(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(全体構成)
図1は実施の形態に係る火災報知設備の一例を示すシステム構成図である。
図1に示す火災報知設備は、監視対象となる建物に設置され、火災の発生を検知したときにこれを報知するシステムである。
【0011】
本実施の形態に係る火災報知設備100は、
図1に示すように、火災受信機Aと、火災受信機Aに伝送線CL1により接続された無線式中継器B1と、火災受信機Aに伝送線CL2により接続された無線式中継器B2と、監視対象となる建物の各部屋の天井に配置される無線式の感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32、D41、D42、D43と、無線式中継器B1と感知器D21、D22との間に介在して無線信号を中継するリピータ中継器C1と、無線式中継器B1と感知器D31、D32との間に介在して無線信号を中継するリピータ中継器C2、C3とを備えている。
【0012】
図1に示す外部試験器Eは、無線式中継器B1、B2に対する無線信号を用いた遠隔試験を行ったり、また、通信経路F1、F2、F3、F4の登録時の状態を確認するために使用する機器である。
【0013】
なお、これ以降、無線式中継器B1、B2を無線式中継器B、感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32、D41、D42、D43を感知器D、及びリピータ中継器C2、C3をリピータ中継器Cと総称する場合がある。
【0014】
ここで、無線式中継器B及びこの無線式中継器Bとの間で無線通信を行う感知器D及びリピータ中継器Cの集合をグループと称する。すなわち、無線式中継器B毎に1つのグループを構成する。
図1の例では、無線式中継器B1及びこの無線式中継器B1との間で無線通信を行うリピータ中継器C1、C2、C3と感知器D11、D12、D21、D22、D31、D32をグループG1と称する。また、無線式中継器B2及びこの無線式中継器B2との間で無線送受信を行う感知器D41、D42、D43をグループG2と称する。
【0015】
また、各グループにおいては、無線式中継器Bを基点とする複数の通信経路が確立されている。
図1のグループG1の例では、無線式中継器B1と感知器D11、D12の間には通信経路F1が確立され、無線式中継器B1とリピータ中継器C1及びこのリピータ中継器C1と感知器D21、D22の間には通信経路F2が確立されている。また、無線式中継器B1とリピータ中継器C2、C3及びリピータ中継器C3と感知器D31、D32の間には通信経路F3が確立されている。さらに、
図1のグループG2の例では、無線式中継器B2と感知器D41、D42、D43の間には通信経路F4が確立されている。
【0016】
(感知器D)
感知器Dは、火災現象に基づく検知対象物の物理量または物理的変化を検出し、検出内容に応じた状態信号を無線信号として送信する。感知器Dとして、例えば、検出した煙濃度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の煙感知器、検出した周囲温度に基づくアナログ値または火災信号を無線信号として出力する無線式の熱感知器等が使用されている。
【0017】
図2は実施の形態における感知器の主要構成を示すブロック図である。感知器Dは、制御回路1、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、表示灯回路8、登録スイッチ9を備えている。
【0018】
電池2は、定電圧回路3に直流電圧を供給する。定電圧回路3は、電池2の直流電圧を所定電圧に制御し、制御回路1、送受信回路5、火災検出回路7、表示灯回路8に供給する。
【0019】
電圧検出回路4は、例えば、定電圧回路3に印加される電池2の直流電圧を検出し、検出電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路1に出力する。電圧検出回路4は、電池残量が低下したこと、あるいは電池切れの閾値より低下したことを検出すると、制御回路1に出力して、表示灯回路8を動作させると共に、電池切れの状態情報を含む状態信号を送受信回路5より出力させる。
【0020】
火災検出回路7は、火災現象に基づく煙または熱等の検知対象物の物理量または物理的変化を検出して、検出内容に応じた状態信号を制御回路1に出力する。表示灯回路8は、発光ダイオード(LED)の点灯動作を制御する回路で、例えば、電池切れの場合にはLEDを点滅し、火災検出回路7により火災が検出されたときには、その点滅と異なる周期でLEDを点滅する。
【0021】
送受信回路5は、無線信号を送受信するためのアンテナ6と接続されており、送信回路5aと受信回路5bとを備えている。受信回路5bは、所定周期で受信サンプリング動作を行ってアンテナ6から受信された無線信号を検出し、無線信号が自己宛の場合にはその内容に応じて受信処理を行う。そして、受信回路5bは、受信処理した信号を、制御回路1へ出力する。また、送信回路5aは、制御回路1に制御されて、状態信号などの信号の送信処理を行う。登録スイッチ9は、グループ内において無線信号を送受信するのに必要な通信経路等の情報を登録するときに使用されるスイッチである。
【0022】
制御回路1は、火災検出回路7によって出力された信号に基づいて火災状態等を判別する状態判別部としての機能を有する。また、制御回路1は、火災状態であると判別した場合には、表示灯回路8を制御し、LEDの点滅によって警報を行う。また、制御回路1は、送受信回路5により受信された信号に基づいて必要な処理を行うと共に、必要に応じて送受信回路5を制御して無線式中継器Bあるいはリピータ中継器Cに状態信号や火災信号などを送信する。記憶素子1aは、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリからなり、制御回路1が実行するプログラムや各種データ、自己のアドレスが格納されている。
【0023】
また、制御回路1は、後述するが、登録スイッチ9がオンされたときに登録要求信号を他の機器に送信する。この登録要求信号の送信により、例えば無線式中継器Bからの無線式中継器Bが感知器Dを登録したことを示す登録信号が受信されたときには、無線式中継器Bとの間で通信経路を確立する。
【0024】
(リピータ中継器C)
リピータ中継器Cは、無線式中継器Bと感知器Dとの間に介在し、無線信号の中継を行う。そのリピータ中継器Cは、無線式中継器Bと感知器Dとの間で互いに電波が届かない場合に設けられる。
図1のグループG1に示すリピータ中継器C2、C3のように、無線式中継器Bと感知器Dとの間に2台以上のリピータ中継器Cを設けて中継させることも可能である。
【0025】
図3は実施の形態におけるリピータ中継器の主要構成を示すブロック図である。
リピータ中継器Cは、制御回路11、電池2、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、登録スイッチ9を備えている。リピータ中継器Cは、前述の感知器Dと異なり火災検出回路7を備えておらず、また、制御回路11の動作内容も異なるが、その他の構成については感知器Dと基本的に同様である。なお、リピータ中継器Cに例えば
図2の感知器Dに示すような火災検出回路7や煙や熱等を感知するセンサを設け、リピータ中継器Cが火災検出機能を有する構成としてもよい。
【0026】
制御回路11は、登録スイッチ10が操作されたときに登録要求信号を他の機器に送信する。この登録要求信号の送信により、例えば無線式中継器Bからの無線式中継器Bがリピータ中継器Cを登録したことを示す登録信号が受信されたときには、無線式中継器Bとの間で通信経路を確立する。
【0027】
(無線式中継器B)
無線式中継器Bは、感知器D及びリピータ中継器Cとの間で無線信号を送受信し、感知器Dあるいはリピータ中継器Cからの無線信号を火災受信機Aに転送する機能を有している。図示せぬ記憶素子には、本中継器Bの機能を実行させるプログラムや各種データ、グループIDと登録した機器のアドレス及び通信経路情報(後述する)等が保存されている。
【0028】
その無線式中継器Bは、登録スイッチ9がオン状態のときに登録要求信号が受信されると、登録要求信号を発した感知器Dあるいはリピータ中継器Cにそれらが登録されたことを示す登録信号を送信して通信経路を確立する。また、無線式中継器Bは、通信経路を確立した後にリピータ中継器Cからの経路変更信号が受信されたときには、感知器Dまでの通信経路をリピータ中継器C経由に変更する。
