに応じて、一定のy値を有し、+x方向に移動する。走査パスが目標域境界点に到達すると、パスは前のy値から所定の距離にある次のy値に移動し、それから境界の別の点に到達するまで、−x方向に移動する。目標域全体がスキャンされるまで走査パスが続く。別の例として、走査パスは螺旋状のパターンに応じて目標域の中心またはその近くで開始し、パスが目標域の境界に到達するまで、螺旋状に移動するか、またはその逆になる。
【0021】
図2および図3は、ある特定の実施形態による角膜片マーキング114の一例を示す図である。図2は角膜片マーキング114の平面図を示し、図3は角膜片マーキング114の断面を示す。
【0022】
角膜片110は角膜(間質など)内に作製することができ、角膜片110を除去することで屈折矯正を適用するように、屈折矯正形状に応じて整形することができる。ある特定の実施形態では、角膜片マーキング114は、角膜片110の輪郭として機能するように作製することもできる。角膜片110は次に、角膜片マーキング114を輪郭として使用して作製することができる。皮弁112または除去切開113を、それから、角膜片110の除去を可能にするために作製することができる。
【0023】
角膜片110は任意の適切な形状およびサイズを有することができる。ある特定の実施形態では、角膜片110は、任意の適切な外周形状、例えば、円形、楕円形、自由形、または不規則な形状を有するレンズ形状であってもよい。角膜片110の直径d1は、6から10mmの範囲の値、例えば約8mmなどのような任意の適切な値を有していてもよい。角膜片110の厚さtlは、約50μmなどの5μmから200μmまでの範囲の適切な値を有していてもよい。角膜片110の中央部分の深さzl(z方向における眼の表面から測定した)は、600μmよりも小さい値などの任意の適切な値を有していてもよい。
【0024】
図示の例では、角膜片マーキング114は、内径idm図3)の内縁116(図2)、および外径odm図3)の外縁118(図2)を有する。角膜片マーキング114の断面120(図3)は、角膜片マーキング高さhm、および角膜片マーキング幅wmを示している。角膜片マーキング114は深さzm図3)を有していてもよい。寸法は角膜片マーキング114の形状(例えば外周形状)、サイズ(例えば直径)、および位置(例えばx、y、z位置)を示す。
【0025】
角膜片マーキング114は任意の適切な形状およびサイズを有することができる。ある特定の実施形態では、角膜片マーキング114は、例えば角膜片外周形状に実質的に一致する外周形状を有していてもよい。これらの実施形態では、角膜片マーキング114は、角膜片110の輪郭の役目を果たすことができる。高さhmは、1から20μm、50μmまで、または50μmから100μmまでの範囲の値の適切な値を有することができる。幅Wmは、0.5μmから50μm、100μmまで、100μmから200μmまで、または200μmから300μmまでの範囲の値の適切な値を有することができる。断面120は矩形として示されているが、断面120は多角形、楕円形、または円形などの任意の適切な形状を有してもよい。
【0026】
ある特定の実施形態では、角膜片マーキング114の特定の部分が角膜片110を正確にマーキングする。例えば、内縁部116は角膜片境界と実質的に同じ、わずかに(例えば0から50μm)小さい、またはわずかに大きい場合がある。別の例として、外縁部118は角膜片境界と実質的に同じ、わずかに小さい、またはわずかに大きい場合がある。したがって、角膜片マーキングは、角膜片が完全に除去されているかを外科医が判定することを可能にする。
【0027】
角膜片マーキング114は、眼の任意の適切な位置に作製することができる。ある特定の実施形態では、角膜片マーキング114は、任意の適切な深さで作製することができる。例えば、角膜片マーキング114は、50μmから100μm、100μmから200μm、または200μmから300μm深いような、角膜片114の深さz1よりも深い深さzmで作製することができる。
【0028】
皮弁112は、任意の適切な形状およびサイズを有することができる。ある特定の実施形態では、皮弁112は、角膜片外周形状に列挙されたいずれかの形状のような、任意の適切な外周形状を有することができる。皮弁112は任意の適切なサイズを有することができる。ある特定の実施形態では、皮弁112の直径dfは、5mmから10mmなどの角膜片110の直径dlよりも大きな値を有することができる。皮弁112の厚さtfは、60μmから510μmまでの範囲の任意の適切な値を有していてもよい。
