(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却機構は、前記生成部で生成された加湿空気よりも温度の低い液体が貯留された貯留部、前記第1供給管の外周面の少なくとも一部と熱的に結合された第1冷却管、前記貯留部と前記第1冷却管とを接続する配管、及び、前記貯留部と前記第1冷却管との間で液体を循環させるポンプから構成されており、
前記制御手段は、前記冷却動作として、液体を循環させるように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
前記冷却機構は、前記生成部で生成された加湿空気よりも温度の低い液体が貯留された貯留部、前記ヘッド内において前記吐出面近傍に形成された液体流路、前記貯留部と前記液体流路とを接続する配管、及び、前記貯留部と前記液体流路との間で液体を循環させるポンプから構成されており、
前記制御手段は、前記冷却動作として、液体を循環させるように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
前記加湿機構は、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの下流側に配置された第2供給管、及び、前記生成部と前記第2供給管とを接続する第2配管をさらに含み、前記加湿動作において、前記生成部で生成された加湿空気を前記第2供給管の供給口部から前記吐出空間に供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
前記加湿機構は、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの下流側に配置された第2供給管、及び、前記生成部と前記第2供給管とを接続する第2配管をさらに含み、前記加湿動作において、前記生成部で生成された加湿空気を前記第2供給管の供給口部から前記吐出空間に供給し、
前記冷却機構は、前記第2供給管の外周面の少なくとも一部と熱的に結合された第2冷却管を含み、
前記配管は、前記貯留部と前記第1冷却管との間、前記貯留部と前記第2冷却管との間、及び、前記第1冷却管と前記第2冷却管との間をそれぞれ接続しており、
前記ポンプは、前記貯留部と前記第1冷却管及び前記第2冷却管との間で液体を循環させることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
前記生成部は、加湿液を貯留するタンク、及び、前記タンク内の加湿液を加熱するヒータを有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドがキャッピングされていないときは、吐出口が外部空間に露出されている。このため、吐出口の液体が乾燥する。ヘッドが使用されているとき(記録媒体への画像記録時)に、インクの吐出が行われていない吐出口については、ヘッドがアンキャップされてからの時間が長くなると、吐出口の液体が乾燥する。これらの吐出口の乾燥抑制を目的として、当該吐出口からインクを排出するフラッシングを行う技術が知られている。しかしながら、このようなフラッシングは、液体の消費量が増大する問題を生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、吐出口近傍の液体の乾燥を抑制することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、
第1の観点では、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出面を有するヘッドと、加湿空気を生成する生成部、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの上流側に配置された第1供給管、及び、前記生成部と前記第1供給管とを接続する第1配管を含み、前記生成部で生成された加湿空気を前記第1供給管の供給口部から前記吐出面と対向する吐出空間に供給する加湿動作を行う加湿機構と、前記吐出空間又は前記第1供給管内
の加湿空気
を冷却する冷却動作を行う冷却機構と、記録媒体への画像記録が行われる際に、
前記加湿機構に前記加湿動作を
、及び前記冷却機構に前記冷却動作
を行わせる制御手段と
、前記生成部での加湿空気の温度及び湿度を検出する第1検出部と、前記冷却動作で冷却された加湿空気の温度を検出する第2検出部とを備えている。
そして、前記制御手段は、前記冷却動作において、前記第2検出部で検出された加湿空気の温度が、前記第1検出部で検出された加湿空気の温度及び湿度に基づく露点温度を下回らずに近づくように、前記冷却機構を制御する。
また、本発明の液体吐出装置は、第2の観点では、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、リザーバユニットと、記録媒体に液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出面を有し、前記リザーバユニットから液体が供給される流路ユニットとを有するヘッドと、加湿空気を生成する生成部、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの上流側に配置された第1供給管、及び、前記生成部と前記第1供給管とを接続する第1配管を含み、前記生成部で生成された加湿空気を前記第1供給管の供給口部から前記吐出面と対向する吐出空間に供給する加湿動作を行う加湿機構と、前記吐出空間又は前記第1供給管内の加湿空気を冷却する冷却動作を行う冷却機構と、記録媒体への画像記録が行われる際に、前記加湿機構に前記加湿動作を、及び前記冷却機構に前記冷却動作を行わせる制御手段と、前記生成部に配置された温湿度センサと、前記流路ユニットに配置された温度センサとを備えている。そして、前記制御手段は、前記冷却動作において、前記温度センサで検出された加湿空気の温度が、前記温湿度センサで検出された加湿空気の温度及び湿度に基づく露点温度を下回らずに近づくように、前記冷却機構を制御する。
