特許第6028408号(P6028408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6028408空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028408
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/04 20060101AFI20161107BHJP
   B29D 30/48 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B60C15/04 F
   B60C15/04 C
   B60C15/04 G
   B29D30/48
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-137217(P2012-137217)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-879(P2014-879A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅章
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−283112(JP,A)
【文献】 特開2001−055021(JP,A)
【文献】 特表平03−502558(JP,A)
【文献】 特開2011−179136(JP,A)
【文献】 特開2007−008412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/04
B29D 30/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビードゴムで被覆された複数のビードワイヤを環状に束ねて成る左右一対のビードコアを備える空気入りタイヤであって、
タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向に一列に配置された複数の前記ビードワイヤの列をワイヤ列と呼ぶときに、
前記ビードコアが、タイヤ幅方向に配列された複数の前記ワイヤ列を有し、
最もタイヤ幅方向内側の前記ワイヤ列(以下、内側ワイヤ列という。)における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Biと、最もタイヤ幅方向外側の前記ワイヤ列(以下、外側ワイヤ列という。)における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Boとが、Bo<Biの関係を有し、
前記内側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にある前記ビードワイヤの径方向位置Riと、前記外側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にある前記ビードワイヤの径方向位置Roとが、Ri<Roの関係を有し、且つ、
前記ワイヤ列における前記ビードワイヤが、同一径を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記内側ワイヤ列における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Biと、前記外側ワイヤ列における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Boとが、1.2≦Bi/Bo≦2.0の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ビードコアが、3列以上の前記ワイヤ列を有し、且つ、前記内側ワイヤ列から前記外側ワイヤ列に向かって前記ワイヤ列における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値が漸減する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記内側ワイヤ列における前記ビードワイヤの径方向位置Riと、前記外側ワイヤ列における前記ビードワイヤの径方向位置Roとが、1.0[mm]≦Ro−Ri≦3.0[mm]の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ビードコアが、3列以上の前記ワイヤ列を有し、且つ、前記内側ワイヤ列から前記外側ワイヤ列に向かって前記ワイヤ列における最もタイヤ径方向内側にある前記ビードワイヤの径方向位置が漸減する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤの製造方法であって、
前記内側ワイヤ列を構成する前記ビードワイヤを覆うインシュレーションゴムの肉厚を、前記外側ワイヤ列を構成する前記ビードワイヤを覆うインシュレーションゴムの肉厚よりも大きく設定して、前記ビードコアが成形されることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記ビードコアが、グリーンタイヤの加硫成形に先立って予め加硫成形される請求項6に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法に関し、さらに詳しくは、タイヤのリム組み性を維持しつつ耐リム外れ性を向上できる空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤでは、ビード部とリムフランジとの嵌合状態を適正に維持する必要がある。このため、タイヤに外圧が作用したときに、リム外れが生じ難いことが好ましい。一方で、タイヤをリムに装着する場合には、ビード部とリムフランジとの嵌合圧が低いことが好ましい。