(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体および前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、前記可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、前記可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、前記支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、前記レンズ駆動用コイルに対向する第1対向面と前記振れ補正用コイルに対向する第2対向面とを有し前記保持体に取り付けられる複数の駆動用磁石とを備え、
前記光軸方向の一方側を被写体側とし、前記光軸方向の他方側を反被写体側とすると、
前記保持体は、複数の前記駆動用磁石の被写体側の端面が固定される第1磁石固定部材と、複数の前記駆動用磁石の反被写体側の端面が固定される第2磁石固定部材とを備え、
前記第1磁石固定部材および前記第2磁石固定部材は、枠状に形成され、
前記可動体は、枠状に形成される前記第1磁石固定部材および前記第2磁石固定部材の内周側に配置され、
前記支持体は、前記支持体の外周面を構成するケース体を備え、
前記ケース体の被写体側端には、前記可動体の被写体側の端面の一部が当接可能となるように、前記光軸方向において前記可動体の被写体側の端面の一部と対向する対向部が形成されていることを特徴とする撮影用光学装置。
前記第1磁石固定部材は、前記光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となる前記第1磁石固定部材の四隅のそれぞれを構成する略L形状の4個の角部と、前記角部間を繋ぐ直線状の4個の直線辺部とを備え、
前記可動体の被写体側で前記可動体と前記保持体とを繋ぐ前記第2の板バネの前記保持体固定部は、前記角部の反被写体側の面に固定され、
前記角部の被写体側の面は、前記直線辺部の被写体側の面よりも反被写体側に配置され、前記角部の反被写体側の面は、前記直線辺部の反被写体側の面よりも反被写体側に配置されていることを特徴とする請求項3記載の撮影用光学装置。
前記対向部が形成される前記ケース体の被写体側の端面には、前記光軸方向から見たときに、前記第1磁石固定部材の一部を露出させるための切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮影用光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の撮影用光学装置が搭載される携帯電話等の携帯機器の市場では、近年、機器の薄型化の要求が一段と高まっている。そのため、携帯機器に搭載される撮影用光学装置の薄型化の要求も一段と高まっている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、従来以上に薄型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体および可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、レンズ駆動用コイルに対向する第1対向面と振れ補正用コイルに対向する第2対向面とを有し保持体に取り付けられる複数の駆動用磁石とを備え、光軸方向の一方側を被写体側とし、光軸方向の他方側を反被写体側とすると、保持体は、複数の駆動用磁石の被写体側の端面が固定される第1磁石固定部材と、複数の駆動用磁石の反被写体側の端面が固定される第2磁石固定部材とを備え、第1磁石固定部材および第2磁石固定部材は、枠状に形成され、可動体は、枠状に形成される第1磁石固定部材および第2磁石固定部材の内周側に配置され、支持体は、支持体の外周面を構成するケース体を備え、ケース体の被写体側端には、可動体の被写体側の端面の一部が当接可能となるように、光軸方向において可動体の被写体側の端面の一部と対向する対向部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の撮影用光学装置では、可動モジュールを揺動可能に保持する支持体は、この支持体の外周面を構成するケース体を備えている。また、本発明では、ケース体の被写体側端に、可動体の被写体側の端面の一部が当接可能となるように、光軸方向において可動体の被写体側の端面の一部と対向する対向部が形成されている。そのため、本発明では、特許文献1に記載の撮影用光学装置が有するカバー部材の底部を設けなくても、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、ケース体の対向部を利用して、被写体側における可動体の可動範囲を規制することが可能になる。したがって、本発明では、従来の撮影用光学装置が有するカバー部材の底部の分だけ、撮影用光学装置を光軸方向で小型化することが可能になる。すなわち、本発明では、撮影用光学装置を従来以上に薄型化することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、共通の駆動用磁石を用いて、保持体に対して可動体を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構と、支持体に対して可動モジュールを揺動させて振れを補正するための振れ補正機構とを構成することが可能になるため、レンズ駆動機構用の磁石と、振れ補正機構用の磁石とが別個に設けられている場合と比較して、部品点数を削減することが可能になる。したがって、本発明では、光軸方向に直交する径方向においても、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0011】
本発明において、撮影用光学装置は、可動モジュールと支持体とを反被写体側で繋ぐ第1の板バネを備え、第2磁石固定部材は、駆動用磁石よりも外周側に突出するように形成されていることが好ましい。このように構成すると、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、第2磁石固定部材を用いて、光軸方向に直交する方向における可動モジュールの揺動範囲を規制して、第1の板バネの損傷を防止することが可能になる。したがって、第2磁石固定部材に加えて、光軸方向に直交する方向における可動モジュールの揺動範囲を規制するための部材が別途、設けられている場合と比較して、撮影用光学装置の構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明において、撮影用光学装置は、光軸方向における可動体の両端側のそれぞれで可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネを備え、第1磁石固定部材および第2磁石固定部材は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成され、可動体の外周面は、光軸方向から見たときの形状が略八角形状となるように形成され、第2の板バネは、可動体に固定される可動体固定部と、第1磁石固定部材または第2磁石固定部材に固定される保持体固定部と、第1磁石固定部材または第2磁石固定部材の四隅と可動体との間に配置され可動体固定部と保持体固定部とを繋ぐバネ部とを備えることが好ましい。