(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーシングは、前記排出管路、混合管路、方向切換弁および流量調整弁が取付けられるベース板と、該ベース板に対して着脱可能に取付けられ前記排出管路、混合管路、方向切換弁および流量調整弁を前記ベース板との間で囲繞するケース体とにより構成してなる請求項1に記載の電解水の混合装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態による電解水の混合装置を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
ここで、
図1ないし
図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図において、1は水道水から強アルカリ性電解水と強酸性電解水とを生成する電解水生成装置である。該電解水生成装置1は、軟水器と電解装置(いずれも図示せず)を備えている。電解水生成装置1の軟水器には、例えば一般の水道水が外部から供給される。この軟水器は、水道管(図示せず)から供給される水道水を軟水化して前記電解装置に供給する。
【0018】
電解水生成装置1の電解装置は、例えば電解質となる添加剤を原水とは混ぜることなく、隔膜等で分離した状態で電気分解を行うようにした二隔膜三室型電解槽を用いて構成されている。そして、この電解装置は、前記軟水器から供給される軟水を電気分解することによって、例えばPH12.5程度の強アルカリ性電解水と、例えばPH1.9〜2.5程度の強酸性電解水を互いに分離して生成する。ここで、添加剤には、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウムが使用される。
【0019】
また、電解水生成装置1は、例えば吐出ポンプ(図示せず)、または水道水の圧力を利用して、一方の吐出口からは強アルカリ性電解水が外部配管2を介して吐出され、他方の吐出口からは他の外部配管3を介して強酸性電解水が吐出される。これらの外部配管2,3は、後述する混合装置4の第1,第2の供給口11,12に対して着脱可能に接続されるものである。
【0020】
4は第1の実施の形態で採用した電解水の混合装置で、該混合装置4は、
図5、
図6に示すように略四角形の小型箱体からなるケーシング5を備え、該ケーシング5は、ベース板6と、ケース体としての外装ケース7とにより構成されている。ケーシング5は、例えば、左,右方向の寸法が20cm、前,後方向の寸法が12cm、高さ寸法が10cmとなっている。
【0021】
ベース板6は、耐腐食性をもった金属、硬質樹脂等の剛体からなる長方形状の板体を用いて形成されている。ベース板6には、合計5個の貫通穴6A,6B,6C,6D,6Eが互いに間隔をあけて穿設されている。
図6に示すように、ベース板6には、後述する第1,第2の供給口11,12、流通管路13、第1,第2の排出口14,15、三方弁16、排出管路17、混合管路18、ニードル弁19、分流管路20、T型継手21、接続部22、逆止弁23およびオリフィス24が搭載されている。
【0022】
図5に示すように、貫通穴6A〜6Eのうちベース板6の最も右側寄りに位置する第1の貫通穴6Aには、後述する第1の排出口14が抜止め、廻止め状態で取付けられる。ベース板6の最も左側寄りに位置する第2の貫通穴6Bには、後述する第2の排出口15が抜止め、廻止め状態で取付けられる。第1,第2の貫通穴6A,6B間に位置する第3,第4の貫通穴6C,6Dには、後述する第1,第2の供給口11,12がそれぞれ抜止め、廻止め状態で取付けられる。
【0023】
貫通穴6A〜6Eのうちベース板6の最も前側寄りに位置する第5の貫通穴6Eは、後述するニードル弁19の操作部19Aをケーシング5の外部から操作できるようにするための開口であり、ニードル弁19の操作部19Aは、第5の貫通穴6Eからケーシング5(即ち、ベース板6)の外部に突出して設けられている。第2の供給口12が取付けられる第4の貫通穴6Dは、貫通穴6A〜6Eのうちベース板6の最も後側寄りとなる位置に配置されている。第1の供給口11が取付けられる第3の貫通穴6Cは、第2の貫通穴6Bと第4の貫通穴6Dとの中間(ベース板6の前,後方向および左,右方向で中間)となる位置に配置されている。
【0024】
ケーシング5の外装ケース7は、ベース板6に対して上側から着脱可能に取付けられ、第1,第2の供給口11,12、流通管路13、第1,第2の排出口14,15、三方弁16、排出管路17、混合管路18、ニードル弁19、分流管路20、T型継手21、接続部22、逆止弁23およびオリフィス24等をベース板6との間で囲繞する中空な箱体として形成されている。中空な外装ケース7は、例えばステンレス板(SUS304)等の耐腐食性材料を用いて形成された門形状のケース板8と、左,右両側の側板9,10とにより構成されている。なお、左,右の側板9,10もケース板8と同様にステンレス板等を用いて形成されている。