【0029】
図4は、実施の形態における無線式中継器の主要構成を示すブロック図である。
無線式中継器Bは、制御回路21、定電圧回路3、電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、表示灯回路8、登録スイッチ9、受信機I/F回路22、電源線用端子20a、信号線用端子20bを備える。無線式中継器Bは、前述の感知器Dやリピータ中継器Cのように電池駆動ではなく、火災受信機Aと電源線用端子20aとを接続する電源線を介して火災受信機AからDC電源を供給される。また、火災受信機Aと信号線用端子20bとが信号線(伝送線CL)で接続されており、無線式中継器Bは受信機I/F回路22を介して火災受信機Aと信号を送受信する。また、制御回路21の動作内容及び記憶素子21aに記憶される情報が一部異なるが、その他の構成については感知器Dやリピータ中継器Cと基本的に同様である。
【0030】
(火災報知設備の動作概要)
火災報知設備100の主要な動作の一つ目は、火災監視である。具体的には、各感知器Dは、自身の監視領域において火災発生の有無を監視する。そして、感知器Dが火災による煙や熱などの環境の変化を検知すると、この検知情報が、リピータ中継器Cを介してあるいは直接、無線式中継器Bに無線信号により伝えられる。さらに無線式中継器Bから火災受信機Aに対し、検知情報が伝えられる。火災受信機Aは、火災の検知情報を受信すると、図示しない音響警報装置を制御して火災報知を行わせると共に、図示しない防火戸や排煙機、シャッター等を作動させて延焼を防ぐ。
また、火災報知設備100の主要な動作の二つ目は、状態収集処理である。火災報知設備100においては、これを構成する各機器に電池切れや無線通信の不良が生じると、火災通知が行えなくなってしまう。このような不具合が生じないようにするために、各機器の状態(電池状態や無線通信機能の状態など)を所定周期で収集する状態収集処理を行う。
【0031】
(送受信処理の概要)
次に、火災報知設備100における送受信処理の概要について説明する。
火災報知設備100における無線信号の主要な送受信処理は、(1)状態収集処理、(2)火災通知処理である。
【0032】
(1)状態収集処理
状態収集処理は、無線式中継器Bが、自身と無線信号の送受信を行う機器(リピータ中継器C、感知器D)の状態情報(例えば、電池状態等)を収集する処理である。無線式中継器Bは、自身の下位機器に対してその機器自身の状態情報を送信するよう要求する状態要求信号を送信し、この状態要求信号を受信した機器は、更に自身の下位機器に対して状態要求信号を送信する。この状態要求信号は、その通信経路の末端に至るまで中継され、末端の機器である感知器Dは、自身の状態情報を含む信号を状態情報信号として上位機器に対して送信する。この状態情報信号を受信した上位機器は、受信した信号に対して自身の状態情報を含む信号を付加し、その信号を状態情報信号として上位機器へと送信する。この状態情報信号は、通信経路の最上位機器である無線式中継器Bに至るまで順に送信される。そして、無線式中継器Bは、下位機器から収集した状態情報信号を自ら状態判定して、必要があれば、その状態情報信号に含まれる情報を火災受信機Aに送信する。
【0033】
状態収集処理は、無線通信の経路毎に行う。すなわち、
図1の例では、まず、無線式中継器B1が感知器D11及びD12との間(通信経路F1)で状態収集処理を行い、これが終了すると、無線式中継器B1がリピータ中継器C1及びこれと送受信を行う感知器D21、D22との間(通信経路F2)で状態収集処理を行い、これが終了すると、無線式中継器B1がリピータ中継器C2、C3及びこれと送受信を行う感知器D31、D32との間(通信経路F3)で状態収集処理を行う。状態収集処理は、所定周期(例えば24時間周期)で行ってもよいし、火災報知設備100の設置年数等の状況に応じて状態収集処理を行う周期を変化させてもよい。
【0034】
(2)火災通知処理
これは、感知器Dが検知した火災情報に基づく無線信号を、無線式中継器Bを介して火災受信機Aに対して送信する処理である。信号の流れは、感知器D、リピータ中継器C(介在する場合のみ)、無線式中継器B、火災受信機A、という通信経路の下位機器から上位機器までの順となる。
【0035】
なお、無線信号を送信する際には、規格等で設定されている送信時間の範囲内で送信する必要がある。本実施の形態では、標準規格RCR STD−30に準拠し、送信期間が3秒以下、送信休止時間が2秒以上である場合を例に説明する。
また、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び感知器Dは、基本的には所定時間おきに他の機器からの無線信号の受信を行う間欠受信を行っている。本実施の形態では、無線式中継器Bの間欠受信間隔をTB、リピータ中継器Cの間欠受信間隔をTC、感知器Dの間欠受信間隔をTDとする。
上記のような火災監視や状態収集の送受信処理においては無線信号により通信を行う。
無線式中継器B及びリピータ中継器Cは、火災受信機Aと感知器Dとの間に介在し、これらの間で行われるべき無線通信を中継する中継器として機能する。
【0036】
また、火災報知設備100を構成する各機器には、信号の送受信を行うために必要な情報が各機器の記憶素子に記憶されている。記憶素子に記憶される情報としては、少なくとも、グループID、自己アドレス、上位機器アドレス、下位機器アドレス、機器番号を含んでいる。
グループIDは、
図1に示すグループ毎に固有に割り当てられるIDである。このグループIDは、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び感知器Dのすべての機器に対して設定されている。
自己アドレスは、各機器に固有に割り当てられた通信アドレスであり、無線式中継器B、リピータ中継器C、及び感知器Dのすべての機器に対して設定されている。
【0037】
上位機器アドレスは、通信階層において自身の直近上位に位置する機器のアドレスである。ここで、上位とは、各機器に対して火災受信機Aにより近い側をいう。例えば、
図1のグループG1において、リピータ中継器C1の上位機器は無線式中継器B1であり、感知器D21、D22の上位機器はリピータ中継器C1である。この上位機器アドレスは、リピータ中継器C、及び感知器Dに対して設定されている。
下位機器アドレスは、通信階層において自身の直近下位に位置する機器のアドレスである。ここで、下位とは、各機器に対して火災受信機Aから遠い側をいう。例えば、
図1のグループG1において、リピータ中継器C2の下位機器はリピータ中継器C3であり、リピータ中継器C3の下位機器は感知器D31、D32である。この下位機器アドレスは、無線式中継器B及びリピータ中継器Cに対して設定されている。
【0038】
機器番号は、1つのグループに属する同種の機器内において、各端末に固有に割り当てられた番号である。例えば、本実施の形態では1グループに接続可能なリピータ中継器Cの最大数は6台であり、各リピータ中継器Cには01〜06のいずれかの機器番号が割り当てられる。また、本実施の形態では1グループに接続可能な感知器Dの最大数は30台であり、各感知器Dには01〜30のいずれかの機器番号が割り当てられる。なお、本実施の形態では自己アドレスと機器番号とを別に設ける例を示すが、各機器に固有の情報である自己アドレスを機器番号として使用することもできる。
【0039】
ここで、グループ内において無線信号を送受信するのに必要な通信経路等の情報を各機器に登録する登録処理の概要を説明する。
まず、上位機器となる無線式中継器Bとリピータ中継器Cは、通信経路を登録するための動作モードとして登録モードというモードを有している。また、下位機器となるリピータ中継器Cと感知器Dは、通信経路の登録を要求する登録要求信号の送信が可能である。 このような構成において、登録モード状態の上位機器(無線式中継器B又はリピータ中継器C)に対し、下位機器(リピータ中継器C又は感知器D)から自身のアドレスを含む登録要求信号が送信されると、上位機器は、登録要求信号に含まれるアドレスを自身の下位機器アドレスとして設定するとともに、その下位機器に対して自己アドレスを含む登録信号を送信する。この登録信号を受信した下位機器(リピータ中継器C又は感知器D)は、登録信号に含まれるアドレスを自身の上位機器アドレスとして設定する。このような処理を通信経路を構成する各機器について行うことにより、その通信経路が確立される。なお、登録モードへの移行や登録要求信号の送信は、登録スイッチ9を使用者に操作されることによって実行される。また、この登録処理は、火災報知設備100を新たに設置する際に行うほか、火災報知設備100を設置した後に機器を増設する場合にも行うことができる。
