【文献】
Hakan Johansson,Relations Between Zero-IF Receiver I/Q and TI-ADC Channel Mismatches,IEEE Transactions on Signal Processing,2014年 7月 1日,Vol.62, No.13,pp.3403-3414
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記I/Qチャネル・ミスマッチは、前記中間信号v(n)に、前記取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することで補償され、それにより、前記中間信号v(n)の補償されたバージョンvc(n)が取得される、請求項1および2の何れか1項に記載の方法。
前記I/Qチャネル・ミスマッチは、前記取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、前記I/Qチャネル・ミスマッチを最初に推定し、次いで前記離散時間複素値信号r(n)に、前記推定されたI/Qチャネル・ミスマッチに基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することで補償され、それにより、前記離散時間複素値信号r(n)の補償されたバージョンrc(n)を取得する、請求項1および2の何れか1項に記載の方法。
前記中間信号v(n)を形成するステップは、前記取得された離散時間複素値信号r(n)の夫々の実部および虚部から全ての秒サンプルを交互に取得するステップを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
前記補償回路(206)は、前記中間信号v(n)に、前記取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することで前記I/Qチャネル・ミスマッチを補償し、それにより、前記中間信号v(n)の補償されたバージョンvc(n)を取得するように構成された、請求項10および11の何れか1項に記載の装置。
前記推定回路(205)および補償回路(206)は、前記取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、前記I/Qチャネル・ミスマッチを最初に推定し、次いで前記離散時間複素値信号r(n)に、前記推定されたI/Qチャネル・ミスマッチに基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することで前記I/Qチャネル・ミスマッチを補償することにより、前記I/Qチャネル・ミスマッチを補償し、それにより、前記離散時間複素値信号r(n)の補償されたバージョンrc(n)を取得するように構成された、請求項10および11の何れか1項に記載の装置。
前記形成回路(203)は、前記取得された離散時間複素値信号r(n)の夫々の実部および虚部から全ての秒サンプルを交互に取得するように構成された、請求項10乃至14の何れか1項に記載の装置。
前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチは、前記中間信号r(n)に、前記取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することで補償されており、それにより、前記中間信号r(n)の補償されたバージョンrc(n)を取得する、請求項19に記載の方法。
前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチは、前記取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを最初に推定し、次いで前記離散時間信号v(n)に、前記2チャネルTI−ADCの前記推定された周波数依存ミスマッチに基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することで前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを補償することで補償され、それにより、前記離散時間信号v(n)の補償されたバージョンvc(n)を取得する、請求項19に記載の方法。
前記補償回路(906)は、前記中間信号r(n)に、前記取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続き適用することで前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを補償し、それにより、前記中間信号r(n)の補償されたバージョンrc(n)を取得するように構成された、請求項23に記載の装置。
前記推定回路(905)および補償回路(906)は、前記取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを最初に推定し、次いで前記離散時間信号v(n)に、前記2チャネルTI−ADCの前記推定された周波数依存ミスマッチに基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することで前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを補償することで、前記2チャネルTI−ADCの前記周波数依存ミスマッチを補償し、それにより前記離散時間信号v(n)の補償されたバージョンvc(n)を取得ように構成された、請求項23に記載の装置。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】L. Yu and W. Snelgrove, “A novel adaptive mismatch cancellation system for quadrature IF radio receivers,” IEEE Trans. Circuits Syst. II: Analog and Digital Signal Processing, vol. 46, no. 6, pp. 789-801,June 1999
【非特許文献2】K. Pun, J. Franca, C. Azeredo-Leme, C. Chan, and C. Choy, “Correction of frequency-dependent I/Q mismatches in quadrature receivers,” Electronics Lett., vol. 37, no. 23, pp. 1415-1417, Nov. 2001
【非特許文献3】G. Xing, M. Shen, and H. Liu, “Frequency offset and I/Q imbalance compensation for direct-conversion receivers,” IEEE Trans. Wireless Comm., vol. 4, no. 2, pp. 673-680, Mar. 2005
【非特許文献4】B. Kirei, M. Neag, and M. Topa, “Blind frequency-selective I/Q mismatch compensation using subband processing,” IEEE Trans. Circuits Syst. II: Express Briefs, vol. 59, no. 5, pp. 302-306, May 2012
【非特許文献5】Anttila, M. Valkama, and M. Renfors, “Circularity-based I/Q imbalance compensation in wideband direct-conversion receivers,” IEEE Trans. Vehicular Technology, vol. 57, no. 4, pp. 2099-2113, July 2008
【非特許文献6】T. Tsai, P. J. Hurst, and S. H. Lewis, “Bandwidth mismatch and its correction in time-interleaved analog-to-digital converters,” IEEE Trans. Circuits Syst. II, vol. 53, no. 10, pp. 1133-1137, Oct. 2006
【非特許文献7】M. Seo, M. J. W. Rodwell, and U. Madhow, “Comprehensive digital correction of mismatch errors for a 400-msamples/s 80-dB SFDR time-interleaved analog-to-digital converter,” IEEE Trans. Microwawe Theory Techniques, vol. 53, no. 3, pp. 1072-1082, Mar. 2005