かかる課題に関する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−283112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、タイヤのリム組み性を維持しつつ耐リム外れ性を向上できる空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、ビードゴムで被覆された複数のビードワイヤを環状に束ねて成る左右一対のビードコアを備える空気入りタイヤであって、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向に一列に配置された複数の前記ビードワイヤの列をワイヤ列と呼ぶときに、前記ビードコアが、タイヤ幅方向に配列された複数の前記ワイヤ列を有し、最もタイヤ幅方向内側の前記ワイヤ列(以下、内側ワイヤ列という。)における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Biと、最もタイヤ幅方向外側の前記ワイヤ列(以下、外側ワイヤ列という。)における前記ビードワイヤの配置間隔の平均値Boとが、Bo<Biの関係を有し、前記内側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にある前記ビードワイヤの径方向位置Riと、前記外側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にある前記ビードワイヤの径方向位置Roとが、Ri<Roの関係を有し、且つ、前記ワイヤ列における前記ビードワイヤが、同一径を有することを特徴とする。
【0006】
また、この発明にかかる空気入りタイヤの製造方法は、上記のいずれか一つに記載の空気入りタイヤの製造方法であって、前記内側ワイヤ列を構成する前記ビードワイヤを覆うインシュレーションゴムの肉厚を、前記外側ワイヤ列を構成する前記ビードワイヤを覆うインシュレーションゴムの肉厚よりも大きく設定して、前記ビードコアが成形されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかる空気入りタイヤでは、(1)外側ワイヤ列のビードワイヤの径方向位置Roが大きいので(Ri<Ro)、タイヤのリム組み時にて、リムフランジに対するビード部の嵌合圧が維持される。これにより、タイヤのリム組み性が確保される利点がある。また(2)内側ワイヤ列の径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Riが小さいので(Ri<Ro)、リムフランジに対するビード部の嵌合力が向上する。これにより、タイヤの耐リム外れ性が向上する利点がある。また、(3)内側ワイヤ列におけるビードワイヤの配置間隔が広いので(Bo<Bi)、リムフランジに対するビード部の嵌合力が向上する。これにより、タイヤの耐リム外れ性が向上する利点がある。
【0009】
また、この発明にかかる空気入りタイヤの製造方法では、上記のビードコアを容易に成形できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1に記載した空気入りタイヤのビード部を示す拡大断面図である。
図3図3は、図2に記載したビード部のビードコアを示す断面図である。
図4図4は、図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。
図5図5は、図1に記載した空気入りタイヤの作用を示す説明図である。
図6図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図7図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。
図8図8は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。
図9図9は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。
図10図10は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。
図11図11は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
図12図12は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示すグラフである。
図13図13は、従来例1の空気入りタイヤを示す説明図である。
図14図14は、従来例2の空気入りタイヤを示す説明図である。
図15図15は、比較例の空気入りタイヤを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0012】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤ1を示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、空気入りタイヤ1の一例として乗用車用ラジアルタイヤを示し、また、空気入りタイヤ1がリム組みされた状態を示している。なお、符号CLは、タイヤ赤道面である。
【0013】
この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
【0014】
一対のビードコア11、11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
【0015】
カーカス層13は、単層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で85[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
【0016】
