(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027690
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】窒化物単結晶体を成長させる装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/38 20060101AFI20161107BHJP
C30B 19/10 20060101ALI20161107BHJP
H01L 21/208 20060101ALI20161107BHJP
C30B 19/02 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
C30B29/38 D
C30B19/10
H01L21/208 D
C30B19/02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-543313(P2015-543313)
(86)(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公表番号】特表2016-504254(P2016-504254A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】CN2014081877
(87)【国際公開番号】WO2015058559
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】201310498099.8
(32)【優先日】2013年10月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515124521
【氏名又は名称】北京大學東莞光電研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】劉 南柳
(72)【発明者】
【氏名】梁 智文
(72)【発明者】
【氏名】陳 蛟
(72)【発明者】
【氏名】張 國義
【審査官】
塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−083706(JP,A)
【文献】
特開2011−207640(JP,A)
【文献】
特開2003−300799(JP,A)
【文献】
米国特許第3486937(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
H01L 21/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温高圧に耐えられる反応炉である窒化物単結晶体成長装置であって、
前記反応炉が互いに連通する結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを含み、前記2つのチャンバ間の連通箇所に導通制御装置が設けられ、
前記結晶予備成長領域チャンバの外側面及び底面の外部と前記結晶成長領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が各々設けられ、
前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの上方に導通制御装置が各々設けられ、前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの上方にある導通制御装置がガス供給管を通じてガスボンベと連なり、
前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間は、遷移領域チャンバを通じて互いに連通し、
前記遷移領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が設けられ、前記遷移領域チャンバの上方に導通制御装置が設けられ、前記遷移領域チャンバの上方にある導通制御装置がガス供給管を通じてガスボンベと連なることを特徴とする窒化物単結晶体成長装置。
【請求項2】
前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバ間の連通箇所にある導通制御装置の一側にはメッシュフィルタを設けることを特徴とする請求項1に記載の窒化物単結晶体成長装置。
【請求項3】
前記結晶成長領域チャンバ内に種結晶テンプレートが配置され、前記種結晶テンプレートは、単一のサファイア基板、炭化ケイ素基板、ケイ素基板或いは前記いずれかの基板上に沈着する窒化物薄膜の複合基板又は窒化物自立基板とし、前記基板の表面は極性c面若しくは無極性面或いは半極性面であることを特徴とする請求項2に記載の窒化物単結晶体成長装置。
【請求項4】
A.結晶予備成長領域チャンバ、結晶成長領域チャンバ、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通する少なくとも1つの遷移領域チャンバ及び前記各チャンバー間の連通箇所にある導通制御装置を設け、前記結晶成長領域チャンバに種結晶を置き、前記各チャンバー間の連通箇所にある導通制御装置を閉めるステップと、
B.結晶予備成長領域チャンバに原料を導入し、前記原料の溶解が成長に要する過飽和状態の条件に達した時、前記結晶予備成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバ間の前記導通制御装置を開いて、前記原料溶液が前記遷移領域チャンバに入るステップと、
