【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来の製造方法では、加熱によって焼き膨らんだケーキ生地上面の膨らみを維持する事が困難であった問題点を解決するために創案されたものであり、後に解決する手段や実施例等によりその内容を説明するがこの発明の内容や従来技術の不具合等について以下にまず説明する。
但し、以下の説明は「課題を解決するための手段」やその「効果」と重複して説明している部分があるが本発明の全体的内容をまず説明する。
【0009】
まず、焼成の際は高温になっているので焼成時に使える専用の少し長めの手袋を使い注意する。電気オーブンについて説明する。コンベクション機能、オーブン庫内サイズ30リットル。
第1の遮蔽物、第2の遮蔽物について説明する。
図1(a)、(b)、(c)の示すように第1の遮蔽物は本体の中央に係止部1bを形成している。
【0010】
図2に示すように、第2の遮蔽物は本体の中央に係止部2bがあり第2の遮蔽物の本体の中央には生地5の水分を調節する為の穴、水分調節穴2hがある。
【0011】
また、第2の遮蔽物の本体の任意の場所には生地5の焼き上がりを確認する為の穴、確認穴2cが形成されている。
【0012】
図15、
図16が示すように第2の遮蔽物の係止部2bに第1の遮蔽物の係止部1bを重ね合わせて乗せ、水分調節穴2hを開閉できるようになっている。あるいは
図3、
図4に示す治具3によって第2の遮蔽物の水分調節穴2hを開閉する事ができる。
【0013】
第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の材質はアルミ材を使用。第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の厚みは1.2mmのアルミ板を使用したが、数々の焼き実験では、1.5mmのアルミ板も使用した。第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の厚みはここに示した厚みより薄いもの、または厚いものでも可能であるが、第1の遮蔽物、第2の遮蔽物が軽すぎてオーブン庫内に対流する温風で飛ばされたりしない重量が良いが、逆に重た過ぎるのも使用上、とても扱いにくいため第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の重量をよく考慮する事が好ましい。
【0014】
図1の示すように第1の遮蔽物には係止部1bが形成されているが、
図2の示すように第2の遮蔽物のように水分調節穴2hはない。第1の遮蔽物を第2の遮蔽物の上に重ね合わせて設置する事によって、水分調節穴2hを開閉する治具3と同一の働きをし、また焼成する食品の生地5の配合にもによるが、第1の遮蔽物は第2の遮蔽物のおもりとしての役割も果たす。(生地5の材料に使用するメレンゲが実施例1で示す分量より更に多い分量で作る場合に更に役立つ。)
【0015】
図1が示すように第1の遮蔽物には
図2の第2の遮蔽物のように水分調節穴2hと確認穴2cがないが、生地5を第1の遮蔽物の下面1eに焼き付ける事も勿論可能であり、第2の遮蔽物と同様に生地5の焼き上がりの確認をする為の穴を第1の遮蔽物の本体の任意の場所に設ける事も良い。
【0016】
図1の示す(c)第1の遮蔽物は下面1eから見た係止部1bが、
図5の示す焼き型4の筒上部4aで、しっかりと係止できるように形成されている。
図2の示す(c)第2の遮蔽物も下面2eの係止部2bが、焼き型4の筒上部4aで、しっかりと係止できるようにそれぞれ形成されている。また説明が幾分重複するが、水分調節穴2hのある第2の遮蔽物の上に第1の遮蔽物を重ね合わせられるように、それぞれの係止部1b、係止部2bが形成されている。
【0017】
図2の示す、水分調節穴2hのある第2の遮蔽物を使用する際、本体のほぼ中央で第2の遮蔽物が、
図5の示す焼き型4の筒上部4aに設置されていないと生地5が第2の遮蔽物の下面2eに焼き付いた時、第2の遮蔽物がバランスを崩して傾いてしまう事などを防ぐためである。また第1の遮蔽物も同様である。第1の遮蔽物の係止部1b、第2の遮蔽物の係止部2bはこの場合、約1cm窪んだ形状に加工してあるが、ここに示す加工に限るものではない。
