【実施例】
【0133】
本明細書にて記載された小胞、組成物、それに関する方法、システムは、実例によって記載される続く実施例において詳細に示され、また、これらに限定されるものではない。
【0134】
具体的には、続く実施例は、PSA(又はPAS配位子)を含むOMVsを細胞と接触させること、及び、生物標識の発現を検出することのための典型的な細胞培養、方法を示している。当業者は、OMVsと、PSAと、さらなる小胞のためのバクテロイデス フラギリスと、OMVs又は他の小胞のPSAへさらに物質が送られることとのために詳細に記載された特徴の妥当性を、本開示によって、理解するであろう。
【0135】
下記の材料及び方法は、本明細書にて例示された免疫調節物質の検出のためのすべての方法及びシステムのために用いられた。
【0136】
<細菌株、培養条件、マウス>
B. fragilis 株NCTC 9343をアメリカンタイプカルチャーコレクションから得た。その同系のPSA欠失変異株と、mpi44変異株(PSAのみ産生するが他の多糖を産生しない)とは、「M.J. Coyne, A.O. Tzianabos, B.C. Mallory, V.J. Carey, D.L. Kasper and L.E. Comstock, (2001) Polysaccharide biosynthesis locus required for virulence of Bacteroides fragilis, Infect. Immun. 69: 4342-4350.」に記載されている。細菌は、1L ddH
20中に37g BHI (BD #237200)、0.5μ g/mlヘミン (Sigma H5533)、及び0.5μg/ml ビタミンK(Sigma V3501)を含む富栄養培地、又は、1LのRPMI (Invitrogen SKU#11835-030)中に、8g グルコース、1% FBS、0.5μg/ml ヘミン、及び0.5μg/ml ビタミンKを含む特製の最少培地のいずれかにて育てられた。C57BL/6及び Balb/c株のSPFマウスをTaconic Farms (Germantown, NY)から購入した。TLR2 ノックアウトマウス及びIL-10 ノックアウトマウスをJackson laboratoriesから購入した。IL-10GFPマウスをシンシナティ小児病院のクリストファーカープ研究所から購入した。Foxp3GFPマウスは、ロサンゼルスのカリフォルニア大学のTalal Chatila研究所から譲り受けた。
【0137】
<EDLに富んだ細菌集団の単離>
パーコール(GE Healthcare #17- 0891-01)不連続濃度勾配遠心分離を野生型B.fragilis及びΔB.fragilis(Patrick S, Reid JH. (1983) Separation of capsulate and non- capsulate Bacteriodes fragilis on a discontinuous density gradient. J Med Microbiol. 16(2): 239-41.)のEDLの単離のために用いた。即ち、20%、40%、60%、80%のパーコール勾配(PBSで希釈)を14ml試験管(各層2ml)中に調製した。次に、PBS中に再度懸濁させたB. fragilis培養物を20%パーコール層の上部に注意深く加えた。さらに、勾配を室温にて800gで20分間遠心分離処理した。EDLに富んだ細菌を分離後に、40%〜60%の界面部分から取り戻した。
【0138】
<OMVの精製及び標識化>
斯かる方法には、E.coliからのOMVsの調製のために既に記載されている方法(Amanda L. Horstman and Meta J. Kuehn. (2000) Enterotoxigenic Escherichia coli secretes active heat-labile enterotoxin via outer membrane vesicles. J Biol Chem. 275: 12489-12496.)を適用した。即ち、EDLに富んだB.fragilisを特製のMM中で育てた。4℃にて2時間、40,000gにて遠心分離することにより細菌がない培地の上清からOMVsを回収し、さらにPBSで2回洗浄し、0.45μmの細長いカラム(Millipore #20-218)で濾過した。精製したOMVsの全タンパク質濃度をブラッドフォード法(Biorad #500-0205)によって測定した。FITCで標識されたOMVsを既に知られた方法によって調製した(Nicole C. Kesty and Meta J. Keuhn. (2004) Incorporation of heterologous outer membrane and periplasmic proteins into Escherichia coli outer membrane vesicles. J Biol Chem. 279: 2069-2076)。即ち、OMVsを室温で1時間、染色緩衝液(lmg/ml FITC (Thermo Scientific #46424), 100mM NaCl, 50mM Na2CO3, pH 9.2)中においた。標識されたOMVsを4℃で30分間40,000gで遠心分離することにより回収し、PBS+200ml NaClで2回洗浄した。