【0007】
これによると、記録媒体への画像記録が行われる際に、加湿動作が行われる。このとき、生成部で生成された加湿空気が、吐出空間では生成部よりも温度が低くなるため、空気中の含有水分量は変わらないが相対的に湿度が高くなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥が抑制される。この結果、乾燥を抑制するために行われるフラッシングなどによる液体排出を抑制することができる。
また、吐出空間での加湿空気の湿度が非常に高くなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥がより一層抑制される。加えて、加湿空気の結露が生じにくくなる。このため、例えば、吐出面に結露が生じにくくなり、吐出口の液体と結露による水分とが混ざらなくなる。
【0009】
また、本発明において、前記冷却機構は、前記生成部で生成された加湿空気よりも温度の低い液体が貯留された貯留部、前記第1供給管の外周面の少なくとも一部と熱的に結合された第1冷却管、前記貯留部と前記第1冷却管とを接続する配管、及び、前記貯留部と前記第1冷却管との間で液体を循環させるポンプから構成されており、前記制御手段は、前記冷却動作として、液体を循環させるように前記ポンプを制御することが好ましい。これにより、液体の循環により、第1冷却管が第1供給管の熱を奪う。このため、第1供給管内の加湿空気を冷却することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記冷却機構は、前記生成部で生成された加湿空気よりも温度の低い液体が貯留された貯留部、前記ヘッド内において前記吐出面近傍に形成された液体流路、前記貯留部と前記液体流路とを接続する配管、及び、前記貯留部と前記液体流路との間で液体を循環させるポンプから構成されており、
前記制御手段は、前記冷却動作として、液体を循環させるように前記ポンプを制御することが好ましい。これにより、液体の循環により、ヘッドの吐出面が加湿空気よりも温度が低くなる。このため、吐出空間に供給された加湿空気が吐出面によって、冷却される。
【0011】
また、本発明において、前記貯留部は、外側に突出したフィンを有する金属製のタンクからなり、前記冷却機構は、送風機を有しており、前記制御手段は、前記冷却動作において、前記フィンに向かって空気を送るように前記送風機を制御することが好ましい。これにより、液体の温度を効果的に低下させることができる。このため、加湿空気を効果的に冷却することができる。
【0012】
また、本発明において、前記加湿機構は、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの下流側に配置された第2供給管、及び、前記生成部と前記第2供給管とを接続する第2配管をさらに含み、前記加湿動作において、前記生成部で生成された加湿空気を前記第2供給管の供給口部から前記吐出空間に供給することが好ましい。これにより、加湿動作の際に、ヘッドの上流側のみならず下流側からも吐出空間に加湿空気が供給されるため、記録媒体の搬送に伴う搬送方向への気流が吐出空間に生じても、加湿空気が当該吐出空間に滞留しやすくなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥がより抑制される。
【0013】
また、本発明において、前記加湿機構は、前記搬送方向に関して、前記ヘッドの下流側に配置された第2供給管、及び、前記生成部と前記第2供給管とを接続する第2配管をさらに含み、前記加湿動作において、前記生成部で生成された加湿空気を前記第2供給管の供給口部から前記吐出空間に供給し、前記冷却機構は、前記第2供給管の外周面の少なくとも一部と熱的に結合された第2冷却管を含み、前記配管は、前記貯留部と前記第1冷却管との間、前記貯留部と前記第2冷却管との間、及び、前記第1冷却管と前記第2冷却管との間をそれぞれ接続しており、前記ポンプは、前記貯留部と前記第1冷却管及び前記第2冷却管との間で液体を循環させることが好ましい。これにより、加湿動作の際に、ヘッドの上流側のみならず下流側からも吐出空間に加湿空気が供給されるため、記録媒体の搬送に伴う搬送方向への気流が吐出空間に生じても、加湿空気が当該吐出空間に滞留しやすくなる。このとき、上流及び下流から供給される加湿空気は、ともに冷却されているため、湿度が高くなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥がより一層抑制される。
【0014】
また、本発明において、前記ヘッドは、前記搬送方向と直交する方向が長手方向であり、前記吐出面には前記複数の吐出口が前記長手方向に関して等間隔に配列されており、前記第1及び第2供給管、及び、これらの前記供給口部は、前記長手方向に沿って延在しており、前記長手方向に関して、前記第1配管は前記第1供給管の一方側端部に、前記第2配管は前記第2供給管の他方側端部に接続されていることが好ましい。これにより、第1供給管の供給口部の一方側から供給された加湿空気が他方側よりも多く供給されても、第2供給管の供給口部の一方側から供給された加湿空気が他方側よりも少なく供給される。このため、吐出空間に供給される加湿空気の供給量が安定し、長手方向に関して、複数の吐出口近傍の液体乾燥の抑制が安定する。
【0015】
