(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィラメントを含む繊維性構造体であって、前記フィラメントが、1つ以上のフィラメント形成材料と、目的とする使用の条件に曝露された際に前記フィラメントから放出可能な1つ以上の活性剤とを含み、前記目的とする使用が洗濯物ケアのための洗濯機での使用であり、前記繊維性構造体が、少なくとも網状組織領域と、複数の離散ゾーンと、遷移領域とを更に含み、前記遷移領域が前記網状組織及び前記複数の離散ゾーンに隣接し、前記1つ以上のフィラメント形成材料が水溶性ヒドロキシルポリマーを含む、繊維性構造体。
前記網状組織領域及び複数の離散ゾーンの各々が少なくとも1つの共通の示強性を有し、前記網状組織領域及び複数の離散ゾーンの各々についての前記少なくとも1つの共通の示強性の値が異なる、請求項1に記載の繊維性構造体。
前記網状組織領域、複数の離散ゾーン、及び遷移領域の各々が少なくとも1つの共通の示強性を有し、前記網状組織領域、複数の離散ゾーン、及び遷移領域の各々についての前記少なくとも1つの共通の示強性の値が異なり、好ましくは前記共通の示強性が、平均密度、坪量、高度、不透明度、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の繊維性構造体。
前記網状組織領域が実質的に連続的であり、前記複数の離散ゾーンが前記実質的に連続的な網状組織領域全体にわたって散在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
前記少なくとも1つの共通の示強性が、前記網状組織領域が前記複数の離散ゾーンの比較的高い密度に対して比較的低い密度を有するような平均密度を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
前記水溶性ヒドロキシルポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
前記フィラメントの少なくともいくつかが、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定されたときに50μm未満の直径を呈する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
フィラメントを含む繊維性構造体であって、前記フィラメントが、1つ以上のフィラメント形成材料と、目的とする使用の条件に曝露された際に前記フィラメントから放出可能な1つ以上の活性剤とを含み、前記目的とする使用が洗濯物ケアのための洗濯機での使用であり、前記繊維性構造体が、少なくとも網状組織領域と、複数の離散ゾーンと、遷移領域とを更に含み、前記遷移領域が前記網状組織及び前記複数の離散ゾーンに隣接する、繊維性構造体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.定義
本明細書で使用するとき、以下の用語は下記で指定される意味を有する。
本明細書で使用するとき、「フィラメント」若しくは「繊維」又は「繊維性エレメント」は、その直径をはるかに超える長さを有する、即ち、長さ対直径比が少なくとも約10である、細長い粒子を意味する。繊維性エレメントは、フィラメント又は繊維であり得る。一実施例において、繊維性エレメントは、複数の繊維性エレメントを含んでなる撚糸でなく単一の繊維性エレメントである。繊維性エレメントは、繊維性エレメント形成組成物とも呼ばれるフィラメント形成組成物から、メルトブロー及び/又はスパンボンドなどの好適な紡糸操作を介して紡績され得る。繊維性エレメントは単成分及び/又は多成分であり得る。例えば、繊維性エレメントは、2成分繊維及び/又はフィラメントを含み得る。2成分繊維及び/又はフィラメントは、並列(side-by-side)、コア及びシース(core and sheath)、海島型(islands-in-the-sea)及びこれらに類するものなどの任意の形態であってよい。
【0013】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」は、メルトブロー及び/又はスパンボンドなどによりフィラメントを作製するのに適した組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、フィラメントに紡糸すべくそれ自体を至適化する特性を呈する1つ以上のフィラメント形成材料を含む。一実施例において、フィラメント形成材料はポリマーを含む。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、1種以上の添加剤、例えば、1つ以上の活性剤を含み得る。フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(例えば水)を含んでもよく、フィラメント形成材料の1つ以上(例えば全て)、及び/又は活性剤の1つ以上(例えば全て)は、その中に溶解及び/又は分散される。
【0014】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成材料」は、フィラメントを作製するのに好適な特性を呈するポリマーを製造することができるポリマー又はモノマーなどの材料を意味する。一実施例において、フィラメント形成材料は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び/又は非イオン性ポリマーなどの1つ以上の置換ポリマーを含む。別の実施例において、ポリマーは、ポリビニルアルコール(「PVOH」)などのヒドロキシルポリマー、及び/又はデンプンなどの多糖類、及び/又はエトキシ化デンプンなどのデンプン誘導体、及び/又は酸希釈デンプンを含み得る。別の実施例において、ポリマーは、ポリエチレン及び/又はテレフタレートを含み得る。更に別の実施例において、フィラメント形成材料は、極性溶媒可溶性材料である。
【0015】
本明細書で使用するとき、「添加剤」は、フィラメント内に存在する、フィラメント形成材料でない材料を意味する。一実施例において、添加剤は活性剤を含む。別の実施例において、添加剤は加工助剤を含む。更に別の実施例において、添加剤は充填剤を含む。一実施例において、添加剤は、フィラメント内に存在し、それがフィラメントに存在しないことは、フィラメントがそのフィラメント構造を失うことにならない(換言すれば、それが存在しないことで、フィラメントはその固体の形態を失うことにならない)任意の材料を含む。別の実施例において、添加剤、例えば、活性剤は、非ポリマー材料を含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、「目的とする使用の条件」は、フィラメントがその設計された用途の1つ以上に使用されるときに曝露される温度、物理的、化学的、及び/又は機械的な条件を意味する。例えば、フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブは、洗濯物ケアの目的で洗濯機に使用されるよう設計されており、目的とする使用の条件には、洗濯洗浄操作中に任意の洗浄水を含む洗濯機内に存在する温度、化学的、物理的、及び/又は機械的条件が包含される。別の実施例において、フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブが、ヘアケア目的のためのシャンプーとしてヒトによって使用されるように設計されている場合、目的とする使用の条件には、人間の毛髪をシャンプーしている間に存在する温度、化学的、物理的、及び/又は機械的条件が包含される。同様に、フィラメント、及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブが、手動での又は食器洗浄機での食器洗浄操作に使用されるように設計されている場合、目的とする使用の条件には、食器洗浄操作中に食器洗浄用の水及び/又は食器洗浄機に存在する温度、化学的、物理的及び/又は機械的な条件が包含される。
【0017】
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、フィラメントがフィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブの目的とする使用の条件に曝露された際などに、本フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブの外部の環境において意図された効果を生じる添加剤を意味する。一実施例において、活性剤は硬質表面(例えば、台所の調理台、浴槽、化粧台、便器、シンク、床、壁、歯、車、窓、鏡、皿)、及び/又は軟質表面(例えば、布地、毛髪、皮膚、カーペット、農作物、植物)などの表面を処理する添加剤を含む。別の実施例において、活性剤は、化学反応(即ち、発泡、泡立ち、発色、加温、冷却、起泡、消毒、及び/若しくは浄化、並びに/又は塩素化、例えば水の浄化、及び/若しくは水の消毒、並びに/又は水の塩素化)を生じさせる添加剤を含む。更に別の実施例において、活性剤は、環境を処理する(例えば、空気の脱臭、清浄化、香り付け)添加剤を含む。一実施例において、活性剤は、活性剤含有フィラメントの形成中などに、その場で(in-situ)形成され、例えばフィラメントは、水溶性ポリマー(例えば、デンプン)及び界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤)を含んでもよく、これら水溶性ポリマー及び界面活性剤は、布地の表面を処理するのに使用される活性剤として機能するポリマー錯体を、即ちコアセルベートを作り出すことができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、「布地ケア活性剤」は、布地に塗布された場合に、布地に利益及び/又は改善を与える活性剤を意味する。布地に対する利益及び/又は改善の非限定例としては、洗浄(例えば、界面活性剤によるもの)、染み除去、染み抑制、皺除去、色彩回復、静電気抑制、防皺性、耐久プレス、摩耗抑制、耐摩耗性、毛玉除去、毛玉耐性、汚れ除去、耐汚水性(汚れ剥離を含む)、保形性、縮み抑制、柔軟性、芳香、抗バクテリア、抗ウイルス、耐臭気性、及び臭気除去が挙げられる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「食器洗浄活性剤」は、食卓用器具、ガラス器、ポット、鍋、調理具、及び/又は料理用シートに塗布された場合に、その食卓用器具、ガラス器、プラスチックアイテム、ポット、鍋、調理具、及び/又は料理用シートに対し利益及び/又は改善を付与する活性剤を意味する。食卓用器具、ガラス器、プラスチックアイテム、ポット、鍋、調理具、及び/又は料理用シートに対する利益及び/又は改善の非限定例としては、食べ物及び/若しくは汚れの除去、(例えば、界面活性剤での)洗浄、染み除去、染み抑制(stain reduction)、油除去、水班除去及び/又は水班防止、ガラス及び金属のケア、衛生化、艶出し、並びに研摩が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「硬質表面活性剤」は、床、調理台、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又はトイレに塗布された場合に、床、調理台、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又はトイレに利益及び/又は改善を与える活性剤を意味する。床、調理台、シンク、窓、鏡、シャワー、浴槽、及び/又はトイレに対する利益及び/又は改善の非限定例としては、食物及び/若しくは汚れの除去、洗浄(例えば、界面活性剤によるもの)、染み除去、染み抑制、油脂除去、水班除去及び/又は水班防止、水垢除去、消毒、艶出し、研摩、並びにフレッシュニングが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「重量比」は、フィラメント中の添加剤(例えば活性剤(g又は%))の乾燥重量基準での重量に対する、フィラメント中のフィラメント形成材料のフィラメント基準及び/又は乾燥重量基準での重量(g又は%)を意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「ヒドロキシルポリマー」には、例えば、フィラメント形成材料としてフィラメント中に組み込まれることの可能な、任意のヒドロキシル含有ポリマーが包含される。一実施例において、ヒドロキシルポリマーは、10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は25重量%超のヒドロキシル部分を含む。
【0023】
本明細書で使用するとき、材料に関して(例えばフィラメント全体及び/又はフィラメント内のポリマー(例えばフィラメント形成材料)などの材料に関して)使用する場合、「生分解性」は、例えば、参照により本明細書に援用されるOECD(1992)「Guideline for the Testing of Chemicals 301B;Ready Biodegradability−CO
2 Evolution(Modified Sturm Test)Test」に従って測定した場合に、元のフィラメント及び/又はポリマーのうち少なくとも5%、及び/又は少なくとも7%、及び/又は少なくとも10%が、30日後に二酸化炭素に転化されるように、公共固形廃棄物堆肥化施設において、フィラメント及び/又はポリマーを、物理的分解、化学的分解、熱分解、及び/又は生物分解させることができること、及び/又はこのような分解が生じることを意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、フィラメント全体及び/又はフィラメント内のポリマー(例えばフィラメント形成材料)などの材料に関し、「非生分解性」は、例えば、参照により本明細書に援用されるOECD(1992)「Guideline for the Testing of Chemicals 301B;Ready Biodegradability−CO
2 Evolution(Modified Sturm Test)Test」に従って測定した場合に、元のフィラメント及び/又はポリマーのうち少なくとも5%が、30日後に二酸化炭素に転化されるように、公共固形廃棄物堆肥化施設において、フィラメント及び/又はポリマーを、物理的分解、化学的分解、熱分解、及び/又は生物分解させることができないということを意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、フィラメント全体及び/又はフィラメント内のポリマー(例えばフィラメント形成材料)などの材料に関し、「非熱可塑性」は、フィラメント及び/又はポリマーが、水、グリセリン、ソルビトール、及び尿素などの可塑剤が存在しない場合に圧力下でのフィラメント及び/又はポリマーの流動を可能にする融点及び/又は軟化点を呈さないということを意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、「非熱可塑性の生分解性フィラメント」は、上記で定義されたような生分解性かつ非熱可塑性の特性を呈するフィラメントを意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、「非熱可塑性の非生分解性フィラメント」は、上記で定義されたような非生分解性でかつ非熱可塑性の特性を呈するフィラメントを意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、フィラメント全体及び/又はフィラメント内のポリマー(例えばフィラメント形成材料)などの材料に関し、「熱可塑性」は、特定の温度において、フィラメント及び/又はポリマーが、可塑剤が存在しない場合に圧力下での流動を可能にする融点及び/又は軟化点を呈するということを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性の生分解性フィラメント」は、上記で定義されたような生分解性でかつ熱可塑性の特性を呈するフィラメントを意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性の非生分解性フィラメント」は、上記で定義されたような非生分解性でかつ非熱可塑性の特性を呈するフィラメントを意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、「極性溶媒可溶性材料」は、極性溶媒に混和可能な材料を意味する。一実施例において、極性溶媒可溶性材料はアルコール及び/又は水に混和可能である。換言すれば、極性溶媒可溶性材料は、周囲条件にてアルコール及び/又は水などの極性溶媒と安定な(均質の溶液を形成した後、5分を超えて相分離しない)均質溶液を形成することができる材料である。
【0032】
本明細書で使用するとき、「アルコール可溶性材料」は、アルコールに混和可能な材料を意味する。換言すれば、周囲条件にてアルコールと安定した(均質の溶液を形成した後、5分を超えて相分離しない)均質な溶液を形成することができる材料である。
【0033】
本明細書で使用するとき、「水可溶性材料」は、水に混和可能な材料を意味する。換言すれば、周囲条件にて水と安定した(均質の溶液を形成した後、5分を超えて分離しない)均質な溶液を形成することができる材料である。
【0034】
本明細書で使用するとき、「非極性溶媒可溶性材料」は、非極性溶媒に混和可能な材料を意味する。換言すれば、非極性溶媒可溶性材料は、周囲条件にて非極性溶媒と安定な(均質の溶液を形成した後、5分を超えて分離しない)均質溶液を形成することができる材料である。
【0035】
本明細書で使用するとき、「周囲条件」は、約23℃±2.2℃(73°F±4°F)及び相対湿度50%±10%を意味する。
【0036】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」は、Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects,Vol.162,2000,pg.107〜121に見出される手順に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される重量平均分子量を意味する。
【0037】
フィラメントに関して本明細書で使用するとき、「長さ」は、フィラメントの最長軸に沿った一方の末端から他方の末端までの長さを意味する。フィラメントが屈曲(kink)、カール又はカーブを有する場合、その長さは、フィラメントの全ての経路全体に沿った長さである。
【0038】
フィラメントに関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定される。一実施例において、フィラメントは100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を呈し得る。
【0039】
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、一実施例において、刺激として機能し、フィラメントの物理的構造の損失又は変更、及び/又は活性剤などの添加剤の放出などの、フィラメントにおける変化を開始若しくは誘発する、活動又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の実施例において、誘発条件は、フィラメント及び/又は不織布ウェブ及び/又はフィルムが水に加えられたときに、水などの環境に存在し得る。換言すれば、フィラメント及び/又は不織布及び/又はフィルムが水に加えられるという事実を除けば、水に如何なる変化も生じない。
【0040】
フィラメントの形態変化に関して本明細書で使用するとき、「形態変化」は、フィラメントがその物理的構造における変化を経ることを意味する。フィラメントの形態変化の非限定例としては、溶解、融解、膨張、収縮、粉砕、破裂、延長、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。フィラメントは目的とする使用の条件に曝露された際に、完全に若しくは実質的にフィラメントの物理的構造を失う場合もあれば、又はその形態の変化を経る場合もあれば、あるいはフィラメントの物理的構造を維持若しくは実質的に維持する場合もある。
【0041】
本明細書において、例えば、フィラメント及び/又は洗剤製品内に存在する1つ以上の活性剤の合計濃度に関して用いられる「合計濃度」とは、全ての対象材料(例えば、活性剤)の重量又は重量パーセントの合計を意味する。換言すれば、フィラメント及び/又は洗剤製品は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で25重量%のアニオン性界面活性剤、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で15重量%の非イオン性界面活性剤、10重量%のキレート剤、及び5重量%の香料を含み得る。その場合、フィラメント内に存在する活性剤の合計濃度が、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で50重量%超、即ち55重量%となる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「洗剤製品」は、1つ以上の活性剤、例えば、布地ケア活性剤、食器洗浄活性剤、硬質表面活性剤、及びこれらの混合物を含んでなる固体形態(例えば、時にはシートと呼ばれる矩形の固体)を意味する。一実施例において、洗剤製品は1種以上の界面活性剤、1種以上の酵素、1種以上の香料、及び/又は1種以上の泡抑制剤を含み得る。別の実施例において、洗剤製品はビルダー及び/又はキレート化剤を含んで構成され得る。別の実施例において、洗剤製品は漂白剤を含み得る。
【0043】
本明細書で使用するとき、「ウェブ」は、相互に関連する任意の特質又は起源をもつ形成済の繊維及び/若しくはフィラメントの集合体(例えば、繊維性構造体)、並びに/又は、繊維及び/若しくはフィラメントから形成された洗剤製品(例えば、連続的なフィラメント)の集まりを意味する。一実施例において、ウェブは、鋳造工程でなく紡糸工程を介して形成される繊維及び/又はフィラメントを含んでなる矩形の固体である。
【0044】
本明細書において本開示の目的に用いられ、かつEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって一般に定義される「不織布ウェブ」は、任意の手段によってウェブに形成されており、製織又は編み組みを除く任意の手段をによって一体に結合され得る、任意の特質又は起源をもつシート状の繊維及び/又はフィラメント(例えば、連続的なフィラメント)を意味する。湿式粉砕(wet milling)によって得られるフェルトは、不織布ウェブとは別物である。一実施例において、不織布ウェブは、フィラメントが機能を遂行するために構造体内で規則的に配列されたものを意味する。一実施例において、不織布ウェブは、相互に絡み合って、さもなければ相互に結合して不織布ウェブを形成してなる複数(2つ以上及び/又は3つ以上)のフィラメントを含む配列である。一実施例において、不織布ウェブは、フィラメントに加えて、1つ以上の固体添加剤、例えば、粒子及び/又は繊維を含み得る。
【0045】
本明細書で使用するとき、「粒子」は、粒状物質及び/又は粉末を意味する。一実施例において、フィラメント及び/又は繊維は粉末に転化され得る。
【0046】
本明細書において「等価直径」は、個々のデンプンフィラメントの断面積及び表面積を定義するために、断面積の形状には関係なく用いられている。等価直径は、方程式S=1/4πD
2(式中、Sはフィラメントの断面積(幾何学的形状には無関係)、π=3.14159、及びDは等価直径である)を満たすパラメータである。例えば、相互に対向する2つの側部「A」、及び相互に対向する2つの側部「B」によって形成される矩形形状を有する断面積は、S=A×Bとして表すことができる。同時に、この断面積は、等価直径Dを有する円形区域として表すことができる。この場合、等価直径Dは、式S=1/4πD
2(式中、Sは矩形の既知面積)から計算することが可能である。(勿論、円の等価直径は、円の実直径である。)等価半径は等価直径の1/2である。
【0047】
「疑似熱可塑性」は「材料」又は「組成物」に関して用いられる場合、高温の影響によって適切な溶媒に溶解されるか、又はさもなければ流動可能な状態になり得る程度にまで軟化することが可能な材料及び組成物であって、その状態において所望される通りに成形することが可能であり、より具体的には、繊維性構造体を形成するのに好適なデンプンフィラメントを形成すべく加工することが可能な材料及び組成物を表すことを意図したものである。疑似熱可塑性材料は、例えば、熱及び圧力の組み合わせの影響下で形成され得る。疑似熱可塑性物質の軟化又は流動化は、存在する軟化剤又は溶媒によって引き起こされるものであり、疑似熱可塑性物質それ自体は「融解」しないため、疑似熱可塑性材料は、その軟化剤又は溶媒が存在しなければ、成形に必要な任意の温度又は圧力によって柔軟な状態又は流動可能な状態になることが不可能であり、この点で似熱可塑性物質は熱可塑性材料と異なる。デンプンのガラス転移温度及び融解温度に対して含水量が及ぼす影響は、Zeleznak及びHoseny共著「Cereal Chemistry」,Vol.64,No.2,pp.121〜124,1987に記載されているような示差走査熱量計で測定できる。疑似熱可塑性融解物は、流動可能な状態の疑似熱可塑性材料である。
【0048】
「微細形状」及びその置換(permutation)は、全体的な(即ち、「巨視的」)形状とは対照的に、構造体の全体的な形態は考慮せずに、例えば表面材質などの繊維性構造体の比較的小さな(即ち、「微視的な」)詳細を指す。「巨視的」又は「巨視的に」を含んだ用語は、X−Y平面などの二次元構成内に置かれた場合を考慮に入れた、構造体又はその一部分の全体的な形状を指す。例えば、巨視的レベルでは、繊維性構造体は、平面上に配設されているときに、比較的薄くて平坦なシートを含む。しかしながら、微視的なレベルでは、この構造体は、第1の高度を有する第1の平面を形成する複数の第1の領域と、フレームワーク領域全体にわたって分散しかつフレームワーク領域から外方へ延在して第2の高度を形成する複数のドーム又は「ピロー」と、を含み得る。
【0049】
「示強性」は、繊維性構造体の平面内部にある値の集合に依存する値を有さない特性である。共通の示強性とは、2つ以上の領域によって所有される示強性である。繊維性構造体のかかる示強性としては、限定されるものではないが、密度、坪量、高度、及び不透明度が挙げられる。例えば、密度が、2つの示差領域に共通した示強性である場合、1つの領域における密度の値は他の領域における密度の値とは異なる。(例えば、第1の領域及び第2の領域などの)領域は、異なる示強性によって相互に区別できる識別可能区域である。
【0050】
「ガラス転移温度」T
gは、材料が粘性又はゴム状態から硬く比較的砕け易い状態へと変化する温度である。
【0051】
「MD)は、製造機器で製造される繊維性構造体の流れに対して平行な方向である。「機械横方向(cross-machine direction)」(即ちCD)は、機械方向に対して垂直で、かつ製造される繊維性構造体の一般面(general plane)に対して平行な方向である。
【0052】
「X」、「Y」及び「Z」は、相互に垂直な座標「X」及び「Y」が基準X−Y平面を定義し、かつ「Z」がX−Y平面に対する直交性を定義する、従来のデカルト座標系を示す。「Z方向」は、X−Y平面に対して垂直な任意の方向を示す。同様に、用語「Z寸法」は、Z方向に対して平行に測定される寸法、距離、又はパラメータを意味する。例えば、成形部材などのエレメントが、弯曲している場合又はさもなければ平面から分離(deplane)している場合、X−Y平面はそのエレメントの構成に追従する。
【0053】
「実質的に連続的な」領域とは、該区域内部全体に巡らされた途切れのない線分によって、その線分の長さ全体にわたって任意の2つの点を繋ぐことのできる区域を指す。つまり、実質的に連続的な領域は、第1の平面に平行な全方向において実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部においてのみ終端する。「実質的に」という用語は、「連続的な」と組み合わせて用いられた場合に、絶対的な連続性の方が好ましいが、絶対的な連続性からの軽微な偏差が、設計されかつ意図された繊維性構造体(又は成形部材)の性能に目に見えて影響しない限り、許容範囲内であり得ることを指示する用語である。
【0054】
「実質的に半連続的な」領域とは、第1の平面に平行な、少なくとも1つの方向を除く全方向において「連続性」を有する区域であって、該区域内部全体に巡らされた途切れのない線によって、その線の長さ全体にわたって任意の2つの点を繋ぐことのできない区域を指す。半連続的なフレームワークは、第1の平面に平行な1つの方向においてのみ連続性を有し得る。上述の連続的な領域から類推して、少なくとも1つの方向を除く全方向における絶対的な連続性の方が好ましいが、かかる連続性からの軽微な偏差が、繊維性構造体の性能に目に見えて影響しない限り、許容範囲内であり得る。
【0055】
「不連続」領域は、第1の平面に平行な全ての方向において不連続である、離散した、相互に分け隔てられた区域を指す。
【0056】
「可撓性」とは、材料又は構造がそれ自体変形する前の形状に戻ることが可能かそれとも不可能かには関係なく、材料又は構造体が所与の負荷の下で破壊されずに変形する能力である。
【0057】
「成形部材」は、繊維性構造体の製造工程中にその上にフィラメントが付着され得るフィラメントの支持体として使用することも、また繊維性構造体の所望される微視的形状を形成(又は「成形」)する形成単位として使用することも可能な、構造エレメントである。成形部材は、その上に生成される構造に三次元パターンを与える能力を有する任意のエレメントを含んでいてもよく、限定されるものではないが、固定板、ベルト、シリンダー/ロール、織布、及びバンドが包含される。
【0058】
「溶融紡糸」は、減衰力を用いることによって熱可塑性物質又は疑似熱可塑性材料を繊維状物質に変えるプロセスである。溶融紡糸としては、機械的伸長、メルトブローイング、スパンボンディング及びエレクトロスピニングを挙げることができる。
【0059】
「機械的伸長」は、繊維スレッドをロールなどの被駆動表面と接触させて繊維スレッドに対し力を誘発し、力を融解物に印加し、それによって繊維を作製するプロセスである。
【0060】
「メルトブローイング」は、高速空気、又はフィラメントを減衰させるための別の適切な力を使用して、ポリマー又は樹脂から直接繊維性ウェブ又は物品を作製するプロセスである。メルトブローイングプロセスでは、材料がダイ又は紡糸口金から出ると高速空気の形態の減衰力が印加される。