このように構成すると、デッドスペースとなりやすい第1磁石固定部材および第2磁石固定部材の四隅と可動体との間にバネ部が配置されるため、光軸方向に直交する方向において、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。あるいは、撮影用光学装置を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、第1磁石固定部材は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となる第1磁石固定部材の四隅のそれぞれを構成する略L形状の4個の角部と、角部間を繋ぐ直線状の4個の直線辺部とを備え、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネの保持体固定部は、角部の反被写体側の面に固定され、角部の被写体側の面は、直線辺部の被写体側の面よりも反被写体側に配置され、角部の反被写体側の面は、直線辺部の反被写体側の面よりも反被写体側に配置されている。この場合には、可動モジュールが揺動したときの、第1磁石固定部材の角部とケース体との接触を防止することが可能になる。また、この場合には、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネによって、反被写体側への可動体の付勢力を高めることが可能になる。
【0014】
本発明において、撮影用光学装置は、光軸方向における可動体の両端側のそれぞれで可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネを備え、第1磁石固定部材は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成され、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネは、可動体に固定される可動体固定部と、第1磁石固定部材に固定される保持体固定部と、可動体固定部と保持体固定部とを繋ぐバネ部とを備え、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネの保持体固定部は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となる第1磁石固定部材の四隅の被写体側の面に固定されていることが好ましい。
【0015】
撮影用光学装置を構成する可動モジュールでは、一般に、レンズ駆動用コイルに電流が供給されていないときに、所定の基準位置で可動体を保持するため、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネによって可動体が反被写体側に付勢されている。具体的には、可動体が基準位置にあるときに、この第2の板バネの可動体固定部が保持体固定部よりも被写体側に配置されるように、可動体固定部が可動体に固定され、保持体固定部が第1磁石固定部材に固定されている。そのため、第1磁石固定部材の四隅の反被写体側の面に保持体固定部が固定されていると、第2の板バネのバネ部が第1磁石固定部材と干渉するおそれがある。これに対して、第1磁石固定部材の四隅の被写体側の面に保持体固定部が固定されている場合には、バネ部と第1磁石固定部材との干渉を防止することが可能になる。また、可動体固定部が可動体に固定されている状態の第2の板バネの保持体固定部を、被写体側から第1磁石固定部材の被写体側の面に容易に固定することが可能になる。
【0016】
本発明において、可動体は、レンズ駆動用コイルが外周面に巻回されて固定されるスリーブと、スリーブの被写体側に固定されるストッパとを備え、ストッパは、スリーブの外周面よりも外周側へ広がるように形成されており、ストッパの少なくとも一部は、対向部に当接可能となるように、光軸方向において対向部と対向していることが好ましい。ケース体の被写体側端には、レンズを露出させるための貫通孔が形成されているため、可動モジュールが揺動しているとき、あるいは、支持体に対して可動モジュールが傾いている状態で可動体が被写体側へ移動したときに、可動体の被写体側の端面が対向部に当接せずに、可動体の被写体側端がケース体から被写体側へ飛び出すおそれがあるが、このように構成すると、可動モジュールが揺動しているとき、あるいは、支持体に対して可動モジュールが傾いている状態で可動体が被写体側へ移動したときに、スリーブの被写体側に固定されるストッパを対向部に確実に当接させることが可能になり、可動体の被写体側端がケース体から被写体側へ飛び出すのを防止することが可能になる。
【0017】
本発明において、ストッパは、その外周端の形状が円形状となる環状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、支持体に対して可動モジュールがどの方向に傾いても、ストッパを対向部に確実に当接させることが可能になる。
【0018】
本発明において、撮影用光学装置は、光軸方向における可動体の両端側のそれぞれで可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネを備え、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネは、可動体に固定される可動体固定部と、第1磁石固定部材に固定される保持体固定部と、可動体固定部と保持体固定部とを繋ぐバネ部とを備え、可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ第2の板バネの可動体固定部は、光軸方向において、スリーブの被写体側に形成されるバネ固定面とストッパとの間に挟まれた状態で固定されていることが好ましい。このように構成すると、可動体固定部の固定強度を高めることが可能になる。
【0019】
本発明において、たとえば、対向部が形成されるケース体の被写体側の端面には、光軸方向から見たときに、第1磁石固定部材の一部を露出させるための切欠き部が形成されている。この場合には、撮影用光学装置の組立時に、第1磁石固定部材の被写体側の端面を利用して、光軸方向におけるケース体と第1磁石固定部材との位置合わせを行うことが可能になる。すなわち、撮影用光学装置の組立時に、第1磁石固定部材の被写体側の端面を利用して、光軸方向におけるケース体と駆動用磁石との位置合わせを行うことが可能になる。
【0020】
