(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通気用手段が、容器およびコネクタ(9)の外側に位置づけられたストッパの側面とタンクの内側を接触させる、タンクに具備された通気用開口部の形状であり、取り除き可能なキャップがこの通気用開口部を閉じることを特徴とする、請求項12に記載の容器。
通気用手段(O1、O2)が、円筒壁(131)の外側で、ピストン(B1)の上部壁(13)を通って延在する開口部の形状であること、および封止用リブ(N1、N2)がピストンの円筒壁(131)の外面に具備されていること、封止用リブの寸法が、出口開口部(128)を作るための手段の始動前に、封止用リブがハウジング(A1)の円筒壁の内部壁に接して封止する形で位置するような寸法であることを特徴とする、請求項12に記載の容器。
【背景技術】
【0002】
本発明は、透析装置向けのレフィルに関する。このようなレフィルは、透析用の重炭酸塩溶液を即時に製造するために使用される。これらのレフィルは、コネクタにより閉じられるパウチまたはカートリッジで主に構成されている。これらは一般に、粉末状または顆粒状の重炭酸塩などの固体濃縮物を格納する。コネクタは、二つの流体ラインを含む。第一の流体ラインは、重炭酸塩濃縮物を溶解させるために水を導入する役割を果たし、第二の流体ラインは、このように生成された飽和溶液を取り出すために使用される。各流体ラインには、その外側端部において、透析装置における対応するポートへと入り込むように設計された連結部分が具備されている。流体ラインのもう一方の端部は、パウチまたはカートリッジの内部へと開口している。コネクタに中央チャネルを具備してレフィルの製造中に固体濃縮物を容器に導入することが必要である。レフィルを充填した後、中央チャネルは、いかなる汚れであっても容器の中に入ってその中身をよごさないように、封止状態で閉じられる。透析装置自体が、水をカートリッジの中に加え、このように形成された溶液を取り出す。装置は次に、この重炭酸塩溶液を酸性の液体濃縮物および水と混合して、所望の濃度に到達する。酸性の濃縮物は、酸および電解質、特にグルコースを含む。
【0003】
グルコースを含む濃縮された酸性溶液は主な欠点を二つ有する。第一の欠点は、溶液の経時的な安定性が低く、保管中に有色になるという事実である。第二の欠点は、透析用の構成要素のみならず水をも格納するため、医療従事者がかなり重量のあるパウチまたは容器を操作しなければならないという事実に起因する。操作するためにより軽量で保管にはよりかさばらない濃縮された強酸が存在するものの、その安定性にはなお問題が残る。その上、生理学的な適合性を有すると同時に固体の形で存在しなければならない酸の選択肢には限りがある。実際には、唯一クエン酸が選択可能である。しかしながら、この酸は、血液凝固に影響を及ぼすというデメリットを有する。
【0004】
この問題に対処するために、特開2001−340423号公報では、使用時に引き裂きまたは引き上げ可能な壁により分離されている二つのチャンバを含む容器が提案された。固体グルコースは、他の固体構成要素から分離されて、チャンバの一つに保管される。
【0005】
また医療分野においては、欧州特許出願公開第0395758号明細書が、二つの別個のパウチ、つまり、一つは灌流液を格納するパウチ、もう一つは抗生物質を格納しゴムストッパにより閉じられたバイアルを格納するパウチ、が具備された輸液バッグについて記載している。二つのパウチの間には通路が具備されている。バイアルは、押しつぶすことのできるアコーデオン形の管状要素により通路の端部の一つにおいて固定されている。この通路には中空針が配置され、その先端はアコーデオン形の要素へと突き出しゴムストッパの方へと向けられている。針のもう一方の端部は、液体を格納するパウチへと突出しているが、最初は分離可能な障壁によりパウチから分離されている。混合物を調製する時に、ユーザーはバイアルを通路に向かって押し、同時にアコーデオン形の要素を押しつぶす。針はこのときゴムストッパに穴を開ける。こうして、ユーザーは、分離可能な障壁を壊してパウチを数回振るだけで、抗生物質を溶解し混合物を輸液パウチの中に移送することができる。このパウチは使用するには極めて複雑であり、透析レフィルに容易に適応させることはできない。
【0006】
米国特許第2,659,370号明細書は、液体を格納し、フランジまでバイアルの首へと入り込むストッパにより閉じられたバイアルについて記載している。このストッパは、バイアルの内側の方へと向けられているその面に凹部を含む。取り外し可能なキャップが具備されたこの凹部は、錠剤または調合薬を中に入れることのできる封止された区画を形成する。ストッパにはさらに、凹部とは反対側でストッパの外面に開口する盲穴が具備されている。盲穴の底面と凹部は、隔膜により分離されている。バイアルの首にはキャップが設置され、ストッパにかぶさっている。このキャップには、その底面に接触することなく盲穴へと入り込む針が、その中心に具備されている。製品を使用する時に、ユーザーはキャップの上面を押圧し、針の下向きの移動を引き起こして隔膜に穴を開け、錠剤を押圧して押し下げ、こうして取り外し可能なキャップを強制的にそのスロットから取り出し、バイアルの中に落下させる。錠剤または調合薬はこうして、バイアルに格納された液体の中に落下することができる。この方法では、壁、ここでは隔膜、に穴を開けて針が容器に到達できるようにする必要がある。
【0007】
保管中に二つの成分を入れておくというこの問題は、他の技術分野、特に食品業界においても公知である。したがって、欧州特許出願公開第1710169号明細書から、乾燥した状態で生物的な製品を格納するブリスターパックが上に載ったフィルムにより閉じられた首を有するUHT牛乳用の瓶が公知である。アセンブリの上には、回して締めることのできるキャップが載っている。飲む時に、ユーザーはブリスターパックのドーム状の部分の上にあるキャップをねじる。キャップには、ブリスターパックの底面および瓶を閉じるフィルムを破裂させることになるスパイクが具備されている。こうして、生物的な製品は牛乳の中に落下する。ユーザーはその後、ストッパを開き、ブリスターパックおよびフィルムの残りを取り除き、瓶の中に格納された牛乳/生物的な製品の混合物に達することができる。この解決法は、一方では瓶の首の上にフィルムを溶接すること、そして他方では溶接または接着によりこのフィルム上にブリスターパックを固定すること、を必要とする。この方法は、溶接手段が備えられていない充填サイトでは使用できない。
【0008】
カナダ特許出願公開第2703134号明細書または英国特許出願公開第2317870号明細書などその他の文献は、タンクを内蔵したスクリューキャップが具備された開口部を有する瓶を提案している。タンクは、その下部部分で膜により閉じられている。タンクの内部にはピストンが具備されている。ピストンの下端部には、膜を引き裂くための手段が具備されている。最初は、すなわち停止位置においては、ピストンの上端部はキャップから突出しており、一方、その下端部は、膜よりも上に、膜から離れて、位置づけられている。混合物を調製するために、ピストンの上端部はキャップの中に押し下げられて、ピストンの下端部の下向きの移動、ひいては膜の引き裂きを引き起こす。容器を振った後、キャップは回して外され、ユーザーは中身を入手できる。このキャップは、膜を引き裂くために使用されたスパイクがキャップから突出して、キャップが取り除かれた時にユーザーにけがをさせる危険性がある、というデメリットを有する。さらに、膜は引き裂き手段の影響下で容易に壊れなければならない。したがって、それは、固有の脆性を呈し、そのため瓶上の所定の位置に置かれる前に引き裂かれる恐れがある。
【0009】
