(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハンドオーバ実行部は、前記第1伝送路から前記第2伝送路への切替を要求する切替要求を前記上位局に送信することなく、前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了する請求項1に記載の無線通信システム。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)において規定されるLong Term Evolution(LTE)では、移動局(UE)が、無線基地局(eNB)#1からeNB#2にハンドオーバする場合、当該eNB間に設けられた基地局間伝送路(X2)を用いて、コアネットワーク(具体的には、Serving Gateway(S-GW))からeNB#1に送信された当該UE宛てのデータを、eNB#1からeNB#2に中継する基地局間ハンドオーバ(X2-HO)が規定されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
図1は、このような従来の基地局間ハンドオーバにおける通信シーケンスを示す。また、
図2(a)及び(b)は、基地局間ハンドオーバ前後におけるUE向けのデータ転送経路を示す。
【0004】
図1に示すように、eNB#1は、UEから受信した無線環境の測定結果(RRC: MEASUREMENT REPORT)に基づいて、X2-AP: HANDOVER REQUESTをeNB#2に送信(S10)し、eNB#2へのハンドオーバが実行される(S20〜S60)。このような基地局間ハンドオーバが完了すると、当該UE宛てのデータは、S-GW、eNB#1、eNB#2を経由してUEに送信される。
【0005】
その後、eNB#2は、Mobility Management Entity(MME)に対して、eNB#1とS-GWとの間の中継伝送路(S1)の切替を要求するS1-AP: PATH SWITCH REQUESTを送信する(S70)。S1-AP: PATH SWITCH REQUESTを受信したMMEは、S1-AP: PATH SWITCH REQUEST ACKNOWLEDGEをeNB#2に送信(S80)し、当該UE宛てのデータの転送先のハイウェイ(HWY)、つまり、eNB〜S-GW間伝送路をeNB#1からeNB#2に切り替える制御を実行する。この結果、
図2(b)に示すように、eNB#2に接続されたHWYを経由してUEにデータが転送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の基地局間ハンドオーバ(X2-HO)には、次のような問題があった。すなわち、上述したように、基地局間伝送路(X2)は、基本的にはハンドオーバの実行中のみ用いられるものであり、X2を長時間に渡って継続的にデータ転送に用いるようなことを考慮した装置仕様となっていない。
【0008】
また、X2-HOでは、必ずeNBとMMEとの間において、S1-AP: PATH SWITCH REQUEST/S1-AP: PATH SWITCH REQUEST ACKNOWLEDGEが送受信され、eNB〜S-GW間のハイウェイの切替制御が複雑なため、MMEを含むコアネットワークの処理負荷が大きくなる問題がある。特に、今後、3G(W-CDMA)からLTEへの移行が進むと、MME配下のeNB(LTEセル)の数が急激に増大するため、コアネットワークにおける処理負荷の増大が深刻な問題になる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、コアネットワークにおける処理負荷を低減しつつ、基地局間ハンドオーバを実現し得る無線通信システム、無線基地局及び通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、第1伝送路を介して上位局と接続されている第1無線基地局と、第2伝送路を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して前記第1無線基地局と接続されている第2無線基地局とを含む無線通信システムであって、前記第1無線基地局は、移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局への前記基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信するハンドオーバ要求部を備え、前記第2無線基地局は、
前記第1無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信部と、前記ハンドオーバ要求受信部が前記ハンドオーバ要求を受信した場合、前記第1伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了するハンドオーバ実行部とを備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴は、中継伝送路を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して他の無線基地局と接続されている無線基地局であって、前記他の無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信部と、前記ハンドオーバ要求受信部が前記ハンドオーバ要求を受信した場合、前記上位局と他の無線基地局との中継伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記移動局の前記他の無線基地局から前記無線基地局へのハンドオーバを完了するハンドオーバ実行部とを備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、第1伝送路を介して上位局と接続されている第1無線基地局と、第2伝送路を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して前記第1無線基地局と接続されている第2無線基地局とを用いた通信方法であって、前記第1無線基地局が、移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局への前記基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了するステップとを含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特徴によれば、コアネットワークにおける処理負荷を低減しつつ、基地局間ハンドオーバを実現し得る無線通信システム、無線基地局及び通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0016】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
(1)移動通信システムの全体概略構成
図3は、本実施形態に係る移動通信システム10の全体概略構成図である。
図3に示すように、移動通信システム10は、Mobile Management Entity 20(以下、MME20)、Serving Gateway 30(以下、S-GW30)、UE50、無線基地局100(以下、eNB100)及び無線基地局200(以下、eNB200)を含む。移動通信システム10は、3GPPにおいて規定されるLong Term Evolution(LTE)に従った無線通信を実行することができ、MME20及びS-GW30は、コアネットワーク(Evolved Packet Core(EPC))の一部を構成する。
【0018】
MME20は、eNB100及びeNB200を管理し、UE50のモビリティ制御や、UE50とeNB100, 200との間に設定されるベアラの制御などを実行する。S-GW30は、eNB100, 200を経由してUE50とパケットデータを送受信するパケット交換機である。
【0019】
UE50は、LTEに従った無線通信を実行することができる。UE50は、アタッチしている無線基地局に対して無線環境の測定結果(MEASUREMENT REPORT)を送信し、無線基地局からの要求に基づいて他の無線基地局へのハンドオーバを実行する。
【0020】
eNB100は、中継伝送路(第1伝送路)を介してMME20(上位局)と接続されている。なお、当該中継伝送路(インタフェース)は、LTEにおいて“S1”と規定されている。本実施形態において、eNB100は第1無線基地局を構成する。
【0021】
eNB200は、中継伝送路(第2伝送路)を介してMME20と接続されているとともに、基地局間伝送路を介してeNB100と接続されている。本実施形態において、eNB200は第2無線基地局を構成する。なお、基地局間伝送路(インタフェース)は、LTEにおいて“X2”と規定されている。
【0022】
以下、MME20とeNB100またはeNB200との間の中継伝送路を適宜ハイウェイと呼ぶ。また、基地局間伝送路は、ルータなどの中継装置を経由することによって構成される。
【0023】
(2)移動通信システムの機能ブロック構成
次に、移動通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、eNB100及びeNB200の機能ブロック構成について説明する。
図4は、eNB100の機能ブロック構成図であり、
図5は、eNB200の機能ブロック構成図である。なお、
図4及び
図5では、本発明に関連する機能ブロックのみを図示していることに留意されたい。
【0024】
(2.1)eNB100
図4に示すように、eNB100は、測定結果取得部110、ハンドオーバ要求部120及びハンドオーバ処理部130を備える
測定結果取得部110は、eNB100にアタッチしているUE50の位置における無線環境の測定結果であるMEASUREMENT REPORTを取得する。具体的には、測定結果取得部110は、UE50から送信された無線信号に含まれるMEASUREMENT REPORTを直接受信する。
【0025】
ハンドオーバ要求部120は、UE50のeNB100からeNB200への基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信する。
【0026】
具体的には、ハンドオーバ要求部120は、測定結果取得部110が取得したMEASUREMENT REPORTの内容に基づいて、UE50をeNB100からeNB200にハンドオーバさせるか否かを決定する。ハンドオーバ要求部120は、当該ハンドオーバの実行を決定した場合、X2-AP: HANDOVER REQUESTをeNB200に送信する。
【0027】
ハンドオーバ要求部120は、UE50のeNB100からeNB200への基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを実行する際に、S-GW30とeNB100とのハイウェイ(S1)を切り替えることなくUE50のeNB100からeNB200へのハンドオーバを完了させる場合、X2-AP: HANDOVER REQUESTに当該ハイウェイの切替を実行せずにハンドオーバを完了することを示す識別情報(ここでは、NO HWY CHANGE)を含めることができる。
【0028】
