(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
第一の実施態様によれば、以下の項目を含む、付加製造方法用の低圧を用いる粉末床を安定化させるためのデバイスが提案される:
−底部、少なくとも一つの側壁及び容器開口部を含む少なくとも一側面上で開放している容器;
−底部内又はその上、及び/又は、少なくとも一つの側壁内のフィルタ、ここで、フィルタで占有される面積は、底部面積又は側壁面積に対応し、そしてここで、フィルタは、粉末床含む粉末に実質的に不透過性(impermeable)である;及び
−容器の底部及び/又は側壁での、又は容器から離れて面するフィルタの側面での連結、ここで、連結は、容器に配置された(disposed)粉末床がフィルタに対して圧縮され、そして吸引ポンプで発生する低圧で安定化されるように、吸引ポンプへの連結に好適である。
【0011】
この実施態様の利点は、始めに、少なくとも部分的にルーズに分散した粉末の粉末床を減圧排気することにより発生する圧密化に起因する。この圧密化は外部大気圧の影響下での粉末床の緻密化(densification)から成る。この緻密化は、個々の粉末粒の位置を、多くの隣接した粉末粒を含む選択した製造プロセスに依存して、局部的に凝集し、溶融し、又はさもなければ、結合した領域(ドメイン)と一緒に安定化するようにさせる。このように、粉末床内に形成された細かな構造体が、確実に得ることができ、そして機械的ストレスに対して安定化される。粉末床におけるたぶん微妙な構造体上の機械的ストレスは、例えば、一般的に一層一層積み上げられる粉末床が、その最上部に加えられる未だ非加工の粉末を新しい層として有するときに発生する。容器内に既に存在する粉末床に、例えば、ドクタブレードで付加するとき、圧縮及びせん断応力の両方が発生し得る。このタイプのせん断応力は、部分的にのみ固体化し得る構造体においてクラックに導き、又は固体化若しくは部分的に固体化したドメインの完全なせん断に導きうる。同様に、ドクタブレード、又は中空ドクタブレードを使って適用するとき、得られた圧縮応力は、粉末床において、及びその中に埋め込また構造体に摂動を引き起こすことができる。提案されたデバイスの更なる利点は、それは、簡単で、そしてその結果、容易に置換可能又は交換可能な部材を必要とするのみであるという点にある。例として、記載したフィルタは、適切に寸法が決められたフェルト層、又は適切に寸法が決められたフリットから成る。粉末床の記載した圧密化の更なる利点は、対象構造体(製品)と並んで(alongside)製造しなければならない支持構造体なしですますことができる可能性に起因する。対象構造体の空間的複雑度に依存して、それと並んで必要で適切な支持構造体の構築は、かなりの製造出費を必要とするかもしれない。これら追加のコストは、今や、なしですますことができる。粉末は直接利用される構造体(製品)の製造用に専ら使用されるので、更に、品目当たりの材料コストが低減される。更にその上、一方では、以前に必要とされた支持構造体の製造は最早必要としないので、他方、より容易な非成型法により最早必要としないので、製品当たりの時間とコストの経費が低減し;加えて、最早、支持構造体を取り除く必要性がない。
【0012】
更なる実施態様によれば、底部、又は底部に上に配置されたフィルタ(3)は、側壁に対して、又は側壁のフィルタに対して同一平面で及び直角に配置されるデバイスが提案される。この方法で、底部上に配置される粉末床は、側壁の側面により、一側面に範囲を定められる(delimit)。この方法で、側壁の側面は−その構造に依存するが−側壁それ自身により直接形成できるか、又は側壁内に組み込まれたフィルタにより形成することができる。
【0013】
この実施態様は、底部と側壁間の角度で形成される粉末床は、四面から自由にアクセス可能である利点を有する。これは、例えば、異なった技術の組合せが、粉末を圧密化するのに使用し得ることを意味する。
【0014】
