(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記保持部および上記被保持部の一方に磁石が含まれるとともに他方に磁性体が含まれ、上記保持部が上記被保持部を保持した状態では、上記磁石の端面と上記磁性体の端面とが向かい合うことを特徴とする請求項1または2に記載の体内監視カメラシステム。
上記保持部が上記被保持部を保持している状態では、上記保持部の端面と上記被保持部の端面とが接触することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の体内監視カメラシステム。
上記保持部が上記被保持部を保持している状態では、上記保持部の端面と上記被保持部の端面とが、互いの外周同士が重なるように接触していることを特徴とする請求項5に記載の体内監視カメラシステム。
上記磁石および磁性体それぞれの端面の重心位置が、円筒形状の上記保持部の軸上、あるいは円筒形状の上記被保持部の軸上にあることを特徴とする請求項3に記載の体内監視カメラシステム。
上記第1補助具と上記ケーブルの他端との接続強度は、上記保持部および被保持部間の保持強度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の体内監視カメラシステム。
上記磁石および上記磁性体の少なくとも一方の端面および側面が生体適合性のコーティング材あるいはカバー材で覆われており、上記コーティング材あるいはカバー材の厚みは、側面よりも端面の方が小さいことを特徴とする請求項3に記載の体内監視カメラシステム。
上記管状器具の体外側の開口と体内側の開口との間に、管孔を可動的に塞ぐ可動部材が設けられ、上記第1補助具は、上記被保持部の端面から第1距離までは外形が変わらず、上記可動部材の付け根から上記体外側の開口までの距離を第2距離とするとき、第1距離>第2距離×(2/3)であることを特徴とする請求項1に記載の体内監視カメラシステム。
上記保持部および被保持部それぞれの表面の少なくとも一部が、420nm〜570nmの波長をもつ可視光に対応する色をしていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の体内監視カメラシステム。
上記保持部および被保持部それぞれの表面の少なくとも一部が、蓄光材料もしくは反射材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の体内監視カメラシステム。
術者によって設定された、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、および体表面に対する上記支持管の傾きを保持した状態で上記支持管を直接または間接的に体に固定する固定具を備えていることを特徴とする請求項14に記載の体内監視カメラシステム。
体内に配置されて体内を監視する撮像部と、体外に設けられ、少なくとも表示装置を含む制御システムと、一端が上記撮像部に接続されたケーブルとを備える体内監視カメラシステムに用いられる補助具セットであって、
上記ケーブルの他端に接続される第1補助具と、
上記第1補助具に設けられた被保持部を保持する保持部および該保持部に接続する棒状部を含み、上記被保持部を、上記保持部に保持させた状態で、一端が体内に導入された管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための第2補助具とを備える補助具セット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<体内監視カメラシステム>
図1は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の概略構成を示す模式図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、体内を撮像するカメラユニット11(撮像部)と、一端がカメラユニット11に接続されたカメラ側ケーブル12と、ディスプレイ18(表示部)を含む制御システム3と、一端が制御システム3に接続された
機器側ケーブル16と、カメラ側ケーブル12の他端に接続される磁石付コネクタ保護キャップ8(第1補助具)と、磁石付コネクタ保護キャップ8に設けられた磁石8g(被保持部)を保持する磁石7g(保持部)および磁石7gに接続する棒状部7xを含み、磁石8gを、磁石7gに保持させた状態で管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための引き出し具7(第2補助具)とを備えている。なお、機器側ケーブル16の他端に設けられた機器側ケーブルコネクタ16a(凸型)が、カメラ側ケーブル12の他端に設けられたカメラ側ケーブルコネクタ12a(凹型)に嵌め込まれてカメラユニット11と制御システム3とが電気的に接続される。なお、以下では、カメラ側ケーブルコネクタ12aをコネクタ12aと、機器側ケーブルコネクタ16aをコネクタ16aと略記することがある。
【0015】
なお、
図1では、カメラ側ケーブルコネクタ12aに挿入されるピン本数が1本となっているが、これは簡略化のためであり、通常、ケーブルに使用する電線の本数に応じたピン本数となる。これは他の図面においても同様である。
【0016】
<カメラユニット>
図2の(a)は、カメラユニット11の要部の概略構成を模式的に示す断面図であり、
図2の(b)は、カメラユニット11の上面図である。
【0017】
図1及び
図2の(a)・(b)に示すように、カメラユニット11は、カメラ筐体21、回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、照明装置27、及び支持部22を備えている。
【0018】
回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、及び照明装置27は、カメラ筐体21内に設けられている。一方、支持部22は、カメラ筐体21の外側に設けられている。
【0019】
撮像ユニット24は、撮像レンズであるレンズ26と、固体撮像素子25とを備えている。固体撮像素子25は、レンズ26の光軸と軸心が一致するように配置されている。固体撮像素子25としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等が用いられる。照明装置27は、体内を照らすことで、カメラユニット11が撮影する映像を明瞭にする。照明装置27は、小型のものが好ましく、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等が好適に利用できる。なお、照明装置27は、カメラユニット11に、1つのみ設けられていてもよく、
図2の(a)に示すように複数設けられていてもよい。
【0020】
これら固体撮像素子25及び照明装置27と制御回路28とは、回路基板19に接続されている。制御回路28は、回路基板19を介して、撮像ユニット24及び照明装置27と電気的に接続されている。
【0021】
また、回路基板19にはカメラ側ケーブル12の一方の端部が接続されており、カメラ側ケーブル12、並びに、コネクタ12a・16a(
図1参照)を介して、回路基板19と、制御システム3におけるカメラユニット制御機器17(
図1参照)との間で信号の入出力が行われる。これにより、制御回路28は、カメラ側ケーブル12及び回路基板19を介してカメラユニット制御機器17から入力された制御信号に基づいて、撮像ユニット24及び照明装置27の駆動を制御する。
【0022】
カメラユニット11からカメラユニット制御機器17への伝送に有線方式を採用しているため、伝送の高速化と、信号の安定的な送受信が可能となり、高解像度の画像を得ることができる。また、無線方式に比べて低電力で通信でき、また、電源を外部から供給することによりカメラユニット11の小型化を図ることができる。この小型化により、カメラユニット11を体内に導入するときの傷を小さくでき、低侵襲性が向上するという特段の効果がある。
【0023】
次に、カメラ筐体21及び該カメラ筐体21の外部に設けられた支持部22について説明する。
【0024】
支持部22は、カメラ筐体21における対向する両側面のそれぞれから外方に突出して設けられている。支持部22は、カメラユニット11における把持部として用いられる。カメラユニット11は、例えばトロッカー32(管状部材、
図7参照)を通して体内に導入される。支持部22は、カメラユニット11を支持するためのものである。支持部22は、鉗子を用いてトロッカー32からカメラユニット11を体内に導入する際や、使用後にカメラユニットを支持管より取り外す際や、トロッカーから回収する際に把持され、カメラユニット11を支持することができるようになっている。
【0025】
また、カメラユニット11のカメラ筐体21は、レンズ26や照明装置27が配置された部分は透明の材料で構成されるが、それ以外の部分(支持部22を含む)は、体内で目立ちやすい寒色系の青色や青緑色、緑色の材料で構成することが望ましい。このように、赤色や黄色である体内色に対して、補色の関係にある寒色系の青色や青緑色、緑色にすることによって、後述する体内での設置作業や回収作業時に視認し易くできる。よって、カメラユニット11を青色や青緑色、緑色にすることは、カメラユニット11の設置作業の時間短縮を図ることができ、安全性も高まるといった、特段の効果がある。
【0026】
また、上記のように、青色や緑色材料で着色する以外にも視認しやすい蓄光材料や反射材料を用いても良い。このようにすることによって、視認しにくい臓器の陰や、照明光がとどきにくい視野の端にあるときに、直ちに見つけることができるので、特に効果的である。
【0027】
<制御システム>
制御システム3は、
図1に示すように、カメラユニット制御機器17とディスプレイ18(表示装置)とを備えている。カメラユニット制御機器17は、カメラユニット11から送信された映像をディスプレイ18に表示させる。また、カメラユニット制御機器17は、制御信号をカメラユニット11に送信する。なお、カメラユニット制御機器17とディスプレイ18とは、一体化されていてもよく、別体で構成されていても構わない。
【0028】
<ケーブル>
カメラ側ケーブル12は、カメラ側の通信ケーブルである。カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11が撮影した映像を、映像信号として、コネクタ12a・16aおよび機器側ケーブル16を介してカメラユニット制御機器17に送信したり、カメラユニット制御機器17からの制御信号を、カメラユニット11に送信したりする。なお、カメラ側ケーブル12に、カメラユニット11に電源を供給するための電源供給線が含まれていてもよい。
【0029】
カメラ側ケーブル12の一方の端部は、回路基板19に接続され、他端がカメラユニット11の外部に導出されている。なお、回路基板19とカメラ側ケーブル12との接続部は、図示しない樹脂等で封止されている。さらに、カメラ側ケーブル12が引き出される部分において、カメラ側ケーブル12がカメラ筐体21に接着固定されている。該接着固定の一例としては、接着剤またはOリング(オーリング)による封止固定が挙げられる。該接着固定された部分からカメラユニット11内への浸水および異物混入等が防止されている。
【0030】
カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11に接続された状態でトロッカー32(
図7参照)等の管状部材を通して体腔内に導入されたり、後述する穿刺器具6(
図3参照)やカメラ支持管13(
図12参照)を通って体外へ引き出されたりする。このため、カメラ側ケーブル12は、柔軟性を有するフレキシブル材料で形成されている。
【0031】
また、カメラ筐体21を体内で目立ちやすい寒色系の青色や青緑色、緑色の材料で構成することが望ましいことを前述したが、同様に、このカメラ側ケーブル12の表面の被膜を体内で目立ちやすい青色や青緑色、緑色の材料で構成することが、より一層望ましい。さらに、カメラ側ケーブルコネクタ12aについても、同様に着色した材料で構成することが望ましい。このように、赤色や黄色である体内色に対して、補色の関係にある寒色系の青色や青緑色、緑色にすることによって、後述する体内での設置作業や回収作業時に視認し易くできる。例えば、誤って体内に落とし、カメラユニット11が臓器の陰に隠れたときでも、カメラ側ケーブル12はカメラユニット11と比較して長いため、視認できる場所に見えていることが多く、直ぐに見つけやすい。よって、カメラ側ケーブル12を青色や青緑色、緑色にすることは、カメラユニット11の設置作業の時間短縮を図ることができ、安全性も高まるといった、特段の効果がある。
【0032】
このように、カメラ筐体21やカメラ側ケーブル12の着色には、波長が420nm〜570nm(特に好ましくは、450nm〜530nm)の可視光に対応する色(体内で見やすい色)を用いることができる。
【0033】
また、上記のように、青色や緑色材料で着色する以外にも視認しやすい蓄光材料や反射材料を用いても良い。このようにすることによって、視認しにくい臓器の陰や、照明光がとどきにくい視野の端にあるときに、直ちに見つけることができるので、特に効果的である。
【0034】
図1では、オス型(凸型)の機器側ケーブルコネクタ16aのピン部分を、メス型(凹型)のカメラ側ケーブルコネクタ12aに挿入することで、両ケーブルコネクタを嵌合させているがこれに限定されない。オス型とメス型は逆であってもよく、オス型(凸型)のカメラ側ケーブルコネクタと、メス型(凹型)の機器側ケーブルコネクタとを嵌合するような構成でもかまわない。なお、メス型(凹型)のカメラ側ケーブルコネクタを使った場合は、誤ってコネクタ保護キャップが外れ、端子部分が露出した場合でも、オス型のようにピン部分が外部に露出していないため、誤って体内に触れた場合でも汚れが付着しにくい。よって、カメラ側にはメス型(凹型)のケーブルコネクタを使うことが望ましい。
【0035】
なお、後述するように、カメラ側ケーブル12およびカメラ側ケーブルコネクタ12aは、カメラユニット11の回収時に一旦体内に戻すことになるため、接触する機器側ケーブルコネクタ16aと、清潔な手で触る機器側ケーブルコネクタ16a側の機器側ケーブル16の一部は、清潔を維持する必要がある。
【0036】
なお、
図31のように、カメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16との間に中間ケーブル15を設けることが望ましい。具体的には、中間ケーブル15の一端に設けられた第1中間ケーブルコネクタ15a(凸型)のピン部分を、カメラ側ケーブルコネクタ12a(凹型)に挿入し、機器側ケーブルコネクタ16a(凸型)のピン部分を、中間ケーブル15の他端に設けられた第2中間ケーブルコネクタ15b(凹型)に挿入する。こうすれば、極細のカメラ側ケーブル12と太い機器側ケーブル16のケーブル径やケーブルコネクタの太さを段階的に変換することができ、伝送速度の比較的遅い細径ケーブルの使用を必要最低限にすることができる。これにより、高速伝送が可能となり、高解像度画像を得ることができる。以下では、第1中間ケーブルコネクタ15aをコネクタ15aと、第2中間ケーブルコネクタ15bをコネクタ15bと略記することがある。
【0037】
ケーブル径やケーブルコネクタの太さを段階的に変換する場合は、
図31のように、「カメラ側ケーブル12の外径<中間ケーブル15の外径<機器側ケーブル16の外径」、および、「カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径≦第1中間ケーブルコネクタ15aの外径<第2中間ケーブルコネクタ15bの外径≦機器側ケーブルコネクタ16aの外径」とすることが望ましい。
【0038】
また、中間ケーブル15を使うことで、手術時の清潔野と不潔野の分離を効果的に行うことができるといった特段の効果がある。つまり、体内に入れるカメラ側ケーブル12は、前述した伝送速度の面や設置時の取扱いを容易にするため、必要最低限の長さに設定しておき、そこから清潔野を超えて不潔野に入るまでは、予め滅菌処理済みの中間ケーブル15を用いる。このようにすることによって、カメラ側ケーブルコネクタ12aと第1中間ケーブルコネクタ15aとの嵌合は、清潔野の中で行うことができ、清潔を維持できる。一方、第2中間ケーブルコネクタ15bは、不潔野にある機器側ケーブル16の機器側ケーブルコネクタ16aと嵌合され、不潔となり、嵌合後は不潔な器具として扱う。したがって、清潔な器具側とは完全に分離することができる。
【0039】
なお、体内監視カメラシステムにおいて「清潔野」に含まれる部分は、滅菌処理が行われて清潔性が維持されている。一方、「不潔野」に含まれる部分は、滅菌処理が行われていない、または、滅菌処理が行われた後に不潔野に入った部分である。
【0040】
なお、カメラ側ケーブルコネクタ12aと、機器側ケーブルコネクタ16aもしくは第1中間ケーブルコネクタ15aとを接続(嵌合)するときの接続強度(嵌合強度)は、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット11の接着固定部の接着強度よりも小さく設定しておくことが望ましい。
【0041】
これは、通常の使用時では想定していない大きな力がケーブルに加わった際に、コネクタ12a・16aの接続(
図1)あるいはコネクタ12a・15aの接続(
図31)を先に解消させることで、カメラ側ケーブル12の接着固定部が破損したり、カメラユニット11が体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれをなくし、安全性を高めるためである。また、術者や助手等がケーブルを引っ掛けて転倒したり、カメラユニット制御機器17が引っ張られて台から落下したりする事故を防止することもできる。
【0042】
例えば、コネクタ12a・16a(
図1)の接続強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。さらに、最適な範囲としては、4Nから10Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、接続する際にむやみに大きな力を加えることなく接続でき、また、外す際にも、むやみに大きな力を加える必要がない。
【0043】
また、
図31において、機器側ケーブル16におけるカメラユニット制御機器17側にあるケーブルコネクタ(不図示)による機器側ケーブル16およびカメラユニット制御機器17の接続強度や、不潔野にある機器側ケーブルコネクタ16aおよび第2中間ケーブルコネクタ15bの接続強度を、カメラ側ケーブルコネクタ12aおよび第1中間ケーブルコネクタ15aの接続強度より大きく設定(例えば、50N〜100N)しておけば、ケーブルに想定外の力が加わった際に、清潔野におけるカメラ側ケーブル12および中間ケーブル15の接続(コネクタ12a・15aの篏合)が必ず先に解消されるようにすることができる。もし、これが逆で、例えば不潔野における中間ケーブル15と機器側ケーブル16との接続(コネクタ15b・16a)が先に外れてしまうと、反動で中間ケーブル15の不潔野にある部分、および第2中間ケーブルコネクタ15bが清潔野に入ってしまう危険が生じる。よって、清潔野における接続(コネクタ12a・15aの篏合)が先に解消されることは、手術時の安全確保のために特段の効果がある。
【0044】
なお、清潔野における接続が外れて中間ケーブル15の清潔野にある部分、すなわち、第1中間ケーブルコネクタ15aおよび第1中間ケーブルコネクタ15aから所定の長さの部分(清潔部分)が不潔野に触れた場合は、清潔な中間ケーブル(第1中間ケーブルコネクタを含む)と交換すればよいので安全である。また、第1中間ケーブルコネクタが独立した単独の部品で構成されている(単体での交換可な)場合であって、第1中間ケーブルコネクタが中間ケーブルの清潔野にある部分とともに不潔野に触れた場合は、この第1中間ケーブルコネクタと中間ケーブルとを清潔なものと交換すればよい。
【0045】
また、カメラ側ケーブル12は、カメラ側ケーブル12と上記清潔部分とを足した長さ(1m程度)に比べて十分短くしておくことが望ましい。具体的には、カメラ側ケーブル12は、カメラ側ケーブル12と上記清潔部分とを足した長さの半分以下、すなわち最長でも50cmであることが望ましい。これにより、カメラ側ケーブル12が不潔野に入ることを防ぐことができる。
【0046】
上述の説明は、カメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16とを中間ケーブル15で接続する場合についてのものであるが、
図1のように、カメラ側ケーブル12と機器側ケーブル16とが直接接続される場合においても、カメラ側ケーブル12は、カメラ側ケーブル12と、機器側ケーブル16の清潔部分(コネクタ16aおよびコネクタ16aから所定の長さの部分)とを足した長さ(1m程度)に比べて十分短くしておくことが望ましい。
【0047】
<補助具セット>
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、補助具セットとして、第1補助具である磁石付コネクタ保護キャップ8および第2補助具である引き出し具7を備え、この補助具セットは、例えば、管状器具である、トロッカーやカニューレあるいは穿刺器具とともに使用される。
