【文献】
"MATERIAL SAFETY DATA SHEET",Milliken Chemical,2009年 9月18日,URL,http://formosa.msdssoftware.com/imagedir/EA927B03B9734B2BB28A0D453B17095E.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオレフィン組成物がブレンドされたマルチモーダルポリマーを含み、前記ブレンドされたマルチモーダルポリマーが第一ポリマー及び第二ポリマーを含み、前記第一ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC4 -C10 オレフィンのコポリマーであり、前記第二ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC4-C10 オレフィンのコポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
高められた接着性を可能にし、かつ長い開放時間を維持しつつ優れた硬化時間を与える接着剤配合物が本明細書に開示される。いずれかの実施態様において、これらの配合物は完成接着剤中の一層高いポリマー配合量の使用を可能にし、それにより高められた接着強さを与える。そうする際に、配合物が接着剤密度を減少し、包装ラインで適用される必要がある接着剤の質量及び体積を減少するための経路を与え得る。接着剤体積を低下することにより、硬化時間は減少された熱量が少ない冷却時間を必要とするという事実のために更に改良し得る。
本明細書に開示された配合物は接着剤配合物中の成核剤の混入により長い開放時間を維持しつつ改良された硬化時間を与え得る。いずれかの実施態様において、配合物がプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン又はC
4-C
10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィンを含んでもよい。いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物がプロピレンとエチレンのコポリマーを含んでもよい。
いずれかの実施態様において、成核剤が接着剤組成物についての硬化時間を成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して、好ましくは少なくとも10%だけ、減少するのに有効であってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤は成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を上昇するのに有効であってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤は成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を少なくとも10℃だけ上昇するのに有効であってもよい。
いずれかの実施態様において、成核剤が金属塩であってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤がポリオレフィン組成物の結晶化温度より高い結晶化温度を有する有機化合物であってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤が安息香酸ナトリウム、タルク、グリセロールアルコキシド塩、環状カルボン酸塩、二環式カルボン酸塩、グリセロレート、及びヘキサヒドロフタル酸塩からなる群から選ばれてもよい。いずれかの実施態様において、成核剤がビシクロ [2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートの塩を含む。
本明細書に開示された配合物により可能にされる硬化時間の改良は減少された量のワックスを使用して、又は更に好ましくはワックスを殆ど乃至全く使用しないで達成し得ることが有利である。いずれかの実施態様において、接着剤組成物が約25%以下のワックス、又は約5質量%以下のワックスを含んでもよく、又はワックスを実質的に含まなくてもよい。
本明細書に開示された配合物は接着剤組成物中の使用に有益である性質の組み合わせを有するマルチモーダルポリマー(multi-modal polymer)ブレンドに広く適用可能である。一般に、成核剤はブレンドが約20 J/g以上、又は約30 J/g以上の融解熱の差を有する少なくとも2種のポリマーを含むマルチモーダルポリマーブレンドを有するポリオレフィン組成物とともに使用し得る。例えば、成核剤は一種のポリマーが約50 J/g以下の融解熱を有し、かつ第二のポリマーが約30 J/g以上の融解熱を有するマルチモーダルポリマーブレンドの硬化時間を減少するのに使用し得る。例えば、成核剤は一種のポリマーが約65 J/g〜約85 J/gの融解熱を有し、かつ第二のポリマーが約10 J/g〜約30 J/gの融解熱を有するマルチモーダルポリマーブレンドの硬化時間を減少するのに使用し得る。成核剤はまた一種のポリマーが80 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二のポリマーが約50 J/g以下の融解熱を有するマルチモーダルポリマーブレンドの硬化時間を減少するのに使用し得る。成核剤はまた一種のポリマーが50 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二のポリマーが約15 J/g以下の融解熱を有するマルチモーダルポリマーブレンドの硬化時間を減少するのに使用し得る。いずれかの実施態様において、ブレンド中に存在する第一のポリマー対第二のポリマーの質量比は10:90 〜90:10 、又は20:80 〜80:20 、又は30:70 〜70:30 、又は40:60 〜60:40 であってもよい。
【0007】
本明細書に開示された配合物はクラフト紙上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する。本明細書に使用される点T-剥離は標本が二つの1インチX3インチ (2.54 cm X 7.62 cm)の支持体カットアウトを500 グラムの荷重の下で圧縮された場合に約1平方インチの面積 (1 インチ= 2.54cm) を占める体積を有する接着剤の点で合わせることにより作成される以外は、ASTM D 1876 に従って測定される。一旦つくられると、全ての標本は適用される破壊力を測定する装置により2インチ/分の速度で並んで試験する際に離して引っ張られてもよい。試験された夫々のサンプルについて得られた最大の力が点T-剥離である。1ニュートンの点T-剥離は接着剤についての最小の性能要求と考えられるかもしれない。一般に、測定可能な繊維引裂を示す接着剤組成物は少なくとも1ニュートンの点T-剥離を有する。
【0008】
A.
