特許第6028035号(P6028035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローバス メディカル インコーポレイティッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028035
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】整形外科アンカーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/58 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   A61B17/58
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-535967(P2014-535967)
(86)(22)【出願日】2012年10月14日
(65)【公表番号】特表2015-502769(P2015-502769A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2012060160
(87)【国際公開番号】WO2013056199
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】13/273,625
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アンジェルッチ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセル,マシュー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−522722(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0016595(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0264936(US,A1)
【文献】 米国特許第06117173(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0211116(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0171753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するプレート部材と、
前記プレート部材の前記開口に挿入可能であり、溝によって分離される複数のアームを有し、前記複数のアームがそれぞれ、スロットを備えるアンカーと、
前記アンカーに挿入可能であり、前記アームに対応する複数のフィンガを含み、前記複数のフィンガがそれぞれ、前記アンカーに形成されたスロット内へ下方に摺動可能である係止機構と、
を備える整形外科アセンブリであって、
前記係止機構の前記アンカーを通じた下向き挿入により、前記複数のアームは外方向に拡張されて前記アンカーを前記プレート部材に固定する整形外科アセンブリ。
【請求項2】
前記溝が対称的である請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記アンカーが4つ以上のアームを備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記アームが先細である請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記係止機構が中央円形部を含む請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記アンカーが複数の緩和カットを含む請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
開口を有するプレート部材と、
前記プレート部材の前記開口に挿入可能であり、複数のアームを有し、各アームが内壁に形成されるスロットを含むアンカーと、
前記アンカーに挿入可能であり、複数のフィンガを含み、各フィンガが前記アンカーのスロットに下方へ挿入可能である係止機構と、
を備える整形外科アセンブリであって、
前記係止機構の前記アンカーを通じた下向き挿入により、前記複数のアームは外方向に拡張されて前記アンカーを前記プレート部材に固定する整形外科アセンブリ。
【請求項8】
前記アンカーがヘッド部、ネック部、ネジ山付き胴部を備える請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ネック部が1つまたはそれ以上の緩和カットを含む請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記アンカーが隣接アームを分離する複数の溝を含む請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の溝が対称的である請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記係止機構が下側シャフト部を備える請求項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記下側シャフト部が前記下側シャフト部の遠位端から前記下側シャフト部の中間部まで延在する圧縮スロットを備える請求項12に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨固定アセンブリ、特に整形外科装置を骨組織に固定するアンカーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科手術、特に脊髄手術の分野では、骨アンカーは整形外科装置または器具の骨組織への固着または固定のために使用することができる。骨アンカーの例示的使用は、患者の脊柱の奇形または瑕疵の治療のために骨プレート、脊髄ロッド、または脊髄スペーサなどの整形外科装置を椎体に固定する骨アンカーの使用を含むことができる。骨プレートの例に焦点を当てると、骨アンカーは多数の椎体に固定することができ、その後、骨プレートを骨アンカーを介して椎体に接続して脊柱の1区間を融合させることができる。別の例では、骨アンカーは、いったんスペーサが隣接椎体間に埋め込まれた後に脊髄スペーサの位置を固定するために使用することができる。さらに別の例では、骨アンカーは多数の椎体に固定して、脊柱に沿って適所に脊髄ロッドを支持し脊髄奇形を治療することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの例示的使用のそれぞれにおいて、複数の骨アンカーが整形外科装置を治療部位に固定するのに必要とされる。また、疾病の程度や治療される瑕疵のサイズに応じて、それぞれが複数の骨アンカーを要するいくつかの整形外科装置が必要とされる可能性がある。したがって、整形外科インプラントの治療部位への固定は、時間がかかる相当困難な作業になり得る。