国際公開第2004/005154号は、さまざまな代替的解決法を提案している。第一の変形態様では、キャップは、バイアルの上に回して締められる静止部分とタンクを構成する回転部分により構成されている。静止部分の上部壁および可動部分の下部部分に、開口部が形成される。使用前に、二つの部分の開口部は並んでおらず、タンクはしたがって閉じられている。溶液を調製する時に、開口部を並べるために回転部分を回転させなければならない。タンクに格納された製品は、容器の中に流入することができる。第二の変形態様においては、タンクを、静止部分に対して上向きに動かすことができる。使用前に、動く部分は静止部分に押し付けられ、それらの開口部は並んでいない。タンクはしたがって閉じられている。ユーザーが可動部分を持ち上げると、二つの部分の間に中間チャンバが作られ、タンクに格納された製品は、中間チャンバ、次に静止部分、そして最終的には容器の中に流入することができる。第三の変形態様では、タンクはその下部壁に出口開口部を有する。さらに、ロッドはタンクを通って延在し、出口開口部を通ってタンクの外側に突出する。この開口部の下端部にディスクが固定されている。タンクは、タンクの首の上に設置された静止部分に設置される。最初は、容器は上方位置にあり、ディスクは静止部分に具備された開口部の縁部に接しており、こうしてタンクが閉じられる。タンクの中身を放出させるためには、ディスクが静止部分の開口部から離れてタンクと容器との間に通路を開くまで、ディスクを静止部分で押し下げるか持ち上げる必要がある。これら三つの変形態様においては、バイアルに対してタンクを動かすことが必要である。
【0010】
最後に、同じ国際公開第2004/005154号は、タンクが容器の首の上に直接回して締められている第四の変形態様を提供している。タンクの下部壁には、円錐台形の開口部が具備されている。その上部部分は、キャップにより閉じられている複数の出口開口部を有する。ロッドはタンクを通って延在する。その上端部はキャップと一体である。その下端部には、タンクの通路形成用の開口部の形状と相補的な円錐台の形状を有する円周縁部を有するディスクの形のストッパが具備されている。保管位置で、キャップはタンクに押し付けられ、ロッドのストッパは開口部に設置される、すなわちタンクは閉じられる。混合物を得るために、ユーザーはキャップを持ち上げなければならず、それと共にロッドとストッパも持ち上げ、こうしてストッパは通路形成用の開口部から離れる。タンクの中身は、容器の中に流入することができる。溶液を飲むためには、キャップはその引き上げられた位置に保たれなければならない。液体は、通路形成用の開口部、タンクを通過し、それから、そのときには開かれている出口開口部を通ってタンクを離れ、キャップ内を通過する。この文献には、このタンクの充填方法が示されていない。底面に一つの開口部そして上面に複数の開口部を有し、これらの開口部が全て同時に閉鎖位置または開口位置にあるかぎり、実際にはタンクを充填することは不可能であると思われる。結果として、この第四の選択肢は、工業的に利用可能であるとは思われない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、保管中は分離されている二つの構成要素または構成要素群を格納し、透析の開始時にこれらの構成要素の混合を可能にする透析用容器を提供することである。第二の目的は、レフィルが透析装置の所定の場所に置かれる時に構成要素の接触を自動化することである。第三の目的は、保管中のみならず、構成要素の混合時および溶液の取り出し時にも、製品が無菌状態を保つように封止を確実に行うことである。第四の目的は、経時的に安定した、クエン酸以外の酸の使用を可能にする酸性の固体濃縮物を格納する透析用のレフィルの製造を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、充填用チャネルが、透析溶液の組成の第二の構成成分または構成成分群を格納するタンクを備えたストッパにより閉じられる、という点において、本発明により達成される。ストッパは、容器に位置づけられたストッパの側面とタンクの内側を接触させる出口開口部をタンクに作るための手段も備えている。このような容器はこうして、保管中に分離され透析の開始時のみに互いに接触する二つの構成要素群を格納することができる。こうして安定性の問題は回避される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、パウチはグルコースを含む固体濃縮物を格納し、ストッパのタンクは、好ましくは液体の形で酸を格納する。こうして、液体の酸または固体の酸を選択することが可能であり、そして特に、塩酸または酢酸を選択することが可能である。こうして医師はより多くの酸を自由に選択することができ、透析溶液を患者のニーズにより容易に適応させることが可能になる。
【0014】
導入手段および抽出手段が、パウチまたはカートリッジへの溶液形成用の液体の導入のための流体ラインと、パウチまたはカートリッジから得られた溶液の抽出のための流体ラインとを含み、各流体ラインがパウチまたはカートリッジにあるオリフィスから容器の外側にある連結部分まで延在し、これらの連結部分が、透析装置の対応するポートへの各流体ラインの連結のために構成されていることが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、二本の流体ラインは組み合わされて単一の流体ラインになる。
【0015】
開口部が作られる前に、少なくとも部分的にタンクに開口部を作るための手段を設置することが好ましい。このように、例えば米国特許第2,659,370号明細書の場合と同様に、開口部を作ることができるようになる前にタンクに開口手段を導入する必要はない。
【0016】
本発明のタンクにおいて、開口部を作るための手段は、好ましくは、容器の内側に向かって動かされて出口開口部を作るように設計されている。このことにより、例えば透析装置により開口部を自動的に作ることが容易になる。
【0017】
ストッパには、好ましくは、第一の円筒壁、半径方向または斜め方向の下部壁、および半径方向または斜め方向の上部壁が具備されており、下部壁および上部壁は、円筒壁を閉じて円筒壁内およびこれら二つの壁の間に含まれる空間にタンクを形成することができ、出口開口部は、下部壁に、または下部壁と第一の円筒壁の接合部に具備されている。ストッパと閉じられるべき容器の開口部との間の封止を確実に行うために第一の円筒壁に封止手段が具備され得、これらの封止手段は、第一の円筒壁のために使用される材料および/または環状シールにより構成される。
【0018】
タンクが予想外に開くことを防ぐために、ストッパには、開口手段が始動するのを防ぐための遮断手段が具備されていることが好ましく、これらの遮断手段は、取り除いてまたは移動させてそれらを無効にすることが可能である。またストッパには、閉じられるべき開口部への入り込みを既定の深さに限定するための手段を、その上部部分において具備することも可能であり、これらの手段は、好ましくは、閉じられるべき開口部の寸法よりも大きい寸法を有する半径方向の周縁部により構成されている。ストッパからの開口手段の引き抜きを防ぐために、引き抜き防止手段が具備され得る。
【0019】
ストッパの第一の実施形態において、ストッパはハウジングとピストンにより構成されている。ハウジングは、下部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の壁によりその下縁部の部分において閉じられた第一の円筒壁により構成されている。下部壁は第一の円筒壁との接合部の近辺に脆弱ゾーンを有する。第一の円筒壁には、閉じられるべき開口部の寸法よりも大きい寸法を有する、外側の方へと向けられた半径方向の周縁部が、その上縁部に具備されている。ピストンは、上部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の壁によりその上縁部の部分において閉じられた第二の円筒壁により構成されている。第二の円筒壁の下縁部はベベルが付いて傾斜し、こうして第二の円筒壁の高さが最大の高さと最小の高さとの間で変動する。上部壁の周囲には、取り外し可能な安全タブが固定されて第二の円筒壁を取り囲んでいる。第二の円筒壁は、ハウジングの第一の円筒壁へと入り込むことができるように寸法決定され、安全タブは、ピストンがハウジングに導入されてタンクを形成する時にハウジングの縁部に接して位置するように、寸法決定されている。第二の円筒壁の最大の高さと安全タブの高さは、これら二つの高さの差が下部壁と周縁部との間で測定された第一の円筒壁の高さよりも小さくなるように、一方、下部壁と周縁部との間で測定された第一の円筒壁の高さが第二の円筒壁の最小の高さと最大の高さとの間に含まれるように、選択される。この第一の実施形態において、ピストンは、安全タブが引きはがされピストンがハウジングの中に押し下げられた時に、その傾斜しベベルが付いた縁部で、ハウジングの下部壁を穿孔し引き裂くことになり、それによって出口開口部を作る。
