(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ここでは、実施例に係る車両として、自動二輪車を例に挙げて説明する。なお、以下の説明で、前後および左右とは自動二輪車の走行方向を基準としている。
【0018】
1.自動二輪車の概略構成
図1は、本実施例に係る操縦技量情報提示装置を備えた自動二輪車の概略構成を示す側面図である。自動二輪車1はメインフレーム2を備えている。メインフレーム2の前端上部にはヘッドパイプ3が設けられている。ヘッドパイプ3にはステアリングシャフト4が挿通されている。ステアリングシャフト4の上端部にはハンドル5が連結されている。ハンドル5の右側には、ブレーキレバー(図示省略)が配置されている。
【0019】
ステアリングシャフト4の下端部には一対の伸縮可能なフロントフォーク7が連結されている。これより、ハンドル5の回転操作によってフロントフォーク7が揺動する。フロントフォーク7の下端部には前輪8が回転可能に取り付けられている。フロントフォーク7の伸縮により前輪8の振動が吸収される。また、フロントフォーク7の下端部にはブレーキ10が取り付けられ、ブレーキレバーの操作により前輪8の回転を制動する。前輪8の上部には、前輪カバー11がフロントフォーク7に固定されている。
【0020】
メインフレーム2の上部には、燃料タンク15とシート16とが前後に並んで保持されている。燃料タンク15の下方にあたる位置には、エンジン17と変速機18とがメインフレーム2に保持されている。変速機18は、エンジン17で発生した動力を出力するドライブ軸19を備えている。ドライブ軸19にはドライブスプロケット20が連結されている。
【0021】
メインフレーム2の下部後側にはスイングアーム21が揺動可能に支持されている。スイングアーム21の後端部には、ドリブンスプロケット22および後輪23が回転可能に支持されている。ドライブスプロケット20とドリブンスプロケット22との間には、チェーン24が懸架されている。エンジン17で発生した動力は、変速機18、ドライブ軸19、ドライブスプロケット20、チェーン24およびドリブンスプロケット22を介して後輪23に伝達される。また、シート16の下部には、自動二輪車1の各部の動作を制御するECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)25が設けられている。
【0022】
また、自動二輪車1は、車両の走行状態を検出する状態量検出部31を備える。状態量検出部31は、ジャイロスコープ33と、ステアリング角度センサ34と、ストロークセンサ35と、前輪8に設けられた車輪速センサ36、自動二輪車1の位置を測定するGPS(Global Positioning System)37とを有する。
【0023】
ジャイロスコープ33は、燃料タンク15上に配置されている。ジャイロスコープ33は自動二輪車1のヨー、ロール、およびピッチの3軸方向の角速度および角度を検出する。すなわち、自動二輪車1のヨーレート、ヨー角度、ロールレート、ロール角度、ピッチレート、およびピッチ角度を検出する。ステアリング角度センサ34は、フロントフォーク7の上端に設けられ、ステアリングシャフト4の回転角であるステアリング角度を検出する。
【0024】
ストロークセンサ35は、フロントフォーク7に設けられ、フロントフォーク7の伸縮量を検出する。さらにこの伸縮量を基にフロントフォーク7のキャスタ角を算出する。フロントフォーク7が油圧式のサスペンションで伸縮する場合は、ストロークセンサ7は、サスペンションの油圧を検出することでキャスタ角を算出してもよい。車輪速センサ36は、前輪8の回転速度を検出する。さらに、この回転速度を基に自動二輪車1の車速を算出する。GPS37は燃料タンク15の前方に配置されており、自動二輪車1の位置情報を検出する。
【0025】
カーブを曲がる際に、操縦者が自動二輪車1のハンドル5を操舵すると、自動二輪車1のヨー角度、ヨーレートおよびステアリング角度が変化する。また、操縦者が自動二輪車1の車体をカーブの中心方向に傾けると、自動二輪車1のロール角度およびロールレートが変化する。また、カーブに入る前またはカーブ走行中に操縦者がブレーキレバーを操作して自動二輪車1が減速すると、フロントフォーク7が縮む。このフロントフォーク7の縮みにより、自動二輪車1のピッチ角度、ピッチレート、およびキャスタ角度が変化する。
【0026】
自動二輪車1のこれら、ヨー角度、ヨーレート、ロール角度、ロールレート、ピッチ角度、ピッチレート、キャスタ角度、ステアリング角度、車速および位置情報を車両状態量と呼ぶ。
【0027】