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上30[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上45[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
【0017】
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびビードフィラー12、12のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて、左右のビード部を構成する。
【0018】
[ビードコアにおけるビードワイヤの配列構造]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのビード部を示す拡大断面図である。図3は、図2に記載したビード部のビードコアを示す断面図である。これらの図において、図2は、リム組み状態におけるビード部のタイヤ子午線方向の断面図を示し、図3は、部品時における単体のビードコア11を示している。
【0019】
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、ビード部18をリムフランジ10の外周に嵌め合わせてリムに装着される。このとき、ビード・トゥ181からビード・ヒール182に至るビード部18の内周面がリムフランジ10の嵌合面101に密着し、また、ビード部のビード・トゥ181が、リムフランジ10の外周に形成された係合部(ハンプ)102に係合する。これにより、ビード部18とリムフランジ10とが適正に嵌合して、タイヤの気密性が確保される。
【0020】
図3に示すように、ビードコア11は、複数のビードワイヤ2と、ビードゴム3とを有する。ビードワイヤ2は、スチールあるいは有機繊維材から成る。また、ビードゴム3は、70M以上のムーニー粘度を有するゴム組成物から成ることが好ましい。このビードコア11は、ビードゴム3で被覆された複数のビードワイヤ2を環状に束ねて構成される。また、隣り合うビードワイヤ2、2が、相互に接触しないように所定間隔をあけて配置される。
【0021】
ここで、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ径方向に一列に配置された複数のビードワイヤ2の列をワイヤ列と呼ぶ。1つのビードコア11は、タイヤ幅方向に配列された複数のワイヤ列を有する(図3参照)。
【0022】
例えば、図3の構成では、部品時(単体時)におけるビードコア11の軸方向に垂直な断面視にて、ビードコア11が、全体として矩形断面ないしは台形断面を有している。また、16のビードワイヤ2の断面が、4行4列のマトリクス状に配置されている。このため、4つのビードワイヤ2の断面が、ビードコア11の径方向に所定間隔で配置されて、1列のワイヤ列を構成している。また、4列のワイヤ列が、ビードコア11の軸方向に所定間隔で配置されている。
【0023】
図3のように、ビードコア11が矩形断面あるいは台形断面を有する構成では、タイヤ製品時にて、ビードコア11が軸方向の底面をタイヤ幅方向に向けて配置される(図2参照)。このため、各ワイヤ列では、タイヤ製品時にて、4つのビードワイヤ2がタイヤ径方向に所定間隔で配列される。また、4列のワイヤ列が、タイヤ幅方向に所定間隔で配置される。
【0024】
ここで、タイヤ製品時にて、最もタイヤ幅方向内側にあるワイヤ列を、内側ワイヤ列と呼ぶ。また、最もタイヤ幅方向外側にあるワイヤ列を、外側ワイヤ列と呼ぶ。
【0025】
このとき、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Biと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Boとが、Bo<Biの関係を有する。配置間隔の平均値Bi、Boは、Bi=ΣBi_k(k=1、2、・・・、Ni)およびBo=ΣBo_k(k=1、2、・・・、No)の算出式により、算出される。ここで、Bi_kおよびBo_kは、隣り合うビードワイヤ2、2の中心間距離であり、タイヤ製品時の距離として測定される。Niは、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数であり、Noは、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数である。
【0026】
また、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Biと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Boとが、1.2≦Bi/Bo≦2.0の関係を有することが好ましく、1.2≦Bi/Bo≦1.5の関係を有することがより好ましい。
【0027】
また、内側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Riと、外側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Roとが、Ri<Roの関係を有する(図3参照)。ビードワイヤ2の径方向位置Ri、Roは、製品タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態とし、規定リムのリム径Dの測定点を通りタイヤ回転軸に平行な直線L(図2参照)を引いたときの、直線Lからビードワイヤ2の中心点までのタイヤ径方向の距離として測定される。
【0028】
なお、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0029】
また、リム径Dの測定点は、上記の規定リムを定義する規格にそれぞれ従うものとする。
【0030】
また、内側ワイヤ列のビードワイヤ2の径方向位置Riと、外側ワイヤ列のビードワイヤ2の径方向位置Roとが、1.0[mm]≦Ro−Ri≦3.0[mm]の関係を有することが好ましい。
【0031】
