【文献】
SA1,Reply LS on organization of the work on public safety[online], 3GPP TSG-RAN♯57 RP-120923,2012年 9月 7日,p.8-10, 16-18, 22-23,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/TSG_RAN/TSGR_57/Docs/RP-120923.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記距離情報は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれから送信された上りリンク信号を前記基地局が受信するタイミングから求められる前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの伝搬遅延時間に応じて定められることを特徴とする請求項5に記載の移動通信システム。
前記距離情報は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれから送信された上りリンク信号の送信電力と、前記上りリンク信号を前記基地局が受信する際の受信電力とから求められる前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの伝搬損失に応じて定められることを特徴とする請求項5に記載の移動通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
実施形態に係る移動通信システムは、基地局と、前記基地局との接続を確立する第1ユーザ端末と、前記基地局を経由して前記第1ユーザ端末との通信を行う第2ユーザ端末と、を有し、直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする。
【0010】
実施形態において、前記第1ユーザ端末と前記第2ユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定された場合に、前記基地局は、前記D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号を送信させるための指示を前記第1ユーザ端末に送信する。これにより、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とが通信を行っている場合に、第1ユーザ端末に発見用信号を送信させ、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによるD2D通信を促す。基地局を介して行われる通信に代えて、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによるD2D通信を行うことにより、基地局の負荷を低減させることができる。したがって、D2D通信を有効活用できる。なお、「通信相手端末の発見」とは、通信相手端末を発見すること(Discover)に限らず、通信相手端末から発見されること(Discoverable)も含む。
【0011】
実施形態において、前記第1ユーザ端末と前記第2ユーザ端末とによる前記D2D通信の可否を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの位置情報に基づいて、前記第1ユーザ端末と前記第2ユーザ端末とが近接していると推定する場合に、前記第1ユーザ端末と前記第2ユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定する。これにより、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とが近接している可能性が高いため、第2ユーザ端末は、第1ユーザ端末からの発見用信号を受信できる可能性が高く、第1ユーザ端末が無駄な発見用信号を送信せずにすむ。
【0012】
実施形態において、前記判定部は、前記基地局に設けられる。これにより、基地局が第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによる前記D2D通信の可否を直接判定できる。
【0013】
その他の実施形態において、前記判定部は、前記基地局の上位装置に設けられる。これにより、第2ユーザ端末が基地局に隣接する隣接基地局と接続を確立している場合であっても、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによる前記D2D通信の可否を判定できる。
【0014】
第1実施形態において、前記位置情報は、前記基地局を基準とした前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの方向を示す方向情報と、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれと前記基地局との間の距離を示す距離情報と、を含む。これにより、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末のそれぞれの位置を特定することができるため、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによるD2D通信が可能か否かの判定の精度を向上できる。
【0015】
第1実施形態において、前記基地局は、マルチアンテナ伝送により前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれと通信を行っており、前記方向情報は、前記マルチアンテナ伝送における指向性パターンに応じて定められる。これにより、基地局は、マルチアンテナ伝送を活用して、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末のそれぞれの方向を推定することができる。
【0016】
第1実施形態において、前記距離情報は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれから送信された上りリンク信号を前記基地局が受信するタイミングから求められる前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの伝搬遅延時間に応じて定められる。これにより、基地局は、送信タイミングの調整処理(タイミングアドバンス処理)を活用して、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末のそれぞれと基地局との間の距離を推定することができる。
【0017】
第1実施形態において、前記距離情報は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれから送信された上りリンク信号の送信電力と、前記上りリンク信号を前記基地局が受信する際の受信電力とから求められる前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの伝搬損失に応じて定められる。これにより、基地局は、上りリンクの送信電力制御の情報を活用して、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末のそれぞれと基地局との間の距離を推定することができる。
【0018】
第2実施形態において、位置情報は、全地球測位システムによって求められた前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの位置を示す情報を含む。これにより、第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの位置が正確に求まるため、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによるD2D通信が可能か否かの判定の精度を向上できる。
【0019】
第3実施形態において、前記位置情報は、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末のそれぞれの在圏セルを示す情報であり、前記判定部は、前記第1ユーザ端末が在圏するセル、又は、前記第1ユーザ端末が在圏するセルに隣接する隣接セルに前記第2ユーザ端末が在圏する場合に、前記第1ユーザ端末と前記第2ユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定する。これにより、基地局は、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末のそれぞれの位置を特定しなくても、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末とによるD2D通信が可能か否かの判定をすることができる。
【0020】
実施形態において、前記指示は、前記発見用信号を送信させるタイミングを指定する情報を含む。これにより、基地局は、発見用信号を送信させるタイミングを制御できる。
【0021】
第3実施形態において、前記基地局に隣接する隣接基地局を有し、前記基地局は、前記第2ユーザ端末が前記隣接基地局と接続を確立している場合に、前記隣接基地局から前記第2ユーザ端末の前記位置情報を取得する。これにより、基地局は、基地局と接続を確立していない第2ユーザ端末の位置情報を取得できるため、D2D通信が可能と判定できるエリアが広がる。
【0022】