【0025】
門型状のケース板8は、ステンレス等の金属板を
図5に示すようにコ字状に折曲げて形成され、互いに長方形状をなして前,後方向で対向した前板部8Aおよび後板部8Bと、これらの板部8A,8Bを上端側で連結した長方形状の上板部8Cとにより構成されている。ケース板8の左,右両側には、側板9,10をねじ等で着脱可能に取付けるために複数の取付片8Dが形成されている。
【0026】
また、ケース板8の前板部8Aと後板部8Bには、それぞれの下端側から内向き折曲げられた内側折返し部8E,8Fが形成されている。該内側折返し部8E,8Fは、ベース板6の前,後端側に当接した状態で複数のねじ等を用いて固定される。これにより、ケース板8および左,右の側板9,10からなる外装ケース7は、
図6に示す如くベース板6上に着脱可能に取付けられるものである。さらに、ケース板8の後板部8Bには、ケーシング5全体を建物の壁(図示せず)等に掛止めできるようにするため、例えば2個(1個または複数個でもよい)の掛止め用穴8Gが穿設されている。
【0027】
前記各掛止め用穴8Gを用いてケーシング5(混合装置4)を、例えば歯科医院等の建物の壁に掛止めする場合、ケース板8の前板部8Aには、例えば混合装置4の製品名等が表示される。また、後述する第1の排出口14は、強アルカリ性電解水用の排出口であり、第2の排出口15は、強酸性電解水または混合水の排出口であることを明示するためのシール表示等を、ケース板8の前板部8Aにそれぞれ貼付して設ける構成としてもよい。
【0028】
図5中の左側に位置する側板9には、その中央部よりも下側に位置して円形の貫通穴9A(
図6中に点線で図示)が穿設されている。この貫通穴9Aは、後述する三方弁16の操作部16Aをケーシング5の外部から操作できるようにするための開口であり、三方弁16の操作部16Aは、側板9の貫通穴9Aからケーシング5の外部に突出して設けられている。
【0029】
11は混合装置4のケーシング5に設けられた第1の供給口で、該第1の供給口11は、
図3に示すように、ケーシング5のベース板6(即ち、
図5に示す貫通穴6C)に抜止め、廻止め状態で取付けられている。第1の供給口11は、ケーシング5の下方へと外部に向けて開口し、その開口(突出)端には外部配管2が着脱可能に接続される。これにより、第1の供給口11には、電解水生成装置1から外部配管2を介して前記強アルカリ性電解水が供給される。
【0030】
第1の供給口11は、ケーシング5内の供給管路11Aを介して後述する三方弁16の流入ポート16B側に接続されている。供給管路11Aは、強酸性水および強アルカリ性水に対して十分な耐蝕性をもった樹脂材料からなる管継手により構成され、ケーシング5内の予め決められた位置に三方弁16を位置決めしている。即ち、後述の三方弁16は、ベース板6上で第1の供給口11および供給管路11Aを介して予め決められた高さ位置に設置されている。
【0031】
12は第1の供給口11とは左,右方向に離間してケーシング5に設けられた第2の供給口である。該第2の供給口12は、ベース板6の貫通穴6Dに抜止め、廻止め状態で取付けられている。第2の供給口12は、ケーシング5の下方へと外部に向けて開口し、その開口(突出)端には外部配管3が着脱可能に接続される。これにより、第2の供給口12には、電解水生成装置1から外部配管3を介して前記強酸性電解水が供給される。第2の供給口12は、ケーシング5内の流通管路13を介して後述する第2の排出口15に接続されている。
【0032】
流通管路13は、強酸性水および強アルカリ性水に対して十分な耐蝕性をもった樹脂材料からなる可撓性ホース等を用いて構成され、ケーシング5内で第2の供給口12と第2の排出口15との間を接続している。
図3、
図4に示す如く、第2の排出口15の上方位置では、流通管路13の先端部13Aが後述する混合管路18の先端部18Aとケーシング5の前,後方向で水平対向するように配置されている。
【0033】
14は第1,第2の供給口11,12から離間してケーシング5に設けられた第1の排出口である。該第1の排出口14は、ケーシング5のベース板6(即ち、
図5に示す貫通穴6A)に抜止め、廻止め状態で取付けられている。第1の排出口14は、ケーシング5の下方へと外部に向けて開口し、後述の排出管路17内を流通する強アルカリ性電解水をケーシング5の外部に排出する。第1の排出口14は、第1の供給口11からケーシング5内に三方弁16および排出管路17を介して導かれた強アルカリ性電解水をそのままのPH濃度(例えば、PH12.5)でケーシング5外に排出するものである。
【0034】
15は第1,第2の供給口11,12および第1の排出口14から離間してケーシング5に設けられた第2の排出口である。該第2の排出口15は、ケーシング5のベース板6(即ち、
図5に示す貫通穴6B)に抜止め、廻止め状態で取付けられている。第2の排出口15は、第2の供給口12からケーシング5内に流通管路13を介して導かれた強酸性電解水または混合水(即ち、強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合水)をケーシング5外に排出するものである。
【0035】
16は流入側が第1の供給口11に供給管路11Aを介して接続された方向切換弁としての三方弁である。この三方弁16は、操作レバー等の操作部16Aをケーシング5の外部から手動操作することにより、後述の排出管路17と混合管路18とのいずれか一方に強アルカリ性電解水を選択的に流通させる流通方向の選択弁を構成している。即ち、三方弁16は、流入ポート16Bと2つの流出ポート16C,16Dとを有し、操作部16Aの回動操作により流出ポート16C,16Dのいずれか一方に流入ポート16Bが接続される。
【0036】
三方弁16の流入ポート16Bが一方の流出ポート16Cに接続されたときには、第1の供給口11から供給された強アルカリ性電解水が、そのまま排出管路17を介して第1の排出口14から外部に排出される。これに対して、三方弁16の流入ポート16Bが他方の流出ポート16Dに接続されたときには、第1の供給口11から供給された強アルカリ性電解水は、後述の混合管路18に向けて流通されるものである。
【0037】
ここで、三方弁16は、
図4に示すように、ケーシング5内で側板9の内側面に近接した位置に配設され、側板9に沿って前,後方向に平行に延びている。そして、三方弁16の操作部16Aは、側板9の貫通穴9Aからケーシング5の外部に突出して設けられている。三方弁16は、ベース板6上でケーシング5内の予め決められた高さ位置(供給口11,12の開口端、排出口14,15の開口端よりも高く、流通管路13の先端部13Aおよび混合管路18の先端部18Aよりも低い位置)に配置されている。
【0038】
17は三方弁16の流出ポート16Cに接続してケーシング5内に設けられた排出管路である。該排出管路17は、強酸性水および強アルカリ性水に対して十分な耐蝕性をもった樹脂材料からなる可撓性ホースとして形成されている。そして、排出管路17は、第1の供給口11から三方弁16の流出ポート16Cを介して供給された強アルカリ性電解水を、強酸性電解水と混合させることなく、ケーシング5外に排出させるため、その先端側がケーシング5内で第1の排出口14に接続されている。
【0039】
18は三方弁16の流出ポート16Dに接続してケーシング5内に設けられた混合管路である。該混合管路18は、その大部分が排出管路17と同様に可撓性ホースを用いて形成されている。そして、混合管路18は、強アルカリ性電解水を強酸性電解水と混合させるため、その先端部18A側が強酸性電解水の流通管路13にケーシング5内で接続されている。混合管路18は、内部を流れる強アルカリ性電解水を流通管路13内の強酸性電解水に向けて衝突させるように流通させ、これにより、2つの電解水を互いに混合させるものである。
【0040】
特に、
図4に示すように、混合管路18の先端部18Aは、第2の排出口15の上端側(流入側)を挟んで流通管路13の先端部13Aとケーシング5の前,後方向で水平対向するように配置されている。このため、混合管路18内の強アルカリ性電解水と流通管路13内の強酸性電解水とは正面衝突するように混合され、両者は均一に混合した状態で第2の排出口15からケーシング5外に排出されるものである。
【0041】
19は混合管路18の途中に位置してケーシング5内に設けられた流量調整弁としてのニードル弁である。このニードル弁19は、三方弁16を介して混合管路18内に流通される強アルカリ性電解水の流量を可変に調整し、強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合割合を調節するものである。
【0042】
ニードル弁19は、流量調整用の操作部19Aを下向きにした状態でベース板6に搭載して取付けられ、ケーシング5内で三方弁16とほぼ同等な高さ位置に設置されている。ニードル弁19の操作部19Aは、ベース板6の貫通穴6Eを介してケーシング5の外部へと下方に突出し、外部から操作可能な位置に配設されている。換言すると、ニードル弁19は、流量調整用の操作部19Aを三方弁16の操作部16Aとは異なる位置でケーシング5の外部から操作できるように配設されている。
【0043】
