(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、押し順の設定されている役について、ボーナス内部中においてはボーナス内部中でないときと異なる停止制御を採用するように形成した場合には、有効ラインあるいは有効ラインでないラインに揃う図柄組合せの態様によって、ボーナス内部中か否かを察知できてしまう場合があった。例えば、ボーナス内部中にはストップスイッチの操作態様にかかわらず目押し不要役を入賞させるように形成した場合には、ボーナス内部中の打順小役当選時は必ず目押し不要役が揃うので、逆に、要目押し役が揃った時点で、ボーナス内部中でないと遊技者に看破されてしまい、遊技意欲を減退させる原因となっていた。特に、ボーナス当選の期待を抱かせるような演出を実行していた場合には、大いに興趣を削がれるものとなっていた。
【0006】
そこで、本願発明は、上記したような事情に着目し、ボーナス内部中において表示される図柄組合せによってはボーナス内部中か否かを容易に判断できないようにして、実行中の演出の期待感を損なわず、遊技者をがっかりさせることがないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した目的を達成するためになされたものであり、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、複数の図柄を表示した複数の回転リール(40)と、前記複数の回転リール(40)の回転を開始させるためのスタートスイッチ(30)と、回転中の前記回転リール(40)を個々に停止させるための複数のストップスイッチ(50)と、所定の図柄組合せが対応付けられた役について当選か否かの役抽選を行うための役抽選手段(70)と、前記役抽選の抽選結果及び前記ストップスイッチ(50)の操作に基づいて、前記回転リール(40)の回転停止を制御する停止制御手段(92)と、を少なくとも備え、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づいて、当選した役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に入賞となり、役に応じて所定の利益が付与される遊技機であって、遊技状態として、所定のボーナス役が当選している状態であるボーナス内部中状態と、ボーナスゲームが行われる状態であるボーナス状態と、ボーナス内部中状態及びボーナス状態以外の状態とを有する遊技機に係る。
【0008】
本発明においては、前記役抽選の複数の抽選対象のグループとして、所定の図柄組合せがそれぞれ対応付けられた複数の役により構成される第一の当選役グループと、前記所定の図柄組合せとは異なる図柄組合せがそれぞれ対応付けられた複数の役により構成される第二の当選役グループとを設け、前記役抽選の抽選結果として、前記第一の当選役グループを構成する少なくとも1つの役と前記第二の当選役グループを構成する少なくとも1つの役とが所定の組み合わせで同時に当選する複数の当選態様(以下第一当選態様グループという)と、前記第一の当選役グループを構成する少なくとも1つの役と前記第二の当選役グループを構成する少なくとも1つの役とが前記所定の組み合わせとは異なる組み合わせで同時に当選する複数の当選態様(以下第二当選態様グループという)とを設けてある。また、前記第一当選態様グループの各当選態様、及び前記第二当選態様グループの各当選態様に対しては、それぞれ、前記ストップスイッチの操作態様があらかじめ設定されている。
【0009】
そして、本発明においては、遊技状態が前記ボーナス内部中状態でない場合において、前記第一当選態様グループのうちのいずれかの当選態様が当選した場合であって、当該当選態様に設定された操作態様で前記ストップスイッチ(50)が操作された場合には、前記停止制御手段(92)は、当選に係る当選態様に属する前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の回転停止を制御して、前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができる。一方、当選に係る当選態様に設定された操作態様で前記ストップスイッチ(50)が操作されなかった場合には、前記停止制御手段(92)は、当選に係る当選態様に属する前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の停止を制御して、前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができる。
【0010】
また、前記第二当選態様グループのうちのいずれかの当選態様が当選した場合であって、当該当選態様に設定された操作態様で前記ストップスイッチ(50)が操作された場合には、前記停止制御手段(92)は、当選に係る当選態様に属する前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の回転停止を制御して、前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができる。一方、当選に係る当選態様に設定された操作態様で前記ストップスイッチ(50)が操作されなかった場合には、前記停止制御手段(92)は、当選に係る当選態様に属する前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の回転停止を制御して、前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができる。
【0011】
さらに、遊技状態が前記ボーナス内部中である場合において、前記第一当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、前記停止制御手段(92)は、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき、当選に係る当選態様に属する前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の回転停止を制御して、前記第二の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができ、前記第二当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、前記停止制御手段(92)は、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき、当選に係る当選態様に属する前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示され得るように前記回転リール(40)の回転停止を制御して、前記前記第一の当選役グループを構成するいずれかの役を入賞させることができるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
(作用)
本発明において、「ボーナス内部中状態及びボーナス状態以外の状態」には、通常状態と、通常状態とは再遊技の当選確率が異なる状態(リプレイタイム・RT状態)が含まれる。
本発明における「第一の当選役グループ」を構成する複数の役は、対応付けられた図柄組合せが相互に類似している類似役(例えばベル1役とベル2役)であっても対応付けられた図柄組合せが類似していない非類似役(例えばベル役とスイカ役)であってもよく、「第二の当選役グループ」を構成する複数の役も、類似役であっても非類似役であってもよい。また、「第一の当選役グループ」を構成する複数の類似役と、「第二の当選役グループ」を構成する複数の類似役とは、対応付けられた図柄組合せが相互に類似しているか否かは問わない。
【0013】
また、本発明における「第一当選態様グループ」及び「第二当選態様グループ」は、役抽選において用いられる役抽選テーブル(71)に規定された当選領域とすることができ、それぞれ、「第一の当選役グループ」を構成する少なくとも1つの役と「第二の当選役グループ」を構成する少なくとも1つの役との重複当選領域とすることができる。「第一当選態様グループ」及び「第二当選態様グループ」に設定されているストップスイッチ(50)の操作態様には、ストップスイッチ(50)の操作順と、ストップスイッチ(50)の操作タイミングが含まれる。
本発明において、ボーナス内部中状態でないときに、第一当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、当該当選態様に設定されたストップスイッチ(50)の操作態様(以下正解の操作態様という)で停止操作が行われると、その当選態様に属する第二の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばp)が入賞し得る。役pは必ず入賞する設定であってもよいし、ストップスイッチ(50)の操作タイミングによって入賞可能なものであってもよい(以下、役q〜sについて同じ)。また、正解の操作態様で停止操作が行われなかった場合には、その当選態様に属する第一の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばq)が入賞し得る。一方、第二当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、正解の操作態様で停止操作が行われると、その当選態様に属する第一の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばr)が入賞し得る。また、正解の操作態様で停止操作が行われなかった場合には、その当選態様に属する第二の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばs)が入賞し得る。