【非特許文献8】S. Mendel and C. Vogel, “A compensation method for magnitude response mismatches in two-channel time-interleaved analog-to-digital converters,” in Proc. IEEE Int. Conf. Electronics, Circuits, Syst., Nice, France, Dec. 2006
【非特許文献9】--, “On the compensation of magnitude response mismatches in M channel time-interleaved ADCs,” in Proc. IEEE Int. Symp. Circuits, Syst., New Orleans, USA, May 2007, pp. 3375-3378
【非特許文献10】M. Seo, M. J. W. Rodwell, and U. Madhow, “Generalized blind mismatch correction for two-channel time-interleaved A-to-D converters,” in Proc. IEEE Int. Conf. Acoustics, Speech, Signal Processing, Hawaii, USA, Apr. 2007
【非特許文献12】--, “Generalized blind mismatch correction for a two-channel time interleaved ADC: Analytic approach,” in Proc. IEEE Int. Symp. Circuits Syst., New Orleans, USA, May 27-30 2007
【非特許文献13】P. Satarzadeh, B. C. Levy, and P. J. Hurst, “Bandwidth mismatch correction for a two-channel time-interleaved A/D converter,” in Proc. IEEE Int. Symp. Circuits Syst., New Orleans, USA, May 2007
【非特許文献14】H. Johansson and P. Lowenborg, “A least-squares filter design technique for the compensation of frequency-response mismatch errors in time interleaved A/D converters,” IEEE Trans. Circuits Syst. II: Express Briefs, vol. 55, no. 11, pp. 1154-1158, 2008
【非特許文献15】H. Johansson, “A polynomial-based time-varying filter structure for the compensation of frequency-response mismatch errors in time-interleaved ADCs: Special issue on DSP techniques for RF/analog circuit impairments,” IEEE J. Selected Topics Signal Processing, vol. 3, no. 3, pp.384-396, June 2009
【非特許文献16】Y. C. Lim, Y. X. Zou, J. W. Lee, and S. C. Chan, “Time-interleaved analog-to-digital converter compensation using multichannel filters,” IEEE Trans. Circuits Syst. I: Regular Papers, vol. 56, no. 10, pp. 2234-2247, Oct. 2009
【非特許文献17】C. Vogel and S. Mendel, “A flexible and scalable structure to compensate frequency response mismatches in time-interleaved ADCs,” IEEE Trans. Circuits Syst. I: Regular papers, vol. 56, no. 11, pp. 2463-2475, Nov. 2009
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の諸実施形態に向けての開発の一部として、発明者は、I/Q下方変換信号、即ち、例えば、零IFを含む低IFの受信器に存在する複素値信号に対する同相直角位相(I/Q)チャネル・ミスマッチ問題が、TI−ADCとも称されうる2チャネル・タイムインタリーブ型(TI)アナログ・デジタル変換器(ADC)に存在する実信号チャネル・ミスマッチ問題と関連することを示すことができた。当該問題を、当該問題の1つが与えられれば、比較的単純な信号処理操作を介してその他の問題に変換できるという意味で関連するとみなしてもよい。これは、TI−ADC内のミスマッチ推定および/または補償に利用可能な手続きの何れかを利用することによって、I/Qミスマッチを補償でき(これはしばしばバランスされるとも呼ばれる)、逆も成り立つことを意味する。したがって、これは基本的には、信号、例えば、「I/Q下方変換信号」を対応する「TI−ADC信号」に適切に変換して「TI−ADC信号」に利用可能な推定および/または補償手続きを利用できるようにする問題になる。かかる手続きの適用後、推定されたミスマッチおよび/または補償された信号を、対応する推定された「I/Q信号」ミスマッチおよび/または補償された「I/Q信号」に変換し戻してもよい。
【0015】
当業界では、これらの2つの異なる「問題領域」に対する補償機構、および、一般に当該問題領域に関連する解決策が、互いと独立に開発されている。換言すれば、「I/Q問題領域」におけるI/Q下方変換信号に対する補償手続きは、「TI−ADC問題領域」におけるTI−ADCに対する補償手続きの知識を考慮することなく開発され、逆も当てはまる。
【0016】
以上を、本発明の諸実施形態の基本的な概念と見なしてもよく、例えば、I/QおよびTI−ADCチャネル・ミスマッチ補正の両方を実施する必要がある場合に、有利に利用することができる。なぜならば、例えば、ハードウェア・リソースを節約できる両方のアプリケーションに対して同一の補償および推定原理を利用できるからである。また、TI−ADCミスマッチ推定および/または補償の利用により、例えば、零IF受信器におけるI/Q下方変換信号に対する複素信号ミスマッチ推定および補償問題に対して実信号処理の解決策が提供される。
【0017】
上述の基本的な概念から、どのように補償を実行するかの2つの基本的な選択肢または代替手段が可能であることが理解される。これについては下記でさらに詳細に説明するが、手短に述べると、第1の代替手段は、I/QまたはTI−ADCミスマッチ問題の1つが与えられると、当該推定および補償の両方が、その他の問題に利用可能な技術を用いて実施されるというものである。第2のものは、推定の部分のみがその他の問題に利用可能な技術を介して行われ、補償は元の問題に関してより従来型の方法で行われるというものである。
【0018】
上述の関係に鑑みて、本発明の諸実施形態に関するより詳細な情報を提示する前にTI−ADC関連の問題および既存の解決策を議論すること、即ち、I/Q下方変換器関連の問題および解決策を上述の背景技術で説明したのと同様にTI−ADC関連の問題および解決策を議論するのが適切である。
【0019】
アナログ・デジタル変換の状況では、複数の並列アナログ・デジタル変換器(ADC)、即ち、TI−ADCの時間インタリーブが、全体の変換器の効果的なサンプリング速度を高めるために潜在的に魅力的な技術である。Mチャネルのタイムインタリーブ型ADCを用いると、当該効果的なサンプリング速度はMの倍数で増大する。不都合なことに、個々のチャネル変換器の効果的な解像度はチャネル・ミスマッチ誤差のため全体の変換器では保持されていない。したがって、これらのエラーを補償して解像度を復元することが必要である。一定の解像度まで、チャネル周波数応答が周波数独立な大きさおよび位相遅延応答を有し、これは静的利得および線形位相(タイム・スキュー)ミスマッチ誤差に対応すると仮定してもよい。利得誤差がなければ、このケースは不均一なサンプリングに対応し、問題は、均一な−サンプリング・シーケンスを不均一な−サンプリング・シーケンスから復元することである。多数の論文が、過去数十年にわたってこの問題を扱ってきた。しかし、高速変換に対して超高解像度に達するために、このチャネル・モデルを一般的な周波数応答に、したがって周波数依存の規模と位相遅延応答を有するものに拡張する必要がある。この場合、真正応答の近似に対応する静的利得および線形位相部分だけでなく、これらの周波数応答ミスマッチ誤差に対しても補償しなければならない。当該問題を解決するための、即ち、ミスマッチを推定および/または補償するためのかかるより一般的な問題および様々な手続きは例えば非特許文献6乃至17に開示されている。