C.前記結晶成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバ間の前記導通制御装置を開いて安定な過飽和状態にある前記原料溶液が前記結晶成長領域チャンバに入って結晶成長を開始するステップと、を含むことを特徴とする窒化物単結晶体成長方法であって、
結晶成長過程中、安定な過飽和状態にある前記原料溶液の流動過程は、
前記結晶予備成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバの圧力差を調整制御することにより、過飽和状態にある前記原料溶液が調整制御する前記結晶予備成長領域チャンバから隣り合う前記遷移領域チャンバに入った後、前記結晶予備成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバの連通を遮断させ、前記結晶予備成長領域チャンバ内の液面高さは隣り合う前記遷移領域チャンバの液面高さより低く、
安定な過飽和状態にある前記原料溶液は前記結晶成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバに入った時、前記結晶成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバの圧力差を調整制御を通じてすることにより、前記2つのチャンバの液面の高低差ΔHを調整制御し、前記種結晶表面から液面までの高低差Δhの調整により、前記成長領域チャンバの前記原料溶液液相表面から前記種結晶の上部表面までの距離ΔhをN原子がある成長条件に達する自由行程拡散範囲内に制御することであり、
結晶成長完了後、安定な過飽和状態にある前記原料溶液の流動過程は、前記結晶成長領域チャンバと隣り合う前記遷移領域チャンバの間の圧力差を調整制御して、結晶成長の原料溶液を隣り合う前記遷移領域チャンバに還流させ、還流後の前記原料溶液の液面が単結晶体の上部表面より低くなり、窒化物単結晶体表面と成長溶液の接触を分離することであることを特徴とする窒化物単結晶体成長方法。
【請求項5】
前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通する遷移領域チャンバは、2つ以上の場合、隣り合う2つの前記遷移領域チャンバの圧力差を調整制御することによって、安定な過飽和状態にある前記原料溶液が次の遷移領域チャンバに入った後隣り合う2つの前記遷移領域チャンバの連通を遮断させることを特徴とする請求項4に記載の窒化物単結晶体成長方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の光電子材料分野に関し、特に、新型の窒化物単結晶体を液相エピタキシャル成長させる装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNは、第3世代半導体材料で、そのワイドバンドギャップ、高耐圧、熱伝導率の高い等の特長により、高電力LED/LD及び高周波高速マイクロ波検出等のハイエンドGaNベース光電デバイスの製造分野において、市場において先見性に優れているためすでに業界から幅広く関心が寄せられている。
【0003】
GaN材料は、常圧下において温度が877℃に達した時金属ガリウムと窒素ガスに分解するため、高温高圧下のみで溶融(2220℃、6GPa)を実現できる。従来のケイ素、ガリウムヒ素等の半導体単結晶基板を製造するチョクラルスキー法(Czochralski法或いはCZ法)では、GaN基板材料の成長が難しい。GaN基板材料の欠乏により、やむなく現在GaNベースデバイスが異質エピタキシャル技術を用いて製造している。エピタキシャル材料と異種基板間の格子と熱応力のミスマッチによりエピタキシャル層の転位密度が高くなり、デバイスの性能に影響を及ぼしてしまう。よって、高品質のGaN自立基板を用いて同種エピタキシャル技術を発展させることが、高電力LED/LD、高周波高効率マイクロ波電力GaNベースデバイスを実現する鍵である。
【0004】
現在、GaN単結晶体製造方法は、主にハイドライド気相成長法(HVPE)、高温高圧法(HPNS)、ナトリウムフラックス(Na Flux)法及びアンモサーマル成長法(Ammothermal growth)等がある。HVPE成長速度が速く、大型サイズで成長できるが、製造された単結晶体に転位密度の比較的高い(〜106cm−2)と残留応力等の問題が存在している。HPNSで製造された結晶の品質が良い(〜102cm−2)が、成長条件が厳しい(1700℃、2GPa)。アンモサーマル成長法で合成した結晶の品質も悪くない(〜103cm−2)が、結晶成長速度が比較的遅く、実験室の設備に対する要求が比較的高く、産業化の生産に不利になる。Na Flux成長条件が丁度よく(700〜1000℃、4〜5MPa)、結晶の品質が比較的良好(〜104cm−2)で、現在GaN単結晶体を製造するベストルートである。現在Na Flux法によるGaN成長はすでに一定の進展があり、直径が2インチ以上、厚みが2cm以上のGaN単結晶体を得た。だだし、従来の反応器はただシングルチャンバで、一般的に原料と種結晶を混合してから直接昇温して単結晶体の成長を行う。こうすると、昇温加圧及び成長完了後降温の過程中、原料溶液が単結晶成長条件に達していない時種結晶表面と接触して多結晶GaN及びその他の中間生成物を形成し、結晶品質に影響を及ぼす。同時に、気液界面でGaN多結晶を生成したことにより、結晶成長速度が比較的遅くなり原料の利用率が低いことも従来のシングルチャンバ反応炉構造で克服できない欠点であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、Na Flux法によるGaN成長の反応条件及び動力学原理を結合し、窒化物成長過程中、結晶核が種結晶表面において優先して成長し、気液界面の多結晶窒化物の形成を抑制し、窒化物単結晶体の成長速度を高め、結晶品質を改善し、効果的に従来のシングルチャンバ反応炉の欠点を克服できる新型の反応器及び窒化物単結晶体成長方法を提供する。