【0014】
ここにおいて、第一当選態様グループのいずれかが当選した場合と、第二当選態様グループのいずれかが当選した場合とでは、正解の操作態様で停止操作された場合に表示される図柄組合せが異なるとともに、正解の操作態様で停止操作されなかった場合に表示される図柄組合せもそれぞれ異ならせることができる。このため、操作態様の設定された役の入賞時に表示され得る図柄組合せの種類が増え、遊技が単調になるのを防止できる。なお、第一当選態様グループと第二当選態様グループの設定の仕方によっては、第一当選態様グループのいずれかが当選した場合と、第二当選態様グループのいずれかが当選した場合とで、正解の操作態様で停止操作された場合に表示される図柄組合せと正解の操作態様で停止操作されなかった場合に表示される図柄組合せが入れ替わるようにすることもできる。
【0015】
また、ボーナス内部中状態においては、第一当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、第二の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばp又はs)が入賞し得る。この場合、当選した当選態様にストップスイッチ(50)の操作順が設定されている場合でも、ストップスイッチ(50)の操作順に関わらず、役p又は役sを入賞させることができる(以下、役q、rにおいて同じ)。一方、第二当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選した場合には、第二の当選役グループを構成するいずれかの役(例えばq又はr)が入賞し得る。
ここにおいて、ボーナス内部中状態においては、当選に係る当選態様が第一当選態様グループに属しているか第二当選態様グループに属しているかにより、表示され得る図柄組合せが異なるものとなる。すなわち、当選に係る当選態様が第一当選態様グループに属している場合には第一の当選役グループを構成する役は入賞せず第二の当選役グループを構成するいずれかの役が入賞し得るとともに、当選に係る当選態様が第二当選態様グループに属している場合には第二の当選役グループを構成する役は入賞せず第一の当選役グループを構成するいずれかの役が入賞し得る。しかも、第一当選態様グループのいずれかが当選した場合に正解の操作態様で入賞し得る役と、第二当選態様グループのいずれかが当選した場合に正解の操作態様以外の操作態様で入賞し得る役とは、いずれも第二の当選役グループに属しているため、同一の役となる場合があり、第二当選態様グループのいずれかが当選した場合に正解の操作態様で入賞し得る役と、第一当選態様グループのいずれかが当選した場合に正解の操作態様以外の操作態様で入賞し得る役とは、いずれも第一の当選役グループに属しているため、同一の役となる場合もある。そして、第一当選態様グループのいずれかが当選した場合に正解の操作態様で入賞し得るある役が入賞した場合、その入賞が、第一当選態様グループのいずれかが当選して正解の操作態様で停止操作したことに基づくのか、第二当選態様グループのいずれかが当選して正解の操作態様以外の操作態様で停止操作したことに基づくのか、あるいはボーナス内部中状態において第一当選態様グループに属するいずれかの当選態様が当選したことに基づくのか、判別することができない。したがって、表示された図柄組合せを見ただけで、一義的にボーナス内部中か否かを判断することは困難なものとなる。
【0016】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、前記第一当選態様グループの当選確率と、前記第二当選態様グループの当選確率とは、同等に設定されていることを特徴とする。
(作用)
本発明においては、ボーナス内部中においても、第一の当選役グループを構成する役と第二の当選役グループを構成する役とが、同等の割合で当選し、いずれの当選役グループが当選した場合でも、正解の操作態様で停止操作した場合に入賞し得る役のみを入賞させることができる。そして、正解の操作態様で停止操作した場合に入賞し得る役のみを入賞させても、ボーナス内部中とボーナス内部中でない時と見分けが付かず、ボーナス内部中か否かを容易に判断できないようにすることができる。
【0017】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、そして、前記第一当選態様グループの当選確率と、前記第二当選態様グループの当選確率とが、それぞれ異なるように設定されていることを特徴とする。
(作用)
本発明においては、ボーナス内部中における、第一の当選役グループを構成する役と第二の当選役グループを構成する役が入賞する割合が異なってくる。例えば、第一当選態様グループに属する当選態様が当選しやすい(第一当選態様グループの当選確率が高い)設定であると仮定する。ボーナス内部中でないときにおいては、第二の当選役グループを構成する役(例えばp)の方が、第一の当選役グループを構成する役(例えばq)よりも頻繁に当選するものの、正解の操作態様で操作しないと役qが入賞する場合もあるので、役pの入賞する割合はボーナス内部中に比べると低い。一方、ボーナス内部中においては、役pが当選した場合には正解の態様でなくても入賞する場合があるので、ボーナス内部中でないときに比べて役pが頻繁に入賞するものとなる。これによって、役pが頻繁に入賞しだしたら、ボーナス当選の可能性が高い、という期待感をもたせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように構成されているので、複数の役が同時に当選する当選領域にストップスイッチの操作態様が設定されており、そのような当選領域の当選時にはストップスイッチの操作態様によって表示され得る図柄組合せが異なる設定となっているとともに、ボーナス内部中においては、前記した当選領域の当選時には、ストップスイッチの操作に基づいて表示され得る図柄組合せがあらかじめ定められている場合において、ボーナス内部中において表示される図柄組合せによってはボーナス内部中か否かを容易に判断することができず、実行中の演出の期待感を損なわず、遊技者をがっかりさせることがない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在に設けられた前扉3を有している。前記筐体11の内部において、開口上部には、3個の回転リール40を有するリールユニット60が設置され、開口下部には、ホッパーユニット65と、電源ユニット5が設けられている。また、前記リールユニット60の上方には、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。
【0021】
前記前扉3は、筐体11にヒンジ(図示せず)を介して水平方向に回動自在に取り付けられた板状の扉である。前扉3には、
図1に示すように、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が設けられており、正面パネル12には、3個の回転リール40の図柄を視認可能な図柄表示窓13が形成されている。そして、この図柄表示窓13の下方であってスロットマシン10の高さ方向略中央部は、スロットマシン10を作動させるための操作スイッチが設けられたカウンター状の操作部3Aとなっており、操作部3Aの上面右端にはメダル投入口14が設けられている。前扉3の下部には、ホッパーユニット65から払い出されたメダルを受ける下皿3Bが設けられている。また、メダル投入口14の下方であって前扉3の裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター4が設けられている。
【0022】
前記リールユニット60は、筐体11の内部に収納される枠体に固定された3個のステッピングモータ(図示せず)と、各ステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40から構成されている。ここで、3個の回転リール40について、個々の回転リール40を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置する回転リール40を左リール41と称し、中央に位置する回転リール40を中リール42と称し、右側に位置する回転リール40を右リール43と称するものとし、個々の回転リール40を特定しない場合には、単に回転リール40というものとする。
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの表面には、
図3に示すように、「赤7」、「青7」、「リプレイ」、「スイカ」、「ベルa」、「ベルb」、「ベルc」、「BAR」、「チェリー」などの図柄が、1つの回転リール40につき21個ずつ、表示されている。なお、「ダミー」は、何の役にも対応付けられていない図柄である。また、
図3において左端の数字は、各図柄を特定するための図柄番号を示している。
【0023】
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ、合計9個視認できるようになっている。
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ60A(
図2参照)に検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、例えば回転ドラムの内側や回転ドラムとステッピングモータをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
