特許第6027423号(P6027423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027423
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】筒内圧センサ付き燃料噴射弁
(51)【国際特許分類】
   G01L 23/22 20060101AFI20161107BHJP
   F02D 35/00 20060101ALI20161107BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20161107BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G01L23/22
   F02D35/00 368Z
   F02M51/06 M
   F02M61/16 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-272019(P2012-272019)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-119260(P2014-119260A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 岳
(72)【発明者】
【氏名】福田 純一
(72)【発明者】
【氏名】金子 惠洋
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/115036(WO,A1)
【文献】 実開平03−074337(JP,U)
【文献】 特開2012−237220(JP,A)
【文献】 特開2008−249334(JP,A)
【文献】 特開昭63−215086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
G01L 23/22
F02M 51/06
F02M 61/16
F02D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に対して燃料を直接噴射する燃料噴射弁の端部に燃焼室内の筒内圧を検出するセンサを有した筒内圧センサ付き燃料噴射弁において、
前記燃焼室内に配置され、前記燃料の噴射状態を切り換える弁体を内部に有したバルブハウジングと、
前記バルブハウジングの先端に装着されるセンサと、
前記筒内圧に基づいた信号を外部へ出力する信号端子と前記センサとを接続する信号伝達部と、
を備え、
前記信号伝達部は、前記信号端子に接続され、該信号端子側に向かって開口した貫通孔を内部に有する接続部を備え、前記貫通孔には該接続部と前記信号端子とを接続する半田が設けられると共に、前記信号端子に臨む一端部とは反対側となる他端部に外部と連通する連通孔が形成されることを特徴とする筒内圧センサ付き燃料噴射弁。
【請求項2】
請求項1記載の燃料噴射弁において、
前記接続部と前記信号端子との間には間隙が設けられ、溶融した前記半田が内部に流入することを特徴とする筒内圧センサ付き燃料噴射弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料噴射弁において、
前記接続部は、前記信号端子を保持する端子保持部に嵌合される嵌合部を有し、該端子保持部には、前記信号端子側への軸方向に沿った変位量を規制する段付部が設けられることを特徴とする筒内圧センサ付き燃料噴射弁。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料噴射弁において、
前記信号伝達部は、前記センサに接続される第1信号伝達部材と、
導電体を内部に有し、前記第1信号伝達部材に接続されると共に前記信号端子に接続される第2信号伝達部材と、
を備え、
前記接続部が、前記第2信号伝達部材の端部に設けられると共に、前記端部には前記導電体が外部に露出して設けられることを特徴とする筒内圧センサ付き燃料噴射弁。
【請求項5】
請求項記載の燃料噴射弁において、
前記第2信号伝達部材は、前記バルブハウジングに連結され通電作用下に励磁するコイルを有し、前記コイルの励磁作用下に前記弁体を変位させる駆動力を発生させるソレノイド部の内部に設けられることを特徴とする筒内圧センサ付き燃料噴射弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関における燃焼室に直接噴射する直噴式の内燃機関に用いられ、前記燃焼室内の筒内圧を検出可能なセンサを有した筒内圧センサ付き燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関における燃焼室の筒内圧を検出する目的で、燃料噴射弁の先端に内圧センサを装着したものが知られている。