(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な記載
本明細書中で用いるセクションの見出しは、構成上の目的のみであり、記載される主題を制限するものとみなされるべきではない。
【0020】
本明細書において他に定義しない限り、本願に関連して用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらに、他に文脈によって要求されない限り、単数形の用語は、複数を包含し、複数形の用語は単数を包含する。
【0021】
一般に、本明細書に記載される分子生物学およびタンパク質化学に関連する命名法および技術は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。他に特記されない限り、本願の方法および技術は、一般に、当技術分野で周知であり、さまざまな一般的および本明細書を通して引用され議論されるより特殊な参照文献に記載の慣例的方法にしたがって行われる。たとえば、Laszlo、Peptide-Based Drug Design:Methods and Protocols、Humana Press (2008); Benoiton、Chemistry of Peptide Synthesis、CRC Press (2005); Ausubel et al.、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates (1992)(任意の目的のために参照することによって本明細書に援用される)を参照。精製技術は、当該技術分野において一般的に達成されるか、または本明細書に記載されるように、製造者の仕様書にしたがって行われる。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学ならびに医薬および製薬化学に関する専門用語ならびに実験法および実験技術は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、医薬品、製剤およびデリバリーならびに患者の治療のための標準的技術を用いることができる。
【0022】
この開示が、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコルおよび試薬などに限定されず、変化してもよいものであることを理解すべきである。本明細書において用いる専門用語は、特定の実施態様を記載することのみを目的とし、開示された範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によってのみ定義される。
【0023】
特定の値または範囲の文脈における本明細書で用いる用語「約」は、の特定の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、およびより好ましくは5%以内である値または範囲を意味する。
【0024】
I.一般的定義
慣例にしたがって、本明細書で用いる「a」および「an」は、他に特記しない限り、「1つまたはそれ以上」を意味する。
【0025】
用語「AMG 416
(エテルカルセチドとも呼ばれる)」は、化学名:L-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィドを有する化合物を意味し、以下のように表すこともできる:
【化3】
【0026】
用語「AMG 416塩酸塩」または「AMG 416 HCl」は、互換性があり、化学名:L-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド塩酸塩を有する化合物を意味し、以下のように表すこともできる:
【化4】
【0027】
本明細書で用いる用語アミノ酸」および「残渣」は、互換性があり、ペプチドまたはポリペプチドに関して用いる場合、天然および合成アミノ酸の両方、ならびにアミノ酸類縁体、アミノ酸模倣体および天然アミノ酸に化学的に類似する非天然アミノ酸を意味する。
【0028】
用語「治療すること」は、軽減、寛解などの客観的または主観的パラメーター;徴候または症状の減少、あるいは傷害、病状または状態を患者にとってより耐容性なものにすること;変性または衰退の速度を遅延化すること;変性の最終点をより衰弱性の低いものにすること;患者の身体的または精神的福祉を改善すること、などの傷害、病状または状態の治療または改善における成功の任意の兆候を意味する。徴候または症状の治療または軽減は、たとえば、副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇したレベルを低下させることによるSHPTの治療など、身体検査の結果といったような客観的または主観的なパラメーターに基づいて行うことができる。
【0029】
本明細書で用いる用語「治療有効用量」および「治療有効量」は、たとえば上昇したPTHレベルにおいて所望の減少を誘発するAMG 416の量などの、治療される疾患もしくは障害の徴候もしくは症状の緩和または改善といったような研究者、医師または他の臨床医によって探求される組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する量を意味する。
【0030】
本明細書で用いる用語「室温」は、約25℃の温度を意味する。本明細書で用いる「冷蔵条件」下における貯蔵は、2-8℃の温度における貯蔵を意味する。
【0031】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、互換性があり、典型的にはペプチド結合またはジスルフィド結合を介して結合したアミノ酸のポリマーを意味する。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の類縁体または模倣体であるアミノ酸ポリマーならびに天然アミノ酸ポリマーにも適用する。これらの用語は、たとえば、糖タンパク質を形成するように炭水化物残基によって修飾されるか、またはリン酸化されたアミノ酸ポリマーを包含することもできる。ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質は、液相合成もしくは固相合成によって、または遺伝子工作もしくは組換え細胞によって、生成されうる。
【0032】
ペプチドまたはポリペプチドの「変異体」は、もう1つのポリペプチド配列に比較して、1つ以上のアミノ酸残基が、アミノ酸配列に挿入される、アミノ酸配列から欠失される、および/またはアミノ酸配列に置換されるアミノ酸配列を含む。変異体は、融合タンパク質を包含する。
【0033】
ペプチドまたはポリペプチドの「誘導体」は、挿入、欠失または置換変異体とは異なる様式で、たとえば、もう1つの化学部分への共役を介して化学的に修飾されているペプチドまたはポリペプチドである。このような修飾は、たとえば、ペプチドまたはポリペプチドのアミノ末端のアセチル化および/またはカルボキシ末端のアミド化といったようなペプチドまたはポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシ末端への基の共有結合的付加を包含することができる。
