(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027692
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】自動車用パワートレイン装置
(51)【国際特許分類】
F16H 41/24 20060101AFI20161107BHJP
F16H 41/28 20060101ALI20161107BHJP
F16H 41/30 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
F16H41/24 B
F16H41/28
F16H41/30 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-544373(P2015-544373)
(86)(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公表番号】特表2015-535580(P2015-535580A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2013003454
(87)【国際公開番号】WO2014082713
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】102012023156.3
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ビーテンベック,ハンス−ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ホイケルバッハ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】コピッツ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】レークターラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュースター,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグラー,ベルンハルト
【審査官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02839826(US,A)
【文献】
実開平07−012650(JP,U)
【文献】
実開昭59−131654(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/24
F16H 41/28
F16H 41/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の構成要素(10a;10b)と、トルクを伝達するように前記第一の構成要素(10a;10b)と連結された、少なくとも実質的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素(11a;11b)と、少なくとも1つの少なくとも部分的に前記第二の構成要素(11a;11b)に取り込まれた、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成される要素(12a;12b)とを備え、前記取り込まれた要素(12a;12b)は、トルクを伝達するような連結を作るために前記第一の構成要素(10a;10b)と材料結合によって連結される連結要素として形成され、前記第一の構成要素(10a;10b)及び/又は前記第二の構成要素(11a;11b)は、少なくとも部分的にハウジングを形成するパワートレイン装置であって、
前記取り込まれた要素(12a)は軸方向両側において前記第二の構成要素(11a)の前記材料から突出し、少なくとも軸方向に前記取り込まれた要素(12a)の前記第二の構成要素(11a)の前記材料から突出する側(13a)が、少なくとも1つの平衡要素(14a)及び/又は少なくとも1つの平衡凹部を有し、前記第一の構成要素(10a;10b)は少なくとも部分的にトルクコンバータ(17a;17b)のポンプホイールを形成することを特徴とするパワートレイン装置。
【請求項2】
前記取り込まれた要素(12a;12b)は、取り込まれた状態において前記第二の構成要素(11a;11b)の前記材料によって少なくとも実質的に充填される、少なくとも1つの材料欠損部(15a;15b)を有することを特徴とする、請求項1に記載のパワートレイン装置。
【請求項3】
前記第二の構成要素(11a;11b)は少なくとも部分的に、潤滑剤及び/又は冷却剤を掬うために備えられた掬い上げ装置(16a;16b)を形成することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のパワートレイン装置。
【請求項4】
前記掬い上げ装置(16a;16b)は前記取り込まれた要素(12a;12b)の外側に放射状に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のパワートレイン装置。
【請求項5】
前記第二の構成要素(11a;11b)は少なくとも部分的に外側ディスクキャリアを形成することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のパワートレイン装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のパワートレイン装置の製造方法であって、第一の構成要素(10a;10b)と、少なくとも部分的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素(11a;11b)とが、トルクを伝達するように互いに連結され、少なくとも1つの少なくとも部分的に主として鉄含有材料から作製される要素(12a;12b)が前記第一の構成要素(10a;10b)に少なくとも部分的に取り込まれるパワートレイン装置の製造方法であって、
