【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する真空ポンプおよび請求項10の特徴を有する真空ポンプにより達成される。
【0008】
請求項1による真空ポンプは、本発明の第1の主題を形成する。この真空ポンプは、少なくとも1つの分子ポンプ段、特にホルベック段を含む。この分子ポンプ段は、分子ポンプ段のポンプ作用面を形成するロータ部材を含む。真空ポンプは、さらに、少なくとも1つのサイドチャネルポンプ段を含む。このサイドチャネルポンプ段は、分子ポンプ段の下流側に配置され、複数のロータ要素を含む。サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、分子ポンプ段のロータ部材によって支持される。
【0009】
本発明により、分子ポンプ段のロータ部材がサイドチャネルポンプ段のロータ要素に対する支持部材としても使用されるとき、サイドチャネルポンプ段の理想的な性能と共に、最小の空間要求が達成されることが認められてきた。その結果、ロータ要素は、分子ポンプ段のロータ部材から半径方向に間隔を設けて配置される必要がないので、分子ポンプ段のロータ部材の内部に存在する構造空間が、真空ポンプの他の構成部品、例えば真空ポンプの駆動部のために利用可能である。しかも、ロータ要素は、ロータ部材の半径にほぼ対応する、真空ポンプの回転軸から半径方向に比較的大きな間隔を空けた位置に位置決めされているので、サイドチャネルポンプ段は大きな回転半径を有し、それに対応する高いポンプ性能が提供される。このように、高い出口圧力および/または粗引き圧力ならびに高い入口圧力において、ポンプの強力で且つエネルギーを節約する運転も保証される。
【0010】
ロータ要素へのアクセス性(アクセスのしやすさ)は、ロータ部材におけるロータ要素の配置によって改善され、これにより、ポンプ構成の複雑さは低減され、例えば、サイドチャネルポンプ段に対する冷却装置の設置も容易になる。
【0011】
真空ポンプの有利な実施態様も、本明細書、従属請求項および図面に記載されている。
【0012】
真空ポンプは、以下に記載されるように、ロータ部材の支持部材またはロータ部材の支持部を含んでいてもよく、この場合、ロータ要素は、支持部材または支持部に配置され、それによって支持される。支持部材または支持部は、ロータ部材ではなく、サイドチャネルポンプ段の部分とみなされてもよい。一実施態様による支持部材または支持部は、支持部材または支持部が結合されているホルベックロータの軸方向端部には配置されていない。ホルベックロータは、ロータ部材を含んでいてもよく、さらに、ロータ部材を支持する真空ポンプのハブを含んでいてもよい。支持部材または支持部は、ホルベックロータの軸方向端部に配置される代わりに、ホルベックロータの1つまたは各々の軸方向端部から間隔を空けた、ホルベックロータの領域に配置されていてもよい。
【0013】
ロータ要素は、ロータ部材(例えば、ホルベックスリーブとして形成される)によって包囲された領域の外側に配置されていることが好ましい。これにより、サイドチャネルポンプ段の大きな回転半径と相まって、非常に良好なアクセス性と、ポンプの非常に低い複雑性とを達成可能である。ロータ要素は、ロータ部材のポンプ作用面またはロータ部材によって完全に包囲された領域の完全に外側に、または、その領域の一部外側に、配置されていてもよい。
【0014】
ロータ部材は、ロータハブによって支持されていてもよい。したがって、この実施態様においては、サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、ロータ部材によって支持され、一方、ロータ部材は、ロータハブによって支持される。ロータハブは、平らであること(特に、ディスク形状であること)が好ましく、ロータの回転軸に対して実質的に半径方向平面内において延びて形成されることが好ましい。ロータ部材は、ロータハブから軸方向に突出していることが好ましい。一方、ロータハブは、ロータシャフトに結合されていることが好ましい。ロータハブおよびロータ部材は、原理的に、相互に結合される異なる部品として形成されていてもよく、相互に一体部品に結合されていてもよい。
【0015】
ロータ要素は、ロータ部材の端部、特に自由端部に配置されていることが好ましい。ロータ部材の特に自由端部は、例えば、軸方向端部によって、好ましくはロータ部材の、ロータハブから離れた端部によって、例えばロータ部材の、ロータハブから離れた軸方向端部によって形成されていることが好ましい。好ましくはロータ羽根として構成されるロータ要素は、ロータ部材から、軸方向に、または、真空ポンプの回転軸に平行な少なくとも1つの方向成分を有する方向に、突出していてもよく、好ましくは、真空ポンプの回転軸に平行な方向に突出していてもよい。ロータ要素は、例えば、真空ポンプの回転軸に対して45°以内で半径方向内側または半径方向外側に傾斜する方向に方向付けられていてもよく、ロータ部材からこの方向に突出していてもよい。サイドチャネルポンプ段のステータは、ロータ部材の自由端部の領域に、または、対向側に設けられた、真空ポンプの静止領域に、配置されていてもよい。特に好ましい構造は、このことから得られる。その理由は、特に、ロータ部材とサイドチャネルポンプ段のステータとの入れ子式配置が必要とされないので、真空ポンプの非常に簡単なアクセス性およびコンパクトな構造形状が達成されるからである。
【0016】
