(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る屋根ハッチ10及び止金具50について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、屋根ハッチ10と、止金具50と、を備えた雪下ろし器具1の斜視図であり、
図2は、雪下ろし器具1を屋根70の棟71が延びる方向から見た断面図である。
【0019】
屋根ハッチ10は、底板11と、天井板21と、4枚またはそれ以上の側面板31と、で囲われおり、箱状に形成されている。底板11、天井板21及び側面板31はいずれも積雪に対する耐圧性を有する部材、例えば、鋼材から構成されている。
【0020】
底板11は、屋根ハッチ10の設置状態において水平に配置される。底板11には、人が通過することが可能な大きさを有する方形の第1の開口12が形成されている。第1の開口12の形状は、方形に限られず、例えば、円形であってもよい。第1の開口12には、蝶番13により底板11に固定された、蝶番13の軸を中心として回動自在の方形の片開きの底蓋14が設けられている。底蓋14の形状も方形に限られず、例えば、円形であってもよい。
【0021】
底蓋14の第1の開口12の縁と重なる部分には、弾性を有するゴム製のパッキン15が全周にわたって貼付されていることが好ましい。底蓋14を閉じた状態では、底蓋14と第1の開口12の縁との間にパッキン15が挟まれる。それにより、第1の開口12における連通が遮断され、液密及び気密が保たれる。
【0022】
底蓋14の表面・裏面には取手(図示せず)が取り付けられていることが好ましく、その場合には、表面・裏面のどちらからでも底蓋14を開閉することができる。また、底板11と底蓋14との間には、ロック機構付きのステー(図示せず)が取り付けられており、底蓋14を開状態で保持することが可能になっていることが好ましい。ロック機構付きのステーが取り付けられていることで、底蓋14に手が挟まれるなどの事故が防止される。
【0023】
天井板21は、21a及び21bの2辺が山形に折り曲げられており、いずれの面も底板11に対して傾斜している。天井板21bには、人が通過することが可能な大きさを有する方形の第2の開口22が形成されている。第2の開口22の形状は、方形に限られず、例えば、円形であってもよい。第2の開口22には、蝶番23により天井板21bに固定された、蝶番23の軸を中心として回動自在の方形の片開きの天蓋24が設けられている。蝶番23は、第2の開口22が設けられた傾斜板の下方に取り付けられている。天蓋24の形状も方形に限られず、例えば、円形であってもよい。
【0024】
天井板21は、第2の開口22が形成される天井板21bが傾いていれば山形に形成されていなくてもよく、例えば、天井板21aがなく天井板21bのみの一平面に形成されていてもよい。
【0025】
天蓋24の第2の開口22の縁と重なる部分には、弾性を有するゴム製のパッキン25が全周にわたって貼付されていることが好ましい。天蓋24を閉じた状態では、天蓋24と第2の開口22の縁との間にパッキン25が挟まれる。それにより、第2の開口22における連通が遮断され、液密及び気密が保たれる。なお、万が一、融雪等によって生じた水が第2の開口22を通過したとしても、上述した底蓋14を閉じていれば、通過した水は、建物内に流れ込むことなく後述する排水管36から排水されるので問題はない。
【0026】
天蓋24の表面・裏面には取手(図示せず)が取り付けられていることが好ましく、その場合には、表面・裏面のどちらからでも天蓋24を開閉することができる。天井板21bと天蓋24との間には、底蓋14と同様のロック機構付きのステー(図示せず)が取り付けられていることが好ましい。
【0027】
側面板31のうち、天井板21aの長辺に連続する側面板31(
図2における左側の側面板31)には、縦長の長方形に形成された第3の開口32が形成されていることが好ましい。この第3の開口32は、人が屈んで通ることが可能な大きさに形成されている。第3の開口32には、蝶番33により側面板31に固定された、蝶番33の軸を中心として回動自在の方形の片開きの扉34が設けられている。なお、第3の開口32及び片開きの扉34の形状は上述のものに限られない。
【0028】