20はニードル弁19の上流側で混合管路18から分岐してケーシング5内に設けられた分流管路である。該分流管路20は、チーズと呼ばれるT型継手21を用いて混合管路18の途中部位から分岐されている。分流管路20は、三方弁16を介して混合管路18に導かれる強アルカリ性電解水の一部をニードル弁19の上流側で排出管路17の下流側に向けて分流させる管路である。分流管路20は、その先端側が接続部22の位置で排出管路17と接続されている。この接続部22は、例えばT字状の継手部材等を用いて構成され、
図3に示すように、第1の排出口14の上方位置に設置されている。分流管路20は、その大部分が排出管路17と同様に可撓性ホースを用いて形成されている。
【0044】
23は分流管路20の途中に設けられた逆止弁で、該逆止弁23は、前記強アルカリ性電解水が分流管路20から排出管路17(接続部22)に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するために分流管路20と排出管路17との間に設けらている。即ち、逆止弁23は、排出管路17を流れる強アルカリ性電解水が分流管路20内に向けて流入(逆流)するのを阻止するものである。
【0045】
24は逆止弁23よりも上流側に位置して分流管路20に設けられたオリフィスで、該オリフィス24は、T型継手21と逆止弁23との間に配置され、混合管路18から分流管路20に分岐して流れる強アルカリ性電解水に抵抗を与えて流量の絞り作用を行うものである。このため、混合管路18内を流れる強アルカリ性電解水は、ニードル弁19を介して先端部18A(下流側)に優先的に供給され、ニードル弁19の上流側で余剰となった強アルカリ性電解水のみが分流管路20内へと導かれるようになる。
【0046】
図3に示すように、分流管路20の途中に設けた逆止弁23とオリフィス24とは、ケーシング5内で三方弁16およびニードル弁19よりも高い位置に配置されている。即ち、逆止弁23とオリフィス24とは、分流管路20の先端側を排出管路17と接続する継手としての接続部22よりも高い位置に配置され、この接続部22は、ケーシング5内で三方弁16およびニードル弁19よりも高い位置に配置されている。
【0047】
第1の実施の形態による電解水の混合装置4は、上述の如き構成を有するものであり、次にその作動について説明する。
【0048】
まず、電解水の混合装置4は、電解水生成装置1から必要に応じて離れた位置に設置され、混合装置4の第1,第2の供給口11,12は、外部配管2,3を介して電解水生成装置1に接続される。そして、壁掛け式の混合装置4として用いる場合には、ケーシング5(外装ケース7)の後板部8Bに一対の掛止め用穴8Gを設けているので、これにより、例えば歯科医院の壁(図示せず)等に混合装置4全体を掛止めしておくことができ、このような壁掛け状態で混合装置4を用いて電解水の混合動作を下記のように行うことができる。
【0049】
ここで、電解水生成装置1は、例えば水道水を電気分解することによって例えばPH12.5程度の強アルカリ性電解水と、PH1.9〜2.5程度の強酸性電解水を互いに分離して生成する。これらの強アルカリ性電解水と強酸性電解水は、電解水生成装置1の前記各ポンプ、または水道圧力により外部配管2,3を介して混合装置4の第1,第2の供給口11,12に向け吐出される。
【0050】
これにより、混合装置4の第1の供給口11には、電解水生成装置1から外部配管2を介して前記強アルカリ性電解水が供給され、第2の供給口12には、電解水生成装置1から外部配管3を介して前記強酸性電解水が供給される。第1の供給口11には、ケーシング5内で供給管路11Aを介して三方弁16の流入ポート16Bが接続されている。そして、三方弁16は、操作レバー等の操作部16Aをケーシング5の外部から手動操作することにより、第1の供給口11からの強アルカリ性電解水を排出管路17と混合管路18とのいずれか一方に選択的に流通させる。
【0051】
三方弁16の選択操作により強アルカリ性電解水を排出管路17側に流通させた場合には、第1の供給口11からケーシング5内に導かれた強アルカリ性電解水を、そのままのPH濃度(例えば、PH12.5)で第1の排出口14からケーシング5外に排出することができる。この強アルカリ性電解水は、例えば歯科医院、病院等において治療器具の洗浄作業、院内の清掃等に好適に用いられる。また、ゴルフ場、農場等では、植物の成長促進を目的とした散布水として用いられるものである。
【0052】
一方、第2の供給口11からケーシング5内に流通管路13を介して導かれた強酸性電解水は、そのままのPH濃度(例えば、PH1.9〜2.5)で第2の排出口15からケーシング5外に排出することができる。この強酸性電解水は、例えば歯科医院では口腔内傷口の除菌、治療器具の除菌等に用いられる。また、ゴルフ場、農場等では、強酸性電解水を病原菌、ウイルスの防除、病気の予防を目的に散布することができる。