前記ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。前記電源ユニット5は、スロットマシン10の主電源のON/OFFを行うためのものである。
【0024】
ここで、前記操作スイッチとしては、
図1に示すように、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50が設けられている。なお、操作スイッチとしては、その操作によりスロットマシン10により行われる演出に関わる選択を行うことができる演出選択スイッチが設けられていてもよい。
前記ベットスイッチ16は、カウンター状の操作部3Aの上面左側に設けられたボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。ここで、クレジットとは、次ゲーム以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入されたメダル、又は入賞により払い出されるメダルを、最大50枚まで、遊技機内部に貯留する扱いができるように形成されている。
【0025】
前記精算スイッチ17は、操作部3Aの上面左端に設けられたボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
前記スタートスイッチ30は、操作部3Aの正面左側に設けられたレバー状のスイッチであって、回転リール40を回転開始させるためのものである。スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、レバーの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサが設けられており、センサの検出信号がスタートスイッチ30の操作信号として扱われるようになっている。
ストップスイッチ50は、操作部3Aの正面中央部に設けられた3個のボタンスイッチであって、回転中の回転リール40を停止させるためのものである。ここで、3個のストップスイッチ50について、個々のストップスイッチ50を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置するストップスイッチ50を左停止スイッチ51と称し、中央に位置するストップスイッチ50を中停止スイッチ52と称し、右側に位置するストップスイッチ50を右停止スイッチ53と称するものとし、個々のストップスイッチ50を特定しない場合には、単にストップスイッチ50というものとする。3個のストップスイッチ50は、それぞれ、3個の回転リール40に対応して設けられている。具体的には、左リール41には左停止スイッチ51が対応し、中リール42には中停止スイッチ52が対応し、右リール43には右停止スイッチ53が対応している。各ストップスイッチ50の筐体内部側には、特に図示しないが、ボタンの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサがそれぞれ設けられており、センサの検出信号が各ストップスイッチ50の操作信号として扱われるようになっている。そして、左停止スイッチ51の操作により左リール41を停止させることができ、中停止スイッチ52の操作により中リール42を停止させることができ、右停止スイッチ53の操作により右リール43を停止させることができる。
【0026】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、
図2に示すように、遊技制御装置21及び演出制御装置22を構成する。
そして、制御装置20の入力側には、
図2に示すように、メダルセンサ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ60Aの各パーツが接続されている。ここで、メダルセンサ15は、
図1に示すように、メダルセレクター4に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルの通過を検知するものである。インデックスセンサ60Aは、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。
【0027】
一方、制御装置20の出力側には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、画像表示部67、ランプ68、スピーカ69の各パーツが接続されている。ここで、画像表示部67は、
図1に示すように、図柄表示窓13の上側に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出画像を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限られず、例えば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしてもよい。ランプ68は発光体の点灯又は点滅により入賞等を報知するためのものであり、スピーカ69は、BGMや操作音等、所定の音声を出力するためのものである。
【0028】
(遊技制御装置21)
遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。そして、遊技制御装置21は、
図2に示すように、役抽選手段70、遊技状態移行制御手段80、リール制御手段90、遊技結果判定手段100、ホッパー制御手段110、遊技進行停止手段120の各手段として機能する。
(役抽選手段70)
役抽選手段70は、複数の図柄から構成される図柄組合せが対応付けられた所定の「役」について、当選したか否かを抽選により決定するものであり、
図2に示すように、役抽選テーブル71と、判定手段72とを備えている。そして、スタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで、図示しないカウント抽出手段が、図示しないループカウンタの数値を読み取り、判定手段72がこの数値と役抽選テーブル71とを比較して、当選の有無を判定するものである。
【0029】
役抽選テーブル71は、前記ループカウンタがカウントする数値(例えば0〜65535)を全領域として各当選項目の当選領域を規定したものである。なお、役抽選テーブル71の詳細については後述する。判定手段72は、カウント抽出手段がピックアップしたカウントデータと、前記役抽選テーブル71の当選判定領域データとを照合し、カウントデータが所定の当選領域に属する場合には当該当選領域に対応する当選を決定し、カウントデータがいずれの当選領域にも属さない場合には、「ハズレ」の決定をするものである。
ここで、スロットマシン10は、ストップスイッチ50の操作によって所定の当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に揃って表示される(以下、このことを入賞という)と、役に応じた利益が付与されるようになっている。前記役としては、入賞により所定枚数のメダルが払い出される小役と、入賞により次ゲームにおいて遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役と、入賞により次ゲームからボーナス状態に移行するボーナス役とを備えている。
【0030】
なお、有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれに表示されている図柄であって図柄表示窓13の上段、中段、下段に位置する各回転リール40につき1個ずつの図柄を繋いでできるライン(入賞ライン)のうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。入賞ラインは、規定数のメダルをベットすることにより有効ラインになる。ここで、規定数とは、1回の遊技を行うために賭けることができるメダル数である。
本実施の形態においては、
図1に示すように、各回転リール40の中段に位置する図柄を繋いでできる中段ラインL1と、各回転リール40の下段に位置する図柄を繋いでできる下段ラインL2と、左リール41の上段に位置する図柄、中リール42の中段に位置する図柄、右リール43の下段に位置する図柄を繋いでできる右下がりラインL3とが入賞ラインとして設定されている。そして、本実施の形態では、1回の遊技につき、メダルを3枚ベットすることが可能となっており、3枚のメダルをベットすると、入賞ラインL1乃至L3が有効になる。
【0031】
本実施の形態においては、前記役として、
図4に示すように、ボーナス役と、再遊技役と、小役とが設けられている。ボーナス役が入賞すると、次ゲームからボーナスゲームが開始される。再遊技役が入賞すると、再遊技が作動し、次ゲームにおいて、ベットすることなくスタートスイッチ30が操作可能となる。小役が入賞すると、所定枚数のメダルが払い出される。
前記ボーナス役としては、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが対応付けられたBB(ビッグボーナス)が設けられている。また、再遊技役としては、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ1役と、「リプレイ・リプレイ・ベル(ベルa又はベルb又はベルc)」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ2役と、「リプレイ・ベル(ベルa又はベルb又はベルc)・リプレイ」の図柄組合せが対応付けられたリプレイ3役とが設けられている。そして、小役としては、入賞により9枚のメダルが払い出される54個のベル役と、入賞により9枚のメダルが払い出されるスイカ役と、入賞により9枚のメダルが払い出されるチェリー役が設けられている。スイカ役には「スイカ・スイカ・スイカ」の図柄組合せが対応付けられており、チェリー役には、「チェリー・ANY・ANY」(ANYは何の図柄でもよい)の図柄組合せが対応付けられている。