実施形態において、前記第1ユーザ端末は、前記指示を受信した場合に、前記基地局へのデータ送信を停止する。これにより、D2D通信を行うための準備中に、第1ユーザ端末は、基地局へデータを送信せずにすむため、第1ユーザ端末の負荷を低減できる。
【0023】
実施形態において、直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする移動通信システムにおける基地局であって、前記基地局との接続を確立する第1ユーザ端末と、前記基地局を経由して前記第1ユーザ端末との通信を行う第2ユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定された場合に、前記D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号を送信させるための指示を前記第1ユーザ端末に送信する制御部を有する。
【0024】
実施形態において、直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする移動通信システムにおける基地局に備えられるプロセッサであって、前記基地局との接続を確立する第1ユーザ端末と、前記基地局を経由して前記第1ユーザ端末との通信を行う第2ユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定された場合に、前記D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号を送信させるための指示を前記第1ユーザ端末に送信する処理を実行する。
【0025】
実施形態において、直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする移動通信システムにおいて、基地局との接続を確立するユーザ端末であって、前記ユーザ端末と、前記基地局を経由して前記ユーザ端末との通信を行う他のユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定された場合に前記基地局から送信された指示を受信する受信部と、前記受信部が前記指示を受信した場合に、前記D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号を送信する制御部と、を有し、前記指示は、前記発見用信号を送信させるための指示である。
【0026】
実施形態において、直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする移動通信システムにおいて、基地局との接続を確立するユーザ端末に備えられるプロセッサであって、前記ユーザ端末と、前記基地局を経由して前記ユーザ端末との通信を行う他のユーザ端末とによる前記D2D通信が可能と判定された場合に前記基地局から送信された指示を受信する処理を実行し、前記受信部が前記指示を受信した場合に、前記D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号を送信する処理を実行し、前記指示は、前記発見用信号を送信させるための指示である。
【0027】
以下、図面を参照して、3GPP規格に準拠して構成されるセルラ移動通信システム(以下、「LTEシステム」)にD2D通信を導入する場合の各実施形態を説明する。
【0028】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について、説明する。
【0029】
(LTEシステム)
図1は、本実施形態に係るLTEシステムの構成図である。
【0030】
図1に示すように、LTEシステムは、複数のUE(User Equipment)100と、E−UTRAN(Evolved Universal Radio Access Network)10と、EPC(Evolved Packet Core)20と、を含む。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。
【0031】
UE100は、移動型の無線通信装置であり、接続を確立したセル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100はユーザ端末に相当する。
【0032】
E−UTRAN10は、複数のeNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は基地局に相当する。eNB200は、セルを管理しており、セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。
【0033】
なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0034】
eNB200は、例えば、無線リソース管理(RRM)機能と、ユーザデータのルーティング機能と、モビリティ制御及びスケジューリングのための測定制御機能と、を有する。
【0035】
EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、OAM400(Operation and Maintenance)と、を含む。
【0036】
MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行うネットワークノードであり、制御局に相当する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行うネットワークノードであり、交換局に相当する。
【0037】
eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。また、eNB200は、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。
【0038】
OAM400は、オペレータによって管理されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行う。
【0039】
次に、UE100及びeNB200の構成を説明する。
【0040】
図2は、UE100のブロック図である。
図2に示すように、UE100は、アンテナ101と、無線送受信機110と、ユーザインターフェイス120と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130と、バッテリ140と、メモリ150と、プロセッサ160と、を有する。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。
【0041】
UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ160’としてもよい。
【0042】
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ101は、複数のアンテナ素子101♯1〜101♯nを含む。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号を信号処理した後、アップコンバート及び増幅などを行ってアンテナ101から無線信号を送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号の増幅及びダウンコンバートを行った後、ベースバンド信号を信号処理してプロセッサ160に出力する。
【0043】
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。
【0044】
GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。
【0045】
バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
【0046】
メモリ150は、プロセッサ160によって実行されるプログラムと、プロセッサ160による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0047】
プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0048】
図3は、eNB200のブロック図である。
図3に示すように、eNB200は、アンテナ201と、無線送受信機210と、ネットワークインターフェイス220と、メモリ230と、プロセッサ240と、を有する。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。また、メモリ230及びプロセッサ240は、判定部を構成する。なお、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ240’としてもよい。
【0049】
アンテナ201は、複数のアンテナ素子201♯0〜201♯3を含む。アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号を信号処理した後、アップコンバート及び増幅などを行って無線信号をアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、受信信号の増幅及びダウンコンバートなどを行った後、ベースバンド信号を信号処理してプロセッサ240に出力する。
【0050】
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
【0051】
メモリ230は、プロセッサ240によって実行されるプログラムと、プロセッサ240による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0052】
プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0053】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
【0054】
図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルのレイヤ1乃至レイヤ3に区分されており、レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Media Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
【0055】
物理レイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。物理レイヤは、物理チャネルを用いて上位レイヤに伝送サービスを提供する。UE100の物理レイヤとeNB200の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。
【0056】
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。eNB200のMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式など)、及び割り当てリソースブロックを決定するMACスケジューラを含む。
【0057】
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。
【0058】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0059】
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のための制御信号(RRCメッセージ)が伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100は接続状態であり、そうでない場合、UE100はアイドル状態である。
【0060】
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0061】
図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ使用される。
【0062】
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各シンボルの先頭には、サイクリックプレフィックス(CP)と呼ばれるガード区間が設けられる。リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのサブキャリア及び1つのシンボルにより構成される無線リソース単位はリソースエレメント(RE)と称される。
【0063】
UE100に割り当てられる無線リソースのうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0064】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主に物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、セル固有参照信号(CRS)が分散して配置される。
【0065】
PDCCHは、制御信号を搬送する。制御信号は、例えば、上りリンクSI(Scheduling Information)、下りリンクSI、TPCビットである。上りリンクSIは上りリンクの周波数・時間リソースの割当てを示し、下りリンクSIは、下りリンクの周波数・時間リソースの割当てを示す。TPCビットは、上りリンクの送信電力の増減を指示する信号である。
【0066】
PDSCHは、制御信号及び/又はユーザデータを搬送する。例えば、下りリンクのデータ領域は、ユーザデータにのみ割当てられてもよく、ユーザデータ及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0067】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームにおける周波数方向の中央部は、主に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、復調参照信号(DMRS)及びサウンディング参照信号(SRS)が配置される。
【0068】
PUCCHは、制御信号を搬送する。制御信号は、例えば、PMI(Precoding Matrix Indicator)である。
【0069】
PUSCHは、制御信号及び/又はユーザデータを搬送する物理チャネルである。例えば、上りリンクのデータ領域は、ユーザデータにのみ割当てられてもよく、ユーザデータ及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0070】
(D2D通信)
次に、LTEシステムの通常の通信(セルラ通信)とD2D通信とを比較して説明する。
【0071】
図6は、セルラ通信におけるデータパスを示す図である。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でセルラ通信を行う場合を例示している。なお、データパスとは、ユーザデータ(ユーザプレーン)の転送経路を意味する。
【0072】
図6に示すように、セルラ通信のデータパスはネットワークを経由する。詳細には、eNB200−1、S−GW300、及びeNB200−2を経由するデータパスが設定される。
【0073】
図7は、D2D通信におけるデータパスを示す図である。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でD2D通信を行う場合を例示している。
【0074】
図7に示すように、D2D通信のデータパスはネットワークを経由しない。すなわち、UE間で直接的な無線通信を行う。このように、UE100−1の近傍にUE100−2が存在するのであれば、UE100−1とUE100−2との間でD2D通信を行うことによって、ネットワークのトラフィック負荷及びUE100のバッテリ消費量を削減するなどの効果が得られる。なお、Locally Routedというモードでは、データパスがS−GW300を経由せずにeNB200を経由する。
【0075】
なお、D2D通信が開始されるケースとして、(a)相手端末を発見するための動作を行うことによって相手端末を発見した後に、D2D通信が開始されるケースと、(b)相手端末を発見するための動作を行わずにD2D通信が開始されるケースがある。
【0076】
例えば、上記(a)のケースでは、UE100−1及びUE100−2のうち一方のUE100が、近傍に存在する他方のUE100を発見することで、D2D通信が開始される。
【0077】
このケースの場合、UE100は、相手端末を発見するために、自身の近傍に存在する他のUE100を発見する(Discover)機能、及び/又は、UE100は、他のUE100から発見される(Discoverable)機能を有する。
【0078】
なお、UE100は、相手端末を発見しても必ずしもD2D通信を行う必要はなく、例えば、UE100−1及びUE100−2は、互いに相手を発見した後に、ネゴシエーションを行って、D2D通信を行うか否かを判定してもよい。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、D2D通信を行うことに同意した場合に、D2D通信を開始する。
【0079】
一方、上記(b)のケースでは、例えば、UE100は、ブロードキャストによってD2D通信用の信号の報知を開始する。これにより、UE100は、相手端末の発見の有無にかかわらず、D2D通信を開始できる。
【0080】
(第1実施形態に係る移動通信システムの動作)
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの動作について、(1)全体動作、(2)eNB200の動作、(3)UE100−1の動作、(4)UE100−2の動作の順に説明する。
【0081】
(1)全体動作
図8及び
図9を参照しながら、全体動作について説明する。
【0082】
図8は、UE100−1及びUE100−2とeNB200との位置関係を示す図である。
【0083】
図8に示すように、UE100−1及びUE100−2は、eNB200が管理するセル250に存在する。また、UE100−1及びUE100−2は、それぞれeNB200との接続を確立している。UE100−1及びUE100−2は、eNB200を経由してセルラ通信を行う。
【0084】
図9は、本実施形態に係る通信管理テーブルを示す図である。ここで、通信管理テーブルは、セルラ通信を行っているUE100のペア(UE100−1及びUE100−2)がD2D通信を可能か否かの判定結果を少なくとも記録したテーブルである。通信管理テーブルは、eNB200によって管理されている。すなわち、通信管理テーブルは、eNB200のメモリ230に記憶されている。
【0085】
図9に示すように、本実施形態において、通信管理テーブルは、「eNB200と接続を確立中のUE」、「通信相手のUE」、「eNB200と接続を確立中のUEと通信相手のUEとの間の距離」、「D2D通信の可否」及び「D2D通信中」を記録している。
【0086】
