(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クラブとボールとの間にインパクトが生じる特定のゴルフスイングに関係する運動特性を決定又は解析するための方法であって、前記特定のゴルフスイングが実行されたときに、インパクト後の前記ボールの運動の三次元方向を定める直接測定が行われる方法において、
a)運動特性は、角スピン特性又は角スピン特性且つオフセンタースピン特性とされるボールのスピン特性を含むことと、
b)角スピン特性は、角スピン速度及び角スピン軸の三次元配向を含むことと、
c)ボールのスピン特性は、前記ボールの表面又は前記ボールの内部マーク若しくは内部マーカーを追加又は検出する必要なく決定されることと、
d)角スピンの軸の三次元配向は、前記特定のゴルフスイングが実行されたときにインパクト後の前記ボールの三次元運動方向を定める直接測定を使用することによって、及び、前記特定のゴルフスイングが実行されたときにインパクト前の前記クラブの三次元運動方向を正確に定める直接測定を使用することによって決定されることと、
e)角スピン速度は、前記ボールの三次元運動方向、ボール速度の大きさ、前記クラブの三次元運動方向、クラブ速度の大きさ、及びクラブの三次元フェイス方向角度のうちから選択される、前記特定のゴルフスイングが実行されたときの運動特性を定める直接測定と共に、前記特定のゴルフスイングで使用されるボールに関する実際の情報の代わりに前記ボールに関する所定の情報を使用することによって決定されることとを特徴とする方法。
クラブとボールとの間にインパクトが生じる特定のゴルフスイングに関連する運動特性について決定及び解析からの選択を実施するための装置であって、前記装置が、ボール測定手段及びプロセッサ手段を備え、前記ボール測定手段が、前記特定のゴルフスイングが実行された場合における前記ボールの3D運動方向を決定可能とする、ボールの運動特性をインパクト後に直接測定するように動作可能である装置において、
a)前記装置が、角スピン特性、並びに角スピン特性及びオフセンタースピン特性からの選択を含むボールのスピン特性を含んでいる、前記特定のスイングに関連する運動特性を決定するように動作可能であることと、
b)前記装置が、角スピン速度及び角スピン軸の3D配向を含む角スピン特性を決定するように動作可能であることと、
c)前記装置が、前記ボールの表面又は内部のマーク若しくはマーカーを追加又は検出する必要なく、ボールのスピン特性を決定するように動作可能であることと、
d)前記装置が、前記特定のゴルフスイングが実行された場合における前記クラブの3D運動方向を正確に決定可能とする、前記クラブの運動特性をインパクト前に直接測定するように動作可能であるクラブ測定手段も備えていることと、
e)前記プロセッサ手段が、インパクト前における前記クラブの3D運動方向を定める直接測定を、及びインパクト後における前記ボールの3D運動方向を定める直接測定を使用することによって、前記角スピン軸の3D配向を決定するように動作可能であることと、
f)前記プロセッサ手段が、前記特定のゴルフスイングで使用される前記ボールに関する実際の情報の代わりに、前記プロセッサ手段にとって利用可能な事前決定されたボール情報を、前記特定のゴルフスイングが実行された場合における直接測定に関する以下の特徴、すなわち、前記ボールの3D運動方向と、前記クラブの3D運動方向と、前記クラブ測定手段がクラブ速度を測定するように動作可能であるクラブ速度の大きさと、前記ボール測定手段がボール速度を測定するように動作可能であるボール速度の大きさと、前記クラブ測定手段及び前記ボール測定手段によって測定される運動特性を使用することによって前記プロセッサ手段が3Dフェイス方向角度を決定するように動作可能である前記クラブの3Dフェイス方向角度とのうちから選択された特性と共に使用することによって、角スピン速度を決定するように動作可能であることと、
を特徴とする装置。
【背景技術】
【0002】
以下の従来技術の文献では、ゴルフショットにおける、スピン特性を含む運動特性を決定することを特許請求するデバイスを開示している。
【0003】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4はすべて、プロセッサを使用して動いているボールの2つまたはそれ以上の連続する画像の間でボールの表面の永久的マークまたはマーキングの幾何学的位置またはサイズの変化を解析することによってスピン特性を決定することができると述べられているデバイスを開示している。これらの画像は、1つまたは複数の高速度カメラによってキャプチャされる。しかし、これらのシステムは、いくつかの点で、特に、サイドスピンがかかった結果生じるマークまたはマーキングの典型的な移動がバックスピンがかかった結果生じるマークまたはマーキングと比較して非常に小さいため、サイドスピンパラメータを決定する際の精度または信頼性のレベルが非常に低いものとなるという点で本質的に制限されることが知られている。これらには、特別なマークを付けたボールを必要とすること、またそれぞれの画像内で検出されるようにマークまたはマーキングの位置決めを確実に行うことという制限もある。これらは、角スピン(angle spin)とオフセンタースピン(off−centre spin)とを区別することもできない。角スピンとオフセンタースピンは、本明細書の後の方で定義し、説明する。
【0004】
上記のものに似たいくつかのシステムでは、特別にマークしたボールを使用する必要をなくすることを試みている。特許文献5では、上で説明されているものに似たシステムを開示しているが、特別なマークまたはマーキングの検出は、ボールの表面上の傷、切れ目、またはくぼみなどの表面に自然に付いたマークの検出で置換される。特許文献6では、特別なマークの検出は一時的な熱的マークの検出で置換されるシステムを開示している。しかし、これらのシステムはいずれも、実用状況において機能しえないと考えられる。さらに、これらが実用的な状況において機能する可能性があるとしても、これらは、サイドスピンパラメータを決定する際の精度または信頼性のレベルの低さに関連する他の制限を克服せず、ここでもまた、角スピンとオフセンタースピンとを区別することができない。
【0005】
特許文献7および特許文献8では、レーダーシステムを使用して、ボールに施されたコントラストの高い反射マークから反射信号をキャプチャすることによってスピン特性を決定することができると言われるデバイスを開示している。反射信号は、スピン特性を決定するためにプロセッサによって解析される。しかし、これらのシステムは、スピン軸およびサイドスピンを測定することができない。これらは、角スピンとオフセンタースピンとを区別することもできない。さらなる制限は、ボールが測定時の角度回転の著しい量を記述するという要件であり、これは、低スピニング、ドライバーショットなどの高速ショットに対して比較的長い追跡距離を必要とし、したがって近距離ネットとの併用が妨げられる。さらなる制限は、特殊な反射マークをボールに付け、それらを特定の方向に向き付けてからボールを打つという要件を含む。
【0006】
特許文献9では、特殊な反射マークを付けたボールを使用しなければならないという制限なしで、周波数に関して等距離に位置決めされたスペクトルトレースを含むレーダー信号の周波数解析の結果からスピン速度を決定することを含むと述べられる手段により、スピンパラメータを決定することができると述べられている、レーダーデバイスを開示している。このデバイスは、ボールの飛翔軌道の決定だけでスピン軸を決定することによりサイドスピンを検出しないという制限を克服するようにも思われる。しかし、このシステムは、いくつかのさらなる制限を持ち込む。これらのうちの1つは、飛翔の遠い軌道を追跡できる場合にのみ使用することができるという点であり、したがって、屋内条件の下で、またはボールがネット内に打ち込まれる場合には使用できない。別の制限は、説明のつかない風の状態が、スピンに類似する形で軌道に影響を与えることがあり、そのため、関係するスピンパラメータの決定が不正確になるという点である。別の制限は、角スピンとオフセンタースピンとを区別することができないという点である。
【0007】
これらの従来技術の開示のすべてのさらなる制限は、これらがボールのスピン特性を決定することができるけれども、これらの特性の生じ方または生じる理由に関する情報をいっさい与えていないという点である。本発明は、従来技術のこれらの制限を克服しようとするものである。
【0008】
ボールスピンは、一般的に、ゴルフ競技では非常に重要なものであると認められているが、それは、飛翔およびその後のボールの跳ね返りと転がりに著しい影響を及ぼすからである。スピンは単一の回転軸の周りに生じるけれども、伝統的なゴルフの指導では、通常、バックスピンおよびサイドスピンの垂直成分および水平成分に関して研究されている。バックスピンは、常に、典型的な空中のゴルフショットに存在し、通常は、ショットのタイプおよび要件に応じて、ボールの打ち出し時に最適な値をとる。サイドスピンは、時には、典型的な空中ショットにおいて存在し、軌道が徐々に横へずれてゆくことに関連する。本明細書全体を通して、ほとんどすべての右利きプレイヤーおよび大きな割合の左利きプレイヤーを含む、右から左へプレイするプレイヤーを指す用語が使用される。本明細書全体を通して、スピンの説明は、アイアンショットとウッドショットのみに限り、「ウッド」という用語はドライバーおよびハイブリッドクラブを含むすべてのメタルウッドを包含するものとする。本明細書は、比較的低速で実質的に二次元において行われるパターショットを除外する。
【0009】
ゴルフクラブがボールに当たるときに、スピンを引き起こす2つの一般的周囲条件がある。「角スピン」と称されるものを生じさせる、これらの周囲条件のうちの1つは、クラブフェイス上の接点に対する3D法線方向が、インパクトが生じたときにクラブが移動する3D方向に平行でない場合に生じる。これは、クラブのロフトアングルのためにすべての典型的な熟練したゴルフショットにある程度生じ、クラブフェイスは、水平軸の周りに角度を付けられる。これは、クラブフェイスが垂直軸の周りに角度を付けられている場合、つまり、クラブフェイスが「開いている」か、または「閉じられている」場合にも生じる。これは、それに加えて、接点への法線とターゲット方向との位置合わせが正しく行われたが、クラブヘッドがインパクト時にターゲット方向と位置合わせされていない方向でボールに不正確に接近する場合に生じる。これは、他の方法で正しく向き付けられ、方向付けられたショットにおいても、ボールがクラブフェイスの中心から離れて打たれた場合、およびドライバーおよび他のウッドの場合のようなクラブフェイスが湾曲している場合に、クラブフェイスの湾曲していることで法線とターゲット方向との位置合わせが狂うため生じる。