扉34の裏面の第3の開口32の縁と重なる部分には、弾性を有するゴム製のパッキン35が全周にわたって貼付されていることが好ましい。扉34を閉じた状態では、扉34と第3の開口32の縁との間にパッキン35が挟まれる。それにより、第3の開口32における連通が遮断され、液密及び気密が保たれる。なお、万が一、融雪等によって生じた水が第3の開口32を通過したとしても、底蓋14を閉じていれば、通過した水は、建物内に流れ込むことなく後述する排水管36から排水されるので問題はない。
【0029】
扉34の表面・裏面には取手34a(表面のもののみ
図1に図示)が取り付けられており、表面・裏面のどちらからでも扉34を開閉することができる。
【0030】
第3の開口32が形成された側面板31には、上端部と下端部のそれぞれに(
図1では上端部に1つ、下端部に2つ)係止具39が設けられていることが好ましい。係止具39は、丸鋼をコの字形に折り曲げたものである。この係止具39は、後述するように、安全帯のフックを係止するためのものである。なお、係止具39は、安全帯のフックを係止することが可能なものであればよく、例えば、板材に孔を形成したものでもよく、市販のアイボルトやアイナットでもよい。係止具39の数量は、適宜変更することが可能である。
【0031】
第3の開口32が形成された側面板31の下端部には、ニップルが貫通して固定されており、ニップルの屋根ハッチ10の外側に露出した端には、エルボが口を底板11側に向けて固定されていることが好ましい。このニップルとエルボとが排水管36を構成している。作業中に着衣に付着した雪が屋根ハッチ10内に落ちた場合でも、底板11上で融雪した水は、この排水管36から屋根ハッチ10の外に排出される。
【0032】
排水管36の下には、屋根ハッチ10の幅方向及び前後方向に延びるコの字状に形成された第1の庇41が設けられていることが好ましい。第1の庇41は、屋根70と平行になるように傾いて側面板31に固定されていることが好ましい。この第1の庇41があることにより、屋根ハッチ10と屋根70の境目に雪が積もることが回避される。また、排水管36から排出された水は、第1の庇41の表面を流れ落ちて、第1の庇41の先端から屋根70の上に落ちる。第1の庇41は、積雪に対する耐圧性を有するとともに、作業者が上に乗っても耐える強度を有することが好ましい。
【0033】
第3の開口32が形成された側面板31と対向する側面板31の胴部には、側面板31の幅方向全体にわたって延びる第2の庇42が設けられていることが好ましい。第2の庇42は、側面板31に固定された側の端が上となり、他端が下となるような傾斜が付与されて固定されていることが好ましい。第2の庇42は、積雪に対する耐圧性を有するとともに、作業者が上に乗っても変形しないだけの強度を有することが好ましい。
【0034】
第3の開口32が形成された側面板31以外の側面板31の少なくとも1つの内壁には、昇降用のタラップ43が設けられていることが好ましい。後述するように、タラップ43は、作業者が天蓋24から屋根ハッチ10外に出る際の足場とすることができる。
【0035】
次に、
図3及び
図4を参照しながら止金具50について説明する。止金具50は、例えば、蹄鉄形に形成された鉄製の金具である。止金具50には防錆処理が施してある。止金具50は分割構造を有し、本体部を構成する一対のセンタープレート51と、センタープレート51に連接される本体部を構成するサイドプレート52と、サイドプレート52に連接されるクランプ53と、センタープレート51に挟まれるスペーサ54aと、から構成されている。センタープレート51及びサイドプレート52が止金具50の本体部を構成する。クランプ53は、2枚のサイドプレート52,52間の一端部に設けられて、シャフト孔52bを貫通するシャフト53eを中心として揺動自在に取り付けられている。
【0036】
センタープレート51及びサイドプレート52には、ボルト孔51a,52aがそれぞれ形成されており、互いにボルトで締結されている。センタープレート51には4つのボルト孔51aが、サイドプレート52には3つのボルト孔52aが、それぞれ形成されている。ボルト孔の数が互いに異なるので、センタープレート51に対するサイドプレート52の固定位置をスライドさせて、止金具50を、固定する場所に対応させて、伸縮させることができる。なお、ボルト孔51a,52aの数量は上記のものに限られない。ボルト孔51a,52aの数量は、止金具50の大きさと、ボルト孔51a,52aのピッチ寸法により変化するので、止金具50の型式ごとに異なる。
