(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持位置に関する条件は、検体ラックにおける第1検体の予め定められた保持位置と第2検体の予め定められた保持位置との条件である、請求項2に記載の検体分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
<検体分析装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す図である。検体分析装置1は、血液に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法及び凝集法を用いて、血液の凝固又は線溶機能に関連する特定の物質の量、活性の度合等を光学的に測定して分析するものである。かかる検体分析装置1は、検体に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0026】
図2は、測定装置2の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
【0027】
測定ユニット10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、キュベット搬送器32と、キュベット口34と、廃棄口35、36を備えている。
【0028】
第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16は、円形状のテーブルであり、それぞれ、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配されたステッピングモータにより行われる。
【0029】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0030】
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a、16aが形成されている。キュベット保持孔15a、16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0031】
テーブルカバー17は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15の上面を覆うように設置されている。また、テーブルカバー17は、前半分のみ開けられるよう中央部分に折り曲げ機構を有している。また、テーブルカバー17には、複数の孔(図示せず)が設けられている。第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25による分注は、これら複数の孔を介して行われる。
【0032】
第1検体分注ユニット21は、図示の如く、支持部21aと、アーム21bと、分注部21cとで構成されている。支持部21aは、下面裏側に配されたステッピングモータにより回転駆動される。また、支持部21aは、アーム21bを支持しており、アーム21bは、上記ステッピングモータにより上下方向に駆動される。分注部21cは、アーム21bの先端に取り付けられており、ピペットを有する。かかるピペットを用いて検体が吸引され吐出される。
【0033】
支持部21aが回転駆動されると、分注部21cが支持部21aを中心とした円周上を移動する。分注部21cは、検体吸引位置において、真下位置にある検体を吸引し、検体吐出位置において、真下位置にあるキュベットに検体を吐出する。なお、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25についても、第1検体分注ユニット21と同様の構成となっている。すなわち、第2検体分注ユニット22は支持部22aを備え、支持部22aは、下面裏側に配されたステッピングモータにより回転駆動される。また、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25は、それぞれ、支持部23a、支持部24a、支持部25aを備え、支持部23a、支持部24a、支持部25aは、それぞれ、下面裏側に配されたステッピングモータにより回転駆動される。
【0034】
第1キャッチャユニット26は、図示の如く、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータにより回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータにより回転される。
【0035】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0036】
キュベット搬送器32は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32には、キュベットを保持するための孔が設けられている。
【0037】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26と第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔とキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0038】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する10個の保持孔41が設けられており、下面裏側に発光部と受光部とからなる検出部が配されている。発光部は、保持孔41に保持されたキュベットに対して光を照射するようになっている。キュベットに対して発光部と反対側に設けられた受光部が、キュベットを透過した光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力するようになっている。このようにして、保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベットの収容物の特徴情報である吸光度が検出される。