【0053】
次に、三方弁16の操作部16Aをケーシング5の外部から操作して、三方弁16の流入ポート16Bを他方の流出ポート16Dに接続した場合には、第1の供給口11から供給された強アルカリ性電解水は、混合管路18に向けて流通され、ニードル弁19の位置へと導くことができる。ニードル弁19の操作部19Aをケーシング5の外部から手動操作することにより、混合管路18の先端部18A側へと流通する強アルカリ性電解水の流量を適宜に調整することができる。
【0054】
ケーシング5のベース板6には、貫通穴6E(
図5参照)の周囲に目盛り等の識別表示を形成しておくことにより、ニードル弁19の操作部19Aをどの程度回動操作するかを、ケーシング5(ベース板6)の外部から判断しながら調節することができる。混合管路18を介してニードル弁19の上流側に導かれる強アルカリ性電解水の流量をQとし、調整比率k(例えば、0.1≦k≦1.0)とすると、調整流量(k×Q)分の強アルカリ性電解水がニードル弁19の下流側(混合管路18の先端部18A)側に供給される。
【0055】
このとき、残余流量〔(1−k)×Q〕分の強アルカリ性電解水が余剰水となってT型継手21を介して分流管路20側に分流される。分流管路20の途中に設けたオリフィス24は、ニードル弁19の上流側で余剰となった強アルカリ性電解水に絞り作用を与える。このため、混合管路18内を流れる流量Qの強アルカリ性電解水のうち、調整流量(k×Q)分の強アルカリ性電解水をニードル弁19を介して先端部18A(下流側)に優先的に安定して供給することができ、ニードル弁19の上流側で余剰となった残余流量〔(1−k)×Q〕分の強アルカリ性電解水のみを分流管路20へと導くことができる。
【0056】
分流管路20に導かれた強アルカリ性電解水の余剰水は、逆止弁23を介して接続部22から排出管路17へと流れ、第1の排出口14から排出される。このとき、逆止弁23は、排出管路17を流れる強アルカリ性電解水が分流管路20内に向けて逆流(流入)するのを阻止する。一方、混合管路18内を先端部18A(下流側)に向けて流れる調整流量(k×Q)分の強アルカリ性電解水は、流通管路13内の強酸性電解水と衝突するようにして混合される。これにより、第2の排出口15からは、2つの電解水を互いに混合させた混合水、即ちPH濃度が調整された混合水を排出することができる。
【0057】
特に、第1の実施の形態によれば、
図4に示すように、混合管路18の先端部18Aは、第2の排出口15の上端側(流入側)を挟んで流通管路13の先端部13Aとケーシング5の前,後方向で水平対向するように配置されている。このため、混合管路18内の強アルカリ性電解水と流通管路13内の強酸性電解水とを正面衝突するように混合することができ、PH濃度が均一に調整された混合水を第2の排出口15からケーシング5外へと排出することができる。
【0058】
このとき、PH濃度の調整は、ニードル弁19の操作部19Aをケーシング5の外部から回動操作することにより適宜に行うことができる。即ち、ニードル弁19の弁開度を大きくし、強アルカリ性電解水の調整流量(k×Q)を大きくすれば、流通管路13内の強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の混合割合を高めることができ、例えばPH9.5程度の濃度をもったアルカリ性の混合水を第2の排出口15からケーシング5外へと排出するように取出すことができる。
【0059】
一方、ニードル弁19の弁開度が小さくなるように、強アルカリ性電解水の調整流量(k×Q)を小さく、即ち調整比率k(0.1≦k≦1.0)が小さくなるように操作部19Aを回動操作すれば、流通管路13内の強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の混合割合を下げることができ、例えばPH3〜4程度の濃度をもった酸性の混合水を第2の排出口15からケーシング5外へと排出するように取出すことができる。この場合の濃度調節は、例えば0.1単位のPH濃度の調節も可能となるが、通常は目標濃度に対して、例えば0.2単位くらいの調節代で混合水のPH濃度(混合割合)を調節すればよい。
【0060】
即ち、強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の流量比を、ほぼ1対1とすればPH6.3〜7.0となる中性または中性に近い混合水を調製でき、強アルカリ性電解水の流量比を漸次高めることにより、例えばPH7.2以上のアルカリ性混合水を調製することができる。一方、強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の流量比を、1対1から漸次下げてゆくことにより、例えばPH6.3〜6.8以下の酸性混合水を調製することができる。
