(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027237
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】自動車用スライディングヘッドライナ
(51)【国際特許分類】
B60J 7/00 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
B60J7/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-519250(P2015-519250)
(86)(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公表番号】特表2015-521566(P2015-521566A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013065461
(87)【国際公開番号】WO2014016270
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】102012014524.1
(32)【優先日】2012年7月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506027147
【氏名又は名称】ヴェバスト ソシエタス エウロペア
【氏名又は名称原語表記】Webasto Societas Europaea
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツェル ドミニク
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−189620(JP,A)
【文献】
実開平01−070618(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0165965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のスライディングヘッドライナであって、両側のガイドにスライド自在で案内されており、フレキシブルな遮光要素を有しているスライディングヘッドライナにおいて、
遮光要素(2)の両側に、スライディングヘッドライナ(1)で両方のガイド(14)にスライド自在で案内されている2つの成形材サイドフレーム(8)が設けられていること、
それぞれのガイド(14)が、前側ガイド部分(15)及び後側ガイド部分(16)を有していること、
両方の成形材サイドフレーム(8)が、後側ガイド部分(16)により横方向で遮光要素(2)に張りを与えた状態で互いに間隔をおいて保持されており、そして横方向で前側ガイド部分(15)により張りを与えられない状態で案内されていること、及び
成形材サイドフレーム(8)が前側ガイド部分(15)で、自己の曲げ剛性及び/又は横方向幌フレーム(3)により横方向で互いに間隔をおいて保持されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスライディングヘッドライナにおいて、
前記横方向幌フレーム(3)は2つの成形材サイドフレーム(8)と、スライディングヘッドライナ(1)の前側縁部(4)の高さで互いに接続していることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスライディングヘッドライナにおいて、
スライディングヘッドライナ(1)が閉鎖位置に配設されている時に成形材サイドフレーム(8)が、スライディングヘッドライナ(1)の少なくとも後側縁部(17)の高さで、後側ガイド部分(16)により互いに間隔をおいて保持されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
スライディングヘッドライナ(1)が、その後側縁部(17)の範囲で横方向幌フレームなしで形成されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
遮光要素(2)が形状固定したものではなく、織物、メッシュ、生地又はフィルムであることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
後側ガイド部分(16)が、成形材サイドフレーム(8)用のガイド軌道(24)を有しており、そのガイド軌道(24)が、アルミニウムで形成され、かつ遮光要素(2)に張りを与えて保持する間隔で成形材サイドフレーム(8)を配置するリブ(26)を有していることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
前側ガイド部分(15)はプラスチックで形成された下側ガイド部品(22)と上側ガイド部品(23)と有しており、成形材サイドフレーム(8)用のガイド軌道(19)が下側ガイド部品(22)と上側ガイド部品(23)との間に溝として形成されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