【0039】
また、検出ユニット40の1つの保持孔41の近傍には、磁石が配置されている。この磁石にはモータ411(
図3参照)が連結されており、モータにより各磁石が回転可能とされている。液体収容物とともにスターラーバーが収容されたキュベットが、磁石付きの保持孔41にセットされると、モータが駆動されて磁石が回転され、この磁石の回転によってスターラーバーが回転され、キュベットの収容物が撹拌される。
【0040】
搬送ユニット50は、搬送路51と検体バーコードリーダ52を備えている。搬送路51の底面は、右側に右槽領域、中央に連結領域、左側に左槽領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、連結領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0041】
次に、検体の分析が行われる一連の動作について説明する。
【0042】
まず、複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、搬送路51の右槽領域にセットされる。検体ラック60は、右槽領域において後方に移動された後、連結領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。続いて、検体ラック60が、連結領域の所定の場所に位置づけられる。連結領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、連結領域において左方向に移動された後、左槽領域において前方に移動される。
【0043】
第1検体分注ユニット21は、搬送路51の連結領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
【0044】
第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、または、搬送路51の連結領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。
【0045】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。
【0046】
続いて、第2キャッチャユニット27は、保持孔16aにセットされた検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器内の試薬(第1試薬)を吸引し、試薬吐出位置38にて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0047】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39aまたは39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24と第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器内の試薬(第2試薬)を吸引し、それぞれ、試薬吐出位置39a、39bにて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。しかる後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的特徴情報が検出される。
【0048】
なお、ここでは、第1試薬分注ユニット23による試薬(第1試薬)の混和と、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25による試薬(第2試薬)の混和の両方が行われたが、分析内容によっては、第1試薬の混和が行われない場合がある。この場合、上記第1試薬の混和ステップがスキップされ、第2試薬の混和のみが行われた後、光学的特徴情報の検出が行われる。
【0049】
検出ユニット40による検出が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットについても、分析が終了し不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
【0050】
図3は、測定装置2の回路構成を示す図である。
【0051】
測定装置2は、制御部300と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、スターラー駆動用のモータ411とを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
【0052】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0053】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、モータ411とを制御する。
【0054】
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11を回転駆動させるステッピングモータと、第1試薬テーブル11とは独立して第2試薬テーブル12を回転駆動させるステッピングモータとで構成されている。分注ユニットステッピングモータ部312は、第1検体分注ユニット21の支持部21a、第2検体分注ユニット22の支持部22a、第1試薬分注ユニット23の支持部23a、第2試薬分注ユニット24の支持部24a、第3試薬分注ユニット25の支持部25aをそれぞれ独立して回転駆動させる5つのステッピングモータで構成されている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26の支持部26aを回転駆動させるステッピングモータと、第2キャッチャユニット27を回転させるステッピングモータとで構成されている。
【0055】
図4は、情報処理装置3の回路構成を示す図である。
