(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像記録部本体、前記一又は複数の記録媒体供給ユニット及び前記支持部材が装着状態をとるとき、少なくとも最も上方に配置された前記記録媒体供給ユニット以外の各記録媒体供給ユニットに係る前記移動部材の前記第1部分が上方に隣接する前記記録媒体供給ユニットの前記規制部分と当接するとともに、前記移動部材の前記第2部分が前記支持部材の前記第2凹部又は下方に隣接する前記記録媒体供給ユニットの前記第3凹部内に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
前記記録媒体供給ユニットが、前記移動部材が前記第2位置をとるように前記移動部材を下方に付勢する下方付勢機構をさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
前記記録媒体供給ユニットが、前記移動部材が前記第1位置をとるように前記移動部材を上方に付勢する上方付勢機構をさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
底面に第1凹部が形成され、記録媒体に画像を記録するための画像記録部本体の底面に着脱可能であり、上面に第2凹部が形成された支持部材の上面に着脱可能な、記録媒体供給ユニットであって、
筐体と、
前記筐体に対して鉛直方向に移動可能であり、鉛直方向の長さが前記筐体の鉛直方向の長さよりも長い移動部材とを備えており、
前記移動部材は、前記記録媒体供給ユニットが前記画像記録部本体の底面に装着されたときに前記第1凹部と対向する位置に配置された第1部分、及び、前記支持部材が前記記録媒体供給ユニットの底面に装着されたときに前記第2凹部と対向する位置に配置された第2部分、を有しており、前記第1部分が前記筐体に没入しつつ前記第2部分が前記筐体から突出する第1位置と、前記第2部分が前記筐体に没入しつつ前記第1部分が前記筐体から突出する第2位置と、の間において移動可能であることを特徴とする記録媒体供給ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態であるインクジェットプリンタ100の全体構成について説明する。
【0012】
プリンタ100は、
図1〜
図3に示すように、用紙Pに画像を形成する装置本体101と、装置本体101に対して着脱可能に構成された3つの増設給紙ユニット80とを含む。これら増設給紙ユニット80は、装置本体101の下部において、鉛直方向に沿って直列に3段接続され、装置本体101に対して用紙Pを給紙可能に構成されている。
【0013】
装置本体101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、本体排紙部4が設けられている。筐体101aの内部空間には、装置本体101の各部を制御する本体制御部150、ヘッド1、搬送機構40、センサ7、及び、本体給紙トレイ10が配置されている。また、筐体101aには、本体給紙トレイ10から本体排紙部4に向けて、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。装置本体101において、鉛直方向下方から順に、本体給紙トレイ10、ヘッド1、本体排紙部4が並んでいる。これにより、装置本体101において、記録媒体は、下方から上方へと搬送される。なお、用紙搬送経路における本体給紙トレイ10から本体排紙部4に向かう方向を、記録媒体の搬送方向と称する。
【0014】
筐体101aの底板には、穴104と、給紙コネクタ105とが設けられている。給紙コネクタ105は、第2給紙コネクタ87が挿入されることによって第2給紙コネクタ87と接続される。穴104内には、装着センサ78(
図6参照)が設けられている。装着センサ78は、本体制御部150と接続されている。装着センサ78は透過型センサであり、後述のスタビライザ190の突起195又は増設給紙ユニット80の位置決めピン81dが穴104内に入り込むことで、当該突起195又は位置決めピン81dを検出し、その検出信号を本体制御部150に出力する。これにより、装置本体101の下部にスタビライザ190又
は増設給紙ユニット80が装着されている否かが検出可能となる。また、筐体101aの底板には、増設給紙ユニット80から給紙される用紙Pが通過する用紙給紙口106が形成されている。さらに、筐体101aの底板には、第1凹部91が形成されている(
図3参照)。第1凹部91は、装置本体101の底面に装着された増設給紙ユニット80の移動部材94の上端部94a(後述)と対向する位置に配置されており、当該上端部94aを収容可能な形状を有している。第1凹部91の鉛直方向における長さは、距離lに設定されている。
【0015】
給紙コネクタ105は、接続線205b,206,207を介して本体制御部150に接続されている(
図6参照)。この給紙コネクタ105に対して、増設給紙ユニット80の第2給紙コネクタ87が接続されることで、本体制御部150と増設給紙ユニット80の給紙制御部170とが通信可能に接続される。