【0061】
「スパンボンディング」は、流動力及び重力の下で繊維を所定の距離に落下させ、続いて、高速空気又は別の適切な供給源を介して力を印加するプロセスを含む。
【0062】
「エレクトロスピニング」は、繊維を減衰させる力として電位を使用するプロセスである。
【0063】
「乾式紡糸」は「溶液紡糸」としても一般に知られており、溶媒乾燥を用いて繊維構造を安定させる工程を伴う。材料は、適切な溶媒に溶解され、機械的伸長、メルトブローイング、スパンボンディング、及び/又はエレクトロスピニングを介して減衰される。溶媒が蒸発するにつれて繊維は安定になる。
【0064】
「湿式紡糸」は、材料を好適な溶媒に溶解する工程と、小繊維を機械的伸長、メルトブローイング、スパンボンディング、及び/又はエレクトロスピニングを介して形成する工程と、を含む。繊維が形成されると、形成された繊維は、通常適切な溶液が充填された槽を含む凝固系に流れ込み、該溶液は所望される材料を凝固させ、それにより、安定な繊維が生成される。
【0065】
「融解温度」は、それに達するか又はそれを超えるとデンプン組成物がデンプンフィラメントに加工され得る程度に十分溶解又は軟化する温度又は温度範囲を意味する。一部のデンプン組成物は疑似熱可塑性組成物であり、そのため純粋な「融解」挙動を呈し得ないことも理解すべきである。
【0066】
「加工温度」は、その温度にて、例えば、減衰によってデンプンフィラメントの形成が可能になるデンプン組成物の温度を意味する。
【0067】
本明細書で使用するとき、「坪量」は、gsmで報告される試料の単位面積当たりの重量であり、本明細書に記載する坪量試験方法に従って測定される。
【0068】
本明細書で使用するとき、「繊維性構造体」は、1つ以上の繊維性フィラメント及び/又は繊維を含んでなる構造体を意味する。一実施例において、繊維性構造体は、構造体内部でのフィラメント及び/又は繊維の、機能を遂行するための規則的な配列を意味する。繊維性構造体の非限定例としては、洗剤製品、布地(織布、編み布、及び不織布を含む)、及び吸収パッド(例えば、おむつ又は女性向け衛生用品)を挙げることができる。本発明の繊維性構造体は均一であってもよいし、又は階層化されていてもよい。繊維性構造体は、階層化されている場合、少なくとも2つ、及び/又は少なくとも3つ、及び/又は少なくとも4つ、及び/又は少なくとも5つの層、例えば、1つ以上の繊維性エレメント層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維性エレメント/粒子混合層を含んで構成され得る。
【0069】
本明細書で使用するとき、冠詞「a」及び「an」は、例えば「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」などのように本明細書で使用する場合、特許請求された又は記載された物質が1つ以上であることを意味するものと理解される。
【0070】
特に明記しない限り、全てのパーセンテージ及び比率は重量基準で計算される。特に明記しない限り、全てのパーセンテージ及び比率は全組成物を基準として計算される。
【0071】
特に記載がない限り、構成成分又は組成物の濃度は全て、その構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0072】
II.繊維性構造体
図3〜4に示すように、繊維性構造体20は、少なくとも第1の領域(例えば、網状組織領域22)と、第2の領域(例えば、離散ゾーン24)とを有するフィラメントから形成され得る。第1及び第2の領域の各々は、例えば坪量又は平均密度などの、少なくとも1つの共通の示強性を有する。第1の領域の共通の示強性は、第2の領域の共通の示強性とは値が異なり得る。例えば、第1の領域の平均密度は、第2の領域の平均密度より高い場合がある。
図3は、繊維性構造体20の一部を平面図で示したものである。同図において網状組織領域22は、六角形を画定するものとして示してあるが、他の予め選択されたパターンを使用してもよいことを理解すべきである。
【0073】
図4は、
図3の4−4線に沿った繊維性構造体20の断面図である。
図4に示す実施形態から分かるように、網状組織領域22は本質的に単一平面である。繊維性構造体20の第2の領域は、網状組織領域22全体に分散された複数の離散ゾーン24を含んでいる場合があり、各離散ゾーンは本質的に網状組織領域22で囲繞され得る。離散ゾーン24の形状は、網状組織領域22によって画定され得る。
図4に示すように、離散ゾーン24は、網状組織領域22により形成される平面から、矢印Tの方向を観察する架空の観察者の方に向かって延出(突出)するように見える。第2の領域は、
図4の矢印Bで指示される方向を観察する架空の観察者が見たときに、空洞又は窪みのように見える弓形形状の空隙を含む。
【0074】
別の実施形態においては、
図5〜6に示すように、繊維性構造体120の第1及び第2の領域122及び124はまた、それぞれの微細形状で見分けることもできる。
図5〜6においては、例えば、第1の領域122は、繊維性構造体120が平坦表面上に配設されているときに第1の高度にて第1の平面を形成する実質的に連続的な網状組織を含み、第2の領域124は実質的に連続的な網状組織全体にわたって分散された複数の離散ゾーンを含み得る。いくつかの実施形態において、これらの離散ゾーンは、網状組織領域から外方へ延出する離散突出部、即ち「ピロー」を備え、該ピローは、第1の平面を基準として第1の高度を超える第2の高度を形成する。ピローはまた、実質的に連続的なパターンと、実質的に半連続的なパターンとを含み得ることを理解すべきである。
【0075】
実施形態において、実質的に連続的な網状組織領域は比較的高い密度を有していてもよく、ピローは比較的低い密度を有する。更に他の実施形態において、実質的に連続的な網状組織領域は比較的低い密度を有していてもよく、ピローが比較的高い密度を有していてもよい。本明細書に記載の坪量試験方法に従って測定したときに、或る実施形態において繊維性構造体が約3000gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約1500gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約1000gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約700gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約500gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約300gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約200gsm以下の坪量を呈する場合もあり、或る実施形態において繊維性構造体が約150gsm以下の坪量を呈する場合もある。
【0076】
他の実施形態において、第2の領域は、半連続的な網状組織を含んで構成され得る。第2の領域は、
図5〜6に示すものに類似する離散区域と、X−Y平面(即ち、平坦表面上に配設された繊維性構造体120の第1の領域122で形成された平面)内に見られるような少なくとも1つの方向に延在する半連続的な区域と、を含み得る。
【0077】
図5及び6に示す実施形態において、繊維性構造体120は、第1の領域122の示強性及び第2の領域124の示強性と共通していてかつ値が異なる少なくとも1つの示強性を有する第3の領域130を含んで構成される。例えば、第1の領域122が、第1の値を有する共通の示強性を有する場合もあれば、第2の領域124が、第2の値を有する共通の示強性を有する場合もあり、かつ第3の領域130が、第3の値を有する共通の示強性を有する場合もあり、ここで第1の値が第2の値とは異なる場合もあれば、かつ第3の値が第2の値及び第1の値とは異なる場合もある。一実施形態において、そのような第3の領域は、第1の領域122と第2の領域124との間に位置する遷移領域135(
図4を参照)を含み得る。遷移領域135は、その間を網状組織領域及び離散ゾーンが遷移する区域又は領域である。
【0078】
遷移領域は、網状組織領域及び離散ゾーンのうちの1つに隣接し得る。遷移領域は遷移領域幅を有し得る。遷移領域幅は、或る実施形態において約100マイクロメートル〜約5000マイクロメートルである場合もあれば、或る実施形態において約400マイクロメートル〜約4000マイクロメートルである場合もあり、或る実施形態においては約600マイクロメートル〜約3000マイクロメートルである場合もある。
【0079】
本明細書に記載されているような少なくとも3つの示差領域122、124、130を含む繊維性構造体120が水平基準平面(例えば、X−Y平面)上に配設されており、第1の領域122は第1の高度を有する平面を画定し、その平面から第2の領域124が延在して第2の高度を画定する。第3の領域130が第3の高度を画定し、ここで第1、第2、第3の高度のうちの少なくとも1つは他の高度のうちの少なくとも1つとは異なる、という実施形態が企図される。例えば、第3の高度は、第1及び第2の高度の中間であり得る。
【0080】
網状組織領域と複数の離散ゾーンとを有する好適な繊維性構造体は、所定の高度を有し得る。例えば、或る実施形態において、網状組織領域又は離散ゾーンの一方は、高度が約50マイクロメートル〜約5000マイクロメートルであり得る。或る実施形態において、網状組織領域又は離散ゾーンの一方は、高度が約100マイクロメートル〜約2000マイクロメートルであり得る。或る実施形態において、網状組織領域又は離散ゾーンの一方は、高度が約150マイクロメートル〜約1500マイクロメートルであり得る。
【0081】
下表に、限定はされないが示差的な(即ち、高、中、又は低の)示強性を有する少なくとも3つの領域を含んでなる繊維性構造体120が実施形態として取り得るいくつかの組み合わせを示す。これらの実施形態はいずれも、本開示の範囲内に包含される。
【0083】
本明細書に記載されている好適な繊維性構造体は、別々の(例えば、同じでない)平均密度を有する網状組織領域及び離散ゾーンを備え得る。網状組織領域又は離散ゾーンのいずれかの平均密度は、約0.05g/cc〜約0.80g/ccであり得、或る実施形態において約0.10g/cc〜約0.50g/ccであり得、或る実施形態において約0.15g/cc〜約0.40g/ccであり得る。他の実施形態において、網状組織領域の平均密度は約0.05g/cc〜約0.15g/ccであり得、離散ゾーンの平均密度は約0.15g/cc〜約0.80g/ccであり得、若しくは、網状組織領域の平均密度は約0.07g/cc〜約0.13g/ccであり得、離散ゾーンの平均密度は約0.25g/cc〜約0.70g/ccであり得、又は、網状組織領域の平均密度は約0.08g/cc〜約0.12g/ccであり得、離散ゾーンの平均密度は約0.40g/cc〜約0.60g/ccであり得る。他の或る実施形態において、網状組織領域及び離散ゾーンごとの平均密度値については逆も真となり得る。考慮対象の繊維性構造体の一部上に突出した単位面積下に配された繊維の数を考えた場合、網状組織領域の平均密度と離散ゾーンの平均密度の比率は1を超え得る。別の実施形態においては、網状組織領域の平均密度と離散ゾーンの平均密度の比率が1未満になり得る。或る実施形態において、本明細書に記載されている遷移領域は、網状組織領域又は離散ゾーンの少なくとも一方と異なる平均密度を有し得る。一実施形態において、遷移領域の平均密度値は、網状組織領域の平均密度値と離散ゾーンの平均密度値との間であり得る。
【0084】
或る実施形態において、網状組織領域の坪量対離散ゾーンの坪量の比は約0.5〜約1.5である。或る実施形態において、網状組織領域の坪量対離散ゾーンの坪量の比は約0.8〜約1.2である。
【0085】
網状組織領域は、或る実施形態において繊維性構造体の総区域の約5%〜約95%を占める場合もあれば、また或る実施形態においては繊維性構造体の総区域の約20%〜約40%を占める場合もある。或る実施形態において、複数の離散領域は、繊維性構造体の総区域の約5%〜約95%を占める場合もあれば、また或る実施形態において繊維性構造体の総区域の約60%〜約80%を占める場合もある。
【0086】
或る実施形態において、好適な繊維性構造体は含水量(水分%)は0%〜約20%であり得る。或る実施形態において、繊維性構造体は含水量は約1%〜約15%であり得る。或る実施形態において、繊維性構造体は含水量は約5%〜約10%であり得る。
【0087】
或る実施形態において、好適な繊維性構造体は、本明細書に記載の引張試験方法に従って、約38.6J/m
2(100g
*in/in
2)以上、及び/又は約57.9J/m
2(150g
*in/in
2)以上、及び/又は約77.2J/m
2(200g
*in/in
2)以上、及び/又は約115.8J/m
2(300g
*in/in
2)以上の幾何平均TEAを呈し得る。
【0088】
或る実施形態において、好適な繊維性構造体は、本明細書に記載の引張試験方法に従って、約49N/cm(5000g/cm)以下、及び/又は39.2N/cm(4000g/cm)以下、及び/又は約34.3N/cm(3500g/cm)以下、及び/又は約29.4N/cm(3000g/cm)以下、及び/又は約26.5N/cm(2700g/cm)以下の幾何平均弾性率を呈し得る。
【0089】
或る実施形態において、本明細書に記載されている好適な繊維性構造体は、本明細書に記載の引張試験方法に従って測定されたときに、約10%以上、及び/又は約20%以上、及び/又は約30%以上、及び/又は約50%以上、及び/又は約60%以上、及び/又は約65%以上、及び/又は約70%以上の幾何平均ピーク伸長度を呈し得る。
【0090】
或る実施形態において、本明細書に記載されている好適な繊維性構造体は、本明細書に記載の引張試験方法に従って測定されたときに、約0.77N/cm(200g/in)以上、及び/又は約1.16N/cm(300g/in)以上、及び/又は約1.54N/cm(400g/in)以上、及び/又は約1.93N/cm(500g/in)以上、及び/又は約2.32N/cm(600g/in)以上の幾何平均引張り強度を呈し得る。
【0091】
繊維性構造体の他の好適な配列は、米国特許第4,637,859号、及び米国特許出願公開第2003/0203196号に記載されている。
【0092】
他の好適な繊維性構造体の更なる非限定例は、本出願と同時に出願された米国仮特許出願第61/583,018号(P&G代理人整理番号12330P)に開示されており、該出願は本明細書において参照により援用される。
【0093】
本明細書において洗剤製品として記載されているこの種の繊維性構造体を使用することで、先行技術からの付加的な利益が得られる。異なる示強性を有する繊維性構造体の内部に少なくとも2つの領域を有することによって、繊維性構造体は使用前に十分な整合性を提供し得るが、繊維性構造体は(例えば、洗浄機内での)使用中に十分に溶解し活性剤を放出し得る。加えて、そのような繊維性構造体は、洗浄の対象となる任意の物品(例えば、衣類)又は洗濯機表面に対して非接着性であり、この種の繊維性機構構造体は、洗濯機の排水ユニットを塞がない。
【0094】
A.フィラメント
フィラメントは、1つ以上のフィラメント形成材料を含むことができる。このフィラメント形成材料に加えて、フィラメントは、例えば、目的とする使用の条件に曝露された際などにフィラメントから放出可能な1つ以上の活性剤を更に含んでもよく、ここで、フィラメント内に存在する1つ以上のフィラメント形成材料の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で80重量%未満であり、フィラメント内に存在する1つ以上の活性剤の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で20重量%超であるものが提供される。
【0095】
別の実施例では、フィラメントは、1つ以上のフィラメント形成材料と、1つ以上の活性剤と、を含み得る。フィラメント内に存在するフィラメント形成材料の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で約5重量%〜80重量%未満であり得る。フィラメント内に存在する活性剤の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で20重量%超〜約95重量%であり得る。
【0096】
一実施例では、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は60重量%未満、及び/又は55重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で20重量%超、及び/又は少なくとも35重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤と、を含み得る。
【0097】
一実施例において、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で50重量%超、及び/又は少なくとも55重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は少なくとも65重量%、及び/又は少なくとも70重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤と、を含み得る。一実施例において、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で80重量%超の活性剤を含み得る。
【0098】
別の実施例において、1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、フィラメント形成材料と活性剤の合計濃度の重量比が、4.0以下、及び/又は3.5以下、及び/又は3.0以下、及び/又は2.5以下、及び/又は2.0以下、及び/又は1.85以下、及び/又は1.7未満、及び/又は1.6未満、及び/又は1.5未満、及び/又は1.3未満、及び/又は1.2未満、及び/又は1未満、及び/又は0.7未満、及び/又は0.5未満、及び/又は0.4未満、及び/又は0.3未満、及び/又は0.1を超えて、及び/又は0.15を超えて、及び/又は0.2を超えて、フィラメント内に存在する。
【0099】
更に別の実施例において、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で、約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えばポリビニルアルコールポリマー及び/又はデンプンポリマー)と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で、20重量%を超えて約90重量%までの、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含み得る。該フィラメントは、グリセリンなどの可塑剤、及び/又はクエン酸などのpH調整剤を更に含み得る。
【0100】
更に別の実施例において、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で、約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えばポリビニルアルコールポリマー及び/又はデンプンポリマー)と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で、20重量%を超えて約90重量%までの、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含み得るものあって、フィラメント形成材料と活性剤の重量比は4.0以下である。該フィラメントは、グリセリンなどの可塑剤、及び/又はクエン酸などのpH調整剤を更に含み得る。
【0101】
更なる他の実施例において、フィラメントは、1つ以上のフィラメント形成材料と、フィラメントが目的とする使用の条件に曝露された際に放出可能である及び/又は放出される酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、感覚惹起剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の活性剤とを含み得る。一実施例において、フィラメントは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は約5重量%までの、及び/又は約10重量%までの、及び/又は約20重量%までの合計濃度のフィラメント形成材料と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は約95重量%までの、及び/又は約90重量%までの、及び/又は約80重量%までの合計濃度の活性剤であって、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤と、を含む。一実施例において、活性剤は1種以上の酵素を含む。別の実施例において、活性剤は1種以上の漂白剤を含む。更に別の実施例において、活性剤は1種以上のビルダーを含む。更に別の実施例において、活性剤は1種以上のキレート剤を含む。
【0102】
更に別の実施例において、フィラメントは、空中浮遊物になったときに健康及び/又は安全上の懸念を生じさせる可能性のある活性剤を含み得る。例えば、フィラメントを使用することによって、フィラメント内の酵素が空中浮遊物になるのを阻止することが可能である。
【0103】
一実施例において、フィラメントはメルトブローンフィラメントであり得る。別の実施例において、フィラメントはスパンボンドフィラメントであり得る。他の実施例において、フィラメントは、1つ以上のその活性剤の放出前及び/又は放出後に中空のフィラメントであってもよい。
【0104】
好適なフィラメントは、親水性であるか又は疎水性であり得る。フィラメントは、フィラメントの本来の親水性又は疎水性特性を変えるために、表面処理及び/又は内部的な処理を施されてもよい。
【0105】
一実施例において、フィラメントは、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定されたときに、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は30μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を呈する。別の実施例において、フィラメントは、本明細書に記載の直径試験方法に従って測定されたときに、1μm超の直径を呈し得る。フィラメントの直径を用いることによって、フィラメント内に存在する1つ以上の活性剤の放出率、並びに/又はフィラメントの物理的構造の減失率及び/若しくは改変率を制御することが可能である。
【0106】
フィラメントは、2つ以上の異なる活性剤を含み得る。一実施例において、フィラメントは2つ以上の異なる活性剤を含み、それら2つ以上の異なる活性剤は相互に適合性を有する。別の実施例において、フィラメントは2つ以上の異なる活性剤を含む場合があり、それら2つ以上の異なる活性剤は相互に適合性を有さない。
【0107】
一実施例において、フィラメントは、フィラメント内部の活性剤と、フィラメントの外側表面上の活性剤、例えば、フィラメント上のコーティングを含み得る。フィラメントの外側表面上の活性剤は、フィラメント内に存在する活性剤と同じか又は異なるものであり得る。異なるものである場合、活性剤は相互に適合性を有する場合もあれば、相互に適合性を有さない場合もある。
【0108】
一実施例において、1つ以上の活性剤は、フィラメント全体にわたって一様に分散されるか、又は実質的に一様に分散され得る。別の実施例において、1つ以上の活性剤は、フィラメント内部の離散領域として分散され得る。更に別の実施例においては、少なくとも1つの活性剤がフィラメント全体にわたって一様に分散されるか又は実質的に一様に分散され、少なくとも別の活性剤がフィラメント内部の1つ以上の離散領域として分散される。更に別の実施例において、少なくとも1つの活性剤がフィラメント内部の1つ以上の離散領域として分散され、かつ少なくとも別の活性剤がフィラメント内部の第1の離散領域とは異なる1つ以上の離散領域として分散される。
【0109】
フィラメントは、離散物品(discrete article)として使用され得る。一実施例において、フィラメントは、担体基材(例えば、ワイプ、紙タオル、トイレットペーパー、化粧紙、生理用ナプキン、タンポン、おむつ、成人失禁物品、洗い布、乾燥機用シート、洗濯用シート、洗濯用バー、ドライクリーニングシート、ネット、濾紙、布地、衣服、下着など)に塗布及び/又は付着させることができる。
【0110】
更に、複数のフィラメントは収集され、押圧によってフィルムになり、このようにして、1つ以上のフィラメント形成材料と、例えば、目的とする使用の条件に曝露された際などにフィルムから放出可能な1つ以上の活性剤と、を含むフィルムとなり得る。
【0111】
一実施例において、そのようなフィラメントを有する繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定されたときに、平均崩壊時間として約60秒以下、及び/又は約30秒以下、及び/又は約10秒以下、及び/又は約5秒以下、及び/又は約2.0秒以下、及び/又は1.5秒以下を呈し得る。
【0112】
一実施例において、そのようなフィラメントを有する繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定されたときに、平均溶解時間として約600秒以下、及び/又は約400秒以下、及び/又は約300秒以下、及び/又は約200秒以下、及び/又は約175秒以下を呈し得る。
【0113】
一実施例において、そのようなフィラメントを有する繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定されたときに、試料1gsm当たりの平均崩壊時間として約1.0秒/gsm以下、及び/又は約0.5秒/gsm以下、及び/又は約0.2秒/gsm以下、及び/又は約0.1秒/gsm以下、及び/又は約0.05秒/gsm以下、及び/又は約0.03秒/gsm以下を呈し得る。
【0114】
一実施例において、そのようなフィラメントを有する繊維性構造体は、本明細書に記載の溶解試験方法に従って測定されたときに、試料1gsm当たりの平均崩壊時間として約10秒/gsm以下、及び/又は約5.0秒/gsm以下、及び/又は約3.0秒/gsm以下、及び/又は約2.0秒/gsm以下、及び/又は約1.8秒/gsm以下、及び/又は約1.5秒/gsm以下を呈し得る。
【0115】
B.フィラメント形成材料
フィラメント形成材料は、紡糸工程などによってフィラメントを製造するのに好適な特性を示すポリマーを製造することができるポリマー又はモノマーなど、任意の好適な材料を含み得る。
【0116】
一実施例では、フィラメント形成材料は、アルコール可溶性材料及び/又は水溶性材料などの極性溶媒可溶性材料を含んでもよい。
【0117】
他の実施例では、フィラメント形成材料は、非極性溶媒可溶性材料を含んでもよい。
【0118】
更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、極性溶媒可溶性材料を含み、かつ非極性溶媒可溶性材料を含まなくても(乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0重量%)よい。
【0119】
更に別の実施例において、フィラメント形成材料はフィルム形成材料であり得る。更に別の実施例において、フィラメント形成材料は合成又は天然起源であり得、化学的に、酵素によって、及び/又は物理的に改質され得る。
【0120】
更なる他の実施例において、フィラメント形成材料は、エチレン不飽和性カルボン酸モノマー及びエチレン性不飽和モノマーなどのアクリルモノマーから誘導されたポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリルレートのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。
【0121】
更に別の実施例において、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。
【0122】
更なる実施例において、フィラメント形成材料は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0123】
i.極性溶媒可溶性材料
極性溶媒可溶性材料の非限定例としては、極性溶媒可溶性ポリマーが挙げられる。極性溶媒可溶性ポリマーは合成又は天然起源であり得、化学的に及び/又は物理的に改質され得る。一実施例において、極性溶媒可溶性ポリマーは、少なくとも10,000g/mol、及び/又は少なくとも20,000g/mol、及び/又は少なくとも40,000g/mol、及び/又は少なくとも80,000g/mol、及び/又は少なくとも100,000g/mol、及び/又は少なくとも1,000,000g/mol、及び/又は少なくとも3,000,000g/mol、及び/又は少なくとも10,000,000g/mol、及び/又は少なくとも20,000,000g/mol、及び/又は約40,000,000g/molまでの、及び/又は約30,000,000g/molまでの重量平均分子量を呈する。
【0124】
一実施例において、極性溶媒可溶性ポリマーは、アルコール可溶性ポリマー、水溶性ポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される。水溶性ポリマーの非限定例としては、水溶性ヒドロキシルポリマー、水溶性熱可塑性ポリマー、水溶性生分解性ポリマー、水溶性非生分解性ポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例において、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールを含む。別の実施例において、水溶性ポリマーはデンプンを含む。更に別の実施例において、水溶性ポリマーはポリビニルアルコール及びデンプンを含む。
【0125】
a.水溶性ヒドロキシルポリマー