ロータ要素は、ロータ部材のポンプ作用面を超えて軸方向に延びて形成されていてもよく、好ましくは、ロータ部材全体を超えて形成されていてもよい。このことは、構造に関して、異なるポンプ段のロータ要素およびステータ要素の複雑な入れ子式配置が必要とされることなく、ロータ要素の軸方向対向側に設けられたポンプの静止領域内において、サイドチャネルポンプのステータおよびステータチャネルの特に好ましい配置を可能にする。しかも、サイドチャネルポンプ段のアクセス性が増大される。ロータ要素がその中を回転するステータチャネルまたはサイドチャネルは、例えば軸方向に突出するロータ要素を受入れ可能にするために、例えば軸方向に、開放した構成を有していてもよい。
【0017】
ロータ羽根として形成されたロータ要素は、例えば、ロータ部材に直接配置され、それによって支持されていることが好ましい。ロータ部材は、支持部材を含んでいてもよい。この支持部材は、好ましくは、ロータ要素の特に軸方向自由端部に配置され、ロータ要素がそこに配置されてもよい。支持部材は、リング形状構成であることが好ましく、真空ポンプの回転軸の周りにリング形状に延びて形成され、ロータ要素がそこに配置される支持面を含むことが好ましい。支持面は、例えば、平面として形成されていてもよく、真空ポンプの軸方向に対面していてもよい。あるいは、支持面は、略円錐台形のジャケット形状を有し、真空ポンプの回転軸に対して半径方向内側または半径方向外側に傾斜(例えば、45°以内)している面法線を有していてもよい。
【0018】
ロータ部材の自由端部は、全部または一部がロータ部材の支持部材によって形成されていてもよい。支持部材の支持面は、例えば、ロータ部材の軸方向端面によって形成されていてもよい。例えば、上記のような実施態様に対しては、ロータ要素が軸方向に突出し、軸方向対向側に設けられたステータチャネルが例えばロータ要素に付属されている構成が適切である。
【0019】
ロータ要素の支持部材は、半径方向に突出する、ロータ部材の段部すなわち張出部を形成していてもよい。特に、ロータ部材の半径方向外面が、例えばロータ部材としてのホルベックスリーブを有する場合のように、ロータ部材のポンプ作用面を形成するときに、支持部材は、半径方向内側に突出する段部すなわち張出部を形成していてもよい。しかしながら、原理的に、支持部材は、半径方向外側に突出して、このような段部すなわち張出部を形成していてもよい。ロータ部材は、縦方向に見て略L字形状に構成されていてもよく、L字形状の短辺は、ロータ部材の段部すなわち張出部によって形成されていてもよい。ロータ要素の支持部のための適切な支持形状は、このような段部すなわち張出部によって提供されてもよく、この場合、ロータ部材は、その全長にわたって厚くする必要がないので、ロータ部材の必要とされる空間は、小さく保持されたままである。原理的に、支持部材は、ロータ部材の領域によって形成されていてもよく、ロータ部材は、ロータ部材の隣接領域と軸方向に整合され、即ち、半径方向にいかなる段部すなわち張出部も必要ではない。この場合においては、ロータ要素は、ロータ部材の軸方向端面に直接配置可能であり、この場合、ロータ部材は、全長にわたり少なくとも略一定の内側断面および/または外側断面を有している。
【0020】
ロータ部材は、実質的にスリーブとして構成されること、特にホルベックスリーブまたはホルベックシリンダを形成することが好ましい。ロータ部材は、これに関して、真空ポンプの回転軸の周りにスリーブ形状で延びて形成されていてもよく、回転軸に対して実質的に回転対称に形成されていてもよく、この場合、スリーブの縦軸は、真空ポンプの回転軸と実質的に一致していることが好ましい。スリーブ状のロータ部材は、上記のように、その軸方向の一方の端部でロータハブに配置されていてもよく、ロータハブによって、あるいはロータハブに固定されて、支持されていてもよく、一方、サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、他方の軸方向端部に配置される。
【0021】
有利な一実施態様により、ロータ部材は、ベースを含む。ベースは、特に実質的にスリーブとして形成され、回転軸の周りにリング形状に閉じられた、好ましくは実質的に回転対称に閉じられた形状を有していることが好ましい。ベースは、上記のように、ロータ部材を支持するロータハブから、ロータ要素がそれに配置されているロータ部材の支持部分まで、延びて形成されていることが好ましい。分子ポンプ段のポンプ作用面は、少なくとも一部またはほぼ全体がベースによって形成されていることが好ましい。
【0022】
ロータ部材の支持部材は、実質的にスリーブとして形成されていてもよく、スリーブは、回転軸の周りにリング形状に閉じられた形状を有することが好ましく、実質的に回転対称の形状を有することが好ましい。
【0023】
ベースおよび支持部材の構成部品の少なくとも1つは、一体部品として、または、複数(複合)部品として、ロータハブに直接結合され、ロータハブによって支持されていることが好ましい。他の構成部品は、それぞれ、ロータハブに直接結合された構成部品によって支持されていてもよく、この場合、特にそれ自身は、ロータハブに直接結合されたり、ロータハブによって支持されたりしていない。原理的に、両方の構成部品、即ちベースおよび支持部材は、一体部品として、または、複数部品として、ロータハブに直接結合されてもよく、ロータハブによって支持されてもよい。ベースおよび支持部材は、一体部品として、または、複数部品として、相互に結合されていることが好ましく、好ましくはロータハブとは無関係に結合される。例えば、ベースおよび支持部材は、半径方向に相互に重なり合って接触していてもよく、重なり合う領域で結合されていてもよい。ベースおよび支持部材は、半径方向に均等に間隔をなして相互に離れていてもよく、ロータハブとは無関係に、相互に結合または相互に保持されていてもよい。