【0040】
(通信電文)
次に、本実施の形態に係る火災報知設備100で用いられる通信電文について説明する。ここで説明する通信電文は、上述の(1)状態収集処理、(2)火災通知処理において用いられる通信電文である。
実施の形態の火災報知設備100では、送受信処理の種類((1)状態収集処理または(2)火災通知処理)と、送信元機器の種別、及び受信元機器の種別によって、使用する通信電文が定められている。まずは、各通信電文を具体的に説明する。
【0041】
図5は、実施の形態の状態収集処理及び火災通知処理において、無線式中継器あるいはリピータ中継器に対して送信される通信電文を説明する図である。
図5に示す通信スロット110は、送信元(無線式中継器Bまたはリピータ中継器C)からリピータ中継器C、あるいは、送信元(リピータ中継器Cまたは感知器D)から無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cに信号を伝送する送信スロット111と、他の機器からの信号を受信する連続受信スロット112から構成される。
【0042】
送信スロット111は、連続する複数(本実施の形態では60)の基本フレーム101で構成される。すなわち、送信スロット111では、基本フレーム101を連続して複数回送信する。基本フレーム101は、例えば、同期信号、送信元を識別するためのグループIDや送信元アドレス、フレーム番号、データ等を含んでいる。
送信スロット111の長さは、無線式中継器Bの間欠受信間隔TB及びリピータ中継器Cの間欠受信間隔TCの長さよりも長くなるよう設定されており、無線式中継器Bとリピータ中継器Cが送信スロット111のうちのいずれかの基本フレーム101を受信できるようになっている。
なお、送信スロット111による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
【0043】
連続受信スロット112は、無線信号の送信を行わない送信休止期間であり、受信回路を起動して無線信号の受信処理を行う時間帯である。連続受信スロット112は、火災転送信号用エリア113と、火災通知信号用エリア114と、その他信号用エリア115とを備える。火災転送信号用エリア113は他の機器から転送される火災転送信号を受信するためのエリア、火災通知信号用エリア114は感知器Dから送信される火災通知信号を受信するためのエリア、その他信号用エリア115は、火災転送信号と火災通知信号以外の制御要求信号または状態情報信号を受信するためのエリアである。他の機器は、この火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、その他信号用エリア115に対して、対応する信号を送信することができるようになっている。本実施の形態では、無線信号の重要性が高い順に、火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、その他信号用エリア115の順番でエリアが設けられている。
【0044】
図6は、実施の形態の状態収集処理において、感知器に対して送信される通信電文及び感知器が送信する通信電文を説明する図である。
図6(A)は、感知器Dに対して無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cが送信する通信電文を示し、
図6(B)は、感知器Dが送信する通信電文を示している。なお、
図6(B)では、間欠受信タイミングの異なる複数の感知器Dの送受信動作例を示している。
【0045】
図6(A)に示すブロック通信120は、送信スロット121と、連続受信スロット122と、送信スロット123と、連続受信スロット124と、送信スロット125と、連続受信スロット126とで構成される。送信スロット121、123、125は、連続する複数の基本フレーム101で構成される。すなわち、送信スロット121、123、125では、基本フレーム101を連続して複数回送信する。なお、送信スロット121による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
【0046】
連続受信スロット122、124、126は、無線信号の送信を行わない送信休止期間であり、受信回路を起動して無線信号の受信処理を行う。
ブロック通信120では、無線信号を送信する送信期間(送信スロット121、123、125)と、無線信号を送信しない送信休止期間(連続受信スロット122、124、126)とを交互に繰り返す。
【0047】
ここで、ブロック通信120を構成する各スロットの時間について説明する。まず、無線信号の送信処理は、前述のように規格に従い、送信期間が3秒以下、送信休止時間が2秒以上となるように設定される必要がある。一方で、受信側である感知器Dは、間欠受信間隔TD(本実施の形態では7秒)ごとに間欠受信を行っているとともに、各感知器Dの間欠受信のタイミングは異なりうる。したがって、各感知器Dが間欠受信において無線信号を受信するためには、各感知器Dの間欠受信のタイミングが、信号送信元の送信スロット121、123、125のいずれかに含まれている必要がある。
そこで、本実施のブロック通信120では、送信スロット121、連続受信スロット122、送信スロット123の合計時間が、感知器Dの間欠受信間隔TD(7秒)以下であり、かつ、連続受信スロット122(
図6における区間T1)の7秒後が送信スロット125に含まれるようにしている。このようにすることで、すべての感知器Dが、送信スロット121、123、125のいずれかで送信された無線信号を受信できるようにしている。すなわち、例えば、ある感知器Dの間欠受信タイミングが、連続受信スロット122に含まれていた場合でも、その感知器Dは、次の間欠受信タイミングにおいて送信スロット125で送信された無線信号を受信することができる。
【0048】
図6(B)に示すように、感知器Dは、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cからの無線信号を受信すると、短縮フレーム102を送信する。この短縮フレーム102は、例えば、同期信号、送信元を識別するためのグループIDや送信元アドレス、データ等を含んでいる。
【0049】
ここで、感知器Dが応答の信号として短縮フレーム102を送信するタイミングについて説明する。まず、連続受信スロット122についてさらに説明する。
図6(A)に示すように、連続受信スロット122は、各感知器Dそれぞれからの無線信号を受信するためのエリアに分かれた感知器返送スロット129を含んでいる。感知器返送スロット129は、グループに接続可能な感知器Dの台数分のエリア(本実施の形態では30エリア)に分かれている。
各感知器Dは、送信スロット121、123、125で送信されたいずれかの基本フレーム101を受信すると、受信した基本フレーム101に含まれるフレーム番号に基づいて、その送信スロット(送信スロット121、123、125のいずれか)が終了するまで待機する。そして、予め各感知器Dの記憶素子1aに記憶された感知器返送スロット129の各エリアのタイミングに関する情報に基づいて、感知器Dは、感知器返送スロット129のエリアのうち、自身に割り当てられた機器番号に対応したエリア(時間帯)に対して、無線信号を送信する。例えば、機器番号5番の感知器Dは、感知器返送スロット129の5番目のエリアに対して無線信号を送信する。このように、感知器Dによって受信の時間帯(感知器Dの送信時間帯)を定めておくことで、複数の感知器Dによって信号が同時に送信されることにより電文が破壊されることを抑制することができる。また、1回のブロック通信120で複数の感知器Dからの無線信号を受信できるので、受信に要する時間を短縮することができる。
【0050】
次に、間欠受信タイミングの異なる感知器Dの動作例を、