また、本発明において、前記供給口部は、前記長手方向に沿って配列された複数の供給口から構成されており、前記複数の供給口の開口面積は、加湿空気の流れ方向に関して、上流側から下流側に向かうほど大きいことが好ましい。これにより、各供給口から供給される加湿空気の供給量がほぼ同じになる。このため、長手方向に関して、複数の吐出口近傍の液体乾燥の抑制がより安定する。
【0016】
また、本発明において、前記生成部は、加湿液を貯留するタンク、及び、前記タンク内の加湿液を加熱するヒータを有していることが好ましい。これにより、加湿空気を短時間に生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体吐出装置
の第1及び第2の観点によると、記録媒体への画像記録が行われる際に、加湿動作が行われる。このとき、生成部で生成された加湿空気が、吐出空間では生成部よりも温度が低くなるため、空気中の含有水分量は変わらないが相対的に湿度が高くなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥が抑制される。この結果、乾燥を抑制するために行われるフラッシングなどによる液体排出を抑制することができる。
また、吐出空間での加湿空気の湿度が非常に高くなる。このため、吐出口近傍の液体の乾燥がより一層抑制される。加えて、加湿空気の結露が生じにくくなる。このため、例えば、吐出面に結露が生じにくくなり、吐出口の液体と結露による水分とが混ざらなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、
図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態であるインクジェットプリンタ101の全体構成について説明する。
【0021】
プリンタ101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体101aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A,Bには、給紙部101cから排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されており、
図1に示す黒太矢印に沿って記録媒体である用紙Pが搬送される。空間Aでは、用紙Pへの画像記録と、用紙Pの排紙部31への搬送が行われる。空間Bでは、用紙Pの搬送経路への給紙が行われる。空間Cからは、空間Aのインクジェットヘッド1(以下、ヘッド1と称す)に対してインクが供給される。
【0022】
空間Aには、ブラックインクを吐出するヘッド1、搬送機構8、用紙センサ32、加湿動作に用いられる加湿機構50(
図4参照)、冷却動作に用いられる冷却機構70(
図4参照)、及び、制御装置100等が配置されている。
【0023】
ヘッド1は、主走査方向を長手方向とし、長尺な略直方体形状を有する(
図2参照)。ヘッド1は、支持フレーム(不図示)を介して筐体101aに支持されている。支持フレームは、ヘッド1の下面とプラテン6との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド1を保持している。ヘッド1は、ヘッド本体3(
図2参照)に加えて、リザーバユニット、フレキシブルプリント配線基板(FPC)、回路基板等が積層された積層体である。上流側流路部材としてのリザーバユニットには、リザーバを含む上流側インク流路(ともに不図示)が形成されており、カートリッジ4からインクが供給される。
【0024】
下流側流路部材としての流路ユニット9は、アクチュエータユニット21と共にヘッド本体3を構成し、上面のインク供給口105bからリザーバユニットのインクが供給される。流路ユニット9の下面は、吐出面1aであり、複数の吐出口108が形成されている。吐出口108からは、アクチュエータユニット21の駆動により、インクが吐出される。
【0025】
回路基板は、制御装置100からの信号を調整する。出力信号は、FPC上のドライバICで駆動信号に変換され、さらにヘッド本体3のアクチュエータユニット21に出力される。アクチュエータユニット21は、駆動信号が供給されると、変形して流路ユニット9内のインクに圧力を加える。ヘッド1については、後に詳述する。
【0026】
搬送機構8は、用紙Pをガイドする2つのガイド部5a,5bとプラテン6とを含み、用紙搬送経路を構成する。2つのガイド部5a,5bは、プラテン6を挟んで配置されている。搬送方向上流側のガイド部5aは、3つのガイド18aと3つの送りローラ対22〜24とを有し、給紙部101cとプラテン6とを繋ぐ。画像記録用の用紙Pが、プラテン6に向けて搬送される。搬送方向下流側のガイド部5bは、3つのガイド18bと4つの送りローラ対25〜28とを有し、プラテン6と排紙部31とを繋ぐ。画像記録後の用紙Pが、排紙部31に向けて搬送される。
【0027】
プラテン6は、画像記録に際して、搬送される用紙Pを下から支える。また、プラテン6は、平面視において、吐出面1aよりも一回り大きく、矩形平面形状を有する平板である。
【0028】
用紙センサ32は、送りローラ対24の搬送方向上流側に配置され、搬送される用紙Pの先端を検知する。このとき出力された検知信号は、同期したヘッド1及び搬送機構8の駆動に用いられ、所望の解像度と速度で画像が記録されることになる。
【0029】
加湿機構50は、
図4に示すように、加湿空気の生成部51、第1供給管61、第2供給管65、配管54〜56及びポンプ57などで構成される。生成部51では、加湿空気が生成され、第1及び第2供給管61,65に向けて送り出される。第1及び第2供給管61,65では、加湿空気の供給を受けて、吐出口108の加湿が行われる。生成部51は、タンク52、ヒータ53を含む。タンク52は、加湿空気の生成源である。加湿動作に際して、ヒータ53及びポンプ57が駆動され、加湿空気が、配管54〜56を介して、第1及び第2供給管61,65から吐出口108近傍に供給される。
【0030】
冷却機構70は、液体の貯留部としてのタンク71、配管72〜74、ポンプ75、送風機76、第1冷却管81及び第2冷却管85などで構成される。タンク71には、冷却用の液体として水が貯留されている。冷却動作に際して、ポンプ75及び送風機76が駆動され、タンク71と第1及び第2冷却管81,85との間で水が循環し、第1及び第2供給管61,65を冷却するとともに当該管内の加湿空気も冷却する。
【0031】
図1に戻って、空間Bには、給紙部101cが配置されている。給紙部101cは、給紙トレイ35及び給紙ローラ36を有する。このうち、給紙トレイ35が、筐体101aに対して着脱可能である。給紙トレイ35には、複数の用紙Pが収納される。給紙ローラ36は、給紙トレイ35内で最も上方の用紙Pを送り出す。
【0032】
ここで、副走査方向とは、用紙Pが送りローラ対24,25によって搬送される搬送方向D(
図1中矢印D方向)と平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0033】
空間Cには、ブラックインクを貯留するカートリッジ4が、筐体101aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジ4は、ヘッド1にチューブ(不図示)及びポンプ(不図示)を介して接続されている。なお、ポンプは、ヘッドにインクを強制的に送るとき(すなわち、パージ時やインクの初期導入時)に駆動される。これ以外は停止状態にあり、ポンプはヘッド1へのインク供給を妨げない。
【0034】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、例えば、画像記録動作、メンテナンス動作等を制御する。画像記録動作では、外部装置(プリンタ101と接続されたPC等)からの記録指令(画像データなど)に基づいて、給紙部101c、ガイド部5a、5b(搬送機構8)、ヘッド1、加湿機構50及び冷却機構70等を駆動する。具体的には、吐出面1a近傍に加湿空気が供給されるとともに、用紙Pが、給紙トレイ35から送り出され、ヘッド1に対向する記録領域に送られる。記録領域では、用紙センサ32からの検知信号に同期して、ヘッド1が駆動される。用紙Pがヘッド1の真下を通過する際、インクが吐出されて、所望の画像が記録される。用紙Pは、さらに搬送されて、筐体101a上部の排紙部31に排出される。
【0035】
また、メンテナンス動作としては、定期的に、あるいはユーザーの求めに応じて、インク排出動作(パージ動作とフラッシング動作)等が実行される。いずれも、ヘッド1のインク吐出特性の維持・回復を目的とする。例えば、インク排出動作では、吐出口108から、増粘したインクが排出される。パージ動作では、アクチュエータを駆動せずにポンプを駆動して圧力を加え、ヘッド1からインクが強制的に排出される。強制排出後は、吐出面1aのクリーニング(払拭動作)が行われる。フラッシング動作では、アクチュエータが駆動され、ヘッド1から所定量のインク滴が吐出される。アクチュエータの駆動は、フラッシングデータ(画像データと異なるデータ)に基づく。
【0036】
次に、
図2及び
図3を参照して、ヘッド1について説明する。
図3(a)では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、及び吐出口108を実線で描いている。
【0037】
ヘッド本体3は、
図2(a)に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。上面9aには、
図3(a)に示すように、複数の圧力室110が開口しマトリクス状に配置されている。各アクチュエータユニット21は、
図3(c)に示すように、これら開口を封止し、圧力室110の側壁を構成する。
【0038】
流路ユニット9は、
図3(b)に示すように、9枚のステンレス製プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット9の内部には、インク流路が形成されている。インク流路は、
図2及び
図3に示すように、上面9aのインク供給口105bを一端とし、副マニホールド流路105aに分岐するマニホールド流路105、及び、副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を経て下面の吐出口108に至る個別インク流路132を含む。吐出面1aには、
図2(b)に示すように、複数の吐出口108が圧力室110に対応してマトリクス状に配置されている。これら吐出口108は、主走査方向に関して、この方向の解像度である600dpiの間隔で配列されている。
【0039】
次に、アクチュエータユニット21について説明する。
図2(a)に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、それぞれ台形の平面形状を有している。これら4つのアクチュエータユニット21は、インク供給口105bを避けるよう主走査方向に沿って、千鳥状に配置されている。
【0040】
アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックスであり、