この内圧センサは、燃料噴射弁の先端と内燃機関を構成するシリンダヘッドの取付孔との間に配置され、該内圧センサには、検出した筒内圧を出力信号として外部へ伝達するためにリード線が接続されている。そして、このリード線が、例えば、電子制御ユニットに接続され、筒内圧が出力信号として前記電子制御ユニットに出力されることにより前記筒内圧に基づいた制御等が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−53483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した燃料噴射弁に装着される内圧センサでは、該内圧センサと電子制御ユニットとを接続しているリード線が燃料噴射弁の外部に露出しているため、例えば、前記内圧センサを燃料噴射弁と共にシリンダヘッドへ組み付ける際や組み付け状態において、前記リード線に負荷がかかることで断線してしまう恐れがあり、該断線によって筒内圧を検出できないことが懸念される。また、内圧センサに対してリード線を電気的に接続し、且つ、そのリード線を電子制御ユニットへ接続された出力端子等に対して接続するという接続作業が煩雑である。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、燃焼室の筒内圧を検出可能なセンサと信号端子とを接続する信号伝達部を確実且つ安定的に接続することが可能な筒内圧センサ付き燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、内燃機関の燃焼室に対して燃料を直接噴射する燃料噴射弁の端部に燃焼室内の筒内圧を検出するセンサを有した筒内圧センサ付き燃料噴射弁において、
前記燃焼室内に配置され、前記燃料の噴射状態を切り換える弁体を内部に有したバルブハウジングと、
前記バルブハウジングの先端に装着されるセンサと、
前記筒内圧に基づいた信号を外部へ出力する信号端子と前記センサとを接続する信号伝達部と、
を備え、
前記信号伝達部は、前記信号端子に接続され、該信号端子側に向かって開口した貫通孔を内部に有する接続部を備え、前記貫通孔には該接続部と前記信号端子とを接続する半田が設けられると共に、前記信号端子に臨む一端部とは反対側となる他端部に外部と連通する連通孔が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、信号端子に接続される接続部の内部に貫通孔を設け、その内部に設けられた半田によって電気的な接続を行うことで、前記接続部を含む信号伝達部と信号端子とを断線させることなく確実に接続できると共に、該貫通孔によって半田を所定位置、所定量に管理できるため、常に安定した接続を実現することが可能となる。
【0008】
また、接続部と信号端子との間に間隙を設け、溶融した半田を内部に流入させることにより、前記間隙内に満たされた半田を介して接続部と信号端子とをより一層確実且つ安定的に接続できる。
【0010】
さらにまた、接続部は、信号端子を保持する端子保持部に嵌合される嵌合部を有し、該端子保持部には、前記信号端子側への軸方向に沿った変位量を規制する段付部を設けることにより、前記信号端子に対する接続部の位置を常に高精度に位置決めして接続することが可能となるため、安定的な接続を実現できる。
【0011】
またさらに、信号伝達部は、センサに接続される第1信号伝達部材と、導電体を内部に有し、前記第1信号伝達部材に接続されると共に前記信号端子に接続される第2信号伝達部材とを備え、前記接続部を、前記第2信号伝達部材の端部に設けると共に、前記端部に前記導電体を外部に露出させて設けるとよい。これにより、接続部の端部に露出した導電体と信号端子とを接続することで、第2信号伝達部材と前記信号端子とを容易且つ確実に接続できる。
【0012】
また、第2信号伝達部材は、バルブハウジングに連結され通電作用下に励磁するコイルを有し、前記コイルの励磁作用下に前記弁体を変位させる駆動力を発生させるソレノイド部の内部に設けることにより、前記第2信号伝達部材が直接外部に露出することがなく、断線等の発生が回避されると共に水分の付着等も回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、先端にセンサを有した燃料噴射弁において、筒内圧に基づいた信号を外部へ出力する信号端子と前記センサとを接続する信号伝達部に接続部を設け、この接続部の内部に、該信号端子側に向かって開口した貫通孔を形成し、該貫通孔に半田を設けることにより、前記半田を溶融させることによって前記接続部を含む信号伝達部と信号端子とを確実に接続できると共に、前記貫通孔によって半田が常に所定位置、所定量となるように管理できるため、常に安定した接続を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る筒内圧センサ付き燃料噴射弁の一部断面全体正面図である。