本発明において、駆動用磁石、第1磁石固定部材および第2磁石固定部材の表面には、少なくともニッケルを含むニッケルメッキ層が形成され、第1磁石固定部材と駆動用磁石とは、少なくともスズを含むスズ系金属からなり第1磁石固定部材と駆動用磁石との間に配置される第1接合層によって接合され、第2磁石固定部材と駆動用磁石とは、少なくともスズを含むスズ系金属からなり、第2磁石固定部材と駆動用磁石との間に配置される第2接合層によって接合されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、第1磁石固定部材や第2磁石固定部材に接合される前の、駆動用磁石の表面のニッケルメッキ層を被覆するように形成されるスズメッキ層を、第1磁石固定部材や第2磁石固定部材と駆動用磁石との接合時に溶融、固化させて、第1接合層および第2接合層を形成し、第1磁石固定部材や第2磁石固定部材と駆動用磁石とを接合することが可能になる。したがって、第1磁石固定部材や第2磁石固定部材と駆動用磁石との間からの第1接合層および第2接合層のはみ出しを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、撮影用光学装置を従来以上に薄型化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示す撮影用光学装置1の平面図である。
図3は、
図2のE−E断面の断面図である。
図4は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。
図5は、
図3に示す可動モジュール4の分解斜視図である。なお、以下の説明では、
図1に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、
図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0026】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Z方向とX方向とから構成されるZX平面)または前後方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面)と略平行になっている。
【0027】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュール4と、可動モジュール4を揺動可能に保持する支持体5とを備えている。可動モジュール4は、第1の板バネとしての板バネ6によって支持体5と繋がれている。本形態では、上下方向は、可動モジュール4が揺動していないときの可動モジュール4の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール4の下端に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は、光軸方向の一方側である被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は、光軸方向の他方側である反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0028】
可動モジュール4は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、可動モジュール4は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。この可動モジュール4は、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体8と、可動体8を光軸方向へ移動可能に保持する保持体9とを備えている。可動体8は、可動体8の上端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ10と、可動体8の下端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ11とを介して、保持体9に移動可能に保持されている。本形態の板バネ10、11は、光軸方向における可動体8の両端側のそれぞれで可動体8と保持体9とを繋ぐ第2の板バネである。
【0029】
可動体8は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ12と、レンズホルダ12を保持するスリーブ13とを備えている。保持体9は、後述の駆動用磁石38の上端面(被写体側の端面)が固定される第1磁石固定部材としての磁石固定部材14と、駆動用磁石38の下端面(反被写体側の端面)が固定される第2磁石固定部材としての磁石固定部材15と、可動モジュール4の下端側部分を構成するベース部材16とを備えている。
【0030】
レンズホルダ12は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ12の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ13は、樹脂材料で形成されている。また、スリーブ13は、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ13は、光軸方向から見たときのスリーブ13の内周が円形状となり、かつ、光軸方向から見たときのスリーブ13の外周が略八角形状となる略筒状に形成されている。本形態では、スリーブ13の外周面は、光軸方向から見たときに略正八角形状となるように形成されている。スリーブ13は、その内周側でレンズホルダ12を保持している。すなわち、スリーブ13の内周面にレンズホルダ12の外周面が固定されている。
【0031】
本形態では、スリーブ13の外周面は、可動体8の外周面となっており、可動体8の外周面は、光軸方向から見たときの形状が略正八角形状となるように形成されている。可動モジュール4が揺動していない状態において、可動体8を光軸方向から見ると、略八角形状に形成される可動体8の外周面の8個の辺のうちの互いに平行な2個の辺はZX平面と略平行になっており、この2個の辺に直交するとともに互いに平行な2個の辺は、YZ平面と略平行になっており、残りの4個の辺は、ZX平面およびYZ平面に対して略45°傾いている。
【0032】
磁石固定部材14、15は、たとえば、非磁性のステンレス鋼板で形成されている。磁石固定部材14、15の表面には、ニッケルを主とするニッケル合金、または、ニッケルからなるニッケルメッキ層が形成されている。また、磁石固定部材14、15は、枠状に形成されている。具体的には、磁石固定部材14、15は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成されている。より具体的には、磁石固定部材14、15は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。
【0033】
本形態では、磁石固定部材14の内周端と磁石固定部材15の内周端とは、前後左右方向において、略同じ位置に配置されている。一方、磁石固定部材15の外周端は、前後左右方向において、磁石固定部材14の外周端よりも外周側に配置されている。すなわち、磁石固定部材15の外形は、磁石固定部材14の外形よりも大きくなっている。可動体8は、枠状に形成される磁石固定部材14、15の内周側に配置されている。
【0034】