自動二輪車1は他にも、道路情報や操縦技量の評価結果が表示されるモニタ41と、自動二輪車1とヘルメット間で情報の伝達を行う無線通信機40と、操縦技量の評価結果を振動で伝達する振動子43を備える。モニタ41はハンドル5の前方に設置され、振動子43はシート16の内部に埋め込まれている。モニタ41の周辺部にはキ―入力できるボタンで構成される入力部26が配置されている。操縦者は入力部26からモニタ41に表示される映像情報を切り替えることができる。
【0028】
また、操縦者が装着するヘルメット38には、自動二輪車1とヘルメット間で情報の伝達を行う無線通信機39と、無線通信により伝達される音情報を出力するスピーカ42を有する。モニタ41の代わりにスマートフォンなどの携帯端末を自動二輪車1に設置してもよいし、スピーカ42の代わりにヘッドフォンが配置されていてもよい。自動二輪車1からスマートフォンへの情報伝達は無線通信機40から出力される。
【0029】
2.操縦技量情報提示装置の構成
次に
図1および
図2を参照しながら操縦技量情報提示装置30の構成を説明する。
図2は、操縦技量情報提示装置の構成を示す機能ブロック図である。操縦技量情報提示装置30はCPUとメモリで構成されており、ECU25の一部に組み込まれていてもよい。操縦技量情報提示装置30は、操縦技量評価部32と、余裕度判定部44と、提示情報選択部45と、提示情報データベース49と、情報出力部50とを有する。
【0030】
操縦技量評価部32は、操縦者の操縦技量を評価する。操縦技量評価部32は、メモリ51、旋回運動判別部52、成分分離部53、車両安定特性評価部54、旋回特性評価部55、標準化部56、総合特性評価部57を有する。また、操縦技量評価部32の入力には、ジャイロスコープ33、ステアリング角度センサ34、ストロークセンサ35、車輪速センサ36、および、GPS37が接続される。状態量検出部31で検出された各車両状態量は、操縦技量評価部32に入力されてメモリ51に時系列にそれぞれ保管される。
【0031】
3.1 旋回運動判別
旋回運動判別部52では、自動二輪車1が操縦者の技量評価の対象となる旋回運動を実施したかどうかを判別する。ここで、旋回運動の判断基準として、自動二輪車1のヨーレートがある一定の値以上であり、かつ、ある一定の時間以上持続した場合を例に説明する。上記の条件が満たされない場合、旋回運動判別部52は、自動二輪車1が旋回運動を実施したとは判別しない。
【0032】
旋回運動判別部52は、ジャイロスコープ33より入力されるヨーレートの検出値の絶対値から、旋回運動区間Yを判別する。すなわち、旋回運動判別部52は、自動二輪車1のヨーレートの検出値の絶対値が閾値X
tを超えた時点から再び閾値X
tを下回る時点までの区間であり、かつ、その区間の持続時間が最低持続時間Y
min以上であれば、その区間を旋回運動区間Yと判別する。自動二輪車1のヨーレートの検出値が閾値X
tを超えた時点から再び閾値X
tを下回る時点までの区間が最低持続時間Y
minに満たない場合、旋回運動判別部52は、この区間を旋回運動区間と判別しない。閾値X
tの値は、自動二輪車1の車種により適宜設定すればよい。また、上述したのは、ヨーレートを用いて旋回運動区間Yを判別する方法であったが、他の方法を用いて旋回運動区間Yを判別してもよい。
【0033】
旋回運動判別部52が旋回運動区間Yを判別すると、旋回運動区間Y中にメモリ51に保管された各車両状態量の検出値が成分分離部53へ送られる。成分分離部53はローパスフィルタとバンドパスフィルタとで構成される。成分分離部53へ入力された各検出値は、ローパスフィルタおよびバンドパスフィルタでフィルタ処理が実施される。成分分離部53にて成分分離可能な車両状態量として、ヨーレート、ヨー角度、ロールレート、ロール角度、ピッチレート、ピッチ角度、ステアリング角度、キャスタ角度が挙げられる。ここでは、ロールレートを例に挙げてフィルタ処理による成分分離の説明をする。
【0034】
成分分離部53に入力されるロールレートの全周波数帯域データが、ローパスフィルタおよびバンドパスフィルタにてフィルタ処理が実施される。ローパスフィルタでは予め定められた値である閾値周波数Fc1よりも高い高周波数成分を除去する。これより、低周波数帯域成分がローパスフィルタより出力される。バンドパスフィルタでは、閾値周波数Fc1以下の低周波数成分を除去するとともに、閾値周波数Fc2以上のノイズ成分を除去する。これより、高周波数帯域成分73がバンドパスフィルタ66より出力される。閾値周波数Fc2以上の周波数成分は、ノイズ成分であるので操縦者の特性判断に関係しない。
【0035】
メモリ51に保管された各検出値の時系列データがローパスフィルタおよびバンドパスフィルタによってフィルタ処理を実施されることで、各検出値が低周波数帯域成分と高周波数帯域成分とに分離される。閾値周波数Fc1は、判定したい特性に応じて設定してもよい。例えば、操縦者の特性を判定する場合には、初級者と上級者との差が最大となるように閾値周波数Fc1を設定すればよい。ただし、閾値周波数Fc2は閾値周波数Fc1よりも必ず大きい値でなければならない。