図2図1の筒内圧センサ付き燃料噴射弁における第2信号伝達部材近傍を示す拡大断面図である。
図3図2の第2信号伝達部材における第2接続部近傍を示す拡大断面図である。
図4図3の第2接続部が信号端子に対して半田で接続される前の状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る筒内圧センサ付き燃料噴射弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る筒内圧センサ付き燃料噴射弁を示す。
【0017】
この筒内圧センサ付き燃料噴射弁10(以下、単に燃料噴射弁10という)は、図1に示されるように、ハウジング12と、該ハウジング12の先端に設けられるソレノイド部14と、前記ソレノイド部14の先端に設けられる燃料噴射部16と、前記ハウジング12の基端に設けられ燃料の供給される燃料供給部18と、前記燃料噴射部16の先端に装着されるセンサ20と、図示しない電子制御ユニット(ECU)に接続された信号端子22と前記センサ20とを電気的に接続して出力信号を伝達する信号伝達部24とを含む。
【0018】
なお、以下、燃料噴射弁10における燃料供給部18側を基端側(矢印A方向)、燃料噴射部16側を先端側(矢印B方向)として説明する。
【0019】
ハウジング12は、本体部26と、該本体部26の基端から側方に突出したカプラ28とを有し、前記本体部26の基端に燃料供給部18が設けられる。燃料供給部18は、例えば、内部に燃料の供給される供給通路(図示せず)を有し、図示しない燃料配管を通じて供給された燃料を前記供給通路から燃料噴射部16側へと供給する。また、カプラ28には、図示しない電子制御ユニットに接続されたコネクタ(図示せず)が着脱自在に装着される。
【0020】
ソレノイド部14は、図1及び図2に示されるように、円筒状のコイルハウジング30と、前記コイルハウジング30の内部に収納されるボビン32と、前記ボビン32に巻回されるコイル34と、前記コイル34の励磁作用下に変位する可動コア(図示せず)とを有し、前記コイルハウジング30の基端がハウジング12の先端に対して連結される。
【0021】
ボビン32の基端側には端子支持部36が形成され、一対の給電端子38と信号端子22の先端がそれぞれ保持される。これにより、給電端子38は、端子支持部36を介してコイル34と電気的に接続される。一方、給電端子38及び信号端子22の基端側は、カプラ28の内部において内壁面から突出し、その一部が外部に露出している。
【0022】
そして、図示しないコネクタがカプラ28に接続されることで、各給電端子38及び信号端子22と電子制御ユニットとが接続され、該電子制御ユニットから前記給電端子38に通電されることによりコイル34が励磁して磁力が生じる。これにより、コイル34の励磁作用下に可動コアがボビン32の内部で変位し、燃料噴射部16に設けられた弁体(図示せず)を吸引して開弁させる。
【0023】
燃料噴射部16は、ソレノイド部14の先端に連結されるバルブハウジング40と、該バルブハウジング40の先端に内蔵された弁体(図示せず)とを備え、前記バルブハウジング40の内部には燃料供給部18から燃料が供給され、弁体
がソレノイド部14の励磁作用下に基端側(矢印A方向)へと移動することにより、先端から燃料が所定圧力で燃焼室内へと噴射される。
【0024】
このバルブハウジング40は、例えば、金属製材料から形成され、ソレノイド部14の先端を閉塞する第1フランジ部42と、該第1フランジ部42から先端側(矢印B方向)に向かって一直線上に延在する第1筒部44とを有し、前記第1筒部44の先端には、その外周側に円筒状のセンサ20が圧入され嵌合される。
【0025】
第1フランジ部42には、その基端面から先端面に向かってバルブハウジング40の軸方向(矢印A、B方向)に貫通したガイド孔46(図2参照)が形成され、前記ガイド孔46には、後述する第2信号伝達部材50の第1接続部74が挿入される。
【0026】
センサ20は、図1に示されるように、例えば、その内部に圧電素子(図示せず)を備え、該圧電素子に接続された接続端子(図示せず)が基端側(矢印A方向)へと延在している。また、センサ20の外周面には、後述するカバー部材56の保持部68が当接する。そして、センサ20は、例えば、その先端内周側が前記バルブハウジング40に対して全周溶接によって結合される。
【0027】
信号伝達部24は、バルブハウジング40の外周側に設けられ、センサ20に接続された第1信号伝達部材48と、前記ソレノイド部14のコイルハウジング30に収納され、前記第1信号伝達部材48と信号端子22とを接続する第2信号伝達部材50とを含む。
【0028】