磁石固定部材14は、磁石固定部材14の四隅のそれぞれを構成する略L形状の4個の角部14aと、角部14a間を繋ぐ直線状の4個の直線辺部14bとから構成されている。4個の直線辺部14bのうちの互いに平行な2個の直線辺部14bは、左右方向と略平行に配置され、互いに平行な残りの2個の直線辺部14bは、前後方向と略平行に配置されている。
図5に示すように、角部14aの上面は、直線辺部14bの上面よりも下側に配置され、角部14aの下面は、直線辺部14bの下面よりも下側に配置されている。
【0035】
磁石固定部材15は、磁石固定部材15の四隅のそれぞれを構成する略L形状の4個の角部15aと、角部15a間を繋ぐ直線状の4個の直線辺部15bとから構成されている。4個の直線辺部15bのうちの互いに平行な2個の直線辺部15bは、左右方向と略平行に配置され、互いに平行な残りの2個の直線辺部15bは、前後方向と略平行に配置されている。
図5に示すように、角部15aの上面と、直線辺部15bの上面とは同一平面上に配置され、角部15aの下面と、直線辺部15bの下面とは同一平面上に配置されている。
【0036】
ベース部材16は、扁平な略直方体状に形成されている。ベース部材16の中心には、貫通孔16aが形成されており、ベース部材16は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。ベース部材16の上端面には、磁石固定部材15の下面が固定されている。貫通孔16aには、IRカットフィルター17が固定されている。
【0037】
板バネ10は、可動体8のスリーブ13の上端側に固定される可動体固定部10aと、磁石固定部材14に固定される4個の保持体固定部10bと、可動体固定部10aと保持体固定部10bとを繋ぐバネ部10cとを備えている。この板バネ10は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13および磁石固定部材14に固定されている。
【0038】
可動体固定部10aは、内周が円形状となり、かつ、外周が略八角形状となる枠状に形成されている。保持体固定部10bは、略五角形状に形成されている。バネ部10cは、所望のバネ特性が得られるように、蛇行する線状に形成されている。4個の保持体固定部10bは、可動体固定部10aの外周側に配置されている。また、4個の保持体固定部10bのそれぞれは、磁石固定部材14の4個の角部14aのそれぞれの下面(反被写体側の面)に固定されている。バネ部10cは、磁石固定部材14の角部14aと可動体固定部10aとの間に配置されている。すなわち、バネ部10cは、磁石固定部材14の四隅と可動体8との間に配置されている。
【0039】
板バネ11は、2個のバネ片19によって構成されている。バネ片19は、可動体8のスリーブ13の下端側に固定される可動体固定部19aと、磁石固定部材15に固定される2個の保持体固定部19bと、可動体固定部19aと保持体固定部19bとを繋ぐバネ部19cとを備えている。この板バネ11は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13および磁石固定部材15に固定されている。
【0040】
可動体固定部19aは、略半円弧状に形成されている。保持体固定部19bは、略四角形状に形成されている。バネ部19cは、所望のバネ特性が得られるように、蛇行する線状に形成されている。2個のバネ片19のうちの一方のバネ片19の2個の保持体固定部19b、および、他方のバネ片19の2個の保持体固定部19bのそれぞれは、可動体固定部19aの外周側に配置されている。また、一方のバネ片19の2個の保持体固定部19b、および、他方のバネ片19の2個の保持体固定部19bのそれぞれは、磁石固定部材15の4個の角部15aのそれぞれの上面(被写体側の面)に固定されている。バネ部19cは、磁石固定部材15の角部15aと可動体固定部19bとの間に配置されている。すなわち、バネ部19cは、磁石固定部材15の四隅と可動体8との間に配置されている。
【0041】
なお、板バネ10は、可動体8の下端とベース部材16の上端面とが当接して可動体8が所定の基準位置にあるときに、可動体8を下方向へ付勢するように、撓んだ状態でスリーブ13および磁石固定部材14に固定されている。すなわち、可動体8が基準位置にあるときに、可動体固定部10aが保持体固定部10bよりも上側に配置されるように、可動体固定部10aがスリーブ13の上端側に固定され、保持体固定部10bが磁石固定部材14の角部14aの下面に固定されている。また、板バネ11は、可動体8が所定の基準位置にあるときに、付勢力が生じないように、あるいは、板バネ10と同様に可動体8を下方向へ付勢するように、スリーブ13および磁石固定部材15に固定されている。
【0042】
撮像素子は、基板20に実装されている。基板20は、ベース部材16の下面に固定されている。基板20には、FPC(フレキシブルプリント基板)21が接続されている。FPC21は、撮影用光学装置1の下端側で引き回されて、撮影用光学装置1の側面から引き出されている。基板20の下面には、後述の支点部材27が当接する当接板22が固定されている。
【0043】
支持体5は、支持体5の前後左右の4つの側面を構成するケース体25と、支持体5の下端側部分を構成する下ケース体26とを備えている。本形態では、ケース体25は、撮影用光学装置1の前後左右の4つの側面を構成し、下ケース体26は、撮影用光学装置1の下端側部分を構成している。
【0044】
ケース体25は、たとえば、非磁性の金属材料で形成されている。また、ケース体25は、略四角形の平板状に形成される底部25aと、略四角筒状に形成される筒部25bとを有する略有底四角筒状に形成されている。本形態の底部25aは、略正方形状の平板状に形成されている。また、底部25aは、筒部25bの上端に繋がっており、ケース体25の上端面(すなわち、被写体側の端面)を構成している。ケース体25は、その軸方向と上下方向とが略一致するように配置されている。また、ケース体25は、可動モジュール4と、後述のレンズ駆動機構30および振れ補正機構31とを外周側から覆うように配置されている。ケース体25のより具体的な構成については後述する。
【0045】
下ケース体26は、
図4に示すように、略正方形状の平板状に形成される底部26aと、底部26aの3辺のそれぞれから上側に向かって立ち上る3個の側面部26bとから構成されている。下ケース体26の底部26aは、撮影用光学装置1の下面を構成している。底部26aの中心には、支点部材27が固定されている。支点部材27には、可動モジュール4の揺動の支点となる支点部27aが上側に突出するように形成されている。支点部27aの表面は、球面の一部を切り取った曲面状に形成されている。支点部27aは、当接板22に当接している。
【0046】