【0004】
よって、迅速かつ確実に整形外科装置を治療部位に固定することができる骨アンカーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
整形外科アセンブリの各種実施形態が提供される。いくつかの実施形態では、整形外科
アセンブリは開口を有するプレート部材を備える。アンカーはプレート部材の開口を通じて挿入可能である。アンカーは溝によって分離される複数のアームを含むことができる。アセンブリは、アンカーに挿入可能な係止機構をさらに備える。係止機構は各アームに対応する複数のフィンガを含む。
【0006】
係止機構のアンカーを通じた下向き挿入により、複数のアームは外側に拡張されてアンカーをプレート部材に固定することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、整形外科アセンブリは開口を有するプレート部材を備える。アンカーはプレート部材の開口を通じて挿入可能である。アンカーは複数のアームを含み、各アームは内壁に形成されるスロットを有する。係止機構はアンカーを通じて挿入可能である。係止機構は複数のフィンガを含み、各フィンガはアンカーのスロットに挿入可能である。係止機構のアンカーを通じた下向き挿入により、複数のアームは外方向に拡張されてアンカーをプレート部材に固定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、整形外科アセンブリは開口を有するプレート部材を備える。アンカーはプレート部材の開口を通じて挿入可能である。係止機構はアンカーを通じて挿入可能である。係止機構はアンカーを伸張させてアンカーをプレート部材に固定することができる。圧入プロセスを介して係止機構にアンカーを送達する挿入器具も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は詳細な説明と添付図面からより完全に理解されるであろう。
図1】アンカーアセンブリの1実施形態の展開部分斜視図である。
図2図1に示すアンカーアセンブリの部分斜視図である。
図3図1に示すアンカーアセンブリの部分斜視図である。
図4図1に示すアンカーアセンブリの部分断面図である。
図5】整形外科装置に配置および係止されるアンカーアセンブリの別の実施形態の概略図である。
図6A】いくつかの実施形態に係る別のアンカーの側面図である。
図6B】いくつかの実施形態に係る別の係止機構を有する図6Aのアンカーの断面図である。
図6C図6Bのアンカーと係止機構の上面図である。
図7A】いくつかの実施形態に係る別の係止機構の側面図である。
図7B図7Aの係止機構の断面図である。
図7C図7Aの係止機構の上面図である。
図8A】いくつかの実施形態に係るアンカーの係止機構の第1の位置の断面図である。
図8B】いくつかの実施形態に係るアンカーの係止機構の第2の位置の断面図である。
図9A】いくつかの実施形態に係る整形外科装置アセンブリの側面図である。
図9B図9Aの整形外科装置アセンブリの断面図である。
図10A】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10B】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10C】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10D】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10E】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10F】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10G】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10H】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図10I】いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。
図11A】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
図11B】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
図12A】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
図12B】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
図12C】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
図12D】いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の好適な実施形態の説明は単に例示であり、用途や使用法において本発明を限定することを目的としていない。
【0011】
図1〜4はアンカーアセンブリ10の好適な実施形態を示す。アンカーアセンブリ10は好ましくは、アンカー11と係止機構30を含む。アンカー11は整形外科ネジのコンテキストで説明するが、アンカー11はフック、ピン、または釘を含むがそれらに限定されない任意の種類のアンカー素子であり得ると考えられる。好適な実施形態では、アンカー11は長軸12と同軸で、ヘッド部14、ネック部18、胴部16を含む。ヘッド部14はネック部18を通じて胴部16に接続される。アンカーアセンブリ10は好ましくは、ステンレス鋼合金、チタン、チタン合金、またはポリマ材料を含むがそれらに限定されない生体適合性材料から成る。