【0010】
スピンを引き起こす他の一般的周囲条件は、ボールがクラブで中心を外して水平または垂直のいずれかの方向に打たれた場合、またクラブヘッドの重心がクラブフェイスの著しく背後にある場合に生じ、特にドライバーを使ったときに、また他のウッドを使ったときにそれより低い程度で生じるが、アイアンではかなり低い程度で生じるか、または全く生じない。このタイプのスピンは、クラブヘッドの回転に関連しており、ボールの表面と回転しているクラブヘッドの表面との間の摩擦係合によってボールに逆スピンがかかる。これは、ゴルフ専門用語では、いくぶん非科学的な言い回しではあるが「ギア効果スピン」と称されることが多いが、本明細書全体を通して「オフセンタースピン」と称するものとする。アイアンで何らかのオフセンタースピンが生じる場合、その効果はウッドで経験する効果と比べて、アイアンでは典型的に生じる比例してより高い角スピン分、またサイドスピンが軌道に及ぼす影響がより小さいアイアンショットの典型的により短い距離分、さらに低減される。オフセンタースピンは、水平オフセンタートゥヒットに対するフック軌道、水平オフセンターヒールヒットに対するスライス軌道、垂直オフセンターハイヒットに対する落下軌道(dipped trajectory)、および垂直オフセンターローヒットに対する上昇軌道(raised trajectory)への傾向を助長する。「トゥ」および「ヒール」は、それぞれ、シャフトから離れたクラブフェイスの側面およびシャフトに隣接するクラブフェイスの側面を指す。これらのスピン効果に部分的に対抗し、クラブにある程度の「寛容さ」を与えるために、ドライバーおよび他のウッドのメーカーは、それぞれクラブフェイス上で水平方向および垂直方向に「膨らみ」と「ロール」の湾曲を与える。この湾曲は、オフセンタースピンによって引き起こされるものとは反対の方向に、ある程度の角スピンおよび方向性ヒットを助長するが、典型的にはオフセンタースピンは支配的なまま残される。ゴルフのルールの下では、この湾曲は、ウッドに対しては許容されるが、平坦な面を有していなければならないアイアンには許容されない。
【0011】
角スピンとオフセンタースピンの両方が生じる場合、これらは、単一の合成スピンに組み合わされ、これは、バックスピン成分とサイドスピン成分とに関して見ることができるが、実際には、バックスピン成分とサイドスピン成分の割合に応じて傾斜を付けられたスピン軸を有する1つの全体的な合成スピンとして存在する。サイドスピンがない場合、スピン軸は水平であり、ボールの移動方向に対して直交する。スピン回転の方向は、ボールの前縁部が上昇し、後縁部が落下するような方向である。スピンは典型的にはインパクトを与えられたボールの運動エネルギーの1%未満を占めるけれども、直接そのエネルギーを消費することなく軌道を持ち上げ、曲げ、いくぶんラダーのように働くので、その軌道に対して不釣り合いなほど大きい影響を及ぼしうる。持ち上げは、スピン軸とボールの方向の両方に対して直角に生み出される。これにより、ボールは、左右に方向転換し、サイドスピンによりスピン軸が水平から離れる方向に傾斜する。また、これにより、ボールが上行している場合に逆行成分が抗力と平行にボールを減速させる。同様に、これにより、ボールが下行している場合に前進成分が抗力に抗してボールを加速する。ボールは、典型的にはそれが地面に到達するときまで初期スピンエネルギーの大半を保持する。
【0012】
クラブフェイスの中心は、クラブヘッドの重心に射影されるクラブフェイスへの法線によって実質的に画成される。メーカーが時にはわざとわずかにオフセンターにして何らかの特殊な特徴をもたらすので、これは必ずしもクラブフェイスの幾何学的中心になく、例えば、時には、プレイヤーがショットをスライスする傾向を有すると信じられる場所を補正するためにヒールの方へ数ミリメートル移動されておいている。また、重心からクラブフェイスへの法線は、典型的には、フェイスの幾何学的中心よりわずかに上に来る。典型的な高速ショットでは、シャフトは、通常、インパクト時に垂直軸の周りのクラブの運動挙動に著しい影響を及ぼさない。また、シャフトが非常に堅い先端部をクラブヘッド端に備えていない限り、インパクト時に水平軸の周りの運動挙動にほとんど著しい影響を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】上で概略を述べた発明の態様の組み合わせを使用する本発明の一例における情報の流れの主要素を示すブロック図である。図中で使用されている略語は、以下の簡単な説明において括弧に入れて示されている。破線の境界線で囲まれるブロックは、方法および装置内の内部プロセスに対応する。ボール情報(MB)およびクラブ情報(MC)の測定は、ゴルフスイング(S)が装置上で実行されたときに行われる。ニューラルネットワークなどの人工知能(AI)は、測定されたボール(MB)およびクラブ情報(MC)から、さらにはボールのタイプおよび条件のユーザ選択(SB)から入力を受け取る。さらなるクラブ情報の決定(DC)は、人工知能(AI)から受け取った情報および測定されたクラブ情報(MC)に基づき行われる。次いで、スピン特性の決定(DS)は、測定されたボール情報(MB)、人工知能(AI)、決定されたクラブ情報(DC)、測定されたクラブ情報(MC)、およびボールのタイプおよび条件のユーザ選択(SB)からの組み合わされた情報に基づき行われる。スイングの解析(A)は、測定されたボール情報(MB)、決定されたスピン特性(S)、測定されたクラブ情報(MC)、決定されたクラブ情報(DC)、およびボールのタイプおよび条件のユーザ選択(SB)を使用して行われる。解析は、必要に応じて通信により外部に送られる(C)。 本発明の追加の態様は、角バックスピンと比較して典型的には比較的小さい大きさであるため角サイドスピンの重要な成分を正確に測定することが困難であるという問題は、正確な決定を行いやすいいくつかの特性を分離して決定することによって克服することができるという洞察に関係する。これらの特性の1つは、スピン軸の角度に関係し、これはオフセンタースピンが存在しないか、または考慮されていない場合に生じる。他は、結果として生じる全体的な角スピン速度に関係する。
【
図2】
図1に類似しているが、プロセス全体の一部分に限定されている、前の段落で概要を述べた発明の態様に関係する情報の流れの主要素を示すブロック図である。人工知能が場合によっては使用されている場合がある、測定され決定されたボールおよびクラブ情報(MDBC/AI)を使用して、角スピン速度データを決定し(DASR)、またオフセンタースピンのない角スピン軸データも決定する(DASANO)、つまり、これは、オフセンタースピンが存在していなければ生じているものである。次いで、角サイドスピンおよび角バックスピンである角スピン成分データの決定(DASC)は、決定された角スピン速度データ(DASR)および角スピン軸データからの組み合わされた情報に基づき行われ、オフセンタースピンが考慮されない(DASANO)。測定され決定されたボールおよびクラブ情報(MDBC/AI)も、オフセンタースピンデータを決定する(DOS)ために使用される。スピン特性の決定(DS)または少なくともまだ決定されていないものの決定は、決定された角スピン速度データ(DASR)、決定された角スピン成分データ(DASC)、および決定されたオフセンタースピンデータ(DOS)からの組み合わされた入力に基づき行われる。ボールタイプおよび条件のユーザ選択(SB)は、ボールおよびクラブ情報の測定および決定(MDBC/AI)、角スピン速度データの決定(DASR)、およびスピン特性の決定(DS)への入力でもある。[角スピン軸および角スピン速度を決定するステップ] 対称性を考慮して、角スピン軸は、インパクトの直前の結果として生じるクラブ移動方向およびボールがクラブフェイスから離れたときの、結果として生じる初期ボール移動方向の両方に対して垂直に向き付けられることを示すことができる。本明細書全体を通して、断りのない限り、「方向」は3D(三次元)空間内の方向を指す。結果として生じるクラブ移動方向は、クラブヘッド移動方向と同義であり、「クラブ方向」と称するものとし、結果として生じるボール移動方向は、「ボール方向」と称するものとする。クラブ方向およびボール方向は、典型的な熟練したショットでは決して平行にならないので、その向きは、角スピン軸の向きをしかるべく定める。角スピン軸は、オフセンタースピンが存在していないか、または考慮されていない場合にボールがスピンする際の軸である。 角スピンのサイドスピン成分とバックスピン成分との比は、tan(
λ)=ω
as/ω
abの関係式で与えられ、λは、オフセンタースピンが存在していないか、または考慮されていない場合に、水平軸とスピン軸とがなす角度であり、ω
asは、角サイドスピンの速度であり、ω
abは、角バックスピンの速度である。 角スピンの速度は、角スピンが生成されるときにクラブフェイス上でボールが変形するバラツキと不確定性により正確な普遍的数学的処理に実用上適さない。しかし、以下の結果が経験的テストから見つけられている。他はすべて等しいものとすると、角スピンは、クラブ速度とフェイス方向角度のサインに実質的に直線的に比例し、ボールの慣性モーメントに直線的に反比例する「フェイス方向角度」という言い回しは、垂直方向とインパクト時のボールとの接点におけるクラブフェイスへの3D法線との間の角度を指す。角スピンは同様に比m
J(m
b+m
c)に実質的に直線的に比例し、式中、m
bおよびm
cは、それぞれボールおよびクラブヘッドの質量である。これは、同様に、クラブフェイスの弾性特性の違いの結果生じるボール速度の差の比に実質的に直線的に比例する。この比は、ボールとクラブ面の組み合わせの反発係数の等価な比で表すこともできる。角スピンは、ボール温度、使用時間、および状態などの変数を含む、ボールの構造、弾力性、および変形性にも強く依存する。これらの後の依存性は、複雑で、バラツキがあり、数学的に表すことが困難である。これらは、すでに説明されているように、事前決定された周辺条件において角スピンの決定をボールの例の適切な範囲に絞り込むことによって、実行から都合よく外せる。 クラブヘッドの質量およびクラブフェイスの弾性のクラブ関係変数を少しの間置いて、与えられた周辺条件の下で与えられたボールおよびクラブについて、結果として生じるスピン速度は、ω
