特許第6028077号(P6028077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6028077多孔質ポリベンゾイミダゾール樹脂及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028077
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】多孔質ポリベンゾイミダゾール樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/28 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   C08J9/28 101
   C08J9/28CEZ
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-159582(P2015-159582)
(22)【出願日】2015年8月12日
(62)【分割の表示】特願2013-552011(P2013-552011)の分割
【原出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2015-193862(P2015-193862A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】13/014,976
(32)【優先日】2011年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506184772
【氏名又は名称】ピービーアイ・パフォーマンス・プロダクツ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,ジョン,ビー.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,カリン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】コープランド,グレゴリー,エス.
(72)【発明者】
【氏名】グリュンダー,マイケル
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5828008(JP,B2)
【文献】 特開昭60−170639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00〜3/28
9/00〜9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径が2.5μmを超え3.0μm以下の複数の孔を有する多孔質ポリベンゾイミダゾール(PBI)の粒子から構成されるポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項2】
前記粒子は500μm未満の平均粒子径を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項3】
前記粒子は50〜500μmの範囲の平均粒子径を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項4】
前記粒子は100〜400μmの範囲の平均粒子径を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項5】
前記樹脂は0.20未満の見かけ密度(g/cc)を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項6】
前記樹脂は0.01〜0.20の見かけ密度(g/cc)を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項7】
前記樹脂は0.03〜0.15の見かけ密度(g/cc)を有する請求項1に記載のポリベンゾイミダゾール樹脂。
【請求項8】
多孔質ポリベンゾイミダゾール樹脂の製造方法であって、
バージンPBI樹脂を極性の高い溶媒に溶解させること、
前記溶解されたPBI樹脂の溶液を浴中に沈殿させること、
前記沈殿したPBI樹脂を乾燥させ、平均直径が2.5μmを超え3.0μm以下の複数の孔を有する多孔質のPBI樹脂を得ること、
を有する製造方法。
【請求項9】