【0032】
前記した54個のベル役は、ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄(以下ベル図柄と総称する)3種類の図柄の順列により構成される27個のベル役(ベルA1役〜ベルA27役)と、3個のベル図柄及び赤7図柄、青7図柄、チェリー図柄の6種類の図柄の順列により構成される27個のベル役(ベルB1役〜ベルB27役)とからなる。ベルA1役〜ベルA27役をまとめて、ベルAグループ(第一の当選役グループ)といい、ベルB1役〜ベルB27役をまとめて、ベルBグループ(第二の当選役グループ)というものとする。また、ベルAグループに属するベル役をベルA役といい、ベルBグループに属するベル役をベルB役というものとする。
【0033】
前記BBが入賞すると、次ゲームからボーナスゲームであるビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される。BBゲームは、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が連続して行われる遊技期間である。RBゲームとは、他の遊技期間に比べて小役の当選確率が高く設定された遊技期間であり、所定回数の入賞又は所定回数の遊技消化により終了する。なお、RBゲームに移行した場合には投入メダルの規定数を1枚に変更するように形成してもよい。規定数を1枚にした場合には、ベットにより入賞ラインL1〜L3のいずれかが有効になるようにしてもよいし、異なるライン、例えば上段ラインのみが有効になるようにしてもよい。そして、BBゲームに移行すると、RBゲームが無条件で、すなわちRBゲームに移行させるための図柄(RB図柄)を揃えることなく開始され、1回のRBゲームが終了すると、再び無条件で次のRBゲームが開始される。そして、BBゲームは、払い出しメダルの総数があらかじめ定められた一定枚数を超えた場合に終了する。
【0034】
なお、BBゲーム中に、所定のRB図柄を揃えた場合にRBゲームが開始されるようにしてもよい。また、ボーナス役が入賞した場合に、所定枚数(例えば15枚)のメダルを払い出した後に、ボーナス状態に移行するようにしてもよい。また、BBゲーム、RBゲームの終了条件を、他の条件(例えばゲーム回数)としてもよい。
ここで、抽選の結果、いずれかの役が当選すると、当選に対応する当選フラグが成立する。当選役が小役の場合には小役フラグ(チェリーフラグ、ベルフラグなど)が、ボーナス役の場合にはボーナスフラグ(BBフラグ)が、再遊技役の場合にはリプレイフラグがそれぞれ成立する。小役フラグ及びリプレイフラグは当該遊技限りでリセットされるが、ボーナスフラグは、当該ボーナス役が入賞するまでリセットされない。すなわち、ボーナス役当選の場合には、当選の権利が次ゲーム以降に持ち越されるようになっている。また、ボーナスフラグが持ち越されている間(ボーナス内部中)は、ボーナス役の当選判定は行われない。また、本実施の形態では、以下に述べるように、役抽選テーブル71には、複数の役が同時に当選となる重複当選領域が設けられており、カウント抽出手段が抽出したループカウンタのカウントデータが前記した重複当選領域に属する場合には、当該領域に含まれる役の全てについて、それぞれに対応する当選フラグを成立させることになる。
【0035】
(役抽選テーブル71)
本実施の形態における役抽選テーブル71の概念図を
図5に示す。ここで、
図5は、複数の役抽選テーブル71に設定されている当選領域の有無を示したものであり、役抽選テーブル71に左欄に示した当選領域が含まれている場合を丸印で表し、その当選領域が含まれていない場合には無印で表している。
役抽選テーブル71としては、
図5に示すように、通常状態において用いられる通常テーブルと、RT状態において用いられるRTテーブルと、ボーナス内部中状態において用いられる内部中テーブルと、ボーナス作動中状態において用いられるBBテーブルとが設けられている。
【0036】
ここで、通常状態とは、スロットマシン10の初期状態(工場出荷時又は設定変更後)の遊技状態をいうものである。RT状態とは、再遊技役の当選確率が通常状態とは異なるように設定されている遊技状態であり、いわゆるリプレイタイムと呼ばれるものである。ボーナス内部中状態とは、ボーナスフラグが持ち越されている遊技状態であり、ボーナス作動中状態とはビッグボーナスゲームが行われる遊技状態である。
各役抽選テーブル71には、当選の領域と、ハズレの領域とが設定されている。当選の領域としては、一の役に対応付けられた当選領域である単独当選領域の他に、複数種類の役に対応付けられた重複当選領域が設定されている。
図5において、「リプレイA」「スイカ」「チェリー」「BB」の当選領域は、それぞれ、リプレイ役、スイカ役、チェリー役、BBの単独当選領域である。一方、「左ベルA1」から「右ベルA9」までの9個の当選領域、及び「左ベルB1」から「右ベルB9」までの9個の当選領域は、それぞれ、複数のベル役の重複当選領域となっている。具体的には、「左ベルA1」から「右ベルA9」までの9個の当選領域は、
図4に示すベルAグループを構成するベルA役のうちのいずれかのベル役と、
図4に示すベルBグループを構成するベルB役の全てが同時に当選する当選領域であり、「左ベルB1」から「右ベルB9」までの9個の当選領域は、前記ベルB役のうちのいずれかのベル役と、前記ベルA役の全てが同時に当選する当選領域である。また、「リプレイB」の当選領域は、リプレイ1役、リプレイ2役及びリプレイ3役の重複当選領域であり、「ベル」の当選領域は、ベルA役全てとベルB役全ての重複当選領域となっている。
【0037】
ここで、上記した「左ベルA1」〜「右ベルB9」の18個の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく3通りの操作順序(押し順)が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「左ベルA1」〜「左ベルA3」及び「左ベルB1」〜「左ベルB3」の各当選領域に対しては、左停止スイッチ51を最初に操作する押し順(左第一停止)が、「中ベルA4」〜「中ベルA6」及び「中ベルB4」〜「中ベルB6」の各当選領域に対しては、中停止スイッチ52を最初に操作する押し順(中第一停止)が、「右ベルA7」〜「右ベルA9」及び「右ベルB7」〜「右ベルB9」の各当選領域に対しては、右停止スイッチ53を最初に操作する押し順(右第一停止)が、それぞれ割り当てられている。割り当てられている押し順が、各当選領域の当選に対する正解の押し順となる。以下、「左ベルA1」から「右ベルA9」までの9個の当選領域を第一打順グループ(第一当選態様グループ)と称し、「左ベルB1」から「右ベルB9」までの9個の当選領域を第二打順グループ(第二当選態様グループ)と称する。また、第一打順グループ及び第二打順グループに含まれる当選領域を「押し順ベル」と総称するものとする。そして、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合、正解の押し順で、ストップスイッチ50が操作(停止操作)されたか否かによって、ベル役が入賞し得るか否かが変化するようになっているが、これについては後述する。
【0038】
なお、押し順の設定は、上記した3通りを設定する場合に限られない。例えば、各当選領域に、3個のストップスイッチ50に基づく6通りの押し順(左中右、左右中、中左右、中右左、右中左、右左中)をそれぞれ割り当てることもできる。
さらに、「リプレイB」の当選時には、ストップスイッチ50の押し順により、入賞する再遊技役が変化するようになっているが、この詳細については後述する。
さて、
図5では明記していないが、各役抽選テーブル71における小役の、当選領域の全領域に対する割合(以下当選確率という)は、通常テーブル、RTテーブル及び内部中テーブルにおいては、同等に設定されている。BBテーブルでは、全ての小役の当選確率の合計が他のテーブルに比べて非常に高く、例えば約1/1.1に設定されている。なお、通常テーブル、RTテーブル及び内部中テーブルにおける、第一打順グループと第二打順グループの当選確率は同等に設定されている。また、「リプレイB」の当選領域は通常テーブルにのみ設けられており、BBテーブルには再遊技役の当選領域は設けられていない。各役抽選テーブル71における再遊技役の当選確率は、RTテーブルが最も高く、通常テーブル及び内部中テーブルはそれよりも低くなるように設定されている。例えば、RTテーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/1.5に設定されており、通常テーブル及び内部中テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/7.3に設定されている。これにより、遊技状態がRT状態である遊技は、ベットなしで遊技を行える再遊技の回数が増えるとともに、小役の当選確率は変化しないので、手持ちのメダルの目減りが少なくなる。
【0039】
なお、上記した役抽選テーブル71の構成や当選確率は一例であって、上記した態様や数値に限られるものではない。
