【実施例】
【0070】
以下、実施例及び比較例によって本発明の実施形態を具体的に説明する。
(実施例1)
<第一工程>
【0071】
100mlのナスフラスコに、RAFT剤としてのS-(チオベンゾイル)チオグリコール酸213.0mgと、重合開始剤としての4,4'-アゾビスシアノ吉草酸(純度98.0%)85.3mgと、酢酸20.0gとを入れて溶解した。そこへ蒸留精製されたアクリル酸5.0gを加え、10分間窒素で置換した。脱気した後、系を閉じ80℃で6時間加熱して反応させた。
【0072】
反応後、反応液に約200mlのアセトンを加えてポリマーを沈殿させ、これを約100mlのアセトンで3回洗浄して残留するRAFT剤、重合開始剤及び酢酸を除去した。得られた精製ポリマーを真空オーブンにて40℃で乾燥させ、淡赤色のポリアクリル酸型マクロRAFT剤を得た。化5に反応式を示す。
【0073】
【化5】
<分子量測定>
【0074】
GPCによる分子量の測定にあたり、THFに溶解可能とするために、またカルボキシル基による悪影響を回避するために、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤のカルボキシル基をエステル化した。
【0075】
15mlの試験管に得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤約0.3gを精秤し、約5mlのメタノールを入れて溶解した。次にトリメチルシリルジアゾメタン約3mlを発泡がなくなるまで徐々に滴下し、一昼夜撹拌した。反応後、沈殿したポリアクリル酸メチルエステルを濾過回収し、真空乾燥機で乾燥させた。得られたポリマーをポリマー濃度0.1重量%となるようにTHFに溶解させ、GPC測定を行った。GPC曲線を
図1に示す。
図1から、このポリアクリル酸型マクロRAFT剤は単峰性のピークを示し、ほぼ均一な分子量分布を有していることがわかる。
<第二工程>
【0076】
イオン交換水5mlに1-ブタノール0.5mlを溶解させ、そこへ第一工程で得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤0.5gと、ジビニルベンゼン0.05gを混合した(表1に示すX
w=10/100)。これに50kHzの超音波を照射して乳化させた後、9.3Paの減圧雰囲気にて80℃に加熱して8時間反応させた。反応前に乳化していた溶液は、加熱によって透明になり、反応後も透明な状態で安定していた。
【0077】
化6に反応途中までの反応式を示す。化6における未反応のジビニルベンゼンの二重結合がさらに反応することで、コポリマーが形成され、粒子が形成される。
【0078】
【化6】
<ポリマーの解析>
【0079】
反応後の溶液を完全に乾燥させ、乾燥した反応物を濃度0.002g/10mlとなるようにイオン交換水に溶解した。紫外可視分光光度計(日本分光製「JASCO V-530」)を用い、リファレンスにイオン交換水を用いて、UV-vis測定を行った。また第一工程で得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤(PAAマクロRAFT剤)も同様に測定した。結果の一部を
図2に示す。
図2から、第二工程を行ったことで240〜250nmのベンゼン環由来の吸収ピークが増加していることが明らかであり、これはポリアクリル酸型マクロRAFT剤とジビニルベンゼンが反応したことを意味している。
【0080】
また266nmの吸光度を測定し、重合したジビニルベンゼンのベンゼン環の吸収を求め、生成物中のジビニルベンゼンの組成(重量%)を算出した。266nmのベンゼン環のモル吸光係数にはキシレンのモル吸収係数(ε=2.89L/(mol・cm))を用いた。結果をDVB濃度として表1に示す。
【0081】
反応後の溶液をイオン交換水で大希釈し、マイクログリッドにスプレーしてTEM観察を行った。ジビニルベンゼン由来の部位の染色にRuO4を用いている。TEM画像を
図3に示す。
【0082】
図3には、濃灰色のコア部1の周辺を淡灰色のシェル部2が取り囲むコア−シェル型のポリマー微粒子が観察される。このポリマー粒子は、
図4に模式的に示されるように、強く染色されたコア部1がジビニルベンゼン由来のベンゼン環とRAFT剤としてのS-(チオベンゾイル)チオグリコール酸由来のベンゼン環とのポリマーゲルからなり、淡く染色されたシェル部2がポリアクリル酸ブロックからなる本発明のポリマーが形成されている。またTEM画像からコア部1の径とシェル部2の厚さを測定し、それぞれの結果を平均値で表1に示す。
(実施例2〜4)
【0083】
実施例1の第一工程と同様に形成されたポリアクリル酸型マクロRAFT剤を用い、ジビニルベンゼンの仕込み量を0.025g、0.012g、0.005gに変更したこと以外は実施例1と同様にして第二工程を行い、それぞれのポリマーを得た。
【0084】
得られた各ポリマーについて、実施例1と同様にしてUV-vis測定とTEM観察を行い、結果を
図2、
図5〜7及び表1に示す。表1には、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比をX