【0020】
下部壁の引き裂きを容易にするために、下部壁は、第二の円筒壁の横断面と同一の輪郭を有する脆弱ゾーンを有する。
【0021】
第二の実施形態において、ストッパは蓋とロッドにより閉じることができるハウジングを含む。ハウジングは、第一の円筒壁および下部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の下部壁から、一体成形で作られ、その中に蓋の反対側に延在するスリーブが取り囲む開口部が形成されている。蓋は、上部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の壁からなり、その中に下部壁に向かって延在するスリーブが取り囲む通路開口部が形成されている。ロッドは、その下端部が蓋開口部と蓋スリーブを介してタンクへと入り込むことができるように、寸法決定されている。ロッドには、その上部部分に、ロッドと蓋スリーブの間の接触面の部分においてタンクの封止を確実に行うように寸法決定された第一の環状シールが具備されている。第一のシールの位置は、前記シールが蓋スリーブに位置づけられる時にロッドの下端部がタンクまたはハウジングスリーブの内部に位置づけられるように、選択される。ロッドの凹部または半径方向の狭窄がロッドの下部部分に具備され、これら凹部またはこの狭窄の軸方向の高さは、ハウジングスリーブの高さよりも大きい。好ましくは、ロッドとそのシールを蓋スリーブに維持するために、遮断手段が具備されている。
【0022】
ハウジング開口部またはハウジングスリーブの自由端部は、好ましくは膜により閉じられており、ロッドの下端部には、この膜に穴を開けるための手段が具備されている。
【0023】
第二の実施形態の一変形態様に相当する、本発明の第三の実施形態において、膜は、ロッドの下端部に存在する閉鎖手段に置き換えられる。この目的のために、閉鎖手段には、ロッドとハウジングスリーブの間の接触面の部分においてタンクの封止を確実に行うように寸法決定された第二の環状シールが具備されている。ロッドの第二のシールの位置は、第一のシールが蓋スリーブに位置づけられる時に第二のシールがハウジングスリーブに位置づけられるように、選択される。
【0024】
これら二つの実施形態において、出口開口部は、膜により、またはロッドに存在する閉鎖手段により、最初は閉じられている。保持手段がロッドに設置されているかぎり、ロッドは、一方では第一のシールを有する蓋スリーブの部分において、他方ではハウジングスリーブの部分において、膜により、またはロッドの閉鎖手段により、タンクが封止状態で閉じられている、という位置にある。保持手段が取り除かれた時に、ロッドを押し下げ膜を引き裂き、またはロッドの閉鎖手段をハウジングスリーブから取り除き、こうして出口開口部を解放することができる。
【0025】
本発明の第四の実施形態において、ストッパはハウジングとピストンとを含む。ハウジングは、半径方向の平面に位置づけられる下縁部を有する円筒壁により構成されており、上縁部は少なくとも二つの段のセットを一つ以上有し、こうして円筒壁は下縁部と上縁部との間に少なくとも二つの異なる高さを有する。外向きに延在する半径方向の周縁部は、円筒壁の上部部分、好ましくは最大の高さに相当する一つまたは複数の段の上に設置される。ピストンは、ロッドにより互いに連結された、下部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の下部壁、上部壁と呼ばれる半径方向または斜め方向の上部壁により構成され、下部壁の上部面と上部壁の下部面との間の距離は、下縁部と最も低い一つまたは複数の段との間で測定された円筒壁の最小の高さよりも小さい。上部壁には、タンクの外側からアクセス可能な始動ボタンが具備されている。ピストンには、ガイド要素が具備されている。前記ガイド要素の寸法は、これらの要素が、閉じられるべき容器の開口部に入ることができると同時に円筒壁の上縁部を支持できるように選択される。下部壁および上部壁は、円筒壁において軸方向に摺動可能かつ枢動可能となるように、そして下部壁が円筒壁の下縁部よりも上に位置づけられ、上部壁が一つまたは複数の段よりも下に位置づけられた状態でピストンがハウジングに導入された時に、円筒壁と共に閉じられたタンクを形成するように、寸法決定される。
【0026】
半径方向の下部壁に、好ましくは下向きに向けられた、下部フランジと呼ばれる環状フランジを具備することが好ましく、前記下部フランジには、下部壁/円筒壁の接触面の部分においてタンクの封止を確実に行うための封止手段が具備され、および/または、上部壁には、好ましくは上向きに向けられた、上部フランジと呼ばれる環状フランジが具備されており、前記上部フランジには、上部壁/円筒壁の接触面においてタンクの封止を確実に行うための封止手段が具備されている。下部フランジの封止手段および/または上部フランジの封止手段は、好ましくは、対応するフランジのために使用される材料により、および/または環状シールにより構成される。ピストンには、タンクが形成されるとすぐに、ピストンがハウジングから上向きに引き抜かれることを防止するための引き抜き防止手段を具備することができ、前記引き抜き防止手段は、好ましくは、下部壁または下部フランジに配置された環状肩部の形状を有する。円筒壁に、異なる三つの高さを有する三つの段の同一セットが二セット具備されていること、周縁部が、最大の高さに対応する二つの段の部分において設置されていること、が好ましい。
【0027】
本発明はまた、コネクタの一つまたは複数の連結部分を収容するように寸法決定された一つ以上のポートが具備された透析装置での容器の使用にも関する。
【0028】
さらに、本発明は、本発明に係る容器が具備された透析装置での透析溶液の即時調製方法に関する。この方法は、透析装置の所定の場所に容器を置き、容器の一つまたは複数の連結部分を装置の対応するポートに導入するステップ(a)と、導入用流体ラインを介して容器に溶液形成用の液体を導入する第二のステップ(b)とを提供する。本発明の方法は、追加のステップ、すなわち、ストッパに格納されたタンクを開口して、開口部を作るための手段を始動させるステップ(c)と、タンクの中身がパウチまたはカートリッジの中に流入するステップ(d)とが、ステップa)の前に、またはステップa)とステップb)との間に実施されることを特徴とする。使用される透析装置の必要性またはタイプに応じて、ステップc)は、ステップa)の後に透析装置により自動的に実施され得る、または、ステップa)の前または後にオペレータにより手動で実施され得る。大部分の透析装置は、透析中に定位置にレフィルを保つようにコネクタの上面上に降下するカバーを有する。こうして、この保持用カバーが閉じる間にステップc)を実施することを想定することが可能である。
【0029】
コネクタは、仏国特許出願公開第1154323号明細書に記載のタイプのものであり得る。
【0030】
本発明は、下記の図に示された四つの例示的な実施形態を用いて、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】第一の実施形態における、第一のストッパのさまざまな要素の分解斜視図である。
【
図3】第一の実施形態における、
図2の要素の断面図である。
【
図4a】第一の実施形態における、ピストンが充填位置にある第一のストッパの斜視図である。
【
図4b】第一の実施形態における、保管状態で閉じられている第一のストッパの斜視図である。
【
図5a】第一の実施形態における、初期位置の、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第一のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図5b】第一の実施形態における、安全タブが取り除かれている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第一のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図5c】第一の実施形態における、ピストンが押し下げられている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第一のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図6】第二の実施形態における、第二のストッパのさまざまな要素の斜視図である。
