(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0014】
本発明の一部の実施形態の態様では、
a)半導体基板の第1表面にnドーパントをドープして、基板に第1n
+層を形成するステップと、
b)基板の第2表面にpドーパントをドープして、基板にp
+層を形成するステップと、
c)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
d)第2n
+層のnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面にnドーパントをドープして、第2n
+層を形成するステップと、
e)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成し、
それによって光起電力セルを製造するステップと、
を含む、光起電力セルを製造する方法を提供する。
【0015】
本発明の別の一部の実施形態の態様では、
a)半導体基板の第2表面にpドーパントを含む膜を被着するステップと、
b)基板の第1表面および基板の縁からpドーパントを含む膜を除去するステップと、
c)nドーパントを含む膜を第1表面に被着するステップと、
d)基板の第1表面における第1n
+層および第2表面におけるp
+層を同時に形成するために、基板を加熱するステップと、
e)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
f)第2n
+層のnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面にnドーパントをドープして、第2n
+層を形成するステップと、
g)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成し、
それによって光起電力セルを製造するステップと、
を含む、光起電力セルの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の別の一部の実施形態の態様では、
a)半導体基板の第2表面にpドーパントを含む膜を被着するステップと、
b)基板の第1表面および基板の縁からpドーパントを含む膜を除去するステップと、
c)nドーパントを含む膜を第1表面に被着するステップと、
d)基板の第1表面における第1n
+層および第2表面におけるp
+層を同時に形成するために、基板を加熱するステップと、
e)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
f)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成し、
それによって光起電力セルを製造するステップと、
を含む、光起電力セルの製造方法を提供する。
【0017】
本発明の一部の実施形態の態様では、本書に記載する方法に従って製造される光起電力セルを提供する。
【0018】
本発明の一部の実施形態の態様では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、n
+層がnドーパントを含み、p
+層がpドーパントを含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、
第1表面が山と谷とを含むようにテクスチャ加工され、かつ
n
+層のnドーパントの濃度が、第1表面の山では第1表面の谷より高い、
光起電力セルを提供する。
【0019】
本発明の一部の実施形態の態様では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、n
+層がnドーパントを含み、p
+層がpドーパントを含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、
第1表面が山と谷とを含むようにテクスチャ加工され、かつ
n
+層のnドーパントの濃度が、第1表面の山では第1表面の谷より高い、
p
+層およびn
+層は互いに接触せず、かつp
+層は第2表面の縁に到達しない、
光起電力セルを提供する。
【0020】
本発明の一部の実施形態の態様では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、n
+層がnドーパントを含み、p
+層がpドーパントを含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、
p
+層およびn
+層は互いに接触せず、p
+層は第2表面の縁に到達しない、
光起電力セルを提供する。
【0021】
本発明の一部の実施形態の態様では、本書に記載する複数の光起電力セルを備えた光起電力アレイであって、複数の光起電力セルが互いに相互接続されている、光起電力アレイを提供する。
【0022】
本発明の一部の実施形態の態様では、本書に記載する光起電力アレイを備えている発電所を提供する。
【0023】
本発明の一部の実施形態の態様では、本書に記載する光起電力セルを備えている電気装置を提供する。
【0024】
本発明の一部の実施形態の態様では、本書に記載する光起電力セルを備えた電磁輻射線の検出器であって、電磁輻射線が紫外輻射線、可視輻射線、および赤外輻射線から成る群から選択される、検出器を提供する。
【0025】
本発明の一部の実施形態では、該方法は、第1n
+層を除去した後、第1表面に電気接点を形成する前に、第1表面に第2n
+層を形成するステップをさらに含む。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、第1n
+層は30オーム未満のシート抵抗を具備する。
【0027】
本発明の一部の実施形態では、第1n
+層は0.4〜2μmの範囲の深さを有する。
【0028】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層は30〜100オームの範囲のシート抵抗を具備する。
【0029】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルのn
+層は、30〜100オームの範囲のシート抵抗を具備する。
【0030】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層は0.2〜0.7μmの範囲の深さを有する。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルのn
+層は0.2〜0.7μmの範囲の深さを有する。
【0032】
本発明の一部の実施形態では、第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップは、第1表面をテクスチャ加工することを含む。
【0033】
本発明の一部の実施形態では、テクスチャ加工は第1表面に山および谷を生成し、テクスチャ加工後に第1表面に残留するnドーパントの濃度は谷より山の方が高い。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層のnドーパントの濃度は、谷より山の方が高い。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層の山のnドーパントの濃度は、第2n