【0036】
3.2 車両安定特性評価
車両安定特性評価部54には、ローパスフィルタ65およびバンドパスフィルタ66によりフィルタ処理された自動二輪車1の旋回運動区間Yにおける各検出値が入力される。ここでは、ヨーレート、ロールレート、ピッチレートが入力される場合を例として挙げる。
【0037】
閾値周波数Fc1を境に分離された各レートの低周波数帯域は、操縦者がカーブを旋回する予測成分と解釈する。また、高周波数帯域は、操縦者がカーブを旋回する際に修正した修正成分と解釈する。次に、ヨーレート、ロールレート、ピッチレートのそれぞれについて、旋回区間Yにおける各レートの予測成分および修正成分の単位時間あたりの積分値の平均値を算出する。得られたそれぞれの予測成分に対応する値を修正成分に対応する値で除した値を1つの旋回区間Yにおけるヨーレート、ロールレート、ピッチレートの安定性指標(S
yaw,S
roll,S
pitch)とする。
【0038】
カーブに対して、滑らかなハンドル操作を操縦者がすると低周波数帯域の絶対値の積分量が大きく、高周波数帯域の絶対値の積分量が小さい。カーブ走行中に、ハンドル5を細かく操作して操縦者が修正すると、高周波数帯域の絶対値の積分量が大きくなり、低周波数帯域の絶対値の積分量がその分小さくなる。このように、低周波数帯域の絶対値の積分量と高周波数帯域の絶対値の積分量との比率を指標とすることで、カーブ走行中の操縦者の特性を得点化することができる。
【0039】
このように、自動二輪車1の旋回運動中のヨーレート、ロールレート、ピッチレートの低周波数帯域および高周波数帯域の絶対値の積分量の比率を求めることで、自動二輪車1の車両安定性指標を算出することができる。さらに、上記3つの安定性指標(S
yaw,S
roll,S
pitch)の重みづけ線形和である車両安定性得点S
vを算出する。算出された車両安定性得点S
vは、余裕度判定部44、提示情報データベース49、標準化部56、および総合特性評価部57へ出力される。
【0040】
3.3 旋回特性評価
旋回特性評価部55は、ローパスフィルタによりフィルタ処理された自動二輪車1の旋回運動区間Yにおける各検出値が入力される。ここでは、ステアリング角度と、ロール角度と、ピッチ角度またはキャスタ角度とが入力される場合を例として挙げる。また、メモリ51から旋回特性評価部55に自動二輪車1の旋回運動区間Yにおける車速が入力される。
【0041】
各角度の低周波数帯域は、操縦者がカーブを旋回する予測成分と解釈する。カーブに対して、滑らかなハンドル操作を操縦者がすると低周波数帯域の絶対値量が大きい。なお、各レートの周波数分離に用いる閾値周波数Fc1は、各種角度ごとに異なる値を用いてもよい。旋回区間Yにおける予測成分の単位時間あたりの積分値の平均値をステアリング角度と、ロール角度と、ピッチまたはキャスタ角度とのそれぞれの角度について算出する。算出された値を、ステアリング角度、ロール角度、ピッチまたはキャスタ角度の旋回性指標T
steer、T
roll、T
pitch(caster)とする。
【0042】
また、入力された旋回区間Yの車速から旋回区間Yにおける平均車速T
speedを算出する。これら、3つの旋回性指標と平均車速の重み付け線形和を旋回性得点T
vとして算出する。旋回性得点T
vは、余裕度判定部44、提示情報データベース49、標準化部56、および総合特性評価部57へ出力される。
【0043】
3.4 総合特性判定
総合特性評価部57は、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vの重み付け線形和を算出することで旋回区間Yにおける操縦者の総合特性得点Gを得る。総合特性得点Gは、操縦者の車両安定特性および旋回特性を基に操縦者の特性を総合的に評価するものである。
【0044】
以上をもって、総合特性得点G、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vと3つの指標により操縦者の操縦技量を評価することができる。各得点は連続値であるので、各得点により無段階に操縦者の車両安定性、旋回性、および総合特性を評価することができる。また、算出された各得点をそのまま評価する他に、各得点をそれぞれ標準化した得点により操縦者の操縦技量を評価することもできる。
【0045】
標準化部56は、入力された各総合特性得点G、車両安定性得点S
v、および、旋回性得点T
vを基に、ある一定の期間ごとの各平均得点を算出する。
図3は、旋回区間Yごとに算出されたある得点を時系列にプロットしたグラフ図である。算出された複数の得点を基に任意の期間tごとの平均点を算出してもよいし、一定の旋回区間数ごとに平均点を算出してもよい。また、平均点の他にも標準偏差を算出して評価してもよい。標準化された各得点は余裕度判定部44および提示情報データベース49へ送られる。