第1信号伝達部材48は、例えば、樹脂製材料から円筒状に形成され、バルブハウジング40における第1筒部44の外周側に設けられる第1絶縁体52と、前記第1絶縁体52の内部に設けられ、通電可能な材料から形成された第1導電層54とを有する。そして、第1絶縁体52の外周側にはカバー部材56が装着され、該第1絶縁体52が覆われる。
【0029】
第1絶縁体52は、例えば、耐熱性樹脂等の樹脂製材料から形成され、バルブハウジング40の形状に対応し、第1筒部44の外周側を覆うように円筒状に形成された第2筒部58と、第1フランジ部42の外周側を覆うように形成された第2フランジ部60とを備える。
【0030】
この第1絶縁体52の径方向に沿った厚さ中央には、第2筒部58から第2フランジ部60まで延在するように第1導電層54が形成される。この第1導電層54は、例えば、メッキ層からなり、略一定の厚さで前記第1絶縁体52に沿って円筒状に形成され、その先端が、第1絶縁体52の先端において外部に露出し、センサ20の接続端子と半田78等によって電気的に接続される。
【0031】
一方、第1導電層54の基端は、図2に示されるように、第2フランジ部60において外縁部に向かって半径外方向に延在し、バルブハウジング40側(矢印A方向)に向かって窪んだ収納部62が形成される。この収納部62は、バルブハウジング40側となる底面に該バルブハウジング40のガイド孔46と連通した接続孔66が形成される。
【0032】
カバー部材56は、例えば、金属製材料から円筒状に形成され、バルブハウジング40及び第1絶縁体52の形状に対応して第1及び第2筒部44、58及び第1及び第2フランジ部42、60を覆うように基端側(矢印A方向)が拡径して形成される。このカバー部材56の先端には、センサ20の基端側の外周面を保持する保持部68が形成され、センサ20に装着される。
【0033】
第2信号伝達部材50は、例えば、樹脂製材料から形成され、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した第2絶縁体70と、該第2絶縁体70の内部に設けられ、通電可能な材料から形成された第2導電層72とを有する。そして、コイルハウジング30内においてコイル34の外周側に配置されると共に、樹脂製材料によって一体的にモールドされることで保持される。
【0034】
第2導電層72は、第1導電層54と同様に、例えば、メッキ層からなり、略一定の厚さで第2信号伝達部材50の軸方向(矢印A、B方向)に沿って先端から基端まで延在している。
【0035】
この第2絶縁体70の先端には、基端側に対して幅狭でピン状に形成された第1接続部74を有し、前記第1接続部74には、その外周面に沿って第2導電層72の一部が環状に露出した第1導電部76が形成される。
【0036】
そして、ソレノイド部14の先端にバルブハウジング40の第1フランジ部42が装着された際、第1接続部74が前記第1フランジ部42のガイド孔46を通じて収納部62内に突出し、例えば、前記収納部62と第1接続部74の第1導電部76とを半田78で接続することにより、第1信号伝達部材48と第2信号伝達部材50とが電気的に接続される。
【0037】
一方、第2信号伝達部材50の基端には、軸線と直交する方向(矢印C方向)に突出した第2接続部(接続部)80が形成され、その一端部に形成され信号端子22側(矢印C方向)に突出した小径部82と、他端部に形成され前記小径部82に対して拡径し、カバー部材56の内周面に当接する大径部84とを備える。すなわち、第2接続部80は、軸方向(矢印C、D方向)に沿って異なる外周径を有した段付状に形成される。
【0038】
この大径部84の端部には、小径部82側(矢印C方向)に向かって所定深さで窪んだ凹部86が形成され、第2信号伝達部材50がコイルハウジング30の内部に設けられた際、前記コイルハウジング30の内周面と第2信号伝達部材50との間に凹部86を介した第1間隙(連通孔)88が形成される。この第1間隙88は、コイルハウジング30の基端側(矢印A方向)においてハウジング12側(矢印A方向)と連通している。
【0039】
また、小径部82は、端子支持部36に形成され側方に開口した挿入孔90に圧入され、該挿入孔90の内部で信号端子22と対向すると共に、該信号端子22と小径部82の端面との間には所定間隔の第2間隙(間隙)92が形成される。この第2間隙92は、後述する第2接続部80の第1及び第2孔部94、96と連通する。この挿入孔90は、圧入される小径部82及び大径部84に対応して内周径の異なる段付状に形成される。そして、第2接続部80を構成する小径部82及び大径部84が挿入孔90に圧入された際、該挿入孔90の段付部90aに前記小径部82と前記大径部84との境界部が当接することで軸方向(矢印C方向)に沿った位置決めがなされる。また同時に、挿入孔90に圧入されることで小径部82及び大径部84の径方向への位置決めもなされる。