+層の谷のnドーパントの濃度の少なくとも2倍である。
【0036】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルの山のnドーパントの濃度は、光起電力セルの谷のnドーパントの濃度の少なくとも2倍である。
【0037】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層の山のnドーパントの濃度は、少なくとも5×10
20原子数/cm
3である。
【0038】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルの山のnドーパントの濃度は、少なくとも5×10
20原子数/cm
3である。
【0039】
本発明の一部の実施形態では、第2n
+層の谷のnドーパントの濃度は、10
21原子数/cm
3未満である。
【0040】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルの谷のnドーパントの濃度は、10
21原子数/cm
3未満である。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、第1表面からn
+層の一部分を除去するステップが、第1表面を4μmから12μmの範囲の平均深さにエッチングすることを含む。
【0042】
本発明の一部の実施形態では、エッチングはアルカリ性溶液による。
【0043】
本発明の一部の実施形態では、第1n
+層およびp
+層は同時に形成される。
【0044】
本発明の一部の実施形態では、nドーパントをドープして第1n
+層を形成するステップ、およびpドーパントをドープしてp
+層を形成するステップは、
(i)pドーパントを含む膜を第2表面に被着すること、
(ii)nドーパントを含む膜を第1表面に被着すること、および
(iii)基板を加熱し、
それによって第1n
+層およびp
+層を同時に形成すること
によって達成される。
【0045】
本発明の一部の実施形態では、pドーパントを含む膜およびnドーパントを含む膜は各々二酸化ケイ素を含む。
【0046】
本発明の一部の実施形態では、pドーパントを含む膜は酸化ホウ素を含む。
【0047】
本発明の一部の実施形態では、nドーパントを含む膜は五酸化リンを含む。
【0048】
本発明の一部の実施形態では、nドーパントを含む膜は少なくとも20重量パーセントの五酸化リンを含む。
【0049】
本発明の一部の実施形態では、pドーパントを含む膜およびnドーパントを含む膜は互いに接触しないように被着される。
【0050】
本発明の一部の実施形態では、膜を除去するステップは、基板の第1表面を洗浄することを含む。
【0051】
本発明の一部の実施形態では、洗浄は、スピンオン法を用いて基板に溶液を施与することを含む。
【0052】
本発明の一部の実施形態では、スピンオン法は400〜4500回転/分の範囲のスピン速度を使用する。
【0053】
本発明の一部の実施形態では、洗浄のための溶液は水およびイソプロピルアルコールを含む。
【0054】
本発明の一部の実施形態では、膜を除去するステップは、基板の縁に隣接する領域から膜を除去することを含み、該領域は0.1〜1mmの範囲の幅を有する。
【0055】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルのp
+層は基板の縁に隣接する領域を被覆せず、該領域は0.1〜1mmの範囲の幅を有する。
【0056】
本発明の一部の実施形態では、該方法は、反射防止コーティングを被着することをさらに含む。
【0057】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは反射防止コーティングをさらに含む。
【0058】
本発明の一部の実施形態では、反射防止コーティングは、p
+層を形成した後、第2n
+層を形成する前に、第2表面に被着される。
【0059】
本発明の一部の実施形態では、反射防止コーティングは、第2n
+層を形成した後、第1表面に被着される。
【0060】
本発明の一部の実施形態では、半導体基板は、第1n
+層およびp
+層を形成する前にはn型半導体である。
【0061】
本発明の一部の実施形態では、半導体基板は、第1n
+層およびp
+層を形成する前にはp型半導体である。
【0062】
本発明の一部の実施形態では、半導体基板はシリコンを含む。
【0063】
本発明の一部の実施形態では、nドーパントはリンを含む。
【0064】
本発明の一部の実施形態では、pドーパントはホウ素を含む。
【0065】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは、少なくとも0.033アンペア/cm
2の短絡電流密度を具備する。
【0066】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは少なくとも75.5%の曲線因子を具備する。
【0067】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは少なくとも16.7%の効率を具備する。
【0068】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは、少なくとも4750オーム
*cm
2の固有シャント抵抗を具備し、ここで固有シャント抵抗は、150〜160cm
2の範囲の面積および45〜55cmの範囲の周長を有する光起電力セルに対し決定される。
【0069】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルは両面光起電力セルである。
【0070】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルはn
+−n−p
+構造を含む。
【0071】
本発明の一部の実施形態では、光起電力セルはn
+−p−p
+構造を含む。
【0072】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明は、その一部の実施形態では、エネルギ変換に関し、さらに詳しくは、ドープ半導体基板を含む光起電力(PV)セルおよびその製造方法に関するが、それらに限定されない。
【0080】
光エネルギを電気エネルギに変換するための効率的でしかも比較的安価な光起電力セルを追い求める中で、本発明者らは、nドーパントの不等濃度を特徴とするnドープ層を持つ光起電力セルが改善された効率を示すことを発見した。
【0081】
加えて、本発明者らは、光起電力セルを製造するための基板のドーピングが、pドーパントを含む膜およびnドーパントを含む膜を基板の両面に被着することによって実行される場合、基板の一部分からドーパントを含む膜を除去するための単純で安価な手順を2つの膜の被着の中間に導入することによって、光起電力セルの効率を高めることができることを思い付いた。したがって、pドーパントまたはnドーパントを含む膜を基板の片面に被着し、基板の反対側の面および縁を(例えば反対側の面を溶液で洗浄することによって)クリーニングし、それにより基板のその面(もし存在すれば)および縁から膜を除去し、次いでクリーニングした面に他の膜を被着する。この手順は2つの膜の間の接触を著しく低減させる。したがって、これら2つの膜によって形成されたドープ層(n