【0139】
<細菌の超薄膜切片の電子顕微鏡観察>
EDLに富んだB. fragilisの超薄膜切片を既に知られた方法によって作製した(Patrick S, McKenna JP, O'Hagan S, Dermott E. (1996) A comparison of the haemagglutinating and enzymic activities of Bacteroides fragilis whole cells and outer membrane vesicles. Microb Pathog. 20(4): 191-202.)。即ち、カコジル酸緩衝液の2.5%(v/v)グルタールアルデヒド(Sigma, G5882)溶液中で4℃にて終夜、サンプルを固定し、さらに、暗所にて室温で3時間、四酸化オスミウム(1%、w/v)中で固定を行った。いずれの固定処理においても、ルテニウムレッド(lmg/ml, Sigma R2751)を配合した。そして、濃度勾配のある一連のアルコールで脱水した後に、固定処理したサンプルをエポキシ樹脂に包埋した。超薄膜切片を切り出し、フォルムバー/炭素被覆銅グリッド(EMS #FCF200-Cu)上にてTEMによる観察の前に、2%酢酸ウラニル及びクエン酸鉛によってネガティブ染色した。
【0140】
<精製したOMVsの免疫金標識>
この方法には、既に知られた手法を適用した(Patrick S, McKenna JP, O'Hagan S, Dermott E. (1996) A comparison of the haemagglutinating and enzymic activities of Bacteroides fragilis whole cells and outer membrane vesicles. Microb Pathog. 20(4): 191-202.)。即ち、精製したOMVの小さな1滴をフォルムバー/炭素被覆金グリッド(EMS #FF200-Au)上に置き、自然乾燥させた。これらのグリッドの“OMVs”の側が下になるように抗体及び洗浄液の小滴の上にグリッドを浮かべることにより、室温にて免疫金標識を行った。具体的には、0.12%グリシンに5分間おいた後、10%FBS中でサンプルを10分間ブロック処理した。続いて、5nmの金が結合した第2の抗体IgG(Dr. Paul Webster, House Ear Institute, ロサンゼルス から贈呈)をサンプルに塗布し、PBSで再び4分間の洗浄を5回行った。標識後、サンプルを1%グルタールアルデヒド中で5分間固定し、液滴がグリッドを透過するように、PBSの1分間の洗浄を4回、H
2Oの1分間の洗浄を4回行い、よく洗浄した。2%メチルセルロースの3〜5%酢酸ウラニルの液滴上にグリッドを氷温で10分間置くことにより対比染色を行った。最後に、輪状針金を用いてグリッドを染色液から取り除き、自然乾燥させた。メチルセルロースの薄膜によって覆われたサンプルを輪状針金から取り除き、透過型電子顕微鏡観察(TEM)に用いた。
【0141】
<糖タンパク質分析>
全細胞抽出物又はOMVs(B. fragilis変異株mpi44由来)から精製されたPSAをSDS-PAGEに供し、続いて、PSAの存在を現すべく、ゲルを糖タンパク質染色キット(G bioscience #786-254)により染色した。
【0142】
<化学的にTNBSで誘発された実験的大腸炎>
この操作としては、既に知られた方法(Scheiffele and Fuss. (2001) Induction of TNBS colitis in mice. Current Protocols in Immunology.15.19.1-15.19.14.)を採用した。即ち、野生型(Balb/c)オスのマウスを、TNBS投与の前に、PBS、WT-OMV(5μg)、又はΔPSA-OMV(5μg)で1日おきに1週間、経口的に処置した。処置されたマウスをイソフルランで麻酔し、2%TNBS(50% EtOH中、Sigma P2297)の直腸への投与を3.5Fカテーテル(Instech Solomon; SIL-C35)によって行った。TNBS投与の後、経口投与をさらに2回続け、最後の処置の後、マウスを1〜2日間分析した。
【0143】
机上の実験例においては、TNBS投与の前にPBS、WT-OMV(5μg)、又はΔPSA-OMV(5μg)で1日おきに1週間、経口的にマウスを処置する前に、―上述したように―、同じマウスをTNBSで処置し得る。処置されたマウスを、次に、イソフルランで麻酔し、2%TNBS(50% EtOH中、Sigma P2297)の直腸への投与を3.5Fカテーテル(Instech Solomon; SIL-C35)によって行った。TNBS投与の後、経口投与をさらに2回続け、最後の処置の後、マウスを1〜2日間分析した。我々が予測したことは、この操作を採用することにより、これらマウスにおける大腸炎の程度が改善し、良くなり、治癒することであった。この予測は、PSAのみを用いた従前の研究において(Round ら. 2010)TNBS処理の前及び後の両方においてそれぞれ大腸炎を予防し、減少させたという事実に基づき、また、我々の本結果のいくつかにおいてマウスでのOMV作用がPSA濃度依存的であるという事実に基づく。