【0037】
センタープレート51には、シャックルSを固定するための係止孔51bが形成されている。後述するように、シャックルSには安全帯のフックが係止される。係止孔51bの代わりに上述のサイドプレート52のボルト孔52aをシャックルSの固定に用いることも可能である。シャックルSの取付位置が低いほど、止金具50に作用する回転モーメントが小さくなるので、下側のボルト孔52aが余っている場合には、そのボルト孔52aを利用してシャックルSをより低い位置に固定することが好ましい。
【0038】
センタープレート51,51の間には、スペーサ54a(及び/またはスペーサ54b)を挟むことが可能である。スペーサ54a,54bは幅を調整するためのものなので、複数挟んでもよく、1個も挟まなくてもよい。
図3に示すタイプのスペーサ54aは、両フランジ面が平行である。これに対し、
図5に示すタイプのスペーサ54bは、両フランジ面が平行でなく、若干「ハ」の字形に開いている。したがって、スペーサ54bの短辺側を止金具50の内側に向けた場合(
図5(a)参照)と、スペーサ54bの長辺側を止金具50の落ち側に向けた場合(
図5(b)参照)とで、湾曲の度合いを変化させて、両クランプ53,53間の距離を異ならせることができる。
【0039】
クランプ53は、シュー53aと、シュー53aがボルト(図示せず)で締結され端部がL字形に折り曲げられたシュー取付プレート53bと、シュー取付プレート53bの背面に対して一端が垂直に回転自在に固定され、他端に回転させるための六角頭が設けられたねじ53cと、ねじ53cが螺動自在に挿入されたトラニオン53dと、トラニオン53dの両側面に立設されたシャフト53eと、ロックナット53fと、を備える。シュー53aは弾性を有するゴム製であり、シュー取付プレート53b、ねじ53c、トラニオン53d、シャフト53e及びロックナット53fは鉄製であり、それらの表面には、防錆のためのメッキが施されていることが好ましい。あるいは、シュー取付プレート53b、ねじ53c、トラニオン53d、シャフト53e及びロックナット53fをステンレス製としてもよく、その場合には、これらの部品が錆びなくなり、維持管理が容易になる。
【0040】
ねじ53cの六角頭にスパナ等を掛けて回転させると、シュー53aはねじ53cの軸方向に移動する。上述したように、シュー53aを固定するシュー取付プレート53bに対してねじ53cが、その軸線を中心として回転自在に固定されているので、シュー53aが物に当たった状態では、ねじ53cを回転させてもシュー53a及びシュー取付プレート53bは回転しない。
【0041】
次に、
図2を参照しながら、屋根ハッチ10の屋根70への取付方法について説明する。屋根70には、予め野地板91を貫通する開口91aを例えば棟71の付近に形成しておき、その開口を通して梁92を土台とする木枠93を組む。木枠93と野地板91との境目には防水処理を施し、その境目から建物内への水の侵入を防止する。そして、屋根ハッチ10を扉34が屋根70の傾斜の下端を向くような向きで木枠93の上に被せてから、屋根ハッチ10の下端部を木枠93にボルトで固定する。屋根70に屋根ハッチ10を取り付けた状態では、第2の庇42が冠瓦72の上を覆っている。これにより、冠瓦72と屋根ハッチ10との間に雪が積もることが回避される。なお、屋根ハッチ10の屋根70への取付位置は、棟71の付近に限られない。また、
図1及び
図2に示す屋根70は傾斜が設けられているが、傾斜が設けられていない平らな屋根70であってもよい。
【0042】
次に、
図3を参照しながら、止金具50の屋根70への固定方法について説明する。まず初めに、ねじ53cを回転させて、シュー53aを退避させておく。次に、止金具50を、冠瓦72を跨ぐようにして配置する。次に、ねじ53cを前記と反対方向に回転させ、シュー53aを冠瓦72の下に重ねて設けられたのし瓦73に向かって前進させる。そして、シュー53aがのし瓦73に押し付けられ、ねじ53cが所定の締付トルクでそれ以上回転しなくなったら、ロックナット53fを締め込むことでねじ53cを固定して、止金具50の取り付けを完了する。止金具50は、のし瓦73を挟持した状態で固定される。シュー取付プレート53bはL字形であることが好ましく、その場合には、