「eNB200と接続を確立中のUE」は、eNB200と接続を確立中の各UE100の識別情報を示す。「通信相手のUE」は、eNB200と接続を確立中の各ユーザ端末の通信相手であるユーザ端末の識別情報を示す。「eNB200と接続を確立中のUEと通信相手のUEとの間の距離」は、eNB200と接続を確立中の各ユーザ端末と当該各ユーザ端末の通信相手であるユーザ端末との間の距離を示す。「D2D通信の可否」は、eNB200と接続を確立中の各ユーザ端末がD2D通信が可能か否かを示す。「D2D通信中」は、eNB200と接続を確立中の各ユーザ端末がD2D通信を行っているか否かを示す。
【0087】
図10は、第1実施形態に係る全体動作のシーケンス図の一例である。
【0088】
図10に示すように、ステップ101において、UE100−1及びUE100−2は、eNB200を経由してセルラ通信を行う。
【0089】
ステップ102において、eNB200は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置情報を取得する。位置情報を取得する動作の詳細については、後述する。さらに、eNB200は、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か判定する。具体的には、eNB200は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置情報に基づいて、UE100−1とUE100−2とが近接していると推定する場合に、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定する。UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か否かを判定した結果は、通信管理テーブルに記録される。
【0090】
ここでは、eNB200が、UE100−1とUE100−2とが近接していると推定し、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定したと仮定して説明を進める。
【0091】
ステップ103において、eNB200は、通信管理テーブルからD2D通信可能なペアを選択する。本実施形態では、eNB200は、D2D通信可能なペアとして、UE100−1及びUE100−2を選択する。
【0092】
ステップ104において、eNB200は、D2D通信可能なペアの少なくとも1つにDiscovery信号を送信させるための指示であるDiscovery指示信号を送信する。なお、Discovery信号は、D2D通信における通信相手端末の発見に使用される発見用信号に相当する。
【0093】
本実施形態では、eNB200は、UE100−1にDiscovery指示信号を送信する。UE100−1は、Discovery指示信号を受信する。
【0094】
ステップ105において、Discovery指示信号を受信したUE100−1は、Discovery信号を送信する。UE100−2は、Discovery信号を受信する。
【0095】
ステップ106において、Discovery信号を受信したUE100−2は、Discovery信号に対する応答信号(以下、Discovery応答信号)をUE100−1に送信する。UE100−1は、Discovery応答信号を受信する。
【0096】
ステップ107において、Discovery応答信号を受信したUE100−1は、UE100−2からDiscovery応答信号を受信したことをeNB200へ報告する。
【0097】
ステップ108において、報告を受けたeNB200は、スケジューリングを行う。具体的には、UE100−1とUE100−2との間の通信(D2D通信)に使用する無線リソースの割り当てを行う。
【0098】
ステップ109において、eNB200は、スケジューリング情報をUE100−1に送信する。スケジューリング情報は、UE100−1とUE100−2との間のD2D通信に割り当てた無線リソースを示す情報である。
【0099】
ステップ110において、UE100−1とUE100−2とは、D2Dリンクを確立するために用いられる情報の交換(negotiation)を行う。D2Dリンクを確立するために用いられる情報とは、例えば、スケジューリング情報である。
【0100】
ステップ111において、UE100−1とUE100−2との間に、D2Dリンクが確立され、UE100−1とUE100−2とは、D2D通信を行う。
【0101】
ステップ112において、UE100−1は、UE100−1とUE100−2との間にD2Dリンクが確立されたことをeNB200へ報告する。
【0102】
ステップ113において、報告を受けたeNB200は、UE100−1とUE100−2とがD2D通信中であることを通信管理テーブルへ記録する。また、eNB200は、UE100−1とUE100−2とのセルラ通信を終了する。
【0103】
(2)eNB200の動作
次に、eNB200の動作について、(2.1)位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作、(2.2)セルラ通信からD2D通信への切り替え動作、(2.3)通信管理テーブルの記録動作の順に説明する。
【0104】
(2.1)位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作
図11は、本実施形態に係る位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作のフローチャートである。本動作は、
図10におけるステップ102に対応する。
【0105】
本実施形態において、位置情報は、方向情報と距離情報とを含む。方向情報は、eNB200を基準としたUE100−1及びUE100−2のそれぞれの方向を示す情報である。距離情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれとeNB200との間の距離を示す情報である。
【0106】
図11に示すように、ステップ201において、プロセッサ240は、方向情報を取得する。本実施形態において、方向情報は、マルチアンテナ伝送における指向性パターンに応じて定められる。
【0107】
具体的には、ビームフォーミングが行われる場合は、UE100−1にビームが向く方向を示す情報をUE100−1の方向情報とする。ヌルステアリングが行われる場合は、UE100−1にヌルが向く方向を示す情報を方向情報とする。UE100−2の方向情報についても同様である。なお、UE100−1及びUE100−2のそれぞれからPMIがフィードバックされる場合、フィードバックされたPMIに基づいて、ビームフォーミング及び/又はヌルステアリングが行われる。
【0108】
以上の処理により、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの方向を示す方向情報を取得する。
【0109】
次に、
図11に示すように、ステップ202において、プロセッサ240は、距離情報を取得する。本実施形態において、距離情報は、以下の(A)又は(B)の方法を用いて取得される。
【0110】
(A)受信タイミング
距離情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれから送信された上りリンク信号(例えば、DMRS又はSRS)をeNB200が受信するタイミングから求められるUE100−1及びUE100−2のそれぞれの伝搬遅延時間に応じて定められる。
【0111】
具体的には、プロセッサ240は、上りリンクにおける送信タイミングの調整に使用されるUE100−1のタイミングアドバンス値(TA)から伝搬遅延時間を算出する。プロセッサ240は、算出したUE100−1の伝搬遅延時間とUE100−1の上りリンク信号の伝搬速度とによって、UE100−1とeNB200との間の距離を算出する。メモリ230は、算出されたUE100−1とeNB200との間の距離をUE100−1の距離情報として記憶する。同様にして、プロセッサ240は、UE100−2とeNB200との間の距離を算出し、メモリ230は、算出されたUE100−2とeNB200との間の距離をUE100−2の距離情報として記憶する。
【0112】
(B)受信電力
距離情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれから送信された上りリンク信号(例えば、DMRS又はSRS)の送信電力と、上りリンク信号をeNB200が受信する際の受信電力とから求められるUE100−1及びUE100−2のそれぞれの伝搬損失に応じて定められる。
【0113】
プロセッサ240は、上りリンクの送信電力制御の情報から伝搬損失を算出する。具体的には、プロセッサ240は、UE100−1から送信された上りリンク信号の送信電力と上りリンク信号をeNB200が受信する際の受信電力との差から、UE100−1の伝搬損失を算出する。算出された伝搬損失に応じたUE100−1とeNB200との間の距離を算出する。伝搬損失が大きいほど、UE100−1とeNB200との間の距離が長くなる。メモリ230は、算出されたUE100−1とeNB200との間の距離をUE100−1の距離情報として記憶する。同様にして、メモリ230は、UE100−2とeNB200との間の距離をUE100−2の距離情報として記憶する。
【0114】
次に、
図11に示すように、ステップ203において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間の距離を推定する。
【0115】
具体的には、プロセッサ240は、ステップ201において算出されたUE100−1の方向情報と、ステップ202において算出されたUE100−1の距離情報とから、UE100−1の位置を推定する。同様にして、プロセッサ240は、UE100−2の位置を推定する。