例えば、図2および図3の構成では、ビードコア11を構成するすべてのビードワイヤ2が、一様な外径を有する円形断面のスチールワイヤから構成されている。このため、各ワイヤ列におけるビードワイヤ2の外径および断面形状が、同一となっている(図3参照)。また、ビードワイヤ2の配置間隔が、内側ワイヤ列にて最も広く、軸方向外側のワイヤ列に向かうに連れて徐々に狭くなり、外側ワイヤ列にて最も狭くなっている。また、ビードコア11が、その径方向(内側ワイヤ列の配列方向)をタイヤ径方向に一致させて、タイヤに組み込まれている(図2参照)。
【0032】
また、各ワイヤ列の最も径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置が、内側ワイヤ列にて最小となり、軸方向外側のワイヤ列に向かうに連れて徐々に大きくなり、外側ワイヤ列にて最大となっている。したがって、ビードワイヤ2の配置領域が、ビードコア11の軸方向内側から外側に向かうに連れて徐々に増加している。また、内側ワイヤ列の径方向の最も内側にあるビードワイヤ2が、タイヤ製品時にてビード・トゥ181に最も近く、また、タイヤのリム組み状態にてリムフランジ10の係合部102に最も近くに配置されている。
【0033】
図4および図5は、図1に記載した空気入りタイヤ1の作用を示す説明図である。これらの図において、図4は、タイヤのリム組み時の様子を示し、図5は、タイヤのリム組み状態にてタイヤに外圧が作用した場合を示している。また、図4および図5の仮想線11’は、例えば、後述する図13の従来例1のビードコアを示している。
【0034】
この空気入りタイヤ1において、タイヤのリム組み時には、図4に示すように、ビード部18のビード・ヒール182が、リムフランジ10の係合部102を越えて嵌合面101に着座する。このとき、外側ワイヤ列のビードワイヤ2の径方向位置Roが大きいので(Ri<Ro)、仮想線11’のビードコアを有する従来例と比較して、ビードワイヤ2とリムフランジ10の係合部102との距離が同等に維持される。これにより、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合圧が維持されて、タイヤのリム組み性が確保される。
【0035】
なお、ビード部18の嵌合圧とは、ビード部18をリムフランジ10に嵌め合わせるときに必要な押圧力をいう。ビード部18の嵌合圧が小さいほどリム組みが容易であり、好ましい。
【0036】
また、タイヤのリム組み状態にてタイヤに外圧が作用した場合には、図5に示すように、ビード部18のビード・トゥ181が、リムフランジ10の係合部102と係合して支持される。このとき、内側ワイヤ列の径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Riが小さいので(Ri<Ro)、仮想線11’のビードコアを有する従来例と比較して、ビードワイヤ2とリムフランジ10の係合部102との距離が短い。これにより、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合力が向上して、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上する。
【0037】
なお、ビード部18の嵌合力とは、リムフランジ10に対するビード部18の締付力をいう。ビード部18の嵌合力が大きいほどリム外れおよびリムずれが生じ難く、好ましい。
【0038】
また、タイヤのリム組み状態では、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔が広いので(Bo<Bi)、仮想線11’のビードコアを有する従来例と比較して、ビードゴム3の潰れ代が大きい。これにより、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合力が向上して、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上する。
【0039】
[変形例]
図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、タイヤ製品時におけるビードコア11の配置状態を概念的に示している。
【0040】
図2および図3の構成では、上記のように、ビードコア11が、マトリクス状に配置された複数のビードワイヤ2を有し、全体として矩形断面ないしは台形断面を有している。そして、タイヤ製品時には、図2に示すようにビードコア11が、軸方向の底面をタイヤ幅方向に向けて配置されている。したがって、内側ワイヤ列のビードワイヤ2および外側ワイヤ列のビードワイヤ2が、それぞれタイヤ径方向に一列に配列されている。
【0041】
ここで、実際のタイヤ製品では、ビードコア11の一部が捻れて配置されることにより、内側ワイヤ列および外側ワイヤ列がタイヤ径方向に対して傾斜して配置される場合がある(図6参照)。また、ビードコア11が、当初から軸方向の底面をタイヤ径方向に対して傾斜させて配置される場合も想定される。これらの場合には、タイヤ幅方向内側かつタイヤ径方向内側に面するワイヤ列を内側ワイヤ列とし、タイヤ幅方向外側かつタイヤ径方向外側に面するワイヤ列を外側ワイヤ列として、定義するものとする。
【0042】
なお、上記のように、内側ワイヤ列がタイヤ径方向に対して傾斜する構成では、その傾斜角θが、0[deg]≦θ≦50[deg]の範囲内にあることが好ましい(図6参照)。これにより、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合力が適正に確保されて、タイヤの耐リム外れ性が抑制される。また、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合圧が維持されて、タイヤのリム組み性が確保される。
【0043】
図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、部品時における単体のビードコア11を示している。