【0020】
回路の誤差補正の状況では較正という用語を使用するのが一般的である。しかし、本明細書の状況では、較正とはチャネル・ミスマッチの推定と補償に及ぶ。当該補償は一般に、一定のフィルタ順序の1つまたは幾つかのフィルタを用いて時間領域で行われる。推定は一般にフィルタ係数の決定に及ぶ。これは、例えば測定されたチャネル応答ミスマッチが与えられれば間接的に行ってもよく、または、例えば、適切なコスト測定値、例えば、上述の先行技術の手続きの一部と同様に不適切性または周期定常性の度合いを最小化することで直接的に行ってもよい。したがって、ミスマッチの推定値は、当該補償に対するフィルタ係数として直接または間接に使用できる情報を含む。間接的に推定されたフィルタ係数は例えばミスマッチ誤差の推定を含んでもよく、すると、これは推定されたミスマッチ誤差に基づいてフィルタ係数を決定するフィルタ設計の問題である。先行技術、例えば、上述のように、推定および/または補償の手続き、機構、構造等に関する先行技術は、どのように推定の結果を補償において使用できるかおよびどのように推定および補償を実行できるかの詳細な例を提供している。したがって、かかる詳細はこれ以上本明細書では説明しない。その代り、上述の関係、信号変換、およびこれをどのように利用できるかに着目する。
【0021】
以上から、「推定」という用語を本明細書で主語として、また、「推定されたミスマッチ」として使用するとき、これは、ミスマッチを補償するためのフィルタ係数に対応するかまたは当該フィルタ係数を決定するために使用できる1つまたは複数のパラメータに対応するかまたは当該パラメータにより表してもよいことは理解される。
【0022】
以下の説明は主に、当業者以外の本明細書の読者、即ち、当業者と対照的に本明細書で使用される幾つかの記法や表現が意味および/または言及するものを良く理解できない読者に対する手助けとして意図したものである。離散時間(DT)信号は、例えばx
DTと表され、x
DT(n)により参照される。x
DTは、例示的な記法にすぎず、nは離散時間信号x
DTが定義される離散時間のインスタンスを指す整数の変数である。これを、連続時間(CT)信号、例えばx
CTと表されx
CT(t)で参照される連続時間(CT)信号と比較してもよい。x
CTは例示的な記法にすぎず、tは、x
CTが定義される連続時間値を参照する時間変数である。2つの連続整数nの間の時間的距離は一般にTで表され、一般にサンプル期間に対応する。実際には、離散時間信号、例えばx
DT(n)は、整数nごとに夫々の値をもつ、x
DTの値のシーケンスに対応する。例えば、n=1、2、・・・Nである。CT信号に使用される典型的な周波数変数は角周波数ωであり、単位はラジアン/秒(rad/s)である。DT信号に使用される典型的な周波数変数はωTであり、単位はラジアン(rad)である。複素値信号は実部と虚部を含む。実部を実数値部と称してもよく、虚部を虚数値部と称してもよい。実部を例えばRE(n)とし、虚部を例えばIM(n)とする場合、複素信号をRE(n)+jIM(n)と表すことができる。jは所謂虚数単位であり、j=√(−1)である。
【0023】
I/Q下方変換信号の同相直角位相「I/Q」チャネル・ミスマッチを処理するための方法に関する本発明の諸実施形態を、
図1に示す流れ図を参照して検討し説明する。当該方法は以下の動作を含む。当該動作を任意の適切な順序で行ってもよい。さらに、動作を結合してもよい。
【0024】
動作101
I/Q下方変換信号のアナログ・デジタル変換に基づいて離散時間複素値信号r(n)が取得される。取得された信号は2以上の倍数によりオーバーサンプルされる。2のオーバサンプリングは、単純かつ効率的な実装を可能とするので、特定の利点を有する。当業者により理解されるように、少なくとも2のオーバサンプリングは、ω
cT<π/2となるようにr(n)が角度カットオフ周波数を有し、r(n)がしたがって[−ω
cT、ω
cT]に帯域制限されることに対応する。ω
cは角度カットオフ周波数であり、Tはアナログ・デジタル変換で使用されるサンプル期間に対応する。
【0025】
幾つかの実施形態では、動作101は副次的動作101aを含み、広帯域離散時間複素値信号r
w(m)がI/Q下方変換信号のアナログ・デジタル変換に基づいて取得される。ここでの「広帯域」とは、r
w(m)がω
cT≧π/2となるように角度カットオフ周波数を有することを示す。ω
cは角度カットオフ周波数であり、Tはアナログ・デジタル変換で使用されるサンプル期間に対応する。これらの諸実施形態では、副次的動作101aの次に副次的動作101bが続き、r
w(m)を補間して、2以上の倍数によりオーバーサンプルされるr(n)を得る。これらの諸実施形態に関連する利点は、アナログ・デジタル変換の要件が緩和されることである。当該変換を、低いサンプリング速度で行ってもよく、当該方法のさらに効率的な実装が可能である。
【0026】
幾つかの実施形態では当該補間は2以上の倍数により実施される。これにより、全てのオーバサンプリングを補間により実現するのではなく、アナログ・デジタル変換においてオーバサンプリングを全く使用しないことが可能となる。しかし、幾つかの実施形態では、アナログ・デジタル変換により生ずるオーバサンプリングもあれば補間により生ずるオーバサンプリングも存在する可能性があり、その結果、2以上の倍数によりオーバーサンプルされるr(n)が生ずることに留意されたい。
【0027】
幾つかの実施形態では当該補間をハーフ・バンド・フィルタにより実施してもよい。r(n)が2の倍数でオーバーサンプルされるとき、これは特に効率的な実装を可能とし、特に有意義である。
【0028】
動作102
中間信号v(n)が形成される。中間信号v(n)は取得された離散時間複素値信号r(n)のπ/2周波数だけシフトしたバージョンの実部に対応する。即ち、中間信号v(n)は実数値である。これは、「I/Q信号」問題から「TI−ADC信号」問題への上述の変換に対応する。
【0029】
幾つかの実施形態では中間信号v(n)は2Re{r(n)j
n}に対応する。Reは実部を指し、jは虚数単位である。即ち、Re{r(n)j
n}は複素信号r(n)j
nの実部を指す。以下のより詳細な例は、かかる諸実施形態に基づくものである。当業者により理解されるように、r(n)にj
nを乗じることは、r(n)を周波数領域π/2内で「右に」シフトすることに対応する。しかし、これは、当業者の能力において、例えばRe{r(n)j
n}を2によるものと異なって拡大する実施形態の場合、および/または、当該周波数シフトがその代り「左」、即ち、反対方向である場合に、当該より詳細な例を調節する問題であることは理解される。やはり理解されるように、中間信号v(n)の形成を、実際には、当業者が利用できる幾つかの異なる方法で実装してもよい。幾つかの実施形態では、v(n)の形成が、全ての秒サンプルをr(n)の夫々の実部および虚部から交互に取得するステップを含んでもよい。これにより、特に効率的な実装が可能となる。これを下記で幾分さらに詳細に説明する。
【0030】
動作103
2チャネル・タイムインタリーブ型アナログ・デジタル変換器「TI−ADC」の周波数依存ミスマッチの推定値を取得するための手続きが、形成された中間信号v(n)で適用される。それによりTI−ADCミスマッチ推定が取得される。
【0031】
当業者により理解されるように、本動作で使用できる2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定を取得するための幾つかの手続き、例えば、本明細書の導入部で参照され推定に関連する手続きのうち何れかが存在する。中間信号v(n)を以前の動作に従って形成することによって、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定を取得するために開発された手続きが、現在の状況、即ち、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを処理する状況で使用可能となる。
【0032】
理解を容易にするために、上述の動作101乃至103を検討する1つの方法は、r(n)が「I/Q問題領域」で取得されたとみなし、次いでr(n)をv(n)に変換し、それにより「TI−ADC問題領域」に変換し、これにより、「I/Q問題領域」に実際に関連するミスマッチ問題を解決するための「TI−ADC問題領域」内の既存のおよび来るべき手続きを利用できるというものである。
【0033】
動作104