水溶性ヒドロキシルポリマーの非限定的な実施例としては、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアルコールコポリマー、デンプン、デンプン誘導体、デンプンコポリマー、キトサン、キトサン誘導体、キトサンコポリマー、セルロースエーテル及びセルロースエステル誘導体などのセルロース誘導体、セルロースコポリマー、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ヘミセルロースコポリマー、ゴム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質及び他の様々な多糖類、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0126】
一実施例において、水溶性ヒドロキシルポリマーは多糖類を含み得る。
【0127】
本明細書で使用するとき、「多糖類」は、天然多糖類及び多糖類誘導体並びに/又は変性多糖類を意味する。好適な水溶性多糖類としては、限定はされないが、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム類、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられる。水溶性多糖類は、約10,000g/mol〜約40,000,000g/mol、及び/又は100,000g/mol超、及び/又は1,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を呈し得る。
【0128】
水溶性多糖類は、非セルロース、及び/若しくは非セルロース誘導体、並びに/又は非セルロースコポリマー水溶性多糖類を含み得る。そのような非セルロース水溶性多糖類は、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム類、アラビナン、ガラクタン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0129】
別の実施例において、水溶性ヒドロキシルポリマーは非熱可塑性ポリマーを含み得る。
【0130】
水溶性ヒドロキシルポリマーは、約10,000g/mol〜約40,000,000g/mol、及び/又は100,000g/mol超、及び/又は1,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超、及び/又は3,000,000g/mol超〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を有し得る。高分子量及び低分子量の水溶性ヒドロキシルポリマーは、所望される特定の重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと組み合わせて使用され得る。
【0131】
天然デンプンなどの水溶性ヒドロキシルポリマーの周知の改質としては、化学的改質、及び/又は酵素による改質が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化され得る。加えて、水溶性ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンを含み得る。
【0132】
天然に産出されるデンプンは一般に、D−グルコース単位の直鎖アミロースと分枝アミロペクチンポリマーの混合物である。アミロースは実質的に、(1,4)−α−D結合を介して結合されたDグルコース単位の線形ポリマーである。アミロペクチンは、(1,4)−α−D結合及び(1,6)−α−D結合を介して結合されたDグルコース単位を分岐点にて高度に分岐させたポリマーである。天然に産出されるデンプンは典型的に、比較的高濃度のアミロペクチン、例えば、コーンデンプン(64〜80%のアミロペクチン)、ワキシートウモロコシ(93〜100%のアミロペクチン)、米(83〜84%のアミロペクチン)、ジャガイモ(約78%のアミロペクチン)、及び小麦(73〜83%のアミロペクチン)を含有する。本明細書においては潜在的に全てのデンプンが有用であるが、そのほとんどの実用化には一般に、農業原料から取り出された高アミロペクチンの天然デンプンが用いられる。この天然デンプンには、供給が豊富で補給が容易であり、かつコストが低いという利点がある。
【0133】
本明細書で使用するとき、「デンプン」としては、任意の天然に産出される非改質デンプン、改質デンプン、合成デンプン、及びこれらの混合物の他、アミロース又はアミロペクチン画分の混合物が挙げられる。デンプンは物理的、化学的、若しくは生物学的プロセス、又はこれらの組み合わせによって改質され得る。非改質デンプン又は改質デンプンの選択は、所望される最終生成物に依存し得る。一実施形態において、有用なデンプン又はデンプン混合物のアミロペクチン含有量は、デンプン又はそのデンプン混合物の約20重量%〜約100重量%、より典型的には約40重量%〜約90重量%、更により典型的には約60重量%〜約85重量%である。
【0134】
好適な天然に産出されるデンプンとしては、限定はされないが、コーンデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、大豆デンプン、葛デンプン、アミオカデンプン、ワラビ粉、ハスデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、及び高アミロースコーンデンプンが挙げられる。天然に産出されるデンプン、特に、コーンデンプン及び小麦デンプンは、経済的でしかも入手し易いという点で好ましいデンプンポリマーである。
【0135】
本明細書におけるポリビニルアルコール類の特性は、他のモノマーとのグラフトによって改質され得る。ポリビニルアルコールにうまくグラフトされてきたモノマーは広範にわたる。そのようなモノマーの非限定例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メチルアリルスルホン酸ナトリウム、フェニルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、フェニルメタリルエーテルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸(AMP)、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び多様なアクリル酸エステル類が挙げられる。
【0136】
一実施例において、水溶性ヒドロキシルポリマーは、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なポリビニルアルコールの非限定例としては、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)からCELVOL(登録商標)という商標名で市販されているものが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロース非限定例としては、Dow Chemical Company(Midland,MI)からMETHOCEL(登録商標)という商標名で市販されているもの(上述のポリビニルアルコール類との組み合わせを含む)が挙げられる。
【0137】
b.水溶性熱可塑性ポリマー
好適な水溶性熱可塑性ポリマーの非限定例としては、熱可塑性デンプン及び/又はデンプン誘導体、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、及び特定のポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0138】
水溶性熱可塑性ポリマーは、親水性又は疎水性であり得る。水溶性熱可塑性ポリマーは、表面処理及び/又は内部処理によって熱可塑性ポリマー本来の親水性若しくは疎水性特性を変更することが可能である。
【0139】
水溶性熱可塑性ポリマーは、生分解性ポリマーを含んでもよい。
【0140】
任意の好適な重量平均分子量の熱可塑性ポリマーを使用することができる。例えば、熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/mol超、及び/又は約40,000g/mol超、及び/又は約50,000g/mol超、及び/又は約500,000g/mol未満、及び/又は約400,000g/mol未満、及び/又は約200,000g/mol未満であり得る。
【0141】
ii.非極性溶媒可溶性材料
非極性溶媒可溶性材料の非限定例としては、非極性溶媒可溶性ポリマーが挙げられる。好適な非極性溶媒可溶性材料の非限定例としては、セルロース、キチン、キチン誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、これらのコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリオレフィンの非限定例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルの非限定例としては、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0142】
非極性溶媒可溶性材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び特定のポリエステルなどの非生分解性ポリマーを含み得る。
【0143】
熱可塑性ポリマーに対して任意の好適な重量平均分子量を使用し得る。例えば、熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/mol超、及び/又は約40,000g/mol超、及び/又は約50,000g/mol超、及び/又は約500,000g/mol未満、及び/又は約400,000g/mol未満、及び/又は約200,000g/mol未満であり得る。
【0144】
C.活性剤
活性剤は、例えば、フィラメントの外部にある環境に利益をもたらすといったように、フィラメント自体以外の何かに利益を提供すべく設計及び意図された添加剤の部類である。活性剤は、フィラメントの意図された使用条件下で意図された利益をもたらす任意の好適な添加剤であり得る。例えば、活性剤は、パーソナルクレンジング及び/又はコンディショニング剤、例えば、ヘアケア剤、例えば、シャンプー剤、及び/又は毛髪着色剤、ヘアコンディショニング剤、スキンケア剤、日焼け止め剤、及びスキンコンディショニング剤;洗濯物ケア及び/又はコンディショニング剤、例えば、布地ケア剤、布地コンディショニング剤、布地軟化剤、布地抗皺剤、布地ケア帯電防止剤、布地ケア染み除去剤、汚れ剥離剤、分散剤、泡抑制剤、泡増量剤、消泡剤、及び布地リフレッシュ剤;液体及び/又は粉末食器洗浄剤(手動での食器洗浄及び/又は自動食器洗浄機用途)、硬質表面ケア剤、及び/若しくはコンディショニング剤、並びに/又は研磨剤;その他のクレンジング及び/又はコンディショニング剤、例えば、抗菌剤、香料、漂白剤(例えば、酸素漂白剤、過酸化水素、過炭酸塩漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、塩素漂白剤)、漂白剤活性化剤、キレート化剤、ビルダー、ローション、増白剤、空気ケア剤、カーペットケア剤、移染阻害剤、軟水化剤、硬水化剤、pH調整剤、酵素、凝集剤、発泡剤、防腐剤、化粧剤、メークアップ除去剤、気泡剤、付着補助剤、コアセルベート形成剤、クレイ、濃化剤、ラテックス、シリカ、乾燥剤、汚臭制御剤、制汗剤、冷却剤、加温剤、吸収ゲル剤、抗炎症剤、染料、色素、酸類、及び塩基類;液体処理活性剤;農業用活性剤;工業用活性剤;摂取可能な活性剤、例えば、医薬剤、歯白色化剤、歯ケア剤、洗口剤、歯周歯肉ケア剤、食用剤、ダイエット剤、ビタミン類、ミネラル類;水処理剤、例えば、水浄化、及び/又は水殺菌剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0145】
好適な化粧剤、スキンケア剤、スキンコンディショニング剤、ヘアケア剤、及びヘアコンディショニング剤の非限定例は、「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992)に記載されている。
【0146】
上記の1つ以上の活性剤に対して1つ以上の部類の化学物質が有用であり得る。例えば、界面活性剤を上記の任意の数の活性剤に使用してもよく、同様に、漂白剤を布地ケア、硬質表面の洗浄、食器洗浄、及び更には歯の白色化に使用してもよい。それ故、当業者に理解されるように、フィラメント及び/又はフィラメントから作製された不織布の所望される意図された用途に基づいて活性剤が選択されるであろう。
【0147】
例えば、フィラメント及び/又はフィラメントから製造される不織布が、ヘアケア及び/又はコンディショニングに使用される場合には、1つ以上の好適な界面活性剤、例えば発泡性界面活性剤を、フィラメント及び/又はフィラメントが組み込まれた不織布の目的とする使用の条件に曝露させた場合に消費者に所望の利益がもたらされるように選択することができる。
【0148】
一実施例において、フィラメント、及び/又はフィラメントから作製された不織布が、洗濯物洗い作業で衣料を洗濯する目的に使用されるように設計又は意図されている場合には、1つ以上の好適な界面活性剤、及び/又は酵素、及び/又はビルダー、及び/又は香料、及び/又は泡抑制剤、及び/又は漂白剤を、フィラメント及び/又はフィラメントが組み込まれた不織布の目的とする使用の条件に曝露させた場合に消費者に所望の利益がもたらされるように選択することができる。別の実施例において、フィラメント、及び/又はフィラメントから作製された不織布が、洗濯物洗い作業における衣料の洗濯及び/又は食器洗浄作業における食器の洗浄の目的で使用されるように設計されている場合には、フィラメントは洗濯用洗剤組成物又は食器洗浄用洗剤組成物を含み得る。
【0149】
一実施例において、活性剤は非香料活性剤を含む。別の実施例において、活性剤は非界面活性物質活性剤を含む。更に別の実施例において、活性剤は摂取の不可能な活性剤(即ち、摂取可能な活性剤以外の活性剤)を含む。
【0150】
i.界面活性剤
好適な界面活性剤の非限定例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。また、補助界面活性剤をフィラメント内に含めることも可能である。洗濯用洗剤、及び/又は食器洗浄用洗剤として使えるように設計されたフィラメントの場合、界面活性剤の合計濃度は、染み抜き及び/又は脱臭を含む洗浄が為されるのに十分な濃度でなければならず、一般的には約0.5%〜約95%の範囲に及ぶ。更に、洗濯用洗剤及び/又は食器洗浄用洗剤用のフィラメント内で使用されるように設計された2種以上の界面活性剤を含む界面活性剤系としては、全アニオン性界面活性剤系、アニオン性−非イオン性界面活性剤の混合物若しくは非イオン性−カチオン性界面活性剤の混合物を含む混合型界面活性剤系、又は低起泡性非イオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0151】
本明細書における界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖状であり得る。一実施例において、好適な直鎖界面活性剤としては、ココナツ油、パーム核油、大豆油、又は他の植物系油などの農作物抽出物油から得られるものが挙げられる。
【0152】
a.アニオン性界面活性剤
好適なアニオン性界面活性剤の非限定例としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、分枝状アルキルサルフェート、分枝状アルキルアルコキシレート、分枝状アルコキシレートサルフェート、中鎖分枝状アルキルアリールスルホネート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホネート、第一級又は第二級アルカンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0153】
本明細書に用いるのに適したアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートとしては、式:ROSO
3M及びRO(C
2H
4O)
xSO
3M(式中、Rは約8〜約24個の炭素原子をもつアルキル又はアルケニルであり、xは1〜10であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンのような水溶性カチオンである)をそれぞれ有する材料が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.及びMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corpに記載されている。
【0154】
一実施例において、フィラメントにおいて有用なアニオン性界面活性剤としては、C
9〜C
15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C
8〜C
20アルキルエーテルサルフェート、例えば、アルキルポリ(エトキシ)サルフェート、C
8〜C
20アルキルサルフェート、及びこれらの混合物を挙げることができる。他のアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホネート(MES)、第二級アルカンスルホネート、メチルエステルエトキシレート(MEE)、スルホン化エストリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0155】
別の実施例においてアニオン性界面活性剤は、C
11〜C
18アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)及び一級分枝鎖でかつランダムなC
10〜C
20アルキルサルフェート(「AS」)、式:CH
3(CH
2)
x(CHOSO
3−M
+)CH
3及びCH
3(CH
2)
y(CHOSO
3−M
+)CH
2CH
3(式中、x及び(y+1)は少なくとも約7、好ましくは約9の整数であり、Mは水溶性化カチオン、特にナトリウム、不飽和硫酸塩、例えばオレイルサルフェートである)のC
10〜C
18第二級(2,3)アルキルサルフェート、C
10〜C
18α−スルホン化脂肪酸エステル、C
10〜C
18硫酸化アルキルポリグリコシド、C
10〜C
18アルキルアルコキシサルフェート(「AE
xS」)(式中、xは1〜30である)、及びC
10〜C
18アルキルアルコキシカルボキシレート(例えば1〜5エトキシ単位を含む)、米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に記載されているような中鎖分枝状アルキルサルフェート、米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に記載されているような中鎖分枝型アルキルアルコキシサルフェート、国際公開第99/05243号、同第99/05242号及び同第99/05244号に記載されているような修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、メチルエステルスルホネート(MES)、並びにα−オレフィンスルホネート(AOS)からなる群から選択される。
【0156】
他の好適なアニオン性界面活性剤として、C
8〜C
20カルボン酸(例えば、脂肪酸)のスルホン化線状エステルを含む、アルキルエーテルスルホネート界面活性剤を使用してもよい。使用され得る他の好適なアニオン性界面活性剤としては、石鹸の塩、C
8〜C
22第一級又は第二級アルカンスルホネート、C
8〜C
24オレフィンスルホネート、スルホン化ポリカルボン酸、C
8〜C
24アルキルポリグリコエーテルサルフェート(最高10モルまでのエチレンオキシドを含有);アルキルグリセロールスルホネート、脂肪族アシルグリセロールスルホネート、脂肪酸オレオイルグリセロールサルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルサルフェート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、イセチネート、例えばアシルイセチオネート、N−アシルタウレート、アルキルスクシナメート及びスルホスクシネート、スルホスクシネートのモノエステル(例えば飽和及び不飽和C
12〜C
18モノエステル)、スルホスクシネートのジエステル(例えば、飽和及び不飽和C
6〜C
12ジエステル)、アルキルポリサッカライドのサルフェート、例えばアルキル多糖類のサルフェート、並びにアルキルポリエトキシカルボキシレート、例えば式:RO(CH
2CH
2O)
k−CH
2COO−M+(式中、RはC
8〜C
22アルキルであり、kは0〜10の整数であり、Mは可溶性塩形成カチオンである)のものが挙げられる。
【0157】
他の例示的なアニオン性界面活性剤は、C
10〜C
16アルキルベンゼンスルホン酸、好ましくはC
11〜C
14アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。一実施例において、アルキル基は直鎖状である。そのような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として知られている。そのような界面活性剤及びそれらの調製法は、例えば、米国特許第2,220,099号、及び同第2,477,383号に記載されている。別の実施例において、直鎖アルキルベンゼンスルホネートとしては、線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び/又はカリウムにおいて、アルキル基内の炭素原子の平均数が約11〜14であるものが挙げられる。ナトリウムC
11〜C
14 LAS、例えば、C
12 LASは、そのような界面活性剤の具体的な例である。
【0158】
別の例示的な種類のアニオン性界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖エトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含む。そのような材料(別称:アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェート)は、式:R’−O−(C
2H
4O)
n−SO
3M(式中、R’はC
8〜C
20アルキル基、nは約1〜20であり、Mは塩形成カチオンである)に対応するものである。具体的な実施形態において、R’はC
10〜C
18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。更に具体的な実施形態において、R’はC
12〜C
16であり、nは約1〜6であり、Mはナトリウムである。アルキルエーテルサルフェートは一般に、可変のR’鎖長及び可変のエトキシル化度を含む混合物の形で使用される。多くの場合、そのような混合物はまた、何らかの非エトキシル化アルキルスルフェート材料、即ち、上記のエトキシル化アルキルサルフェートの式(式中、n=0)の界面活性剤を必然的に含有する。非エトキシル化アルキルサルフェートはまた、組成物に別個に添加してもよく、存在し得る任意のアニオン性界面活性剤成分として、又はそのアニオン性界面活性剤成分内に用いられる。非アルコキシル化、例えば、非エトキシル化アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例には、高級C
8〜C
20脂肪族アルコール類の硫酸化によって生成されるものがある。従来の第一級アルキルサルフェート界面活性剤は一般式:R”OSO
3−M
+(式中、R”は典型的に、直鎖又は分枝鎖であり得るC
8〜C
20アルキル基であり、Mは水溶性化カチオンである)を有する。具体的な実施形態において、R”はC
10〜C
15アルキル基であり、Mはアルカリ金属であり、より具体例には、R”はC
12〜C
14アルキルであり、Mはナトリウムである。本明細書において有用なアニオン性界面活性剤の具体的な非限定例としては、a)C
11〜C
18アルキルベンゼンスルホネート(LAS);b)C
10〜C
20第一級、分枝鎖、及びランダムアルキルサルフェート(AS);c)次式を有するC
10〜C
18第二級(2,3)−アルキルサルフェート:
【0159】
【化1】
(式中、Mは電荷的中性をもたらす水素又はカチオンであり、単離された形又は化合物を使用する系の相対的なpHによって、界面活性剤又は補助成分と会合若しくは非会合するいずれの場合でも、全てのM単位は、水素原子又はカチオンのいずれかであることができ、好適なカチオンの非限定例としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられ、xは少なくとも約7及び/又は約9の整数であり、yは少なくとも8及び/又は少なくとも9の整数である);d)C
10〜C
18アルキルアルコキシサルフェート(AE
ZS)(ここで、zは、例えば、1〜30である);e)好ましくは1〜5個のエトキシ単位を含む、C
10〜C
18アルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に述べられている中鎖分枝状アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に述べられているような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート;h)国際公開第99/05243号、同第99/05242号、同第99/05244号、同第99/05082号、同第99/05084号、同第99/05241号、同第99/07656号、同第00/23549号及び同第00/23548号に述べられている変成アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);i)メチルエステルスルホネート(MES);並びにj)αオレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0160】
b.カチオン性界面活性剤
好適なカチオン性界面活性剤の非限定例としては、式(I)を有するものが挙げられるが、これに限定されない:
【0161】
【化2】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立に(a)1〜26個の炭素原子を有する脂肪族基、又は(b)最高22個までの炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩形成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである。一実施例において、アルキルサルフェートラジカルはメトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0162】
好適な一般式(I)の第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、2−エチルヘキシルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩を挙げることができ、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0163】
好適なカチオン性界面活性剤の非限定例は、Akzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)から商標名ARQUAD(登録商標)で市販されている。
【0164】
一実施例において、好適なカチオン性界面活性剤としては、米国特許第6,136,769号で論じているようなアルコキシレート第四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号で論じているようなジメチルヒドロキシエチル第四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号及び同第98/35006号で論じているようなポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号及び同第6,022,844号で論じているようなエステル型カチオン性界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号で論じているようなアミノ界面活性剤、例えばアミドプロピルジメチルアミン(APA)を含む、例えば最高26個までの炭素原子を含有する第四級アンモニウム界面活性剤が挙げられる。
【0165】
他の好適なカチオン性界面活性剤としては、第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンの塩が挙げられる。一実施形態において、そのようなアミンのアルキル基は、約12〜約22個の炭素原子を有し、置換又は非置換であり得る。これらのアミンは典型的に、酸と組み合わせて使用することによってカチオン種を提供する。
【0166】
カチオン性界面活性剤としては、次の式を有するエステル型カチオン性界面活性剤を挙げることができる:
【0167】
【化3】
式中、R
1はC
5〜C
31直鎖又は分枝鎖アルキル、アルケニル若しくはアルカリル鎖、又はM
−.N
+(R
6R
7R
8)(CH
2)
sであり;X及びYは独立に、COO、OCO、O、CO、OCOO、CONH、NHCO、OCONH及びNHCOOから選択され、X又はYの少なくとも一方はCOO、OCO、OCOO、OCONH又はNHCOO基であり;R
2、R
3、R
4、R
6、R
7及びR
8は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、及びアルカリル基からなる群から独立に選択され、R
5は独立にH又はC
1〜C
3アルキル基であり、式中、m、n、s及びtの値は独立に0〜8の範囲にあり、bの値は0〜20の範囲にあり、a、u及びvの値は独立に0又は1のいずれかであるが、但し、u又はvの少なくとも一方は1でなくてはならないという条件であり、Mは対アニオンである。一実施例において、R
2、R
3、及びR
4は、独立に、CH
3及び−CH
2CH
2OHから選択される。別の実施例において、Mは、ハロゲン化物、硫酸メチル、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物又はヨウ化物からなる群から選択される。
【0168】