図3に示すように、最下段ののし瓦73にシュー取付プレート53bの爪(折曲部)を引っ掛けることが好ましい。
【0043】
もう一つの止金具50の屋根70への固定方法は、
図6に示すものである。上述の方法では、シュー53aによりのし瓦73を挟持したが、本方法では、シュー53aにより、のし瓦73の下部と瓦の上面との間に設けられた漆喰75を挟持するものである。この方法により止金具50を屋根70に固定する場合には、シュー取付プレート53bに爪を設けないことが好ましい。なお、漆喰75が緩く不安定な場合には、モルタルを打ち直すか、当てもので補強することになる。漆喰75に相当する部分を防水モルタル等で構成してもよい。
【0044】
止金具50は、屋根70に等間隔に複数取り付けられる。止金具50同士の間隔は、安全帯のフックの掛け直しが安全に行えるような間隔に設定する。止金具50の数量は、屋根70の大きさ(棟71の長さ)に応じて定まる。
【0045】
上述のように、止金具50の屋根70への固定は、棟瓦をシュー53aで挟持するだけなので、取り付けのための屋根70への加工を必要としない。
【0046】
なお、冠瓦72及びのし瓦73には、屋根70の棟木に固定した銅線を垂直に伸ばして、のし瓦73と冠瓦72を貫通させて縛り付ける固定方法、あるいは、冠瓦72の天端に形鋼を載せておき、その形鋼を銅線で縛り付ける固定方法が一般的に施されている。
【0047】
棟瓦には、作業者が転倒して止金具50が急激に引っ張られても、それに耐えるだけの強度が必要とされる。棟瓦が必要な強度を有しているか否かの判断は、棟瓦の寸法、固定方法、老朽度、漆喰75の状態などに応じて行われる。強度が不足している様な場合には、必要な対策を講じることとなる。棟瓦の強度を確認するために、破壊テストを行うことも考えられるが、全ての棟瓦について破壊テストを行うことは困難であり、現実的ではない。そこで、止金具50に掛かる荷重を減ずることが考えられる。具体的な方法として、例えば、スプリングやゴムロープなどの弾性を有する部材を介して、止金具50に安全帯を係止することが考えられる。そのような対策を施すことにより、止金具50に瞬間的に過大な荷重が掛かることが回避されるとともに、作業者が受ける衝撃も小さくすることができる。
【0048】
また、棟瓦の一部に集中的な荷重が掛かることを回避するために、例えば、
図7及び
図8に示すように、離間して配置された2つの止金具50同士を一対の長パイプ55で連結し、長パイプ55に設けられた係止金具55aに安全帯のフックを係止するようにしてもよい。長パイプ55は、サイドプレート52に取り付けられたパイプクランプ56により支持される。パイプクランプ56は、サイドプレート52にクランプ支持ボルト56aによりクランプ支持ボルト56aを中心として回動可能に固定されている。係止金具55aは、両止金具50,50までの距離が等しくなるような位置に設けられていることが好ましい。それにより、各止金具50に掛かる荷重が、非連結時の2分の1になる。
【0049】
棟瓦の強度が十分である場合でも、止金具50同士を長パイプ55で連結して、長パイプ55に安全帯のフックを係止すれば、屋根70の棟71に沿った方向の作業者の移動範囲が広がるとともに、止金具50の数量を少なくすることができる。この場合には、長パイプ55に係止金具55aを設けないことが好ましい。それにより、安全帯のフックが係止金具55aに引っ掛かることが回避され、移動を滑らかに行うことができる。
【0050】
止金具50は、1年を通じて屋根70に取り付けたままでもよく、冬になる前に屋根70に取り付けて、冬が過ぎてから屋根70から取り外してもよい。また、建物の建築時に取り付けてもよい。いずれにしても、常時使用するものではないので、使用前点検を励行しなくてはならない。
【0051】
次に、雪下ろし器具1を用いた雪下ろしの方法について
図1及び2を参照しながら説明する。作業者は、積雪量が屋根ハッチ10の天蓋24まで達する前に、建物内に設けられた常設の梯子や折り畳み式の梯子等の昇降器具により、屋根ハッチ10の底板11の近傍まで登り、底蓋14を開けて第1の開口12から屋根ハッチ10内に入る。屋根ハッチ10内に入ったら、天蓋24を開ける。天蓋24の蝶番23が傾斜の下側にあるので、天蓋24を開けると、天蓋24上に積もった雪は、天蓋24上を滑って、屋根70の上に落ちる。天井板21が水平な底板11に対して傾斜しているので、天蓋24上に雪は積もりにくい。
【0052】