これは任意の動作である。I/Qチャネル・ミスマッチが、動作103から取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて推定される。取得されたTI−ADCミスマッチ推定は、I/Qチャネル・ミスマッチの推定値に変換できる情報を含み、または、当該情報を、当業者に利用可能な実装の適用および/または選択に応じて抽出しかつ/または他の何らかの方法で使用してもよい。幾つかの実施形態では、例えば、以下の動作105を参照し、I/Qチャネル・ミスマッチをそのように明示的に推定することなく、I/Qチャネル・ミスマッチを取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて補償してもよいことに留意されたい。
【0034】
I/Qチャネル・ミスマッチの推定の結果、I/Qチャネル・ミスマッチの推定が得られ、その推定は、I/Qチャネル・ミスマッチを補償するための使用に適していることが暗黙的に考えられる。例えば、上述のように、当該推定を、I/Qチャネル・ミスマッチの補償に使用できるフィルタ係数に直接的または間接的に関連するとみなしてもよい。補償を含まない本発明の諸実施形態の場合、一般に、当該推定の後に、取得された推定値がさらなる利用のために提供され、したがって、例えばI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための回路または装置に当該推定値を提供することによって、当該推定値をI/Qチャネル・ミスマッチの補償において使用してもよい。
【0035】
動作105
これは任意の動作である。I/Qチャネル・ミスマッチが、動作103から取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて補償される。
【0036】
第1の代替手段の幾つかの実施形態では、I/Qチャネル・ミスマッチが、中間信号v(n)に、取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって補償される。当該手続きが、動作103で当該推定を取得するための手続き、即ち、当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定値を取得するための手続きと関連し、当該手続きとともに一般に開示される手続きであってもよい。それにより中間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)が取得される。離散時間複素値信号r(n)の補償された、即ち、バランスされたバージョンr
c(n)を形成してもよく、当該補償されたバージョンr
c(n)は当該補償されたバージョンv
c(n)の分析的表現のπ/2周波数シフトに対応し、π/2周波数シフトは、取得された離散時間複素値信号r(n)のπ/2周波数だけシフトしたバージョンと比べて反対方向にある。即ち、当該周波数シフトは、動作102での周波数シフトと反対方向であるべきである。即ち、動作102が「右への」周波数シフトを含む場合は「左に」であり、逆も成り立つ。例えば、動作102において中間信号v(n)が2Re{r(n)j
n}に対応する場合、補償されたバージョンr
c(n)を、当該補償されたバージョンv
c(n)の分析的表現に(−j)
nを乗じたものに対応するように表現してもよい。本動作を動作102で実施された変換と反対方向の変換とみなしてもよい。これをさらに以下で説明する。第1の代替手段の実施形態を、I/Q下方変換信号の実際の補償が上述の「TI−ADC問題領域」で行われ、元の「I/Q問題領域」におけるr(n)の補償されたバージョンr
c(n)に対応する情報を含むかまたはr
c(n)に変換できる、補償された信号v
c(n)が生成されるとみなしてもよい。同様に、動作104に関して上述したように、当該情報を、当業者に利用可能な実装の適用および/または選択に応じて抽出しかつ/または他の何らかの方法で使用してもよい。
【0037】
第2の代替手段の幾つかの実施形態では、I/Qチャネル・ミスマッチが、最初に、取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、当該I/Qチャネル・ミスマッチを推定することによって補償される。次いで、当該I/Qチャネル・ミスマッチを、離散時間複素値信号r(n)および当該推定されたI/Qチャネル・ミスマッチに基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって補償する。それにより離散時間複素値信号r(n)の補償されたバージョンr
c(n)が取得される。即ち、これらの諸実施形態を、当該I/Qチャネル・ミスマッチの推定が当該取得されたTI−ADCミスマッチ推定を通じて「TI−ADC問題領域」において実施されるとみなしてもよい。その後、I/Q下方変換信号の実際の補償を「I/Q問題領域」において実行し、第1の推定されたI/Qチャネル・ミスマッチに基づいてI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための任意の従来の手続きを使用してもよい。
【0038】
第1の代替手段の代わりに第2の代替手段の諸実施形態を実装する理由には、実際の状況の場合、「TI−ADC問題領域」における補償が「I/Q問題領域」における補償より複雑になることが含まれる。しかし、他の幾つかの実際の状況では、その反対も真でありうる。したがって、実際の状況では、計算量の調査を最初に実行し、次いで、第1の代替手段または第2の代替手段の諸実施形態が実装に最も適しているかどうかを判定してもよい。
【0039】
I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを処理するための上述の動作101乃至105を実施するために、
図2に概略的に示された配置構成を備える装置200を提供してもよい。
【0040】
幾つかの実施形態では、装置200は受信ポート210を備える。受信ポート210を、離散時間複素値信号r(n)、r
w(m)および/またはI/Q下方変換信号を外部装置または回路から受信するように構成してもよい。
【0041】
装置200は、I/Q下方変換信号のアナログ・デジタル変換に基づき2以上の倍数によりオーバーサンプルされる離散時間複素値信号r(n)を取得するように構成された取得回路202を備える。幾つかの実施形態では、取得回路202は、広帯域離散時間複素値信号r
w(m)を取得し、r
w(m)を補間してr(n)を取得するように構成される。幾つかの実施形態では、取得回路202は、2以上の倍数によりr
w(m)を補間するように構成される。取得回路202を、ハーフ・バンド・フィルタにより補間を実施するように構成してもよい。
【0042】
取得回路202を、直接、または、受信ポート210を介して、別の装置または回路から受信することによってr(n)またはr
w(m)を取得するように構成してもよい。幾つかの実施形態では、取得回路202を、直接、または、受信ポート210を介して、別の装置または回路から受信することによってI/Q下方変換信号を取得するように構成してもよい。かかる別の回路を装置200と統合してもよい。I/Q下方変換信号を取得した後、取得回路202を、I/Q下方変換信号のアナログ・デジタル変換を実施することによってr
w(m)またはr(n)を取得するように構成してもよい。
【0043】
装置200はさらに、取得された離散時間複素値信号r(n)のπ/2周波数だけシフトしたバージョンの実部に対応する中間信号v(n)を形成するように構成された形成回路203を備える。幾つかの実施形態では、形成回路203を、取得された離散時間複素値信号r(n)の夫々の実部および虚部から全ての秒サンプルを交互に取得するように構成してもよい。
【0044】
さらに、装置200は、形成された中間信号v(n)に、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定を取得するための手続きを適用し、それによりTI−ADCミスマッチ推定を得るように構成された分析回路204を備える。
【0045】
装置200は、それぞれI/Qチャネル・ミスマッチを取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて推定および/または補償するように構成された推定回路205および/または補償回路206も備える。推定回路205および/または補償回路206は、表現を簡単にするために1つのエンティティとして示されているが、示したものは、推定回路205および補償回路206、または両方の分離された回路の何れかを有する状況も含むことを意味することは理解されることに留意されたい。
【0046】