【0048】
穿刺器具の構造について、
図3の(a)〜(d)を参照してより詳細に説明する。
図3の(a)は、本実施形態に係る穿刺器具6(管状部材)の一例を示す図である(b)は(a)の断面図であり、(c)は穿刺器具と組み合わせて穿刺に用いるオブチュレータ(先尖り棒)の図であり、(d)は穿刺器具にオブチュレータを通した状態の断面図である。一般的にトロッカーのような穿刺器具は、先端が尖り、筒状で中空の構造を持ち、穿刺の際にはオブチュレータ36を通して組み合わせて用いる。以下では注射針のような先端を持つ穿刺器具を例に説明する。
【0049】
(引き出し具および磁石付コネクタ保護キャップ)
図4の(a)は、本実施形態で用いる引き出し具の概略構成を示す断面図であり、(b)は、穿刺器具に引き出し具を挿入した断面図、(c)は、(b)に引き出し具を固定するストッパを加えた状態を示す図、(d)は穿刺器具に引き出し具を押し込んだ状態を示す図である。また、(e)は、磁石付コネクタ保護キャップの一例を示す図、(f)は、カメラケーブルのコネクタ部を示す図である。
図5の(a)は、カメラケーブルコネクタ部に磁石付コネクタ保護キャップを装着した図、
図5の(b)、(c)は、それぞれ
図5の(a)のA−A’断面、B−B’断面を示す図である。また、
図5の(d)は、引き出し具と磁石付コネクタ保護キャップを接着し、穿刺器具に挿入した状態を示す図である。
図5の(e)は、磁石付コネクタ保護キャップの他の例を示す図、
図5の(f)は、引き出し具と
図5の(e)の磁石付コネクタ保護キャップを接着し、穿刺器具に挿入した状態を示す図である。
図6の(a)は、磁石付コネクタ保護キャップの更に他の例を示す図、
図6の(b)は、引き出し具と
図5の(e)の磁石付コネクタ保護キャップに接続された磁石を接着し、穿刺器具に挿入した状態を示す図、
図6の(c)は、磁石付コネクタ保護キャップに接続された磁石を、穿刺器具を通して体外に引き出した状態を示す図である。
【0050】
図4の(a)に示すように、本実施形態で用いられる引き出し具7は、一端に設けられ、磁石付コネクタ保護キャップを接着するための磁石7g(保持部)と、棒状部7xと、他端に設けられた持ち手部7yとから成る。また、(b)に示すように磁石7gと棒状部7xの外径が、針状の穿刺器具6の内径よりも小さい棒状の器具である。また、持ち手部7yは穿刺器具の内径より十分に大きな寸法を有している。
【0051】
図4の(e)は磁石付コネクタ保護キャップ8の一例を示す図である。磁石付コネクタ保護キャップ8は、
図4の(f)に示すカメラ側ケーブルコネクタ12aの防水キャップとして機能するものであり、キャップ部8cと、その先端に設けられた磁石8g(被保持部)とを備える。
図5(a)に示すように、磁石付コネクタ保護キャップ8は、カメラ側ケーブルコネクタ12aの形状に応じた凹形状を持ち、この凹形状の部分にケーブルコネクタ12aを嵌め込んで装着する。
図5の(b)は
図5の(a)のA−A’断面、
図5の(c)はB−B’断面であり、この間にあるカメラ側ケーブルコネクタ12aのくびれを利用して引っ掛けて留め、引っ張っても抜けない構造となっている。穿刺器具6の内径をできる限り小さくするため、
図5の(a)〜(c)に示す磁石付コネクタ保護キャップ8の幅は、カメラ側ケーブルコネクタ12a及びカメラ側ケーブル12の一部(カメラ側ケーブルコネクタ12a側の太い部分)の幅以下となっている。
【0052】
なお、磁石付コネクタ保護キャップ8の形状は、この例に限定するわけではなく、カメラ側ケーブルコネクタ12aの形状に合わせて任意の形状を取ることができる。
【0053】
例えば、くびれが無いなど、カメラ側ケーブルコネクタ12aの形状による制限によって、上記のようなコネクタ外径よりキャップ部8cを小さくする工夫ができない場合は、キャップ部8cの外径がカメラ側コネクタ12a外径より若干大きくなってもかまわない。
【0054】
また、例えば、カメラ側ケーブルコネクタ12aの端部を、少し細く形成しておき、その細くなった部分に磁石付コネクタ保護キャップ8を嵌め込んだときに、磁石付コネクタ保護キャップ8の端面の外周が、カメラ側ケーブルコネクタ12aの上記端部でない部分(上記端部より付け根側に位置する太い部分)の外周に一致するようにし、磁石付コネクタ保護キャップ8の側面とカメラ側ケーブルコネクタ12aの側面との間に段差ができないようにすることが望ましい。こうすれば、カメラ側ケーブル12を引き上げる際に、カメラ側ケーブルコネクタ12aと磁石付コネクタ保護キャップ8との境界部分が、穿刺器具6や後述する他の実施形態で用いるトロッカー、カニューレ等の管状デバイスの内壁に引っ掛かってカメラ側ケーブル12が体内に落下するといったトラブルを減らすことができる。
【0055】
また、カメラ側ケーブルコネクタ12aと磁石付コネクタ保護キャップ8の接続(嵌合)強度については、カメラ側ケーブル12の引き上げ時に外れない必要があり、補助具セットに磁石を用いた場合は、磁力以上の、例えば2N(ニュートン)以上にすることが望ましい。また、機器側ケーブルコネクタ16aあるいは第1中間ケーブルコネクタ15aとの接続を行う際に、磁石付コネクタ保護キャップ8を取り外す必要があり、人が脱着しやすい接続強度であることが望ましいため、最適な範囲としては、4Nから10Nの範囲に設定することが望ましい。
【0056】
また、一般的にはオブチュレータ36を用いて穿刺を行うが、オブチュレータ36の代わりに、引き出し具7を用いることもできる。
図4の(c)に示すように、穿刺器具6に引き出し具7を導入した状態で穿刺器具6を体壁41に挿入し、ストッパ77で固定した場合、体液が穿刺器具6の管の中(内部)に入ることを防ぐ構造となっている。また、
図4の(d)に示すように、穿刺後、ストッパ77を外し、そのまま体空内に押し込めば、すぐに次のカメラ側ケーブル12の引き上げ作業に入ることができる。
【0057】
これにより、針状の穿刺器具が体内に入るときに体液で管が詰まることがなく、針状の穿刺器具に入った引き出し具7の端部を体壁41に貫通させ、体内に導入することができる。また、オブチュレータ36を使わないので、穿刺作業を更に簡略化することができる。
【0058】
なお、穿刺器具6は、低侵襲性を実現するために、直径が小さいものが好ましい。具体的には、直径が3mm以下であることが好ましい。
【0059】
図5の(e)および(f)に磁石付コネクタ保護キャップ8の他の例を示す。
図5の(e)に示す磁石付コネクタ保護キャップ8は、キャップ部8cと磁石8g(被保持部)とを連結ワイヤ8wで接続した構成としている。この場合、磁石8gの部分を小型軽量にできるので、引き出し具7に吸着しやすく、吸着可能範囲を広げることができる。よって、位置が多少ずれていても吸着するので、簡単に短時間で操作することができる。
【0060】
これらの例の磁石付コネクタ保護キャップ8に用いた磁石の磁力については、カメラユニット11及びカメラ側ケーブル12を引き出すために十分大きな接着強度が必要である。上記の例では、引き出す際にその中を通す穿刺器具6は、弁構造を有していない。したがって、穿刺器具6内を通す際に大きな負荷はかからないため、カメラユニット11とカメラ側ケーブル12を合わせた重量を十分支えるだけの、例えば、0.5N以上であればよい。また、引き出し後に外す際に、人の手で無理なく外すことができる接着強度にしておくことが望ましく、また、引き出し時に磁石付コネクタ保護キャップ8が外れないように、磁石付コネクタ保護キャップ8とカメラ側ケーブルコネクタ12aの接続(篏合)強度より小さくする必要があるため、最適な範囲としては、0.5Nから4Nの範囲に設定することが望ましい。
【0061】
また、
図32(a)〜(e)に示すように、引き出し具7の保持部7hが磁石付コネクタ保護キャップ8の被保持部8hを保持している状態において、保持部7hの端面(接着面)と被保持部8hの端面(接着面)とが、互いにはみ出すことなく重なり、それぞれの端面が露出しないことが望ましい。このためには、例えば、保持部7hおよび被保持部8hそれぞれの端面の外径を同一とし、保持部7hの端面の外周と被保持部8hの端面の外周とが重なるように接着させる。また、どの向きで接着しても必ず端面が一致するように、それぞれの端面は円形であることが望ましい。こうすれば、保持部7hの側面と被保持部8hの側面との間に段差が生じることがないため、被保持部8hの引き揚げの際、管状部材内部の凹凸に、保持部7hあるいは被保持部8hの端面が引掛かって
被保持部8hが保持部7hから外れるといった不具合を減らすことができる。
【0062】
また、吸着部分は生体に触れるため、生体適合性を有した医療用材料(生体適合材料)であることが望ましく、樹脂やSUSで表面を覆うことが望ましい。樹脂コーティングやSUS(ステンレス鋼)カバーを用いた場合、吸着力の低下を防ぐために、厚みは1mm以下、好ましくは0.15mmであることが望ましい(後に詳述)。また、磁性体の場合は、接着面(被吸着部)の樹脂の厚みを他の部分より薄くしておけば、接着面以外の場所に吸着することを防ぐことができ、接着面の位置がずれることなく、安定に接着できる。これにより、穿刺器具の開口部端で引っ掛かって外れることなく、スムーズに通すことができる。よって、設置時間の短縮が図れる。
【0063】
図32(a)は保持部7hおよび被保持部8hの表面に生体適合材(例えば、生体適合性樹脂)のコーティングがない場合、
図32(b)は、保持部7hの表面には生体適合材のコーティングがあり、被保持部8hの表面には生体適合材のコーティングがない場合、
図32(c)〜(e)は、保持部7hおよび被保持部8hの表面に生体適合材のコーティングがある場合を示しており、保持部7hおよび被保持部8hはともに円筒形状である。
【0064】
図32(a)〜(e)では、保持部7hおよび被保持部8hの端面の外径を同一とし、保持部7hの軸上に磁石7gの端面の重心を配し、被保持部8hの軸上に磁石8gの端面の重心を配することで、被保持部8hが保持部7hに接着している状態において、保持部7hの端面の外周と被保持部8hの端面の外周とが重なり、保持部7hの側面と被保持部8hの側面との間に段差が生じないようにしている。
【0065】
引き出し具7の磁石7gおよび磁石付コネクタ保護キャップ8の磁石8gについては、
図32(a)・(c)のように磁石7gの端面の外径および磁石8gの端面の外径が同一であることが望ましいが、
図32(b)・(d)のように磁石7gの端面の外径が磁石8gの端面の外径よりも小さくても、
図32(e)のように磁石7gの端面の外径が磁石8gの端面の外径よりも大きくてもよい。ただし、後述のように、小さい方の磁石の端面の外径を、大きい方の磁石の端面の外径の70%以上とすることが望ましい。
【0066】
図32(b)〜(e)に示すように、保持部7hや被保持部8hのコーティングCT(生体適合材)の厚みについては、保持力となる磁力を維持するため、側面よりも端面(接着面)の方を小さくする。端面(接着面)のコーティングCTはできるだけ薄い方が望ましいが、使用期間中にコーティングCTが剥がれないだけの厚みは必要である。
【0067】
上記の例では、引き出し具7による磁石付コネクタ保護キャップ8の保持に、磁力による吸着を利用しているがこれに限定されない。例えば、面ファスナーのように、形状の異なる繊維間の物理的な接着を利用することも可能である。
【0068】
また、第1補助具の被保持部および第2補助具の保持部双方に磁石を用いているが、これに限定されない。一方に磁石を用い、他方に、該磁石に吸着する、非磁石の磁性体を用いてもよい。特に、第1補助具に設けられる被保持部は、鉗子等の手術器具への吸着を防ぐため、非磁石の磁性体であることが望ましい。また、磁石が通る穿刺器具6には非磁性体を用いることが望ましく、例えば、硬質樹脂を用いることができる。
【0069】
図33に、第1補助具の被保持部および第2保持具の保持部の一方に磁石を用い、他方に磁性体(磁石含む)を用いた場合の磁石および磁性体の端面の外径と接着強度との関係を示す。なお、磁石の端面の外径を1とし、磁性体の表面を覆う非磁性体(生体適合性のコーティング)の厚みをパラメータ(0.04、0.06、0.08、0.10)としている。例えば、磁石の端面の外径を2mmとすれば、非磁性体の厚みは、それぞれ、0.08
mm、0.12mm、0.16mm、0.20mmとなる。
【0070】
図33に示すように、磁性体の端面の外径は、磁石の端面の外径とほぼ同等であることが望ましい。また、非磁性体(生体適合性のコーティング)の厚みは薄い方が望ましいことが分かる。例えば、非磁性体の厚みを半分にすれば、接着強度が約30%向上する。後述するように、トロッカー等の弁構造を通すためには、1N以上の接着強度が必要であるから、安定して、これ以上の強度を確保するためには、非磁性体(磁性体のコーティング)の厚みは、磁石の端面の外径の8%(例えば、磁石の外径を2mmとすれば0.16mm)未満、また、磁性体の端面の外径は、磁石の端面の外径の70%以上130%以下であることが望ましい。
【0071】
また、磁石として永久磁石ではなく、電磁石を用いることもできる。この場合、吸着時以外は、通電をオフにしておけば、上記の他の器具への吸着の問題を防止することができるため、他の器具の材質に制限を設けることが無くなるので望ましい。
【0072】
また、引き出し具7の先端(特に、保持部である磁石)、磁石付コネクタ保護キャップ8、連結ワイヤ8w等の体内挿入部材は、前述したカメラ筐体21やカメラ側ケーブル12等と同様に、体内で目立ちやすい寒色系の青色や青緑色、緑色の材料で構成することが望ましい。このようにすることによって、体内での設置作業や回収作業時に視認し易くでき、作業時間の短縮を図ることができる。このように、引き出し具7の先端や磁石付コネクタ保護キャップ8、連結ワイヤ8w等の体内挿入部材の着色には、波長が420nm〜570nm(特に好ましくは、450nm〜530nm)の可視光に対応する色(体内で見やすい色)を用いることができる。
【0073】
また、上記のように、青色や緑色材料で着色する以外にも視認しやすい蓄光材料や反射材料を用いても良い。このようにすることによって、視認しにくい臓器の陰や、照明光がとどきにくい視野の端にあるときに、直ちに見つけることができるので、特に効果的で、安全性も高まるといった、特段の効果がある。
【0074】
<体内監視カメラシステムの設置方法>
次に、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を、使用方法と併せて説明する。
【0075】
図7の(a)〜(d)および
図8の(a)〜(c)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を工程順に示す模式図である。また、
図9の(a)、(b)は、それぞれ
図7の(d)、
図8の(a)の工程に対する変形例である。
【0076】
図7の(a)に示すように、まず、術者は、体壁41に、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するためのポート41a〜41c(孔)を開け、ポート41a〜41cに、複数のトロッカー32(以下、トロッカー32a〜32cと称する)をそれぞれ挿入する。
【0077】
トロッカー32a〜32cのうち少なくとも1つのトロッカーを体壁41に挿入した後、術者は、このトロッカー32a〜32cのうち少なくとも1つのトロッカーを通してガスを体内に送り、体腔内を膨張させる。
【0078】
さらに、カメラユニット11を体腔内に設置するために、体壁41における、患部を含む臓器全体を見渡すことのできる位置に、穿刺器具6を用いてポート41dを開ける。
【0079】
具体的には、針形状のオブチュレータ(図示せず)を穿刺器具6内に通した状態でオブチュレータをポートに穿刺することで、穿刺器具6が体壁41に挿入される。
【0080】
オブチュレータの代わりに引き出し具7をあらかじめ挿入しておいてもよい。
【0081】
次に、
図7の(b)に示すように、鉗子33aを用いて、カメラユニット11の支持部22を把持し、あらかじめ、カメラ側ケーブルコネクタ(図示せず)に磁石付コネクタ保護キャップ8を装着したカメラ側ケーブル12およびカメラユニット11を体腔内に挿入する。
【0082】
次に、
図7の(c)に示すように、術者は、トロッカー32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aでカメラユニット11の支持部22を把持し、ポート41dの下部にカメラ側ケーブル12およびカメラユニット11を移動させ、更に、引き出し具7を穿刺器具6に挿入し、カメラ側ケーブル12の端部の磁石付コネクタ保護キャップ8に吸着する。本実施形態では、引き出し具7と磁石付コネクタ保護キャップ8の接着に磁石(7g・8g)を用いているので、位置が多少ずれていても磁力で吸着するので、簡単に短時間で操作することができる。
【0083】
次に、
図7の(d)に示すように、穿刺器具6から引き出し具7を引き出して、カメラ側ケーブル12が接続された磁石付コネクタ保護キャップ8を体外に引き出す。引き出し具7のもう一方の端部には持ち手部7yがあるため、誤って引き出し具7が体内に落ち込むことはなく、安全に操作できる。
【0084】
次に、
図8の(a)に示すように、引き出し具7から磁石付コネクタ保護キャップ8を外し、穿刺器具6を体壁41から抜き取るとともに、
図8の(b)に示すように、カメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、ケーブル留め具43を用いて固定する。
【0085】
穿刺器具6は抜き取り、カメラ側ケーブル12のみを残すので、ポート41dの孔径はカメラ側ケーブルコネクタ12aと同等の外径、例えば3mm径にすることができる。
【0086】
特許文献2の医療装置では、通信ケーブルを体内に引き出すために、体内でワイヤをフック部に引っ掛けるという難しい操作を行う必要がある。
【0087】
これに対して、本実施形態の体内監視カメラシステムでは、引き出し具7の先端に設けられた磁石7gと、磁石付コネクタ保護キャップ8とを近接させるという簡易な操作によって、磁石付コネクタ保護キャップ8を引き出し具7の先端に保持することができる。これにより、容易にカメラ側ケーブルコネクタを体外に引き出すことができる。
【0088】
ここで、本実施形態の
図7の(d)、
図8の(a)の工程に対する変形例を、
図9の(a)、(b)及び
図6の(a)〜(c)を用いて説明する。
【0089】
本変形例では、
図6の(a)に示した磁石付コネクタ保護キャップ8を用いる。この磁石付コネクタ保護キャップ8は、磁石8gとキャップ部8cとが連結ワイヤ8wで接続された構成をしており、磁石8gおよび連結ワイヤ8wの径は、キャップ部8cより小さく、また、連結ワイヤ8wの長さは穿刺器具6より長くしてある。
【0090】
図9の(a)に示すように、
図7の(d)で説明した手順で、穿刺器具6から磁石8gを引き出す。
図6の(c)に示すように、穿刺器具6の内径よりも、キャップ部8cの外径が大きいため、この位置で引き上げは止まるが、一旦ストッパ77で固定する。次に、穿刺器具6ごとカメラ側ケーブル12の端部のカメラ側ケーブルコネクタ12a部分を体外に引き出す。ストッパ77でカメラ側ケーブル12を固定するため、穿刺器具6の引き出し時に誤ってカメラ側ケーブル12を体内に落とすことは防げる。
【0091】
カメラ側ケーブルコネクタ12a部の径は3mm径程度と少し大きくなるが、体積が小さいため、体壁の孔を一時的に広げながら体壁41を通過可能である。よって、穿刺器具6とカメラ側ケーブル12は、2mm径程度にできる。このため、カメラユニット11設置部の傷口を最小にでき、より低侵襲にできる。
【0092】
次に、
図9の(b)に示すように、ケーブル留め具43で仮止めした後、ストッパ77を外し、連結ワイヤ8wから穿刺器具6を抜き取る。
【0093】
以下同様に、
図8の(b)に示すように、カメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、ケーブル留め具43を用いて固定し、引き出し具7を外す。
【0094】
次に、
図8の(c)に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aから磁石付コネクタ保護キャップ8を外し、カメラ側ケーブル12と中間ケーブル15とを、カメラ側ケーブルコネクタ12aおよび第1中間ケーブルコネクタ15aで接続し、中間ケーブル15と機器側ケーブル16とを、第2中間ケーブルコネクタ15bおよび機器側ケーブルコネクタ16aで接続する。なお、中間ケーブル15や機器側ケーブル16は、体内を通さないので、太い径のものが使用できる。
【0095】
これにより、カメラユニット11で撮影された体内の全体映像は、カメラユニット制御機器17によってディスプレイ18に表示される。
【0096】
次に、ディスプレイ18の映像と内視鏡34で映したカメラユニット11との映像を見ながら、鉗子33で支持部22を把持して、カメラユニット11を動かし、体腔内での向きを調整する。
【0097】