【0012】
好適な実施形態では、アンカー11のヘッド部14は略球状であり、少なくとも1つの可撓フィンガ素子20を含む。別の好適な実施形態では、ヘッド部14は4つの可撓フィンガ素子20を含む。好ましくは、可撓フィンガ素子20の両側に細長溝22が配置される。溝22は、アンカー11、ひいてはアンカーアセンブリ10に係合するように設計される駆動器具(図示せず)の端部と対応するような構造と寸法を有することができる。
【0013】
図4に最も良く示されるように、略球状のヘッド部14は、脊髄固定システムの1部とすることができる整形外科装置50の対応する形状の空隙52に収容されるような構造と寸法を有する。例示の実施形態では、整形外科装置50は骨プレートであるが、整形外科装置は脊髄ロッド「チューリップ」型ホルダまたは脊髄スペーサなどの任意の装置とすることができる。ヘッド部14の形状と、それに対応する形状の空隙52により、アンカーアセンブリ10を整形外科装置50に対して旋回、回転、および/または移動させることができる。別の実施形態では、アンカーアセンブリ10を整形外科装置50に対して旋回、回転、および/または移動させる代わりに、ヘッド部14と対応する形状の空隙52とは、固定位置でアンカーアセンブリ10を保持するような構成と寸法を有することができる。例示的使用では、アンカー11のヘッド部14は整形外科装置50の空隙52に収容され、アンカーアセンブリ10は、整形外科装置50に対する所望の配向が達成されるまで旋回、回転、または移動させられる。その後、アンカーアセンブリ10は後で詳述されるように、整形外科装置50の空隙52に係止される。好適な実施形態では、ヘッド部14は、ヘッド部14の少なくとも1部に沿って延在する模様24も含む。
【0014】
ヘッド部14の模様24は、整形外科装置50に対して係止アンカーアセンブリ10を適所に配置するのを助ける追加の摩擦面を提供する。
【0015】
図1〜3に戻ると、好適な実施形態では、アンカー11のネック部18はヘッド部14と胴部16を一体的に接続する。ネック部18の径は好ましくはアンカー11の谷径と一致する寸法を有する。ネック部18の径をアンカー11の谷径と少なくとも同程度にすることによって、アンカー11の全体的な剛性と強度が向上する。
【0016】
好適な実施形態では、アンカー11の胴部16は、ネジ部28によって少なくとも部分的に囲まれるシャフト26を含む。シャフト26の径はアンカーアセンブリ10の谷径である。好適な実施形態では、シャフト26の径は、シャフト26の近位端からシャフト26の遠位端へ向けて略一定である。シャフト26の大半部分で径が一定であることにより、アンカーアセンブリ10が骨組織の所定の領域に挿入されるときの最適アンカー配置が可能にある。また、一定の径は、アンカーアセンブリ10の骨への深度変更も可能にする。たとえば、外科医が第1の深度でアンカーアセンブリ10を骨組織に配置するが、第2のより浅い深度のほうが適切であると判断した場合、アンカーアセンブリ10は第2の深度まで戻して、骨に固定させたままにすることができる。別の実施形態では、シャフト26の径は全長に沿って変動させることができ、近位端から遠位端へ径を増加させること、あるいは近位端から遠位端へ径を低減させることを含む。
【0017】
引き続き図1〜3を参照すると、シャフト26を囲むネジ部28は、好適な実施形態では、シャフト26の遠位端からネック部18へ延在する。別の好適な実施形態では、ネジ部28はシャフト26の1部のみに沿って延在することができる。ネジ部28は好ましくは、改良されたButtressネジ山だが、Buttress、Acme、Unified、Whitworth、B&S Wormなどを含むがそれらに限定されない解剖学的に適合する任意のその他の種類のネジ山にすることができる。
【0018】
好適な実施形態では、ネジ部28の径はアンカー11の遠位端に向かって低減する。アンカー11の遠位端近傍に径が低減するネジ部28を有することによって、アンカー11は自動で作動させることができる。別の好適な実施形態では、アンカー11は、アンカーアセンブリ10が骨組織に埋め込まれるときに生成される破片、埃、または砕片を綺麗にする少なくとも1つの溝も含むことができる。
【0019】
再度図1〜4を参照すると、アンカーアセンブリ10は好ましくは係止機構30を含む。好適な実施形態では、係止機構30は整形外科装置50に対してアンカーアセンブリ10を係止することによって、アンカーアセンブリ10が整形外科装置50から分離するのを防止する。係止機構30は好ましくは、アンカー11の開口部34に収容されるような構造と寸法を有する係止部材32を含む。
【0020】
好適な実施形態では、係止部材32はヘッド部材36とシャフト部材38を有する。ヘッド部材36は好ましくは、駆動器具(図示せず)を収容する開口部40を含む。開口部40は、後述する理由から、駆動器具とネジ式に係合可能なネジ42も含むことができる。好適な実施形態では、シャフト部材38はシャフト部材38の外周の少なくとも1部に沿って延在する少なくとも1つの突出部44を含む。図4に焦点を当てると、シャフト部材38の少なくとも1部は、好適な実施形態では、中空部46を囲むシャフト部材38の少なくとも1部を内側に屈曲させる中空部46も含む。
【0021】
図1および4に戻ると、開口部34は好ましくは略環状であり、ヘッド部14からネック部18を通って胴部16へと長軸12で同軸に伸張する。開口部34は好ましくは少なくとも2つの凹部47および48も含み、各凹部47、48は開口部34の外周の少なくとも1部に沿って延在する。各凹部47、48は突出部44を収容するような構造と寸法を有する。
【0022】