板バネ6は、可動モジュール4に固定される可動側固定部と、支持体5に固定される支持側固定部と、可動側固定部と支持側固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。可動側固定部は、可動モジュール4の下端側に固定され、支持側固定部は、下ケース体26の側面部26bの上端に固定されており、板バネ6は、可動モジュール4と支持体5とを下端側(すなわち、反被写体側)で繋いでいる。本形態では、支持側固定部に対して腕部が撓むことで、可動側固定部に固定された可動モジュール4の揺動動作が可能となっている。なお、板バネ6は、支点部27aと当接板22とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、可動モジュール4を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0047】
また、撮影用光学装置1は、保持体9に対して可動体8を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構30と、支持体5に対して可動モジュール4を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構31とを備えている。以下、レンズ駆動機構30および振れ補正機構31の構成を説明する。
【0048】
(レンズ駆動機構および振れ補正機構の構成)
スリーブ13の外周面には、レンズ駆動機構30を構成する2個のレンズ駆動用コイル32が取り付けられている。レンズ駆動用コイル32は、スリーブ13の外周面に沿って巻回されている。2個のレンズ駆動用コイル32は、その巻回方向が互いに異なるように巻回されている。また、2個のレンズ駆動用コイル32は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でスリーブ13の外周面に固定されている。
【0049】
ケース体25の筒部25bを構成する4つの側面の内側のそれぞれには、振れ補正機構31を構成する振れ補正用コイルとしてのコイル部33を一体で有するシート状コイル34が配置されている。すなわち、筒部25bの内周側には、4個のシート状コイル34が配置されている。シート状コイル34は、微細な銅配線からなるコイル部33がプリント基板上に形成されることによって構成されたフレキシブルプリントコイル(FPコイル)である。コイル部33は、略長方形の枠状に形成されており、その長辺部分が上下方向で重なるように配置されている。また、コイル部33の表面は、絶縁膜で覆われている。
【0050】
4個のシート状コイル34は、中継用のFPC35に電気的に接続される。FPC35は、略四角筒状に折り曲げられた状態で、筒部25bの内周側に配置されている。4個のシート状コイル34は、略四角筒状に折り曲げられたFPC35の内周面に固定され、FPC35の外周面は、筒部25bの内周面に固定されている。すなわち、4個のシート状コイル34は、FPC35を介して、筒部25bの内周面に固定されている。FPC35は、FPC21に接続されている。ZX平面と略平行に配置される2個のシート状コイル34のうちの一方のシート状コイル34と、YZ平面と平行に配置される2個のシート状コイル34のうちの一方のシート状コイル34とには、支持体5に対する可動モジュール4の位置を検出するためのフォトリフレクタ36が実装されている。
【0051】
磁石固定部材14の4個の直線辺部14bと磁石固定部材15の4個の直線辺部15bとのそれぞれには、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石38が固定されている。磁石固定部材14、15に固定される4個の駆動用磁石38のうちの互いに平行に配置される2個の駆動用磁石38は、ZX平面と略平行に配置され、互いに平行に配置される残りの2個の駆動用磁石38は、YZ平面と略平行に配置されている。
【0052】
駆動用磁石38は、ネオジム、鉄およびボロンを主成分とするネオジム磁石である。この駆動用磁石38は、略長方形の平板状に形成された第1磁石片38aと第2磁石片38bとの2個の磁石片と、第1磁石片38aと第2磁石片38bとの間に配置される磁性部材38cとによって構成されている。具体的には、第1磁石片38aの下面と第2磁石片38bの上面との間に磁性部材38cを挟んだ状態で、第1磁石片38aと第2磁石片38bと磁性部材38cとが互いに接着固定されることで駆動用磁石38が形成されている。駆動用磁石38の表面には、ニッケルを主とするニッケル合金、または、ニッケルからなるニッケルメッキ層が形成されている。
【0053】
駆動用磁石38は、一方の側面に形成される磁極と他方の側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。すなわち、ZX平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の前側面に形成される磁極と後側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。また、YZ平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の右面に形成される磁極と左面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。
【0054】
また、駆動用磁石38は、その側面において異なる2つの磁極が上下方向で重なるように着磁されている。具体的には、ZX平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、前後方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、前後方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁され、YZ平面と略平行に配置される駆動用磁石38は、左右方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、左右方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁されている。
【0055】
本形態では、4つの第1磁石片38aの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。すなわち、本形態では、4つの第1磁石片38aの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。
【0056】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの内側面は、2個のレンズ駆動用コイル32のうちの一方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの内側面は、他方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向している。また、前後方向または左右方向における第1磁石片38aの外側面は、コイル部33の2個の長辺部分のうちの一方の長辺部分と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの外側面は、コイル部33の2個の長辺部分のうちの他方の長辺部分と所定の隙間を介して対向している。