更なる実施態様によれば、容器が互いに平行に配置された二つの側壁、及び側壁の各々と同一平面であり、そして実質的に、側壁の互いに対抗領域に対して直角であり、その配向を保持している間、側壁間で自由に動くことができるフィルタを含むデバイスが提案される。
【0015】
本実施態様の利点は、例えば、記載したデバイスの簡単で、頑丈な構造(construction)に起因する。例として、粉末床は、同じ高さの二つの対向する壁の間の両側に開放された凹部に形成してもよく、ここで、これらの壁の間のギャップは、二つの対向する壁のそれぞれ上端まで粉末で満たされている。始めの局部圧密化、又は粉末床の第一層の構築に続いて、一つのインデックス段階(one index step)による二つの対向する壁の間の底部プレート(bottom plate)を低くすることにより、別の層が粉末床の最上部に付加される。二つの側面で開放している構造は、過剰な粉末が二つの側面にこぼれ出すか、又は流れ出て、材料及び一貫性のために一般的な、安息角でパイルを形成することを意味する。都合よく、底部、又は少なくとも一つの側壁のいずれかが、フィルタとして形成される。それ故、少なくとも底部を低下させる間、及び新しい層を適用する間、粉末床は、これらの段階の間、吸引ポンプにより適用される低圧により、又は恒久的に適用される低圧を用いて安定化することができる。
【0016】
更なる実施態様によれば、フィルタが、対向する側壁に対して横方向に動くように配置されるコンベアベルトとして構築されるデバイスが提案される。
【0017】
この実施態様の利点は、層中に積み上げられる粉末床から層中で徐々に積み上げられている対象(object)は、二つの対向壁の位置に対して、ルーズな粉末を圧密化するために使用されるドクタブレード及び/又はツール(例えば、レーザ、ジェット、ビーム源、圧力ヘッド、等)の向きを変える必要なくデバイスから完全に除去することができる可能性にある。これは、二つの開放側面の一つの方向に底部を前進させることにより簡単に行うことができ、ここで、底板は、コンベアベルトの方法で前進する。フィルタが底側に配置されるならば、フィルタにかけられる低圧を維持している間、前進が発生することができる。このように、その中に含有される構造体と一緒に粉末床は、前進段階の間、支持される。底部に直角に配置された二つの側壁の少なくとも一つが、フィルタを備えているならば、その後、底部を前進させるより前に、吸引ポンプへのサイドフィルタの連結が中断される。
【0018】
別の実施態様によれば、コンベアベルトとして形成されるフィルタが、運搬方向に直角に変位可能であるデバイスが提案される。好ましくは、フィルタは、高さが調整可能であり、ここで、高さは、二つの側壁の少なくとも一つの上端まで、コンベアベルトとして形成されるフィルタの距離に対応する。
【0019】
粉末床又は本明細書で記載の対象構造体の一層一層の構築のために、層の高さは、最適条件が、検討中の層の粉末の望ましい圧密化のために存在するように都合よく設定され、望ましい層厚さが、底板を下方に下げることにより設定される。例としては、各々の場合において適用される粉末床の層厚は、生成される構造体エレメントの複雑度の関数として変化することができる。
【0020】
上記実施態様の特徴の組合せは、連続製造の利点を提供し:第一の構造体が形成されたとき、それを含有する粉末床は、加工領域から除去され、そしてその後、新しい粉末床の第一の層を積み上げるための底部が調製される。例として、容器の下方限界として役に立つ(serve as)フィルタプレートは、持ち上げることができ、そして、その上の粉末は、ドクタブレードでスムーズにすることができる;低圧は吸引ポンプで生成されたか、又は生成される。付加プロセスの次のサイクルは、その後、行われる。
【0021】
更なる実施態様によれば、コンベアベルトとして形成されたフィルタが運搬方向に段階的に動くことができるデバイスが、提案される。
【0022】
本実施態様の利点は、前に記載したものと同じである。特に、コンベアベルトの運動方向は、生産ラインの利点を提供する機械方向を画成する(define)。更にその上、この形式の構造体で生産される形状の長さは、ほとんど、限界なしである。何故ならば、コンベアベルト(バンドコンベア)の方向における粉末床の長さに対する原理的制約が存在しないからである。