【0144】
<組織の病理学的分析>
マウスの結腸を中性の10%ホルマリン緩衝液(ScyTek Laboratories CAS#50-00-0)中で固定し、H & E 染色のためにパシフィックパソロジー(Pacific Pathology)によって処理した。各結腸部位の大腸炎スコアを病理学者(Dr. Gregory Lawson, David Geffen School of Medicine, UCLA, ロサンゼルス)によって盲検方式により評価した。組織構造画像を20倍の倍率で光学顕微鏡(Zeiss)を用いて取得した。
【0145】
<定量リアルタイムPCR>
Trizol試薬(Invitrogen #15596-018)を用いてマウス組織から、又は、RNeasy ミニキット(Qiagen #74104)を用いて精製細胞からRNAを収集した。iSCRIPT cDNA 合成キット(BioRad #170-8890)をcDNAの変換のために用い、IQ SYBR Green supermix (BioRad #172-8882)をリアルタイムPCRのために用いた。本試験において用いたプライマーは、TNF (F- 5'ACG GCA TGG ATC TCA AAG AC 3' (配列番号1)); (R- 5' GTG GGT GAG GAG CAC GTA GT 3') (配列番号2); IL-17 (F- 5' TTA AGG TTC TCT CCT CTG AA 3'(配列番号3)); (R- 5' TAG GGA GCT AAA TTA TCC AA 3') (配列番号4); IL- 10 (F- 5' GGT TGC CAA GCC TTA TCG GA 3'(配列番号5)); (R- 5' ACC TGC TCC ACT GCT TGC T 3') (配列番号6); Foxp3 (F- 5' GCA ATA GTT CCT TCC CAG AGT TCT 3'(配列番号7));R- 5' GGA TGG CCC ATC GGA TAA G 3'(配列番号8);アクチン (F-5' TTC GTT GCC GGT CCA CA 3'(配列番号9); R-5' ACC AGC GCA GCG ATA TCG-3' (配列番号10)である。
【0146】
<蛍光顕微鏡法>
インビトロで分化したBMDCをLab-Tek IIの8ウェルチャンバースライド(Nunc #154534)に50,000細胞/ウェルとなるように播種した。FITCで標識したOMVを培養細胞に10μg/mlで添加した。2時間の培養後、細胞を4%PFA中で室温にて2時間固定処理した。PBSで5分間の洗浄を3回行った後、WGA(Invitrogen W849)のテトラメチルローダミン複合体の1μg/mlによって4℃で1時間染色処理した。そして、プロロングゴールド褪色防止剤(P36930)を、膜染色の後、十分に洗浄した細胞に塗布した。LSM 510顕微鏡、及び、油浸Plan- Neofluar 63x/1.25を用いて蛍光画像を取得した。
【0147】
<フローサイトメトリー法及び染色法>
OMV取得操作又は活性操作由来のBMDCを収集し、5%マウス血清中で氷温にて30分間ブロック処理した。ブロック処理の後、氷温にて30分間、抗CD11c-APC、抗-MHCII-FITC、又は、抗-CD86-PE (ebioscience社)で染色し、フローサイトメトリーの前に4℃にてFACS緩衝液(HBSS (Ca2+/Mg2+なし)、 1% FBS、2mM EDTA、10mM HEPES)で2回洗浄した。同様に、インビトロでのBMDC-T細胞共培養物由来の細胞をブロック処理し、回収の前にPMA/イオノマイシンを用いて4〜4.5時間再刺激したこと以外は、抗-CD4-APC/抗-CD25-PEを用いて同様に染色した。全てのフローサイトメトリーは、BD FACSCaliburを用いて行い、結果は、FlowJoを用いて解析した。
【0148】
<インビトロでのBMDC-T細胞の共培養>
骨髄を異なるマウス株から収集し、既に知られているように(Mazmanian, Liu, Tzianabos, and Kasper (2005) An Immunomodulatory Molecule of Symbiotic Bacteria Directs Maturation of the Host Immune System. Cell 122: 1 107-118)、20ng/ml GM-CSF (Miltenyi Biotec #9517571)の存在下にて8日間、インビトロで分化させた(細胞純度 > 90%)。CD4+ 脾臓のT細胞を、磁気ビーズ精製法(Miltenyi Biotec #130-090-860)によって単離した(細胞純度 > 95%)。OMVで標的化されたBMDCs(10μl/ml OMVs, 100,000細胞/ml, 12〜24時間)をHBSSで洗浄し、そして、抗-CD3を0.01μl/mlとなるように添加(0日、
図3C、3D, 3E,3F、
図4A)、2ng/mlTGFbを添加(0日、
図3C、D及びF、