【0116】
なお、推定したUE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置を通信管理テーブルに記録してもよい。
【0117】
推定したUE100−1の位置と、推定したUE100−2との位置とによって、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間の距離を推定する。
【0118】
ステップ204において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間の距離が、所定の閾値未満であるか判定する。プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間の距離が所定の閾値未満であれば、ステップ205の処理を行い、UE100−1とUE100−2との間の距離が所定の閾値以上であれば、ステップ206の処理を行う。
【0119】
ここで、所定の閾値として、一方のユーザ端末(UE100−1)から送信されたDiscovery信号を他方のユーザ端末(UE100−2)が受信できる範囲の距離を示す値を適宜選択できる。
【0120】
ステップ205において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とが近接していると推定し、UE100−1とUE100−2とがD2D通信可能と判定する。
【0121】
ステップ206において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とが近接していないと推定し、UE100−1とUE100−2とがD2D通信不可能と判定する。
【0122】
(2.2)セルラ通信からD2D通信への切り替え動作
図12は、eNB200のセルラ通信からD2D通信への切り替え動作のフローチャートである。本動作は、
図10におけるステップ103からステップ113に対応する。
【0123】
図12に示すように、ステップ301において、プロセッサ240は、通信管理テーブルからD2D通信可能なUEペアを選択する。プロセッサ240は、D2D通信可能と判定したことをトリガーとして通信管理テーブルからD2D通信可能なUEペアを選択してもよい。または、プロセッサ240は、eNB200のトラフィック量が所定の閾値を超えたことをトリガーとして通信管理テーブルからD2D通信可能なUEペアを選択してもよい。
【0124】
ここでは、プロセッサ240が、通信管理テーブルからD2D通信可能なUEペアとして、UE100−1及びUE100−2のペアを選択したと仮定して説明を進める。
【0125】
図12に示すように、ステップ302において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のペアのうち、UE100−1にDiscovery指示信号を送信するように無線送受信機210を制御する。なお、プロセッサ240は、UE100−2にDiscovery指示信号を送信するように無線送受信機210を制御してもよいし、選択したペアの両方にDiscovery指示信号を送信するように無線送受信機210を制御してもよい。
【0126】
また、Discovery指示信号は、Discovery信号を送信させるタイミングを指定する情報を含んでいてもよい。当該情報として、例えば、Discovery指示信号を受信してから所定時間経過した後に、Discovery信号を送信させる情報であってもよい。また、当該情報として、Discovery信号を定期的に送信させる情報であってもよい。
【0127】
また、Discovery指示信号は、UE100−1がeNB200へのデータ送信を停止する情報を含んでいてもよい。具体的には、Discovery指示信号は、Discovery信号を送信してから後述のDiscovery応答信号を受信するまでの間(Discover動作中)は、UE100−1がペイロードを送信しなくてもよいという情報を含んでいてもよい。または、Discovery指示信号は、UE100−1が、Discover動作中は、eNB200が指定したPDCCHをデコードしないようにする情報を含んでいてもよい。
【0128】
ステップ303において、プロセッサ240は、UE100−1がDiscover成功したか、すなわち、UE100−1の通信相手であるUE100−2の発見に成功したかを判定する。
【0129】
具体的には、無線送受信機210が、UE100−2からDiscovery応答信号を受信したことの報告をUE100−1から受信した場合、プロセッサ240は、Discover成功と判定する。この場合(ステップ303において、「Yes」の場合)、ステップ304の処理に進む。
【0130】
一方、無線送受信機210が、所定時間経過するまでにDiscovery応答信号を受信したことの報告を受信しない場合、又は、UE100−2からDiscovery応答信号を受信できなかったことの報告をUE100−1から受信した場合、プロセッサ240は、Discover失敗と判定する。この場合(ステップ303において、「No」の場合)、ステップ309の処理に進む。
【0131】
ステップ304において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間の無線リソースのスケジューリングを行う。すなわち、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間のD2D通信に無線リソースを割り当てる。
【0132】
ステップ305において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2との間のD2D通信に割り当てた無線リソースを示すスケジューリング情報を送信するように無線送受信機210を制御する。
【0133】
ステップ306において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2Dリンクを確立したか判定する。
【0134】
具体的には、無線送受信機210が、D2Dリンクを確立したことの報告をUE100−1から受信した場合、プロセッサ240は、D2Dリンクを確立したと判定する。この場合(ステップ306において、「Yes」の場合)、ステップ307の処理に進む。
【0135】
一方、無線送受信機210が、所定時間経過するまでにD2Dリンクを確立したことの報告をUE100−1から受信しない場合、又は、D2Dリンクを確立できなかったことの報告をUE100−1から受信した場合、プロセッサ240は、D2Dリンクを確立できないと判定する。この場合(ステップ306において、「No」の場合)、ステップ309の処理に進む。
【0136】
ステップ307において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とのセルラ通信を終了する処理を行う。
【0137】
ステップ308において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のペアをD2D通信中のペアとして、通信管理テーブルに記録する。
【0138】
一方、ステップ309において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のペアをD2D通信不可能なペアとして、通信管理テーブルに記録する。
【0139】
(2.3)通信管理テーブルの記録
図13を参照しながらeNB200の通信管理テーブルの記録・更新動作を説明する。
図13は、eNB200の通信管理テーブルの記録動作のフローチャートである。
【0140】
図13に示すように、ステップ401において、プロセッサ240は、eNB200と接続を確立しているUE100−1が他のUE100とセルラ通信中であるか判定する。具体的には、プロセッサ240は、UE100−1が他のUE100とセルラ通信中であるか否かを上位装置(例えば、MME)に問い合わせる。以下、上位装置がMMEであると仮定して説明を進める。
【0141】
UE100−1が他のUE100とセルラ通信中であるか判定するため、プロセッサ240は、MMEからUE100−1の通信相手の情報を取得する。または、プロセッサ240は、UE100−1に通信相手の識別情報をeNB200へ送信するように要求してもよい。
【0142】
eNB200と接続を確立している他のUE100とUE100がセルラ通信中である場合、プロセッサ240は、ステップ402の処理を行う。一方、eNB200と接続を確立しているUE100が他のUE100とセルラ通信中でない場合、プロセッサ240は、通信管理テーブルの記録を行わない。
【0143】
本実施形態において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2がセルラ通信中であるため、ステップ402の処理を行う。
【0144】
ステップ402において、上述の「(2.1)位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作」の通り、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2の位置情報を取得し、UE100−1とUE100−2とがD2D通信可能か否かの判定を行う。
【0145】
ステップ403において、プロセッサ240は、ステップ402における判定結果を通信管理テーブルに記録する。
【0146】