前記バージンPBI樹脂は、反応器から篩にかけられた樹脂である請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記極性の高い溶媒は、N−N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N−N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリジン(NMP)、ピリジン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記浴はPBI樹脂の非溶媒から構成される請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記PBI樹脂の非溶媒は水、メタノールまたはこれらの組合せから構成される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記沈殿は50〜90℃の範囲で行われる請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記沈殿は60〜80℃の範囲で行われる請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記浴を振動させる請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液を前記沈殿の前にろ過することをさらに有する請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記ろ過は目(メッシュ)の大きさが25μm以下であるフィルターにより行われる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記沈殿したポリベンゾイミダゾール樹脂を前記浴から分離することをさらに有する請求項に記載の方法。
【請求項19】
平均直径が2.5μmを超え3.0μm以下の複数の孔を有する多孔質ポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂と極性の高い溶媒を室温及び常圧で撹拌する工程を有するポリベンゾイミダゾール溶液の製造方法。
【請求項20】
前記極性の高い溶媒は、N−N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N−N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリジン(NMP)、ピリジン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリベンゾイミダゾール(PBI)、特に、容易に溶解する多孔質PBI樹脂、その樹脂の製造方法、及びその樹脂の溶液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂は、溶液に溶解することが困難である。さらに、PBI樹脂を溶解するプロセスは高温、高圧及び高シア速度が要求される。形成することができる溶液は、新種の溶媒、低濃度の溶解したPBIを有し、安定剤なしでは時間が経過すると不安定になる(例えば、固まるか、又は沈殿する)。新種の溶液としては、濃縮硫酸(HSO)、ギ酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドリン(NMP)、ピロリドリン及び塩基の混合溶液、液体スルホキシド、及び水又はアルコールが挙げられる。本明細書に組み込まれる、米国特許第26,065号、第3,502,606号、第4,321,182号、第4,785,038号、第5,066,697号、第5,674,614号、第5,902,876号及び第6,998,464号を参照されたい。これらの不安定溶液は安定化される。安定化化合物としては、例えば、塩化リチウム、塩化亜鉛、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、有機リチウム化合物(例えば、リチウムステアレート)及びアンモニウムアセテートが挙げられる。引用文献として本明細書に組み込まれる米国特許第3,502,606号、4,321,182号及び5,066、697号を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コーティング産業においては、製造業者は高い濃度、低い粘度、長いシェルフ寿命、高い純度(例えば、リチウム、塩素又はその類似物のような汚染物が存在しない)、及び面倒でないこと(例えば、フォームの使用に慣れている又は容易に混合される、すなわち、高温、高圧及び高シアを要求しない)が好まれる。
【0004】
したがって、迅速にかつ容易に(常温及び常圧で、容易に利用でき一般的に使用される混合装置を使用して)溶解するポリベンゾイミダゾール樹脂のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多孔質ポリベンゾイミダゾール(PBI)微粒子樹脂が開示される。この樹脂は常温及び常圧で容易に溶解する。この樹脂は、バージンPBI樹脂を高極性溶媒に溶解させ、溶解したPBIを浴中に沈殿させ、沈殿したPBIを乾燥することによって多孔質させることにより製造される。多孔質PBI樹脂は、多孔質PBI樹脂を高極性溶媒に室温及び常圧で混合して溶液を形成することにより溶解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の例示のために、現在の好ましい形を図面に示した。しかしながら、この発明は図示される厳密な配列及び器具に限定されるものでないことは言うまでもない。
