特許第6028341号(P6028341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6028341路面状態測定装置および路面状態測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028341
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】路面状態測定装置および路面状態測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/04 20060101AFI20161107BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G01C7/04
   G01B7/00 102M
   G01B7/00 101M
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-50314(P2012-50314)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-185900(P2013-185900A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雅也
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−323840(JP,A)
【文献】 実開昭54−032147(JP,U)
【文献】 実開昭56−072210(JP,U)
【文献】 特開2000−144626(JP,A)
【文献】 実開平07−042485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
15/00−15/08
17/00−17/08
21/00−21/32
G01C 7/00−7/06
G01M 17/02
E01H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水機構および試験用タイヤ装着部を備え、ウェット路面における試験対象タイヤの制動性能を試験するための試験用の車両に搭載され、当該車両が移動する道路の路面状態を測定する路面状態測定装置であって、
前記道路内部に連続的に設けられた基準位置測定用部材の位置を測定する基準位置測定手段と、
前記道路の路面位置を測定する路面位置測定手段と、
前記基準位置測定手段によって測定された前記基準位置測定用部材の位置と、前記路面位置測定手段によって測定された前記路面位置と、に基づいて、前記路面の形状を特定する特定手段と、を備え、
前記路面位置測定手段および前記基準位置測定手段は、前記散水機構に対して前記車両の移動方向後方側に設けられており、
前記路面位置測定手段は、前記路面上に水がある場合、当該水の表面位置を測定し、
前記特定手段は、前記路面の形状を特定するとともに、前記基準位置測定用部材の位置を用いて前記の表面位置をオフセットし、前記路面の位置との差分を算出することによって前記水の厚みを特定する、
ことを特徴とする路面状態測定装置。
【請求項2】
前記路面位置測定手段および前記基準位置測定手段は、前記散水機構に対して前記車両の移動方向後方側に設けられるとともに、前記散水機構に対して前記車両の移動方向前方側にも設けられることを特徴とする請求項1に記載の路面状態測定装置。
【請求項3】
前記基準位置測定用部材は、前記車両の移動方向に沿って変化する所定のパターン形状を有しており、
前記基準位置測定手段は、前記パターン形状の変化に沿って変化する前記基準位置測定用部材の位置を測定し、
前記特定手段は、前記道路上の各地点における前記基準位置測定用部材の位置に基づいて、前記車両の前記道路上の位置を特定することを特徴とする請求項1または2記載の路面状態測定装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記基準位置測定用部材の位置を用いて前記路面位置をオフセットすることによって前記路面の形状を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の路面状態測定装置。
【請求項5】
前記基準位置測定手段は、磁気センサであり、
前記基準位置測定用部材は、前記磁気センサに反応する金属または磁性体によって形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の路面状態測定装置。
【請求項6】
散水機構および試験用タイヤ装着部を備え、ウェット路面における試験対象タイヤの制動性能を試験するための試験用の車両において、当該車両が移動する道路の路面状態を測定する路面状態測定方法であって、
前記道路内部に連続的に設けられた基準位置測定用部材の位置を測定する基準位置測定工程と、
前記道路の路面位置を測定する路面位置測定工程と、
前記基準位置測定工程で測定された前記基準位置測定用部材の位置と、前記路面位置測定工程で測定された前記路面位置と、に基づいて、前記路面の形状を特定する特定工程と、を含み、