a=K.V
c.sin
αで与えられ、ω
aは、結果として生じる角スピン速度であり、Kは、与えられたボールおよびクラブ条件に対する定数値であり、V
cは、インパクト直前のクラブヘッドの結果としての速度であり、
αは、フェイス方向角度である。Kに対する値は、必要な、または選択された条件の下でそれぞれのタイプのボールに対するトライアルテストによって決定される。クラブ関係変数を決定する必要性も、類似の特性を持つクラブがKに対する値を確定するためにトライアルテストで使用される場合には、なくすことができる。あるいは、Kに対する単一の値は、上で説明されているように、決定された角スピンの値に適切な調整比を乗算することによって、異なるクラブヘッドの質量またはクラブフェイスの弾性特性を持つクラブに対して使用することができる。 クラブヘッドの質量に対して調整が行われるが、その質量は事前に知られていない場合において、これは、例えば、インパクト前のクラブの移動の方向のインパクトの前およびインパクトの後の運動量の保存に基づき、m
c.V
c=m
c.W
c.cosξ+m
b.V
b.cos(Ψ)のタイプの関係式を使用してボールおよびクラブの速度の直接的測定によって決定することができ、式中、m
cは、クラブヘッドの質量であり、m
bは、ボールの質量であり、V
cは、インパクト前のクラブヘッド速度であり、W
cは、インパクト後のクラブヘッド速度であり、V
bは、インパクト後のボール速度であり、ξは、インパクトの前後のクラブヘッド方向の間の角度であり、Ψは、インパクトの前のクラブヘッド方向とインパクト後のボール速度との間の角度である。m
cおよびm
b以外の、この関係式中のすべての項は、直接的測定によって得ることができる。m
bに対する値は、ボール重量の上限値が規制当局によって制限されており、すべての標準ボールについて非常に類似しているので、容易に推定される。 クラブヘッドの弾性の変数は、主に、面が薄いメタルウッド、特に、ヘッドの大きいチタン製ドライバーで典型的には得られる追加弾性を指す。これらの追加弾性特性は、規制当局が定める最大限度に制約され、与えられた面サイズのすべての、または大半のメタルウッドが最終的に類似の弾性特性を有することになる可能性が次第に高まってきているように見える。そのため、弾性は、テストによって決定されたKの値において次第に重要になってきている。[フェイス方向およびフェイス方向角度の決定] 対称性を考慮して、接触が最初にボールとなされる、クラブフェイスへの3D法線の向きが、クラブ方向およびボール方向と同じ平面内にあることを示すことができる。クラブフェイスへのこの法線は、「フェイス方向」と称するものとする。 クラブフェイスへの法線が基準の3Dフレーム内でなす角度は、「フェイス方向角度」と称するものとし、垂直方向および意図された方向を含む軸を持つ基準のフレーム内で都合よく定義されうる。クラブフェイスが水平面内で正方形である場合、フェイス方向角度は、一般的なゴルフ用語の「ダイナミックロフト角」と同じである。フェイス方向角度は、直接的または間接的測定によって決定されうるか、または以下で開示されているような経験的に確立されている方法を使用して推定することができ、これはこの角度を決定するための「経験的」方法と称される。 フェイス方向角度値は、クラブのロフト角に応じて結果として得られるボール方向角度の約130%から約110%までの範囲内であり、すべての場合における値はフェイス方向およびクラブロフトの減少とともに減少し、この範囲にわたる値はまたボールのタイプにより変化する。テストから、与えられたボールタイプについて、二次多項式の関係式γ=a.Θ
2+b.
Θなどの単一の数式により、典型的に遭遇するボール方向角度の範囲にわたってフェイス方向角度の十分に正確な推定を行うことができることがわかり、γは、フェイス方向角度であり、Θは、ボール方向角度であり、aおよびbは、この式の経験的に導出される係数である。関係式γ=(0.027).θ
2+(0.75).θは、一般的に遭遇する条件におけるボールの1つの一般的タイプに適していることが判明している。テストでは、これらの結果が、ボールタイプにほどほどにしか敏感でなく、したがって、ボールタイプの比較的小さな代表試料に対するデータは、類似の精度レベルで、すべてのタイプを十分にカバーすることができることをさらに示している。数式中の係数に対するデータは、トライアルテストで容易に得られる。[オフセンタースピンの決定] オフセンタースピンが生じる場合、オフセンターインパクトにより、クラブヘッドが質量中心の周りに回転し、次いで、これにより、クラブフェイスがボールの表面に沿って移動し、これによりスピンをかける。このインパクトおよび合成回転に関わる関連する力、移動、および幾何学的形状の単純な解析により、関係式β.I=V
b.d.m
b、およびω
o=A.β/πD
bが得られ、そこでは、一貫した単位が使用されている。したがって、ω
0=[V
b.d].[A/l].[mt/
πD
b]となり、式中、ω
0は、結果として生じるボールのオフセンタースピン速度であり、βは、ボールがクラブフェイスから離れるときの質量中心の周りのクラブヘッドの角速度であり、dは、クラブフェイスからの法線へのインパクト点から質量中心までのオフセンター距離であり、m
bは、ボールの質量であり、V
bは、インパクト後のボールの速度であり、Iは、質量中心を通り、クラブヘッドが回転する軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントであり、D
bは、ボールの直径であり、Aは、クラブフェイスの背後の質量中心の距離である。 この場合、クラブヘッドの慣性モーメントの値が垂直軸の周りの回転と水平軸の周りの回転とでかなり異なり、これらの軸を横切り、通常は利用可能であるのみであるか、または容易に計算できるため、オフセンタースピンの水平成分と垂直成分とを別々に計算する方がよい。これらの関係式は、下付文字hおよびvがそれぞれ水平および垂直を表すものとして、ω
0h=[V
b.d
h].[A/I
h].[m
b/
πD
b]およびω
ov=[V
b.d
v].[A/I
v].[
mb/
πD
b]と書くことができ、式中、ω
0hは、結果として生じるボールのオフセンタースピンの水平成分であり、d
hは、クラブフェイスからの法線へのインパクト点から質量中心までのオフセンター距離の水平成分、つまり力の水平オフセットであり、I
hは、質量中心を通る水平軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントであり、ω
0vは、結果として生じるボールのオフセンタースピンの水平成分であり、d
vは、クラブフェイスからの法線へのインパクト点から質量中心までのオフセンター距離の水平成分、つまり力の水平オフセットであり、I
vは、質量中心を通る水平軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントである。 [m
b/
πD
b]における項のすべての値は、ボールに関係し、容易に利用できる。ほとんどのボールは、関連規制当局によって現在設定されている制限に適合し、最小での直径は4.267cm、最大での質量は45.93gが可能である。[A/I
h]および[A/I
v]に対する値は、クラブに固有の値であり、多くのクラブについて、特に水平値について公開され、利用可能である。あるいは、よく知られている確立された標準的な方法により予め値を計算しておくことができる。また、比A/Iは、関連する規制当局によって現在設定されている460ccの容積限界で製造される現代的なドライバークラブの大半を含む、設計の一般的カテゴリに入るほとんどのクラブにわたりかなり一定する傾向を有することにも留意されたい。これにより、クラブがこれらの標準値を外れていることが知られていない限り、A/Iに対して標準既定値を使用することができ、それについてより適切な値を代用することができる。また、関連する規制当局は、現在、クラブヘッドの水平慣性モーメントに対する最大値を5900g・cm
2に設定しているが、実際にこの値に達するクラブは、もしあるとしても、ごくわずかであることにも留意されたい。[スピン特性の間の関係] 角スピンおよびオフセンタースピンの成分は、基準の同じフレーム内で組み合わされ、これにより、スピン速度およびスピン軸の成分全体を決定する。この組み合わせは、さまざまな十分確立されている数学的技術によって都合よく遂行される。この文脈における「全体的」という言い回しは、角スピンとオフセンタースピンとの組み合わせ、またはそれらの成分の組み合わせを指すものとする。「全体的スピン」、「全体的サイドスピン」、および「全体的バックスピン」という言い回しも、「スピン」、「サイドスピン」、および「バックスピン」とそれぞれ同義であり、これらの言い回しは、角スピンまたはオフセットスピンに特に関連付けられてはいない。 スピン速度成分は、ω
a2=ω
as2+ω
ab2およびω
02=ω
os2+ω
0b2の数学的関係を有し、式中、ω
aは、角スピン速度であり、ω
asは、角サイドスピンの速度であり、ω
abは、角バックスピンの速度であり、ω
0は、オフセンタースピンの速度であり、ω
osは、オフセンターサイドスピンの速度であり、ω
0bは、オフセンターバックスピンの速度である。 そこでは、角スピンおよびオフセンタースピンは、基準の同じフレーム内で定義されるか、または基準の同じフレームに解決され、ω
s=ω
as+ω
osおよびω
b=ω
ab+ω
0bとなり、式中、ω
sは、全体的なサイドスピン速度であり、ω
bは、全体的なバックスピン速度である。「バックスピン」は、正または負の値をとることができることに留意されたい。角バックスピン速度および全体的なバックスピン速度は、典型的な熟練したゴルフショットにおいて常に正である。しかし、オフセンターバックスピン成分の速度は、しばしば負であり、これは典型的には大きさが大きい正の角バックスピン成分から減算する。 また、基準の同じフレーム内で定義または解決される全体的なスピンの軸は、tan(
φ)=ω
s/ω