図3(c)に示すように、3枚の圧電層141〜143から構成されている。最上層の圧電層141は、上面に複数の個別電極135が形成され、厚み方向に分極されている。共通電極134が、圧電層142の上面全体に形成されている。そして、個別電極135と圧力室110で挟まれた部分が、個別のユニモルフ型アクチュエータとして働く。個別電極135及び共通電極134間に分極方向の電界が生じると、アクチュエータ部分が圧力室110に向かって突出(ユニモルフ変形)する。このとき、圧力室内のインクが加圧され、吐出口108からインク滴が吐出される。ここで、共通電極134は、常にグランド電位にある。また、駆動信号は、個別電極135に選択的に供給される。
【0041】
本実施形態では、インクの吐出に際して、引き打ち法が採用されている。個別電極135は、予め所定の電位にあり、アクチュエータはユニモルフ変形している。駆動信号が供給されると、個別電極135は、一旦共通電極134と同電位となり、所定時間後に所定電位に復帰する。同電位となるタイミングで、アクチュエータがユニモルフ変形を解消して、圧力室110にインクが吸い込まれる。電位の復帰タイミングで、アクチュエータが再びユニモルフ変形して、吐出口108からインク滴が吐出される。
【0042】
次に、加湿機構50の構成について説明する。加湿機構50は、上述のように、生成部51、第1供給管61及び第2供給管65などを含む。
まず、第1供給管61について説明する。第1供給管61は、
図2及び
図5(a)に示すように、搬送方向Dに関するヘッド1の上流側側面1S1に沿って主走査方向に延在する。第1供給管61は、
図5(b)に示すように、四角筒形状を有しており、第1冷却管81を介して側面1S1に固定されている。また、第1供給管61は、
図2(a)に示すように、主走査方向に関して、一方側の端部(図中下側)に配管55が接続されており、他方側の端部(図中上側)は閉塞している。第1供給管61の他方側の端部には、温度センサ(第2検出部)89が設置されている。この温度センサ89は、第1供給管61内の加湿空気の温度を計測する。
【0043】
第1供給管61の下面61aには、第1供給口部62が形成されている。第1供給口部62は、第1供給管61に形成された複数の供給穴62aの開口(供給口)から構成されている。これら供給穴62aは、主走査方向に沿って配列されており、第1供給管61の内部と連通する。加湿空気は、吐出空間S1に対して、各供給穴62a(開口)から均等に供給される。また、
図2(b)に示すように、主走査方向に関して、最も外側にある2つの供給穴62aは、吐出面1aの最も外側にある2つの吐出口108よりも外側にある。つまり、供給口部62は、最も外側にある2つの吐出口108の間隔以上の長さを有している。このため、すべての吐出口108に対して加湿空気を供給することが可能となり、複数の吐出口108に対する加湿空気の供給がばらつきにくくなる。なお、第1供給管61は、下面61aが吐出面1aと同じ高さレベルになるように配置されており、用紙Pの搬送を妨げない。
【0044】
供給穴62aは、
図5(b)に示すように、その開口の中心軸が吐出空間S1の内側に傾斜している。このため、供給穴62aの開口が吐出空間S1と対向する。これにより、供給穴62aから供給された加湿空気が、搬送方向下流側に効果的に流れる。このため、複数の吐出口108の乾燥をより抑制することが可能となる。
【0045】
第1供給管61内の空気に対する流路抵抗は、加湿空気の流れの方向(
図5(a)中左側方向、
図2(b)中上方向)に関して、上流側から下流側に向かうほど小さくされている。本実施形態においては、
図2(b)に示すように、供給穴62aの開口面積が、上流側(図中下側)から下流側(図中上側)に向かうほど大きい。これにより、略均等量の加湿空気が、各供給穴62aから流出される。変形例として、第1供給管61内の流路の断面積を流れの方向に関して、上流側から下流側に向かうほど大きくしてもよい。
【0046】
次に、第2供給管65について説明する。第2供給管65は、第1供給管61と同様な構成である。第1及び第2供給管61,65は、
図2(b)に示すように、吐出面1aの中心点Qに対して点対称に配置されている。具体的には、第2供給管65は、搬送方向Dに関するヘッド1の下流側側面1S2に沿って主走査方向に延在し、第2冷却管85を介して側面1S2に固定されている。また、第2供給管65は、
図2(a)に示すように、主走査方向に関して、他方側の端部(図中上側)に配管56が接続されており、一方側の端部(図中下側)は閉塞している。
【0047】
第2供給管65の下面65aには、第2供給口部66が形成されている。第2供給口部66も、複数の供給穴66aの開口(供給口)から構成されている。これら供給穴66aは、主走査方向に沿って配列されており、第2供給管65の内部と連通する。加湿空気は、吐出空間S1に対して、各供給穴66a(開口)から均等に供給される。また、
図2(b)に示すように、主走査方向に関して、最も外側にある2つの供給穴66aも、吐出面1aの最も外側にある2つの吐出口108よりも外側にある。このため、第1供給口部62と同様に、すべての吐出口108に対して加湿空気を供給することが可能となり、複数の吐出口108に対する加湿空気の供給がばらつきにくくなる。なお、第2供給管65も、下面65aが吐出面1aと同じ高さレベルになるように配置されており、用紙Pの搬送を妨げない。
【0048】
供給穴66aは、
図5(b)に示すように、その開口の中心軸が吐出空間S1の内側に傾斜し、当該開口が吐出空間S1と対向する。これにより、供給穴66aから供給された加湿空気が、搬送方向上流側に効果的に流れる。このため、複数の吐出口108の乾燥をより抑制することが可能となる。さらに、第2供給管65から供給された加湿空気は、吐出空間S1において、第1供給管61から供給された加湿空気とぶつかる。このため、両者からの加湿空気が吐出空間S1で滞留し、吐出口108の乾燥をより一層抑制することが可能となる。