図4A)、及び、5ng/ml II-2を添加(1日及び3日、全てインビトロDC-T細胞共培養法)した丸底の96ウェルプレート中でCD4+T細胞(1,000,000細胞/ml)とともに培養した。培養4日後、上清をELISA法(ebioscience #88- 7104-77)のために収集し、又は、細胞を染色若しくはフローサイトメトリーのために回収した。
【0149】
<インビトロでの抑制操作>
BMDC(WT- OMV又はAPSA-OMVで標識化)−T細胞共培養物から精製されたCD4+CD25+細胞をTreg(Miltenyi Biotec, #130-091-041)源として用いた。マイトマイシンC(Sigma M4278)で処理されたCD4欠失マウス脾臓をAPCs(100,000 細胞/ml)として用いた。マウス脾臓から直接的に精製されたCD4+CD25-T細胞を37℃にて10分間、CFSEで標的化し、続いて、PBSで最初の洗浄を行い、培地で2回目の洗浄を行い、キラー細胞(Teff)として直ちに使用した(500,000 細胞/ml)。この操作は、5μg/mlの抗-CD3(ebioscience #16-0031-86)を添加した、200μl容積の96ウェル丸底プレートにおいて行った。Teff:Treg比は、滴定され、細胞は、培養後2〜3日後にFACS分析のために収集された。
【0150】
<統計的解析>
スチューデントT検定及び一元ANOVAをそれぞれ一対比較及び2群以上の比較のために採用した。統計的な有意差を示す群を識別すべく、ANOVAによる群間の有意差を、ポストホックテストとしてのNewman-Keuls 検定を使用することにより解析した。全てのエラーバーは、SEM(誤差範囲)を示している。NS:有意差なし、* p<0.05; *** p<0.01; *** p<0.001。
【0151】
(試験例1)
免疫調製性莢膜多糖PSAをB. fragilisのOMVsへ活性的に入れる。
【0152】
B. fragilisのEDLに富んだ超薄膜切片を材料及び方法において記載したように調製し、透過型電子顕微鏡で撮影した。
【0153】
図1Aに示される結果は、細菌によってOMVsが豊富に産生され、細菌外膜から外方で出ていることを示している(
図1A、より高い倍率)。先行技術においては、PSAの欠失によりB. fragilisの免疫調節能力がなくなること示されている(Mazmanian, Liu, Tzianabos, and Kasper (2005) An Immunomodulatory Molecule of Symbiotic Bacteria Directs Maturation of the Host Immune System. Cell 122: 1 107-118.)、(Mazmanian, Round, and Kasper (2008) A microbial symbiosis factor prevents intestinal inflammatory disease. Nature. 453 (7195) 620-625.)。PSA変異株(B. fragilisΔPSA)の電子顕微鏡写真は、OMV合成において欠損がないことを示し、また、産生されたOMVの大きさ、形状、存在量が、野生型細菌と区別できないことを示している(
図1A及び
図5)。具体的には、
図1Aに示された結果は、細菌表面から小胞が活発に出ていることを示している。
【0154】
PSAがB. fragilisのOMVsと関連しているか否かを測定するために、野生型細菌及びΔPSA細菌由来の精製した小胞を、材料及び方法の段落で記載したように、イムノブロット解析に供した。
【0155】
図1Bに示した結果は、B. fragilisΔPSA由来のOMVsと異なり、野生型由来の小胞がPSAにとって免疫活性を示すことを表している。B. fragilisは、細菌表面を覆う少なくとも8種の異なる莢膜多糖を産生し、該多糖は、PSA, PSB, PSC, PSD, PSE, PSF, PSG, 及び PSHと称される。PSBは、小胞調製において検出される一方で、PSGは、存在しない。これは、包括される所定の多糖のOMVsへの選択性を示している(
図1B)。従って、
図1Bの結果は、PSAとPSBとは小胞と関連している一方で、PSGは、単に細菌表面に観察されるのみであることを示している。莢膜多糖の欠失変異体は、各抗血清への選択性を確実なものとする。
【0156】
イムノブロット解析による結果は、材料及び方法の段落で記載したように行った免疫金標識の試験によって裏付けられた。精製した小胞の免疫金標識の結果が
図1Cに示されており、PSAが物理的にOMVsと関連し、野生型B. fragilis由来のOMVsの大部分がPSAによってポジティブに染まることをこの結果が裏付けている(
図6)。PSAがないことによりOMVsの分子組成が変わらないことを検証すべく、プロテオーム解析が質量分析によって行われ、これにより、野生型細菌由来又はPSA-変異細菌由来の小胞の間のタンパク質組成において大きな量的又は質的な違いがないことがわかった(
図7)。
【0157】
PSAは、繰り返し単位を有する不均一な高分子化合物である。全細胞抽出物から回収したクロマトグラフィーによるPSAのサイズ分離を実施し、全細胞から調製した莢膜多糖の抗PSAを用いたイムノブロット解析を行い、材料及び方法に示したようにOMVsを精製した。