【0016】
接続線205bは、給紙コネクタ105と本体制御部150との間だけを接続する信号線であり、後述の接続確認データを送信するための信号線である。接続線206は、増設給紙ユニット80からの後述の応答データ及びユニットデータを受信するための信号線である。接続線207は、装置本体101が増設給紙ユニット80に、後述のコマンドデータを送信するための信号線である。なお、コマンドデータとは、増設給紙ユニット80に対して特定の処理動作をさせるためのデータである。
【0017】
ヘッド1は、主走査方向(後述)に長尺な略直方体形状を有するラインヘッドである。ヘッド1からは、ブラックインクが吐出される。ヘッド1は、ヘッドホルダ5を介して筐体101aに支持されている。ヘッドホルダ5は、ヘッド1とプラテン6との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド1を保持している。ヘッド1の下面(吐出面1a)には、インクを吐出する複数の吐出口が開口している。
【0018】
本体給紙トレイ10は、筐体101aに対して着脱可能である。本体給紙トレイ10には、複数の用紙Pが収納可能である。
【0019】
搬送機構40は、用紙Pをガイドする2つのガイド部9a,9bと、プラテン6と、給紙ローラ12とを有している。プラテン6は、平板部材であり、ヘッド1の吐出面1aと対向する位置に配置されている。給紙ローラ12は、本体給紙トレイ10内の最も上方の用紙Pを送り出す。
【0020】
2つのガイド部9a,9bは、搬送方向においてプラテン6を挟んで配置されている。搬送方向上流側のガイド部9aは、3つのガイド13a〜13cと2つの送りローラ対14,15とを有している。2つの送りローラ対14,15は、用紙Pの搬送方向に沿って適宜の間隔に配置されている。ガイド13aは、用紙給紙口106から送りローラ対14まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド13bは、本体給紙トレイ10からガイド13aの途中部位まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド13cは、送りローラ対14からプラテン6近傍の送りローラ対15まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。この構成により、ガイド部9aは、本体給紙トレイ10からの用紙P及び増設給紙ユニット80からの用紙Pを、プラテン6に向けて搬送する。
【0021】
搬送方向下流側のガイド部9bは、3つのガイド19a〜19cと3つの送りローラ対16〜18を有している。3つの送りローラ対16〜18は、用紙Pの搬送方向に沿って適宜の間隔に配置されている。ガイド19aは、送りローラ対16から送りローラ対17まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド19bは、送りローラ対17から用紙排紙
口まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド19cは、ガイド19bの途中部位から送りローラ対18まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。
本体排紙部4は、筐体101aの天板に形成された凹部によって構成されている。
【0022】
なお、副走査方向とは、用紙Pが送りローラ対15,16によって搬送される搬送方向と平行且つ水平な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0023】
センサ7は、変位センサであり、本体給紙トレイ10の上部に固定されている。センサ7は、本体給紙トレイ10に収容された用紙Pの高さを検出し、その検出信号を本体制御部150に出力する。これにより、本体制御部150は、当該検出信号に基づいて、本体給紙トレイ10内の用紙Pの数量を判定することが可能となる。
【0024】
装置本体101には、ヘッド1に供給するブラックインクを貯留したインクカートリッジ(不図示)が着脱可能に設けられている。このインクカートリッジは、チューブ(図示せず)を介してヘッド1と接続され、当該ヘッド1にインクを供給する。
【0025】
スタビライザ190は、装置本体101及び装置本体101に装着された増設給紙ユニット80の下部に装着可能に構成されている。スタビライザ190は、平面視において、装置本体101及び増設給紙ユニット80よりも外側に広がった略直方体形状の筐体191を有している。不図示のロック機構によりスタビライザ190と、装置本体101又は増設給紙ユニット80とが固定可能となっている。このようなスタビライザ190が、装置本体101又は増設給紙ユニット80に装着されることで、プリンタ100が安定し倒れにくくなる。
【0026】
スタビライザ190の上面には、突起195及び第2凹部92(