ポリオレフィン組成物
本発明のポリオレフィン組成物のいずれか中に使用されるポリマーはプロピレン、エチレン、C
4 -C
20 線状又は分枝オレフィン、及びジオレフィン(特に、C
4-C
10オレフィン)からなる群から選ばれた一種以上のモノマーから誘導されることが好ましい。本明細書に使用される“モノマー”又は“コモノマー“という用語はポリマーを生成するのに使用されるモノマー、即ち、重合前の形態の未反応化学化合物を表すことができ、またそれがポリマーにとり込まれた後のモノマー(また本明細書中“ [モノマー]-誘導単位”と称される)を表すことができ、これは重合反応のためにそれが重合反応前に有するよりも少ない水素原子を典型的に有する。
ポリマーは主としてプロピレンであることが好ましい。好ましいコモノマーとして、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンが挙げられ、エチレンが最も好ましいコモノマーである。プロピレンをベースとするポリマーについて、ポリマーの結晶度及び融解熱はコモノマー含量及びポリマー内のコモノマーの序列分布により影響される。一般に、コモノマーの増大されたレベルは立体規則的プロピレン誘導序列の結晶化により与えられる結晶度を低下するであろう。
ポリマーのコモノマー含量及び序列分布は
13C 核磁気共鳴 (NMR)を使用して当業者に公知の方法により測定し得る。異なる分子量範囲のコモノマー含量は当業者に公知の方法(Wheeler 及びWillisら著, Applied Spectroscopy, 1993, 47巻, 1128-1130 頁に記載されたようなGPC によるサンプルと連係してのフーリエ変換赤外分光分析 (FTIR) を含む)を使用して測定し得る。75質量%より多くのプロピレンを含むプロピレンエチレンコポリマーについて、このようなポリマーのコモノマー含量(エチレン含量)は以下のようにして測定し得る:薄い均一なフィルムが約150 ℃以上の温度でプレスされ、パーキン・エルマーPE 1760 赤外分光分析装置に取り付けられる。600 cm-1から4000 cm-1 までのサンプルの全スペクトルが記録され、エチレンのモノマー質量%が下記の式:エチレン質量%= 82.585 - 111.987X + 30.045X2により計算でき、式中、Xは1155 cm-1 におけるピーク高さと722 cm-1又は732 cm-1におけるピーク高さ(いずれか高い方)の比である。75質量%以下のプロピレン含量を有するプロピレンエチレンコポリマーについて、コモノマー(エチレン)含量はWheeler 及びWillisの文献に記載された操作を使用して測定し得る。GPC 測定方法並びにNMR 及びDSC 測定によるエチレン含量を測定するための方法を含む種々の試験方法が米国特許第6,525,157 号に記載されており、これが参考として本明細書にそのまま含まれる。
【0009】
好ましいポリマーは半結晶性プロピレンをベースとするポリマーである。いずれかの実施態様において、ポリマーは比較的低い分子量、好ましくは約100,000 g/モル以下を有してもよい。いずれかの実施態様において、ポリマーはエチレン及び線状又は分枝C
4 -C
20 オレフィン並びにジオレフィンからなる群から選ばれたコモノマーを含んでもよい。いずれかの実施態様において、コモノマーはエチレン又はC
4 -C
10オレフィンであってもよい。
本明細書に使用される“ポリマー”という用語はホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等並びにこれらのアロイ及びブレンドを含むが、これらに限定されない。更に、本明細書に使用される“コポリマー”という用語は任意にその他のモノマーとともに2種以上のモノマーを有するポリマーを含むことを意味し、インターポリマー、ターポリマー等を表し得る。本明細書に使用される“ポリマー”という用語はまた耐衝撃性コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーを含む。“ポリマー”という用語は特に明記されない限り、全ての可能な幾何学的形態を更に含むべきである。このような形態はアイソタクチックシンメトリー、シンジオタクチックシンメトリー及びランダムシンメトリーを含んでもよい。
本明細書に使用される“ポリプロピレン”はプロピレンのホモポリマー及びコポリマー又はこれらの混合物を含む。一種以上の付加的なモノマーと重合された一種以上のプロピレンモノマーを含む生成物はランダムコポリマー (RCP)又は耐衝撃性コポリマー (ICP)として更に普通に知られているかもしれない。耐衝撃性コポリマーはまたヘテロ相コポリマーとして当業界で知られている。本明細書に使用される“プロピレンをベースとする”はプロピレンを単独で、又は一種以上のコモノマーと組み合わせて(この場合、プロピレンが主要成分(即ち、50モル%より多いプロピレン)である)含むあらゆるポリマーを含むことが意味される。いずれかの実施態様において、ポリマーがプロピレンをベースとするエラストマーであってもよい。本明細書に使用される“エラストマー”という用語は弾性、即ち、変形後に形状を回復する能力を示し、室温でそのガラス転移温度より上であり、かつ好ましくは少なくとも80%、もしくは更に好ましくは少なくとも100 %、又は更に好ましくは少なくとも200 %の破断点伸びを示すポリマーを表す。
【0010】
いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物は一種以上のプロピレンをベースとするポリマーを含んでもよく、これらはプロピレンとC
2及びC
4-C
10α−オレフィンから選ばれた約5モル%から約30モル%までの一種以上のコモノマーとを含む。いずれかの実施態様において、α−オレフィンコモノマー単位はエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4-メチル -1-ペンテン、オクテン、又はデセンに由来し得る。以下に記載される実施態様はα−オレフィンコモノマーとしてのエチレン及びヘキセンに関して説明されるが、実施態様はその他のα−オレフィンコモノマーとのその他のコポリマーについて等しく適用可能である。これに関して、コポリマーはα−オレフィンとしてのエチレン又はヘキセンに関して単にプロピレンをベースとするポリマーと称されてもよい。
いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物は少なくとも約5モル%、少なくとも約6モル%、少なくとも約7モル%、又は少なくとも約8モル%、又は少なくとも約10モル%、又は少なくとも約12モル%のエチレン誘導単位又はヘキセン誘導単位を含んでもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、コポリマーは約30モル%まで、又は約25モル%まで、又は約22モル%まで、又は約20モル%まで、又は約19モル%まで、又は約18モル%まで、又は約17モル%までのエチレン誘導単位又はヘキセン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%はプロピレン誘導単位とα−オレフィン誘導単位の合計量を基準とする。換言すれば、ポリオレフィン組成物は少なくとも約70モル%、又は少なくとも約75モル%、又は少なくとも約80モル%、又は少なくとも約81モル%のプロピレン誘導単位、又は少なくとも約82モル%のプロピレン誘導単位、又は少なくとも約83モル%のプロピレン誘導単位を含んでもよく、またこれらの実施態様又はその他の実施態様において、コポリマーは約95モル%まで、又は約94モル%まで、又は約93モル%まで、又は約92モル%まで、又は約90モル%まで、又は約88モル%までのプロピレン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%はプロピレン誘導単位とα−オレフィン誘導単位の合計量を基準とする。いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物は約5モル%から約25モル%までのエチレン誘導単位又はヘキセン誘導単位、又は約8モル%から約20モル%までのエチレン誘導単位又はヘキセン誘導単位、又は約12モル%から約18モル%までのエチレン誘導単位又はヘキセン誘導単位を含んでもよい。
【0011】
ポリオレフィン組成物は融点(Tm)により特徴づけられてもよく、これは示差走査熱量測定 (DSC)により測定し得る。本明細書の目的のために、最高温度ピークの最大値がポリマーの融点であると考えられる。この状況における“ピーク”は正から負へのDSC 曲線(熱流対温度)の一般傾斜の変化と定義され、基準線でシフトを生じないで最大値を形成し、この場合、DSC 曲線は吸熱反応が正のピークで示されるようにプロットされる。
いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物のTm(DSC により測定されるような)は約115 ℃未満、又は約110 ℃未満、又は約100 ℃未満、又は約90℃未満であってもよい。いずれかの実施態様において、ポリオレフィン組成物のTmは約25℃よりも高く、又は約30℃よりも高く、又は約35℃よりも高く、又は約40℃よりも高くてもよい。
一つ以上の実施態様において、ポリオレフィン組成物の第一結晶化温度 (Tc1)(粘度曲線により測定されるような)は約100 ℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同実施態様又はその他の実施態様において、ポリオレフィン組成物のTc1 は約0℃よりも高く、又は約5℃よりも高く、又は約10℃よりも高く、又は約15℃よりも高く、又は約20℃よりも高い。
その他の実施態様において、ポリオレフィン組成物のTc1 下限は0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であってもよく、かつTc1 上限温度は100 ℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であってもよく、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されている。
【0012】
一つ以上の実施態様において、ポリオレフィン組成物の第二結晶化温度 (Tc2)(DSC により測定されるような)は約100 ℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同実施態様又はその他の実施態様において、ポリマーのTc2 は約0℃よりも高く、又は約5℃よりも高く、又は約10℃よりも高く、又は約15℃よりも高く、又は約20℃よりも高い。
その他の実施態様において、ポリオレフィン組成物のTc2 下限は0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であってもよく、かつTc2 上限温度は100 ℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であってもよく、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されている。
一つ以上の実施態様において、ポリオレフィン組成物は室温でASTM D-792試験方法により測定して約0.85 g/cm
3から約0.92 g/cm
3まで、又は約0.86 g/cm
3から約0.90 g/cm
3まで、又は約0.86 g/cm
3から約0.89 g/cm
3までの密度を有してもよい。
一つ以上の実施態様において、半結晶性ポリマーは約5,000 g/モルから約500,000 g/モルまで、又は約7,500 g/モルから約300,000 g/モルまで、又は約10,000 g/モルから約200,000 g/モルまで、又は約25,000 g/モルから約175,000 g/モルまでの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
分子量を測定するための技術は米国特許第4,540,753 号(Cozewith, Ju,及びVerstrate)及びMacromolecules, 1988, 21巻, 3360頁 (Verstrate ら) に見られるかもしれない。例えば、分子量は示差屈折率検出器を備え、ポリスチレン標準物質を使用して較正されたウォーターズ150 ゲル透過クロマトグラフを使用することによるサイズ排除クロマトグラフィー (SEC)により測定されてもよい。
【0013】
一つ以上の実施態様において、ポリオレフィン組成物は190 ℃で測定し、ASTM D-3236 に従って測定して約100 cPから約1,000,000,000 cPまで、又は約1,000 cPから約100,000,000 cP まで、又は約2,000 cPから約10,000,000 cP まで、又は約2,500 cPから約7,500,000 cP まで、又は約3,000 cPから約5,000,000 cPまで、又は約3,500 cPから約3,000,000 cPまで、又は約4,000 cPから約1,000,000 cPまで、又は約4,500 cPから約750,000 cPまで、又は約5,000 cPから約500,000 cPまで、又は約5,500 cPから約450,000 cPまで、又は約6,000 cPから約400,000 cPまでの粘度(またブルックフィールド粘度又は溶融粘度と称される)を有してもよい。
