【実施例】
【0044】
次に、本発明を実施するための具体的な形態を実施例によって説明するが、本発明の範囲は以下の実施例により限定されるものではない。
【0045】
実施例1 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
アスコルビン酸(10.0g)にDMF7mL、水5mL、水酸化ナトリウム(2.50g)を加え室温で10分間撹拌した後、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド70%水溶液(14.9g)を加え、60℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣28.1gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/10/3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(4.62g)を得た。
【0046】
得られたこの生成物を、下記MASS分析条件1により質量分析〔ESI、FID(試料直接導入)〕を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに、
1H−NMR、
13C−NMR測定を行った。測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0047】
【化3】
【0048】
[MASS分析条件1]
移動相 :0.1%ギ酸水溶液/メタノール=50/50
流量 :0.2mL/min
検出器電圧 :1.15kV
インターフェイス電圧 :4.5kV
ヒートブロック温度 :200℃
インターフェイス温度 :300℃
ネプライザガス :1.5L/min
ドライングガス :15L/min
イオン化モード :ESI−ポジティブまたはネガティブ
測定モード :スキャンモード
【0049】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:292([M+H]
+に相当)
ネガティブイオン:336([M+HCOO]
−に相当)
【0050】
[NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果]
1H−NMR(400MHz,CD
3OD): δppm 3.22(9H,brd),3.43(1H,m),3.67(4H,m),3.87(1H,dd),3.91(1H,md),4.34(1H,m),4.410/4.415(1H,d)
13C−NMR(100MHz,CD
3OD): δppm 54.9,64.1,66.0,66.1,66.9,70.0,71.5,75.4,79.8,118.2,118.3,177.9,178.0,179.9,180.1
【0051】
実施例2 3−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
アスコルビン酸(10.0g)にDMF7mL、炭酸水素ナトリウム(0.48g)を加え室温で10分間撹拌した後、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド70%水溶液(13.8g)を加え、60℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣29.3gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/10/3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(1.27g)を得た。
【0052】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに、
1H−NMR、
13C−NMR測定を行った。測定結果より、生成物は、下記構造式で示される3−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0053】
【化4】
【0054】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:292([M+H]
+)
ネガティブイオン:336([M+HCOO]
−)
【0055】
[NMRによる分析結果]
1H−NMR(400MHz,CD
3OD): δppm 3.22(9H,brs),3.44(1H,m),3.65(3H,m),4.16(1H,m),4.27(1H,dd),4.40(1H,m),4.56(1H,dd),4.71(1H,brs)
13C−NMR(100MHz,CD
3OD): δppm 54.9,64.4,66.6,66.7,69.8,71.3,71.4,73.0,76.4,131.3,131.4,161.4,178.0
【0056】
実施例3 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリエチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
エピクロロヒドリン(9.25g)にアセトニトリル7mL、トリエチルアミン11.1gを加え、80℃で3時間攪拌を行った。その後、減圧下にて濃縮を行い、粗生成物18.3gを得た。得られた粗生成物1を、DMF7mL、水5mL、アスコルビン酸(10.0g)、水酸化ナトリウム(2.27g)を加え室温で10分間撹拌したものに添加し、60℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣30.5gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=6/4/1混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(0.42g)を得た。
【0057】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに、
1H−NMR、
13C−NMR測定を行った。測定結果より、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリエチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0058】
【化5】
【0059】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:334([M+H]
+)
ネガティブイオン:378([M+HCOO]
−)
【0060】
[NMRによる分析結果]
1H−NMR(400MHz,CD
3OD): δppm 1.30(9H,m),3.41(2H,m),3.49(6H,m),3.65(3H,m),3.85(1H,m),3.93(1H,m),4.30(1H,m),4.41(1H,m)
13C−NMR(100MHz,CD
3OD): δppm 7.8,54.8,60.5,60.8,64.1,65.5,65.7,71.56,71.60,75.9,76.0,79.9,118.3,118.5,177.9,178.1,179.8,180.1
【0061】
実施例4 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−ジメチルステアリルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