幾つかの実施形態では、動作105のもとでの上述の第1の代替手段の実施形態に対応して、補償回路206は、I/Qチャネル・ミスマッチを、間信号v(n)に、取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって補償し、それにより中間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)を取得するように構成される。さらに、補償回路206をさらに、離散時間複素値信号r(n)の補償されたバージョンr
c(n)を形成するように構成してもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、動作105のもとでの上述の第2の代替手段の実施形態に対応して、推定回路205および補償回路206は、取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて、I/Qチャネル・ミスマッチを最初に推定し、次いで、離散時間複素値信号r(n)に、推定されたI/Qチャネル・ミスマッチに基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することによってI/Qチャネル・ミスマッチを補償し、それにより離散時間複素値信号r(n)の補償されたバージョンr
c(n)を取得するように構成される。
【0048】
幾つかの実施形態では装置200は送信ポート207を備える。送信ポート207を、推定回路205から生成された情報、例えば、取得された推定値、および/または補償回路206から生成された情報、例えば、補償された信号を外部装置または回路に送信するように構成してもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、推定回路205を、直接、または、送信ポート207を介して、推定されたI/Qチャネル・ミスマッチ、またはそこに含まれる情報を、さらに処理するための別の装置または回路、例えば、当該ミスマッチを補償するための別の装置または回路に送信するように構成してもよい。幾つかの実施形態では、かかる別の回路を装置200と統合してもよい。幾つかの実施形態では、補償回路206を、直接、または送信ポート207を介して、補償されたI/Qチャネル・ミスマッチを、一般にI/Q下方変換信号の補償されたバージョンの形で、さらに処理するための別の装置または回路に、例えば、I/Q下方変換信号の補償されたバージョンを使用するために送信するように構成してもよい。また、ここでは、かかる別の回路を装置200と統合してもよい。
【0050】
装置200の実施形態を、
図2に示す装置200内のプロセッサ205のような1つまたは複数のプロセッサを通じて、本発明の諸実施形態の機能および動作を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードとともに実装してもよい。幾つかの実施形態では上述の回路を、プロセッサ205により完全または部分的に実装してもよい。
【0051】
上述のコンピュータ・プログラム・コードを、コンピュータ・プログラム製品として、例えば、装置200にロードされ実行されたときに本発明の諸実施形態を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードを運搬するデータ・キャリアの形で提供してもよい。1つのかかるキャリアがCDまたはDVDの形であってもよい。しかし、メモリ・スティック、メモリ・カードまたはハード・ドライブのような他のデータ・キャリアでも実現可能である。当該コンピュータ・プログラム・コードをさらに、ダウンロード用のサーバ上の純粋なプログラム・コードとして装置200に提供してもよい。当該コンピュータ・プログラム・コードをさらに、ダウンロード用のサーバ上の、または当該サーバを介して利用可能な、1つまたは複数のデータ・ファイルの形で提供してもよい。当該1つまたは複数のファイルが、装置200に間接的または直接的にダウンロードし実行するための実行可能ファイルであってもよく、または装置900にダウンロードし装置900で実行する前に中間ダウンロードおよびコンパイルを実行可能とするためのものであってもよい。当該サーバが、インターネットのようなコンピュータ・ネットワークでアクセス可能であってもよく、例えば、webまたはftpサーバであってもよい。
【0052】
装置200がさらに、1つまたは複数のメモリ・ユニットを備えるメモリ206を備えてもよい。メモリ206は、r
w(m)、r(n)、v(n)、および/または推定および/または補償の結果に含まれる値、および、装置200で実行されたときに当該方法を実施するための構成および/またはソフトウェアコードのようなデータを格納するように構成される。
【0053】
回路およびポート201乃至207が、1つまたは複数のプロセッサにより実行されたとき、上述のように実施する(例えば、メモリに格納された)ソフトウェアおよび/またはファームウェアで構成された、アナログおよびデジタル回路、および/またはプロセッサ205のような1つまたは複数のプロセッサの組合せを指してもよいことは当業者には理解される。これらのプロセッサのうち1つまたは複数ならびにその他のデジタル・ハードウェアを特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)に含めてもよく、かつ/または、幾つかのプロセッサおよび様々なデジタル・ハードウェアを、システム・オン・チップ(SoC)に独立にパッケージ化するか集積化するかに関わらず、幾つかの独立なコンポーネントの間で分散してもよい。
【0054】
上述の装置200を、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを推定および/または補償するために使用してもよいことは明らかである。
【0055】
図1および2と関連して上述した方法と装置に関連する幾つかの事項、利点、および例を提供する。
【0056】
図3(a)は、本発明の諸実施形態を利用してI/Q下方変換信号のチャネル・ミスマッチを補償する状況を示す略ブロック図である。上述したものに従う信号r(n)、v(n)は容易に特定される。ブロック401は動作102に対応し、ブロック402は動作103乃至105に対応することは分かる。信号v
c(n)およびr
c(n)は、補償後のv(n)およびr(n)の夫々の対応する信号を示す。補償はv(n)で行われるので、「TI−ADC問題領域」において、当該状況は動作105のもとでの上述の諸実施形態の第1の代替手段に対応することは分かる。当該補償をブロック402で実施し、I/Q−TI−ADC−SRで示す。「SR」とはシングル・レートを意味する。上述のように、原則として、TI−ADCミスマッチ補償に利用可能な任意の手続きを当該ブロックの実装に使用してもよい。ブロック403で、v
c(n)からr
c(n)への変換を実施し、これを「TI−ADC問題領域」から「I/Q問題領域」への「逆」変換とみなしてもよい。補償された信号に関する全ての情報がv
c(n)内にあり、幾つかの実施形態では当該情報を、「I/Q問題領域」に実際に変換し戻すことなく利用できることは分かる。しかし、変換し戻すことは一般に好都合であり望ましい。どのようにこの逆変換を実現するかを、例えば、
図4(a)のブロック403に示すように、ブロック401および動作102で必要な変換に基づいて導出することができる。例えば、ブロック403で、v
c(n)からr
c(n)への変換は、先ずv
c(n)に対応する分析的信号を形成し、次いで結果の分析的信号に、π/2だけ「左に」シフトされた周波数に対応して、(−j)
nを乗ずることによって実現される。ここでの分析的信号は、インパルス応答b(n)が理想的な周波数応答を有する複素ハーフ・バンド・フィルタB(z)(Hilbert変換器)を介して生成される。
【0058】
当業者により理解されるように、v
c(n)の分析的表現に(−j)
nを乗じたものに対応し多数の異なる方法で実行し実装できる信号を形成すれば十分であり、以上のものは1つの例である。例えば、v
c(n)の分析的表現に(−j)
nを乗じたものは、v
c(n)の正の周波数内容をπ/2だけ「左に」シフトするか、または、それと等価に、v
c(n)の負の周波数内容をπ/2だけ「右に」シフトし次いで複素共役を取る、即ち、ミラーイメージングすることに対応する。
【0059】
図3(b)は、
図3(a)と同様に、本発明の諸実施形態を利用してI/Q下方変換信号のチャネル・ミスマッチを補償する状況を示す略ブロック図であるが、動作101と同様に、2以上の倍数によるオーバサンプリングを実現するために、r
w(m)が取得され補間が使用される(ブロック405を参照)。ブロック404は、
図3(a)に示したものに対応することに留意されたい。当該補償の後、例えば、
図3(a)に示す機構を用いて、補償された信号r
c(n)をダウンサンプルして、最終的な補償された広帯域信号r
w(n)を得る。ω
cT<π/2であることを補償すれば十分であるので、
図4(c)に示すように、2の倍数で補間を利用することが可能であり、これにより特に効率的な機構となる。2による補間を、ハーフ・バンド・フィルタを用いて効率的に実装することができる。他の全てのハーフ・バンド・フィルタのインパルス応答値は、1/2に等しいセンタ・タップを除いてゼロである。実数値ハーフバンドFIRフィルタの非因果的なバージョンに関して、伝達関数をP(z)=1+z