【0034】
用語「アミノ酸」は、当技術分野における通常の意味を包含する。20種類の天然アミノ酸およびそれらの略語は、従来の用法にしたがう。Immunology-A Synthesis、2nd Edition、(E. S. Golub and D. R. Green、eds.)、Sinauer Associates:Sunderland、Mass. (1991)(任意の目的のために参照することによって本明細書に援用される)を参照。19種類の従来のアミノ酸(グリシンを除く)の立体異性体(たとえば、D-アミノ酸)、[アルファ]-,[アルファ]-二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N-アルキルアミノ酸およびその他の非従来型アミノ酸は、ポリペプチドにとって適当な成分でもあり、語句「アミノ酸」に包含される。非従来型アミノ酸の例として、次のものが挙げられる:ホモシステイン、オルニチン、4-ヒドロキシプロリン、[ガンマ]-カルボキシグルタメート、[イプシロン]-N,N,N-トリメチルリシン、[イプシロン]-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシン、[シグマ]-N-メチルアルギニンおよびその他の類似のアミノ酸ならびにイミノ酸(たとえば、4-ヒドロキシプロリン)。本明細書で用いるポリペプチド表記法では、標準的な使用法および慣習に従って、アミノ末端は、左に、カルボキシル末端は右に記載される。
【0035】
本明細書で用いる「被験者」または「患者」は、動物でありうる。典型的な実施態様において、被験者または患者は、ヒトである。
【0036】
本明細書で用いる「緩衝剤」は、弱酸およびその共役塩基(通常、共役塩基塩として)、弱塩基およびその共役酸、またはそれらの混合物を含む組成物を意味する。当業者は、本発明において使用される製剤で用いることができるさまざまな緩衝剤を容易に認識する。典型的な緩衝剤として、医薬的に許容しうる弱酸、弱塩基またはその混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な医薬的に許容しうる緩衝剤として、酢酸塩(たとえば、酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(たとえば、コハク酸ナトリウム)が挙げられる。
【0037】
語句「弱酸」は、水溶液中で完全にはイオン化しない化学酸である;すなわち、もし酸を一般式HAで表すならば、水溶液中でA
-を形成するが、相当な量の非解離HAがまだ残っている。弱酸の酸解離定数(K
a)は、1.8x10
-16〜55.5の間で変化する。
【0038】
語句「弱塩基」は、水溶液中で完全にはイオン化しない化学塩基である;すなわち、もし塩基を一般式Bで表すならば、水溶液中でBH
+を形成するが、相当な量の非解離Bがまだ残っている。得られる共役弱酸の酸解離定数(K
a)は、1.8x10
-16〜55.5の間で変化する。
【0039】
語句「共役酸」は、プロトンの獲得または喪失によって互いに変換する一対の2つの化合物(HX
+、X)の酸メンバーHX
+である。
【0040】
語句「共役塩基」は、プロトンの獲得または喪失によって互いに変換する一対の2つの化合物(HX、X
-)の塩基メンバーX
-である。
【0041】
語句「共役塩基塩」は、共役塩基X
-および正電荷の対イオンを含むイオン性塩である。
【0042】
語句「緩衝剤系」は、少なくとも2つの緩衝剤の混合物を意味する。
【0043】
用語「q.s.」は、所望の目的を達成するため、たとえば、溶液を所望の体積(すなわち、100%)にするために十分な量を加えることを意味する。
【0044】
語句「張性調節剤」は、製剤の張性を調節するために製剤に加えることができる医薬的に許容しうる不活性物質を意味する。本発明に適した張性調節剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールまたはグリセリンおよびその他の医薬的に許容しうる張性調節剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
II.実施態様
本開示は、カルシウム感知受容体のペプチド作動薬を含む液体製剤であって、約2.0〜約5.0のpHを有する製剤に関する。好ましい実施態様において、本開示は、AMG 416を含む液体製剤であって、約2.0〜約5.0のpHを有する製剤に関する。AMG 416およびその製造は、国際公開公報WO 2011/014707に記載される。たとえば、AMG 416を、固相合成によって対応するFmoc-保護D-アミノ酸から作成されてもよい。樹脂から切断した後、Boc-L-Cys(NPyS)-OHで材料を処理して、ジスルフィド結合を形成してもよい。次いで、Boc基をトリフルオロ酢酸(TFA)で除去し、得られる生成物を逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製し、凍結乾燥によってTFA塩形態として単離することができる。TFA塩は、続いての塩交換手順を行うことによって医薬的に許容しうる塩に変換されうる。このような手順は、当技術分野では周知であり、たとえば、イオン交換技術などが挙げられ、必要に応じて得られる生成物の精製を行う(たとえば、逆同液体クロマトグラフィーまたは逆浸透により)。
【0046】
本明細書に開示される製剤は、有効成分として、主として治療用ペプチドAMG 416に関して記載される。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、本開示は、AMG 416の変異体および誘導体にも及ぶ。
【0047】
たとえば、1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:D-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-D-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-L-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。
【0048】
もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:D-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:L-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-D-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-L-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。
【0049】
もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:D-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:L-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-D-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-L-システインを有するN-アセチル-D-システイニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギニル-D-アラニル-D-アルギンアミドジスルフィド。
【0050】
もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:D-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:L-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-D-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、次の化合物と共に用いてもよい:N-アセチル-L-システインを有するN-アセチル-L-システイニル-L-アルギニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギニル-L-アラニル-L-アルギンアミドジスルフィド。
【0051】
もう1つの実施態様において、開示された製剤を、1つ以上の、国際公開公報WO 2011/014707の表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7、表8、表9および/または表10において提供される化合物と共に用いてもよい。もう1つの実施態様において、開示された製剤を、1つ以上の、国際公開公報WO 2011/014707に記載の化合物と共に用いてもよい。
【0052】
いくつかの実施態様において、製剤は、治療有効量の有効成分(たとえば、AMG 416)を含む。本開示の任意の実施態様における治療有効量の有効成分は、所定の被験者にデリバリーされるべき製剤の量、ならびに被験者の年齢および体重、および治療される病気または障害の性質に応じて変化する。投与剤形に応じて、いくつかの例では、治療有効量が、1回の投与で患者に提供されてもよく、他の例では、複数回の投与が要求されてもよい。
【0053】
本開示の液体製剤は、静脈内、動脈内、筋肉内および皮下投与に適した医薬組成物である。好ましい実施態様において、液体製剤は、静脈内またはその他の非経口経路による投与に適している。液体製剤が、滅菌水溶液であるのが好ましい。典型的には、溶媒は、注射用水であるか、または水とプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびエタノールなどの1種以上の水混和性溶媒の混合物である。溶媒としての滅菌脱イオン水の使用が好ましい。しかしながら、医薬品に適した従来のその他の溶媒を用いることができる。
【0054】
製剤は、典型的に、約0.1 mg/mL〜約100 mg/mLの有効成分(たとえば、AMG 416)、約0.1 mg/mL〜約20 mg/mLの有効成分、約0.5 mg/mL〜約15 mg/mLの有効成分、約1 mg/mL〜約10 mg/mLの有効成分または約2 mg/mL〜約5 mg/mLの有効成分を含む。いくつかの実施態様において、製剤は、約1 mg/mLの有効成分、約2 mg/mLの有効成分、約2.5 mg/mLの有効成分、約5 mg/mLの有効成分、約10 mg/mLの有効成分または約20 mg/mLの有効成分を含む。もう1つの実施態様において、製剤は、0.1 mg/mL〜100 mg/mLの有効成分、0.1 mg/mL〜20 mg/mLの有効成分、0.5 mg/mL〜15 mg/mLの有効成分または1 mg/mL〜10 mg/mLの有効成分または2 mg/mL〜5 mg/mLの有効成分を含む。好ましい実施態様において、製剤は、1 mg/mL〜10 mg/mLの有効成分を含む。もう1つの好ましい実施態様において、製剤は、2 mg/mL〜5 mg/mLの有効成分を含む。
【0055】
製剤は、典型的に、約2.0〜約5.0のpH、約2.5〜約4.5のpH、約2.5〜約4.0のpH、約3.0〜約3.5のpHまたは約3.0〜約3.6のpHを有する。いくつかの実施態様において、製剤は、約2のpH、約2.5のpH、約3.0のpH、約3.3のpH、約3.5のpHまたは約4.0のpHを有する。いくつかの実施態様において、製剤は、2.0〜5.0のpH、2.5〜4.5のpH、2.5〜約4.0のpH、3.0〜3.5のpHまたは3.0〜3.6のpHを有する。
【0056】
実施例においてさらに十分に記載するように、AMG 416の安定性は、溶液のpHに応じて変化する。本発明者らは、2つの主な分解が、C末端脱アミド化およびホモ二量体形成の結果であることを見い出している。さらに、本発明者らは、これらの経路による分解の経時変化が、pHの関数であることを見い出している。実施例6を参照。低いpHでは、C末端脱アミド化による分解が主流であり(
図10参照)、高いpHでは、ホモに老体形成が主流である(
図11参照)。したがって、2つの主な分解の形成は、pHと分解の程度の間で逆の関係を有する。これらの逆の傾向が、pH値の範囲にわたる全体的な安定性データの根底にあり、AMG 416溶液の最大安定性のpHとして約pH 3.0〜3.5の同定をサポートする。
【0057】
典型的に、製剤は、製剤のpHを所望の範囲に維持する生理的に許容しうる緩衝剤を含む。1つの実施態様において、緩衝剤は、約2.0〜約5.0のpH、約2.5〜約4.5のpH、約2.5〜約4.0のpH、約3.0〜約3.5のpHまたは約3.0〜約3.6のpHを維持する。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、約2のpH、約2.5のpH、約3.0のpH、約3.3のpH、約3.5のpHまたは約4.0のpHを維持する。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、2.0〜5.0のpH、2.5〜4.5のpH、2.5〜約4.0のpH、3.0〜3.5のpHまたは3.0〜3.6のpHを維持する。
【0058】
上記の任意のpHまたは任意のpH範囲において製剤のpHを維持する能力を有する任意の緩衝剤は、製剤の他の成分と反応せず、目に見える沈殿の形成を引き起こさず、あるいは有効成分の化学的に不安定にしないという条件で、本開示の製剤における使用に適している。本発明製剤に用いる緩衝剤は、典型的に、コハク酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、エデト酸塩、ヒスチジン、酢酸塩、アジピン酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、マレイン酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、リン酸塩および酒石酸塩から選ばれる成分、またはこれらの緩衝剤の混合物を含む。好ましい実施態様において、緩衝剤は、コハク酸塩、たとえば、コハク酸ナトリウムを含む。