カメラ映像を真上からではなく、一定の角度を付けて斜めから見たい場合は、あらかじめカメラユニット11からカメラ側ケーブル12が引き出される部分を、カメラの光学軸から斜め方向にずらせたタイプのカメラユニットを準備しておけばよい。
【0098】
カメラユニットの位置決めが完了したら、次に、ケーブル留め具43を用いて、体壁に固定し、使用を開始する。
【0099】
これにより、術者は、内視鏡のディスプレイで作業領域(局所領域)を拡大観察しながら鉗子によって処置を行いつつ、ディスプレイ18で作業領域外の状態(作業領域外の鉗子等の動きや、出血箇所、ガーゼ等の残留物等)も把握することができる。
【0100】
<カメラユニットの回収方法>
手術が終わり、カメラユニット11を回収する手順について説明する。
【0101】
まず、カメラ側ケーブルコネクタ12aとケーブル留め具43を外し、術者は、体内のカメラユニット11の支持部22を鉗子33で把持し、引っ張ってカメラ側ケーブル12を体内に引き込み、続いてトロッカー32から体外に引き出す。あるいは、切除した臓器を引き出すために開口した孔から引き出してもかまわない。
【0102】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、内視鏡手術の際に、広視野で体内の状況を把握でき、安全性を飛躍的に高めることができる装置を、カメラ側ケーブル12の外径の大きさと同等の最小限の傷が生じるのみで、簡単に安全な方法で、術者にストレスをかけることなく短時間で設置することができる。
【0103】
<変形例>
引き出し具および磁石付コネクタ保護キャップに用いる磁石もしくは磁性体の変形例を
図28〜
図30に示す。
【0104】
図28は、本変形例で用いる磁石の例を示す図であり、(a)は凸接合部を持つ磁石の接合面の平面図、(b)は、(a)のG−G’断面図、(c)は、凹接合部を持つ磁石の接合面の平面図、(d)は、(c)のH−H’断面図である。
【0105】
(e)に示すように、凸接合部と凹接合部は嵌合する構造となっており、ここでは多数の円錐状の突起または窪みをハチの巣状に配置した形状としている。このため接続時に60度以内の回転を行うことで凸接合部と凹接合部を密着させ嵌合することができる。なお、凹凸の嵌合構造は、円錐状突起やハチの巣状配置に限定するものではない。
【0106】
図29は、この磁石を用いて構成した引き出し具および磁石付コネクタ保護キャップ示す図であり、(a)は磁石付コネクタ保護キャップに直接磁石を付けた例を示す図、(b)は、引き出し具と(a)の磁石付コネクタ保護キャップを接着し、穿刺器具に挿入した状態を示す図である。(c)は、磁石を連結ワイヤで接続した磁石付コネクタ保護キャップの他の例を示す図、(d)は、引き出し具と(c)の磁石付コネクタ保護キャップを接着し、穿刺器具に挿入した状態を示す図である。
【0107】
図29の(b)、(d)に示すように、本変形例で用いられる磁石は嵌合する凹凸形状同士であれば、完全に密着するため、強力に吸着するが、形状が一致しない他の器具には、間に空間を生じるため、吸着力が弱くなる構造となっている。
【0108】
これにより、
図30に示すように、鉗子等の手術器具が、磁石に吸着することがあったとしても、面積の小さな点でしか接していないので、吸着力は弱く、手術器具が吸着して離れなくなる不具合を生じることがなくなる。
【0109】
これらの例の磁石付コネクタ保護キャップ8に用いた磁石の磁力については、カメラユニット11及びカメラ側ケーブル12を引き出すために十分大きな接着強度が必要である。上記の例では、引き出す際にその中を通す穿刺器具6は、弁構造を有していない。したがって、中を通す際に大きな負荷はかからないため、カメラユニット11とカメラ側ケーブル12を合わせた重量を十分支えるだけの、例えば、0.5N以上であればよい。したがって、上記の形状が一致しない他の器具との接着強度は0.5Nより小さいことが望ましい。
【0110】
また、引き出し後に外す際に、人の手で無理なく外すことができる接着強度にしておくことが望ましく、また、引き出し時に磁石付コネクタ保護キャップ8が外れないように、磁石付コネクタ保護キャップ8とカメラ側ケーブルコネクタ12aの嵌合強度より小さくする必要があるため、最適な範囲としては、0.5Nから4Nの範囲に設定することが望ましい。
【0111】
また、第1補助具の被保持部および第2補助具の保持部双方に磁石を用いているが、これに限定されない。一方に磁石を用い、他方に、該磁石に吸着する、非磁石の磁性体を用いてもよい。
【0112】
また、吸着部分は生体に触れるため、生体適合性を有した医療用材料であることが望ましく、樹脂やSUSで表面を覆うことが望ましい。樹脂コーティングやSUSカバーの場合、吸着力の低下を防ぐために、厚みは1mm以下、好ましくは0.15mmであることが望ましい。また、磁性体の場合は、接合面の樹脂の厚みを他の部分より薄くしておけば、接合面以外の場所に吸着することを防ぐことができ、接合面の位置がずれることなく、安定に接着できる。これにより、ケーブル引き出し時に用いる、穿刺器具やカメラ支持管、カニューレ、トロッカー等の器具の開口部端で引っ掛かって外れることなく、スムーズに通すことができる。よって、設置時間の短縮が図れる。
【0113】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図10〜
図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0114】
<体内監視カメラシステムの概略構成>
図10は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の概略構成を示す模式図である。
【0115】
図10に示すように、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、体内を撮像するカメラユニット11(撮像部)と、一端がカメラユニット11に接続されたカメラ側ケーブル12と、ディスプレイ18(表示部)を含む制御システム3と、一端が制御システム3に接続された
機器側ケーブル16と、カメラ側ケーブル12の他端に接続される磁石付コネクタ保護キャップ8(第1補助具)と、磁石付コネクタ保護キャップ8に設けられた磁石8g(被保持部)を保持する磁石7g(保持部)および磁石7gに接続する棒状部7xを含み、磁石8gを、磁石7gに保持させた状態で管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための引き出し具7(第2補助具)と、カメラ支持管13(支持管)とを備えている。なお、機器側ケーブル16の他端に設けられた機器側ケーブルコネクタ16a(凸型)が、カメラ側ケーブル12の他端に設けられたカメラ側ケーブルコネクタ12a(凹型)に嵌め込まれてカメラユニット11と制御システム3とが電気的に接続される。なお、以下では、カメラ側ケーブルコネクタ12aをコネクタ12aと、機器側ケーブルコネクタ16aをコネクタ16aと略記することがある。
【0116】
<カメラユニット>
カメラユニット11は、
図11の(a)・(b)に示すように、カメラ筐体21、回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、照明装置27、及び支持部22を備えている。
【0117】
回路基板19、撮像ユニット24、制御回路28、及び照明装置27は、カメラ筐体21内に設けられている。一方、支持部22は、カメラ筐体21の外側に設けられている。
【0118】
支持管接合部14以外は実施形態1と同一であるので説明を省略する。
【0119】
カメラ筐体21は、その上面に、凹形状の支持管接合部14(接合部)を有している。支持管接合部14は、
図11の(b)に示すように、上方から見たときに円形状の開口形状(孔構造)を有し、
図11の(a)に示すように、開口内壁に係止雌ねじ23が設けられた構成を有している。接合部14は、ねじ形状ではなく差し込むだけの形状にして、別の部分で固定する構成にしてもよい。また、支持管として針状の穿刺器具をそのまま用いることもでき、上記穿刺器具の形状に応じた凹形状を設けていてもよい。
【0120】
(カメラ側ケーブル)
カメラ側ケーブル12は、カメラ側の通信ケーブルである。カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11が撮影した映像を、映像信号として、コネクタ12a・16aを介してカメラユニット制御機器17に送信したり、カメラユニット制御機器17からの制御信号を、カメラユニット11に送信したりする。
【0121】
カメラ側ケーブル12の一方の端部は、回路基板19に接続されており、支持管接合部14の内部を通るようにカメラユニット11の外部に導出されている。なお、回路基板19とカメラ側ケーブル12との接続部は、図示しない樹脂等で封止されている。さらに、支持管接合部14内部の、カメラ側ケーブル12が引き出される部分(凹形状の支持管接合部14の底部)において、カメラ側ケーブル12が支持管接合部14内部に接着固定されている。該接着固定の一例としては、接着剤またはOリング(オーリング)による封止固定が挙げられる。該接着固定された部分からカメラユニット11内への浸水および異物混入等が防止されている。
【0122】
また、カメラ側ケーブル12は、カメラユニット11に接続された状態でトロッカー32(
図13参照)等の管状部材を通して体腔内に導入されたり、支持管接合部14を介してカメラユニット11に接合される後述するカメラ支持管13(
図10、
図12参照)や、穿刺器具6(
図3参照)を通って体外へ引き出されたりする。このため、カメラ側ケーブル12は、柔軟性を有するフレキシブル材料で形成されている。
【0123】
なお、詳細については後述するが、カメラユニット11とカメラ支持管13とを接続するときに、カメラ側ケーブルコネクタ12aおよびカメラ側ケーブル12はカメラ支持管13を通って体内から体外に引き出される。そのため、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径は、カメラ支持管13の外径より小さくなる。そのため、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径を小さくすれば、カメラ支持管13の外径を小さくすることができる。これにより、低侵襲性が向上するといった特段の効果がある。つまり、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径はなるべく小さくすることが望ましい。例えば、
図10に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径は、機器側ケーブルコネクタ16aの外径よりも小さくすることが望ましい。
【0124】
なお、
図10では、図面の見易さのためにカメラ側ケーブルコネクタ12aの外径を実際の外径よりも大きく記載している。実際は上述したように、カメラ側ケーブルコネクタ12aの外径は、カメラ支持管13の外径よりも小さい。また、
図10では、カメラ側ケーブルコネクタ12aに挿入されるピン本数が1本となっているが、これは簡略化のためであり、通常、ケーブルに使用する電線の本数に応じたピン本数となる。これは他の図面においても同様である。
【0125】
<カメラ支持管>
図10に示すように、カメラ支持管13は、カメラ側ケーブル12を内部に通して体外へ引き出した状態で、体内でカメラユニット11と接合されることで、カメラユニット11を支持する支持管である。
【0126】
カメラユニット11との接合強度の観点から、カメラ支持管13は硬質な材料で形成される。カメラ支持管13の材質は、カメラユニット11を安定して支持することができる接合強度を得ることができるとともに、カメラユニット11を所望の位置並びに向きで固定することができる剛性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、セラミックス(ファイン・セラミックス)、強化プラスチック等が挙げられる。
【0127】
カメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、その一方の端部13a(第1の端部)が体内に導入される。なお、このとき、カメラ支持管13は、その一方の端部13aが直接体内に導入されていてもよい。また、穿刺に用いた針状の穿刺器具6をこのカメラ支持管13としてそのまま用いてもよい。この穿刺器具6をカメラ支持管13として使用した方法については変形例2で後述する。
【0128】
体内に導入された端部13aは、支持管接合部14にてカメラユニット11と接合される。
【0129】
ここで、カメラ支持管13の構造について、
図12の(a)〜(c)を参照してより詳細に説明する。
【0130】
図12の(a)は、本実施形態に係るカメラ支持管13の一例を示す斜視図であり、
図12の(b)は、
図12の(a)に示すカメラ支持管13及び
図11の(a)に示す支持管接合部14のそれぞれの断面を示す断面図であり、
図12の(c)は、
図12の(b)に示すカメラ支持管13と支持管接合部14との接合状態を示す断面図である。なお、
図12の(c)では、カメラ側ケーブル12の図示を省略している。
【0131】
図12の(a)に示すように、カメラ支持管13は、好適には円筒状の管構造を有している。カメラ支持管13が円筒形状を有していることで、実施形態3で後述するが、同じく円筒形状の管である一般的なカニューレとの組み合わせが容易である。
【0132】
カメラ支持管13の一方の端部13a(体内側)と体内のカメラユニット11とは、支持管接合部14(接合部)にて接合される。
【0133】
カメラ支持管13は、
図12の(a)〜(c)に示すように、体内に導入される側の端部13aに、支持管接合部14に設けられた係止雌ねじ23に螺合(ねじ嵌合)する係止雄ねじ123を有している。
【0134】
このようにカメラ支持管13の係止雄ねじ123を支持管接合部14の係止雌ねじ23に螺合させることで、カメラユニット11とカメラ支持管13とを高い機械的強度で接合することができる。
【0135】
また、カメラ支持管13の側面には、
図12の(a)に示すように、スリット223が設けられていることが望ましい。
【0136】
図12(a)に示すカメラ支持管13は、一例として、円筒状の管の側面に、一方の開口(体内側)から他方の口部(体外側)に至る、カメラ支持管13の軸に沿うような直線状のスリット223を設けた構造であり、体内に導入される側の端部に、係止雄ねじ123を有している。なお、スリット223の幅はカメラ側ケーブル12の径よりも大きい。(少なくともケーブル断面の短径よりも大きい。)なお、スリットの有無は必要に応じて適宜設定することができ、これに限定するものではない。
【0137】
また、
図34(a)に示すように、スリット223の幅は、大部分がカメラ側ケーブル12の径よりも大きいが、その一部がカメラ側ケーブル12の径よりも小さくてもかまわない。例えば、カメラ支持管13の両端については、スリットの両エッジに、互いに向かい合うようなペア突起255を複数形成する。こうすれば、ペア突起255に対応するスリットの一部223pについては、その幅がケーブル径よりもスリット幅が小さくなり、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通す際には、スリットの一部223pではカメラ側ケーブル12を一時的に弾性変形させて通すことができ、通した後はカメラ側ケーブル12の径が元に戻ることになる。これにより、カメラ側ケーブル12がカメラ支持管13から容易には外れないようになり、カメラ支持管13を設置するときの作業性が格段に向上する。なお、
図34(b)に示すように、カメラ支持管13の両端(スリットの先端および末端)それぞれに、ペア突起255を1個ずつ形成するだけでも同様の効果が得られる。
【0138】
図34では、スリット223の一部223pの両側にペア突起255を形成しているが、これに限定されない。スリット223の一部の片側だけに突起を設けることで、このスリット223の一部の幅をカメラ側ケーブル12の径よりも小さくするような構成も可能である。
【0139】
なお、カメラ支持管13の側面にスリット223が設けられている場合の利点については、後で説明する。
【0140】
<体内監視カメラシステムの設置方法>
次に、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を、使用方法と併せて説明する。
【0141】
図13の(a)〜(e)および
図14の(a)〜(e)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を工程順に示す模式図である。
図13の(a)〜(d)は実施形態1と同一であるので説明を省略する。また、ここで
図15は、
図14の(d)の工程に対する変形例である。
【0142】
図13の(e)に示すように、持ち手部7yを更に引き出した後、引き出し具7から磁石付コネクタ保護キャップ8を外す。
【0143】
次に、
図14の(a)に示すように、穿刺器具6を体壁41から抜き取った後、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、カメラ支持管13の側面のスリット223からその内部に通し、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13を体壁41に挿入する。術者は、トロッカー32を通して鉗子33を体腔内に挿入し、カメラユニット11の支持管接合部14とカメラ支持管13の開口とが平行でかつ近接するように、カメラユニット11の両側面の支持部22を、2つの鉗子33a、33bで把持し、カメラ側ケーブル12を引っ張りながらカメラユニット11の姿勢を安定に保ちつつ、カメラ支持管13と支持管接合部14とをねじ込み、あるいは差し込み等の方法で接合する。
【0144】
なお、ねじ形状ではなく、後述する変形例1のように、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラ支持管13と支持管接合部14との篏合強度は、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット11の接着固定部の接着強度よりも小さく設定しておくことが望ましい。これは、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際に、ケーブルを持ち、引っ張って支え、ケーブルをガイドにしながら挿入する必要があるため、もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、該接着固定部が破損したり、カメラユニット11が体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0145】
例えば、カメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。更に、最適な範囲としては、3Nから6Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、嵌め込む際にむやみに大きな力を加えることなく嵌合でき、また、カメラ支持管13が嵌った感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることなく、安全に設置できるといった特段の効果がある。
【0146】
また、上記の嵌合強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した場合には、カメラユニット11で生じた熱を、支持管接合部14を介してカメラ支持管13に伝え、カメラ支持管13の体外部分から放熱を行うことができる。なお、放熱の効果を高めるために、
図35のように、カメラ支持管13の体外部分に、ヒートシンク43およびこれに送風する放熱ファン46を含む冷却システム99を設けることもできる。
【0147】
次に、ねじ込みの場合は、
図14の(b)に示すように、カメラ支持管13を用いてカメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、
図14の(c)に示すように、ストッパ77を用いてカメラ支持管13を体壁41に固定する。
【0148】
差し込みの場合は、図示していないが、ケーブル留め具43でケーブル12とカメラ支持管13を固定してから、カメラ支持管13を用いてカメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、ストッパ77を用いてカメラ支持管13を体壁41に固定する。
【0149】
なお、差し込みの場合は、カメラ支持管13がカメラユニット11に設けられた支持管接合部14から外れないためには、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に保持させるためのケーブル留め具43のケーブル保持強度は、カメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度より大きいことが必要である。具体的には、例えば、差し込んだカメラ支持管13の嵌合強度を3N〜6Nとした場合、これより大きな強度、少なくとも5N以上は必要である。また、望ましくは、磁石付コネクタ保護キャップ8とカメラ側ケーブルコネクタ12aとの嵌合強度(4Nから10N)より大きいことが好ましい。こうすることによって、磁石付コネクタ保護キャップ8をカメラ側ケーブルコネクタ12aから外す際にカメラ側ケーブル12に不用意な力が加わっても、ケーブル留め具43が外れることはなく安全である。また、カメラ側ケーブル12自体の強度以上にする必要はないため、最適な範囲としては、5N〜50Nが望ましい。