【0018】
数々の焼き実験の中では第2の遮蔽物の材質は鉄、または鉄を含むものを使用し、1cm程のかなり厚みのあるセラミック板なども使用した。生地5の焼き付けの面などを考えると遮蔽物の材質は、金属、アルミ材を含む材質か、鉄材など、または遠赤外線を放射する材質の金属、または遠赤外線を放射する加工のされた金属を使用する事が好ましい。第2の遮蔽物の下面2eに生地5を加熱して焼き付ける目的がある為、フッ素などの表面処理加工がされていない金属が好ましい。焼き実験ではセラミック材も使用したが、生地5を第2の遮蔽物の下面2eに焼き付けるまでには至らなかった。
【0019】
また第2の遮蔽物の水分調節穴2hを開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをするものとして第1の遮蔽物を使用した。
図3の示す、第2の遮蔽物の本体から外せるものを使用したが、図には示されていないが、第2の遮蔽物の本体と一体式になっているものでもよい。例えば、板状のものを水分調節穴2hにジョイントしてスライドさせる構成、形状のもので、水分調節穴2hを開閉しても良い。水分調節穴2hを簡便に開閉できる構成であることが好ましい。いずれにしても同一機能を果たすものである事が好ましい。また
図3(a)で示すように治具3は第2の遮蔽物の水分調節穴2hを覆う大きさの被せ部3aと取手部3bがあり、取手部3bは、若干傾斜していて、持ちやすい形状に加工した。
図7は第2の遮蔽物の下面2eに加熱した生地5が焼き付いた図であるが、治具3の取手部3bが第2の遮蔽物に対して、傾斜があるという事が分かる。
図15において改めて説明するが、この場合は、第2の遮蔽物の上に重ねる第1の遮蔽物は、下になる第2の遮蔽物よりも一回り程大きいサイズまたは、第1の遮蔽物の側縁が掴みやすい加工がされている事が好ましい。勿論
図3で示す治具3の形状、構成、または水分調節穴2hの開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする
図1の第1の遮蔽物もこれらに限定されるものではなく、本発明と同一の機能を果たせる簡便なものである事が好ましい。
【0020】
また
図1の示す第1の遮蔽物、
図2の示す第2の遮蔽物は、加熱した生地5の上面の焼き焦げを考慮し、使用する
図5の焼き型4の示す(c)焼き型4の外枠4r上面開口部を覆うサイズが好ましい。
図17の示す焼き型11の場合でも、またこれら以外の焼き型を使用する場合においても、焼き型の外枠上面開口部のサイズより大きいサイズの第1の遮蔽物、第2の遮蔽物を使用する事が好ましい。
【0021】
第2の遮蔽物の本体の任意の場所にある生地5の焼き上がりを確認する為の穴として、第2の遮蔽物の確認穴2cの数は、第2の遮蔽物の通気性を考えると、確認穴2cの数が多数ある事も勿論良いが、下面2eに生地5を焼き付ける事を配慮した構成にする事が好ましい。重複するが、
図2の第2の遮蔽物の確認穴2cが示されているが、確認穴2cは一か所とは限らず、また、この穴の形状や大きさも限定されるものではない。第2の遮蔽物の本体は生地5を焼き付ける事を考えると板状のものが好ましいが、いくらかの凹凸や、傾斜や丸みのあるものでも構わない。また第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の形状に関しても
図1、
図2に示したものに限るものではない。
【0022】
図1、
図2に示した第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の本体は本発明の食品の製造を、速やかに行える機能を持ち備えた必要最低限のごくシンプルなデザインになっているが、例えば第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の側縁に取手を付けるデザインをした場合は、オーブン庫内で使用する際に邪魔にならないように加工する事が良いが、第1の遮蔽物、第2の遮蔽物を焼き型4の筒上部4aに設置した際、第1の遮蔽物、第2の遮蔽物が傾いたりしない重量の取手にするべきである。また取り外し式の取手を第1の遮蔽物、第2の遮蔽物に取り付ける場合は、取手の持ち手の部分がオーブン庫内で使用出来ない材質であっても構わない。しかしそのような場合は、第1の遮蔽物、第2の遮蔽物を使用する際に取手の取り外しが簡単にできればよい。