wで示している。また実施例1〜4について、第二工程終了後の溶液をイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定し、結果を
図8に示す。さらに、TEM画像からコア部1の径とシェル部2の厚さを測定し、それぞれの結果を平均値で表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
図8より、実施例1では粒径が約1000nmの単分散の微粒子が得られた。また、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比(X
w)が小さくなるにつれて粒径が小さくなる傾向が認められる。また表1より、X
wの変動は、シェル部の厚さにはほとんど影響しないが、コア部の径に大きく影響することがわかる。したがって
図8におけるX
wの低減による粒径の減少は、コア部の径が小さくなることによるものである。すなわち、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比(X
w)を調整することで、得られるポリマーの粒径を精密に制御することができる。なお表1におけるポリマー粒子径は、水で大希釈した状態の粒子径であるので、コア部とシェル部の値とは相対的な比較しかできない。
(実施例5)
【0087】
表2に示すように、RAFT剤と重合開始剤の仕込み量を変化させたこと以外は実施例1と同様にして第一工程を行った。実施例5で得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤の
1H-NMR測定の結果を
図9に示す。なお表2には、実施例4,6,11で合成されたポリアクリル酸型マクロRAFT剤の数値も示している。
【0088】
【表2】
【0089】
図9より、1.5〜2.5ppm付近にポリアクリル酸由来のピークが確認され、RAFT剤のベンゼン環のプロトンも見られた(7.5〜8.0ppm)。よってRAFT重合が進行したと考えられる。RAFT剤は片末端に導入されたものと仮定して、このピークから数平均分子量(Mn-NMR)(表2参照)を算出し、アクリル酸モノマーとRAFT剤との比から算出した理論値と比較した結果を
図10に示す。理論値に近い値が得られたので、RAFT重合が順調に進行したと考えられる。なお
1H-NMR測定はNMR spectrometer(JEOL,GSX,400MHz)によって行い、積算回数は32回、室温とした。
【0090】
イオン交換水5mlに1-ブタノール0.5mlを溶解させ、そこへ上記のポリアクリル酸型マクロRAFT剤0.5gと、ジビニルベンゼン0.005gを混合した(表3に示すX
w=1/100)こと以外は実施例4と同様にして第二工程を行い、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図11に示す。また表2に示した数平均分子量(Mn-NMR)からポリアクリル酸型マクロRAFT剤のモル量を算出し、表3に示す。
(実施例6)
【0091】
表2に示すように、RAFT剤と重合開始剤の仕込み量を変化させたこと以外は実施例1と同様にして第一工程を行った。得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤を用いたこと以外は実施例5と同様にして第二工程を行い、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図11に示す。また表2に示した数平均分子量(Mn-NMR)からポリアクリル酸型マクロRAFT剤のモル量を算出するとともに、実施例1と同様にしてDVB濃度を測定し、結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
いずれの実施例でも粒径が約250nmの小さい粒子と、約1000nmの大きな粒子が測定され、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の分子量がポリマー粒径へ及ぼす影響は認められなかった。しかし、ジビニルベンゼンのビニル基とポリアクリル酸型マクロRAFT剤との当量比の観点からすると、ジビニルベンゼンのビニル基が多くなるほど径の大きな粒子が増加している。これはコア部の径が大きくなるほどポリマー粒子の粒径が大きいという実施例1〜4の結果を裏付けている。
(実施例7〜9)
【0094】
表4に示すように、第二工程における溶媒中の水と1-ブタノールの比率を変化させたこと以外は実施例5と同様にしてポリマー溶液を得た。これらのポリマー溶液をイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図12に示す。
【0095】
【表4】
実施例5,9のポリマーにおいては多分散となったが、実施例7,8のポリマーは単峰性を示した。したがって水のみよりアルコールを少量添加するのが好ましい。また粒径制御の観点からは、アルコール分率を1%前後に調整するのが好ましい。
(実施例10)
【0096】
イオン交換水5mlに1-ブタノール1.0mlを溶解させ、そこへ実施例6の第一工程で得られたポリアクリル酸型マクロRAFT剤0.59gと、スチレン0.23gと、ジビニルベンゼン0.23gを混合したこと以外は実施例1の第二工程と同様にしてポリマー溶液を得た。安定に乳化した状態で重合が進行した。得られたポリマー溶液を絶乾し、得られたポリマーをFT-IR測定した。結果を