前記トルクを伝達するような連結を作るために、前記第一の構成要素(10a;10b)と前記取り込まれた要素(12a;12b)とが材料結合によって互いに連結されることを特徴とする、パワートレイン装置の製造方法。
【請求項7】
前記第一の構成要素(10a;10b)及び/又は前記第二の構成要素(11a;11b)は、少なくとも1つの第三の構成要素(18a,19a,20a,21a;18b)を収容し、前記少なくとも1つの第三の構成要素(18a,19a,20a,21a;18b)の事前組み立ての後に、前記第一の構成要素(10a;10b)と前記第二の構成要素(11a;11b)との間の軸方向の間隙が調整され、バランス要素を使用せずに前記第一の構成要素(10a;10b)と前記取り込まれた要素(12a;12b)とが材料結合によって互いに連結されることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前段に記載のパワートレイン装置、及び請求項
6の前段に記載の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から既に、第一の構成要素、トルクを伝達するように第一の構成要素と連結された、軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素、及び、鉄含有材料から形成された、第二の構成要素へと成形される要素を有する自動車のためのパワートレイン装置が公知である。
特許文献2からも同様に、第一の構成要素、トルクを伝達するように第一の構成要素と連結された、少なくとも実質的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素、及び、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成された、少なくとも部分的に第二の構成要素へ取り込まれる要素を有する、自動車のパワートレイン装置が公知である。特許文献2はさらに、取り込まれた要素が連結要素として形成され、これはトルクを伝達するような連結を作るために第一の構成要素と材料結合により連結されることを示す。さらにこの特許文献2は、第一の構成要素及び/又は第二の構成要素が少なくとも部分的にハウジングを形成することを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 900 468 A2号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2 839 826 A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は特に、パワートレイン装置を軽量構造で経済的に製造することである。この課題は、本発明に基づく請求項1に記載のパワートレイン装置、及び請求項
6に記載の製造方法によって解決される。本発明の発展形態は従属請求項によりもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第一の構成要素、トルクを伝達するように第一の構成要素と連結された、少なくとも実質的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素、及び、少なくとも1つの、少なくとも部分的に第二の構成要素に取り込まれた、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成される要素を有する自動車用パワートレイン装置に基づく。「取り込まれた」とは、鋳造又は鍛造されることを意味する。
【0006】
さらに、取り込まれた要素が、トルクを伝達するような連結の形成のために第一の構成要素と材料結合によって連結された連結要素として形成される
ものとする。これによって構成要素は取り込まれた要素を通して互いに連結され、これによって第一の構成要素と第二の構成要素が異なる材料から作製されることが可能となる。第一の構成要素は、特に有利には、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成され、材料結合による取り込まれた要素との連結によって、少なくとも実質的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素と、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成される第一の構成要素とが、同一材料間の連結によって連結されることができる。取り込まれた要素と第一の構成要素との材料結合による連結によって、手間とコストのかかる連結技術、特にねじ止め、リベット止め、及びスタッド溶接止めが省略され、これによって軽量構造のパワートレイン装置のコストを削減することができる。これによって、パワートレイン装置の少なくとも2つの構成要素が、ここで構成要素のうち1つは軽金属よりなる材料から形成されているが、特に低コストでトルクを伝達するように互いに連結され、これによってパワートレイン装置を軽量構造で経済的に作製されることができる。「取り込まれた要素」としては特に、第二の構成要素と第二の構成要素の鋳造又は鍛造によって連結される要素を意味するものと理解される。連結要素は有利には環状に形成され、これによって第二の構成要素と取り込まれた要素との間の連結をより確実なものとすることができる。好ましくは、第一の構成要素は少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成され、これによって、第二の構成要素に取り込まれた要素と第一の構成要素との間の材料結合による連結をより確実なものとすることができる。好ましくは第二の構成要素に取り込まれた要素と第一の構成要素は互いに溶接、及び/又ははんだ付けされる。「実質的に」とは、特に、少なくとも60%、有利には少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%であるものと理解される。「軽金属」としては特に、密度が5g/cm
