【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の飛行機を示す斜視図、
図2の(a)は飛行機の平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図3は、プロペラと制御装置の関係を示すブロック図である。
図に示すように、主胴体11の両側に平行に副胴体12を配置している。主胴体11に中央を固定し両端を副胴体12に固定した前翼13と尾翼15を設ける。主胴体11に中央を固定し中間部分を副胴体12に固定した主翼14を設ける。両副胴体12の前端部20と後端部22に、翼の長手方向に回転軸を向けた合計2対の姿勢制御用プロペラ18を設ける。前翼13と尾翼15の両端部に、翼を貫通する方向に回転軸を向けた合計2対の垂直浮揚用プロペラ16を設ける。
【0015】
さらに、この実施例では、両副胴体12の中央部に、副胴体12と翼の両方に垂直な方向に回転軸を向けた回転翼17を設けた。なお、両副胴体12の前端部20もしくは後端部22に、圧縮空気噴出口26を設けてもよい。回転翼17は、矩形のプロペラで、飛行中に空気抵抗を増やさないように、肉厚の薄いものが好ましい。また、前翼13と尾翼15は、全体として翼厚が同じで、薄いもののため、図面では厚みを示していない。
【0016】
本発明の飛行機は、安全に低速飛行を行うことを可能にする。低速飛行を行うと従来型は失速して不安定になる。本発明の飛行機の形体は、主胴体11の両側に副胴体12を設け、カナード型のように、前翼13と主翼14と尾翼15を設けている。尾翼15は、安定板としての役割を持つ。これら三翼を主胴体11と副胴体12固定する。この事によって全体の剛性を高める。副胴体12の前端部20と後端部22に設けた水平方向と垂直方向に向けたプロペラ(ファン)16を駆動する。離着陸時に下方に向かって空気を流せば揚力を発生しそれだけ翼の負担は少なくなり低速飛行を可能とする。
【0017】
また、横風に対しては垂直に取り付けたプロペラ18を回し横風に対応する。又、低速時の安全性の確保は、例えば、機体に傾斜センサ30を設ける。片方に傾くとセンサーによりこれを感知して、制御装置28が、プロペラ16のいずれかを駆動して元の姿勢に戻して安定を計る事が出来る。又垂直に取り付けた前方のプロペラ18を、制御装置28が飛行中に駆動すれば、補助翼を作動させずに高度を失う事なく水平飛行のまま方向転換を行う事ができる。
【0018】
さらに、横風着陸の場合、制御装置28が、前後の4基のプロペラ18を横方向に向かって風を吹き出すように駆動すれば着陸コースを外れる事なく着陸する事が出来る。又先端の垂直に取り付けた一対のプロペラ18と後端の垂直の一対のプロペラ18をそれぞれ反対方向に向けて作動すれば、機体は水平状態のまま急角度で方向を変える事ができる。
【0019】
揚力の増加及び方向転換を行う力は、プロペラ(ファン)18によって行う方法の他に、圧搾空気を使用する方法がある。副胴体12の前端あるいは後端から圧搾空気を噴出して、反動による作用を利用してプロペラと同様な方向転換効果を得る事ができる。
【0020】
四隅に水平状態に取り付けたプロペラ16による揚力が少ない場合は、副胴体12に設けた左右二基の回転翼17による揚力を加える事によって、回転翼17の揚力分だけ固定翼の負担が少なくなり、低速飛行を可能にする事が出来る。なお、垂直浮揚用プロペラ16や回転翼17は、垂直離着陸ができるようなものではない。垂直離着陸用とするとサイズも出力も大きなものになり、燃料消費量が大きくて不経済になる。垂直方向に揚力を発生させる補助的なものでよい。離着陸時に垂直方向に揚力を発生させるだけで、滑走距離を短くする顕著な効果がある。
【0021】
本型式のような副胴体12を持つ飛行機は、副胴体12を主なる燃料タンクとして使用して、主胴体11に燃料を積まない事にすれば、万が一の場合、胴体から出火せず安全性を高める事が出来る。
【0022】
円筒形の副胴体12は、耐圧燃料タンクとして使用する事が出来るので、液化ガス(プロパンガスなど)の使用も可能になり、燃料の選択肢を増す事が出来る。
【0023】