整形外科装置50を備えたアンカーアセンブリ10の例示的使用では、整形外科装置50はまず治療部位で配向および配置される。次に、整形外科装置50は整形外科装置50の少なくとも1つの空隙52に収容される少なくとも1つのアンカーアセンブリ10を介して、骨組織に固定される。図4を参照すると、好適な実施形態では、空隙52は、上部54で第1の径yを有する略球状である。上部54から下部56を見た場合、空隙52の径は、空隙52の略中間部まで概して増加する。空隙52の略中間部の径は第2の径xである。その後、空隙52の径は空隙52の略中間部から下部56へと減少し、下部56近傍の空隙の径は第1の径y以下である。
【0023】
好適な実施形態では、アンカー11のヘッド部14が空隙52の上部54に接触するまで、アンカーアセンブリ10は空隙52を通過する。図4に最も良く示されるように、好適な実施形態では、アンカー11のヘッド部14の径は径xと略同一幅である。空隙52の上部54は径xよりも小さい径yを有するため、ヘッド部14が空隙52に入り込むと、ヘッド部14のフィンガ素子20は弾性的に内側へ付勢され、ヘッド部14が空隙52の上部54を通って嵌合するまでヘッド部14の径を減少させる。いったんヘッド部14が上部54を通過すれば、ヘッド部14が空隙52に据えられて可撓フィンガ素子20は最初の位置に戻る。
【0024】
図3および4に最も良く示されるように、好適な実施形態では、いったんアンカーアセンブリ10が空隙52に据えられると、アンカーアセンブリ10は係止機構30を始動することによって空隙52に係止することができる。好適な実施形態では、ユーザは、係止部材32のヘッド部材36を押すことによって係止機構30を始動させる。下向きの力により、係止部材32は開口部34にさらに侵入する。係止部材32が開口部34内を移動するにつれ、突出部44は凹部47から脱離する。好適な実施形態では、係止部材32のシャフト部材38の径はネック部18およびシャフト部16近傍の開口部34の径と略等しいため、シャフト部材38は中空部46によって助けられて内側に屈曲し、いったん凹部47から脱離すると突出部44を収容する。係止部材32は、突出部44が凹部48と係合して、そこでヘッド部材36がヘッド部14の可撓フィンガ素子20間に据えられるまで開口部34内をさらに移動し続ける。ヘッド部材36はいったん可撓フィンガ素子20間に据えられれば、可撓フィンガ素子20が内側に屈曲するのを防止するため、ここでアンカーアセンブリ10は空隙52に係止されている。なお、突出部44の凹部47からの脱離と、突出部44と凹部48との係合(その逆も可)はユーザに可聴および/または可触フィードバックを提供して、ユーザにアンカーアセンブリ10の係止または未係止状態を迅速かつ容易に確認させることができる。
【0025】
上述したように、ヘッド部36は、ネジ42を含むことのできる開口部40を含む。開口部40のネジ42が駆動器具(図示せず)と係合することによって、アンカーアセンブリ10を整形外科装置50から脱離させたい場合にユーザは係止機構30を引いてアンカーアセンブリ10の係合を解くことができる。
【0026】
整形外科装置50を備えるアンカーアセンブリ10の別の例示的使用では、整形外科装置50はまず、治療部位に配向および配置される。次に、整形外科装置50は、整形外科装置50の少なくとも1つの空隙52に収容される少なくとも1つのアンカーアセンブリ10を介して骨組織に固定される。この例示的な使用では、アンカーアセンブリ10が空隙52に据えられた後、空隙52に係止される前に、整形外科装置50に対する所望の配向が達成されるまで、アンカーアセンブリ10を、旋回、回転、またはその他の形で移動させることができる。その後、アンカーアセンブリ10は、上述したように係止機構30を始動させることによって所望の配向で適所に係止される。
【0027】
この例示的使用では、アンカーアセンブリ10を所望の配向に係止するため、アンカーアセンブリ10の別の好適な実施形態、具体的には係止機構30の別の好適な実施形態が必要である。この好適な実施形態では、係止機構30は、第1の非係止位置から第2の係止位置に押されるときに、ヘッド部14の可撓フィンガ素子20を弾性的に付勢するような構造と寸法を有する。フィンガ素子20を外方向に弾性的に付勢することによって、フィンガ素子20は空隙52の壁に押しつけられて、係止アンカーアセンブリ10を所望の配向で適所に配置する。フィンガ素子20を外方向に弾性的に付勢するため、係止機構30のヘッド部材36は好ましくは、先細面と、ヘッド部14近傍の開口部34の径よりも大きい径とを有するように構造され寸法される。
【0028】
図5は、アンカーアセンブリ100の好適な実施形態を示す。アンカーアセンブリ100はアンカーアセンブリ10と類似しており、2つの実施形態間の差のみをここで説明する。アンカーアセンブリ100は好ましくはアンカー110と係止機構130を含む。好適な実施形態では、アンカー110は長軸112と同軸に、ヘッド部114、ネック部118、胴部116を含む。ヘッド部114はネック部118を通じて胴部116に接続される。好適な実施形態では、アンカー110のヘッド部114は略球状であり、ヘッド部114の上端と下端間に捕捉された可撓リング素子120を含む。
【0029】
引き続き図5を参照すると、好適な実施形態では、係止機構130は整形外科装置150に対してアンカーアセンブリ100を係止することによって、アンカーアセンブリ100が整形外科装置150から分離するのを防ぐ。係止機構130は好ましくは、アンカー110の開口部134に収容されるような構造と寸法を有する係止部材132を含む。
【0030】
整形外科装置150を備えるアンカーアセンブリ100の例示的使用では、整形外科装置150はまず、治療部位において配向され配置される。次に、整形外科装置150は、整形外科装置150の少なくとも1つの空隙152に収容される少なくとも1つのアンカーアセンブリ100を介して骨組織に固定される。好適な実施形態では、アンカー110のヘッド部114が空隙152の上部に接触するまでアンカーアセンブリ100は空隙152を通過する。空隙152の上部はヘッド部114の径よりも小さな径を有するため、ヘッド部114を空隙152に嵌合させるため、可撓リング120は内方向に弾性的に付勢されて、ヘッド部14が空隙152の上部を通って嵌合するまでヘッド部114の径を低減させる。いったんヘッド部114が空隙152の上部を通過すると、ヘッド部114が空隙152に据えられてリング120は元の位置に戻る。
【0031】