【0006】
本発明が設計した反応炉は、互いに連通する結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバととを含む。反応炉の結晶予備成長領域チャンバは、原料条件の制御特徴と機能を有し、結晶成長領域チャンバが成長動力学条件の制御特徴と機能を有する。結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバ間の連通箇所に導通制御装置が設けられる。上記チャンバの間は直接連通或いは保温筒又は遷移領域チャンバを通じて間接的に連通できるため、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバ間の連通箇所は、2つのチャンバが直接連なる部分を指し、またも結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通する保温筒、遷移領域チャンバと結晶予備成長領域チャンバを連通する部分、遷移領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通する部分及び2つの遷移領域チャンバごとの間の連通部分も指すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的に次の技術的思想を採用し、つまり本発明が設計した窒化物単結晶体成長装置は、高温高圧に耐えられる反応炉で、該反応炉の中核構造が互いに連通する結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを含み、結晶予備成長領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が設けられ、結晶成長領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が設けられ、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間に連通又は遮断を制御する導通制御装置が設けられ、結晶予備成長領域チャンバの上方に導通制御装置が設けられ、結晶成長領域チャンバの上方に導通制御装置が設けられ、前記各導通制御装置が窒素含有反応物のガス供給管を通じてガスボンベと連なる。
【0008】
更に上記窒化物単結晶体成長装置において、前記導通制御装置の一側にはメッシュフィルタを設け、未溶解原料又は結晶内の不純物が結晶成長領域チャンバに入ることを阻止又は減少するために用いられる。
【0009】
更に上記窒化物単結晶体成長装置において、前記結晶成長領域チャンバ内に種結晶テンプレートが配置される。前記種結晶テンプレートは、単一のサファイヤ基板、炭化ケイ素基板、ケイ素基板或いは上記いずれかの基板上に沈着する窒化物薄膜の複合基板又は窒化物自立基板とすることができる。上記基板の表面は、極性c面若しくは無極性面或いは半極性面である。
【0010】
更に上記窒化物単結晶体成長装置の他の実施形態において、前記反応炉は互いに連通する結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを設け、前記結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間で少なくとも1つの遷移領域チャンバが連通しており、結晶予備成長領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が設けられ、結晶成長領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が設けられ、各遷移領域チャンバの外側面及び底面の外部に加熱装置が各々設けられる。遷移領域チャンバと結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバとの連通箇所に連通又は遮断を制御する導通制御装置が各々設けられる。結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバと遷移領域チャンバの上方に導通制御装置が各々設けられ、各々導通制御装置が窒素含有反応物のガス供給管を通じてガスボンベと連なる。
【0011】
更に上記窒化物単結結晶成長の遷移領域チャンバを改良し、遷移領域チャンバと連通又は遮断する導通制御装置を制御し、導通制御装置の一側に1つのメッシュフィルタが各々設けられる。2つの遷移領域チャンバごとの間に未溶解原料又は結晶内の不純物が次の遷移領域チャンバに入ることを阻止又は減少するためのメッシュフィルタが設けられる。
【0012】
