特許第6028405号(P6028405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028405
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】更生タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/02 20060101AFI20161107BHJP
   B29D 30/54 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B60C11/02 A
   B29D30/54
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-134150(P2012-134150)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256232(P2013-256232A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】河端 晃一
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−129216(JP,A)
【文献】 特開平07−096716(JP,A)
【文献】 特開2012−096762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/02
B29D 30/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開幅をタイヤ幅方向に3等分した中央のセンター領域にタイヤ周方向に延在するリブ状の陸部が形成され、かつ両外側のショルダー領域にタイヤ周方向に複数分割されるブロック状の陸部が形成されたトレッド部が、台タイヤとの間にクッションゴムを介して配置された更生タイヤにおいて、
前記センター領域における前記クッションゴムの最大厚さをGce−maxとし、前記センター領域における前記クッションゴムの最小厚さをGce−minとし、前記ショルダー領域における前記クッションゴムの最小厚さをGsh−minとし、前記クッションゴムおよび前記トレッド部を含むクラウンセンターでの厚さをTccとした場合に、1.5×Gsh−min≦Gce−min≦Gce−max≦0.5×Tccの範囲を満たし、前記センター領域における前記トレッド部の最小厚さをPceとし、前記ショルダー領域における前記トレッド部の最小厚さをPshとした場合に、Pce<Pshを満たすことを特徴とする更生タイヤ。
【請求項2】
前記リブ状の陸部を形成する態様でタイヤ周方向に延在される主溝を前記トレッド部に有するとともに、前記ブロック状の陸部を形成する態様でタイヤ幅方向に延在して前記主溝に連通しタイヤ周方向に複数配置されるラグ溝を前記トレッド部に有しており、前記ラグ溝の最大深さをGdとし、前記ショルダー領域での前記トレッド部の最大厚さをLとした場合に、0.20≦Gd/L≦0.80の範囲を満たし、かついずれか一方の前記ショルダー領域における前記ラグ溝の総数をtとし、当該ショルダー領域におけるタイヤ周長をKとした場合に、K/150≦t≦K/50の範囲を満たすことを特徴とする請求項1に記載の更生タイヤ。
【請求項3】
前記クッションゴムが、0.5[mm]≦Gsh−min≦2.0[mm]、2.5[mm]≦Gce−min≦Gce−max≦10.0の範囲を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の更生タイヤ。
【請求項4】
前記クッションゴムにおける60℃における損失正接tanδが、0.03≦tanδ≦0.10の範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の更生タイヤ。
【請求項5】
前記クッションゴムのタイヤ幅方向の総幅が、前記トレッド部のタイヤ幅方向の総幅よりも大きく形成され、かつ前記クッションゴムの前記トレッド部よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分の最大厚さをGout−maxとした場合に、0.5[mm]≦Gout−max≦Gsh−minの範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の更生タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更生タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