前記路面位置測定工程および前記基準位置測定工程では、前記散水機構に対して前記車両の移動方向後方側における前記路面位置および前記基準位置測定用部材の位置を測定し、
前記路面位置測定工程では、前記路面上に水がある場合、当該水の表面位置を測定し、
前記特定工程では、前記路面の形状を特定するとともに、前記基準位置測定用部材の位置を用いて前記の表面位置をオフセットし、前記路面の位置との差分を算出することによって前記水の厚みを特定する、
ことを特徴とする路面状態測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において、当該車両が移動する道路の路面状態を測定する路面状態測定装置および路面状態測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試験対象タイヤのウェット路面における制動性能を評価するため、特殊なトラック(またはトレーラーなど)に散水機構および試験対象タイヤ装着部を設け、自己散水をおこないながら制動性能の評価試験をおこなう方法が知られている。ウェット路面における評価試験では、路面上の水深が制動特性の評価に大きく寄与する。このため、ウェット路面における評価試験には、路面上の水深を正確に計測することが望まれる。しかしながら、従来技術では、路上の水深を直接測定することができず、試験用車両の走行速度および散水機構からの単位時間当たりの散水量を用いて算出された特定値を用いて評価をおこなっている。
【0003】
また、下記特許文献1には、同軸ケーブルを道路舗装最上層よりも下に埋設させて道路表面に露出していない状態にし、発振装置からの所定周波数の電波を同軸ケーブルおよび誘電体板を介して道路下部から表面に発振させ、かつ表面からの反射波を取り込み、取り込んだ反射波のうち、所定時間帯の反射波の反射強度のみを高周波電力計で測定し、データ処理装置が反射係数を求めて、その反射係数に基づいて路面の乾燥・湿潤状態および水膜厚を測定する路面状態測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−111308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1にかかる従来技術では、特定の地点における水深(水膜圧)を測定することはできるものの、連続的な路面における水深を測定することはできないという問題点がある。タイヤの評価試験をおこなう場合、テストコース上において連続的に制動性能を計測するため、水深についても試験車両の走行軌跡に沿って連続的に測定する必要がある。このため、上述した従来技術では必要なデータ(連続的な水深データ)を得ることができない。
【0006】
また、タイヤの評価試験時には、路面の形状も制動特性の評価に寄与するため、試験車両の走行軌跡における路面の形状についても正確に把握することが望まれる。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、路面の形状や路面上の水深などの路面状態を連続的に測定することができる路面状態測定装置および路面状態測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる路面状態測定装置は、散水機構および試験用タイヤ装着部を備え、ウェット路面における試験対象タイヤの制動性能を試験するための試験用の車両に搭載され、当該車両が移動する道路の路面状態を測定する路面状態測定装置であって、前記道路内部に連続的に設けられた基準位置測定用部材の位置を測定する基準位置測定手段と、前記道路の路面位置を測定する路面位置測定手段と、前記基準位置測定手段によって測定された前記基準位置測定用部材の位置と、前記路面位置測定手段によって測定された前記路面位置と、に基づいて、前記路面の形状を特定する特定手段と、を備え、前記路面位置測定手段および前記基準位置測定手段は、前記散水機構に対して前記車両の移動方向後方側に設けられており、前記路面位置測定手段は、前記路面上に水がある場合、当該水の表面位置を測定し、前記特定手段は、前記路面の形状を特定するとともに、前記基準位置測定用部材の位置を用いて前記の表面位置をオフセットし、前記路面の位置との差分を算出することによって前記水の厚みを特定する、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる路面形状測定方法は、散水機構および試験用タイヤ装着部を備え、ウェット路面における試験対象タイヤの制動性能を試験するための試験用の車両において、当該車両が移動する道路の路面状態を測定する路面状態測定方法であって、前記道路内部に連続的に設けられた基準位置測定用部材の位置を測定する基準位置測定工程と、前記道路の路面位置を測定する路面位置測定工程と、前記基準位置測定工程で測定された前記基準位置測定用部材の位置と、前記路面位置測定工程で測定された前記路面位置と、に基づいて、前記路面の形状を特定する特定工程と、を含み、前記路面位置測定工程および前記基準位置測定工程では、前記散水機構に対して前記車両の移動方向後方側における前記路面位置および前記基準位置測定用部材の位置を測定し、前記路面位置測定工程では、前記路面上に水がある場合、当該水の表面位置を測定し、前記特定工程では、前記路面の形状を特定するとともに、前記基準位置測定用部材の位置を用いて前記の表面位置をオフセットし、前記路面の位置との差分を算出することによって前記水の厚みを特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、路面の形状や路面上の水深などの路面状態を連続的かつ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる路面状態測定装置100の概要を示す説明図である。