【0059】
緩衝剤の濃度は、pH安定化ならびに十分な緩衝能力が提供されるように選ばれる。1つの実施態様において、緩衝剤は、製剤中に、約0.5〜約100 mmol/L、約0.75〜約50 mmol/L、約1〜約20 mmol/Lまたは約10〜約20 mmol/Lの濃度で存在する。他の実施態様において、緩衝剤は、約5 mmol/L、約10 mmol/L、約15mmol/Lまたは約20 mmol/Lで存在する。他の実施態様において、緩衝剤は、製剤中に、0.5〜100 mmol/L、0.75〜50 mmol/L、1〜20 mmol/Lまたは10〜20 mmol/Lの濃度で存在する。好ましい実施態様において、緩衝剤は、約10 mmol/Lで存在する。もう1つの好ましい実施態様において、緩衝剤は、約10 mmol/Lで存在するコハク酸塩である。
【0060】
液体製剤と静脈内投与の適合性の観点から、液体製剤のpHができる限り生理的pHに近いのが望ましい。生理的pHから遠いpHを有するか、または強力に緩衝されているpHを有する液体製剤は、投与時に痛みまたは不快感を引き起こしうる。議論されているように、生理的pHまたはそれより高いpHにおけるAMG 416の液体製剤は、長期間にわたって安定したままではない。したがって、好ましい実施態様において、本開示の液体製剤は、注入される量が、被験者の身体の生理的液体によってすばやく中和されるように、弱く緩衝される。低い緩衝剤濃度で良好な安定性および良好なpHコントロールが維持されることは驚くべきことである。好ましい実施態様では、液体製剤の製造において、緩衝能力を最小化するために、AMG 416のHCl塩を用いる。HClは強酸であるから、緩衝剤として作用しない。このことは、酢酸などの、より弱い酸の使用に勝る利点を提供する。たとえば、AMG 416の酢酸塩の使用は、それ自体がある程度の緩衝能力を提供し、製剤の緩衝能力を設定することの柔軟性を低くし、体内における中和に対してより耐性があり、その結果として耐容性の低い製剤をもたらしうる。AMG 416は、ポリカチオン性のペプチドなので、効果は、より中性の性質を有する大部分のペプチドと比較して増強される。
【0061】
静脈内またはその他の非経口経路によって投与されるべき製剤にとって、体液と等張であることが一般に望ましい。いくつかの実施態様において、本開示の製剤は、生理的に許容しうる張性調節剤を含む。本開示において有用な張性調節剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、スクロース、デキストロース、ソルビトール、塩化カリウムまたはそれらの混合物を包含してもよい。好ましい実施態様において、張性調節剤は、塩化ナトリウムである。
【0062】
等張化剤が存在する場合、液体製剤を体液とほぼ等張にするのに十分な量(すなわち、約270〜約300 mOsm/L)、および皮内、皮下または筋肉組織内あるいは静脈内への、ヒト被験者などの哺乳動物への非経口注入に適した量で存在するのが好ましい。等張性は、たとえば、蒸気圧または製氷型浸透圧計(ice-freezing type osmometer)を用いることによって測定されうる。製剤中の他の成分の濃度に応じて、塩化ナトリウムは、約7.0〜約10 mg/mL、約7.5〜約9.5 mg/mLまたは約8.0〜約9.0 mg/mLの濃度で製剤中に存在する。1つの実施態様において、塩化ナトリウムは、約8.5 mg/mLの濃度で製剤中に存在する。他の実施態様において、塩化ナトリウムは、7.0〜10 mg/mL、7.5〜9.5 mg/mLまたは8.0〜9.0 mg/mLの濃度で製剤中に存在する。
【0063】
本開示の製剤は、他の従来の医薬的担体、賦形剤またはアジュバントを包含してもよい。たとえば、本発明の製剤は、を包含してもよい。安定化剤(たとえば、EDTAおよび/またはチオ硫酸ナトリウム)または保存剤(たとえば、ベンジルアルコール)。さらに、本開示の製剤は、さらなる薬剤および/または医薬品を包含してもよい。たとえば、CKD-MBDを有する血液透析患者におけるSHPTを治療する方法では、SHPTのための確立された治療であるビタミンD療法(たとえば、パリカルシトール)などの腎性骨ジストロフィーにおける1種以上の有効作用剤とともにAMG 416を共投与することができる。
【0064】
1つの実施態様において、約2-8℃にて1年間貯蔵された場合の製剤の分解は、5%未満である。もう1つの実施態様において、室温にて1年間貯蔵された場合の製剤の分解は、5%未満である。もう1つの実施態様において、約2-8℃にて1年間貯蔵された場合の製剤の分解は、10%未満である。もう1つの実施態様において、室温にて1年間貯蔵された場合の製剤の分解は、10%未満である。もう1つの実施態様において、約2-8℃にて2年間貯蔵された場合の製剤の分解は、10%未満である。もう1つの実施態様において、室温にて2年間貯蔵された場合の製剤の分解は、5%未満である。もう1つの実施態様において、約2-8℃にて2年間貯蔵された場合の製剤の分解は、5%未満である。もう1つの実施態様において、室温にて2年間貯蔵された場合の製剤の分解は、10%未満である。
【0065】
1つの実施態様において、液体製剤は、0.1 mg/mL〜20 mg/mLの治療用ペプチド、製剤を2.0〜5.0のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、1 mg/mL〜15 mg/mLの治療用ペプチド、製剤を2.5〜4.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2.5 mg/mL〜10 mg/mLの治療用ペプチド、製剤を2.5〜4.0のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2.5 mg/mL〜5 mg/mLの治療用ペプチド、製剤を2.5〜3.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2 mg/mL〜20 mg/mLの治療用ペプチド、製剤を約3.0〜3.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。
【0066】
1つの実施態様において、液体製剤は、0.1 mg/mL〜20 mg/mLのAMG 416、製剤を2.0〜5.0のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、1 mg/mL〜15 mg/mLのAMG 416、製剤を2.5〜4.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2.5 mg/mL〜10 mg/mLのAMG 416、製剤を2.5〜4.0のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2.5 mg/mL〜5 mg/mLのAMG 416、製剤を2.5〜3.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。もう1つの実施態様において、液体製剤は、2 mg/mL〜20 mg/mLのAMG 416、製剤を約3.0〜3.5のpHに維持する緩衝剤、および製剤がほぼ等張であるために十分な濃度の塩化ナトリウムを含む。