bで与えられ、式中、φは、水平軸とスピン軸との間の角度であり、すべてのスピンが考慮される。全体的なスピンのこの軸は、ボール方向およびクラブ方向と一緒に、クラブ方向と同じ平面内にあり、スピン軸およびボール方向に直交するように向き付けられる、揚力の向きを決定する。
【
図3】ビームの経路を含む、装置配置構成の外観平面線図を示す。
【
図5】
図3に類似する図であり、装置配置構成のオプションの変更形態を示す。
【
図6】
図4に類似する図であり、装置配置構成のオプションの変更形態を示す。
【
図7】放射体、受信器、照準レンズ、および他の光学コンポーネントを含む、複数のビームのうちの1つのビームを示す側面線図である。
【
図8】拡大されたスケールで照準レンズを通して見る断面平面線図を示す。
【
図9(a)】典型的なドライバークラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の正面図である。
【
図9(b)】典型的なドライバークラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の側面図である。
【
図10(a)】典型的なアイアンクラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の正面図である。
【
図10(b)】典型的なアイアンクラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の側面図である。
【
図11(a)】
図4または
図6に示されているような、ビームB1、B2、B3、またはB0のどれかの走査方向で見たときの、
図9(a)および
図9(b)に示されている、中立の向きのドライバークラブヘッドの図を示す。
【
図11(b)】
図4または
図6に示されているような、ビームF1、F2、F3、またはF0のどれかの走査方向で見たときの、
図9(a)および
図9(b)に示されている、中立の向きのドライバークラブヘッドの図を示す。
【
図12(a)】
図4または
図6に示されているような、ビームB1、B2、B3、またはB0のどれかの走査方向で見たときの、
図10(a)および
図10(b)に示されている、中立の向きのアイアンクラブヘッドの図を示す。
【
図12(b)】
図4または
図6に示されているような、ビームF1、F2、F3、またはF0のどれかの走査方向で見たときの、
図10(a)および
図10(b)に示されている、中立の向きのアイアンクラブヘッドの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前段で開示されている手順では、全体的なスピン特性の集合ならびに角スピン特性およびオフセンタースピンオン特性のその成分集合は、特定の運動特性および事前に決定されている情報から決定することができる。運動特性は、特定のショットについて測定または決定された特性であり、これはインパクト直前のクラブ速度ベクトルと、インパクト後のボール速度ベクトルと、クラブ質量が「K」値内ですでに考慮されていない場合にインパクト後のクラブ速度ベクトルと、クラブフェイス上のインパクト位置とを含む。これらは、インパクト直前のフェイス方向も含み、これは、特定のショットについて測定または決定されうるか、すでに開示されているフェイス方向角度とボール方向角度について測定されている値との関係を決定するために「経験的方法」を適用することによって決定されうる。事前決定された情報の項は、ショットのクラスまたはカテゴリに関係し、これは、与えられたボールおよびクラブ条件に対する確立されている角スピン関係「K」値、クラブヘッドに対するA/I
hおよびA/I
v値、および「K」値にすでに考慮されていなければ、クラブフェイス弾性を含む。「クラブ速度ベクトル」および「ボール速度ベクトル」という言い回しは、それぞれ、クラブおよびボールの位置、移動方向、および速度の大きさを記述し、したがって、「クラブ方向」および「ボール方向」を含むベクトルとして定義される。
【0022】
必要な運動特性は、限定はしないが、高速度カメラシステム、レーダー探知システム、およびビーム遮断システムを含む、さまざまな手段によって測定されうる。
【0023】
運動特性は、練習セッション中にユーザにフィードバックを送り、インタラクティブに操作する方法を実行できる十分な速度で決定することができる。
【0024】
次に本発明を、より具体的に
図3から
図12(b)を参照しつつ説明し、例としてのみ、ゴルフショットの、ボールスピン特性を含む、運動特性を決定するためのビーム遮断システムを使用する本発明の一実施形態を示す。ゴルフショットの運動特性を決定する、ビーム遮断システムが知られており、従来技術文献である特許文献10を参照しているが、この文献は、ボールスピン特性の決定を含まない。このタイプのビーム遮断システムは、非常に高速度の運動を3D立体像としてキャプチャするように動作可能にすることができる。代替的実施形態では、異なる角度で撮像する2つまたはそれ以上のカメラを使用することによって、またはプリズムなどの光学デバイスを通して異なる角度で撮像する単一カメラを使用することによって、画像を立体画像としてキャプチャする高速度カメラシステムが使用される。
【0025】
次に、
図3を参照すると、これは、ビームは現実には見えないけれども、ビームの経路を含む、装置配置構成の外観平面線図を示している。
【0026】
図4は、
図3の中心ビーム領域を拡大して示しており、ビーム上のラベルを識別するステップを含む。
【0027】
図5および
図6は、それぞれ、
図3および
図4に類似する図であり、装置配置構成のオプションの変更形態を示している。
【0028】
図7は、放射体、受信器、照準レンズ、および他の光学コンポーネントを含む、複数のビームのうちの1つのビームを示す側面線図である。ビーム輪郭は、実線で示され、ビームは、平行光線の平坦なバンドを含むプレイ領域内に一組の平行線として示されている。図は、
図3または5を見るとわかるように、実際には、図示されているものよりかなり長いビームの平行経路に沿って短縮されている。この図は、ビームの中心部分の外向き経路を遮るボールも示す。
【0029】
図8は、拡大されたスケールで照準レンズを通して見る断面平面線図を示しており、ビームはそのファセットの1つを通過する。
【0030】
図9(a)および
図9(b)は、典型的なドライバークラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の正面図および側面図である。クラブヘッドは、その中立の向きで、つまり、ロール角がゼロで、動的ロフト角が静的ロフト角に等しい向きで、図示されている。
【0031】
図10(a)および10(b)は、典型的なアイアンクラブヘッドおよびその隣接するシャフトの部分の正面図および側面図である。クラブヘッドは、その中立の向きに示されている。
【0032】
図11(a)は、
図4または
図6に示されているような、ビームB1、B2、B3、またはB0のどれかの走査方向で見たときの、
図9(a)および
図9(b)に示されている、中立の向きのドライバークラブヘッドの図を示している。この図は、クラブヘッドがこれらのビームで走査された場合に実行できるさまざまな測定の結果も示している。
【0033】
図11(b)は、
図4または
図6に示されているような、ビームF1、F2、F3、またはF0のどれかの走査方向で見たときの、
図9(a)および
図9(b)に示されている、中立の向きのドライバークラブヘッドの図を示している。この図は、クラブヘッドがこれらのビームで走査された場合に実行できるさまざまな測定の結果も示している。
【0034】
図12(a)は、
図4または
図6に示されているような、ビームB1、B2、B3、またはB0のどれかの走査方向で見たときの、
図10(a)および
図10(b)に示されている、中立の向きのアイアンクラブヘッドの図を示している。この図は、クラブヘッドがこれらのビームで走査された場合に実行できるさまざまな測定の結果も示している。
【0035】
図12(b)は、
図4または
図6に示されているような、ビームF1、F2、F3、またはF0のどれかの走査方向で見たときの、
図10(a)および
図10(b)に示されている、中立の向きのアイアンクラブヘッドの図を示している。この図は、クラブヘッドがこれらのビームで走査された場合に実行できるさまざまな測定の結果も示している。
図11(a)および
図12(a)は、画像の前縁部がヒール側にあるクラブの「ヒールビーム」の図を示している。
図11(a)および
図12(b)は、画像の前縁部がトゥ側にあるクラブの「トゥビーム」図を示している。
【0036】
以下は、
図3から
図12(b)で使用されている参照番号のインデックスである。
1 装置
2 開始静止位置にあるボール
3 意図した飛翔方向を示す線
4 ビーム
5 ビーム交差
6 放射体および検出器を収納するエンクロージャ
7 プレイ表面
8 逆反射体
9 スタンディング面またはマット
10 放射体/レーザー
11 放射体レンズ/レーザーレンズ
12 照準レンズ
13 ボール
14 ビームスプリッタ
15 光電検出器アレイ
16 照準レンズファセット
17 照準レンズビームスクリーン
18 照準レンズ位置決めフランジ
19 クラブヘッド
20 クラブフェイス
21 シャフト
22 ホーゼル
23 ブレード
24 トゥ
25 ヒール
26 ガイドマーク
27 シャフト軸
28 ヒール前縁部
29 トゥ前縁部
30 軸および輪郭の基準点交差部
31 パイロットビーム
【0037】
次に
図3を参照すると、装置は、放射体と受信器を収納するエンクロージャ、プレイ表面、逆反射体ユニット、ならびにユーザ用のスタンディング面またはマットを備えている。図は、クラブで打つ前の、適所に置かれているゴルフボールも示しており、また右から左へのボールの意図した運動方向を表す想像線および鏃を示している。図は、スタンディング面と逆反射体ユニットがボールから遠い位置にある典型的なドライバーショットのレイアウトを示している。これらは、最も近い位置がパットに使用される、より短いクラブについて、ボールにだんだん近づいてゆく位置をとる。「意図した」方向は、通常、ユーザが例えば自分のショットの位置をエンクロージャの平行な縁、プレイ面、またはスタンディング面に合わせることができる、ボールを打つターゲット方向を指す。
【0038】