一つ以上の実施態様において、ポリオレフィン組成物は190 ℃におけるその粘度により特徴づけられてもよい。一つ以上の実施態様において、半結晶性ポリマーは少なくとも約100 cP (センチポイズ) 、又は少なくとも約500 cP、又は少なくとも約1,000 cP、又は少なくとも約1,500 cP、又は少なくとも約2,000 cP、又は少なくとも約3,000 cP、又は少なくとも約4,000 cP、又は少なくとも約5,000 cPである粘度を有してもよい。これらの実施態様又はその他の実施態様において、ポリオレフィン組成物は約100,000 cP未満、又は約75,000 cP 未満、又は約50,000 cP 未満、又は約25,000 cP 未満、又は約20,000 cP 未満、又は約15,000 cP 未満、又は約10,000 cP 未満、又は約5,000 cP未満の190 ℃における粘度により特徴づけられてもよく、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されている。
【0014】
いずれかの実施態様において、本明細書に記載された一種以上のポリマーが別のポリマー、例えば、本明細書に記載された別のポリマーとブレンドされて、ポリマーの物理的ブレンド、好ましくはマルチモーダルポリマーブレンドを生成してもよい。本明細書に使用される“ブレンド”という用語は2種以上のポリマーの混合物を表す。本明細書に使用される“マルチモーダル”という用語は夫々の種が分子量、溶融粘度、コモノマー含量、融解熱、及び結晶度からなる群から選ばれた少なくとも一つの化学的又は物理的性質に基づいてブレンド中に存在する別の種から区別し得る2種以上の異なるポリマー種のブレンドを表す。
いずれかの実施態様において、ブレンドの第一ポリマー及び第二ポリマーは約20 J/g以上、又は更に好ましくは約30 J/g以上の融解熱の差を有してもよい。いずれかの実施態様において、第一ポリマーが約50 J/g以上の融解熱を有してもよく、また第二ポリマー約30 J/g以下の融解熱を有してもよい。例えば、第一ポリマーが約65 J/g〜約85 J/gの融解熱を有してもよく、また第二ポリマーが約10 J/g〜約20 J/gの融解熱を有してもよい。第一ポリマー及び第二ポリマーが夫々、独立に、プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、ブレンドの夫々のポリマーが50モル%より大きいプロピレン含量を有してもよい。
特に有利な接着剤特性が一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーと組み合わせて格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーを使用するマルチモーダルポリマーブレンドを使用することにより得られる。いずれかの実施態様において、格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであってもよく、かつ約15 J/g以下の融解熱を有する。いずれかの実施態様において、格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが50モル%より大きいプロピレン含量を有してもよい。
【0015】
いずれかの実施態様において、格別低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーとブレンドされる一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであってもよく、かつ約50 J/g以上、又は55 J/g以上、又は60 J/g以上、又は65 J/g以上、又は75 J/g以上の融解熱を有する。例示の実施態様において、一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが約65 J/g〜約85 J/gの融解熱を有する。いずれかの実施態様において、一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、もしくはオクテンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。いずれかの実施態様において、一層高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが50モル%より大きいプロピレン含量を有してもよい。
加えて、特に有利な接着剤特性が一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーと組み合わせて格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーを使用することにより得られる。いずれかの実施態様において、格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであってもよく、かつ約80 J/g以上の融解熱を有する。いずれかの実施態様において、格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、もしくはオクテンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。いずれかの実施態様において、格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが50モル%より大きいプロピレン含量を有してもよい。
いずれかの実施態様において、格別高い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーとブレンドされる一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであってもよく、かつ約50 J/g以下、又は更に好ましくは約25 J/g以下の融解熱を有する。例示の実施態様において、一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが約10 J/g〜約20 J/gの融解熱を有する。いずれかの実施態様において、一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、もしくはオクテンのコポリマーであってもよい。いずれかの実施態様において、一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーがプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。いずれかの実施態様において、一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが50モル%より大きいプロピレン含量を有してもよい。いずれかの実施態様において、一層低い結晶性のプロピレンをベースとするポリマーが45 J/g以下、40 J/g以下、35 J/g以下、又は30 J/g以下の融解熱を有する。