+層およびp
+層)間の重なりが低減され、光起電力セルの効率を低下させるシャントがそれによって回避される。この手順は、高コストであると共に光起電力セルの作業面積を低減させる傾向のあるレーザ分離のような従来の重なり低減方法より優れている。
【0082】
本発明者らはしたがって、他の方法論と比較して手順の数が減少し、したがって費用効率および歩留まり効率が高く、結果的に製造工程中の欠陥を低減させる、光起電力セルを製造するための新規な方法論を考案し、その実施に成功した。この新規な方法論はさらに、多くの他のPVセルに勝る性能パラメータを持つ光起電力セルをもたらす。
【0083】
本発明を実施化しながら、本発明者らは、比較的単純であり、したがって比較的安価な手順を用いて、n
+−p−p
+構造およびn
+層における不等濃度のnドーパントを持つ光起電力(PV)セルを生み出した。第1n
+層がドーピングによって形成され、次いで、残存するnドーパントが不等濃度で存在するように光起電力セルの異なる領域で様々な程度に除去される。次いで第2n
+層がドーピングによって形成され、第1n
+層の除去の可変性のため、第2n
+層全体のnドーパントの濃度は不等になる。
【0084】
特定の理論に縛られることなく、n
+層におけるnドーパントの不等濃度は、高濃度のnドーパントの利点および低濃度のnドーパントの利点の組合せをもたらすと考えられる。したがって、無作為に分布する高濃度の局所的領域の存在は、光起電力セルの直列抵抗を低減させ、それによって光起電力セルの曲線因子および効率を高めると考えられ、かつ低濃度の領域の存在は、高いドーパント濃度に特徴的な短絡電流の減少を防止することによって効率を高めると考えられる。
【0085】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0086】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明の一部の実施形態に係る、光起電力セルを製造するための例示的方法を示す。
【0087】
半導体基板1は片面をpドーパント含有膜2によって被覆される。pドーパント含有膜2は基板1の縁から除去される。基板1は次いで、基板のpドーパント含有膜2とは反対側の面を、nドーパント含有膜3で被覆される。膜からのドーパントの拡散が(例えば加熱によって)誘発され、それによって第1n
+層4およびp
+層5の同時形成が生じる。膜2および3は次いで除去される。基板1は次いでその表面をエッチング液によってテクスチャ加工され、結果的に基板の表面(テクスチャ加工に抵抗するp
+層5を除く)に山および谷がもたらされる。第1n
+層4は、テクスチャ加工された表面の山のみに残存する。基板1は次いで、裏面反射防止コーティング6によって被覆される。第2n
+層7が形成され、次いで前面反射防止コーティング8によって被覆される。裏面反射防止コーティング6は、第2n
+層7が基板1の縁でp
+層5に接触することを防止する。次いで基板の両面に電気接点9が形成されて、光起電力セルが形成される。
【0088】
図2は、本発明の一部の実施形態に係る、光起電力セルを製造するための別の例示的方法を示す。
【0089】
半導体基板1は片面をpドーパント含有膜2によって被覆される。pドーパント含有膜2は基板1の縁から除去される。基板1は次いで、基板のpドーパント含有膜2の反対側の面をnドーパント含有膜3によって被覆される。膜からのドーパントの拡散が(例えば加熱によって)誘発され、それによって第1n
+層4およびp
+層5の同時形成がもたらされる。膜2および3は次いで除去される。p
+層5は次いで、裏面反射防止コーティング6によって被覆される。基板1は次いでその表面をエッチング液によってテクスチャ加工され、結果的に基板の表面(テクスチャ加工に抵抗する裏面反射防止コーティング6を除く)に山および谷がもたらされる。第1n
+層4は、テクスチャ加工された表面の山のみに残存する。第2n
+層7が形成され、次いで前面反射防止コーティング8によって被覆される。裏面反射防止コーティング6は、第2n
+層7が基板1の縁でp
+層5と接触するのを防止する。次いで基板の両面に電気接点9が形成されて、光起電力セルが形成される。
【0090】
上述の例示的方法は、第2n
+層7の形成に由来するnドーパントが第1n
+層4から残存するnドーパントと共に存在するテクスチャ加工表面の山で、nドーパントの濃度が高くなるので、nドーパントの不等濃度を達成する。
【0091】
上述の例示的方法はまた、p
+層が洗浄工程の結果として基板の縁に達しないので、および第2n
+層が形成されるときにp
+層が裏面反射防止コーティングによって保護されるので、結果的にp
+層とn
+層との間の重なりも生じない。
【0092】
加えて、上記の方法は、2つ以上のメカニズムによって光起電力セルの効率を改善する手順を利用するので、特に有利である。したがって、テクスチャ加工は、セルの表面からの反射率によって無駄になる光の割合を低減すること、およびnドーパントの不等濃度を生じることの両方によって、光起電力セルの効率を改善する。第1n
+層の形成および除去は、nドーパントの不等濃度の形成を容易化すること、およびシャントを有害に増大させるn
+層内におけるp
+領域の形成を有利に防止することの両方によって、効率を改善する。裏面反射防止コーティングは反射率を低減すると共に、第2n
+層の形成時にp
+層を保護する。
【0093】
上述した例示的方法はまた、片面がテクスチャ加工され、反対側の面が平滑な非対称構造を形成する。特定の理論に縛られることなく、そのような構造は、輻射線がテクスチャ加工表面に入射する場合、テクスチャ加工表面が反射を低減し、かつ平滑な表面が、セルの背面に到達する長波長輻射線の内部反射を増強し、それによって発生電流に対する長波長輻射線の寄与を増大するので、有利であると考えられる。加えて、平滑なp
+面の実効表面再結合はテクスチャ加工表面のそれより低く、その結果効率の損失が低下する。
【0094】
したがって、これらの方法は過度の手順を必要とせず、実際、PVセルの製造に通常利用されるより少ない手順を含み、これらの方法に含まれる手順はどれも特に複雑ではない。その結果、該方法は比較的単純かつ安価に実行される。手順の低減された数は、欠陥形成の機会を低減し、したがってプロセス全体が効率化される。
【0095】
図3は、テクスチャ加工中のエッチングが比較的浅い場合(例えば平均して約4μm未満)、本発明の実施形態に従って作成された光起電力セルの短絡電流密度が低下することを示す。
図4は、テクスチャ加工中のエッチングが比較的深い場合(例えば平均して約12μm超)、本書に記載する方法に従って作成された光起電力セルの曲線因子が低下することを示す。