【0023】
第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の構成はすべてオーブン庫内で使用可能な材質を用いたが、例えば一時的に第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の本体に付属として取り付けるものが、オーブン庫内で使用できないものであったとしても、食品の焼成時に第1の遮蔽物、第2の遮蔽物を使用する際に取り外しができるものであれば良い。
【0024】
図1、
図2に示した第1の遮蔽物、第2の遮蔽物はどんな場合の焼成であっても、第1の遮蔽物の下面1e、第2の遮蔽物の下面2eに油を塗らずに使用すること。第1の遮蔽物の下面1e、第2の遮蔽物の下面2eに油を塗っての焼き実験を行った結果、油が垂れたりすると危険である上、加熱によって油が第1の遮蔽物の下面1e、第2の遮蔽物の下面2eにこびりつき、ゴム状に黄色く変色してしまい、洗っても落ちなくなる事が分かった。しかし油を含む生地5を加熱した際、第1の遮蔽物の下面1e、第2の遮蔽物の下面2eに焼き付いても、簡単に洗い流せるので全く心配はない。
【0025】
本発明の実施が簡便な方法で可能になるよう考察し、どのような理由から
図1、
図2に示した第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の構成がされたのか等について説明をする。
図6に示すように第2の遮蔽物の水分調節穴2hが開いているが生地5を焼成する時に、
図4では
図3の示す治具3が用いられている。治具3の被せ部3aで水分調節穴2hを塞いでいる。生地5を第2の遮蔽物の下面2eに焼き付き易くするためである。(水分調節穴2hの開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0026】
生地5の焼成は、オーブンの種類や室内の温度や湿度、季節によって大変影響を受けやすく、特に冬場のように寒い時期は空気も乾燥し、オーブン庫内の温度がなかなか上がらず、加熱された生地5の上面が乾燥してしまう。
図7で示すように、第2の遮蔽物の下面2eに生地5が焼き付き易いように水分調節穴2hを塞いでいる。(水分調節穴2hの開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0027】
図6の示す焼き型4の上面開口部から筒上部4aに設置された第2の遮蔽物の下面2eまでの間には間隔があるが、水分調節穴2hを塞ぐことにより、生地5が加熱で焼き膨らんでくるまでの間、生地5の上面の水分がある程度保たれており、前述したように、
図7で示すように加熱した生地5が、第2の遮蔽物の下面2eに焼き付き易くなる。(
図6では水分調節穴2hは開いているが、
図7のように水分調節穴2hを治具3で塞いで焼成する。)
【0028】
ではなぜ、
図2の第2の遮蔽物の水分調節穴2hを治具3の被せ部3aで塞ぐと、生地5の上面の水分を保つ事ができるのかについて説明する。(水分調節穴2hを開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0029】
図2の(c)の係止部2bの形状やサイズは
図5の示す焼き型4の筒上部4aに厳密にピッタリのものではなく、密閉するパッキンなども勿論使用していない。(第1の遮蔽物も同様に係止部1bが形成されている。)
【0030】
第2の遮蔽物の設置も焼き型4の筒上部4aに乗せるだけの簡単な設置である。勿論第2の遮蔽物を焼き型4の筒上部4aに設置した後、第2の遮蔽物がズレないようにきちんと加工されている。
図2の第2の遮蔽物は(c)の下面2eから見ると係止部2bは窪んだ形状になっている。つまり逆に(b)の断面図で見て分かるように係止部2bは第2の遮蔽物の本体の上方に突起しているという事である。(第1の遮蔽物も同様に係止部1bが形成されている。)
【0031】
また第2の遮蔽物の水分調節穴2hを形成した理由は、