残溝が寿命に達した空気入りタイヤのトレッドゴムを切除してバフ処理した台タイヤに、新しいトレッド部を貼り付けることにより、更生タイヤとして再使用することが一般に知られている。
【0003】
従来、例えば、特許文献1に記載の更生タイヤは、走行時における低発熱性を向上させるため、ラグ基調のトレッドパターンを有するプレキュアトレッドにおいて、センター部における形成粗面の凹凸の深さをセンター部以外の領域よりも深くし、このプレキュアトレッドを低発熱性のクッションゴムを介して台タイヤの外周面に貼り付けることが示されている。この更生タイヤは、通常はラグ基調のトレッドパターンにおいてセンター部における発熱が多くなるが、センター部における低発熱性のクッションゴムを比較的多く配置することにより、センター部の発熱を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−129216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の更生タイヤのように、クッションゴムを比較的多く配置した箇所で発熱を低減することは公知である。しかし、近年では、更生タイヤの性能向上のため、耐熱性をより向上するための工夫が望まれている。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐熱性をより向上することのできる更生タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の更生タイヤは、展開幅をタイヤ幅方向に3等分した中央のセンター領域にタイヤ周方向に延在するリブ状の陸部が形成され、かつ両外側のショルダー領域にタイヤ周方向に複数分割されるブロック状の陸部が形成されたトレッド部が、台タイヤとの間にクッションゴムを介して配置された更生タイヤにおいて、前記センター領域における前記クッションゴムの最大厚さをGce−maxとし、前記センター領域における前記クッションゴムの最小厚さをGce−minとし、前記ショルダー領域における前記クッションゴムの最小厚さをGsh−minとし、前記クッションゴムおよび前記トレッド部を含むクラウンセンターでの厚さをTccとした場合に、1.5×Gsh−min≦Gce−min≦Gce−max≦0.5×Tccの範囲を満たし、前記センター領域における前記トレッド部の最小厚さをPceとし、前記ショルダー領域における前記トレッド部の最小厚さをPshとした場合に、Pce<Pshを満たすことを特徴とする。
【0008】
センター領域は、リブ状の陸部が形成されているためトレッド部のゴム量が多くなる。このため、センター領域での発熱が大きくなり易く故障要因になり得る。本発明の更生タイヤによれば、センター領域におけるクッションゴムのタイヤ径方向の厚さを、ショルダー領域よりも厚くし、センター領域におけるトレッド部のゴム量を減少させることで、発熱量が低減するため、耐熱性をより向上させることができる。しかも、クッションゴムを含めたトレッド部のタイヤ径方向の厚さは、台タイヤへの貼り付けに際し、子午断面においてセンター領域からショルダー領域まで均一であることが望ましい。このため、センター領域では、ショルダー領域に比較してクッションゴムの厚さを厚くすることからトレッド部の厚さをショルダー領域に比較して薄くする一方、ショルダー領域では、センター領域に比較してクッションゴムの厚さを薄くすることからトレッド部の厚さをセンター領域ceに比較して厚くすることが好ましい。
【0009】
しかも、更生タイヤの使用による摩耗中期以降は、クッションゴムがトレッド面に露出すると、耐摩耗性が悪化したり、チッピングを発生したりし得る懸念がある。本発明の更生タイヤによれば、センター領域におけるクッションゴムの最大厚さGce−maxを、クッションゴムおよびトレッド部を含むクラウンセンターでの厚さTccの1/2以下とすることにより、更生タイヤの使用による摩耗中期以降にクッションゴムがトレッド面に露出する事態を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の更生タイヤは、前記リブ状の陸部を形成する態様でタイヤ周方向に延在される主溝を前記トレッド部に有するとともに、前記ブロック状の陸部を形成する態様でタイヤ幅方向に延在して前記主溝に連通しタイヤ周方向に複数配置されるラグ溝を前記トレッド部に有しており、前記ラグ溝の最大深さをGdとし、前記ショルダー領域での前記トレッド部の最大厚さをLとした場合に、0.20≦Gd/L≦0.80の範囲を満たし、かついずれか一方の前記ショルダー領域における前記ラグ溝の総数をtとし、当該ショルダー領域におけるタイヤ周長をKとした場合に、K/150≦t≦K/50の範囲を満たすことを特徴とする。