【0040】
一方、小径部82及び大径部84の内部には、それぞれ軸方向(矢印C、D方向)に沿って貫通した第1及び第2孔部94、96が形成され、該第1及び第2孔部94、96は、前記小径部82及び大径部84の外周径に対応して、第2孔部96が第1孔部94に対して大径で形成される。なお、小径部82及び大径部84は、例えば、断面円環状にそれぞれ形成される。
【0041】
この第2接続部80には、第2導電層72の基端が外部に露出した第2導電部98が設けられ、該第2導電部98は小径部82の端面から外周面、大径部84における外周面の一部までを覆うように円筒状に形成されると共に、該端面から第1孔部94の内部へも延在している。なお、第2導電部98は、第1孔部94の端部を覆うことはなく該第1孔部94は軸方向に開口した状態となる。すなわち、第2導電層72は、その先端及び基端に形成された第1及び第2導電部76、98のみが第2絶縁体70の外部に露出し、それ以外は前記第2絶縁体70の内部にモールドされることで絶縁されている。また、第2導電部98は、小径部82の端面を覆う部位が第2間隙92内において信号端子22と対向するように配置されている。
【0042】
そして、第2接続部80の小径部82が、端子支持部36の挿入孔90に圧入された状態で、第1及び第2孔部94、96に半田78を挿入して溶融させることで第2信号伝達部材50の第2導電部98が信号端子22に対して電気的に接続される。これにより、第1及び第2信号伝達部材48、50を介してセンサ20と信号端子22とが互いに電気的に接続された状態となる。
【0043】
なお、上述したソレノイド部14のコイルハウジング30とカバー部材56は、信号伝達部24を構成する第1及び第2信号伝達部材48、50の外周側をカバーするカバー手段として機能し、該信号伝達部24が燃料噴射弁10の外部に存在している水分等に接することで短絡してしまうことを防止する。
【0044】
本発明の実施の形態に係る燃料噴射弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、信号伝達部24を構成する第2信号伝達部材50を、信号端子22に対して接続する場合について説明する。
【0045】
先ず、第2信号伝達部材50をソレノイド部14におけるコイル34の外周側に配置し、その第2接続部80を信号端子22に臨む位置に配置する。そして、第2接続部80の小径部82を信号端子22側とし、端子支持部36の挿入孔90に圧入する。これにより、小径部82と大径部84との境界部が挿入孔90の段付部90aへと当接し、端子支持部36に対して第2信号伝達部材50の第2接続部80が軸方向(矢印C方向)及び径方向のいずれにも高精度に位置決めされた状態となる。
【0046】
そして、大径部84の端部側から第1及び第2孔部94、96に、例えば、円柱状の半田78を挿入し、該第1孔部94内に載置すると共に、その端部を第2間隙92を介して信号端子22に当接させた状態とする。
【0047】
次に、第2信号伝達部材50の外周側を覆うようにコイルハウジング30を装着した後、その外側から図示しない加熱装置(レーザー照射機)によって半田78を加熱して溶融させることで、流動した半田78が第1孔部94を満たすと同時に第2間隙92へと流入して信号端子22に接触する。そして、半田78が冷却されて固化することで、信号端子22と第2信号伝達部材50の第2導電部98とが第1孔部94及び第2間隙92に満たされた半田78を介して電気的に接続される。
【0048】
詳細には、第2間隙92に流入した半田78は、該第2間隙92の一側面側に配置された信号端子22の側面と、該第2間隙92の他側面側に配置された第2導電部98の一部とにそれぞれ接触した状態で充填されることで、前記信号端子22と前記第2導電部98とが接続されると共に、前記第2導電部98は第1孔部94の内周面にも露出しているため、該第1孔部94内の半田78によっても接続される。
【0049】
また、この際、第1及び第2孔部94、96内で半田78が溶融した際に発生したガスが、第1間隙88を通じて第2接続部80の外部へと好適に排出されるため、前記第1及び第2孔部94、96内に残存してしまうことが防止される。
【0050】
次に、ソレノイド部14を構成するコイルハウジング30が第2信号伝達部材50の外周側に装着された状態で、該コイルハウジング30の内側へ溶融した樹脂製材料を流し込むことでモールドする。これにより、第2信号伝達部材50がコイルハウジング30の内部で固定され一体的に保持される。
【0051】
そして、ソレノイド部14の先端をバルブハウジング40の第1フランジ部42へと組み付けることで、第2信号伝達部材50の第1接続部74がバルブハウジング40に組み付けられた第1信号伝達部材48の収納部62に接続され、第1及び第2信号伝達部材48、50を介してセンサ20と信号端子22とが電気的に接続される。