ハンドオーバ処理部130は、eNB200から受信したハンドオーバ要求に対する肯定応答、具体的には、X2-AP: HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEに基づいて、UE50の制御主体がeNB100からeNB200に移管され、UE50のeNB100からeNB200への基地局間ハンドオーバに伴う処理を実行する。具体的には、ハンドオーバ処理部130は、UE50に対してRRC: RRC CONNECTION RECONFIGURATIONを送信する。また、ハンドオーバ処理部130は、eNB200に対して、eNB100がUE50との間で送受信したデータの送受信状態を示す情報であるX2-AP: SN STATUS TRANSFERを送信する。
【0029】
(2.2)eNB200
図5に示すように、eNB200は、ハンドオーバ要求受信部210及びハンドオーバ実行部220を備える。
【0030】
ハンドオーバ要求受信部210は、eNB100からハンドオーバ要求を受信する。具体的には、ハンドオーバ要求受信部210は、eNB100から基地局間伝送路を経由して受信したX2-AP: HANDOVER REQUESTを受信する。
【0031】
ハンドオーバ実行部220は、ハンドオーバ要求受信部210がハンドオーバ要求を受信した場合、MME20とeNB100との間のハイウェイ(第1伝送路)及び基地局間伝送路を経由したUE50との通信路を用いて基地局間ハンドオーバを実行する。具体的には、ハンドオーバ実行部220は、受信したハンドオーバ要求に対する肯定応答(X2-AP: HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGE)をeNB100に送信する。また、ハンドオーバ実行部220は、eNB100から受信したX2-AP: SN STATUS TRANSFER、つまり、eNB100がUE50との間で送受信したデータの送受信状態を示す情報を受信したことに基づいて、eNB100から転送されるUE50向けのデータのうち、eNB200からUE50との間でデータを送受信すべき位置を特定する。さらに、ハンドオーバ実行部220は、UE50とRACH Preambleの送受信を実行する。
【0032】
ハンドオーバ実行部220は、受信したX2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEが含まれている場合、上述した以外の処理を特に実行することなく、つまり、MME20とeNB100との間のハイウェイ及び基地局間伝送路を経由したUE50との通信路を維持した状態においてUE50のeNB100からeNB200へのハンドオーバを完了し、eNB100に対して転送に必要な設定情報以外のUE50用のリソースの解放を要求するX2-AP: CONTEXT RELEASE(NO HWY CHANGE)を送信する。具体的には、ハンドオーバ実行部220は、MME20とeNB100とのハイウェイ(第1伝送路)から、MME20とeNB200とのハイウェイ(第2伝送路)への切替を実行することなく、当該ハンドオーバを完了する。換言すれば、ハンドオーバ実行部220は、eNB100とeNB200との基地局間伝送路(X2)をS-GW30とUE50との通信路として利用した状態のまま、当該ハンドオーバを完了する。
【0033】
より具体的には、ハンドオーバ実行部220は、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイへの切替を要求する切替要求(S1-AP: PATH SWITCH REQUEST)をMME20に送信することなく、当該ハンドオーバを完了する。
【0034】
なお、ハンドオーバ実行部220は、上述したような所定条件、すなわち、本実施形態では、受信したX2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEが含まれている場合が満たされた場合、基地局間ハンドオーバを実行し、UE50のeNB100からeNB200へのハンドオーバを完了する。勿論、ハンドオーバ実行部220は、X2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEが含まれている場合に限らず、例えば、eNB200が保持する周辺基地局の情報であるNeighbor Relation Table(NRT)の内容に基づいて、eNB100が、eNB100とeNB200との基地局間伝送路(X2)をS-GW30とUE50との通信路として利用した状態のまま、当該ハンドオーバを完了してよいことが示されている場合、当該所定の条件が満たされるとして、MME20とeNB100との間のハイウェイから、MME20とeNB200との間のハイウェイへの切替を要求する切替要求(S1-AP: PATH SWITCH REQUEST)をMME20に送信することなく、当該ハンドオーバを完了してもよい。
【0035】
(3)移動通信システム10の動作
次に、移動通信システム10の動作について説明する。具体的には、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイを切り替えることなくUE50がeNB100からeNB200にハンドオーバする場合の通信シーケンスについて説明する。
【0036】
図6は、MME20とeNB100とのハイウェイを切り替えることなく、UE50がeNB100からeNB200にハンドオーバする(
図1の点線矢印参照)場合の通信シーケンスを示す。