【0011】
この更生タイヤによれば、0.20≦Gd/L≦0.80の範囲にあることで、周方向溝が配置されたリブパターンとしての良好な直進性、排水性、低転がり性を保持しつつ、ラグパターンとしての制駆動力も合わせ持つことができる。また、K/150≦t≦K/50の範囲にあることで、ラグ溝の数が適切に設定され、制駆動力を確保することができる。ラグ溝の最大溝深さDdとショルダー領域でのトレッド部の最大厚さLとの関係が0.20より小さくなると、摩耗初期にラグ溝が消え易い傾向となり、制駆動力を維持し難くなる。一方、ラグ溝の最大溝深さDdとショルダー領域でのトレッド部の最大厚さLとの関係が0.80より大きくなるとクッションゴムの厚さを十分に確保し難くなる。また、ラグ溝の総数tがK/150より小さくなると、タイヤ周上に配置されるラグ溝が少なくなり、制駆動力を十分に確保し難くなる。一方、ラグ溝の総数tがK/50より大きくなると、配置された隣り合うラグ溝の間隔が狭く、トレッドの剛性が弱くなる傾向となる。
【0012】
また、本発明の更生タイヤは、前記クッションゴムが、0.5[mm]≦Gsh−min≦2.0[mm]、2.5[mm]≦Gce−min≦Gce−max≦10.0の範囲を満たすことを特徴とする。
【0013】
ショルダー領域において、トレッド部と台タイヤとの接着に必要な厚さを確保するため、クッションゴムを0.5[mm]≦Gsh−min≦2.0[mm]の範囲とすることが好ましい。さらに、センター領域において、耐熱性を向上させる効果、および更生タイヤの使用による摩耗中期以降にクッションゴムがトレッド面に露出する事態を防ぐ効果を顕著に得るため、2.5[mm]≦Gce−min≦Gce−max≦10.0の範囲とすることが好ましい。
【0014】
また、本発明の更生タイヤは、前記クッションゴムにおける60℃における損失正接tanδが、0.03≦tanδ≦0.10の範囲を満たすことを特徴とする。
【0015】
クッションゴムにおいて発熱を低減するため、0.03≦tanδ≦0.10の範囲とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明の更生タイヤは、前記クッションゴムのタイヤ幅方向の総幅が、前記トレッド部のタイヤ幅方向の総幅よりも大きく形成され、かつ前記クッションゴムの前記トレッド部よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分の最大厚さをGout−maxとした場合に、0.5[mm]≦Gout−max≦Gsh−minの範囲を満たすことを特徴とする。
【0019】
トレッド部の全体を台タイヤへ接着するため、トレッド部の形成時の寸法誤差を考慮してクッションゴムのタイヤ幅方向の総幅を、トレッド部のタイヤ幅方向の総幅よりも大きく形成することが好ましい。ただし、クッションゴムのトレッド部よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分が厚すぎると、更生タイヤを形成した場合に、台タイヤのタイヤ幅方向外側表面にクッションゴムにより大きく凸部ができてしまうため、必要最低限の厚さとなるように0.5[mm]≦Gout−max≦Gsh−minの範囲とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る更生タイヤは、耐熱性をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る更生タイヤのトレッド部の展開図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る更生タイヤの他のトレッド部の展開図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る更生タイヤの一部子午断面概略図である。
図4図4は、本発明の実施例に係る更生タイヤの性能試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0023】
以下の説明において、タイヤ径方向とは、更生タイヤの回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、更生タイヤの前記回転軸に直交するとともに、更生タイヤのタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって更生タイヤのタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0024】