【0023】
更なる実施態様によれば、フィルタが容器開口部に対して容器内で、特に、容器開口部から離れて、又は容器開口部に向かって、移動することができるデバイスが提案される。
【0024】
本実施態様の利点は、粉末床用の望ましい層厚を得るために、底板を正確に位置決めする可能性に起因する。
【0025】
更なる実施態様によれば、容器開口部が、容器の上部の開口部であり、そしてフィルタが、特定サイズのステップに段階的に低下することができる、デバイスが提案される。
【0026】
ステップの特定深さは、ポンプの最適吸引力のための圧密化された、又は部分的に圧密化された構造体の画成された層厚をもたらす。
【0027】
更なる実施態様によれば、フィルタが、フィルタから容器開口部の開放断面積により実質的に画成される面までの距離が、フィルタにより占有される全面積に亘って一様に変化する方法で落下することができる、デバイスが提案される。
【0028】
本実施態様の利点は、得られた積み上げ層(buildup layers)の高い再現性及びCADモデルデザイン及び生産された現実のオブジェクト(プロトタイプ)により対象となる層流構造体の直接の対応性又は携帯性(portability)に起因する。
【0029】
更なる実施態様によれば、粉末床を減圧排気するための吸引ポンプを更に含むデバイスが提案される。
【0030】
上記実施態様は、容器の底部及び/又は側壁に対する外部圧力(大気圧)の影響下で粉末床を圧縮し、その結果、それを安定化させる可能性をベースにしている。これは、粉末床内で低下する圧力勾配を維持することにより有利に達成することができる。この圧力勾配を形成するために、記載したデバイスは、好適な吸引ポンプで補足されている。好適な吸引ポンプは、一貫して高圧力勾配を維持するために、単位時間当たり十分に高容量の流れを生成し、粉末床の得られた層厚、又は高さ及び程度に依存して、有利に適切である。この方法で、既に圧密化された粉末床の領域のその後発生するたるみ(sagging)、その結果、埋め込まれた構造体へのダメージの潜在的なリスクを避けることができる。
【0031】
更なる実施態様によれば、フィルタが容器の底部に十分に低下したとき、容器の底部におけるチャンネル又は凹部の配置が、フィルタを経由した粉末床の減圧排気が、フィルタで占有された面積に亘って均一に発生することを確実にする、デバイスが提案される。
【0032】
底部プレートに平行に配置された移動性のフィルタプレート上に粉末を運ぶ剛直な底部プレートを備えたデバイスの構成に対しては、フィルタプレートが十分に低下したときでも、均一で幅広く分散した圧力勾配の利点がある。記載したチャンネル及び/又は凹部は、星形で、ネット状で、又は別の方法で規則的に配置されてもよい。それらは、吸引ポンプで運ばる流体の均一な回収(withdrawal)を可能とし、そして、その結果、既に圧密化した粉末床の遅れたたるみを防止する。
【0033】
更なる実施態様において、粉末床のフィルタを通した均一な減圧排気が、フィルタ及び/又は底部用の漏斗形状を用いて確実となるデバイスが提案される。
【0034】
本実施態様の利点は、粉末床に構築される圧力勾配のさらなる均質化にある。
【0035】
更なる実施態様によれば、粉末床が、少なくとも部分的に段階的に積み上げられた部材の少なくともセクション、又はそのような部材の一部を取り囲み、及び/又は、連結を通して取付けられた吸引ポンプの操作中、少なくとも部分的に段階的に積み上げられた部材を安定化し、かつ支持するデバイスが、提案される。
【0036】
この実施態様の利点は、 上記に記載の利点と実質的に同等である。
【0037】
更なる実施態様によれば、以下の項目を含む、粉末床として提供される粉末を含む材料から部材を一層一層形成する方法が提案される:
−材料の少なくとも一層をフィルタに適用し;
−材料の少なくとも一層中で、一層一層形成される部材の層を形成し;