成形材サイドフレーム(8)が、ガイド(14)ないしガイド軌道(19,24)で、直線状又は僅かな湾曲を有して長手方向で案内されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
それぞれの成形材サイドフレーム(8)が、差込み又は切込み接続(10)により横方向幌フレーム(3)と接続されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
スライディングヘッドライナ(1)の前側縁部(4)にある横方向幌フレームが、引出し幌フレーム(3)であることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のスライディングヘッドライナにおいて、
それぞれの成形材サイドフレーム(8)が、断面においてL字形状で形成されており、遮光要素(2)が、ベースとなる長辺(12)に装着されていることを特徴とするスライディングヘッドライナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用のスライディングヘッドライナに関するものであり、両側のガイドにスライド自在で案内されていると共に、フレキシブルな遮光要素を有するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の屋根遮光又は太陽光遮蔽装置は、スライド自在に支承されコーティングされたルーフ天井プレートとして公知であるが、製造コストを相対的に高くしている。更に、巻き上げ可能なブラインドも公知であるが、巻き上げシャフトで必要となる直径のために、これに関して大きな構造空間が必要という欠点を有している。
独国実用新案第202007009971号公報で、フレキシブルな遮光要素を有しておりスライド自在の自動車用太陽光遮蔽装置が公知となっており、その遮光要素は例えば織物又は生地で形成されていると共にフレームにより張りを与えられて保持されており、そのフレームが引出し幌フレームと一緒に遮光要素を四方で完全に拘束すると共に、その両長手側で長手方向ガイド内においてスライド自在で収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案第202007009971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、構造が複雑になっている。
本発明が根拠にする課題は、最初に挙げたスライディングヘッドライナを得ることであり、その構造が簡単になっているものである。
本発明は、両側のガイドにスライド自在で案内されていると共に、フレキシブルな遮光要素を有する自動車用のスライディングヘッドライナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
前記課題を本発明に従い最初に挙げたスライディングヘッドライナにおいて、遮光要素が、スライディングヘッドライナで両方のガイドにスライド自在で案内されている2つの成形材サイドフレームにより張りを与えられていること、それぞれのガイドが、前側ガイド部分及び後側ガイド部分を有していること、両方の成形材サイドフレームが、横方向で遮光要素に張りを与えた状態で互いに間隔をおいて保持されており、横方向で前側ガイド部分により張りを与えられない状態で案内されていること、及び成形材サイドフレームが前側ガイド部分で、自己の曲げ剛性及び/又は横方向幌フレームにより横方向で互いに間隔をおいて保持されていることにより解決する。
【0006】
本発明の利点ある構成は、従属請求項に記載している。
本発明によるスライディングヘッドライナでは成形材サイドフレームが、遮光要素に張りを与えるために必要な張力に抗して、互いに反対側にある2つの後側ガイド部分により間隔をおいており、その張力の大きさは、遮光要素の形式及び材料に関係して異なっていることがある。その遮光要素は特に特性及び形状が安定しておらず、例えば織物、生地、メッシュあるいはフィルムである。張力の支持は、スライディングヘッドライナの各スライド位置に対応して、成形材サイドフレームで後側ガイド部分に収容された部分それぞれを介して行われる。スライディングヘッドライナの少なくとも1つのスライド位置において、好ましくは前側位置とも呼ぶスライディングヘッドライナの封鎖位置又はクローズ位置において、各成形材サイドフレームの最小長さ部分が、スライディングヘッドライナの後側縁部に接して又は前で後側ガイド部分に収容されている、ないし後側ガイド部分により横方向で内向きないしY方向で張力に抗して支持されている。
【0007】
2つの異なったガイド部分を前側及び後側のガイド部分として呼ぶことは例示的なものであり、前側の閉鎖位置から後側の開口位置に至るスライディングヘッドライナのスライド動作に合わせている。スライディングヘッドライナが例えば後側の閉鎖位置を有する別の配設では、この位置と方向の呼び方を対応して合わせる必要がある。明細書で使用されている軸及び方向の呼び方、例えば“前側”、“後側”、“側方”、“横方向”、“上側”、“下側”は基本的に、三次元のx−y−z自動車座標系に関するものである。
【0008】
