(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027684
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】バイオバーデン試料を回収及び検出するための使い捨て容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20161107BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20161107BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20161107BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/34 B
C12Q1/06
G01N1/10 B
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-532268(P2015-532268)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公表番号】特表2015-533492(P2015-533492A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】CN2012081889
(87)【国際公開番号】WO2014047770
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】シウ,シュクアン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ウェンウェン
【審査官】
松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−528611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/26
C12M 1/34
C12Q 1/06
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物検出プロセス用の試料容器であって、
a.上部開口部と、対向する底部開口部とを有する容器と、
b.上部開口部をシールする上部キャップであって、上部キャップが、複数の流体流れ孔を有する凹んだ蓋部を含むシール蓋、及び流れ孔の下側のメンブレンフィルター層を有する、上部キャップと、
c.底部開口部をシールする底部キャップアセンブリと
を備えており、容器が、円筒形の本体と、本体よりも小径のネック部と、本体部及びネック部の中間にあるテーパ部分とを有しており、上部キャップが、ネック部に着脱可能に嵌合し、底部キャップアセンブリが、底部開口部に着脱可能に嵌合する、容器。
【請求項2】
底部キャップアセンブリが、外側キャップ部材と、外側キャップの下側の流体不浸透性エラストマー層とを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
エラストマー層が、針付き注射器によって穿刺可能である、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
上部キャップが、シール蓋を覆う保護フィルム層を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
シール蓋が、凹んだ蓋部を囲む、環状に隆起したランド領域を備え、凹んだ蓋部が、略平坦である、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
容器が、使い捨てである、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
流体試料中の微生物の存在を検出する方法であって、
i.回収ボトルの少なくとも一部を、分析対象微生物を含む流体試料で充填するステップであって、回収ボトルが、対向する上部開口部及び底部開口部を有し、開口部の少なくとも1つが、充填するステップ中にシールされる、充填するステップと、
ii.開口部の1つに、第1のキャップ部材を設けるステップであって、キャップが、複数の流体流れ孔を有する第1の面、及び第1の面の下側のメンブレンフィルター層を有する、第1のキャップ部材を設けるステップと、
iii.他の開口部に、第2のキャップ部材を設けるステップであって、第2のキャップ部材が、流体不浸透性であって、針で穿刺可能な面を有する、第2のキャップ部材を設けるステップと、
iv.第1のキャップ部材を通して、流体試料を排出することによって、メンブレンフィルター(MF)層に分析対象微生物を堆積させる、排出するステップと、
v.流体不浸透性であって、針で穿刺可能な面を通して、流体試料に試薬を注入するステップであって、試薬は、メンブレンフィルター(MF)層に検出可能な存在を形成するために、分析対象微生物と反応するように適合されている、試薬を注入するステップと、