カチオン性界面活性剤は、パーソナルクレンジング用途で使う目的に選択され得る。一実施例において、すすぎの容易感とレオロジーと湿潤状態調節の利益との間のバランスを鑑み、そのようなカチオン性界面活性剤を約0.1重量%〜約10重量%、及び/又は約0.5重量%〜約8重量%、及び/又は約1重量%〜約5重量%、及び/又は約1.4重量%〜約4重量%の合計濃度にてフィラメント及び/又は繊維に含有させてもよい。モノ及びジアルキル鎖カチオン性界面活性剤を含む多様なカチオン性界面活性剤を、組成物中で使用することができる。一実施例においては、所望されるゲルマトリックス及び湿潤状態調節の利益をもたらすことを鑑み、カチオン性界面活性剤にモノアルキル鎖カチオン性界面活性剤を含有させる。バランスの取れた湿潤状態調節の利益をもたらすことを鑑み、モノアルキルカチオン性界面活性剤は、そのアルキル基内に12〜22個の炭素原子、及び/又は16〜22個の炭素原子、及び/又は18〜22個の炭素原子を有する1つの長アルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、炭素原子数が1〜約4であるアルキル基から、又は炭素原子数が最高約4であるアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基若しくはアルキルアリール基から独立に選択される。そのようなモノアルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル第四級アンモニウム塩、及びモノアルキルアミンが挙げられる。モノアルキル第四級アンモニウム塩には、例えば、非官能化長アルキル鎖を有するものが包含される。モノアルキルアミンとしては、例えば、モノアルキルアミドアミン、及びその塩が挙げられる。他のカチオン性界面活性剤、例えばジアルキル鎖カチオン性界面活性剤もまた、単独で使用することもできるし、又はモノアルキル鎖カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。そのようなジアルキル鎖カチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0169】
一実施例では、エステル型カチオン性界面活性剤は、洗濯洗浄の条件下で加水分解性である。
【0170】
c.非イオン性界面活性剤
好適な非イオン性界面活性剤の非限定例としては、アルコキシル化アルコール(AE)及びアルキルフェノール、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(PFAA)、アルキルポリグリコシド(APG)、C
10〜C
18グリセロールエーテルなどが挙げられる。
【0171】
一実施例では、有用な非イオン性界面活性剤の非限定例としては、Shell製NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤のような、C
12〜C
18アルキルエトキシレート;C
6〜C
12アルキルフェノールアルコキシレート(アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位及びプロピレンオキシ単位の混合物である);BASF製のPLURONIC(登録商標)のようなエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートを有するC
12〜C
18アルコール及びC
6〜C
12アルキルフェノール縮合体;米国特許第6,150,322号で論じているようなC
14〜C
22中鎖分枝状アルコール、BA;米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号及び同第6,093,856号で論じているようなC
14〜C
22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート、BAE
x(xは1〜30);Llenadoの1986年1月26日発行の米国特許第4,565,647号で論じているようなアルキル多糖類;具体的には、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で論じているようなアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号で論じているようなポリヒドロキシ洗剤酸アミド;並びに米国特許第6,482,994号及び国際公開第01/42408号で論じているようなエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0172】
好適な市販の非イオン性界面活性剤の例としては、Tergitol(登録商標)15−S−9(9モルのエチレンオキシドとC
11〜C
15直鎖アルコールとの縮合生成物)及びTergitol(登録商標)24−L−6 NMW(分子量分布の狭い6モルのエチレンオキシドとC
12〜C
14第一級アルコールとの縮合生成物)(双方ともDow Chemical Companyより販売)、Neodol(登録商標)45−9(9モルのエチレンオキシドとC
14〜C
15直鎖アルコールとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)23−3(3モルのエチレンオキシドとC
12〜C
13直鎖アルコールとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45−7(7モルのエチレンオキシドとC
14〜C
15直鎖アルコールとの縮合生成物)及びNeodol(登録商標)45−5(5モルのエチレンオキシドとC
14〜C
15直鎖アルコールとの縮合生成物)(Shell Chemical Companyより販売);Kyro(登録商標)EOB(9モルのエチレンオキシドとC
13〜C
15アルコールとの縮合生成物)(Procter & Gamble Companyより販売);及びGenapol LA O3O又はO5O(3又は5モルのエチレンオキシドとC
12〜C
14アルコールとの縮合生成物)(Hoechstより販売)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、約8〜約17及び/又は約8〜約14のHLB範囲を呈し得る。プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを用いた縮合物もまた使用され得る。
【0173】
有用な半極性非イオン性界面活性剤の非限定例としては、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分と、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される2つの部分と、を含有する水溶性アミンオキシド類;約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分と、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される2つの部分と、を含有する水溶性ホスフィンオキシド類;並びに約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分と、約1〜約3個の炭素原子を有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される部分と、を含有する水溶性スルホキシド類が挙げられる。国際公開第01/32816号、米国特許第4,681,704号及び同第4,133,779号を参照のこと。
【0174】
使用され得る他の部類の非イオン性界面活性剤としては、次式のポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられる:
【0175】
【化4】
式中、R
1はHであるか、又はC
1〜4ヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、若しくはこれらの混合物であり、R
2はC
5〜31ヒドロカルビルであり、Zは少なくとも3つのヒドロキシルが鎖に直接に結合している線状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、又はそのアルコキシル化誘導体である。一実施例において、R
1はメチルであり、R
2は直鎖C
11〜15アルキル、又はC
15〜17アルキル鎖若しくはアルケニル鎖、例えば、ココナツアルキル又はこれらの混合物であり、Zは還元型アミノ化反応においてブドウ糖、フルクトース、麦芽糖、乳糖などの還元糖から誘導される。典型的な例としては、C
12〜C
18及びC
12〜
14 N−メチルグルカミドが挙げられる。
【0176】
アルキル多糖型界面活性剤もまた、非イオン性界面活性剤として使用してよい。
【0177】
アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブチレンオキシド縮合物もまた、非イオン性界面活性剤として用いるのに好適である。これらの化合物には、直鎖鎖又は分枝鎖構成内に約6〜約14個の炭素原子を含んだアルキル基を有するアルキルフェノールと、アルキレンオキシドとの縮合生成物が包含される。この種の市販の非イオン性界面活性剤としては、GAF Corporation製のIgepal(登録商標)CO−630、並びにTriton(登録商標)X−45、X−114、X−100及びX−102(いずれもDow Chemical Company製)が挙げられる。
【0178】
自動食器洗浄用途には、低起泡性非イオン性界面活性剤を使用できる。好適な低起泡性非イオン性界面活性剤は、米国特許第7,271,138号の7欄10行〜7欄60行に開示されている。
【0179】
他の好適な非イオン性界面活性剤の例は、市販のPluronic(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)、市販のTetronic(登録商標)化合物(BASFにより販売)及び市販のPlurafac(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)である。
【0180】
d.双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤の非限定例としては、第二級及び第三級アミンの誘導体、複素環式第二級及び第三級アミンの誘導体、又は第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム若しくは第三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双性イオン性界面活性剤の例である、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C
8〜C
18(例えば、C
12〜C
18)アミンオキシド、並びにスルホ及びヒドロキシベタイン(例えば、アルキル基がC
8〜C
18、或る実施形態においてC
10〜C
14であってよい、N−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホン酸塩など)を含むベタインに関しては、米国特許第3,929,678号の19欄38行〜22欄48行を参照のこと。
【0181】
e.両性界面活性剤
両性界面活性剤の非限定例としては、第二級若しくは第三級アミンの脂肪族誘導体又は複素環式第二級及び第三級アミンの脂肪族誘導体で、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であり得るもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。脂肪族置換基の1つは少なくとも約8個の炭素原子、例えば、約8〜約18個の炭素原子を含む場合があり、少なくとも1つにはアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートが含まれる。好適な両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号の19欄18〜35行を参照のこと。
【0182】
f.補助界面活性剤
フィラメントには上述の界面活性剤に加えて、補助界面活性剤もまた含有され得る。洗濯用洗剤及び/又は食器洗浄用洗剤の場合は典型的に、多様な使用条件下にて様々な汚れ及び染み対する広範囲の洗浄性能が得られるように、界面活性剤タイプの混合物が含有される。これらの補助界面活性剤でフィラメント内に使用できるものは、多岐にわたっている。アニオン性、非イオン性、両性、及び双性イオン性クラス、並びにこれらの補助界面活性剤種の典型的なリストは、本明細書において上記されており、また米国特許第3,664,961号にも見出すことができる。換言すれば、本明細書中の界面活性剤系としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性、双性イオン性、又はこれらの混合物から選択される1つ以上の補助界面活性剤もまた挙げることができる。どの補助界面活性剤を選ぶかは、所望される利益に依存し得る。界面活性剤系は他の補助界面活性剤の組成物の0重量%〜約10重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%、又は約1重量%〜約4重量%を含み得る。
【0183】
g.アミン中和されたアニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤、及び/又はアニオン性補助界面活性剤は、中和によって界面活性剤塩を生じ得る酸の形態で存在する場合がある。一実施例において、フィラメントは、界面活性剤塩の形態を含み得る。典型的な中和剤としては、水酸化物(例えば、NaOH又はKOH)などの金属対イオン塩基が挙げられる。酸形態のアニオン性界面活性剤及びアニオン性補助界面活性剤を中和する剤としては他にも、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが挙げられる。一実施例において、中和剤はアルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び当該技術分野において公知の他の直鎖又は分枝鎖アルカノールアミン、例えば、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1−アミノ−3−プロパノールからなる群から選択されるアルカノールアミンを含む。アミン中和が為される程度は、完全又は部分的であり得る。例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部をナトリウム又はカリウムで中和することもできるし、アニオン性界面活性剤混合物の一部をアミン又はアルカノールアミンで中和することもできる。
【0184】
ii.香料類
アコード(accords)及び/又はノート(notes)などの1つ以上の香料及び/又は香料原材料が、1つ以上のフィラメント中に組み込まれてもよい。香料は、アルデヒド香料成分、ケトン香料成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料成分を含み得る。
【0185】
1つ以上の香料及び/又は香水成分をフィラメント内に含めてもよい。香料及び/又は香水成分として有用な各種の天然及び合成の化学成分としては、限定はされないが、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、及びこれらの混合物が挙げられる。また、様々な天然抽出物及びエッセンスも挙げられ、それらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、芳香性エッセンス、ビャクダン油、松油、スギ、及びこれらに類するものなどの成分の複雑な混合物を含み得る。完成した香料は、そのような成分の極めて複雑な混合物を含み得る。一実施例において、完成した香料は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約2重量%を占める。
【0186】
iii.香料送達系
特定の香料送達系、特定の香料送達系の作製方法、及びそのような香料送達系の用途は、米国特許出願公開第2007/0275866号に開示されている。香料送達系の非限定例としては、以下のものが挙げられる。
【0187】
ポリマー支援型送達(PAD):この香料送達技術では、ポリマー材料を使用して香料材料を送達する。古典的コアセルベーション、水溶性若しくは部分的に可溶性ないし不溶性の荷電又は中性ポリマー、液晶、ホットメルト、ヒドロゲル、芳香プラスチック、マイクロカプセル、ナノ及びマイクロラテックス、ポリマーフィルム形成剤、及びポリマー吸収剤、ポリマー吸着剤などは、いくつかの例である。PADには下掲のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0188】
a.)マトリックス系:芳香剤はポリマーマトリックス又は粒子中に溶解されるか又は分散される。香料は、例えば、1)生成物に調合される前にポリマー中に分散される場合もあれば、又は2)生成物に調合されている間若しくは調合された後に、ポリマーとは別個に添加される場合もある。ポリマーからの香気拡散は、所望される表面(部位)に付着又は塗布されているポリマーマトリックス系からの香料の放出を可能とするか又はその放出速度を増大させる一般的な誘因であるが、香料の放出を制御できる誘因はそれ以外にも様々なものが知られている。ポリマー粒子、フィルム、溶液及びこれらに類するもの内部又は外部への吸収及び/又は吸着は、この技術の側面である。有機物質(例えば、ラテックス)からなるナノ粒子又はマイクロ粒子は、その例である。好適な粒子には広範囲にわたる材料が包含され、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリリック(polyacrylic)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロプレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルの他、アクリロニトリル−ブタジエン、セルロースアセテート、エチレン−ビニルアセテート、エチレンビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、ビニルアセテート−エチレン系のポリマー又はコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0189】
「標準」系とは、ポリマーに結合された予備充填済の香料を香料放出の瞬間まで保持することを意図した系を指す。そのようなポリマーはまた、無希釈の生成物の臭気を抑制することができ、香料放出の速度に応じてブルーム(bloom)及び/又は持続性の利益をもたらし得る。そのような系に伴う1つの課題は、1)製品内安定性(必要とされるまでは香料を担体内部に保持すること)と、2)(使用中に又は乾燥部位からの)適時放出と、の間の理想的なバランスを達成することである。そのような安定性を達成することは、製品内保存時及び製品のエイジング時に特に重要である。この課題は、耐久性液体洗濯洗剤などの水性の界面活性剤含有製品に関しては特に明白である。利用可能な「標準」マトリックス系の多くは、水ベースの製品に配合されると効率的に「平衡」系になる。容認可能な製品内拡散安定性及び利用可能な放出誘因(例えば、摩擦)を有する「平衡」系又はリザーバ系を選択することができる。「平衡」系とは、香料及びポリマーを別個に製品に添加することが可能で、かつ(ポリマー支援型送達技術を有さない自由香料制御に対し)1つ以上の消費者接触点における香料とポリマーとの間の平衡相互作用(equilibrium interaction)によって利益をもたらす系である。また、ポリマーに香料を予備充填してよいが、香料の一部又は全部が製品内貯蔵中に拡散し、所望の香料原料(PRM)がポリマーに結合した平衡状態に達する場合がある。その場合、ポリマーは香料を表面へと輸送し、放出は香料拡散によるのが一般的である。そのような平衡系ポリマーを使用すると、未希釈の製品の未希釈な製品の匂いの強度を低下させる可能性がある(予備充填済の標準系の場合に特にそうした傾向がある)。そのようなポリマーの付着によって、放出プロファイルが「平坦化(flatten)」し、持続性の増強が可能になる。上記したように、そのような持続性は初期強度の抑制によって達成されるものであり、配合者は、より高いインパクト若しくは低い臭気検出閾値(ODT)、又は低いコバッツ指数(KI)PRMを用いることで、初期の強度が強すぎたり、変質したりすることなく、FMOTの効果を得ることが可能となる。所望される(1つ又は複数の)消費者接触点に影響を与えるためには、香料の放出は、適用の時間枠内に起こることが重要である。好適なマイクロ粒子及びマイクロラテックス並びにその製造方法は、米国特許第2005/0003980(A1)号に見出すことができる。マトリックス系にはまた、ホットメルト接着剤及び香料プラスチックも包含される。加えて、疎水的に改質された多糖類を香料添加製品に配合することで、香料付着の増強及び/又は香料放出の改変が可能になる。例えば多糖類及びナノラテックスを含むそのような全てのマトリックス系は、香料マイクロカプセル(PMC)の形態のPADリザーバ系などの他のPAD系を含む他のPDTと組み合わせることができる。ポリマー支援型送達(PAD)マトリックス系としては、次の引用文献に記載されているものを挙げることができる:米国特許出願公開第2004/0110648(A1)号、同第2004/0092414(A1)号、同第2004/0091445(A1)号及び同第2004/0087476(A1)号、並びに米国特許第6,531,444号、同第6,024,943号、同第6,042,792号、同第6,051,540号、同第4,540,721号及び同第4,973,422号。
【0190】
シリコーンもまた、PDTとして使用できるポリマーの例であり、ポリマー支援型送達「マトリックス系」と類似の様式で香料利益をもたらし得る。そのようなPDTは、シリコーン支援型送達(SAD)と呼ばれる。シリコーンに香料を予備充填することもできるし、又はそれらをPADに関して記載されているような平衡系として使用することもできる。好適なシリコーン及びその製造方法は、国際公開第2005/102261号、米国特許出願公開第2005/0124530(A1)号、米国特許出願公開第2005/0143282(A1)号及び国際公開第2003/015736号に見出すことができる。米国特許出願公開第2006/003913(A1)号に記載されているように官能化シリコーンを使用することもできる。シリコーンの例としては、ポリジメチルシロキサン及びポリアルキルジメチルシロキサンが挙げられる。他の例にはアミン官能基を有するシリコーンが包含され、そうしたシリコーンを使用することで、アミン支援型送達(AAD)、及び/若しくはポリマー支援型送達(PAD)、並びに/又はアミン反応生成物(ARP)に関連する利益がもたらされ得る。他のそのような例は、米国特許第4,911,852号、並びに米国特許出願第2004/0058845(A1)号、同第2004/0092425(A1)号及び同第2005/0003980(A1)号に見出すことができる。
【0191】
b.)リザーバ系:リザーバ系は、コア−シェル型技術として、又は保護シェルとして機能し得る香料放出制御膜で芳香剤が包囲された系としても既知である。マイクロカプセルの内部の材料は、コア、内部相、又は充填物と呼ばれ、一方、壁部は時にはシェル、コーティング、又は膜と呼ばれる。ミクロ粒子、若しくは感圧カプセル、又はマイクロカプセルは、この技術の例である。本発明のマイクロカプセルを形成する手順には様々なものがあり、コーティング、押出、スプレー乾燥、界面重合、その場重合、及びマトリックス重合が含まれるが、これらに限定されない。考えられるシェル材料は、水に対する安定性が大きく異なる。なかでも極めて安定なのは、或るPRMを水溶液(又は製品)中に保持できる期間が更に長いポリオキシメチレン尿素(PMU)を主成分とする材料である。そのような系としては、限定はされないが、尿素−ホルムアルデヒド、及び/又はメラミン−ホルムアルデヒドが挙げられる。安定なシェル材料としては、水溶性若しくは水分散性アクリル酸−アルキル酸コポリマー、アルカリ又はアルカリ塩を含んでなるアニオン性乳化剤の存在下で、油溶性若しくは分散性アミンと、多官能アクリル酸又はメタクリル酸モノマー又はオリゴマー、油溶性酸及び開始剤との反応生成物として得られるポリアクリル酸塩系材料が挙げられる。ゼラチン系マイクロカプセルは、例えば架橋度に応じて、速やかに又はゆっくり水に溶解するように調製することが可能である。入手可能なカプセル壁材料には他にも様々な種類があり、観測される香料拡散安定性の度合いは多様である。理論に束縛されるものではないが、香料がカプセルから放出される速度は、例えば、香料が一旦表面に付着した後は、製品内香料拡散安定性とは逆になるのが一般的である。そのため、例えば、尿素−ホルムアルデヒド及びメラミンーホルムアルデヒドマイクロカプセルは典型的に、カプセルの破壊及び香料(芳香剤)放出の速度上昇に役立つ機械的力(例えば、摩擦、圧力、剪断応力)といったような、拡散以外(拡散に加えて)の放出機構を香料の放出のために必要とする。他の誘因としては、融解、溶解、加水分解、又は他の化学反応、電磁放射線、及びこれらに類するものが挙げられる。予備充填済のマイクロカプセルを使用するには、適切な比率の製品内安定性、並びに使用時及び/又は表面上(部位上)放出の他、適切なPRMの選定も必要とされる。尿素−ホルムアルデヒド及び/又はメラミンーホルムアルデヒドを主成分とするマイクロカプセルは、特にほぼ中性の水性溶液中で比較的安定である。これらの材料は、全ての製品用途に適用可能でない場合がある摩擦誘因を必要とし得る。他のマイクロカプセル材料(例えば、ゼラチン)は、水性製品中で不安定である場合があり、製品内エイジング中に(自由香料制御に対して)利益が減じられる場合さえある。スクラッチアンドスニッフ(scratch and sniff)技術は、PADの更に別の例である。香料マイクロカプセル(PMC)としては、以下の引用文献に記載のものを挙げることができる:米国特許出願公開第2003/0125222(A1)号、同第2003/215417(A1)号、同第2003/216488(A1)号、同第2003/158344(A1)号、同第2003/165692(A1)号、同第2004/071742(A1)号、同第2004/071746(A1)号、同第2004/072719(A1)号、同第2004/072720(A1)号、同第2006/0039934(A1)号、同第2003/203829(A1)号、同第2003/195133(A1)号、同第2004/087477(A1)号、同第2004/0106536(A1)号、並びに米国特許第6,645,479(B1)号、同第6,200,949(B1)号、同第4,882,220号、同第4,917,920号、同第4,514,461号、同第6,106,875号、及び同第4,234,627号、同第3,594,328号、並びに米国再発行特許RE32713号、PCT特許出願:国際公開第2009/134234(A1)号、国際公開第2006/127454(A2)号、国際公開第2010/079466(A2)号、国際公開第2010/079467(A2)号、国際公開第2010/079468(A2)号、国際公開第2010/084480(A2)号。
【0192】
分子支援型送達(MAD):非ポリマー材料又は分子も香料の送達を改善させるように機能し得る。理論に束縛されるものではないが、香料は非共有結合を介して有機材料と相互作用し、結果として付着及び/又は放出を変化させ得る。そのような有機材料の非限定例としては、有機油、ワックス、鉱物油、ペトロラタム、脂肪酸又はエステルなどの疎水性材料、糖類、界面活性剤、リポソーム、及び更には他の香料原材料(香料油)の他、身体及び/又はその他の廃物を含む天然油脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。香料定着剤は更に別の例である。一態様において、非ポリマー材料又は分子のCLogPは約2を超える。分子支援型送達(MAD)としては、米国特許第7,119,060号及び同第5,506,201号に記載のものもまた挙げることができる。
【0193】
繊維支援型送達(FAD):部位の選択又は使用はそれ自体、香料の送達を改善するのに役立ち得る。例えば、綿又はポリエステルなどの布地は、その種類ごとに、香料の吸引及び/又は保持及び/又は放出能力に関する特性が異なる。繊維上又は繊維内に付着する香料の量は、繊維の選択に応じて、更に繊維の由来又は処理によって、並びに任意の繊維のコーティング又は処理によって変わる場合がある。繊維には、織布及び不織布もあれば、天然又は合成のものもあり得る。天然繊維は、植物、動物及び地質学的プロセスで生成されるものが包含され、綿、リネン、黄麻、亜麻、ラミー及びサイザルなどのセルロース材料、並びに紙及び布の製造に用いられる繊維が挙げられるが、これらに限定されるものではない。繊維支援型送達は、木繊維、例えばサーモメカニカルパルプ、及び漂白若しくは無漂白のクラフト紙、又は亜硫酸パルプの使用からなり得る。動物繊維は、主に特定のタンパク質、例えば、絹、腱、腸線及び毛髪(羊毛を含む)からなる。合成化学物質を主成分とするポリマー繊維としては、ポリアミドナイロン、PET若しくはPBTポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール繊維(PVOH)、ポリ塩化ビニル繊維(PVC)、ポリオレフィン(PP及びPE)、及びアクリル系ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのようなあらゆる繊維に香料を予備充填し、その後自由香料及び/又は1つ以上の香料送達技術を含んでいてもよいし又は含んでいなくてもよい製品に添加できる。一態様においては、香料の充填に先立って繊維を製品に添加し、次いで、繊維内に拡散され得る香料を製品に添加することによって、香料を充填してもよい。理論に束縛されるものではないが、例えば製品貯蔵中に香料が繊維に吸収される場合もあれば又は吸着される場合もあり、その後で、1つ以上の決定的瞬間(MOT:moments of truth)、即ち、消費者接触点(consumer touch point)にて放出され得る。
【0194】
