(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本願発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の1実施形態による映像信号のモニター100をブロック図で示す。このモニター100は、表示器102と、キー/エンコーダー回路104と、シリアル−パラレル変換器106と、ピクチャー画像生成回路108と、ベクトル画像生成回路110と、波形画像生成回路112と、変換回路114と、変換回路116と、選択画素抽出回路118と,表示制御/付加画像生成回路120と,描画メモリー122と、合成回路124を備えている。表示器102とキー/エンコーダー回路104とは、本発明の1実施形態にしたがい生成するマーカーの位置を選択するための位置選択部として作用する。シリアル−パラレル変換器106と、画像生成回路108、110及び112と、変換回路114及び116とは、マーカーを表示する対象である映像信号の画像を生成する映像信号画像生成部として作用する。選択画素抽出回路118と,表示制御/付加画像生成回路120と,描画メモリー122とは、マーカーの表示に関連した映像信号の画像の表示制御と、マーカーである付加画像の生成と、を行う表示制御/付加画像生成部として作用する。合成回路124は、マーカーを、これを付加すべき対象である映像信号の画像と合成する合成部として作用する。
【0016】
本実施形態では、回路108、110、112、114、116、118,124は、FPGAによって構成している。また、表示制御/付加画像生成回路120は、コンピュータとプログラムによって実施している。尚、本実施形態のモニター100の種々の回路は、全てハードウェアで実現したり、あるいはコンピュータとソフトウェアの組み合わせによって実現することもできる。
【0017】
次に、まず位置選択部について説明すると、モニター100のフロントパネル200を示す
図2も参照して説明すると、表示器102は、合成回路124から合成画像信号を受ける入力と、入力に受けた画像信号に応答して、ユーザーに対しXGAの解像度で画像を表示するスクリーン202を有している。キー/エンコーダー回路104は、モニター100を操作するためのキーマトリクス204と、エンコーダー・ツマミ206を有している。キーマトリクス204は、図示のように、ファンクションキーF−1〜F−5、及びその他のキーPIC、WFM,VECT,MULTI等を有し、エンコーダー・ツマミ206は、水平カーソルと垂直カーソルを操作するための1対のツマミ(F・D1,F・D2)とを有している。
【0018】
本発明に関連したキーのみについて説明すると、モニター100の表示モードを指定するキーとして、PIC、WFM,VECT、MULTIのキーがある。PICキーは、ピクチャー表示モードを指定し、このモードが選択されると、映像信号により構成されるラスタ画像を「ピクチャー画像」として表示する。WFMキーは、波形表示モードを指定し、このモードが選択されると、映像信号に含まれる成分の時間変動を示す画像を「波形画像」として表示する。VECTキーは、ベクトル表示モードを指定し、このモードが選択されると、従来のベクトルスコープで表示されるのと同様の画像を「ベクトル画像」として表示する。言い換えれば、ベクトル画像では、映像信号から得た2つの色差信号(CbとCr)の値をそれぞれ横軸入力と縦軸入力として使って描画してそれら色差信号が構成するベクトルの先端の軌跡を表示する。MULTIキーは、マルチ画面モードを指定するキーであり、このモードが選択されると、上記のピクチャー画像と、波形画像と、ベクトル画像とを同時に1つのスクリーンに表示する。尚、マルチ画面モードが選択されなかったときは、シングル画面モードで動作する。
【0019】