図4を参照すると、ラベルが付けられたビームは以下の機能および配置構成を有している。前方に面する平行ビームF1およびF2ならびに後方に面する平行ビームB1およびB2は、クラブの移動を検出するために使用される。ビームF3およびB3は、ボール静止位置、インパクトの時間、およびクラブの移動を検出するために使用される。前方に面する平行ビームF4およびF5ならびに後方に面する平行ビームB4およびB5は、ボールの移動を検出するために使用される。ビームはすべて、意図した方向に対して65°に設定される。簡潔に、わかりやすくするために、ビームF1およびB1などの関係するビームの対は、時には、「F1−B1」と表すものとする。ビームF1−B1、F2−B2、F3−B3、F4−B4、およびF5−B5の交差部はすべて、ボールの中心を通過する意図した方向の線上にある。F1−B1およびF2−B2の交差部とF2−B2およびF3−B3の交差部との間の距離は、それぞれ、50mmおよび20mmである。F2−B2の交差部とボールの中心との間の距離は、38mmである。ボールの中心とF4−B4の交差部との間の距離は、41mmである。F4−B4の交差部とF5−B5の交差部との間の距離は、30mmである。
【0039】
図5および
図6は、それぞれ、
図3および
図4に類似しているが、ビーム配置構成の2つのオプションの変更形態を含む。これらのオプションの変更形態のうちの1つは、追加のビーム対F0−B0を備え、クラブの移動はビーム対F0−B0、F1−B1、およびF2−B2だけで検出され、ボール静止位置およびインパクトの時間はビーム対F3−B3によって検出される。他のオプションの変更形態は、ビーム対F6−B6を検出する追加のボールを含む。
【0040】
図3および
図4に示されている配置構成は、コンポーネント数が少なく、また低コストであり、複雑さが低減され、サイズが縮小されるという相対的利点を有し、その性能が運用要件と合致する場合に使用されうる。
図5および
図6に示されている配置構成では、ウッドおよびロングアイアンショットの場合に生じるような、低軌道ショットは、ビーム対F4−B4およびF6−B6において測定され、高軌道ショットは、ビーム対F4−B4およびF5−B5において測定される。ビーム対F6−B6を追加して、ボール飛翔の測定される距離を延ばし、測定精度を高める。ビーム対F5−B5は、この遠い位置まで移動させることはできないが、それは、高軌道ショットがこの距離で110mmの高さのビームの最上位レベルを超えて上昇するからである。
図5および
図6に示されている配置構成において、単一の一組のビームではもはやボールの開始条件およびクラブの移動を検出しない。機能のこの分離が望ましいものと判断されうるいくつかの周囲状況があり、これは以下を含む。ボールによって塞がれる、ビームの部分の損失は、クラブを検出する信頼性および精度に悪影響を及ぼすと判断されうる。ボールの正確な静的位置検出に適した検出器は、クラブの正確な高速度検出に不適であると判断されうる。
【0041】
他のビーム配置構成および寸法に関する変更形態も使用することができる。ボールを通るターゲット線の周りで対称的である平行ビーム群を使用することは本質的でないが、この配置構成をとることで、システムの計算および理解が簡単になり、また1つの理由として類似の条件をターゲット線の両側に適用するので多くの変数が最適化される。一貫したビーム角を使用するステップは、コンポーネントを標準化し、より密集したコンポーネントレイアウトを取りやすくなるという利点を有する。ビーム角は、主に、横方向検出感度と装置サイズの最小化との間の最適な妥協策として選択される。ビームとビームの高さとの間の距離は、主に、検出感度、キャプチャされるショットの範囲、および装置サイズの最小化の間の最適な妥協策として選択される。
【0042】
例示的なシステムは、2つの異なる角度に設定された6本のクラブ測定ビームを備えるけれども、クラブ測定ビームに対する最低限の要件は、少なくとも3または4本のビームおよび少なくとも2つの異なる角度である。しかし、4本のビームが、異なる角度のグループ間でバランスをとり、高レベルの精度を得るために好ましい。ビームの数を増やすことで、クラブがインパクト領域の方へ移動し、インパクト領域内に入るときの特性または変数の変化に関する追加の情報が得られる。これらは、静止しているボールおよびインパクトの時間の測定などの機能も共有することができる。同様に、例示的なシステムは、やはり2つの異なる角度に設定された、4または6本のボール測定ビームを備えるけれども、ボール測定ビームに対する最低限の要件は、2本のビームであり、やはり異なる角度に設定されなければならない。最小数は、ボールの対称性と測定特性または変数の数が減らされたことによりクラブの移動に必要な値より小さい。しかし、より高いレベルの精度は、例示的な配置構成の説明において説明されているように、ボール測定ビームの数を増やすことで達成される。
【0043】
装置は、ショットを放つ前のプレイ表面およびこの表面上に直接、またはこの表面上の支持体またはティー上に位置決めされるボールを含む。プレイ表面には、耐久性のある人工芝またはポリマーマットを敷く。ボールは、ゴルフ練習場表面上で使用されるタイプに類似する、柔軟な、またはつぶせる支持体上に必要な高さで位置決めされる。スタンディング表面またはマットを使用して、ユーザのスタンディング位置の高さをプレイ表面の高さと等しくなるようにする。図には示されていないけれども、装置は、ユーザインターフェースおよび信号をビームからクラブおよびボールの運動特性に変換するように動作可能なプログラムされた電子プロセッサも備え、これは一般的に本明細書の別のところで説明されている方法と一致するものである。
【0044】
次に
図7を参照すると、
図3から
図6に示されているビームのそれぞれは、
図3に示されているタイプの配置構成を含んでいる。レーザーダイオードを含む、放射体は、垂直方向に強く発散し、横方向にあまり強く発散しないビームを放射する。ビームはレンズを通過するが、このレンズはレーザーレンズと称され、ビームをより平坦な形状に修正し、またその強度分布を縁のところで最も弱い分布からその中心で最も弱い分布に修正する。この強度分布は、フォトダイオードアレイのところで最も均一な最終的分布となるように修正されるが、それは、光透過損失がビームの縁に向かったときにより高いからである。
【0045】
平坦化されたビームは、ビームスプリッタによってインターセプトされ、ある割合の部分が透過され、引き続き細長い垂直照準レンズに向かい、平行なコリメートされた形式に修正される。この平行ビームは、クラブまたはボールでブロックまたは部分的にブロックされない限り、この形式でプレイ表面を横断し、逆反射体によって外向きの経路に沿って反射されて戻る。反射ビームは、平行レンズに戻り、そこで、平行なコリメートされた形式から収束形式に変換されるが、これは外向きの経路上での変換とは実質的に反対の操作である。戻りビームは、ビームスプリッタと出会い、そこで、ある割合の部分が反射され、垂直に向き付けられた光電検出器アレイ上に像を形成し、これは図に示されているように適宜反転されうる。ビームスプリッタは、垂直軸の周りで、直交から外に出て戻るビーム経路へわずかに離れるように回転され、検出器アレイは、照準レンズおよび外に出るビーム経路からわずかにオフセットされた位置に置かれる。したがって、主平行ビームを通過する物体は、比例するシルエット像を検出器アレイ上に形成する。コンポーネントは、主平行ビームが実質的に1mmの厚さおよび110mmの高さを有するように配置構成される。
【0046】
フレネルファセットの垂直アレイを備える、照準レンズは、レーザーおよびレーザーレンズからの分散光線を、プレイ表面を横断する出て行く動作ビーム内の平行なコリメートされた形式に導くタスクと、戻りビームを最終的に光電検出器アレイ上に像を形成する収束光線に集束するタスクを実行する。照準レンズは、ポリマー射出成形で生産され、その断面が
図8に図式的に示されている。ファセットは、鉛直高さ約1mm、幅約2mmである。これらは、水平断面で見たときに実質的に平坦であるが、垂直断面で見たときには湾曲している。それぞれのファセットは、通過するビームの要素を必要な平行方向に屈折する適切な角度に設定される。成形物は、ビームの角度でファセットのアレイにより形成され、これにより、成形物をエンクロージャ内に容易にかつ正確に装着することができ、その本体部および配置フランジはエンクロージャの主軸に沿って向き付けられる。成形物は、ファセットに対向する表面上に一体成形されたスクリーンも備える。これらのスクリーンは、成型物の光学部分の全高にわたって広がり、動作ビームから偏向するために使用される角度を付けた表面を備え、その幅の増大は説明されている例では1mmである選択されたビーム厚さに設定されたスクリーンの間の距離より大きい。こうして、平行ビームは、その外向きの経路上で幅1mmのビームにトリムされ、ここでもまた、戻る際に1mmにトリムされる。これは、ビーム経路に沿ったさまざまな縁における回折、また逆反射体で横方向に生じる他の光学的拡散効果による発散を取り除くのに役立つ。
【0047】
逆反射体は、ポリマー射出成形物も備えるが、この場合、単一の成形物は、すべての前方に面するビームを反射するために使用され、第2の成形物は、すべての後方に面するビームを反射するために使用される。典型的には、逆反射体表面は、光を発光源の方へ反射して返す光学的コーナーキューブの密集アレイを備える。コーナーキューブは、互いに対して90度の3つの反射面を有する。逆反射体の一般的な向きは、単一の視点からはあまり重要でないが、強度レベルに影響を与える可能性があり、衝突ビームを高い精度で同じ経路に沿って返す。
【0048】
光電検出器は、フォトダイオード、CCD(電荷結合素子)、およびCMOS(相補型金属酸膜半導体)リニアアレイを含むさまざまなタイプのデバイスを備えることができ、それぞれ垂直に位置合わせされたピクセルの単一配置構成を備える。検出器アレイのタイプの選択は、通常、コストと垂直および水平方向の解像度との間の妥協を含む。
【0049】
逆反射により、ビーム強度が比例して大きく減少し、これは、後部コーティングの使用、またはビームと逆反射体の面への法線との間の角度を最小にすることによって最小化することができる。未コーティングの逆反射体は、アルミニウムコーティングなどの、一般的なある種の安価なコーティングに比べて潜在的反射効率が高いが、方向角度および後面上の汚れまたは凝縮物による汚染の影響を受けやすい。銀コーティングは、効率はよいが、高価である。