引き続き図5を参照すると、好適な実施形態では、いったんアンカーアセンブリ100が空隙152に据えられれば、係止機構130を始動させることによってアンカーアセンブリ100は空隙152に係止することができる。好適な実施形態では、ユーザは、係止部材132を押すことによって係止機構130を始動させる。下向きの力は係止部材132の少なくとも1部を開口部134内へと移動させる。いったん開口部134に据えられれば、係止部材132はリング120が内方向に湾曲するのを防止するために、アンカーアセンブリ100はこの時点で空隙152に係止される。
【0032】
〔係止骨ネジアセンブリの追加の実施形態〕
アンカーと係止機構とを含む別の係止骨ネジアセンブリの追加の実施形態について説明する。アセンブリにより、アンカーを骨プレートなどの整形外科装置に固定することができる。別の係止骨ネジアセンブリは、拡張アームを有するアンカーと、アームを拡張させることによってアンカーのアームを伸張させる挿入可能な係止機構とを備える。アンカーのアームが伸張されると、アームは整形外科装置の表面に押しつけられて、アンカーと整形外科装置とを固着させる。たとえば、アンカーは整形外科プレート部材の開口に配置することができる。伸張前、アンカーは整形外科プレートに対する複数の配向および方向で自由に動き回れる。伸張後、アンカーの壁が整形外科プレート部材の壁に強く押し当てられることによって、アンカーがプレート部材内に保持されアセンブリを形成する。言い換えると、いくつかの実施形態では、アンカーの伸張および拡張以前には、アンカーと整形外科プレート部材間の係止干渉が存在しない。アンカーの壁が様々な係止径に拡張された後、アンカーはプレート部材に確実に固定される。このアセンブリの利点は、係止素子を克服する軸方向の力も、係止特徴を作動させる一定量のネジも必要としない係止機構を含むことである。また、係止機構の位置は、アンカーが係止されているか否かを視覚的に明示する。さらに、アンカーは、上述の係止機構を用いる整形外科装置に損傷を負わせずに整形外科装置から容易に取り外すことができる。
【0033】
図6Aは、いくつかの実施形態に係る別のアンカーの側面図である。アンカー211はヘッド部214、ネック部218、胴部216を含む。アンカー211は、整形外科装置(たとえば、プレート部材)の開口を通じて嵌合し、装置を治療部位に固定するように設計される。
【0034】
アンカーヘッド部214は、図6Cに示すように係止機構230を収容する上側開口部を備える。ヘッド部214は、溝222によって分離されるフィンガまたはアーム220の形状の2つ以上の可撓部材を備える。例示の実施形態では、ヘッド部214は4つのアーム220を備え、各アームは単独の溝によって分離される。アーム220は好都合なことに、力が印加されればアンカー211の中心軸から外方向に拡張することができる。いくつかの実施形態では、拡張力は、拡張フィンガ232を有する係止機構230(図7A〜7Cに示す)をヘッド部214に挿入することによって印加される。係止機構230は、ヘッド部214のアーム220を外側に伸張させる。
【0035】
例示の実施形態では、ヘッド部214は溝222によってそれぞれ分離される4つのアーム220を備え、各隣接溝222は約90度の角度で離されているが、ヘッド部214はその他の構造も含むことができる。たとえば、ヘッド部214は3つのアームを含み、各アームを溝によって分離することができる。この状況で、隣接溝は相互に約120度離れさせることができる。いくつかの実施形態では、5、6、7、8、またはそれ以上など、5つ以上のアーム220がヘッド部に形成される。また、隣接溝222は、90度超または未満の角度で分離させることもできる。さらに、溝222は対称的に示されているが、他の実施形態では、溝222は非対称である。
【0036】
アンカーヘッド部214はネック部218を介して胴部216に移行する。いくつかの実施形態では、ネック部218は、ネック部の少なくとも1部に沿って加工される1つまたはそれ以上の緩和カット219を含む。緩和カット219は好都合なことに、ヘッド部のアーム220を収容し、拡張を推進する。緩和カット219の配向により、アームは外方向にさらに容易に拡張することができる。いくつかの実施形態では、緩和カット219はアンカーヘッドのポケットの下端に配置されて、アームがアンカーの中心軸から離れて外方向に屈曲する能力を高める。
【0037】
胴部216は、骨部材に挿入可能な伸張シャフトを備える。胴部216はネジ山を持たずに描かれているが、他の実施形態では、胴部216は全長の少なくとも1部に沿って延びる複数のネジ山を備える。ネジ山は単条ネジ山でもよいし、二条ネジ山でもよい。
【0038】
図6Bは、いくつかの実施形態に係る、係止機構230が挿入された図6のアンカー211の断面図である。係止機構230は複数の拡張フィンガ232を含み、各フィンガはヘッド部214の少なくとも1つのアーム220の内壁227と係合する。いくつかの実施形態では、ヘッド部アーム220の1つまたはそれ以上の内壁227は、図6Cに示すように係止機構230の拡張フィンガを収容する溝またはスロット234を含む。係止機構230を下方向へヘッド部214に挿入すると、係止機構の拡張フィンガ232はヘッド部のスロット234を下方へ摺動させ、ヘッド部を外方に拡張および伸張させる。いくつかの実施形態では、係止機構の拡張フィンガ232は先細である。アンカーの拡張フィンガ232を収容するスロット234も先細にすることができる。都合の良いことに、アンカーアームの拡張を促進することに加えて、アンカー211のスロット234は係止機構230をアンカー211内で適切な配向に誘導することも助ける。
【0039】
図6Cは、図6Bのアンカーおよび係止機構の上面図である。この視点から示すように、係止機構230の拡張フィンガ232は、アンカーアーム220の内壁に沿って摺動可能にスロット234に挿入されて、アンカーのヘッドを外方向に伸張させる。
【0040】
係止機構230の上部は図6Cでは可視である。図示されるように、係止機構230の上部は、器具係合に適した中央円形部233を含むことができる。また、係止機構230の中央円形部233は好都合なことに、係止機構230とアンカー211間で集約された係止力を維持することによって、拡張フィンガ232の間で均等に力を分散させることができる。