図13に示す。698cm
−1、902cm
−1、987cm
−1に芳香環のピークが見られ、ジビニルベンゼンにスチレンを混合した系においても本発明のポリマーが得られることがわかる。
[比較例]
<第一工程>
【0097】
100mlのナスフラスコに、RAFT剤としてのS-(チオベンゾイル)チオグリコール酸108.9mgと、重合開始剤としての2,2'-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride(AIBI)49.8mgと、酢酸エチル5.15gとを入れて溶解した。そこへ蒸留精製されたアクリル酸5.0gを加え、10分間窒素で置換した。脱気した後、系を閉じ60℃で6時間加熱した。
【0098】
得られた溶液を絶乾し、生成物をFT-IR測定した。しかしRAFT剤のベンゼン環由来のピークが認められず、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤は得られなかった。すなわち、第一工程の溶媒には酢酸が最適であり、酢酸エチルは用いられない。
[試験例]
【0099】
実施例4のポリマーを0.01wt%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に混合した。このポリマー溶液100gに対し、分散剤を含まないケッチェンブラック粉末0.01gを混合し、50kHzの超音波を照射して分散させた。一方、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100gに対して分散剤を含まないケッチェンブラック粉末0.01gを混合し、50kHzの超音波を照射して分散させた。
【0100】
これらの溶液について、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図14に示す。実施例4のポリマーのみ、及びケッチェンブラックのみでは出現しない30nm近傍のピークが、実施例4のポリマー溶液にケッチェンブラックを混合した場合にのみ出現している。
【0101】
すなわち実施例4のポリマーにケッチェンブラックを混合することでケッチェンブラックの分散性が向上したことがわかり、本発明のポリマーはケッチェンブラックなどの導電助剤を含む電極用のバインダとして有効である。
(実施例11〜14)
【0102】
RAFT剤と重合開始剤の仕込み量を変化させたこと以外は実施例1と同様にして第一工程を行い、数平均分子量(Mn-NMR)が22,000のポリアクリル酸型マクロRAFT剤を合成した。
【0103】
このポリアクリル酸型マクロRAFT剤を用い、ジビニルベンゼン(DVB)の仕込み量を0.005g、0.012g、0.025g、0.05gに変更したこと以外は実施例1と同様にして第二工程を行い、それぞれのポリマーを得た。
【0104】
得られた各ポリマーをそれぞれイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定によりポリマーの平均粒子径を測定した。結果を表5に示す。表5には、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比をX
wで示している。
【0105】
【表5】
(実施例15)
<第一工程>
【0106】
100mlのナスフラスコに、RAFT剤としてのS-(チオベンゾイル)チオグリコール酸555.0mgと、重合開始剤としての4,4'-アゾビスシアノ吉草酸(純度98.0%)222mgと、酢酸52.0gと、イタコン酸1.95gを入れて溶解した。そこへ蒸留精製されたアクリル酸11.1gを加え、10分間窒素で置換した。脱気した後、系を閉じ80℃で6時間加熱して反応させた。
【0107】
反応後、反応液を約100mlのアセトンに滴下し傾斜法で沈殿物を回収した。これを約100mlのアセトンで2回洗浄して残留するRAFT剤、重合開始剤及び酢酸を除去した。得られた精製ポリマーを真空オーブンにて室温で乾燥させ、アクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤を得た。得られたアクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤の
1H-NMR測定の結果を
図15に示す。
【0108】
図15より、1.5ppm〜2.5ppm付近にアクリル酸−イタコン酸共重合型ポリマー由来のピークが確認され、RAFT剤のベンゼン環のプロトンも見られた(7.5ppm〜8.0ppm)。よってRAFT重合が進行したと考えられる。また、アクリル酸モノマー及びイタコン酸モノマー共通の構造由来のピーク(a+b)とアクリル酸モノマー固有の構造由来のピーク(c)の面積比(a+b):Cが136.77:37.95であるため、アクリル酸が84.7mol%、イタコン酸が15.3mol%の組成の共重合体であると考えられる。なお
1H-NMR測定はNMR spectrometer(JEOL,GSX,400MHz)によって行い、積算回数は32回、室温とした。またGPCによって測定された重量平均分子量は11,700であった。反応途中の反応式を[化7]に示す。