3より低い、特にアルミニウムのような金属及び/又は合金であると理解される。
【0007】
さらに、第一の構成要素及び/又は第二の構成要素が少なくとも部分的にハウジングを形成する
ものとする。これによって、第一の構成要素及び第二の構成要素の内部のさらなる構成要素が組み立てし易く配置され、これによって組み立てし易いハウジングが軽量構造で安価に作製できる。取り込まれた要素とハウジングとして形成された第一の構成要素との材料結合の連結により、ハウジングとして形成された第一の構成要素とハウジングとして形成された第二の構成要素との間の煩雑な軸方向間隙の調整を回避することができ、特にハウジングの組み立ての際に、例えばねじ止めによる連結の際にバランス要素を必要に応じて省略することができる。材料結合の連結により、さらに第一の構成要素と第二の構成要素との間のシールを省略でき、これによってコストを削減し、組み立てを簡略化することができる。「ハウジング」としては特に、少なくとも1つのさらなるパワートレイン装置の構成要素を少なくとも部分的に取り囲み、及び/又は収容する構成要素であると理解される。
【0008】
本発明に基づき、さらに、取り込まれた要素が軸方向両側において第二の構成要素の材料から突出し、また少なくとも1つの軸方向に取り込まれた要素の第二の構成要素の材料から突出する側が少なくとも1つの平衡要素及び/又は少なくとも1つの平衡凹部を有することが提案され
、このため不平衡が特に安価に排除される。これによって、追加の平衡材料が設置された場合の好ましいバランシングと、平衡材料が取り除かれた場合の好ましくないバランシングが取り込まれた要素を用いて実現され、これによって平衡が特に容易に達成される。「軸方向」という概念は特に第一の構成要素及び/又は第二の構成要素の回転軸に関し、このため「軸方向」という表現は回転軸上、又は少なくともこれと実質的に平行に伸びる方向を指す。「実質的に平行」という概念のもとでは、特に平行な進行からの最大20°、有利には最大10°、特に有利には最大5°の差異が理解されるものとする。
【0009】
取り込まれた要素は、取り込まれた状態において第二の構成要素の材料に少なくとも実質的に充填される、少なくとも1つの材料欠損部を有し、これによって、軽量化のために少なくとも実質的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素と、少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成される取り込まれた要素との間の連結を特に確実なものとすることができる。
潤滑及び/又は冷却を改善するために、第二の構成要素が少なくとも部分的に掬い上げ装置を形成し、これは潤滑剤及び/又は冷却剤を掬うために備えられており、これによって潤滑剤及び/又は冷却剤が高コストのポンプ汲み上げを利用せずに掬い上げられ、及び/又は搬送されることができるとさらに有利である。掬い上げ装置の第二の構成要素への一体化によって、掬い上げ装置の作製が簡易化され、及び/又は初めて実現可能となる。「備えられている」という概念のもとでは特に、特別に設計、配備、及び/又は配置されることを意味すると理解される。「一体的に」という概念のもとでは、特に成形によって、一体に、及び/又は一体物から形成されることと理解される。
【0010】
掬い上げ装置が取り込まれた要素の外側に放射状に配置され、これによって潤滑剤及び/又は冷却剤が有利には掬い上げられるとさらに有利である。「放射状」という概念は特に第一の構成要素及び/又は第二の構成要素の回転軸に関し、このため「放射状」という表現は回転軸に対して少なくとも実質的に垂直な方向を指す。「実質的に垂直」という概念のもとでは、特に最大20°、有利には最大10°、特に有利には最大5°の垂直方向の進行の差異が理解される。
【0011】
本発明に基づくさらなる形態では、第一の構成要素は少なくとも部分的にトルクコンバータのポンプホイールを形成する。これによってトルクコンバータのポンプホイールは特に確実に、少なくとも部分的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素と連結され、これによってトルクコンバータを軽量構造で安価に作製できる。
【0012】
第二の構成要素が少なくとも部分的に外側ディスクキャリアを形成すると特に有利である。これによって外側ディスクキャリアは特に確実に、特に少なくとも実質的に主として鉄含有材料から形成される第一の構成要素と連結され、これによって連結装置を軽量構造で安価に作製できる。第一の構成要素が少なくとも部分的にトルクコンバータのポンプホイールを形成し、及び第二の構成要素が少なくとも部分的に外側ディスクキャリアを形成する場合、これによってコンバータロックアップクラッチを備えた安価なトルクコンバータを軽量構造で実現することができる。
【0013】