【0024】
ロータ部材は、原理的に、複数部品構成、例えば、ロータハブによって支持された上記のようなベースと、ロータ要素がそれに配置されている上記のような支持部材とを有し、各々がロータ部材のそれぞれの部品を形成する構成を有していてもよい。即ち、ロータ部材は、特に、ベース部分またはベースを形成する構成部品と、支持部分または支持部材を形成する構成部品と、を含んでいてもよい。これらは、相互に結合されていることが好ましく、この場合、支持部分は、ベース部分によって支持されていてもよい。ベースおよび支持部材の好ましいスリーブ形状構成に対応して、ベース部分は、ベーススリーブによって形成されていてもよく、支持部分は、支持スリーブによって形成されていてもよい。しかしながら、原理的に、ロータ部材は、単一部品として形成されていてもよく、少なくとも、相互に一体部品に形成されたベースおよび支持部材を含んでいてもよい。
【0025】
ベース部分と支持部分との間の結合は、例えば、締付結合を含んでいてもよく、締付結合は、特に焼ばめ法によって形成されてもよい。同様に、ベース部分と支持部分との間にねじ結合および/または接着結合が設けられてもよい。ベース部分および支持部分は、半径方向におけるそれらの結合領域内において、相互に重ね合わされていてもよい。支持部分は、例えば、その外径が、少なくとも、好ましくはスリーブ状ベース部分の内径にほぼ対応するスリーブ状結合部位を有していてもよく、この場合、支持部分の結合部位の外面と、ベース部分の内面とが相互に面接触している。ロータ要素は、これに関して、支持部分の結合部位に隣接する、支持部分の支持部位に配置(好ましくは軸方向に配置)されていてもよく、この場合、支持部位は、結合部位に対して半径方向内側または半径方向外側に突出していてもよい。
【0026】
1つ以上のロータ要素は、個別の部品として形成されていてもよく、且つ複数部品として上記のような支持部材や、特に支持部分に結合されていてもよい。
【0027】
ロータ部材のベース部分および支持部分は、原理的に、異なる材料から形成されていてもよく、同じ材料から形成されていてもよい。ベース部分は、例えば、炭素を含む材料または金属材料を含んで形成されていてもよく、それのみで形成されていてもよい。こうした材料は、例えば、炭素繊維強化複合(CRP)材料であってもよい。支持部分は、同様に、カーボンを含む材料、例えば炭素繊維強化複合(CRP)材料、および/または、アルミニウム等の金属材料を含んで形成されていてもよく、それのみで形成されていてもよい。例えば、支持部分は、金属材料として製作され且つ繊維強化材料で補強されたリング形状構成部品であってもよい。支持部分は、例えば、CRP補強金属スリーブであってもよい。
【0028】
原理的に、ロータ部材は、一体部品として形成されていてもよく、また、炭素繊維強化複合(CRP)材料または金属材料を含んで形成されていてもよく、それのみから形成されていてもよい。ロータ部材、または、ロータ部材のベース部分、および、ロータ部材を支持するロータハブは、同様に、相互に結合された部品として構成されていてもよく、相互に一体部品として構成されていてもよい。ロータ部材のベース部分は、独立部品として、好ましくは例えばCRP材料を含むシリンダジャケット形状のスリーブとして形成されていることが好ましい。
【0029】
ロータ部材、即ち、ベースおよび/または支持部材、または、ベース部分および/または支持部分は、各々、上記のように、実質的に、スリーブ形状に、または、スリーブとして形成されていることが好ましい。それぞれの構成部品は、これに関して、少なくとも縦方向部位において実質的にシリンダジャケット形状に形成されていることが好ましく、この場合、シリンダジャケットの縦軸は、ポンプの回転軸と実質的に一致していることが好ましい。
【0030】
ロータ部材は、少なくとも1つの縦方向部位を有することが好ましく、その部位では、ロータ部材の境界は、実質的にシリンダジャケット形状の半径方向内面、および/または、実質的にシリンダジャケット形状の半径方向外面によって形成され、この場合、内面または外面によって形成されたシリンダは、それぞれ、実質的に真っすぐに製作され、少なくとも、ポンプの回転軸に略平行に向けられていることが好ましい。
【0031】
ロータ部材は、例えば、少なくとも略シリンダジャケット形状の半径方向外面を有する上記のような縦方向部位を有していてもよい。この半径方向外面は、例えば、ロータ部材の軸方向長さの少なくとも50%または75%にわたって延びて形成され、好ましくは、軸方向長さの略全長にわたって延びて形成される。
【0032】
シリンダジャケット形状のロータ部材の半径方向外面は、例えば、ロータ部材のベースまたはベース部分の半径方向外面によって形成されていてもよく、この場合、ベース部分は、例えば、回転ホルベックスリーブとして形成され、その軸方向長さの一部にわたり、好ましくは少なくとも軸方向長さの略全長にわたり、軸方向に向けられた真っすぐなシリンダジャケット形状を有し、好ましくは、一定肉厚を有している。ロータ部材の半径方向外面は、これに関して、分子ポンプ段のポンプ作用面の少なくとも一部を形成していてもよい。ポンプ作用面は、これに関して、滑らかな面として形成されていることが好ましく、例えば、ホルベックねじ山をそれに配置できるステータスリーブの半径方向内側の対向側に設けられていてもよい。しかしながら、原理的に、ホルベックスリーブのポンプ作用面が、ホルベックねじ山を有していてもよく、この場合、対向側に設けられたステータスリーブの面は、滑らかに形成されていることが好ましい。ロータ部材は、その実質的に全長にわたり一定の、好ましくは回転対称の外側断面を有していてもよい。