図1図1は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(2,000x SEM)の顕微鏡写真を示す。
図2図2は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(10,000x SEM)の顕微鏡写真を示す。
図3図3は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(20x SEM)の顕微鏡写真を示す。
図4図4は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(20,000x SEM)の顕微鏡写真を示す。
図5図5は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(10,000x SEM)の顕微鏡写真を示す。
図6図6は、寸法が示された、本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂(20x SEM)の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ポリベンゾイミダゾール(PBI)は、例えば、テトラアミン(例えば、芳香族及び複素環式芳香族テトラ−アミノ化合物)と遊離したジカルボン酸、ジカルボン酸のアルキル及び/又は芳香族エステル、芳香族又は複素環ジカルボン酸、芳香族又は複素環ジカルボン酸のアルキル及び/又は芳香族エステル、及び/又は芳香族又は複素環ジカルボン酸のアルキル及び/又は芳香族無水物の溶融重合の製造物である。より詳しくは、それぞれ引用文献として本明細書に組み込まれる米国特許第26065号、第4506068号、第4814530号及び米国特許公開2007/0151926号公報から得られる。PBIポリマーは0.10〜2.00dL/gの範囲のIV(固有の粘性)を有することができる。本明細書で使用されるIV(固有の粘性)は、dL/g(デシリッタ/グラム)の単位で測定される、濃度0に外挿した溶液濃度に対する公知の濃度の溶液の特定の粘度の比である。それは、ポリマーの平均分子量に直接的に比例するものであり、試験されたポリマー試料の濃度、g/100ml又はg/デシリッタに基づくものである。ポリマーは、80℃で96.5%(+/−0.5%)硫酸100ml中に0.4%(w/v)レベル溶解される。ろ過後、25℃(+/−0.5%)水浴中で、等級づけられたCanon-Fenske毛細管粘度計を使用して、アリコットのVIを測定した。溶解溶液に対する測定されたPBIポリマー溶液の流出時間(秒)は、IV=ln(t/t)/cである。この式において、溶液の流出時間(t)に対するPBI溶液(t)の流出時間自然対数(log)は、PBI溶液濃度によって、除される。
【0008】
本発明で使用される芳香族及び複素環式芳香族テトラアミノ化合物は、好ましくは、3’, 3’, 4, 4’−テトラ−アミノビフェニル、2, 3, 5, 6−テトラ−アモノピリジン、1, 2, 4, 5−テトラ−アミノベンゼン、3, 3’, 4, 4’−テトラ−アミノジフェニルスルホン、3, 3’, 4, 4’−テトラ−アミノジフェニル エーテル、3, 3’, 4, 4’−テトラ−アミノジフェニル メタン、及び3, 3’, 4, 4’−テトラ−アミノジフェニルジメチルメタン、及びその塩であり、特に、そのモノ−、ジ−、トリ−及びテトラヒドロクロライド誘導体である。
【0009】
本発明で使用される芳香族カルボン酸は、ジカルボン酸又はそのエステル、又はその非水物又はその酸塩化物である。「芳香族カルボン酸」という用語は、等価的に、複素環式芳香族カルボン酸をも含む。好ましくは、芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、5―ヒドロキシ・イソフタル酸、4―ヒドロキシ・イソフタル酸、2―ヒドロキシ・テレフタル酸、5―アミノ・イソフタル酸、5―N,N―ジメチルアミノ・イソフタル酸、5―N―ジエチル・アミノ・イソフタル酸、2, 5―ジヒドロキシ・テレフタル酸、2, 6―ジヒドロキシ・イソフタル酸、4, 6―ジヒドロキシ・イソフタル酸、2, 3―ジヒドロキシ・フタル酸、2, 4―ジヒドロキシ・フタル酸、3, 4―ジヒドロキシ・フタル酸、3―フルオロ・フタル酸、5―フルオロ・イソフタル酸、2―フルオロ・テレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタール酸、1, 4―ナフタレンジカルボン酸、1, 5―ナフタレンジカルボン酸、2, 6―ナフタレンジカルボン酸、2, 7―ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1, 8―ジヒドロキシ・ナフタレン―3 (6)―ジカルボン酸、ジフェニル・エーテル―4, 4’―ジカルボン酸、ベンゾフェノン―4, 4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン―4, 4’―ジカルボン酸、ビフェニル―4, 4’―ジカルボン酸、4―トリフルオロメチルフタール酸、2、2―ビス(4―カルボキシ・フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4, 4−スチルベンジカルボン酸、4―カルボキシ桂皮酸、又はそれらのCl―C20―アルキル・エステル類又はC5―C12―アリール・エステル類又はそれらの酸無水物又はそれらの酸性塩化物である。