【0029】
除去切開113は、任意の適切な形状およびサイズを有することができる。ある特定の実施形態では、除去切開113は、皮弁112が使用された場合に、皮弁112の外周が配置されるであろう場所の少なくとも一部に沿って整形された横切開であることができる。この部分は、例えば、1/12から1/8まで、1/8から1/4まで、1/4から3/8まで、または3/8から1/2までの範囲の値の内の任意の適切な値を有していてもよい。
【0030】
図4は、ある特定の実施形態に基づいた、眼の角膜の中に角膜片マーキングを作製するための方法の一例を示す図である。この方法は、図1のシステム10によって行うことができる。
【0031】
この方法は、ステップ208で開始し、そこでは角膜片マーキング114の寸法を決定する。ある特定の実施形態において、システム10は角膜片マーキング114を整形するための寸法を決定することができる。この寸法は任意の適切な方法で決定することができる。1つの例として、ユーザはシステム10の中に寸法をプログラムすることができる。一例として、システム10は別のシステムからこの寸法にアクセスすることができる。
【0032】
さらに別の例として、システム10は所与の角膜片110から角膜片マーキングの寸法を計算することができる。特定の場合において、角膜片マーキング外周形状は、角膜片外周形状と実質的に同一であってもよい。例えば、角膜片マーキング114の内縁116(または外縁118)は、角膜片外周形状と実質的に同一であってもよい。特定の場合では、角膜片マーキングの位置は角膜片の位置から決定することができる。例えば、角膜片マーキング114は実質的に同一のxおよびy座標を有し得るが、より浅い、より深い、または同じz座標を有し得る。
【0033】
角膜片マーキング114がステップ210において作製される。角膜片マーキング114は任意の適切な方法で作製することができる。実施形態では、スキャナ16が、決定された寸法に従って角膜片マーキング114を整形するために、レーザービーム14を方向づけることができる。このスキャナ16は、隣接面26の下に一定のz値でレーザービーム14を集束し、マーキングの形状のx−y平面において焦点を移動させることにより、このマーキング114を整形することができる。このスキャナ16は、焦点のzの値を変更し、マーキング114の形状内のx−y平面における焦点を移動させることにより、z方向におけるマーキング114の高さhmを増加させることができる。
【0034】
角膜片110がステップ212において作製される。角膜片110は任意の適切な方法で作製することができる。ある特定の実施形態において、スキャナ16は、マーキング114に従って角膜片110を整形するように、レーザービーム14を方向づけることができる。このレーザービーム14は、角膜片形状を達成するために、必要に応じてz方向を変更しながらx−y平面において移動して湾曲した床の切開を行うことによって、角膜片110の腹側を整形することができる。このレーザービーム14は、同様の内容で角膜片110の後腹側を整形することができる。
【0035】
ある特定の実施形態では、皮弁112がステップ214で作製される。この皮弁112は任意の適切な方法で作製することができる。操作の特定の例では、スキャナ16は皮弁112を整形するためにレーザービーム14を方向づけることができる。角膜片110の腹側は皮弁112の床の少なくとも一部を形成することができる。レーザービーム14は、床の残りの部分を整形し、皮弁112の外周に横方向の切開を作製することができる。スキャナ16は皮弁112のための蝶番を整形するために、外周の一部を切断せずに残すことができる。他の実施形態では、除去切開113を皮弁112の代わりに作製することができる。この除去切開113は、皮弁112が使用された場合に皮弁112の境界が位置されるであろう部位の少なくとも一部に沿った横方向の切開によって作製することができる。
【0036】
角膜片110がステップ216で除去される。角膜片110は皮弁112または除去切開113を介して除去することができる。角膜片110は手動または自動でも除去することができる。そこで方法が終了する。
【0037】