【0033】
ロータ部材の半径方向内面も、少なくともロータ部材の縦方向部位において、軸の回転方向に向けられた真っすぐなシリンダジャケット形状を有していてもよく、この場合、ロータ部材の半径方向内面および半径方向外面は、縦方向部位において実質的に一定の肉厚を有するシリンダジャケットを形成していることが好ましい。半径方向内面は、これに関して、この縦方向部位において、上記のように、ロータ部材のベースまたはベース部分の半径方向内面によって形成されていてもよい。この縦方向部位は、例えば、ロータ部材の軸方向長さの少なくとも40%または75%、特軸方向長さの略全長にわたっていてもよい。
【0034】
ロータ部材の半径方向寸法は、真空ポンプのコンパクトな構造形状が達成されるように、上記の実施態様によって、できるだけ小さくすることが可能である。ロータ部材の内部において半径方向内面によって形成される好ましくは円筒形の自由空間は、例えば、真空ポンプの駆動部を収容するのに適している。
【0035】
ロータ部材は、第1および第2の縦方向部位を有していてもよく、これらの部位において、ロータ部材の半径方向内面は、それぞれ回転軸の方向に向けられた真っすぐなシリンダジャケット形状を有し、これらの部位は、好ましくは、共に、ロータ部材の軸方向長さの少なくとも40%または75%、特に軸方向長さの少なくとも略全長にわたっている。半径方向内面は、例えば、ロータ部材の第1の縦方向部位においては、ロータ部材のベースまたはベース部分によって形成されてもよく、一方、第2の縦方向部位においては、ロータ部材の支持部材または支持部分の半径方向内面によって形成されている。
【0036】
それぞれ半径方向内面によって形成されたシリンダジャケットの直径は、これに関して、第1および第2の縦方向部位について異なっていてもよい。したがって、それぞれロータ部材の半径方向内面および半径方向外面によって形成されたシリンダジャケットの肉厚は、第1および第2の縦方向部位において異なっていてもよい。支持部材または支持部分は、これに関して、第2の縦方向部位におけるロータ部材の内径が、第1の縦方向部位におけるロータ部材のベースまたはベース部分の内径よりも小さく形成されていてもよい。ロータ部材の第1および第2の縦方向部位の間の移行部分は、これに関して、上記のように、支持部材または支持部分によって形成されたロータ部材の半径方向突出部または張出部を含んでいてもよい。
【0037】
ロータ部材の半径方向内面が好ましくは支持部材または支持部分によって形成されている第2の縦方向部位において、支持部材または支持部分は、支持部材または支持部分とベースまたはベース部分とが半径方向において重なり合うように、ベースまたはベース部分の内側に配置されていることが好ましい。支持部分は、例えば、上記のように、スリーブ状結合部位を有する支持スリーブによって形成されていてもよく、スリーブ状結合部位は、ベース部分内に挿入され、好ましくは、ベース部分の軸方向端部においてベース部分に結合されている。
【0038】
上記のように、分子ポンプ段は、ホルベック段として形成されていることが好ましく、この場合、ロータ部材がホルベックスリーブを形成し、対応するステータスリーブがホルベックスリーブに付属されていることが好ましい。ホルベック段は、回転軸の方向に延び半径方向に開放して形成された、少なくとも1つの、好ましくは複数の、渦巻状または螺旋状の溝を有するホルベックねじ山を含む。ホルベック段は、ホルベックねじ山の対向側に配置された実質的に滑らかな面を含む。この面は、ホルベックねじ山に対して相対的に運動し、ホルベックねじ山と共に狭い隙間を形成する。これらの溝の各々は、ホルベック段の流動チャネルを形成する。ホルベックねじ山は、原理的に、ホルベック段のロータ部材、または、ホルベック段のステータもしくはステータスリーブのいずれかに配置されていてもよい。ホルベックねじ山は、ステータスリーブに配置されることが好ましい。ロータ部材は、ロータスリーブに対して相対的に回転するほぼ滑らかなポンプ作用面を形成することが好ましい。ポンプ作用面は、特に、シリンダジャケット形状のロータ部材の半径方向外面の形態で形成されることが好ましい。
【0039】
有利な一実施態様により、分子ポンプ段は、サイドチャネルポンプ段に通じる、上流側の第1の部位とおよび下流側の第2の部位を含み、この場合、第2の部位内には、第1の部位内においてよりも少ない数の流動チャネルが形成されている。第2の部位の流動チャネルは、これに関して、サイドチャネルポンプ段に通じる1つ以上の供給チャネルを形成してもよい。第1および第2の部位は、軸方向に相互に続いていることが好ましい。供給チャネルの数は、例えば、サイドチャネルポンプ段のガス入口の数に対応していてもよい。供給チャネルは、分子ポンプ段の第1の部位内を搬送されたガスを集めるように働き、この場合、第1および第2の部位の間に集積チャネルが形成されていてもよい。集積チャネルは、回転軸の周りを周方向に周回して形成されていることが好ましく、第1の部位の複数の流動チャネルを相互に接続する。第1および/または第2の部位の流動チャネルは、ホルベック段のホルベックねじ山の部分であることが好ましく、ホルベック段のステータスリーブ等の、分子ポンプ段の静止部分に配置されていることが好ましい。