前記結晶予備成長領域チャンバは、原料の加圧・加熱・溶解に用いられ、前記結晶成長領域チャンバが窒化物単結晶体の成長に用いられる。
【0013】
本発明は、更に窒化物単結晶体成長方法を提供し、次のステップを含む。
A.結晶予備成長領域チャンバ、結晶成長領域チャンバ、前記2つのチャンバ間にある導通制御装置を設け、前記結晶成長領域チャンバに種結晶を置き、前記導通制御装置を閉めるステップ。
B.結晶予備成長領域チャンバに原料を導入し、原料の溶解が成長に要する安定な過飽和状態の条件に達した時、導通制御装置を開くステップ。前記原料は、金属ガリウム又は金属Al或いは金属Inとアルカリ金属・アルカリ土類金属の混合物と窒素含有反応物ガスとを含む。前記窒素含有反応物ガスは、窒素ガス又はアンモニアガス或いは窒素ガスとアンモニアガスの混合物とを含む。
C.安定な過飽和状態にある原料溶液が結晶成長領域チャンバに入って結晶成長を開始するステップ。
【0014】
上記窒化物単結晶体成長方法は好ましくは、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間に結晶内の不純物含有量を減らすメッシュフィルタを設け、未溶解原料或いは不純物が結晶成長領域チャンバに入ることを阻止するために用いられる。
【0015】
更に上記窒化物単結晶体成長方法において、結晶成長過程中、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間の圧力差を調整制御することで、2つのチャンバの液面高低差△Hの調整制御を実現し、種結晶表面から液面までの高低差△hの調整により、結晶成長領域チャンバの融液液相表面から種結晶の上部表面までの距離△hをN原子がある成長条件に達する自由行程拡散範囲内に制御する。結晶成長完了後、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバの間の圧力差を調整制御して結晶成長の原料溶液を結晶予備成長領域チャンバに還流させ、還流後の原料溶液の液面が窒化物単結晶体の上部表面より低いため、窒化物単結晶体表面と原料溶液との接触を分離する。
【0016】
窒化物単結晶体成長方法の好適な他の実施形態は、次のステップを含む。
A.結晶予備成長領域チャンバ、結晶成長領域チャンバ、結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通する少なくとも1個の遷移領域チャンバ、導通制御装置を設け、前記結晶成長領域チャンバに種結晶を置き、前記導通制御装置を閉めるステップ。
B.結晶予備成長領域チャンバに原料を導入し、原料の溶解が成長に要する安定な過飽和状態の条件に達した時、結晶予備成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバ間の導通制御装置を開いて、原料溶液が遷移領域チャンバに入るステップ。前記原料は、金属ガリウム又は金属Al或いは金属Inとアルカリ金属・アルカリ土類金属の混合物と窒素含有反応物ガスとを含む。前記窒素含有反応物ガスは、窒素ガス又はアンモニアガス或いは窒素ガスとアンモニアガスの混合物とを含む。
C.結晶成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバ間の導通制御装置を開いて安定な過飽和状態にある原料溶液が結晶成長領域チャンバに入って結晶成長を開始するステップ。
【0017】
更に上記窒化物単結結晶成長の更に少なくとも1つの遷移領域チャンバを含む方法において、結晶成長過程中、安定な過飽和状態にある原料溶液の流動過程は、結晶予備成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの圧力差を調整制御することにより、過飽和状態にある原料が調整制御する結晶予備成長領域チャンバから隣り合う遷移領域チャンバに入った後結晶予備成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの連通を遮断させ、前記結晶予備成長領域チャンバ内の液面高さは隣り合う遷移領域チャンバの液面高さより低く、遷移領域チャンバは2個以上の場合、隣り合う2つの遷移領域チャンバの圧力差の調整制御を通じて、安定した過飽和状態にある原料溶液を次の遷移領域チャンバに入らせた後2つの隣り合う遷移領域チャンバの連通を遮断できることである。
【0018】
安定な過飽和状態にある原料溶液は結晶成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバに入った時、結晶成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの間の圧力差の調整制御を通じて、2つのチャンバの液面高低差△Hを調整制御する。種結晶表面から液面までの高低差△hの調整により、結晶成長領域チャンバの原料溶液液相表面から種結晶の上部表面までの距離△hをN原子がある成長条件に達する自由行程拡散範囲内に制御する。
【0019】
結晶成長完了後、安定な過飽和状態にある原料溶液の流動過程は、結晶成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの間の圧力差を調整制御して、結晶成長の原料溶液を隣り合う遷移領域チャンバに還流させ、還流後の原料溶液の液面が単結晶体の上部表面より低くなり、窒化物単結晶体表面と成長溶液の接触を分離することである。
【0020】