【0044】
図2および図3の構成では、上記のように、ビードワイヤ2の配置間隔が、内側ワイヤ列にて最も広く、ビードコア11の軸方向外側のワイヤ列に向かうに連れて徐々に狭くなり、外側ワイヤ列にて最も狭くなっている。
【0045】
しかし、これに限らず、例えば、図7に示すように、ビードワイヤ2の配置間隔が、ビードコア11の軸方向内側の2列にて広く、軸方向外側の2列にて狭く構成されても良い。これにより、ビードワイヤ2の配置が容易となり、ビードコア11の加工成形が容易となる。
【0046】
また、図2および図3の構成では、上記のように、タイヤ子午線方向の断面視にて、16のビードワイヤ2の断面が、4行4列のマトリクス状に配置されている(図3参照)。したがって、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数Niと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数Noとが、等しい(Ni=No)。
【0047】
しかし、これに限らず、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数Niと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配列数Noとが相異しても良い(図示省略)。
【0048】
また、図2および図3の構成では、内側ワイヤ列のビードワイヤ2と、外側ワイヤ列のビードワイヤ2とが、同一材料から成り、同一径を有している(図3参照)。したがって、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードコア11が、内側ワイヤ列側に長辺を有し外側ワイヤ列側に短辺を有する略台形の断面形状を有している。
【0049】
しかし、これに限らず、内側ワイヤ列のビードワイヤ2と、外側ワイヤ列のビードワイヤ2とが、相互に異なる材料から成り、また、相互に異なる径を有しても良い(図示省略)。
【0050】
[ビードコアの製造方法]
図8図10は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。これらの図は、ビードコア11の成形工程を示している。
【0051】
空気入りタイヤ1の製造工程では、ビードコア11を構成するビードワイヤ2、カーカス層13を構成するカーカスプライ、ベルト層14を構成するベルトプライ141〜143、トレッドゴム15、サイドウォールゴム16、リムクッションゴム17などの各部材が成型機にかけられて、グリーンタイヤ(図示省略)が成型される。次に、このグリーンタイヤがタイヤ加硫モールド(図示省略)に充填される。次に、このタイヤ加硫モールドが加熱され、加圧装置によりグリーンタイヤが径方向外方に拡張されてタイヤ加硫モールドのタイヤ成形金型(トレッド面成形部)に当接する。次に、グリーンタイヤが加熱されることにより、トレッド部のゴム分子と硫黄分子とが結合して加硫が行われる。このとき、タイヤ成形金型の形状がグリーンタイヤのトレッド面に転写されて、空気入りタイヤ1のトレッドパターンが成形される。そして、加硫成形後のタイヤがタイヤ加硫モールドから引き抜かれる。
【0052】
ここで、1つのビードコア11は、ビードワイヤ2をビードゴム3(インシュレーションゴム31)で覆ってストリップ材を構成し、1本あるいは複数本のストリップ材を環状かつ多重に巻廻して成形される。このとき、図3あるいは図7に記載したビードコア11を成形するために、以下の製造工程が採用され得る(図8図10参照)。
【0053】
図8の構成では、複数本のストリップ材が環状かつ多重に巻廻されて、未加硫のビードコア11が成形される(図8(a)参照)。このとき、各ストリップ材では、ビードワイヤ2の径が同位置であるが、そのインシュレーションゴム31の肉厚が相異する。具体的には、ビードコア11の軸方向内側(図8(a)の左側)に配置されるストリップ材ほど、インシュレーションゴム31の肉厚が厚く、ビードコア11の軸方向外側(図8(a)の右側)に配置されるストリップ材ほど、インシュレーションゴム31の肉厚が薄い。
【0054】
また、成形された未加硫のビードコア11が、グリーンタイヤの加硫成形工程前に予め加硫(プレ加硫)される(図8(b)参照)。すると、上記したストリップ材のインシュレーションゴム31の肉厚差により、加硫成形後のビードコア11では、軸方向内側にあるワイヤ列ほどビードワイヤ2、2の配置間隔が広く、軸方向外側にあるワイヤ列ほどビードワイヤ2、2の配置間隔が狭くなる。これにより、図3に記載したようなビードコア11が成形される。その後に、プレ加硫後のビードコア11がグリーンタイヤに組み込まれて、タイヤの加硫成形工程が行われる。このように、ビードコア11を単独でプレ加硫することにより、図3に記載したビードコア11を容易に成形できる。
【0055】
なお、上記に限らず、ビードコア11のプレ加硫が省略され、未加硫のビードコア11をグリーンタイヤに組み込んで、タイヤの加硫成形工程が行われても良い。
【0056】
図9の構成では、1本あるいは複数本のストリップ材が環状かつ多重に巻廻されて、未加硫のビードコア11が成形される(図9(a)参照)。このとき、各ストリップ材では、ビードワイヤ2の径が同一であり、また、インシュレーションゴム31の肉厚が同一である。また、ビードコア11の軸方向内側(図9(a)の左側)に配置される2列のストリップ材の間に、シート状のゴム部材32が挟み込まれて配置される。そして、成形された未加硫のビードコア11がプレ加硫されて、ビードコア11が取得される(図9(b)参照)。加硫成形後のビードコア11では、配置されたゴム部材32により、軸方向内側にある2列のワイヤ列にてビードワイヤ2、2の配置間隔が広く、軸方向外側にある2列のワイヤ列にてビードワイヤ2、2の配置間隔が狭くなる。これにより、図7に記載したようなビードコア11が成形される。