図1図3に示すように、本実施形態に係る更生タイヤは、トレッド部1を有する。トレッド部1は、ゴム材からなり、更生タイヤのタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が更生タイヤの輪郭となる。トレッド部1の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面11が形成されている。トレッド面11は、タイヤ周方向に延在する複数(本実施形態では2本)の主溝12が設けられている。図1に示す主溝12は、タイヤ周方向に延在してジグザグ状に形成され、図2に示す主溝12は、タイヤ周方向に延在してタイヤ赤道面CLと平行な直線状に形成されている。そして、トレッド面11は、複数の主溝12により、タイヤ周方向に延在するリブ状の陸部13が複数(本実施形態では3本)形成されている。また、このリブ状の陸部13において、タイヤ幅方向最外側の各陸部13は、主溝12に連通しタイヤ周方向に複数配置されるラグ溝14により、タイヤ周方向で複数に分割されるブロック状の陸部13aが形成されている。また、ラグ溝14は、トレッド部1のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。
【0025】
このトレッド部1において、トレッド面11の展開幅をタイヤ幅方向に3等分した中央をセンター領域ceとし、両外側をショルダー領域shとする。センター領域ceは、その領域内にリブ状の陸部13が形成されている。また、ショルダー領域shは、その領域内にブロック状の陸部13aが形成されている。なお、主溝12は、センター領域ceまたはショルダー領域shのいずれに形成されていてもよい。
【0026】
なお、トレッド展開幅TDWとは、タイヤが規定リムに装着されて正規内圧を付与されるとともに無負荷状態とされたときのタイヤ幅方向におけるトレッド面11の両端(接地端:接地面のタイヤ幅方向の端)の間の直線距離をいう。
【0027】
ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0028】
このトレッド部1は、台タイヤ2との間にクッションゴム3を介して配置されることで更生タイヤが構成される。台タイヤ2は、残溝が寿命に達した空気入りタイヤのトレッドゴムを切除してバフ処理したもので、図には明示しないが、切除したトレッドゴムよりタイヤ径方向内側に、サイドウォール部や、ビード部や、カーカス層や、ベルト層などのタイヤの主構成を有する。クッションゴム3は、トレッド部1と台タイヤ2との接着に用いられる。
【0029】
本実施形態において、更生タイヤは、図3に示すように、センター領域ceにおけるクッションゴム3の最大厚さをGce−maxとし、センター領域ceにおけるクッションゴム3の最小厚さをGce−minとし、ショルダー領域shにおけるクッションゴム3の最小厚さをGsh−minとする。また、クッションゴム3およびトレッド部1を含むクラウンセンター(タイヤ赤道面CL上の位置)での厚さをTccとする。そして、更生タイヤは、これらが、1.5×Gsh−min≦Gce−min≦Gce−max≦0.5×Tccの範囲を満たす。
【0030】
なお、ショルダー領域shにおけるクッションゴム3の最大厚さは、センター領域ceとの境である場合、Gce−minと同じになる。また、図3では、タイヤ赤道面CLを境に、タイヤ幅方向の両側が対象に形成されているが、センター領域ceにおけるクッションゴム3の最小厚さGce−minや、ショルダー領域shにおけるクッションゴム3の最小厚さGsh−minが異なっていてもよい。
【0031】
センター領域ceは、リブ状の陸部13が形成されているためトレッド部1のゴム量が多くなる。このため、センター領域ceでの発熱が大きくなり易く故障要因になり得る。本実施形態の更生タイヤによれば、センター領域ceにおけるクッションゴム3のタイヤ径方向の厚さを、ショルダー領域shよりも厚くし、センター領域ceにおけるトレッド部1のゴム量を減少させることで、発熱量が低減するため、耐熱性を向上させることが可能になる。
【0032】