vi.分析対象微生物を検出するために、検出器をメンブレンフィルター(MF)層と操作可能に連動するように配置するステップと
を含む方法。
【請求項8】
試薬が、染色剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
試薬が、メンブレンフィルター(MF)層で微生物が発光するように適合された発光剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
検出器が、顕微鏡である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
検出器が、カメラを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
回収ボトルをボトル保持アセンブリに配置するステップを更に含み、試薬を流体試料に注入するステップの後に、第1のキャップ部材を回収ボトルから分離させる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
台座が担持する把持部材に、第1のキャップ部材を固定するステップを更に含み、台座、及びボトル保持アセンブリを互いに動かすことによって、第1のキャップ部材を、回収ボトルから分離させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のキャップ部材に流体導管を接続するステップと、流体導管を通して流体試料を排出するステップとを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
導管に真空源を適用するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な微生物検出方法のための、分析対象微生物を含む流体試料の回収及び検出において、有用な使い捨て容器に関する。また、本発明は、その容器を流体試料の貯蔵容器として用いて行う、微生物測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオバーデン試験は、医療、食品、化粧品、及び他の産業において、様々な試料の微生物含有量を評価する上で、ますます重要な役割を果たすようになっている。バイオバーデン試験は、微生物数計測、生菌数計測、全菌数計測、平板菌数計測、コロニー数計測、従属栄養細菌数計測、中温性細菌数計測を含む、多くの名称で知られている。基本的に、バイオバーデンは、様々な製品や構成材料に関する、微生物集団の評価である。この微生物集団が、使用される原料、生産環境、様々な製造段階での製品の取り扱いの清浄度に関係することは、明らかである。
【0003】
微生物数を測定する1つの方法は、メンブレンフィルターを使用して微生物数を測定する、メンブレンフィルター(MF)法である。このようなMFに関連する方法において、流体試料を含む検体は、所望の分析対象微生物をMFに捕捉するために、MFで濾過される。場合によっては、捕捉された微生物、及びMFは、微生物を培養するための培地と接触して置かれる。微生物を含む、微生物のコロニー数は、顕微鏡やカメラを用いて計測することができる。
【0004】
いくつかの方法において、MF上に捕捉された微生物の計測は、培地の使用等によって微生物を培養する必要なしに、直接行うことができる。このような場合には、顕微鏡やカメラによる微生物の検出は、検出器の操作可能な連動、例えば、顕微鏡やカメラのMFとの連動により、直接行うことができる。このような多くの直接測定技術において、微生物検出を容易にするために、微生物と反応する染色試薬や発光試薬に、微生物を接触させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0176273号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、流体試料を回収し、顕微鏡やカメラ等の検出機構による、その後のコロニー検出用に、試料中の微生物のMFへの堆積を容易にするために使用できる容器を提供する。
【0007】
1つの例示的な実施形態では、本発明は、容器が、一般的な透明なプラスチックボトルの本体と、濾過膜で覆われた中央部に、複数の排出口を有し、保護フィルムでシールされた、特殊な構造のキャップとを備える、バイオバーデン試料の選択及び検出のための使い捨て容器に関する。この容器はまた、ゴム板を有する、着脱可能な底部キャップも備える。
【0008】
本システムは、容器が、水試料を選択するための、キャップを備えた通常のボトルとして機能する方法を開示する。一実施形態では、容器は、試料調製中に、排出ポンプに接続されたステージ、すなわち台座アセンブリに、上下を逆にして置くことができる。容器は、台座上で位置決めされて、クランプ機構によって固定され、台座は、容器の特殊なキャップを保持する。ポンプをオンにすることにより、容器内の水試料が、特殊なキャップの濾過膜と排出口を通って、排出され廃棄される。試料の細菌は、濾過膜に残留し、ポンプがオフにされる。針機構を下向きにして、底部キャップのゴム板を通して、容器内に染色その他の試薬を注入する。試薬は、標準的な染色プロセスによって排出される。