【0067】
好ましい実施態様において、本開示の製剤は、所望のpHをもたらすように計算された量の緩衝剤を適当な容器に置き、それを注射用水(WFI)に溶解し、有効成分(たとえば、AMG 416)の所望の濃度を達成するのに十分な量の物質(たとえば、AMG 416の塩酸塩)を加え、得られる製剤を体液と等張にするように計算された量の張性調節剤(または張性調節剤の混合物)を加え、次いで、総体積を所望の濃度にするのに必要な量のWFIを加えることによって製造される。成分を混合した後、pHを約3.0〜約3.5に調節し、成分を再度混合する。
【0068】
所望のpH範囲を達成するために調節が必要ならば、適当な溶液(pHを低下させるならば酸性溶液、およびpHを上昇させるならばアルカリ性溶液)を用いてpH値を調節することができる。適当な酸性溶液の非限定的例は、たとえば、塩酸、リン酸、クエン酸およびリン酸水素ナトリウムもしくはカリウムなどである。適当なアルカリ性溶液の非限定的例は、アルカリおよびアルカリ土類水酸化物、炭酸アルカリ、酢酸アルカリ、クエン酸アルカリおよびリン酸水素二アルカリ、たとえば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムもしくは二カリウムである。
【0069】
手順は、典型的に、約2-8℃〜約50℃の温度および大気圧にて行われる。次いで、得られる製剤を、使用前貯蔵のために、単位用量または複数回用量容器(ボトル、バイアルまたはプレフィルドシリンジ)に移す。
【0070】
製剤を、上述のように製造し、投与することができる。別法として、たとえば、輸液などの担体中に、あるいは透析中(たとえば、返血中)に患者に戻される血液/流体中に、製剤(上述のように製造)を溶解、分散などさせた後に、製剤を投与することができる
【0071】
本開示の液体製剤の製造は、知られており、当業者には明らかである。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、17th edition、1985を参照。
【0072】
実施例
行われた実験および達成された結果などの以下の実施例は、説明の目的のために提供され、請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0073】
コハク酸塩緩衝生理食塩水中のAMG 416の溶解度
この実験では、コハク酸塩緩衝生理食塩水中のAMG 416の溶解度を研究した。AMG 416 HCl(103 mg 粉末、80 mg ペプチド)を、200 μLのコハク酸塩緩衝生理食塩水(25 mM コハク酸塩、0.9% 生理食塩水、pH 4.5)に溶解した。短時間ボルテックスした後、公称濃度400 mg/mLの透明な溶液を得た。溶液体積の膨張は決定されなかったので、AMG 416の溶解度を、保存的に、少なくとも200 mg/mLと述べることができる。この実験では、最大溶解度は決定されなかったが、AMG 416は、少なくとも200 mg/mLの濃度まで、pH 4.5のコハク酸緩衝生理食塩水に可溶である。
【実施例2】
【0074】
濃度依存性安定性試験
この試験では、コハク酸塩緩衝生理食塩水(pH 4.5)中のさまざまな濃度にわたるAMG 416の安定性を研究した。上述の実施例1からの200 mg/mL AMG 416の溶液を、200 μLのコハク酸塩緩衝生理食塩水(pH 4.5)で、公称濃度200 mg/mLまでさらに希釈し、コハク酸塩緩衝生理食塩水(pH 4.5)で、66、20、6.7、2.2および0.67 mg/mLに連続希釈した。サンプルを室温(すなわち、約25℃)に維持し、間隔を置いて29日まで、アリコートをHPLCによって分析した。20〜0.67 mg/mLの濃度範囲を有する第二の一連のAMG 416サンプルを、40℃にてインキュベートし、同じ方法で分析した。
【0075】
室温および40℃におけるサンプルを第29日の時点における純度をそれぞれ表1および表2において提供する。結果は、濃度および温度の関数としてのAMG 416の安定性プロフィールを提供する。
【0076】
表1
25 mM コハク酸塩緩衝生理食塩水(pH 4.5)中のAMG 416の室温安定性
【表1】
【0077】
表2
25 mM コハク酸塩緩衝生理食塩水(pH 4.5)中のAMG 416の40℃安定性
【表2】
【0078】
室温における濃度の関数としてのAMG 416分解の経時変化を
図1Aに示す。
図1Bでは、スケールは、20 mg/mL以下の薬物濃度における分解パターンをより明確に説明するように拡張される。40℃における濃度の関数としてのAMG 416分解の経時変化を
図2に示す。データは、AMG 416溶液の安定性が、0.67 mg/mL〜200 mg/mLの試験範囲の濃度に関連することを示す。また、データは、AMG 416溶液の安定性が、インキュベーション温度に関連することを示す。
【0079】
表3は、pH 4.5 SBS中の室温貯蔵29日における分解の程度に基づく、さまざまな濃度のAMG 416の溶液についての室温における分解の程度の予測を示す。直線的分解動態を仮定することによって、表1からの室温における29日データを記載した期間に外挿した。室温データを5℃に外挿した。4分の1のより遅い分解速度に等しい20℃の差異を仮定した。アレニウスの式の単純な適用を用いて、外挿を行った。ここで、10℃の温度上昇は、反応速度を2倍増加させ、同じ反応メカニズムであること、および関連反応のための活性化エネルギーがおよそ50 kJ/molであることが仮定される。
【0080】
影付の値は、液体製剤にとって好ましい10%未満の分解の濃度/貯蔵条件を示す。
【0081】
表3
AMG 416溶液についての安定性予測
【表3】
【0082】
表1および表2に示すデータの比較から、AMG 416溶液の長期安定性を予測するツールとしての温度上昇の評価をすることができる。0.67〜20 mg/mLからのデータを以下の表4に示す。データは、40℃における分解の促進を明らかにするが、それはアレニウス(記載された仮定、上記)によって予測されるものよりも著しく高い。このことは、促進された安定性のデータが、実際の貯蔵温度において観察されるものより高い程度の分解を予測することを示唆する。
【0083】
表4
pH 4.5溶液中のAMG 416の分解の温度および濃度依存性
【表4】
【実施例3】
【0084】
さまざまなpH範囲にわたるAMG 416の液体製剤の安定性
この試験では、コハク酸塩緩衝生理食塩水中のpH範囲にわたる、10 mg/mLの濃度のAMG 416の液体製剤の安定性を決定する。AMG 416 HCl(257 mg 粉末)を、20 mlのpH 4.5のコハク酸塩緩衝生理食塩水に溶解して、10.0 mg/mlのペプチド濃度(粉末のペプチド含量に対して調節)を提供した。溶液を5つの4 mLポーションに均等に分割し、必要に応じてNaOHおよびHClでそれぞれpH 2、3、4、5および6に調節した。各ポーションから3つの1 mL溶液を分取し、それぞれ、2-8℃、室温(約25℃)および40℃にてインキュベートした。各アリコート中の残りの1 mL溶液を、pH 4.5のコハク酸塩緩衝生理食塩水で、4 mLの2.5 mg/mLペプチド濃度に希釈し、同じ方法でpHを調節し、インキュベートした。HPLC分析のために、スケジュールにしたがって、サンプルを回収し、脱イオン水で、1.0 mg/mLに希釈した。