【0049】
第2供給管65内の空気に対する流路抵抗は、加湿空気の流れの方向(
図2(b)中下方向)に関して、上流側から下流側に向かうほど小さくされている。本実施形態においては、
図2(b)に示すように、供給穴66aの開口面積が、上流側(図中上側)から下流側(図中下側)に向かうほど大きい。これにより、略均等量の加湿空気が、各供給穴66aから流出される。変形例として、第2供給管65内の流路の断面積を流れの方向に関して、上流側から下流側に向かうほど大きくしてもよい。
【0050】
次に、生成部(タンク52、ヒータ53)、及び、配管54〜56、ポンプ57等について説明する。配管54は、一端がタンク52の上部空間に接続され、他端が2本の配管55,56の一端に接続されている。配管54の途中部位には、ポンプ57が介挿されている。配管(第1配管)55は、他端が第1供給管61に接続されている。配管(第2配管)56は、他端が第2供給管65に接続されている。
【0051】
タンク52は、下部空間に加湿用の水を貯留し、上部空間には加湿された加湿空気を貯蔵している。タンク52内には、温湿度センサ59が設置されている。温湿度センサ(第1検出部)59は、上部空間の加湿空気の温度及び湿度を計測する。ヒータ53は、タンク52の下面に設置されている。加湿に際して、制御装置100による制御の下、温湿度センサ59による温湿度検出結果に基づいて、ヒータ53が制御され、上部空間における加湿空気の湿度が調整される。本実施形態においては、プリンタ101の電源がONされることで、自動的に、加湿空気の湿度が所望の湿度に調整される。なお、タンク52内の水が少なくなった場合には、図示しない水補給タンクより水がタンク52に補給される。
【0052】
次に、冷却機構70の構成について説明する。冷却機構70は、上述のように、タンク71、配管72〜74、ポンプ75、送風機76、第1冷却管81及び第2冷却管85などを含む。
まず、第1冷却管81について説明する。第1冷却管81は、
図2及び
図5(a)に示すように、主走査方向に延在し、ヘッド1の上流側側面1S1に固定されている。第1冷却管81は、
図5(b)に示すように、下向きに開口した凹部81aを有する中空管である。凹部81a内には、第1供給管61が固定されており、凹部81aの壁面と第1供給管61の上面及び側面とが接触している。つまり、第1供給管61の外周面の一部が第1冷却管81と熱的に結合している。このため、第1冷却管81内に水を循環させることで、第1供給管61も冷却することができる。第1冷却管81は、
図2(a)に示すように、主走査方向に関して、一方側の端部(図中下側)に配管72が接続されており、他方側の端部(図中上側)に配管73が接続されている。
【0053】
次に、第2冷却管85について説明する。この第2冷却管85は、第1冷却管81と同様な構成である。第1及び第2冷却管81,85は、
図2(b)に示すように、吐出面1aの中心点Qに対して点対称に配置されている。第2冷却管85の凹部85a内には、第2供給管65が固定されており、凹部85aの壁面と第2供給管65の上面及び側面とが接触している。つまり、第2冷却管85も第2供給管65の外周面の一部と熱的に結合されている。このため、第2冷却管85内に水を循環させることで、第2供給管65も冷却することができる。第2冷却管85は、
図2(a)に示すように、主走査方向に関して、一方側の端部(図中下側)に配管74が接続されており、他方側の端部(図中上側)に配管73が接続されている。このように第1及び第2冷却管81,85は配管73を介して互いに連通している。
【0054】
タンク71は、金属材料(例えば、アルミ合金)からなり、下部空間に水を貯留している。タンク71の下面には、複数のフィン71aが立設されている。送風機76は、駆動されたときの気流が複数のフィン71aに当たる位置に配置されている。送風機76は、制御装置100の制御によって駆動されることで、フィン71aを介してタンク71全体の温度を低下させる。これにより、タンク71内の水の温度が低下する。
【0055】
配管72は、一端がタンク71の下部空間に接続され、他端が第1冷却管81に接続されている。配管72の途中部位には、ポンプ75が介挿されている。配管74は、一端がタンク71の下部空間に接続され、他端が第2冷却管85に接続されている。これにより、制御装置100の制御によってポンプ75が駆動されると、タンク71内の水が、タンク71と、第1及び第2冷却管81,85との間で循環する。
【0056】
加湿空気の冷却に際して、制御装置100による制御の下、温度センサ89による温度検出結果に基づいて、ポンプ75及び送風機76が制御され、第1供給管61の温度が調整される。これにより、第1供給管61内の加湿空気の湿度が調整される。このとき、第2供給管65も同様に温度が調整され、第2供給管65内の加湿空気の湿度も、第1供給管61と同様に調整される。このときの所望温度は、温湿度センサ59で検出された加湿空気の温湿度に基づく、露点温度近傍であって当該露点温度を下回らない温度である。
【0057】
続いて、プリンタ101の加湿動作及び冷却動作の一連の流れについて、説明する。本実施形態の加湿及び冷却動作は、画像記録動作が行われる際に行われる。
【0058】
プリンタ101の電源がONされると、制御装置100が、ヒータ53を制御して、タンク52の上部空間に所望温湿度の加湿空気を生成する。なお、制御装置100は、プリンタ101の電源がOFFにされるまで、加湿空気の生成を継続する。
【0059】
次に、プリンタ101が、記録指令を受信すると、上述の画像記録動作が行われる。この画像記録動作が行われる際に、制御装置100による制御の下、加湿動作及び冷却動作も実行される。加湿動作は、制御装置100の制御により、ポンプ57が駆動されることで実行される。