【0057】
本形態では、レンズ駆動用コイル32と駆動用磁石38とによって、レンズ駆動機構30が構成されており、レンズ駆動用コイル32に電流が供給されると、可動体8とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、本形態では、コイル部33と駆動用磁石38とによって、振れ補正機構31が構成されており、撮影用光学装置1の外部に配置されるジャイロスコープによって撮影用光学装置1の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、コイル部33に電流が供給される。また、コイル部33に電流が供給されると、可動モジュール4が支点部27aを中心にして光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0058】
なお、磁石固定部材14、15には、フォトリフレクタ36の発光素子からの光をフォトリフレクタ36の受光素子に向かって反射するための反射板39が固定されている。また、本形態では、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の内側面は、レンズ駆動用コイル32に対向する第1対向面であり、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面は、振れ補正用コイルであるコイル部33に対向する第2対向面である。
【0059】
上述のように、駆動用磁石38は、磁石固定部材14、15に固定されている。本形態では、駆動用磁石38と磁石固定部材14とは、少なくともスズを含むスズ系金属からなる第1接合層によって接合されている。同様に、駆動用磁石38と磁石固定部材15とは、少なくともスズを含むスズ系金属からなる第2接合層によって接合されている。第1接合層および第2接合層は、スズ、銅を含むスズ合金、金を含むスズ合金、銀を含むスズ合金、あるいは、ビスマスを含むスズ合金等によって構成されている。
【0060】
なお、磁石固定部材14、15に固定される前の駆動用磁石38の表面には、接合後に第1接合層および第2接合層となるスズメッキ層がニッケルメッキ層を覆うように形成されている。磁石固定部材14、15に駆動用磁石38を固定する際には、磁石固定部材14と磁石固定部材15との間に4個の駆動用磁石38を挟んだ状態で、磁石固定部材14と駆動用磁石38とが密着し、かつ、磁石固定部材15と駆動用磁石38とが密着するように加圧しながら、磁石固定部材14、15および駆動用磁石38を加熱した後に冷却する。磁石固定部材14、15および駆動用磁石38が加熱されると、駆動用磁石38の表面のスズメッキ層が溶融し、磁石固定部材14、15および駆動用磁石38が冷却されると、溶融したスズ系金属が固化して第1接合層および第2接合層が形成され、磁石固定部材14、15に駆動用磁石38が固定される。
【0061】
また、
図3に示すように、駆動用磁石38は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の内側面と、前後方向または左右方向における磁石固定部材14、15の内周端とが略一致するように、磁石固定部材14、15に固定されている。上述のように、磁石固定部材15の外周端は、前後左右方向において、磁石固定部材14の外周端よりも外周側に配置されている。また、本形態では、磁石固定部材15の外周端は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面よりも外周側に突出している。本形態の磁石固定部材15は、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するストッパの機能を果たしている。なお、磁石固定部材14の外周端は、前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面よりも内周側に配置されている。
【0062】
(ケース体の構成)
上述のように、ケース体25は、ケース体25の上端面を構成する底部25aを備えている。底部25aには、上下方向へ貫通する貫通孔25cが形成されている。貫通孔25cは、その中心と光軸Lとが略一致するように形成されている。貫通孔25cの縁には、レンズの径方向の内側に向かって突出する対向部25dが形成されている。対向部25dは、光軸Lを中心とする略90°ピッチで、貫通孔25cの縁の4箇所に形成されている。すなわち、貫通孔25cの縁には、レンズの周方向に一定の間隔をあけた状態で、4個の対向部25dが形成されている。レンズの周方向で隣り合う対向部25dの間は、切欠き部25eとなっている。
【0063】
対向部25dの内周端は、光軸Lを中心とする略1/4円弧状に形成されている。対向部25dの内周端は、
図2に示すようにスリーブ13の外周面(すなわち、可動体8の外周面)よりも内周側に配置されており、対向部25dには、スリーブ13の上端(すなわち、可動体8の被写体側の端面)の一部が当接可能となっている。すなわち、対向部25dは、可動体8の被写体側の端面の一部が当接可能となるように、可動体8の被写体側の端面の一部と対向している。なお、可動体8の被写体側の端面と対向部25dとの光軸方向における隙間は、通常の撮影用光学装置1の使用時において、可動体8が上限まで移動した状態で可動モジュール4が揺動しても、可動体8と対向部25dとが接触しないように設定されている。
【0064】
切欠き部25eは、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。切欠き部25eの外周端は、
図2に示すように、磁石固定部材14の内周端よりも外周側に配置されており、光軸方向から見たときに、磁石固定部材14の一部は、露出している。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ケース体25の底部25aに形成される対向部25dは、可動体8の被写体側の端面の一部が当接可能となるように、可動体8の被写体側の端面の一部と対向している。そのため、本形態では、上述の特許文献1に記載の撮影用光学装置が有するカバー部材の底部を設けなくても、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、対向部25dを利用して、被写体側における可動体8の可動範囲を規制することが可能になる。したがって、本形態では、従来の撮影用光学装置が有するカバー部材の底部の分だけ、撮影用光学装置1を光軸方向で小型化することが可能になる。すなわち、本形態では、撮影用光学装置1を従来以上に薄型化することが可能になる。
【0066】
なお、本形態では、対向部25dに、可動体8の被写体側の端面または磁石固定部材14の被写体側の面が当接することで、可動モジュール4の揺動範囲も規制される。すなわち、本形態の対向部25dは、可動モジュール4の揺動範囲を規制する機能も果たしている。