【0109】
【化7】
<第二工程>
【0110】
100mlナスフラスコに第一工程で得られたアクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤5.0gを秤量し、ジビニルベンゼン0.053gと1-ブタノール5.0mlを添加した。これを攪拌しながら、イオン交換水50mlを少量ずつ滴下し、50kHzの超音波を照射して乳化させた。アクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤が完全に溶解後、9.3Paの減圧雰囲気にて100℃に加熱して8時間反応させた。反応前に乳化していた溶液は、加熱によって透明になり、反応後も透明な状態で安定していた。重合後、真空乾燥機にて反応溶液を35℃で乾燥させた。
<ポリマーの解析>
【0111】
収率は88.2%であり、UV-vis測定(266nm,ε=2.89L/(mol・cm))によるジビニルベンゼン含有量は0.61重量%であった。
[試験例]
【0112】
得られたポリマーを二次電池の負極用バインダとして用いることを想定し、イオン交換水又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中における導電助剤の分散性を調査した。得られたポリマーを2.2ml試料瓶に秤量し、溶媒(イオン交換水又はNMP)を添加して超音波を20分間照射し溶解させた。ポリマー濃度は20重量%とした。別の2.2ml試料瓶にケッチェンブラック(KB)又はアセチレンブラック(AB)を秤量し、そこへポリマー溶液を滴下し、スパチュラを用いて10秒攪拌した。その後、重量比(ポリマー/溶媒)が0.0001となるようにポリマー溶液と同一の溶媒を添加し、スパチュラを用いて10秒攪拌して試料とした。試料の重量比(KB/溶媒)は0.000033であり、重量比(AB/溶媒)は0.0001である。
【0113】
また比較のために、ケッチェンブラック(KB)又はアセチレンブラック(AB)を秤量し、そこへポリマーを含まない溶媒のみを上記と同様の濃度となるように添加し同様に攪拌したものも試料とした。
【0114】
これらの試料を用い、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図16〜
図19に示す。各図から、本発明のポリマーを負極用バインダとして用いる場合には、溶媒としてNMPよりイオン交換水を用いることで、ケッチェンブラック(KB)又はアセチレンブラック(AB)の分散性が向上していることがわかる。
(実施例16〜19)
【0115】
アクリル酸、イタコン酸、RAFT剤としてのS-(チオベンゾイル)チオグリコール酸、重合開始剤としての4,4'-アゾビスシアノ吉草酸、及び酢酸の仕込み量を表6に示すように変化させ、それぞれ実施例15と同様にして第一工程を行った。
1H-NMR測定の結果、いずれの例もアクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤が得られた。表6には、実施例15の仕込み量も示している。
【0116】
【表6】
【0117】
(実施例20〜24)
実施例16のアクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤を用い、ジビニルベンゼン(DVB)の仕込み量を0.005g、0.012g、0.025g、0.05gに変更したこと以外は実施例1と同様にして第二工程を行い、それぞれのポリマーを得た。得られた各ポリマーをそれぞれイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定によりポリマーの平均粒子径を測定した。結果を表7に示す。表7には、アクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比をX
wで示している。
【0118】
【表7】
【0119】
表7より、アクリル酸−イタコン酸共重合型マクロRAFT剤に対するジビニルベンゼンの量を調整することで、得られるポリマーの平均粒子径を制御できることがわかる。
【0120】
得られた各ポリマーをそれぞれイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定により粒度分布を測定した。結果を
図20に示す。
図20から、各実施例のポリマーの粒度分布がシャープであることがわかる。
(実施例25〜28)
【0121】
実施例1の第一工程で合成されたポリアクリル酸型マクロRAFT剤を用い、ジビニルベンゼン(DVB)の仕込み量を0.005g、0.012g、0.025g、0.05gに変更したこと以外は実施例1と同様にして第二工程を行い、それぞれのポリマーを得た。
【0122】
得られた各ポリマーをそれぞれイオン交換水で希釈し、動的光散乱(DLS)測定によりポリマーの平均粒子径を測定した。結果を表8に示す。表8には、ポリアクリル酸型マクロRAFT剤の仕込み量に対するジビニルベンゼンの仕込み量の重量比をX
wで示している。
【0123】
【表8】
【0124】
表5,7,8をグラフ化したものを
図21に示す。
図21からはマクロRAFT剤に対するジビニルベンゼンの量には最適範囲があることが示唆される。