【0056】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読み出し装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410を有する。
【0057】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0058】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク404には、測定装置2を制御し、検体の測定動作を実行させるための制御用コンピュータプログラムがインストールされている。
【0059】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース410により、測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0060】
<検体分析装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。本実施の形態に係る検体分析装置1は、血液の凝固又は線溶機能に関する測定項目(以下、「血液凝固項目」という。)と、血小板凝集能に関する測定項目(以下、「血小板凝集項目」という。)とのそれぞれについて、検体の測定が可能である。
【0061】
本実施の形態においては、第1検体容器及び第2検体容器の2つの検体容器が使用される。
図5は、第1検体容器の外観構成を示す斜視図である。第1検体容器61は、採血管であり、縦長の円柱状をなしている。第1検体容器61の上端には蓋が設けられ、これにより第1検体容器61は密閉可能とされている。かかる第1検体容器61には、収容している検体を識別するための検体番号を示すバーコードが印刷されたバーコードラベル61aが貼布されている。なお、測定時には、第1検体容器61の上端の蓋は外す。
【0062】
図6は、第2検体容器の外観構成を示す斜視図である。第2検体容器62は、第1検体容器61に比べて短寸のカップ状をなしている。第2検体容器62の上端にも蓋が設けられており、これにより第2検体容器62は密閉可能とされている。かかる第2検体容器62には、バーコードラベルは貼布されていない。
【0063】
第1検体容器61は、血液凝固項目の測定及び血小板凝集項目の測定の両方に用いられ、第2検体容器62は、血小板凝固項目の測定にのみ用いられる。血液凝固項目の測定が必要な患者から採取された全血検体は、弱遠心分離処理が施され、血漿又は血清とされて第1検体容器61に収容される。この血漿又は血清が、血液凝固項目の測定に供される。また、血小板凝集項目の測定が必要な患者から採取された全血検体に対してまず弱遠心分離処理が施され、このとき得られた上清がPRP検体として第2検体容器62に収容される。PRP検体が採取された後の残りの検体に対してさらに強遠心分離処理が施され、これによって得られた上清がPPP検体として第1検体容器61に収容される。PRP検体は、血小板を多く含む血漿成分から構成される検体であり、PPP検体は、血小板をほとんど含まない血漿成分から構成される検体である。かかるPRP検体及びPPP検体が、血小板凝集項目の測定に供される。
【0064】
上記のような検体を収容した第1検体容器61及び第2検体容器62は、検体ラックに保持された状態で検体分析装置1へ供給される。
図7は、第1検体容器61及び第2検体容器62を保持した検体ラックの正面図である。検体ラック60には、10個の検体容器を一列に並べた状態で保持することが可能である。即ち、検体ラック60には10の保持位置が設けられており、各保持位置において第1検体容器61又は第2検体容器62を保持可能となっている。
【0065】
検体ラック60は、血液凝固項目の測定に用いられる場合には、血液凝固項目測定用の血漿又は血清が収容された第1検体容器61のみがセットされ、血小板凝集項目の測定に用いられる場合には、PPP検体が収容された第1検体容器61及びPRP検体が収容された第2検体容器62のみがセットされる。つまり、検体ラック60に、血液凝固項目測定用の血漿又は血清が収容された第1検体容器61と、PPP検体が収容された第1検体容器61又はPRP検体が収容された第2検体容器62とが混在してセットされることはない。
図7には、血小板凝集項目測定用の検体ラック60が示されている。血小板凝集項目の測定に供される検体ラック60には、PPP検体を収容した第1検体容器61と、PRP検体を収容した第2検体容器62とが交互に並ぶようにセットされる。即ち、PPP検体を収容した第1検体容器61は、検体ラック60の奇数番号の保持位置にセットされ、PRP検体を収容した第2検体容器62は、検体ラック60の偶数番号の保持位置にセットされる。ここで、保持位置の番号は、進行方向下流側の保持位置から順番に1,2,3,…,10と割り当てられている。さらに、隣り合う2つのPPP検体及びPRP検体は、同一患者から採取されたものとされる。例えば、保持位置1のPPP検体と、保持位置2のPRP検体とは、同一患者から採取されたものとされる。
【0066】
同一患者から採取された一対のPPP検体及びPRP検体には1つの検体番号が割り当てられる。これらのPPP検体及びPRP検体は隣り合うように検体ラック60に保持されるため、PPP検体を収容する第1検体容器61のバーコードラベル61aから検体番号を取得すれば、当該検体番号が対応するPRP検体の検体番号としても特定される。つまり、一対のPPP検体とPRP検体とが隣り合って検体ラック60に保持されるという保持位置の条件を利用することで、組となるPPP検体及びPRP検体を特定することができる。したがって、一組のPPP検体及びPRP検体のうちのPPP検体を収容した第1検体容器61のバーコードラベル61aから検体番号を取得すれば、第2検体容器62にバーコードラベル等の検体番号記録担体を取り付けなくても、対応するPRP検体の検体番号を特定することができる。
【0067】
また、ユーザは検体分析装置1に検体の測定オーダを登録することが可能である。
図8は、測定オーダの登録画面の一例を示す図である。