【0041】
図7Aは、いくつかの実施形態に係る別の係止機構の側面図である。係止機構230は、1つまたはそれ以上の拡張フィンガ232を備える上側ヘッド部236と下側シャフト部238とを含む。例示の実施形態では、係止機構230は4つの拡張フィンガ232a、232b、232c、232dを含む。拡張フィンガ232はアンカーヘッドのアームの内壁に係合することによって、アンカーヘッドの拡張を推進する。
【0042】
図7Aに示すように、係止機構の下側シャフト部238は1つまたはそれ以上の圧縮スロット241を含むことができる。例示の実施形態では、圧縮スロット241はシャフト部238内の箇所からシャフト部238の遠位端まで延在する。係止機構230がアンカー211に挿入されると、下側シャフト部238をアンカーの内壁(図6Bに示す)に押圧させて、好都合に係止機構230のアンカー211への挿入を促進することができる。
【0043】
図7Cは、図7Aの係止機構の上面図である。拡張フィンガ232a、232b、232c、232dは中央円形部233を中心に対称に描かれている。この対称性により、好都合なことに力は係止機構の周囲で均等に分布される。別の実施形態では、拡張フィンガ232は中央円形部を中心に対称でなくてもよい。
【0044】
図8Aは、いくつかの実施形態に係るアンカー211の係止機構230の第1の位置の断面図である。図示されるように、アンカー211の外側アーム220の部分は、プレート250の形状の整形外科装置の内壁に接触している。しかしながら、係止機構230がアンカー211を通って下方へ完全に挿入されないと、アンカーのアーム220は外方向へ拡張されず、アンカー211はプレート250に対して自由に移動する。この第1の位置では、係止機構230は、アンカー211のヘッド部に挿入される過程にある。図示されるように、係止機構230の上部はアンカー211の上面の上方にある。この第1の位置で、アンカー211のアーム220はまだ完全に拡張され内壁に強く押し当てられていないため、アンカー211の配向および位置をプレート250に対して調節することができる。
【0045】
図8Bは、いくつかの実施形態に係るアンカー211の係止機構230の第2の位置の断面図である。本図では、係止機構230をアンカー211を通って下方へさらに挿入することによって、アンカーのアーム220を外方向に拡張させることができる。アンカーアーム220が外方向に拡張されると、プレート250の内壁に押しつけられることによって確実な嵌合を形成する。よって、アンカー211の位置および角度がプレート250に対して固定されることによって確実なアセンブリを形成する。
【0046】
図9Aは、いくつかの実施形態に係る整形外科装置アセンブリ300の側面図である。アセンブリ300はアンカー211に固定されるプレート部材250を備える。係止機構230をアンカー211の上側開口部に挿入することによって、アンカーのアームは外方向に拡張して、アンカー211をプレート部材250に固定することができる。
【0047】
図9Bは、図9Aの整形外科装置アセンブリの断面図である。この視点から、当業者は、係止機構230がアンカー220に完全に挿入されてアンカー220をプレート部材250に固定するプロセスにあることを認識することができる。
【0048】
係止アセンブリの使用方法を以下説明する。いくつかの実施形態では、プレート部材などの整形外科装置を治療部位に配向および配置することができる。整形外科装置は、アンカー部材を収容して、整形外科装置を治療部位に固定する1つまたはそれ以上の開口を含む。アンカー部材は整形外科装置の開口に挿入することができる。アンカー部材は、係止機構が挿入されるまで、整形外科装置に対して様々な位置および/または配向に自由に移動できる。係止機構はアンカー部材の内壁に係合して、整形外科装置内でアンカー部材を伸張させる1つまたはそれ以上の拡張アームを備えることができる。いったん伸張すれば、アンカー部材は整形外科装置に固定されることによって、強固なアセンブリを形成する。
【0049】
〔多機能器具〕
上述の係止骨ネジアセンブリと協働する、特に図6A〜9Bに示すような新規な器具について以下説明する。これらの器具は好都合なことに多機能であり、アンカーを骨部材に駆動することと、アンカーをプレート部材などの整形外科装置に固定する係止機構を提供することの両方に寄与することができる。有利なことに、多機能器具はアンカーを整形外科装置に固定する新規な「係止への圧入」特徴を提供することができる。
【0050】
図10A〜10Iは、いくつかの実施形態に係る多機能挿入器具の様々な図である。挿入器具400は取っ手410を備える近位部402と遠位部405とを備える。遠位部405は、図7A〜7Cに示すように係止機構を保持することができる。
【0051】
多機能挿入器具400は、3つの異なる特徴:駆動特徴、コッキング/セッティング特徴、キャッチ・リリース特徴を好都合に備えるように構成される。駆動特徴により、図6A〜6Cに示すようなアンカーを骨部材内へ駆動することができる。コッキング特徴は、アンカーを整形外科装置に固定するようにアンカーに圧入するための図7A〜7Cに示すような係止機構を提供する。キャッチ・リリース特徴はコッキング特徴と協働し、係止機構をアンカー内へ強制的に解放する。キャッチ・リリース特徴は圧入力を使用して係止機構をアンカーへ駆動することによって、アンカーを伸張させて整形外科装置へ固定する。よって、この器具は、その他の器具には見られない新規な「係止への圧入」という概念に基づく。これらの複数の特徴をサポートする器具400の特徴について以下詳細に説明する。
【0052】
図10Aは、多機能挿入器具400の測断面図である。図示されるように、多数の特徴が、器具の近位部402の取っ手410のハウジング411内に包含されている。駆動特徴に関連する駆動シャフト419は、取っ手410内から器具の遠位部405(図10Bに示す)まで延在する。コッキングスリーブ422も取っ手410内から器具の取っ手外のさらに遠位部分へと延在する。コッキングスリーブ422は1つまたはそれ以上のコッキングピン426と接触して移動し、ハンマーシャフト431を器具に沿って軸方向に移動させる。コッキングピン426およびハンマーシャフト431は取っ手410内に完全に収容される。コッキングスリーブ422、コッキングピン426、ハンマーシャフト431は、係止への圧入のために係止機構を準備するコッキング特徴に関連する。ハンマーシャフト431は、係止への圧入前にハンマーシャフトを捕捉するキャッチピン442と相互作用する。ボタン452は、ハンマーシャフト431をキャッチピン442から解放するように設けられ、そのことが器具400の遠位端にある係止機構をアンカーに追いやる。よって、キャッチピン442とボタン452は器具のリリース特徴に関連する。