【0010】
本発明において使用する複素環式芳香族化合物カルボン酸は、複素環式芳香族化合物ジカルボン酸またはそれらのエステル類またはそれらの無水物である。「複素環式芳香族ジカルボン酸」は、の窒素、酸素、硫黄またはリン原子の少なくとも一つを含む芳香族を含む。好ましくは、ピリジン―2, 5―ジカルボン酸、ピリジン―3, 5―ジカルボン酸、ピリジン―2, 6―ジカルボン酸、ピリジン―2, 4―ジカルボン酸、4―フェニル―2,5―ピリジン ジカルボン酸、3,5―ピラゾール・ジカルボン酸、2,6―ピリミジン・ジカルボン酸、2,5―ピラジン・ジカルボン酸、2, 4, 6−ピリジントリカルボン酸、及びビベンゾイミダゾール−5, 6−ジカルボン酸、並びにそのC1-C20−アルキル・エステル又はC5−C12−アリールエステル又はその無水物又はその酸塩化物である。
【0011】
本発明において使用する芳香族及び複素環式ジアミノカルボン酸は好ましくはジアミノベンゾイック酸及びそのモノ−及びジヒドロクロライド誘導体である。
【0012】
好ましくは、少なくとも2つの異なる芳香族のカルボン酸の混合物が使用される。これらの混合物は、特に、N―複素環式芳香族化合物ジカルボン酸及び芳香族のジカルボン酸の混合物またはそれらのエステル類である。非限定的な実施例は、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,5―ジヒドロキシ・テレフタル酸の酸、2, 6―ジヒドロキシ・イソフタル酸、4,6―ジヒドロキシ・イソフタル酸、2,3―ジヒドロキシ・フタル酸、2,4―ジヒドロキシ・フタル酸、3―ジヒドロキシ・フタル酸、1, 4―ナフタレンジカルボン酸、1, 5―ナフタレンジカルボン酸、2, 6―ナフタレンジカルボン酸、2, 7―ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8―ジヒドロオキシナフタレン―3, 6―ジカルボン酸、ジフェニル・エーテル―4, 4’―ジカルボン酸、ベンゾフェノン―4, 4’―ジカルボン酸、ジフェニル・スルホン―4, 4’―ジカルボン酸、ビフェニル―4, 4’―ジカルボン酸、4―トリフルオロメチルフタール酸、ピリジン―3, 5―ジカルボン酸、ピリジン―3, 5―ジカルボン酸、ピリジン―2, 6―ジカルボン酸、ピリジン―2, 4―ジカルボン酸−4―フェニル―2、5―ピリジンカルボン酸、3, 5―ピラゾール・ジカルボン酸、2, 6―ピリミジン・ジカルボン酸および2, 5―ピラジン・ジカルボン酸である。好ましくは、ジフェニル・イソフタル酸塩(DPIP)およびそのエステルである。
【0013】
上記の方法に従って製造されることができるポリベンソイミダゾールの例は、以下のとおりである。ポリ−2, 2’−(m−フェニレン)−5, 5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2, 2’−(ビフェニレン−2”2’”)−5, 5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2, 2’−(ビフェニレン−4”4’”)−5, 5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2, 2’−(1”, 1”, 3”トリメチルインダニレン)−3”5”−p−フェニレン−5, 5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2, 2’−(m―フェニレン)―5, 5’―ビベンゾイミダゾール、2, 2−(1”, 1”, 3”―トリメチルインダニレン)−5”, 3−(p―フェニレン)―5,5’―ビベンゾイミダゾール共重合体、2, 2’―(m―フェニレン)―5, 5―ビベンズイミダゾール―2, 2’―ビフェニレン―2”, 2’”―5, 5’―ビベンズイミダゾール共重合体)、ポリ―2, 2’―(フリレレン―2”, 5”)―5, 5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2,2―(ナフタレン―1”, 6”)―5, 5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2,2’―(ナフタレン―2”, 6”)―5,5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2, 2’―アミレン−5, 5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2, 2―オクタ・メチレン―5, 