図8には、血小板凝集項目の測定オーダを登録するための画面例が示されている。ユーザは、情報処理装置3の入力部408を使用して所定の操作を行うことで、オーダ登録画面D1を表示部409に表示させることができる。オーダ登録画面D1では、検体ラック単位で検体の測定オーダを登録することが可能である。オーダ登録画面D1は表形式の入力画面であり、検体ラック60の保持位置が示される列C1と、検体番号を入力するための列C2と、測定項目“PPP”の測定指示を入力するための列C3と、測定項目“ADP(アデノシンニリン酸)”の測定指示を入力するための列C4と、測定項目“Epi(エピネフリン)”の測定指示を入力するための列C5と、測定項目“Col(コラーゲン)”の測定指示を入力するための列C6と、測定項目“Ris(リストセチン)”の測定指示を入力するための列C7と、測定項目“Ara(アラキドン酸)”の測定指示を入力するための列C8とが設けられている。血小板凝集項目についての測定オーダを登録するための画面D1では、同一の検体番号が割り当てられたPPP検体及びPRP検体が保持される保持位置の組毎に行が設けられ、各行で個別に測定オーダの登録が可能となっている。
図8の例では、保持位置1と2の組について1行が設けられており、この行には検体番号“S10001”が入力されている。また、この行では、測定項目“PPP”及び“ADP”について測定指示が与えられている。上記のようにして登録された測定オーダは、情報処理装置3のハードディスク404に記憶される。なお、オーダ登録画面D1を表示させた際に、列C3(測定項目“PPP”と列C4(測定項目“ADP”)の測定指示はデフォルトで入力されている。
【0068】
ユーザは、上記のようにして測定オーダ
を登録した上で、検体ラック60に第1検体容器61又は第2検体容器62をセットし、かかる検体ラック60を検体分析装置1の搬送ユニット50にセットする。この後、検体分析装置1による検体分析が開始される。
【0069】
図9は、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作の手順を示すフローチャートである。検体分析装置1では、動作モードの設定が可能であり、ユーザは血小板凝集項目以外の測定項目(血液凝固項目)について検体測定を実行するための通常測定モード、及び血小板凝集項目について検体測定を実行するための血小板凝集率測定モードの何れか一方を入力部408により指定することができる。検体分析装置1のCPU401はまず、検体分析装置1の動作モードを設定する(ステップS101)。この処理では、ユーザから動作モードの指定を受け付けた場合には、指定された動作モードが設定される。ユーザから動作モードが指定されなかった場合には、デフォルト値である通常測定モードが設定される。このとき設定された動作モードの設定情報は、ハードディスク404に格納される。
【0070】
次にCPU401は、設定された動作モードが通常測定モードであるか、血小板凝集率測定モードであるかを判別する(ステップS102)。設定された動作モードが通常測定モードである場合(ステップS102において「通常測定モード」)、CPU401は、測定装置2等を制御して、検体分析装置1の血液凝固測定動作を実行する(ステップS103)。また、設定された動作モードが血小板凝集率測定モードである場合(ステップS102において「血小板凝集率測定モード」)、CPU401は、測定装置2等を制御して、検体分析装置1の血小板凝集率測定動作を実行する(ステップS104)。血液凝固測定動作又は血小板凝集率測定動作が完了した後には、CPU401は処理を終了する。
【0071】
図10は、血液凝固測定動作の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、測定項目“PT(プロトロンビン時間)”について検体を測定する場合の動作を説明する。血液凝固測定動作が実行される場合、血液凝固項目測定用の検体ラック60(つまり、血液凝固測定用の血漿又は血清が収容された第1検体容器61のみを保持した検体ラック60)が搬送ユニット50の搬送路51の右槽領域にセットされる。検体ラック60は、右槽領域において後方に移動された後、連結領域において左方向に移動される。このとき、第1検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる(ステップS201)。
【0072】
CPU401は、ハードディスク404に記憶された測定オーダから、読み取られた検体番号に対応する測定オーダを特定し、測定が指示された測定項目を特定する(ステップS202)。
【0073】
続いて、CPU401は、特定された測定項目に基づいて、検体の測定を指示するデータを測定装置2の制御部300に与える。CPU301の制御により、検体ラック60が、連結領域の所定の場所に位置づけられる。このとき、第1検体分注ユニット21又は第2検体分注ユニット22により、第1検体容器に収容された検体が吸引され、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される(ステップS203)。
【0074】
次に、CPU301は、第1キャッチャユニット26に、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットを把持させ、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットさせる。これにより、検体が所定時間(例えば、3分間)加温される(ステップS204)。
【0075】
検体の加温時間が経過すると、CPU301は、第3キャッチャユニット28を制御して、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットを把持させ、試薬吐出位置39aまたは39bに位置づけさせる。ここで、CPU301は、第2試薬分注ユニット24または第3試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器内の試薬を吸引させ、試薬吐出位置39aまたは39bにて試薬を吐出させる(ステップS205)。こうして試薬が吐出されると、CPU301は、第3キャッチャユニット28を制御して、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットさせる。この後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的特徴情報である吸光度が検出される(ステップS206)。