【0050】
逆反射からのビーム強度の低減は、より高いレーザー出力を必要とし、これはさらに、レーザー強度レベルを目に安全な限度内に維持するために特別な対策を必要とする可能性がある。このような特別な対策の以下のうちの1つまたは組み合わせが、例示的な実施形態において使用される。間欠的に給電されるレーザービームを使用することができ、これは、連続的に給電される場合と比べてスイッチオンしたときに目に安全な強度レベルをかなり高められる。一般的な低コストの大量生産のレーザーダイオードの範囲では、波長の選択があり、より高い波長のものは、目に対する安全レベルが高く有利である。例えば、約980nmの近赤外線の波長のものは、約785nm以下の可視波長のものに比べて著しく高い強度レベルでも安全に使用することができる。露出外部ビームのレーザー強度も、例示的なシステムでは、レーザーの方へ透過されて戻る、出て行く光の割合に比べて戻ってくる光の大きな割合部分をフォトダイオードまたはセンサに反射する不均一なビームスプリッタを使用することによって高められうる。フォトダイオードにおける強度が、支配因子である場合、これにより、均一なビームスプリッタの場合に生じるものに比べて露出外部ビーム内の強度を低くすることができるが、より高い出力のレーザーを必要とする。フォトダイオードでの強度が支配因子でない場合、これは、通常、ほぼ等しい量の光を透過し、反射する均一なビームスプリッタを使用する方がよい。
【0051】
ビームの瞬間的スイッチングは、第1の一組のクラブビームのすぐ上流にパイロットビームを備えることによって達成されうる。パイロットビームがクラブで遮られると、レーザービームは、クラブおよびボールの移動をキャプチャするのに十分な短い時間の間だけ、スイッチオンされる。パイロットビームは、例えば、連続動作を安全に行わせるのに十分に低い出力の2つのLEDまたはレーザー点ビームを備えることができる。例示的な配置構成では、パイロットビームは、第1の2つのクラブビームに平行な、または平行に近い状態に配設され、逆反射体によって戻される。点ビームは、おおよそ、クラブのバンドビーム(banded beams)の中間位置に相当するレベルである。戻される信号は、単一の光センサによって検出される。パイロットビームは、フレネルレンズまたはビームスプリッタを通過しない。平行に近いパイロットビームを使用して、逆反射体に向かうようにパイロットビームを導き、クラブおよびボールの測定ビームに必要な以上に大きいサイズの逆反射体を使用しなくて済むようにすることができる。平行に近いパイロットビームは、クラブの測定領域内のクラブビームの上流にあるように配置構成される。このタイプのパイロットビームは、
図3および
図5に破線で示されている。レーザー点ビームが、内蔵フォトダイオードフィードバック制御機能を備えるタイプのものである場合、このフォトダイオードは、戻り信号を供給するためにも使用することができる。LEDまたはレーザー点ビームは、フレネルレンズのアレイとほぼ一致する、エンクロージャの前部に装着されうる。これらは、ケーシングの必要な長さを増やすことはないが、それは、第1の2つのクラブビームの角度によりそのフレネルレンズがエンクロージャの縁から十分に離して位置決めされるからである。パイロットビームを使用することには、2つのさらなる利点がある。対処しないとコンポーネントに不要な熱膨張が生じ、エンクロージャ内の空気対流を光学的に歪ませることになる、連続動作するクラブおよびボールの測定ビームからの不要な熱を最小限に抑えることができる。また、電力使用を最小にするが、これはデバイスが電池から給電される場合に重要である。
【0052】
上述のように、レーザーダイオードの放射体は、発散特性、コスト、封止された装置エンクロージャの外部に完全に安全なビームをもたらし、安全上の考慮事項および規制に適合する最大出力を含む基準に基づき選択される。レーザー強度は、ビームを供給するためのレーザーレンズの特性を照準レンズのところの開口に一致する垂直および水平発散に一致させることによって高めることができる。
【0053】
それぞれの個別の装置は、ビーム検出精度を最適化するため製造組み立ての後に電子的較正を受ける。これは、例えば、慎重に制御された条件の下で、適切に整形された精度ターゲットを組み立てられた装置のビームに通過させ、理論上正しい値と正規化された実際の検出器ピクセル読み取り値との間の差を記録する手段によって実行されうる。次いで、装置のプロセッサ内のソフトウェアには較正テスト結果によりそれぞれのピクセルについて検出された読み取り値を補正するこれらの差に関係するデータが供給される。この較正プロセスにより、ビームシステムの最終組み立てまでの製造精度に関する要件が緩和され、また完成形態のビームシステムの全体的精度が高められる。
【0054】
適宜、装置は、例えば痛手を受けた後または長期使用の後に装置が精度を失った場合に使用することが可能なような、ユーザによる装置の較正を可能にする手段を備えることもできる。このような較正は、例えば、ユーザによって起動されたときに、いずれかの方向のターゲット方向にほぼ沿ってビームを通して従来のドライバーショットによって生じるような高速度低軌道のゴルフボールをヒットすることによってピクセル値の較正を行うことを可能にするソフトウェア機能を装置に備えることによって実行されうる。すべてのビームを通してのヒットを容易にするティー位置を使用することができる。実質的に真っ直ぐな一定速度のドライバーショットと組み合わせた、ゴルフボールの知られている対称的形状は、知られている精度ターゲットをもたらし、そこでは、理論上正しいピクセル値を予測し、正規化された実際の検出器ピクセル読み取り値と比較し、装置のプロセッサによる自動較正を可能にすることができる。較正はショットが高速で真っ直ぐであることだけに基づくので、較正テストのショットが正確な方位角または仰角でヒットされる必要はない。
【0055】
[ボール速度ベクトルの測定]
ボール速度ベクトルを測定するための一般的方法は、第一にボールがそれぞれのビームを通過するときに、ボール上の基準位置を追跡することによってビームを通るボールの軌道を決定することである。次いで、ボール速度ベクトルをその情報の解析結果から計算する。自由飛翔しているときのボールの三次元対称性により、ボールの中心を基準位置として使用することができる。この方法の第1の段階は、その事象のタイムスタンプとともに、それぞれのビームの中心を通過するときの基準点の高さを決定するステップを伴う。この段階では、ビーム内の基準点の横方向位置は知られていない。第2の段階では、基準点のこれらの決定された高さ、タイムスタンプ、知られているビームの幾何学的形状、およびボールが一定速度で実質的に真っ直ぐな線で移動するという知識を使用して、三次元内のボールの直線上の移動方向および速度を決定するが、ただ1つの軌道および速度がこれらの条件に一致するからである。計算は、装置のプロセッサによって決定される。第3の段階では、ボール速度ベクトルの始点は、ボールの自由飛翔の開始に対応するタイムスタンプを推定することによって決定される。
【0056】
中心がそれぞれのビームを通過するときのボールの中心の高さおよび対応するタイムスタンプを決定するためにさまざまな画像処理技術が使用されうる。1つのそのような技術を次に説明する。それぞれのビームにおいて、ボールがビームを通過するときに検出器アレイが高速で一連の走査を実行し、それぞれの走査が検出器アレイのそれぞれのピクセルにおける測定値を生成する。走査データは、ビームが遮られていない場合にレーザーダイオードがスイッチオフされることとスイッチオンされることとの間で確定された較正値を使用してそれぞれのピクセルについてショットの前に正規化される。正規化されたデータは、従来の方法を使用して平滑化される。画像解像度は、走査周波数を高くし、フォトダイオードアレイ内のピクセルの数を増やすことによって改善され、またその逆も言える。これらの変数を選択する際の重要な基準として、コンポーネントのコストが挙げられる。例示的なシステムでは、120kHz前後で走査される16ピクセルフォトダイオードアレイは、満足のゆくものであることが判明しており、処理手段のコストも含めて、比較的低い単位コストで生産することができる。
【0057】
それぞれの走査は、ボールが関連する走査時間にビームを遮った仕方に対応して画像を生成する。走査データからボール中心を決定するためにさまざまな画像処理方法が使用されうる。例えば、プロセッサは、特定の装置配置構成に対する垂直軸または水平軸に沿って解像度が大きいかどうかなどの要因に応じて、それぞれの走査に対するピクセル値またはそれぞれのピクセルに対する走査値のいずれかに、最良適合ガウス曲線などのタイプの対称的な曲線を当てはめることができる。次にこれらの曲線のそれぞれの中心は、微分によって見つけられ、ここでもまた最良適合ガウス曲線などのタイプの、最終的な対称的曲線が、それらの中心に当てはめられる。この最終曲線の中心は、ここでもまた、微分によって見つけられ、これは、ビームの厚さの中点を通過するボール中心基準点に対応する。それぞれのビームについて、このボール中心基準点に対応する、タイムスタンプおよび鉛直高さが記録される。この技術により、ボールを検出するすべての走査で集められたすべての値を利用してボール中心を最終的に正確に突き止めることができる。ボールの頂部のわずかな部分が高すぎてビームによってキャプチャできない場合には適切な調整を行う。適切に適用された場合、この測定技術の対称性により、ビームを直交してまたは斜めに通過するボールに関して等しく正確な結果が得られる。
【0058】
ボール速度ベクトルの始点は、ボールがクラブフェイスから離れ、自由飛翔が開始する地点に対してタイムスタンプを推定することによって推測される。このタイムスタンプは、ボールとクラブフェイスとの間の接触の持続時間の推定値をインパクトの測定された初期時間に加えることによって推定される。インパクトの初期時間は、ティーアップされた位置または静止位置にあるボールによって遮られるビームF3−B3のピクセル上の信号の第1の著しい変化に対応するタイムスタンプによって決定される。ボールとクラブフェイスとの間の接触の持続時間は、すべての通常のゴルフショットに対して0.45msに近く、ボールのタイプと条件およびクラブヘッドのロフトおよび速度によりわずかに変化する。
【0059】
[初期のボール位置およびインパクトの時間の測定]