-1P
1(z
2)のような多相形式で書くことができる。P
1(z)は対称係数を有する奇数次の線形位相FIRフィルタに対応する。対応する多相構造を
図4(a)に概略的に示し、整流子に基づく対応する実装を
図4(b)に概略的に示す。
【0060】
動作102では、v(n)が複素値信号r(n)から形成され、これにはv(n)が2Re{r(n)j
n}に対応するような変換を必要としてもよい。これは、r(n)にj
nを乗ずることが含まれる。これは、4の期間および1つの期間内に値1、j、-1、jを有する周期的なシーケンスである。複素値信号r(n)をr
re(n)+jr
im(n)と書いてもよい。したがって、2Re{r(n)j
n}、したがって、v(n)を2[r
re(0)、-r
im(1)、-r
re(2)、r
im(3)、r
re(4)、・・・]と書いてもよい。換言すれば、r(n)からv(n)への変換が、2による自明な乗算を除いて、どのような算術操作も含む必要がない。その代り、v(n)の形成が、全ての秒サンプルを上述のようにr(n)の実部と虚部から交互に取得するステップを含んでもよい。マルチレート理論を用いると、当該変換に、
図5(a)に示すダウンサンプラとアップサンプラを必要としてもよい。実際には、当該アップサンプラと加算を、
図5(b)の等価な機構で示す整流子により実装してもよい。ここで、インデックスmは、別の、ここでは低速の、サンプリング速度を示すために使用される。
【0061】
図4の補間器機構を
図5の変換機構と結合することによって、複素領域から実領域に信号を同時に補間し変換する
図6の機構が得られる。
【0062】
図3(a)のブロック403では、実信号v
c(n)が複素値信号r
c(n)=r
c、re(n)+jr
c、im(n)に変換される。
図3(a)と関連して既に示したように、これを、最初にHilbert変換器B(z)を介してv
c(n)をフィルタし、次いでそのようにして得られた信号に(-j)
nを乗ずることによって実現してもよい。効率的なHilbert変換器を、ハーフ・バンド・フィルタを周波数シフトすることで得ることができる。上述のハーフ・バンド・フィルタP(z)から始めて、B(z)をB(z)=P(jz)=1+jz
-1P
1(−z
2)に従って取得することができる。したがって、V
c(n)からr
c(n)への変換を
図7(a)に示すように実施することができる。
【0063】
上述の広帯域のケースでは、r
w(n)をr
c(n)から生成するための追加のデシメーションが存在する。特に、2によるデシメーションの場合、r
w(m)を、
図3(c)から分かる2動作のダウンサンプリングを介して取得してもよい。当該ダウンサンプラはr
c(n)の全ての秒サンプルを破棄し、これはr
w(m)=r
c(2m)を示唆する。(-j)
mを当該ダウンサンプラの入力で乗じることが(-1)
mを出力で乗じることに対応するという事実をマルチレート理論とともに用いると、Hilbertフィルタリングとダウンサンプリングを、
図7(b)に示すように効率的な機構に結合することができる。
【0064】
当業者に知られているように、2チャネルTI−ADCを所望の信号コンポーネントおよびエイリアシング・コンポーネントとして説明してもよい。当該エイリアシング・コンポーネントのサイズを実数値フィルタの観点で説明してもよく、当該フィルタを、TI−ADCに利用可能な推定手続きを直接的または間接的に用いて決定してもよい。ここでTI−ADCミスマッチ推定を使用してもよい。当業者に知られているように、I/Qチャネル・ミスマッチを、所望の信号コンポーネントおよび鏡像コンポーネントとして説明してもよい。当該鏡像コンポーネントのサイズを複素値フィルタの観点から説明してもよい。TI−ADCのエイリアシング・コンポーネントのフィルタが与えられると、対応する複素I/Qチャネル・ミスマッチのフィルタを、当該エイリアシング・コンポーネントのフィルタの分析的表現を周波数シフトすることで得ることができる。当該エイリアシング・コンポーネントの実数値フィルタが時間領域内のインパルス応答f(n)を有する周波数領域内のF(e
jωT)であり、複素値フィルタが時間領域内のインパルス応答g(n)を有する周波数領域内のG(e
jωT)である場合、以下の関係を導出することができる。
f(n)=j
ng(n)+(−j)
ng
*(n)
ここで、g
*はg(n)の共役であり、周波数応答が、
F(e
jωT)=G(e
j(ωT−π/2))、ωT∈[π/2−ω
cT、π/2+ω
cT|
を満たす。分かるように、f(n)およびF(e
jωT)を、取得されたTI−ADCミスマッチ推定から直接的または間接的に取得することができる。当該フィルタ間の関係を当業者により利用して、上述の動作104のもとでの取得されたTI−ADCミスマッチに基づいて、および/または、上述の動作105のもとでの諸実施形態の第2の代替手段に対応する状況、即ち、推定が「TI−ADC問題領域」で行われTI−ADCミスマッチ推定が取得されるが、当該補償が取得されたTI−ADCミスマッチ推定に基づいて「I/Q問題領域」で行われる状況において、例えばI/Qチャネル・ミスマッチの推定値に到達することができる。例えば、F(e
jωT)を、ωT∈[−ω
cT+π/2、ω
cT+π/2|に対して、第1の表現
【0066】
に従って表現してもよい。ここで、Q(jω)はTI−ADCチャネル周波数応答間の比率であり、G(e
jωT)をωT∈[−ω
cT、ω
cT]に対して、第2の表現
【0068】
に従って表現してもよい。実際には、g(n)を、その周波数応答G(e
jωT)が当該第2の表現の右辺を近似するように決定してもよい。あるいは、最初にf(n)を、その周波数応答F(e
jωT)が当該第1の表現の右辺を近似するように決定し、次いでg(n)をf(n)から取得してもよい。しかし、後者の代替手段では、Hilbert変換器がf(n)の分析的表現を取得する必要があるかもしれない。当該分析的表現は続いてg(n)を生成するために変調される。その結果、最初に述べた代替手段が好ましいかもしれない。
【0069】
既に述べたように、上述したことを「反対方向」に使用してもよい。したがって、2チャネル・タイムインタリーブ型アナログ・デジタル変換器「TI−ADC」の周波数依存ミスマッチに処理するための方法に関する本発明の諸実施形態を、
図8に示す流れ図を参照して検討し、説明する。当該方法は以下の動作を含む。当該動作を任意の適切な順序で行ってもよい。さらに、動作を結合してもよい。比較を容易にし、上との関係を理解するために、互いに数学的に対応する信号、例えばr(n)およびv(n)に同一の記法を使用してある。しかし、当業者により理解されるように、実際の状況では、当該信号は、夫々の信号の原点により決まる異なる量を表す。例えば、上のr(n)およびv(n)はI/Q下方変換信号に関連し、下のr(n)およびv(n)は2チャネルTI−ADCからの出力信号に関連することは分かる。
【0070】
動作801
連続時間信号に対して2チャネルTI−ADCにより実施されたアナログ・デジタル変換に基づいて離散時間信号v(n)を取得する。離散時間信号v(n)はバンドパス領域に帯域制限される。当該バンドパス領域はωT∈[−π/2−ω
cT、−π/2+ω
cT|∪[+π/2−ω
cT、+π/2+ω
cT|に対応してもよい。ω
cは角度カットオフ周波数であり、Tは2チャネルTI−ADCのサンプル期間に対応する。したがって、夫々の正のおよび負の周波数部分に対するバンドパス領域が+π/2および−π/2の周囲に集まるように、離散時間信号v(n)を取得することができる。
【0071】
したがって、DCを含む低周波数領域もA/D変換することが望ましい場合は、I/Qバランシング関連の手続きを用いてTI−ADCミスマッチを補償するのは一般に適用可能でない。
【0072】
動作802
(−j)
nに取得された離散時間信号v(n)の分析的表現を乗じたものに対応する中間信号r(n)が形成される。これは、上述したものと同様に、「TI−ADC信号」問題からI/Q信号「問題」への変換に対応する。理解されるように、同様に、反対方向に関して、かかる中間信号r(n)の形成を、実際には、当業者に利用可能な幾つかの異なる方法で実装してもよい。
【0073】
動作803
I/Q下方変換信号の同相直角位相「I/Q」チャネル・ミスマッチの推定値を取得するための手続きが、形成された中間信号r(n)に適用される。それにより、I/Qチャネル・ミスマッチ推定が取得される。
【0074】
当業者により理解されるように、本動作で使用できるI/Q下方変換信号のチャネル・ミスマッチの推定値を取得するための幾つかの手続き、例えば、背景技術で参照し推定に関連する手続きのうち任意のものがある。以前の動作に従って中間信号r(n)を形成することにより、I/Q下方変換信号のチャネル・ミスマッチの推定値を取得するために開発された手続きが、現在の状況、即ち、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを処理する状況で利用可能となる。