【0150】
また、上記のケーブル保持強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した場合には、カメラユニット11で生じた熱を、支持管接合部14を介してカメラ支持管13に伝え、カメラ支持管13の体外部分から放熱を行うことができる。
【0151】
穿刺器具6は抜き取り、カメラ支持管13に置き換えるので、カメラ支持管13は穿刺器具6より小さな外径、例えば3mm径にすることができる。カメラ側ケーブルコネクタ12aは3mm径程度となるが、カメラ支持管13にスリット223を設けているため、2mm径程度のカメラ側ケーブル12は中を通すことができる。このため、カメラユニット11を設置する際の傷口が小さく、低侵襲とすることができる。
【0152】
次に、ねじ込みの場合は
図14の(d)、差し込みの場合は
図15に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aから磁石付コネクタ保護キャップ8を外し、カメラ側ケーブル12と中間ケーブル15とを、カメラ側ケーブルコネクタ12aおよび第1中間ケーブルコネクタ15aで接続し、中間ケーブル15と機器側ケーブル16とを、第2中間ケーブルコネクタ15bおよび機器側ケーブルコネクタ16aで接続する。なお、中間ケーブル15や機器側ケーブル16は、体内を通さないので、太い径のものを使用することができる。
【0153】
これにより、カメラユニット11で撮影された体内の全体映像は、カメラユニット制御機器17によってディスプレイ18に表示される。
【0154】
次に、
図14の(e)に示すように、ディスプレイ18の映像を見ながら、カメラ支持管13を操作して、カメラユニット11を動かし、体腔内での高さ、向き、および角度を調整し、固定具で固定する。固定の例は、実施形態3と合わせて
図23を用いて後述する。
【0155】
カメラユニット11の位置決めが完了したら、体内監視カメラシステム1の使用を開始する。
【0156】
これにより、術者は、内視鏡のディスプレイで作業領域(局所領域)を拡大観察しながら鉗子によって処置を行いつつ、ディスプレイ18で作業領域外の状態(作業領域外の鉗子等の動きや、出血箇所、ガーゼ等の残留物等)も把握することができる。
【0157】
尚、
図13の(a)〜(e)および
図14の(a)〜(e)に示す設置方法では、穿刺器具6を通して、補助具セットを導入する方法について説明したが、これに限定するものではなく、
図13(a)の工程で穿刺を行った後、穿刺器具6をカメラ支持管13に交換し、カメラ支持管13を通して、補助具セットを導入することもできる。
【0158】
<カメラユニットの回収方法>
手術が終わり、カメラユニット11を回収する手順について説明する。
【0159】
まず、カメラ支持管13の接合が差し込み場合は、ストッパ77とケーブル留め具43を外し、スリット223を通してカメラ側ケーブル12を外しながら、支持管13を体外に抜き取る。カメラ支持管13の接合がねじ込みの場合は、ストッパ77を外し、カメラユニット11の両側面の支持部22を、2つの鉗子33a、33bで把持しつつ、カメラ支持管13と支持管接合部14とのねじ込みを外し、スリット223を通してカメラ側ケーブル12を外しながら、カメラ支持管13を体外に抜き取る。
【0160】
次に、カメラ側ケーブルコネクタ12aを外し、術者は、体内のカメラユニット11の支持部22を鉗子33で把持し、引っ張ってカメラ側ケーブル12を体内に引き込み、続いてトロッカー32から体外に引き出す。あるいは、切除した臓器を引き出すために開口した孔から引き出してもかまわない。
【0161】
機器側ケーブルコネクタ16aからカメラ側ケーブルコネクタ12aを外す前に、コネクタ12a・16aを接続した状態で、スリット223を通してカメラ支持管13を外す作業をすることができるので、作業時に誤ってカメラ側ケーブル12を体内に落下させ、見失って探さねばならなくなる可能性が小さくなり、作業を効率的に短時間で行うことができるので、低侵襲性向上に特段の効果がある。
【0162】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラユニット11とカメラ支持管13を分離させる時にも同様に、カメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度は、カメラ側ケーブル12およびカメラユニット11の接着固定部の接着強度よりも小さく設定しておくことが望ましい。もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、カメラ支持管13をカメラユニット11から外す際に、大きな力を加えなければならないため、接着固定部が破損したり、カメラユニット11が体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0163】
例えば、上記嵌合強度を、3Nから6Nの範囲に設定しておけば、むやみに大きな力を加えることなくカメラ支持管13を外すことができ、また、カメラ支持管13が外れた感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることがなく、安全に分離できるといった特段の効果がある。
【0164】
なお、カメラ側ケーブルコネクタ12aは、回収時に体内を経由するが、前述したように、清潔が維持されているため問題はない。
【0165】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、内視鏡手術の際に、広視野で体内の状況を把握でき、安全性を飛躍的に高めることができる装置を、支持管13の外径の大きさと同等の最小限の傷が生じるのみで、簡単に安全な方法で、術者にストレスをかけることなく短時間で設置することができる。
【0166】
<変形例1>
(カメラ支持管とカメラユニットとの接合方法)
本実施形態では、カメラ支持管13に係止雄ねじ123を設け、支持管接合部14に係止雌ねじ23を設けることで、カメラ支持管13とカメラユニット11とを螺合させる場合を例に挙げて説明した。
【0167】
しかしながら、カメラ支持管13とカメラユニット11との接合方法は、これに限定されるものではなく、カメラ支持管13と支持管接合部14とが互いに嵌合する形状であればよい。
【0168】
図12の(d)〜(h)は、それぞれ、本実施形態に係るカメラ支持管13及び支持管接合部14の変形例を示す断面図である。
【0169】
図12の(d)は、カメラ支持管13に係止孔323を設け、支持管接合部14に係止爪423を設けた例を示している。
【0170】
また、
図12の(e)は、カメラ支持管13に係止爪523を設け、支持管接合部14に係止孔623を設けた例を示している。
【0171】
なお、
図12の(d)・(e)は、各変形例におけるカメラ支持管13及び支持管接合部14のそれぞれの断面を示す断面図である。
【0172】
図12の(d)・(e)に示すように、本変形例に係るカメラ支持管13は、係止孔323よりも先の部分がテーパ形状(先細り形状)となっている。このため、カメラ支持管13の先端(体内側)は支持管接合部14の係止爪423に引っ掛からず、この先端が支持管接合部14の奥に至るまでカメラ支持管13を押し込むと、係止孔323が係止爪423に嵌るようになっている。
【0173】
このように、カメラ支持管13の挿入を容易にするためにその先端部をテーパ形状(先細り形状)とする場合には、カメラ支持管13の肉厚を薄くすることで先細り形状とすることができる。このとき、カメラ支持管13の内径を一定にして、外径のみを変える(先端に向けて外形を小さくする)ようにすれば、カメラ支持管内部に器具を挿入する際、器具が途中(狭くなった箇所)で引っ掛かって抜けなくなるようなことがなくなるため、より望ましい。
【0174】
しかしながら、カメラ支持管13は、上記の構造に限定されない。カメラ支持管13の両端部は、同じ太さであってもよい。
【0175】
また、カメラ支持管13の端部に、外側面を一回りする溝状凹部を設け、対する支持管接合部14には内側面を一回りする畝状凸部を設けてもよい。また、カメラ支持管13の端部に外側面を一回りする畝状凸部を設け、対する支持管接合部14に内側面を一回りする溝状凹部を設けてもよい。こうすれば、カメラ支持管13を挿入する際に係止孔と係止爪との位置を一致させる操作を行う必要がなく、両者の接合が容易になり、嵌合強度も増すため、より望ましい。
【0176】
また、カメラ支持管13及び支持管接続部14は、それぞれ複数の材料で構成してもかまわない。例えば、上記の係止爪423や係止爪523は、樹脂などの弾性を持った材料で構成してもよい。すなわち、支持管凹部と接合部凸部の少なくとも一方を樹脂などの弾性を持った材料、他方を金属等の硬質材料で構成してもよい。
【0177】
このように構成することによって、接合部の係止爪423(弾性材)を配置したやや狭くなった箇所を、弾性材が変形して通過し、通過後に弾性力で元の形状に戻って、しっかりと嵌合するので、接合強度が向上する。この例に限ることなく、支持管と接合部の凹凸部の少なくとも一方に弾性材を形成することでもよい。
【0178】
また、このようにすることによって、嵌め込んだ感触が手元に伝わるので、操作している術者は嵌合した手ごたえを感じ、嵌合できたことが認識できので、むやみに力を加え続けることがないといった利点もある。
【0179】
また、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面は熱伝導性の良い材料で形成してカメラ支持管13からの放熱効果を高め、支持管接合部14の凸部分のみに弾性材を用いて接合強度を高め、かつ嵌合の手ごたえを感じる機能を追加するといったように、性質の異なる複数の材料を用いて構成すれば、接合性や放熱性といった要求される複数の性能を両立させることができる。
【0180】
なお、上記の例の構成例にかかわらず、これらの材料の組み合わせは逆であってもかまわない。すなわち、係止爪が金属などの硬質材料で構成され、係止孔を含む部分が樹脂などの弾性を持った材料で構成されていてもよい。
【0181】
図40に、上述した接合性や放熱性を高めた構成の一例を示す。
図40(a)は、カメラ支持管13および支持管接合部14の断面図であり、
図40(b)は、カメラ支持管13を支持管接合部14に挿入した状態を示す断面図である。また、
図40の(c)は、カメラ支持管13と
図11に示すカメラユニット11との接合状態を示す断面図である。
【0182】
図40(a)・(b)に示すように、カメラ支持管13は、外側面を一回りする溝状凹部132を設けており、対する支持管接合部14には内側面を一回りする畝状凸部232を設けている。
【0183】
さらに、凹形状の支持管接合部14は、その底部に、例えば、熱伝導性に優れた金属材料からなる伝熱性凸部14dを有し、伝熱性凸部14dの内部にカメラ側ケーブル12が接着固定されている。この場合、支持管接合部14の伝熱性凸部14dからカメラ側ケーブル12が引き出される。該接着固定の一例としては、圧着、接着剤またはOリング(オーリング)による封止固定が挙げられる。これにより、該接着固定された部分からカメラユニット11内への浸水および異物混入等が防止されている。
【0184】
より具体的には、伝熱性凸部14dは、支持管接合部14の開口部(入口部)に近づくにつれて先細りする円錐台形状であり、その軸方向に形成された孔にカメラ側ケーブル12が通され、その孔内においてカメラ側ケーブル12と伝熱性凸部14dとが接着固定される。支持管接合部14に接合されるカメラ支持管13の端部(体内側)については、その内部(端部空間166)が、伝熱性凸部14dの円錐台形状に応じた逆テーパ形状(先端に近づくにつれて内径が大きくなる形状)となっている。これによって、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13を接合する際に、カメラ支持管13の逆テーパ形状の端部空間166が支持管接合部14の伝熱性凸部14dへと誘導されるので、カメラ支持管13の挿入が容易となる。
【0185】
また、カメラ支持管13を支持管接合部14に嵌め込んだときに、カメラ支持管13の端部の外周面は支持管接合部14の内側壁に接触し、カメラ支持管13の端部の内周面は支持管接合部14の伝熱性凸部14dと接触することになるので、両者の接合性が高まるとともに、カメラユニット11からカメラ支持管13に伝わった熱の放熱性が更に向上するといった特段の効果が生じる。
【0186】
カメラ支持
管13の端部空間166を逆テーパ形状とする場合には、カメラ支持管13の外径を一定、もしくは、若干先細り形状とし、カメラ支持管13の肉厚を先端に向けて薄くすることで、カメラ支持管13の外径が太くならないようにすることが望ましい。このようにすれば、カメラ支持管13を、カニューレ等の管状デバイス内部に挿入する際、カメラ支持管13が管状デバイスの内壁に引っ掛かって抜けなくなるような事態を回避することができる。
【0187】
以上種々の例について説明したが、このような支持管と接合部の構成材料については、他の実施形態においても、同様に複数の組み合わせで用いることができることは言うまでもない。
【0188】
なお、これら変形例においては、カメラユニット11とカメラ支持管13とを分離させるために、例えば、係止爪423・523に弾性を持たせるか、あるいは、支持管接合部14に可撓性を持たせる等して、閾値以上の力を加えることで係止爪423と係止孔323との係合や係止爪523と係止孔623との係合が解除されるように設計されていることが好ましい。あるいは、磁気、電力等の外力により、係止爪423が支持管接合部14の開口内壁表面から後退(つまり、突出しない状態に変化)したり、係止爪523がカメラ支持管13の表面から後退したりするように設計されていることが望ましい。
【0189】
また、上述したように係止雄ねじ123および係止雌ねじ23や、係止爪423・523および係止孔323・623を用いてカメラ支持管13と支持管接合部14とを接合する代わりに、支持管接合部14の内壁の一部をゴム等の弾性材料で形成し、カメラ支持管13を支持管接合部14に圧入することで、カメラ支持管13と支持管接合部14とを接合することもできる。
【0190】
なお、
図12の(f)でもカメラ支持管13は、先の部分がテーパ形状(先細り形状)となっている場合を例に挙げて図示している。この場合は、係止孔と係止爪では無く、ケーブル12を引っ張って固定する方法を用いた他の変形例である。
【0191】
また、カメラ支持管13にケーブル留め具43を設けた更に他の変形例を
図12の(g)、(h)に示す。
【0192】
図12の(g)は、カメラ支持管13における体外側の端部13bにケーブル留め具43(係止部材)を設けたときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図であり、
図12の(h)は、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通したときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図である。
【0193】
実施形態1で説明したように、カメラ側ケーブル12は、コネクタ12a・16aを介して機器側ケーブル16に接続される。本変形例では、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に係止するために、
図12の(g)・(h)に示すように、カメラ支持管13の体外側の端部13bにケーブル留め具43(係止部材)を設けている。
【0194】
また、本実施形態によれば、ケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することで、カメラユニット11の設置作業の途中でカメラ側ケーブル12を仮止めすることができ、作業性が向上するという利点もある。また、設置後はカメラ側ケーブル12が体外で引っ張られても、カメラユニットとカメラ側ケーブル12との接続部に負荷がかからず、カメラ側ケーブルの断線を防止することができるという利点もある。
【0195】
(カメラ支持管)
ここで、先ず、この変形例にかかるカメラ支持管13の概略構成について説明する。
【0196】
図12の(g)に示すように、本変形例で用いられるカメラ支持管13は、頭部113と脚部114とを含み、頭部113の内径が脚部114の内径よりも大きい漏斗型の管である点を除けば、実施形態2に係るカメラ支持管13と同様の構成を有している。
【0197】
本変形例に係るカメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、脚部114側の端部13aが体内に導入される。
【0198】
なお、本変形例でも、カメラ支持管13の脚部114は、円筒形状を有している。このため、実施形態3で後述する円筒形状の管である一般的なカニューレとの組み合わせが容易である。
【0199】
(ケーブル留め具)
上述したように、本変形例で用いられるカメラ支持管13は、頭部113側の端部13b(体外側)が、体内に挿入される脚部114側(体内側)の端部13aよりも太い形状を有している。
【0200】
ケーブル留め具43は、カメラ支持管13における頭部113側の端部13bに設けられる。
【0201】
ケーブル留め具43は、
図12の(g)・(h)に示すように、カメラ支持管13の軸方向に延伸し、カメラ支持管13の中央から外側(側面方向)に向けて幅が狭くなる(横断面が外向きテーパとなる)縦溝43aを有している。なお、縦溝43aとして、ケーブル留め具43にテーパ状の縦溝を設ける代わりに、ケーブル留め具43を弾性材料で構成し、該ケーブル留め具43に、縦溝43aとして切り込みを設けることで、弾性材料による付勢力によってカメラ側ケーブル12を保持する構成としてもよい。
【0202】
本変形例によれば、このように、ケーブル留め具43の縦溝43aの底部(幅狭になっている部分)にカメラ側ケーブル12を固定することで、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することができる。
【0203】
したがって、本変形例によれば、
図12の(h)に示すようにケーブル留め具43によってカメラ側ケーブル12とカメラ支持管13とを固定することができる。
【0204】
なお、ケーブル留め具43はカメラ支持管13と一体的に形成されていてもよく、別体として形成されていてもよい。別体の場合は、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通した後に、個別の部品であるケーブル留め具43をカメラ支持管13に挿入し、カメラ側ケーブル12をケーブル留め具43に保持させることで、カメラ支持管13に固定されたケーブル留め具43にカメラ側ケーブル12が保持され、結果として、カメラ側ケーブル12がカメラ支持管13に保持される。
【0205】
<変形例2>
(穿刺器具をカメラ支持管として使用する方法)
本実施形態では、穿刺器具6を抜き取った後、カメラ支持管13を差し込み、カメラユニット11を固定する場合を例に挙げて説明した。
【0206】
しかしながら、カメラ支持管13は、これに限定されるものではなく、穿刺器具6と支持管接合部14とを互いに嵌合する形状にしておき、穿刺器具6をカメラ支持管13として使用してもよい。
【0207】
図16の(a)〜(e)を用いて、この方法を説明する。
【0208】
図16の(c)に示すカメラユニット11は、その上面に、凹形状の支持管接合部14(接合部)を有している。支持管接合部14は、
図11の(b)で示したように、上方から見たときに円形状の開口形状(孔構造)を有している。
【0209】
図16の(a)は、本変形例2に係る穿刺器具6(支持管兼管状部材)及び支持管接合部14のそれぞれの断面を示す断面図であり、
図16の(b)は、穿刺器具6と支持管接合部14との接合状態を示す断面図である。なお、
図16の(b)では、カメラ側ケーブル12の図示を省略している。接合部14は、針状の穿刺器具6の形状に応じた凹形状を設けている。
【0210】
図16の(c)は、
図16の(b)にカメラユニット11およびカメラ側ケーブル12を加えた図であり、カメラ側ケーブル12を引っ張りながら穿刺器具6を軸方向に回転することで、支持管接合部14に嵌め込むことができる。
【0211】
次に、カメラ側ケーブル12を引っ張りながらケーブル留め具43をカメラ側ケーブル12に通し、穿刺器具6の端部に押し付けることで固定する。穿刺器具6の先端は斜めにカットされた非対称な形状をしているので、穿刺器具6を回転させれば、カメラユニット11を回転させることができる。
【0212】
また、
図16の(e)のように穿刺器具6にケーブル留め具43を備えた構造を用いてもよい。また、このように頭部が脚部より太い構造にしておけば、穿刺器具6が体内に落ち込むことを防げるので、安全性をより一層高めることができる。