【0061】
下記の表1は、強酸性電解水(原水)に対して強アルカリ性電解水(混合液)を混合した場合のPH濃度と有効塩素濃度との関係を示している。ここで、強酸性電解水は、PH1.9で、有効塩素濃度が96ppmである。強アルカリ性電解水は、PH12.5で、有効塩素濃度が0ppmである。一方、下記の表2には、強酸性電解水(原水)に対して水道水(混合液)を混合した場合のPH濃度と有効塩素濃度との関係を示している。この場合も、強酸性電解水は、PH1.9で、有効塩素濃度が96ppmであり、水道水は、PH6.8で、有効塩素濃度が0ppmである。
【0064】
上記の表1,2からも明らかなように、強酸性電解水のPH濃度を調整(コントロール)するには、混合液として強アルカリ性電解水を用いて混合することにより、水道水で混合する場合に比較してPH濃度の調整が容易にできることが確認される。また、同じPH濃度(例えば、PH2.3)で比較した場合に、有効塩素濃度は、混合液として強アルカリ性電解水を用いた方が、水道水を用いたものに比較して、1.67倍の濃度が保持できるため、殺菌効果を維持した中和水を容易に作ることができる。
【0065】
かくして、第1の実施の形態によれば、電解水生成装置1から混合装置4のケーシング5内に供給された強アルカリ性電解水を排出管路17と混合管路18とのいずれか一方に選択的に流通させるときに、ケーシング5の外部から三方弁16の操作部16Aを簡単に操作することができ、強アルカリ性電解水の流通方向を容易に選択することができる。
【0066】
そして、強アルカリ性電解水を混合管路18内に流通させる場合には、混合管路18の途中に設けたニードル弁19をケーシング5の外部から操作することにより、前記強アルカリ性電解水の流量を可変に調整することができ、前記強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合割合を容易に調節することができる。
【0067】
従って、混合水のPH濃度を調製する場合には、三方弁16とニードル弁19をケーシング5の外部から操作することにより強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合割合を可変に調節することができ、例えば歯科医院等で口腔内のうがい除菌を行うためのうがい水を、水道水の水質基準内に収まるように調製することができると共に、酸性水の除菌力を保持した混合うがい水として簡単便利に提供することができる。また、農場、ゴルフ場等で用いる散布水についても、強酸性電解水を強アルカリ性電解水と混合してPH濃度の調整を行うことにより、酸焼けによる植栽の変色等を抑えつつ、病害防除を行うことができる。
【0068】
また、第1の実施の形態によれば、第1,第2の供給口11,12、第1,第2の排出口14,15、三方弁16、強アルカリ性電解水の排出管路17、強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の混合管路18、混合管路18の途中に設けたニードル弁19、強アルカリ性電解水の一部をニードル弁19の上流側で混合管路18から排出管路17側に分流させる分流管路20、該分流管路20の途中に設けられた逆止弁23およびオリフィス24を、ケーシング5内にコンパクトに収容して配置することができ、混合装置4全体を小型化してメンテナンス性を高めることができる。
【0069】
そして、前記逆止弁23とオリフィス24とをニードル弁19および三方弁16よりもケーシング5内の高い位置に配置することにより、強アルカリ性電解水中に混入した水素気泡を分流管路20に沿ってケーシング5の上方位置へと逃がすことができる。これにより、ニードル弁19による流量調整を安定させ、強酸性電解水に対する強アルカリ性電解水の混合性を高めることができ、混合水全体の濃度の均一化を図ることができる。
【0070】
しかも、分流管路20の途中に設けたオリフィスは、混合管路18から分流管路20に向けて流れる強アルカリ性電解水の流量を絞り、流動抵抗を与えることにより、ニードル弁19での流量調整範囲を広げつつ、その調整作業を容易にして安定化することができる。この結果、混合水のPH濃度を適正に調整した状態で、ニードル弁19での流量調整に対応した必要濃度の混合水を第2の排出口15から取出すことができる。
【0071】
さらに、第1の実施の形態によれば、混合装置4のケーシング5を、ベース板6と外装ケース7とにより構成し、ベース板6には第1,第2の供給口11,12、流通管路13、第1,第2の排出口14,15、三方弁16、排出管路17、混合管路18、ニードル弁19、分流管路20、T型継手21、接続部22、逆止弁23およびオリフィス24等の構成部品を搭載する構成としている。