【0067】
本形態では、共通の駆動用磁石38を用いて、保持体9に対して可動体8を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構30と、支持体5に対して可動モジュール4を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構31とが構成されている。そのため、本形態では、レンズ駆動機構30用の磁石と、振れ補正機構31用の磁石とが別個に設けられている場合と比較して、部品点数を削減することが可能になる。したがって、本形態では、前後左右方向においても、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0068】
本形態では、磁石固定部材15の外周端が前後方向または左右方向における駆動用磁石38の外側面よりも外周側に突出しており、磁石固定部材15は、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するストッパの機能を果たしている。そのため、本形態では、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するストッパを別途、設けなくても、可動モジュール4の揺動範囲を規制して、板バネ6の損傷を防止することが可能になる。したがって、本形態では、撮影用光学装置1の構成を簡素化しつつ、板バネ6の損傷を防止することが可能になる。
【0069】
本形態では、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる磁石固定部材14、15の内周側に、光軸方向から見たときの外周面の形状が略正八角形状となる可動体8が配置されている。また、本形態では、板バネ10のバネ部10cは、磁石固定部材14の角部14aと可動体8との間に配置され、バネ片19のバネ部19cは、磁石固定部材15の角部15aと可動体8との間に配置されている。すなわち、本形態では、デッドスペースとなりやすい磁石固定部材15、16の四隅と可動体8との間にバネ部10c、19cが配置されている。そのため、本形態では、前後左右方向において撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。あるいは、撮影用光学装置1を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【0070】
本形態では、磁石固定部材14の角部14aの上面は、直線辺部14bの上面よりも下側に配置されている。そのため、本形態では、可動モジュール4が揺動したときの、磁石固定部材14の角部14aとケース体25との接触を防止することが可能になる。また、本形態では、板バネ10の保持体固定部10bが固定される磁石固定部材14の角部14aの下面は、直線辺部14bの上面よりも下側に配置されている。そのため、本形態では、板バネ10による反被写体側への可動体8の付勢力を高めることが可能になる。
【0071】
本形態では、ケース体25の底部25aに切欠き部25eが形成されており、光軸方向から見たときに、磁石固定部材14の一部が露出している。そのため、本形態では、撮影用光学装置1の組立時に、磁石固定部材14の被写体側の端面を利用して、光軸方向におけるケース体25と磁石固定部材14との位置合わせを行うことが可能になる。すなわち、本形態では、撮影用光学装置1の組立時に、磁石固定部材14の被写体側の端面を利用して、光軸方向におけるケース体25と駆動用磁石38との位置合わせを行うことが可能になる。また、可動モジュール4が組み立てられた状態で、ケース体25に取り付けられる場合には、撮影用光学装置1の組立時に、磁石固定部材14の被写体側の端面を利用して、光軸方向における可動モジュール4と磁石固定部材14との位置合わせを行うことが可能になる。
【0072】
本形態では、磁石固定部材14、15に固定される前の駆動用磁石38の表面のスズメッキ層が溶融、固化して形成された第1接合層、第2接合層によって、磁石固定部材14、15と駆動用磁石38とが接合されている。そのため、本形態では、磁石固定部材14と駆動用磁石38との間、および、磁石固定部材15と駆動用磁石38との間からの第1接合層、第2接合層のはみ出しを防止することが可能になる。
【0073】
(可動モジュールの変形例)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかる可動モジュール4を説明するための斜視図である。
図7は、
図6に示す板バネ10、スリーブ13、磁石固定部材54およびストッパ55等の分解斜視図である。なお、
図6、
図7では、上述した形態と同じ構成については、同じ符号を付している。
【0074】
上述した形態では、ケース体25の上端面を構成する底部25aの対向部25dは、スリーブ13の上端の一部が当接可能となるように、スリーブ13の上端の一部と対向している。この他にもたとえば、対向部25dは、スリーブ13の上端側に固定されるストッパ55(
図6参照)の上面の一部が当接可能となるように、ストッパ55の上面の一部と対向しても良い。
【0075】
ストッパ55は、金属材料で形成されている。また、ストッパ55は、平板状に形成されている。さらに、ストッパ55は、その外周端の形状が円形状となる環状に形成されている。具体的には、ストッパ55は、その内周端の形状も円形状となる円環状に形成されている。ストッパ55の外径は、スリーブ13の外径よりも大きくなっており、スリーブ13の上端側に固定されたストッパ55は、スリーブ13の外周面よりも外周側へ広がっている。なお、ストッパ55の被写体側の端面と対向部25dとの光軸方向における隙間は、通常の撮影用光学装置1の使用時において、可動体8が上限まで移動した状態で可動モジュール4が揺動しても、ストッパ55と対向部25dとが接触しないように設定されている。
【0076】
この変形例においても、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、対向部25dとストッパ55とを利用して、被写体側における可動体8の可動範囲を規制することが可能になる。したがって、上述した形態と同様に、撮影用光学装置1を従来以上に薄型化することが可能になる。
【0077】
ここで、ケース体25の底部25aには、レンズを露出させるための貫通孔25cが形成されている。また、本形態の撮影用光学装置1では、その組立工程の最終段階で、レンズが固定された状態のレンズホルダ12が上側からスリーブ13の内周側に挿入されて取り付けられるため、この貫通孔25cは、比較的大きく形成されている。したがって、可動モジュール4が揺動しているとき、あるいは、支持体5に対して可動モジュール4が傾いている状態で可動体8が被写体側へ移動したときに、可動体8の上端面が対向部25dに当接せずに、可動体8の上端がケース体25から上側へ飛び出すおそれがある。
【0078】