さらに、自動車のパワートレイン装置、特に本発明に基づくパワートレイン装置の製造方法を提案し、ここでは第一の構成要素と、少なくとも部分的に軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素とがトルクを伝達するように互いに連結され、少なくとも部分的に主として鉄含有材料から作製された少なくとも1つの要素が第一の構成要素に少なくとも部分的に取り込まれ、トルクを伝達するような連結を作るために、第一の構成要素と取り込まれた要素とが材料結合によって互いに連結される。これによって、軽量構造で実施されるパワートレイン装置の作製のための製造コストを削減することができる。
【0014】
組み立ての簡易化のために製造方法について、さらに、第一の構成要素及び/又は第二の構成要素が少なくとも1つの第三の構成要素を収容し、少なくとも1つの第三の構成要素の事前組み立ての後に第一の構成要素と第二の構成要素との間の軸方向の間隙が調整され、バランス要素を使用することなく、第一の構成要素と取り込まれた要素とが材料結合によって互いに連結され、これによって組み立てコストを削減することができる。
【0015】
さらなる利点は以下の図面の説明により提示される。図には本発明の2つの実施形態を示す。図、図面の説明、及び請求項は多くの組み合わせによる特徴を含む。当業者であれば、これらの特徴を合目的的に検討し、また意義のあるさらなる組み合わせを示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】トルクコンバータのポンプホイールとして形成された第一の構成要素と、切断クラッチの外側ディスクキャリアとして形成された第二の構成要素と、材料結合によって第一の構成要素と連結された第二の構成要素に鋳造された要素とを備えたパワートレイン装置を部分的及び概略的に示す図である。
【
図2】鋳造された要素の領域のパワートレイン装置を示す図である。
【
図4】変形例として形成された鋳造された要素を有するパワートレイン装置を示す図である。
【
図5】変形例として形成された鋳造された要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜3は自動車の駆動列のために提供される自動車用パワートレイン装置を示す。パワートレイン装置は自動変速機とコンバータロックアップクラッチを備えた流体トルクコンバータ17aとを有する。トルクコンバータ17aはポンプホイール、タービンホイール、及びガイドホイールを有する。コンバータロックアップクラッチは回転不能にポンプホイールと連結された外側ディスクキャリアと、及び回転不能にタービンホイールと連結された内側ディスクキャリアを有する。
【0018】
パワートレイン装置はさらに、トルクを伝達するように互いに連結された第一の構成要素10aと第二の構成要素11aを有する。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aの収容のために、パワートレイン装置は詳細には図示していないハウジングを有し、その内部には第一の構成要素10aと第二の構成要素11aが配置される。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aは、図示していないハウジングに対して回転可能に設置される。軽量構造の実現のために、第二の構成要素11aは軽金属よりなる材料から形成される。第二の構成要素11aはアルミニウムからなる。第二の構成要素11aは鋳造片として形成される。第二の構成要素11aはこのため鋳造される。第一の構成要素10aは主として鉄含有材料から形成される。第一の構成要素10aはスチールから形成される。第二の構成要素11aも鋳造部品として形成することができる。
【0019】
スチールから形成される第一の構成要素10aとアルミニウムから形成される第二の構成要素11aとを互いに連結するために、パワートレイン装置は、第二の構成要素11aへ鋳造され、アルミニウムから形成される要素12aを有する。又は、要素12aは第二の構成要素11aへと鍛造されてもよい。鋳造された要素12aは主として鉄含有材料から形成される。これはスチールから構成される。この鋳造によって、アルミニウムから形成される第二の構成要素11aとスチールから形成される要素12aとの形状結合の連結がなされる。鋳造された要素12aは、第一の構成要素10aと第二の構成要素11aとの間のトルクを伝達する連結を生成する連結要素として形成される。この目的のために、第一の構成要素10aと第二の構成要素11aへ鋳造された要素12aとは材料結合によって互いに連結される。鋳造された要素12aと第一の構成要素10aはこのため、材料結合の連結点27aを有する。この実施形態ではスチールから形成される第一の構成要素10aとスチールより成る鋳造された要素12aとが互いに溶接される。これらは溶接接合によって互いに連結される。スチールから形成される第一の構成要素10aとアルミニウムから形成される第二の構成要素11aは、第二の構成要素11aに鋳造された要素12aを介して互いに連結される。材料結合の連結点27aは溶接位置として形成される。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aは、スチール鋼ジョイントによって互いに連結される。基本的には第一の構成要素10aと鋳造された要素12aは、代替的または追加的に、互いにはんだ付け及び/又は接着されてもよい。コストを削減するために、鋳造された要素12aは基本的には、ジグソーパズルのような金属片から形成される。
【0020】