【0072】
このため、
図6に示すように、ベース板6から外装ケース7を取外すことにより、ベース板6上には前述した各構成部品(例えば、流通管路13、三方弁16、排出管路17、混合管路18、ニードル弁19、分流管路20、T型継手21、接続部22、逆止弁23およびオリフィス24)等を外部に露出させることができ、この状態で混合装置4のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0073】
次に、
図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、第2の実施の形態では、後述のケーシング30に対して、第1,第2の排出口34,35を上側に開口させ、第1,第2の供給口31,32を下側に向けて開口させる構成としている。
【0074】
図中、30は第2の実施の形態で採用した混合装置4のケーシングで、該ケーシング30は、第1の実施の形態で述べたケーシング5とほぼ同様に構成され、ベース板に対してケース体(いずれも図示せず)が着脱可能に取付けられている。しかし、この場合のケーシング30は、後述する第1,第2の供給口31,32および第1,第2の排出口34,35等の取付位置が異なっている。
【0075】
31は混合装置4のケーシング30に設けられた第1の供給口で、該第1の供給口31は、第1の実施の形態で述べた第1の供給口11とほぼ同様に構成され、ケーシング30の下方へと外部に向けて開口している。第1の供給口31の開口(突出)端には、外部配管2が着脱可能に接続され、第1の供給口31には、電解水生成装置1から外部配管2を介して前記強アルカリ性電解水が供給される。第1の供給口31は、ケーシング30内の供給管路31Aを介して後述する三方弁36の流入ポート36B側に接続されている。
【0076】
32は第1の供給口31とは左,右方向に離間してケーシング30に設けられた第2の供給口である。該第2の供給口32は、第1の実施の形態で述べた第2の供給口12とほぼ同様に構成され、ケーシング30の下方へと外部に向けて開口している。第2の供給口32の開口(突出)端には、外部配管3が着脱可能に接続され、第2の供給口32は、ケーシング30内の流通管路33を介して後述する第2の排出口35に接続されている。流通管路33は、第1の実施の形態で述べた流通管路13とほぼ同様に構成され、ケーシング30内で第2の供給口32と第2の排出口35との間を接続している。
【0077】
34は第1,第2の供給口31,32から離間してケーシング30に設けられた第1の排出口である。該第1の排出口34は、第1の実施の形態で述べた第1の排出口14とほぼ同様に構成され、後述の排出管路37内を流通する強アルカリ性電解水をケーシング30の外部に排出するものである。しかし、第1の排出口34は、ケーシング30の上方へと外部に向けて開口している点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0078】
35は第1,第2の供給口31,32および第1の排出口34から離間してケーシング30に設けられた第2の排出口である。該第2の排出口35は、第1の実施の形態で述べた第2の排出口15とほぼ同様に構成され、第2の供給口12からケーシング30内に流通管路33を介して導かれた強酸性電解水または前記強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合水をケーシング30外に排出するものである。しかし、第2の排出口35は、ケーシング30の上方へと外部に向けて開口している点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0079】
36は流入側が第1の供給口31に供給管路31Aを介して接続された方向切換弁としての三方弁である。この三方弁36は、第1の実施の形態で述べた三方弁16と同様に構成され、操作レバー等の操作部36Aをケーシング30の外部から手動操作することにより、後述の排出管路37と混合管路38とのいずれか一方に強アルカリ性電解水を選択的に流通させるものである。
【0080】
この場合、三方弁36の操作部36Aは、例えばケーシング30の前面側から外部に突出する構成としてもよく、左,右方向の一方の側面からケーシング30外に突出する構成であってもよい。また、三方弁36は、流入ポート36Bと2つの流出ポート36C,36Dとを有し、操作部36Aの回動操作により流出ポート36C,36Dのいずれか一方に流入ポート36Bが接続される。
【0081】