【
図7a】第二の実施形態における、充填位置のストッパの断面図である。
【
図7b】第二の実施形態における、保管状態のストッパの断面図である。
【
図8a】第二の実施形態における、初期位置の、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第二のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図8b】第二の実施形態における、クリップが取り除かれている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第二のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図8c】第二の実施形態における、ロッドが押し下げられている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第二のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図9】第三の実施形態における、第三のストッパのさまざまな要素の斜視図である。
【
図10a】第三の実施形態における、充填位置のストッパの断面図である。
【
図10b】第三の実施形態における、保管状態のストッパの断面図である。
【
図11a】第三の実施形態における、初期位置の、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第三のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図11b】第三の実施形態における、クリップが取り除かれている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第三のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図11c】第三の実施形態における、ロッドが押し下げられている、透析用カートリッジの充填用開口部に設置された第三のストッパのタンク開口段階を示す図である。
【
図12】第四の実施形態における、第四のストッパのさまざまな要素の分解斜視図である。
【
図13】第四の実施形態における、四分の一回転させた場合の
図12の要素の断面図である。
【
図14a】第四の実施形態における、充填位置の、第四のストッパの使用段階を示す斜視図である。
【
図14b】第四の実施形態における、
図14aと同じ位置の、第四のストッパの使用段階を示す断面図である。
【
図14c】第四の実施形態における、保管位置の、第四のストッパの使用段階を示す断面図である。
【
図14d】第四の実施形態における、開口位置の、第四のストッパの使用段階を示す断面図である。
【
図15a】通気用の構造における、タンクを開くための手段を始動する前の、第一のストッパの概略断面図である。
【
図15b】通気用の構造における、タンクを開くための手段を始動した後の、第一のストッパの概略断面図である。
【
図16a】通気用の構造における、タンクを開くための手段を始動する前の、第二のストッパの概略断面図である。
【
図16b】通気用の構造における、タンクを開くための手段を始動した後の、第二のストッパの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のストッパのさまざまな部分の説明には、「上部」、「下部」、または「垂直方向の」などの空間的な言及が使用されている。これらの空間的な言及は、例えば
図5、
図8または
図11に示されている透析装置での通常の使用位置で示されたストッパを基準にしている。この場合、ストッパは、それが閉じる容器よりも上に位置づけられている。しかしながら、これらの位置は絶対的なものではなく、別の位置で、特にそれが閉じるバイアルよりも下にある状態で、本発明のストッパを使用することが可能である。例えば、
図4aおよび
図10aでは、ストッパのいくつかの要素が、充填のために逆さに示されている、すなわち、このとき「下部」壁は「上部」壁よりも上にある。さらに、これらの例示的な実施形態のストッパは、それが閉じるべき容器の開口部へのストッパの挿入方向に対応する回転対称軸を有する。「半径方向の」または「軸方向の」などの言及は、この対称軸を基準にしている。ストッパがこのような回転対称を有していない場合、これらの言及は、ストッパの横断面の中心を通過し開口部へのストッパの挿入方向に向けられた仮想ラインに応じた類推により用いられる、ということが直ちに理解される。
【0033】
本発明は、透析用レフィルとして使用される容器に関する。これらのレフィルは、コネクタ(9)上に固定されたパウチまたはカートリッジで主に構成されている。これらのレフィルは一般に固体濃縮物を格納する。本発明のレフィルは、特にグルコースを含む固体濃縮物の使用を可能にする。
【0034】
コネクタには、得られた溶液を抽出するために溶液形成用の液体を導入する手段が具備されている。これらの手段は、詳細には、透析装置の対応するポートに容器を連結するための連結部分(91)を含む。
図1に示された実施例において、導入および抽出手段は、二本の流体ライン、つまり、一つは精製水を導入するための流体ライン、もう一つは飽和溶液を取り出すための流体ライン、により構成されている。各流体ラインには、その外側端部に、透析装置のポートへと入り込むように意図された連結部分(91、92)が具備されている。流体ラインのもう一方の端部は、パウチまたはカートリッジの内側へと開口している。また、二本の流体ラインが組み合わされて、溶液形成用の液体の導入および生成された溶液の取り出しの両方の役割を果たす単一の流体ラインとなる、とすることも可能である。第二のラインと同等のものを空気取入れ口として使用して、パウチまたはカートリッジが剛性である場合に圧力平衡を確保することができる。固体製品、例えばグルコースを含む固体濃縮物を容器に導入するために、コネクタに中央充填用チャネル(93)を具備することが必要である。充填作業が完了した後、汚れが容器へと入り込んでその中身をよごすことがないように、中央チャネル(93)は封止状態で閉じられなければならない。製造されるべき溶液がパウチまたはカートリッジに格納された第一の製品のみを含む場合、チャネル(93)はフィルムにより封止され得る。これに対して、溶液が、パウチまたはカートリッジに格納された製品の保管中に第一の製品から分離されなければならない第二の製品、例えば酸を含まなければならない場合には、充填用チャネル(93)は、タンクの備えられたストッパにより閉じられ得る。
【0035】
ストッパ(10、20、30、40)は、半径方向の下部壁(12、22、32、42)および半径方向の上部壁(13、23、33、43)により両端部で閉じられ得る円筒壁(11、21、31、41)により構成され、例えば
図5、
図8および
図11に示されているように、容器の開口部の所定の場所にストッパが置かれる時に、第一の半径方向の壁(12、22、32、42)は容器の内側に位置づけられ、第二の半径方向の壁(13、23、33、43)は容器の外側に位置づけられている。円筒壁(11、21、31、41)および二つの半径方向の壁(12、13、22、23、32、33、42、43)により画定された部分は、閉じられたタンク(R1、R2、R3、R4)を形成する。ストッパには、ストッパが容器の開口部の所定の場所に置かれた時に容器に位置づけられているストッパの側面とタンクの内側を接触させる出口開口部を作るための手段が具備されており、これらの開口手段は、容器の外側から操作可能である。
【0036】
円筒壁(11、21、31、41)は、容器の開口部(93)へと少なくとも大部分が入り込んでこの開口部を封止状態で閉じるように意図されている。ひとたび所定の場所に置かれると、円筒壁は閉じられた開口部に対して動かせない。
【0037】
封止を確実に行うために、円筒壁(11、21、31、41)をゴムタイプの材料で作り、それが開口部の壁の輪郭と正確に整合して、直接、封止を確実に行うようにすることができる。また、ストッパの円筒壁(11、21、31)の横断面を、閉じられるべき開口部の横断面よりもわずかに小さくすることも可能である。この場合、ストッパには、開口部(93)の壁に接して位置することになる環状シール(111、211、311)が具備され得る。