ブレンドのポリマーの相対的質量%はホットメルト接着剤配合物の適用に応じて変化してもよい。いずれかの実施態様において、一層高い結晶性のポリマーがポリマーブレンドの約10%〜約90%、又はポリマーブレンドの約20%〜約80%、又はポリマーブレンドの約30%〜約70%、又はポリマーブレンドの約40%〜約60%であってもよい。
【0016】
成核剤
本明細書に使用される“成核剤”という用語は接着剤組成物に添加された場合にポリオレフィン組成物が溶融状態から固化又は結晶化し始める温度を上昇する成分を表す。理論により束縛されないが、ポリオレフィン組成物と相溶性であるこのような成分は成核部位に隣接するポリオレフィンポリマー分子の配置及び結晶化を促進する成核部位を形成すると考えられる。いずれかの実施態様において、成核剤が成核効果を促進するのに適したサイズを有する固体粒子であってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤がポリオレフィンと相溶性であり、かつポリオレフィンより高い温度で結晶化して接着剤組成物が溶融状態から冷却する時に成核効果を促進するポリマーであってもよい。
【0017】
いずれかの実施態様において、成核剤が安息香酸ナトリウム、タルク、グリセロールアルコキシド塩、環状カルボン酸塩、二環式カルボン酸塩、グリセロレート、及びヘキサヒドロフタル酸塩からなる群から選ばれてもよい。成核剤として、HYPERFORM
TM 添加剤、例えば、HPN-68、HPN-68L 、HPN-20、HPN-20E 、MILLAD
TM添加剤(例えば、MILLAD
TM 3988) (ミリケン・ケミカルズ、スパルタンブルグ、SC) 及び有機ホスフェート、例えば、NA-11 及びNA-21 (アムファイン・ケミカルズ、アレンデール、NJ) が挙げられる。いずれかの実施態様において、成核剤が少なくとも一種の二環式カルボン酸塩を含んでもよい。いずれかの実施態様において、成核剤がビシクロヘプタンジカルボン酸、二ナトリウム塩、例えば、ビシクロ [2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートである。いずれかの実施態様において、成核剤がビシクロ [2.2.1]ヘプタンジカルボキシレート、二ナトリウム塩、13-ドコセナミド、及び無定形二酸化ケイ素を含む成分のブレンドであってもよい。いずれかの実施態様において、成核剤がシクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩又はシクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩とステアリン酸亜鉛のブレンドであってもよい。
いずれかの実施態様において、成核剤が式 (I)の金属塩であってもよい。
【0019】
式中、R
1〜R
10 は互いに独立に水素原子、1〜9個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1〜9個の炭素原子を有するアルコキシ基、アミノ基、1〜9個の炭素原子を有するアルキルアミン基、ハロゲン原子、フェニル基、又は式R--(R'--O)n--(式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R'は2又は3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、かつnは1〜4の整数である)により表される基であり、R
1〜R
10 のいずれか2個のアルキル基は互いに結合されてもよく、それにより3〜6個の炭素原子を有する炭素環を形成してもよく、かつR
1及びR
2は互いとトランス又はシス配置を有する。金属塩を表す式 (I)中のR
1〜R
10 の例はメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。式 (I)中に含まれる、式R--(R'--O) n-により現される基の例は下記のとおりである: CH3--(CH2CH2--O)--、 CH3(CH2CH2--O) 2--、CH3(CH2CH2--O) 3--、CH3(CH2CH2--O).sub.4-- 、C2H5--(CH2CH2--O)-- 、C2H5(CH2CH2--O) 2--、C2H5(CH2CH2--O)3--、C3H7--(CH2CH2--)-- 、C3H7(CH2CH2--O) 2-- 、C3H7(CH2CH2--O) 3--、CH3--(CH(CH3)CH2--O)--、 CH3(CH(CH3)CH2--O) 2--、C2H5--(CH(CH3)CH2--O)--、及びC2H5(CH(CH3)CH2--O) 2--。
R
1〜R
10 が互いに独立に水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基であることが好ましい。更に好ましい金属塩は下記の式により表されるカルシウム1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートである。
【0021】
式 (I)により表される金属塩の更なる例は下記のとおりである。
【化3】
【0026】
本発明の接着剤組成物中の金属塩の分散性を改良するために、金属塩が分散剤と合わされてもよい。分散剤の例は脂肪族酸、例えば、10〜24個の炭素原子を有する脂肪族酸、このような脂肪族酸のアルキルエステル、このような脂肪族酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、10〜30個の炭素原子を有するアルコール、ポリアルコール、及びこのようなポリアルコールのエステルである。それらの中で、脂肪族酸の金属塩が好ましい。
アルカリ金属の例はナトリウム、カリウム及びリチウムであり、またアルカリ土類金属の例はカルシウム、マグネシウム及び亜鉛である。ポリアルコールの例はグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びソルビトールである。
金属塩が粒状形態であることが好ましく、これはレーザー回折型粒子サイズ分布測定装置、例えば、HELOS
TM 測定装置(シンパテックGmbH)で測定して、通常0.01〜10μm、好ましくは0.01〜5μm、更に好ましくは0.01〜3μmの平均粒子直径を有する。
いずれかの実施態様において、カルシウム1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートが、市販の金属塩、例えば、HYPERFORM
TM HPN-20E (ミリケン社のトレードマーク)であってもよく、これは66質量%のカルシウム1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートを主成分として含む。
【0027】
B.