この変形例では、可動体8がスリーブ13の上端側に固定されるストッパ55を備えており、ストッパ55は、スリーブ13の外周面よりも外周側へ広がっているため、可動モジュール4が揺動しているとき、あるいは、支持体5に対して可動モジュール4が傾いている状態で可動体8が被写体側へ移動したときに、可動体8の上端面の一部を構成するストッパ55を対向部25dに確実に当接させることが可能になる。特に、この変形例では、ストッパ55は、その外周端の形状が円形状となる環状に形成されているため、支持体5に対して可動モジュール4がどの方向に傾いても、ストッパ55を対向部25dに確実に当接させることが可能になる。したがって、可動体8の上端がケース体25から上側へ飛び出すのを防止することが可能になる。
【0079】
また、
図6、
図7に示す変形例では、撮影用光学装置1は、磁石固定部材14に代えて、第1磁石固定部材としての磁石固定部材54を備えている。磁石固定部材54は、磁石固定部材14と同様に、たとえば、非磁性のステンレス鋼板で形成されている。また、磁石固定部材54は、平板状に形成されている。さらに、磁石固定部材54は、光軸方向から見たときの形状が略四角形の枠状となるように形成されている。具体的には、磁石固定部材54は、光軸方向から見たときの内周端の形状が略八角形状となり、光軸方向から見たときの外周端の形状が略正方形となる枠状に形成されている。すなわち、磁石固定部材54は、磁石固定部材54の四隅のそれぞれに配置される4個の略三角形状の角部54aと、前後方向または左右方向と平行に配置され角部54aを繋ぐ直線状の4個の直線辺部54bとから構成されている。
【0080】
板バネ10の可動体固定部10aは、スリーブ13の上端側に形成されるバネ固定面13a(
図7参照)とストッパ55の下面との間に挟まれた状態で、バネ固定面13aに固定されている。バネ固定面13aは、上下方向に直交する平面状に形成されるとともに円環状に形成されている。また、4個の保持体固定部10bのそれぞれは、磁石固定部材54の四隅に配置される角部54aのそれぞれの上面に固定されている。
【0081】
上述のように、可動体8が基準位置にあるときに、可動体固定部10aが保持体固定部10bよりも上側に配置されるように、可動体固定部10aが可動体8に固定され、保持体固定部10bが保持体9に固定されているため、磁石固定部材54(あるいは磁石固定部材14)の下面に保持体固定部10bが固定されている場合には、バネ部10cが磁石固定部材54(あるいは磁石固定部材14)と干渉するおそれがある。これに対して、この変形例では、磁石固定部材54の上面に保持体固定部10bが固定されているため、バネ部10cと磁石固定部材54との干渉を防止することが可能になる。また、可動体固定部10aがスリーブ13に固定されている状態の板バネ10の保持体固定部10bを、上側から磁石固定部材54の上面に容易に固定することが可能になるため、撮影用光学装置1の組立が容易になる。また、この変形例では、板バネ10の可動体固定部10aがバネ固定面13aとストッパ55の下面との間に挟まれた状態で固定されているため、可動体固定部10aの固定強度を高めることが可能になる。
【0082】
なお、この変形例では、スリーブ13とストッパ55とが別体で形成されているため、スリーブ13が樹脂材料で形成されていても、ストッパ55を金属材料で形成することができる。したがって、被写体側における可動体8の可動範囲を規制するストッパ55の強度を高めることが可能になる。また、スリーブ13の外周面よりも外周側へ広がるストッパ55がスリーブ13と一体で形成されていると、可動体8への可動体固定部10aの取付が困難になるが、この変形例では、スリーブ13とストッパ55とが別体で形成されているため、スリーブ13のバネ固定面13aに可動体固定部10aを固定した後にストッパ55を取り付けることで、可動体8へ可動体固定部10aを容易に取り付けることが可能になる。
【0083】
また、この変形例では、スリーブ13のバネ固定面13aとストッパ55との間に、板バネ10の可動体固定部10aが挟まれており、ストッパ55は、可動体固定部10aを介してスリーブ13に固定されているが、ストッパ55は、スリーブ13に直接、固定されても良い。また、この変形例では、ストッパ55の内周端の形状は円形状となっているが、ストッパ55の内周端の形状は多角形状であっても良い。
【0084】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0085】
上述した形態では、ケース体25は、略有底四角筒状に形成されており、底部25aと筒部25bとが一体で形成されている。この他にもたとえば、底部25aと筒部25bとが別体で形成されて互いに固定されても良い。
【0086】
上述した形態では、磁石固定部材14、15は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。この他にもたとえば、磁石固定部材14、15は、略正方形以外の四角形の枠状に形成されても良いし、四角形以外の多角形の枠状に形成されても良い。また、磁石固定部材14、15は、円形の枠状や楕円形の枠状に形成されても良い。
【0087】
上述した形態では、磁石固定部材15は、前後左右方向における可動モジュール4の揺動範囲を規制するためのストッパの機能を果たしている。この他にもたとえば、可動モジュール4の揺動範囲を規制するためのストッパを別途、設けても良い。この場合には、たとえば、磁石固定部材14の外周端と磁石固定部材15の外周端とが、前後左右方向において、略同じ位置に配置される。
【0088】
上述した形態では、ケース体25の底部25aに切欠き部25eが形成されているが、ケース体25の底部25aに切欠き部25eが形成されなくても良い。この場合には、底部25aに、環状をなす1個の対向部25dが形成される。また、上述した形態では、磁石固定部材14、15と駆動用磁石38とは、スズ系金属からなる第1接合層、第2接合層によって互いに固定されているが、接着、半田付け等によって、磁石固定部材14、15と駆動用磁石38とが互いに固定されても良い。
【0089】
上述した形態では、駆動用磁石38は、第1磁石片38aと第2磁石片38bと磁性部材38cとによって構成されているが、駆動用磁石38は、第1磁石片38aと第2磁石片38bとによって構成されても良いし、異なる2つの磁極が光軸方向で重なるように着磁された1個の磁石片によって構成されても良い。
【0090】
上述した形態では、板バネ10は、磁石固定部材14に直接固定されている。この他にもたとえば、板バネ10は、所定の部材を介して磁石固定部材14に固定されても良い。この場合には、角部14aの上面と直線辺部14bの上面とが同一平面上に配置され、角部14aの下面と直線辺部14bの下面とが同一平面上に配置されても良い。また、上述した形態では、板バネ11は、磁石固定部材15に直接固定されているが、板バネ11は、所定の部材を介して磁石固定部材15に固定されても良い。
【0091】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。