成形材サイドフレームは、スライディングヘッドライナの位置と関係して前側ガイド部分に配設されている各長さ部分で、横方向において前側ガイド部分自体により互いに支持されているのではない、ないし前側ガイド部分による張力の支持がない。張力の支持は寧ろ、横方向での変形に対して一定の撓み剛性を有する成形材サイドフレーム自体により行われる。成形材サイドフレームの必要最小曲げ剛性は、成形材サイドフレームで前側ガイド部分に配設された最大長さ部分に関係して設計されている。成形材サイドフレームの自己支持に対する代替として、横方向幌フレームが設けられていることがあり、それが両方の成形材サイドフレームを横方向で互いに間隔をおいて保持し、従って特に張力に抗して支持を行う。そして成形材サイドフレームの曲げ剛性又は曲げ強度が低減されていることがある。好ましい解決手段では横方向幌フレームを使った支持が、適切な曲げ剛性を有する成形材サイドフレームの構成と組み合わせられている。
【0009】
横方向幌フレームは特にスライディングヘッドライナの前側縁部の高さで、互いに反対側にある2つの成形材サイドフレームの強固な接続を提供する。そのような横方向幌フレームが特に引出し幌フレームであり、それを介してスライディングヘッドライナは手動で又はモータを使っても位置調整可能であり、その引出し幌フレームが、両方の成形材サイドフレームの同期した作動を保証する。他方でスライディングヘッドライナを位置調整するための操作装置が、両方のサイドフレームと間接的又は直接的に接続されていることもあり、そして引出し幌フレームないし横方向幌フレームが存在しない時に同期した位置調整を保証する。
【0010】
以上により、スライディングヘッドライナが閉鎖位置で配設されている時に成形材サイドフレームが、スライディングヘッドライナの少なくとも後側縁部の高さで後側ガイド部分により互いに間隔をおいて保持されており、スライディングヘッドライナの開口時に対応して支持長さが増大すると好ましい。
従って本発明によるスライディングヘッドライナはその後側縁部で、両側のガイド間で横方向に遮光要素に張りを与えるための強固な特にフレーム形式の横方向補強を必要とせず、よって後側縁部の範囲において横方向幌フレームなしで形成されていると好ましい。
【0011】
本発明によるスライディングヘッドライナは巻き上げることができず、従って巻き上げシャフトを備えたブラインドを形成するものではない。寧ろ遮光要素をスライドすることは、平坦又は僅かに湾曲した面内で、遮光要素及び成形材サイドフレームを大きく折り曲げ又は屈曲することなく行われる。
スライディングヘッドライナとして呼ばれるのは基本的にスライド自在の遮光装置であり、それは例えば透明な屋根部分又は開口自在の自動車屋根の屋根開口の透明なカバー、例えばスライド式サンルーフ、スライドチルトアップ式サンルーフ、チルトアップ式サンルーフ、あるいは同等品の下に配設又は装着されているものである。しかしながらスライディングヘッドライナないし遮光装置が、後方ウインドウ又は自動車の他の面を覆うために設けられていることもある。
【0012】
従ってスライディングヘッドライナが、引出し幌フレームに対向する後側縁部で、両方の成形材サイドフレームを接続する横方向支持部材なしで構成されていると、遮光要素のために面積が大きいフレームを形成する必要がないので、製造が簡単化される。引出し幌フレーム又は横方向幌フレームの他は基本的に、別の堅固な横方向の接続を設けない又は必要としない。従って専らスライディングヘッドライナにある引出し幌フレーム又は同等の横方向補強部材が、両方の成形材サイドフレームの強固な接続を形成している。横方向幌フレーム又は引出し幌フレーム自体も、その側方縁部で前側ガイド部分においてスライド自在で案内されていることがある。芯出し装置又はスプリング装置を使うことにより、横方向幌フレーム又は引出し幌フレームが両方の側方ガイド間の中央に案内されていることがある。
【0013】
スライディングヘッドライナの閉鎖位置においてガイドに、前側ガイド部分から後側ガイド部分への移行部が、スライディングヘッドライナの後側縁部の直前に配設されており、スライディングヘッドライナないし遮光要素が後側縁部分で張りを与えられて保持されていると目的に適っている。移行部の位置は、スライディングヘッドライナのサイズないし長さに関係して決めて設計することができる。
【0014】
成形材サイドフレームは、それぞれの構成及び断面形状で形成されていることがあり、このことにより必要な張力に関係して求められる曲げ剛性が提供される。成形材サイドフレームは基本的に、プラスチック又は金属でつくられていることがある。成形材サイドフレームそれぞれは断面がL字形状で形成されており、遮光要素は、特に水平方向に向けられているベースとなる長辺に装着されている。直角短辺は上向きに突出しており、側方のガイドのために使用されることがある。
【0015】
成形材サイドフレームそれぞれが、差込み又は切込み接続を使って横方向幌フレームないし引出し幌フレームと接続されていると目的に適っている。しかしながら、接着接続及び溶接接続が設けられていることもある。
成形材サイドフレームは、ガイドに直線状又は僅かな湾曲を有して長手方向で案内されていることがあるが、本質的な屈曲はない。ガイドは一般的に互いに平行に延伸している。
【0016】