図5は、エッチングが中間深さである場合(例えば平均して約4〜12μm)、本書に記載する方法に従って作成された光起電力セルの効率(曲線因子および短絡電流の両方に相関する)が最大になることを示す。
【0096】
特定の理論に縛られることなく、浅いテクスチャ加工では、第1n
+層の充分なnドーパントが除去されないので、nドーパントの望ましい不等濃度が形成されず、比較的深いエッチングでは、第1n
+層のnドーパントが事実上全部除去されるので、nドーパントの不等濃度が形成されないと考えられる。したがって、中間平均深さは比較的深いエッチングの領域(谷)および比較的浅いエッチングの領域(山)の両方を含むので、中間平均深さのエッチングがnドーパントの不等濃度にとって最適であると考えられる。
【0097】
したがって、本発明の一部の実施形態の態様では、
a)半導体基板の第1表面にnドーパントをドープして、基板に第1n
+層を形成するステップと、
b)基板の第2表面にpドーパントをドープして、基板にp
+層を形成するステップと、
c)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
d)第2n
+層のnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面にnドーパントをドープして、第2n
+層を形成するステップと、
e)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成するステップと、
を含む、光起電力セルを製造する方法を提供する。
【0098】
例示的実施形態では、基板は比較的薄くかつ平坦であるので、基板は、本書に記載する第1および第2表面として働く2つの表面を両側に有する。
【0099】
ケイ素(シリコン)(例えばシリコンウェハ)は例示的半導体基板である。
【0100】
当業界で広く認識されている通り、「ドーピング」は半導体に不純物を導入するプロセスであり、そこでドープ半導体材料中の自由電荷キャリアの数を増大させることができ、その結果、ドープ半導体材料中の電荷キャリア密度の上昇が達成される。「pドーピング」とは、結合の弱い外側電子を半導体材料から受け入れることのできる物質(「ドーパント」)による半導体のドーピングを指す。したがって、pドーピング(「p」は正を表わす)とは、半導体に「正孔」または正の電荷を形成するアクセプタ材料またはp型ドーパントを半導体にドープするプロセスであり、nドーピング(「n」は負を表わす)とは、半導体に負の電荷を形成する電子供与性材料またはn型ドーパントを半導体にドープするプロセスである。
【0101】
本書で使用する場合、用語「ドーパント」とは、半導体基板に存在するときに、p型またはn型の導電型をもたらす任意の元素または化合物を指す。p型の導電型をもたらすドーパントは、本書では「pドーパント」と呼ばれ、典型的には電子のアクセプタである一方、n型の導電型をもたらすドーパントは、本書では「nドーパント」と呼ばれ、典型的には電子のドナーである。
【0102】
ホウ素は例示的pドーパントであり、リンは例示的nドーパントである。任意選択的に、ヒ素がnドーパントとして使用される。PVセルに使用するのに適した他のpドーパントおよびnドーパントも考えられる。
【0103】
随意の実施形態では、半導体基板は、n
+層およびp
+層を形成する上述したドーピングの前にはn型半導体である。そのような実施形態では、光起電力セルは、n
+層とp
+層との間にn層を持つn
+−n−p
+構造を有する。「n
+」とはnドーパントが比較的強くドープされた層を表わし、「p
+」とはpドーパントが比較的強くドープされた層を表わし、「n」はnドーパントが弱くドープされた層を表わす。
【0104】
代替的実施形態では、半導体基板は、n
+層およびp
+層を形成する上述したドーピング以前にはp型半導体である。そのような実施形態では、光起電力セルは、n
+層とp
+層との間にp層があるn
+−p−p
+構造を有する。「n
+」とはnドーパントが比較的強くドープされた層を表わし、「p
+」とはpドーパントが比較強くドープされた層を表わす一方、「p」とはpドーパントが弱くドープされた層を表わす。
【0105】
本書で使用する場合、語句「第1表面全体で不等になる」とは、表面の様々な領域におけるドーパントの濃度が、表面の他の(例えば隣接する)領域におけるドーパントの濃度と異なることを表わす。第1表面の任意の位置におけるnドーパントの濃度は、当業界で公知の方法によって、例えば基板の表面から材料の薄切片を採取し、その元素組成を決定することによって、求めることができる。任意選択的に、二次イオン質量分析(SIMS)を使用してnドーパント濃度を決定する。当業界で標準的な方法であるSIMSは、表面の局所的濃度を決定するのに特に適している。
【0106】
ドーパントの不等濃度については以下でさらに論じる。
【0107】
電気接点は、当業界で周知の方法に従って形成することができる。光を光起電力セルの基板に到達させるために、少なくとも1つの表面(例えば第1表面)上の接点は、表面のできるだけ多くに到達する一方、表面をできるだけ少なく遮光するように構成される。例えば、接点は任意選択的に格子状のパターンに構成することができる。
【0108】
任意選択的に、光起電力セルは単面型であり、1つの表面上の接点は、上述の通り光が基板を通過することができるように構成される一方、反対側の表面の接点はそのようなものとして構成されない。例えば、表面を電気接点で完全に被覆することができる。そのような構成は製造の容易さおよび高い効率をもたらす。
【0109】
代替的に、光起電力セルは両面型であり、両方の表面上の接点は、光が基板を通過することができ、それによって光起電力セルがセルの両面で照射から電気を生成することができるように構成される。
【0110】
一部の実施形態では、第1n
+層は0.4〜2μmの範囲の深さを有する。任意選択的に、深さは0.6〜1.2μmの範囲である。
【0111】
一部の実施形態では、第1n
+層は30オーム未満のシート抵抗を具備する。任意選択的に、シート抵抗は25オーム未満であり、任意選択的に20オーム未満であり、任意選択的に15オーム未満である。例示的実施形態では、シート抵抗は約13オームから約25オームの範囲である。
【0112】
n
+層のシート抵抗はnドーパントの濃度に逆相関することが注目される。本書に記載する第1n
+層の比較的低いシート抵抗はしたがって、光起電力セルの短絡電流および効率を低減させることのできるnドーパントの比較的高い濃度に相関する。
【0113】
したがって、例示的実施形態では、第1n
+層に取って代わる第2n
+層は、第1n
+層に対して上述した比較的低いシート抵抗より高いシート抵抗を具備する。
【0114】
一部の実施形態では、第2n
+層は、30〜100オームの範囲のシート抵抗を具備する。任意選択的に、シート抵抗は40〜65オームの範囲である。例示的実施形態では、シート抵抗は約55オームである。
【0115】
一部の実施形態では、第2n
+層は0.2〜0.7μmの範囲、任意選択的に0.3〜0.4μmの範囲の深さを有する。
【0116】
例示的実施形態では、第1n