鋳造された要素12aは第二の構成要素11aの材料から軸方向の両側に突出する。鋳造された要素12aは第二の構成要素11aの材料から軸方向に突出する第一の側22a、及び第二の側13aを有する。鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aは、材料結合による第一の構成要素10aへの接続のために設けられている。軸方向に突出する第一の側22aによって、鋳造された要素12aは第一の構成要素10aと材料結合によって連結される。軸方向に対向して鋳造された要素12aの軸方向に突出する第二の側13aは、平衡を保つために備えられている。軸方向に突出する第二の側13aは平衡を保つために平衡要素14aを有する。平衡要素14aは軸方向に突出する第二の側13aにおける不平衡を解消するために、鋳造された要素12aの上に固定されて配置される。平衡要素14aは平衡プレートとして形成される。基本的には、軸方向に突出する第二の側13aは平衡を保つために追加的又は代替的に、材料を除去するように形成された少なくとも1つの平衡凹部を有していてもよい。基本的には、好ましいバランシングがCMT溶接によって軸方向に突出する第二の側13aにおいて実施されてもよい。
【0021】
第二の構成要素11aと鋳造された要素12aとの鋳造接続をより強固にするために、鋳造された要素12aは複数の材料欠損部15aを有し、これらは鋳造された状態において第二の構成要素11aの材料によって充填される。材料欠損部15aは、軸方向に突出する側13aと22aとの間に軸方向に配置される。材料欠損部15aは鋳造された要素12aの周囲に均等に配置される。これらは孔部として形成される。鋳造された要素12aは環状に形成される。これは接続リングとして形成される。
【0022】
第一の構成要素10aと第二の構成要素11aはそれぞれ、トルクコンバータ17aのハウジングを形成する。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aの内部には、トルクコンバータ17aの構成要素18a,19a,20a,21aが配置される。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aはそれぞれコンバータ・ハウジング部として形成される。この際、第一の構成要素10aはトルクコンバータ17aのポンプホイールと一体的に形成され、また第二の構成要素11aはコンバータロックアップクラッチの外側ディスクキャリアと一体的に形成される。構成要素10a,11aの内部に配置された構成要素18はタービンホイールとして、構成要素10a,11aの内部に配置された構成要素19aはそれぞれタービン翼として、構成要素10a,11aの内部に配置された構成要素20aはガイドホイールとして、及び構成要素10a,11aの内部に配置された構成要素21aはそれぞれトルクコンバータ17aのポンプ翼として形成される。このため外側ディスクキャリアはアルミニウムから作製され、また鋳造された要素12aによってスチールから形成されたトルクコンバータ17aのポンプホイールと連結され、このためポンプホイールと鋳造された要素12aとが互いに溶接される。基本的には第一の構成要素10aはトルクコンバータ17aのポンプホイールと、また第二の構成要素11aはコンバータロックアップクラッチの外側ディスクキャリアと、単に強固に連結されてもよい。
【0023】
パワートレイン装置はさらに掬い上げ装置16aを有し、これは回転の際に付着によって冷却剤を冷却剤プールから取り出して掬う。掬い上げ装置16aは冷却剤をより高い位置へと搬送し、そこから第一の構成要素10aと第二の構成要素11aにおいて重力により再び流れ落ちる。第二の構成要素11aは一体として掬い上げ装置16aを形成する。掬い上げ装置16aは第一の構成要素10a及び第二の構成要素11aの回転軸について、放射状に鋳造された要素12aの外側に配置される。掬い上げ装置16aは鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aを囲む。冷却剤はこの場合、オイルから形成される。
【0024】
掬い上げ装置16aは第一の表面側の材料欠損部23a、及び対向する第二の表面側の材料欠損部24aを有する。材料欠損部23a,24aは軸方向に開口する溝を形成する。溝部はそれぞれの表面側において掬い上げ装置16aの範囲の周囲に伸びている。第一の材料欠損部23aは回転軸に対して放射状に、鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aの上側に配置される。材料欠損部23a,24aは異なる大きさを有する。第一の材料欠損部23aは、第二の材料欠損部24aよりも大きく形成される。第一の材料欠損部23aは第二の材料欠損部24aよりも軸方向においてより深い。材料欠損部23a,24aはそれぞれ第二の構成要素11aの鋳造により形成される。これらはそれぞれ環状である。
【0025】