5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2,2’―(m―フェニレン)―ジイミダゾベンゼン、ポリ−2, 2’―シクロ・ヘキセニル―5, 5’―ビベンズイミダゾール、ポリ―2, 2’―(m―フェニレン)―5, 5’―ジ(ベンゾイミダゾール)エーテル、ポリ−2, 2’―(―フェニレン)―5, 5’―硫化ジ(ベンゾイミダゾール)、ポリ−2, 2’−(m―フェニレン)―5, 5’(ベンゾイミダゾール)硫化物、ポリ−2, 2’−(m―フェニレン)―5, 5’(ベンゾイミダゾール)スルホン、ポリ−2, 2’−(m―フェニレン)―5, 5―ジ(ベンゾイミダゾール)メタン、ポリ−2, 2”−(m−フェニレン)−5, 5”−ジ(ベンゾイミダゾール)プロパン−2, 2、及びポリ−エチレン−1, 2−2, 2”−(m−フェニレン)−5, 5”−(ジベンゾイミダゾール)エチレン−1, 2であって、エチレン基の二重結合が最終ポリマーにおいて完全であるものである。好ましいポリマーであるポリ−1, 2’−(m―フェニレン)―5, 5―ビベンズイミダゾールは、3, 3’, 4, 4’―テトラアミノビフェニルに、イソフタル酸とジフェニルイソフタル塩又はジアルキルイソフタル酸塩、例えばジメチルイソフタル酸塩の組合せ、ジフェニル・イソフタル酸塩およびジアルキル・イソフタル酸塩の組合せ、又は少なくとも一つのジアルキル・イソフタル酸塩、例えば、ジメチルイソフタレートを反応させることによって製造される。
【0014】
本発明のポリベンゾイミダゾール樹脂は、多孔質ポリベンソイミダゾール(PBI)微粒子である。本発明のPBI樹脂は、図1(2,000x SEM)、図2(10,000x SEM)および図3(20x SEM)に示される。図1及び図2に示すように、樹脂の表面は孔(または空腔)によって多孔質(または穴だらけ)である。対照的に、親の(バージン)PBI樹脂は、図4(2,000x SEM)、図5(10,000x SEM)及び6(20x SEM)に示される。親(バージン)樹脂とは、重合反応器から収集された樹脂をいう(すなわち、砕けやすいフォームを粉砕して典型的な篩にかけた後)。図4および5に最もよく示されるように、親の(バージン)樹脂は、いかなる孔または空腔のない一般になめらかな表面を有して、穴がない。
【0015】
多孔質PBI微粒子は、以下の通りに更に特徴づけられる。微粒子の粒径は、一実施形態において、500ミクロン(μm)未満でよい。他の実施形態では、平均粒径は、50―500ミクロン(μm)の範囲でもよい。さらに別の実施形態では、平均粒径は、100―400ミクロン(μm)の範囲でもよい。
【0016】
一実施形態において、微粒子の孔は、3.0ミクロン(μm)未満の平均直径を有することができる。他の実施形態において、平均直径が0.01〜3.0ミクロンであることができる。さらに別の実施形態では、平均直径は、0.1〜2.5ミクロンの範囲でもよい。
【0017】
微粒子の見かけの密度は、一実施形態において、0.20g/cc未満でもよい。他の実施形態では、見かけの密度は、0.01〜0.20g/ccの範囲でもよい。さらに別の実施形態では、見かけの密度は、0.03〜0.15g/ccの範囲でもよい。対照的に、親(バージン)PBI樹脂は、0.40g/ccを超える見かけの密度を有する。見かけの密度は、AST―D1895(2003)、Method A(漏斗の代わりに紙から流出する、セクション7.3)で測定される。きれいなおよび乾燥計量カップ(88ml)から始めて、空のカップの重量を計る。次いで、カップ(例えば、>88ml)量より大きな樹脂の量を有するようにして、加重紙上に樹脂の堆積を注入する。カップを振ったり、触れることなく(すなわち、サンプルを圧縮することを回避して、カップの最上位で過剰な樹脂を放出するために、まっすぐな端を使用する(レベルが低下しても、追加の樹脂を加えない)必要に応じて、カップの外側を洗浄する。満たされたカップの重さを0.1g近傍として記録する。前述を2回繰り返して、結果を平均する。見かけの密度(g/cc)=(2つのサンプルの平均重量)/カップ容量である。
【0018】
多孔質PBI微粒子は、次のプロセスによって作ることができる。親(バージン)PBI樹脂は、高い極性を有する溶媒に溶解される。次いで、この溶液は、溶解したPBIが沈殿する、PBIの非溶剤の浴槽に接触する。沈殿したPBIは、濾過され、すすがれる。その後、沈殿した樹脂を乾燥する。
【0019】
一実施形態において、高い極性の溶媒中の親(バージン)の溶液濃度は、5〜30重量%の範囲でよい。他の実施形態では、濃度は8〜27の重量%の範囲でもよい。
【0020】
浴は、一実施形態において、加熱することができる。浴槽温度は、もう一つの実施形態は、50〜90°Cの範囲とすることができ、他の実施形態において、温度は70〜85°Cの範囲とすることができる。
【0021】