図2】基準位置測定用部材140のパターン形状の一例を示す説明図である。
図3】路面状態測定装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図4】特定部103による路面状態の特定方法の概要を示す説明図である。
図5】記録部104によって記録されるデータの一例を示す表である。
図6】路面状態測定装置100による路面状態測定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる路面状態測定装置および路面状態測定方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる路面状態測定装置100の概要を示す説明図である。実施の形態にかかる路面状態測定装置100は、車両110に搭載され、当該車両110が移動する道路の路面状態を測定する。車両110は、散水機構120および試験用タイヤ装着部130を備え、ウェット路面における試験対象タイヤの制動性能を試験するための試験用車両である。
【0013】
散水機構120は、図示しない散水用水タンク、散水配管、散水量調整部などを有し、散水ノズル121から水を散布することによって、車両110が走行する道路の路面F(より詳細には、試験用タイヤ装着部130に装着された試験対象タイヤにおける接地面)をウェット状態にする。図1では、散水機構120によって路面F上に水W(水深H)が散水されている。
【0014】
試験用タイヤ装着部130は、図示しない試験対象タイヤが装着される。試験用タイヤ装着部130に試験対象タイヤを装着して車両110が走行することにより、試験対象タイヤの制動性能を評価するための各種パラメータを計測することができる。
【0015】
また、車両110には、路面状態測定装置100の一構成である基準位置測定センサ101(101a,101b)および路面位置測定センサ102(102a,102b)が設けられている。基準位置測定センサ101および路面位置測定センサ102の詳細については、図2を参照して説明する。
【0016】
車両110が走行する道路内部には、基準位置測定用部材140が設けられている。基準位置測定用部材140は、たとえば磁気センサー(基準位置測定センサ101)に反応する金属または磁性体によって形成されており、少なくとも車両110による試験走行範囲に連続的に設けられている。基準位置測定用部材140は路面上には露出しておらず、基準位置測定用部材140の表面には路面を形成するアスファルト150が積層され、路面Fを形成する。
【0017】
図2は、基準位置測定用部材140のパターン形状の一例を示す説明図である。基準位置測定用部材140は、車両110の移動方向に沿って変化する所定のパターン形状を有している。図2(a)は、基準位置測定用部材140を等間隔の矩形の連続形状とした場合、図2(b)は、基準位置測定用部材140を車両110の移動方向に対して所定の角度αをもたせた形状とした場合、図2(c)は、基準位置測定用部材140を等間隔の鋸刃形状とした場合、をそれぞれ示している。このようなパターン形状をもたせることによって、車両110の道路上における位置を把握することができる。本実施の形態では、基準位置測定用部材140が図2(a)に示すような矩形の連続形状であるものとして説明する。
【0018】
図3は、路面状態測定装置100の機能的構成を示すブロック図である。路面状態測定装置100は、基準位置測定センサ(基準位置測定手段)101、路面位置測定センサ(路面位置測定手段)102、特定部(特定手段)103、記録部104によって構成される。
【0019】
基準位置測定センサ101は、基準位置測定用部材140の位置を測定する。基準位置測定センサ101は、アスファルトで被覆された基準位置測定用部材140を検知可能なセンサであり、たとえば磁気センサを用いることができる。基準位置測定センサ101として磁力センサを用いる場合、道路内にある基準位置測定用部材140からの磁力量を測定することによって基準位置測定用部材140の位置を測定する。
【0020】
本実施の形態において、基準位置測定用部材140の位置とは、基準位置測定センサ101(より詳細には、基準位置測定センサ101における基準位置)と基準位置測定用部材140の表面(より詳細には、基準位置測定用部材140の車両110側表面)との距離として表わすものとする。上述したように、基準位置測定用部材140は車両110が走行する道路の内部に設けられている。このため、基準位置測定用部材140の位置は、基準位置測定センサ101における基準位置からの重力方向の距離として表わされる。