現在のように飛行機の速度が速くなると、巡航速度に合わせて翼の面積を決めると、離着陸時には翼が小さすぎて揚力が不足する。揚力を高めるために離着陸速度を速くすると、危険が増して使用に耐えなくなる。
【0024】
又一方で、離着陸時の安全な速度に合わせた翼面積にすると、巡航飛行の時には翼が大きすぎて空気抵抗が増し経済運航が出来ない。そこで一般に行われているのは、翼の高揚力装置である。これは飛行機が前進する事によって空気の流れを利用し高揚力を発生する方法で、安全な速度を作り運航する方法である。この方法は、非常に有効で現在多く利用されている。
【0025】
しかし今日の飛行機の滑走拒理は非常に長くなって経費がかかるようになっている。そこで、やや巡航速度に合わせた高い翼面荷重の小さめの翼で、離着陸時に於いて安全な飛行速度を得るように、本機を開発した。
【0026】
図2に示すように、本発明の飛行機の特長としては、主胴体11と2本の副胴体12に、前翼13と主翼14及び尾翼15を固定して一体化したものである。前翼13と尾翼15の両端にプロペラ(ファン)16を取り付けてモーターで作動する。4基のモーターは、飛行機の姿勢制御のためにそれぞれ独立に駆動制御される。
【0027】
通常は一定の回転数で制御し、左右前後のバランスを崩す事なく浮力を得て、安定した飛行が出来る。又なんらかの力により空力的に機体の姿勢が崩れた場合、傾斜センサ30がこれを感知して、各モーターの駆動力を調整して、機体を水平に保持し、安定な安全運航を行う事が出来る。
【0028】
又、副胴体12上の2ヶ所の回転翼17を作動する事によって揚力が増えるので、低速飛行が可能になり離着陸の滑走距離を短くする事が出来る。又、本飛行機の副胴体12の前後に垂直に取り付けたプロペラ18によって、方向変換や横風に対応する事が出来る。
【0029】
例えば、補助翼や方向舵を使用せずに、前後どちらかの垂直に取り付けたプロペラ18を同じ方向に向けて駆動すれば、飛行方向を変える事が出来る。又横風着陸の場合には、4ヶ所にある垂直のプロペラ18を風に向かって駆動すれば、横に流される事なく着陸を行う事が出来る。
【0030】
以上本機の構造とシステムは、飛行機が低速になって翼の揚力だけでは飛行が維持出来ない場合、プロペラや回転翼17を使って揚力を発生させて補い、低速飛行を安全に行うことができる。
【0031】
以上の飛行機の利点を整理すると以下のようになる。
1 水平に取り付けた4基のプロペラ16と副胴体12に取り付けた回転翼17を作動する事によって揚力を発生させれば、翼の負担が少なくなるので低速飛行が可能になり安全性が増す。
2 垂直に取り付けた前後4枚の翼の中に設置したプロペラ18を作動させる事によって補助翼を使用しないで方向変換を行う事が出来る。
3 前翼13と尾翼15の両端付近に取り付けたプロペラ16や18は、それぞれ機体の姿勢センサーの出力信号を受けた駆動装置により、それぞれ独立に回転駆動されて、機体を水平に保持し、目的とする方向に向けるので、低速飛行時の安定と安全を計る事が出来る。
4 前後4ヶ所に垂直に取り付けたプロペラ18によって、離着陸時の横風によって機体が流されるのを防ぐ事が出来る。
5 主胴体11及び副胴体12と各翼を結合する事によって強度と剛性を高める事が出来る。
6 副胴体12を円筒状にすると、耐圧構造とする事が出来るので、液化ガス(例えばプロパンガス)等を使用出来て燃料に対して選択肢を増す事が出来る。又炭酸ガスの発生も少ない。
7 副胴体12を燃料タンクとして使用して胴体と胴体付近に燃料を積まなければ万が一の場合胴体は燃えないので安全性の高い飛行機となる。
8 副胴体12の回転翼17を作動すれば、離着陸距離を短くする事が出来るので、小さな空港でも運用が可能な飛行機になる。
9 本機は急角度でしかも低速で離着陸が可能なため、空港近くまで高空で飛来して急角度でアプローチし、着陸する事が出来るので、空港周辺の騒音区域を減らす事が出来る。
10 本機は低速でしかも滑走距離が短いので、タイヤの消耗を減らす事が出来る。
11 万が一不時着した場合即時に燃料タンクを切り離して、人の乗っている胴体より遠ざけて安全性を高める構造とする。