図6に示すように、eNB100は、UE50から受信した無線環境の測定結果(RRC: MEASUREMENT REPORT)に基づいて、X2-AP: HANDOVER REQUESTをeNB200に送信する(S110)。ここでは、eNB100は、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイへの切替を実行することなく、UE50のeNB200への基地局間ハンドオーバを実行することを選択したものとする。この場合、eNB100は、上述したように当該ハイウェイの切替を実行せずにハンドオーバを完了することを示すNO HWY CHANGEを含むX2-AP: HANDOVER REQUESTをeNB200に送信する。
【0037】
eNB200は、X2-AP: HANDOVER REQUESTに対して、肯定応答であるX2-AP: HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGE(NO HWY CHANGE)をeNB100に送信する(S120)。この応答によって、当該ハイウェイの切替を実行せずにハンドオーバが開始される。
【0038】
X2-AP: HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGE(NO HWY CHANGE)を受信したeNB100は、UE50に対してRRC: RRC CONNECTION RECONFIGURATIONを送信する(S130)。また、eNB100は、eNB200に対して、eNB100がUE50との間で送受信したデータの送受信状態を示す情報であるX2-AP: SN STATUS TRANSFERを送信する(S140)。さらに、eNB200は、UE50とRACH Preambleの送受信を実行する(S150)。
【0039】
UE50は、ステップS130においてeNB100から受信したRRC: RRC CONNECTION RECONFIGURATIONに対応するRRC: RRC CONNECTION RECONFIGURATION COMPLETEをeNB200に送信する(S160)。
【0040】
eNB200は、RRC: RRC CONNECTION RECONFIGURATION COMPLETEをUE50から受信したことによってUE50のeNB100からeNB200へのハンドオーバに関する処理を全て完了し、eNB100に対してUE50用としてハンドオーバ開始前に設定されていた転送に必要な設定情報以外のリソースの解放を要求するX2-AP: CONTEXT RELEASE(NO HWY CHANGE)を送信する(S170)。一方、eNB200は、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイへの切替を要求する切替要求(S1-AP: PATH SWITCH REQUEST)をMME20に送信しない。つまり、eNB100及びeNB200から、MME20には何らハンドオーバに関する信号は送信されない。
【0041】
ここで、
図7は、ステップS170の処理が完了した後におけるS-GW30〜UE50の通信路の経路(点線)を示している。
図7に示すように、UE50のeNB200へのハンドオーバ完了後においても、MME20とeNB100とのハイウェイは変更されず、UE50宛てのデータは、eNB100とeNB200との基地局間伝送路(X2)を経由して、eNB200からUE50に転送される。
【0042】
また、上述した動作例では、
図3に示したように、eNB100が形成するセルと、eNB200が形成するセルとが殆どオーバーレイしていない場合を例として示していたが、eNB100が形成するセルと、eNB200が形成するセルとは、異なる周波数帯を用いて地理的にオーバーレイされていてもよい。このような何れのセル構成においても、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイへの切替を要求する切替要求(S1-AP: PATH SWITCH REQUEST)をMME20に送信せずに、UE50のハンドオーバを実行することができる。
【0043】
また、上述したように、基地局間伝送路は、ルータなどの中継装置を経由することによって構成されるが、このような基地局間伝送路とは別に、ルータなどの中継装置を経由しないeNB100とeNB200とを直接接続するようなeNB100〜eNB200間のデータ転送用伝送路を設けておき、基地局間伝送路に代えて当該データ転送用伝送路を用いるようにしてもよい。このようなデータ転送用伝送路は、特に、eNB100とeNB200とが同一局舎内など、互いに接近した場所に設定されている場合に好適に用い得る。
【0044】
(4)作用・効果
移動通信システム10によれば、基地局間伝送路(X2)を利用した基地局間ハンドオーバが実行され、また、MME20とeNB100とのハイウェイから、MME20とeNB200とのハイウェイへの切替を要求する切替要求(S1-AP: PATH SWITCH REQUEST)をMME20に送信することなく、当該ハンドオーバが完了する。つまり、上述したように、eNB100及びeNB200から、MME20には何らハンドオーバに関する信号は送信されない。
【0045】
このため、基地局間ハンドオーバが可能な場合には、コアネットワークに対して何ら信号が送信されないため、コアネットワークを構成するMME20などにおける処理負荷を低減できる。
【0046】
また、本実施形態では、X2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEが含まれている場合、ハイウェイの切替を実行することなく、UE50のeNB100からeNB200へのハンドオーバが完了する。このため、eNB100が送信する、X2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEを含めるか否かといった簡易な動作によって、ハンドオーバに係る動作を適宜選択することができる。