(遊技状態移行制御手段80)
遊技状態移行制御手段80は、遊技状態を特定し、遊技状態の移行を制御するためのものであり、図示しないが、移行条件判定手段、状態記憶手段、遊技カウンタの各手段を備えている。
移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果、後述する遊技結果判定手段100の判定結果、及び以下に述べる遊技カウンタの計測値に基づいて、遊技状況が、遊技状態を移行させるための所定条件に該当するか否かを判定するためのものである。また、状態記憶手段は、前記移行条件判定手段の判定結果及び役抽選手段70の抽選結果に基づいて、現在の遊技状態を記憶するためのものである。遊技カウンタは、遊技に関する数値を計測するものである。具体的には、BB(RB)ゲーム中のゲーム回数、入賞回数、払出枚数などのカウントなどを行うものである。
【0040】
具体的には、移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果に基づいてボーナス内部中状態への移行及びRT状態の終了を決定し、遊技結果判定手段100の判定結果に基づいて、ボーナス内部中状態の終了、ボーナス作動中状態への移行、再遊技の作動、RT状態への移行又は終了(通常状態への移行)を決定し、遊技カウンタの計測値に基づいて、ボーナス状態の終了などを決定する。そして、状態記憶手段が記憶している記憶内容に応じて、役抽選手段70が対応する役抽選テーブル71を選択し役抽選を行うことにより、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態、RT状態などの所定の遊技状態が発動するようになっている。なお、遊技状態の移行の具体例については後述する。
【0041】
(リール制御手段90)
リール制御手段90は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものであり、
図2に示すように、回転制御手段91と、停止制御手段92とを少なくとも備えている。
(回転制御手段91)
回転制御手段91は、スタートスイッチ30の有効な操作信号を受信した場合に、リールユニット60のステッピングモータを駆動させて回転リール40を回転させるためのものである。具体的には、規定数のベットがされている状態でスタートスイッチ30の操作信号を入力した場合には、前ゲームにおける回転リール40の回転開始から一定時間(4.1秒、いわゆるウエイト時間)が経過していることを条件に、各ステッピングモータに駆動信号を出力することにより、全ての回転リール40の回転を一斉に、あるいは所定の順番で開始させる。そして、全ての回転リール40の回転速度が所定の定常回転速度(例えば80rpm)に達すると、この定常回転速度で定速回転を行わせるものとなっている。
【0042】
(停止制御手段92)
停止制御手段92は、リールユニット60に設けられた回転リール40の回転を検知するためのインデックスセンサ(図示せず)の検知信号に基づき、現時点における回転リール40の回転角度を把握し、ストップスイッチ50が操作された時点での回転リール40の回転角度から、所定の有効ライン上に位置している図柄を特定することができるようになっている。そして、特定された図柄を基準として、この基準図柄から回転方向にあらかじめ定められた個数(最大スベリコマ数、例えば4コマ)移動したときの図柄までの範囲で、対応する回転リール40を停止させるように形成されている。換言すれば、停止制御手段92は、ストップスイッチ50が操作された時点から対応する回転リール40が停止するまでに、この回転リール40が回転する回転量があらかじめ定められたコマ数の範囲内となるように、ステッピングモータの駆動停止を制御するものである。具体的には、前記基準図柄をその位置に停止させてもよい場合にはそのまま回転リール40を停止させ、その位置に停止させてはいけない場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上からその当選図柄を蹴飛ばして停止させる。また、最大スベリコマ数の範囲内に、当選図柄が含まれている場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上にその当選図柄を引き込んで停止させる。
【0043】
ここで、停止制御手段92は、複数の当選フラグが同時に成立している場合に、引き込み制御において、当選した複数の役のうちいずれの役を優先して引き込むかをあらかじめ設定している。例えば、異種役が同時当選している場合の引き込み優先順位を、再遊技役>小役>ボーナス(BB)に設定している。具体的には、ボーナス役と小役が同時に当選している場合には小役の図柄を優先して引き込み、ボーナス役と再遊技役が同時に当選している場合には再遊技役の図柄を優先して引き込む。ちなみに、本実施の形態では該当しないが、小役と再遊技役が同時当選可能に形成した場合(役抽選テーブル71に小役と再遊技役の重複当選領域がある場合や、小役の当選フラグが抽選結果に関わらず成立するような遊技状態において再遊技役が抽選により当選可能である場合)には、小役と再遊技役が同時に当選したときには再遊技役の図柄が優先される。
【0044】
(「押し順ベル」当選時の処理)
停止制御手段92は、遊技状態に応じて、「押し順ベル」が当選した場合の引き込み制御を異なるものとすることができるように形成されている。以下、「押し順ベル」当選時の停止制御について詳述する。
ここで、本実施の形態では、
図3のリール図柄の配列に示すように、ベルA役に対応する図柄組合せに含まれる図柄は、個々の役についてみると、全ての回転リール40において、最大スベリコマ数の範囲内で有効ライン上に引き込み可能となるように配置されているわけではないが、全てのベルA役が同時に当選している場合には、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、ベルa図柄、ベルb図柄及びベルc図柄のうちのいずれかを有効ライン上に引き込み可能な配置となっている。また、ベルB役に対応するそれぞれの図柄組合せに含まれる図柄も、個々の役についてみると、全ての回転リール40において、最大スベリコマ数の範囲内で有効ライン上に引き込み可能となるように配置されているものではないが、全てのベルB役が同時に当選している場合には、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄、赤7図柄、青7図柄及びチェリー図柄のうちのいずれかを有効ライン上に引き込み可能な配置となっている。
【0045】
(1)遊技状態が通常状態あるいはRT状態である場合の「押し順ベル」当選時の処理
停止制御手段92は、遊技状態が通常状態あるいはRT状態である場合において、役抽選により、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、ベル役に対応する図柄組合せか、あるいは他のいずれの役に対応付けられた図柄組合せにも該当しない特定のハズレの図柄組合せであるブランク(ベルブランク)を有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。
具体的には、役抽選により第一打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合に、当選した「押し順ベル」に対して割り当てられている正解の押し順でストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、中リール42及び右リール43において、ベルA役に対応する図柄(ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄)に優先して、ベルB役に対応するいずれかの図柄(赤7図柄、青7図柄又はチェリー図柄)を有効ライン上に引き込んで、ベルB役を入賞させる。前記したように、この場合には、ベルB役が必ず入賞する。一方、その正解の押し順以外の押し順(不正解の押し順)でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42及び右リール43において、ストップスイッチ50の操作のタイミングが、いずれかのベルA役に対応する図柄を有効ライン上に引き込み可能な場合には、ベルA役に対応する図柄を有効ライン上に引き込んで、ベルA役を入賞させることができる。しかし、ベルA役に対応する図柄のうちのいずれも有効ライン上に引き込むことができない場合には、ベルブランクを有効ライン上に停止表示させ、この場合には入賞はしない。
【0046】
このように、第一打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合において、当該「押し順ベル」に設定された正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、必ずベルB役が入賞し、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、ベルB役は入賞せず、ベルA役が入賞するか、あるいは何の役も入賞しないようになっている。