図6(B)を参照して説明する。まず、機器番号01の感知器Dは、間欠受信により送信スロット123の45フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット124の感知器返送スロット129の1番目のエリアに対して送信する。また、機器番号02の感知器Dは、間欠受信により送信スロット121の48フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット122の感知器返送スロット129の2番目のエリアに対して送信する。
また、番号03の感知器Dは、間欠受信により送信スロット125の55フレーム目の基本フレーム101を受信し、これに対する応答としての短縮フレーム102を、連続受信スロット126の感知器返送スロット129の3番目のエリアに対して送信する。
このように、各感知器Dは、信号を受信した送信スロット(送信スロット121、123、125のいずれか)に続く連続受信スロット(連続受信スロット122、124、126のいずれか)において、短縮フレーム102を送信する。
【0051】
図7は、実施の形態の状態収集処理において、リピータ中継器が送信する通信電文を説明する図である。より具体的には、
図7に示す通信電文は、状態収集処理においてリピータ中継器Cが、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cに対して送信するものある。
図7に示す通信スロット130は、リピータ中継器Cから他のリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bに対して信号を伝送する送信スロット131と、他の機器からの信号を受信する連続受信スロット132から構成される。
【0052】
送信スロット131は、連続する複数(本実施の形態では10)の連送フレーム103で構成される。すなわち、送信スロット131では、連送フレーム103を連続して複数回送信する。
この送信スロット131は、無線式中継器Bあるいはリピータ中継器Cに対して無線信号を送るものである。したがって、送信スロット131の長さは、無線式中継器Bの間欠受信間隔TB及びリピータ中継器Cの間欠受信間隔TCの長さよりも長くなるよう設定されており、無線式中継器Bとリピータ中継器Cが送信スロット131のうちのいずれかの連送フレーム103を受信できるようになっている。
なお、送信スロット131による送信を開始する前には、送信前CS(送信前キャリアセンス)を行い、他の機器が無線信号を送信中でないことを確認した後に送信を開始する。
【0053】
連送フレーム103は、感知器情報201と、リピータ中継器情報202とを含んでいる。感知器情報201は、1台の無線式中継器Bと通信可能な感知器Dの台数分(本実施の形態では30)のデータエリアで構成されている。リピータ中継器情報202は、1台の無線式中継器Bと通信可能なリピータ中継器Cの台数分(本実施の形態では6)のデータエリアで構成されている。
【0054】
連続受信スロット132は、無線信号の送信を行わず他の機器からの信号を受信待機する時間帯であり、火災転送信号用エリア133と、火災通知信号用エリア134と、その他信号用エリア135とを備える。連続受信スロット132、火災転送信号用エリア133、火災通知信号用エリア134、及びその他信号用エリア135は、それぞれ、
図5で示した連続受信スロット112、火災転送信号用エリア113、火災通知信号用エリア114、及びその他信号用エリア115と同様の構成である。
【0055】
(送受信処理の詳細)
次に、(1)状態収集処理、及び(2)火災通知処理について、これらの処理で使用される通信電文を含めて更に説明する。
【0056】
(1)状態収集処理
図8は、実施の形態に係る状態収集処理を説明する図である。なお、
図8では、
図1に示す無線式中継器B1と無線通信を行う通信経路のうち、通信経路F1(感知器D11、D12の通信経路)と、通信経路F3(リピータ中継器C2、C3、感知器D31、32の通信経路)を例に説明する。
【0057】
まず、無線式中継器B1は、火災受信機Aからの状態要求信号を受信したものとする。 (S301)無線式中継器B1は、通信経路F1に属する機器のうち、記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、無線式中継器B1の通信経路F1における下位機器は感知器D11、D12であるので、無線式中継器B1は、状態要求信号を、ブロック通信120(
図6(A))にて送信する。
一方、感知器D11、D12は、間欠受信間隔TDで間欠受信を行っており、無線式中継器B1がブロック通信120の送信スロット121、123、125のいずれかで送信した状態要求信号を受信する。この例では、感知器D12は送信スロット123で送信された状態要求信号を受信し、感知器D11は送信スロット125で送信された状態要求信号を受信したものとする。
【0058】
(S302)感知器D12は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット124の感知器返送スロット129の自身の機器番号に対応するエリアにおいて(
図6)、状態情報信号を送信する。
(S303)感知器D11は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット126の感知器返送スロット129の自身の機器番号に対応するエリアにおいて(
図6)、状態情報信号を送信する。
【0059】
このステップS301〜S303により通信経路F1の状態収集処理は終了し、無線式中継器B1は、感知器D11及び感知器D12の状態情報を収集したこととなる。
なお、
図1の例では、通信経路F1の状態収集処理が終了した後には通信経路F2の状態収集処理を行うが、通信経路F2における処理内容は通信経路F3の処理内容に含まれているため、ここでは説明を省略し、以下、通信経路F3の状態収集処理を説明する。
【0060】
(S304)無線式中継器B1は、通信経路F3に属する機器のうち、記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、無線式中継器B1の通信経路F3における下位機器はリピータ中継器C2であるので、無線式中継器B1は、状態要求信号を、通信スロット110の送信スロット111(
図5)にて送信する。無線式中継器B1は、送信スロット111により状態要求信号を送信
した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、リピータ中継器C2は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、無線式中継器B1が送信スロット111で送信した状態要求信号を受信する。
【0061】
(S305)リピータ中継器C2は、無線式中継器B1が送信した状態要求信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を中継送信する。この例では、リピータ中継器C2の下位機器はリピータ中継器C3であるので、リピータ中継器C2は、状態要求信号を、通信スロット110の送信スロット111(
図5)にて送信する。
【0062】
ここで、リピータ中継器C2が状態要求信号を送信するタイミングにおいて、無線式中継器B1は、連続受信スロット112の受信待機状態である(S304)。無線式中継器B1は、リピータ中継器C2がリピータ中継器C3宛に送信した状態要求信号を連続受信スロット112にて受信し(S304の破線参照)、これにより、状態要求信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS304の連続受信スロット112にて、リピータ中継器C2により送信された状態要求信号を受信できない場合には、無線式中継器B1は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態要求信号を再送する。
一方、リピータ中継器C3は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、リピータ中継器C2がステップS305で送信した状態要求信号を受信する。
【0063】
(S306)リピータ中継器C3は、リピータ中継器C2が送信した状態要求信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている下位機器アドレスに対し、状態要求信号を送信する。この例では、リピータ中継器C3の下位機器は感知器D31、D32であるので、リピータ中継器C3は、状態要求信号を、ブロック通信120の送信スロット121、123、125(