【0038】
閉じられるべき開口部(93)へのストッパの入り込みを制限するために、円筒壁(11、21、31、41)の上縁部には、閉じられるべき開口部(93)の横断面よりも寸法の大きい、外向きに向けられた半径方向の周縁部(112、212、312、412)が具備されている。
【0039】
本発明の第一の実施形態において、ストッパ(10)は、ハウジング(A1)およびピストン(B1)により構成されている。ハウジング(A1)は、円筒壁(11)および半径方向の下部壁(12)により一体成形で構成されている。半径方向の下部壁(12)の厚みは、その周囲において壁の残りの部分よりも薄く、こうして、この減少が円筒壁と半径方向の下部壁の接合部で脆弱ゾーン(124)を構成する。
【0040】
ピストン(B1)は、一方では半径方向の上部壁(13)を構成する半径方向の壁により、他方では第二の円筒壁(131)により構成されている。半径方向の上部壁と反対側の端部である第二の円筒壁(131)の自由端部の縁部は、好ましくは傾斜している、すなわち、一方の側が他方の側よりも長い。換言すると、第二の円筒壁の高さは、最大の高さと最小の高さとの間で変動する。さらに、この縁部には、好ましくはベベルが付いており、一種の切刃を形成する。この第二の円筒壁(131)は、ストッパが組立てられる時に、第一の円筒壁(11)へと入り込むように意図されている。それは、そのベベルが付いた縁部がハウジングの半径方向の下部壁の脆弱ゾーン(124)に面するように、寸法決定される。ピストンの半径方向の上部壁(13)は、ハウジングの円筒壁(11)よりも幅が広い。
【0041】
取り外し可能な安全タブ(132)が、半径方向の壁(13)の周囲に固定される。それは、第二の円筒壁(131)と同じ方向に、かつ半径方向の上部壁(13)の同じ側に延在する円筒壁により構成されている。半径方向の上部壁と反対側の端部であるその自由端部は、ストッパが組立てられる時にハウジングの円筒壁(11)の周縁部(112)に接して位置するように、寸法決定される。この安全タブ(132)は、好ましくは、ぐるりと半径方向の壁(13)の周りに延在する。それは引きはがすことができ、次に、それによってハウジング(A1)の中へのピストン(B1)の押し下げを可能にする。第二の円筒壁(131)の高さおよび安全タブ(132)の高さは、安全タブ(132)が周縁部(112)に接して位置する時に、第二の円筒壁(131)の自由端部が、脆弱ゾーン(124)と並んで、半径方向の下部壁(12)に触れることなくその近辺に位置づけられるように、選択される。反対に、安全タブ(132)が引きはがされピストン(B1)が完全にハウジング(A1)の中に押し下げられる時に、第二の円筒壁の下端部は、脆弱ゾーン(124)を、その範囲全てまたは一部分にわたり引き裂き、ハウジング(A1)から少なくとも部分的に突出する。ピストン行程は、周縁部(112)に当接することになる半径方向の壁(13)により制限される。したがって、第二の円筒壁(131)の最大の高さと安全タブ(132)の高さは、これら二つの高さの差が半径方向の下部壁(12)と周縁部(112)との間で測定された第一の円筒壁(11)の高さよりも小さくなるように、一方、半径方向の下部壁(12)と周縁部(112)との間で測定された第一の円筒壁(11)の高さが第二の円筒壁の最大の高さよりも小さくなるように、選択される。
【0042】
半径方向の下部壁(12)は、タンク(R1)を閉じるための手段を構成する。第二の円筒壁の傾斜しベベルが付いた縁部を有するピストン(B1)は、開口手段の機能を果たす。脆弱ゾーン(124)が引き裂かれる部分において円筒壁(11)の下端部と半径方向の下部壁(12)の縁部との間に現れるスロットは、タンク(R1)に格納された製品のための出口開口部(128)を構成する。安全タブ(132)は遮断手段としての働きをする。
【0043】
ストッパ(10)を充填するためには、
図4aに示されているように、最初にピストン(B1)をひっくり返して、第二の円筒壁(131)と半径方向の壁(13)により形成されるカップに液体または固体を入れる必要がある。次に、ハウジング(A1)がピストンの上を滑らされる。ハウジングの第一の円筒壁(11)は、ピストンの第二の円筒壁(131)を取り囲むことになる。ハウジングの周縁部(112)は、安全タブ(132)の自由端部に当接することになる。図示されていないラッチ手段は、ピストン(B1)がハウジング(A1)から出るのを防止する。図示されていないこれらのラッチ手段は、引き抜き防止手段としての役割を果たす。このように組立てられ充填されたストッパ(10)が、
図4bに示されている。ストッパは、溶液を形成する時まで別個に保管され得る、または開口部(93)に導入され得る保管状態にある。
【0044】
第一の製品、例えば酸、が充填されたストッパ(10)は、第二の製品、例えばグルコースを含む固体濃縮物、を容器に充填した後、容器の開口部(93)に設置される。これは、
図5aに示された状況である。使用時に、オペレータは安全タブ(132)を取り除き、カートリッジを透析装置に設置する(
図5b)。このときピストンは、手動で、または透析装置により押される。第二の円筒壁(131)の傾斜してベベルが付いた縁部は、最大の高さの部分において、半径方向の下部壁(12)の脆弱ゾーン(124)の一点と接触することになる。ピストンがさらに下降すると、第一の接点において脆弱ゾーンが穿孔され、次にピストンの入り込みと共に脆弱ゾーンが引き裂かれる。ハウジングの円筒壁(11)の高さに対する第二の円筒壁(131)の最短地点での高さに応じて、半径方向の下部壁(12)は、
図5cに示されているように、その脆弱ゾーンの一部分により円筒壁(11)に取付けられたままか、完全に引き裂かれて容器の中に落下する。
【0045】
第二の実施形態において、ストッパ(20)は、ハウジング(A2)、蓋(B2)、ロッド(24)およびクリップ(25)を含む。ハウジング(A2)は、円筒壁(21)および半径方向の下部壁(22)により一体成形で構成されている。下部壁の開口部と呼ばれる開口部(221)は、半径方向の下部壁(22)に、好ましくはその中心に具備されている。この開口部(221)は、下向きに、すなわち円筒壁(21)から離れるように向けられた円筒スリーブ(222)により取り囲まれている。外向きに向けられた半径方向の環状縁部(212)は、円筒壁の上部部分に、好ましくはその上縁部の部分において設置されている。環状溝(213)は、周縁部(212)の近辺の、円筒壁(21)の内面に形成されている。円筒壁(21)の内面の上端部は、好ましくは、半径方向の下部壁(22)から離れる方向に幅が広がっている円錐台の形状を有する。
【0046】
蓋(B2)は、本質的に、ディスクの形状を有する、半径方向の上部壁と呼ばれる平面的な半径方向の壁(23)により構成されている。蓋には、その中央において、蓋開口部と呼ばれる開口部(231)が貫通している。この開口部(231)を取り囲んでいるスリーブ(232)が、半径方向の壁(23)の下部面に、すなわち、蓋(B2)がハウジング(A2)に設置される時にタンク(R2)の内側の方へと向けられた面に具備されている。この同じ下部面において、スリーブ(232)と同心の円筒形フランジ(233)がディスク(23)の円周に設置されている。このフランジの外面には、環状リブ(234)がある。半径方向の壁(23)の周辺縁部(23)は、ディスク(23)の外面に向かう方向に幅が広がっている円錐台の形状を有する。
【0047】
蓋(B2)の寸法は、そのフランジ(233)がハウジング(A2)の上端部にはめ込まれるように、選択される。蓋のリブ(234)は、蓋がハウジングに保持されるように、ハウジングの環状溝(213)に入る。蓋の円錐台形の縁部は、円筒形部分(21)の円錐台形の縁部と接触し、これら二つの円錐台形の表面は、相補的形状を有する。蓋の開口部(231)およびハウジングの開口部(221)は並んでいる。蓋のスリーブ(232)およびハウジングのスリーブ(222)は同軸である。蓋/ハウジングの接触面の部分における蓋の封止は、二つの円錐台形の表面の接触により、および/またはハウジングの溝(213)への蓋のリブ(234)のはめ込みにより確実に行われる。
【0048】
膜(223)は、ハウジング(A2)の開口部(221)を取り囲むスリーブ(222)を閉じる。この膜は、出口開口部を閉じるための手段の機能を果たす。