【0213】
なお、穿刺器具6(カメラ支持管)がカメラユニット11に設けられた支持管接合部14から外れないためには、カメラ側ケーブル12を穿刺器具6(カメラ支持管)に保持するケーブル留め具43のケーブル保持強度は、穿刺器具6(カメラ支持管)の嵌合強度より大きいことが必要である。具体的には、例えば、差し込んだ穿刺器具6(カメラ支持管)の嵌合強度3N〜6Nとした場合、これより大きな強度、少なくとも5N以上は必要である。また、望ましくは、磁石付コネクタ保護キャップ8の嵌合強度(4Nから10N)より大きいことが好ましい。こうすることによって、磁石付コネクタ保護キャップ8を外す際にケーブルに不用意な力が加わっても、ケーブル留め具43が外れることはなく安全である。また、ケーブル自体の強度以上にする必要はないため、最適な範囲としては、5N〜50Nであることが望ましい。
【0214】
また、上記のケーブル保持強度であれば、穿刺器具6(カメラ支持管)と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した際に、カメラユニット11の熱を効率的にカメラ支持管13から放熱することができる。
【0215】
(体内監視カメラシステムの設置方法)
次に、本変形例2に係る体内監視カメラシステムの設置方法を、使用方法と併せて説明する。
【0216】
図17の(a)〜(e)および
図18の(a)〜(d)は、本変形例に係る体内監視カメラシステムの設置方法を工程順に示す模式図である。
図17の(a)〜(e)は実施形態2と同一であるので説明を省略する。
【0217】
図18の(a)に示すように、引き出し具7を更に引き、穿刺器具6を通してカメラ側ケーブル12を体外に導出した後、カメラ側ケーブル12を引きながら穿刺器具6を回転させることで、簡単に支持管接合部14に穿刺器具6を嵌め込むことができる。次に、ケーブル留め具43でケーブル12と穿刺器具6を固定する。
【0218】
次に、
図18の(b)に示すように、ケーブル留め具43でケーブル12と穿刺器具6を固定してから、穿刺器具6を用いてカメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、ストッパ77を用いてカメラ支持管13を体壁41に固定する。
【0219】
穿刺器具6をそのままカメラ支持管として使うので、設置方法が簡略化され、設置時間が短縮する。また、穿刺器具6の外径は、カメラ側ケーブルコネクタ12aを2mm径程度とすれば、3mm径程度にすることができる。このため、カメラユニット11設置部の傷口を小さくでき低侵襲にできる。
【0220】
次に、
図18の(c)に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aから磁石付コネクタ保護キャップ8を外し、カメラ側ケーブル12と中間ケーブル15とを、カメラ側ケーブルコネクタ12aと第1中間ケーブルコネクタ15aで接続し、中間ケーブル15と機器側ケーブル16とを、第2中間ケーブルコネクタ15bと機器側ケーブルコネクタ16aで接続する。尚、中間ケーブルや機器側ケーブルは、体内を通さないので、太い径のものが使用できる。
【0221】
これにより、カメラユニット11で撮影された体内の全体映像は、カメラユニット制御機器17によってディスプレイ18に表示される。
【0222】
次に、
図18の(d)に示すように、ディスプレイ18の映像を見ながら、穿刺器具6を操作して、カメラユニット11を動かし、体腔内での高さ、向き、および角度を調整し、固定具で固定する。固定の例は、実施形態3と合わせて
図23を用いて後述する。
【0223】
カメラユニット11の位置決めが完了したら、体内監視カメラシステム1の使用を開始する。
【0224】
これにより、術者は、内視鏡のディスプレイで作業領域(局所領域)を拡大観察しながら鉗子によって処置を行いつつ、ディスプレイ18で作業領域外の状態(作業領域外の鉗子等の動きや、出血箇所、ガーゼ等の残留物等)も把握することができる。
【0225】
<カメラユニット11の回収方法>
手術が終わり、カメラユニット11を回収する手順について説明する。
【0226】
まず、ストッパ77、カメラ側ケーブルコネクタ12aとケーブル留め具43を外し、穿刺器具6を体外に抜き取る。
【0227】
次に、術者は、体内のカメラユニット11の支持部22を鉗子33で把持し、引っ張ってカメラ側ケーブル12を体内に引き込み、続いてトロッカー32から体外に引き出す。あるいは、切除した臓器を引き出すために開口した孔から引き出してもかまわない。
【0228】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、内視鏡手術の際に、広視野で体内の状況を把握でき、安全性を飛躍的に高めることができる装置を、穿刺器具6の外径の大きさと同等の最小の傷が生じるのみで、簡単に安全な方法で、術者にストレスをかけることなく、更に短時間で設置することができる。
【0229】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、
図19〜
図23に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1、2との相違点について説明するものとし、実施形態1、2で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1、2と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0230】
<体内監視カメラシステムの概略構成>
図19は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の概略構成を示す模式図である。
図19に示すように、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、体内を撮像するカメラユニット11(撮像部)と、一端がカメラユニット11に接続されたカメラ側ケーブル12と、ディスプレイ18(表示部)を含む制御システム3と、一端が制御システム3に接続された
機器側ケーブル16と、カメラ側ケーブル12の他端に接続される磁石付コネクタ保護キャップ8(第1補助具)と、磁石付コネクタ保護キャップ8に設けられた磁石8g(被保持部)を保持する磁石7g(保持部)および磁石7gに接続する棒状部7xを含み、磁石8gを、磁石7gに保持させた状態で管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための引き出し具7(第2補助具)と、カメラ支持管13(支持管)と、カニューレ31とを備えている。カメラ支持管13は、穿刺に用いた針状の穿刺器具をそのまま利用してもよい。なお、機器側ケーブル16の他端に設けられた機器側ケーブルコネクタ16a(凸型)が、カメラ側ケーブル12の他端に設けられたカメラ側ケーブルコネクタ12a(凹型)に嵌め込まれてカメラユニット11と制御システム3とが電気的に接続される。
【0231】
<カメラ支持管>
図19に示すように、カメラ支持管13は、カメラ側ケーブル12を内部に通して体外へ引き出した状態で、体内でカメラユニット11と接合されることで、カメラユニット11を支持する支持管である。
【0232】
カメラユニット11との接合強度の観点から、カメラ支持管13は硬質な材料で形成される。カメラ支持管13の材質は、カメラユニット11を安定して支持することができる接合強度を得ることができるとともに、カメラユニット11を所望の位置並びに向きで固定することができる剛性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、セラミックス(ファイン・セラミックス)、強化プラスチック等が挙げられる。
【0233】
カメラ支持管13は、腹壁等の体壁41を通じて、その一方の端部13a(第1の端部)が体内に導入される。なお、このとき、カメラ支持管13は、その一方の端部13aが直接体内に導入されていてもよいし、
図20に示すように体壁41に挿入されるカニューレ31を使用し、該カニューレ31の内部にカメラ支持管13を挿通することでその一方の端部13aを体内に導入してもよい。また、変形例2で示したように、穿刺に用いた針状の穿刺器具6をカメラ支持管13としてそのまま用いてもよい。
【0234】
カニューレ31を使用する場合、カメラ支持管13には、カメラ支持管13をカニューレ31に挿し込んだ状態で上記一方の端部13a及び他方の端部13b(第2の端部)がカニューレ31から露出するように、カニューレ31よりも軸方向の長さが長いカメラ支持管13を使用する。また、カニューレ31内でカメラ支持管13を軸周りに回転させることができるように、カニューレ31内にカメラ支持管13を挿通した状態でカメラ支持管13の外壁とカニューレ31の内壁との間に隙間を有する大きさ(太さ)のカメラ支持管13を使用する。
【0235】
体内に導入された端部13aは、支持管接合部14にてカメラユニット11と接合される。
【0236】
なお、支持管の接合方式がねじ込み方式ではなく、嵌合方式の場合は、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度より小さく設定しておくことが望ましい。これは、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際に、ケーブルを持ち、引っ張って支え、ケーブルをガイドにしながら挿入する必要があるため、もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、ケーブル接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0237】
例えば、具体的には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。更に、最適な範囲としては、3Nから6Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、嵌め込む際にむやみに大きな力を加えることなく嵌合でき、また、カメラ支持管13が嵌った感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることなく、安全に設置できるといった特段の効果がある。
【0238】
また、上記の嵌合強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した際に、カメラユニット11の熱を効率的にカメラ支持管13から放熱することができる。
【0239】
<支持管固定部材>
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、カメラ支持管13を体外において固定する支持管固定部材(支持管固定手段)として、カニューレ31(保持管)及び固定部材を備えている。
【0240】
(カニューレ31)
図20の(a)は、本実施形態で用いるカニューレ31の概略構成を示す断面図であり、
図20の(b)は、
図12の(a)〜(h)に示すカメラ支持管13を、
図20の(a)に示すカニューレ31に挿入した状態を示す断面図であり、
図20の(c)は、カニューレ31に挿入されたカメラ支持管13と
図11に示すカメラユニット11との接合状態を示す断面図である。
【0241】
図20の(a)に示すように、本実施形態で用いられるカニューレ31は、頭部131と脚部132とを含み、頭部131の内径が脚部132の内径よりも大きい漏斗型の管(管状のデバイス)である。
【0242】
このため、カニューレ31は、頭部131側の端部31b(体外側)が、体内に挿入される脚部132側(体内側)の端部31aよりも太く、カニューレ31を体壁41に挿入したときに、頭部131がストッパとして機能するようになっている。
【0243】
これにより、カメラ支持管13が体内に抜けることがなく、カニューレ31を体壁41に固定することができる。
【0244】
また、カニューレ31はバルブ37を有しており、バルブ37は、その中央部に、太い方の端部31b(体外側)から細い方の端部31a(体内側)の向きに外力が加わると押し広げられる弁構造を有している。
【0245】
したがって、
図20の(b)に示すように、カメラ支持管13を、バルブ37を通してカニューレ31内に挿し込むと、バルブ37は、カメラ支持管13によって押し広げられ、その復元性による付勢力により、カメラ支持管13を強く締め付ける。この結果、カメラ支持管13はカニューレ31に固定される。
【0246】
なお、カニューレ31は、低侵襲性を実現するために、直径が小さいものが好ましい。具体的には、カニューレ31は、直径が3mm以下であることが好ましい。
【0247】
(カメラ支持管13のカニューレ31への固定及びカメラユニット11への接合)
ここで、カメラ支持管13のカニューレ31への挿入及びカメラユニット11への接合の仕方について、
図20の(b)・(c)を参照して以下に説明する。
【0248】
カメラユニット11を体内でカメラ支持管13に接合する場合、まず、
図20の(b)に示すように、カメラ支持管13の内部にカメラ側ケーブル12を通した状態で、カメラ支持管13の一方の端部13aを、カニューレ31の太い方(体外側)の端部31bに押し当て、カメラ支持管13の上記一方の端部13aがカニューレ31から露出するまで、カメラ支持管13をカニューレ31内に挿し込む。このとき、バルブ37はカメラ支持管13によって押し広げられ、その復元性によってカメラ支持管13を付勢することでカメラ支持管13がカニューレ31に固定される。なお、カメラ支持管13の他方の端部13b(体外側)もカニューレ31から露出させておく。
【0249】
次いで、
図20の(c)に示すように、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13の体内側の端部13aの係止雄ねじ123を支持管接合部14の係止雌ねじ23に挿入し、螺合させることで、係止雄ねじ123が係止雌ねじ23に嵌まり、カメラユニット11とカメラ支持管13とが高い機械的強度で接合される。なお、係止雄ねじ123および係止雌ねじ23については、ねじ形状に限定されず、互いに嵌め合う形状であれば何でもよく、係止雌ねじ23の代わりに、弾性材料を用いた圧入構造等を用いることもできる。
【0250】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度より小さく設定しておくことが望ましい。これは、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際に、ケーブルを持ち、引っ張って支え、ケーブルをガイドにしながら挿入する必要があるため、もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0251】
例えば、具体的には、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させる強度は、接着固定部の接着強度より小さい30N(ニュートン)以下にすることが望ましい。更に、最適な範囲としては、3Nから6Nの範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定すれば、嵌め込む際にむやみに大きな力を加えることなく嵌合でき、また、カメラ支持管13が嵌った感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることなく、安全に設置できるといった特段の効果がある。
【0252】
なお、
図20の(c)は、カメラ支持管13とカメラユニット11とを支持管接合部14にて接合した後、カメラ支持管13を引き上げ、カメラユニット11を、カニューレ31の体内側の端部13aと接触させた状態を示している。
【0253】
カメラ支持管13は、例えば、術者がカニューレ31を一方の手で押さえた状態で他方の手でカメラ支持管13に力を加える等、カメラ支持管13に外力を加えることで、外力の方向に移動可能にカニューレ31に固定されている。
【0254】
すなわち、カニューレ31は、カメラ支持管13に上下方向(軸方向)あるいは回転方向(円周方向)に外力を加えることで、カメラ支持管13を、上下方向あるいは回転方向に移動させることができるとともに、外力を加えないときは、カメラ支持管13の高さ方向および回転方向の任意の位置でカメラ支持管13を保持(固定)することができるようになっている。
【0255】
(固定部材)
カメラ支持管13を、体外において固定された固定物(被固定体)に固定することで、カメラ支持管13を、体表面45に対して一定の角度を保持した状態で固定する固定具(第2の固定部材)について説明する。
【0256】
図23(a)〜(c)は、それぞれ、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
図23(a)〜(c)は、それぞれ、支持管固定部材の一例について図示している。
【0257】
<支持管固定部材例1>
本例に係る体内監視カメラシステム1は、
図23(a)に示すように、支持管固定部材として、
図20の(a)〜(c)に示すカニューレ31及び固定器具141(専用器具)を備えている。
【0258】
本例では、固定具として、体表面45に直接固定が可能な専用の固定器具141を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。
【0259】
本例に係る固定器具141は、片面(体表面45との接触面)に図示しない粘着層を備えた支持台144と、該支持台144における粘着層とは反対側の面に固定された付属のバンド145(帯状の紐)と、バンド145の固定長さを調整するアジャスタ146とを備えている。
【0260】
バンド145は、その一方の端部が支持台144に直接固定されている一方、他方の端部がアジャスタ146を介して支持台144に固定されている。バンド145の固定長さは、支持台144に直接固定されたバンド145の固定端145aから、自由端であるバンド145の他方の端部を支持台144に固定するアジャスタ146までの長さを調整することで、任意に調整が可能となっている。
【0261】
本例では、固定器具141を、粘着層によって体表面45に固定した状態で、カメラ支持管13を固定したカニューレ31をバンド145によって支持台144に固定することで、カメラ支持管13を、カニューレ31を介して体表面45に固定する。
【0262】
したがって、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0263】
また、バンド145によるカニューレ31の固定位置を調整することで、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更することができる。これにより、所望の角度でカニューレ31およびカメラ支持管13を固定することができ、カメラユニット11の視野方向を任意に変更することができる。
【0264】
これにより、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0265】
なお、本例では、
図23の(a)に示すようにバンド145の固定長さの調整にアジャスタ146を用いたが、バンド145の固定長さの調整方法は、これに限定されるものではない。例えば、アジャスタ146を用いる代わりに、バンド145として、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナーが設けられたバンドを用いても構わない。
【0266】
また、
図23の(a)に示す例では、バンド145でカニューレ31を締め付ける(押さえ付ける)ことにより、カニューレ31を支持台144に括り付ける場合を例に挙げて図示したが、バンド145でカメラ支持管13を締め付ける(押さえ付ける)ことにより、カメラ支持管13を支持台144に括り付ける構成としても構わない。
【0267】
バンド145でカメラ支持管13を締め付ける場合、バンド145の固定長さを調整してバンド145を緩める等して支持管13あるいは支持台144を動かし、支持管13の位置を調整した後、再度、バンド145で支持管13を締め付けることで支持管13を所望の位置で固定してもよい。あるいは、バンド145の固定長さを調整したり、バンド145に伸縮性を持たせたりして締め付けの強さを調整することで、支持管13に一定以上の力を加えることで支持管13を動かすことができるように支持管13を固定してもよい。
【0268】
なお、本例では、上述したようにカニューレ31として、
図20の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、バンド145でカメラ支持管13を締め付ける場合、カメラ支持管13の移動がバンド145により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0269】
上述した例で用いられる専用の固定器具としては、体表面に固定できるものであれば、その形状、材質は特に限定されない。
【0270】
また、上述した例では、各固定器具を体表面に固定する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0271】