キー/エンコーダー回路104は、上記のユーザー操作入力を受けたときに、どのキーが押されたのかを示すキーマトリックス出力を発生し、また、エンコーダー・ツマミ206が操作されたときにはその操作を表すエンコーダー出力を発生する。ユーザーは、スクリーン202の画像を見ながらその画像上でカーソルを動かすことができる。エンコーダーは、例えばロータリーエンコーダーを含むことができ、この場合、エンコーダーは、そのロータリーエンコーダー出力のパルスを検出し、その操作方向と移動距離を表すデータを更新して得られるエンコーダー出力を発生する。
【0020】
次に、映像信号画像生成部について説明すると、モニター100が含むシリアル−パラレル変換器106は、カメラからの映像信号、例えば、HD SDI信号(SMPTE274M規格)を受ける入力を有し、そしてこの受けたシリアル形態を有するHD SDI信号を、HD SDIレートを有するパラレル形態の映像信号に変換して、出力に発生する。尚、本実施形態は、映像信号としてHD SDI信号(SMPTE274M規格)の例で説明するが、本発明は、その他の規格(例えば、SD-SDIや3G-SDI、HDMI、Display Port等の様々な映像規格)の映像信号に対しても適用可能である。
【0021】
次に、ピクチャー画像生成回路108、ベクトル画像生成回路110及び波形画像生成回路112は、シリアル−パラレル変換器106からの出力を受ける入力と、後で詳述する表示制御/付加画像生成回路120からの表示位置/表示サイズ設定出力を受ける入力とをそれぞれ有する。さらに、波形画像生成回路112は、表示制御/付加画像生成回路120からのGBR変換命令を受ける入力を有する。それら画像生成回路108、110及び112は、それぞれ、受けた映像信号を表しかつ受けた表示位置及び表示サイズ設定に従う異なった形態の画像を生成する。
【0022】
詳細には、ピクチャー画像生成回路108は、入力パラレルデータからブランキング期間を除いたアクティブ・ピクチャー画像を生成し、表示器102のフォーマットに合わせるため、その生成したピクチャー画像をXGA解像度に変換し、この変換後の生成ピクチャー画像を設定された表示サイズに応じて縮小し、そしてその縮小画像を設定された表示位置にシフトさせ、その結果のXGAサイズのピクチャー画像を出力する。このように生成されたピクチャー画像は、
図4に示された画像に含まれることになる。尚、ピクチャー画像が不要な表示モードでは、画像生成回路108は、ピクチャー画像出力をマスクする、すなわちピクチャー画像を出力に発生しない。
【0023】
ベクトル画像生成回路110は、入力パラレルデータからブランキング期間を除き、この生成したピクチャー画像をベクトル表示座標系に変換し、ベクトル画像をラスタライズし、さらにラスタライズしたベクトル画像を、表示器のフォーマットに合わせるためにXGAに解像度を変換し、変換後のこのベクトル画像を、設定された表示サイズとなるように縮小し、この縮小画像が設定された表示位置に表示されるようにシフトさせ、その結果のXGAサイズのベクトル画像を出力する。このように生成されたベクトル画像は、
図5に示された画像に含まれることになる。尚、ベクトル画像が不要な表示モードでは、画像生成回路110は、ベクトル画像出力をマスクする。
【0024】
波形画像生成回路112は、シリアル−パラレル変換器106からの入力パラレルデータから、Y(輝度)信号、色差信号Cb及びCr(GBR表示の場合は、G(緑)信号、B(青)信号、R(赤)信号)の3波形に変換し、この3波形を1つの画像にラスタライズし、このラスタライズした画像を表示器のフォーマットに合わせるためXGAに解像度を変換し、変換後の画像を設定された表示サイズとなるように縮小し、この縮小画像を設定された表示位置に表示されるようにシフトさせ、そしてその結果のXGAサイズの波形画像を出力する。このように生成された波形画像は、
図6または
図7に示された画像に含まれることになる。波形画像が不要な表示モードでは、画像生成回路112は、波形画像出力をマスクする。尚、上述のピクチャー画像と、波形画像と、ベクトル画像とは、
図8に示された画像には一緒に含まれる。
【0025】