【0049】
タンク(R2)の開口手段は、使用時にタンクを閉じる膜(223)を引き裂くように意図された可動ロッド(24)を含む。ロッドは、蓋のスリーブ(232)を通過することによりストッパ(20)に収容される。その下端部(242)は、部分的にハウジングのスリーブ(222)へと入り込んでいる。ロッドの上にはノブ(241)が載っている。
【0050】
ひとたびストッパに導入されると、ロッドは二つの主要な位置を取ることができる。
図7bおよび
図8aに示されている、高位置または閉鎖位置と呼ばれる第一の位置において、その下端部(242)は、膜(223)の近辺で、しかしそれに触れることなく、ハウジングのスリーブ(222)の内側に位置づけられている。ノブ(241)を有するロッドの上部部分は、半径方向の上部壁(23)よりも上でストッパの外側に位置づけられている。ロッド(24)は、ノブ(241)と半径方向の上部壁(23)との間でロッドの周りに設置された取り除き可能なクリップ(25)によりこの位置に保持される。このクリップ(25)は遮断手段としての役割を果たす。
【0051】
クリップ(25)が取り除かれた時に、ロッドを、
図8cに示されている、低位置または開口位置と呼ばれる第二の位置に達するまでストッパの中へとさらに押し下げることが可能である。この低位置において、ノブ(241)の下部面は、蓋の半径方向の壁(23)に当接しており、一方、下端部(242)は、膜(223)の引き裂き後、ハウジング(A2)のスリーブ(222)から突出する。この低位置においては、ボタン(241)のみが上部側でストッパから突出する。したがって、蓋がハウジングに設置される時、ロッドの長さは半径方向の上部壁(23)の外面とハウジングのスリーブ(222)の下端部との間の距離よりも大きい。
【0052】
ロッド(24)の部分においてタンク(R2)の封止を確実に行うために、ロッドには、第一の環状シール(243)が具備されている。このシールは、ロッドが高位置にある時は、シール(243)が蓋(23)のスリーブ(232)の内側に位置づけられ、それに接して位置するように、配置される。ロッドが低位置にある時は、このシール(243)は、蓋のスリーブ(232)の外側で、それよりも下に位置づけられている。ストッパの部分において封止を維持して、特に容器への汚染された空気の侵入を回避しなければならない場合、ロッドが低位置にある時でもスリーブ(232)にとどまるようにシール(243)を設置することが可能である。
【0053】
ロッドがストッパから取り除かれてタンク内部へアクセスがなされるのを防ぐため、環状の保持用肩部(247)が、ロッドに、シール(243)よりも下に、具備されている。この肩部は、ロッド(24)が充填後に高位置でストッパへとひとたび挿入されると、蓋(B2)のスリーブ(232)よりも下に設置されるように意図されている。この肩部の半径方向の(水平方向の)平面の断面は、蓋スリーブの断面よりも大きい。肩部は、軸方向の(垂直方向の)平面に三角形の横断面を有し、ロッドの自由端部(242)の方へと向けられたその下部面は、ロッドから離れるように上向きに傾斜し、一方、その上部面は、半径方向の(水平方向の)平面にある、またはロッドから離れるようにわずかに上向きに傾斜している。保持用肩部(247)の上部面とノブ(241)の下部面との間の距離は、クリップ(25)の高さおよびスリーブ(232)の高さにより画定される距離に等しいか、わずかに大きい。肩部は、その傾斜した下部面により、ストッパへのロッドの導入を妨げることはないが、その半径方向の、またはわずかに上向きに傾斜もした上部面は、スリーブ(232)の下端部に当接することにより、ロッドが上向きに引き抜かれることを防止する。保持用肩部(247)は、引き抜き防止手段の役割を果たす。
【0054】
ロッド(24)が高位置にある時に、タンク(R2)は、ハウジングのスリーブ(222)の部分において膜(223)により、そして蓋のスリーブ(232)の部分においてシール(243)により、封止状態で閉じられる。
【0055】
タンク(R2)の中身がストッパから流出できるようにするため、ロッドの下端部(242)の部分において軸方向の凹部(244)を少なくとも一つ、形成するようになっている。一つまたは複数の凹部(244)は、ハウジング(A2)のスリーブ(222)の高さよりも長く、そのため、ロッドが低位置にある時は、スリーブ(222)よりも上および下に突き出している。これらの凹部の上部部分は、シール(243)よりも下に、シールから離れて停止する。
【0056】
また、一つまたは複数の凹部(244)の代わりに、凹部(244)と同じところにおいてロッドの一部分を全体的に狭窄させることも可能であろう。この狭窄はまた、ロッドが低位置にある時は、それがスリーブ(222)よりも上および下に延在するように、このスリーブ(222)の高さよりも長くなければならない。この狭窄の上部部分は、シール(243)よりも下に、シールから離れて停止する。
【0057】
こうして、タンク(R2)の中身を放出するためには、クリップ(25)を取り除かなければならず、その後、ロッドのノブ(241)に対して半径方向の下部壁(22)に向かって圧力を加えなければならない。ロッドの下端部は、膜(223)を引きはがし、スリーブ(222)から突出し、こうして凹部(244)または狭窄がスリーブに設置され、これによってタンク(R2)に格納された製品のための一つ以上の出口開口部(228)が具備される。
【0058】
タンクが開いている間、ロッドの部分においてストッパの封止を維持することは必須ではないが、ロッドの上部部分で、ノブ(241)とシール(243)との間に一つ以上の軸方向の凹部(245)を具備し、ロッドが低位置にある時にタンク(R2)に空気が入ることができるようにすることは、有用であり得る。これらの軸方向の凹部は、ノブ(241)の内部まで延在する。
【0059】
ストッパ(20)の充填のために、ハウジング(A2)に蓋(B2)を設置し、次に蓋のスリーブ(232)を介してタンク(R2)に製品を導入しなければならない。これが、
図7aに示されている状況である。クリップ(25)が具備されたロッド(24)は、このとき、蓋の開口部(231)およびスリーブ(232)を介して、その下端部(242)がハウジングのスリーブ(222)に入り、引き抜き防止用の肩部がスリーブ(232)から出るまで、タンクに導入される。ストッパへのロッド(24)の入り込みは、蓋を形成する半径方向の上部壁(23)の外面と接触するクリップ(25)により制限される。また、最初にハウジングを充填し、次に蓋とロッドを配置することも可能であろう。
【0060】
第三の実施形態は、前述の実施例の一変形形態である。ストッパ(30)は、ハウジング(A3)、蓋(B3)、および取り除き可能なクリップ(35)により保持されたロッド(34)により構成されている。これらの部品は全て、ストッパ(20)の対応する部品と実質的に同じ特徴を有する。違いは、膜(223)の代わりにハウジング(A3)の開口部(321)およびスリーブ(322)を閉じる手段が、ロッド(34)の下端部(342)に具備されているということにある。この趣旨で、ロッド(34)は二つのシール(343、346)を有する。第一のシール(343)は、ストッパ(20)の実施例においてと同様、ロッドが高位置にある時に蓋の開口部(331)を取り囲むスリーブ(332)の部分においてタンクの封止を確実に行うために用いられる。第二のシール(346)は、ハウジング(A3)の開口部(321)を取り囲むスリーブ(322)の部分においてタンクの封止を確実に行う。それは、タンクが開いている時に製品を排出するための役割を果たす軸方向の一つまたは複数の凹部(344)よりも下に設置され、こうして、ロッドが高位置にある時は、第二のシールがハウジングスリーブ(322)の内側壁と接して位置し、一方、ロッドが低位置にある時は、このシールがスリーブ(322)の外側に位置づけられ、一つまたは複数の凹部(344)は、その下端部でスリーブ(322)よりも下でタンクから、その上端部で前記スリーブ(322)よりも上でタンクへと開口し、このように一つ以上の出口開口部(328)を具備する。
【0061】
ストッパ(20)の場合のように、ロッドは一つまたは複数の凹部(344)の代わりにその横断面の狭窄を有し得るであろう。第二のシール(346)は、狭窄より下に設置されなければならない。