上記窒化物単結結晶成長の更に少なくとも1個の遷移領域チャンバを含む方法は好ましくは、結晶予備成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの間に未溶解原料或いは結晶内の不純物が遷移領域チャンバに入ることを阻止又は減少するためのメッシュフィルタを設け、結晶成長領域チャンバと隣り合う遷移領域チャンバの間に未溶解原料或いは結晶内の不純物が結晶成長領域チャンバに入ることを阻止するためのメッシュフィルタを設け、隣り合う2つの遷移領域チャンバの間に未溶解原料或いは結晶内の不純物が次の遷移領域チャンバに入ることを阻止するための深いメッシュフィルタを設ける。
【0021】
上記窒化物単結晶体成長方法において、結晶成長方式は自発核生成とすることができ、また種結晶テンプレートの成長誘導とすることもできる。
【0022】
上記各導通制御装置は、好ましくはバルブを用いる。
【発明の効果】
【0023】
従来の窒化物単結晶体の反応器に比べて、本発明の設計構造の新規性は2つ以上の制御チャンバを有し、Na Fluxによる窒化物成長の動力学原理を結合し、バルブ、流量計、圧力制御装置等を通じて柔軟的にチャンバの成長条件を制御できることである。Na Flux内の窒化物単結晶は、原料溶液内N濃度の過飽和条件下で成長して多結晶窒化物の形成を抑制できなければならないため、従来の反応器は、シングルチャンバで、昇温段階の成長条件が安定した過飽和状態に達していない時、原料が種結晶と接触して成長を開始して多結晶窒化物或いは多相窒化物を得る可能性がある。本発明が設計した反応器構造は、従来の反応器シングルチャンバの条件制御における欠点を克服した。本発明は結晶予備成長領域チャンバを設計し、成長前期昇温過程において原料が結晶予備成長領域チャンバで条件制御を行い、この時結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバが遮断される。原料が結晶予備成長領域チャンバにおいて成長要件に達した時、バルブを開いて結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバを互いに連通させ、原料溶液が結晶成長領域チャンバに入って種結晶と接触して成長を開始する。結晶成長領域チャンバの温度と圧力は、独立した熱源と通気道で制御する。同時に、本発明は、2つのチャンバの圧力差によって結晶成長領域チャンバの融液液面から種結晶の上部表面までの高低差△hを制御し、N原子の融液内における自由行程拡散の有効な範囲内に種結晶表面まで達させることで、種結晶表面における優先的な核生成を実現し、気液界面における自発核生成を抑制する。気液界面の種結晶自発核生成の抑制により、窒素ガスが溶液内に入って直ちにNの窒化物成長過程における消耗を補給し、効果的に融液内N の過飽和溶解度を保持し、窒化物成長過程は終始Nの過飽和溶解度条件にあることで、多結晶窒化物の成長を抑制し、結晶成長速度と原料の利用率をアップできる。
【0024】
本発明が設計した反応器構造は、窒化物成長完了の降温過程中、温度が低くいことで生成する多結晶窒化物等の産物を克服できる。従来の反応器は成長完了後直接降温し、残りの融液原料が成長の単結晶窒化物と接触しているため、降温過程中不良な窒化物成長を引き起こし、例えば多結晶窒化物、表面がざらざらしている等の状況である。本発明が設計した反応器は、2つ以上のチャンバを含み、柔軟的に圧力差によってチャンバ内の各液面高さを制御できる。成長完了後、結晶成長領域チャンバの圧力を引き上げて結晶予備成長領域チャンバより高くさせて成長の残り融液を予備成長領域に逆流させる。こうすると、効果的に結晶成長領域チャンバ内の窒化物と融液原料を遮断できるため、降温過程中に結晶成長を阻止し、効果的に降温中に成長した不良な窒化物を制御し、窒化物単結晶体の品質を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の新型反応炉構造を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の結晶成長前結晶予備成長チャンバにおける原料加熱・溶解を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の結晶成長過程中の原料溶液の液面高低差制御を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の結晶成長完了後残りの原料溶液の液面高低差を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の他の新型反応炉構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の他の新型反応炉構造中の結晶成長前結晶予備成長チャンバにおける原料加熱・溶解を模式的に示す断面図である。
【
図7】本発明の他の新型反応炉構造内の遷移領域チャンバにおける原料溶液を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の他の新型反応炉構造内の結晶成長過程中原料溶液の液面高低差制御を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の他の新型反応炉構造内の結晶成長完了後残りの原料溶液を遷移領域チャンバに還流した場合を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の他の新型反応炉構造内の結晶成長完了後残りの原料溶液を遷移領域チャンバ予備成長領域に還流した場合を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