【0040】
真空ポンプは、流動方向に相互に相前後して接続され、ガスがその中で(好ましくは、順次)流動される複数のホルベック段を含んでいてもよい。ホルベック段は、これに関して、相互に半径方向に配置されていてもよく、相互に入れ子式に配置されていてもよく、これにより、理想的な空間利用が保証される。ガスは、複数のホルベック段にわたり、半径方向内側から半径方向外側に、または、半径方向外側から半径方向内側に、流動可能である。サイドチャネルポンプ段のロータ要素がそれに支持されているロータ部材は、これに関して、1つ以上の他のホルベック段の下流側に配置されたホルベック段を形成することが好ましい。他のロータ部材は、他のホルベック段に付属されていてもよく、好ましくは、実質的にシリンダジャケット形状のホルベック段として形成されてもよい。これに関して、他のロータ部材の半径方向外面および半径方向内面は、それぞれのホルベック段のポンプ作用面を形成してもよい。これに対して、ロータ要素を支持するロータ部材内においては、特に半径方向外面のみがホルベック段のポンプ作用面を形成してもよい。
【0041】
サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、それ自身既知な態様で、羽根またはロータ羽根として形成されていてもよい。羽根またはロータ羽根は、回転軸に垂直に延びる平面内において、回転軸の周りを周回して形成される円形リングに沿って配置されていることが好ましく、この場合、ロータ要素の羽根面は、少なくとも部分的に、周方向に対面していることが好ましい。羽根面は、これに関して、周方向とは逆方向後方に、軸方向および/または半径方向の後方に向けて僅かに傾斜された形状を有していてもよい。羽根は、サイドチャネルポンプ段を含むサイドチャネル原理による羽根車の一部であってもよい。サイドチャネルポンプ段は、さらに、少なくとも1つのステータチャネルまたはサイドチャネルを含むことが好ましい。ステータチャネルまたはサイドチャネル内において、ロータ要素は回転する。ステータチャネルまたはサイドチャネルは、ロータ要素のリング形状配置により、回転軸の周りにリング形状に配置されていることが好ましい。サイドチャネルは、それ自身既知の態様で、その長さの少なくとも一部にわたり、ロータ要素よりも拡大された断面を有していることが好ましい。サイドチャネルは、その略全長にわたり拡大された断面を有していることが好ましく、この場合、サイドチャネルの出口に付属された端部に、スクレーパを有する掻き落とし領域が設けられていることが好ましい。サイドチャネル内において、チャネルは、ロータ要素の外形に実質的に対応する断面まで狭められ、これにより、ロータ要素は、狭められた領域内を通過可能であり、スクレーパは、サイドチャネル内を搬送されたガスを掻き出し、ガスの流動をサイドチャネルポンプ段のガス出口に導く。サイドチャネルポンプ段のガス入口は、スクレーパの他方の端部に配置されていてもよく、好ましくは、上記のように、分子ポンプ段の供給通路に接続されている。サイドチャネルは、各々が入口、出口およびそれらの間の掻き落とし領域を有する複数の部分チャネルを含んでいてもよく、この場合、分子ポンプ段の供給チャネルは、各部分チャネルに付属され、その入口に接続されていることが好ましい。
【0042】
一実施態様により、上記のサイドチャネルポンプ段のほかに、第2のサイドチャネルポンプ段がさらに設けられている。第2のサイドチャネルポンプ段の構成は、上記のサイドチャネルポンプ段に対応していてもよい。第2のサイドチャネルポンプ段は、上記のサイドチャネルポンプ段のすぐ下流側に配置されていることが好ましく、この場合、2つのサイドチャネルポンプ段は、半径方向に相互に入れ子式に配置されていることが好ましい。第2のサイドチャネルポンプ段のロータ要素は、これに関して、同様に、分子ポンプ段のロータ部材によって、特に上記のサイドチャネルポンプ段のロータ要素を支持するロータ部材のサポートによって、支持されていることが好ましい。第2のサイドチャネルポンプ段のロータ要素は、これに関して、上記のサイドチャネルポンプ段のロータ要素と共に、実質的に、回転軸に垂直に延びて形成される共通平面内に配置されていてもよい。第2のサイドチャネルポンプ段のロータ要素は、回転軸の周りを周回する円形リングに沿って配置されていてもよく、前記リングは、回転軸、および、上記のサイドチャネルポンプ段によって形成された円形リングに、同心であり、このリングよりも小さいかまたは大きい半径を有している。1つのサイドチャネルポンプ段の出口は、これに関して、他のサイドチャネルポンプ段の入口に、流動チャネルによって接続される。
【0043】
有利な一実施態様により、釣合い平面が設けられ、この釣合い平面は、ロータ要素を支持するロータ部材の支持部材の領域内に配置されている。釣合い平面は、釣合い質量を装着するために、支持部材の周囲にわたり分散配置された複数の装置を有していてもよい。このような装置は、釣合い内孔等、例えば、好ましくはメートルねじ山を有するねじ山内孔および/またはめくら内孔のような開口を含んでいてもよく、メートルねじ山は、例えば、タイプM2またはM3で形成されていてもよい。開口すなわち釣合い内孔は、ロータ要素がそれに配置されている支持部材の支持面内に配置されていることが好ましく、実際には、ロータ要素間に配置されている支持面の領域内に配置されていることが好ましい。それぞれの釣合いおもりは、1つ以上の釣合い内孔内にねじ込まれてもよく、好ましくは、少なくとも釣合い内孔内に略完全に埋め込まれて配置され、例えば支持部材の支持面と同一面で終端することが好ましい。ロータ要素のための支持部材によって形成されることがある任意の不釣合いは、このような釣合い平面によって除去可能であり、ポンプの運転性能が改善可能である。