ステップ404において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2Dリンクを確立したか判定する。すなわち、ステップ404は、
図12におけるステップ306に対応する。
【0147】
プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2Dリンクを確立したと判定した場合、ステップ405の処理を行う。一方、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2Dリンクを確立できないと判定した場合、ステップ406の処理を行う。
【0148】
ステップ405において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のペアをD2D通信中のペアとして、通信管理テーブルに記録する。ステップ405は、
図12のステップ308に対応する。
【0149】
一方、ステップ406において、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のペアをD2D通信不可能なペアとして、通信管理テーブルに記録する。ステップ406は、
図12のステップ309に対応する。
【0150】
ステップ407において、プロセッサ240は、通信管理テーブルを定期更新するか否かを判定する。プロセッサ240は、例えば、所定の時刻になった場合に、定期更新すると判定してもよいし、セルラ通信中のUE100(UE100−1及びUE100−2)がセルラ通信してから所定時間経過していれば、定期更新すると判定してもよい。
【0151】
プロセッサ240は、通信管理テーブルを定期更新すると判定した場合、ステップ401の処理を行う。一方、プロセッサ240は、通信管理テーブルを定期更新しないと判定した場合、ステップ404の処理を行う。
【0152】
(3)UE100−1の動作
次に、
図14を参照しながら、UE100−1の動作を説明する。
図14は、第1実施形態に係るUE100−1の動作を示すフローチャートである。
【0153】
UE100−1は、eNB200を経由してUE100−2とセルラ通信中である。
図14に示すように、ステップ501において、UE100−1の無線送受信機110は、eNB200からDiscovery指示信号を受信する。
【0154】
ステップ502において、プロセッサ160は、Discovery信号を送信するよう無線送受信機110を制御する。なお、Discovery信号は、UE100−1を識別するための識別情報を含む。識別情報として、例えば、電話番号、固定IPアドレスが挙げられる。識別情報は、電話番号に加えて、国番号又は/及び乱数を含んでいてもよい。また、Discovery信号は、通信相手であるUE100−2を識別するための識別情報を含んでもよい。
【0155】
なお、UE100−1が、Discovery信号を送信している間(Discovery動作中)は、無線リソース、UE100−1のハードウェア構成、及び、プロセッサ160の処理負荷等が原因で、プロセッサ160は、他の処理ができない場合がある。例えば、プロセッサ160の性能が低い場合、又は、他の処理の処理負荷が大きい場合に、プロセッサ160は、他の処理ができない可能性がある。したがって、例えば、プロセッサ160は、Discovery信号とeNB200へのデータとを同時に送信するように制御できない可能性がある。このような場合、プロセッサ160は、Discovery動作中は、他の処理を行わなくてもよい。例えば、プロセッサ160は、eNB200へのデータ送信を停止してもよい。具体的には、プロセッサ160は、Discovery動作中は、ペイロードを送信しないように無線送受信機110を制御してもよい。また、プロセッサ160は、特定のPDCCH(例えば、eNB200から指定されたPDCCH)をデコードしなくてもよい。
【0156】
例えば、プロセッサ160は、Discovery動作中に処理負荷が所定の閾値以上になった場合に、他の処理を行わなくてもよいし、eNB200からの指示に基づいて、他の処理を行わなくてもよい。eNB200からの指示として、例えば、Discover動作中は、UE100−1がペイロードを送信しなくてもよいという情報又はeNB200が指定したPDCCHをデコードしなくてもよいという情報が含まれたDiscovery指示信号が挙げられる。
【0157】
ステップ503において、プロセッサ160は、Discovery信号を送信してから所定時間経過する前に、UE100−2がDiscovery信号を受信したことを示す応答信号(Discovery応答信号)を受信したか判定する。所定時間経過する前に、無線送受信機110がDiscovery応答信号を受信できた場合、プロセッサ160は、ステップ504の処理を行う。一方、所定時間経過する前に、無線送受信機110がDiscovery応答信号を受信できなかった場合、プロセッサ160は、ステップ510の処理を行う。
【0158】
ステップ504において、プロセッサ160は、Discovery応答信号を受信したことをeNB200へ報告するように無線送受信機110を制御する。
【0159】
ステップ505において、無線送受信機110は、スケジューリング情報をeNB200から受信する。
【0160】
ステップ506において、プロセッサ160は、UE100−2とD2Dリンクを確立するために用いられる情報の交換(negotiation)を行い、D2Dリンクを確立する。具体的には、第1に、プロセッサ160は、UE100−2から通信を行うことを示す信号を受信するよう無線送受信機110を制御する。第2に、プロセッサ160は、D2Dリンクを確立するために必要なデータを送受信するよう無線送受信機110を制御する。第3に、プロセッサ160は、スケジューリング情報を用いて割り当てられた無線リソースに応じたD2Dリンクを確立する。
【0161】
ステップ507において、プロセッサ160は、UE100−2とのD2Dリンクが確立したか否かを判定する。D2Dリンクが確立した場合、プロセッサ160は、ステップ508の処理を行う。一方、D2Dリンクが確立できなかった場合、プロセッサ160は、ステップ510の処理を行う。
【0162】
ステップ508において、プロセッサ160は、D2Dリンクを確立したことをeNB200へ報告するよう無線送受信機110を制御する。
【0163】
ステップ509において、プロセッサ160は、セルラ通信に代えて、UE100−2とD2D通信を行う。
【0164】
一方、ステップ510において、ステップ503においてDiscovery応答信号を受信できなかった場合、及び、ステップ507においてD2Dリンクを確立できなかった場合、プロセッサ160は、D2D通信できないことをeNB200へ報告するよう無線送受信機110を制御する。また、プロセッサ160は、UE100−2とセルラ通信を行うように制御する。
【0165】
(4)UE100−2の動作
図15を参照しながら、UE100−2の動作を説明する。
図15は、第1実施形態に係るUE100−2の動作を示すフローチャートである。
【0166】
図15に示すように、ステップ601において、UE100−2の無線送受信機110は、UE100−1からDiscovery信号を受信する。
【0167】
ステップ602において、UE100−2のプロセッサ160は、Discovery応答信号をUE100−1へ送信するように無線送受信機110を制御する。
【0168】
ステップ603において、プロセッサ160は、UE100−1とD2Dリンクを確立するために用いられる情報の交換(negotiation)を行い、D2Dリンクを確立する。具体的には、第1に、プロセッサ160は、D2D通信を行うことを示す信号を送信するよう無線送受信機110を制御する。第2に、プロセッサ160は、D2D通信を確立するために必要なデータを送受信するよう無線送受信機110を制御する。第3に、プロセッサ160は、スケジューリング情報を用いて割り当てられた無線リソースに応じたD2Dリンクを確立する。
【0169】
ステップ604において、プロセッサ160は、UE100−1とのD2Dリンクが確立したか否かを判定する。D2Dリンクを確立した場合、プロセッサ160は、ステップ605の処理を行う。一方、D2Dリンクを確立できなかった場合、プロセッサ160は、UE100−1とセルラ通信を行うように制御する。
【0170】
ステップ605において、プロセッサ160は、セルラ通信に代えて、UE100−1とD2D通信を行う。
【0171】
(第1実施形態のまとめ)
本実施形態に係るeNB200は、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定された場合に、eNB200は、Discovery信号を送信させるためのDiscovery指示信号をUE100−1に送信する。これにより、UE100−1とUE100−2とが通信を行っている場合に、UE100−1にDiscovery信号を送信させ、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信を促す。eNB200を介して行われるセルラ通信に代えて、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信を行うことにより、eNB200の負荷を低減させることができる。したがって、D2D通信を有効活用できる。
【0172】