アミン支援型送達(AAD):アミン支援型送達技術の手法では、製品使用中の香料付着を強化するか又は香料放出を改変するために、アミン基を含有する材料を利用する。この手法においては、製品に添加する前に香料原材料とアミンとを予め複合又は予め反応させる必要がない。一態様において、本明細書に用いるのに好適なアミン含有AAD材料は、非芳香族;例えば、ポリエチレンイミン(PEI)若しくはポリビニルアミン(PVAm)などのポリアルキルイミン、又は芳香族、例えば、アントラニル酸塩であり得る。そのような材料はまた、ポリマー性又は非ポリマー性であり得る。一態様において、そのような材料は少なくとも1種の第一級アミンを含有する。この技術は、アミン官能性によって低ODT香料ノート(例えば、アルデヒド、ケトン、エノン)の持続性の増強、及び放出制御を可能にし、また、理論に束縛されるものではないが、ポリマーアミンのポリマー支援型送達による他のPRMの送達をも可能にする。この技術を利用しない場合、揮発性トップノートが失われるのが速過ぎてトップノートに対するミドルノート及びベースノートの比率が高くなったままになる可能性がある。ポリマーアミンを使用することによって、より高濃度のトップノート及び他のPRMを用いて無希釈の製品の匂いが所望よりも強くならないようにして新鮮さを持続させることが可能となるか、又は、トップノート及び他のPRMの利用効率を改善することが可能になる。一態様において、AAD系は、中性付近よりも高いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AAD系におけるより多くのアミンが脱プロトン化されるような条件下では、アルデヒド類及びケトン類(不飽和ケトン、及びダマスコーンなどのエノンを含む)などのPRMに対する、脱プロトン化されたアミン類の親和性が高くなる可能性がある。別の態様において、ポリマーアミンは中性付近よりも低いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AAD系におけるより多くのアミンがプロトン化されるような条件下では、アルデヒド類及びケトン類などのPRMに対する、プロトン化されたアミンの親和性が低下し、結果として、広範なPRMに対してポリマー骨格の親和性が強まる可能性がある。そのような態様において、ポリマー支援型送達は、香料利益を一層多くもたらし得る。つまり、そのような系はAADの下位に分類されるものであり、アミン−ポリマー支援型送達(APAD)と呼ばれる場合もある。いくつかの事例において、pHが7未満の組成物にAPADを用いた場合、そのようなAPAD系はまた、ポリマー支援型送達(PAD)と見なされ得る。更に別の態様において、AAD及びPAD系は、アニオン性界面活性剤、又はポリマーなどの他の物質と相互作用して、コアセルベート、及び/又はコアセルベート状の系を形成する。別の態様においては、窒素以外のヘテロ原子(例えば、硫黄、リン又はセレニウム)を含む物質を、アミン化合物の代替として使用できる。更に別の態様においては、上記代替の化合物をアミン化合物と組み合わせて使用することができる。更に別の態様においては、単一の分子が、アミン部分と、1つ以上の代替ヘテロ原子部分(例えばチオール、ホスフィン、及びセレノール)と、を含み得る。好適なAAD系、及びその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、同第2003/0199422(A1)号、同第2003/0036489(A1)号、同第2004/0220074(A1)号、及び米国特許第6,103,678号に見出すことができる。
【0195】
シクロデキストリン送達系(CD):この技術の手法では、環状オリゴ糖又はシクロデキストリンを用いて香料の送達を改善する。典型的には、香料及びシクロデキストリン(CD)複合体が形成される。そのような複合体は、予め形成してもよいし、その場で形成してもよいし、又は部位上若しくは部位内に形成してもよい。理論に束縛されるものではないが、特に、他の添加剤(例えば、界面活性剤)がシクロデキストリンの空洞を香料と競合するような高濃度で存在しない場合、水の減失は平衡状態をCD−香料複合体側にシフトさせるように作用し得る。以後の時点で水への露出又は含水量の増大が起こった場合、ブルームの利益が達成され得る。加えて、香料の配合者は、シクロデキストリンを使用することによってPRMをより柔軟に選択することができる。シクロデキストリンは、所望される香料安定性、付着、及び放出利益を得るために、香料に予備充填されてもよいし、又は香料とは別個に添加されてもよい。好適なCD並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、及び同第2006/0263313(A1)号、並びに米国特許第5,552,378号、同第3,812,011号、同第4,317,881号、同第4,418,144号、及び同第4,378,923号に見出すことができる。
【0196】
デンプン封入アコード(SEA):デンプン封入アコード(SEA)技術を用いることで、例えば、デンプンなどの成分を添加して液体香料を固体に転化することによって、香料の特性を修正できる。その利益としては、特に非水性条件下にて、製品貯蔵中の香料保持率が高まることが挙げられる。水分に露出されると直ぐに、香料ブルームが誘発され得る。製品配合者はデンプンを使用することによって、通常であればSEAの非存在下では使用できないPRM(1種又は複数種)の濃度を選択できるため、他のMOTにおける利益もまた達成することが可能である。別の技術の例としては、他の有機及び無機材料、例えばシリカを使用して香料を液体から固体に転化することが挙げられる。好適なSEA並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第6,458,754(B1)号に見出すことができる。
【0197】
無機担体送達系(ZIC):この技術は、多孔質ゼオライト又は他の無機材料を使用した香料送達に関する。香料充填ゼオライトを、例えば香料充填ゼオライト(PLZ)をコーティングするために用いられる他の補助成分と共に、又はかかる補助成分なしで使用して、製品貯蔵時若しくは使用時、又は乾燥部位からの香料放出特性を変化させることが可能である。好適なゼオライト及び無機担体、並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、並びに米国特許第5,858,959号、同第6,245,732(B1)号、同第6,048,830号、及び同第4,539,135号に見出すことができる。ZICのもう1つの形態としてはシリカがある。好適な無機担体の例としては他にも、香料又は他の活性物質がナノ又はマイクロチューブの内腔内に収容される、無機チューブが挙げられる。一態様において、香料が充填された無機チューブ(即ち、香料充填チューブ若しくはPLT)は、鉱物性ナノチューブ若しくはマイクロチューブ、例えばハロイサイト若しくはハロイサイトと、他のクレイなどの他の無機材料との混合物である。PLT技術はまた、製品内拡散安定性のため、所望の部位上への付着を向上させる目的、又は充填された香料の放出速度を制御する目的で、チューブの内側及び/又は外側に更なる成分を含むことがあり得る。デンプン封入体などのモノマー及び/又はポリマー材料を使用することによって、PLTのコーティング、プラギング、キャッピング、あるいは別様の封入が可能になる。好適なPLT系及びその製造方法は、米国特許第5,651,976号に見出すことができる。
【0198】
プロ香料(PP):この技術は、香料材料を他の基材又は化学物質と反応させることによって、1つ以上のPRMと1つ以上の担体との間に共有結合を有する材料を形成する、香料技術を指す。PRMは、プロPRM(例えば、プロ香料)と呼ばれる新な材料に転化され、続いて、水又は光などの誘因に曝露されると、元のPRMが放出され得る。プロ香料によって、香料付着量、持続性、安定性、保持率及びこれらに類するものの増加などの香料送達特性の改善が為され得る。プロ香料にはモノマー性(非ポリマー性)又はポリマー性のものが包含される。プロ香料は予め形成することもできるし、又は製品内貯蔵時、又は湿潤若しくは乾燥部位に存在し得るような平衡条件下にて、その場で形成することもできる。プロ香料の非限定例としては、マイケル付加物(例えば、β−アミノケトン)、芳香族又は非芳香族イミン(シッフ塩基)、オキサゾリジン、β−ケトエステル、及びオルトエステルが挙げられる。別の態様には、例えばα、β−不飽和ケトン、アルデヒド又はカルボキシルエステルといったPRMを放出できる、1つ以上のβ−オキシ又はβ−チオカルボニル部分を含んでなる化合物が含まれる。香料放出の誘因のなかでも典型的なのが、水への露出であるが、他の誘因としては、酵素、熱、光、pH変化、自動酸化、平衡シフト、濃度又はイオン強度の変化などが挙げられる。水性系製品には、光誘因プロ香料が特に好適である。そのような光プロ香料(PPP)としては、誘発されると直ぐにクマリン誘導体及び芳香剤、並びに/又はプロ香料を放出するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。放出されたプロ香料は、上述したいずれかの誘因によって1種以上のPRMを放出し得る。一態様において、光プロ香料は、光及び/又は水分誘因に曝露された際に窒素系プロ香料を放出する。別の態様において、光プロ香料から放出される窒素系プロ香料は、例えばアルデヒド、ケトン(エノンを含む)、及びアルコールから選択される1種以上のPRMを放出する。更に別の態様において、PPPはジヒドロキシクマリン誘導体を放出する。光誘因プロ香料はまた、クマリン誘導体及び香料アルコールを放出するエステルであり得る。一態様において、プロ香料は米国特許出願公開第2006/0020459(A1)号に記載のジメトキシベンゾイン誘導体である。別の態様において、プロ香料は、電磁放射線に曝露されるとアルコールを放出する3’,5’−ジメトキシベンゾイン(DMB)誘導体である。更に別の態様において、プロ香料は、リナロール、テトラヒドロリナロール又はジヒドロミルセノールなどの第三級アルコール類を含む1種以上の低ODTのPRMを放出する。好適なプロ香料及びその製造方法は、米国特許第7,018,978(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,956,013(B2)号、同第6,861,402(B1)号、同第6,544,945(B1)号、同第6,093,691号、同第6,277,796(B1)号、同第6,165,953号、同第6,316,397(B1)号、同第6,437,150(B1)号、同第6,479,682(B1)号、同第6,096,918号、同第6,218,355(B1)号、同第6,133,228号、同第6,147,037号、同第7,109,153(B2)号、同第7,071,151(B2)号、同第6,987,084(B2)号、同第6,610,646(B2)号、及び同第5,958,870号に見出すことができる他、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、及び同第2006/0223726(A1)号にも見出すことができる。
【0199】
アミン反応生成物(ARP):本出願の目的において、ARPは、PPの下位分類又は種である。アミン官能基が1種以上のPRMと予備反応してアミン反応生成物(ARP)を形成する、「反応性」ポリマーアミンを用いることもできる。反応性アミンは典型的に、第一級、及び/又は第二級アミンであり、ポリマー又はモノマー(非ポリマー)の一部であり得る。また、そのようなARPを追加のPRMと混合することによって、ポリマー支援型送達、及び/又はアミン支援型送達という利益が得られる。ポリマーアミンの非限定例としては、ポリエチレンイミン(PEI)又はポリビニルアミン(PVAm)などのポリアルキルイミンを主成分とするポリマーが包含される。モノマー(非ポリマー)アミンの非限定例としては、2−アミノエタノール及びそのアルキル置換誘導体などのヒドロキシルアミン、並びにアントラニル酸塩などの芳香族アミンが挙げられる。ARPは香料と予め混合することもできるし、又はリーブオン若しくはリンスオフの用途では香料とは別個に添加することもできる。別の態様においては、窒素以外のへテロ原子、例えば、酸素、硫黄、リン又はセレンを含有する物質をアミン化合物の代替として使用できる。更に別の態様においては、上記の代替化合物を、アミン化合物と組み合わせて使用できる。更に別の態様において、単一の分子は、アミン部分と、チオール、ホスフィン、及びセレノールなどの1つ以上の代替へテロ原子部分と、を含み得る。その利益としては、香料送達の改善、及び香料の放出制御を挙げることができる。好適なARP及びその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第6,413,920(B1)号に見出すことができる。
【0200】
iv.漂白剤
フィラメントは、1種以上の漂白剤を含み得る。好適な漂白剤の非限定例としては、ペルオキシ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、次亜ハロゲン酸系漂白剤、漂白剤前駆体、漂白活性剤、漂白触媒、過酸化水素、漂白促進剤、光漂白剤、漂白性酵素、フリーラジカル開始剤、過酸素系漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0201】
1種以上の漂白剤を乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約1重量%〜約30重量%、及び/又は約5重量%〜約20重量%の濃度にてフィラメント中に含めてもよい。漂白活性化剤(存在する場合)は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約60重量%、及び/又は約0.5重量%〜約40重量%の濃度にてフィラメント内に存在し得る。
【0202】
漂白剤の非限定例としては、酸素漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、過カルボン酸漂白剤及びその塩、過酸素漂白剤、過硫酸塩漂白剤、過炭酸塩漂白剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。更に、漂白剤の非限定例は、米国特許第4,483,781号、米国特許出願第740,446号、欧州特許出願第0 133 354号、米国特許第4,412,934号、及び米国特許第4,634,551号に開示されている。
【0203】
漂白活性剤の非限定例(例えばアシルラクタム活性剤)は、米国特許第4,915,854号、同第4,412,934号、同第4,634,551号、及び同第4,966,723号に開示されている。
【0204】
一実施例において、漂白剤は、カプセル化され得る遷移金属漂白触媒を含んでなる。遷移金属漂白触媒は典型的に、遷移金属イオン、例えば、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ni(I)、Ni(II)、Ni(III)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、Cr(VI)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、W(IV)、W(V)、W(VI)、Pd(II)、Ru(II)、Ru(III)、及びRu(IV)からなる群から選択される遷移金属由来の遷移金属イオンを含む。一実施例において、遷移金属は、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、及びCr(VI)からなる群から選択される。遷移金属漂白触媒は典型的に、配位子、例えば、架橋マクロ多環状配位子などのマクロ多環状配位子を含む。遷移金属イオンは、配位子と配位結合され得る。更に、配位子は少なくとも4つのドナー原子を含んでいる場合があり、それらのうちの少なくとも2つは橋頭ドナー原子である。好適な遷移金属漂白触媒の非限定例は、米国特許第5,580,485号、同第4,430,243号、同第4,728,455号、同第5,246,621号、同第5,244,594号、同第5,284,944号、同第5,194,416号、同第5,246,612号、同第5,256,779号、同第5,280,117号、同第5,274,147号、同第5,153,161号、同第5,227,084号、同第5,114,606号、同第5,114,611号;欧州特許第549,271(A1)号、同第544,490(A1)号、同第549,272(A1)号、及び同第544,440(A2)号に記載されている。一実施例において、好適な遷移金属漂白触媒は、例えば米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒を含む。別の実施例において、好適なコバルト漂白触媒は、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に教示されているような既知の手順によって容易に調製される。更に別の実施例(In yet another)において、好適な遷移金属漂白触媒は、国際公開第05/042532(A1)号に記載されているビスピドンなどの配位子の遷移金属錯体を含む。
【0205】
酸素漂白剤以外の漂白剤(例えば、本明細書において参照により援用される米国特許第4,033,718号に記載のスルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニンなどの光活性化漂白剤、及び/又は予備成形された有機過酸、例えば、ペルオキシカルボン酸若しくはその塩、及び/又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩)もまた、当該技術分野において周知であり、本明細書において利用され得る。一実施例において、好適な有機過酸は、フサロイリミド(phthaloylimido)ペルオキシカプロン酸又はその塩を含んでなる。スルホン化亜鉛フタロシアニンなどの光活性化漂白剤(存在する場合)は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.025重量%〜約1.25重量%の濃度にてフィラメント内に存在し得る。
【0206】
v.増白剤
当該分野において周知の任意の光学増白剤、又は他の光沢剤若しくは白色化剤を、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約1.2重量%の濃度にてフィラメントに組み込んでもよい。有用であり得る市販の光学増白剤は、サブグループに分類でき、これらにはスチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−二酸化物、アゾール、5員環及び6員環の複素環、並びにその他種々の剤の誘導体が包含されるが、必ずしもこれらに限定されない。そのような増白剤の例は、「The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents」,M.Zahradnik,Published by John Wiley & Sons,New York(1982)に開示されている。本組成物において有用な光学増白剤の具体的な非限定例は、米国特許第4,790,856号及び同第3,646,015号に特定されているものである。
【0207】
vi.布地色調剤
フィラメントには布地色調剤が含まれ得る。好適な布地色調剤の非限定例としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料には、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレッド、アシッドバイオレット、ベーシック・ブルー、ベーシック・バイオレット及びベーシック・レッド、又はこれらの混合物の色指数(C.I.)類別に分類される染料からなる群から選択される小分子染料が包含される。別の実施例において、好適なポリマー染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)の名称で販売されている布地直接(fabric-substantive)着色剤類、並びに少なくとも1種の反応性染料と、ヒドロキシル部分、第一級アミン部分、第二級アミン部分、チオール部分及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマー類からなる群から選択されるポリマーとから形成される染料−ポリマー共役体からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。更に別の態様において、好適なポリマー染料には、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)バイオレットCT、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット又はリアクティブレッド染料で共役されているカルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば、Megazyme,Wicklow,Irelandが製品名AZO−CM−CELLULOSE、製品コードS−ACMCで販売しているC.I.リアクティブブルー19で共役されているCMC、アルコキシル化トリフェニル−メタンポリマー着色料、アルコキシル化チオフェンポリマー着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が包含される。
【0208】
有用な色調染料の非限定例としては、米国特許第7,205,269号、同第7,208,459号、及び同第7,674,757(B2)号に見出されるものが挙げられる。例えば、布地色調染料は、トリアリールメタンブルー及びバイオレット塩基性染料、メチンブルー及びバイオレット塩基性染料、アントラキノンブルー及びバイオレット塩基性染料、アゾ染料ベーシック・ブルー16、ベーシック・ブルー65、ベーシック・ブルー66、ベーシック・ブルー67、ベーシック・ブルー71、ベーシック・ブルー159、ベーシック・バイオレット19、ベーシック・バイオレット35、ベーシック・バイオレット38、ベーシック・バイオレット48、オキサジン染料、ベーシック・ブルー3、ベーシック・ブルー75、ベーシック・ブルー95、ベーシック・ブルー122、ベーシック・ブルー124、ベーシック・ブルー141、ナイルブルーA及びキサンテン染料ベーシック・バイオレット10、アルコキシル化トリフェニルメタンポリマー着色剤、アルコキシル化チオフェン(thiopene)ポリマー着色剤;チアゾリウム染料、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0209】
一実施例において、布地色調染料には、国際公開第08/87497(A1)号に見出される白色化剤が包含される。これらの白色化剤は、次の構造(I)により特徴付けることができる。
【0210】
【化5】
式中、R
1及びR
2は、以下から独立して選択され得る。
a)[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
b)R
1=アルキル、アリール又はアリールアルキル、かつR
2=[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
式中、R’はH、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である。
c)R
1=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]、かつR
2=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]
式中、R
3はH、(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
R
4は(C
1〜C
16)アルキル基、アリール基、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
d)R1及びR2は、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルの、アミノ付加生成物に1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加したものから独立して選択することができる。
【0211】
他の実施例では、好適な増白剤は、次の構造(II)によって特徴付けることができる:
【0212】
【化6】
式中、R’はH、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
【0213】
更に別の実施例では、好適な増白剤は、次の構造(III)によって特徴付けることができる:
【0215】
この白色化剤は一般に「バイオレットDD」と呼ばれる。バイオレットDDは典型的に、合計5個のEO基を有する混合物である。この構造は、下表I内の上方の「a」欄に示す下掲のペンダント基の構造Iにおける以下の選択によって達せられる。
【0217】
更なる有用な白色化剤としては、米国特許第2008/34511(A1)号(Unilever)に記載のものが挙げられる。一実施例において、白色化剤は「バイオレット13」を含む。
【0218】
vii.移染防止剤
フィラメントには、洗浄工程中に染料が或る布地から別の布地に移染するのを防止する1種以上の移染防止剤を含めてもよい。一般に、そのような移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及ぶこれらの混合物が挙げられる。これらの物質(使用された場合)は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約10重量%、及び/又は約0.01重量%〜約5重量%、及び/又は約0.05重量%〜約2重量%を占める。
【0219】
viii.キレート化剤
フィラメントは、1種以上のキレート化剤、例えば、鉄、及び/又はマンガン、及び/又は他の金属イオンキレート化剤のうちの1種以上を含み得る。そのようなキレート化剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。これらのキレート化剤(使用された場合)は一般に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約15重量%、及び/又は約0.1重量%〜約10重量%、及び/又は約0.1重量%〜約5重量%、及び/又は約0.1重量%〜約3重量%を占める。
【0220】
キレート化剤は、カルシウムイオンの過剰な結合を通じて酵素の安定性に悪影響を及ぼすことなく、重金属(例えばFe)封鎖を提供するように、当業者によって選択され得る。キレート化剤の非限定例は、米国特許第7445644号、米国特許第7585376号、及び米国特許出願第2009/0176684(A1)号に見出される。
【0221】
有用なキレート化剤としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)などの重金属キレート化剤、及び/又はカテコールが包含され、カテコールとしては、タイロンが挙げられるが、これに限定されるものではない。デュアルキレート化剤系が使用される実施形態において、キレート化剤はDTPA及びタイロンであり得る。
【0222】
DTPAは次のコア分子構造を有する。
【0224】
1,2−ジヒドロキシベンゼン(diydroxybenzene)−3,5−ジスルホン酸としても既知であるタイロンは、カテコール族の化合物であり、次に示すコア分子構造を有する。
【0226】
有用なスルホン化カテコール類は他にもある。ジスルホン酸に加えて、用語「タイロン」はまた、酸のモノスルホネート塩又はジスルホネート塩、例えば、同一のコア分子構造をジスルホン酸と共有するジナトリウムスルホネート塩を包含し得る。
【0227】
本明細書に用いるのに好適な他のキレート化剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換芳香族キレート化剤及びこれらの混合物から選択することができる。一実施例において、キレート化剤としては、HEDP(ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸);MGDA(メチルグリシン二酢酸);GLDA(グルタミン酸−N,N−二酢酸);及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0228】
理論に束縛されるものではないが、これらの材料が有益である理由は、一部には、可溶性キレートを形成することによって洗浄溶液から重金属イオンを除去する例外的な能力を有することに起因すると考えられる。他の利点としては、無機膜又は水垢の防止が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なキレート化剤は他にも、市販のDEQUESTシリーズ、並びにMonsanto製、DuPont製及びNalco,Inc製のキレート剤がある。
【0229】
キレート化剤として有用なアミノカルボキシレートとしては、限定はされないが、エチレンジアミンテトラセテート、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロプリオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミン−ペンタアセテート、及びエタノールジグリシン、アルカリ金属、アンモニウム、及びこれらの置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。アミノホスホネートもまた、フィラメント中に少なくとも低濃度の全リンが許容される場合に本組成物の組成物中にキレート化剤として用いるのに好適であり、これにはエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が包含される。一実施例において、これらのアミノホスホネートは、炭素原子数が約6個を超えるアルキル基又はアルケニル基を含有しない。多官能置換された芳香族キレート化剤はまた、本明細書中の組成物においても有用である。1974年5月21日に発行された、Connorらによる米国特許第3,812,044号を参照のこと。この種の酸形態の化合物の非限定例は、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼンである。
【0230】
一実施例において、生分解性キレート化剤は、エチレンジアミンジスクシネート(「EDDS」)、例えば、米国特許第4,704,233号に記載されているような[S,S]異性体を含む。EDDSの三ナトリウム塩を使用してもよい。別の実施例においては、EDDSのマグネシウム塩もまた使用できる。
【0231】
1種以上のキレート剤は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.2重量%〜約0.7重量%、及び/又は約0.3重量%〜約0.6重量%の濃度でフィラメントに存在してもよい。
【0232】
ix.泡抑制剤
泡の形成を低減又は抑制するための化合物を、フィラメントに組み込んでもよい。泡の抑制は、米国特許第4,489,455号、及び同第4,489,574号に記載されている所謂「高濃度洗浄プロセス」、並びに前面装填型(front-loading-style)洗浄機において特に重要であり得る。
【0233】