【0053】
駆動特徴の器具部品を図10Cに示す。図10Cは取っ手410の内部と内部を通って延在する駆動シャフト419の斜視図である。アンカーを骨へ駆動するのに使用可能な駆動シャフト419は、取っ手410内の平坦面421に形成される補完的な鍵状ポケット461と結合する鍵状パターン部463を含む。例示の実施形態では、駆動特徴の鍵状パターン部463は複数の延在突出部を備えるが、鍵状ポケット461と噛み合い整合する限り、その他の設計も可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、パターン部は、取っ手内の補完的なポケットに納まる複数の縁部を有する平行四辺形を備えることができる。駆動特徴の鍵状パターン部463と取っ手内の鍵状ポケット461との位置合わせは、都合のよいことに、コッキング特徴とキャッチ・リリース特徴を実行する能力を保持しつつ、取っ手410を回転させ、アンカーを骨に駆動するねじれ防止特徴を提供する。
【0054】
コッキング特徴の器具部品を図10Dおよび10Eに示す。図10Dは、コッキングスリーブ422とコッキングピン426とを含む取っ手410内部の透視断面図である。図10Eはシャフトハンマー431をさらに含む取っ手410内部の透視断面図である。
【0055】
図10Dに示すように、器具400は取っ手の遠位部を超えて延在するコッキングシャフト422を含む。コッキングシャフト422は、取っ手の全長に沿って軸方向に上下に移動するように構成される。いくつかの実施形態では、コッキングシャフト422はユーザの指などによって手動で作動される。
【0056】
コッキングシャフト422は動作可能に複数のコッキングピン426に接続される。コッキングピン426は、取っ手内の平坦面421に形成される加工穴416を通って延在する。コッキングシャフト422の軸方向移動は同時に、取っ手の長に沿ってコッキングピン426を移動させる。例示の実施形態は3つのコッキングピン426を示しているが、器具のセッティングを助けるのに4つ以上または2つ以下のピンを設けることができる。
【0057】
図10Eに示すように、コッキングピン426の上部はハンマーシャフト431に接触することができる。ハンマーシャフト431は、拡張シャフト432を備えるディスク部433を備える。ハンマーシャフト431の上部434は、図10Gに示すようにキャッチピンの拡張を助けるように面取りされている。ハンマーシャフト431の遠位部(図示せず)は図7Aに示すように係止機構に装着される。コッキングピン426が取っ手に沿って軸方向上方に移動する際、コッキングピン426はハンマーシャフト431のディスク部433の底部に押しつけて、ハンマーシャフト431を上方に移動させることができる。ハンマーシャフト431が上方に移動すると、「発射位置」に配置されることで、捕捉され、その後解放されて、後述するように係止への圧入特徴を実行する。
【0058】
器具のキャッチ・リリース特徴を図10F〜101に示す。図10Fは、ハンマーシャフトを発射位置に設定する前のハンマーシャフト431の透視断面図である。図10Gは、キャッチピン482の支援で発射位置に搭載される過程のハンマーシャフト431の前面概略図である。図10Hは、発射位置に搭載される過程のハンマーシャフト431の透視断面図である。図10Iは、解放または発射される過程のハンマーシャフト431の前面概略図である。
【0059】
器具400のキャッチ・リリース特徴は、1セットの溝内を移動する1つまたはそれ以上のキャッチピン482に基づき、溝の1つは中央長軸に垂直なハウジング内に配置され、別の1つはリリースボタンに近接して配置される。キャッチピン482は、解放および圧入前にハンマーシャフト431の上部434を捕捉して、ハンマーシャフト431を保持するように設計される。図10Gに示すように、ハンマーシャフト431は上方に移動して、ハンマーシャフト431の上部434がキャッチピン482を押して接触する。上部434の面取り面は都合のよいことに、図10Gに示すようにキャッチピン482の垂直な拡張を助ける。外方向への拡張後、キャッチピン482は戻ってハンマーシャフト434の上部434の底部を捕捉することによって、発射および解放前にハンマーシャフト431を捕捉して適所に保持する。ハンマーシャフト431が解放の準備が整うと、リリースボタン452を押すことができる。リリースボタン452を押すと、ピン482が図10に示すように器具400の中央長軸から離れる角度で外方向に拡張されることによって、ハンマーシャフト431を捕捉から解放する。解放されたハンマーシャフト431は下方に低下して係止機構をアンカーに圧入および係止することによって、アンカーを整形外科装置に固定する。
【0060】
図10F〜10Iに示すように、ハンマーシャフト431は下側平坦面421とハンマーシャフト431の上側面取り部434間に配置されるバネ部材479を備えることができる。したがって、ハンマーシャフト431は、係止機構をアンカーに圧入するキャッチ・リリースが可能なバネ装置を備えることができる。
【0061】
好都合なことに、器具400は、アンカーを骨部材に挿入することと、アンカーを整形外科装置に固定することの両方の機能を果たす。これらの機能はどちらも同時にまたは交互に実行することができる。
【0062】
図11Aおよび11Bは、いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。上述の挿入器具と同様、挿入器具500はアンカーを骨部材へと駆動するだけでなく、係止機構をアンカーに圧入してアンカーを整形外科装置に固定するように構成される。
【0063】
しかしながら、上述の挿入器具とは異なり、器具500は、取っ手本体の外部に配置されるキャッチ・リリース特徴を含む。図11Aは挿入器具500の斜視図であり、図11Bは器具500の外側キャッチ・リリース特徴の接写図である。