本実施形態に係るeNB200は、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信の可否を判定するプロセッサ240を備え、プロセッサ240は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置情報に基づいて、UE100−1とUE100−2とが近接していると推定する場合に、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定する。これにより、UE100−1とUE100−2とが近接している可能性が高いため、UE100−2は、UE100−1からの発見用信号を受信できる可能性が高く、UE100−1が無駄なDiscovery信号を送信せずにすむ。
【0173】
本実施形態では、位置情報は、eNB200を基準としたUE100−1及びUE100−2のそれぞれの方向を示す方向情報と、UE100−1及びUE100−2のそれぞれとeNB200との間の距離を示す距離情報と、を含む。これにより、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置を特定することができるため、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か否かの判定の精度を向上できる。
【0174】
本実施形態では、判定部は、eNB200に設けられる。eNB200がUE100−1とUE100−2とによるD2D通信の可否を直接判定できる。
【0175】
本実施形態に係るeNB200は、マルチアンテナ伝送によりUE100−1及びUE100−2のそれぞれと通信を行っており、方向情報は、マルチアンテナ伝送における指向性パターンに応じて定められる。これにより、eNB200は、マルチアンテナ伝送を活用して、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの方向を推定することができる。
【0176】
本実施形態では、距離情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれから送信された上りリンク信号をeNB200が受信するタイミングから求められるUE100−1及びUE100−2のそれぞれの伝搬遅延時間に応じて定められる。これにより、eNB200は、送信タイミングの調整処理(タイミングアドバンス処理)を活用して、UE100−1及びUE100−2のそれぞれとeNB200との間の距離を推定することができる。
【0177】
本実施形態では、距離情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれから送信された上りリンク信号の送信電力と、上りリンク信号をeNB200が受信する際の受信電力とから求められるUE100−1及びUE100−2のそれぞれの伝搬損失に応じて定められる。これにより、eNB200は、上りリンクの送信電力制御の情報を活用して、UE100−1及びUE100−2のそれぞれとeNB200との間の距離を推定することができる。
【0178】
本実施形態では、Discovery指示信号は、Discovery信号を送信させるタイミングを指定する情報を含んでいてもよい。これにより、eNB200は、Discovery信号を送信させるタイミングを制御できる。
【0179】
本実施形態では、UE100−1は、Discovery指示信号を受信した場合に、eNB200へのデータ送信を停止する。これにより、D2D通信を行うための準備中に、UE100−1は、eNB200へデータを送信せずにすむため、UE100−1の負荷を低減できる。
【0180】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0181】
第2実施形態は、第1実施形態と位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作が異なる。したがって、第2実施形態に係る位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作について、
図16を参照しながら説明する。
【0182】
(位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作)
図16は、第2実施形態に係る位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作のシーケンス図である。
【0183】
図16に示すように、ステップ701において、eNB200は、UE100−1のGNSS情報を要求する情報を含むGNSS情報要求信号をUE100−1へ送信する。同様に、eNB200は、UE100−2のGNSS情報要求信号をUE100−2へ送信する。
【0184】
ステップ702において、UE100−1は、全地球測位システム(GNSS)によってUE100−1の位置を求める。
【0185】
ステップ703において、ステップ702と同様に、UE100−2は、UE100−1の位置を求める。
【0186】
ステップ704において、UE100−1は、GNSSによって求められたUE100−1の位置を示すGNSS情報をeNB200へ送信する。これにより、eNB200は、UE100−1の位置情報を取得する。
【0187】
ステップ705において、ステップ704と同様に、UE100−2は、UE100−2のGNSS情報をeNB200へ送信し、eNB200は、UE100−2の位置情報を取得する。
【0188】
ステップ706において、取得した位置情報に基づいて、eNB200は、UE100−1とUE100−2との間の距離が、所定の閾値未満であるか判定する。ステップ706は、
図11におけるステップ204に対応する。
【0189】
ステップ707は、
図11におけるステップ205に対応し、ステップ708は、
図11におけるステップ206に対応する。
【0190】
(第2実施形態のまとめ)
本実施形態では、位置情報は、GNSSによって求められたUE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置を示す情報を含む。これにより、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置が正確に求まるため、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か否かの判定の精度を向上できる。
【0191】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0192】
第1実施形態では、UE100−1とUE100−2とが、同一のeNB200と接続を確立している場合であった。第3実施形態では、UE100−1とUE100−2とがそれぞれ、互いに異なる基地局(eNB200及びeNB202)と接続を確立していてもよい。
【0193】
(第3実施形態に係る移動通信システムの動作)
第3実施形態に係る移動通信システムの動作について、(1)全体動作、(2)位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作の順に説明する。
【0194】
(1)全体動作
図17及び
図18を参照しながら、全体動作について説明する。
【0195】
図17は、第3実施形態に係るUE100−1及びUE100−2とeNB200及びeNB202との位置関係の一例を示す図である。
【0196】
図17に示すように、UE100−1は、eNB200が管理するセル250に存在する。また、UE100−1は、eNB200との接続を確立している。一方、UE100−2は、eNB202が管理するセル252に存在する。また、UE100−2は、eNB202との接続を確立している。eNB200とeNB202とは、互いに隣接している。また、セル250及びセル252は、互いに隣接する隣接セルである。UE100−1及びUE100−2は、eNB200及びeNB202を経由してセルラ通信を行う。
【0197】
図18は、第3実施形態に係る全体動作のシーケンス図の一例である。
【0198】
図18に示すように、ステップ801において、UE100−1及びUE100−2は、eNB200及びeNB202を経由してセルラ通信を行う。
【0199】
ステップ802において、eNB200は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置情報を取得する。さらに、eNB200は、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か判定する。本実施形態において、位置情報は、後述するように、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの在圏セルを示す情報である。
【0200】
UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か否かの判定結果は、通信管理テーブルに記録される。
【0201】
ステップ803からステップ807はそれぞれ、
図10におけるステップ103からステップ107に対応する。
【0202】
ステップ808において、UE100−2からDiscovery応答信号を受信したことをUE100−1から報告を受けたeNB200は、当該報告内容をeNB202へ報告する。
【0203】
ステップ809からステップ813はそれぞれ、
図10におけるステップ108からステップ112に対応する。
【0204】
ステップ814において、UE100−1とUE100−2との間にD2Dリンクが確立されたことをUE100−1から報告を受けたeNB200は、当該報告内容をeNB202へ報告する。
【0205】