アスコルビン酸(10.0g)にDMF7mL、水5mL、水酸化ナトリウム(2.27g)を加え室温で10分間撹拌した後、グリシジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド40%エタノール溶液(40.9g)を加え、80℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣35.3gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=6/4/1混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(0.21g)を得た。
【0062】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1の移動相を0.1%ギ酸水溶液/メタノール=10/90にした分析条件で、質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに順相TLC分析にて、Rf値が0.23(クロロホルム/メタノール/水=6/4/1混液)となり、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−ジメチルステアリルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0063】
【化6】
【0064】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:531([M+2H]
+)
【0065】
実施例5 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリオクチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
エピクロロヒドリン(3.70g)にアセトニトリル7mL、トリオクチルアミン14.2gを加え、80℃で3時間攪拌を行った。その後、減圧下にて濃縮を行い、粗生成物15.2gを得た。得られた粗生物を、DMF7mL、水5mL、アスコルビン酸(5.0g)、水酸化ナトリウム(1.21g)を加え室温で10分間撹拌したものに添加し、80℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣28.8gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=7/3/0.5混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(0.17g)を得た。
【0066】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに順相TLC分析にて、Rf値が0.33(クロロホルム/メタノール/水=6/4/1混液)となり、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリオクチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0067】
【化7】
【0068】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ネガティブイオン:630([M+HCOO]
−)
【0069】
実施例6 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−ジメチルオクチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸の合成
エピクロロヒドリン(5.81g)にアセトニトリル7mL、ジメチルオクチルアミン9.42gを加え、80℃で3時間攪拌を行った。その後、減圧下にて濃縮を行い、粗生成物15.8gを得た。得られた粗生物を、DMF10mL、水20mL、アスコルビン酸(9.77g)、水酸化ナトリウム(2.66g)を加え室温で10分間撹拌したものに添加し、80℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣27.9gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=7/3/0.5混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(0.31g)を得た。
【0070】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに順相TLC分析にて、Rf値が0.29(クロロホルム/メタノール/水=7/3/0.5混液)となり、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−ジメチルオクチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0071】
【化8】
【0072】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ネガティブイオン:434([M+HCOO]
−)
【0073】
実施例7 3−O−(2’,3’−ジ−ヒドロキシプロピル)−2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオクロリド)プロピル]アスコルビン酸の合成
実施例1の方法で製造された2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸(5.00g)にDMF7mL、水5mL、17%塩酸水溶液(0.63g)を加えた。室温で10分間撹拌した後、グリシドール(19.5g)を加え、80℃で3時間攪拌を行った。減圧下にて濃縮を行い、得られた残渣27.9gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/10/3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、生成物(0.21g)を得た。
【0074】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1により質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られた。さらに順相TLC分析にて、Rf値が0.11(クロロホルム/メタノール/水=10/10/3混液)となり、生成物は、下記構造式で示される3−O−(2’,3’−ジ−ヒドロキシプロピル)−2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオクロリド)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0075】
【化9】
【0076】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:366([M]
+)
【0077】
実施例8 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオクロリド)プロピル]アスコルビン酸の合成