例えば、手術台に設置された専用の固定器具でカメラ支持管13やカニューレ31を固定してもよい。
【0272】
例えば、アームに、少なくとも1つの関節部を有し、該関節部でアームを屈曲させることができるとともに、屈曲角度を自在に変更することができるいわゆる関節アームあるいは多関節アームを使用し、該アームを、支持台あるいは体表面45に固定する代わりに、手術台そのもの、あるいは、手術台もしくは手術室内に設置された固定器具に固定するか、そのようなアームが設けられた支持台を、手術台、あるいは手術室内に設置された固定器具に固定してもよい。これにより、固定器具の固定位置からクランプ部までのリーチを長くすることができるので、固定器具を患部近傍の体表面45に固定する場合と同様の効果を得ることができる。
【0273】
<支持管固定部材例2>
本発明の他の支持管固定部材例について説明する。
【0274】
図23(b)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0275】
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、支持管固定部材として、
図20の(a)〜(c)に示すカニューレ31及び粘着テープ46を備えている。
【0276】
本実施形態では、体表面45に直接固定が可能な粘着テープ46を用いることにより、カニューレ31に固定されたカメラ支持管13を固定する。なお、本実施形態でも、カメラ支持管13は、カニューレ31を介して間接的に体表面45に固定される。
【0277】
粘着テープ46には、体表面との接触部に粘着層を有する、手術で一般的に使用される粘着テープを用いることができる。粘着テープ46は、片面(体表面45との接触面)に図示しない粘着層を備え、該粘着層の粘着性により、体表面45に直接固定することが可能となっている。
【0278】
なお、本実施形態でも、術者が、カメラ支持管13を操作し、カメラ支持管13を容易に円周方向に回転させたり、カメラ支持管13を体内側に押し込んだり、体外側に引き上げたりすることで、カメラユニット11の視野の回転方向や撮像ズーム(被写体距離)を変えることができる。
【0279】
また、本実施形態では、カニューレ31における粘着テープ46の固定位置(言い換えれば、カニューレ31に粘着テープ46による押力が加わる位置)を変更することで、体表面45に対するカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更することができる。これにより、本実施形態でも、所望の角度でカニューレ31およびカメラ支持管13を固定することができ、カメラユニット11の視野方向を任意に変更することができる。
【0280】
また、例えばカニューレ31の下(つまり、カニューレ31と体表面45との間)に、カニューレ31の固定高さを調整する固定高さ調整部材として、例えば
図23(a)に示す支持台144のように所望の厚みを有する物体を挟み込むことで、カニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更してもよい。言い換えれば、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、支持管固定部材として、カニューレ31及び粘着テープ46に加えて、図示しない固定高さ調整部材をさらに備えていてもよい。
【0281】
これにより、本実施形態でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0282】
なお、
図23(b)に示す例では、粘着テープ46をカニューレ31に貼り付けることにより粘着テープ46でカニューレ31を固定する場合を例に挙げて図示したが、本実施形態でも、粘着テープ46をカメラ支持管13に貼り付けることにより粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定しても構わない。
【0283】
粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を調整し、粘着テープ46でカメラ支持管13を固定した後、支持管13の位置を変更する場合には、粘着テープ46を一旦剥がし、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を再度調整した後、再度、粘着テープ46で支持管13を固定すればよい。
【0284】
これにより、粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0285】
なお、本実施形態でも、粘着テープ46でカメラ支持管13を直接固定する場合、カメラ支持管13の移動が粘着テープ46により制限されることから、カメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0286】
<支持管固定部材例3>
本発明のさらに他の実施形態について、
図12の(g)、(h)及び
図23の(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、他の実施形態との相違点について説明するものとし、他の実施形態で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、他の実施形態と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0287】
前述した他の実施形態では、カメラ支持管13、または、カメラ支持管13が固定されたカニューレ31を固定具で体外に固定する場合を例に挙げて説明した。
【0288】
本実施形態では、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、該カメラ側ケーブル12を固定具で体外に固定することでカメラ支持管13を固定する場合を例に挙げて説明する。
【0289】
図12の(g)は、カメラ支持管13における体外側の端部13bにケーブル留め具43(係止部材)を設けたときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図であり、
図12の(h)は、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通したときのカメラ支持管13の断面図および上面図を並べて示す図であり、
図23の(c)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステム1の要部の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0290】
本実施形態に係る体内監視カメラシステム1は、支持管固定部材として、例えば、
図12の(g)、(h)及び
図23の(c)に示すカニューレ31、ケーブル留め具43、粘着テープ46を備えているとともに、カメラ側ケーブル12が、支持管固定部材としても機能する。
【0291】
実施形態1で説明したように、カメラ側ケーブル12は、コネクタ12a・16aを介して機器側ケーブル16に接続される。本実施形態では、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に係止するために、
図12の(g)・(h)に示すように、カメラ支持管13の体外側の端部13bにケーブル留め具43(係止部材)を設けている。
【0292】
本実施形態によれば、このように、ケーブル留め具43の縦溝43aの底部(幅狭になっている部分)にカメラ側ケーブル12を固定することで、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することができる。
【0293】
したがって、本実施形態によれば、
図12の(h)に示すようにケーブル留め具43によってカメラ側ケーブル12とカメラ支持管13とを固定した上で、
図23の(c)に示すようにカメラ側ケーブル12を粘着テープ46等で固定することで、カメラ支持管13の位置を固定することができる。
【0294】
<体内監視カメラシステムの設置方法>
次に、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を、使用方法と併せて説明する。なお、実施形態1の設置方法と共通する部分については、説明を省略する。
【0295】
図21の(a)〜(e)および
図22の(a)〜(d)は、本実施形態に係る体内監視カメラシステムの設置方法を工程順に示す模式図である。なお、
図21の(a)〜(e)および
図22の(a)〜(d)は、カニューレ31を使用し、カニューレ31の内部にカメラ支持管13を挿通することによって、カメラ支持管13の一方の端部13aを体内に導入する方法を示す。
【0296】
図21の(a)に示すように、まず、術者は、体壁41に、鉗子や内視鏡を体腔内に挿入するためのポート41a〜41d(孔)を開け、ポート41a〜41cに、複数のトロッカー32(以下、トロッカー32a〜32cと称する)をそれぞれ挿入する。さらに、ポート41dにカニューレ31を挿入する。
図21の(a)に示すように、ポート41dの開孔には、例えば穿刺器具6を挿入したカニューレ31を用いて、カニューレ31の挿入と開孔を同時に行ってもよい。
【0297】
また、ここで、例えばカニューレ31の代わりにトロッカーのような穿刺機能を持つ器具のみを使用して体壁に挿入し、次の工程で、このトロッカーに直接、引き出し具7を挿入してもかまわない。
【0298】
次に、
図21の(b)に示すように、術者は、カニューレ31から穿刺器具6を抜き取るとともに、鉗子33aを用いて、カメラユニット11の支持部22を把持し、あらかじめ、カメラ側ケーブルコネクタ12a(図示せず)に磁石付コネクタ保護キャップ8を装着したカメラ側ケーブル12およびカメラユニット11を体腔内に挿入する。
【0299】
次に、
図21の(c)に示すように、術者は、トロッカー32cを通して内視鏡34を体腔内に挿入し、内視鏡34を用いて体内を観察しながら、鉗子33aでカメラユニット11の支持部22を把持したまま、ポート41dの下部にカメラ側ケーブル12およびカメラユニット11を移動させ、更に、引き出し具7をカニューレ31に挿入し、カメラ側ケーブル12の端部の磁石付コネクタ保護キャップ8に吸着する。本実施形態では、引き出し具7と磁石付コネクタ保護キャップ8の接着に磁石(7g・8g)を用いているので、位置が多少ずれていても磁力で吸着するので、簡単に短時間で操作することができる。
【0300】
次に、
図21の(d)に示すように、カニューレ31から引き出し具7を引き出して、カメラ側ケーブル12が接続された磁石付コネクタ保護キャップ8を体外に引き出す。引き出し具7のもう一方の端部には持ち手部7yがあるため、誤って引き出し具7が体内に落ち込むことはなく、安全に操作できる。
【0301】
この時に用いる磁石付コネクタ保護キャップ8の磁石8gの磁力については、カメラユニット11及びカメラ側ケーブル12を引き出すために、十分大きな接着強度を有する必要があることに加えて、引き出す際にその中を通すカニューレ31やトロッカーの弁構造による負荷を考慮する必要がある。トロッカーやカニューレである管状デバイス31(管状器具)には、
図36(a)のような片弁のものや、
図36(b)のような両弁で放射状に開くもの等、種々のタイプがある。どのようなタイプの管状デバイス31についてもスムーズに磁石付コネクタ保護キャップ8を引き出せることが必要である。なお、市販されている主要なカニューレやトロッカーについて、弁による負荷を測定した結果、0.3Nから0.9Nの範囲であった。よって、磁力としては少なくとも1N以上であればよい。また、引き出し後に外す際に、人の手で無理なく外すことができる接着強度にしておくことが望ましく、また、引き出し時に磁石付コネクタ保護キャップ8が外れないように、磁石付コネクタ保護キャップ8とカメラ側ケーブルコネクタ12aの嵌合強度より小さくする必要があるため、最適な範囲としては、1Nから4Nの範囲に設定することが望ましい。
【0302】
また、この弁による負荷は、磁石付コネクタ保護キャップ8とカメラ側ケーブルコネクタ12aの形状に依存している。磁石付コネクタ保護キャップ8は、カメラ側ケーブルコネクタ12aの形状に合わせて任意の形状を取ることができるが、キャップ部8c上に被保持部(磁石8g)を設けた磁石付コネクタ保護キャップ8については、磁石付コネクタ保護キャップ8の長さが32mm以上あることが好ましい。
【0303】
なお、上述したように、磁石付コネクタ保護キャップ8のみの長さを32mm以上としてもよいが、前述したように、カメラ側ケーブルコネクタ12aの端部を少し細く形成しておき、その細くなった部分に、磁石付コネクタ保護キャップ8(キャップ部8c上に磁石8gを設けたもの)を嵌め込んで、磁石付コネクタ保護キャップ8の端面の外周が、カメラ側ケーブルコネクタ12aの上記端部でない部分(上記端部よりも付け根側に位置する太い部分)の外周に一致し、磁石付コネクタ保護キャップ8の側面とカメラ側ケーブルコネクタ12aの側面との間に段差ができないようにしている場合、磁石付コネクタ保護キャップ8の長さと、カメラ側ケーブルコネクタ12aのうち上記端部でない部分(上記端部よりも付け根側に位置する太い部分)の長さとの和を、32mm以上としてもよい。すなわち、カメラ側ケーブルコネクタ12a(ケーブルの他端となるコネクタ)に第1部分と第1部分よりも先端側にあって第1部分よりも細い第2部分とが含まれ、磁石付コネクタ保護キャップ8(キャップ部上に被保持部が設けられた第1補助具)をカメラ側ケーブルコネクタ12a(コネクタ)の第2部分に嵌めたときに、磁石付コネクタ保護キャップ8の端面の外周がカメラ側ケーブルコネクタ12aの第1部分の外周に一致する構成では、磁石付コネクタ保護キャップ8(第1補助具)の長さと、カメラ側ケーブルコネクタ12a(コネクタ)の第1部分の長さとの和を32mm以上とする。
【0304】
例えば
図37(a)のように、管状デバイス31が片弁で弁付近の内径が大きくなっている場合、磁石付コネクタ保護キャップ8が短いと、キャップ部8cの末端やカメラ側ケーブル12が弁37に押されたときに全体が大きく傾いて管状デバイス31の内壁に引掛かり(
図37(b))、接着面積減少による吸着力低下によって引き出し具7の磁石7gから外れてしまうおそれがある(
図37(c))。これは、キャップ部8cの末端やカメラ側ケーブル12が弁37に押されたときに磁石付コネクタ保護キャップ8の先端が管状デバイス31を通過していないからである。内径の大きな管状デバイス31を使用したときは、磁石付コネクタ保護キャップ8がさらに傾き易く、外れやすい。
【0305】
一方、
図38(a)のように磁石付コネクタ保護キャップ8が長い場合は、磁石付コネクタ保護キャップ8の末端やカメラ側ケーブル12が弁37に押されたときにもほとんど傾かず(
図38(b))、引き出し具7の磁石7gから外れてしまうことがない(
図38(c))。これは、磁石付コネクタ保護キャップ8の末端やカメラ側ケーブル12が弁37に押されたときに磁石付コネクタ保護キャップ8の先端が管状デバイス31を通過しているからである。したがって、
図5(a)のように、キャップ部8c上に被保持部(磁石8g)を設けた磁石付コネクタ保護キャップ8については、磁石付コネクタ保護キャップ自体の長さが、管状デバイス31のうち弁37よりも上部(体外側)に位置する部分の長さよりも大きいこと(例えば、32mm以上)が望ましい。さらに、
図5(e)のように、キャップ部8cと被保持部(磁石8g)とを連結ワイヤ8wで繋げた構造の磁石付コネクタ保護キャップ8については、被保持部の長さが、管状デバイス31のうち弁37よりも上部(体外側)に位置する部分の長さよりも大きいこと(例えば、32mm以上)が望ましい。
【0306】
換言すれば、管状デバイス31の体外側の開口と体内側の開口との間に、管孔を可動的に塞ぐ弁37(可動部材)が設けられ、磁石付コネクタ保護キャップ8は、磁石8gの端面から第1距離までは外形が変わらず、弁37の付け根と管状デバイス31の体外側の開口との距離を第2距離とするとき、第1距離>第2距離×2/3であることが望ましい。
【0307】
なお、カメラ側ケーブルコネクタ12a(ケーブルの他端となるコネクタ)に第1部分と第1部分よりも先端側にあって第1部分よりも細い第2部分とが含まれ、磁石付コネクタ保護キャップ8(キャップ部8c上に磁石8gが設けられた第1補助具)をカメラ側ケーブルコネクタ12a(コネクタ)の第2部分に嵌めたときに、磁石付コネクタ保護キャップ8の端面の外周がカメラ側ケーブルコネクタ12aの第1部分の外周に一致する構成では、磁石付コネクタ保護キャップ8(第1補助具)の長さと、カメラ側ケーブルコネクタ12a(コネクタ)の第1部分の長さとの和を上記第1距離とし、この第1距離>上記第2距離×2/3とすることが望ましい。
【0308】
なお、管状デバイス31として、硬質で、かつ細径であったり内部が複雑な構造であったりするトロッカーを使用した場合は、磁石付コネクタ保護キャップ8が内部で引っ掛かりやすいため、本形態のメリットがより発揮されるといえる。
【0309】
また、カメラ側ケーブルコネクタ12aと磁石付コネクタ保護キャップ8の嵌合強度については、カメラ側ケーブル12の引き出し時に外れない必要があり、補助具セットに磁石を用いた場合は、磁力以上の例えば2N(ニュートン)以上にすることが望ましい。また、機器側ケーブル16または中間ケーブル15のコネクタとの接続時に、磁石付コネクタ保護キャップ8を取り外す際に、人が脱着しやすい強度であることが望ましいため、最適な範囲としては、4Nから10Nの範囲に設定することが望ましい。
【0310】
次に、
図21の(e)および
図20の(d)に示すように、体外に導出したカメラ側ケーブル12を、カメラ支持管13の側面のスリット223からカメラ支持管13の内部に通す。このとき、
図20の(e)に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aの一部はカメラ支持管13のスリット223から露出していてもよい。
【0311】
また、
図34(a)に示すように、スリット223の幅は、その一部がカメラ側ケーブル12の径よりも小さくてもかまわない。例えば、カメラ支持管13の両端については、スリットの両エッジに、互いに向かい合うようなペア突起255を複数形成する。こうすれば、ペア突起255の部分だけケーブル径よりもスリット幅が小さくなり、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に通す際には、ペア突起255の部分だけカメラ側ケーブル12を一時的に弾性変形させて通すことができ、通した後はカメラ側ケーブル12の径が元に戻ることになる。これにより、カメラ側ケーブル12がカメラ支持管13から容易には外れないようになり、カメラ支持管13を設置するときの作業性が格段に向上する。なお、
図34(b)に示すように、カメラ支持管13の両端それぞれに、ペア突起255を1個ずつ形成するだけでも同様の効果が得られる。
【0312】
さらに、
図20の(f)および
図21の(e)に示すように、カメラ側ケーブル12をガイドとして用いて、カメラ支持管13をカニューレ31に挿入するとともに、
図22の(a)に示すように、術者は、トロッカー32を通して鉗子33を体腔内に挿入し、カメラユニット11の支持管接合部14とカメラ支持管13の開口とが平行でかつ近接するように、カメラユニット11の両側面の支持部22を、2つの鉗子33a、33bで把持し、カメラ側ケーブル12を引っ張りながらカメラユニット11の姿勢を安定に保ちつつ、カメラ支持管13と支持管接合部14とをねじ込み、あるいは差し込み等の方法で接合する。なお、穿刺器具6の内部をカメラ側ケーブル12及びカメラ側ケーブルコネクタ12aを通すことが可能な場合には、
図21(b)の工程で、穿刺器具6を抜き取らずにそのまま残しておき、この穿刺器具6をカメラ支持管13として利用してもかまわない。
【0313】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合、カメラ支持管13をカメラユニット11の支持管接合部14に挿入する際には、カメラ側ケーブル12のカメラユニット11との接着固定部の接着強度(例えば、30N以上)よりも、カメラ支持管13と支持管接合部14とを嵌合させるために必要な力(例えば、3N〜6N)を十分小さくしてあるので、ケーブルをガイドにしながら引っ張ることで、カメラ支持管13を安全に挿入し、嵌合させることができる。
【0314】
次いで、差し込みの場合は、
図22の(b)に示すように、ケーブル留め具43でカメラ側ケーブル12とカメラ支持管13を固定してから、
図22の(c)に示すように、カメラ支持管13を用いてカメラユニット11を体壁の設置位置まで引き上げ、ストッパ77を用いてカメラ支持管13をカニューレ31に固定する。
【0315】