+層の一部分を第1表面から除去するステップは、第1表面をテクスチャ加工することを含む。
【0117】
本書で使用する場合、用語「テクスチャ加工」とは、表面を粗面化することを意味する(例えば表面に山と谷を生じる)。
【0118】
本書で使用する場合、用語「山」とは表面の隣接領域より高い領域を指す一方、用語「谷」とは表面の隣接領域より低い領域を指す。
【0119】
一部の実施形態では、テクスチャ加工が第1表面に山および谷を生成し、テクスチャ加工後に第1表面に残留するnドーパントの濃度は、山の方が谷より高くなる。したがって、表面全体のドーパントの不等濃度は、これらの実施形態では、山および谷におけるドーパントの異なる濃度によって顕現する。したがって、山におけるnドーパントの濃度は、基板の表面の濃度の極大を表わす一方、谷におけるnドーパントの濃度は極小を表わす。濃度のこれらの極大および極小が不等濃度を生成する。
【0120】
一部の実施形態では、第2n
+層におけるnドーパントの濃度は、山の方が谷より高い。任意選択的に、山におけるnドーパントの濃度は、谷におけるnドーパントの濃度の少なくとも2倍である。任意選択的に、山におけるnドーパントの濃度は、谷におけるnドーパントの濃度の少なくとも3倍であり、任意選択的に少なくとも5倍であり、かつ任意選択的に少なくとも10倍である。
【0121】
一部の実施形態では、第2n
+層の山におけるnドーパントの濃度は、少なくとも5×10
20原子数/cm
3である。任意選択的に該濃度は少なくとも10
21原子数/cm
3であり、任意選択的に少なくとも2×10
21原子数/cm
3であり、任意選択的に少なくとも3×10
21原子数/cm
3であり、かつ任意選択的に少なくとも5×10
21原子数/cm
3である。
【0122】
一部の実施形態では、第2n
+層の谷におけるnドーパントの濃度は、10
21原子数/cm
3未満である。任意選択的に、該濃度は0.5×10
21原子数/cm
3未満であり、任意選択的に0.3×10
21原子数/cm
3未満であり、任意選択的に0.2×10
21原子数/cm
3未満であり、かつ任意選択的に10
20原子数/cm
3未満である。
【0123】
山におけるnドーパントの濃度が谷より高い一部の実施形態の山におけるnドーパントの「高い」濃度は、山におけるnドーパントの濃度が谷より高い別の実施形態の谷における「低い」濃度より多少低い場合があることを理解されたい。一部の実施形態では、第1n
+層の一部分を第1表面から除去するステップは、4μmから12μmの範囲の平均深さに第1表面をエッチングすることを含む。任意選択的に、深さは6μmから10μmの範囲である。
【0124】
一部の実施形態では、エッチングはアルカリ性溶液(例えば水酸化ナトリウムを含む溶液)によって達成される。
【0125】
本書に記載する方法の各々において、第1n
+層およびp
+層は、当業界で公知の方法のいずれかを介して形成される。
【0126】
一部の実施形態では、n
+層が表面全体にドーパントの不等濃度を形成することなく堆積される場合はいつでも、第1表面にnドーパントを含む膜を被着するステップは代替的に、当業界で公知の任意の方法によって達成することができる。一部の実施形態では、第1n
+層およびp
+層は(例えば加熱によって)同時に形成される。
【0127】
例示的実施形態では、第1n
+層を形成するためのnドーパントのドーピングおよびp
+層を形成するためのpドーパントのドーピングは、pドーパントを含む膜を第2表面に被着し、nドーパントを含む膜を第1表面に被着し、基板を加熱し、それにより第1n
+層およびp
+層を同時に形成することによって、達成される。
【0128】
一部の実施形態では、pドーパントを含む膜およびnドーパントを含む膜は各々二酸化ケイ素を含む。二酸化ケイ素系の膜は、ドーピング手順の後でフッ化水素酸によって選択的に除去することができる。
【0129】
一部の実施形態では、pドーパントを含む膜は酸化ホウ素を含む。
【0130】
一部の実施形態では、nドーパントを含む膜は五酸化リン(P
2O
5)を含む。任意選択的に、膜は少なくとも20重量パーセントのP
2O
5を含む。以下で実施例の節に例示する通り、第1n
+層のリンの濃度および第1n
+層のシート抵抗は、ドーピング膜におけるP
2O
5の適切な濃度を選択することによって、容易に制御することができる。
【0131】
一部の実施形態では、pドーパントおよびnドーパントを含む膜は互いに接触しないように被着され、したがって結果的にシャントは低減する。
【0132】
これは任意選択的に、pドーパントを含む膜を基板の第1表面および基板の縁から除去することによって達成される。
【0133】
pドーパントを含む膜が第1表面および/または縁に被着されない実施形態でさえも、微量の膜が不注意でそこに存在することがあることを理解されたい。そのような微量が、シャントを生じることによって、光起電力セルの性能にかなり有害になることがある。
【0134】
したがって、「膜の除去」とは、存在するかもしれないいかなる膜も除去することのできる任意の手順を指し、その膜が実際に存在することを実証する必要はないことを理解されたい。
【0135】
一部の実施形態では、膜は、第2表面の基板の縁に隣接する領域から除去される。任意選択的に、そのような領域は、0.1〜1mmの範囲の平均幅を有する。したがって、無膜帯(例えば0.1〜1mm幅の帯)が基板の第2表面の周囲に形成される。そのような無膜帯はpドーパントとnドーパントとが重なり合う可能性をさらに低下させ、それによってシャントを低減させる。
【0136】
任意選択的に、膜の除去は、基板の第1表面を溶液で洗浄することによって達成される。洗浄は、第1表面および基板の縁の両方から、かつ任意選択的に、第2表面の縁に隣接する領域からも、同時に除去されるように実行することができる。
【0137】
一部の実施形態では、洗浄は、スピンオン方法を用いて基板に洗浄溶液を施与することを含む。任意選択的に、スピンオン方法は400〜4500回転/分(rpm)の範囲、任意選択的に600〜3000rpmの範囲のスピン速度を使用する。以下で実施例の節に例示する通り、スピンオン方法は、第1表面に加えて、基板の縁および第2表面の周囲の両方から膜を同時に除去する。
【0138】
洗浄用の例示的溶液は水およびイソプロピルアルコールを含む。
【0139】
一部の実施形態では、膜の除去は当業界で公知の他の方法を介して達成される。
【0140】
以下で例示する通り、本発明者らは驚くことに、pドーパント含有膜を除去するための上述の手順は単純、簡便かつ安価でありながら、p
+層およびn
+層を分離するための高コストで技術的に複雑な標準的方法(例えばレーザ分離、プラズマエッチング)を用いて達成される性能と少なくとも同程度に効率的な光起電力セルの性能をもたらすことを発見した。
【0141】
したがって、pドーパント含有膜を除去するための本書に記載の手順は、多種多様な種類の光起電力セルの性能を改善するために適用可能である。
【0142】
したがって、本発明の別の実施形態の態様では、
a)pドーパント(例えばホウ素)を含む膜を半導体基板(例えばシリコン)の第2表面に被着するステップと、