特別な実施態様
本発明はまた下記の特別な実施態様に関して理解し得る。
パラグラフ A:
プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレン又はC
4-C
10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、
接着剤組成物の硬化時間を、成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して少なくとも10%減少するのに有効な成核剤を含む接着剤組成物であって、
前記接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
パラグラフ B: 成核剤が金属塩である、パラグラフAの接着剤組成物。
パラグラフ C: 成核剤がポリオレフィン組成物の結晶化温度より高い結晶化温度を有する有機化合物である、パラグラフAの接着剤組成物。
パラグラフ D: 成核剤は成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を上昇するのに有効である、パラグラフ A-Cのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ E: 成核剤が、成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を少なくとも10℃だけ上昇するのに有効である、パラグラフ A-Dのいずれかの接着剤組成物。
【0028】
パラグラフ F: 成核剤が安息香酸ナトリウム、タルク、グリセロールアルコキシド塩、環状カルボン酸塩、二環式カルボン酸塩、グリセロレート、及びヘキサヒドロフタル酸塩からなる群から選ばれてもよい、パラグラフ A-Eのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ G: 成核剤がビシクロ [2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートの塩を含む、パラグラフFの接着剤組成物。
パラグラフ H: 接着剤組成物が約25質量%以下のワックスを含む、パラグラフ A-Gのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ I: 接着剤組成物が約5質量%以下のワックスを含む、パラグラフ A-Hのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ J: 接着剤組成物がワックスを実質的に含まない、パラグラフ A-Gのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ K: ポリオレフィン組成物がプロピレンとエチレンのコポリマーを含む、パラグラフ A-Jのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ L: ポリオレフィン組成物がブレンドされたマルチモーダルポリマーを含む、パラグラフ A-Kのいずれかの接着剤組成物。
パラグラフ M: ブレンドされたマルチモーダルポリマーが第一ポリマー及び第二ポリマーを含み、前記第一ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC
4 -C
10 オレフィンのコポリマーであり、前記第二ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC
4-C
10 オレフィンのコポリマーである、パラグラフLの接着剤組成物。
【0029】
パラグラフ N: 第一ポリマー及び第二ポリマーが約20 J/g以上の融解熱の差を有する、パラグラフMの接着剤組成物。
パラグラフ O: 第一ポリマーと第二ポリマーの融解熱の差が約30 J/g以上である、パラグラフNの接着剤組成物。
パラグラフ P: 第一ポリマーが約50 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約30 J/g以下の融解熱を有する、パラグラフNの接着剤組成物。
パラグラフ Q: 第一ポリマーが約65 J/g〜約85 J/gの融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約10 J/g〜約30 J/gの融解熱を有する、パラグラフPの接着剤組成物。
パラグラフ R: 第一ポリマーが約80 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約50 J/g以下の融解熱を有する、パラグラフQの接着剤組成物。
パラグラフ S: 第一ポリマーが約50 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約15 J/g以下の融解熱を有する、パラグラフOの接着剤組成物。
パラグラフ T:
プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4-C
10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、
成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して接着剤組成物についての硬化時間を減少するのに有効な成核剤を含む接着剤組成物であって、
その成核剤が無機固体粒子又はそのポリオレフィン組成物の結晶化温度よりも高い結晶化温度を有する有機成分であり、その接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
パラグラフ U:
プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC
4-C
10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、
成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して接着剤組成物の硬化時間を減少するのに有効な成核剤を含む接着剤組成物であって、
その成核剤が有機金属塩であり、かつ
その接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
パラグラフ V: 成核剤が200 〜5000 ppmの量で存在する、パラグラフ A-Uのいずれかの接着剤組成物。
【実施例1】
【0030】
6種の接着剤組成物 (A-F)を、成分をガラスビーカー中で180 ℃に予熱することによりつくり、スパチュラを使用する簡単な手動撹拌によりブレンドした。夫々の接着剤の組成を表1に記載する。特に明記されない限り、数値を質量%で表す。組成物の夫々を分析してその開放時間、硬化時間、室温及び冷凍下における繊維引裂き、並びに粘度を測定した。この分析の結果をまた表1に報告する。