【0085】
試験したすべてのサンプルについての第28日の時点における純度を表5において提供する(注:出発純度値は、この試験では99.3%であった)。結果は、pH、温度および濃度の関数としての安定性プロフィールを提供する。
【0086】
表5
AMG 416溶液についての第29日の時点における純度
【表5】
【0087】
pHの関数としてのAMG 416分解の経時変化を
図3に示す。10 mg/mL(
図3A)および2.5 mg/mL(
図3B)溶液の両方において、最小の分解は、pH 3において観察される。両方の溶液において、pH 6における分解が、第29日の時点までに50%に近い純度で最も速く進行する。HPLC分析は、pH 2における主な分解は、3より大きいpHにおいて観察される分解とは異なることを明らかにした。低いpHでは、分解は、主に加水分解による脱アミド化により、高いpHでは、分解は、主にホモ二量体の形成である。
【0088】
第28日の時点におけるpHの関数としての安定性プロフィールを
図4に示す。実験のこのセットで、最も少ない分解のpHはおよそ3.0であることが、10 mg/mL(
図4A)および2.5 mg/mL(
図4B)の両方において再び見られる。さらに、純度の低下は、すべてのpHレベルで温度に関連し、2-8℃にてインキュベートしたサンプルにおいて最も少ない分解が観察され、40℃にてインキュベートしたサンプルにおいて最も多い分解が観察される。
【0089】
28日における分解の程度に基づいて、上述のように分解の程度の予測を計算した。10 mg/mL溶液についての予測を表6において提供し、2.5 mg/mL溶液についての予測を表7において提供する。影付の値は、分解が10%未満である状態を示し、液体製剤にとって好ましい。28日におけるサンプルが、初期データよりもわずかに高い純度を示す状態は、すべての予測について0.0%として表される。
【0090】
これらの外挿は、pH 3の2.5または10 mg/mL溶液について室温にて2年後の、10%未満の分解を示唆する。一般に、より高い温度でのデータは、より低い温度でのデータと比較して、2年での、より多い分解を予測する。したがって、10 mg/mL試験(表6)において、pH 3では、すべての温度データにおいて10%未満の分解であることが予測され、2-8℃データでは、より高い温度での分解の程度よりも低い分解が予測され、実際、2-8℃では、pH 4のデータもまた、10%未満の分解を支持する。同様に、2.5 mg/mL溶液では、2-4のpH範囲で、2-8℃データから外挿される場合、室温にて2年間にわたって10%未満の分解であることが予測される。
【0091】
表6
28日における分解の程度に基づくAMG 416 10 mg/mL溶液についての安定性予測
【表6】
【0092】
表7
28日における分解の程度に基づくAMG 416 2.5 mg/mL溶液についての安定性予測
【表7】
【0093】
表8は、上記表4と同様の方法における、これらのデータについての温度促進効果を表す。これは、温度上昇が、アレニウス原理の単純な適用に基づく外挿によって予測されるよりも、より大きい分解促進を提供する傾向があることを再度示す。
【0094】
表8
pHの関数としての温度促進
【表8】
【0095】
各pH値において、3つの温度それぞれについての分解データを、他の2つの温度からのデータと比較して、観察された促進を計算する。予測される促進は、上述のように、アレニウスの原理の単純な適用によるものである。下記のように、HPLC分析は、約3未満における主な分解メカニズムが、約3よりも大きいpHにて観察されるものとは異なることを示す。
【実施例4】
【0096】
安定性における等張化賦形剤の効果
この試験では、液体製剤中のAMG 416の安定性におけるさまざまな医薬的賦形剤の効果を決定した。AMG 416の10 mg/mL溶液および2倍等張濃度のマンニトール、グリシン、アルギニン、NaClおよびNa
2SO
4のストック溶液を調製した。AMG 416溶液および5つの賦形剤溶液および脱イオン水のpHを、HCl/NaOHを用いてpH 3.5に別々に調節した。6つの溶液の500 μLのアリコートをガラスバイアルに加え、500μLのAMG 416溶液を同じバイアルに加え、十分に混合した。この走査を3回繰り返して、それぞれ5 mg/mL AMG 416および等張濃度の賦形剤(または脱イオン水)を含む18個のサンプルバイアルを準備した。pH 4.5に調節した溶液のセットを用いて、この操作を繰り返し、さらに18個のサンプルバイアルを準備した。サンプルをインキュベートし、関連する時点でのHPLC分析用に移動させた。
【0097】
第56日の時点における安定性データを表9に示す。賦形剤の関数として、ある範囲の安定性挙動を観察した。試験した大部分の条件下で、NaCl製剤は、最も少ない量の分解を示した。例外は、pH 3.5および4.5での2-8℃におけるデータである。アルギニンは、40℃サンプルおよび室温(約25℃)におけるpH 4.5サンプルにおいて有害であるように見え、硫酸ナトリウムは、室温および40℃におけるpH 4.5サンプルにおいて有害であるように見えたが、その他の変動が、他の賦形剤について観察された。
【0098】
表9
5 mg/mL AMG 416溶液についての56日における分解の程度(%)
【表9】
【0099】
表10は、室温にて2年貯蔵にデータを外挿し、より高い温度での貯蔵は、一般に、アレニウスの原理の単純な適用によって予測されるよりも、より速い分解を予測するという点において、上記と同様の傾向が見られる。
【0100】
表10
室温にて2年間貯蔵後の5 mg/mL AMG 416溶液についての予測の分解の程度(%)
【表10】
【0101】
データは、塩化ナトリウムが、AMG 416溶液製剤のための適当な張性調節剤でありうることを示す。
【実施例5】
【0102】
さまざまな緩衝剤における溶液安定性
この試験では、9日にわたって、4つの異なる緩衝剤において、AMG 416の液体製剤の溶液を評価した。ナトリウム塩形態:酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩およびコハク酸塩の4つの異なるアニオン性緩衝剤について、25 mM濃度、pH 4.5にて、緩衝生理食塩水溶液を調製した。AMG 416 HCl(粉末)を各緩衝溶液に溶解して、2.5 mg/mL溶液を準備し、HCl/NaOHでpHを4.5に調節する。溶液を、pH 4.5緩衝剤でさらに1.0 mg/mLおよび0.25 mg/mLに希釈する。得られる溶液のそれぞれを、2つのガラスHPLCバイアルに分け、1つを2-8℃にて貯蔵し、1つを室温(約25℃)にて貯蔵した。効力および純度を決定するために、0、4および9日にてHPLC分析を行った。