−材料の少なくとも一層と低圧を生成することにより材料から離れて面するフィルタの側面の間で圧力勾配を設定し、ここで、緻密化した少なくとも一つの層は、圧力勾配の影響の下で形成される一層一層形成した部材の層を安定化させそして支持する;
−場合により、材料の層(複数)をフィルタに繰り返し適用することにより積み上げられている部材が、粉末床で完全に形成されるまで、圧力勾配の適用、形成、及び設定のための段階を繰り返し;
−部材を型からの取り外す。
方法の該ステップは、任意の順序で組み合わせても、又は互いに独立して繰り返えしても、又は互いに組み合わせてもよい。
【0038】
この実施態様の可能な利点は、圧密化した部材を取り除いた後、機能なしで、及び追加の材料、時間、及びコストの要件を生じさせる、追加の支持エレメント及び構造体がなしで済むことに起因する。
【0039】
更なる実施態様によれば、 提案された方法は、更に、粉末床に面するフィルタとして形成された作業プラットフォームの側面に、又は粉末床を含む容器に、生成される過剰圧力の支援を得てガスを供給するするとこにより設定される圧力勾配を補強することを含む。
【0040】
本実施態様の利点は、粉末粒子上に充填された粒子を通して流動するガスにより既に抱えられた力を更に調節できる可能性に起因する。特に、フィルタ(作業プラットフォーム)は、実際、ガスには透過性であるが、粉末はフィルタに浸透出来ず又はフィルタを通り抜けることができないので、この力は補強することができる。
【0041】
この実施態様の変更態様によれば、供給されるガスは、不活性ガス及び/又は反応性ガスから選択される。この選択は、使用する粉末及び/又は選択されたバインダに依存する。
【0042】
利点は、使用した粉末のタイプ、又は層内に空間的に融解した位置における粉末粒子の結合の関数として生じる。その結果、不活性ガスの存在は、単独で、パッキング圧の下、粒子の不都合な凝集を防ぐのに役立つことができる。同様に、レーザー誘導加熱用の多孔性(porosity)における反応性ガスの存在は、例えば、層のレーザ露光粒子の空間的に融解した結合を容易にするために作用することができる。これは、改良された選択性、即ち、微細構造体、又は粉末床から完成した成型体を容易に取り除くことのいづれかを可能にする。
【0043】
更なる実施態様は、材料から離れてフィルタの側面に供給されるガスを集めること、及び場合によりそれを圧縮すること、及び−一種のサイクルで−、粉末床の自由面の側面に、及び/又は、材料に面するフィルタの側面にそれをフィードバックすることを提案する。
【0044】
これは、作製した部材の除去による完全な製造サイクルの仕上げのために必要とするガス量が節約できる利点を有する。ユニットは、例えば、ガスの連続供給を必要するが、特定数の製造サイクルでは、例えば、供給すべきプロセズガスを含む液体ガスボトルで十分である。
【0045】
更なる実施態様によれば、材料に面する側面上での大気圧は、0Paより大きいことが提案される。
【0046】
利点は、全体的なより高い力にあり、それでもって意図した充填粒子が一緒に力を加えられ、そしてその結果、一時的に位置が固定される。
【0047】
更なる実施態様によれば、圧力勾配の構築が、材料の適用と交互になされる方法が提案される。
【0048】
このタイプの不連続に積み上げる圧力勾配の利点は、流体の流れで影響を受けない圧密化の可能性に起因する。例として、圧密化のために使用される温度の局部上昇は、同一の力と適切なツールの滞在時間をより長く維持することができる、何故ならば、圧密化構造の時期尚早の冷却は、以前に流動している流体の影響の下で発生するからである。
【0049】
更なる実施態様によれば、圧力勾配が、適用、形成及び任意の繰り返しステップの間、連続して維持される方法が提案される。
【0050】
この実施態様の利点は、乾燥粉末塊(powder masses)の使用に起因する、何故ならば、乾燥粉末塊は、ダメージが起こり得る全てのステップで保持及び支持され、段階的にプリントされた構造体が保護されるからである。
【0051】