【0009】
試料調整プロセス後、容器は、特殊なキャップを保持している同一のクランプ機構を用いて、別の段階に移行することになる。別の機構では、ボトル本体、及び底部キャップは除去されるが、濾過膜を有する特殊なキャップは台座上に残り、膜は上方を向いている。顕微鏡機構が、検出プロセスのために、膜の近くに位置決めされる。プロセスが完了した後、使い捨て容器は、分析システムから排出することができる。
【0010】
一実施形態では、試料容器は、微生物検出プロセス用に提供される。容器は、上部開口部と、対向する底部開口部とを有している。上部キャップは、上部開口部をシールし、上部キャップは、凹んだ蓋部を有するシール蓋を備えている。この凹んだ蓋部は、複数の流体流れ孔を有している。凹んだ蓋の片面には、流れ孔の下層にメンブレンフィルター(MF)層がある。底部キャップアセンブリによって、容器の底部開口部がシールされる。
【0011】
他の例示的な実施形態では、底部キャップアセンブリは、外側キャップ部材と、外側キャップの下側の流体不浸透性エラストマー層とを備えている。エラストマー層は、針付き注射器、又は他の鋭利な物体によって穿刺可能である。
【0012】
本発明の別の態様において、上部キャップは、シール蓋を覆う保護フィルム層を備えている。更に別の実施形態では、シール蓋は、凹んだ蓋部を囲む、環状に隆起したランド領域を有する。凹んだ蓋部は、略平坦な表面を有し得る。
【0013】
本発明の更に別の実施形態では、容器は、断面が円筒形の本体部材と、本体部よりも小径のネック部とを備える。更に、いくつかの実施形態では、本体部とネック部との中間に、テーパ部分が設けられる。いくつかの実施形態では、テーパ部分は、円錐台に類似した断面を有している。上部キャップは、ネック部に着脱自在に嵌合し、底部キャップアセンブリは、底部開口部に着脱可能に嵌合する。
【0014】
本発明の他の態様は、流体試料中の微生物の存在を検出する方法に関する。いくつかの実施形態では、回収ボトルの少なくとも一部に、所望の分析対象微生物を含む流体試料が充填される。容器の一方の開口部に、第1のキャップ部材が設けられ、この第1のキャップは、流体流れ孔を有する第1の面、及びこの第1の面の下層に、メンブレンフィルター(MF)層を有している。第2のキャップ部材が、容器の他方の開口部に設けられ、この第2のキャップ部材は、流体不浸透性であるが、針で穿刺可能な面を有している。流体試料が、第1のキャップ部材を通って排出されることによって、分析対象微生物が、第1のキャップのMF層に堆積する。流体不浸透性で、針で穿刺可能な第2のキャップ面を通して、試薬が流体試料に注入される。試薬は、MF層で検出可能な存在を形成するために、流体試料中の分析対象微生物と反応するように適合される。MF層で分析対象微生物の存在を検出するために、検出器が、MF層と操作可能に連動するように配置される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、試薬は染色剤を含み、場合によっては、試薬は、MF層で微生物が発光するように適合された蛍光剤を含んでいる。検出器は、場合によっては、顕微鏡やカメラ等であってもよい。また、検出器は、MFに直接挿入することができる光検出素子を備えた、CCD(冷却固体カメラ装置)であってもよい。
【0016】
本発明の更に別の実施形態では、回収ボトルは、ボトル保持アセンブリに配置されている。試薬が流体試料に注入された後、第1のキャップ部材は、回収ボトルから分離される。いくつかの実施形態では、第1のキャップ部材は、台座が担持する把持部材に配置されている。台座及び保持アセンブリを、ねじる等、互いに動かすことによって、第1のキャップ部材が回収ボトルから分離する。本発明の他の実施形態では、流体導管が、第1のキャップ部材に接続されており、流体試料は、第1のキャップ部材を通って、流体導管に排出される。排出を促すために、吸引手段、すなわちポンプ手段を導管に取り付けることができ、真空源が導管を介して、キャップ部材とそれに関連したMF層を通る、完全かつ迅速な流体排出を確実にする。
【0017】
本発明は、添付の図面と併せて、更に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】いくつかの部分が破線で示されている、バイオバーデン試料選択及び検出容器の側面図である。
【
図2】上部キャップから保護フィルムを除去した、
図1の容器の側面図である。
【
図3】容器のいくつかの部分を取り外した、容器の分解側面図である。
【
図4】流体が容器から排出される排出段階中の、容器、関連する保持アセンブリ、及び台座の部分破断等角投影図である。
【
図5】