【0103】
ベースラインの変動に起因しうる9日におけるクエン酸サンプルについての2、3の小さいピーク以外は、すべての時点における大部分のサンプル中のAMG 416の純度は、100%であった。すべての試験緩衝剤において、AMG 416は、第9日試験中、良好な安定性を示した。
【実施例6】
【0104】
pH 2.25、2.5 3.0および3.5の緩衝溶液中の安定性
この試験では、低pH条件下でのAMG 416の液体製剤の安定性を研究した。59mgのコハク酸を45 mlの研究室処理した(脱イオン化)水に溶解し、必要に応じて1N HClおよび1N NaOHを用いてpHを3.5に調節し、適量50 mlにすることによって、コハク酸塩緩衝生理食塩水(10 mM、pH 3.5)を調製した。同じ方法で、10 mM、pH 3.5の乳酸ナトリウム(56 mg/50 mL)緩衝溶液を調製した。
【0105】
AMG 416 HCl(128 mg 粉末)を、20 mLのコハク酸塩緩衝剤に溶解し、5 mg/mL AMG 416溶液を準備し、2つの等しい10 mLポーションに分けた。1つのポーションにNaCl(90 mg)を加え、他方のポーションにマンニトール(500 mg)を加えた。それぞれの10 mLポーションを再び2つの等しい5 mLポーションに分け、1N HClおよび1N NaOHでpHをそれぞれ2.25および3.5に調節した。同じ方法で、乳酸塩緩衝剤を用いて、4つの5 mL溶液を調製した。得られる8つの溶液それぞれ1.0 mLを3つの血清サンプルバイアルに加えた。さらに、残りのNaCl含有pH 2.25、コハク酸塩緩衝AMG 416溶液をpH 2.5に調節し、3つの血清サンプルバイアルに0.5 mLのアリコートを加え、残りのNaCl含有pH 3.5、コハク酸塩緩衝AMG 416溶液をpH 3.0に調節し、3つの血清サンプルバイアルに0.5 mLのアリコートを加えた。表11参照。
【0106】
各時点(0、2、8、12および24週)において、30個のサンプルすべてを貯蔵から回収し、室温(約25℃)に平衡化し、100 μLのアリコートをRP-HPLC分析用に水で0.5 mg/mLに希釈した。残りのサンプルに再度封をし、それぞれの貯蔵条件に戻した。
【0107】
表11
サンプル番号の記載
【表11】
【0108】
この試験についての代表的HPLCデータを
図5および6に示す。
図5に示すHPLCトレースは、40℃にて67日間貯蔵したpH 2.25サンプルである(5 mg/mL、純度87.8%)。
図5Bは、不純物を見るための異なるスケールを示す。
図6は、それ以外は等価の製剤(pH 3.5、40℃、5 mg/mL、67日間、純度91.7%)についてのpHを3.5に上昇させる効果を説明する。
図6Bは、不純物を見るための異なるスケールを示す。先の試験のように、pH変化による分解プロフィールの顕著な違いが見られる。
【0109】
時間の関数としてのAMG 416純度を表12に示す(10 mM緩衝剤濃度:L=乳酸塩;S=コハク酸塩。張性調節剤:N=0.9% NaCl;M=5% マンニトール)。使用したロットが、0時点で3.4%の二量体を含んだことに留意。サンプル調製エラーにより、サンプル26についての第14日の時点を除外した。
【0110】
選択されたデータを
図7-9において、グラフで示す。
【0111】
表12
緩衝溶液中における67日までの5 mg/mL AMG 416溶液の安定性
【表12】
【0112】
図7は、冷蔵条件(2-8℃)下でのpHの関数としてのコハク酸塩緩衝生理食塩水中のAMG 416(5 mg/mL)の溶液安定性を示す。
図8は、室温にて貯蔵後のpHの関数としてのコハク酸塩緩衝生理食塩水中のAMG 416(5 mg/mL)の溶液安定性を示す。
図9は、40℃にて貯蔵後のpHの関数としてのコハク酸塩緩衝生理食塩水中のAMG 416(5 mg/mL)の溶液安定性を示す。
【0113】
最も遅い時点での分解プロフィールを表13に示し、2つの主な分解(C末端脱アミド化およびホモ二量体形成)の出現の経時変化を表14および15に示す。
図10および11は、選択された製剤(pH条件の完全なセットが利用可能である製剤、すなわち、NaClおよびコハク酸塩を含むが乳酸塩またはマンニトールを含まない製剤)に対するpHの関数としての、これらの個々の生成物(それぞれ、C末端脱アミド化およびホモ二量体形成)への分解の経時変化を表す。
【0114】
図10は、分解についての明らかなpH依存性を示し、高いpHよりもpH 2.25におけるこの経路によって有意により大きく分解され、pHと脱アミド化の量の間に直接的な対応がある。対照的に、
図11に示されるホモ二量体形成は、pHと分解の程度の間の逆の関係を示す。これらの相反する傾向は、
図7-9に示される安定性データ全体の根拠となり、この実験セットにおけるAMG 416溶液についての最大安定性は、pH3.0±0.5において観察された。
【0115】
安定性および賦形剤組成物の間の相関関係は、あまり明確ではない。緩衝剤選択(コハク酸塩 対 乳酸塩)に関して表12-14中のデータを調査しても、pH 2.25または3.5における主な分解のいずれかに関して、いずれの緩衝剤に対しても優先傾向の明らかなパターンを示さない。ホモ二量体ピークがより大きい積分を有するので、コハク酸塩緩衝剤を含むすべてのサンプルは、対応する乳酸塩で緩衝されたサンプルよりも、0時点において低い純度を示した。この理由は、明らかではないが、緩衝剤の関数としての親 対 二量体の相対吸光度における変化を示す可能性がある。しかしながら、上述したように、続いて行うインキュベーションにより、いずれの緩衝剤の存在下においても本質的に同一の分解速度が提供される。張性調節剤(NaClまたはマンニトール)の選択に関し、塩化ナトリウムは、pH 2.25における分解速度を増進させるように見える(表13、25℃におけるサンプル9-12および40℃におけるサンプル17-20参照)。しかしながら、NaCl(マンニトールと比較して)は、pH 3.5におけるホモ二量体への分解を抑制するように見える(表14、25℃におけるサンプル13-16および40℃におけるサンプル21-24参照)。
【0116】
表13
67日後のAMG 416溶液(5 mg/mL)についての分解プロフィール
【表13】
10 mM緩衝剤濃度:L=乳酸塩;S=コハク酸塩。張性調節剤:N=0.9% NaCl;M=5% マンニトール)。二量体に対する値 % は、出発値を引いた後の分解の増加を反映する。
【0117】
表14
67日までの時点におけるAMG 416溶液(5 mg/mL)中の脱アミド化
【表14】
10 mM緩衝剤濃度:L=乳酸塩;S=コハク酸塩。張性調節剤:N=0.9% NaCl;M=5% マンニトール)。
【0118】
この実験セットにおけるAMG 416溶液についての最大安定性は、pH3.0±0.5において観察された。pH 2.5および3.5における総分解率は類似しているが、分解プロフィールは異なる。pH 2.25における安定性は、観察される脱アミド化の量がより多いので、劣る。安定性プロフィールにおいて賦形剤のいくらかの効果を観察することができるが、pH 3.0において製剤された場合、データは、試験された賦形剤システム間の全体的優先傾向を示さない。