更なる実施態様によれば、一層一層圧密化した材料が、非圧密化粉末状材料を適用する間、付加支持構造体の使用なしで安定化し、かつ固定化するように、粉末床での圧力勾配の少なくとも一つの一時的積み上げ、及び粉末床の付随した緻密化、及び一層一層圧密化した材料の安定化を含む、粉末床における粉末材料の一層一層の圧密化による部材の付加製造のための方法が提案される。
【0052】
この実施態様の利点は、追加の材料、時間、及びコストの出費を伴うそれらを製造する際、通常必要とされる支持構造体なしですむことに起因する。
【0053】
更なる実施態様によれば、上記で記載した通り、及び以下に詳細に記載する通りのデバイスの使用が、粉末ベースの付加製造のために提案される。
【0054】
記載したデバイスの使用の利点は、材料、時間及びコストの節約のために、粉末床におけるプロトタイプ、キャスティング、及びモデルの製造に起因する。
【0055】
上記の実施態様は、いかなる方法でも組合すことができる。
【0056】
更なる実施態様、変更態様、及び改良は、以下の説明、及び添付の特許請求範囲から明白になるであろ。
【0057】
本発明によれば、粉末床は、支持構造体が無しですますことができるように、粉末床から離れて面するフィルタで、いわば、分割される容器の側面に真空を適用することにより、及び/又は、粉末床に面するフィルタの側面上の容器に過剰な圧力を適用することにより安定化される。
【0058】
最近、多くの変化が、製造業に、特に開発及び試作品作りの領域における要求事項に発生した。より複雑性の大きい製品変化の上昇数は、試作品作りの必要性が絶えず拡大していることを意味する。「迅速試作品作り」「迅速製造」又は「付加製造」の主要見出しは、多様な新規技術をカバーする、それのおかげで柔軟な製造プロセスの課題が対応可能である。
【0059】
この方法の重要な特徴は、後続のプロセス装置の制御と共にCADの幾何学的形状データからプロセス制御データの作製である。全てのこれらの方法は、共通して以下の特徴を有する。
1.形状作りは材料を除去することにより行われなくて、材料を付加することにより、又は材料の液体から固体への相転移により、又は粉末出発物質の圧縮により行われる。
2.全ての方法は、スライスプロセスを使用してCADデータから直接生成される有限の厚さの層から部品形状を構築する。
【0060】
選択的レーザ焼結(SLS)は、元来、ナイロン、ポリカーボネート、及びワックスから形成された粉末用として開発され、そしてその後、金属粉末にまで広げられた。粉末の層は、反応器における粉末床上に局部的に焼結され、ここで、焼結温度はレーザを用いて得られる。
【0061】
選択的レーザ溶融(SLM)は、選択的レーザ焼結(SLS)の更なる発展であり、そして溶融相の形成によりほとんど完全に緻密化することができる粉末のために使用され、ここで、溶融温度は、レーザを用いて得られる。
【0062】
3Dプリンティングは、バインダの局部スプレイによりその後圧密化される層に適用するために、ポリマー、金属、又はセラミックの粉末を使用する。インクジェットプリンターに類似の技術がバインダを注入するために使われる。
【0063】
ルーズな粉末、即ち、付加製造用の粉末ベースプロセスの粉末床における粉末の低強度のために、概して、支持構造体は、実際の部材に隣接して構築される必要がある。支持構造体の仕事は、積み上げプラットフォームに関して部材を固定することであり、そしてその結果、装置の座標軸にそれを固定することである。支持構造体を形成することは、時間の節約である。特に、その後、形成プロセスの完結の後、適切な部材から支持構造体を除去することは、自動化することができない。
【0064】
3Dプリンティングの場合、ルーズな粉末床から飛び散る粉末粒子は、プリントヘッドの汚染に繋がり、そしてプリントジェットの詰まりとなる。例えば、焼結活性を増加させるために、又はセラミックス部材用の特に細かいクリスタルマトリックスを形成するために使用される最も細かいセラミック粉末を使用するとき、これらの負の特徴は、通常、重要性を増す。
【0065】