図4と同様であるが、メンブレンフィルター(MF)を担持する台座を、容器保持アセンブリから分離させた、バイオバーデン試験プロセスにおける別の段階を示す部分破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図3を参照すると、バイオバーデン試料を選択及び検出するための使い捨て容器2が示されている。容器は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、又は他のプラスチック材料等の、透明なプラスチック材料で構成されている。示されているように、容器は、断面が円筒形の本体部分8と、本体8に重なる、一般的な円錐台形状の、テーパ部すなわち径減少部分10とを備える。
図1に示すように、容器の最上部は、狭窄したネック部9によって画定され、その上のキャップ部分は、ねじ係合、スナップ嵌合、その他の類似の取り付け手段によって係合するように構成されている。
図1を具体的に参照すると、保護フィルム14が容器の上部に設けられ、容易に除去できるように、例えば、容器の上部に焼き嵌めされる。上部キャップ12はまた、環状のシール蓋17部分も有している。上部キャップアセンブリは、容器の上部開口部5の上部に嵌合して、シールしている。
【0020】
容器2の下端には、着脱可能な外側キャップ20が、ボトルの底部すなわち基部に設けられている。流体不浸透性ゴム層(ダイヤフラム)26、又は同様の面が、ボトルの下端の内側に沿って設けられており、これは、ボトルの基部にねじ込み、又はスナップ嵌合できるシールキャップ24を介して、ボトルの底部に固定することができる。外側キャップ20は、容器の底部開口部7をシールする。
【0021】
図2において、保護フィルム14が上部キャップ12から除去されて環状のシール蓋17が露出しているが、これは、ネック部9の円周内に摩擦嵌合するのが好ましい。環状のシール蓋17は、複数の孔16を有する凹んだ平坦な部分を囲む、環状に隆起したランド領域15を備えている。孔16によって、シール蓋17を通る流体の流れが容易になる。シール蓋17の下部すなわち底部側には、メンブレンフィルター18があり、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、及びポリ(フッ化ビニリデン)から構成され得る。後で詳しく説明するように、この膜は、そこで微生物種を保持するように機能する。
【0022】
図3は、反転して配置された容器を示している。これは、一実施形態では、バイオバーデン試料採取及び検出を容易にするために、ボトルが配置される向きである。ここでは、着脱可能な外側キャップ20が除去されて、環状のシールキャップ24、及びその下層の流体不浸透性ゴム層26が露出している。流体不浸透性ゴム層26は、そこを通る流体の流れに対して障壁として作用するようになっているが、この層は、皮下注射針等の鋭利な物体で穿刺することができる。流体不浸透性ゴム層26は、EPDM、スチレンブタジエン、アクリロニトリル/ブタジエン、ポリクロロプレン、又は天然ゴム等の、エラストマー材料で形成されることが好ましい。また、
図3において、保護フィルム14は、ここでは反転しているボトルの上部から除去されて、環状のシール蓋17の底部側のメンブレンフィルター18が露出しており、蓋の凹んだ部分の孔16のある側は、メンブレンフィルター18の下側に配置されている。
【0023】
バイオバーデン試験を行うために、容器2には、分析対象微生物種を含む、水その他の流体試料が充填されている。容器2は、
図4に示すタイプのような、ボトル保持アセンブリ100に配置することができる。ここで、ボトル保持アセンブリ100は、2つの対向するプラテン部材102、104を備え、上プラテン102は、コネクタ106、108、110、112を介して下プラテン104に接合され、コネクタのすべてが、コイルばね114、116によってもたらされるばね張力を調節することができる。例えば、ゴム製ダイヤフラム、又は同様の弾性材料から構成されている抜け止め部材120は、上プラテン102から下方に垂下し、ボトル保持アセンブリ100において、容器2を確実に掴んで保持するために、容器2の形状に適合する、一般的な形状を有している。
【0024】
図4に示すように、台座140は、下プラテン104の下に位置し、環状のシール蓋17は、台座上に担持されたヨーク部材142と144との間で係合し、ヨーク部材142、144は、共にシール蓋17を丸く囲んでいる。ヨーク部材によってシール蓋17を確実に把持するよう、ばね146、148の張力を変化させるために、止めねじ等を使用してもよい。この時点で、保護フィルム14は、上部キャップ12から除去され、メンブレンフィルター18(
図3)は、容器2の内容物と直接流体連通する。導管150は、収束型コネクタその他の装置(図示せず)を介して、ここでは反転しているボトルの上部に接続される。真空源154すなわちポンプが、弁部材152が設けられていることによって、容器2に連通する。容器2内の流体試料に、染色、発光、洗浄その他の試薬、又は純水を注入するために、皮下注射針等が、ボトルの穿刺可能なゴム層を通して挿入される。