図4に示すように、タンク52で生成された加湿空気は、白抜き矢印方向に沿って流れる。加湿空気は、配管54,55を介して第1供給管61に、配管54,56を介して第2供給管65に供給される。
【0060】
この加湿動作が行われる際に、制御装置100の制御により、ポンプ75及び送風機76も駆動され、冷却動作が実行される。
図4に示すように、タンク71の水は、黒太矢印方向に沿って流れ、タンク71と、第1及び第2冷却管81,85との間において循環する。このとき、送風機76の駆動によって、タンク71内の水が冷やされる。これにより、冷やされた水がタンク71から第1及び第2冷却管81,85に流れ、第1及び第2供給管61,65の熱を奪う。これにより、第1及び第2供給管61,65の温度が所望温度に調整される。このときの温度調整は、温湿度センサ59及び温度センサ89の検出結果に基づいて、制御装置100がポンプ75及び送風機76の駆動を制御することで行われる。具体的には、制御装置100は、加湿空気の各温度における飽和水蒸気量、すなわち、露点温度を記憶する記憶部を有している。制御装置100は、温湿度センサ59で検出された温湿度から、タンク52で生成された加湿空気の露点温度を記憶部より導出し、この露点温度に温度センサ89で検出された温度が近づくように、ポンプ75及び送風機76を制御(ポンプ75による送液流量や送風機による送風量の制御)する。これにより、第1及び第2供給管61,65の温度が、温湿度センサ59で検出された加湿空気の温湿度に基づく、露点温度近傍であって当該露点温度を下回らない温度に調整される。このため、加湿空気は、第1及び第2供給管61,65内において、タンク52で生成されたときの温度よりも低くなって、露点温度に近づく。加湿空気が、タンク52で生成されたときの温度から露点温度に近づくと、その加湿空気自体の湿度が100%に近づく。このような加湿空気が、第1及び第2供給口部62,66の複数の供給穴62a,66aから吐出空間S1に放出されて、吐出口108へ供給される。
【0061】
加湿空気の供給穴62aから吐出口108への移動は、この方向への用紙Pの搬送に伴う気流によって行われる。また、加湿空気の供給穴62a,66aから吐出口108への移動は、供給穴62a,66aのそれぞれが吐出空間S1側に傾いていることにもよる。これにより、吐出面1a近傍に用紙搬送に伴う気流が生じていない場合(例えば、用紙Pが吐出面1aを通過する前、及び、通過して多少時間が経過した場合)でも、加湿空気が吐出口108に供給される。さらに、供給穴66aからは、供給穴62aとは反対側(搬送方向上流側)に加湿空気が供給される。つまり、ヘッド1の上流側のみならず下流側からも吐出空間S1に加湿空気が供給されるため、搬送方向Dへの気流が吐出空間S1に生じても、加湿空気が吐出空間S1に滞留しやすくなる。このため、吐出口近傍のインクの乾燥がより抑制される。また、このとき、上流及び下流から供給される加湿空気は、ともに冷却されているため、湿度の高いものとなる。このため、吐出口108のインク乾燥をより抑制することができる。
【0062】
第1供給管61の一方側の端部に配管55が接続され、第2供給管65の他方側の端部に配管56が接続されている。これにより、主走査方向に関して、第1供給口部62の一方側から供給された加湿空気が他方側よりも多く供給されても、第2供給口部66の一方側から供給された加湿空気が他方側よりも少なく供給される。このため、吐出空間S1に供給される加湿空気の供給量が安定し、主走査方向に関して、複数の吐出口108近傍のインク乾燥の抑制が安定する。また、複数の供給穴62a,66aの開口面積は、加湿空気の流れの方向に関して上流側から下流側に向かうほど大きくされている。即ち、第1及び第2供給管61,65内の空気に対する流路抵抗は、加湿空気の流れの方向に関して、上流側から下流側に向かうほど小さい。これにより、複数の供給穴62a,66a間において、放出される加湿空気の量は略均等となる。このため、主走査方向に関して、複数の吐出口108近傍のインク乾燥の抑制がより安定する。
【0063】
以上、本実施形態によると、用紙Pへの画像記録が行われる際に、加湿動作が行われる。このとき、タンク52で生成された加湿空気が、吐出空間S1ではタンク52におけるよりも温度が低くなるため、空気中の含有水分量は変わらないが相対的に湿度が高くなる。このため、吐出口108近傍のインクの乾燥が抑制される。この結果、乾燥を抑制するために行われるフラッシングなどによるインク排出を抑制することができる。
【0064】
また、生成された加湿空気の温度を、露点温度を下回らずに近づけるように調整しているため、吐出空間S1での加湿空気の湿度が非常に高くなる。このため、吐出口108近傍のインクの乾燥がより一層抑制される。加えて、加湿空気の結露が生じにくくなる。このため、例えば、吐出面1aに結露が生じにくくなり、吐出口108のインクと結露による水分とが混ざらなくなる。
【0065】
また、送風機76は、制御装置100の制御により、タンク71の複数のフィン71aに空気を送るため、タンク71の温度を効果的に低下させることができる。このため、タンク71内の水の温度を低くすることができるとともに、各冷却管81,85を介して各供給管61,65内の加湿空気を効果的に冷却することができる。また、生成部51が、タンク52内の水を加熱するヒータ53を有していることで、加湿空気を短時間に生成することが可能となる。
【0066】
変形例として、流路ユニット9を構成するプレート129に冷却水を流通させることが可能な凹部129aを設けてもよい。この場合、
図3(b)に示すプレート129のプレート130と対向する面に、プレート130に向かって開口する凹部129aを形成する。凹部129aは、