【0158】
図1Dに示された関連する結果は、驚くべきことに、低分子量種、L-PSAのみがOMVsと関連していることを表し、PSAの小胞への特異的な取り込みを示す。具体的には、
図1Dの結果は、低分子量PSA(L-PSA)のみが小胞に取り込まれ、これと異なり、高分子量(H-PSA)種は、細菌細胞外膜に付随して留まることを示している。
【0159】
上記の結果により、免疫調節性の莢膜多糖PSAは、B. fragilisのOMVs中へ活発に入る。
【0160】
(試験例2)
OMVsは、PSA濃度依存的に、実験的な大腸炎及び腸の炎症から動物を保護する。
【0161】
OMVsが疾患の臨床症状を改善することができるかどうかを調査するために、マウスをTNBS(2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸)誘発性大腸炎の間、OMVsを用いた強制経口投与により処置した。
【0162】
図2Aに示す結果が示していることは、TNBSの直腸投与の後にコントロール動物が急速に体重を減少させた(
図2A、TNBS+PBS)こと、媒体処理されたマウス(
図2A、ETOH+PBS)と比べて回復しなかったことである。注目すべきは、OMVsが経口的に与えられたTNBSマウスは、特に、体重減少が予防された(
図2A、TNBS+WT-OMV)。最も重要なことは、B. fragilisΔPSA由来のOMVsが投与されると、体重減少がTNBS動物と区別つかなくなり(
図2A、TNBS+ΔPSA-OMV)、これは、消耗性疾患の予防にPSAが関与していることを証明している。
【0163】
胃への強制投与の後に結腸で無傷の小胞を検出する我々の試みは、宿主由来の小胞の観察によって結果が混乱するものとなり、既に報告したように(実験データ無し)、無菌(菌がない)マウスにおいても混乱するものとなった。
【0164】
結腸長さの減少は、TNBS大腸炎の特徴であるため、結腸長さの測定を、盲腸から直腸まで削除した直後に、操作されていない腸において行い、媒体処理群(EtOH)及びTNBS群(n=4、匹/群)の長さの定量化(グラフ)を行った。具体的には、測定は、死亡後(疾患誘発後4日)に行った。
【0165】
図2Bに示す結果は、PSA含有小胞で処置した動物における通常の腸の長さを示し、PSAがないOMVsで処置した動物におけるものではない(
図2B)。
【0166】
実験的大腸炎の結果は、腸の構造における激しい病理的変化を引き起こした。従って、各処置群を代表するヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色された腸部位は、
図2Cに示されるように提供された。
図2Cの画像は、結腸組織の組織学的分析において、PSA含有小胞の経口投与により改善したTNBS処置動物において重大な疾患が観察されたことを示している。
【0167】
図2Cの結果は、クローン病で観察される病変に類似した腸を通して、局所性病変においてTNBS大腸炎が現れ盲検病理学者によって割り当てられた動物における大腸炎のスコアによって確認されたものである。定量的に疾患を評価すべく、臨床症状を標準のスコアシステム(Scheiffele及び Fuss. (2001) Induction of TNBS colitis in mice. Current Protocols in Immunology.15.19.1-15.19.14.)を使用して、盲検病理学者によって評価した。
図2Dに示された結果は、TNBS及びΔPSA-OMVで処置された動物が全て深刻な影響を受けたものの、WT-OMVSが大幅にほとんどの動物の疾患を減少させた。野生型細菌由来のOMVsで処置した動物は、病理学上の重大な疾患がほとんどなく、病変が観察されたときは、その病変は、ΔPSA-OMVが与えられた動物と比較して小さく、ほとんど正常な組織構造を保持していた。
【0168】
上記の結果は、OMVsの疾患予防活性のためにPSAが必要であることを証明している。
【0169】
(試験例3)
OMVsを含有するPSAがTNFα/IL-17発現を抑制し、IL-10発現を高める。
【0170】
大腸炎に関連する標準的な炎症性及び抗炎症性サイトカインの産生を、試験例2に例示したように処置されたマウスにおいて測定した。具体的には、サイトカイン転写分析を、腸全体から、又は腸間膜リンパ節由来の精製されたCD4+T細胞から回収されたRNAのqRT-PCR法により行った。
【0171】
3つの独立した試験を代表する関連結果が、
図2E(腸全体)及び
図2F(腸間膜リンパ節由来の精製されたCD4 + T細胞)に報告されている。これらの結果は、炎症性生物標識/サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF-α)及びIL-17Aの転写レベルが、TNBS処置動物で上昇するが、PSA濃度に依存して、OMV投与により減少することを示している(
図2E)。病状からの保護と矛盾せず、OMVsは経口的にΔPSA-OMVが与えられた動物と比較して、抗炎症性生物標識/サイトカインIL-10レベルの生産増加を誘発した(