しかも、更生タイヤの使用による摩耗中期以降は、クッションゴム3がトレッド面11に露出すると、耐摩耗性が悪化したり、チッピングを発生したりし得る懸念がある。本実施形態の更生タイヤによれば、センター領域ceにおけるクッションゴム3の最大厚さGce−maxを、クッションゴム3およびトレッド部1を含むクラウンセンターでの厚さTccの1/2以下とすることにより、更生タイヤの使用による摩耗中期以降にクッションゴム3がトレッド面11に露出する事態を防ぐことが可能になる。更生タイヤの使用による摩耗中期以降にクッションゴム3がトレッド面11に露出する事態を防ぐ効果を顕著に得るため、Gce−max≦0.3×Tccの範囲とすることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態の更生タイヤは、図1および図2に示すように、リブ状の陸部13を形成する態様でタイヤ周方向に延在される主溝12をトレッド部1に有するとともに、ブロック状の陸部13aを形成する態様でタイヤ幅方向に延在して主溝12に連通しタイヤ周方向に複数配置されるラグ溝14をトレッド部1に有している。そして、図3に示すように、ラグ溝14の最大深さをGdとし、ショルダー領域shでのトレッド部1の最大厚さをLとした場合に、0.20≦Gd/L≦0.80の範囲を満たすことが好ましい。さらに、いずれか一方のショルダー領域shにおけるラグ溝14の総数をtとし、当該ショルダー領域shにおけるタイヤ周長をKとした場合に、K/150≦t≦K/50の範囲を満たすことが好ましい。
【0034】
この更生タイヤによれば、0.20≦Gd/L≦0.80の範囲にあることで、周方向溝が配置されたリブパターンとしての良好な直進性、排水性、低転がり性を保持しつつ、ラグパターンとしての制駆動力も合わせ持つことが可能になる。また、K/150≦t≦K/50の範囲にあることで、ラグ溝14の数が適切に設定され、制駆動力を確保することが可能になる。ラグ溝14の最大溝深さDdとショルダー領域shでのトレッド部1の最大厚さLとの関係が0.20より小さくなると、摩耗初期にラグ溝14が消え易い傾向となり、制駆動力を維持し難くなる。一方、ラグ溝14の最大溝深さDdとショルダー領域shでのトレッド部1の最大厚さLとの関係が0.80より大きくなるとクッションゴム3の厚さを十分に確保し難くなる。また、ラグ溝14の総数tがK/150より小さくなると、タイヤ周上に配置されるラグ溝14が少なくなり、制駆動力を十分に確保し難くなる。一方、ラグ溝14の総数tがK/50より大きくなると、配置された隣り合うラグ溝14の間隔が狭く、トレッドの剛性が弱くなる傾向となる。
【0035】
なお、図1図3では、タイヤ赤道面CLを境に、タイヤ幅方向の両側が対象に形成されているが、主溝12の構成やラグ溝14の構成が異なっていてもよい。
【0036】
また、本実施形態の更生タイヤは、クッションゴム3が、0.5[mm]≦Gsh−min≦2.0[mm]、2.5[mm]≦Gce−min≦Gce−max≦10.0の範囲を満たすことが好ましい。
【0037】
ショルダー領域shにおいて、トレッド部1と台タイヤ2との接着に必要な厚さを確保するため、クッションゴム3を0.5[mm]≦Gsh−min≦2.0[mm]の範囲とする。さらに、センター領域ceにおいて、耐熱性を向上させる効果、および更生タイヤの使用による摩耗中期以降にクッションゴム3がトレッド面11に露出する事態を防ぐ効果を顕著に得るため、2.5[mm]≦Gce−min≦Gce−max≦10.0の範囲とする。
【0038】
また、本実施形態の更生タイヤは、クッションゴム3における60℃における損失正接tanδが、0.03≦tanδ≦0.10の範囲を満たすことが好ましい。
【0039】
クッションゴム3において発熱を低減するため、0.03≦tanδ≦0.10の範囲とする。なお、クッションゴム3における60℃における損失正接tanδは、更生タイヤから採取したサンプルの測定によるものとする。
【0040】
また、本実施形態の更生タイヤは、図3に示すように、センター領域ceにおけるトレッド部1の最小厚さ(クッションゴム3を含まない)をPceとし、ショルダー領域shにおけるトレッド部1の最厚さ(クッションゴム3を含まない)をPshとした場合に、Pce<Pshを満たすことが好ましい。なお、PceおよびPshは、主溝12やラグ溝14が存在しない部分の厚さとする。
【0041】
クッションゴム3を含めたトレッド部1のタイヤ径方向の厚さは、台タイヤ2への貼り付けに際し、子午断面においてセンター領域ceからショルダー領域shまで均一であることが望ましい。このため、センター領域ceでは、ショルダー領域shに比較してクッションゴム3の厚さを厚くすることからトレッド部1の厚さをショルダー領域shに比較して薄くする一方、ショルダー領域shでは、センター領域ceに比較してクッションゴム3の厚さを薄くすることからトレッド部1の厚さをセンター領域ceに比較して厚くする。