図6(A))にて送信する。
【0064】
ここで、リピータ中継器C3が状態要求信号を送信するタイミングにおいて、リピータ中継器C2は、連続受信スロット112の受信待機状態である(S305)。リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3が送信した状態要求信号を連続受信スロット112にて受信し(S305の破線参照)、これにより、状態要求信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS305の連続受信スロット112にて、リピータ中継器C3により送信された状態要求信号を受信できない場合には、リピータ中継器C2は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態要求信号を再送する。
一方、感知器D31、D32は、間欠受信間隔TDで間欠受信を行っており、リピータ中継器C3が送信スロット121、123、125のいずれかで送信した状態要求信号を受信する。この例では、感知器D32は送信スロット123で送信された状態要求信号を受信し、感知器D31は送信スロット125で送信された状態要求信号を受信したものとする。
【0065】
(S307)感知器D32は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット124の感知器返送スロット129の自身の機器番号に対応するエリアにおいて(
図6)、状態情報信号を送信する。
(S308)感知器D31は、状態要求信号を受信すると、短縮フレーム102により自身の状態情報を含む状態情報信号を送信する。より具体的には、無線式中継器B1の、連続受信スロット126の感知器返送スロット129の自身の機器番号に対応するエリアにおいて(
図6)、状態情報信号を送信する。
【0066】
このステップS306、307、308により、リピータ中継器C3は、自身の下位機器(感知器D31、D32)の状態情報を収集したこととなる。
【0067】
(S309)リピータ中継器C3は、自身の記憶素子に記憶されている上位機器アドレスに対し、状態情報信号を送信する。この例では、リピータ中継器C3の上位機器はリピータ中継器C2であるので、リピータ中継器C3は、通信スロット130の送信スロット131(
図7)により状態情報信号を送信する。このとき送信する連送フレーム103は、ステップS306で受信した感知器D31、D32からの状態情報信号に含まれる状態情報を感知器情報201に含むとともに、リピータ中継器C3自身の状態情報をリピータ中継器情報202に含んでいる。すなわち、リピータ中継器C3から送信される状態情報信号には、リピータ中継器C3の下位機器である感知器D31、D32及びリピータ中継器C3の状態情報が含まれている。
一方、リピータ中継器C2は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、リピータ中継器C3がステップS309で送信した状態情報信号を受信する。
【0068】
(S310)リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3が送信した状態情報信号を受信すると、自身の記憶素子に記憶されている上位機器アドレスに対し、状態情報信号を送信する。この例では、リピータ中継器C2の上位機器は無線式中継器B1であるので、リピータ中継器C2は、通信スロット130の送信スロット131(
図7)により、リピータ中継器C3が送信した通信スロット130のその他信号用エリア135のタイミングで状態情報信号を送信する。このとき送信する連送フレーム103の感知器情報201には感知器D31、D32の状態情報を含み、リピータ中継器情報202にはリピータ中継器C3、C2の状態情報を含んでいる。すなわち、リピータ中継器C2は、下位機器から受信した状態情報信号に対して自身の状態情報を付加した信号を、状態情報信号として送信する。
【0069】
ここで、リピータ中継器C2が状態情報信号を送信するタイミングにおいて、リピータ中継器C3は、連続受信スロット132の受信待機状態である(S309)。リピータ中継器C3は、リピータ中継器C2が無線式中継器B1宛に送信した状態情報信号を連続受信スロット132にて受信し(S309の破線参照)、これにより、状態情報信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS309の連続受信スロット132にて、リピータ中継器C2により送信された状態情報信号を受信できない場合には、リピータ中継器C3は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態情報信号を再送する。
一方、無線式中継器B1は、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っており、リピータ中継器C2がステップS310で送信した状態要求信号を受信する。
【0070】
(S311)無線式中継器B1は、リピータ中継器C2が送信した状態情報信号を受信すると、送信元の機器に対して、リピータ中継器C2が送信した通信スロット130のその他信号用エリア135のタイミングで信号を受信したことを表す信号である受信応答信号を送信する。
リピータ中継器C2は、無線式中継器B1により送信された受信応答信号をステップS310の連続受信スロット132において受信し、これにより、状態情報信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS310の連続受信スロット132にて、無線式中継器B1により送信された受信応答信号を受信できない場合には、リピータ中継器C2は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、状態情報信号を再送する。
【0071】
また、図示しないが、無線式中継器B1は、自身のグループの全通信経路の状態収集処理が終了すると、収集した状態情報を含む信号を自ら状態判定するとともに、必要であれば、その状態情報信号に含まれる情報を火災受信機Aに送信する。また、ステップS311では、無線式中継器B1がリピータ中継器C2に対して受信応答信号を送信する例を示しているが、無線式中継器B1と火災受信機Aとの間で無線通信を行う構成であれば、無線式中継器B1から火災受信機Aに対して送信される状態情報を含む信号を、リピータ中継器C2に対する受信応答信号に代えてもよい。
【0072】
このように、本実施の形態の火災報知設備100においては、
図8のステップS305、S306、S310に示すように、リピータ中継器Cが中継先の機器に対して送信する状態情報信号が、中継元の機器に対して受信したことを示す応答信号を兼ねている。このため、信号を正常に受信したことを示す応答信号を中継元機器に対して別途送信する場合と比較して、信号送信回数を低減でき、消費電流を低減できるとともに通信トラフィックを抑制できる。
【0073】
なお、ブロック通信120では、必ずしもすべてのスロット(送信スロット121、連続受信スロット122、送信スロット123、連続受信スロット124、送信スロット125、及び連続受信スロット126)を実行しなくてもよく、その通信経路に属するすべての感知器Dからの状態情報信号を受信した時点で、信号の送信を中止することができる。例えば、連続受信スロット122において、すべての感知器Dからの状態情報信号を受信した場合には、ブロック通信120の送信元であるリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bは、送信スロット123以降の処理を行わない。このようにすることで、無駄な通信処理を行う必要がなく、消費電流を低減できるとともに、情報伝達の遅れを防ぐことができる。
また、連続受信スロット122、124、126のいずれにおいても、自己の通信経路に属する感知器Dから状態情報信号を受信できない場合には、リピータ中継器Cまたは無線式中継器Bは、当該感知器Dに割り当てられた感知器返送スロット129を「無応答」と判断し、これを含めた状態情報信号として上位の機器に送信する。
なお、リピータ中継器Cが自らの「無応答」を含めた状態情報信号を送信せずに、無線式中継器Bが記憶素子21aに保存された下位機器アドレス(機器番号)に基づいて判断してもよい。