次に、変換回路114は、ピクチャー画像生成回路108の出力に接続された入力を有しており、そしてピクチャーフレーム・レート変換を行うことによって、受けたピクチャー画像をXGAレートを有するようにフレームレート変換した後、この変換後のXGAピクチャー画像を出力に発生する。同様に、変換回路116は、ベクトル画像生成回路110の出力に接続された入力と、波形画像生成回路112の出力に接続された入力とを有しており、そしてベクトル画像と波形画像を合成し、この合成した画像を表示器のフォーマットに合わせるためXGAレートにフレームレート変換し、この変換後のXGAベクトル/波形合成画像を出力に発生する。
【0026】
次に、表示制御/付加画像生成部について説明すると、表示制御/付加画像生成回路120は、キー/エンコーダー回路104の出力に接続された入力を有しており、ポーリングによってキー/エンコーダー回路からのキーマトリックス出力およびエンコーダー出力を読み出し、これにより操作されたキーから表示モードを決定する。また、表示制御/付加画像生成回路120は、操作されたエンコーダーからの出力から、入力映像のサンプル番号とライン番号を、入力映像信号のフォーマットに基づいて算出し出力する。ピクチャー表示でのカーソルの初期位置は、ピクチャー画像内の特定の位置に設定してあり、カーソルの現在位置は、この初期位置からエンコーダー出力に基づいて定める。例えば、入力映像信号がHD SDI 1080i / 59.94のフォーマットを有するときには、フレーム当たりのライン数は1080本で、ライン当たりのサンプル数は1920であり、この場合、カーソルの初期位置は、ライン1でサンプル番号1920の位置である。
【0027】
選択画素抽出回路118は、シリアル−パラレル変換器106の出力に接続された入力と、表示制御/付加画像生成回路120からの上記出力に接続された入力とを有しており、受けた入力パラレルデータから同期信号を検出することによりサンプル番号及びライン番号を監視し、表示制御/付加画像生成回路120から受けたサンプル番号及びライン番号に対応した入力パラレルデータの画素を抽出して出力する。また、選択画素抽出回路118は、その抽出した画素の輝度値Y、色差値Cb及びCrを検出してそれら値を更新し、抽出画素データとして抽出した画素とともに出力する。
【0028】
この抽出画素データを受ける入力を有する表示制御/付加画像生成回路120は、抽出画素データから輝度値Y、色差値Cb及びCrを取得する。また、表示制御/付加画像生成回路120は、決定した表示モードにしたがってピクチャー画像、ベクトル画像、波形画像の表示サイズ及び位置を設定する。すなわち、スクリーンに1つの画像のみを表示するシングル画面モードでは、ピクチャー画像、ベクトル画像及び波形画像のうちの指定された画像のみの表示サイズ及び位置を、
図4〜
図7に示されるような表示となるように設定し、マルチ画面モードでは、ピクチャー画像、ベクトル画像及び波形画像のうちの各々の表示サイズ及び位置を、例えば
図8に示されるような表示となるように設定する。さらに、表示制御/付加画像生成回路120は、波形表示モードに関連してGBR表示が指定されたときにはGBR変換命令を発生する。これら設定及び命令は、前述したように画像生成回路108、110,112で使用される。
【0029】
さらに、表示制御/付加画像生成回路120は、抽出画素データから所定の算出処理を行う。すなわち、各画像への追加のため、ピクチャー画像に付加するカーソルの画像を生成し、またピクチャー画像に付加するG値、B値又はR値を抽出画素データから算出する。尚、ピクチャー画像に付加する値は、Y(輝度)値を選択することもできる。カーソル画像の表示位置は、サンプル番号とライン番号、及び表示モードにしたがって定める。また、波形画像に付加するマーカーと目盛の表示位置を抽出画素データと表示モードにしたがって算出し、また波形画像に付加するマーカーの画像を生成する。また、ベクトル画像に付加するCb%値、Cr%値、彩度%値(d)、色相角度(deg)を抽出画素データから算出し、ベクトル画像に付加するマーカーと目盛の表示位置を表示モードにしたがって算出し、またベクトル画像に付加するマーカーの画像を生成する。
【0030】