また、役抽選により第二打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合に、当選した「押し順ベル」に対して割り当てられている正解の押し順でストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、中リール42及び右リール43において、ベルB役に対応する図柄に優先して、ベルA役に対応する図柄を有効ライン上に引き込んで、ベルA役を入賞させる。前記したように、この場合には、ベルA役が必ず入賞する。一方、その正解の押し順以外の押し順(不正解の押し順)でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42及び右リール43において、ストップスイッチ50の操作のタイミングが、いずれかのベルB役に対応する図柄を有効ライン上に引き込み可能な場合には、ベルB役に対応する図柄を有効ライン上に引き込んで、ベルB役を入賞させることができる。しかし、ベルB役に対応する図柄のうちのいずれも有効ライン上に引き込むことができない場合には、ベルブランクを有効ライン上に停止表示させ、この場合には入賞はしない。
【0047】
このように、第二打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合において、当該「押し順ベル」に設定された正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、必ずベルA役が入賞し、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、ベルA役は入賞せず、ベルB役が入賞するか、あるいは何の役も入賞しないようになっている。
(2)遊技状態がボーナス内部中状態である場合の「押し順ベル」当選時の処理
停止制御手段92は、ボーナス内部中状態である場合において、役抽選により、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様にかかわらず、所定のベル役に対応する図柄組合せを有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。
【0048】
具体的には、役抽選により第一打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の押し順及び操作のタイミングにかかわらず、中リール42及び右リール43において、ベルA役に対応する図柄に優先して、ベルB役に対応するいずれかの図柄を有効ライン上に引き込んで、ベルB役を入賞させる。前記したように、この場合には、ベルB役が必ず入賞する。一方、役抽選により第二打順グループに属する「押し順ベル」が当選した場合には、ベルB役に対応する図柄に優先して、ベルA役に対応するいずれかの図柄を有効ライン上に引き込んで、ベルA役を入賞させる。この場合も、ベルA役が必ず入賞する。
【0049】
(「リプレイB」当選時の処理)
さらに、停止制御手段92は、「リプレイB」が当選した場合には、ストップスイッチ50の押し順によって、入賞する再遊技役が変化するように停止制御を行う。具体的には、「リプレイB」の当選時において、左第一停止又は右第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、中リール42又は右リール43において、ベル図柄に優先して、リプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで、リプレイ1役を入賞させる。また、「リプレイB」の当選時において、中第一停止でストップスイッチ50が操作された場合には、右リール43において、リプレイ図柄に優先して、ベル図柄を有効ライン上に引き込んで、リプレイ2役を入賞させる。後述するが、通常状態中にリプレイ2役が入賞すると、遊技状態がRT状態に移行するようになっている。
【0050】
停止制御手段92は、上記したような制御を、優先度に基づいて停止位置候補を特定するための優先度判定データと、基準図柄から図柄何コマ分回転させて回転リール40を停止させるかを役抽選の結果及びストップスイッチ50の操作タイミングに応じて各当選図柄ごとにテーブル上に規定した停止テーブルとに基づいて、行うようになっている。また、停止図柄の情報は所定の記憶部に記憶される。
(遊技結果判定手段100)
遊技結果判定手段100は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するためのものである。
【0051】
具体的には、停止制御手段92の記憶している停止図柄の情報に基づき、有効ライン上に揃った図柄の組合せが、所定の役に対応するものか否かを判断し、所定の役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、ホッパー制御手段110及び遊技状態移行制御手段80に送信する。また、役に対応する図柄組合せではないが、遊技状態の移行契機となっている図柄組合せが表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、遊技状態移行制御手段80に送信する。判定結果情報を受信したホッパー制御手段110は、入賞メダルの払い出し処理を行い、遊技状態移行制御手段80は、ボーナス状態やRT状態への移行処理、あるいは再遊技作動処理を行う。再遊技が作動すると、次ゲーム開始前に、自動的に規定数のメダルが投入された扱い(自動ベット)とされる。具体的には、ベットスイッチ16の操作又はメダル投入によらず、図示しない所定のベット表示部にベット表示(掛け枚数の表示)がされて、その後のスタートスイッチ30の操作が可能となる。さらに、演出制御装置22に所定の信号出力を行うことにより、画像表示部67やランプ68やスピーカ69により、入賞やボーナスゲームの開始に際して所定の演出が行われるようにすることもできる。
【0052】
(ホッパー制御手段110)
ホッパー制御手段110は、遊技結果判定手段100の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段100が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
(遊技状態の移行)
ここで、上記した遊技状態移行制御手段80の制御に基づく遊技状態の移行について、
図6のフローを参照しつつ説明する。本実施の形態では、上述したように、遊技状態として、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態及びRT状態を有している。
【0053】
本実施の形態におけるスロットマシン10は、初期状態(工場出荷時)の遊技状態は、通常状態となっている。すなわち、役抽選手段70は、役抽選に用いる役抽選テーブル71として通常テーブル(
図5参照)を取得している。そして、通常状態中に、BBが当選した場合にはボーナス内部中状態に移行し、ボーナス内部中状態においてBBが入賞した場合には、ボーナス作動中状態に移行する。そして、払い出しメダル数が所定値を超えてBBゲームが終了することによりボーナス作動中状態が終了すると、通常状態に移行する。
一方、通常状態中にリプレイ2役が入賞した場合には、RT状態に移行する。また、RT状態中に、BBが当選した場合にはボーナス内部中状態に移行し、ベルブランクが表示された場合には通常状態に移行するようになっている。ここで、通常状態中においては、所定条件の下で、後述するAT制御手段130の制御に基づき、「リプレイB」が当選した場合に、リプレイ2役を入賞させるためのストップスイッチ50の押し順(中第一停止)を報知(ナビ)する補助演出(移行ナビ)が行われるとともに、RT状態中においては、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順をナビする補助演出(ベルナビ)が行われるようになっているが、これについては後述する。
【0054】
(演出制御装置22)
演出制御装置22は、遊技制御装置21からの出力信号に基づいて、画像表示部67やランプ68やスピーカ69等を制御するためのものである。そして、演出制御装置22は、
図2に示すように、少なくとも、演出表示制御手段120及びAT制御手段130として機能する。
(演出表示制御手段120)
演出表示制御手段120は、画像表示部67やランプ68やスピーカ69等の演出装置の作動を制御するためのものである。具体的には、以下に述べるAT制御手段130や、図示しない演出決定手段の決定に基づき、ROMに記憶されている演出データをもとに、所定のナビ表示や、連続演出に係る表示などを行わせる。
【0055】
前記演出データとしては、画像表示部67に所定の動画や静止画を表示されるための画像データ、ランプ68を所定の態様で点灯点滅させるための発光パターンデータ、スピーカ69から所定の音声を出力させるための音声データなどが設けられている。また、これらの演出データに基づき実行される演出のパターンデータとして、複数回のゲームにわたり連続して実行される連続演出に係る演出パターンデータが設けられている。
連続演出は、ゲーム中の所定時、例えば、所定の役が当選した場合やスタートスイッチ30の操作を契機に行われる演出実行抽選に当選した場合に実行が決定され、抽選により決定された、あるいはあらかじめ定められたゲーム数にわたって、所定の筋書きに沿った連続演出が行われるようになっている。連続演出のパターンとしては、例えばボーナス当選についての期待度が異なる複数のパターンが設けられており、ボーナス当選などの有利状態への移行の権利獲得の有無を示唆するものとなっている。
【0056】
(AT制御手段130)
AT制御手段130は、ATを制御する手段である。本実施の形態におけるATでは、押し順が設定された当選領域の当選時に押し順を報知する、いわゆる押し順ナビが行われる。押し順ナビは、画像表示部67に、停止操作すべきストップスイッチ50の位置を左、中、右などの文字で表示させたり、スピーカ69から音声により指示したり、ストップスイッチ50のボタンの内部に設けた発光体の発光色を変化させて、最初に操作すべきストップスイッチ50を示すことなどにより行われる。また、本実施の形態では、遊技状態がRT状態であるときにATが行われる、アシストリプレイタイム(ART)が実行される。