【0076】
このようにして得られた吸光度の情報を含む測定データは、情報処理装置3に与えられる。情報処理装置3のCPU401は、測定データを解析し、測定結果を生成する(ステップS207)。さらにCPU401は、ハードディスク404に設けられた測定結果データベースに測定結果を格納し(ステップS208)、測定結果を表示部409に表示させる(ステップS209)。
【0077】
CPU401は、検体ラック60に未測定の検体が残っているか否かを判別し(ステップS210)、検体ラック60に未測定の検体が残っている場合には(ステップS210においてNO)、処理をステップS201へ戻し、次の検体についてステップS201以下の処理を実行する。他方、検体ラック60の全検体が測定された場合には(ステップS210においてYES)、CPU401はメインルーチンにおける血液凝固測定動作の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0078】
連結領域にて検体ラック60に保持された全ての検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、連結領域において左方向に移動された後、左槽領域において前方に移動される。
【0079】
上記の血液凝固測定動作についての説明においては、血液凝固項目“PT”について検体を測定する場合の動作について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、PTT(部分トロンボプラスチン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fbg(フィブリノーゲン濃度)、LA(ループスアンチコアグラント)、AT−III、Dダイマー、FDP等のような他の血液凝固項目について検体を測定することも可能である。“PT”以外の血液凝固項目について検体を測定する場合には、その項目に対応する測定プロトコルにしたがって測定が行われる。
【0080】
図11は、血小板凝集率測定動作の手順を示すフローチャートである。血小板凝集率測定動作が実行される場合、血小板凝固項目測定用の検体ラック60(つまり、PPP検体が収容された第1検体容器61及びPRP検体が収容された第2検体容器62のみを保持した検体ラック60)が搬送ユニット50の搬送路51の右槽領域にセットされる。検体ラック60は、右槽領域において後方に移動された後、連結領域において左方向に移動される。このとき、PPP検体を収容する第1検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる(ステップS301)。
【0081】
CPU401は、ハードディスク404に記憶された測定オーダから、読み取られた検体番号に対応する測定オーダを特定し、測定が指示された測定項目を特定する(ステップS302)。
測定項目が特定されると、CPU401は、検体番号が読み取られたPPP検体と組になるPRP検体の検体ラック60における保持位置を、上記の保持位置に関する条件にしたがって特定する(ステップS303)。例えば、検体番号が読み取られたPPP検体が検体ラック60の保持位置1に保持されている場合には、前記PPP検体に対応するPRP検体の位置は保持位置2であると特定される。
【0082】
次に、CPU401は、PPP検体の測定を指示するデータを測定装置2の制御部300に与える。これにより、検体分析装置1のPPP検体測定動作が実行される(ステップS304)。
【0083】
図12は、PPP検体測定動作の手順を示すフローチャートである。PPP検体測定動作では、CPU301の制御により、検体ラック60が、連結領域の所定の場所に位置づけられる。このとき、第1検体分注ユニット21又は第2検体分注ユニット22により、第1検体容器に収容されたPPP検体が吸引され、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される(ステップS401)。
【0084】
次に、CPU301は、第1キャッチャユニット26及び第3キャッチャユニット28を制御して、PPP検体が分注されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットさせる。この後、検出ユニット40においてキュベットに収容されたPPP検体から光学的特徴情報である吸光度が検出される(ステップS402)。
【0085】
このようにして得られた吸光度の情報を含むPPP検体の測定データは、情報処理装置3に与えられる。情報処理装置3のCPU401は、測定データを解析し、PPP検体の測定結果を生成する(ステップS403)。ここで、PPP検体の測定データの解析について説明する。
図14Aは、PPP検体の測定データの一例を示すグラフである。
図14Aにおいて、縦軸は吸光度を示し、横軸は時間を示している。ステップS402の処理では、PPP検体の吸光度が所定時間継続して検出される。したがって、測定データは吸光度の時系列データとなっている。ステップS403の処理では、かかる吸光度の時系列データのうち、所定の時刻(例えば、測定開始60秒後)における吸光度が測定結果とされる。
【0086】
PPP検体の測定結果が得られると、CPU401は、ハードディスク404に設けられた測定結果データベースに測定項目“PPP”の測定結果を格納し(ステップS403)、血小板凝集率測定動作におけるPPP検体測定動作の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0087】