低圧を生成し、その結果得られた粉末床の圧密化により、付加製造のための粉末床の提案された少なくとも一時的な安定化は、記載してきた不利益に打ち勝つことができる。
【0066】
粉末床に出来るだけ均一な手法で圧力をかけることにより、粉末床中の個々の粒子は固定化され、その結果、粉末床の全構造が圧密化することができる。適切な製造方法を用いて既に生成されていた粉末床内にある構造体は、それにより安定化され、そして装置の座標軸に固定化される。その結果、支持構造体の必要性は最早なくなり、それは大きい時間が節約されることを意味する。何故ならば、一旦形成プロセスが完結すると、それを作り、部材から除去することが最早必要ではなくなるからである。
【0067】
提案された方法によれば、安定化のために積み上げられた圧力は、粉末床の底部で低圧が生成される粉末床を囲んでいる外圧により発生する。
【0068】
付加製造用の設備の粉末床は、通常、上部が開放した容器と一緒に保持される。多くのユニットにおいて、この容器の底部の高さは、調整可能であり、そして特に、粉末の新しい層を生成するより前に、必要な体積を備えた新しい層が、新しい層の付加のために容器内で利用可能であるように、それは層の厚さによって低下する。本発明によれば、底部は、空気が通過可能であるフィルタとして形成されるが、粉末はフィルタ内に入り込むことができず、又はフィルタを通して通過することもできない。
【0069】
添付
図1において、低圧は、例えば、吸引ポンプ、又はそれにより生成する低圧を、フィルタを経由して多孔質の粉末床に適用する方法で、容器に連結する真空ポンプを用いてフィルタの一側面に生成することができる。
【0070】
粉末床における個々の粒子は、粉末床において、粉末床の表面からフィルタへ生成するガスの連続流、及びその結果生成する圧力勾配を用いて固定化される。
【0071】
有利には、生成される圧力差は、1気圧である。
【0072】
提案されたデバイスの典型的な実施態様及びそれをベースにした方法によれば、粉末床から離れた多孔質プラットフォームの側面の一面上に生成された低圧(真空)に加えて、粉末床に面する一面上に、即ち、粉末床の自由面上の側面上に、過剰圧力が生成し、そして、特に、粉末床において圧力降下を増加させるために使用される。
【0073】
デバイス又はこれをベースにした方法の一つの利点は、1バール(bar)より大きい圧力差が粉末床で積み上げることができる事実に起因する。粒子に作用する力は、それに応じて高くなり、そして支持効果は、もっと細かな構造体を生成するために使用されるが、粉末床において低下した多孔性を有するより小さい粒子の層に対しても十分である。
【0074】
提案された方法、又はそれを行うための提案されたデバイスの使用の重要な利点は、支持構造体の時間消費及び高コストをなしにする可能性である。粉末ベースの付加製造プロセスにおいて、支持構造体の構築及びその除去の両方は、それらは適切な部材の一部ではないので、時間消費及び高コストである。特に、適切な部材から支持構造体の除去は、自動化するのは非常に困難である。その結果、支持構造体を構築する必要がないのは、大きな経済的利益である。
【0075】
我々の知見では、今まで、真空は、付加製造プロセスで粉末床を安定化させるために使用されたことはなかった。低圧を用いた安定化は、切り替えのオン及びオフができ、即ち、それは一時的であるので、本発明は、例えば、粉末から部材を型から外すプロセスに影響を与えることなく、直接、多くの粉末ベースの付加製造プロセスに移すことができる。これは、提案された設備とその使用の大きな経済的意義の基礎となるものである。
【0076】
添付の図面は例示的な実施態様を図示し、そして、説明と共に、提案された方法の原理を説明するために提供される。
【0077】
特に、
図1は、図示された実施態様において四面上で閉鎖された壁(1)で範囲を定められた粉末床(2)を示す。壁に対して動くことができるフィルタ(3)は、粉末床の底部を遮断し(close off)、そして適切な連結部(4)又は吸引ピース(4)で大気へ吸引することにより真空をかけれるようにする。粉末床は、定義された厚さの粉末の更なる層の適用のために、及びバインダの適用により、レーザ焼結、及びそれぞれの粉末ベースの付加製造プロセスのための更なる圧密化概念により、最上部からアクセス可能である。フィルタを通して真空を適用することは、粉末床の安定化をもたらす。