図2F)。腸間膜リンパ節(MLNs)由来の精製されたCD4+T細胞によって産生されたサイトカイン解析は、PSAに応答して、IL-10が確かにT細胞によって生産されることを確実とした(
図2F)。疾患に必要とされるTh17細胞の浸潤が、OMVsによって有意に削減し、強力な炎症性マーカーのTNF-αのレベルとなった(
図2F)。我々は、B. fragilisのOMVsへPSAが入ることが、実験的大腸炎の病理学的および免疫学的症状から動物を保護すると結論付けている。
【0172】
(試験例4)
B. fragilis由来のOMVsを含むPSAが樹枝状細胞反応を含む
【0173】
樹枝状細胞(DCs)は、腸管内腔に突出し、腸内粒子を捕食し、その後、T細胞反応を開始するためにMLNsに移行する。確かに、動物に経口投与されたPSAは、MLNにおいてCD11c+DCsと関連している。従って、出願人は、PSAを含有するOMVsもDCsに取り込まれることができるかどうかを試験しようとした。
【0174】
サイトカラシンDを用いた細胞の処理が小胞の取り込みを阻害するため、アクチン濃度に依存して、骨髄由来DCsが急速にOMVSを内在化するという結果が
図3Aに示されている(
図3A及び
図8)。細胞内における局在を共焦点顕微鏡により確認した(
図9)。
【0175】
T細胞活性化マーカーのDCにおけるPSAを媒介した誘導をも調べた。
図3Bに示す結果は、WT-OMVS及びΔPSA-OMVs両方の内在化に引き続き、T細胞活性化マーカー(MHCII、CD86)の発現が均等に上昇することを示している(
図3Bおよび
図10を参照)。MHC及び共刺激性分子の発現増加は、B. fragilis 由来のOMVsを含むPSAがT細胞応答に影響を与えることを示している。
【0176】
(試験例5)
OMVsを含有するPSAが、DCs IL-10によってCD4+T細胞におけるIL-10の発現を誘発する。
【0177】
試験例1〜3に例示した実験によって示された大腸炎におけるOMVs含有PSAの保護機能を考慮して、サプレッサーT細胞の応答の誘導におけるOMVsの生物学的作用を試験した。具体的には、大腸炎を阻害することが知られている様々な制御性T細胞(Treg)の集団として、Treg細胞の発達を促進するOMVsの能力を試験した。
【0178】
図3Cに示す結果が示していることは、WT-OMVSがインビトロでのDC-T細胞の共培養からのIL-10の発現を誘発する一方で、これらの条件下のみでは、IL-10がDCsから産生されないことである。増加が媒体制御において検出されたものの、B. fragilisΔPSAから精製された小胞は、WT-OMVSよりもIL-10を大幅に少なく誘導した。 DCsからのIL-10の産生は、CD4+ IL-10+T細胞の発達をインビボ及びインビトロで支えることが知られている。 従って、
図3Cに示されているものと同様のELISA分析は、IL-10-/-動物から分化したDCsを含むように行われた。
【0179】
図3D(左側)に示した結果が示していることは、IL-10-/-DCsが野生型OMVsで処置されたときに、DC-T細胞の共培養におけるIL-10産生の大幅な減少が、DCsによるIL-10の発現を示唆し、パラクリン様式でCD4 + T細胞からIL-10を誘発することを必要とすることである。
【0180】
(試験例6)
OMVsを含むPSAは、DCsを直接的なFoxp3 Tregの発達及び/又は拡張へ仕向ける。
【0181】
微生物リガンドは、パターン認識受容体のいくつかのクラスによって感知され、PSAは、Th1サイトカイン産生を誘発すべく、トール様受容体2(TLR2)によって信号を送ることが示されている。一連の実験は、従って、TLR2が野生型OMVs(PSAを含む)によるIL-10の誘導のために必要とされるかどうかを試験するために実施され、最近の報告では、Treg機能及びIL-10発現がTLR2の影響を受けることが示されている。
【0182】
図3D(右側)における結果が示していることは、野生型のDCsと比較して、TLR2(TLR2-/-動物由来のDC)の不在が、OMVsに対応して、IL-10産生を完全に抑制するということである。両方のDCは、スーパー抗原(SEA)の刺激に対して同じように反応し、PSAセンシングにおける特定の欠陥を示し、TLR2-/-DCsによるT細胞活性の一般的な不足を示さなかった(
図3D)。転写因子Foxp3を発現するCD4+CD25+T細胞は、重要なTregサブセットである。最近の研究で示されていることは、CD4 + CD25 + FOXP3 +TregsがIL-10を発現させ、TregsからのIL-10産生が腸の炎症を防ぐために必要であるということである。
【0183】
OMVsにおけるPSAによって誘導されるIL-10の源を測定すべく、CD4 + CD25 +T細胞及びCD4 + CD25-T細胞を、DCsとの共培養の後で精製し、IL-10及びFoxp3の発現をqRT-PCRによって測定した。
【0184】
図3Eに記載された結果が示していることは、特に、PSA-OMVがCD4 + CD25 + Treg集団において、IL-10の発現を大幅に誘発するが、CD4+ CD25-のT細胞からは誘発しないことである。 B. fragilisΔPSAから精製したOMVsは、T細胞集団からのIL-10産生を制御媒体と同じ程度にて、促進することができないということである。PSA依存的に、CD4+CD25+ T細胞において、OMVsによってFoxp3の発現も有意に増加した(