なお、カメラ支持管13がカメラユニット11に設けられた支持管接合部14から外れないためには、カメラ側ケーブル12をカメラ支持管13に保持するケーブル留め具43のケーブル保持強度は、カメラ支持管13の嵌合強度より大きいことが必要である。具体的には、例えば、差し込んだカメラ支持管13の嵌合強度3N〜6Nとした場合、これより大きな強度、少なくとも5N以上は必要である。また、望ましくは、磁石付コネクタ保護キャップ8の嵌合強度(4Nから10N)より大きいことが好ましい。こうすることによって、磁石付コネクタ保護キャップ8を外す際にケーブルに不用意な力が加わっても、ケーブル留め具43が外れることはなく安全である。また、ケーブル自体の強度以上にする必要はないため、最適な範囲としては、5N〜50Nが望ましい。
【0316】
また、上記の保持強度であれば、カメラ支持管13と支持管接合部14とが十分に接触するので、カメラ支持管13と支持管接合部14の側面を熱伝導性の良い材料で形成した際に、カメラユニット11の熱を効率的にカメラ支持管13から放熱することができる。
【0317】
次に、
図22の(c)に示すように、カメラ側ケーブルコネクタ12aから磁石付コネクタ保護キャップ8を外し、カメラ側ケーブル12と中間ケーブル15とを、カメラ側ケーブルコネクタ12aおよび第1中間ケーブルコネクタ15aで接続し、中間ケーブル15と機器側ケーブル16とを、第2中間ケーブルコネクタ15bおよび機器側ケーブルコネクタ16aで接続する。なお、中間ケーブルや機器側ケーブルは、体内を通さないので、太い径のものが使用できる。
【0318】
次に、
図22の(d)に示すように、ディスプレイ18の映像を見ながら、カニューレ31を操作して、カメラユニット11を動かし、体腔内での高さ、向き、および角度を調整し、固定具で固定する。
【0319】
尚、
図21の(a)〜(e)および
図22の(a)〜(d)に示す設置方法では、カニューレ31を通して、補助具セットを導入する方法について説明したが、これに限定するものではなく、
図21(a)の工程で穿刺を行った後、穿刺器具6をカメラ支持管13に交換し、カメラ支持管13を通して、補助具セットを導入してもかまわない。また、カニューレ31の代わりにトロッカー32を使用して、トロッカー32に補助具セットを導入してもかまわない。
【0320】
<カメラユニットの回収方法>
手術が終わり、カメラユニット11を回収する手順について説明する。
【0321】
まず、ケーブル留め具43を外し、術者は、体内のカメラユニット11の支持部22を鉗子33で把持し、カメラ支持管13と支持管接合部14との接合を外し、スリット223を通してカメラ側ケーブル12を外しながら、カメラ支持管13を体外に抜き取る。次に、カメラ側ケーブルコネクタ12aを外し、鉗子33でカメラユニット11を引っ張ってカメラ側ケーブル12を体内に引き込み、続いてトロッカー32からカメラユニット11を体外に引き出す。あるいは、切除した臓器を引き出すために開口した孔から引き出してもかまわない。
【0322】
機器側ケーブルコネクタ16aからカメラ側ケーブルコネクタ12aを外す前に、ケーブルコネクタ12a・16aを接続した状態で、スリット223を通してカメラ支持管13を外す作業をすることができるので、作業時に誤ってカメラ側ケーブル12を体内に落下させ、見失って探さねばならなくなる可能性が小さくなり、作業を効率的に短時間で行うことができるので、低侵襲性向上に特段の効果がある。
【0323】
なお、ねじ形状ではなく、係止爪等を用いて、カメラ支持管13と支持管接合部14とを差し込んで嵌合させる場合には、カメラユニット11とカメラ支持管13を分離させる時にも同様に、カメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度は、カメラ側ケーブル12とカメラユニット11とを接着固定している接着固定部の接着強度より小さく設定しておくことが望ましい。もしカメラ支持管13と支持管接合部14との嵌合強度が、上記接着固定部の接着強度より大きいと、カメラ支持管13をカメラユニット11から外す際に、大きな力を加えなければならないため、接着固定部が破損したり、カメラユニットが体外方向に引っ張られることで患者の体壁を損傷したりするおそれが生じるためである。
【0324】
例えば、上記嵌合強度を、3Nから6Nの範囲に設定しておけば、むやみに大きな力を加えることなくカメラ支持管13を外すことができ、また、カメラ支持管13が外れた感触が手元に伝わるので、むやみに力を加え続けることがなく、安全に分離できるといった特段の効果がある。
【0325】
なお、カメラ側ケーブルコネクタ12aは、回収時に体内を経由するが、前述したように、清潔が維持されているため問題はない。
【0326】
<効果>
本実施形態でも、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を調整し、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を固定した後、支持管13の位置を変更する場合には、粘着テープ46を一旦剥がし、手術者が支持管13を操作して支持管13の位置を再度調整した後、再度、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を固定すればよい。
【0327】
また、例えばカメラ側ケーブル12の下(つまり、カメラ側ケーブル12と体表面45との間)、あるいは、状況に応じて、カニューレ31もしくはカメラ支持管13の下に、固定高さ調整部材として、例えば
図23(a)に示す支持台144のように所望の厚みを有する物体を挟み込むことで、カメラ側ケーブル12に接続されたカニューレ31およびカメラ支持管13の固定角度(傾き)を変更してもよい。すなわち、本実施形態でも、支持管固定部材は、図示しない固定高さ調整部材をさらに備えていてもよい。
【0328】
これにより、粘着テープ46でカメラ側ケーブル12を直接固定する場合でも、カメラ支持管13を、所望の状態で固定することができる。
【0329】
なお、本実施形態でも、上述したようにカニューレ31として、
図20の(a)〜(c)に示すカニューレ31を使用する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態に係るカメラ支持管13は、必ずしもカニューレに固定されている必要はなく、カニューレとしては、一般的なカニューレを用いることができる。
【0330】
つまり、本実施形態では、カメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、カメラ側ケーブル12を体外に固定することで、カメラ側ケーブル12によって、カメラ支持管13を固定することができる。つまり、カメラ側ケーブル12を粘着テープ46で固定することで、カメラ側ケーブル12と接続されたカメラ支持管13の位置および向きが固定される。このため、カメラ支持管13を直接固定具で体外に固定する場合と同様に、カメラ支持管13は、カニューレに固定されていなくても構わない。
【0331】
また、本実施形態では、上述したようにケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定し、該カメラ側ケーブル12を粘着テープ46で体外に固定することでカメラ支持管13を固定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、上述したようにケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定した上で、カメラ支持管13あるいはカニューレ31を、該カメラ側ケーブル12を粘着テープ等の固定具で体外に固定しても構わない。勿論、カメラ側ケーブル12、カメラ支持管13、及びカニューレ31のうち何れか2つ以上を固定しても構わない。何れの場合にも、ケーブル留め具43を用いてカメラ支持管13にカメラ側ケーブル12を固定することで、上述したように作業性の向上を図るとともに、カメラ側ケーブルの断線を防止することができるという効果を得ることができる。
【0332】
また、
図23では、カメラ側ケーブル12あるいはカメラ支持管13もしくはカニューレ31の固定に粘着テープ46を用いるものとして説明した。しかしながら、固定具としてはこれに限定されるものではなく、
図39のように、輪をなす紐状部材38(固定具)をトロッカー32およびカメラ支持管13にかけることで、カメラ支持管13を所望の状態(体内への導入長さ、回転方向、傾き)で体壁41に固定することもできる。
【0333】
この場合、カメラ支持管13に、
カメラ支持管13の軸方向への紐状部材の移動を防止する紐状部材固定部(例えば紐状部材38を通したり結んだりして紐状部材38を固定することができる固定部)を設けてもよい。
【0334】
〔実施形態4〕
実施形態1〜3では引き出し具として、磁石を用いたものについて説明した。実施例4では、泡立て器形状の先端部を持つ引き出し具を用いた実施形態について、
図24〜
図27に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0335】
なお、本実施形態では、主に、実施形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施形態1〜3で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1〜3と同様の変形が可能であることは言うまでもない。
【0336】
(引き出し具および磁石付コネクタ保護キャップ)
図24の(a)は、本実施形態で用いる泡立て器形状の先端部を持つ引き出し具および引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップの概略構成を示す断面図であり、(b)は、筒型棒状部に泡立て器形状先端部を収納した断面図、(c)は、(a)に対し、筒型棒状部の代わりに穿刺器具を用いた状態を示す図、(d)は、穿刺器具に泡立て器形状先端部を収納した状態を示す図である。
【0337】
図24の(a)に示すように、本実施形態で用いられる引き出し具7は、端部に備えた、引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップ53を引っ掛けるための泡立て器形状の先端部50と筒型棒状部49、先端部駆動用硬質ワイヤ51、他端部に備えた持ち手レバー部52から成る。
【0338】
泡立て器形状の先端部50は、両端の2点で接続された複数の曲線形状の保持ワイヤによって構成されており、楕円体(回転楕円体)の形状を有している。上記複数の保持ワイヤは、外力を加えることによって変形可能である。
【0339】
また、(b)に示すように、持ち手レバー部52を操作すると、先端部駆動用硬質ワイヤ51を介し、泡立て器形状先端部50(保持部)を筒型棒状部49内に引き込む構造となっている。泡立て器形状先端部50は、力を加えていない状態では、先端が泡立て器状に広がることによって保持ワイヤ同士の間隔が大きくなり、レバーを引いて、この部分を筒型棒状部49内に引き込む力を加えると、変形して筒型棒状部49内に収まり、保持ワイヤ同士の間隔は小さくなる。このように、泡立て器形状先端部50を構成する保持ワイヤ同士の間隔は可変である。
【0340】
より具体的には、
図24の(a)に示すように、泡立て器形状先端部50が筒型棒状部49の外部にあるときには、保持ワイヤ同士の間隔は、後述する引掛け具56の外径と同等か、又は引掛け具56の外径より若干小さいことが好ましい。さらに具体的には、泡立て器形状先端部50が筒型棒状部49の外部にあるときの保持ワイヤ同士の間隔は、引掛け具56の溝部分の径(引掛け具56の断面形状に内接する円の直径)に対応する大きさであることがより好ましい。これにより、引掛け具56に泡立て器形状先端部50を押し当てたときに、引掛け具56を泡立て器形状先端部50の内部に入れることができるとともに、引掛け具56が泡立て器形状先端部50の外部に出ることを抑制することができる。
【0341】
また、
図24の(b)に示すように、泡立て器形状先端部50が筒型棒状部49の内部にあるときには、保持ワイヤ同士の間隔は、後述する引掛け具56の外径よりも小さいことが好ましい。
【0342】
以上のように筒型棒状部49を用いることによって、泡立て器形状先端部50の保持ワイヤ同士の間隔を変化させることができる。
【0343】
収納時の外径は、針状の穿刺器具6やカメラ支持管13、カニューレ31、トロッカー32などの挿入する器具の内径よりも小さくできる。また、持ち手レバー部52はこれらの器具の内径より十分に大きな寸法を有している。
【0344】
図24(c)は、専用の筒型棒状部49の代わりに、穿刺に用いた穿刺器具6をそのまま使用した例である。このように筒型棒状部49は、他のカメラ支持管13、カニューレ31、トロッカー32などの既存の筒状器具を使用することもできる。また、(d)は、泡立て器形状先端部50を穿刺器具6内に引き込んだ状態を示した図である。
【0345】
図25の(a)は、引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップ53の一例を示す図である。(b)は、(a)のD−D’断面図、(c)は、引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップの他の例を示す図、(d)は、(c)のE−E’断面図である。引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップ53は、磁石付コネクタ保護キャップ部54(ケーブルコネクタ保護部)、連結ワイヤ55(連結ワイヤ部)、および引掛け具56より成る。磁石付コネクタ保護キャップ部54は、連結ワイヤ55を介して、引掛け具56と接続されている。
【0346】
磁石付コネクタ保護キャップ部54は、
図25(e)に示すカメラ側ケーブルコネクタクタ12aの防水防汚キャップであり、カメラ側ケーブルコネクタクタ12aの形状に応じた凹形状を持ち、(f)に示すように、この部分にはめ込んで装着する。(g)は(f)のA−A’断面、(h)はB−B’断面であり、この間にあるコネクタ15のくびれを利用して引っ掛けて留め、引っ張っても抜けない構造となっている。穿刺器具6等の筒型棒状部49の内径・外径をできる限り小さくするため、(f)〜(h)に示す磁石付コネクタ保護キャップ部54の幅は、ケーブルコネクタ15及びケーブル12の幅以下となっている。
【0347】
引掛け具56は、引き出し具7の泡立て器形状先端部50に引っ掛かり易く、落ちにくい構造となっており、例えば(a)および(b)に示すように、側面から見るとカギ型で、泡立て器形状先端部50の形状に応じた溝が入り、上面から見ると(b)のように、周囲に複数の凸部と凹部とを備える形状になっている。また、(c)および(d)に示すように、泡立て器形状先端部50の形状に応じた突起が全面にある形状にしてもよい。これらの引掛け具56に、泡立て器形状先端部50を押し付けると、引掛け具56が泡立て器形状先端部50の保持ワイヤの間に入り込み、泡立て器形状先端部50を引き上げると、この溝や突起により引っ掛かり、同時に、泡立て器形状先端部50を筒型棒状部49に引き込むことで、泡立て器形状先端部50の保持ワイヤの間隔が狭まり、しっかりと引掛け具56に食い込んで落ちないようにできる。
【0348】
図26(a)に示すように、例えば体壁41に挿入した穿刺器具6を通して、泡立て器形状先端部50を持つ引き出し具7を体内に導入し、引掛け具56に、泡立て器形状先端部50を押し付ける。泡立て器形状先端部50の保持ワイヤには柔軟性があるため、引掛け具56に泡立て器形状先端部50を押し付けることによって、保持ワイヤが変形して保持ワイヤ同士の間隔が広がり、泡立て器形状先端部50の中(保持空間)に引掛け具56が入り込む。泡立て器形状先端部50の中に引掛け具56が入り込んだ後は、保持ワイヤの形状はもとに戻る。
【0349】
次に、持ち手レバー部52を引き、泡立て器形状先端部50を筒型棒状部49に引き込むことによって保持ワイヤ間隔を狭めながら、(b)に示すように、引掛け具56を穿刺器具6内に引き込む。(c)に示すように、引掛け具56の溝あるいは突起に、泡立て器形状先端部50の保持ワイヤが入り込む形状となっているので、引掛け具56の溝あるいは突起と保持ワイヤとが噛み合い、穿刺器具6内で引掛け具56がしっかりと安定した状態で保持される。よって、穿刺器具6の開口部端で引っ掛かって外れることなく、スムーズに通すことができる。このように、泡立て器形状先端部50の保持ワイヤは、保持空間を形成しており、保持空間の内部に引掛け具56を保持することができる。
【0350】
次に、(d)に示すように、更に、引き出し具7を引き上げ、穿刺器具6内に磁石付コネクタ保護キャップ部54およびカメラ側ケーブルコネクタ12a、ケーブル12を導入することができる。これにより、設置時間の短縮が図れる。
【0351】
なお、穿刺器具6は、低侵襲性を実現するために、外径が小さいものが好ましい。具体的には、外径が3mm以下であることが好ましい。
【0352】
図27(a)に磁石付コネクタ保護キャップ53の他の例を示す。(a)に示すように、磁石付コネクタ保護キャップと接続した引掛け具56を小さく、連結ワイヤ55を穿刺器具6より長くした構成としている。引掛け具56の部分を小型にしているので、(b)に示すように、穿刺器具6はより細径のものが使用できる。また、連結ワイヤ55を穿刺器具6より長くしているので、(c)に示すように、穿刺器具6から引掛け具56の部分を先に引き出すことができる。穿刺器具6の内径よりも、カメラ側ケーブルコネクタ12aが大きいため、この位置で引き上げは止まるが、一旦ストッパ77で固定する。
【0353】
この後は図示していないが、次に、穿刺器具6ごとカメラ側ケーブル12の端部のカメラ側ケーブルコネクタ12a部分を体外に引き出す。ストッパ77でカメラ側ケーブル12を固定するため、穿刺器具6の引き出し時に誤ってカメラ側ケーブル12を体内に落とすことは防げる。
【0354】
カメラ側ケーブルコネクタ12aの径は3mm径程度と少し大きくなるが、体積が小さいため、体壁の孔を一時的に広げながら体壁41を通過可能である。よって、穿刺器具6とカメラ側ケーブル12は、2mm径程度にできる。このため、カメラユニット11設置部の傷口を最小にでき、より低侵襲にできる。
【0355】
次に、ケーブル留め具43で仮止めした後、ストッパ77を外し、連結ワイヤ55から穿刺器具6を抜き取る。
【0356】
なお、
図26および
図27に示す例では、筒型棒状部49を用い、筒型棒状部49内に泡立て器形状先端部50を引き込むことによって保持ワイヤ同士の間隔を変化させる構成について説明したが、これに限定されない。
図24の(c)および(d)に示すように、筒型棒状部49を用いることなく、穿刺器具6内に泡立て器形状先端部50を引き込むことによって保持ワイヤ同士の間隔を変化させてもよい。この場合、筒型棒状部49が不要となるため、穿刺器具6をより細径化することができる。
【0357】
また、上記の例では、引っ掛け方法に泡立て器形状先端部を用いたが、これに限定するものではなく、網状など広範囲に広がり、かつ小さく収納できる形状のものであればかまわない。
【0358】
泡立て器形状先端部50の中央部分における保持ワイヤ同士の間隔は、当該泡立て器形状先端部50の端部における保持ワイヤ同士の間隔よりも大きい。
【0359】
容易にかつ安定して引掛け具56を保持空間の内部に保持するためには、保持ワイヤ同士の間隔(保持空間の開口部の大きさ)は均一であることが好ましい。そのため、泡立て器形状先端部に代えて、引掛け具56の外径に対応する大きさの格子からなる網目状の先端部を用いることが好ましい。網目状の保持ワイヤであれば、保持ワイヤ同士の間隔は均一であるため、より容易にかつ安定して、引掛け具56を保持空間の内部に保持することができる。
【0360】
特許文献2の医療装置では、通信ケーブルを体内に引き出すために、体内でワイヤをフック部に引っ掛けるという難しい操作を行う必要がある。
【0361】
これに対して、本実施形態の体内監視カメラシステムでは、泡立て器形状先端部50は複数の保持ワイヤを備えており、保持ワイヤが保持空間を形成しているため、引掛け具56を保持空間の内部に導入することによって、体内において、引掛け具56を引き出し具7の先端に保持することができる。そのため、容易にカメラ側ケーブルコネクタクタ12aを体外に引き出すことができる。
【0362】
〔上記各実施の形態について〕
上記各実施の形態に記載のカニューレは、あくまで管状デバイス(管状器具、管状部材、套管)の一例であって、これらカニューレを、同じく管状デバイス(管状器具、管状部材、套管)であるトロッカーに置きかえて使用することも可能である。
【0363】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る体内監視カメラシステム(1)は、体内を監視するための撮像部(カメラユニット11)と、上記撮像部に接続され、上記体壁に開孔したポートを通って体外へ引き出されるケーブル(カメラ側ケーブル12)と、体外にあり、上記ケーブルに接続され、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む制御システム(3)と、撮像部及び上記ケーブルを体内に導入し、上記ケーブル端部を体外に引き出すために用いられる引き出し具と、を備えている。
【0364】