成形材サイドフレーム用のガイド軌道が、各ガイドの後側ガイド部分でアルミ押出成形材により形成されていると目的に適っている。そのような形状は簡単な方法で、アンダーカットを有して形成することができるので、支持リブないし支持側壁又は支持面は、その中で横方向又はY方向に案内される成形材サイドフレームを支持するように形成することができる。
【0017】
前側ガイド部分での成形材サイドフレーム用ガイド軌道は、少なくとも1つのプラスチック成形材で形成されており、特にU字形状の溝として形成されていると好ましい。従って本発明によるスライディングヘッドライナは特に、スライド式サンルーフ、スライドチルトアップ式サンルーフ、あるいは同等品のフレーム配設に適用することができ、その配設では屋根の可動ルーフの支承及びガイドのために、強度理由及び製造技術の理由から後側部分でのみ金属レールが必要であり、このことに対して前側部分ではプラスチックガイドが、ルーフの支承のために好ましくそして十分である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスライディングヘッドライナは構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】前側スライド位置において側方ガイドで支承されたスライディングヘッドライナの等角投影図である。
【
図2】引出し幌フレーム及び左側成形材サイドフレームを有するスライディングヘッドライナの、左前側コーナー範囲切り抜き部分の上側の等角投影図である。
【
図3】
図2の切り抜き部分の下側の等角投影図である。
【
図4】
図1にあるA−A線の断面図で、側方ガイドに収容された成形材サイドフレームを有する引出し幌フレームの図である。
【
図5】
図1にあるB−B線の断面図で、側方ガイドにある成形材サイドフレームの図である。
【
図6】
図1にあるC−C線の断面図で、側方ガイドの後側部分にある成形材サイドフレームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において本発明を、本発明によるスライディングヘッドライナの実施形態を使い図面を参照しながら、詳細に説明する。
自動車のスライディングヘッドライナ1(
図1を参照)には、例えば織物、メッシュ、生地、フィルム又は同等品で形成されている平面状の遮光要素2が含まれているが、その遮光要素は特性及び形状が安定しておらず、従って固いプレート又は同類のものではない。横方向幌フレーム又は引出し幌フレーム3がスライディングヘッドライナ1の前側縁部4を形成している。引出し幌フレーム3は上側部分5及び下側部分6を有しており、それらは互いに繋がっていると共に、その間に遮光要素2が前側部分で入り込み、そして固く挟み付けられている。
【0021】
スライディングヘッドライナ1の長手側7それぞれに成形材サイドフレーム8が配設されており(
図2及び3を参照)、その成形材サイドフレームが前側部分9で、スライディングヘッドライナ1で前側の横方向支持部材を形成している引出し幌フレーム3の側方縁部11に、特に差込み又は切込み接続10を使って固定されている。互いに反対側にある2つの成形材サイドフレーム8は、スライディングヘッドライナ1の全長に亘って延伸している。それぞれの成形材サイドフレーム8は、スライディングヘッドライナ1の横方向で曲げ剛性が強く、例えば断面が、断面においてベースとなる長辺12及び、それに対して直角ないしZ方向で上向きに突出する直角短辺13を有するL字形状であり、以上のように構成することにより横方向又はY方向で必要とする曲げ剛性が得られる。ベースとなる長辺12の上側で遮光要素2が縁部で、例えば接着、溶接、又は縫合により固定されている。
【0022】
それぞれの成形材サイドフレーム8は、側方にあるガイド14の中に収容されており、長手方向においてスライド自在で案内されている。互いに平行な2つのガイド14はそれぞれ、前側ガイド部分15及び、それに繋がる後側ガイド部分16を有している。
図1は閉鎖位置にあるスライディングヘッドライナ1を示しており、その閉鎖位置でスライディングヘッドライナが、両方のガイド14に対して前側の位置にきて、取り付け時には自動車屋根の下、例えば開閉可能な(図示していない)自動車屋根のガラス天井の下に配設されている。スライディングヘッドライナ1が閉鎖位置に配設された時には前側ガイド部分15が、スライディングヘッドライナ1の全長に亘って延伸しているのではなく、スライディングヘッドライナ1ないし遮光要素2の後側縁部17の前で終わる。従って、これに続いて後側ガイド部分16は、始めはスライディングヘッドライナ1の後側縁部分18に沿って(
図1において後側縁部17とその前に破線で描かれた線の間で図示)、そして更に後方にスライディングヘッドライナ1の最大スライド又は開口経路のために設けられた長さを延伸している。
【0023】
それぞれのガイド14は、前側ガイド部分15でガイド軌道19を有しており(