図3E)。
【0185】
共培養は、
図3C〜Eに示された実験と同様に設定されたが、Foxp3-GFPマウスからのCD4 +T細胞を使用した。 OMVで標的化されたDCで4日間培養後、FCを使ったGFP発現によって検出される抗CD4及びFoxp3で染色した。
【0186】
2つの独立した試験の代表的な結果が
図3Fに示されている。
CD4 + T細胞におけるFoxp3の転写の増加と矛盾せず、CD4+ Foxp3 + T細胞の比率が、PSA-OMV処置でなく、WT-OMV処置に応じて増加した(
図3F)。総称して、PSAを含むOMVsは、完全にインビトロな培養系において、直接的にTregの発達及び/又は拡張へとDCを仕向ける。
【0187】
(試験例7)
PSA含有OMVsは、IL-10が媒介するFoxp3 Treg抑制作用を誘発する。
【0188】
細胞療法としてTregsを使用することが、IBD、自己免疫、アレルギーのために提案されている。 OMVsで処置されたDCを用いた4日間の共培養の後に、CD4+T細胞サブセットによるIL-10発現を調べた。脾臓のCD4+ T細胞をIL-10-GFPマウスから精製し、共培養の後に抗CD4及び抗CD25で染色し、GFPの発現によりIL-10の発現を測定した。
【0189】
精製されたDCs及びT細胞の関連したOMV処置の
図4Aにおける結果は、PSAがCD4 + CD25 + TregからIL-10の特異的な産生を促進することを示している。
【0190】
この知見に基づき、PSAの能力が調べられ、CD4 + CD25、培地(コントロール)、OMVs、ΔPSA-OMVsで処置したDCsとの共培養の後に、精製されたCD4 + CD25+ T細胞によるキラー細胞のインビトロ及びエクスビボでの抑制の抑制能を促進することが調べられた。 CD4 + CD25-キラー細胞(エフェクター細胞、Teff)が野生型マウスの脾臓から精製され、細胞内の色素CFSE(カルボキシスクシンイミジルエステル)で識別化され、Tregsとともに培養され、3日間抗CD3で刺激された。細胞増殖は、CFSE希釈のFCによって測定した。
【0191】
図4B及び4Cに示された結果は、ΔPSA-OMVSに反応するCD4 + CD25 + T細胞と比較して、WT-OMV処理したDCを用いた状況から回復したTregsが、有意に強化された抑制能を表示することを示している。
【0192】
従って、他に多数の微生物リガンド(LPS、リポタンパク質、ペプチドグリカンなど)を含むOMVs由来のPSAの特定の不在は、機能的なTregsを誘導するB. fragilis小胞の能力をなくす。
【0193】
(試験例8)
PSAは、Foxp3 Tregにおける様々な生物標識の組み合わせを誘発する。
【0194】
Foxp3-GFPマウスを、経口的に6日間、1日おきに精製したPSAで処置した。 MLNsが抽出され、CD4 + Foxp3 +T細胞、又はCD4+ Foxp3-T細胞が、±GFP発現(純度> 99%)に基づいて、FACSによって精製された。RNAを抽出し、q-PCRに用いた。
【0195】
図11に示す結果は、PSAが、IL-10、TGF-β、パーフォリン、及びグランザイムAなどの複数の抗炎症性遺伝子を誘導することと、TNFα及びIL17(特にIL17A)を阻害することとを連携させることを実証している。
【0196】
上記の結果は、B.フラジリス(B. fragilis)のプロバイオティクス活性の分子機構を提供し、制御性T細胞への免疫受容体伝達と関連する微生物リガンドのための影響力にある例を明示している。具体的には、上記の結果は、宿主細胞への細菌分子を標的とする外膜小胞(OMVs)、分泌構造PSAによって、PSAが宿主に送られることを示す。 PSA含有OMVSは、宿主免疫系の樹枝状細胞によって内在化される。 OMVSを取り込んだ後、PSAは、Foxp3及び抗炎症性サイトカインインターロイキン-10(IL-10)を発現する制御性T細胞(Treg)の分化を誘導するように、樹枝状細胞を仕向ける。 OMVSによるTregの発達は、樹枝状細胞によるトール様受容体2(TLR2)の発現とIL-10産生とを必要とする。驚くべきことに、PSA依存的に、精製されたOMVSは、強力な抑制活性を伴って機能性Tregのインビトロでの分化を誘導する。 PSAを含有するOMVsで動物を処理することは、実験的大腸炎を防ぎ、腸における炎症性サイトカイン反応を抑制する。これらの知見は、共生細菌が小胞分泌によって有益な微生物因子を提供すること、IBDのためのプロバイオティクス療法の伝達のための斬新な手法への設計されるプロセスを証明している。
【0197】