本発明の例示的な実施形態において、ボールをビームに関して理想的な対称位置にほぼ位置決めする柔軟なマウントまたはティー上にボールを載せる。次いで、初期静止ボール位置を、地面またはティーアップ位置にあるボールによって部分的に塞がれるF3−B3ビームによって測定する。プロセッサは、ボールのそれぞれの可能な静止位置に対して生じるピクセル閉塞の一意的なパターンを識別するように較正される。この方法は、いくつかの理由からビームに関して固定された高精度マウントを使用するより好ましい場合がある。1つの理由は、ティーまたはマウントが、クラブからのインパクトに耐えるよう柔軟であるか、またはつぶれるように配置構成され、実用範囲で使用される耐久性のあるゴム製ティーのタイプで典型的には生じるような、使用による部分的変形または摩耗が予測されうるというものである。別の理由は、剛体マウントは、問題のある衝撃波を装置に送るか、または打たれたときに携帯型プレイ表面または装置を移動させる可能性があるという点である。
【0060】
F3−B3ビームは、上流のクラブビームによる入ってくるクラブの検出後に、これらのビームの出力信号の初期変化と一致する、インパクトの正確な時間を測定するためにも使用される。ピクセル値の濃淡階調の測定結果を使用する、従来の信号処理方法を使用して、初期移動の正確な時間を補間し、検出器アレイの走査周波数よりかなり細かい解像度の精度を実現する。
【0061】
F3−B3ビームは、ボールが正しく載せられているか、またはティーアップされているかをユーザにアドバイスするためにも使用される。例えば、ユーザは、損傷したティーからの位置合わせのずれまたはプレイ表面の置き違えなどの理由で、ボールがビームの実行可能な検出領域の外に配置された場合に適切な視覚的または聴覚的手段によって警告を受けるものとしてよい。
【0062】
[クラブ速度、クラブ方向、クラブタイプ、およびフェイス方向角度の決定]
クラブヘッドの通過が、クラブビームの1つによって走査されたときに、最適な直接的結果は、ビームの斜角で見たときのクラブヘッドの二次元シルエットタイプの画像である。クラブヘッドのこのような画像では、特に、クラブヘッドの不規則に湾曲した形状およびこれらが提示されうる向きの範囲により検出および測定においてさまざまな困難に遭遇する。ウッドクラブは、ヒラメのような面を有し、アイアンクラブは、完全に平坦な面を有し、そのすべてがクラブヘッドの本体部から明確に区別されるが、フェイス方向またはフェイス方向角度は、クラブフェイスおよび本体部の湾曲する輪郭がさまざまに変わるので輪郭シルエットの二次元斜位像では容易に検出できない。これは、
図9(a)および9(b)に示されている典型的なドライバークラブを使用し、クラブヘッドが中立の向きにあっても、それぞれヒール前縁部とトゥ前縁部の明確な図により、評価することができる。「中立の位置」という言い回しは、動的ロフト角が静的ロフト角に等しく、ロール角はゼロ度である、つまり、クラブフェイスおよびクラブフェイスガイドラインが水平に向き付けられた状態で、クラブが向き付けられることを指す。フェイス方向角度は、像が中立の向きから離れる方向に変化しうる場合には確認することがなおいっそう難しくなる。
図10(a)に示されているアイアンクラブのトゥ前縁部の場合、クラブヘッドの輪郭がドライバーまたはウッドクラブの場合に比べて湾曲が少ないため、フェイス方向角度はある程度区別できる。しかし、明らかにされる角度は、クラブヘッドの垂直動的ロフト角およびロール角は実際のショットで変化するので変化し、フェイス方向角度は依然確認が困難である。さらに、アイアンクラブヘッドの特定の向きについては、特に低いロフトを持つ長いアイアンでは、前縁部の大部分がホーゼルで隠される可能性がある。
図10(b)に示されているアイアンクラブのヒール前縁部の場合、クラブヘッドの後部およびホーゼルの下側領域は目に見える縁を完全に隠すので、フェイス方向角度は全く区別することができない。固定された基準点を知られているクラブヘッド特性と直接的に比較できる画像または測定結果に求めようとする際にも同様の困難な状況が現れる。
【0063】
必要な運動特性を正確に測定または決定すべき場合にこれらの問題の克服することが必要である。本発明は、これらの困難を克服し、この作業をどのように達成するかの詳細な例を以下に示す。方法は、説明を助けるために複数のステップにわけてまとめられている。これらのステップは、必ずしも、時間順または示されているグループ毎に実行される必要はない。
【0064】
ステップ1:クラブヘッドを6本のクラブビームのそれぞれにおいて走査する。
ステップ2:走査されたデータを処理して、便宜上「キーパラメータ」と称する定義済みの関連データにまとめる。
ステップ3:これらのキーパラメータのうちのいくつかを使用して、クラブヘッドに関する基準点を決定する。基準点を追跡し、クラブヘッドがビームを通って進行しクラブヘッドの方向および速度プロファイルに対する値を与える。
ステップ4:方向および速度値を使用してキーパラメータを正規化する。
ステップ5:すでに決定されているボール運動特性を、正規化された、また正規化されていない、クラブキーパラメータと一緒に使用してクラブタイプおよびフェイス方向角度を決定する。
ステップ6:前のステップから得られたデータを、タイムスタンプおよびビーム幾何学的形状に関する知識とともに使用して、クラブヘッドがビームを通過し、インパクトの瞬間まで進むときのクラブ方向、クラブ速度、およびフェイス方向角度に対する値を精密化し、ファイナライズする。
ステップ7:クラブフェイスの中心の位置は、記憶されているか、または他の何らかの方法で利用可能な、フェイス方向に対する決定されたクラブタイプおよびアカウンティングに固有の情報を使用して、特定のキーパラメータに関して識別される。
ステップ8:すでに決定されているボール情報を、前のステップから決定されたクラブ情報と一緒に使用して、本明細書の前の方で開示されている方法を使用してスピン特性を決定する。
【0065】
次に、これらのステップを、
図3および
図4に示されている配置構成についてさらに詳しく説明する。
【0066】
ステップ1:クラブヘッドを6本のクラブビームF1、B1、F2、B2、F3、およびB3のそれぞれにおいて走査する。信号を、最初に、ボール方向の測定について前の方で説明されているのと似た方法で規定通りに処理するが、これは正規化および平滑化を含む。
【0067】
ステップ2:走査されたデータをさらに処理して、定義済みキーパラメータにする。
【0068】
このステップの第1の変更形態において、キーパラメータは、シャフト軸の位置および角度、ならびに
図11(a)から
図12(b)にそれぞれ「A」および「B」として示されている、画像の長さおよび高さ、ならびに「C」として示されている、前縁部上の前点の高さなどのさまざまな他の比較的単純に定義されている測定からの選択を含む。ウッドおよびトゥビームアイアンでは、これらは、
図11(a)、11(b)および
図12(b)で「D」および「E」として示されている、クラブヘッドの輪郭とホーゼルとの交差部も含む。ヒールビームアイアンでは、これらは、それに加えて、
図12(b)において「F」および「G」として示されている、ブレードとホーゼルとの間の屈曲部の最低点の垂直および水平の相対的位置を含む。
【0069】
第2の変更形態では、キーパラメータは、ここでもまた、シャフト軸の位置および角度を含む。これらは、走査結果の画像処理によって得られる、クラブヘッドおよびホーゼルのシルエットタイプの輪郭の全部または一部も含む。さまざまな二次的な測定が、第1の変更形態において述べられているものと類似する測定結果を含む輪郭、およびトゥビームウッドおよびアイアンの前縁部、ヒールビームウッドの前縁部、およびヒールビームアイアンの頂部ブレード縁に最良適合された線の角度から決定される。
【0070】
図12(a)からわかるように、ヒールビームアイアン画像のヒール側輪郭上に見える最大、最小、または基準点はない。代わりに、シャフト軸の延長とクラブの下側輪郭との交差部が、終点または基準点として使用される。この交差部は、クラブヘッドの平坦な面のヒール側縁の近くに有利に配置される。
【0071】
シャフト軸角は、2つの理由から特に重要な測定値である。第1に、これは比較的高い精度で測定すべきポテンシャルを有することである。これは、シャフト軸が横方向にそこから等距離にあるシャフト縁およびホーゼル縁で制約される直線を含むため生じる。シャフト軸は、さらに典型的には垂直に近く、連続する走査を進めているときに比較的多数の検出器ピクセルを横断する。これらの要因は、高い精度測定を行いやすくする。このパラメータの重要さに対する第2の理由は、シャフト軸角が、クラブのフェイス方向角度、垂直動的ロフト角、ロール角、およびライ角に密接に、または直接関係するという点である。装置は、シャフトおよびホーゼルの十分な部分が関連するビームを通過することが確実になるように配置構成される。高いティーアップショットでは、装置を、ビームマトリックスの下側領域が高くなってクラブの下側領域と一致するように高くすることができ、これは、ビームマトリックスの上側領域内のシャフトおよびホーゼルの必要な部分をキャプチャするのに十分である。
【0072】
ステップ3:いくつかのキーパラメータを使用して、クラブヘッドがビームを通って進行するときに追跡される、クラブヘッドに関する、基準点を決定する。キーパラメータは、クラブヘッドの最高または最低検出点に対応する水平線とシャフト軸、またはクラブヘッド上の最高および最低検出点の中点に対応する水平線とシャフト軸との交差などの、シャフト軸に沿ったシャフト軸と都合のよいマーカーとのなす角度である。その結果得られる交差点は、それぞれのビームを横断するときに特定のタイムスタンプを定義し、これはビームの厚さの中心のところで測定される。ビームのそれぞれの対について測定された、シャフト軸角度および配置を組み合わせたときに、これらは、ビーム対F1−B1、F2−B2、およびF3−B3のそれぞれに対する三次元空間内のシャフト角を定義する。それぞれのシャフト軸対に対する交差点とタイムスタンプの平均などの適切な統計的尺度を、三次元シャフト軸に対する基準点およびタイムスタンプとして使用する。
【0073】