37は三方弁36の流出ポート36Cに接続してケーシング30内に設けられた排出管路である。該排出管路37は、第1の実施の形態で述べた排出管路17とほぼ同様に構成されている。そして、排出管路37は、第1の供給口31から三方弁36の流出ポート36Cを介して供給された強アルカリ性電解水を、強酸性電解水と混合させることなく、ケーシング30外に排出させるため、その先端側がケーシング30内で第1の排出口34に接続されている。
【0082】
38は三方弁36の流出ポート36Dに接続してケーシング30内に設けられた混合管路である。該混合管路38は、第1の実施の形態で述べた混合管路18とほぼ同様に構成されている。そして、混合管路38は、強アルカリ性電解水を強酸性電解水と混合させるため、その先端部38A側が強酸性電解水の流通管路33にケーシング30内で接続されている。混合管路38は、内部を流れる強アルカリ性電解水を流通管路33内の強酸性電解水に向けて衝突させるように流通させ、これにより、2つの電解水を互いに混合させるものである。
【0083】
39は混合管路38の途中に位置してケーシング30内に設けられた流量調整弁としてのニードル弁である。このニードル弁39は、第1の実施の形態で述べたニードル弁19とほぼ同様に構成され、三方弁36を介して混合管路38内に流通される強アルカリ性電解水の流量を可変に調整し、強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合割合を調節するものである。
【0084】
ニードル弁39は、流量調整用の操作部39Aをケーシング30の外部に突出させた状態で取付けられ、ケーシング30内で三方弁36とほぼ同等な高さ位置に設置されている。ニードル弁39の操作部39Aは、例えばケーシング30の前面側から外部に突出する構成としてもよく、左,右方向の一方の側面からケーシング30外に突出する構成であってもよい。
【0085】
40はニードル弁39の上流側で混合管路38から分岐してケーシング30内に設けられた分流管路である。該分流管路40は、第1の実施の形態で述べた分流管路20とほぼ同様に構成され、チーズと呼ばれるT型継手41を用いて混合管路38の途中部位から分岐されている。分流管路40は、三方弁36を介して混合管路38に導かれる強アルカリ性電解水の一部をニードル弁39の上流側で排出管路37の下流側に向けて分流させる管路である。分流管路40は、その先端側が接続部42の位置で排出管路37と接続されている。この接続部42は、例えばT字状の継手部材等を用いて構成されている。
【0086】
43は分流管路40の途中に設けられた逆止弁で、該逆止弁43は、第1の実施の形態で述べた逆止弁23とほぼ同様に構成され、前記強アルカリ性電解水が分流管路40から排出管路37(接続部42)に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するために分流管路40と排出管路37との間に設けらている。
【0087】
44は逆止弁43よりも上流側に位置して分流管路40に設けられたオリフィスで、該オリフィス44は、第1の実施の形態で述べたオリフィス24とほぼ同様に構成され、混合管路38から分流管路40に分岐して流れる強アルカリ性電解水に抵抗を与えて流量の絞り作用を行うものである。オリフィス44と逆止弁43とは、三方弁36およびニードル弁39よりもケーシング30内の高い位置に配置されている。
【0088】
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、三方弁36の操作部36Aをケーシング30の外部から操作可能な位置に配設することができ、ニードル弁39は、流量調整用の操作部39Aを前記操作部36Aとは異なる位置でケーシング30の外部から操作可能な位置に配設することができる。そして、混合水のPH濃度を調製する場合に、三方弁36とニードル弁39をケーシング5の外部から操作することにより強アルカリ性電解水と強酸性電解水との混合割合を可変に調節することができ、第1の実施の形態とほぼ同様な効果を奏することができる。
【0089】
なお、前記各実施の形態では、電解水生成装置1を二隔膜三室型電解槽を用いて構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、電解水生成装置は、必ずしも三室型電解槽を用いて構成する必要はなく、例えば二室型電解槽を用いて構成してもよい。また、電解質は塩化カリウムに限らず、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等で構成してもよい。
【0090】
また、前記第1の実施の形態では、混合装置4を壁掛け式の装置として用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばテーブル等の載置台に混合装置のケーシングを載置して設ける構成としてもよい。この点は、第2の実施の形態で述べたケーシング30についても同様である。