最後に、表示制御/付加画像生成回路120は、描画メモリー122における描画のための処理を行う。すなわち、ピクチャー画像の場合、ピクチャー画像に付加するG値、B値、R値、または輝度値Y(
図4の例では輝度値Yのパーセント値を示す)とカーソルの画像を描画メモリー122に出力する。ベクトル画像の場合、ベクトル画像に付加するCb値(%)、Cr値(%)、彩度d(%)、色相角度(deg)の数値と、マーカーと、目盛との画像を描画メモリー122に出力する。波形画像の場合、波形画像に付加するマーカーと目盛の画像を描画メモリー122に出力する。マルチ画面の場合には、ピクチャー画像とベクトル画像と波形画像の3つの画像のための画像を描画メモリー122内において合成する。
【0031】
描画メモリー122は、以上の通りの出力を表示制御/付加画像生成回路120から受ける入力を有し、そして受けた入力にしたがって描画されたデータを記憶し、その描画データからのXGA描画像(数値、マーカー、カーソル、目盛を含む)を、表示器102のXGAレートで出力する。
【0032】
最後に合成部について説明すると、合成回路124は、変換回路114の出力と、変換回路116の出力と、描画メモリー122の出力とにそれぞれ接続された入力を有する。シングル画面モードが選択されたときには、合成回路124は、ピクチャー表示モードが選択されたとき、変換回路114からのピクチャー画像に対し、描画メモリー122からの描画画像、すなわち、ピクチャー画像に付加すべきカーソル、G値、B値又はR値の画像を合成する。この時、ベクトル画像は、ベクトル画像生成回路110によりマスクされており、波形画像は、波形画像生成回路112によりマスクされている。波形表示モードが選択されたときには、変換回路116からの波形画像に対し、描画メモリー122からの描画画像、すなわち、波形画像に付加すべきマーカー、目盛の画像を合成する。この時、ピクチャー画像は、ピクチャー画像生成回路108によりマスクされており、波形画像は、波形画像生成回路112によりマスクされている。ベクトル表示モードが選択されたときには、変換回路116からのベクトル画像に対し、描画メモリー122からの描画画像、すなわち、ベクトル画像に付加すべきマーカー、目盛、Cb%値、Cr%値、彩度%値(d)、色相角度(deg)の画像を合成する。この時、ピクチャー画像は、ピクチャー画像生成回路108によりマスクされており、波形画像は、波形画像生成回路112によりマスクされている。マルチ画面モードが選択されたときには、ピクチャー画像とベクトル画像と波形画像を合成し、さらにこの合成画像にそれら3つの画像に付加すべき上記の付加画像を合成する。合成回路124は、合成結果を出力に発生する。合成回路124の出力を受ける入力を有する表示器102は、受けた合成画像をユーザーに対し表示する。
【0033】
次に、
図3のフローチャートを参照して、表示制御/付加画像生成回路120の動作を説明する。まず、ステップ300において、キー検出タスクを実行し、これによって、キー/エンコーダー回路104からの出力に対しポーリングを行ってキーマトリックス出力と、エンコーダー出力とを読み出す。ステップ302において、キー実行タスクを実行し、これにより、表示モード・データと、ライン番号/サンプル番号を生成する。表示モード・データは、シングル画面モードあるいはマルチ画面モードのいずれが選択されたか、シングル画面モードが選択されたときには、ピクチャー表示モード、波形表示モード、ベクトル表示モードのいずれが選択されたかを示す。また波形表示モードが選択されたときには、GBR波形表示が選択されたのかどうかを示す。生成したライン番号/サンプル番号は、選択画素抽出回路118に出力して、前述の画素抽出を行わせる。
【0034】
ステップ304では、モニタータスクを実行し、これにおいては、表示モード・データで指定された「ピクチャータスク」、「ベクトルタスク」、「波形タスク」と呼ぶタスクのうちの1つあるいはそれらすべてを実行し、これらタスクは、それぞれピクチャー画像表示モード、ベクトル画像表示モード、波形画像表示モードに関係したものである。
【0035】