【0075】
理解を容易にするために、上述の動作801乃至803を考慮する1つの方法は、v(n)が「TI−ADC問題領域」内で得られるとみなし、次いでv(n)がr(n)に変換され、それにより「I/Q問題領域」に転送されるというものであり、これにより、「TI−ADC問題領域」に実際に関連するミスマッチ問題を解くための「I/Q問題領域」内の既存のおよび来るべき手続きを利用することができる。
【0076】
動作804
これは任意の動作である。2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチが、動作803から取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて推定される。当該取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定は2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定値に変換できる情報を含み、または、当該情報を、当業者に利用可能な実装の適用および/または選択に応じて抽出しかつ/または他の何らかの方法で使用してもよい。幾つかの実施形態では、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを、当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを明示的に推定することなく、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて補償してもよいことに留意されたい(例えば以下の動作805を参照)。
【0077】
2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定の結果、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定値が得られ、その推定は、当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための使用に適していることが暗黙的に考えられる。例えば、上述のように、当該推定を、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの補償に使用できるフィルタ係数に直接的または間接的に関連するとみなしてもよい。補償のない本発明の諸実施形態の場合、一般に当該推定の後に当該取得された推定値がさらに利用するために提供され、したがって、例えば2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための回路または装置に当該推定値を提供することによって、当該推定値を2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの補償において使用してもよい。
【0078】
動作805
これは任意の動作である。動作803から取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチが補償される。
【0079】
第1の代替手段の幾つかの実施形態では、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを、中間信号r(n)に、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって補償してもよい。当該手続きが、動作803で当該推定を取得するための手続き、即ち、I/Qチャネル・ミスマッチの推定値を取得するための手続きと関連し、当該手続きとともに一般に開示される手続きであってもよい。それにより中間信号r(n)の補償されたバージョンr
c(n)が取得される。離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)を形成してもよく、当該補償されたバージョンv
c(n)は2Re{r
c(n)j
n}に対応する。Reは実部を指す。当該変換を、動作802について説明した変換の反転された変換を実施する問題とみなしてもよい。第1の代替手段の実施形態を、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの実際の補償が上述の「I/Q問題領域」で行われ、元の「TI−ADC問題領域」内のv(n)の補償されたバージョンv
c(n)に対応する情報を含み、当該v
c(n)に変換できる、補償された信号r
c(n)が生成されるとみなしてもよい。動作804に関して上述したのと同様に、当該情報を、当業者に利用可能な実装の適用および/または選択に応じて抽出しかつ/または他の何らかの方法で使用してもよい。
【0080】
第2の代替手段の幾つかの実施形態では、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチが、先ず、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを推定することによって補償される。次に、当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチが、離散時間信号v(n)に、当該2チャネルTI−ADCの推定された周波数依存ミスマッチに基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって補償される。それにより離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)が取得される。即ち、これらの諸実施形態を、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの推定が「I/Q問題領域」において当該取得された推定値を通じて行われるとみなしてもよい。その後、離散時間信号v(n)の実際の補償を「TI−ADC問題領域」において実行し、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを当該2チャネルTI−ADCの第1の推定された周波数依存ミスマッチに基づいて補償するための任意の従来の手続きを使用してもよい。
【0081】
上述したのと同様に、第1の代替手段の代わりに第2の代替手段の諸実施形態を実装する理由には、実際の状況で「I/Q問題領域」における補償が「TI−ADC問題領域」における補償より複雑になるかどうかが含まれる。しかし、他の幾つかの実際の状況では、その反対も真でありうる。したがって、実際の状況では、計算量の調査を最初に実行し、次いで、第1の代替手段または第2の代替手段の諸実施形態が実装に最も適しているかどうかを判定してもよい。
【0082】
2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを処理するための上述の動作801乃至805を実施するために、
図9に概略的に示した配置構成を備える装置900を提供してもよい。
【0083】
幾つかの実施形態では、装置900は受信ポート910を備える。受信ポート910を、離散時間信号v(n)を外部装置または回路から受信するように構成してもよい。
【0084】
装置200は取得回路902を備える。取得回路902は、2チャネルTI−ADCにより連続時間信号に対して実施されたアナログ・デジタル変換に基づいて離散時間信号v(n)を取得するように構成される。離散時間信号v(n)はバンドパス領域に帯域制限される。
【0085】
取得回路902を、直接、または、受信ポート910を介して、別の装置または回路からv(n)を受信することでv(n)を取得するように構成してもよい。かかる別の回路を装置900と統合してもよい。
【0086】
装置900はさらに形成回路903を備える。形成回路903は、(−j)
nに取得された離散時間信号v(n)の当該分析的表現を乗じたものに対応する中間信号r(n)を形成するように構成される。
【0087】
さらに、装置900は分析回路904を備える。分析回路904は、形成された中間信号r(n)に、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチの推定値を取得するための手続きを適用し、それにより当該I/Qチャネル・ミスマッチ推定を取得するように構成される。
【0088】
装置900はまた、それぞれ、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを推定および/または補償するように構成された推定回路905および/または補償回路906を備える。推定回路905および/または補償回路906は、表現を簡単にするために1つのエンティティとして示されているが、示したものは、推定回路905および補償回路906の何れか、または両方の分離された回路を有する状況を含むのを意味することは理解されることに留意されたい。