b)(例えば第1表面を液体で洗浄することによって)基板の第1表面および基板の縁からpドーパントを含む膜を除去するステップと、
c)nドーパント(例えばリン、ヒ素)を含む膜を第1表面に被着するステップと、
d)基板の第1表面における第1n
+層および第2表面におけるp
+層を同時に形成するために、基板を加熱するステップと、
e)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
f)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成し、
それによって光起電力セルを製造するステップと、
を含む、光起電力セルを製造する方法を提供する。
【0143】
特定の理論に縛られることなく、p
+層の形成と同時に第1n
+層を形成することで、シャントを有害に増大させるn
+層内におけるp
+領域の形成が有利に防止されると考えられる。しかし、有害なp
+領域の形成を防止するのに特に適したnドーパントの濃度および深さは、最終製品の最適性能に特に適したnドーパントの濃度および深さより高いことがある。したがって、第1n
+層の少なくとも一部分を除去することによって、n
+層のnドーパントの濃度は、光起電力セルにより適したレベルまで低減されると考えられる。
【0144】
一部の実施形態では、該方法は、第1n
+層を除去した後であって第1表面に電気接点を形成する前に、第1表面に第2n
+層を形成することをさらに含む。第1n
+層を全部または略全部除去し、その後で所望の特性を持つ第2n
+層を形成することは、第1n
+層の一部分だけを除去するより簡単かつ確実である。しかし、一部の実施形態では、第2n
+層の形成は実行されない。そのような実施形態では、第1n
+層の除去は任意選択的に、本書に記載する通り、高いnドーパント濃度の領域(例えば山)および低いnドーパント濃度の領域(例えば谷)の両方を生成するように、n
+層の厚さおよびドーピングプロファイルに対応する深さまで実行される。
【0145】
ドーパント含有膜、その被着、pドーパントを含む膜の除去(例えば洗浄手順)、および最終的n
+層(例えば第2n
+層)の特性(例えば深さ、シート抵抗)は任意選択的に、上述の通りである。
【0146】
本発明の例示的実施形態では、被着されたpドーパント含有膜を第1表面および縁から除去する上記の新規な手順は、第1表面における不等濃度のnドーパントの上記の新規な形成と組み合わされる。
【0147】
したがって、本発明の実施形態の一態様では、
a)半導体基板の第2表面にpドーパントを含む膜を被着するステップと、
b)(例えば第1表面を液体で洗浄することによって)基板の第1表面および基板の縁からpドーパントを含む膜を除去するステップと、
c)nドーパントを含む膜を第1表面に被着するステップと、
d)基板の第1表面における第1n
+層および第2表面におけるp
+層を同時に形成するために、基板を加熱するステップと、
e)基板の第1表面に残存するnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面から第1n
+層の一部分を除去するステップと、
f)第2n
+層のnドーパントの濃度が第1表面全体で不等になるように、基板の第1表面にnドーパントをドープして、第2n
+層を形成するステップと、
g)第1表面および第2表面の各々に電気接点を形成し、
それによって光起電力セルを製造するステップと、
を含む、光起電力セルの製造方法を提供する。
【0148】
本発明の実施形態の別の態様では、本書に記載する方法のいずれかに従って製造された光起電力セルを提供する。
【0149】
したがって、一部の実施形態では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、第1表面が山と谷とを含むようにテクスチャ加工され、かつn
+層のnドーパントの濃度が、第1表面の山では第1表面の谷より高い、光起電力セルを提供する。
【0150】
一部の実施形態では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、p
+層およびn
+層が互いに接触せず、かつp
+層が第2表面の縁に到達しない、光起電力セルを提供する。
【0151】
一部の実施形態では、半導体基板を備えた光起電力セルであって、基板がその第1表面にn
+層を、かつその第2表面にp
+層を含み、第1表面および第2表面の各々に電気接点が付着され、第1表面が山および谷を含むようにテクスチャ加工され、n
+層のnドーパントの濃度が第1表面の山では該表面の谷より高く、p
+層およびn
+層が互いに接触せず、かつp
+層が第2表面の縁に到達しない、光起電力セルを提供する。
【0152】
本書に記載する光起電力セルの「n
+層」は、本書に記載した方法の文脈で、本書で論じた「第2n
+層」に相応することを理解されたい。したがって、光起電力セルのn
+層は任意選択的に、第2n
+層に関連して本書に記載した特徴のいずれか(例えば深さ、シード抵抗、局所的nドーパント濃度)によって特徴付けられる。
【0153】
任意選択的に、光起電力セルは両面光起電力セルである。
【0154】
基板は任意選択的にシリコンを含み、pドーパントは任意選択的にホウ素を含み、nドーパントは任意選択的に、リンおよびヒ素から成る群から選択され、リンは例示的nドーパントである。
【0155】
一部の実施形態では、光起電力セルの曲線因子は少なくとも75.5%、任意選択的に少なくとも76%、任意選択的に少なくとも76.5%、かつ任意選択的に少なくとも77%である。
【0156】
一部の実施形態では、光起電力セルの効率は少なくとも16.7%、任意選択的に少なくとも16.8%、任意選択的に少なくとも16.9%、かつ任意選択的に少なくとも17%である。
【0157】
一部の実施形態では、光起電力セルの短絡電流密度は少なくとも0.033アンペア/cm
2、任意選択的に少なくとも0.0335アンペア/cm
2、かつ任意選択的に少なくとも0.034アンペア/cm
2である。
【0158】
一部の実施形態では、光起電力セルの固有シャント抵抗は少なくとも4750オーム
*cm
2(すなわちオーム×cm
2)であり、任意選択的に少なくとも5500オーム
*cm
2であり、かつ任意選択的に少なくとも6250オーム
*cm
2である。固有シャント抵抗は光起電力セルの面積および形状に依存するので、上述の固有シャント抵抗は、150〜160cm
2の範囲の面積を有し、かつ略正方形である(すなわち45〜55cmの範囲の周長を有する)光起電力セルに対し決定することができる。
【0159】
上記の物理パラメータは、光起電力セルを評価するために当業界で使用される標準試験条件における測定によって決定される。標準試験条件は、1000W/m
2の太陽放射照度、1.5のAM(空気質量)における太陽基準スペクトル、およびセル温度25℃を含む。
【0160】
短絡電流密度は例えば、当業界の標準技術を用いて、短絡(すなわち電圧=0)時に光起電力セルによって発生する電流(Isc)を測定することによって、決定することができる。開路電圧(Voc)は、標準技術を用いて、開路(すなわち電流=0)時の光起電力セルの電圧を測定することによって、決定することができる。