天蓋24を開けたら、タラップ43を足場として上に登り、係止具39に安全帯のフックを係止してから、第2の開口22から屋根70の上に出る。なお、天蓋24を開けて屋根ハッチ10の周囲を見渡した際に、扉34の前の積雪量が少ない場合には、屋根ハッチ10内からスコップを使って、扉34を開けられるように雪を除去すればよい。それにより、第2の開口22から出る必要がなくなり、第3の開口32から屋根70の上に出ることが可能になる。
【0053】
屋根ハッチ10の周囲の積雪量が多い場合、第2の開口22から屋根ハッチ10の外に出た作業者は、まず扉34の前に積もった雪を取り除いて、扉34を開閉可能にする。扉34を開閉可能にすることで、後続の作業者が第3の開口32から屋根70の上に出ることが可能になる。例えば、父親が最初に第2の開口22から屋根70の上に出て、それに続く母親や子供が第3の開口32から屋根70の上に出るということが考えられる。また、単独で雪下ろしを行う場合でも、扉34の開閉が可能になることで、道具の出し入れ等がし易くなる。
【0054】
作業者は、安全帯が届く範囲で屋根ハッチ10周辺の雪下ろしを行う。そして、屋根ハッチ10周辺の雪下ろしが済んだら、安全帯を屋根ハッチ10から一番近い止金具50のシャックルSに係止し直して、安全帯が届く範囲で雪下ろしを行う。
【0055】
雪が積もった状態では、止金具50が雪の下に隠れているが、止金具50の取付時における屋根ハッチ10との間隔を記録しておけば、止金具50の発見はそれほど困難ではない。その後も安全帯を係止する止金具50を代えながら、屋根70全体の雪下ろしを行う。屋根70全体の雪下ろしが完了したら、安全帯を係止する止金具50を代えながら、屋根ハッチ10まで戻り、建物内に戻る。
【0056】
上述の雪下ろしの方法は、屋根70における積雪量が多くなってからの雪下ろしの例である。屋根70における積雪量が多い場合には、雪が締まっているので、スコップで雪を切り崩しながら雪下ろしを行う。これに対して、屋根70における積雪量がまだ少なく雪が緩い場合には、
図9に示すように、高圧洗浄機101を用い、水圧で雪を砕き、融雪しながら屋根70の上の雪を除去することも可能である。高圧洗浄機101は、放水銃101aを備える。高圧洗浄機101の使用目的は、建設機械に付着した泥の除去、型枠、ベニヤ板に付着のモルタルのはがし等であり、最近は放射能の除染作業にも使用されており、用途は広い。
【0057】
図9を参照しながら、高圧洗浄機101を用いた雪下ろし方法について説明する。作業者は、屋根ハッチ10から屋根70の上に出る。積雪が扉34の下端に達していない場合には、扉34を開けて第3の開口32から屋根70の上に出る。積雪が扉34の下端を超えている場合には、天蓋24を開けて第2の開口22から屋根の上に出る。屋根70の上に出たら、係止具39及び止金具50を用いて、安全帯により安全を確保しながら高圧洗浄機による散水を行う。
【0058】
屋根70の上で雪が溶けた水と散水による水は、雨樋74を伝わって下に流れる。通常はその水を地面や排水溝に流しているが、その水を貯水槽102で受けて、蓄えた水を水中ポンプ103で汲み上げて、高圧洗浄機101から噴射する。それにより、水道代を節約することができる。水中ポンプ103の吐出量は、高圧洗浄機101の吐出量を上回っていることが好ましい。水中ポンプ103から高圧洗浄機101までの水路104は、建物内に通したホースでもよく、建物に設けられた配管でもよい。水路104を建物に設けることで、屋根70の上に貯水槽を配置する必要が無くなり、それにより、準備が軽作業になる。
【0059】
高圧洗浄機101及び水中ポンプ103の運転/停止は、高圧洗浄機101に接続された操作スイッチ105によって切り換えることが好ましい。それにより、高圧洗浄機101及び水中ポンプ103の水が無い状態での空運転が防止される。
【0060】
以上のように、本実施形態の屋根ハッチ10によれば、屋根70に上がることが容易になる。それにより、業者に依頼しなくても自身で雪下ろしを行うことが可能になる。雪下ろしの頻度が高まれば、屋根70における積雪量が少なくなるので、スコップを用いた重労働の雪下ろしではなく、散水による軽作業の雪下ろしで済む。また、散水による雪下ろしの場合には、雪が溶けて水になるので、屋根から落とした雪の処理が軽作業になる。
【0061】