【0046】
4.余裕度判定
次に、操縦特性を評価する各得点を基に操縦者の操縦に対する余裕度を判定する。この判定された余裕度に応じて、操縦者の技量情報の提示手段および提示する情報量が適切に選択される。余裕度判定部44は、総合特性得点Gまたは車両安定性得点S
vだけを参照して余裕度を判定してもよいし、総合特性得点G、車両安定性得点S
v、旋回性得点T
vのうち少なくとも2つの得点を基にして余裕度を判定してもよい。以下に、総合特性得点Gを基に余裕度を判定する場合を例として説明する。
【0047】
余裕度判定部44は、総合特性得点Gを基に操縦者の操縦に対する余裕度を判定する。すなわち、
図3に示すように、総合特性得点Gに対して予め定められた閾値X
1を基準として余裕度が「高」または「低」のいずれか2段階に判定する。また、
図4に示すように、予め定められた2つの閾値X
2およびX
3を基準として余裕度を「高」、「中」、「低」の3段階に判定してもよい。総合特性得点Gは、総合特性評価部57から送られる得点でもよいし、標準化部56から送られる標準化された得点でもよい。余裕度の判定結果は提示情報選択部45へ出力される。
【0048】
提示情報選択部45は、提示情報量選択部46と情報提示器選択部47と提示領域選択部48とを有する。提示情報選択部45は、余裕度の判定結果に応じて、操縦者に提示する情報手段および情報量を選択する。
【0049】
提示情報量選択部46は、余裕度の判定結果に応じて提示する情報量を選択する。たとえば、余裕度の判定結果が2段階評価の「高」である場合、総合特性得点G、車両安定性得点S
v、および、旋回性得点T
vに関する情報が選択される。余裕度の判定結果が2段階評価の「低」である場合、総合特性得点Gに関する情報だけが選択される。
【0050】
情報提示器選択部47は、余裕度の判定結果に応じて技量情報の提示手段、すなわち提示器を選択する。本実施例では情報提示器としてモニタ41、スピーカ42、振動子43が設置されている。余裕度の判定結果が2段階評価の「高」である場合、提示手段として視覚的情報が選択されて、視覚的情報提示器としてモニタ41が選択される。余裕度の判定結果が2段階評価の「低」である場合、提示手段として非視覚的情報が選択されて、非視覚的情報提示器としてスピーカ42または振動子43のいずれかが選択される。
【0051】
提示領域選択部48は、情報提示器選択部47にて視覚的情報の提示が選択されると、余裕度の判定結果に応じて技量情報を表示する領域を選択する。表示領域は、余裕度の判定結果に応じて選択してもよいし、任意の割合の得点が表示されるような拡大表示をしてもよいし、表示される得点の重心を中心としたオートスケール変更でもよい。
【0052】
提示情報データベース49は、メモリで構成され、操縦者に提示可能な全ての情報が保管されている。状態量検出部31において検出された各車両状態量に加え、操縦技量評価部32において旋回区間Yごとに評価された各得点も保管されている。また、非視覚的情報である音情報も保管されている。提示情報データベース49とメモリ51とを一体に設けてもよい。
【0053】
情報出力部50は、提示情報量選択部46にて選択された提示情報量に該当する技量情報を提示情報データベースから取り出して、情報提示器選択部47にて選択された情報提示器から提示できるように取り出した技量情報を出力する。すなわち、情報出力部50は、提示情報量選択部46にて選択された提示情報量を、情報提示器選択部47にてモニタ41が選択されれば映像情報を出力し、スピーカ42が選択されれば音情報を出力し、振動子43が選択されれば振動情報を出力する。
【0054】
4.1 総合特性評価による余裕度判定
次に、実施例において、総合特性評価を余裕度判定の基準として情報提示を実施する動作について
図5を参照して説明する。
図5は、情報提示の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
状態量検出部31より操縦技量情報提示装置30へ各種の車両状態量が入力される。入力された車両状態量を基に、車両安定特性評価部54が車両安定性得点S
vを算出し、旋回特性評価部55が旋回性得点T
vを算出する。また、総合特性評価部57は、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vを基に総合特性得点Gを算出する。これら各種の得点を算出することで、操縦者の車両操縦に対する技量評価をすることができる(ステップS01)。算出された総合特性得点Gは余裕度判定部44へ出力される。
【0056】
余裕度判定部44は、入力された総合特性得点Gに対して、予め定められた閾値X