【0057】
図10の構成では、図9と同様に、1本あるいは複数本のストリップ材が環状かつ多重に巻廻されて、未加硫のビードコア11が成形される(図10(a)参照)。また、各ストリップ材では、ビードワイヤ2の径が同一であり、また、インシュレーションゴム31の肉厚が同一である。また、ビードコア11の軸方向内側(図10(a)の左側)に配置される3列のストリップ材の間に、シート状のゴム部材32が挟み込まれて配置される。このとき、ビードコア11の軸方向内側に配置されるゴム部材32ほど肉厚が厚く、ビードコア11の軸方向外側に配置されるゴム部材32ほど肉厚が薄い。そして、成形された未加硫のビードコア11がプレ加硫されて、ビードコア11が取得される(図10(b)参照)。加硫成形後のビードコア11では、配置された各列のゴム部材32の肉厚差により、軸方向内側にあるワイヤ列ほどビードワイヤ2、2の配置間隔が広く、軸方向外側にあるワイヤ列ほどビードワイヤ2、2の配置間隔が狭くなる。これにより、図3に記載したようなビードコア11が成形される。
【0058】
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、ビードゴム3で被覆された複数のビードワイヤ2を環状に束ねて成る左右一対のビードコア11を備える(図1および図2参照)。また、ビードコア11が、タイヤ幅方向に配列された複数のワイヤ列を有し、内側ワイヤ列(最もタイヤ幅方向内側のワイヤ列)におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Biと、外側ワイヤ列(最もタイヤ幅方向外側のワイヤ列)におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Boとが、Bo<Biの関係を有する(図3参照)。また、内側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Riと、外側ワイヤ列の最もタイヤ径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置Roとが、Ri<Roの関係を有する。
【0059】
かかる構成では、(1)外側ワイヤ列のビードワイヤ2の径方向位置Roが大きいので(Ri<Ro)(図3参照)、タイヤのリム組み時にて、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合圧が維持される(図4参照)。これにより、タイヤのリム組み性が確保される利点がある。また、(2)内側ワイヤ列の径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置が小さいので(Ri<Ro)(図3参照)、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合力が向上する(図5参照)。これにより、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上する利点がある。また、(3)内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔が広いので(Bo<Bi)、リムフランジ10に対するビード部18の嵌合力が向上する。これにより、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上する利点がある。
【0060】
また、この空気入りタイヤ1では、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Biと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値Boとが、1.2≦Bi/Bo≦2.0の関係を有する(図3参照)。これにより、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔と外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔との関係が適正化される利点がある。すなわち、1.2≦Bi/Boであることにより、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上し、また、Bi/Bo≦2.0であることにより、タイヤのリム組み性が向上する。
【0061】
また、この空気入りタイヤ1では、ビードコア11が、3列以上のワイヤ列を有し、且つ、内側ワイヤ列から外側ワイヤ列に向かって各ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔の平均値が漸減する(図3参照)。これにより、タイヤのリム組み性、耐リム外れ性および耐リムずれ性を効果的に向上させ得る利点がある。
【0062】
また、この空気入りタイヤ1では、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の径方向位置Riと、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の径方向位置Roとが、1.0[mm]≦Ro−Ri≦3.0[mm]の関係を有する(図3参照)。これにより、内側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の径方向位置Riと外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の径方向位置Roとの関係が適正化される利点がある。すなわち、1.0[mm]≦Ro−Riであることにより、タイヤの耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上し、また、Ro−Ri≦3.0[mm]であることにより、タイヤのリム組み性が向上する。
【0063】