この実施例に使用された下記の用語は下記の意味を有する。
“PBE1”は190 ℃で1122 mPasの粘度及び45 J/gの融解熱を有するプロピレンをベースとするエラストマーである。
“PBE2”は190 ℃で865 mPas の粘度及び41 J/gの融解熱を有するプロピレンをベースとするエラストマーである。
“リンキサー
TM 127”はエクソンモービル・ケミカル社から入手し得るポリオレフィン接着剤ベースポリマー樹脂である。
“エスコレン
TM UL 40028 ”はエクソンモービル・ケミカル社から入手し得るエチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂である。
“エスコレン
TM UL 02528 ”はエクソンモービル・ケミカル社から入手し得るエチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂である。
【0031】
“サソールワックス
TM C80”はサソール・リミテッドの部門のサソール・ワックス(南アフリカ)から入手し得る80℃の融点を有するフィッシャー−トロプッシュワックスである。
“サソールワックス
TM H1 ”はサソール・リミテッドの部門のサソール・ワックス(南アフリカ)から入手し得る98℃の融点を有するフィッシャー−トロプッシュワックスである。
“ミリケン
TM HPN 20e”はミリケン・アンド・カンパニーの部門のミリケン・ケミカルから入手し得る1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートの金属塩である。
“エスコレッツ
TM 2206LC ”はエクソンモービル・ケミカル社から入手し得る92℃の軟化点を示す芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂である。
“MAPP 40 ”はテキサス州パサデナにあるSSI チュセイから入手し得る300-350°F(149-177 ℃)の軟化点、150 ℃で200-400 cPs の粘度、及び40-50 の酸価を有するマレイン化ポリプロピレンである。
“A-C
TM 596 ”はハネイウェル・スペシャルティイ・アドヒーシブズから入手し得るプロピレン無水マレイン酸コポリマーである。
“イルガノックス
TM 1010 ”はドイツ、ルドウィグシャーフェンにあるBASF SE コーポレーションから入手し得るヒンダードフェノール酸化防止剤である。
“繊維引裂き”は支持体への接着剤の結合強さを記載し、室温(RT)及び-18 ℃で測定された。繊維引裂きは支持体が引裂かれた後に結合に付着されている紙支持体繊維の量についての目視測定である。100 %繊維引裂きは接着剤が支持体よりも強く、接着剤の100 %が支持体繊維に覆われていることを意味する。0%繊維引裂きは接着剤が全く結合せず、支持体から単に立ち去ることを意味する。繊維引裂きを、溶融された接着剤 (180 ℃) が点眼器で支持体の一つに滴下された後に支持体を接着剤で一緒に結合することにより測定した。第二の支持体を接着剤の上に置き、500gの重りを更なる適用のために第二の支持体の上に置いた。接着剤を少なくとも1時間にわたって基準温度で冷却した。次いで支持体を引裂いて、接着剤を繊維引裂きについて検査した。
【0032】
“硬化時間”は結合を破断するのに10kgより大きい力を必要とする結合凝集を構築するための最小保持時間と定義される。硬化時間を、溶融された接着剤 (180 ℃) が点眼器で支持体の一つに滴下された後に支持体を接着剤で一緒に結合することにより測定した。第二の支持体を接着剤の上に置き、500gの重りを更なる適用のために第二の支持体の上に置いた。時間の前もって決められた間隔後に、第二の支持体を除去し、繊維引裂きについてチェックする。繊維引裂きが見られなかった場合、時間の一層長い間隔を試みた。これは繊維引裂きが見られるまで続いた。時間のこの長さを硬化時間として報告した。
“開放時間”は10kgの力よりも強い結合を構築することが可能に留まる後の最大開放時間と定義される。開放時間を、溶融された接着剤 (180 ℃) が点眼器で支持体の一つに滴下された後に支持体を接着剤で一緒に結合することにより測定した。第二の支持体を接着剤の上に置き、500gの重りを更なる適用のために第二の支持体の上に置いた。結合された標本を調べて、一表面への接着剤の適当と第二の表面とのかみ合わせの間の、少なくとも50%の繊維引裂きを可能にする最長の時間期間を測定した。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に見られるように、成核剤を含んだ組成物 (組成物E及びF) は、所望の性能標線の硬化時間性能に等しい硬化時間性能を示した。注目に値するに、このような性能がフィッシャー−トロプッシュワックスを使用せず、また一層高いポリマー配合量を使用しないで得られた。開放時間及び繊維引裂き性能がまた組成物E及びFについて格別であった。
接着剤ブレンドの夫々についての適用時間の関数としての剥離力を
図1に示す。
図1に見られるように、成核剤を含む接着剤組成物は適用の約0.7 秒後に強度を迅速に構築する。この現象は接着剤が冷却するにつれて金属塩の有機成分の結晶化により影響され、接着剤組成物が冷却するにつれてこれが順に成核剤に隣接する部位で始まる接着剤組成物のベースポリマーの結晶化及び固化を促進する。従って、成核剤の存在がポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を、成核剤が不在である接着剤組成物に対して、例えば、少なくとも2℃、3℃、5℃、又は7℃だけ上昇し得る。
図2及び
図3に示されるように、組成物F中の成核剤の存在がその組成物の開始結晶化温度を(組成物Dに対して)90.26 ℃から97.62 ℃に上昇した。いずれかの実施態様において、成核剤はポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を成核剤が不在である接着剤組成物に対して、例えば、少なくとも2℃、3℃、5℃、又は7℃だけ上昇するのに有効な量で用意されてもよい。
或る実施態様及び特徴が数的上限の組及び数的下限の組を使用して記載された。特に示されない限り、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されることが認められるべきである。或る下限、上限、及び範囲が下記の一つ以上の請求項に見られる。全ての数値は“約”又は“およその”示された値であり、実験誤差及び当業者により予想されるような変動を考慮する。