【0057】
AT制御手段130は、特に図示しないが、AT抽選手段及び報知実行手段を備えており、遊技制御装置21から出力される役抽選の結果や遊技結果に関する情報等に基づき、ATの開始及び終了を制御する。
AT抽選手段は、ATの実行の有無及びATのゲーム数を抽選により決定するためのものである。本実施の形態においては、役抽選の結果、BBが当選した場合に、ART抽選を行う。ART抽選では、ARTのゲーム数を、例えば0〜100の範囲で決定する。抽選結果が1以上である場合には、ARTの実行が決定される。また、AT抽選手段は、遊技中の所定時、例えばスイカ役やチェリー役などが当選した場合又は入賞した場合には、ATゲーム数の上乗せ抽選を行うことができる。上乗せ抽選に当選すると、当選に係るゲーム数が後述するATカウンタに加算される。
【0058】
報知実行手段は、押し順ナビを実行させるためのものであり、図示しないATカウンタを備えている。ATカウンタは、ARTのゲーム数をカウントするものである。具体的には、ART抽選に当選すると、ARTのゲーム数を、当選に係る数だけ加算して記憶するとともに、ARTの開始(RT状態への移行)後、ゲーム開始ごとに、記憶値を1だけ減算する。また、ART中にベルブランクが表示された場合には、ゲーム数を初期化(0クリア)するようになっている。すなわち、ゲーム数が残っていても遊技状態がRT状態から通常状態に転落した場合にはARTが終了する。また、ART中にBBが当選した場合には、ATカウンタはカウント値を初期化しないが、ARTは終了する。
【0059】
報知実行手段が実行可能な補助演出には、上述したように、ベルナビと、移行ナビとが設けられている。そして、報知実行手段は、遊技状態が通常状態であってART抽選に当選している場合には、RT状態への移行ナビを行い、ART中には、ベルナビを行うように形成されている。なお、BB終了後にATカウンタがカウント値を有している場合には、ART抽選に当選しなかった場合でも、通常状態においてRT状態への移行ナビを行う。
ベルナビは、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知するものである。前述したように、正解の押し順で停止操作された場合には、ベル役が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、ベル役が入賞するか、ベルブランクが表示される。
【0060】
移行ナビは、「リプレイB」が当選した場合に、リプレイ2役を入賞させるための押し順(右第一停止)を報知するものである。ナビに従って停止操作された場合には、リプレイ2役が必ず入賞し、ナビに従わなかった場合には、リプレイ2役は入賞せず、リプレイ1役が必ず入賞する。
なお、遊技状態が通常状態であってARTへの移行が決定していない場合に、リプレイ2役を入賞させるための押し順で停止操作された場合には、所定のペナルティが課せられるようにしてもよい。例えば、所定ゲームの間、ベルナビが行われないようにしたり、上乗せ抽選やART抽選が行われないようにすることができる。
【0061】
(スロットマシン10の作動)
次に、上記構成を有するスロットマシン10の、遊技制御装置21の制御に基づく遊技作動の概略を、
図7のフローに基づき説明する。
図7は、1回のゲームにおける流れを示す。
まず、
図7に示すステップ100において、規定数のメダルがベットされたか否かが判断される。ベットには、メダルの投入、ベットスイッチ16の操作の他、再遊技作動による自動ベットも含まれる。規定数のメダルがベットされない場合にはステップ100に戻り、規定数のメダルが投入された場合には、次のステップ101に進む。
ステップ101において、スタートスイッチ30がONとなったか否かが判断される。スタートスイッチ30がONにならない場合には、ステップ101に戻り、スタートスイッチ30がONとなった場合には、次のステップ102に進む。
【0062】
ステップ102において、役抽選手段70により役抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、回転リール40の回転開始処理が行われる。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、いずれかのストップスイッチ50がONとなったか否かが判断される。ストップスイッチ50がONとならない場合には、ステップ104に戻り、いずれかのストップスイッチ50がONとなった場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0063】
ステップ106において、全ての回転リール40が停止したか、すなわち3個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたか否かが判定される。全ての回転リール40が停止していない場合にはステップ104に戻り、全ての回転リール40が停止した場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ108に進み、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の役が入賞した場合には、入賞メダルの払い出しや、再遊技作動や、ボーナスゲームへの移行処理が行われ、1回の遊技が終了する。所定の役は入賞しないものの、遊技状態や演出状態の移行契機となる図柄組合せが表示された場合には、遊技状態の移行処理が行われる。何の役も入賞せず、かつ遊技状態や演出状態の移行契機となる図柄組合せも表示されない場合には、そのまま1回の遊技が終了する。
【0064】
次に、上記ステップ105のリール回転停止処理について、
図8のフローに基づき説明する。
まず、
図8のステップ200において、停止位置候補の優先度判定処理が行われる。具体的には、ロジック演算に基づき、優先度が最も高い停止位置候補が特定される。例えば、基準図柄を含めて5コマの範囲内に位置している図柄について、各図柄の引き込み優先度を数値で表したポイントデータを参照し、ポイント数の最も高い図柄を停止位置候補として特定する。ここで、「押し順ベル」が当選している場合には、既述したように、遊技状態がボーナス内部中状態である場合と、それ以外の状態である場合とで、優先される図柄が異なるようになっている。すなわち、ボーナス内部中状態においては、第一打順グループに属する「押し順ベル」の当選時には、ストップスイッチ50の押し順及び操作のタイミングにかかわらず、ベルB役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となり、第二打順グループに属する「押し順ベル」が当選している場合には、ベルA役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となるポイントデータが参照される。一方、ボーナス内部中状態以外の状態においては、第一打順グループに属する「押し順ベル」が当選しておりかつ正解の押し順でストップスイッチ50が操作されているときには、ベルB役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となり、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されていないときには、ベルA役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となるポイントデータが参照され、第二打順グループに属する「押し順ベル」が当選しておりかつ正解の押し順でストップスイッチ50が操作されているときには、ベルA役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となり、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されていないときには、ベルB役に対応するいずれかの図柄が最も優先度の高い図柄となるポイントデータが参照される。そして、次のステップ201に進む。
【0065】
ステップ202において、最も優先度の高い停止位置候補は1つであるか否かが判断される。最も優先度の高い停止位置候補が1つでない場合、すなわち、最も優先度の高い停止位置候補が複数ある場合、又は全ての停止位置候補の優先度が同じ場合には、ステップ203に進み、停止テーブルに従って停止位置を決定する。この停止テーブルも、ボーナス内部中状態と、それ以外の遊技状態とでは、異なる停止テーブルが参照される。一方、最も優先度の高い停止位置候補が1つである場合には、ステップ202に進み、ステップ202において、最も優先度の高い停止位置候補を停止位置として決定する。そして、次のステップ204に進む。
【0066】
ステップ204において、回転リール40が停止位置まで回転したか否か、すなわち回転リール40の回転によって停止させるべき図柄が停止位置となるまで移動したか否かが判断される。回転リール40が停止位置まで回転していない場合にはステップ204に戻り、回転リール40が停止位置まで回転した場合には、次のステップ205に進む。
ステップ205において、ステッピングモータに駆動停止信号が出力され、回転リール40の回転が停止する。
ここで、ボーナス内部中と、それ以外の状態(ボーナス非内部中)とにおける、「押し順ベル」当選時に入賞可能なベル役の図柄組合せの具体例を、
図9に基づき説明する。