屋根ハッチ10とともに止金具50を用いて、雪下ろし作業を行うので、作業中は常に安全帯を係止させることができる。それにより、雪下ろし作業中の落下事故を防止することができる。
【0062】
屋根ハッチ10の天井板21に第2の開口22が形成されているので、屋根ハッチ10の周囲が雪に囲まれている状態でも、天蓋24を開けて、第2の開口22から屋根70,80の上に出ることができる。また、屋根ハッチ10の設置状態において、天井板21は、水平面に対して傾いているので、天蓋24の上には、雪が積もりにくく、それにより、天蓋24の開閉を容易に行うことができる。
【0063】
側面板31の上端部に係止具39が固定されているので、第2の開口22から屋根の上に出る前に、係止具39に安全帯のフックを係止することができる。
【0064】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0065】
例えば、止金具50のクランプ53を、
図10に示す変形例のクランプ153のように構成してもよい。変形例のクランプ153は、シュー153aと、シュー153aがボルト(図示せず)で締結され端部がL字形に折り曲げられたシュー取付プレート153bと、シュー取付プレート153bの背面に一端が一体に固定され他端に雄ねじが形成されたガイド棒153cと、ガイド棒153cが挿通されたアジャストパイプ153dと、貫通孔である雌ねじ孔が形成されたトラニオン153eと、トラニオン153eの両側面に立設されたシャフト(図示せず)と、軸方向に貫通する貫通孔が形成され一端部に六角頭が設けられた、雄ねじであるスラストねじ153fと、スラストねじ153fに取り付けられたロックナット153gと、ガイド棒153cの雄ねじに取り付けられた脱落防止ナット153hと、を備える。シュー153a及びシュー取付プレート153bは、前述のシュー53a及びシュー取付プレート53bと同じものである。
【0066】
クランプ153の組み立て方法について説明する。まず、シュー取付プレート153bの前面にシュー153aをボルト(図示せず)で固定する。次に、アジャストパイプ153dをガイド棒153cの中に挿通させる。次に、スラストねじ153fにロックナット153gを取り付けてから、スラストねじ153fをトラニオン153eにねじ込む。次に、スラストねじ153fに六角頭が設けられていない側からガイド棒153cを差し込む。そして、ガイド棒153cがスラストねじ153fから抜け落ちないように、ガイド棒153cの先端に脱落防止ナット153hをねじ込んだら、クランプ153の完成である。
【0067】
トラニオン153eは、サイドプレート52に取り付けられた状態では、サイドプレート52に対してシャフトを中心として揺動自在であり、ガイド棒153cは、トラニオン153eに対して回転自在である。シュー153aの位置を決めてから、スラストねじ153fをねじ込み、ロックナット153gによりロック状態にすると、止金具50が棟瓦に安定した状態で固定される。
【0068】
また、止金具50を、
図11に示す変形例の止金具60のように構成してもよい。前述した止金具50は、冠瓦72を備える屋根70に用いるものであるが、変形例の止金具60は、棟包み81を備える屋根80に用いるものである。
図11に示す屋根80は傾斜が設けられているが、傾斜が設けられていない平らな屋根80であってもよい。
図11に示すように、止金具60は、ハの字形に形成された金具である。止金具60は分割構造を有し、センター金具61と、一対のセンタープレート62と、一対のサイドプレート63と、一対の押さえボルト64と、ロックナット65と、から構成されている。センタープレート62及びサイドプレート63が止金具60の本体部を構成する。
【0069】
図12に示すように、センター金具61は台形の形状を有し、センター金具61には、センタープレート62とボルトで締結するための2つのボルト孔61aとシャックルSを通すための1つの係止孔61bとが互いに交叉して形成されている。
【0070】
センタープレート62は、一端部が、センター金具61を挟んで締結するときのボルト、ナットに市販のテーパー座金を採用できるような角度で折り曲げられたL字形の金具であり、短辺側にはセンター金具61との締結用の2つのボルト孔(図示せず)が、長辺側の端部にはサイドプレート63との締結用の孔(図示せず)が形成されている。サイドプレート63との締結用の孔は実際に締結に用いる孔の他に、調整用の孔が形成されている。ボルトを通す孔を変更することで、センタープレート62に対するサイドプレート63の固定位置が変更される。それにより、止金具60の幅が変わる。止金具60の取付寸法を変更するために、ボルトの位置換えをしたときのボルト・ナットの締結は、トルクレンチを使用して管理するか、それと同様の方法で行うことが重要である。