図3参照)が形成されている。突起195は、水平方向において、増設給紙ユニット80の底面に設けられた後述する穴81c及び装置本体101の穴104に対応する位置に配置されており、穴81c及び穴104に挿入可能な形状を有している。第2凹部92は、スタビライザ190に装着された増設給紙ユニット80の移動部材94の下端部94b(後述)と対向する位置に配置されており、当該移動部材94の下端部94bを収容可能な形状を有している。第2凹部92の鉛直方向における長さは、距離lに設定されている。
【0027】
続いて、増設給紙ユニット80について説明する。なお、本実施形態における3つの増設給紙ユニット80はともに同じ構成であるため、1つの増設給紙ユニット80について説明する。
【0028】
図1に示すように、増設給紙ユニット80は、筐体81を有する。筐体81には、給紙トレイ82、ガイド部84、センサ85、給紙制御部170及び移動部材94などが配置されている。給紙トレイ82は、筐体81に対して着脱可能である。給紙トレイ82には、複数の用紙Pが収納可能である。
【0029】
ガイド部84は、2つのガイド88a,88bと、給紙ローラ83と、送りローラ対89とを有する。給紙ローラ83は、給紙トレイ82内の最も上方の用紙Pを送り出す。送りローラ対89は、用紙Pを用紙排紙口81aに向けて搬送可能なように、用紙排紙口81a近傍に配置されている。ガイド88aは、用紙給紙口81bから送りローラ対89まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド88bは、給紙トレイ82からガイド88aの途中部位まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。この構成により、ガイド部84は、給紙トレイ82からの用紙P及び他の増設給紙ユニット80からの用紙Pを、装置本体101に向けて搬送する。換言すると、ガイド部84は用紙Pを下方から上方へ向けて搬送する。
【0030】
筐体81の天板には、装置本体101、又は他の増設給紙ユニット80に給紙される用紙Pが通過する用紙排紙口81aが形成されている。筐体81の底板には、下方に位置する増設給紙ユニット80から給紙される用紙Pが通過する用紙給紙口81bが形成されている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、移動部材94は、クランク状に折れ曲がった円柱形状を有している。移動部材94の上端部94a(第1部分)は、筐体81の天板に固定された短円筒状のガイド95に摺動自在に保持されている。移動部材94の下端部94b(第2部分)は、筐体81の底板に固定された長円筒状のガイド96によって摺動自在に保持されている。ガイド95、96における円筒の延出方向は鉛直方向である。また、移動部材94は、下端部94bが筐体81に没入しつつ上端部94aが筐体81から突出する第1位置(
図2(b)に示す、破線で示す位置)と、上端部94aが筐体81に没入しつつ下端部94bが筐体81から突出する第2位置(
図2(b)に示す、実線で示す位置)との間において移動可能となっている。移動部材94がクランク状に折れ曲がっているため、上端部94aと下端部94bとは、平面視において互いに異なる位置に配置されている。また、移動部材94の鉛直方向に関する長さは、筐体81の鉛直方向に関する長さよりも距離lだけ長くなっている。
図2(b)に示すように、移動部材94が第1位置にあるとき、筐体81の上面からの上端部94aの突出高さ(距離l)は、位置決めピン81dの突出高さ及び第2給紙コネクタ87の突出高さよりも高い。また、移動部材94は、第2給紙コネクタ87及び位置決めピン81dの近傍に配置されている。これにより、非装着状態となった場合に、第2給紙コネクタ87が給紙コネクタ105又は第1給紙コネクタ86と接続されるのを抑制することができる。また、位置決めピン81dが穴104又は穴81cに挿入されるのを抑制することができる。
【0032】
さらに、移動部材94は、上端部94aの下方に形成された円盤状の膨大部であるフランジ94cを有している。フランジ94cとガイド95との間には弾性部材であるバネ98が配置されている。バネ98は、移動部材94を下方に付勢している。移動部材94が下方に付勢されて、移動部材94の水平部分の下端がガイド96の上面と当接することにより、無負荷の状態では、移動部材94が第2位置に配置される。移動部材94の上端部94aは、装置本体101の底部に増設給紙ユニット80が装着されているとき、装置本体101の底面に形成された第1凹部91と対向している。また、移動部材94の下端部94bは、増設給紙ユニット80の底部にスタビライザ190が装着されているとき、スタビライザ190の上面に形成された第2凹部92と対向している。
【0033】
筐体81の上面には、ガイド95の開口、及び、移動部材94の下端部94bと対向する第3凹部97が形成されている。第3凹部97の鉛直方向における長さは、距離lに設定されている。筐体81の底面には、ガイド96の開口が形成されている。なお、筐体81の底面に係る移動部材94の上端部94aと対向する部分は、当該底面に装着された他の増設給紙ユニット80が有する移動部材94の上端部94aが当該筐体81内に侵入するのを規制する規制部分99となっている。つまり、規制部分99には凹部が形成されておらず、規制部分99は筐体81の底面と同一平面を構成している。なお、規制部分99に距離l未満の凹部が形成されていてもよい。