【0064】
図11Aに示すように、挿入器具500は取っ手を備える近位部502と遠位部505とを含む。遠位部505は係止機構を把持してアンカー(図示せず)に圧入することができる。近位部内では、ハンマーシャフト531は上方に移動することができる。ハンマーシャフト531はバネまたはコイル部材579と協働して、係止機構をアンカーに圧入するバネ力を生成することができる。
【0065】
挿入器具のキャッチ・リリース特徴は図11Bに接写で示される。キャッチ・リリース特徴は、動作可能に接続され、一体的に移動するキャッチ部材526とリリース部材522とを備える。キャッチ部材526は、ハンマーシャフト531にピン部材535を捕捉するキャッチ位置538を含む。リリース部材526は、キャッチ部材526と協働する緩めバネ523を含む。ハンマーシャフト531が上方に移動すると、ピン部材535は解放と圧入に備えてキャッチ部材526のキャッチ位置538に収容することができる。
【0066】
図11Bに示すように、キャッチ部材526は、リリース部材522の止め部として機能する縁部を含む。アセンブリは、縁部を収容し、縁部を有する止め部として機能するカウンターボア537を取っ手510に含む。器具をコッキングおよびセットするため、ハンマーシャフト531は取っ手510に向かって軸方向上方に押される。この移動中、緩めバネ523が圧縮されて、キャッチ部材526を主軸から外れさせる。この移動により、キャッチ部材のピン部材535はキャッチ位置538に形成される溝にアクセスすることができる。この地点で、ハンマーシャフト531は解放と圧入の準備ができている。ハンマーシャフト531を解放するため、リリース部材526を押圧して、ピンがキャッチ位置538の溝を見つけるまでキャッチ部材を移動させることができる。ハンマーシャフト531の解放後、係止機構がアンカーに圧入されて、アンカーを整形外科装置に固定する。
【0067】
図12A〜12Dは、いくつかの実施形態に係る別の多機能挿入器具の様々な図である。器具600は、取っ手610を有する近位部602、中間スリーブ612、遠位部605を備え、それらを連続して固定することができる。これらの3つの部品は、器具の近位部602近傍の発射バネ618および発射シリンダ622と、器具の遠位部605近傍の緩めバネ628および回転リリース633とを包含するハウジングを形成する。器具600の遠位部605は、係止機構のヘッドを把持する遠位端663(図12Dに示す)を有する把持素子661も包含する。
【0068】
回転リリース633と発射シリンダ622との相互作用は、係止機構をアンカーのヘッドへ追いやる把持素子661上の圧入機構の形成を助ける。上述の器具とは異なり、器具600はキャッチ・リリース機能を含んでいない。器具600はより詳細に後述するように、回転リリース633の位置合わせに基づき圧入機構をトリガして、係止機構をアンカーのヘッドに圧入させる。
【0069】
回転リリース633は、先細側壁637を介して延長細先端部635へと移行する本体部634を備える。細先端部635は取っ手610の方向に延在する。使用中、回転リリース633は緩めバネ635内の少なくとも1部に保持される。自然状態において、回転リリース633は器具600の中央長軸に位置合わせされていない。この状態で、回転リリースの細先端部635は。中央長軸からある角度で湾曲し配向されている(たとえば、位置ずれ)。この位置ずれによりできた妨害によって発射バネ618が圧迫される。
【0070】
圧入力を生成するため、回転リリース633の細先端部635は、発射シリンダ622に形成される中央穴625と整合して配置されるべきである。いくつかの実施形態では、回転リリース633の細先端部635を中央穴625と並べるため、ユーザは器具、たとえば取っ手610の後端652を押し下げる。ユーザが押し下げると、緩めバネ635は回転リリース633が器具の中央長軸と並ぶように回転リリース633を圧縮し安定させる。いったん回転リリース633が中央長軸と位置合わせされると、回転リリースの細先端部635は発射シリンダ622に形成される回転リリース穴625に落ちて、発射シリンダ穴625に圧入されて回転リリース633の底を打つ。圧入力は圧縮された発射バネ618によって生成され、把持素子661を器具600の遠位端を通って追い出す。係止機構は把持素子661に接続されており、係止機構が圧入されアンカーに挿入されることによってアンカーを整形外科装置に固定する。
【0071】
本発明をこのように説明したが、本発明はいろいろな方法で変形可能であることが明らかである。このような変形は本発明の精神と範囲から逸脱するとみなされるべきではなく、このような変形はすべて、当業者にとって自明であるように、以下の請求項の範囲に含まれると意図される。
(付記事項)
本発明は以下のように表現されてもよい。すなわち、本発明の態様1に係る整形外科アセンブリは、開口を有するプレート部材と、前記プレート部材の前記開口に挿入可能なアンカーと、前記アンカーに挿入可能であり、前記アンカーを伸張させて前記アンカーを前記プレート部材に固定することができる係止機構と、前記係止機構を圧入プロセスを介して前記アンカーに送達する挿入器具と、を備える。
また、本発明の態様2に係る整形外科アセンブリは、前記態様1において、前記挿入器具が、前記アンカーを骨部材に挿入するのを助ける鍵状パターン部付きのシャフトを備えていてもよい。
また、本発明の態様3に係る整形外科アセンブリは、前記態様1において、前記挿入器具が、複数のコッキングピンに動作可能に装着される摺動可能なコッキングスリーブを備えていてもよい。
また、本発明の態様4に係る整形外科アセンブリは、前記態様1において、前記挿入器具がハンマーシャフトと複数のキャッチピンとを備えていてもよい。
また、本発明の態様5に係る整形外科アセンブリは、前記態様1において、前記挿入器具が複合キャッチ・リリース機構を備えていてもよい。
また、本発明の態様6に係る整形外科アセンブリは、前記態様1において、前記挿入器具が中立状態で位置ずれしている回転リリースを備えていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D