【0071】
サイドプレート63は一端部が折り曲げられたL字形の金具であり、長辺側の端部には、センタープレート62との締結用のボルト孔(図示せず)が、短辺側の中央には押さえボルト64を通す1つのタップ孔(図示せず)が形成されている。押さえボルト64の先端には、弾性を有するゴム製の緩衝キャップ64aが取り付けられていることが好ましい。
【0072】
センター金具61とセンタープレート62との間には、平座金66a(
図13(a)参照)を挟むことができる。それにより、止金具60の幅を拡げることができる。また、平座金66aに加えてまたは代えて、くさび形のテーパー座金66b(
図13(b)参照)を挟むこともできる。テーパー座金66bを挟むことで、幅の拡大に加えて、両センタープレート62の成す角度(以下「挟角」という)θを変更することができる。具体的には、テーパー座金66bを、幅の広い側を
図11における上側になるように挟んだ場合には、挟角θが小さくなり、テーパー座金66bを、幅の広い側を
図11における上側になるように挟んだ場合には、挟角θが大きくなる。
【0073】
止金具60を屋根70に固定する際には、押さえボルト64によって棟包み81を挟持する。その状態でロックナット65を締め込み、押さえボルト64が緩むことを防止する。止金具60の使用方法は、前述した止金具50と同様であり、センター金具61にシャックルSを取り付けて、シャックルSに安全帯のフックを係止して使用する。
【0074】
なお、実施形態では、屋根ハッチ10を雪下ろし器具1に用いているが、これに限らず、降雪期以外に、または積雪地帯以外の地域において、屋根70の点検口として用いてもよい。屋根ハッチ10を設けることでソーラーパネル、給水塔及びアンテナ等の屋根70の上に設けられた設備の点検が容易になるのに加えて、屋根70自体の点検・修理も容易になる。
【0075】
実施形態では、屋根ハッチ10の断面形状は方形であるが、その他の断面形状、例えば、円形であってもよい。
【0076】
また、実施形態では、蹄鉄形の止金具50またはハの字形の止金具60を用いているが、止金具50,60の形状はこれに限られない。屋根70の棟の形状に合わせて適宜変更可能である。
【0077】
実施形態では、止金具50,60にシャックルSを取り付けて、シャックルSに安全帯のフックを係止しているが、シャックルSに代えてアイボルトやアイナットを取り付けてもよい。また、止金具50,60に安全帯のフックを直接、係止してもよい。
【0078】
実施形態では、屋根ハッチ10の筐体が上下一体に構成されているが、
図14に示すように、上部筐体10aと下部筐体10bとに分割される分割構造としてもよい。その場合には、下部筐体10bを木枠93に固定してから、上部筐体10aの下部フランジを下部筐体10bの上部フランジにボルト・ナット等により連結する。屋根ハッチ10を分割構造とした場合には、屋根ハッチ10の上部筐体10aと下部筐体10bとを別々に交換することができる。
【0079】
また、屋根ハッチ10を分割構造とした場合には、上部筐体10aを量産することが可能となるため、原価を抑えることができる。一方、下部筐体10bは、屋根70,80の勾配に合わせて製作する必要があるので、役物としてその都度設計が必要になる。ただし、屋根70,80に傾斜が設けられておらず平らな場合には、下部筐体10bも量産することが可能である。屋根ハッチ10を分割する他の利点として、一体構造の場合には例えば186kgに達する重量を、各部品の単体では100kg以下にできることが挙げられる。重量が100kg以下であれば、梯子に荷台を昇降させる設備や太陽光発電システム施工用の市販設備を、屋根ハッチ10を屋根70まで持ち上げる作業に用いることができる。さらに、屋根70,80に下部筐体10bのみを取り付けた状態で、建物との取り合いを行うことや野地板91の防水施工を行うことができ、設置作業が容易になる。
【0080】
その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。