更に本発明の特徴、技術手段及び達成する具体的目的、機能を理解し、本発明の利点と精神を解析するため、以下の実施例を通じて本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明の新型窒化物単結晶体を成長する反応器構造は、
図1に示すように、その中核部分が2つのチャンバと予備成長領域チャンバと成長領域チャンバとを含み、更に窒素ガスボンベとバルブと圧力制御装置と流量計とガス供給管と加熱装置アセンブリとを含む。前記加熱装置は、抵抗、RF方式の加熱とすることができるがこれに限定されない。予備成長領域チャンバと成長領域チャンバは直接連通でき、又は保温筒或いは遷移領域チャンバを通じて連通できる(実施例2において遷移領域チャンバを例として説明する)。予備成長領域チャンバは、反応の必要条件の制御と補助領域で、成長領域チャンバが窒化物単結晶体を成長する領域である。
【0028】
図1乃至10を組み合わせて以下の2つの実施例を説明する。
【0029】
(実施例1)
高温高圧に耐えられる反応炉である窒化物単結晶体成長装置であって、前記反応炉の中核構造は互いに連通する結晶予備成長領域チャンバ11と結晶成長領域チャンバ12とを含み、結晶予備成長領域チャンバ11の温度が加熱装置21で加熱し、その窒素含有反応物等の原料及び補助圧力が導通制御装置31で制御する。結晶成長領域チャンバ12の温度は、加熱装置22の熱源で加熱し、その窒素含有反応物等の原料及び補助圧力が導通制御装置32で制御する。ガスボンベ5は窒素含有反応物を貯蔵するガスボンベで、成長過程中の圧力制御とN原料を供給する。
【0030】
結晶予備成長領域チャンバ11の外側面及び底面の外部に加熱装置21が設けられ、結晶成長領域チャンバ12の外側面及び底面の外部に加熱装置22が設けられ、結晶予備成長領域チャンバ11と結晶成長領域チャンバ12の間に連通或いは遮断を制御する導通制御装置33が設けられ、結晶予備成長領域チャンバ11 の上方に導通制御装置31が設けられることで、順次に窒素含有反応物のガス供給管4、ガスボンベ5と連なり、結晶成長領域チャンバ12の上方に導通制御装置32が設けられることで、順次に窒素含有反応物のガス供給管4、ガスボンベ5と連なる。
【0031】
更に上記窒化物単結晶体成長装置において、前記導通制御装置33の一側には未溶解原料又は結晶内の不純物が結晶成長領域チャンバ12に入ることを阻止又は減少するためメッシュフィルタ61を設ける。
【0032】
図2、
図3及び
図4を参照すると、設計した反応器によるGaN単結晶体成長の制御原理と方法である。
【0033】
まず、金属ガリウム、触媒等の原料を反応器の結晶予備成長領域チャンバに入れ、この時導通制御装置33が閉られている。加熱装置21の熱源制御を通じて結晶予備成長領域の温度を制御し、導通制御装置31であるバルブによって予備成長領域の圧力を制御すると共にN原料を補給する。結晶成長方式は、自発核生成とすることができ、種結晶テンプレートの成長誘導とすることもできる。種結晶テンプレート7の成長誘導を用いる時、GaNの種結晶テンプレート7が結晶成長領域チャンバに置かれ、加熱装置22の熱源と導通制御装置32 の制御を通じて結晶成長領域チャンバの成長条件を制御する。
図2に示すように、結晶予備成長領域チャンバ11の原料溶液内のN濃度が過飽和条件に達する前、導通制御装置33が閉められ、結晶予備成長領域チャンバ11と結晶成長領域チャンバ12が遮断している。
【0034】
図3に示すよう結晶予備成長領域チャンバ11内の原料溶液8が過飽和状態に達した時、結晶予備成長領域チャンバ11と結晶成長領域チャンバ12の圧力差を調整し、導通制御装置33を開いて原料溶液8を結晶成長領域チャンバ12に入らせる。メッシュフィルタ61は、未溶解原料と不純物が結晶成長領域に入ることを阻止し、結晶内の不純物含有量を減らすことができる。導通制御装置31と導通制御装置32を調整し、2つのチャンバの圧力差の調整によって2つのチャンバの液面高低差△Hを制御することで、間接的に結晶成長領域チャンバの原料溶液の液相表面と種結晶の上部表面の距離△hをN原子がある成長条件の自由行程拡散範囲内に制御し、N/Gaが種結晶表面において優先的に核生成して成長させる。同時に、表面多結晶の自発核生成が効果的に抑制できるため、N原子を効果的に種結晶付近の融液内に拡散することで直ちにNの消耗を補給し、終始種結晶の上部表面付近のN原子の過飽和濃度を保持できる。原料が結晶予備成長領域においてすでに過飽和状態に達し、種結晶表面に接触したばかりの原料溶液がすでに過飽和条件に達したため、種結晶の成長開始は過飽和条件下にあり、従来の反応器昇温の条件不安定と不飽和状態を克服した。次に、△hの範囲を適切に制御すると、種結晶表面の融液が反応により消耗したNを効果的に補給でき、終始Nの溶液における過飽和状態を保持できる。こうすると、種結晶表面の多結晶GaNの生成を効果的に抑制でき、同時にガリウムの利用率と結晶成長速度をアップすることに有利となる。
【0035】