【0074】
(2)火災通知処理
図9は、実施の形態に係る火災通知処理を説明する図である。なお、
図9(A)は、
図1に示す無線式中継器B1と無線通信を行う通信経路のうち、通信経路F1(感知器D11、D12の通信経路)を示し、
図9(B)は、通信経路F3(リピータ中継器C2、C3、感知器D31、32の通信経路)を示している。以下、火災通知処理について、
図9と、前述の
図5〜
図7を参照して説明する。なお、
図1の通信経路F2の処理内容については、これと同様の処理が通信経路F3と処理内容に含まれているため、ここでは説明を省略する。
【0075】
図9(A)では、感知器D12の監視領域にて火災が発生した場合を例に示している。 (S401)感知器D12は、火災発生を検知すると、通信スロット110の送信スロット111(
図5)により、火災検知情報を含む火災信号を、記憶素子1aに記憶された上位機器アドレス宛に送信する。この例では、感知器D12の上位機器は無線式中継器B1であるので、感知器D12は、無線式中継器B1に対して火災信号を送信する。感知器D12は、送信スロット111により火災信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、無線式中継器B1は、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っており、感知器D12がステップS401で送信した火災信号を受信する。
【0076】
(S402)無線式中継器B1は、感知器D12からの火災信号を受信すると、送信元の機器である感知器D12に対して、感知器D12が送信した通信スロット110のその他信号用エリア115のタイミングで信号を受信したことを表す信号である受信応答信号を送信する。
感知器D12は、無線式中継器B1により送信された受信応答信号をステップS401の連続受信スロット112において受信し、これにより、火災信号が相手に正常に受信されたことを認識する。なお、図示しないが、ステップS401の連続受信スロット112にて、無線式中継器B1により送信された受信応答信号を受信できない場合には、感知器D12は、通信異常等何らかの異常が発生したものと判断し、火災信号を再送する。
【0077】
図9(B)では、感知器D31の監視領域にて火災が発生した場合を例に示している。 (S501)感知器D31は、火災発生を検知すると、通信スロット110の送信スロット111(
図5)により、火災信号を、記憶素子1aに記憶された上位機器アドレス宛に送信する。この例では、感知器D31の上位機器はリピータ中継器C3であるので、感知器D31は、リピータ中継器C3に対して火災信号を送信する。感知器D31は、送信スロット111により火災信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
一方、リピータ中継器C3は、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っており、感知器D31がステップS501で送信した火災信号を受信する。
【0078】
(S502)リピータ中継器C3は、感知器D31からの火災信号を受信すると、記憶素子11aに記憶された上位機器アドレス(ここではリピータ中継器C2のアドレス)に対し、感知器D31が送信した通信スロット110の火災転送信号用エリア113のタイミングで火災転送信号を送信する。リピータ中継器C3は、火災転送信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
このリピータ中継器C3が送信した火災転送信号は、感知器D31が、連続受信スロット112において受信し(S501の破線参照)、感知器D31はこの火災転送信号の受信により、自身が送信した火災信号が正常にリピータ中継器C3に受信されたことを認識する。
一方、間欠受信間隔TCで間欠受信を行っているリピータ中継器C2も、リピータ中継器C3により送信された火災転送信号を受信する。
【0079】
(S503)リピータ中継器C2は、リピータ中継器C3からの火災転送信号を受信すると、送信スロット111(
図5)により、火災転送信号を、リピータ中継器C3が送信した通信スロット110の火災転送信号用エリア113のタイミングで記憶素子11aに記憶された上位機器アドレス(ここでは無線式中継器B1のアドレス)に対して送信する。リピータ中継器C2は、火災転送信号を送信した後は、受信機能を起動して連続受信スロット112の受信待機状態に移行する。
このリピータ中継器C2が送信した火災転送信号は、リピータ中継器C3が、連続受信スロット112において受信し(S502の破線参照)、リピータ中継器C3はこの火災転送信号の受信により、自身が送信した火災信号が正常にリピータ中継器C2に受信されたことを認識する。
一方、間欠受信間隔TBで間欠受信を行っている無線式中継器B1も、リピータ中継器C2により送信された火災転送信号を受信する。
【0080】
(S504)無線式中継器B1は、リピータ中継器C2からの火災転送信号を受信すると、この火災転送信号の送信元であるリピータ中継器C2に対し、リピータ中継器C2が送信した通信スロット110のその他信号用エリア115のタイミングで受信の応答信号を送信する。
リピータ中継器C2は、連続受信スロット112において無線式中継器B1からの受信応答信号を受信し、これにより、自身が送信した火災転送信号が正常に無線式中継器B1に受信されたことを認識することができる。
【0081】
なお、
図9(B)の例のように、無線式中継器Bと感知器Dとの間にリピータ中継器Cを介在させる構成であっても、各機器の配置や電波状況によっては、感知器Dから送信された火災信号を無線式中継器Bが直接受信することができる場合もある。このような場合、無線式中継器Bは、リピータ中継器Cからの火災転送信号が届いていなくとも、感知器Dから送信された火災信号により火災が発生したことを認識し、火災信号を火災受信機Aに送信する。このため、感知器Dから火災受信機Aへ火災信号を早期に伝達できる。
【0082】
また、
図8、
図9では、状態収集処理と火災通知処理のそれぞれを説明したが、例えば、状態収集処理を行っている最中に、感知器Dが火災を検知する場合がある。このように、両方の通信処理が同時に発生した場合には、火災報知設備100では、火災通知処理を優先させる。より具体的には、リピータ中継器Cは、状態要求信号を受信あるいは送信している最中において、感知器Dからの火災信号を受信した場合には、状態要求信号の送受信処理を中止し、火災転送信号の送信処理を開始する。このように火災転送信号の送信を優先させることで、火災信号の転送の遅れを抑制できる。
【0083】
ここで、状態収集処理を行っている最中に、感知器Dが火災を検知した場合の動作例を更に説明する。
図10は、実施の形態に係る状態収集処理中に感知器が火災を検知した場合の動作例を説明する図である。
図10では、
図8に示したステップS309においてリピータ中継器Cが状態情報信号を送信している最中に、感知器D32が火災を検知した状況を示している。
ステップS510に示すように、火災を検知した感知器D32は、火災信号を送信する前に送信前キャリアセンスを行う。この送信前キャリアセンスにおいて、感知器D32は、ステップS309でリピータ中継器C3が送信している無線信号を受信したものとする。ここで、ステップS309で送信されているのは連送フレーム103であるので、感知器D32は、送信前キャリアセンスで連送フレーム103を受信するために火災信号を送信できない。そして、感知器D32は、送信前キャリアセンスで受信した連送フレーム103のフレーム番号に基づいて、送信スロット131が終了するまで待機する。そして、連続受信スロット132の火災通知信号用エリア134のタイミングになると、感知器D32は、連続受信スロット132の火災通知信号用エリア134に対し、火災信号を送信する。このように、感知器Dは、送信する信号の種別によって、受信側機器の対応するエリアに対して信号を送信する。このように、信号の種別によって受信の時間帯(送信側機器における送信時間帯)を定めておくことで、複数の種類の信号が同時に送信されることにより電文が破壊されることを抑制することができる。また、送信する信号の種別によって受信側機器における受信のエリア(時間帯)を分けたので、重要性の高い火災信号の送信を優先することができ、火災信号を早期伝達することができる。