泡抑制剤として使用できる材料には様々な種類があり、泡抑制剤は当業者に周知である。例えば、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,Volume 7,pages 430〜447(John Wiley & Sons,Inc.,1979)を参照のこと。抑制剤の例としては、モノカルボン脂肪酸及びその可溶性塩、パラフィンなどの高分子量炭化水素類、脂肪酸エステル類(例えば、脂肪酸トリグリセリド類)、一価アルコールの脂肪酸エステル類、脂肪族C
18〜C
40ケトン類(例えば、ステアロン)、N−アルキル化アミノトリアジン類、蝋様炭化水素類(waxy hydrocarbon)で好ましくは融点が約100℃未満のもの、シリコーン泡抑制剤、並びに第二級アルコール類が挙げられる。泡抑制剤は、米国特許第2,954,347号、同第4,265,779号、同第4,265,779号、同第3,455,839号、同第3,933,672号、同第4,652,392、同第4,978,471号、同第4,983,316号、同第5,288,431号、同第4,639,489号、同第4,749,740号、同第4,798,679号、及び同第4,075,118号、欧州特許出願第89307851.9号、欧州特許第150,872号、並びに独国公開広報(DOS)第2,124,526号に記載されている。
【0234】
自動式ランドリー洗濯機に使用されるように設計されたフィラメント及び/又はかかるフィラメントを含む繊維性構造体のいずれにおいても、洗濯機から溢れ出る程度まで泡が形成されるべきでない。泡抑制剤(使用された場合)は、好ましくは泡抑制(suds suppressing)量にて存在する。「泡抑制量」とは、組成物の配合者は、泡を十分に制御して、自動洗濯機での使用のための低起泡性洗濯洗剤となるようにこの泡制御剤の量を選択することができることを意味する。
【0235】
本明細書において、フィラメントは一般に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で0重量%〜約10重量%の泡抑制剤を含む。泡抑制剤として使用されるとき、例えば、モノカルボン脂肪酸及びその塩は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で最高約5重量%、及び/又は約0.5重量%〜約3重量%の量で存在し得る。シリコーン泡抑制剤(使用された場合)は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で最高約2.0重量%の濃度にてフィラメント内に用いられるが、より多い量にて使用することもできる。モノステアリルリン酸塩泡抑制剤(使用された場合)は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約2重量%の濃度にてフィラメント内に用いられる。炭化水素泡抑制剤(使用された場合)は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約5.0重量%の濃度にてフィラメント内に用いられるが、より高い濃度にて使用することもできる。アルコール泡抑制剤(使用された場合)は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.2重量%〜約3重量%の濃度にてフィラメント内に用いられる。
【0236】
x.増泡剤
泡立ちの良さが所望される場合、C
10〜C
16アルカノールアミドなどの増泡剤を、典型的には、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で0重量%〜約10重量%、及び/又は約1重量%〜約10重量%の濃度にてフィラメント中に組み込ませてもよい。C
10〜C
14モノエタノールアミド、及びジエタノールアミドは、そのような増泡剤の典型的な部類を例示したものである。そのような増泡剤を上記のアミンオキシド、ベタイン、及びスルタインなどの高起泡補助界面活性剤と併用することもまた有利である。所望される場合、水溶性マグネシウム塩及び/又はカルシウム塩、例えば、MgCl
2、MgSO
4、CaCl
2、CaSO
4及びこれらに類するものを、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約2重量%の濃度にてフィラメントに添加することによって、更なる泡を提供してもよい。
【0237】
xi.柔軟剤
フィラメント内には1種以上の柔軟剤が存在し得る。好適な柔軟剤の非限定例としては、第四級アンモニウム組成物、例えば、第四級アンモニウムエステルクアット化合物、ポリシロキサンなどのシリコーン、スメクタイトクレイなどのクレイ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0238】
一実施例において、柔軟剤は布地柔軟剤を含む。布地柔軟剤の非限定例としては、米国特許第4,062,647号に記載されているような微細なスメクタイトクレイの他、当該技術分野において既知の他の布地柔軟化クレイが挙げられる。布地軟化剤(存在する場合)は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.5重量%〜約10重量%、及び/又は約0.5重量%〜約5重量%の濃度にてフィラメント内に存在し得る。布地柔軟化クレイは、米国特許第4,375,416号、及び米国特許第4,291,071号に開示されているようなアミン及び/又はカチオン性軟化剤と併用してもよい。カチオン性軟化剤はまた、布地柔軟化クレイなしでも使用できる。
【0239】
xii.コンディショニング剤
フィラメントは、1種以上のコンディショニング剤、例えば、高融点の脂肪族化合物を含み得る。高融点の脂肪族化合物は融点が約25℃以上である場合があり、脂肪族アルコール類、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。そのような脂肪族化合物で低融点(25℃未満)を呈するものは、コンディショニング剤として含めるよう意図されたものではない。高融点の脂肪族化合物の非限定例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0240】
1種以上の高融点の脂肪族化合物を、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約40重量%、及び/又は約1重量%〜約30重量%、及び/又は約1.5重量%〜約16重量%、及び/又は約1.5重量%〜約8重量%の濃度にてフィラメント内に含めることができる。コンディショニング剤は、濡れた毛髪及び/若しくは布地に塗布している間の滑々感、柔軟性、並びに/又は乾燥した毛髪及び/若しくは布地上でのしっとり感などのコンディショニング上の利益をもたらし得る。
【0241】
フィラメントにはカチオン性ポリマーをコンディショニング剤として含有させてもよい。フィラメント内のカチオン性ポリマー(存在する場合)の濃度は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.05重量%〜約3重量%、及び/又は約0.075重量%〜約2.0重量%、及び/又は約0.1重量%〜約1.0重量%の範囲に及ぶ。好適なカチオン性ポリマーの非限定例は、pH約3〜約9、及び/又は約4〜約8にて、カチオン電荷密度が少なくとも0.5meq/gm、及び/又は少なくとも0.9meq/gm、及び/又は少なくとも1.2meq/gm、及び/又は少なくとも1.5meq/gmであり得る。一実施例において、コンディショニング剤として好適なカチオン性ポリマーは、pH約3〜約9、及び/又は約4〜約8にて、カチオン電荷密度が7meq/gm未満、及び/又は5meq/gm未満であり得る。本明細書において、ポリマーの「カチオン電荷密度」は、ポリマー上の正電荷の数とポリマーの分子量との比率を指す。そのような好適なカチオン性ポリマーの重量平均分子量は一般に、約10,000〜10,000,000であり、一実施形態においては約50,000〜約5,000,000であり、別の実施形態においては約100,000〜約3,000,000である。
【0242】
フィラメント内に用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム、及び/又はカチオン性プロトン化アミノ部分などのカチオン性窒素含有部分を含み得る。カチオン性ポリマーが水に可溶なままである限り、かつ対イオンがフィラメントの他の成分に対する物理的及び化学的適合性を有する限り、又は別段にフィラメントの製品性能、安定性若しくは審美性を過度に損なわない限り、カチオン性ポリマーに関連して任意のアニオン性対イオンを使用できる。そのような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、サルフェート、及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0243】
そのようなカチオン性ポリマーの非限定例は、「CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary」3rd edition、Estrin、Crosley及びHaynes編集、(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.,Washington,D.C.(1982))に記載されている。
【0244】
そのようなフィラメント内に用いるのに好適なカチオン性ポリマーとしては他にも、カチオン性多糖類ポリマー、カチオン性グアーガム誘導体、第四級窒素含有セルロースエーテル、カチオン性合成ポリマー、エーテル化セルロース、グアー及びデンプンのカチオン性コポリマーを挙げることができる。本明細書におけるカチオン性ポリマー(使用された場合)は水に可溶である。更に、フィラメント内に用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、米国特許第3,962,418号、米国特許第3,958,581号、及び米国特許第2007/0207109(A1)号に記載されており、これらは全て本明細書において参照により援用される。
【0245】
非イオン性ポリマーをコンディショニング剤としてフィラメント内に含めてもよい。本明細書において有用なポリアルキレングリコールは分子量が約1000を超えるものである。有用なポリアルキレングリコールは次の一般式を有する:
【0246】
【化10】
式中、R
95はH、メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0247】
シリコーンをコンディショニング剤としてフィラメント内に含めてもよい。コンディショニング剤として有用なシリコーンは典型的に、乳化液体粒子を形成する水不溶性、水分散性、不揮発性の液体を含有してなる。組成物中に使用される好適なコンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーン油、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、高屈折率のシリコーン及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン及び脂肪エステル)、若しくはそれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、又はさもなければ、本明細書における水性界面活性剤マトリックス中で液状の分散粒子を形成するコンディショニング剤である。そのようなコンディショニング剤は、組成物の必須成分に対する物理的及び化学的適合性を有している必要があり、かつ製品安定性、審美性又は性能を過度に損なってはならない。
【0248】
フィラメント中のコンディショニング剤は、所望されるコンディショニング上の利益をもたらす十分な濃度であり得る。そのような濃度はコンディショニング剤、所望されるコンディショニング性能、コンディショニング剤粒子の平均寸法、他の成分の種類及び濃度、並びにその他の同様な要因に応じて異なり得る。
【0249】
シリコーンコンディショニング剤の濃度は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約10重量%の範囲に及ぶ。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーン用の任意の懸濁化剤の非限定例は、米国再発行特許34,584号、米国特許第5,104,646号、同第5,106,609号、同第4,152,416号、同第2,826,551号、同第3,964,500号、同第4,364,837号、同第6,607,717号、同第6,482,969号、同第5,807,956号、同第5,981,681号、同第6,207,782号、同第7,465,439号、同第7,041,767号、同第7,217,777号、米国特許出願第2007/0286837(A1)号、同第2005/0048549(A1)号、同第2007/0041929(A1)号、英国特許第849,433号、独国特許(DE)第10036533号(これらは全て参照により本明細書に援用される)、「Chemistry and Technology of Silicones」(New York:Academic Press(1968))、General Electricのシリコーンゴム製品データシートSE 30、SE 33、SE 54、及びSE 76、Silicon Compounds,Petrarch Systems,Inc.(1984)、並びに「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」(vol.15,2d ed.,pp 204〜308,John Wiley & Sons,Inc.(1989))に記載されている。
【0250】
一実施例において、フィラメントはまた、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.05重量%〜約3重量%の少なくとも1種の有機コンディショニングオイルをコンディショニング剤として、単独で又はシリコーン類(本明細書に記載のもの)などの他のコンディショニング剤と組み合わせて含み得る。好適なコンディショニングオイルとしては、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪エステル類が挙げられる。また、本明細書中の組成物に用いるのに好適なコンディショニング剤はProcter & Gamble Companyが米国特許第5,674,478号、及び同第5,750,122号において記載している。また、本明細書において用いるのに好適なコンディショニング剤は、米国特許第4,529,586号、同第4,507,280号、同第4,663,158号、同第4,197,865号、同第4,217,914号、同第4,381,919号、及び同第4,422,853号に記載されており、それらは全て本明細書において参照により援用される。
【0251】
xiii.保湿剤
フィラメントに1種以上の保湿剤を含めてもよい。本明細書における保湿剤は、多価アルコール類、水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。保湿剤(使用された場合)は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約20重量%、及び/又は約0.5重量%〜約5重量%の濃度にてフィラメント内に存在し得る。
【0252】
xiv.懸濁化剤
フィラメント内には更に懸濁化剤を、組成物中に水不溶性物質を分散形態で懸濁するために有効な濃度で、又は組成物の粘性を修正するために有効な濃度で含めてもよい。そのような懸濁化剤の濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約10重量%、及び/又は約0.3重量%〜約5.0重量%の範囲に及ぶ。
【0253】
好適な懸濁化剤の非限定例には、アニオン性ポリマー及び非イオン性ポリマー(例えば、ビニルポリマー、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの混合物、脂肪酸のアルカノールアミド、長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル、グリセリルエステル、炭素原子数が少なくとも約16個である脂肪アルキル部分を有する第一級アミン、2つの脂肪アルキル部分を有し各々の脂肪アルキル部分の炭素原子数が少なくとも約12個である第二級アミン)が挙げられる。懸濁化剤の例は、米国特許第4,741,855号に記載されている。
【0254】
xv.酵素
フィラメント中には1種以上の酵素が存在し得る。好適な酵素の非限定例としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、カルボヒドラーゼ(マンナーゼ及びエンドグルカナーゼを含む)、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ(penosanase)、マラナーゼ、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ(chrondroitinases)、ラッカーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0255】
フィラメント内には酵素を様々な目的で含めることができる。これらの目的には、タンパク質系、炭水化物系、又はトリグリセリド系染みを基材から除去する、布地洗濯中の遊離(refugee)染料の移行を防ぐ、及び布地を修復するといったことを含むが、これらに限定されない。一実施例において、フィラメントは、野菜、動物、バクテリア、真菌及び酵母起源などの任意の好適な起源のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を含み得る。利用される酵素の選択は、pH活性、及び/又は安定最適条件、熱安定性、並びに、フィラメント内に存在する活性剤(例えばビルダー)などの他の添加剤に対する安定性といった要因に影響される。一実施例において、酵素は、バクテリアの酵素(例えば、細菌アミラーゼ、及び/又は細菌プロテアーゼ)、真菌酵素(例えば、真菌セルラーゼ)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0256】
酵素はフィラメント内に存在する場合、「洗浄有効量(cleaning-effective amount)」を提供するのに十分な濃度にて存在し得る。「洗浄有効量」という用語は、布地、食卓用食器類及びこれらに類するものなどの基材に対して洗浄、染み除去、汚れ除去、白色化、脱臭、又は真新しさを持ち直させる利益を生み出すことが可能な任意の量を指す。現行の市販製剤における実際的な条件では、活性酵素の典型的な量はフィラメント及び/又は繊維1グラム当たりの重量基準で最高約5mg、より典型的には0.01mg〜3mgである。特に注記がない限り、フィラメントの含有率は典型的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.001重量%〜約5重量%、及び/又は約0.01重量%〜約3重量%、及び/又は約0.01重量%〜約1重量%であり得る。
【0257】
フィラメント及び/又は繊維性構造体が製造された後に、そのフィラメント及び/又は繊維性構造体に1種以上の酵素を適用してもよい。
【0258】
多様な酵素材料、及び合成洗剤組成物であり得るフィラメント形成組成物に酵素材料を組み込む手段は、国際公開第9307263(A)号、同第9307260(A)号、同第8908694(A)号、米国特許第3,553,139号、同第4,101,457号、及び同第4,507,219号にも開示されている。
【0259】
xvi.酵素安定化系
酵素がフィラメント及び/又は繊維内に存在する場合、フィラメント内に酵素安定化系を含めることもできる。酵素は様々な技術によって安定させることができる。酵素安定化技術の非限定例は、米国特許第3,600,319号及び同第3,519,570号、欧州特許第199,405号、欧州特許第200,586号、並びに国際公開第9401532(A)号に開示及び例示されている。
【0260】
一実施例では、酵素安定化系はカルシウム及び/又はマグネシウムイオンを含んでもよい。
【0261】
酵素安定化系は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.001重量%〜約10重量%、及び/又は約0.005重量%〜約8重量%、及び/又は約0.01重量%〜約6重量%の濃度にてフィラメント内に存在し得る。酵素安定化系は、フィラメント内に存在する酵素に対する適合性を有する任意の安定化系であり得る。そのような酵素安定化系は本質的に、他の配合活性物質を介して提供されてもよく、又は、例えば、酵素の配合者若しくは製造業者により別個に添加されてもよい。そのような酵素安定化系は、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、及びこれらの混合物を含んでもよく、かつ様々な安定化の問題に対処すべく設計される。
【0262】
xvii.ビルダー
フィラメントは、1種以上のビルダーを含み得る。好適なビルダーの非限定例としては、ゼオライトビルダー、アルミノケイ酸塩ビルダー、ケイ酸塩ビルダー、リン酸塩ビルダー、クエン酸、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0263】
一実施例において、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されるビルダーがフィラメント内に含まれてもよい。ビルダーは、洗浄水中の鉱物、特にカルシウム及び/又はマグネシウムの硬度調節役立つように、又は表面から粒子の汚れを除去するのに役立つように、フィラメント内に含まれてもよい。また、本明細書に用いるのに好適なビルダーは、合成された結晶質イオン交換材料又はその水和物で、鎖構造を有し、かつ無水物形態の一般式I:x(M
2O)・ySiO
2・zM’O(式中、MはNa、及び/又はKであり、M’はCa、及び/又はMgであり、y/xは0.5〜2.0であり、z/xは0.005〜1.0である)で表される組成を有するものであり、これは、米国特許第5,427,711号において教示されている。
【0264】
フィラメント内に含めることの可能な他の好適なビルダーの非限定例としては、リン酸塩及びポリリン酸塩、例えば、そのナトリウム塩;炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩及び炭酸塩鉱物(炭酸ナトリウム又はセスキ炭酸塩を除く);有機モノ、ジ、トリ及びテトラカルボン酸塩、例えば、酸形態、ナトリウム塩形態、カリウム塩形態又はアルカノールアンモニウム塩形態の水溶性非界面活性剤カルボン酸塩の他、オリゴマー又は水溶性低分子量ポリマーカルボン酸塩(脂肪族及び芳香族種を含む);並びにフィチン酸が挙げられる。これらのビルダーは、例えば、pH緩衝目的にホウ酸塩で補完することもできるし、又は硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムによって、並びに安定な界面活性剤及び/又はビルダー含有フィラメントのエンジニアリングに重要であり得る他の任意の充填剤又は担体で補完することもできる。
【0265】
更に他のビルダーは、ポリカルボキシレート、例えばアクリル酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、並びにアクリル酸及び/又はマレイン酸のコポリマー、及び様々なタイプの追加の官能基を備える他の好適なエチレンモノマーから選択されてもよい。
【0266】
ビルダー濃度は最終用途に応じて大きく異なり得る。一実施例では、フィラメントは、乾燥フィラメント基準で少なくとも1重量%、及び/又は約1重量%〜約30重量%、及び/又は約1重量%〜約20重量%、及び/又は約1重量%〜約10重量%、及び/又は約2重量%〜約5重量%の1種以上のビルダーを含み得る。
【0267】
xviii.泥汚れ除去/再付着防止剤
フィラメントは、泥汚れ除去及び再付着防止特性を有する水溶性エトキシル化アミンを含有し得る。そのような水溶性エトキシル化アミンは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約10.0重量%、及び/又は約0.01重量%〜約7重量%、及び/又は約0.1重量%〜約5重量%の濃度の1種以上の水溶性エトキシレートアミンでフィラメント内に存在し得る。泥汚れ除去及び再付着防止剤の非限定例は、米国特許第4,597,898号、同第548,744号、同第4,891,160号、欧州特許出願第111,965号、同第111,984号、同第112,592号、及び国際公開第95/32272号に記載されている。
【0268】
xix.ポリマー系汚れ剥離剤
フィラメントは、ポリマー系汚れ剥離剤(以下「SRA」)を含有し得る。SRA(使用された場合)は一般的に、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.01重量%〜約10.0重量%、及び/又は約0.1重量%〜約5重量%、及び/又は約0.2重量%〜約3.0重量%を占める。
【0269】
SRAは典型的に、ポリエステル及びナイロンなどの疎水性繊維の表面を親水化する親水性セグメントと、疎水性繊維上に付着し、洗浄及びすすぎサイクルの完了までその上に付着し続けて、親水性部分のためのアンカーとして働く疎水性部分とを有する。これにより、SRAを用いた処理の後に生じた染みを、後の洗浄手順において落とし易くすることができる。
【0270】
SRAは、例えば、各種の荷電性の、例えば、アニオン性又は更にはカチオン性(米国特許第4,956,447号を参照)、並びに非荷電性の、モノマー単位を含むことができ、構造は直鎖状、分枝状、又は更には星状であってもよい。特に分子量の制御、又は物理的特性若しくは界面活性特性を変化させることに有効なキャッピング部分を含み得る。構造及び電荷分布は、様々な繊維又は生地の種類への適用に合わせて、かつ多様な洗剤又は洗剤添加剤製品に対応可能となるように調整され得る。SRAの非限定例は、米国特許第4,968,451号、同第4,711,730号、同第4,721,580号、同第4,702,857号、同第4,877,896号、同第3,959,230号、同第3,893,929号、同第4,000,093号、同第5,415,807号、同第4,201,824号、同第4,240,918号、同第4,525,524号、同第4,201,824号、同第4,579,681号及び同第4,787,989号、欧州特許出願第0 219 048号、欧州特許出願公開第279,134(A)号、欧州特許出願公開第457,205(A)号、並びに独国特許第2,335,044号に記載されている。
【0271】
xx.ポリマー系分散剤
ポリマー系分散剤は、特にゼオライト及び/又は層状ケイ酸塩ビルダーの存在下で、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.1重量%〜約7重量%、及び/又は約0.1重量%〜約5重量%、及び/又は約0.5重量%〜約4重量%の濃度にてフィラメント中で有利に利用され得る。好適なポリマー系分散剤としてはポリマーポリカルボキシレート、及びポリエチレングリコールを挙げることができるが、当該技術分野において既知の他のものも使用することができる。例えば、多様な修飾または非修飾のポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸塩/マレイン酸塩(mealeate)、又はポリアクリル酸塩/メタクリレートは非常に有用である。理論によって制限されることは意図されないが、ポリマー系分散剤(使用された場合)は、他のビルダー(分子量の小さいポリカルボキシレートを含む)と併用されたときに、結晶成長の阻害、粒子状の汚れ剥離解膠、及び再付着防止によって、全体的な洗剤ビルダー性能を強化すると考えられる。ポリマー系分散剤の非限定例は、米国特許第3,308,067号、欧州特許出願第66915号、欧州特許第193,360号、及び欧州特許第193,360号に見出される。
【0272】
xxi.アルコキシル化ポリアミンポリマー
アルコキシル化ポリアミンをフィラメント内に含めることによって、汚れの懸濁、油脂の洗浄、及び/又は粒子洗浄をもたらすことができる。そのようなアルコキシル化ポリアミンとしては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらの硫酸化バージョンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリアミンのポリプロポキシル化誘導体もまた、フィラメント内に含むことができる。多様なアミン及びポリアルキレンイミン(polyaklyeneimines)を様々な度合いでアルコキシル化することが可能であり、任意選択的に、上述した利益をもたらすように更に修飾され得る。有用な例は、NH当たり20個のEO基を有するようにエトキシル化された600g/molのポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。
【0273】
xxii.アルコキシル化ポリカルボキシレートポリマー
アルコキシル化ポリカルボキシレート(ポリアクリレートから調製されたものなど)をフィラメント内に含めることによって、更なる油脂除去性能を提供することができる。そのような材料は、国際公開第91/08281号、及びPCT 90/01815号に記載されている。これらの材料は、化学的に7〜8アクリレート単位ごとに1個のエトキシ側鎖を有するポリアクリレートを含む。側鎖は式:−(CH
2CH
2O)
m(CH
2)
nCH
3(式中、mは2〜3であり、nは6〜12である)のものである。側鎖はポリアクリレート「主鎖」とエステル結合して「櫛形」ポリマー種の構造を提供する。分子量は変動し得るが、典型的には約2000〜約50,000の範囲に及ぶ。そのようなアルコキシル化ポリカルボキシレートは、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥ウェブ材料基準で約0.05重量%〜約10重量%を占めることができる。
【0274】
xxiii.両親媒性グラフトコポリマー
フィラメントは1つ以上の両親媒性グラフトコポリマーを含み得る。好適な両親媒性グラフトコポリマーの例には、(i)ポリエチレン(polyethyelene)グリコール主鎖;並びに(ii)ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのペンダント部分が含まれる。市販の両親媒性グラフトコポリマーの非限定例には、Sokalan HP22(供給元:BASF)がある。