次に、CPU401は、特定された測定項目(例えば“ADP”)に基づいて、PRP検体の測定を指示するデータを測定装置2の制御部300に与える。これにより、検体分析装置1のPRP検体測定動作が実行される(ステップS305)。
【0088】
図13は、PRP検体測定動作の手順を示すフローチャートである。PRP検体の測定が開始されるとき、キュベットテーブル15にはスターラーバーが入れられたキュベットがセットされる。PRP検体測定動作では、CPU301の制御により、検体ラック60が、連結領域の所定の場所に位置づけられる。このとき、第1検体分注ユニット21又は第2検体分注ユニット22により、上記PPP検体測定動作において測定されたPPP検体の隣のPRP検体が第2検体容器から吸引され、キュベットテーブル15にセットされたスターラーバー入りのキュベットに吐出される(ステップS501)。
【0089】
次に、CPU301は、第1キャッチャユニット26に、キュベットテーブル15にセットされた検体を収容しているキュベットを把持させ、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットさせる。これにより、検体が所定時間(例えば、3分間)加温される(ステップS502)。
【0090】
検体の加温時間が経過すると、CPU301は、第3キャッチャユニット28を制御して、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットを把持させ、試薬吐出位置39aまたは39bに位置づけさせる。ここで、CPU301は、第2試薬分注ユニット24または第3試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器内の試薬(血小板凝集惹起剤)を吸引させ、試薬吐出位置39aまたは39bにて試薬を吐出させる(ステップS503)。こうして試薬が吐出されると、CPU301は、第3キャッチャユニット28を制御して、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40のスターラーバー回転用磁石付き保持孔41にセットさせる。この後、CPU301は、モータ411を制御して、検出ユニット40の前記保持孔41において磁石を回転させることで、キュベット内のスターラーバーが回転され、これによってキュベットに収容された測定試料の撹拌が開始される(ステップS504)。
【0091】
このようにスターラーバーが回転した状態のまま、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的特徴情報である吸光度が検出される(ステップS505)。吸光度の検出が完了すると、CPU301は、モータ411を停止させ、これによってキュベットに収容された測定試料の撹拌を終了させる(ステップS506)。
【0092】
上記のようにして得られた吸光度の情報を含むPRP検体の測定データは、情報処理装置3に与えられる。情報処理装置3のCPU401は、測定データを解析し、PRP検体の測定結果を生成する(ステップS507)。ここで、PRP検体の測定データの解析について説明する。
図14Bは、PRP検体の測定データの一例を示すグラフである。
図14Bにおいて、縦軸は吸光度を示し、横軸は時間を示している。なお、ここでは血小板凝集項目“ADP”についてPRP検体の測定が行われる場合について説明する。ステップS505の処理では、PRP検体の吸光度が所定時間継続して検出される。したがって、測定データは吸光度の時系列データとなっている。ステップS507の処理では、かかる吸光度の時系列データのうち、測定開始時点における吸光度ADP_sと、測定終了時点における吸光度ADP_eと、吸光度の最小値ADP_minとが抽出され、これらが測定結果とされる。なお、ここでは測定項目がADPの場合における測定結果について述べたが、他の血小板凝集項目についても同様に、測定開始時点における吸光度、測定終了時点における吸光度、及び吸光度の最小値がそれぞれ測定データから抽出され、測定結果とされる。
【0093】
P
RP検体の測定結果が得られると、CPU401は、ハードディスク404に設けられた測定結果データベースにPRP検体の測定結果を格納し(ステップS508)、血小板凝集率測定動作におけるPRP検体測定動作の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0094】
PPP検体測定動作及びPRP検体測定動作が完了すると、CPU401は、PPP検体の測定結果及びPRP検体の測定結果に基づいて、血小板凝集率を算出する(ステップS306)。以下、この処理について説明する。ハードディスク404には、血小板凝集率の演算式が格納されている。例えば、次の式(1)及び式(2)がハードディスク404に格納されているものとする。
ADP%=((ADP_s−ADP_min)/(ADP_s−PPP)×100 …(1)
Epi_e%=((Epi_s−Epi_e)/(Epi_s−PPP)×100 …(2)
【0095】
このときの測定項目はADPであるので、CPU401は、上記のPPP検体の測定結果と、上記のPRP検体の測定結果である“ADP_s”及び“ADP_min”とを式(1)に代入して、血小板凝集率である“ADP%”を算出する。これにより、互いに対応するPPP検体及びPRP検体が採取された患者の血小板凝集率“ADP%”が得られる。
【0096】
例えば、測定項目がEpiである場合には、Epi試薬を使用してPRP検体が測定され、PPP検体の測定結果と、PRP検体の測定結果である“Epi_s”及び“Epi_e”とが式(2)に代入されて、血小板凝集率である“Epi_e%”が得られることとなる。
【0097】
CPU401は、上記のようにして得られた血小板凝集率の測定結果をハードディスク404に設けられた測定結果データベース
に格納し(ステップS307)、測定結果を表示部409に表示させる(ステップS308)。
【0098】
図15は、測定結果画面の一例を示す図である。