【0021】
路面位置測定センサ102は、車両110が走行する道路の路面位置を測定する。路面位置測定センサ102は、たとえば非接触式のレーザ変位センサなど、物質の表面位置を検知可能なセンサである。本実施の形態において、路面位置とは、路面位置測定センサ102(より詳細には、路面位置測定センサ102における基準位置)と路面との距離として示すものとする。路面(道路の表面)は、車両110にかかる重力方向にあるため、路面の位置は、路面位置測定センサ102における基準位置からの重力方向の距離として表わされる。
【0022】
また、路面位置測定センサ102は、路面上に物質がある場合、その物質の表面位置を測定する。すなわち、路面位置測定センサ102は、路面上における(物質を含めた)最表面位置を測定する。物質とは、たとえば水である。路面位置とともに、路面上にある物質の表面位置を測定することによって、その差分から物質の厚み(たとえば水の厚み:水深)を特定することができる。本実施の形態では、路面上にある物質を水であるものとして説明する。
【0023】
なお、図1では、基準位置測定センサ101と路面位置測定センサ102とが散水機構120の前後に設けられているが、少なくとも散水機構120に対して車両の移動方向後方側(すなわち、基準位置測定センサ101aと路面位置測定センサ102a)に設けられていればよい。
図1のように、基準位置測定センサ101と路面位置測定センサ102とが散水機構120の前後に設ければ、1回の走行でドライ路面、ウェット路面両方の状態を測定することができる。すなわち、散水機構120の前方にあるセンサ(基準位置測定センサ101bと路面位置測定センサ102b)によってドライ路面の状態を、散水機構120の後方にあるセンサ(基準位置測定センサ101aと路面位置測定センサ102a)でウェット路面の状態を測定することによって、1回の走行で路面状態を測定することができる。
一方、基準位置測定センサ101と路面位置測定センサ102とが散水機構120の後方にのみ設けられている場合は、2回の走行をおこなってドライ路面およびウェット路面の状態を測定すればよい。すなわち、1回目の走行では散水をおこなわずにドライ路面の状態を測定し、2回目の走行で散水をおこなってウェット路面の状態を測定すればよい。
【0024】
また、図1では、基準位置測定センサ101と路面位置測定センサ102とが、車両110の進行方向に対して平行方向に並べて図示されているが、実際にはこの2つのセンサは、たとえば車両110の進行方向に対して垂直方向に隣接して設けられ、同時刻に略同一範囲に対するセンシングをおこなえるようにする。
【0025】
特定部103は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク装置等から構成される演算処理部によって実現され、基準位置測定センサ101によって測定された基準位置測定用部材140の位置と、路面位置測定センサ102によって測定された路面位置と、に基づいて、路面の形状を特定する。また、特定部103は、路面上に物質がある場合、当該物質の厚み(物質が水の場合は水深)を特定する。
【0026】
図4は、特定部103による路面状態の特定方法の概要を示す説明図である。図4(a)はドライ路面における路面形状の特定方法を示し、図4(b)はウェット路面における水深の特定方法を示す。
図4(a)に示すドライ路面における測定では、基準位置測定センサ101からは基準位置測定用部材140との距離が測定時刻tとともに得られる。また、路面位置測定センサ102からは路面との距離が測定時刻tとともに得られる。
特定部103は、まず、基準位置測定センサ101の測定値および路面位置測定センサ102の測定値を測定時刻tによって対応づける。つぎに、特定部103は、基準位置測定センサ101の測定値を、基準位置測定用部材140のパターン形状に合わせてオフセットさせる。これは、各センサの測定値には、たとえば車両110の振動による重力方向のぶれ、車両110の速度変化による進行方向のひずみなどが含まれているためである。なお、特定部103には、基準位置測定用部材140のパターン形状があらかじめ記録されている。そして、基準位置測定センサ101の測定値のオフセット量に合わせて、路面位置測定センサ102からの検出値もオフセットする。これにより、車両110の走行軌跡上の路面形状(路面断面図)を得ることができる。
【0027】
図4(b)に示すウェット路面における測定では、基準位置測定センサ101からは基準位置測定用部材140との距離が測定時刻tとともに得られる。また、路面位置測定センサ102からは水面との距離が測定時刻tとともに得られる。
特定部103は、ドライ路面の場合と同様に、まず、基準位置測定センサ101の測定値および路面位置測定センサ102の測定値を測定時刻tによって対応づける。つぎに、特定部103は、基準位置測定センサ101の測定値を、基準位置測定用部材140のパターン形状に合わせてオフセットさせ、さらに、基準位置測定センサ101の測定値のオフセット量に合わせて、路面位置測定センサ102からの検出値もオフセットする。これにより、車両110の走行軌跡上の水面位置を得ることができる。