【0035】
請求項に使用される用語が先に定義されない範囲につき、それは当業者が少なくとも一つの印刷された刊行物又は発行された特許に反映されるようにその用語に与えた最も広い定義が与えられるべきである。更に、この出願で引用された全ての特許、試験操作、及びその他の書類はこのような開示がこの出願と不一致ではない程度まで、かつこのような組み込みが許される全ての司法権について参考として完全に組み込まれる。
以上は本発明の実施態様に関するが、本発明のその他の実施態様及び更なる実施態様が本発明の基本的範囲から逸脱しないで推考されてもよく、また本発明の範囲は下記の特許請求の範囲により決められる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC4-C10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、接着剤組成物の硬化時間を、成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して少なくとも10%減少するのに有効な成核剤を含む接着剤組成物であって、
前記接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
〔2〕成核剤が金属塩である、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔3〕成核剤がポリオレフィン組成物の結晶化温度より高い結晶化温度を有する有機化合物である、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔4〕成核剤が、成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を上昇するのに有効である、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔5〕成核剤は成核剤が不在である接着剤組成物に対してポリオレフィン組成物の開始結晶化温度を少なくとも2℃だけ上昇するのに有効である、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔6〕成核剤が安息香酸ナトリウム、タルク、グリセロールアルコキシド塩、環状カルボン酸塩、二環式カルボン酸塩、グリセロレート、及びヘキサヒドロフタル酸塩からなる群から選ばれてもよい、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔7〕成核剤がビシクロ [2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートの塩を含む、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔8〕接着剤組成物が約25質量%以下のワックスを含む、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔9〕接着剤組成物が約5質量%以下のワックスを含む、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔10〕接着剤組成物がワックスを実質的に含まない、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔11〕ポリオレフィン組成物がプロピレンとエチレンのコポリマーを含む、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔12〕ポリオレフィン組成物がブレンドされたマルチモーダルポリマーを含む、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔13〕ブレンドされたマルチモーダルポリマーが第一ポリマー及び第二ポリマーを含み、前記第一ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC4 -C10 オレフィンのコポリマーであり、前記第二ポリマーが、プロピレンとエチレン又はC4-C10 オレフィンのコポリマーである、前記〔12〕記載の接着剤組成物。
〔14〕第一ポリマー及び第二ポリマーが約20 J/g以上の融解熱の差を有する、前記〔13〕記載の接着剤組成物。
〔15〕第一ポリマーと第二ポリマーの融解熱の差が約30 J/g以上である、前記〔13〕記載の接着剤組成物。
〔16〕第一ポリマーが約50 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約30 J/g以下の融解熱を有する、前記〔14〕記載の接着剤組成物。
〔17〕第一ポリマーが約65 J/g〜約85 J/gの融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約10 J/g〜約30 J/gの融解熱を有する、前記〔14〕記載の接着剤組成物。
〔18〕第一ポリマーが約80 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約50 J/g以下の融解熱を有する、前記〔14〕記載の接着剤組成物。
〔19〕第一ポリマーが約50 J/g以上の融解熱を有し、かつ第二ポリマーが約15 J/g以下の融解熱を有する、前記〔14〕記載の接着剤組成物。
〔20〕成核剤が200 〜5000 ppmの量で存在する、前記〔1〕記載の接着剤組成物。
〔21〕プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC4-C10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、
無機固体粒子又はそのポリオレフィン組成物の結晶化温度よりも高い結晶化温度を有する有機成分を含む成核剤
を含む接着剤組成物であって、
その接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
〔22〕成核剤が200 〜5000 ppmの量で存在する、前記〔21〕記載の接着剤組成物。
〔23〕プロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンもしくはC4-C10アルファ−オレフィンのコポリマーを含むポリオレフィン組成物、
成核剤が不在である以外は同じ接着剤組成物と比較して接着剤組成物の硬化時間を減少するのに有効な成核剤を含む接着剤組成物であって、
その成核剤が有機金属塩であり、かつ
その接着剤組成物がクラフト紙の上で1ニュートン以上の点T-剥離を有する、前記接着剤組成物。
〔24〕成核剤が200 〜5000 ppmの量で存在する、前記〔23〕記載の接着剤組成物。