本明細書で開示されたシステム及び装置の構成要素(例えば、制御コンピュータ30など)は、任意のそれらのインターフェース、ロジック、メモリ、および/または他の適切な要素を含むことができ、それらのいずれもがハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。インターフェースは入力を受け取り、出力を送信し、入力および/または出力を処理し、および/または他の適切な操作を行うことができる。ロジックは、構成要素の操作、例えば、入力から出力を生成する命令を実行することができる。ロジックは、メモリ内にエンコードされ、コンピュータによって実行されるときに操作を実行することができる。ロジックは、1つ以上のコンピュータ、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のアプリケーション、および/または他のロジックのようなプロセッサであり得る。メモリは情報を記憶することができ、1つ以上の有形の、コンピュータ可読、および/またはコンピュータ実行可能な記憶媒体を含むことができる。メモリの例には、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または読み出し専用メモリ(ROM))、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、取り外し可能記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、またはデジタルビデオまたは多用途ディスク(DVD))、データベースおよび/またはネットワーク記憶装置(例えば、サーバ)、および/または他のコンピュータ可読媒体を含む。
【0038】
特定の実施形態では、実施形態の操作はコンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータ実行可能命令、および/またはコンピュータによって実行可能な命令でエンコードされた、1つ以上のコンピュータ可読媒体によって実行することができる。特定の実施形態では、操作は、コンピュータプログラムを記憶する、それにより具現化される、および/もしくはそれでエンコードされた、ならびに/または記憶されたおよび/もしくはエンコードされたコンピュータプログラムを有する1つ以上のコンピュータ可読媒体によって実行することができる。
【0039】
本開示はある特定の実施形態に関して説明したが、実施形態の改変(変更、置換、付加、省略、および/または他の改変など)は、当業者には明らかであろう。したがって、改変を本発明の範囲から逸脱することなく実施形態に対して行うことができる。例えば、改変を、本明細書に開示されたシステムおよび装置に対して行うこともできる。システムおよび装置の構成要素は統合または分離させることができ、システムおよび装置の操作を、より多い、より少ない、または他の構成要素によって履行することができる。別の例として、改変を本明細書に開示された方法に対して行うことができる。その方法は、より多い、より少ない、または他のステップを含むことができ、ステップは任意の適切な順序で履行することができる。
【0040】
他の改変が本発明の範囲から逸脱することなく可能である。例えば、説明は特定の実用上の実施形態を示すが、他の用途は当該分野の技術に精通した者には明らかとなるであろう。さらに、今後の開発が本明細書で論じる技術において発生し、開示されたシステム、装置および方法は、そのような今後の開発に利用されるであろう。
【0041】
本発明の範囲は本記載を参照して決定すべきではない。本記載は、特許状況に従って、例示的な実施形態を用いて、本発明の操作の原理および様態を説明して示す。説明は、当業者が、様々な実施形態において、様々な改変を有して、システム、装置、および方法を利用できるようにするが、本発明の範囲を決定するために使用すべきではない。
【0042】
本発明の範囲は、特許請求の範囲、および特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。すべての請求項の項目は、本明細書に明示的な反対の指示が記述されていない限り、当業者によって理解される最も広い合理的な構造および通常の意味を与えられるべきである。例えば、「a」、「the」等のような単数形の冠詞の使用は、特許請求範囲がそれとは反対の明示的な制限を唱えない限り、示された1つ以上の要素を列挙するように読まれるべきである。別の例として、「各」とは、一式の各集合要素、または一式の部分集合の各集合要素のことを指し、そこでは一式が0、1つ、または1つ以上の集合要素を含む。要するに、本発明の改変が可能であり、本発明の範囲は説明を参照してではなく、特許請求の範囲およびその均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4