非常に高い極性の溶媒は、PBIを溶かすことができるいかなる極性の非常に高い溶媒でよい。この種の溶媒としては、濃硫酸(HS0)、ギ酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、Ν,Νジメチル・アセトアミド(DMAc)、N,Nジメチル・ホルムアミド(DMF)Nメチル―2−ピロリドン(NMP)、ピリジンおよび塩基、液体スルホキシドおよび水またはアルコールの混合溶液が挙げられる。
【0022】
浴は、PBIのいかなる非溶媒でもよい。非溶媒としては、限定するものではないが、水、メタノールおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
親(バージン)を浴に接触させることにより、非溶媒中にPBIの沈殿を促すことができる。従って、親溶液は、浴にゆっくり加えられなければならない。さらに、浴は接触および沈殿の間、振動されることが好ましい。
【0024】
沈殿した後に、樹脂は、例えば濾過により浴から分離される。残留物は、いかなる残留する溶媒および/または非溶媒も除去するために、十分にすすがれなければならない。
【0025】
すすいだ後に、樹脂を乾燥する。乾燥は、いかなる温度でも行うことができ、一実施形態において、温度は180°Cの範囲である。
【0026】
乾燥させた多孔質PBI樹脂は、使用のために溶媒化するまで再度湿気を帯びるのを回避するために乾燥した環境に保存しなければならない。
【0027】
多孔質PBI微粒子は、直ちに利用可能な器材を使用している周囲温度および圧力で溶解することができる。多孔質PBI微粒子は、室温および常圧で極性が非常に高い溶媒に、混合され、多孔質樹脂を溶液に溶解するように振動させられる。極性の非常に高い溶媒としては、限定はされないが、N―Nジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N―N―ジメチルホルムアミド(DMF)、Nメチル―2―ピロリジン(NMP)ピリジンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。40重量%までの溶液濃度を得ることができる。
【0028】
実施例
前述の本発明は、以下の非限定的な実施例において更に例示される。
本発明の多孔質PBI微粒子樹脂は、以下の手順によって作られた。親(バージン)PBI樹脂(0.8IV)の9重量%の溶液の240gは、80℃の振動する水6000ml中のゆっくりと浸漬された(約10ml/分)。混合は、高速(18,000回転数/分)で30分間続けられた。結果として得られる混合物は、ワットマン41粗目濾紙(www.whatmaninfo@ge.com)によりろ過した。残留物は温水(60―80°C)により、残留物900mlごとに総すすぎ容量900ml(例えば、各300mlで3回のすすぎ)使用してすすいだ。すすがれた残留物は、濾紙からゆるやかに乾燥するためのパンにスクラップにされた。乾燥は、少なくとも3時間、180°C±5℃の温度のオーブン中で行われた。大きな粒子は、#16の篩(1.19mm)でふるい分けられた。篩にかけられた材料は再度乾燥されて、溶液を製造するまで格納された(デシケータにおいて)。代表的な材料は、図1、2及び3に示される。次の分析、DSC(示差走査熱量計)およびTGA(熱重量分析)は、親(バージン)および多孔質樹脂の熱フロー曲線及び低下温度が同じことであることを示した。粒子分析(クールター粒子分布)は、多孔質樹脂は、親(バージン)樹脂より小粒径であること、すなわち、多孔質樹脂−モード185μm、95%の<827μmであるのに対して、親(バージン)樹脂−モード517μm、95%の<1138μmであることを示した。
【0029】
本発明の多孔質樹脂の溶液は、以下の通りにされた。5.6gの多孔質樹脂は、それぞれ54.4gのDMAc、54.4gのDMSO、54.4gのNMPの各々に加えられ、12gの多孔質樹脂は48gのDMAcに加えられた。これらの部分は、それぞれ9重量%のDMAc溶液、9重量%のDMSO溶液、9重量%のNMP溶液および20重量%のDMAc溶液により行った。多孔質樹脂は、空気(水分回復を回避するために)への最小の露出によって分量を測られて、溶媒を有する125ml(4oz)のキャップされた瓶に置かれた。前述の瓶は、それぞれ1時間振動され、一晩、放置された。親溶液(DMAcの中の親(バージン)樹脂の9重量%)の60gが用いられた。混合物の各々は、周囲温度および圧力の下でそれぞれの溶媒において直ちに溶解した。振動後の目視観察によれば、すべての混合物は、段階的に排除した9%のDMSOを除いては、溶液のままだった。2日後に、残留する溶液(9%のDMAc、9%NMPおよび20%のDMAc)は、完全なままだった。これは、これらの溶液のための十分な貯蔵寿命を示した。9%のDMAc多孔質樹脂および9%のDMAc親(バージン)樹脂の粘性の比較では、溶液による違いを示さなかった。
【0030】
本発明は趣旨およびその基本的属性から逸脱することなく、他の形で実施されることができる。したがって、本発明の範囲については、明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6