【0084】
(再送信タイミング)
次に、
図1に示すシステムにおいて、感知器Dが火災通知信号や自己の機器異常のときの異常信号を通信スロット110により送信し、リピータ中継器Cが火災転送信号や自己の機器異常のときの異常信号を通信スロット130により送信しても無線式中継器Bからの確認応答の信号がなかったときの再送信について説明する。
【0085】
感知器Dは、火災通知信号や異常信号を無線信号にて送信する際に、送信前キャリアセンスを行って無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cからの無線信号(通信スロット110またはブロック通信120または通信スロット130)が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれる送信スロットのフレーム番号に基づいて、送信スロットが終了するまで待機した後の連続受信スロットにおいて、予め信号の種類により区別された所定の時間範囲にて送信する。
例えば、感知器Dが火災を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bからブロック通信120の送信フレーム121、123、125のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット122、124、126のいずれかにおける火災通知信号用エリア(図示せず)にて送信する。
また、感知器Dが火災を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット110のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット112の火災通知信号用エリア114にて送信する。
さらに、感知器Dが火災を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cから送信スロット130のいずれかの連送フレーム103を受信すると、連続受信スロット132の火災通知信号用エリア134にて送信する。
一方で、感知器Dが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bからブロック通信120の送信フレーム121、123、125のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット122、124、126のいずれかにおけるその他信号用エリア(図示せず)にて送信する。
また、感知器Dが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット110のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット112のその他信号用エリア115にて送信する。
さらに、感知器Dが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット130のいずれかの連送フレーム103を受信すると、連続受信スロット132のその他信号用エリア135にて送信する。
これらにおいて、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cから確認応答の信号を受信しないと、信号の種別に応じて次の連続受信スロットで再送信する。
【0086】
例えば、リピータ中継器Cが感知器Dの火災通知信号を転送するときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bからブロック通信120の送信フレーム121、123、125のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット122、124、126のいずれかにおける火災転送信号用エリア(図示せず)にて送信する。
また、リピータ中継器Cが感知器Dの火災通知信号を転送するときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット110のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット112の火災転送信号用エリア113にて送信する。
さらに、リピータ中継器Cが感知器Dの火災通知信号を転送するときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット130のいずれかの連送フレーム103を受信すると、連続受信スロット132の火災転送信号用エリア133にて送信する。
例えば、リピータ中継器Cが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bからブロック通信120の送信フレーム121、123、125のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット122、124、126のいずれかにおけるその他信号用エリア(図示せず)にて送信する。
また、リピータ中継器Cが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cまたは無線式中継器Bから送信スロット110のいずれかの基本フレーム101を受信すると、連続受信スロット112のその他信号用エリア115にて送信する。
さらに、リピータ中継器Cが異常を検出したときに送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器Cから送信スロット130のいずれかの連送フレーム103を受信すると、連続受信スロット132のその他信号用エリア135にて送信する。
これらにおいて、無線式中継器Bまたはリピータ中継器Cから確認応答の信号を受信しないと、信号の種別に応じて次の連続受信スロットで再送信する。
【0087】
また、無線式中継器Bに近い側のリピータ中継器C2は、自己の機器異常を検知したときの異常信号を送信する際、また、感知器Dに近い側のリピータ中継器C3からの無線信号を転送する際に、送信前キャリアセンスを行って無線式中継器Bからの無線信号(通信スロット110)が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれる送信スロット111のフレーム番号に基づいて、送信スロット111が終了するまで待機した後の連続受信スロットにおいて、予め信号の種類により区別された所定の時間範囲(火災転送信号用エリア、火災通知信号用エリア、その他信号用エリア)にて送信する。異常信号の場合は、その他信号用エリアにて送信し、リピータ中継器C3からの無線信号が火災信号の場合は、火災転送信号用エリアにて送信するようにし、無線信号が状態情報信号の場合は、その他信号用エリアにて送信するようにする。
【0088】
前述のリピータ中継器C3は、自己の機器異常を検知したときの異常信号を送信する際、また、感知器Dからの無線信号を転送する際に、送信前キャリアセンスを行ってリピータ中継器C2からの無線信号(通信スロット110)が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれる送信スロット111のフレーム番号に基づいて、送信スロット111が終了するまで待機した後の連続受信スロットにおいて、予め信号の種類により区別された所定の時間範囲(火災転送信号用エリア、その他信号用エリア)にて送信する。異常信号の場合は、その他信号用エリアにて送信し、リピータ中継器C2からの無線信号が火災信号の場合は、火災転送信号用エリアにて送信するようにし、無線信号が状態情報信号の場合は、その他信号用エリアにて送信するようにする。また、リピータ中継器C3は、無線信号を送信した際に確認応答の信号を検知しなかったときには、その無線信号を信号の種別に応じて次の連続受信スロットで再送信する。
【0089】
図11は実施の形態の火災報知設備における再送信の動作例を示すフローチャートである。
感知器Dは、電源が投入されているとき、即ち、電池電圧が動作に必要な状態にあるときに(S1)、自己要因による送信要因が発生したかどうかを判定する(S2)。つまり、火災を検知したか、電池電圧が所定値より低くなったかどうかを判定する。感知器Dは、例えば火災を検知したときにはS3に進み、また、送信要因が発生していないときには間欠受信による無線式中継器B(又はリピータ中継器C)からの電文が受信されたかどうかを判定する(S8)。