図6に示すように、プレート129において、各アクチュエータユニット21と重なる領域であって複数の吐出口108が集まった吐出口群と対向する領域を除く領域に形成される。また、プレート129の主走査方向の一端(
図6中下側)には配管72が接続され、他端(
図6中上側)には配管74が接続され、両配管72,74と凹部129aとプレート130とによって囲まれた流路129bとが連通する。
【0067】
本変形例においては、第1及び第2冷却管81,85を設ける必要がないため、第1及び第2供給管61,65をヘッド1の各側面1S1,1S2に固定する。また、温度センサ89は、流路ユニット9の側面に移して、吐出面1aの温度を計測する。制御装置は、この温度センサ89の検出温度に基づいて、吐出面1a近傍の加湿空気の温度を推定する。
【0068】
本変形例においても、上述の実施形態と同様に、画像記録動作が行われる際に、加湿動作及び冷却動作が実行される。加湿動作においては、タンク52から第1及び第2供給管61,65に送られた加湿空気が第1及び第2供給口部62,66からそのまま、吐出口108に供給される。
【0069】
冷却動作においては、タンク71と流路129bとの間において、冷やされた水が循環する。これにより、プレート130から熱が奪われ、加湿空気よりも温度が低くなる。このときの温度調整も、上述の実施形態と同様に、制御装置がポンプ75及び送風機76の駆動を制御することで行われる。具体的には、制御装置は、加湿空気の各温度における飽和水蒸気量、すなわち、露点温度を記憶する記憶部を有している。制御装置は、温湿度センサ59で検出された温湿度から、タンク52で生成された加湿空気の露点温度を記憶部より導出し、この露点温度に温度センサ89の検出温度に基づく推定温度が近づくように、ポンプ75及び送風機76を制御する。これにより、第1及び第2供給口部62,66から供給された加湿空気が、吐出面1aを介して露点温度近傍であって当該露点温度を下回らない温度に冷やされる。このため、湿度がタンク52におけるよりも上昇した加湿空気が吐出口108に供給されることになる。この結果、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例においては、第1及び第2供給管61,65が側面1S1,1S2に固定されているため、冷却動作によって流路ユニット9の熱が奪われる際に、各供給管61,65も冷却される。このため、第1及び第2供給管61,65内において、加湿空気がタンク52におけるよりも露点温度に近づく。したがって、第1及び第2供給口部62,66から供給された加湿空気を、吐出面1aで効果的に冷やすことが可能となる。なお、上述の実施形態と同様な構成については、同じ効果を得ることができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、第2冷却管85が設けられていなくてもよい。この場合でも、吐出空間S1に加湿空気を滞留させることが可能となる。加えて、第2供給管65が設けられていなくてもよい。第1及び第2供給管61,65、第1及び第2冷却管81,85は、管形状であれば、断面形状はどのような形状であってもよい。第1及び第2冷却管は、少なくとも一部が第1及び第2供給管61,65に熱的に結合され、これら供給管61,65を冷却可能な構成であればよい。
【0071】
また、温湿度センサ59及び温度センサ89が設けられていなくてもよい。タンク71には、フィン71aが形成されていなくてもよい。この場合、送風機76からの空気を直接タンク71に送ればよい。また、送風機76が設けられていなくてもよい。この場合、タンク71内の水を第1及び第2冷却管81,85に循環させるだけで、各冷却管81,85を介して第1及び第2供給管61,65内の加湿空気を冷却してもよい。また、第1冷却管81とタンク71、及び、第2冷却管85とタンク71が個別に液体の循環が可能な構成であってもよい。冷却用の液体としては、水以外であってもよい。第1及び第2供給管61,65には、主走査方向に関して、同じ側の端部に配管55,56が接続されていてもよい。また、供給口部62,66は、主走査方向に延在する1つの開口からそれぞれ構成されていてもよい。また、供給口部62,66を構成する複数の開口は、開口面積が同じであってもよい。
【0072】
上述の変形例においては、プレート129に凹部129aを形成していたが、凹部129aの代わりに貫通孔(液体流路)を形成してもよい。また、プレート130のプレート129側の面に凹部129aと同様な凹部を形成してもよい。また、吐出面1aを冷却することが可能であれば、プレート129,130以外のプレート122〜128に形成してもよい。また、凹部129aがアクチュエータユニット21と重なる領域に形成されていてもよい。この場合、凹部は、吐出口108と対向する領域以外の領域(例えば、主走査方向に延在する吐出口列の間)に形成されておればよい。生成部51は、ヒータ53を有していなくてもよい。この場合、例えば、タンク52の外部からタンク52の水中に空気を送り込み、加湿空気を生成する生成機構を有していてもよい。上述の実施形態では、フィン71aと送風機76は別体として説明したが、小型化の観点からは一体的に構成されていてもよい。
【0073】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う液体吐出装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。さらに、本発明は、インクの吐出方式にかかわらず適用できる。例えば、本実施の形態では、圧電素子を用いたが、抵抗加熱方式でも、静電容量方式でもよい。