【0119】
表15
67日までの時点におけ5 mg/mL溶液中のホモ二量体へのAMG 416の分解
【表15】
(10 mM緩衝剤濃度:L=乳酸塩;S=コハク酸塩。張性調節剤:N=0.9% NaCl;M=5% マンニトール)。実験用に用いられたAPIが、かなりの量の二量体を含んでいたので、分解が(総二量体ではなく)二量体含量中の増加として表されることに留意。
【0120】
この実験セットにおけるAMG 416溶液についての最大安定性は、pH3.0±0.5において観察された。pH 2.5または3.5において製剤された溶液の分析は、異なる分解プロフィールを示し、C末端アミド加水分解は、低いpHにおいて、より多く分解されるが、ホモ二量体形成は、より高いpHにおいてより多かった。pH 3.0における液体製剤は、冷蔵条件下での2年にわたって2-4%の総分解を予測された。
【実施例7】
【0121】
ロバスト性試験
この試験では、さまざまな製造および分析条件下でのAMG 416の液体製剤の安定性を調査した。それぞれ、pH(2.7、3.3または3.9)、ペプチド濃度(4、5または6 mg/mL)および塩濃度(0.7、0.85または1.0%)の異なる組合せを有する14の製剤試験グループを調製した。各製剤のオスモル濃度を同じに維持した(コハク酸塩 10 mM)。表16参照。
【0122】
表16
製剤試験グループ
【表16】
製剤試験グループのそれぞれのサンプル(2.1 mL)を3mLのタイプ1Bのガラスバイアル(Schott、ドイツ)に分注し、密閉した(ゴム栓)。バイアルのセットを4℃、25℃または40℃の温度にて3ヶ月間直立させて貯蔵した。pH、オスモル濃度、AMG 416パーセントおよび分解を3ヶ月にわたって評価した。
【0123】
3つのファクター(pH、ペプチド%およびNaCl%)によって定義される時間依存性反応表面を、このような表面を記載する統計モデルを各HPLC応答についてのデータおよび各温度におけるデータにフィットさせることによって評価した(JMP(登録商標) statistical discovery software、SAS)。モンテカルロシミュレーションを用いて、セットポイントおよびランダムノイズの周囲のファクターのランダムバリエーションの関数として、セットポイント(pH=3.3、ペプチド=5%およびNaCl=8.5%)における予測HPLC応答の分布を作成した。
【0124】
時間に関しては、pHおよびオスモル濃度の有意な変化は見られなかった。4℃および25℃において、全試験期間を通して、純度は92%以上のままであり、脱アミド化は4%以下であった。において、純度、脱アミド化およびホモ二量体形成は、1ヶ月の時点で開始された。しかしながら、脱アミド化およびホモ二量体形成は、pH 3.3の周囲の狭い範囲で減少し、pHがこれらの分解の形成に影響を及ぼすことが示された。
【0125】
このデータに基づいて、pH 2.8〜3.8の範囲にわたる純度プロフィールの予測を提供することが可能である。
図12に示すように、各温度における純度は、試験範囲内で、pHに強く依存し、ペプチド濃度およびNaClへの依存はそれに比べて低かった。冷蔵条件下では、pHの影響は、3.3を超えるpHではさほど有意ではなかったが、室温(約25℃)では、pHがより高いと、より急速に分解される。冷蔵条件下で治療用途のための製剤を長期貯蔵に付してもよい。さらに、製剤が、製造、パッケージング、ラベリングおよび臨床使用中に高温への曝露される可能性も考慮されるべきである。したがって、この実験セットでは、試験した範囲のpH値2.8〜3.8(3.3±0.5)が、AMG 416製剤に適していることが観察された。
【実施例8】
【0126】
pHの範囲にわたるAMG 416の液体製剤の長期安定性
この試験では、3.4 mg/mLの濃度におけるAMG 416の液体製剤の長期安定性を、コハク酸塩緩衝生理食塩水中のpHの範囲にわたって決定した。USP精製水(1200 mL)をガラスビーカーに分注した。コハク酸ナトリウム(4.05 g)および塩化ナトリウム(13.5 g)を加え、攪拌して溶解した。必要に応じて1N NaOHおよび/または1N HClでpHを2.5に調節した。AMG 416 HCl(5.5 g 粉末重量)を加え、攪拌して溶解し、精製水で1500 mLにして、3.4 mg/mL溶液(AMG 416)を提供する。溶液を、3つのポーションに分割し、各ポーションのpHをそれぞれ、2.5、3.0および3.5に調節した。各溶液を、0.22ミクロンPVDFフィルターを通して別々にろ過し、2 mL〜5-ccのバイアルに分注する。栓をし、密閉し、ラベリングした後、バイアルを、5℃±3、25℃±2および40℃±2に指定された安定性チャンバーに置いた。スケジュールにしたがってサンプルを回収し、HPLC分析用に脱イオン水で1.0 mg/mLに希釈した。0、1、2、3、5、12および24ヶ月における純度を表17に提供する(注:この試験では、出発純度値は、99.2%であった)。結果は、pHおよび温度の関数としてのAMG 416の3.4 mg/mL液体製剤の長期安定性プロフィールを提供する。
表17
AMG 416溶液についての24ヶ月までの時点における純度
【表17】
【0127】
各pHレベルにおけるAMG 416液体製剤純度の経時変化を
図13に示す。すべての温度において、最高の純度は、pH 3.5において観察された、最大分解は、pH 2.5において観察された。さらに、すべての温度において、pH 3.0および3.5における純度は、pH 2.5における純度よりも有意に高かった。したがって、たとえば、冷蔵サンプルについて、24ヶ月の純度は、pH 3.5および3.0の溶液について、それぞれ98.3および97.7であったが、pH 2.5の溶液については94.8しかなかった。さらに、すべてのpHレベルにおいて、温度に関連して純度の低下が見られ、2-8℃においてインキュベートされたサンプルで最小の分解が観察され、40℃においてインキュベートされたサンプルで最大の分解が観察された。pH 2.5において観察される主な分解物は、脱アミド化生成物であり、pH 3.5においてはホモ二量体が観察された。
【0128】
これらのデータは、記載した製剤が、冷蔵条件下で少なくとも2年の保存期間にわたってAMG 416の適切な安定性を維持することができるということを確認する。観察された分解は、すべてのケースにおいて直線的であり、早期の実験からのデータ外挿に基づく結論をサポートする。このデータから、異なる分解経路の間のバランスに基づいて、最適pHは、3.0〜3.5の間にある。
【0129】
本明細書に引用されたすべての公報、特許および特許出願は、あたかも個々の公報または特許出願が、参照することにより援用されるべきであると特別かつ個々に示されたように、参照することによって本明細書に援用される。前述の発明は、理解の明確さの目的のための説明および例によって多少詳しく述べられているが、本発明の教示を考慮すると、特定の変化および変更が、特許請求の真の趣旨または範囲から逸脱することなくなされうるにことは当業者には容易に明白となろう。