【0090】
感知器Dは、電文の受信を検知していないときにはS2に戻って前述した判定を繰り返すが、電文の受信を検知したときには電文を解析する(S9)。感知器Dは、解析した受信電文に対して送信要因発生かどうかを判定する(S10)。感知器Dは、送信要因が発生していないと判定したときにはS2に戻るが、送信要因が発生したと判定したとき、例えば状態要求信号の受信による状態情報信号の送信を要すると判定したときには送信前キャリアセンスを行う(S3)。
【0091】
感知器Dは、送信前キャリアセンスを行った結果、キャリアを検知しなかったときにはOKと判定して電文(火災信号又は異常信号又は状態情報信号)を送信する。そして、感知器Dは、連続受信処理に入って上位機器からの確認応答の電文(信号)が受信されたかどうかを判定し(S6)、上位機器からの確認応答の電文を検知しなかったときにはS11に進んで送信内容を確認するが、その電文を検知したときには送信処理を終了し(S7)、S2に戻って自己要因による送信要因が発生したかどうかの判定に入る。
【0092】
感知器Dは、S4において、送信前キャリアセンスを行った結果、キャリアを検知したときにはS12に進んで、その結果を解析する。感知器Dは、例えば、無線式中継器Bからの無線信号、例えばブロック通信120が受信されているときには、送信スロット121、123、125の何れかのフレーム番号に基づいて送信スロットが終了するまでの待機時間を解析する。そして、感知器Dは、S2又はS10において送信要因となった電文が火災転送かどうかを判定する(S13)。感知器Dは、火災通知信号の転送機能を備えていないので、電文が火災信号の通知かどうかを判定し(S15)、火災信号の通知のときには再送信として、例えば連続受信スロット122の火災通知信号用エリアにて送信できるように準備を行い(S16)、また、電文が異常信号のときには再送信として、その他信号用エリアにて送信できるように準備を行う(S17、S18)。
【0093】
また、感知器Dは、送信電文に対して上位機器からの確認応答がなかったときには送信電文の内容を確認する(S11)。その内容が火災信号の通知のときには、前述したように連続受信スロットの火災通知信号用エリアにて再送信する準備を行い(S15、S16)、また、送信内容が異常信号のときには、前記と同様に連続受信スロットのその他信号用エリアにて再送信する準備を行う(S17、S18)。
【0094】
その後、感知器Dは、再び送信前キャリアセンスを行い(S3)、その結果がOKと判定したときには電文を送信する(S4、S5)。例えば、感知器Dは、送信電文を送信する際、ブロック通信120の例えば送信スロット121が終了するまで待機し、そして、送信電文が火災信号の通知の場合には連続受信スロット122の火災通知信号用エリアのタイミングになったときにそのエリアに対し火災信号を送信する。また、感知器Dは、送信電文が状態情報信号の場合には連続受信スロット122のその他信号用エリアのタイミングになったときにそのエリアに対し状態情報信号を送信する。なお、前述した電文を再送信しても上位機器からの確認応答がなかった場合には、確認応答があるまで繰り返し行う。
【0095】
なお、前述の動作は感知器Dであるが、リピータ中継器Cでも同様の動作を行っている。つまり、自己要因による送信要因発生として電池電圧が所定値より低下したときや自己の機器異常のときであり、その場合にはその旨を通知する信号を送信する。間欠受信による受信電文が自己に対する状態要求信号であった場合には状態情報信号を送信し、また、間欠受信による受信電文が感知器Dからの火災信号や状態情報信号の場合にはそれを転送する。その電文を送信する際や転送するときには送信前キャリアセンスを行う。
【0096】
送信前キャリアセンスの結果がOKの場合には、前述の電文を送信又は転送するが、送信前キャリアセンスの結果がNGの場合には、無線式中継器Bからの無線信号(送信スロット111)に含まれるフレーム番号に基づいて、予め信号の種類により区別された所定の時間範囲(火災転送信号用エリア、その他信号用エリア)にて送信する。なお、前述した電文を再送信しても上位機器からの確認応答がなかった場合には、感知器Dと同様に確認応答があるまで繰り返し行う。
【0097】
以上のように本実施の形態によれば、火災信号や状態情報信号等を無線信号にて送信する際に、送信前キャリアセンスを行って無線式中継器Bからの無線信号が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれるフレーム番号に基づいて、予め信号の種類により区別された所定の時間範囲(火災転送信号用エリア、火災通知信号用エリア、その他信号用エリア)にて送信するようにしている。これにより、無線式中継器Bは、ほぼ同時に異なる感知器Dから緊急性の高いイベント検出と低いイベント検出が発生しても緊急性の高い無線信号を優先して火災受信機Aに取り込ませることができる。
【0098】
また、火災信号や状態情報信号等を無線信号にて送信した際に上位機器からの確認応答を検知しなかったときには、信号の種類に応じて次の連続受信スロットにて再送信するようにしているので、緊急性の高い無線信号に対する処理が遅れるということがない。
【0099】
(付記)
付記1に係る火災報知設備は、火災現象に基づく環境変化を検知するとともに無線信号を送受信する感知器と、前記感知器を監視制御する火災受信機と、前記感知器と前記火災受信機との間に介在し、無線信号を中継する中継器と、前記感知器と前記中継器との間に介在し、少なくとも無線信号を中継するリピータ中継器とを備え、前記中継器及びリピータ中継器は、送信期間終了後に所定時間に亘り受信機能を起動させる連続受信スロットを有し、当該連続受信スロットは、予め信号の種類により、重要度が高い順に区別された、複数の無線信号用エリアが設定され、前記感知器は、無線信号を送信する際に、キャリアセンスを行って前記リピータ中継器からの無線信号が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれるフレーム番号に基づいて、前記リピータ中継器が送信終了後において、前記連続受信スロットの該当する無線信号用エリアに区別された所定の時間範囲にて送信し、前記リピータ中継器は、少なくとも前記感知器からの無線信号を転送する際に、キャリアセンスを行って前記中継器からの無線信号が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれるフレーム番号に基づいて、前記中継器が送信終了後において、前記連続受信スロットの該当する無線信号用エリアに区別された所定の時間範囲にて送信し、前記中継器は、前記リピータ中継器を介して前記感知器からの無線信号を受信して、その確認応答を示す無線信号を前記リピータ中継器に送信する際には、前記リピータ中継器が送信終了後において、前記連続受信スロットの該当する無線信号用エリアに区別された所定の時間範囲にて送信し、前記リピータ中継器における連続受信スロットは、前記感知器及び中継器から送信される無線信号を受信可能に構成したことを特徴とする。
【0100】
また、付記2に係る火災報知設備は、付記1に記載の態様において、前記感知器は、無線信号を送信した際に前記リピータ中継器からの確認応答を受信しなかったときには、その無線信号を再送信することを特徴とする。
【0101】
また、付記3に係る火災報知設備は、付記1または2に記載の態様において、前記リピータ中継器は、無線信号を転送した際に前記中継器からの確認応答を受信しなかったときには、その無線信号を再送信することを特徴とする。
【0102】
(付記の効果)
付記によれば、感知器は、無線信号を送信する際に、キャリアセンスを行って中継器からの無線信号が受信されているかどうかを判定し、無線信号が受信されているときにはその無線信号に含まれるフレーム番号に基づいて、中継器が送信終了後において、連続受信スロットの予め信号の種類により区別された所定の時間範囲にて送信するようにしている。これにより、中継器は、ほぼ同時に異なる感知器から緊急性の高いイベント検出と低いイベント検出が発生しても緊急性の高い無線信号を優先して火災受信機に取り込ませることができる。
また、無線信号を送信した際に中継器からの確認応答を検知しなかったときには、その無線信号を前記時間範囲にて再送信するようにしているので、緊急性の高い無線信号に対する処理が遅れるということがない。