そして、この水面位置の情報を、既知である路面形状に重ね合わせ、水面と路面との距離を水深Hとして算出する。
【0028】
なお、基準位置測定用部材140のパターン形状は、車両110の移動方向に沿って変化しているため、特定部103において、測定開始地点(基準点)における基準位置測定用部材140のパターン形状を特定すれば、車両110の道路上の位置(測定開始地点からの距離)を特定することができる。たとえば、基準位置測定用部材140のパターン形状が図2(a)に示す形状である場合、矩形の幅は固定値であるため、ある地点が測定開始地点(基準点)から何個めの矩形かを特定すれば、その地点の測定開始地点からの距離を特定することができる。
【0029】
図3の説明に戻り、記録部104は、特定部103によって特定された路面形状および水深を記録する。
図5は、記録部104によって記録されるデータの一例を示す表である。図5の表500には、位置情報501、水深情報502、路面変位情報503が記録されている。位置情報501は、たとえば測定開始地点からの距離などの、車両110の走行軌跡上の1点を特定する情報である。水深情報502は、位置情報501で特定される地点における水深を示す情報である。路面変位情報503は、位置情報501で特定される地点における路面変位を示す情報である。これらの情報の測定頻度は、たとえば今回の試験に対して要求される精度などに基づいて、ユーザによって任意に設定される。
【0030】
図5の表500には、位置情報501、水深情報502、路面変位情報503のみを図示しているが、これらの情報に加えて、各地点(位置情報501で特定される地点)における試験対象タイヤの制動性能を評価するための各種パラメータを記録してもよい。
【0031】
図6は、路面状態測定装置100による路面状態測定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートでは、基準位置測定センサ101と路面位置測定センサ102とが散水機構120の前後に設けられており、1回の走行で測定をおこなう場合について説明する。路面状態測定装置100は、車両110を用いた測定が開始されると、基準位置測定用部材140の位置、路面の位置、水面の位置をそれぞれ測定する(ステップS601)。より詳細には、2つの基準位置測定センサ101(101a,101b)によって基準位置測定用部材140の位置を、散水機構120の前側の路面位置測定センサ102によって路面の位置を、散水機構120の後側の路面位置測定センサ102によって水面の位置を測定する。なお、車両110の走行中は、上記したデータの他に、試験対象タイヤの性能評価に必要な各種パラメータの測定、記録についても併せておこなわれている。
【0032】
つぎに、路面状態測定装置100は、特定部103によって、路面の形状を特定する(ステップS602)。路面形状の特定方法の詳細は、図4(a)を用いて説明した通りである。続けて、特定部103では、ステップS603で特定した路面形状データに水面の位置を重ね合わせて、水深を特定する(ステップS603)。水深の特定方法の詳細は、図4(b)を用いて説明した通りである。なお、路面形状および水深の特定は、車両110の試験走行中におこなってもよいし、試験走行が終了してからおこなってもよい。
【0033】
そして、路面状態測定装置100は、特定部103によって特定した路面形状および水深のデータを記録部104に記録して(ステップS604)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0034】
以上説明したように、実施の形態にかかる路面状態測定装置100は、基準位置測定センサ101によって測定された基準位置測定用部材140の位置と、路面位置測定センサ102によって測定された路面位置と、に基づいて、路面の形状を特定する。道路内に設けられた基準位置測定用部材140の位置に基づいて路面位置測定センサ102の測定値をオフセットするため、正確に路面の形状を特定することができる。
【0035】
また、路面状態測定装置100は、路面上に物質がある場合、当該物質の表面位置を測定し、その厚みを特定することができる。これにより、たとえば道路上に水がある場合、その深さ(水深)を知ることができ、路面の状態をより正確に特定することができる。たとえば、路面状態測定装置100をタイヤ性能試験用の試験車両に搭載すれば、ウェット路面における試験をおこなう際に、試験中における水深を正確に知ることができ、タイヤ性能試験の信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
100……路面状態測定装置、101(101a,101b)……基準位置測定センサ、102(102a,102b)……路面位置測定センサ、103……特定部、104……記録部、110……車両、120……散水機構、121……散水ノズル、130……試験用タイヤ装着部、140……基準位置測定用部材、140……基準位置測定用部材、150……アスファルト、F……路面、H……水深、W……水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6