図6の示すような設置において、第2の遮蔽物を係止部2bで焼き型4の筒上部4aに設置して接触した部分の間に、目視で確認はできないが、極微なゆがみなどによる隙間ができ、その隙間が蒸気の通り道となると考察した事による。
【0032】
図4の示すように治具3の被せ部3aによって、
図2に示す第2の遮蔽物の水分調節穴2hをわざわざ塞ぎ、第2の遮蔽物に水分調節穴2hが開いていない時と近似した状態を作り出す事が出来た事により、主には生地5の上面からの水蒸気を蒸気の通り道となる隙間から蒸発させ過ぎないようにしている。この状態は係止部1bのみが形成されている第1の遮蔽物と同様の状態である。(水分調節穴2hを開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0033】
図3の示す治具3によって水分調節穴2hをわざわざ塞ぐのであれば、第2の遮蔽物のように水分調節穴2hを開ける加工がなぜ必要であったのかという疑問が、また湧いてくると思うが第1の遮蔽物の係止部の中央に穴を開ける加工、すなわち第2の遮蔽物のような水分調節穴2hの加工を施した理由は、生地5の焼成がすべて終わった時に、生地5の水分が多く含みすぎると感じる場合がある。そのような場合、生地5の加熱途中で治具3または第1の遮蔽物により水分調節穴2hを開き、生地5の水分を蒸発させる。この工程はオーブン庫内の環境にもよるので、必ずしも沢山の水分が生地5に戻るとは言い切れない。また生地5の水分量には好みもあるので、第2の遮蔽物の水分調節穴2hを必ずしも加熱途中で開く必要はない。(水分調節穴2hを開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0034】
しかし、本発明の開発途中で出来上がった食品が、私達発明者が当初求めていた生地5の水分量とは異なっていた為、第2の遮蔽物のように、水分調節穴2hを開ける加工が必要となり、
図2の示す第2の遮蔽物のように係止部2bの中央に水分調節穴2hのあるものもが出来上がった。
【0035】
本発明は、
図5の示す焼き型4と、
図2の示す第2の遮蔽物を使用し、生地5の上面を第2の遮蔽物の下面2eに焼き付け加熱した生地5の上面を焦がさず、膨らみを維持させ、焼成で作り出される芳醇な香りを生地5に取り込んだ食品を提供する為のものであるが、筒4bの形成されている焼き型4は、シフォンケーキのように、膨らみのある食品を焼成する際だけに活用されるものではなく、膨らみをあまり求めない食品の製造にも頻繁に用いられる。勿論第1の遮蔽物でも生地5を下面1eに焼き付けて焼成できる。
【0036】
また従来のように焼き型4だけを使用して作る食品は好みにもよるが、人によっては一度膨らんで縮んだ部分を、稀に好む場合がある事を考慮すると、生地5の上面の
図9で示す焼き焦げ7だけ防止できれば良いという事もあり得る。第2の遮蔽物の構成が必ずしも全て揃っていなければならないという事ではなくなる。加熱した生地5の上面の焦げ7を防止する事だけが目的ならば、
図1の示す係止部1bだけが形成されている第1の遮蔽物でも、充分食品のおいしさに貢献できる。または生地5の上面の焼き焦げを防止し、更には生地5の上面をもう少し乾かした状態にしたい場合は、第2の遮蔽物の中央にある係止部2bが形成され、その中央に水分調節穴2hが形成されているだけでも役に立つものである。
【0037】
図5で示す焼き型4の説明。( b )の示す筒本体は筒4bと底部4cからなり、( c )の示す外枠本体は外枠4rと底部4fからなり、中央は底なし形状4eになっている。筒4bが形成されている事が特徴的な、底取り式の二層式タイプの焼き型4である。
【0038】
図5の示す焼き型4のサイズは外枠4rの上面開口部が直径17cm。容量約1370ml。外枠4rの高さは約8cm。また筒4bは焼き型4の上面開口部から上方に約4cm突出している。焼き型4の大きさによっては外枠4rの高さや、筒4bの長さなどそれぞれサイズは異なる。焼き型4の筒上部4aに設置された、第2の遮蔽物の下面2eに生地5を焼き付ける事を考慮し、筒4bは外枠4rの上面開口部から上方に約4〜5cm以内の突出である焼き型4を使用する事が好ましい。本発明を実施する上では焼き型4の他のサイズであっても、筒4bの突出については、約4〜5cm以内が最も好ましい。大概は焼き型4の筒4bの長さは一般的オーブン庫内の高さを考えて作られている。