ステップ815において、報告を受けたeNB200は、UE100−1とUE100−2とがD2D通信中であることを通信管理テーブルへ記録する。また、eNB200は、UE100−1とUE100−2とのセルラ通信を終了する。
【0206】
ステップ816において、ステップ815と同様に、報告を受けたeNB202は、UE100−1とUE100−2とがD2D通信中であることを通信管理テーブルへ記録し、UE100−1とUE100−2とのセルラ通信を終了する。
【0207】
(2)位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作
図19を参照しながら、位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作について説明する。
【0208】
図19は、第3実施形態に係る位置情報の取得動作及びD2D通信の可否の判定動作のフローチャートである。本動作は、
図18におけるステップ802に対応する。
【0209】
図19に示すように、ステップ901において、eNB200のプロセッサ240は、UE100−2が在圏するセルを示す在圏セル情報を通信管理テーブルに記録しているかを判定する。具体的には、まず、プロセッサ240は、
図13におけるステップ201と同様に、UE100−2の識別情報をMMEから取得する。次に、プロセッサ240は、取得したUE100−2の識別情報に基づいて、通信管理テーブルに在圏セル情報が記録されているか判定する。
【0210】
eNB200とeNB202とは、X2インターフェイス又はS1インターフェイスを介して、定期的に通信管理テーブルを交換していてもよい。eNB200とeNB202とが通信管理テーブルを交換していた場合、eNB200の通信管理テーブルに在圏セル情報が記録される。
【0211】
UE100−2の在圏セル情報が通信管理テーブルに記録されている場合、プロセッサ240は、ステップ902の処理を行う。一方、UE100−2の在圏セル情報が通信管理テーブルに記録されていない場合、プロセッサ240は、ステップ903の処理を行う。
【0212】
なお、UE100−1の在圏セル情報については、eNB200は、UE100−1との接続を確立しているため、eNB200の通信管理テーブルには、UE100−1の在圏セル情報が記録されている。
【0213】
ステップ902において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とが同一セルに在圏するか判定する。具体的には、プロセッサ240は、UE100−1が在圏するセルとUE100−2が在圏するセルとが一致するか判定する。
【0214】
UE100−1とUE100−2とが同一セルに在圏する場合、プロセッサ240は、ステップ906の処理を行う。UE100−1とUE100−2とが同一セルに在圏しない場合、プロセッサ240は、ステップ905の処理を行う。
【0215】
ステップ903において、プロセッサ240は、UE100−2の在圏セル情報を隣接する基地局であるeNB202に要求するようにX2インターフェイス又はS1インターフェイスを制御する。
【0216】
なお、当該要求にはUE100−1の通信相手であるUE100−2を識別するための識別情報を含む。
【0217】
ステップ904において、プロセッサ240は、UE100−2の在圏セル情報を取得する。プロセッサ240は、eNB202からUE100−2の在圏セル情報を取得してもよいし、UE100−2の在圏セル情報が記録されたeNB202が有する通信管理テーブルを取得してもよい。また、eNB202の通信管理テーブルを取得する際に、プロセッサ240は、eNB200の通信管理テーブルをeNB202に送ってもよい。すなわち、eNB200とeNB202とは、X2インターフェイス又はバックホールを介して、通信管理テーブルを交換していてもよい。
【0218】
ステップ905において、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とが隣接セルに在圏するか判定する。具体的には、プロセッサ240は、UE100−1が在圏するセルに隣接する隣接セルにUE100−2が在圏するか判定する。
【0219】
UE100−2が隣接セルに在圏すると判定した場合、プロセッサ240は、ステップ906の処理を行う。一方、UE100−2が隣接セルに在圏しないと判定した場合、プロセッサ240は、ステップ907の処理を行う。
【0220】
ステップ906において、UE100−1とUE100−2とが同一セルに在圏すると判定した場合、又は、UE100−2が隣接セルに在圏すると判定した場合、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2D通信可能であると判定する。
【0221】
一方、ステップ907において、UE100−2が隣接セルに在圏しないと判定した場合、プロセッサ240は、UE100−1とUE100−2とがD2D通信不可能であると判定する。
【0222】
(第3実施形態のまとめ)
本実施形態において、位置情報は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの在圏セルを示す情報であり、プロセッサ240は、UE100−1が在圏するセル、又は、UE100−1が在圏するセルに隣接する隣接セルにUE100−2が在圏する場合に、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定する。これにより、eNB200は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれの位置を特定しなくても、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能か否かの判定をすることができる。
【0223】
本実施形態に係るeNB200は、eNB202からUE100−2の在圏セル情報を取得することができる。これにより、eNB200は、eNB200との接続を確立していないUE100−2の位置情報(在圏セル情報)を取得できるため、D2D通信が可能と判定できるエリアが広がる。
【0224】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0225】
例えば、上述した実施形態では、eNB200に判定部が設けられていた(すなわち、eNB200のプロセッサ240が判定していた)が、これに限られない。例えば、判定部は、eNB200の上位装置であるMMEに設けられていてもよい。判定部がMMEに設けられた場合、MMEは、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定した場合、Discovery指示信号を送信するようにeNB200へ要求する。要求を受けたeNB200は、UE100−1へDiscovery指示信号を送信する。
【0226】
判定部がMMEに設けられた場合、MMEが通信管理テーブルを有していてもよい。MMEが通信管理テーブルを有する場合、UE100−1からD2Dリンクが確立されたことを報告されたeNB200は、UE100−1とUE100−2とがD2Dリンクを確立したことをMMEに報告する。MMEは、UE100−1とUE100−2とがD2D通信中であることを通信管理テーブルへ記録する。
【0227】
また、上述した実施形態では、UE100−1とUE100−2とがセルラ通信を行っている場合であったが、3つ以上のUE100(UEグループ)がセルラ通信を行っている場合であってもよい。この場合、eNB200は、通信管理テーブルからD2D通信可能なUEグループを選択してもよい。
【0228】
また、第1実施形態において、通信管理テーブルは、「D2D通信可能性」の項目を有してもよい。「D2D通信可能性」は、D2D通信できる可能性を示す。例えば、eNB200と接続を確立中のUEと通信相手のUEとの間の距離が短いほど、D2D通信できる可能性が高く、当該距離が長いほどD2D通信できる可能性が低いとしてもよい。このD2D通信可能性に応じて、順位付けをしてもよい。プロセッサ240は、順位の高いUEペアを選択するようにしてもよい。
【0229】
また、第3実施形態では、UE100−1が在圏するセル、又は、UE100−2が在圏するセルに隣接する隣接セルにUE100−2が在圏する場合に、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定したが、UE100−1が在圏するセルにUE100−2が在圏する場合のみに、UE100−1とUE100−2とによるD2D通信が可能と判定してもよい。
【0230】
また、第3実施形態では、eNB200は、セル250を管理し、eNB202は、セル252を管理していたが、eNB200及びeNB202のそれぞれが、複数のセルを管理していてもよい。
【0231】
また、第1実施形態から第3実施形態の構成を適宜組み合わせて実施してもよい。例えば、D2D通信の可否の判定について、eNB200は、複数の位置情報(例えば、在圏セルを示す情報と方向情報及び距離情報など)を考慮して、判定してもよい。これにより、D2D通信が可能か否かの判定の精度を向上できる。
【0232】
上述した実施形態では、本発明をLTEシステムに適用する一例を説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0233】
なお、米国仮出願第61/723415号(2012年11月7日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。