【0062】
ストッパ(30)を充填するためには、半径方向の上部壁(33)の開口部(331)にロッドを導入するために、ハウジング(A3)と蓋(B3)を組立てることによって、タンクを形成することが必要であり、そうすることで、その自由端部がタンク(R3)の内部で、しかし半径方向の下部壁(32)の開口部(321)から離れて位置づけられる。ハウジング(A3)のスリーブ(322)が上面に位置づけられるように、部分的に導入されたロッドを有するストッパは次にひっくり返される。これは、
図10aに示されている位置に相当する。第一のシール(343)と軸方向の凹部(344)または狭窄との間のロッド(34)の半径方向の(水平方向の)断面は、蓋(B3)のスリーブ(332)の半径方向の(水平方向の)断面と同一であるか、わずかに小さいだけである。このように、蓋(B3)の開口部(331)はロッドにより閉じられ、製品はこの開口部(331)を通って漏れ出すことはない。充填が完了する時に、クリップ(35)を有するロッドは、クリップが蓋(B3)と当接するまでストッパ(30)の中へと完全に押し下げられる。
図10bに示されている、高位置または閉鎖位置と呼ばれるこの位置において、第二のシール(346)が具備されたロッドの下端部(342)はハウジングのスリーブ(322)に位置づけられ、一方、第一のシール(343)は、蓋(B3)のスリーブ(332)に位置づけられ、こうして二つのスリーブは封止された形で閉じられる。ロッドは、ロッドが高位置にある時に、ロッドの下端部の端面がハウジングのスリーブ(332)の自由端部とほぼ並ぶように、寸法決定される。
【0063】
タンク(R3)に格納された製品を放出するためには、ストッパ(20)の場合のように、クリップ(35)(
図11b参照)を取り除き、ロッドのノブ(341)を、ノブ(341)の下部側が半径方向の上部壁(33)の外面と当接することになるまで半径方向の下部壁(32)に向かって押し下げなければならない(
図11c参照)。ストッパ(20)の場合のように、出口開口部(321)が開いている時にタンク(R3)に空気が入ることができるように、ロッドには、ノブ(341)と第一のシールとの間に軸方向の一つ以上の凹部(345)が具備され得る。
【0064】
第四の実施形態において、ストッパ(40)は、ハウジング(A4)とピストン(B4)により構成されている。ハウジング(A4)は、本質的に円筒壁(41)と周縁部(412)により構成されている。円筒壁の下縁部は、半径方向の平面に位置づけられている。円筒壁(41)の上縁部は、同一で対称な、三つの段のセットを、二つ有する。この趣旨で、それは二つの同一で対称な部分に分割される。各部分は三つのセクターに分割され、そこで円筒壁は各々の場合において異なる高さを有する。第一のセクター(414)において、円筒壁はその最大の高さを有する。周縁部(412)は、これら二つのセクター(414)の部分において円筒壁の縁部に固定される。周縁部は、半径方向に、かつ円筒壁から外向きに延在する。第二のセクター(415)において、円筒壁はわずかに小さい高さを有し第二の段を形成する。第一と第二のセクター間に位置づけられた第三の部分において、切込み(416)の底面により第三の段が構成される。この第三の段は、第二のセクター(414)の部分において円筒壁の縁部により形成される第二の段よりもさらに低い。第一および第二のセクターの角度寸法は実質的に同一であり、一方、第三のセクターの角度寸法は、好ましくは有意にさらに小さいものである。
【0065】
ピストン(B4)は、半径方向の下部壁(42)と呼ばれる第一の半径方向の壁、および半径方向の上部壁(43)と呼ばれる第二の半径方向の壁により構成され、半径方向の二つの壁(42、43)は互いに、本実施例においては、垂直方向の四つのフィンにより補強されたコネクティングロッド(44)により連結されている。半径方向の下部壁(42)は、下方に方向づけられたフランジ(425)によりその周囲で延長され、一方、半径方向の上部壁(43)は、上方に方向づけられたフランジ(435)により、その周囲で延長されている。半径方向の壁(42、43)とそれらのフランジ(425、435)の直径は、実質的に円筒壁(41)の内径に相当する。使用される材料が許すならば、半径方向の壁とフランジの寸法は、それらが円筒壁の内面に押し付けられて、直接、封止を確実に行うように、選択される。また、本実施例において具備されているように、半径方向の壁にそのフランジを加えた直径を、円筒壁の内径よりもわずかに小さくすることも可能である。この場合、フランジ各々には、円筒壁(41)の内面に押し付けられて封止を確実に行う環状シール(426、436)が具備され得る。
【0066】
さらに、ピストン(B4)には始動ノブ(437)が具備されており、これを用いて、ハウジング(A4)内部でピストン(B4)を回転させることが可能である。この始動ノブ(437)は、半径方向の上部壁(43)の上部面および対応するフランジ(435)の内面に固定された垂直方向のプレートにより構成されている。プレートの高さはフランジの高さよりも大きく、そのためプレートは、フランジよりも上に垂直方向に突出している。フランジよりも上、またはフランジの部分に位置づけられたその部分において、プレートは半径方向にフランジを超えて延在し、二つのガイド要素(438)を形成する。これらのガイド要素の寸法は、前記ガイド要素が、閉じられるべき容器の開口部(93)に入ることができると同時に、円筒壁(41)の上縁部(414、415、416)上で支持され得るように、選択される。実際には、ガイド要素の部分においてノブを形成するプレートの長さは、円筒壁の内径と閉じられるべき開口部(93)の直径との間である。実際には、この長さが、ガイド要素(438)が円筒壁の外面により画定されるストッパの外側から突出しないように、円筒壁の外径よりも小さいことが好ましい。
【0067】
ピストン(B4)は、ハウジング(A4)の内部で三つの違った位置を取り得る。充填位置と呼ばれる第一の位置では、ピストンは、半径方向の下部壁(42)およびそのフランジ(425)が下縁部から離れて円筒壁の内側に位置づけられた状態で、ハウジングの内部に設置され、半径方向の上部壁(43)は切込み(416)のおよそ中間の高さのところで円筒壁の内部に設置され、ガイド要素(438)は周縁部(412)上で支持されるか、またはこれらの周縁部(412)よりも上にある。この位置で、タンク(R4)は、
図14aに示されているように半径方向の上部壁が切込み(416)の底面よりも上に位置づけられて、このようにタンクへのアクセスを残していることから、完全には閉じられていない。したがって、タンク(R4)を充填することが可能である。
【0068】
充填後、ガイド要素(438)が第二のセクター(415)の上に位置づけられるように、ピストン(B4)を回転させる。ガイド要素(438)が第一のセクターに位置づけられた周縁部(412)を離れるとすぐに、ガイド手段が第二のセクター(415)の円筒壁の縁部、すなわち第二の段に当接することになるまでピストンを押し下げることが可能になる。
図14bに示されている保管位置と呼ばれるこの第二の位置において、半径方向の下部壁(42)およびそのフランジ(425)は円筒壁(41)の下縁部の部分に位置づけられ、半径方向の上部壁(43)は円筒壁の内部で切込み(416)よりも下に位置づけられている。より具体的には、半径方向の下部壁(42)のフランジ(425)に位置づけられた環状シール(426)は、円筒壁の下縁部の近辺で、それよりもわずかに上に位置づけられている。同様に、半径方向の上部壁(42)のフランジ(435)に位置づけられた環状シール(436)は、切込み(416)の底辺の近辺で、それよりも下に位置づけられている。保管位置では、タンク(R4)は二つの環状シール(426、436)により封止されており、これらの環状シールは、ハウジング(A4)の内面に押し付けられている。
【0069】
ピストン(B4)がハウジング(A4)から取り除かれるのを防ぐために、半径方向の下部壁のフランジ(425)に保持用肩部(427)を具備することが好ましい。保管位置では、この肩部はハウジング(A4)の外側に位置づけられている。したがって、肩部(427)がハウジング(A4)の下縁部に当接するようになりピストンの上向きの動きを妨げることから、ピストンを保管位置から充填位置に動かすことは不可能である。同様に、ガイド要素が第二の段に当接してピストンの下向きの移動を妨げることから、タンクを誤って空にすることは不可能である。