【0052】
このように、信号伝達部24を構成する第2信号伝達部材50を、樹脂製材料からなる第2絶縁体70と、該第2絶縁体70の内部にモールドされた第2導電層72とから形成し、前記第2絶縁体70の基端側に、信号端子22に接続される第2接続部80を設けている。そして、ソレノイド部14を構成するコイルハウジング30の内部に第2信号伝達部材50を設ける場合でも、その第2接続部80において、端子支持部36の挿入孔90へ圧入される小径部82を設けることで、該端子支持部36に対して第2接続部80を高精度に位置決めできると共に、前記小径部82の内部に半田78の載置される第1孔部94を設けることで、第2接続部80を信号端子22へと接続する際に、常に半田78を所定の位置に配置することができるため、安定した接続を実現することが可能となる。
【0053】
また、半田78は、第1孔部94の内部に挿入可能な大きさとすることで、該半田78の容量にばらつきが生じることが防止され、常に略一定量の半田78を用いて安定した接続を行うことができる。すなわち、第2接続部80において、半田78の位置、半田量を常に一定となるように管理できるため、該半田78を用いた第2信号伝達部材50と信号端子22との接続を確実且つ安定的に行うことができる。
【0054】
さらに、第2接続部80と信号端子22との間には、小径部82の軸方向(矢印C、D方向)に所定間隔となる第2間隙92が形成されているため、半田78を加熱して溶融させた際に、該半田78を前記第2間隙92に好適に流入させて前記信号端子22と前記第2接続部80の第2導電部98とを確実に接続することができる。換言すれば、信号端子22の側面に臨む第2間隙92を設けることで、該第2間隙92を設けない場合と比較して半田78による第2導電部98との接続面積を大きく確保でき、それに伴って、前記信号端子22と前記第2導電部98とをより一層確実且つ安定的に接続することが可能となる。
【0055】
さらにまた、第2接続部80の大径部84には、コイルハウジング30側となる端面に凹部86を設けることで、該コイルハウジング30の内周面との間に第1間隙88が形成され、第1及び第2孔部94、96と連通した前記第1間隙88を通じて半田78を溶融させた際に発生するガスを好適に外部へと排出することが可能となる。
【0056】
またさらに、ソレノイド部14において、第2導電層72を有した第2信号伝達部材50をコイル34の外周側に隣接して配置した場合でも、前記第2導電層72が樹脂製材料からなる第2絶縁体70によって被覆されているため、該第2導電層72とコイル34とが直接接触してしまうことがなく、前記コイル34との短絡を確実に防止することができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、第1信号伝達部材48には出力信号を伝達可能な第1導電層54を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、出力信号を伝達可能な導電体としてケーブル等を用いるようにしてもよい。
【0058】
次に、上述したように組み立てられた燃料噴射弁10の動作について簡単に説明する。
【0059】
内燃機関の運転中において、図示しない電子制御ユニットからの制御信号によって燃料噴射弁10の給電端子38からコイル34に通電がなされ、前記コイル34が励磁することで燃料噴射部16の弁体が開弁し、燃料供給部18の供給通路に供給された高圧の燃料が燃料噴射部16を介して前記内燃機関の燃焼室内へと直接噴射される。この際、センサ20は、燃焼室内の圧力(筒内圧)が付与されることで、該圧力に応じて圧電素子が電圧を発生して出力信号として出力する。この出力信号は、接続端子、第1信号伝達部材48、第2信号伝達部材50、信号端子22を介して電子制御ユニットへと出力され、例えば、燃焼室の圧力に基づいた燃焼制御等に利用される。
【0060】
なお、本発明に係る筒内圧センサ付き燃料噴射弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10…筒内圧センサ付き燃料噴射弁 12…ハウジング
14…ソレノイド部 16…燃料噴射部
18…燃料供給部 20…センサ
22…信号端子 24…信号伝達部
30…コイルハウジング 32…ボビン
36…端子支持部 40…バルブハウジング
48…第1信号伝達部材 50…第2信号伝達部材
56…カバー部材 70…第2絶縁体
72…第2導電層 74…第1接続部
76…第1導電部 80…第2接続部
82…小径部 84…大径部
86…凹部 88…第1間隙
90…挿入孔 92…第2間隙
94…第1孔部 96…第2孔部
98…第2導電部
図1
図2
図3
図4