図15には、血液凝固項目“PT”及び“APTT”並びに血小板凝集項目“ADP”について、同一患者から採取された検体の測定が行われた場合の測定結果の例が示されている。測定結果画面D2は表形式の画面であり、検体ラック60のラック番号及び保持位置が示される列C21と、検体番号が示される列C22と、測定項目“PPP”の測定結果が示される列C23と、測定項目“ADP_s”の測定結果が示される列C24と、測定項目“ADP_e”の測定結果が示される列C25と、測定項目“ADP_min”の測定結果が示される列C26と、測定項目“ADP”の測定結果が示される列C27と、測定項目“PT”の測定結果が示される列C28と、測定項目“APTT”の測定結果が示される列C29とが設けられている。ここで、検体ラック番号とは、検体ラックを識別するために検体ラックに割り当てられる番号である。
図15に示す例では、検体ラック番号が“0005”の検体ラックの保持位置1に検体番号“S10001”のPPP検体が保持され、当該検体ラックの保持位置2に同じく検体番号“S10001”のPRP検体が保持され、そのPPP検体が測定され、且つ、そのPRP検体が測定項目“ADP”について測定された場合の測定結果が示されている。また、
図15に示す例では、検体ラック番号が“0007”の検体ラックの保持位置4に検体番号“S10001”の血漿検体が保持され、その血漿検体が測定項目“PT”及び“APTT”について測定された場合の測定結果が示されている。
【0099】
測定結果画面において、検体容器毎に行が設けられる。また、血小板凝集項目の演算結果に対しては、検体容器とは別の行が設けられる。
図15において、行L21は、PPP検体を収容した第1検体容器61に対応しており、PPPの測定結果が示される。また、行L22は、PRP検体を収容した第2検体容器62に対応しており、PRPの測定結果である“ADP_s”、“ADP_e”、及び“ADP_min”が示される。上記の行L21では、PPP検体の測定結果が測定項目“PPP”の測定値として示され、行L22では、PRP検体の測定結果が測定項目“ADP_s”、“ADP_e”、及び“ADP_min”の測定値として示される。即ち、上記の血小板凝集率の算出に使用されたパラメータである“PPP”、“ADP_s”、“ADP_e”、及び“ADP_min”の各測定結果が、血小板凝集率とは独立した測定項目の測定結果として表示される。これにより、ユーザは、血小板凝集率の測定結果を導出するためのデータである“PPP”、“ADP_s”、“ADP_e”、及び“ADP_min”を、それぞれ測定項目の測定結果として画面D1から得ることができ、これらを臨床データとして使用することができる。
【0100】
また、
図15において、行L23は、血小板凝集項目の演算結果に対応しており、算出された血小板凝集率である“ADP%”が示される。この行L23には、“ADP%”の算出に使用されたパラメータである“PPP”、“ADP_s”、“ADP_e”、及び“ADP_min”の測定値も示されている。さらに、行L24は、血液凝固項目用の血漿検体を収容した第1検体容器61に対応しており、血液凝固項目“PT”及び“APTT”の測定結果が示される。
【0101】
上記のように、同一患者についての血液凝固項目の測定結果と、血小板凝集項目の測定結果とが測定結果データベースに登録されていれば、1つの画面D2において、これらの血液凝固項目の測定結果及び血小板凝集項目の測定結果が表示されることとなる。したがって、ユーザは、1つの画面D2によって、同一患者についての血液凝固項目の測定結果及び血小板凝集項目の測定結果を確認することができるので、医師の診断等において有用なデータである血液凝固項目の測定結果及び血小板凝集項目の測定結果を別々の画面で確認する必要がなく、ユーザの測定結果確認の手間を軽減することが可能となる。また、血小板凝集率の測定結果と、血小板凝集率の演算に使用されるパラメータと
が同一画面D2において表示される。したがって、ユーザは、血小板凝集率の測定結果と、血小板凝集率の演算に使用されるパラメータとを同一画面D2によって確認することができるので、血小板凝集率だけでなく、その演算に使用されたパラメータが必要となったときに、パラメータのデータを測定結果データベース等から探す必要がなく、ユーザの手間を軽減することが可能となる。
【0102】
次にCPU401は、検体ラック60に未測定の検体が残っているか否かを判別し(ステップS309)、検体ラック60に未測定の検体が残っている場合には(ステップS309においてNO)、処理をステップS301へ戻し、次の検体についてステップS301以下の処理を実行する。他方、検体ラック60の全検体が測定された場合には(ステップS309においてYES)、CPU401はメインルーチンにおける血小板凝集率測定動作の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0103】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、同一患者から採取されたPPP検体とPRP検体とが、検体ラック60の隣り合う保持位置に保持されることを条件として、互いに対応するPPP検体とPRP検体とを特定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。互いに対応するPPP検体とPRP検体とが保持される検体ラック上の保持位置を予め定めておき、これを条件として互いに対応するPPP検体とPRP検体とを特定する構成とすることもできる。例えば、検体ラック60の保持位置1乃至5をPPP検体用とし、検体ラック60の保持位置6乃至10をPRP検体用とし、保持位置1と保持位置6とが対応し、保持位置2と保持位置7とが対応する等、あらかじめ互いに対応する保持位置を定めておくことを条件としてもよい。この場合、例えば、検体ラック60の保持位置1にPPP検体を保持させ、当該検体ラック60の保持位置6に前記PPP検体と同一患者から採取されたPRP検体を保持させておけば、上記条件にしたがって、これらのPPP検体及びPRP検体が互いに対応するものであることを特定することができる。