【0275】
xxiv.溶解補助剤
場合により形成し得る不溶性界面活性剤凝集物若しくは低可溶性界面活性剤凝集物の形成を抑制する目的でフィラメントが40%超(more the 40%)の界面活性剤を含有する場合、又は界面活性剤組成物を冷水中で用いる場合、フィラメントは、溶解を促進するために溶解補助剤を組み込んでもよい。溶解補助剤の非限定例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムが挙げられる。
【0276】
xxv.緩衝系
フィラメントは、例えば衣料又は食器の洗浄などの水洗作業で使用している間、洗浄水のpHが約5.0〜約12、及び/又は約7.0〜10.5になるように調合され得る。食器洗浄作業の場合、水のpHは典型的に約6.8〜約9.0である。衣料の洗濯の場合、水のpHは典型的に7〜11である。推奨される使用濃度にてpHを調節するための技術としては、緩衝液、アルカリ、酸などの使用が挙げられ、これらは当業者に周知である。これらには、炭酸ナトリウム、クエン酸若しくはクエン酸ナトリウム、モノエタノールアミン若しくは他のアミン、ホウ酸、又はホウ酸塩、及び当該技術分野において周知の他のpH調整化合物の使用が包含される。
【0277】
「低pH」洗剤組成物として有用なフィラメントを含めてもよく、それらのフィラメントは界面活性剤系に特に好適であり、8.5未満、及び/又は8.0未満、及び/又は7.0未満、及び/又は7.0未満、及び/又は5.5未満、及び/又は約5.0までの使用時pH値を提供し得る。
【0278】
動的洗浄時(Dynamic inwash)pHプロファイルのフィラメントを含むことができる。このようなフィラメントには、例えば(i)水と接触した3分後に洗浄液のpHが10を超え、(ii)水と接触した10分後に洗浄液のpHが9.5未満になり、(iii)水と接触した20分後に洗浄液のpHが9.0未満になり、(iv)任意選択的に、洗浄液のpH平衡が約7.0〜8.5の範囲となるように、他のpH制御剤と併せてワックスで被覆されたクエン酸粒子を使用してもよい。
【0279】
xxvi.熱形成剤
フィラメントは熱形成剤を含有してもよい。熱形成剤は、水及び/若しくは酸素(例えば、空気中の酸素など)の存在下で熱を生成し、これにより、水及び/若しくは酸素の存在下で繊維性構造体が分解する速度を加速し、並びに/又はフィラメント内の1種以上の活性物質の効力を高めるように配合される。熱形成剤は、これに加えて又は代替的に、繊維性構造体から1種以上の活性物質が放出する速度を加速させる目的で使用され得る。熱形成剤は、酸素(例えば、空気中の酸素、水中の酸素など)及び/又は水に曝露された際に発熱反応が起こるように配合される。多くの異なる材料及び材料の組み合わせを熱形成剤として使用できる。繊維性構造体で使用することができる非限定的な熱形成剤としては、電解質塩(例えば、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化第二銅、塩化第一銅、硫酸第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなど)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、石灰(例えば、生石灰、消石灰など)、金属(例えば、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガンなど)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄など)、ポリアルキレンアミン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ゼオライト、ガイセリン(gycerin)、1,3,プロパンジオール、ポリソルベートエステル類(例えば、Tween 20、60、85、80)、及び/又はポリグリセロールエステル類(例えば、Stepan製のNoobe、Drewpol及びDrewmulze)が挙げられる。熱形成剤は、1つ以上の材料から形成され得る。例えば、硫酸マグネシウムは、熱起泡剤を単独で形成し得る。別の非限定例においては、約2〜25重量%の活性炭、約30〜70重量%の鉄粉末、及び約1〜10重量%の金属塩を混合することによって熱形成剤が形成され得る。理解され得るように、他の又は追加の材料を、単独で使用してもよいし、又は熱形成剤を形成する他の材料と組み合わせて使用してもよい。繊維性構造体に使用される熱形成剤を形成する目的で使用できる材料の非限定例は、米国特許第5,674,270号及び同第6,020,040号、並びに米国特許出願公開第2008/0132438号及び同第2011/0301070号に開示されている。
【0280】
xxvii.分解促進剤
フィラメントは、水及び/又は酸素の存在下で繊維性構造体が分解する速度を加速する目的に用いられる分解促進剤を含むことができる。分解促進剤(使用された場合)は一般に、水及び/又は酸素に曝露された際にガスを放出させて繊維性構造体の周囲の領域を攪拌することによって繊維性構造体のキャリアフィルムの分解を加速させるように設計される。分解促進剤(用いられる場合)は、これに加えて又は代替え的に、繊維性構造体からの1種以上の活性物質の放出速度を加速させるために用いることができるが、必ずしも使用する必要はない。分解促進剤(用いられる場合)は、これに加えて又は代替え的に、繊維性構造体内の1種以上の活性物質の有効性を高めるために用いることができるが、必ずしも使用する必要はない。分解促進剤には、限定はされないが、アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属の炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、炭酸アンモニウムなどのうちの1つ以上の材料が包含され得る。水溶性ストリップは、任意選択的に、繊維性構造体内の1種以上の分解促進剤を活性化するか、又は分解促進剤の活性化速度を増加させるため用いられる1種以上の活性化剤を含み得る。理解され得るように、分解促進剤が繊維性構造体に存在しない場合であっても1種以上の活性化剤を繊維性構造体内に含めてもよいが、必ずしも使用する必要はない。例えば、活性化剤は酸性又は塩基性化合物を含むことが可能であり、分解促進剤が繊維性構造体内に含まれるとき又は含まれないときに、そのような酸性又は塩基性化合物を繊維性構造体内の1種以上の活性物質に対する補助剤として使用できる。繊維性構造体内に含めることの可能な活性化剤(用いられる場合)の非限定例としては、有機酸(例えば、ヒドロキシ−カルボン酸[クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸など]、飽和脂肪族カルボン酸[酢酸、コハク酸など]、不飽和脂肪族カルボン酸[例えば、フマル酸など]が挙げられる。繊維性構造体内に用いられる分解促進剤及び活性化剤を形成するのに使用できる材料の非限定例は、米国特許出願公開第2011/0301070号に開示されている。
【0281】
III.活性剤の放出
フィラメントが誘発条件に曝露されると、フィラメントから1つ以上の活性剤が放出され得る。一実施例においては、フィラメント又はフィラメントの一部がその自己同一性を失った場合に、換言すれば、その物理的構造が失われた場合に、フィラメント又はフィラメントの一部から1つ以上の活性剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が溶解、融解、又はフィラメント構造が失われるような他の何らかの転換過程を経たときに、フィラメントの物理的構造が失われる。一実施例においては、フィラメントの形態が変化したときに、フィラメントから1つ以上の活性剤が放出される。
【0282】
別の実施例においては、フィラメント又はフィラメントの一部の自己同一性が変わったときに、換言すれば、物理的構造を失うのではなく物理的構造を変えたときに、フィラメント又はフィラメントの一部から1つ以上の活性剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が膨張、収縮、延長及び/又は短縮されながらも、そのフィラメント形成特性が保持されているときに、フィラメントの物理的構造が変わる。
【0283】
別の実施例では、1つ以上の活性剤は、そのフィラメントの形態を変えることなく(その物理的構造を失わせることなく、又はこれを変えることなく)、フィラメントから放出され得る。
【0284】
一実施例において、フィラメントは、例えば、フィラメントに上述のようなその同一性を失わせるか又は変えさせるなどして活性剤の放出をもたらす誘因条件にフィラメントが曝されると、活性剤を放出し得る。誘発条件の非限定例としては、フィラメントを溶媒、極性溶媒(例えばアルコール及び/若しくは水)及び/又は非極性溶媒に曝露させること(これは、フィラメント形成材料が極性溶媒可溶性材料及び/又は非極性溶媒可溶性材料を含むかどうかに応じて逐次的であり得る)、フィラメントを熱、例えば24℃(75°F)超、及び/又38℃(100°F)超、及び/又は66℃(150°F)超、及び/又は93℃(200°F)超、及び/又は100℃(212°F)超の温度に曝露させること、フィラメントを低温、例えば4℃(40°F)未満、及び/又は0℃(32°F)未満、及び/又は−18℃(0°F)未満の温度に曝露させること、フィラメントを力(例えば、フィラメントを使用する消費者によって加えられる伸縮力)に曝露させること、及び/若しくはフィラメントを化学反応に曝露させること、フィラメントを相変化を生ずる条件に曝露させること、フィラメントをpH変化及び/若しくは圧力変化並びに/又は温度変化に曝露させること、フィラメントを1つ以上の化学物質に曝露させることによってその1つ以上の活性剤を放出させること、フィラメントを超音波に曝露させること、フィラメントを光及び/若しくは特定の波長に曝露させること、フィラメントを異なるイオン強度に曝露させること、並びに/又はフィラメントを別のフィラメントから放出された活性剤に曝露させることが挙げられる。
【0285】
一実施例では、フィラメントを含む不織布ウェブが、布地物品上の染みを不織布ウェブで前処理する工程、不織布ウェブを水と接触させて洗浄溶液を形成する工程、乾燥機内で、不織布ウェブを回転させる工程、乾燥機内で、不織布ウェブを加熱する工程、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される誘発工程を経たときに、フィラメントから1つ以上の活性剤が放出され得る。
【0286】
IV.フィラメント形成組成物
フィラメントはフィラメント形成組成物から作製される。フィラメント形成組成物は極性溶媒を主成分とする組成物であり得る。一実施例において、フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料と1つ以上の活性剤とを含んでなる水性組成物であり得る。
【0287】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物からフィラメントを製造するとき、約50℃〜約100℃、及び/又は約65℃〜約95℃、及び/又は約70℃〜約90℃の温度で処理されてもよい。
【0288】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、少なくとも20重量%、及び/又は少なくとも30重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%から約90重量%まで、及び/又は約85重量%まで、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約75重量%までの1つ以上のフィラメント形成材料、1つ以上の活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。フィラメント形成組成物は、水などの極性溶媒を約10重量%〜約80重量%含み得る。
【0289】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物がヒドロキシルポリマー繊維に有効にポリマー加工され得るように、少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも5のキャピラリ数を示してもよい。
【0290】
キャピラリ数は、この液滴が崩壊する尤度を特徴付けるのに用いられる無次元数である。キャピラリ数が大きいほど、ダイを出る際の流体安定性が大きいこと示す。キャピラリ数は、以下のように定義される。
【0291】
【数1】
Vは、ダイ出口での流体粘度であり(時間当たりの長さの単位)、
ηは、ダイの条件での流体粘度(長さ当たりの質量の単位×時間)であり、
σは、流体の表面張力(時間
2当たりの質量の単位)である。速度、粘度、及び表面張力は一連の一貫した単位で表され、結果として得られるキャピラリ数は独自の単位を有さず、個々の単位が相殺される。
【0292】
キャピラリ数はダイ出口での条件に対して定義される。流体速度はダイ開口部を通過する流体の平均速度である。平均速度は、以下のように定義される。
【0293】
【数2】
Vol’=体積流量(時間当たりの長さ
3の単位)
面積=ダイ出口の断面積(長さ
2の単位)である。
【0294】
ダイ開口部が円形の穴である場合、流体速度は以下のように定義することができる。
【0295】
【数3】
Rは円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0296】
流体粘度は温度に依存し、また、剪断速度に依存する場合がある。ずり減粘流体の定義には、剪断速度に対する依存関係が包含される。表面張力は、流体の構造及び流体の温度に依存する。
【0297】
繊維紡糸工程において、フィラメントは、ダイから出る際、初期安定性を有する必要がある。この初期安定性基準を特徴付けるためにキャピラリ数が用いられる。ダイの条件において、キャピラリ数は1を超える、及び/又は4を超える必要がある。
【0298】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、少なくとも1から約50までの、及び/又は少なくとも3から約50までの、及び/又は少なくとも5から約30までのキャピラリ数を示す。
【0299】
一実施例において、フィラメント形成組成物は、1種以上の剥離剤及び/又は潤滑剤を含み得る。好適な剥離剤及び/又は潤滑剤の非限定例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、及び脂肪酸アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0300】
一実施例において、フィラメント形成組成物は1種以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定例としては、デンプン、改質デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及びマイカが挙げられる。
【0301】
活性剤は、フィラメントの形成前及び/若しくはフィラメントの形成中にフィラメント形成組成物に添加されてもよく、並びに/又はフィラメントの形成後にフィラメントに添加されてもよい。例えば、香料活性剤は、フィラメント及び/又は不織布ウェブの形成後に、フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブに塗布することができる。別の実施例において、酵素活性剤は、フィラメント及び/又は不織布ウェブの形成後に、フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブに塗布することができる。更に別の実施例において、1つ以上の粒子活性剤、例えば、フィラメント作製のための紡糸工程を経るのに適さない可能性のあるサリチル酸ビスマスなどの1つ以上の摂取可能な活性剤は、フィラメント及び/又は不織布ウェブの形成後に、フィラメント及び/又はフィラメントを含んでなる不織布ウェブに塗布することができる。
【0302】
V.フィラメントの作製方法
フィラメントは、任意の好適なプロセスで作製され得る。フィラメントを作製するための好適なプロセスの非限定例を以下に記載する。
【0303】
一実施例において、フィラメント作製方法は、a:1つ以上のフィラメント形成材料と、1つ以上の活性剤と、を含むフィラメント形成組成物を提供する工程と、b:フィラメント形成組成物を、1つ以上のフィラメント形成材料と、目的とする使用の条件に曝露された際などにフィラメントから放出可能な1つ以上の活性剤と、を含む1つ以上のフィラメントに紡糸する工程と、を含み、ここで、フィラメント内に存在する1つ以上のフィラメント形成材料の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で65重量%未満及び/又は50重量%以下であり、フィラメント内に存在する1つ以上の活性剤の合計濃度は、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準で35重量%超及び/又は50重量%以上である。
【0304】
一実施例では、紡糸工程中に、フィラメント形成時の乾燥などによって、フィラメント形成組成物内に存在する水などの任意の揮発性溶媒が除去される。一実施例では、30重量%超、及び/又は40重量%超、及び/又は50重量%超のフィラメント形成組成物の揮発性溶媒(例えば水)は、紡糸工程中に、例えば製造されるフィラメントを乾燥させることによって除去される。
【0305】
フィラメント形成組成物から作製されるフィラメントが、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準でフィラメント中に約5重量%から50重量%以下の合計濃度のフィラメント形成組成物と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準でフィラメント中に50重量%から約95重量%までの合計濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な合計濃度のフィラメント形成組成物と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよい。
【0306】
一実施例では、フィラメント形成組成物から作製されるフィラメントが、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準でフィラメント中に約5重量%から50重量%以下の合計濃度のフィラメント形成組成物と、乾燥フィラメント基準及び/又は乾燥洗剤製品基準でフィラメント中に50重量%から約95重量%までの合計濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な合計濃度のフィラメント形成組成物と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよく、ここで、添加剤に対するフィラメント形成材料の重量比は1以下である。
【0307】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から約50重量%、及び/又は約40重量%までの、及び/又は約30重量%までの、及び/又は約20重量%のフィラメント形成材料と、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から約50重量%までの、及び/又は約40重量%までの、及び/又は約30重量%までの、及び/又は約20重量%までの活性剤と、フィラメント形成組成物の約20重量%から、及び/又は約25重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は約40重量%から、及び/又は約80重量%までの、及び/又は約70重量%までの、及び/又は約60重量%までの、及び/又は約50重量%までの揮発性溶媒(例えば水)を含む。フィラメント形成組成物は、少量の他の活性剤、例えば、フィラメント形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の可塑剤、pH調整剤、並びにその他の活性剤を含有していてもよい。
【0308】
フィラメント形成組成物は、任意の好適な紡糸工程、例えば、メルトブローイング、及び/又はスパンボンディングによって1つ以上のフィラメントに紡糸される。一実施例において、フィラメント形成組成物は、メルトブローイングによって複数のフィラメントに紡糸される。例えば、フィラメント形成組成物は、押出成形機からメルトブローン紡糸口金にポンプ移送され得る。フィラメント形成組成物を紡糸口金内の1つ以上のフィラメント形成穴の1つ以上から出して直ぐに空気で減衰させることで、1つ以上のフィラメントが生成される。その後、フィラメントを乾燥させ、紡糸に使用された水などの残留溶媒を全て除去する。
【0309】
フィラメントを成形部材、例えば、パターン付きベルト上に収集することによって、繊維性構造体が形成され得る。
【0310】
VI.洗剤製品
1つ以上の活性剤を含む洗剤製品は、1つ以上の活性剤を含む既知の洗剤製品と比較して、新規な特性、特徴及び/又はこれらの組み合わせを呈し得る。
【0311】
A.繊維性構造体
一実施例において、洗剤製品は、繊維性構造体、例えばウェブを含み得る。当該技術分野において周知の任意の好適なプロセスを介して、1つ以上の、及び/又は複数のフィラメントによって繊維性構造体が形成され得る。繊維性構造体を用いて、繊維性構造体がフィラメント及び/又は繊維性構造体の目的とする使用の条件に曝露された際にフィラメントから活性剤を送達することができる。
【0312】
繊維性構造体は固体形態あり得るが、フィラメントの作製に使用されるフィラメント形成組成物は液体の形態であってもよい。
【0313】
一実施例において、繊維性構造体は、組成上の観点から同一又は実質的に同一の複数のフィラメントを含み得る。別の実施例において、繊維性構造体は2つ以上の異なるフィラメントを含み得る。フィラメントにおける差異の非限定例としては、物理的な差異、例えば、直径、長さ、質感、形状、堅さ、弾性などにおける差異;化学的な差異、例えば、架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色彩、活性剤の濃度、フィラメント形成材料の濃度、フィラメント上の任意のコーティングの存在、生分解性か否か、撥水性か否か、接触角、及びこれらに類するもの;フィラメントが目的とする使用の条件に曝露された際にフィラメントがその物理的構造を失うかどうかの差異;フィラメントが目的とする使用の条件に曝露された際にフィラメントの形態が変化するかどうかの差異;並びにフィラメントが目的とする使用の条件に曝露された際にフィラメントがその1つ以上の活性剤を放出する速度の差異であり得る。一実施例において、繊維性構造体内部の2つ以上のフィラメントは、同じフィラメント形成材料を含むが、異なる活性剤を有し得る。これは、異なる活性剤、例えば、アニオン性界面活性剤(シャンプー活性剤など)及びカチオン性界面活性剤(ヘアコンディショナー活性剤など)が互いに適合性有さない可能性のある場合であり得る。
【0314】
別の実施例において、繊維性構造体は、繊維性構造体を形成するフィラメントの繊維性構造体のz方向に、2つ以上の異なる層を含み得る。層内のフィラメントは、別の層のフィラメントと同じ場合もあれば又は異なる場合もある。各層は同一であるか若しくは実質的に同一であるか又は異なる複数のフィラメントを含み得る。例えば、繊維性構造体内の他のフィラメントよりも高速に活性剤を放出し得るフィラメントは、繊維性構造体の外表面に位置決めされ得る。
【0315】
別の実施例において、繊維性構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又はキャリパー(caliper)が異なる領域を呈し得る。更に別の実施例において、繊維性構造体は、その1つ以上の表面上にテクスチャを含み得る。繊維性構造体の表面は、パターン、例えば、非ランダムな繰り返しパターンを含み得る。繊維性構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されていてもよい。別の実施例において、繊維性構造体は開口部を含み得る。開口部は非ランダムな繰り返しパターンにて配され得る。
【0316】
一実施例において、繊維性構造体は、繊維性構造体の他の部分とは異なるフィラメントの離散領域を含み得る。
【0317】
繊維性構造体の非限定例としては、洗濯物乾燥機用の基材、洗濯機用の基材、洗い布、硬質表面洗浄及び/又は研磨用の基材、床掃除及び/又は研磨用の基材、バッテリー内の構成要素として、乳児用ワイプ、成人用ワイプ、婦人衛生用ワイプ、トイレットペーパーワイプ、窓掃除用の基材、油封じ込め及び/又は掃除用の基材、防虫用の基材、スイミングプール用の化学基材、食品、口臭予防剤、防臭剤、ごみ処理バック、梱包フィルム及び/又はラップ、創傷被覆材、医薬品送達、建物用断熱材、作物及び/又は植物カバー及び/又は苗床、接着剤基材、スキンケア基材、ヘアケア基材、空気ケア剤、水処理用の基材及び/又はフィルタ、便器掃除用の基材、キャンディ基材、ペットフード、家畜用敷料、歯の白色化基材、カーペット掃除用の基材、並びに活性剤の他の好適な使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0318】
繊維性構造体は、そのままで使用してもよいし、又は1つ以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0319】
別の実施例においては、繊維性構造体は、例えば繊維性構造体をフィルムに転化するための圧縮力及び/又は熱を繊維性構造体に適用することによって、圧縮してフィルムにされてもよい。フィルムは、フィラメント内に存在する活性剤を含むことになる。繊維性構造体を完全にフィルムに転化してもよいし、又は繊維性構造体を部分的にフィルムに転化した後で繊維性構造体の一部をフィルム内に残留させてもよい。活性剤が使用され得る任意の好適な目的のためにフィルムを使用することができ、この目的には、繊維性構造体に関して例示された用途が包含されるが、これに限定されるものではない。
【0320】
B.洗剤製品の使用方法
布地物品を処理する方法において、1種以上の布地ケア活性剤を含む不織布ウェブ又はフィルムを利用できる。布地物品を処理する方法は、(a)布地物品を洗浄する前に、布地物品を前処理する工程と、(b)不織布ウェブ又はフィルムを水に接触させて形成された洗浄溶液に、布地物品を接触させる工程と、(c)乾燥機内で、布地物品を不織布ウェブ又はフィルムに接触させる工程と、(d)乾燥機内で、不織布ウェブ又はフィルムの存在下で布地物品を乾燥させる工程と、(e)これらの組み合わせと、からなる群から選択される1つ以上の工程を含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、本方法に、処理対象の布地物品に接触させる前に、不織布ウェブ又はフィルムを予め湿らせる工程を更に含めてもよい。例えば、不織布ウェブ又はフィルムを予め水で湿らせた後、前処理の必要な染みを含む布地の一部に付着させることができる。あるいは、布地を湿らせてから、不織布ウェブ又はフィルムを布地の上に配置するか又は布地に付着させてもよい。いくつかの実施形態において、本方法には、布地物品の処理に用いられる不織布ウェブ又はフィルムの一部のみを選択する工程を更に含めてもよい。例えば、処理対象の布地ケア物品が1つのみであれば、不織布ウェブ又はフィルムの一部を切断して、及び/又は引き裂いて、布地の上に配置するか、若しくは布地に付着させるか、又は水に入れて、比較的少量の洗浄液を形成し、続いてこの洗浄液を用いて布地を前処理できる。このようにして、ユーザーは考慮中の作業に従って布地を処理する方法をカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態において、デバイスを使用して、少なくとも不織布ウェブ又はフィルムの一部を処理対象の布地に適用することができる。例示的なデバイスとしては、限定はされないが、ブラシ及びスポンジが挙げられる。上記の工程うちのいずれか1つ以上を繰り返すことによって、所望される布地処理の利益を達成し得る。
【0322】
VII.繊維性構造体の作製方法
本明細書に記載されている本発明の実施例1〜8を形成する際に用いられた方法は下掲の通りである。繊維性構造体を、小縮尺の装置で形成した。その概略図を
図7に示す。回分操作に適した加圧タンクは、紡糸に好適な材料で充填された。使用されたポンプは、Parker Hannifin Corporation,Zenith Pumps division,of Sanford,N.C.,USA製のZenith(登録商標)で、5.0立方センチメートル/回転(cc/rev)の容量を有するPEP IIという型式のものであった。ダイへの材料の流れは、ポンプの毎分回転数(rpm)を調整することによって制御された。タンク、ポンプ及びダイはパイプを介して連結された。
【0323】
図8のダイは、ピッチP(
図8)約1.524ミリメートル(約0.060インチ)にて相互に間隔を置いて配置される数列の円形押出ノズルを有した。このノズルは、個々の内径が約0.305ミリメートル(約0.012インチ)で、個々の外径が約0.813ミリメートル(約0.032インチ)であった。各個別のノズルは環状の及び分岐して張り出したオリフィスで囲繞されており、個々の溶融キャピラリに減衰空気が供給されるようになっていた。ノズルを通って押し出された材料は、オリフィスを通して供給された略円筒形の湿った空気流に包囲されて減衰された。
【0324】
細径化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒーター、例えば、Chromalox,Division of Emerson Electric(Pittsburgh,Pa.,USA)製のヒーターによって加熱することにより供給され得る。適切量の蒸気を、電気的に加熱されたサーモスタット制御式送達パイプ内の条件にて、加熱空気を飽和又はほとんど飽和するために加えた。復水は、電気的に加熱されたサーモスタット制御式セパレータで除去された。
【0325】
電気抵抗ヒーター(不図示)を介して、温度が約149℃(約300°F)〜約315℃(約600°F)の乾燥用空気流で初期段階の繊維(embryonic fibers)を乾燥させた。この乾燥用空気流は、乾燥用ノズルを通して供給され、押し出し対象の初期段階の非熱可塑性繊維の一般方向に対して約90度の角度で放出された。乾燥した初期段階の繊維を、例えば可動の有孔ベルト又は成形部材などの収集デバイス上に収集した。繊維を収集する助けになるように、形成ゾーンの直下で更に別の真空源を使用してもよい。