【0070】
タンク(R4)を空にするためには、ガイド要素(438)を切込み(416)と並べて、次にピストンを押し下げてガイド要素がこれらの切込みに入るように、ピストン(B4)を再び回転させることが必要である。この位置において、半径方向の下部壁およびそのフランジはハウジングの外側でその下縁部よりも下に位置づけられ、一方、半径方向の上部壁はハウジング(A4)の内側に位置づけられている。タンクに格納された製品は、ハウジングの下縁部と半径方向の下部壁の上部面との間に形成される環状スロット(428)を通って流れることができる。製品の流れを容易にするために、半径方向の下部壁(42)の上部面はわずかに凸状、ドーム形、または円錐形であることが好ましい。
【0071】
この第四の実施形態においては、半径方向の下部壁は、出口開口部(428)そしてタンクを閉じるための手段の機能を果たし、ノブ(437)に結びつけられたロッド(44)は開口手段を形成する。円筒壁(41)の下縁部と半径方向の下部壁(42)との間に形成されるスロットは、出口開口部を構成する。ノブ(437)に及ぼされる圧力は、オペレータが手で加える、または透析装置により自動的に加えることができる。
【0072】
図に示されている実施形態において、ストッパおよびその構成要素部品は、いくつかの項目を除いて、それが閉じるよう意図されている開口部への挿入方向に平行な軸の周りで回転対称を有する。換言すると、それらの半径方向の(水平方向の)部分、すなわち挿入方向に直交する部分は、実質的に円の形状を有する。それでも、当然のことながら、少なくとも円筒部分(11)および半径方向の壁(12、13)には、閉じられるべき開口部(93)に適応した別の形状、例えば、楕円形、三角形、矩形などである横断面を与えることが可能であろう。第四の実施形態の場合、円筒壁の外面の横断面は必ずしも円形とはかぎらない。
【0073】
半径方向の上部面および下部面は必ずしも平坦ではなく、挿入軸に厳密に直交する平面から偏向してよい。詳細には、第四のストッパ(40)の実施例では、半径方向の下部壁がわずかに円錐形であることがわかる。したがって、半径方向の、という用語は、文字通りにすなわち直交方向と理解してはならず、より一般的な意味合いで理解しなければならない、すなわち、考慮対象の壁は円筒壁に対して単に斜め方向であり得る。
【0075】
第一段階において、ストッパのタンクに、意図された構成要素または構成要素群が充填される。一般的には、タンクには、クエン酸などの固体、または酢酸もしくは塩酸などの液体であってよい、少なくとも一つの酸が充填される。ひとたび閉じられると、ストッパは、安全に保管および輸送が可能である。
【0076】
第二段階において、コネクタ(9)およびパウチまたはカートリッジ(図示せず)で構成された容器には、その充填用開口部(93)を通って、透析溶液の組成の別の構成要素または構成要素群が充填される。一般的には、特にグルコースを含む固体濃縮物が使用される。容器の充填がひとたび完了すると、充填用開口部(93)は、予め充填されたストッパを用いて封止状態で閉じられる。こうして閉じられた容器は、直ちにユーザー、一般的には病院または透析センターに配送することができる。
【0077】
ストッパが充填された容器は、直ちに透析装置で使用することができる。
【0078】
この趣旨で、第三段階において、容器は、例えばその一つまたは複数の連結部分(91、92)を透析装置の対応するポートに導入することにより、透析装置に連結される。
【0079】
タンク(R1、R2、R3、R4)の開口は、透析装置に容器を連結する前、最中、または後に実施可能である。開口手段を始動すると開口部が作られ、タンクの中身は、この開口部を通ってパウチまたはカートリッジの中に流入することができる。開口手段の始動は、容器が装置に連結された後、透析装置により自動的に、または容器が連結される前もしくは後にオペレータにより手動で実施され得る。透析装置が、透析中に容器を維持するために所定の場所でコネクタの上面上に折り畳まれるカバーを有している時、このカバーを用いて開口手段を始動することも可能である。
【0080】
最後のステップでは、タンクの中身がひとたび容器の中に流入して容器が透析装置に連結されると、溶液形成用の液体を容器に導入することができ、こうして形成された濃縮された溶液は、従来の濃縮された溶液の場合のように、取り出されて透析装置の中に取り込まれる。
【0081】
場合によっては、例えば水が導入される時にまたは溶液が取り出される時に、空気をパウチまたはカートリッジに入れたりそこから出したりすることが有用であるかもしれない。この趣旨で、すでにいくつかの解決法が言及されてきた。例えば導入ラインまたは抽出ラインのうちの一つは空気吸入口としての役割を果たすことができ、またはコネクタ(9)には空気の通路専用の第三のラインが具備され得る。本発明のストッパの第二および第三の実施形態では、ロッド(24、34)の上面に配置された凹部(245、345)は、空気がストッパを介して容器またはカートリッジの外側と内側との間で循環できるように、具備され得る。第一の実施形態の場合、第二の円筒壁(131)の外側で、ピストン(B1)の半径方向の上部壁(13)に通気用開口部(O1、O2)を具備することが可能である。この解決法は、
図15および
図16に概略的に示されている。このときピストン(B1)の円筒壁(131)には、ハウジング(A1)の円筒壁(11)の内面に接して封止する形で位置する封止用リブ(N1、N2)が具備されている。リブは、ピストンの自由端部の部分において延在し得(
図16a/b)、または実質的に半径方向であり得る(
図15a/b)。したがって、ピストン(A1)がまだ押し下げられていない時、開口部は、二つの円筒壁(11、131)の間に含まれる環状部分、半径方向の上部壁(13)、および、封止用リブ(N1、N2)のみを外部と接触させる。こうして、タンク(R1)はこの封止用リブにより外部から隔絶されている。ピストン(B1)がハウジング(A1)に押し下げられた後、ピストンの自由端部はハウジング(A1)の半径方向の下部壁(12)を引き裂くことになり、リブ(N1、N2)はハウジング(A1)から出る。こうして、開口部(O1、O2)、二つの円筒壁(11、131)の間の環状部分、および、出口開口部(128)、の間に、空気の通路が作られる。この空気の通路は、概略的に破線で表されている。それは必要に応じて空気の出入りを可能にする。開口部(O1、O2)を、浄化された空気もしくは無菌空気の供給源に連結させること、または外気へと開口することができる。
【0082】
四つの実施形態に適用可能な図示されていないこの通気用開口部の変形実施形態では、通気用開口部が、半径方向の上部壁(13、23、33、43)を通って延在し、タンク(R1、R2、R3、R4)に直接開口することができる。この場合、通気用開口部は、出口開口部を作るための手段を始動させる時に、必要であれば取り除くことのできる取り除き可能なキャップにより閉じられなければならない。
【0083】
導入用開口部を閉じるためにタンクを具備したストッパを使用することによって、構成要素の大部分が固体である酸性の濃縮物を透析患者に提供することが可能になる。構成要素が分離されているため、濃縮物は安定している。さらに、ストッパのタンクの中身だけが液体の形であるにすぎない。したがって、オペレータは、溶液のために必要な構成要素を格納する容器を操作するだけであり、溶液形成用の液体を操作することはない。したがって、これらの容器は、はるかに軽量で扱いやすい。これらの容器の保管に必要な空間は、より小さい。
【0084】
工業的観点から見ると、充填用チャネルが開いた状態で、空の容器を第一の工業用サイトで製造することができる。
【0085】
ストッパの充填は、第二の工業用サイトで実施可能である。
【0086】
このように、空の容器および充填されたストッパを世界中に分布する充填センターに配送することができる。これらのセンターで、容器は充填され、ストッパは充填用チャネルの所定の場所に置かれる。充填された容器を現地の市場に配送することのみが必要となる。
【0087】
この手順では、充填された容器の移動距離が限定されることから、輸送および取り扱いコストを大幅に削減できる。空の容器(したがって軽量でコンパクト)およびストッパのみが長距離を移動する。