【0161】
曲線因子および効率は、光起電力セルの最大電力出力を測定することによって決定することができる。
【0162】
したがって、曲線因子は、最大電力と短絡電流および開路電圧の積(Isc×Voc)との間の比と定義される。最大電力、Isc、およびVocは、上述の通り決定される。
【0163】
固有シャント抵抗は、電流を動作電圧の関数として表わすデータを得るために、例えば様々な動作電圧で光起電力セルによって生成される電流を測定し、かつ当業界で公知の技術を用いて、非線形回帰を介して、そのようなデータからシャント抵抗を得ることによって、決定することができる。次いでシャント抵抗に光起電力セルの面積を乗算して、固有シャント抵抗を得ることができる。150〜160cm
2の範囲の面積を持ちかつ略正方形である光起電力セルを評価分析するために、より大きい光起電力セルを適切な面積および形状に切断することができる。効率は、上述の通り最大電力を決定し、標準試験条件の入射光放射照度で除算することによって決定することができる。
【0164】
本発明の実施形態は必ずしも短絡電流密度の増加をもたらさないことを理解されたい。むしろ、以下で実施例の節に例示する通り、本発明の実施形態に係る光起電力セルの高い効率をもたらすのは、中程度に高い短絡電流密度と曲線因子の増加との組合せである。
【0165】
特定の理論に縛られることなく、基板の第1表面および縁からpドーパント含有膜が除去される本書に記載の方法および光起電力セルの実施形態は、増大した固有シャント抵抗、ならびにしたがって増大した曲線因子および効率を得るのに特に適していると考えられる。
【0166】
一部の実施形態では、光起電力セルのp
+層は、その基板の縁に隣接する領域を被覆せず、該領域は0.1〜1mmの範囲の幅を有する。
【0167】
本書に記載する各々の態様の一部の実施形態では、反射防止コーティングは光起電力セルの基板に被着される。当業者は種々の反射防止コーティングに精通しているであろう。
【0168】
反射防止コーティングは2つ以上のステップで被着することができる。例えば、例示的実施形態では、反射防止コーティングを1ステップで第2表面に被着させ、かつ別のステップで第1表面に被着させる。任意選択的に、1つの表面に被着される反射防止コーティングは、別の表面に被着される反射防止コーティングとは異なる組成である。
【0169】
一部の実施形態では、反射防止コーティングは、p
+層の形成後であって第2n
+層の形成前に、第2表面に被着される。上述の通り、反射防止コーティングのそのような被着は、反射防止コーティングがnドーパントの拡散に対し少なくともある程度抵抗することを前提として、p
+層と第2n
+層との重なりを防止するのに有用である
【0170】
一部の実施形態では、反射防止コーティングは、第2n
+層を形成した後で第1表面に被着される。
【0171】
本発明の実施形態の別の態様では、本書に記載する光起電力セルのいずれかを複数含み、光起電力セルが互いに接続された、光起電力アレイを提供する。
【0172】
本書で使用する場合、語句「光起電力アレイ」とは、直列および/または並列に相互接続された光起電力セルのアレイを表わす。セルの直列接続は加算電圧を形成する。セルの並列接続はより高い電流をもたらす。したがって、当業者は所望の電圧および電流を生み出すようにセルを接続することができる。
【0173】
アレイは任意選択的に、光が光起電力セルにかつ/または(例えば太陽の1日の移動を追尾するために)アレイを光源の方向に向ける基台に到達するのを妨害することなく、光起電力セルを環境から保護するために、1枚のガラス板のような追加要素をさらに組み合わせることができる。任意選択的に、電流を交流電流に変換するためにインバータが存在する。任意選択的に、光起電力セルによって発生したエネルギを貯蔵するために、電池が存在する。
【0174】
本発明の実施形態の別の態様では、本書に記載する光起電力アレイを備えた発電所を提供する。発電所は任意選択的に、太陽光への曝露を最大化するように配置された複数の光起電力アレイを含む。
【0175】
光起電力アレイの最適な位置および向きは、その中の光起電力セルが両面型かそれとも単面型かによって異なることを理解されたい。
【0176】
本発明の実施形態の別の態様では、請求項34に記載の光起電力セルを備えた電気装置を提供する。一部の実施形態では、光起電力セルは電気装置のための電力源である。
【0177】
本書に記載する光起電力セルおよび/または太陽電池アレイの例示的用途として、家庭用電源装置、温水加熱器、ポケットコンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯用充電ドック、携帯電話器、ページャ、PDA、デジタルカメラ、煙探知器、GPS装置、玩具、コンピュータ周辺装置、衛星、宇宙船、携帯電気機器(例えば携帯TV、携帯照明装置)、およびコードレス電気機器(例えばコードレス電気掃除機、コードレス電動ドリル、およびコードレス電動のこぎり)が挙げられるが、それらに限らない。
【0178】
本発明の実施形態の別の態様では、本書に記載するいずれかの光起電力セルを含む電磁輻射線検出器であって、電磁輻射線が紫外輻射線、可視輻射線、および赤外輻射線から成る群から選択される、電磁輻射線検出器を提供する。該検出器は、例えば輻射線を検出するために(例えば赤外検出器として)、かつ/または輻射線の量を測定するために(例えば分光測定として)、使用することができる。
【0179】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するドーピング技術が開発されることが予想され、ドーピングの用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0180】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0181】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0182】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0183】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0184】
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0185】
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
【0186】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0187】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0188】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0189】