【0039】
図5の示す焼き型4は円形で、底取り式の二層式タイプである。図には示されていないが、他には筒と底部と外枠が一体式のものもある。しかし本発明の第2の遮蔽物の下面2eに生地5を焼き付ける食品製造方法においては、二層式タイプの焼き型4を使用する事が好ましい。
【0040】
一般的には焼成直後、焼き型4を高い位置から落として、生地5が内包する空気を交換する事を勧められているが、その為に焼き型4の内部に焼き付いた部分の生地5が衝撃で剥がれてしまう事がよくある。あまりグルテンの効いていない食品を製造する場合はまだ良いが、焼成直後に焼き型4を高い位置から落とす事は得策とは言い難い面がある。
【0041】
本発明を用いる前との比較例として、
図13で示すようにビン10で生地5を冷ましていた。時にはビンが倒れてしまう事もあり、焼き型4の内部に焼き付いた生地5が剥がれて一気に縮んでしまう事も多々あった。本発明は
図11の示すように生地5を冷ます事ができ、第2の遮蔽物を付けたまま冷蔵庫で冷やす事で、生地5の外皮で生まれた香り成分を、食品により一層封じ込める事が出来る。
【0042】
また本発明の第一の目的としては生地5の上面が膨らんだままの状態で維持される事であった。ところが、どうしても加熱した生地5は加熱途中で、
図9が示すような焦げ7を生じてしまい、(オーブン庫内の高さにもよる。)レシピ開発の途中で断念する事がごく当たり前のように起きてしまい、加熱途中で比較例として
図12の示すようにアルミホイル9を生地5の上面に被せ、再度加熱する事が度々あった。加熱途中では焼き型4もかなり熱くなっている為、素早くアルミホイル9で、生地5の全体を覆う作業は容易ではなく時間もかかり大変であった。また、生地5の焼き初めからアルミホイル9を生地5の上面
に被せて焼成すると生焼けになり、焼き色も付かず、香りも悪くなる事が多かった。その為、生地5の上面にアルミホイル9などを被せて焼成するという事をしなくなった。ところが、本発明は焼成の始めから第2の遮蔽物を設置した状態で焼成でき、生地5が生焼けにならずに済むという利点がある。
【0043】
本発明に至るまでの間には、焼き焦げ7を防ぐ為に加熱途中でオーブンを開ける事は度々あったが、オーブン庫内の温度が急激に下がり、
図10で示す縮み8のように加熱した生地5が一気に縮み、再度加熱してもオーブン庫内の温度が上昇するまでにはかなり時間が掛かってしまい、なかなか生地5が膨らまなくなってしまっていた。
図8の示すように、本発明では前半の焼成の後、第2の遮蔽物の治具3によって、水分調節穴2hを開けるが、その作業の時点では、生地5は第2の遮蔽物の下面2eに焼き付いている事もあり、また水分調節穴2hを開く作業は一瞬で行える為、オーブンをいつまでも開けておく事もなくなり、温度も維持されるという利点がある。
【0044】
数々の焼き実験では焼き型4は外枠4rの上面開口部の直径が10cm〜23cmサイズのものを使用した。業務用としては25〜26cmもあるが、特注品としてはこのサイズ以上の焼き型4も加工が可能であり、本発明の第1の遮蔽物、第2の遮蔽物を用いる事も可能だと考えている。一般家庭用のオーブンを使用する場合は、オーブンの庫内の利用範囲にもよるが、大きくても外枠4rの上面開口部の直径が23cmサイズくらいまでの焼き型4を使用する事が好ましい。
【0045】
図5の示す、焼き型4の材質はアルミ材を使用。焼き型4の外枠4rの内面と
筒4b周りと底部4cに生地5を焼き付けてゆく事を考慮し、金属を使用する事が好ましく、アルミ材を含む材質や鉄材を含む材質を使用した焼き型4を使用する事が好ましい。焼き型4はフッ素加工などがされていない方が良いが日々、材質は改良され、ここに示す材質よりも、より適したものがあれば採用するべきである。また第1の遮蔽物、第2の遮蔽物の材質についても同様に、より適した材質があれば適用する事が好ましい。ここに示した焼き型4は筒4bが形成されており、熱を均一に伝えることが出来るのでシフォンケーキなどのような,とても柔らかな膨らむ食品だけではなく、バターやチーズ、チョコレートなどの油脂を多めに使用した、比較的膨らまないずっしりとしたケーキ作りや、パンを焼成する際にも度々活用される。