【0067】
図9(A)は、ボーナス非内部中の場合の例である。ボーナス非内部中に、第一打順グループに含まれる「左ベルA1」が当選したと仮定する。この場合に、正解の押し順(左第一停止)で停止操作すると、ベルB役に対応する図柄が優先して引き込まれ、例えば「ベルa・赤7・赤7」が有効ライン上に停止することによりベルB1役が入賞する。ちなみに、図示した例のように、ベルB1役の図柄組合せが右下がりラインL3上に表示されると、無効ライン(有効ラインでないライン)である上段ラインに「ベルa・ベルc・ベルc」が揃う。一方、不正解の押し順(左第一停止以外)で停止操作すると、ベルA役に対応する図柄が優先して引き込まれる。例えば中リール42で赤7図柄を中段に、右リール43で赤7図柄を下段に停止可能なタイミングで停止操作した場合でも、ベルc図柄が優先的に引き込まれて、「ベルa・ベルc・ベルc」が有効ライン上に停止することによりベルA9役が入賞し得る。また、同じくボーナス非内部中に、第二打順グループに含まれる「左ベルB1」が当選したと仮定する。この場合に、正解の押し順で停止操作すると、ベルA役に対応する図柄が優先して引き込まれ、例えば「ベルa・ベルc・ベルc」が有効ライン上に停止することによりベルA9役が入賞する。一方、不正解の押し順で停止操作すると、ベルB役に対応する図柄が優先して引き込まれ、例えば「ベルa・赤7・赤7」が有効ライン上に停止することによりベルB1役が入賞し得る。
【0068】
図9(B)は、ボーナス内部中の場合の例である。ボーナス内部中に、第一打順グループに含まれる「左ベルA1」が当選したと仮定する。この場合は、ストップスイッチ50の押し順及び操作タイミングにかかわらず、ベルB役に対応する図柄が優先して引き込まれ、例えば「ベルa・赤7・赤7」が有効ライン上に停止することによりベルB1役が入賞する。また、同じくボーナス内部中に、第二打順グループに含まれる「左ベルB1」が当選したと仮定する。この場合は、ストップスイッチ50の押し順及び操作タイミングにかかわらず、ベルA役に対応する図柄が優先して引き込まれ、例えば「ベルa・ベルc・ベルc」が有効ライン上に停止することによりベルA9役が入賞する。
【0069】
(総括)
以上のように、本実施の形態では、役抽選テーブル71の当選領域に、ベルAグループを構成するベルA役のうちのいずれかとベルBグループを構成するベルB役の全てが同時に当選する第一打順グループと、ベルB役のうちのいずれかとベルA役の全てが同時に当選する第二打順グループとを設け、ボーナス非内部中においては、第一打順グループに含まれる当選領域が当選した場合と、第二打順グループに含まれる当選領域が当選した場合とで、正解の押し順で停止操作した場合に入賞する役(便宜上正解役という)と、不正解の押し順で停止操作した場合に入賞し得る役(便宜上不正解役という)とが、逆転するように設定してある。このため、正解の押し順で停止操作した場合に揃う役の数が増え、出目が豊富になって遊技が単調になることがない。
【0070】
また、ボーナス内部中においては、押し順に関わりなく、目押しをしなくても必ず入賞する正解役(第一打順グループに含まれる当選領域の当選時におけるベルB役、第二打順グループに含まれる当選領域の当選時におけるベルA役)を優先的に引き込む制御を行うように形成してあるので、リプレイ確率が低いボーナス内部中状態における出玉の確保を可能としつつ、表示される出目によってはボーナス内部中を察知できなくなる。すなわち、実際には、ボーナス内部中には、正解役のみが入賞しているのであるけれども、第一打順グループの正解役と、第二打順グループの不正解役とが同一役であり、第一打順グループの不正解役と、第二打順グループの正解役とが同一役であるので、押し順ナビが行われない状態では、正解役が入賞したのか、不正解役が入賞したのか見分けが付かない。したがって、不正解役が入賞することによってボーナス非内部中であると判断するということはできなくなる。特に、ボーナス当選の期待を持たせるような演出内容の連続演出の実行中などにおいて、不正解役が入賞したような場合、せっかくの演出が台無しになってしまう場合があるが、本実施の形態においては、そのような不都合がない。
【0071】
さらに、本実施の形態においては、第一打順グループの当選確率と、第二打順グループの当選確率とを、同等に設定してあるので、ボーナス非内部中においても、ボーナス内部中においても、ベルA役とベルB役が同等の割合で入賞可能となるため、ボーナス内部中であるか否かを察知することができない。
(変形例)
上記した実施の形態では、第一打順グループの当選確率と、第二打順グループの当選確率とを同等に設定してあったが、第一打順グループの当選確率と、第二打順グループの当選確率とを異なるように設定してもよい。このように形成した場合には、入賞する役の種類に期待度を持たせることができる。例えば、第一打順グループの当選確率が第二打順グループの当選確率よりも高くなるように設定した場合、第一打順グループに属する当選領域の当選時にベルB役が入賞する割合は、不正解押し順だとベルB役が入賞しないボーナス非内部中よりも、押し順にかかわらずベルB役が入賞するボーナス内部中の方が高くなるので、ベルB役が頻繁に入賞する場合にはボーナス内部中の可能性がある、と思わせることができる。なお、ベルA役が入賞する割合もボーナス内部中の方が高くなるのは同様であるが、第一打順グループの方が当選確率が高く、ベルB役の方がベルA役よりも多く入賞するので、ボーナス非内部中との差が顕著に表れ、ベルB役が頻繁に入賞しているように見えるものである。また、ART中にボーナス当選(ボーナス内部中に移行)した場合には、ナビが行われなくてもベルB役が頻繁に入賞するようになるので、ボーナス内部中の示唆となる。ただし、これらはボーナス内部中を確定付けるものではないため、ベルB役の入賞回数が多くないことによって実行中の演出の期待度を損なうことはない。
【0072】
また、上記した実施の形態においては、正解の押し順で停止操作をすると所定の役(ベル役)が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作をすると所定の役と同等のメダルが払い出される他の役(他のベル役)が入賞する場合があるという設定となっていたが、本発明に係る遊技機はそのような設定であるものに限られない。例えば、正解の押し順で停止操作をすると所定の役が必ず(あるいは操作タイミングに応じて)入賞するが、不正解の押し順で停止操作すると所定の役よりも払い出し枚数の少ない他の役が入賞し得る(あるいは必ず入賞する)設定となっている場合であっても、本発明を利用できる。この場合には、第一の当選役グループと第二の当選役グループとはそれぞれ種類が異なる役(例えばベル役とスイカ役)により構成されるものとなる。また、正解の押し順で停止操作をすると所定の役に対応付けられた図柄組合せが複数の有効ライン上に揃って所定の役が重複入賞し得る(あるいは必ず入賞する)が、不正解の押し順で停止操作をすると所定の役に対応付けられた図柄組合せが単独の有効ライン上に揃って所定の役が単独入賞し得る(あるいは必ず入賞する)ような設定となっている場合であっても、本発明を利用可能である。
【0073】
また、上記した実施の形態においては、ATは、ストップスイッチ50の押し順を報知するものとなっていたが、ストップスイッチ50を正解の押し順で停止操作し、かつ目押しをしないと正解役の当選図柄を有効ライン上に引き込めないようになっている場合には、正解の押し順と、目押しすべき図柄の種類や色を報知するような設定とすることができる。
さらに、第一打順グループ及び第二打順グループを構成する役は、入賞によりメダルが払い出される役に限られない。例えば、複数の再遊技役から構成される複数の当選領域を設け、各当選領域に設定された操作態様(押し順やタイミング)で停止操作された場合には所定の再遊技役が入賞し、設定された操作態様で停止操作されなかった場合には他の再遊技役が入賞するように停止制御を行い、所定の再遊技役の入賞により遊技状態や演出状態が変化(例えば所定の再遊技役の入賞によりポイントが加算され、ポイント数が一定値に達するとAT上乗せ高確率状態やART当選高確率状態に移行など)するように形成した場合にも、本発明を利用できる。
【0074】
そして、第一打順グループ及び第二打順グループの役構成も、上記した実施の形態に限られるものではなく、第一打順グループは、第一の当選役グループを構成する少なくとも1つの役と第二の当選役グループを構成する少なくとも1つの役とが所定の組み合わせで同時に当選する複数の当選態様のグループとし、第二打順グループは、第一打順グループに含まれる当選態様の組み合わせとは異なる組み合わせで、各当選役グループを構成する役が同時に当選する複数の当選態様のグループとなっていればよい。具体例を挙げると、第一の当選役グループをa役、b役、c役で構成し、第二の当選役グループをd役、e役、f役で構成し、a役とd役の同時当選領域、b役とe役の同時当選領域及びc役とf役の同時当選領域の3つの当選領域を第一打順グループとし、b役とd役の同時当選領域、c役とe役の同時当選領域及びa役とf役の同時当選領域の3つの当選領域を第二打順グループとすることができる。そして、ボーナス非内部中には、押し順によっていずれの役が入賞し得るかを異ならせ、ボーナス内部中においては、第一打順グループの当選時にはd役、e役、f役のいずれか、第二打順グループの当選時にはa役、b役、c役のいずれかが入賞し得るように制御することができる。
【0075】
本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機などにも応用できるものである。