【0044】
本発明の第2の主題は、ホルベックロータを含むホルベックポンプ部位を有するとともに、ガス流動内においてそれに続き且つロータ構成部品を含む粗引き圧力段を有する、真空ポンプによって形成され、この場合、ロータ構成部品は、ホルベックロータに結合され、ホルベックロータの軸方向端部に配置されている。
【0045】
ホルベックロータが第2の軸方向端部においてシャフトに結合されている実施態様は有利である。これはコストの有利性を高め、真空ポンプの構造容積を低減させる。駆動モータがホルベックポンプ部位および/または粗引き圧力段の内側空間内に配置可能だからである。
【0046】
一実施態様により、粗引き圧力段は、リング形状構成部品またはロータ構成部品を有する。この構成部品は、ポンプ構造を含み、ホルベックロータのスリーブに結合されている。
【0047】
特に簡単な一実施態様は、粗引き圧力段のリング形状構成部品を提供する。粗引き圧力段は、ホルベックロータのスリーブの軸方向端部に設けられている。10ヘクトパスカルを超える範囲内のポンプの出口圧力は、粗引き圧力段によって改善される。サイドチャネル原理による粗引き圧力段の実施態様は、特に効果的であり、安価である。粗引き圧力段は、サイドチャネル原理による羽根リングを含んでいてもよい。粗引き圧力段は、多段構成を有していてもよい。
【0048】
粗引き圧力段は、ホルベックロータのハブと一体に構成されたリング形状構成部品を含んでいてもよい。
【0049】
リング形状構成部品は、金属からなる構成であってもよく、繊維強化材料によって補強されていてもよい。
【0050】
ホルベックポンプ部位は、複数のポンプ段を含んでいてもよい。
【0051】
ホルベックポンプと粗引き圧力段との間に動的シール部が配置されていてもよい。ホルベックポンプ部位は、ステータ側に、ガスがそれを通過して粗引き圧力段内に流入する通路を含んでいてもよく、チャネルが付属されているステータの一部が動的シール部のシーリングステータを形成してもよい。
【0052】
粗引き圧力段の構成部品に釣合い手段、例えば釣合い内孔が設けられている場合、追加の利点が達成可能である。滑らかな運転は、隙間を減少可能なように働く。一方、これはポンプ段の性能を向上させるので、コストに対する性能の比率が増大する。
【0053】
それを介してガスを粗引き圧力段内に吸込み可能な追加の中間入口は、例えば、複数の真空ポンプを有するポンプシステムを簡単にさせる。他の分子ポンプがこの中間入口に接続可能であり、例えば、他の分子ポンプによって第2の室が排気される。このとき、粗引きポンプ段は、真空ポンプおよび分子ポンプのための1つのポンプ段として働く。
【0054】
本発明は、本発明の第1の主題による、本明細書に記載されたようなポンプから出発して、本発明の第2の主題によるポンプの任意の所望の特徴または特徴の組み合わせを追加的に実施することにより得られる、技術的に実現可能な全ての実施態様をも含み、その逆もまた可能である。
【0055】
本発明の第3の主題は、請求項10の特徴を有する真空ポンプである。
【0056】
真空ポンプは、分子ポンプ段、特にホルベック段と、分子ポンプ段の下流側に配置され且つ複数のロータ要素を含む少なくとも1つのサイドチャネルポンプ段と、を含み、この場合、サイドチャネルポンプ段は、ポンプ入口と分子ポンプ段との間に配置される。
【0057】
サイドチャネルポンプ段は、ガス流動方向においては分子ポンプ段の下流側に、幾何学的観点からは分子ポンプ段の入口側に、配置されているので、この結果、ポンプ入口から出発して、サイドチャネルポンプ段および分子ポンプ段が軸方向に相互に続く順序は、ガスがポンプ段内を流動する順序とは異なっている。サイドチャネルポンプ段が入口側に配置されている構成において、そのロータ要素は、分子ポンプ段、例えばホルベックスリーブまたはホルベックシリンダのロータ部材の外側に配置可能であり、サイドチャネルポンプ段の直径は、分子ポンプ段のロータ部材の直径よりも相対的に大きく、特に、少なくとも略同じ大きさに、または、より大きく選択可能である。このようにして、非常に強力な真空ポンプが提供される。
【0058】
さらに、サイドチャネルポンプ段を入口側に配置しているので、入口から遠い分子ポンプ段の側において、追加的な空間を必要としない。このことは、入口から遠いこの領域内における分子ポンプ段のアクセス性がサイドチャネルポンプ段によって制限されていないので、例えば、分子ポンプ段のステータ要素、特にホルベック段の1つ以上のステータスリーブを、入口から遠い真空ポンプのハウジングの後壁に設置することが容易に可能であるという利点を有している。これにより、真空ポンプの軸方向長さが非常に小さくなるという、特に簡単な構造形状が達成される。これに関して、分子ポンプ段およびサイドチャネルポンプ段のロータ要素および/またはステータ要素の複雑な入れ子式配置が回避されることと同様に、サイドチャネルポンプに対する追加的な過大な軸方向空間が必要になることもまた回避される。さらに、ポンプ構造の複雑さを増大させることなく、駆動部等のポンプの他の構成部品を、自由にアクセス可能な分子ポンプ段の内部に配置可能である。