【0046】
図3の示す治具3または
図1の示す第1の遮蔽物で、
図2の示す水分調節穴2hを開閉できる第2の遮蔽物を焼き型4の筒上部4aに設置する事によって新しい組み合わせの焼き型となる。
【0047】
図6が示すように、焼き型4の筒上部4aを支持部として、
図2の第2の遮蔽物(c)で示す係止部2bで焼き型4の筒上部4aに、第2の遮蔽物を係止させ設置する。焼き型4の上面開口部から、第2の遮蔽物の下面2eまでの間隔は、この場合、約3cmである。焼き型4は外枠4rの高さが約8cmであるから、焼き型4だけで生地5を焼成した時より、本発明の第2の遮蔽物を使用した時の方が、約3cmも高さの増した食品を製造できた。
【0048】
比較例として、
図10図で示すように従来は縮み8は生地5が一度膨らんだ状態から縮まってゆき、厚ぼったい層になってずっしりとしていた。また従来では焼き型4の外枠4rの中に収められている部分の焼き上がった生地5は、縮み8の重みで押し潰されてしまっていた。本発明では、
図14、
図21、
図22、
図23の示すように、しっかりと生地5の上面の膨らみが維持されている。
図14、
図21、
図22、で示すように筒4bが約1cm見えているが、これは第2の遮蔽物の係止部2bの窪みの約1cmの長さによるものである。
【0049】
焼成する生地5は、第2の遮蔽物を焼き型4の筒上部4aに設置する前に焼き型4に充填する事が好ましい。
【0050】
焼き型4を使用してシフォンケーキを焼成する際の材料は一般的なプレーンシフォンケーキを作る材料も配合もほぼ近く、生地5は小麦粉の量からする
と割合的にメレンゲが多い事が特徴の一つであり、植物油を使用しているのでバターなどの油脂類を使った時よりも、膨らみが更に増す生地5である。卵黄の生地5を最初に作り、その後メレンゲ(卵白を別で泡立てたもの)を作るが、生地5を膨らませる大切な要素となるので、泡立てをしっかりと行う事。別立てしたメレンゲと卵黄生地を混ぜる際は、メレンゲが潰れないように生地5を作る。この配合はメレンゲの立て具合にもよるが、かなり生地5が膨らむようにしたものである。(油脂の多いものなどを生地5に混ぜる場合は生地5の膨らみの為に、メレンゲを増やすなどの工夫が必要となる。)
【0051】
生地5の焼成時間や温度などについて説明する。オーブンの予熱は季節やオーブン自体の性能などにも左右されるので、焼成時間や予熱温度はなかなか限定できないが、生地5の焼成は温度が約180度前後であることが好ましい。
【0052】
オーブンの種類によっては温度計が示す温度より若干低くても、生地5に送り込む熱量が高いものもある。また焼成する生地5に混ぜ込む材料(膨張材)によっても、若干温度を低めにしても生地5に熱を効率よく行き渡らせる事ができる場合がある。また逆にオーブンの性能として、熱を上手く循環できない場合はオーブン庫内の熱を循環させる若干の工夫が必要になる事もある。このような工夫はどんな生地を焼成する場合においてもあり得ることである。
【0053】
焼き型4を使用してクリームチーズなど油脂分の多いシフォンケーキを焼成する際の材料はメレンゲの量を増やす事が好ましい。
【0054】
図17の示す焼き型11に取り付ける
図18の示す支持具12の説明と、支持具12を焼き型11に取り付け、
図2の示す第2の遮蔽物と連結させる方法を
図2の示す(a)、(b)、(c)、
図17の示す(a)、(b)(c)、
図18の示す(a)、(b)、(c)、
図19、
図20を参照しながら詳述する。
【0055】
図17で示す焼き型11は(a)、(b)、(c)のように、底なし形状11eで底板11fの側縁を底部11cに乗せ係止させて、はめ込むようになっている。スチール製で直径20cm、外枠本体の高さ約6cm。容量約1762ml。
【0056】
図18の示す(a)内クリップ12zを,
図19の示すように焼き型11の側縁11kの内側面11aに差し込む。
【0057】
図18の示す外クリッ12rと外クリップ12fは、内クリップ12zより低い位置の両側に形成されている。