【0047】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、eNB100及びeNB200は、単一のMMEによって管理されていたが、eNB100及びeNB200は、複数のMMEによって管理されるS1-Flexと呼ばれる形態が採られていても構わない。
【0049】
また、上述したように、MME20とeNB100とのハイウェイ(第1伝送路)から、MME20とeNB200とのハイウェイ(第2伝送路)への切替を実行することなく、当該ハンドオーバを完了するか否かは、X2-AP: HANDOVER REQUESTに含められる識別情報(NO HWY CHANGE)に限らず、NRTを利用する形態でも構わない。
【0050】
また、本発明は、以下のように表現されてもよい。本発明の第1の特徴は、ハイウェイ(第1伝送路)を介してMME20(上位局)と接続されているeNB100(第1無線基地局)と、ハイウェイ(第2伝送路)を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して前記第1無線基地局と接続されているeNB200(第2無線基地局)とを含む移動通信システム10であって、前記第1無線基地局は、UE50(移動局)の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局への前記基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを要求するX2-AP: HANDOVER REQUEST(ハンドオーバ要求)を送信するハンドオーバ要求部120を備え、前記第2無線基地局は、前記第1無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信部210と、前記ハンドオーバ要求受信部が前記ハンドオーバ要求を受信した場合、前記第1伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記基地局間ハンドオーバを実行し、前記通信路を維持した状態において前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了するハンドオーバ実行部220とを備えることを要旨とする。
【0051】
本発明の第1の特徴において、前記ハンドオーバ実行部は、前記第1伝送路から前記第2伝送路への切替を実行することなく、前記前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了してもよい。
【0052】
本発明の第1の特徴において、前記ハンドオーバ実行部は、前記第1伝送路から前記第2伝送路への切替を要求するS1-AP: PATH SWITCH REQUEST(切替要求)を前記上位局に送信することなく、前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了してもよい。
【0053】
本発明の第1の特徴において、前記ハンドオーバ実行部は、所定条件(例えば、X2-AP: HANDOVER REQUESTにNO HWY CHANGEが含まれる場合)が満たされた場合、前記基地局間ハンドオーバを実行し、前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了してもよい。
【0054】
本発明の第2の特徴は、中継伝送路を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して他の無線基地局と接続されているeNB200(無線基地局)であって、前記他の無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信部と、前記ハンドオーバ要求受信部が前記ハンドオーバ要求を受信した場合、前記上位局と他の無線基地局との中継伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記基地局間ハンドオーバを実行し、前記通信路を維持した状態において前記移動局の前記他の無線基地局から前記無線基地局へのハンドオーバを完了するハンドオーバ実行部とを備えることを要旨とする。
【0055】
本発明の第3の特徴は、第1伝送路を介して上位局と接続されている第1無線基地局と、第2伝送路を介して前記上位局と接続されているとともに、基地局間伝送路を介して前記第1無線基地局と接続されている第2無線基地局とを用いた通信方法であって、前記第1無線基地局が、移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局への前記基地局間伝送路を経由した基地局間ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1無線基地局から前記ハンドオーバ要求を受信するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1伝送路及び前記基地局間伝送路を経由した前記移動局との通信路を用いて前記基地局間ハンドオーバを実行し、前記通信路を維持した状態において前記移動局の前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へのハンドオーバを完了するステップとを含むことを要旨とする。
【0056】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。