本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学および物理学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学および物理学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
【0190】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0191】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0192】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0193】
1.6オームの抵抗率を持つp型単結晶シリコン擬似正方形基板(125×125mm)を使用した。基板表面の結晶配向は[100]であった。ソー損傷は、水酸化ナトリウムの25%溶液中でエッチングすることによって除去した。次いで基板を過酸化アンモニウム溶液中で洗浄した。
【0194】
3000rpmのスピン速度を用いたスピンオン法を使用して、50(重量)%の酸化ホウ素を含む二酸化ケイ素の膜を基板の裏面に被着させた。スピンオン法を使用して1200rpmのスピン速度を用いて4秒間、50%の水および50%のイソプロピルアルコールの溶液を基板の前面に施与した。水/イソプロピルアルコールの施与の結果、ホウケイ酸ガラスが裏面の縁に沿った狭細帯(幅約0.6mm)から除去された。次いでスピン速度を3000rpmに増大し、その結果基板を完全に乾燥させた。
【0195】
基板を60個の基板の3つの実験群に分割した。スピンオン法を用いて、20(重量)%、25(重量)%、または30(重量)%のP
2O
5を含む二酸化ケイ素の膜を、基板の前面に被着させた。裏面の縁に沿って、ホウケイ酸塩の膜とリンケイ酸ガラスとの間の明瞭な断線が観察された(すなわち2つの膜は接触しなかった)。
【0196】
ドーパントの基板への拡散を、窒素雰囲気下で1010℃の温度で20分間加熱することによって実行した。結果的に得られた裏面のp
+層は、25オーム以下のシート抵抗および約1μmの深さを有した。P
2O
5がそれぞれ20%、25%、および30%のリンケイ酸膜を使用した場合、結果的に得られた前面のn
+層は25、17、および13オームのシート抵抗を示した。
【0197】
シート抵抗は四探針法を用いて決定した。n
+層の深さはシート抵抗を測定し、その後、基板の薄層をエッチングで除去することによって決定した。
【0198】
次いで酸化膜層をフッ化水素酸の10%溶液で除去した。2%水酸化ナトリウムおよび4%イソプロピルアルコールの水溶液により80℃でエッチングすることによって、基板の前面のテクスチャ加工およびn
+層の除去を同時に実行した。エッチングは5分、10分、15分、25分、30分、または35分間実行した。エッチングの前後に基板の重量を測定した。テクスチャ加工前後の重量差に従って、エッチングの平均深さを決定した。全ての群において、テクスチャ加工後に、裏側の(ホウ素ドープ)面の縁に沿ってテクスチャ加工リングが明瞭に視認できた。ホウ素ドープ領域はテクスチャ加工に抵抗したので、ホウ素ドープ領域が基板の縁まで延びなかったことが、このリングから確認された。
【0199】
次いで、大気圧化学気相成長法(CVD)法を用いて、二酸化チタンの反射防止層をホウ素ドープ表面に被着させた。
【0200】
50%P
2O
5を含有するリンケイ酸ガラスの膜を被着させ、850℃の温度で20分間加熱することによって、リンの基板への2回目の拡散を実行した。結果的に得られたn
+層は55オームのシート抵抗を示し、約0.35μmの深さを有した。上述の通り、リンの表面濃度を決定した。
【0201】
リンケイ酸ガラスの膜をフッ化水素酸の10%溶液によって除去した。二酸化チタン膜は、フッ化水素酸溶液に対し耐性を有した。次いで窒化ケイ素の反射防止層を前面に被着させた。
【0202】
スクリーン印刷プロセスを使用して、基板の両面に接点パターンを被着させた。前面接点にはPV−156ペースト(DuPont)を使用し、裏面接点にはMonokristal(Stavropol、Russia)によって開発されたペーストを使用した。Centrotherm炉内で焼成を実行した。
【0203】
接点を形成した後、太陽電池の性能のパラメータを測定した。次いで、基板の縁から0.2mmの距離で、レーザpn接合分離を実行した。次いでパラメータを再び測定した。測定の結果を以下の表1〜3に提示する。テクスチャ加工中の平均エッチング深さに対する種々のパラメータ(レーザ分離前)の依存性を、
図3〜5にグラフで示す。
【0204】
作製された試料の幾つかに対し、SIMS(二次イオン質量分析)を用いて、リンの1回目および2回目の両拡散後の(すなわち第1n
+層および第2n
+層の両方の)リンの表面濃度の決定を実行した。これらの測定に基づいて、光起電力セルの山および谷の両方のリンの濃度を推定した。谷の予想濃度は、リンの2回目の拡散後に測定した濃度である一方、山の予想濃度は、1回目および2回目の拡散後に測定されたリン濃度の合計であった。結果を表4に要約する。
【0205】
対照として、ロシア特許第2139601号明細書に記載する通り、25個の太陽電池を作製した。この手順で、15(重量)%のP
2O
5を含む二酸化ケイ素膜を前面に被着させることによって、初期n
+層を形成した。結果的に得られた初期n
+層は35オームのシート抵抗および1.2μmの深さを有した。対照太陽電池のパラメータの平均値は次の通りであった。Voc=616mV、Jsc=35.9mA/cm
2、効率=16.2%
【0206】
図3に示す通り、太陽電池の短絡電流密度(Jsc)はテクスチャ加工中のエッチングの深さに依存し、平均エッチング深さが約4μm超のときに最大であった。
【0207】
図4に示す通り、太陽電池の曲線因子(FF)はテクスチャ加工中のエッチングの深さに依存し、平均エッチング深さが約8μm未満のときに最大であった。
【0208】
図5に示す通り、太陽電池の効率はエッチング深さに依存し、平均エッチング深さが約4〜12μmの範囲のときに最大であった。
【0209】
表1〜3および
図5に示す通り、太陽電池の効率は対照電池の効率(16.2%)より高く、17%超の効率が得られた。対照値に対する効率の相対利得は約3〜5%であった。
【0210】
これらの結果は、上述の通り、初期n
+層の形成およびエッチングによるその除去から、エッチング深さが短絡電流および曲線因子の両方とも比較的高い値になる最適範囲内であるときに、高い太陽電池の効率がもたらされることを示している。
【0211】
さらに表1〜3に示す通り、レーザpn接合分離はシャント抵抗を有意な程度まで改善せず、それどころか太陽電池の効率はレーザ分離により、おそらく作業表面の面積の低下のため、0.6〜0.8%低減した。
【0212】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0213】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。