【0326】
下掲の表1に、洗濯用洗剤として用いるのに好適なフィラメント及び/又は繊維性構造体を製造するためのフィラメント形成組成物の例を記載する。この混合物は作製されてから、
図8の加圧タンク内に入れられた。
【0327】
【表3】
1 Celvol 523、Celanese/Sekisui、分子量85,000〜124,000、87〜89%加水分解
【0328】
先に述べた通り、初期段階の乾燥フィラメントは成形部材上に収集され得る。成形部材を構築すると、その固有の構造によって空気透過性の区域が提供される。成形部材の構築に使用されるフィラメントは非透過性であるが、フィラメント間のボイド区域は透過性である。加えて、パターンを成形部材に適用することによって、本質的に連続、不連続、又は半連続であり得る付加的な非透過性領域を提供できる。繊維を提示されたパターンの中に偏向させるのを支援するために、付着の時点で用いられた真空を用いる。これらの成形部材の一例を
図9に示す。
【0329】
ベースの紡糸条件は、収集用成形部材上に収集される繊維ウェブを用いて達成された。これらをダイの下に通過させ、真空後に試料を収集した。このプロセスを繰り返して、設計の異なる8つの成形部材で試料を収集した。成形部材の代表的な画像、及び結果として得られる繊維性構造体を、
図10(例えば、本明細書に記載の本発明の実施例1〜8)に示す。続いて、これらの繊維性構造体を更に処理してもよい。
【0330】
繊維性構造体の形成工程については、米国特許第4,637,859号に更に記載されている。
【0331】
繊維性構造体の内部に異なる特性(例えば、平均密度)を有する領域を形成する際は、本明細書に記載の技術に加えて他の技術を適用することによって、好適な結果が得られる可能性がある。そのような例の1つとして、こうした領域を形成するためのエンボス技術が挙げられる。好適なエンボス加工技術は、米国特許出願公開第2010/0297377号、同第2010/0295213号、同第2010/0295206号、同第2010/0028621号、及び同第2006/0278355号に記載されている。
【0332】
試験方法
特に指定がない限り、定義の節で記載されたものを含む本明細書に記載の全ての試験及び次の試験方法は、試験に先立つ最低2時間にわたって、約23℃±1℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調湿された試料に対して実施される。全ての試験を同じ環境条件の下で実施する。皺、亀裂、穴などの欠陥を有する試料は試験対象外とする。目的に合わせて本明細書に記載されている条件に調節された試料は、乾燥試料(「乾燥フィラメント」など)と見なされる。更に、そのような条件に調節された室内で全ての試験を実施した。
【0333】
坪量試験方法
解像度±0.001gの上皿式分析用秤を使用して、12個の使用可能なユニットのスタック上で、不織布構造体及び/又は溶解型繊維性構造体の坪量を測定する。風防を使用して気流及びその他の外乱から秤を防護する。寸法8.89cm±0.0089cm(3.500in±0.0035in)×8.89cm±0.0089cm(3.500in±0.0035in)の精密切断ダイを使用して、全ての試料を調製する。
【0334】
精密切断ダイを使用して、試料を正方形に切断する。切断された正方形を結合して、試料12個分の厚みのスタックを形成する。試料スタックの質量を測定し、その結果を0.001g単位で記録する。
【0335】
次式のようにして、坪量をlbs/3000ft
2又はg/m
2単位で計算する。
坪量=(スタックの質量)÷[(スタック内の1個の正方形の面積)×(スタック内の正方形の個数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft
2)=[[スタックの質量(g)/453.6(g/lbs)]÷[12.25(in
2)÷144(in
2/ft
2)×12]]×3000
又は
坪量(g/m
2)=スタックの質量(g)÷[79.032(cm
2)÷10,000(cm
2/m
2)×12]
結果を0.1lbs/3000ft
2又は0.1g/m
2単位で報告する。試料寸法は、上記したものと類似の精密カッターを使用して、スタック内の試料面積が少なくとも645.2平方センチメートル(100平方インチ)となるように変更又は修正できる。
【0336】
含水量試験方法
フィラメント、及び/若しくは繊維、並びに/又は不織布ウェブ内に存在する含水量(含湿量)は、以下の含水量試験方法を使用して測定される。
【0337】
フィラメント及び/又は不織布若しくはその一部(「試料」)を予め切断されたシートの形態で、試験前の少なくとも24時間にわたって温度23℃±1℃、相対湿度50%±2%の条件に調節された室内に置く。各試料は面積が少なくとも25.8平方センチメートル(4平方インチ)で、秤の計量皿に程よく収まる十分に小さいサイズであった。上述の温度及び湿度条件下にて、小数部分の桁数が少なくとも4桁の秤を使用して5分ごとに試料重量を記録し、前の重量の0.5%未満の変化が10分の間に検出されたら試料重量の記録を止める。最終重量を「平衡重量」として記録する。10分以内に試料を箔に載せて強制換気オーブンに入れ、70℃±2℃、相対湿度4%±2%にて24時間乾燥させた。24時間乾燥させた後、試料を取り出し、15秒以内に秤量する。この重量を、試料の「乾燥重量」と呼ぶ。
【0338】
試料の含水量(含湿量)は以下のように算出される:
【0339】
【数4】
3つの複製について試料中の含水量(含湿量)%を平均し、試料中の含水量(含湿量)%を報告し、その結果を0.1%単位で報告する。
【0340】
溶解試験方法
装置及び材料(
図11及び12も参照のこと):
600mLのビーカー240
磁気撹拌器250(Labline Model No.1250又は同等物)
磁気撹拌棒260(5cm)
温度計(1〜100℃+/−1℃)
切断ダイ:寸法3.8cm×3.2cmのステンレススチール製切断ダイ
タイマー(0〜3,600秒(1時間))、秒単位まで正確。試料が、3,600秒を超える溶解時間を呈する場合、使用されたタイマーは十分な総時間の測定範囲を有さなければならないが、タイマーは秒単位の精度のものである必要がある。
Polaroid 35mmスライド台270(Polaroid Corporationから市販されているもの又は同等物)
35mmスライド台ホルダー280(又は同等物)
以下の特性を有するCincinnati市水道水又はその同等物、CaCO
3として総硬度=155mg/L;カルシウム含有量=33.2mg/L、マグネシウム含有量=17.5mg/L、リン酸塩含有量=0.0462
【0341】
試験プロトコル
23℃±1℃及び50%RH±2%の一定温度及び湿度環境で、少なくとも2時間にわたり試料を平衡化する。
【0342】
本明細書中に定義された坪量方法を用いて、試料材料の坪量を測定する。
【0343】
切断ダイ(3.8cm×3.2cm)を使用して、穴面積寸法24×36mmを有する35mmスライド台270内に収まるように、不織布構造試料から3つの溶解試験試験片を切断する。
【0344】
各試料を別個の35mmスライド台270に固定する。
【0345】
磁気撹拌棒260を600mLのビーカー240に入れる。
【0346】
同市水道水流(又は同等物)の給水栓を開き、温度計で水温を測定する。必要に応じて、熱水又は冷水を試験温度に維持されるように調整する。試験温度は15℃±1℃水である。一旦試験温度に達した後、ビーカー240を15℃±1℃の同市水道水500mL±5mLで充填する。
【0347】
ビーカー240全体を磁気撹拌機250上に置き、撹拌機250の電源をオンにして、ボルテックスが生じかつボルテックスの下部がビーカー240上の400mLの標線に達するまで、撹拌速度を調整する。
【0348】
スライド台270の長い端部271が水面と平行になるように、35mmスライド台270を35mmスライド台ホルダー280の鰐口クランプ281で固定させる。鰐口クランプ281を、スライド台270の長い端部271の中央に位置させる必要がある。ホルダー280の奥行きアジャスタ285は、奥行きアジャスタ285の底部と鰐口クリップ281の底部との間の距離が約11+/−0.318センチメートル(約11+/−0.125インチ)になるように設定する必要がある。この設定によって、試料表面が水の流れに対して垂直に位置決めされる。35mmスライド台及びスライド台ホルダーの構成に若干の修正を加えた例は、米国特許第6,787,512号の
図1〜3に図示されている。
【0349】
固定されたスライド及びクランプを1回の動作で水中に落下させて、タイマーを始動させる。試料をビーカーの中央に位置するように落下させる。不織布の構造が壊れたら崩壊が起こったということである。これを崩壊時間として記録する。可視不織布構造の全てがスライド台から剥離されたら、スライドを水から引き上げ、同時に未溶解の不織布構造断片の溶解を引き続きモニターする。不織布構造断片全てが見えなくなったら溶解が起こったということである。これを溶解時間として記録する。
【0350】
各試料の3個の複製品に実施し、平均崩壊時間及び溶解時間を記録する。平均崩壊時間及び溶解時間は、秒単位である。
【0351】
平均崩壊時間及び溶解時間を、本明細書に記載の坪量法で求められた試料の坪量でそれぞれ除算して、坪量に対して正規化する。坪量に対して正規化された平均崩壊時間及び溶解時間は、秒/試料のgsm(s/(g/m
2))の単位で表される。
【0352】
平均密度試験方法
繊維性構造体は、特徴的密度を有する網状組織領域及び複数の離散ゾーンを含み得る。そのような繊維性構造体の断面のSEM顕微鏡写真を
図13に示す。繊維性構造体の領域は、キャリパー(caliper)、即ち、厚さ(thickness)の異なるゾーンごとに顕微鏡写真で図示してある。このようにキャリパーに差異があることは、これらの繊維性構造体の性能特性が優れたものとなっている要因の1つである。
【0353】
キャリパーの大きい領域ほど構造密度が小さく、これらの領域は一般に「ピロー」と呼ばれる。キャリパーの小さい領域ほど構造密度が大きく、これらの領域は一般に「ナックル」と呼ばれる。
【0354】
まず、以前に使用されたことのない単一端PTFE処理済カミソリ刃、例えば、Ted Pella Inc.から入手可能なGEM(登録商標)カミソリ刃を使用して、少なくとも2〜3のナックル領域及びピロー領域の長さにわたって切断することによって、繊維性構造体内部の領域の密度を測定する。カミソリ刃1つにつき切断を1回のみ行う。各交叉切断された試料をSEM試料ホルダーに取り付け、カーボンペーストで固着させてから、プランジして液状窒素中で凍結する。試料を−90℃のSEM室に移送し、金/パラジウムで60秒間コーティングしてから、Altocryoシステム搭載Hitachi S−4700及びPCI(Passive Capture Imaging)ソフトウェアなどの市販のクリオシステム搭載SEM又は同等のSEMシステム、及び等価ソフトウェアを使用して分析する。全ての試料を走査型電子顕微鏡に置くと同時に、試料の元の寸法及び形状が確保されるよう真空下で凍結状態にて評価する。
【0355】
ピロー及びナックル厚、又は網状組織領域及び離散ゾーン厚は、SEM機器に関連する画像分析ソフトウェアを使用して定量される。測定値は試料の厚みであるため、この種の分析ソフトウェアは全てのSEM機器の標準となる。領域又はゾーンの厚さは、それぞれの極大値である地点にて測定される。少なくとも2つのそれぞれ別個の網状組織領域(又は離散ゾーン)の厚さ値を記録し、続いて、その平均を取り、網状組織領域の平均の厚さとして報告する。平均厚さはマイクロメートル単位で測定される。
【0356】
別途に、密度算出の目的で測定される試料の坪量を、本明細書に記載の坪量方法を使用して定量する。gsm(g/m
2)で測定される坪量を、坪量方法を用いて計算してから、領域密度の計算に使用する。
【0357】
以下は、坪量が100g/m
2、網状組織領域の平均厚さが625マイクロメートル、離散ゾーンの平均厚さが311マイクロメートルである試料について、平均網状組織密度及び平均離散ゾーン密度を計算する例である。
【0359】
直径試験方法
離散的フィラメント、又は不織布ウェブ若しくはフィルム内のフィラメントの直径を、走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用して定量する。フィラメントが測定用に適切に拡大されるように倍率200〜10,000倍を選択する。SEMを使用するときは、電子ビームにおけるフィラメントの電気的荷電及び振動が回避されるように、試料を金又はパラジウム化合物でスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡で撮った(モニター画面上の)画像に対して、フィラメント直径を定量するための手動手順を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択されたフィラメントの縁を捜し、続いて、その幅を横切るように(即ち、その地点にてフィラメント方向に対して垂直に)フィラメントの他の縁まで測定する。目盛りのある較正済の画像分析ツールを用い、実際の読み取り値をμm単位で求める。不織布ウェブ又はフィルム内のフィラメントについては、SEM又は光学顕微鏡を使用して不織布ウェブ又はフィルムの試料全体にわたっていくつかのフィラメントをランダムに選択する。不織布ウェブ又はフィルム(又は製品内部のウェブ)の少なくとも2つの部分を切断し、この様式で試験する。そのような測定を総計で少なくとも100回行い、次いで、統計分析用の全てのデータを記録する。記録済のデータを使用して、フィラメント直径の平均(中間値)、フィラメント直径の標準偏差、及びフィラメント直径の中央値を計算する。
【0360】
もう1つの有用な統計は、フィラメントにおいて或る上限を下回る母集団の量の計算である。この統計を決定するため、フィラメント直径に関する結果のうち上限未満であるものを計数し、その計数(データの合計数で除算して100%を掛けた値)が、例えば、直径1マイクロメートル未満のパーセント又はμm未満の%などの、上限値未満のパーセントとしてパーセント単位で報告されるように、ソフトウェアをプログラミングする。ここでは、個々の円形フィラメントの測定済の直径(単位:μm)をdiと表記する。
【0361】
フィラメントが非円形断面を有する場合、フィラメント直径の測定を水力直径として求め、水力直径に等しい値に設定する。この値は、フィラメントの断面積を4倍して、フィラメントの断面の周長(中空フィラメントの場合には外周)で除算した値である。数平均直径、あるいは平均直径は、次式のように計算される。
【0363】
引張試験方法:伸長度、引張り強度、TEA及び弾性率
測定された力がセルの限度の10%〜90%の範囲内に収まるロードセルを使用して、コンピュータインターフェースを有する一定速度の伸張引張試験機(好適な計器は、Thwing−Albert Instrument Co.Wet Berlin,NJ製のEJA Vantageである)で伸長度、引張り強度、TEA及び接線弾性率を測定する。可動部(上側)空気圧ジョー及び静止部(下側)空気圧ジョーの両方に、滑らかなステンレススチール製の、試験試験片の幅より広い、高さ25.4mmの対向グリップが取り付けられている。約0.41MPa(60psi)の空気圧力がジョーに供給される。
【0364】
不織布構造の8つの使用可能ユニット及び/又は溶解型繊維性構造体を、それぞれ4つの試料の2つのスタックに分割する。各スタック内の試料は、機械方向(MD)及び機械横方向(CD)に対して一貫して方向付けされる。スタックの1つをMDでの試験用に指定し、他方をCD用に指定する。2.54cm(1インチ)の精密カッター(Thwing Albert JDC−1−10又は類似物)を使用して、一方のスタックから4つのMDストリップを切断し、他方のスタックから2.54cm±0.025cm(1.00in±0.01in)幅、7.62〜10.2cm(3.0〜4.0in)長の寸法の、4つのCDストリップを切断する。1つの使用可能なユニット厚の各ストリップを、試験用の単一試験片として処理する。
【0365】
拡張試験が実施され、かつクロスヘッドが5.08cm/分(2.00のin/min)の速度で上昇し試験片が破壊されるまで20Hzの捕捉速度で力及び拡張データが収集されるように、引張試験機をプログラミングする。破壊感度は80%に設定しておく。つまり、測定された力が最大ピーク力の20%まで落ちたら試験を終了する。その後で、クロスヘッドが元の位置に返される。
【0366】
標点距離を2.54センチメートル(1.00インチ)に設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロに合わせる。少なくとも2.54cm(1.0in)の単一試験片を上側グリップに挿入し、それを上側及び下側ジョーの内部に垂直に整列配置して、上側グリップを閉じる。この単一試験片を下側グリップに挿入して閉じる。単一試験片を、一切の弛みが排除され但しロードセル上にかかる力が0.049N(5.0g)未満になるような、十分な引張力の下に置くべきである。引張試験機を始動させてデータの収集を開始する。4つのCD単一試験片及び4つのMD単一試験片の全てに対して同様に試験を繰り返す。
【0367】
構築済の力(g)対拡張(in)曲線から以下が計算されるようにソフトウェアをプログラミングする。
【0368】
引張り強度を最大ピーク力(g)を試料の幅(in)で除算して0.0039N/cm(1g/in)単位でg/inとして報告する。
【0369】
調整済の標点距離は、0.029N(3.0gの力(in))で測定された拡張を、元の標点距離(in)に加算した値として計算される。
【0370】
伸長度は、最大ピーク力(in)における拡張を調整済の標点距離(in)で除算し、100を掛けた値として計算され、0.1%単位で%として報告される。
【0371】
総エネルギー(TEA)は、力曲線下にある面積を、ゼロ拡張から最大ピーク力(g*in)における拡張まで積算して、調整済の標点距離(in)と試験片幅(in)との積で除算した値として計算され、0.39J/m
2(1g
*in/in
2)単位で報告される。
【0372】
力(g)対拡張(in)曲線を力(g)対歪み曲線として再プロットする。本明細書において歪みは、拡張(in)を調整済の標点距離(in)で除算した値として定義される。
【0373】
構築された力(g)対歪み曲線から以下が計算されるようにソフトウェアをプログラミングする。
【0374】
接線弾性率を、力(g)対歪み曲線上の2つのデータ点間に引かれた線形ラインの勾配として計算する。その際、使用された一方のデータ点は0.27N(28gの力)より後に記録された第1のデータ点であり、使用された他方のデータ点は0.47N(48gの力)より後に記録された第1のデータ点である。続いて、この勾配を試験片幅(2.54cm)で除算し、0.0098N/cm(1g/cm)単位で報告する。
【0375】
4つのCD単一試験片及び4つのMD単一試験片について引張り強度(g/in)、伸長度(%)、総エネルギー(g
*in/in
2)及び接線弾性率(g/cm)を計算する。各CD及びMD試験片について各パラメータの平均を別個に計算する。
【0376】
計算;
幾何平均引張=[MD引張り強度(g/in)×CD引張り強度(g/in)]の平方根
幾何平均ピーク伸長度=[MD伸長度(%)×CD伸長度(%)]の平方根
幾何平均TEA=[MD TEA(g
*in/in
2)×CD TEA(g
*in/in
2)]の平方根
幾何平均弾性率=[MD弾性率(g/cm)×CD弾性率(g/cm)]の平方根
総乾燥引張り強度(TDT)=MD引張り強度(g/in)+CD引張り強度(g/in)
総TEA=MD TEA(g
*in/in
2)+CD TEA(g
*in/in
2)
総弾性率=MD弾性率(g/cm)+CD弾性率(g/cm)
引張り率=MD引張り強度(g/in)÷CD引張り強度(g/in)
【0377】
密度差のある繊維性構造体のトポグラフィ測定値
密度差のある繊維性構造体のトポグラフィ測定値は、コンピュータ制御による縞投影光学プロフィロメトリで得られる。光学プロフィルメータ系では、試験表面の物理寸法を測定し、その結果として、x−y平面における表面高さ高度(surface height elevation)(z)対横方向の変位を示すマップが得られる。好適な光学プロフィルメータ計器は、捕捉済の画像が、測定対象となる最も幅狭の特徴部を線形に横切るように少なくとも10画素を備えるような視野及びx−y解像度を有する。好適な計器は、GFMessthechnik GmbH,Teltow,Germanyから入手可能なGFM Mikrocadシステムである。このシステムではODSCADソフトウェアバージョン4若しくは6、又は同等物が実行される。
【0378】
必要に応じて、表面特徴部を正確に測定するために試料が適切な反射性を有するようにするために、測定対象の表面に、極めて微細な白色粉体スプレーを軽く吹き付ける。好ましくは、このスプレーは、Helling GmbH,Heidgraben,Germanyから入手可能なNORD−TEST Developer U 89であり、金属物体及び溶接における亀裂検出のため販売されている。23℃±2℃、相対湿度50%±2%にて、そのようなスプレー塗布の直前の少なくとも2時間、及びスプレー後の少なくとも2時間、試料を平衡化する必要がある。薄い反射性白色コーティング形成するのに必要な最小限の量の白色スプレーのみが付着するよう配慮を要する。
【0379】
23℃±2℃、相対湿度50%±2%にて、測定値を捕捉する直前の少なくとも2時間にわたって平衡化する必要がある。
【0380】
繊維性構造体の測定対象区域を、異なる密度の領域を有する区域だけに制限し、存在し得る他の区域又はゾーンを除外する。表面積を測定する対象の試料を上向きにして、プロフィルメータの投射ヘッドの下に垂直に置く。計器メーカーの指示に従い、メーカーの概説している通りに、照明の最適化及び反射要件を達成する。続いて、デジタル画像を捕捉して保存する。
【0381】
測定対象区域の一部でない画像部分を全て、捕捉済の画像からトリミングする必要がある。そのようなトリミングは、更に何らかの画像処理、フィルタリング又は測定分析に先立って行う必要がある。結果としてのトリミング済画像の寸法は、その試料のパターン化領域の寸法に応じて、試料と画像とで異なる場合がある。
【0382】
測定の実施に先立って、画像内のノイズを軽く取り除くため、画像を計器ソフトウェアで処理して、試料の全体的形状に起因する微欠点又は表面うねりを低減する。このノイズフィルタリング処理は、無効な画素値(グレースケール範囲の濃さ限度にてグレー値を有する黒色画素)を除去する工程と、スパイク値又は外れ値ピーク(統計的外れ値としてソフトウェアによって識別される極めて明るい色の画素)を除去する工程と、を含む。その場合、多項式の高域濾波器は、n=8、差分の設定で利用される。極小の特徴部を有する試料についてパターン特徴部をはっきりと観測することが困難である場合は、フーリエフィルタ(例えば、5mmの濾波器、微細構造の結果)を適用することもまた有用であり得る。そのようなフーリエフィルタを使用する際には、フィルタ長より長い特徴部はノイズとして除去される。その結果、トポグラフィ測定値付近の統計標準偏差が低減され、ばらつき(variability)が減じられる。それ故、前記特徴部がフィルタ処理によって除外されることのないように、使用するフィルタの寸法は対象となるいずれの特徴部よりも大きい寸法であることが重要である。
図14に示すトポグラフィ画像などの処理済画像は表示、分析、及び測定が可能である。
図14をトリミングしてから、多項式フィルタ(n=8、差分)を用いてフィルタリングし、試料の全体的な表面うねりに起因する微欠点を除去した。
【0383】
続いて、処理済のトポグラフィ画像から測定を行い、高度差(E)及び遷移領域幅(T)の空間パラメータを生成する。これらの測定を達成するには、計器ソフトウェアを使用して、試料のx−y表面のトポグラフィ画像内に対象となる直線区域を描画した後、これらの直線に沿って高度プロファイルプロットを生成する。各画像内のいくつかの様々な場所の試料が採取されるよう、隣接する離散ゾーンの連続した区域及び中心を横切って対象となる直線区域を描画する。
図15に示すように、連続したゾーン及び離散ゾーンの間に、各遷移領域を二分するような線を、遷移領域の長軸と直角をなす角度で描画する。
図15に示すように、対象となる一連の直線は、各遷移領域を二分する連続した離散ゾーン全体にわたって、遷移領域の長軸と直角をなす角度で描画される。続いて、これら対象となる直線区域から生成された高度プロファイルプロットからパラメータ(E)及び(T)を測定する。
【0384】
高度プロファイルプロットにおいて、プロットのx軸は線の長さを表し、y軸は試料の平坦表面と直角をなす表面の立面図を表す。
図16に示す高度プロファイルプロット上で、高度差(E)は、ピークの頂点から隣接する凹部の最下位点までの垂直直線距離として、マイクロメートルで測定される。
図16に例示すように、高度プロファイルプロットには、トポグラフィ画像で描画された対象となる直線領域に沿って、いくつかの高度差(E)測定値が示してある。典型的に、これは、連続領域の表面と隣接した離散ゾーンとの間の、あるいはその逆に離散ゾーンと連続領域の表面との間の、最大垂直の高度差を表す。
図17に示す高度プロファイルプロット上で、遷移領域幅(T)は、高度差(E)の中央部60パーセントを横切る曲線のx軸幅として、マイクロメートルで測定される。
図17に示すように、高度プロファイルプロットには、トポグラフィ画像で描画された対象となる直線領域に沿って、いくつかの遷移領域の幅(T)が示してある。典型的に、これは、連続的な領域から隣接する離散ゾーンまでの、あるいはその逆に離散ゾーンから連続的な領域までの遷移率を表す。
【0385】
試料が離散ゾーンを有し、それらの離散ゾーンクラスが、全体的な形状、寸法、高度及び密度を視覚的に観察して判別された2つ以上の別々の種類に分類されると思われる場合、各離散ゾーンクラス及び隣接する連続領域の対合に対して(E)及び(T)の別個の値が求められる。
【0386】
試料が製品上の別々の場所に離散ゾーンの2つ以上のパターンを明らかに有すると思われる場合、各パターンは他のパターン(1つ又は複数)とは別個に判別された(E)及び(T)という値を有さなければならない。
【0387】
試料が第1の領域及び隣接する第2の領域を有し、第1及び第2の領域の表面高度が目で見て明らかに異なると思われる場合、製品はこれらの領域から測定された(E)及び(T)の値を有さなければならない。この場合、本明細書に記載されている全ての方法指示に従い、この方法で指定された連続領域及び離散ゾーンの両方が第1及び第2の領域で置き換えなければならない。
【0388】
試験対象の各パターンに対して5つの複製製品試料を撮像し、各複製試料を基に、離散ゾーンの各クラスに対して少なくとも10通りの高度差(E)を測定し、離散ゾーンの各クラスに対して10通りの遷移領域幅(T)を測定する。これを、各試料の平坦表面ごとに繰り返す。(E)の最大値を有する平坦表面を基に、(E)及び(T)の値が報告される。特定のパターン及び離散ゾーンクラスについて計算されたパラメータごとに、5つの複製試料の総平均を取り、各パラメータの最終値を得る。
【実施例】
【0389】
本発明の実施例1〜8を以下に示す。例示されているように、網状組織領域及び離散ゾーンの平均厚さ及び平均密度は変動し得る。また、本発明の実施例2も示し、複数の領域を有する試料の例を挙げて、それらの領域ごとに平均厚さ及び平均密度を掲げてある。
【0390】
【表4】
【0391】
本発明の実施例3、4及び8について、MD引張り強度、MDピーク伸長度、MD TEA、及びMD弾性率の値を以下に示す。
【0392】
【表5】
【0393】
本発明の実施例3、4及び8について、CD引張り強度、CDピーク伸長度、CD TEA及びCD弾性率の値を以下に示す。
【0394】
【表6】
【0395】
本発明の実施例3、4及び8に係る幾何平均引張り強度、幾何ピーク伸長度、幾何平均TEA及び幾何平均弾性率の値を以下に示す。
【0396】
【表7】
【0397】
例えば高度差(E)及び遷移領域の幅(T)を含む、本発明の実施例1〜8に関連するプロフィロメトリデータを以下に示す。
【0398】
【表8】
【0399】
本発明の実施例2、3及び8の含水率データを以下に示す。
【0400】
【表9】
【0401】
本発明の実施例2〜4及び8に対する溶解時間及び崩壊時間を、本明細書に記載の溶解試験方法に従って下記に示す。
【0402】
【表10】
【0403】
本明細書において開示されている寸法及び値は、列挙される正確な数値だけに厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に明記しない限り、そのような各寸法は、列挙された値、及びその値を取り囲む機能的に等価な範囲の、両方を意味するよう意図されている。例えば、「40mm」として開示された寸法は「約40mm」を意味するものである。
【0404】
明瞭にする目的のために、合計「重量%」値は、100重量%を超えない。
【0405】
本明細書において開示されている寸法及び値は、列挙される正確な数値だけに厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に明記しない限り、そのような各寸法は、列挙された値、及びその値を取り囲む機能的に等価な範囲の両方を意味するよう意図されている。例えば、「40mm」として開示された寸法は「約40mm」を意味するものである。
【0406】
本明細書において引用されている全ての文献は、相互参照されている又は関連する特許若しくは出願を含む如何なるものも、明示的に除外されるか又は制限されない限り、その全体が本明細書において参照により援用される。如何なる文献の引用も、本明細書に開示若しくは請求されている任意の発明に対する先行技術であることを承認するものではないし、又はそれ単独で、若しくは他の任意の参考文献との組み合わせで、そのような任意の発明を教示、示唆、若しくは開示することを承認するものでもない。更に、本文献中の用語の任意の意味又は定義が、参照により援用される文献中の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文献においてその用語に割り当てられている意味又は定義の方を優先するものとする。
【0407】
本発明の特定の実施形態を例示し説明してきたが、当業者にとって明らかであるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他にも様々な変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。