具体的には、上記の結果は、PSAを含有するOMVsによって誘発されたTregsが、機能的に抑制され、培養中のT細胞の活性を阻害することを示している。これは、微生物リガンドによるインビトロでのTreg発達の最初の証明であり、固有免疫受容体シグナルがTreg細胞を調節するという、広く推測された考えに対する原理証明を提供している。IBDのための現状の治療法は、無効であるか、又は重大な副作用を持っているため、プロバイオティクスは、免疫調節のための進化した斬新な機構を利用することによる有望な新しい治療選択に相当する。複数の組織において免疫反応が抑制されることを考慮すると、独創性に富んだ我々のPSAによるインビトロでのTregの発達は、自己免疫、喘息、アレルギーなどの多数の炎症性疾患に対する、新規細胞治療の興味深い可能性を示唆している。
【0198】
免疫調節を媒介する微生物によって作られる分子を同定すべく、細菌産物の画分が精製され、全細菌が使用されるときに同様な結果が得られる純粋な化合物を得るまで、同じ操作が上記のように行われる。また、上記の取り組みは、この活性を有するそれぞれのクローン菌株においてなくなった免疫調節分子を同定すべく、興味ある微生物の変異コレクションを選別するために使用することができる。
【0199】
我々の以前の研究では、PSAが単独で、マウスにおける大腸炎を治療及び予防することが示されている(Roundら2010)。従って、我々が得た今回の結果が示すことは、PSAを含む野生型OMVがマウスでの大腸炎を防ぐこと、及び、OMVを用いたこの効果が我々の提示したPSAに依存していると考えられることである、野生OMVは、同じTNBSマウスモデルにおける大腸炎の治療に有効であり、IBDを有するヒトに対して有益であり又は改善活性を有する。
【0200】
ここで注目すべきことは、炎症性疾患(IBDなど)の発症予測マーカーが知られていないものの、一度識別されたこれらの予測マーカーは、疾患の発症を防ぐために、上述したような物質/組成物/OMVsによって、疾患が進行するリスクのある物/人間が同様に処置されることを意味しているということである。
【0201】
別の実施形態においては、OMVs(PSAを含む)が、所定の酵素が発現しないように、又は所定の酵素の発現を減らすように改質され得る。凝集活性及び酵素活性(例えば、アルカリ性及び酸性のホスファターゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ホスホヒドロラーゼ、グルコサミニダーゼなどの加水分解酵素)を、当業者に知られている分子又は物理的方法を用いて減らす。このような改質OMVsは、その後、炎症又は炎症性疾患を治療または予防するために使用され得る。
【0202】
上記の例は、当該技術分野に対して、本開示の小胞、システム、及び方法の実施形態を使用及び実施するための完全な開示と説明とを当業者を与えるために提供されており、その開示の範囲に関して限定することを意図していない。本開示を実施するために当業者によって明らかである上記様式の変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。明細書に記載されている全ての特許公報及び刊行物は、本開示に関係する当業者の技術レベルを示すものである。本開示に記載された全ての参考文献は、各参考文献が個別に全体的に参考として援用されるときに、同じ程度で参照として援用される。
【0203】
技術背景、要約、詳細な説明、及び実施例において記載された各記述(特許公報、特許出願公報、学術論文、抄録、実験マニュアル、書籍、又はその他の開示を含む)の開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0204】
本開示は、特定の組成物又は生物システムに限定されるものでなく、当然のごとく、変えることができると理解すべきである。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものあると理解されるべきであり、限定することを意図するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、単数形の“a”、“an”、“the”は、内容について別段の明確な指示がない限り、“複数”の対象を包含する。“複数”との用語は、内容について別段の明確な指示がない限り、2つ以上の対象を包含する。別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、関係する当業者によって一般的に理解されるような同じ意味を有している。
【0205】
本明細書に記載したものと類似した又は同等の任意の方法および材料が、適切な材料と方法の具体例を試験するために使用され得る。
【0206】
開示の多数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、種々の変更が、本発明の思想および範囲から逸脱することなく行うことができると理解されるべきである。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0207】
本発明を好ましい実施形態に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解できるように、本発明の原理および範囲から逸脱することなく改良及び変更を利用できると理解されたい。従って、このような変形例は、以下の特許請求の範囲内で実施され得る。
【0208】
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