まず、ステップ306において、ピクチャータスクを実行する。このピクチャータスクにおいては、ステップ3060において、表示モード・データ(すなわち、シングル画面モードまたはマルチ画面モード)から、ピクチャー画像のモニター・スクリーン202における表示位置及びサイズを決定し、ステップ3062において、これら決定結果をピクチャー画像生成回路108に出力する。次に、ステップ3064において、抽出画素データから、カーソルを表示する位置を決定するとともに、カーソル画像を生成する。次に、ステップ3066において、カーソルの表示位置を、XGA座標上での位置に変換する。このピクチャータスクにより、
図4及び
図8に示されているように、ピクチャー画像400または800のスクリーン202における表示位置とサイズが決定され、また、そのピクチャー画像における水平及び垂直カーソル402と404または802と804の位置が決定される。尚、
図4では、カーソルの交点で選択した画素P1のライン番号及びサンプル番号と、カーソルの交点の近くにおいてその画素の例えば輝度値Y (パーセント)を示している。尚、本実施形態では、カーソルで3つまで位置指定を行うことができるため、画素P2,P3のライン番号とサンプル番号も上端に示されているが、これらは、アクティブピクチャー外にあるため、スクリーンには表示されていない。尚、
図8のマルチ画面では、画素P2,P3に関するデータは表示していないが、表示することも可能である。カーソルによる3つの位置指定の間の切り替えは、例えばファンクションキーを使って行うことができる。
【0036】
次に、ステップ308では、ベクトルタスクを実行する。このベクトルタスクにおいては、ステップ3080において、表示モード・データから、ベクトル画像のモニター・スクリーン202における表示位置及びサイズを決定し、ステップ3082において、これら決定結果をベクトル画像生成回路110に出力する。次に、ステップ3084において、選択画素抽出回路118から受けたCb/Cr値から、ベクトル画像に付加するCb%値、Cr%値、彩度%値(d)、色相角度(deg)を抽出画素データから算出する。さらに、ベクトル画像に付加するマーカー、目盛及び数値の表示位置を表示モード(すなわち、シングル画面モードまたはマルチ画面モード)にしたがって決定し、またベクトル画像に付加する、例えば十字形状のマーカーの画像を生成する。マーカー表示位置は、ベクトル表示用のベクトル座標(横軸がCb値、縦軸がCr値)内における位置である。次に、ステップ3086において、マーカー、目盛及び数値の表示位置を、XGA座標上での位置に変換する。このベクトルタスクにより、
図5および
図8に示されているように、ベクトル画像500または810のスクリーン202における表示位置とサイズが決定され、また、マーカー502または812、目盛504または814、数値506または816の位置が決定される。
【0037】
次に、ステップ310では、波形タスクを実行する。この波形タスクにおいては、ステップ3100において、表示モード・データから、波形画像のモニター・スクリーン202における表示位置及びサイズを決定し、ステップ3102において、これら決定結果を波形画像生成回路112に出力する。波形表示でGBR表示が選択されたときには、GBR変換命令も出力する。次に、ステップ3104において、波形画像に付加するマーカー及び目盛の表示位置を表示モード(すなわち、シングル画面モードまたはマルチ画面モード)にしたがって決定し、また波形画像に付加する、例えば十字形状のマーカーの画像を生成する。マーカー表示位置は、波形表示用の波形座標(横軸が時間、縦軸が各成分の大きさ)内における位置である。横軸での位置は、サンプル番号から決定し、縦軸での位置は、選択画素抽出回路118から受けたY値、Cb値及びCr値を%値に変換することにより決定する。尚、本実施形態では、各ラインの波形が重畳されるようにしているが、ライン番号を指定して全ラインの波形を重畳せずに指定ラインのみを表示することや、ピクチャー画像上で選択されたラインのみを表示することもできる。次に、ステップ3106において、マーカー及び目盛の表示位置を、XGA座標上での位置に変換する。この波形タスクにより、