1を基準として、余裕度が高いか低いかを判定する(ステップS02)。余裕度が高いと判定されると(ステップS03)、判定結果を基に情報提示器選択部47は、視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS04)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が高いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。
【0057】
余裕度が低いと判定されると(ステップS03)、判定結果を基に情報提示器選択部47は、非視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS05)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が低いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。
【0058】
情報出力部50は、提示情報量選択部46から指示された情報量を提示情報データベース49から取得する。そして、情報出力部50は情報提示器選択部47から視覚的情報の出力を指示されると、取得した情報量の映像情報をモニタ41へ出力する。また、情報出力部50は情報提示器選択部47から非視覚的情報の出力を指示されると、取得した情報量の音情報をスピーカ42へ出力するか、取得した情報量の振動情報を振動子43へ出力する。
【0059】
モニタ41から提示される映像情報の一例を
図6に示す。
図6に示すように、モニタ41には、操縦技量に関する文字情報60および図示情報61が提示される。
図6に示されている文字情報60は、旋回性得点T
v、車両安定性得点S
v、および、総合特性得点Gが表示されている。提示される各得点は、旋回区間Yごとの得点でもよいし、一定期間tにおいて標準化された得点でもよい。
【0060】
図示情報61は、旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vを図的に表示したものである。旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vが表示される表示領域は第1〜第4領域と4つの領域に分割される。第1領域は旋回性得点T
vが高く車両安定性得点S
vが低い領域であり、第2領域は旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vが共に低い領域であり、第3領域は旋回性得点T
vが低く車両安定性得点S
vが高い領域であり、第4領域は旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vが共に高い領域である。各第1〜第4領域は、色分けされている。旋回区間Yごとに算出される旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vが1個の円として該当する領域上にプロットされる。また、標準化された旋回性得点T
vおよび車両安定性得点S
vが素点としてプロットされる円よりも大きな円でプロットされる。各第1〜第4領域上にプロットされる円は、該当する領域と同じ系統の色で表示される。すなわち、得点を示す各円はそれが属する領域ごとに色分けされている。
【0061】
また、モニタ41から提示される映像情報のもう一つの例を
図7に示す。
図7に示されている文字情報62は、旋回性得点T
v、車両安定性得点S
v、および、総合特性得点Gに加えて、車両挙動を示す数値として左右の最大バンク角が表示されている。また、図示情報63は、GPS37の情報を用いて、自動二輪車1が走行した道路地図上において、旋回区間Yと道路地図とを対応させて、該当する旋回区間Y上に算出された車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vの評価を図示している。図示情報62で表示されている各円は、図示情報61と同様の色分けがされている。文字情報60、62および図示情報61、63の切り替えは入力部26から実施することができる。操縦者が入力部26に切り替えの指示を入力すると、入力部26から情報出力部50へ切り替え指示がなされる。
【0062】
提示される映像情報として他にも、技量評価結果、車両挙動、地図、操作情報等が挙げられる。また、提示される車両挙動として他にも、バンク角、走行速度、サスペンションストローク等が挙げられる。また、提示される操作情報として他にも、スロットル開度、操舵角、ブレーキ量、ブレーキタイミングが挙げられる。これらの各値が文字情報または図示情報として提示されてもよい。これらの情報は提示情報データベースに入力されている。
【0063】