実施例1の方法で製造された、2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸(5.00g)に水5mLを加え、17%塩酸水溶液を加えpH2に調整した。その後、減圧下にて濃縮を行い、生成物(5.05g)を得た。
【0078】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1の移動相を水/メタノール=1/99にした条件で、質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られ、下記構造式で示される、2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオクロリド)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0079】
【化10】
【0080】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:292([M+H]
+)
ネガティブイオン:326([M+Cl]
−)
【0081】
実施例9 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオサルフェート)プロピル]アスコルビン酸の合成
実施例1の方法で製造された、2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸(5.00g)に水5mLを加え、5%硫酸水溶液を加えpH2に調整した。その後、減圧下にて濃縮を行い、生成物(5.12g)を得た。
【0082】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1の移動相を水/メタノール=1/99にした条件で、質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られ、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオサルフェート)プロピル]アスコルビン酸であることが確認された。
【0083】
【化11】
【0084】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:292([M+H]
+)
ネガティブイオン:388([M+SO
4]
−)
【0085】
実施例10 2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオヒドロキサイド)プロピル]アスコルビン酸ナトリウムの合成
実施例1の方法で製造された、2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオ)プロピル]アスコルビン酸(5.00g)に水5mLを加え、5%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9に調整した。その後、減圧下にて濃縮を行い、生成物(5.10g)を得た。
【0086】
得られたこの生成物を、上記MASS分析条件1の移動相を水/メタノール=1/99にした条件で、質量分析を行ったところ、ESIマススペクトルより下記に示すピークが得られ、生成物は、下記構造式で示される2−O−[2’−ヒドロキシ−(3’−トリメチルアンモニオヒドロキサイド)プロピル]アスコルビン酸ナトリウムであることが確認された。
【0087】
【化12】
【0088】
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:292,314([M+H]
+,[M+Na]
+)
【0089】
試験例1 [保湿試験・皮膚吸着試験]
下記表1記載の各試験試料について、保湿性及び皮膚吸着性を確認するため、以下の試験を実施した。
【0090】
(試験方法)
各試料を希水酸化ナトリウム水溶液、または希塩酸水溶液でそれぞれpH7の1%水溶液となるように調製し、左右いずれか一方の前腕部の2cm×2cmに試料1mLを塗布し、もう一方の前腕部にはコントロールとしてイオン交換水を塗布した。塗布1分後、左右共に300mLの水で洗い流し、水分を拭き取り乾燥させた。本試験を10人のパネラーで実施し、塗布直後及び水洗後について、下記の基準で評価させた。下記分類の総合点により判定を行い、その結果を表1に示す。
【0091】
塗布直後判定基準:
3: コントロール側と比較してしっとりとする。
2: コントロール側と比較してわずかにしっとりとする。
1: コントロール側と変わらないと感じる。
水洗後判定基準:
3: コントロール側と比較してしっとりとし、残存感を有する。
2: コントロール側と比較してわずかにしっとりとし、残存していると感じる。
1: コントロール側と変わらないと感じる。
【0092】
評価結果を下記のように分類した。
◎:10人の総合点が24以上
○:10人の総合点が17〜23
△:10人の総合点が16以下
【0093】
【表1】
【0094】
表1の結果は、本発明のアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸や従来のアスコルビン酸誘導体と比較して優れた保湿性を有していること、優れた保湿性を有する2−グリセリルアスコルビン酸と同等の保湿性を有していること、を示している。さらに、本発明のアスコルビン酸誘導体は優れた皮膚への吸着性を有しており、水洗後も保湿感を有していることを示している。
【0095】
試験例2 [毛髪吸着試験]
アスコルビン酸誘導体の毛髪吸着性を確認するため、下記表2記載の各試験試料について以下の試験を実施した。以下の試験には、毛髪の損傷度を一定にするため、6%過酸化水素水:2%アンモニア水=1:1でブリーチ処理(脱色処理)した毛髪を用いて作製した長さ15cmで重さ2gの毛束を用いた。
【0096】
(試験方法)
容量100mlの密栓付きスクリュー管(ガラス瓶)を用い、この中に毛束1本を入れ、pH7の1%水溶液となるように調製した試験試料80mlを添加密栓し、40℃の湯浴中で30分間振とうを行った。その後、流水洗浄しヘアドライヤーで乾燥を行った。なお、試料無配合(イオン交換水)でも同様の処理を行った。その毛束を、10人のパネラーで下記項目の評価基準に従い官能評価を実施した。
【0097】
判定基準:
3: 無配合のものと比較して、しっとりと感じる。
2: 無配合のものと比較して、わずかにしっとりと感じる。
1: 無配合のものと変わらないと感じる。
【0098】
評価結果を下記のように分類した。
◎:10人の総合点が24以上
○:10人の総合点が17〜23
△:10人の総合点が16以下
【0099】
【表2】
【0100】
表2の結果は、本発明のアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸や従来のアスコルビン酸誘導体と比較して、優れた毛髪への吸着性を有していることを示している。
【0101】
試験例3 [安定性試験]
表3に示す各試験試料の2%水溶液を、希水酸化ナトリウム水溶液または希塩酸水溶液でそれぞれpH7に調製し、50mLのスクリュー管に入れて密栓し、5℃及び50℃で4週間保管した。保管4週間後の臭いおよび溶液の着色について下記の基準で10人のパネラーに評価させた。その結果を表3に示す。
【0102】
臭い:
3: 5℃保管のものと比較して、変わらない
2: 5℃保管のものと比較して、少し異臭が感じられる
1: 5℃保管のものと比較して、強い異臭が感じられる
着色:
3: 5℃保管のものと比較して、ほとんど変化なし