【0042】
また、本実施形態の更生タイヤは、図3に示すように、クッションゴム3のタイヤ幅方向の総幅が、トレッド部1のタイヤ幅方向の総幅よりも大きく形成されている。そして、クッションゴム3のトレッド部1よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分の最大厚さをGout−maxとした場合に、0.5[mm]≦Gout−max≦Gsh−minの範囲を満たすことが好ましい。
【0043】
トレッド部1の全体を台タイヤ2へ接着するため、トレッド部1の形成時の寸法誤差を考慮してクッションゴム3のタイヤ幅方向の総幅を、トレッド部1のタイヤ幅方向の総幅よりも大きく形成することが好ましい。ただし、クッションゴム3のトレッド部1よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分が厚すぎると、更生タイヤを形成した場合に、台タイヤ2のタイヤ幅方向外側表面にクッションゴム3により大きく凸部ができてしまうため、必要最低限の厚さとなるように0.5[mm]≦Gout−max≦Gsh−minの範囲とする。
【実施例】
【0044】
本実施例では、条件が異なる複数種類の更生タイヤについて、耐チッピング性および耐熱性に関する性能試験が行われた(図4参照)。
【0045】
耐チッピング性の性能試験は、タイヤサイズ11R22.5の更生タイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して、2−D4(前2−後4駆動)の試験車両の後輪に4本装着し、5万[km]走行後にトレッド部のチッピング(欠け)の程度を外観の目視により判定した。そして、この判定結果に基づいて従来を基準(98)とした指数評価が行われる。この評価は、指数が大きいほど、チッピングが減少していることを示している。
【0046】
耐熱性の性能試験は、タイヤサイズ11R22.5の更生タイヤを、正規リムにリム組みし、複輪に対応する正規内圧を充填し、複輪に対応する正規荷重を負荷して、室内ドラム試験機にて、走行速度80[km/h]の条件下にて、5時間走行後に、トレッド部の内部温度(クラウン部−3Bエッヂ上)を測定した。そして、この測定結果に基づいて従来を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、指数が大きいほど、発熱量が低いことを示している。なお、「クラウン部−3Bエッヂ上」とはクラウン部から3B(最もタイヤ径方向外側のベルト)のエッジ(タイヤ幅方向最外側位置)の上(タイヤ径方向外側)までの範囲である。また、トレッド部の内部温度の計測は、上記「3Bエッヂ上」の箇所のみの温度を計測する。
【0047】
なお、正規リムとは上述した通りである。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。なお、複輪の正規内圧は850[kPa]であり、複輪の正規荷重は28.44[kN](ETRTO規定)である。
【0048】
図4において、従来例、比較例および実施例1〜実施例13の更生タイヤは、図1に示すトレッドパターンとされている。そして、従来例および比較例の更生タイヤは、Gce−max、Gce−min、Gsh−min、およびTccが規定の範囲を満たしていない。
【0049】
一方、図4において、実施例1〜実施例13の更生タイヤは、Gce−max、Gce−min、Gsh−min、およびTccが規定の範囲を満たす。また、実施例7〜実施例13の更生タイヤは、Gd/Lおよびtが規定の範囲を満たす。また、実施例9〜実施例13の更生タイヤは、tanδが規定の範囲を満たす。また、実施例3〜実施例13の更生タイヤは、PceとPshとの関係が規定を満たす。また、実施例13の更生タイヤは、Gout−maxとGsh−minとが規定の範囲を満たす。
【0050】
図4の試験結果に示すように、実施例1〜実施例13の更生タイヤは、それぞれ耐チッピング性を低下させずに耐熱性が改善されていることが分かる。
【符号の説明】
【0051】
1 トレッド部
11 トレッド面
12 主溝
13 リブ状の陸部
13a ブロック状の陸部
14 ラグ溝
2 台タイヤ
3 クッションゴム
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)
ce センター領域
sh ショルダー領域
TDW トレッド部の展開幅
図1
図2
図3
図4