【0059】
一実施態様により、ポンプ入口からのガス流動通路は、サイドチャネルポンプ段のポンプ作用構造を通って分子ポンプ段内に通じている。このようなバイパス通路は、例えば、ポンプ作用構造を通って半径方向内側へ、および/または、半径方向外側へ、分子ポンプ段に通じている。ガスがそれを通過して導かれるサイドチャネルポンプ段のポンプ作用構造は、原理的に、請求項1による真空ポンプに関して上述したような構成を有していてもよく、特にロータ羽根として形成されたロータ要素と、ステータ側に設けられた少なくとも1つのサイドチャネルとを有していてもよい。
【0060】
有利な一実施態様により、サイドチャネルポンプ段をバイパスするために設けられたガス流動通路は、ロータハブの1つ以上の開口内を通過して通じている。ロータハブは、サイドチャネルポンプ段のロータ要素を支持し、特にディスク形状である。開口は、これに関して、ロータハブ通って軸方向に延びて形成される開口によって形成されていてもよい。この実施態様におけるサイドチャネルポンプ段のロータハブは、分子ポンプ段へのガス入口を形成する。
【0061】
サイドチャネルポンプ段のロータハブを通って延びて形成される上記のようなガス流動通路は、サイドチャネルポンプ段のポンプ作用構造を通って半径方向内側へ導かれてもよく、かかる構成は有利である。ガス流動通路は、サイドチャネルポンプ段を通って半径方向外側に分子ポンプ段に通じることが同様に可能である。このようなガス流動通路は、例えば、ステータ内、または、真空ポンプのハウジング内に配置された、ポンプ作用構造を通過して通じるチャネルを含んでいてもよい。
【0062】
分子ポンプ段は、分子ポンプ段を通過した後にいかなる複雑なバイパスも行うことなく、分子ポンプ段の入口に配置されたサイドチャネルポンプ段内にガス流動が流入可能なように、ガス流動方向の反転を行うことが好ましい。このような方向の反転は、分子ポンプ段が複数のホルベック段を含む簡単な態様で実行可能であり、この場合、軸方向にガス入口から離れる方向、および、軸方向にガス入口に向かう方向にポンピングする、同じ数のホルベック段が設けられる。
【0063】
一実施態様により、分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段に通じるガス流動通路は、ロータハブの1つ以上の開口を通って延びて形成される。ロータハブは、分子ポンプ段のロータ部材を支持し、特に、ディスク形状である。これにより、ガスは、分子ポンプ段によって方向の反転が行われた後に、ロータハブ内を通過して入口側に配置されたサイドチャネルポンプ段内に移動可能であるので、ロータ部材を支持するロータハブは、サイドチャネルポンプ段のためのガス入口を形成する。しかしながら、原理的に、ガス流動は、ロータハブを、入口側のサイドチャネルポンプ段内に横方向に流入してもよい。以下に説明される一実施態様において、サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、同じハブにおいて分子ポンプ段のロータ部材と共に位置決めされ、この場合、分子ポンプ段からのガス流動は、分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段内に直接流入可能であり、ロータハブを完全に横断またはバイパスすることはない。
【0064】
特定の例に関して上述したように、本発明による真空ポンプにおいて、サイドチャネルポンプ段のロータ要素を支持する、および/または、分子ポンプ段のロータ要素を支持するロータハブは、分子ポンプ段に通じるガス入口として、または、分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段に通じるガス入口として形成されていてもよい。それぞれのロータハブは、この目的のために、好ましくは、ロータハブを通って軸方向に延びて形成されるとともにガスのための流動チャネルを形成する、1つ以上の開口を有していてもよい。それぞれのロータハブは、原理的に、請求項1による真空ポンプに関して上述したようなロータハブによって形成されていてもよく、前記ロータハブは、ディスク形状であるとともに半径方向に向けられていることが好ましい。
【0065】
有利な一実施態様により、サイドチャネルポンプ段のロータ要素は、ロータハブ(好ましくはディスク形状)の半径方向外側の領域内に配置されている。ロータ要素は、これに関して、ロータハブの端から突出していてもよい。ロータ要素は、端から半径方向に、または、少なくとも1つの半径方向構成部品を有する方向であって好ましくは少なくとも半径方向に対して略平行な方向に、突出することが好ましい。ロータ要素の回転軸からの非常に大きな半径方向間隔、しいては、大きな回転半径および対応するサイドチャネルポンプ段の高い性能が、これにより達成可能である。さらに、この実施態様において、ステータ側のサイドチャネルは、半径方向に開放するチャネルとして形成されていてもよく、および/または、真空ポンプの半径方向外側の壁の領域内に配置されていてもよく、これにより、真空ポンプの極めてコンパクトな構造形状が可能となり、これは、ロータ要素とステータ要素との複雑な入れ子式配置を特に必要とせずに達成される。
【0066】