【0025】
吸引すなわちポンプをオンにすることによって、試料内の流体は、メンブレンフィルター18、及びシール蓋17の排出孔16を通って排出され、廃棄される。濾過膜の孔径によって、試料の微生物種がメンブレンフィルター18に捕捉され、その後、ポンプすなわち真空源がオフにされる。こうして、ボトルから流体を排出した後に、従来の技術を介して微生物の計測を行えるように、微生物種及び試薬をメンブレンフィルター18の表面に配置する。
【0026】
図5を参照すると、示されているように、台座140は、メンブレンフィルター18に微生物種及び試薬が配置された状態で、下プラテン104から取り外されている。このプロセスの直前に、シール蓋17は、容器の残りの部分から取り外され、シール蓋17は台座上に残された。
図5に示すように、ばね146、148のばね張力が緩和され、シール蓋17は、ヨーク部材142、144で緩く囲まれている。この段階で、分析対象微生物種を計測又は検出するために、顕微鏡等の検出器を膜に近づけることができる。検査終了後、容器2は、廃棄してもよい。
【0027】
上述したように、バイオバーデン試料を選択及び検出するための使い捨て容器が、提供されていることは明らかである。この容器は、流体試料を選択するための通常のボトルになり、キャップによってシールされている。本発明の1つの態様において、この容器は、次に、試料の調製(濾過、染色)、及び検出(撮像)のために、上下を逆にしてステージに配置される。
【0028】
バイオバーデン測定プロセスは、流体不浸透性ゴム層26を穿刺する注射器等を介して、容器2内の流体試料に染色試薬が注入される測色測定技術等の、様々な従来の技術のうちの、いずれか1つを含むことができる。バイオバーデンレベルを評価するため、メンブレンフィルター18上の微生物コロニーを計測するための顕微鏡等が用いられる。
【0029】
また、別の例示的なバイオバーデン試験方法は、穿刺可能な流体不浸透性ゴム層26を通した、容器2内の試料への、発光又は蛍光試薬の注入を含み得る。この後に、メンブレンフィルター18の表面に捕捉された所望の分析対象微生物種は、メンブレンフィルター18に近接して配置されたカメラ等を介して検出することができる。
【0030】
利用できる他のバイオバーデン試験手順に、「インサイチュ細胞分裂」法が含まれる。この方法は、細胞が肉眼で見えるようになる前に、生体の標的細胞を検出するための、直接成長迅速法である。この方法において、試料は、微生物を捕捉するために、MFを通して濾過される。MFは、栄養寒天プレートに移され、標的細胞は、その場での(インサイチュ)呼吸によって、微小コロニーを形成することができる(これは、通常、培養に3時間程度かかる)。微小コロニーには、青色LED(Ex450〜500nm、Em510〜560nm)が照射される。細胞の自家蛍光を検出するためにCCDチップが使用され、各微小コロニーを覆う感光画素を自動的に計測するために、分析ソフトウェアが使用される。
【0031】
別の例示的なバイオバーデン試験手順は、「固相サイトメトリー(SPC)法」として知られている。この方法は、以下の連続した手順で、全生存細胞(TVC)を検出する迅速法である。(a)微生物を捕捉するために、黒色ポリエステル又はポリカーボネートのMFで試料を濾過する。(b)代謝的に活性な細胞だけを標識するために、MFをフルオロカーボン染料を含むパッドに移し、培養する。(c)アルゴンレーザ走査(Ex480nm、Em515nm)で、標識された細胞が発する蛍光を検出する。(d)蛍光粒子から有効なシグナルを区別するために、コンピュータでシグナルを処理する。(e)全生存細胞を定量化する。
【0032】
濾過膜の孔径は、その上に固着した微生物分析物を捕捉するように選択される。この孔径は、例えば、約0.05μm〜約0.65μmまでの孔径を含み、広い範囲で変えることができる。例示的なメンブレンフィルター(MF)として、以下のものが挙げられる。1)直径25mm、厚さ7〜20μm、孔径0.4μm。2)直径25mm、厚さ6〜11μm、孔径0.2μm。3)直径47mm、厚さ7〜22μm、孔径0.45μm。適切なメンブレンフィルター18を選択することは、当業者の技術の範囲内である。
【0033】
バイオバーデン試験は、様々な微生物の存在を測定し、レベルを計測するために行えることが、当業者には理解されるであろう。例えば、様々な細菌、真菌、カビ、酵母菌、及び胞子の計測は、本発明の容器及び方法を用いて行うことができる。
【0034】
本発明は、本明細書に記載及び図示されている説明に限定されるものではなく、様々な本発明の実施形態の単なる例示であるとみなされ、種々の修正に適するものであることを理解されたい。本発明は、添付の特許請求の範囲で定義されている精神及び範囲で、このようなすべての修正を包含することを意図している。