【0078】
本発明によれば、支持構造体を完全になしにすることは、更なる決定的な利点を有する。支持構造体は、その構築の各段階において、積み上げプラットフォーム上で部材を固定化する。3Dプリンティングプロセスにおいて、バインダを適用し、乾燥することで、又は各層での局部レーザ焼結における熱勾配により発生できる部材におけるストレスは、層構築の文脈における層の適切な圧密化領域の小さな緩和移動では相殺することができない。その結果、このタイプのストレスは、支持構造体と少なくとも部分的に関連し、そして支持構造体を取り除いた後、時には、非可逆的で、予測不可能な変形及び部材への損傷をもたらし得る。
【0079】
これに対比して、本発明で定義される通り、支持構造体がない層での局部的ストレスにより発生する小さい緩和的移動は、その後の層の構築の間、相殺することができる。部材は、その結果、丁度始めからストレスフリーの方法で構築される。同様に、それが除去されるとき、部材を変形し、又はそれを損傷し得るいかなるストレスも部材中に存在しない。
【0080】
実例を用いて、3Dプリンティングを用いて、本明細書で記載したデバイス、又はそれをエースにした方法を用いて、セラミック骨代替材料から、モデルを製造した。今まで、支持構造体の支持でのみ得られ得るこのタイプの部材は今や、支持構造体なしで粉末床中で自由に生成される。
【0081】
記載した方法は、基本的に、物質の全ての三クラスに対して、高分子、セラミック、及び金属物質に対して、基本的に適切である。方法の更なる利点は、層に適用するために、粉末は、常に、良好な流動特性を有する必要があるという事実である。これは、粉末の粒子サイズが、特定の最小値に達することができないことを意味する。細かすぎる粒子を備えた粉末では、粒子間の接着力は、均一な流れに、その結果、層の均一な積み上げに逆らう粒子に作用する重力と匹敵する。しかしながら、細かい粉末の使用は、多くの利点、例えは、薄い層の積み上げの可能性を有し、それは積み上げ精度が高くなること、又は、焼結による部材のその後の緻密化が良好となることを意味する。何故ならば、粒子が小さくなればなるほど、焼結が容易になる。多孔質の粉末床で低圧(圧力差)で起こされるガスフロー、(又は空気の流れ)は、細かい粉末を使用可能にする。何故ならば、重力に加えて、個々の粒子は、粉末床の表面方向における空気の流れに起因する付加力を経験する。好都合なことに、これは、 流れが最適化されない粉末ででも、層の均一な積み上げを助ける。
【0082】
具体的な実施態様は、本明細書で図示し、記載されているけれど、本発明の範囲は、本発明の範囲から逸脱することなく示された実施態様に対する適切な変更態様をも包含する。以下の特許請求範囲は、一般的に本発明を定義するために、第一の、非拘束のアプローチを構成する。
【0083】
[文献]
[非特許文献1]
Jensen, K: State-of-the-Art of Different Available and Coming Rp-Systems. Proceedings of the "2
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[非特許文献2]
Sheng, X, Tucholke, U: On Triangulating Surface Models for SLA. Proceedings of the 2
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[非特許文献3]
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[非特許文献4]
Reinhold Melcher, Dissertation, Erlangen 2009