2: 5℃保管のものと比較して、着色している
1: 5℃保管のものと比較して、強く着色している
【0103】
臭い、着色のそれぞれの評価結果を下記のように分類した。
◎:10人の総合点が24以上
○:10人の総合点が17〜23
△:10人の総合点が16以下
【0104】
【表3】
【0105】
表3の結果は、本発明のアスコルビン酸誘導体は、優れた安定性を有していることを示している。
【0106】
試験例4 [メラニン産生抑制試験]
表4に示す各試験試料について、美白効果の試験として、B16メラノーマ4A5細胞のテオフィリン誘発メラニン産生に対する効果の評価を、下記の手順により行った。
【0107】
(1)B16マウスメラノーマ4A5株を、2.0×10
4cells/wellの細胞密度で48穴プレートに播種した。
(2)10%ウシ胎児血清(Invitrogen社製)含有ダルベッコ変法イーグル培地(SIGMA社製、以下「D−MEM」と略記する。)にて24時間培養後、0.2mmol/Lテオフィリン、及び所定の濃度の試料を含有した10%ウシ胎児血清含有D−MEMと培地を交換した。
(3)試験試料共存下で3日間培養後、アスピレーターを用いて培地を除去し、蒸留水を添加後超音波により細胞を破砕した。
(4)その後、細胞破砕液中のタンパク量を、BCA protein assay kit(PIERCE社製)を用いて定量し、また、メラニンの生成量を、アルカリ可溶化法にて測定した。細胞破砕液に終濃度2mol/Lとなるように水酸化ナトリウムを添加して加熱溶解(60℃、15分)後、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。メラニン量は、合成メラニン(SIGMA)を標準品として作成した検量線から算出した。タンパク量でメラニン量を除することにより単位タンパクあたりのメラニン量を算出した。
(5)メラニン産生抑制率は、次式から算出した。
メラニン産生抑制率(%)=[1−(A−B)/(C−B)]×100
[式中、Aは、試料添加時の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Bは、normal群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Cはcontrol群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)を示す。]
【0108】
上記Normal群とは、テオフィリン(−;無添加)及び試料(−;無添加)の場合であり、Control群とはテオフィリン(+;添加)、試料(−;無添加)の場合である。
【0109】
試験試料を100μmol/Lで適用したときのメラニン産生抑制率に基づき、美白効果を下記のように表記し、その結果を表1に示す。
20%未満 :△
20%以上−40%未満 :○
40%以上 :◎
【0110】
【表4】
【0111】
実施例11 クリームの作製
表5に示す組成で、(1)〜(5)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(6)〜(10)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、クリームを調製することができた。このクリームは、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。なお、表5以後の表中、配合量は質量部を表す。
【0112】
【表5】
【0113】
実施例12 クリームの作製
表6に示す組成で、(1)〜(5)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(6)〜(11)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。水相部に油相部を加え予備乳化を行い、ついでホモミキサーで乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却し、クリームを調製することができた。このクリームは、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例13 クリームの作製
表7に示す組成で、(1)〜(2)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(3)〜(9)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、クリームを調製することができた。このクリームは、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0116】
【表7】
【0117】
実施例14 乳液の作製
表8に示す組成で、(1)〜(9)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(10)〜(13)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、乳液を調製することができた。この乳液は、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0118】
【表8】
【0119】
実施例15 乳液の作製
表9に示す組成で、(5)〜(10)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(1)〜(4)及び(11)〜(12)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、乳液を調製することができた。この乳液は、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0120】
【表9】
【0121】
実施例16 化粧水
表10に示す組成で(1)〜(7)の原料を、よく攪拌しながら混合することにより、化粧水を調製することができた。この化粧水は、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、皮膚吸着性、保湿効果、美白効果に優れており、皮膚用化粧料として好適に使用できると考えられる。なお、No.5の適量とは、pHを7.5に調整するための量である。
【0122】
【表10】
【0123】
実施例17 シャンプー
表11に示す組成で(1)〜(8)の原料を、よく攪拌しながら混合することにより、シャンプーを調製することができた。このシャンプーは、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、毛髪吸着性、保湿効果に優れており、毛髪用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0124】
【表11】
【0125】
実施例18 ヘアコンディショナ−の作製
表12に示す組成で、(3)〜(8)の原料を70℃に加温し溶解して油相を調製し、また(1)〜(2)及び(9)〜(10)の原料を70℃に加温し溶解して水相を調製した。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、ヘアコンディショナ−を調製することができた。このヘアコンディショナ−は、本発明のアスコルビン酸誘導体を含むため、毛髪吸着性、保湿効果に優れており、毛髪用化粧料として好適に使用できると考えられる。
【0126】
【表12】