有利な一実施態様により、分子ポンプ段のロータ部材と、サイドチャネルポンプ段のロータ要素とは、共通のロータハブ(好ましくはディスク形状)によって支持される。ロータ要素は、これに関して、ロータハブの端から突出していてもよく、一方、分子ポンプ段の1つ以上のロータ部材は、好ましくは、ロータハブの平らな側から軸方向に延びて形成されている。これにより、サイドチャネルポンプ段および分子ポンプ段のために別々のロータハブを設けなくてもよいので、非常にコンパクトな構造形状が達成される。さらに、ガスは、ロータハブを交差したり、または、ロータハブを完全にバイパスしたりすることなく、分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段内に直接流入可能であり、これにより、ポンプ構造の複雑さが低減され、また、ガス流動通路全体の高い気密性が達成されるので、ポンプ効率が増大される。
【0067】
分子ポンプ段は、原理的に、請求項1に関して上述したように構成可能なホルベック段であることが好ましい。ホルベック段は、ホルベック段のポンプ作用面を形成し且つ好ましくはホルベックスリーブとして構成された少なくとも1つのロータ部材と、ロータ部材に対応するステータスリーブと、を含むことが好ましい。真空ポンプは、請求項1による真空ポンプに関して上述したような複数の分子ポンプ段またはホルベック段を有していてもよく、複数の分子ポンプ段またはホルベック段は、ガス流動方向に相前後して接続される。これらは、半径方向に相互に配置され、相互に入れ子式に配置されていることが好ましく、これらの分子ポンプ段またはホルベック段を介して、ガス流動通路は、例えば半径方向内側から半径方向外側に、または、半径方向外側から半径方向内側に通じている。
【0068】
ガス流動通路が分子ポンプ段を介して半径方向内側から半径方向外側に通じている場合、分子ポンプ段のためのガス入口は、分子ポンプ段の1つ以上のロータ部材がそれに配置されているロータハブの1つ以上の開口を含むことが好ましい。このようにして、ガスは、半径方向内側に設けられた位置において分子ポンプ段に供給可能である。ガス流動通路が分子ポンプ段を介して半径方向外側から半径方向内側に通じている場合、分子ポンプ段のガスは、それとは対照的に、サイドチャネルポンプ段を半径方向外側でバイパスするガス流動通路を介して供給可能である。このとき、分子ポンプ段の半径方向内側に配置された端部からサイドチャネルポンプ段にガスを供給するために、サイドチャネルポンプ段へのガス入口は、分子ポンプ段の1つ以上のロータ部材を支持するロータハブの1つ以上の開口を含んでいてもよい。
【0069】
有利な一実施態様により、分子ポンプ段の上流側に配置された、少なくとも1つの他のポンプ段が設けられる。これに関して、それは、特にターボ分子ポンプ段であってもよい。これに関して、サイドチャネルポンプ段は、他のポンプ段と分子ポンプ段との間に配置されていることが好ましい。したがって、他のポンプ段、サイドチャネルポンプ段および分子ポンプ段は、相前後して配置され、ポンプ入口から出発して、真空ポンプの軸方向に沿ってこの順序に相互に並んでいてもよい。真空ポンプのガス流動通路は、好ましくは、ポンプ入口から他のポンプ段、例えばターボ分子ポンプ段に、そして、ターボ分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段を通じて分子ポンプ段に、さらに、分子ポンプ段からサイドチャネルポンプ段内に通じている。
【0070】
分子ポンプ段および他のポンプ段は、分子ポンプ段のロータ部材を支持するロータハブの異なる側に配置されていてもよい。
【0071】
上記のように、他のポンプ段、特にターボ分子ポンプ段は、請求項1に関して上述したような真空ポンプ内に設けられていてもよい。ターボ分子ポンプ段は、一般に、それ自身既知の態様で、1つ以上のロータディスクおよびステータディスクを有していてもよく、これらのロータディスクおよびステータディスクは、半径方向平面内に延びて形成されており、軸方向に交互に相前後して配置されており、相互に入れ子式に配置されており、軸方向に対して傾斜して延びるガスチャネルを有している。他のポンプ段の上流側端部は、これに関して、ポンプ入口の領域内に直接配置されていてもよく、ポンプ入口の直径は、例えば、少なくとも、ターボ分子ポンプ段のロータディスクの直径に略対応していてもよい。
【0072】
ポンプ入口は、原理的に、真空ポンプの回転軸の周りにリング形状に延びて形成されていてもよいフランジによって包囲されていることが好ましい。本発明による真空ポンプは、さらに、例えば小さなフランジにより包囲されていてもよいポンプ出口を有していることが好ましい。ポンプ出口は、サイドチャネルポンプ段のガス出口に接続されていることが好ましく、回転軸の方向に見て、少なくとも、略サイドチャネルポンプ段のレベルに配置されていることが好ましい。
【0073】
ポンプ段の上流側に配置されているポンプ入口と、ポンプ段の下流側に配置されているポンプ出口とに加えて、本発明によるポンプは、1つ以上のタップまたは中間入口を含んでいてもよい。タップすなわち中間入口は、ポンプ入口とポンプ出口との間のガス流動通路に沿った位置であって、ポンプ入口からポンプ出口に通じる位置に配置されていてもよく、それぞれの位置においてガス流動通路内への開口が形成されていてもよい。例えば、タップすなわち中間入口は、ターボ分子ポンプ段の下流側および分子ポンプ段の上流側に配置されて設けられていてもよく、あるいは、タップすなわち中間入口は、分子ポンプ段の下流側およびサイドチャネルポンプ段の上流側に配置され、これを介してガスをチャネルポンプ段内に吸込可能に設けられていてもよい。
【0074】
以下に、本発明が、有利な実施態様および添付図面を参照して、例示によって説明する。