次に、スピーカ42から提示される音情報の一例を説明する。スピーカ42から提示される音情報は、人の声の音声情報でもよいし、信号音のような音情報でもよい。音声情報で出力する場合、各得点が算出されるごとにその結果を音声により出力する。総合特性得点Gを音声出力する場合、「総合特性得点Gは40点です。」というようにスピーカ42から出力する。情報出力部50が総合特性得点Gに対応する音声情報を提示情報データベースから取り出して出力する。
【0064】
スピーカ42から信号音のような音情報を提示する場合、各得点を有段階に評価してその段階レベルを音情報で提示する。余裕度の判定と同様に、各得点をそれぞれ段階的に評価する閾値を用いて判定する。
図8に示すように、各得点を予め定められた閾値X
4およびX
5を基準に「高」、「中」、「低」の3段階に評価する。得点が閾値X
5以下の「低」と判定されると、「ピッ」と1音が提示される。得点が閾値X
5より大きく閾値X
4より小さい場合、「ピッ、ピッ」と2音が提示される。得点が閾値X
5よりも大きい場合、「ピッ、ピッ、ピッ」と3音が提示される。これらの音情報は、情報出力部50により判定され、対応する音情報が提示情報データベースから取り出されてスピーカ42へ出力される。
【0065】
次に、振動子43から提示される振動情報の一例を説明する。振動子43から提示される振動情報は、各得点が算出されるごとにその結果を音情報と同様に閾値を用いて有段階に評価してその段階レベルを振動情報で提示する。すなわち、各得点を予め定められた閾値X
4およびX
5を基準に「高」、「中」、「低」の3段階に評価する(
図8)。得点が閾値X
5以下の「低」と判定されると、「ブルッ」と1回の振動が提示される。得点が閾値X
5より大きく閾値X
4より小さい場合、「ブルッ、ブルッ」と2回の振動が提示される。得点が閾値X
5よりも大きい場合、「ブルッ、ブルッ、ブルッ」と3回の振動が提示される。これらの振動情報は、情報出力部50により判定され、振動子43へ出力される。振動子43はハンドル5、グローブ、シート16、ヘルメット38、操縦者の装着服、携帯電話またはスマートフォンのいずれかに組み込まれたものを用いることが好ましい。
【0066】
4.2 車両安定特性評価による余裕度判定
4.1において総合特性得点Gを用いて余裕度を判定していたが、車両安定性得点S
vを用いて余裕度を判定してもよい。
図9は車両安定性得点S
vによる情報提示の処理手順を示すフローチャートである。
【0067】
状態量検出部31より操縦技量情報提示装置30へ各種の車両状態量が入力される。入力された車両状態量を基に、車両安定特性評価部54が車両安定性得点S
vを算出する。車両安定性得点S
vを算出することで、操縦者の車両操縦に対する技量評価することができる(ステップS11)。算出された車両安定性得点S
vは余裕度判定部44へ出力される。
【0068】
余裕度判定部44は、入力された車両安定性得点S
vに対して、予め定められた閾値を基準として、余裕度が高いか低いかを判定する(ステップS12)。余裕度が高いと判定されると(ステップS13)、判定結果を基に情報提示器選択部47は、視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS04)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が高いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。
【0069】
余裕度が低いと判定されると(ステップS13)、判定結果を基に情報提示器選択部47は、非視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS05)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が低いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。
【0070】
以上のように、車両安定性得点S
vだけを用いて余裕度を判定しても、操縦者に対して提示する情報量および情報手段を適切に選択することができる。また、車両安定性得点S
vだけを用いて余裕度を判定するので、情報提示を簡易に選択することができる。
【0071】
4.3 車両安定特性評価および旋回特性評価による余裕度判定
4.1において総合特性得点Gを用いて余裕度を判定していたが、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vを用いて余裕度を判定してもよい。
図10は車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vによる情報提示の処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