図4及び5を参照)、そのガイド軌道は、溝の形状で断面が直角の導路として形成されており、そしてスライディングヘッドライナ1に向いて開口している。ガイド軌道19の中に成形材サイドフレーム8がスライド自在で収容されており、成形材サイドフレーム8の高さは直角短辺13で、竪方向で基本的にガタなしで案内されるように、ガイド軌道19の高さに合されている。引出し幌フレーム3は、側方縁部11が同じくガイド軌道19の中に収容されており、その中で前側にあるスライダ20により案内される。引出し幌フレーム3の各側方縁部11の範囲には、スプリング機構の2つのスプリング要素21(
図2を参照)が配設されており、そのスプリング要素が、対向して位置するガイド14で支持されていると共に、引出し幌フレーム3を両方のガイド14間の中央で保持している。ガイド14は前側ガイド部分15の範囲において、例えば下側のガイド部品22及び上側ガイド部品23を有しており、それらが互いに接続されていると共に、それらの間でガイド軌道19を形成している。両方のガイド部品22及び23は例えばプラスチックで形成されており、特にスライディングヘッドライナ1を自動車屋根の下側で支承するスライディングヘッドライナユニットのフレーム配設の部品となっている。
【0024】
後側ガイド部分16(
図6を参照)ではガイド14に、特にアルミニウム押出成形材により一体で形成されたガイド軌道24が含まれている。そのガイド軌道24は、成形材サイドフレーム8が横方向又はY方向で(即ち、
図6で左に向って)引き出されることを防ぐように、断面が成形材サイドフレーム8に合致している。そのためにガイド軌道が例えば、直角短辺13用に溝形状の噛み合い部25及び/又はベースとなる長辺12用ストッパとしてリブ26を有している。スライディングヘッドライナ1にある両方の成形材サイドフレーム8は、遮光要素2に張りを与えて保持するような間隔で、それぞれの後側ガイド部分
16にあるガイド軌道24により互いが配置される。ガイド軌道24ないしアルミニウム押出成形材は、下側ガイド部品22のような少なくとも1つのガイド部品に装着されている、あるいは両方のガイド部品22及び23により保持されている。他方でガイド軌道24自体が、両方のガイド部品22及び23に類似して少なくとも2つのガイド部品により形成されていることがある。いずれの場合も前側ガイド軌道19が、連続的に後側ガイド軌道24に繋がっており、実施形態に従い引出し幌フレーム3の側方縁部11は、前側ガイド部分15内でのみ可動である、というのは、図示の断面形状であるアルミニウム押出成形材が、更に動くことを妨げるからである。
【0025】
以上によりスライディングヘッドライナ1の前方スライド位置又は閉鎖位置(
図1)では、スライディングヘッドライナ1の前側縁部にある引出し幌フレーム3が、横方向又はY方向で遮光要素2に張りを与えるために、両方の前側ガイド軌道19で両方の成形材サイドフレーム8を規定の間隔で保持している。後側縁部分18では両方の成形材サイドフレーム8が、それぞれの後側ガイド部分16にある後側ガイド軌道24により間隔を置いて保持されているので、例えば後側フレーム部品のような成形材サイドフレーム8の後側横方向支持を必要としない。引出し幌フレーム3及び後側縁部分18の間では両方の成形材サイドフレーム8が、それ自体の間で遮光要素2に張りを与える、というのは、成形材サイドフレームが、(後側ガイド部分16にあるような内向きの横方向ガイドなしでも)その曲げ剛性のために、張りを与えられた遮光要素2の張力により互いが引き合う又は変形しないからである。
【0026】
スライディングヘッドライナ1をガイド14に沿って後側の開口位置にスライドする時、成形材サイドフレーム8は長さの増加に伴って、それぞれの後側ガイド部分16にある後側ガイド軌道24の中に滑り込み、成形材サイドフレーム8にある側方の間隔ガイドを有する後側縁部分18は、スライディングヘッドライナ1が基本的に完全に後側ガイド部分16で支承されるまで拡張する。
【0027】
図示している成形材サイドフレーム8の断面形状は例示的なものである。断面形状は、記載の機能性が満たされる限り、これとは異なって形成されていることがある。ガイド14は、軌道が長手方向で僅かに湾曲して推移していることがある(
図1を参照)。この軌道の推移が変化しない湾曲半径を有しているとき、成形材サイドフレーム8は、この湾曲及び高い変形剛性を有して製造することがある。湾曲半径がこの軌道の推移以上に変化する時には、成形材サイドフレーム8が、変形及びその湾曲で変化するガイドの軌道変化に適合できる撓み剛性を有している。
【0028】
明細書に記載されており実施形態を使って及び図面で開示されている個々の本発明の特徴は、技術的な目的に適った任意の配設及び構成で、一般的な形態で本発明対象と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 スライディングヘッドライナ
2 遮光要素
3 引出し幌フレーム
4 前側縁部
5 上側部分
6 下側部分
7 長手側
8 成形材サイドフレーム
9 前側部分
10 差込み又は切込み接続
11 側方縁部
12 ベースとなる長辺
13 直角短辺
14 ガイド
15 前側ガイド部分
16 後側ガイド部分
17 後側縁部
18 後側縁部分
19 ガイド軌道
20 スライダ
21 スプリング要素
22 下側ガイド部品
23 上側ガイド部品
24 ガイド軌道
25 噛み合い部
26 リブ