図4に示すように成長完了後、導通制御装置31と導通制御装置32を通じて圧力を調整し、逆方向に結晶予備成長領域チャンバ11と結晶成長領域チャンバ12の圧力差を制御し、結晶予備成長領域の圧力が反応領域の圧力より低くさせ、反応の残り原料溶液8が結晶予備成長領域チャンバに還流され、その液面が成長する窒化物単結晶体の上部表面より低くさせ、成長する窒化物表面と反応に要する原料溶液の接触を遮断する。こうすると、降温過程中温度降下に伴うNの溶解度低下にによって引き起こした多結晶或いは多相窒化物の成長を克服できることで、結晶の品質を向上できる。この種の設計は、従来の反応炉が不飽和条件下で種結晶表面に成長を開始することは引き起こす多結晶GaN合成の困難を解決した。次に種結晶の上部表面の液相高さを正確に制御すると、気液界面の多結晶の発生を効果的に抑制できると共に直ちにNの成長過程中の消耗量を補給でき、更に降温段階において引き起こした多結晶・多相の不良生成物の発生を克服できるため、高品質の窒化物の規模成長を実現することに有利となる。
【0036】
(実施例2)
予備成長条件、成長条件の柔軟的な制御と高効率を実現するため、
図5に示すように、本発明は別の新型窒化物単結晶体を成長する反応器構造及び方法を設計した。反応炉の中核構造は、結晶予備成長チャンバ14と結晶成長領域域チャンバ15と遷移領域チャンバ13とを含む。結晶予備成長領域チャンバ14と結晶成長領域チャンバ15の間が遷移領域チャンバ13で連通する。遷移領域チャンバ13は、順次連通する複数の遷移領域チャンバとすることができる。導通制御装置34と導通制御装置35は、遷移領域チャンバ13と結晶予備成長領域チャンバ11、遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15の遮断と連通を各々制御する。結晶予備成長領域チャンバは、反応に要する条件の初期制御領域で、結晶成長領域チャンバが窒化物単結晶体の結晶成長領域チャンバである。結晶予備成長領域チャンバ14の温度は、加熱装置24の熱源で加熱し、その窒素ガス原料及び補助圧力が導通制御装置37で制御する。遷移領域チャンバ13の温度は加熱装置23の熱源で加熱し、N原料及び補助圧力が導通制御装置36で制御する。結晶成長領域チャンバ15の温度は加熱装置25の熱源で加熱し、その窒素ガス原料及び補助圧力が導通制御装置38で制御する。導通制御装置36、37、38はガス供給管41、ガスボンベ51と各々接続し、ガスボンベ51が窒素含有反応物を貯蔵するボンベで、成長過程中に圧力制御とN原料を供給する。
【0037】
設計した新型の窒化物単結晶体を成長する反応器構造の制御方法において、反応器構造の予備成長領域の働きが高温高圧条件を利用して迅速にN原子等の融液における過飽和条件を実現し、成長前Nが融液において過飽和状態に達するために必要な時間を短縮することである。遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15の条件は、成長時要する条件によって設定する。圧力制御の液面高低差△hと成長を遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15に制限し、結晶予備成長領域チャンバ14の過飽和条件の設定が結晶成長領域チャンバの条件影響を受けない。よって、結晶予備成長領域チャンバの過飽和条件の設定はより一層柔軟的である。
図6に示すように、原料を結晶予備成長領域チャンバ14に入れた後、実際の要求によって結晶予備成長領域チャンバ14の原料溶液81の条件を設定する。
図7に示すように、結晶予備成長領域チャンバ14の原料溶液81の融液は過飽和条件に達した後、導通制御装置34を開き、遷移領域チャンバ13の圧力を適切に制御し、原料溶液81が遷移領域チャンバに入った後導通制御装置34を閉める。メッシュフィルタ62は未溶解原料と不純物が遷移領域チャンバ13に入ることを阻止する。複数の遷移領域チャンバを設けた場合、2つの遷移領域チャンバの間も導通制御装置及び未溶解原料或いは結晶内の不純物が次の遷移領域チャンバに入ることを阻止又は減少する深いメッシュフィルタを設け、2つの遷移領域チャンバ間の圧力を適切に制御し、原料溶液81が順次に各遷移領域チャンバ(複数の遷移領域チャンバ構造が容易に知り得ることができるため、図示略)に通過する。
図8に示すように原料溶液81が結晶成長領域チャンバ15と隣り合う遷移領域チャンバ13に入った時、導通制御装置35を開き、遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15を連通する。メッシュフィルタ63は未溶解原料と不純物が成長領域に入ることを再度阻止することで、効果的に結晶内の不純物を減らすことができる。遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15の圧力と温度を適切に制御し、遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15の圧力差によって△H及び△hを制御してGaN単結晶体を成長する。成長完了後、
図9に示すように逆方向に遷移領域チャンバ13と結晶成長領域チャンバ15の圧力差を調整制御し,結晶成長領域チャンバ15の圧力が遷移領域チャンバ13より大きくさせる。こうすると、
図10に示すように、成長の残りの原料溶液を遷移領域チャンバ15内に逆流させ、或いは導通制御装置34を再度開いて成長の残りの原料溶液を遷移領域チャンバ13及び結晶予備成長領域チャンバ14内に還流させ、原料溶液の液面低下が結晶表面と液体の接触を遮断でき、降温過程中温度の降下に伴うNの溶解度の低下によって引き起こした多結晶又は多相窒化物の成長を克服して結晶の品質を向上できる。