本発明の態様2に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様1において、一方の端部13aが体内に導入される支持管(カメラ支持管13)と、上記支持管と接合される接合部(支持管接合部14)を有し、上記支持管と体内で接合される撮像部(カメラユニット11)を備えている。また、上記支持管13として、穿刺器具6を用いてもよい。
【0365】
本発明の態様3に係る体内監視カメラシステム(1)は、上記態様2において、上記支持管を内部に挿通可能な管状構造を有する套管(カニューレ31)を備え、体外で上記套管と固定されており、上記固定部材は、上記套管を体表面に対して固定することで上記支持管を固定してもよい。
【0366】
本発明の態様4に係る体内監視カメラシステムの設置方法は、体外から、針状の穿刺器具を用いて、体内監視カメラシステムの撮像部設置位置の体壁に開孔する工程と、体内に撮像装置を導入する工程と、体内に挿入された筒状の穿刺器具の先端から引き出し具を押し出す工程と、体外から挿入した把持鉗子を用いて、体内にあるカメラ側ケーブルの先端部をつかみ、引き出し具に接着する工程と、引き出し具を引き出し、カメラ側ケーブルの端部を体外に引き出す工程と、引き出したケーブルを体外で固定する工程と、ケーブルを少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む体外の制御システム(3)に電気的に接続する工程と、を有している。
【0367】
本発明の態様5に係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様4において、体内に導入した上記ケーブルを体外へ引き出した後、一方の端部13aが体内に導入された支持管(カメラ支持管13)に通す工程と、体内において、上記撮像部と支持管とを、上記撮像部に設けられた接合部(支持管接合部14)で接合する工程と、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、及び体表面に対する上記支持管の傾きを調整し、上記支持管を、体表面に対して直接または間接的に固定する工程と、を有している。
【0368】
本発明の態様6に係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様4において、体内に導入した上記ケーブルを体外へ引き出した後、穿刺器具6を支持管(カメラ支持管13)として用い、体内において、上記撮像部と穿刺器具とを、上記撮像部に設けられた接合部(支持管接合部14)で接合する工程と、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、及び体表面に対する上記支持管の傾きを調整し、上記支持管を、体表面に対して直接または間接的に固定する工程と、を有している。
【0369】
本発明の態様7に係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様5もしくは6において、体壁に開口する際に、穿刺器具6と共に、上記支持管および穿刺器具を内部に挿通可能な管状構造を有する套管(カニューレ31)を導入する工程を有している。
【0370】
〔実施形態総括〕
本発明の態様1Aに係る体内監視カメラシステム(1)は、体内を監視するための撮像部(カメラユニット11)と、体外に設けられており、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む制御システム(3)と、一端が上記撮像部に接続されたケーブル(カメラ側ケーブル12)と、上記ケーブルの他端を体内から体外へ引き出すための補助具(補助具セット)と、を備えている体内監視カメラシステムであって、上記補助具は、棒状部と、上記棒状部に設けられた保持部(磁石7g)と、上記ケーブルの他端に接続される被保持部(磁石付コネクタ保護キャップ8)とを備えており、体内において、上記被保持部は、磁力により上記保持部に保持される。
【0371】
本発明の態様2Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1Aにおいて、上記保持部および上記被保持部のうちの少なくとも何れか一方は、磁石を備えていてもよい。
【0372】
本発明の態様3Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様2Aにおいて、上記保持部は磁石を備えており、上記被保持部は磁性体を備えていてもよい。
【0373】
本発明の態様4Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様3Aにおいて、上記磁石及び磁性体は、生体適合材料であるか、または表面が生体適合材料で覆われていてもよい。
【0374】
本発明の態様5Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様4Aにおいて、上記磁性体は、表面が生体適合材料で覆われており、上記被保持部は、上記生体適合材料の厚みが他の部分よりも薄い部分である被吸着部を有しており、上記被保持部は、上記被吸着部を介して、上記保持部に保持されてもよい。
【0375】
本発明の態様6Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1A〜5Aの何れかにおいて、上記保持部および上記被保持部のうちの何れか一方は、凹部(磁石凹接合部48)を備えており、上記保持部および上記被保持部のうちの何れか他方は、上記凹部に嵌合する凸部(磁石凸接合部47)を備えていてもよい。
【0376】
本発明の態様7Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1A〜6Aの何れかにおいて、上記保持部の外径は、上記ケーブルの外径、および上記ケーブルの端部に設けられたケーブルコネクタの外径以下であってもよい。さらに、棒状部の外径もまた、上記ケーブルの外径、および上記ケーブルの端部に設けられたケーブルコネクタの外径以下であってもよい。
【0377】
本発明の態様8Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1A〜7Aの何れかにおいて、上記ケーブルの端部を通すための孔を体壁に設けるための穿刺器具(6)をさらに備えており、上記穿刺器具は筒状であり、上記穿刺器具の内径は、上記保持部の外径、および上記ケーブルの端部に設けられたケーブルコネクタ(12a)の外径よりも大きくてもよい。
【0378】
本発明の態様9Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1A〜7Aの何れかにおいて、上記ケーブルの端部を通すための孔を体壁に設けるための穿刺器具をさらに備えており、上記穿刺器具の外径は、上記ケーブルの外径と同等であってもよい。
【0379】
本発明の態様10Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様8Aまたは9Aにおいて、上記穿刺器具は、上記撮像部に固定されることによって、上記撮像部を支持する支持管(カメラ支持管13)として機能してもよい。
【0380】
本発明の態様11Aに係る体内監視カメラシステムは、体内を監視するための撮像部と、体外に設けられており、少なくとも表示装置を含む制御システムと、一端が上記撮像部に接続されたケーブルと、上記ケーブルの他端を体内から体外へ引き出すための補助具と、を備えている体内監視カメラシステムであって、上記補助具は、棒状部と、上記棒状部の先端に設けられた保持部(泡立て器形状先端部50)と、上記ケーブルの他端に接続される被保持部(引掛け具付磁石付コネクタ保護キャップ53)とを備えており、上記保持部は、互いの間隔が可変である複数の保持ワイヤを備えており、上記複数の保持ワイヤは、内部に上記被保持部を保持するための保持空間を形成している。
【0381】
本発明の態様12Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様1A〜11Aの何れかにおいて、上記被保持部は、上記ケーブルの端部に接続するケーブルコネクタ保護部と、上記保持部に接触する接触部(磁石8g、引掛け具56)と、上記ケーブルコネクタ保護部と上記接触部とを互いに接続する連結ワイヤ部(連結ワイヤ8w、連結ワイヤ55)と、を備えていてもよい。
【0382】
本発明の態様13Aに係る体内監視カメラシステムは、上記態様12Aにおいて、上記ケーブルの端部を通すための孔を体壁に設けるための穿刺器具をさらに備えており、上記連結ワイヤ部の長さは、上記穿刺器具の長さよりも長くてもよい。
【0383】
本発明の態様14Aに係る補助具(補助具セット)は、体内に配置され、体内を監視するための撮像部(カメラユニット11)と、体外に設けられており、少なくとも表示装置(ディスプレイ18)を含む制御システム(3)と、一端が上記撮像部に接続されたケーブル(カメラ側ケーブル12)と、を備える体内監視カメラシステム(1)において、上記撮像部を体内に設置するために用いられる補助具であって、棒状部と、上記棒状部に設けられた保持部(磁石)と、上記ケーブルの他端に接続される被保持部とを備えており、体内において、上記被保持部(磁石付コネクタ保護キャップ8)は、磁力により上記保持部に保持される。
【0384】
本発明の態様15Aに係る体内監視カメラシステムの設置方法は、体内を監視するための撮像部と、少なくとも表示装置を含む制御システムと、一端が上記撮像部に接続されたケーブルと、を備える体内監視カメラシステムの設置方法であって、体壁に設けられた第1の孔を介して、上記撮像部と、上記ケーブルと、上記ケーブルの他端に接続された被保持部とを、体内に導入する工程と、体壁に設けられた第2の孔を介して、棒状部材と、上記棒状部材に設けられた保持部とを体内に導入する工程と、体内において、上記保持部と上記被保持部とを近接させ、磁力により上記保持部に上記被保持部を保持させる工程と、上記棒状部材を上記第2の孔から引き出すことにより、上記ケーブルの端部を体外に引き出す工程と、上記ケーブルを体外で上記制御システムに電気的に接続する工程と、を含む。
【0385】
本発明の態様16Aに係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様15Aにおいて、内部に上記棒状部材を配した筒状の穿刺器具を用いて、体壁に上記第2の孔を設ける工程を含んでもよい。
【0386】
本発明の態様17Aに係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様16Aにおいて、体内において、上記撮像部と、上記撮像部を固定するための支持管とを接続する工程と、体内において、上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、及び体表面に対する上記支持管の傾きからなる群より選択される少なくとも一つを調整する工程と、上記支持管を、体表面に対して直接または間接的に固定する工程と、を含んでもよい。
【0387】
本発明の態様18Aに係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様17Aにおいて、上記支持管として上記穿刺器具を用いてもよい。
【0388】
本発明の態様19Aに係る体内監視カメラシステムの設置方法は、上記態様16A〜18Aの何れかにおいて、上記被保持部は、連結ワイヤ部を介して上記ケーブルに接続されており、
上記連結ワイヤ部の長さは、上記穿刺器具の長さよりも長く、上記棒状部材を上記第2の孔から引き出すことにより、上記被保持部を体外に引き出した後、上記穿刺器具を体壁から引き出すとともに、上記ケーブルの端部を体外に引き出してもよい。
【0389】
以上のように、本体内監視カメラシステムは、体内を監視するための撮像部と、体外に設けられており、少なくとも表示装置を含む制御システムと、一端が上記撮像部に接続されたケーブルと、上記ケーブルの他端に接続される第1補助具と、上記第1補助具に設けられた被保持部を保持する保持部および該保持部に接続する棒状部を含み、上記被保持部を、上記保持部に保持させた状態で、一端が体内に導入された管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための第2補助具とを備えることを特徴とする。
【0390】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記被保持部は、磁力により上記保持部に保持される。
【0391】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部および上記被保持部の一方に磁石が含まれるとともに他方に磁性体が含まれ、上記保持部が上記被保持部を保持した状態では、上記磁石の端面と上記磁性体の端面とが向かい合う。
【0392】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部が上記被保持部を保持している状態では、上記保持部の端面と上記被保持部の端面とが接触する。
【0393】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部の端面および上記被保持部の端面それぞれの外形が等しい。
【0394】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部が上記被保持部を保持している状態では、上記保持部の端面と上記被保持部の端面とが、互いの外周同士が重なるように接触している。
【0395】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記磁石および磁性体それぞれの端面の重心位置が、円筒形状の上記保持部の軸上、あるいは円筒形状の上記被保持部の軸上にある。
【0396】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記第1補助具と上記ケーブルの他端との接続強度は、上記保持部および被保持部間の保持強度よりも大きい。
【0397】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記磁石および上記磁性体の少なくとも一方の端面および側面が生体適合性のコーティング材あるいはカバー材で覆われており、上記コーティング材あるいはカバー材の厚みは、側面よりも端面の方が小さい。
【0398】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記管状器具の体外側の開口と体内側の開口との間に、管孔を可動的に塞ぐ可動部材が設けられ、上記第1補助具は、上記被保持部の端面から第1距離までは外形が変わらず、上記可動部材の付け根から上記体外側の開口までの距離を第2距離とするとき、第1距離>第2距離×(2/3)である。
【0399】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部および被保持部それぞれの表面の少なくとも一部が、420nm〜570nmの波長をもつ可視光に対応する色をしている。
【0400】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部および被保持部それぞれの表面の少なくとも一部が、蓄光材料もしくは反射材料で形成されている。
【0401】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部は、互いの間隔が可変である複数の保持ワイヤを備えており、上記複数の保持ワイヤは、内部に上記被保持部を保持するための保持空間を形成している。
【0402】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、一方の端部が体内に導入され、該端部が上記撮像部に接合された支持管を備える。
【0403】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記支持管に、上記ケーブルを留めるケーブル留め具が設けられ、上記ケーブル留め具の留め強度は、上記支持管および撮像部間の接合強度よりも大きい。
【0404】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記支持管には、上記一方の端部から他方の端に至るスリットが形成されている。
【0405】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、術者によって設定された、体内における上記支持管の長さ、上記支持管の回転方向、および体表面に対する上記支持管の傾きを保持した状態で上記支持管を直接または間接的に体に固定する固定具を備えている。
【0406】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記撮像部で発生した熱が伝わる上記支持管を冷却する冷却システムを備える。
【0407】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記支持管と上記撮像部とが、上記撮像部に設けられた接合部にて接合され、上記撮像部に含まれる発熱部材からの熱を上記接合部に伝える導熱体を備える。
【0408】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記支持管と上記撮像部とが、上記撮像部に設けられた接合部にて接合され、凹形状である上記接合部は、その底部に伝熱性を有する伝熱性凸部を有し、上記撮像部および上記支持管の接合時に、上記支持管の内周面と上記伝熱性凸部とが接触する。
【0409】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記ケーブルの他端には凹型のケーブルコネクタが設けられている。
【0410】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記制御システムに接続する別のケーブルを備え、撮像部に接続する上記ケーブルと、制御システムに接続する上記別のケーブルとが、中間ケーブルを介して接続されている。
【0411】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記支持管のスリットのエッジに突起をなす部分が含まれ、この突起をなす部分に対応するスリットの一部は、その幅が上記ケーブルの径よりも小さくなっている。
【0412】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部の端面および上記被保持部の端面は円形状である。
【0413】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記磁石の端面の外径と上記磁性体の端面の外径との差が、上記磁石の端面の外径に対して30パーセント以内である。
【0414】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部に磁石が含まれ、上記被保持部に、磁石ではない磁性体が含まれる。
【0415】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記第1補助具と上記ケーブルの他端との接続強度は、4Nから10Nの範囲である。
【0416】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記保持部および被保持部間の保持強度が、0.5Nから4Nの範囲である。
【0417】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記ケーブル留め具の留め強度は、5Nから50Nの範囲である。
【0418】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記第1補助具は上記ケーブルの他端を保護するキャップ部を含み、該キャップ部とキャップ部上に設けられた上記被保持部との長さの和が、32mmから50mmの範囲である。
【0419】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記ケーブルの他端に設けられたコネクタに第1部分と第1部分よりも先端側にあって第1部分よりも細い第2部分とが含まれ、上記コネクタの第2部分に上記第1補助具が嵌められたときに、上記第1補助具の端面の外周が上記コネクタの第1部分の外周に一致し、上記第1補助具の長さと、上記コネクタの第1部分の長さとの和が32mm以上である。
【0420】
本体内監視カメラシステムの次なる構成では、上記第1補助具の長さと、上記コネクタの第1部分の長さとの和が、上記第1距離であり、上記第2距離×(2/3)よりも大きい。
【0421】
本補助具セットは、体内に配置されて体内を監視する撮像部と、体外に設けられ、少なくとも表示装置を含む制御システムと、一端が上記撮像部に接続されたケーブルとを備える体内監視カメラシステムに用いられる補助具セットであって、上記ケーブルの他端に接続される第1補助具と、上記第1補助具に設けられた被保持部を保持する保持部および該保持部に接続する棒状部を含み、上記被保持部を、上記保持部に保持させた状態で、一端が体内に導入された管状器具の内部を通して体内から体外に引き出すための第2補助具とを備えることを特徴とする。
【0422】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。