【0089】
幾つかの実施形態では、動作805のもとでの上述の第1の代替手段の実施形態に対応して、補償回路906は、中間信号r(n)に、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、I/Q下方変換信号のI/Qチャネル・ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償し、それにより、中間信号r(n)の補償されたバージョンr
c(n)を取得するように構成される。さらに、補償回路906をさらに、離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)を形成するように構成してもよい。
【0090】
幾つかの実施形態では、動作805のもとでの上述の第2の代替手段の実施形態に対応して、推定回路905および補償回路906は、取得されたI/Qチャネル・ミスマッチ推定に基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを最初に推定し、次いで離散時間信号v(n)に、当該2チャネルTI−ADCの推定された周波数依存ミスマッチに基づいて、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償するための手続きを適用することによって当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償することで当該2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償し、それにより、離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)を取得するように構成される。
【0091】
幾つかの実施形態では装置200は送信ポート907を備える。送信ポート907を、推定回路905から生じた情報、例えば、取得された推定値、および/または補償回路906から生じた情報、例えば、補償された信号を外部装置または回路に送信するように構成してもよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、推定回路905を、直接、または送信ポート907を介して、当該2チャネルTI−ADCの推定された周波数依存ミスマッチ、またはそこに含まれる情報を、さらに処理するための別の装置または回路、例えば、当該ミスマッチを補償するための別の装置または回路に送信するように構成してもよい。幾つかの実施形態では、かかる別の回路を装置900と統合してもよい。幾つかの実施形態では、補償回路906を、直接、または、送信ポート907を介して、2チャネルTI−ADCの補償された周波数依存ミスマッチに関する情報を、一般に離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)の形で、さらに処理するための別の装置または回路に、例えば、離散時間信号v(n)の補償されたバージョンv
c(n)を利用するために送信するように構成してもよい。また、ここではかかる別の回路を装置900と統合してもよい。
【0093】
装置900の諸実施形態を、
図9に示す装置900内のプロセッサ905のような1つまたは複数のプロセッサを通じて、本発明の諸実施形態の機能および動作を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードとともに実装してもよい。幾つかの実施形態では、上述の回路をプロセッサ905により完全または部分的に実装してもよい。
【0094】
上述のコンピュータ・プログラム・コードを、コンピュータ・プログラム製品として、例えば、装置900にロードされ実行されたときに本発明の諸実施形態を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードを運搬するデータ・キャリアの形で提供してもよい。1つのかかるキャリアがCDまたはDVDの形であってもよい。しかし、メモリ・スティック、メモリ・カードまたはハード・ドライブのような他のデータ・キャリアでも実現可能である。当該コンピュータ・プログラム・コードをさらに、ダウンロード用のサーバ上の純粋なプログラム・コードとして装置900に提供してもよい。当該コンピュータ・プログラム・コードをさらに、ダウンロード用のサーバ上の、または当該サーバを介して利用可能な、1つまたは複数のデータ・ファイルの形で提供してもよい。当該1つまたは複数のファイルが、装置900に間接的または直接的にダウンロードし実行するための実行可能ファイルであってもよく、または、装置900にダウンロードし装置900で実行する前に中間ダウンロードおよびコンパイルを実行可能とするためのものであってもよい。当該サーバが、インターネットのようなコンピュータ・ネットワークでアクセス可能であってもよく、例えば、webまたはftpサーバであってもよい。
【0095】
装置900がさらに1つまたは複数のメモリ・ユニットを備えたメモリ906を備えてもよい。メモリ906は、v(n)、r(n)、r
c(n)、v
c(n)および/または推定の結果に含まれる値、および装置900で実行されたときに当該方法を実施するための構成および/またはソフトウェアコードのようなデータを格納するように構成される。
【0096】
回路およびポート901乃至907が、1つまたは複数のプロセッサにより実行されたとき上述のように実施する(例えば、メモリに格納された)ソフトウェアおよび/またはファームウェアで構成された、アナログおよびデジタル回路、および/またはプロセッサ905のような1つまたは複数のプロセッサの組合せを指してもよいことは当業者には理解される。これらのプロセッサのうち1つまたは複数ならびにその他のデジタル・ハードウェアを特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)に含めてもよく、かつ/または、幾つかのプロセッサおよび様々なデジタル・ハードウェアを、システム・オン・チップ(SoC)に独立にパッケージ化するか集積化するかに関わらず、幾つかの独立なコンポーネントの間で分散してもよい。
【0097】
上述の装置900を、2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを推定および/または補償するために使用してもよいことは明らかである。
【0098】
既に述べたように、
図8および9と関連した上述した本発明の諸実施形態は、全ての本発明の諸実施形態の基礎となるが
図1乃至7と関連して説明した本発明の諸実施形態と比較して「反対方向」にある基本的な概念の利用に基づくものである。しかし、基本的な概念は同一であるので、
図1乃至7、特に
図3乃至7と関連して説明したものは、当業者が理解できる適切な調整の後に、
図8および9と関連して説明した本発明の諸実施形態と関連することは理解される。例えば、本発明の諸実施形態を利用して2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチを補償する状況を示す
図10を参照されたい。これを、上述の
図3(a)と比較してもよい。
図10の2チャネルTI−ADCの周波数依存ミスマッチの補償を、
図3(a)のI/Qチャネル・ミスマッチの補償の反転された、または反対方向のバージョンとみなしてもよいことは容易に分かる。
図10では、
図8および9と関連して説明した信号r(n)、v(n)が容易に特定される。ブロック1001は動作802に対応し、ブロック1002は動作803乃至805に対応することは分かる。信号v
c(n)およびr
c(n)はそれぞれ、v(n)およびr(n)の補償されたバージョンである。補償がv(n)に対して行われるので、「I/Q問題領域」では、当該状況は動作805のもとでの上述の諸実施形態の第1の代替手段に対応することは分かる。上述のように、原則として、I/Qチャネル・ミスマッチ補償に利用可能な任意の手続きは、I/Qバランシングとも呼ばれ、これをブロック1002の実装に使用してもよい。ブロック1003では、r
c(n)からv
c(n)への変換が実施され、これを「I/Q問題領域」から「TI−ADC問題領域」への「逆」変換とみなしてもよい。補償された信号に関する全ての情報がr
c(n)内にあり、幾つかの実施形態では「TI−ADC問題領域」に実際に変換し戻さずに当該情報を利用できることは分かる。
【0099】
一般に、本発明の諸実施形態は上述の特徴と詳細には限定されない。様々な代替手段、修正、および均等物を使用してもよい。したがって、上述の諸実施形態は本発明の範囲を限定するものと捉えるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0100】
用語「含む」または「備える」を用いるとき、これは非限定的、即ち、「少なくとも〜を含む」と解釈されるものとする。