ビーム対F1−B1、F2−B2、およびF3−B3のところの追跡される基準点に対する位置およびタイムスタンプを使用して、F1−B1とF2−B2との間、およびF2−B2とF3−B3との間を移動する基準点の平均方向および速度を決定する。これらの方向および速度は、これら2つの距離にわたって一定のままであるか、または方向もしくは速度の変化を示しうる。変化が生じた場合、これらは、2つの距離にわたって徐々に生じると仮定することができ、プロセッサが、3点を通る滑らかな三次元経路および速度プロファイルを計算する。これにより、クラブヘッドの速度および移動方向を6本のビームのそれぞれにおいて個別に推定することができる。
【0074】
典型的なプロ級のショットでは予想されないけれども、基準点が6本すべてのビームを通過する前にインパクトが生じる場合、インパクトが生じる距離にわたって速度調整が必要である。この速度調整は、どのビームがインパクトの後に遮られたかに応じて、クラブのトゥまたはヒール側により近い位置にあるものに合わせて基準点が再定義される場合に回避されうる。あるいは、元の基準点を保持し、必要な速度調整を行うこともできる。この場合、クラブヘッドおよびその上の点は、約0.45msのインパクト持続時間にわたって実質的に一定のインパクト前速度から実質的に一定のインパクト後速度に直線的に減速すると想定できる。インパクト前速度およびインパクト後速度は、完全にインパクト前または完全にインパクト後であるビームの通り道にわたってクラブ上の区別可能な特徴を計時することによって推定されうる。
【0075】
ステップ4:前のステップで決定されたクラブヘッドの方向および速度を使用してキーパラメータを正規化する。クラブヘッドをビームを通過するとともに走査する場合、水平方向の特徴の見かけの長さは、クラブヘッドの速度が速くなると減少し、またその逆も言える。また、これらは、クラブヘッドの移動方向が回転のいずれかの方向で、ビームの角度からさらに離れる角度を付けられると減少し、その逆も言える。正規化プロセスでは、検出された方向および速度を使用してこれらの変化を補正し、水平方向の特徴の長さを一貫した標準的な方向および速度であったならそうなるであろう長さに変換する。典型的には、標準的な方向は、意図した方向またはターゲット方向として選択される。
【0076】
ステップ5:正規化された、および正規化されていないキーパラメータを、特定の他の利用可能なデータと一緒に使用してフェイス方向角度およびクラブタイプを決定する。決定は、本明細書の前の方で説明されている、ボールおよびクラブの運動特性に関する潜在的に重複するか、または過剰な情報を、その混合された精度レベルとともに使用し、その際に、入力の数を制限せず入力をいくつでも受け入れることができ、すべての入力およびその相互関係を考慮して結果を識別するように学習される、ニューラルネットワークタイプの人工知能システムを使用して、実行されうる。これは、潜在的に過剰な情報なしで直接的測定との関係を適用することによって達成されうるかなり高い精度レベルで結果を予測する。
【0077】
ニューラルネットワークまたは人工知能システムへの入力情報は、主にボール方向角度を含む知られているボール情報、さらにボール速度および選択されたタイプおよび条件を含む。また、それぞれのビームにおける関連する正規化された、また正規化されていないキーパラメータ、前のステップで決定されたそれぞれのビームにおけるクラブの方向および速度からの選択を含む、知られているクラブ情報も含む。出力予測は、クラブタイプおよびそれぞれのビームまたはそれぞれのビーム群におけるフェイス方向角度である。ネットワークは、クラブヘッドの典型的な範囲の三次元走査画像を操作する自動化ソフトウェアプログラムを使用して学習させることができ、したがって、実際のクラブヘッド入力によるフィールドトレーニングに伴うコストの大半を節約できる。自動化ソフトウェア学習入力は、その理論値に関する統計的変動を与えられ、実際の測定であれば生じることが予想されるものを複製することができる。これにより、最終的な実働ネットワーク側で実際の測定において生じる標準誤差に対処することができる。
【0078】
最終的な実働ネットワークにおいて、クラブタイプが、予測される出力に含まれる。また、システムは、これが予測するように動作可能であるすべてのクラブタイプに対する完全な一組の必要な特性により事前プログラムされる。自動クラブタイプ識別は、クラブタイプまたは特性のユーザによる手動入力など、他の方法に勝るさまざまな利点を備えている。ユーザにとっては、特に異なるクラブが相次いで使われる場合に便利であり、情報を入力する際のユーザの誤りを回避し、システムの正確な動作に対するユーザの信頼を高める可能性があり、関連する情報または取扱説明書がユーザに知られていない、また利用可能でないという潜在的問題を克服する。
【0079】
あるいは、また上で述べたように、フェイス方向角度は、すでに説明されている経験的方法を使用して推定することができる。
【0080】
他の方法も、クラブタイプおよびタイプ関係特性を決定するために適宜使用することができる。例として、ユーザは、関連するクラブ特性の詳細を直接入力することができる、ユーザは、クラブの製造元およびモデルを入力することができ、システムは、事前プログラムされたメモリから引き出した関連する特性、または他の方法で利用可能な一組のそのような特性を適用する、システムは、プロセッサがインタラクティブコーチングシステムの制御の下にある場合およびユーザが特定のタイプのクラブでプレイするように指示されている場合にプレイに使用するクラブのタイプに関する情報を得ることができ、この情報はシステムで利用できるようにもされる、システムは、システムにすでに知られているユーザの特定のクラブで特定のタイプのショットをプレイすると想定することができ、そのユーザに対するログをシステムのメモリ内に保持する、またはシステムは、前のショットと同じクラブでショットをプレイすると想定することができ、ショットは類似のタイプのものであると判定され、前のショットの短い定義済み期間内に行われる、といったことが挙げられる。クラブタイプは、キーパラメータ入力を使用するルールベースのファジー論理システムなどの、より簡素化されたタイプのアルゴリズムまたは人工知能システムを使用して予測することもできる。
【0081】
ステップ6:6本のクラブビームのそれぞれにおいてクラブタイプおよびフェイス方向を伴う前のステップから得られた情報を、前のステップから得られたデータならびにタイムスタンプおよびビーム幾何学的形状に関する知識とともに使用して、クラブヘッドが6本のクラブビームを通過し、インパクトの瞬間まで進むときのクラブ方向およびクラブ速度プロファイルに対する値を精密化し、ファイナライズする。前のステップで、クラブ方向およびクラブ速度に対する平均などの統計的尺度をビームの対にわたって取った。現在のステップは、インパクトの瞬間までのクラブ方向、クラブ速度、およびフェイス方向の精密化された補間を含む。
【0082】
ステップ7:システムは、クラブヘッドに関する、クラブフェイスの中心の位置を識別する。これを達成するために、システムは、クラブフェイスの中心を特定のキーパラメータにマッピングする特定の記憶されている情報を備え、システムが識別するように動作可能であるすべてのクラブタイプに対するフェイス方向を明らかにする。この情報は、前のステップで確定されたすでに決定されているクラブタイプ、キーパラメータ、およびフェイス方向を使用してインパクト時のクラブフェイスの中心を決定するために使用される。この技術では、さまざまなキーパラメータを使用することができる。一例では、クラブタイプに特有の記憶されている情報は、決定されたクラブヘッドの基準点に関して中心を識別するために使用され、決定されたフェイス方向を適切に明らかにする。別の例では、クラブタイプに特有の記憶されている情報は、長さおよび高さの決定されたキーパラメータに関して水平および垂直座標を識別するために使用され、ここでもまた、決定されたフェイス方向を適切に明らかにする。
【0083】
ステップ8:インパクト点での決定されたクラブの運動特性、インパクトの後の決定されたボールの運動特性、およびクラブフェイスの中心に関する、ボールとクラブフェイスとの間の識別された接点は、本明細書の前の方で一般的に開示されているように、角スピンおよびオフセンタースピンの成分を含む、さまざまなスピン特性を決定するために使用される。最初のインパクトの瞬間における、クラブフェイスおよびクラブフェイスの中心の位置は、前のステップから知られている。最初のインパクトの瞬間におけるボールの位置は、前の方で説明されているように、ビームF3−B3から受け取ったデータから知られている。ボールとクラブフェイスとの間の初期接触は、半径が知られているボールの球状に湾曲している表面の接線方向に生じる。
【0084】
[解析およびインタラクティブアプリケーション]
本発明では、説明されているように、ボール方向、ボール速度、およびその結果の全体的スピン速度の垂直および水平方向成分を決定し、そのすべてが、与えられたボールタイプおよび条件に対するボールの軌道を完全に記述するうえで十分である。
【0085】
これらの運動特性を決定する際に、この方法は、本質的に、ボールを軌道上に発射する仕方に直ちに至る事象および原因を調査して、識別し、この点で、この調査に関わる局面を含まない従来技術の方法とは異なる。本発明の方法は、説明されているように、結果として生じる、角スピンの垂直および水平成分、結果として生じる、オフセンタースピンの垂直および水平成分、クラブのタイプおよび特性、クラブフェイス上の接点の水平および垂直成分、インパクトに至るクラブヘッド速度の履歴、インパクトに至るクラブヘッド経路の履歴、ならびにシャフトの下側領域内の垂直動的ロフト角、水平フェイス角、ロール角、および動的ライ角の成分履歴を含む、インパクトに至るクラブフェイス角の履歴も測定または決定する。
【0086】
本発明のこの特徴は、測定され、決定された情報を人間が直接解釈することによる、または装置のプロセッサのソフトウェア内の自動解釈機能によるショットの解析のためにすぐに使える基盤を有利に実現する。本発明のこの特徴は、装置との練習セッション時にインタラクティブコーチングソフトウェアを駆動するためのすぐに使える基盤も有利に実現する。
【0087】
本発明は、例として取りあげられている本明細書で説明されている具体的詳細に限定されず、また付属の請求項で定められているような本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな修正形態および変更形態が可能であることは理解されるであろう。