図6および
図8に示されているように、波形画像600または820のスクリーン202における表示位置とサイズが決定され、また、マーカー602〜606または822〜826、目盛608または828の位置が決定される。尚、
図6と
図8では、波形画像は、輝度(Y)波形と、色差(Cb)波形と、色差(Cr)波形とを示しているが、GBR表示が選択されたときには、
図7に示すように、緑(G)波形、青(B)波形、赤(R)波形が波形画像700として表示される。この場合にも、各波形に対しマーカー702〜706と、目盛708が生成され表示される。
【0038】
次に、ステップ312で描画タスクを実行する。この描画タスクでは、ピクチャータスク、ベクトルタスク、波形タスクで生成した画像を描画データとして描画メモリー122に送って、描画メモリー内において画像を形成する。
【0039】
以上の通り、本発明の1実施形態のモニター100を使用すれば、ユーザーは、ピクチャー表示モードでの画像内でカーソルを使って位置を指定することにより、他のベクトル画像や波形画像内にマーカーを表示させることができる。これにより、ユーザーは、同じ映像信号内の位置に対応する位置を、複数の異なった形態の画像において見つけることが容易にできる。しかも、ライン番号とサンプル番号によって位置を選択することができるため、対応する位置の特定を非常に正確に行うことができる。
【0040】
尚、本発明の上記実施形態では、位置選択は、ピクチャー画像上で行うように構成しているが、波形表示上で行うこともできる。また、上記実施形態では、位置選択とマーカー表示とは、同一のモニターで行う構成としているが、これに限定されるものではなく、互いに異なったモニター上で行うこともできる。例えば、
図9に示すように、ピクチャーモニターで位置選択を行い、波形モニターあるいはベクトルスコープ上でマーカーを表示するようにすることもできる。その場合には、選択した位置を表すデータをピクチャーモニターから他のモニター等に送れば良い。このような実施形態では、
図1の回路全体あるいはキー/エンコーダー回路104を除く部分を他のモニターにも設け、ピクチャーモニターからの位置データを受けるように構成すればよい。
【0041】
次に、
図10のフローチャートを参照して、本発明の別の特徴を説明する。この特徴は、前述のマーカーに加えて追加のマーカーを表示することに関するものである。この追加のマーカーは、以下の説明では「ターゲット・マーカー」と呼ぶことにする。尚、このターゲット・マーカーは、前述のマーカーの表示なしでも表示させることができる。
図10のフローチャートで示す処理は、
図1の表示制御/付加画像生成回路120で実施される。
図1のその他の回路部分の動作は、
図1に関連して説明したのとほぼ同様である。
【0042】
まず、
図10のステップ1000において、キー検出タスクを実行して、ポーリングによってキーマトリックス出力とエンコーダー出力を読み出す。次のステップ1002でキー実行タスクを実行する。このタスクでは、ベクトル画面が表示された状態において、ターゲット・マーカー表示が選択されたことを検出し、そのときにターゲット・マーカーを表示させるべき位置を決定する。ユーザーは、水平と垂直カーソルを移動させることによってターゲット・マーカーを表示させる位置を選択することができる。尚、ターゲット・マーカー表示時のカーソルの初期位置は、ベクトル座標内の中心に設定してあり、エンコーダーを操作することによって、カーソルをベクトル座標内の任意の位置に移動させることができる。
【0043】
次のステップ1004において、ベクトルタスクを実行する。このタスクでは、ステップ10040において、ターゲット・マーカーの表示位置を、表示モード(シングル画面モードかマルチ画面モード)、ベクトル画像の表示位置と表示サイズとから決定する。このターゲット・マーカーの表示位置は、ベクトル表示を行うためのベクトル座標内の位置である。次に、このベクトル座標内の位置から、この位置における、CbとCrの%値、彩度%値(d)、色相角度(deg)の数値を算出する。次に、ステップ10042において、ターゲット・マーカーの表示位置をXGA座標上の位置に変換する。次のステップ1006では描画タスクを実行し、これにより、ターゲット・マーカーの画像と、これに関連した数値の画像を描画データとして描画メモリー122に出力する。この出力を受けた描画メモリー122は、その中に、前述のベクトル画像に付加すべき画像を形成する。尚、