【0038】
上記2つの実施例において、各導通制御装置は好ましくはバルブを用いる。結晶成長方式は種結晶テンプレートの成長誘導を用いた時、前記結晶成長領域チャンバ12、結晶成長領域チャンバ15内に種結晶テンプレート7と種結晶テンプレート71を各々置く。前記種結晶テンプレートは、単一のサファイヤ基板、炭化ケイ素基板、ケイ素基板又は上記のいずれか基板上に沈着するGaN薄膜の複合基板或いはGaN自立基板とすることができる。上記基板表面は、極性c面又は無極性面或いは半極性面である。言及した基板は、水平配置することができ、垂直配置或いは他の方式で配置することもできる。メッシュフィルタの網目の大きさは10〜1000目で、その材質がステンレス鋼、白金或いはその他の耐高温・耐高圧・耐食の合金材料とすることができるがこれに限定されない。前記原料は、金属ガリウム(Ga)と窒素含有反応物ガスとアルカリ金属・アルカリ土類金属の混合物とを含む。前記金属ガリウム(Ga)を金属Al又は金属Inに代替すると やはり同樣の製造方法を得ることができる。前記窒素含有反応物ガスは、窒素ガス又はアンモニアガス或いは窒素ガスとアンモニアガスの混合物を含む。
【0039】
上記2つの実施例は、本発明の挙げた例のみであるが、本発明の原理により、更に他の各種実施形態を派生でき、これにはこれら実施形態を組み合わせた各種実施形態を含む。複数の反応炉チャンバを用い、反応原料の予備加熱と結晶成長過程を通じて、反応溶液内のNの過飽和条件を調整制御して結晶成長の品質を向上し、圧力差によって反応溶液の液面から種結晶表面までの距離を調整制御することで、気液界面の多結晶自発核生成を抑制して結晶成長速度を高めることに及んだ技術的思想は、本発明の範囲に含まれる。
【0040】
本発明は、次のいくつかの利点を有する。
1、予備成長領域と成長領域等のマルチチャンバ装置を用い、予備成長領域チャンバの飽和溶液濃度の独立制御を通じて、効果的に窒化物単結晶体成長の全過程の過飽和反応条件を調整制御して結晶成長の品質を向上できる。
2、連通器の原理によって2つのチャンバの圧力差を調整制御して種結晶の上部表面から融液液面までの高低差を制御し、N/Gaが種結晶表面に優先して核生成して成長させ、気液界面の多結晶自発核生成を抑制し、効果的にNの反応過程中消耗を補給し、成長条件の安定性を保持して結晶成長速度と原料の利用率をアップし、生産コストを削減できる。
3、成長完了後、逆方向に予備成長領域チャンバと成長領域チャンバの圧力差を調整して、溶液が逆流して予備成長領域チャンバ或いは遷移領域チャンバに入り、降温によって引き起こした多結晶又は多相窒化物の生成を抑制できる。
【0041】
本発明は、Na Fluxによる窒化物の液相エピタキシャルの高圧炉構造装置を改良する方法によって、従来のシングルチャンバ反応炉の欠点を効果的に克服し、条件の制御が柔軟的で、将来工業において重要と幅広く応用がある。
【0042】
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施例は、あくまでも本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者が本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものは、本発明の保護範囲に属する。よって本発明の特許保護範囲は、添付する特許の請求範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0043】
11 実施例1の結晶予備成長領域チャンバ
12 実施例1の結晶成長領域チャンバ
13 遷移領域チャンバ
14 実施例2の結晶予備成長領域チャンバ
15 実施例2の結晶成長領域チャンバ
21 実施例1の結晶予備成長領域チャンバの加熱装置
22 実施例1の結晶成長領域チャンバの加熱装置
23 遷移領域チャンバの加熱装置
24 実施例2の結晶予備成長領域チャンバの加熱装置
25 実施例2の結晶成長領域チャンバの加熱装置
31 実施例1の予備成長領域チャンバの原料が通路に入る箇所の導通制御装置
32 実施例1の成長領域チャンバの窒素含有反応物が通路に入る箇所の導通制御装置
33 結晶予備成長領域チャンバと結晶成長チャンバを連通する導通制御装置
34 結晶予備成長領域チャンバと遷移領域チャンバを連通するバルブ
35 遷移領域チャンバと結晶成長領域チャンバを連通するバルブ
36 窒素含有反応物が遷移領域チャンバに入る箇所の導通制御装置
37 実施例2の窒素含有反応物が結晶予備成長領域チャンバに入る箇所の導通制御装置
38 実施例2の窒素含有反応物が結晶成長領域チャンバに入る箇所の導通制御装置
4 実施例1の窒素含有反応物のガス供給管
5 実施例1のガスボンベ
41 実施例2の窒素含有反応物のガス供給管
51 実施例2のガスボンベ
61 結晶予備成長領域チャンバと結晶成長領域チャンバ間のメッシュフィルタ
62 結晶予備成長領域チャンバと遷移領域チャンバ間のメッシュフィルタ
63 遷移領域チャンバと結晶成長領域チャンバ間のメッシュフィルタ
7 実施例1の種結晶テンプレート
71 実施例2の種結晶テンプレート
8 実施例1の溶解後原料溶液
81 実施例2の溶解後原料溶液。