状態量検出部31より操縦技量情報提示装置30へ各種の車両状態量が入力される。入力された車両状態量を基に、車両安定特性評価部54が車両安定性得点S
vを算出し、旋回特性評価部55が旋回性得点T
vを算出する。これら各種の得点を算出することで、操縦者の車両操縦に対する技量評価をすることができる(ステップS21)。算出された車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vは余裕度判定部44へ出力される。
【0073】
余裕度判定部44は、入力された車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vに対して、予め定められた閾値を基準として、余裕度が高いか低いかを判定する(ステップS22)。
すなわち、余裕度を車両安定性および旋回性という2つの基準により判定する。まず、車両安定性を基準に余裕度を判定する(ステップS23)。余裕度判定部44は、車両安定性得点S
vに対して予め定められた閾値を基準に、車両安定性が「高」または「低」のいずれかを判定する。車両安定性が「低」と判定されると余裕度は低いと判定される。
【0074】
車両安定性が「高」と判定されると、余裕度判定部44はさらに、旋回性を基準に余裕度を判定する(ステップS24)。余裕度判定部44は、旋回性得点T
vに対して予め定められた閾値を基準に、旋回性が「高」または「低」のいずれかを判定する。旋回性が「高」と判定されると余裕度が高いと判定され、旋回性が「低」と判定されると余裕度が低いと判定される。すなわち、余裕度が高いと判定されるのは、車両安定性および旋回性が共に「高」と判定される場合であり、車両安定性または旋回性が「低」と判定されると余裕度が低いと判定される。
【0075】
余裕度が高いと判定されると、情報提示器選択部47は、視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS04)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が高いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。また、余裕度が低いと判定されると、情報提示器選択部47は、非視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する(ステップS05)。また、提示情報量選択部46は、余裕度が低いと判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する。
【0076】
以上のように、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vが共に高い場合のみ余裕度が高いと判定するので、操縦者に対して提示される情報量および情報手段がより慎重に選択され、操縦者に対する情報負荷が軽減される。
【0077】
また、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
v用いていて余裕度を3段階に判定してもよい。
図11は車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vによる情報提示の処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
状態量検出部31より操縦技量情報提示装置30へ各種の車両状態量が入力される。入力された車両状態量を基に、車両安定特性評価部54が車両安定性得点S
vを算出し、旋回特性評価部55が旋回性得点T
vを算出する。これら各種の得点を算出することで、操縦者の車両操縦に対する技量評価することができる(ステップS21)。算出された車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vは余裕度判定部44へ出力される。
【0079】
余裕度判定部44は、入力された車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vに対して、予め定められた閾値を基準として、余裕度を「高」、「中」、「低」のいずれか3段階に判定する(ステップS32)。すなわち、余裕度を車両安定性および旋回性という2つの基準により3段階に判定する。まず、車両安定性を基準に余裕度を判定する(ステップS33)。余裕度判定部44は、車両安定性得点S
vに対して予め定められた閾値を基準に、車両算定性が「高」または「低」のいずれかを判定する。車両安定性が「低」と判定されると余裕度は「低」と判定される。
【0080】
車両安定性が「高」と判定されると、余裕度判定部44はさらに、旋回性を基準に余裕度を判定する(ステップS34)。余裕度判定部44は、旋回性得点T