図1に関して説明した付加画像も、必要に応じて描画メモリー122内に形成されており、したがって描画メモリー122からの出力を受ける合成回路124は、受けたターゲット・マーカーに関する画像を、
図5または
図8の画像に追加する。
【0044】
図11は、
図8のマルチ画面モードでの画像に対し、ターゲット・マーカーを追加した表示例を示している。図示のように、
図1の構成によって生成されたマーカー1100とその数値1102に加え、ターゲット・マーカー1104とその数値1106が含まれている。上述のように、ターゲット・マーカーは、ユーザーがベクトル座標内の任意の位置を指定して表示させることができる。
【0045】
このターゲット・マーカーは、前述のマーカーと組み合わせて使用することができる。例えば、複数のカメラで同一の被写体を撮影することにより、それら複数のカメラ間の調整をすることがある。このとき、最初に、第1のカメラで撮影した映像信号を受けて、
図1の構成により、ピクチャー画像内の位置(被写体のある位置に対応)を指定してベクトル画像内にマーカー1100を表示させる。次に、このマーカー1100の位置にターゲット・マーカー1104を移動させてその位置に表示させたままにする。次に、モニター100において、第2のカメラからの映像信号を受けるように切り替え、そしてこのときのピクチャー画像内の対応する位置(被写体の上記位置)を指定して、ベクトル画像内に第2のマーカーを表示させる。この第2のマーカーが、ターゲット・マーカーとずれているときには、第1と第2のカメラの調整がずれていることを示すことができる。また、マーカー値とターゲット・マーカー値の双方の数値が表示されるため、どのパラメータの値がどの程度ずれているのかをユーザーは知ることができる。このように、マーカーとターゲット・マーカー及びそれらの数値表示の使用により、2つのカメラ間の調整を従来と比べ容易により正確に行えるようになる。
【0046】
図10に関連した上記ターゲット・マーカーの説明では、ターゲット・マーカーの生成に関する動作のみを含み、
図5または
図8に示したようなベクトル画像の生成については含んでいない。したがって、
図12に示すようにターゲット・マーカー1200(ターゲット・マーカー値1202の表示を含む)を単独で表示させるときには、
図1で説明したベクトル画像の生成に関する処理のみを追加で実行すれば良い。
【0047】
尚、上述の実施形態では、マーカーの形態は十字形状としたが、これは一例に過ぎず、X字形状や、ドット等のそれ以外の形状も可能である。また、位置選択にカーソルを使用したが、これも一例に過ぎず、任意のその他のポインタを使用することができる。場合によっては、画像内の位置の選択は、ライン番号とサンプル番号を数値を使って直接選択してもよい。さらに、上記の実施形態では、3つまでの位置を選択することができるが、これも一例に過ぎず、これより多いあるいは少ない位置を選択するようにすることもできる。さらに、上記実施形態では、一部をコンピュータとプログラムによって実施したが、モニターの全ての回路をハードウェアで構成することもでき、また、上記実施形態でハードウェアで構成した回路をコンピュータとプログラムで構成するように変更することもできる。
【0048】
以上、いくつかの例示的な側面および実施形態について詳述したが、当業者には、種々の変更、置換、追加、サブコンビネーションが認識される。したがって、添付の請求の範囲に記載した請求項および将来請求の範囲に含めることのある請求項の解釈は、真の要旨および範囲内にあるものとしてのあらゆるそのような変更、置換、追加、サブコンビネーション等もそれら請求項が包含するもの、としてなされるよう意図している。