軸方向に対向する材料欠損部23a,24aに基づき、掬い上げ装置16aは掬い上げ環25aと材料狭窄部26aを有する。材料狭窄部26aは第二の構成要素11aと掬い上げ環25aを互いに一体的に連結する。掬い上げ環25aは放射状に材料狭窄部26aの上部に配置される。掬い上げ環25aと材料狭窄部26aは第二の構成要素11aの周囲を延在する。材料狭窄部26aを起点として、掬い上げ環25aは異なる軸方向の伸長を有する。材料狭窄部26aを起点とする、鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aの方向への掬い上げ環25aの軸方向の伸長は、材料狭窄部26aを起点とする、鋳造された要素12aの軸方向に突出する第二の側13aの方向への掬い上げ環25aの軸方向の伸長よりも大きい。掬い上げ環25aは、材料狭窄部26aを起点として軸方向に、鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aの方向へ実質的に伸びる。掬い上げ環25aは鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aを上から覆うように形成される。掬い上げ環25aはこれによって、材料結合による連結位置27aを上から覆うように形成される。鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aは材料欠損部23aによって軸方向に伸長できる。鋳造された要素12aの軸方向に突出する第二の側13aの、掬い上げ環25aによる上部の覆いはない。このため、掬い上げ環25aによる平衡要素14aの上部の覆いも存在しない。回転軸に沿った切込みにおいて、掬い上げ装置16aはアンビル形状を有する。材料狭窄部26aの上部に放射状に配置された掬い上げ環25aは、鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aの方向へ実質的に伸長する。
【0026】
パワートレイン装置の作製のための製造方法では、鉄含有材料から形成されて連結要素として構成された要素12aが、軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素11aへと鋳造され、これによって第二の構成要素11aと連結要素との形状結合による連結が生み出される。鋳造された要素12aを第一の構成要素10aに連結するために、鋳造された要素12aは、軸方向両側において第二の構成要素11aの材料から突出するように鋳造される。軽金属よりなる材料から形成される第二の構成要素11aと鉄含有材料から形成される第一の構成要素10aとを、トルクを伝達するように互いに連結するために、第二の構成要素11aへと鋳造された要素12aの軸方向に突出する第一の側22aが第一の構成要素11aと材料結合によって連結される。このために、鋳造された要素12aと第一の構成要素10aとが溶接される。
【0027】
組み立てのために、内部の構成要素18a,19a,20a,21aの事前組み立てにおいて、第一の構成要素10aと鋳造された要素12aが材料結合によって互いに連結される前に、第一の構成要素10aと第二の構成要素11aが事前組み立てされる。内部の構成要素18a,19a,20a,21aの事前組み立ての後、第一の構成要素10aと第二の構成要素11aとの間に適切な軸方向の間隙が設けられ、こうして間隙調整要素がなくても第一の構成要素10aと鋳造された要素12aとが材料結合によって互いに連結される。第一の構成要素10aと第二の構成要素11aの内部に配置された構成要素18a,19a,20a,21aはこのため、まず軸方向に適切な間隙をもって互いに調整され、その後初めて第一の構成要素10aと鋳造された要素12aとが間隙調整要素を使用せず互いに溶接される。このため、調整プレートのような間隙調整要素は必要ない。
【0028】
図4及び5は本発明の更なる実施形態を示す。以下の説明は実質的にそれぞれの実施形態の間の差異に限定され、同じ名称の構成要素、特に同じ参照符号の構成要素については、基本的には図及び/又は
図1〜3の他の実施形態の説明を参照することができる。実施形態の差別化のために、
図1〜3の実施形態の参照符号の文字aは、
図4及び5の実施形態では文字bに置き換えられる。
【0029】
図4及び5に自動車用パワートレイン装置の第二の実施形態を示す。パワートレイン装置は主として鉄を含有する材料から形成される第一の構成要素10bと、トルクを伝達するように第一の構成要素10bと連結された、軽金属よりなる材料からなる第二の構成要素11bと、第二の構成要素11bへ鋳造された、主として鉄を含有する材料から形成される要素12bとを有し、鋳造された要素12bは連結要素として形成され、これはトルクを伝達するような連結を作るために第一の構成要素10bと材料結合によって連結される。このとき、第一の構成要素10bは一体的にトルクコンバータ17bのポンプホイールを形成し、第二の構成要素11bは一体的に掬い上げ装置16bを、及び一体的に外側ディスクキャリアを形成する。ハウジングとして形成された第一の構成要素10bとハウジングとして形成された第二の構成要素11bは、さらなる構成要素18bも含む。
【0030】
上記の実施形態とは異なり、鋳造された要素12bは第二の構成要素11aの材料の一方の側から軸方向に突出する。鋳造された要素12bは第二の構成要素11bに、鋳造される側13bと、第二の構成要素11bの材料から軸方向に突出する側22bとを有する。鋳造された要素12bの軸方向に突出する側22bは、材料結合による第一の構成要素10bへの接続のために設けられている。軸方向に突出する側22bにより、鋳造された要素12bは第一の構成要素10bと材料結合によって連結される。軸方向に対向する、鋳造された要素12bの鋳造される側13bはアンダーカット28bを有する。アンダーカット28bは、第一の構成要素10bと第二の構成要素11bの回転軸に対して放射状に外側へ伸びる。アンダーカット28bは、対になって均一に鋳造された要素12bの周囲に分配され配置された、複数の歯29bを有する。鋳造された要素12bはさらに、鋳造された状態で第二の構成要素11bの材料により充填された材料欠損部15bを有する。材料欠損部15bは上記の実施形態とは異なり細長い孔として形成され、これらは突出する側22bの反対方向へ、軸方向に開口する。