vに対して予め定められた閾値を基準に、旋回性が「高」または「低」のいずれかを判定する。旋回性が「高」と判定されると余裕度は「高」と判定され、旋回性が「低」と判定されると余裕度は「中」と判定される。すなわち、車両安定性および旋回性が共に「高」と判定されると余裕度は「高」と判定され、車両安定性が「高」と判定されかつ旋回性が「低」と判定されると余裕度は「中」と判定され、車両安定性および旋回性が共に「低」と判定されると余裕度は「低」と判定される。
【0081】
余裕度が「高」と判定されると、情報提示器選択部47は、視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する。また、提示情報量選択部46は、余裕度が「高」と判定された場合に提示するべき詳細な情報量を情報出力部50に指示する(ステップS35)。視覚的詳細情報として、たとえば、
図6および
図7で示されるように、文字情報および図示情報を有する映像情報が提示される。
【0082】
また、余裕度が「高」と判定されると、さらに、提示領域選択部48が図示情報で表示する領域において安定特性が高領域の領域のみを表示する。
図13に示すように、安定特性が高領域の第3領域および第4領域が表示され、プロットされた各得点を示す円が拡大表示される。
【0083】
余裕度が「中」と判定されると、情報提示器選択部47は、視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する。また、提示情報量選択部46は、余裕度が「中」と判定された場合に提示するべき簡易な情報量を情報出力部50に指示する(ステップS36)。視覚的簡易情報として、たとえば、
図12で示されるように、図示情報の無い文字情報からなる映像情報が提示される。図示情報が表示されない分、情報負荷が軽減されて、操縦者が車両の操縦に集中することができる。
【0084】
また、余裕度が「中」と判定されると、さらに、提示領域選択部48が図示情報で表示する領域において旋回特性が低領域の領域のみを表示する。
図14に示すように、旋回特性が低領域の第2領域および第3領域が表示され、プロットされた各得点を示す円が拡大表示される。
【0085】
余裕度が「低」と判定されると、情報提示器選択部47は、非視覚的情報の出力を情報出力部50へ指示する。また、提示情報量選択部46は、余裕度が「低」と判定された場合に提示するべき情報量を情報出力部50に指示する(ステップS05)。非視覚的情報は、4.1と同様に、音情報または振動情報が提示される。
【0086】
なお、余裕度を3段階に判定するのに、車両安定性得点S
vおよび旋回性得点T
vを用いていたが、これに限らず、各得点に対して2つの閾値を用いることで3段階に判定してもよい。余裕度をどの操縦技量に応じて判定するかは、操縦者が入力部26から指示することができる。入力部26への指示が余裕度判定部44へ送られる。
【0087】
本実施例によれば、操縦技量を基に操縦者の余裕度が判定される。この余裕度に応じて操縦者に提示される操縦技量に関する情報の提示手段および提示情報量が選択される。操縦者は、自身の余裕度に応じて技量判定結果がフィードバックされるので、余裕を持って車両の操縦を楽しむことができる。また、余裕度の判定を任意の閾値を基準として段階的にレベル判定するので、余裕度のレベルに応じた技量情報の提示手段をより適切に選択することができる。操縦者は自身の余裕度に応じて提示される情報手段および情報量が変更されるので、より操縦者の技量レベルに合わせた情報提示をすることができる。
【0088】
また、余裕度が「低」と判定された場合には、視覚的負担を課さない音情報または振動情報で操縦者に技量情報がフィードバックされる。余裕度が「高」と判定された場合には、視覚的に情報量の多い技量情報がフィードバックされる。操縦者は、音または振動で技量情報がフィードバックされると情報量が少ないので物足りなさを感じ、より技量を向上してより詳細な情報が知りたいとの欲求が生まれ、技量向上のモチベーション向上につながる。一方、映像情報にて詳細な技量情報がフィードバックされると、操縦者は自分の知りたいタイミングで詳細な情報を知ることができ、楽しみながら操縦の技量向上をすることができる。
【0089】
本発明は、上記実施例のものに限らず、次のように変形実施することができる。
【0090】
(1)上記実施例において、車両として自動二輪車1を例に挙げたがこれに限らず、四輪自動車における操縦技量情報提示装置でもよい。
【0091】
(2)状態量検出部31は、ヨー角度、ヨーレート、ロール角度、ロールレート、ピッチ角度、ピッチレート、キャスタ角度、ステアリング角度、車速および位置情報以外の車両状態を表す検出値を取得してもよいし、上記車両状態量の中から任意の検出値だけを検出してもよい。