図19で示されている外側面11bを外クリッ12rと外クリップ12fで挟み、内クリップ12zで側縁11kに差し込み、内側面11aを挟んだ状態になる。
【0058】
図18で示している支持具12の側縁乗せ位置12eと側縁乗せ位置12hに、焼き型11の側縁11kが乗っかるように形成されている為安定感が良い。
【0059】
図19の示すように側縁11kに、この場合は複数の支持具12を取り付けている。
【0060】
図19で示したように支持具12を焼き型11の側縁11kに設置した後、
図18(a)、(b)、(c)で示されている支持具12の差込口下面12bに第2の遮蔽物の側縁を滑らせるようにして乗せ、差込口上面12aに上から挟まれた状態にする。焼き型11の側縁11kに取り付けられた支持具12すべての差し込み口Aに第2の遮蔽物の側縁を
図20が示すように差し込む。支持具12を焼き型11対してバランスよく取り付け、第2の遮蔽物が安定するよう均等に設置する。焼き型11の上面開口部から更に間隔を空けた上部に第2の遮蔽物を安定した状態で設置できる支持具12である。支持具12の形状はこれに限るもので15はなく、安定した状態で設置できるように形成されたものであれば、必ずしも焼き型11の側縁11kに取り付ける支持具が複数でなければならないという事ではなく、1つでも構わない。しかし、安全面をよく考慮した構成が最も大切である。
【0061】
図20は、
図19の示すように、生地5を焼き型11に充填した後、支持具12によって、焼き型11の外枠11kの上面開口部から更に間隔を空けた上部に、第2の遮蔽物を設置し、焼き型11と第2の遮蔽物を連結させる手順である。第2の遮蔽物と焼き型11を連結支持する支持具12によって新しい組み合わせの焼き型となる。(治具3または第1の遮蔽物を伴う)
【0062】
支持具12は金属を使用したが、オーブン庫内で使用できる材質ならば樹脂系の素材でも構わないが、金属に触れても溶けない耐熱性のある素材を使用する事が好ましい。
【0063】
この焼き型11の場合、治具3を伴う第2の遮蔽物を焼き型11の上面開口部から更に間隔を空けた上部に設置している為、生地5の上面を乾燥させずに焼成できる。生地5の水分量は人それぞれの好みによるが、生地5の上面の水分量が少ない方が良い場合は、水分調節穴2hを開ける事で、水分を蒸発させる事もできる。(水分調節穴2hを開閉する
図3の示す治具3と同一の働きをする第1の遮蔽物を使用しても良い。)
【0064】
本発明は焼き型11に取り付けた支持具12によって第2の遮蔽物を支持して設置しているため、オーブン庫内の熱を受けた第2の遮蔽物の下面2eから放射する熱、またオーブン庫内の対流熱によって、生地5の上面を焦がさずに焼き色を付ける事ができた。膨らみのある生地5ではないが、生地5の上面が程よい水分量を保った食品が出来た。今までは、アルミホイルを生地5の上面に直接被せて焼成すると、やはり生焼けになってしまい上手く焼成が出来なかったが、本発明では生焼けにもならず、焼き色を付けて焼成できた。
【0065】
この場合の焼成では第2の遮蔽物が必ずしも板状のものでなくても良いが、焼き型11に支持具12を取り付ける事を考慮すれば、少なくとも第2の遮蔽物の側縁の形状は支持具12と連結し易い形状にする事が好ましい。生地5を第2の遮蔽物の下面1eに焼き付けずに焼成する為、第2の遮蔽物の材質は生地5が必ずしも第2の遮蔽物の下面2e焼き付くものではなくても良い。例えば金属にフッ素加工など焼き付き防止の材質や、オーブン庫内で使用できるような樹脂素材などでも可能であるが,出来れば遠赤外線の効果のある材質などを使用すると尚良い。(第1の遮蔽物の材質、形状についても同様である。)
【0066】
焼き型11で食品を製造する材料について説明する。材料はほぼ一般的なスポンジケーキに近い材料と分量である。使う油が植物油ではなくバタ―を使っている点や、卵の泡立ても共立てで作った生地5であり、シフォンケーキ程の膨らみはない食品である。
【0067】
図17で示す焼き型11は、
図5で示す焼き型4のように筒4bがない為、
焼き型11の構造上、加熱した生地5の膨らみが大きくなる焼成には向かない。よって第2の遮蔽物の下面2eに生地5を焼き付けて焼く事は避けた方が良い。