また、この空気入りタイヤ1では、ビードコア11が、3列以上のワイヤ列を有し、且つ、内側ワイヤ列から外側ワイヤ列に向かってワイヤ列における最もタイヤ径方向内側にあるビードワイヤ2の径方向位置が漸減する(図3参照)。これにより、タイヤのリム組み性、耐リム外れ性および耐リムずれ性を効果的に向上させ得る利点がある。
【0064】
また、この空気入りタイヤ1の製造方法では、内側ワイヤ列を構成するビードワイヤ2を覆うインシュレーションゴム31の肉厚を、外側ワイヤ列を構成するビードワイヤ2を覆うインシュレーションゴム31の肉厚よりも大きく設定して、ビードコア11が成形される(図8参照)。これにより、図3に記載したビードコア11を容易に成形できる利点がある。また、インシュレーションゴム31の肉厚を調整することにより、ビードワイヤ2の配置間隔の平均値Bi、Boならびにビードワイヤ2の径方向位置Ro−Riを容易に調整できる利点がある。
【0065】
また、この空気入りタイヤ1の製造方法では、内側ワイヤ列を構成するビードワイヤ2間にビードワイヤ2の配置間隔を調整するゴム部材32を介在させて、ビードコア11が成形される(図9および図10参照)。これにより、図3に記載したビードコア11を容易に成形できる利点がある。また、ゴム部材32の肉厚を調整することにより、ビードワイヤ2の配置間隔の平均値Bi、Boならびにビードワイヤ2の径方向位置Ro−Riを容易に調整できる利点がある。
【0066】
また、この空気入りタイヤ1の製造方法では、ビードコア11が、グリーンタイヤの加硫成形に先立って予め加硫成形される(図8図10参照)。これにより、図3に記載したビードコア11を容易に成形できる利点がある。
【実施例】
【0067】
図11および図12は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表(図11)およびグラフ(図12)である。図13図15は、従来例1、2および比較例の空気入りタイヤを示す説明図である。
【0068】
この性能試験では、相互に異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)リム組み性、(2)耐リム外れ性、(3)耐リムずれ性および(4)嵌合力に関する評価が行われた(図11および図12参照)。この性能試験では、タイヤサイズ205/55R16の空気入りタイヤがリムサイズ16×61/2Jのリムに組み付けられる。
【0069】
(1)リム組み性に関する評価では、リムフランジに対するタイヤの嵌合圧が測定されて、従来例1を基準(100)とした指数評価が行われる(図11参照)。この評価は、数値が大きいほどタイヤのリム組みが容易であり、好ましい。
【0070】
(2)耐リム外れ性に関する評価では、空気入りタイヤにJATMA規定の最高空気圧および最大負荷が付与される。また、専用の試験機が用いられ、タイヤのサイドウォール部に鉄製のブロックが押し込まれて、サイドウォール部に横押し荷重が付与される。そして、リム外れを生じたときの横押し荷重が測定されて、従来例1を基準(100)とした指数評価が行われる(図11参照)。この評価は、数値が大きいほどリム外れが生じ難く、好ましい。
【0071】
(3)耐リムずれ性に関する評価では、空気入りタイヤにJATMA規定の最高空気圧および最大負荷が付与される。また、空気入りタイヤが試験車両である国産セダンに装着される。そして、各空気入りタイヤについて、走行速度100[km/h]からの制動が10回ずつ行われてリムずれ量が測定される。そして、この測定結果に基づいて、従来例1を基準(100)とした指数評価が行われる(図11参照)。この評価は、数値が大きいほどタイヤのリムずれ量が小さく、好ましい。
【0072】
(4)嵌合力に関する評価では、空気入りタイヤが専用の試験機の可動リムに装着されて、空気入りタイヤにJATMA規定の最高空気圧および最大負荷が付与される。そして、可動リムのリム径ΔD[mm]を徐々に増加させて、リムフランジに対するタイヤの嵌合力H[N]が測定される(図12参照)。
【0073】
実施例1〜5の空気入りタイヤ1は、図1および図2の構成を有し、また、図3に記載したビードコア11を左右のビード部18、18に備える。また、外側ワイヤ列におけるビードワイヤ2の配置間隔Bo_1〜Bo_3がいずれも2.0[mm]であり、ビードワイヤ2の径方向位置Roが4.0[mm]である。
【0074】
従来例1の空気入りタイヤは、図13の構成を有し、外側ワイヤ列におけるビードワイヤの配置間隔Bo_1〜Bo_3がいずれも2.0[mm]であり、ビードワイヤの径方向位置Roが4.0[mm]である。また、従来例2の空気入りタイヤは、図14の構成を有し、外側ワイヤ列におけるビードワイヤの配置間隔Bo_1が2.0[mm]であり、ビードワイヤの径方向位置Roが4.0[mm]である。比較例の空気入りタイヤは、図15の構成を有し、外側ワイヤ列におけるビードワイヤの配置間隔Bo_1〜Bo_3がいずれも2.0[mm]であり、ビードワイヤの径方向位置Roが4.0[mm]である。
【0075】
図11の試験結果が示すように、実施例1〜5の空気入りタイヤ1では、タイヤのリム組み性、耐リム外れ性および耐リムずれ性が向上することが分かる。また、図12の試験結果が示すように、実施例1の空気入りタイヤ1では、JIS中心リム径における嵌合力Hが向上し、また、リム径ΔDが増加したときの嵌合力Hの増加割合が緩やかであり、リム組み性が向上することが分かる。
【符号の説明】
【0076】
1 空気入りタイヤ、2 ビードワイヤ、3 ビードゴム、31 インシュレーションゴム、32 ゴム部材、10 リムフランジ、101 嵌合面、102 係合部、11 ビードコア、12 ビードフィラー、13 カーカス層、14 ベルト層、141、142 交差ベルト、143 ベルトカバー、15 トレッドゴム、16 サイドウォールゴム、17 リムクッションゴム、18 ビード部、181 ビード・トゥ、182 ビード・ヒール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15