【0104】
また、互いに対応するPPP検体とPRP検体とが相対的に隣り合う位置に保持されることを条件とすることもできる。つまり、この場合、互いに対応するPPP検体とPRP検体との間に他の検体が存在しないのであれば、PPP検体の保持位置とPRP検体の保持位置とが隣り合っていなくてもよいということになる。例えば、検体ラック60の保持位置1にPPP検体が保持され、これに対応するPRP検体が当該検体ラック60の保持位置5に保持され、保持位置2乃至4には検体が保持されていない状態であれば、上記条件にしたがって、保持位置1のPPP検体と保持位置5のPRP検体とが同一患者から採取されたものであることを特定することができる。
【0105】
また、複数の検体ラックにおける保持位置に関する条件により、互いに対応するPPP検体とPRP検体とを特定する構成とすることもできる。例えば、1つの検体ラックにはPPP検体のみが保持され、もう1つの検体ラックにはPRP検体のみが保持されることとし、互いに対応するPPP検体とPRP検体とが、それぞれの検体ラックにおける同一の保持位置番号に保持されることを条件としてもよい。この場合、例えば、一方の検体ラック60の保持位置1にPPP検体を保持させ、他方の検体ラック60の保持位置1に前記PPP検体と同一患者から採取されたPRP検体を保持させておけば、上記条件にしたがって、これらのPPP検体及びPRP検体が互いに対応するものであることを特定することができる。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、ユーザが手動で動作モードを設定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。ラック番号が印刷されたバーコードラベルを検体ラックに貼布しておき、バーコードリーダによってラック番号を読み出し、このラック番号から当該検体ラックが血液凝固測定用であるのか、血小板凝集測定用であるのかを判別し、血液凝固測定用であると判別された場合にはCPU401が動作モードを通常測定モードに自動的に設定し、血小板凝集測定用であると判別された場合にはCPU401が動作モードを血小板凝集率測定モードに自動的に設定する構成とすることもできる。
【0107】
また、上述した実施の形態においては、ユーザが手動で動作モードを設定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1検体容器61に貼布されたバーコードラベル61aから、バーコードリーダによって検体番号を読み出し、この検体番号から当該検体が血液凝固測定用であるのか、血小板凝集測定用であるのかを判別し、血液凝固測定用であると判別された場合にはCPU401が動作モードを通常測定モードに自動的に設定し、血小板凝集測定用であると判別された場合にはCPU401が動作モードを血小板凝集率測定モードに自動的に設定する構成とすることもできる。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、第1検体容器61にバーコードラベル61aを貼布し、このバーコードラベルに印刷されたバーコードからバーコードリーダによって検体番号を読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、検体番号を記録した無線タグを第1検体容器61に取り付け、検体分析装置に設けた無線通信部により無線タグから検体番号を読み取る構成としてもよい。
【0109】
また、上述した実施の形態においては、第1検体容器61にのみバーコードラベル61aを貼布し、このバーコードラベルに印刷されたバーコードからバーコードリーダによって検体番号を読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、第1検体容器61と第2検体容器62それぞれにバーコードラベルを貼布し、このバーコードラベルに印刷されたバーコードからバーコードリーダによって、それぞれの検体番号を読み取る構成としてもよい。読み取ったそれぞれの検体番号を照合することで、保持位置1のPPP検体と保持位置5のPRP検体とが同一患者から採取されたものであることを特定することができる。
【0110】
また、上述した実施の形態においては、PPP検体測定動作とPRP検体測定動作とにおいて、PPP検体の測定手順と、PRP検体の測定手順とを異なるものとしたが、これに限定されるものではなく、PPP検体の測定手順を、PRP検体の測定手順とを同じにすることもできる。例えば、PPP検体の測定手順を、上述した実施の形態において説明したPRP検体の測定手順と同一にすることも可能である。即ち、PPP検体をキュベットに分注した後、当該PPP検体を所定時間加温し、その後、PRP検体の測定に用いられるものと同一の血小板凝集惹起剤を前記キュベットに分注し、キュベットに光を照射して吸光度を検出するようにしてもよい。
【0111】
また、上述した実施の形態においては、ユーザが手動で動作モードを設定することで、血小板凝集能を示す測定項目が自動的に選択され、測定される構成について述べたが、これに限定されるものではない。血小板凝集能を示す各測定項目を個別に設定するようにしてもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1に測定装置2と情報処理装置3とが別々に設けられている構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定装置に相当する機能と情報処理装置に相当する機能とを1つの筐体内に備える検体分析装置であってもよい。
【0113】
また、上述した実施の形態においては、PPP検体とPR
P検体について測定する検体分析装置について述べたが、これに限定されるものではなく、検体と希釈検体について測定する検体分析装置、又は検体中の細菌を異なる培地で培養することにより得られた試料について測定する試料分析装置であってもよい。