【0034】
さらに、筐体81の底面には、穴81cが形成されている。この穴81cは、平面視において、穴104と一致する位置に配置されている。穴81c内には、装着センサ79(
図6参照)が設けられている。装着センサ79は、給紙制御部170と接続されており、後述のスタビライザ190の突起195又は増設給紙ユニット80の位置決めピン81dが
穴81c内に入り込むことで、当該突起195又は位置決めピン81dを検出し、その検出信号を本体制御部150に出力する。これにより、増設給紙ユニット80の下部にスタビライザ190又他の増設給紙ユニット80が装着されている否かが検出可能となる。
【0035】
また、筐体81の底面には、第1給紙コネクタ86が設けられている。第1給紙コネクタ86は、平面視において、給紙コネクタ105と一致する位置に配置されている。第1給紙コネクタ86は、第2給紙コネクタ87が挿入されることによって第2給紙コネクタ87と接続される。筐体81の上面には、第2給紙コネクタ87が設けられている。第2給紙コネクタ8
7は、平面視において、第1給紙コネクタ86と一致する位置に配置されている。この第2給紙コネクタ87は、給紙コネクタ105、及び、他の増設給紙ユニット80の第1給紙コネクタ86のいずれに対しても接続可能である。
【0036】
図1に示す給紙制御部170は、本体制御部150からの指令(コマンドデータ)に基づいて、ガイド部84の給紙ローラ83及び送りローラ対89の動作を制御する。センサ85は、変位センサであり、給紙トレイ82の上部に固定されている。給紙トレイ82に収納された用紙Pの高さを検出し、給紙制御部170を介して本体制御部150に検出信号を出力する。これにより、本体制御部150は、当該検出信号に基づいて、給紙トレイ82内の用紙Pの数量を判定することが可能となる。
【0037】
次に、移動部材94の動作について説明する。
図3に示すように、装置本体101に対して複数(
図3及び
図4では3つ)の増設給紙ユニット80が積層される際、最も下方に配置された増設給紙ユニット80の底面にスタビライザ190が装着されている場合には、当該増設給紙ユニット80に係る移動部材94の下端部94bがスタビライザ190の第2凹部92に収容されて、当該移動部材94が第2位置をとる。底面に他の増設給紙ユニット80が装着されている増設給紙ユニット80においては、当該増設給紙ユニット80に係る移動部材94の下端部94bが他の増設給紙ユニット80の第3凹部97に収容されて、当該移動部材94が第2位置をとるこのとき、他の増設給紙ユニット80に係る移動部材94の上端部94aが、当該増設給紙ユニット80の底面の規制部分99に当接している。これにより、すべての増設給紙ユニット80に係る移動部材94の上端部94aが、筐体81に没入して、すべての増設給紙ユニット80における移動部材94は第2位置をとる。よって、上方に隣接する装置本体101又は増設給紙ユニット80に対して干渉することがなく、装置本体101及び複数の増設給紙ユニット80が正常な装着状態となる。ここで、正常な装着状態とは、装着センサ78又は装着センサ79がスタビライザ190の突起195又は増設給紙ユニット80の位置決めピン81dを検出した状態をいう。変形例として、正常な装着状態とは、ロック機構によりスタビライザ190と、装置本体101又は増設給紙ユニット80とが固定された状態であってもよい。正常な装着状態であるとき、装置本体101の給紙コネクタ105と増設給紙ユニット80の第2給紙コネクタ87とが接続された状態、又は、増設給紙ユニット80の第1給紙コネクタ86と当該増設給紙ユニット80の下方に隣接して配置された増設給紙ユニット80の第2給紙コネクタ87とが接続された状態となる。正常な装着状態の場合、装置本体101と増設給紙ユニット80とが連動して記録動作可能である。非装着状態とは、装着センサ78又は装着センサ79がスタビライザ190の突起195又は増設給紙ユニット80の位置決めピン81dを検出しない状態をいう。変形例として、正常な装着状態とは、ロック機構によりスタビライザ190と、装置本体101又は増設給紙ユニット80とが固定されない状態であってもよい。非装着状態であるとき、装置本体101の給紙コネクタ105と増設給紙ユニット80の第2給紙コネクタ87とが接続されない状態、又は、増設給紙ユニット80の第1給紙コネクタ86と当該増設給紙ユニット80の下方に隣接して配置された増設給紙ユニット80の第2給紙コネクタ87とが接続されない状態となる。非装着状態の場合、装置本体101と増設給紙ユニット80とが連動して記録動作されない。
なお、装置本体101に対して積層される増設給紙ユニット80の数は3つに限らず2つや3以上であっても、すべての増設給紙ユニット80における移動部材9
4が第2位置をとり、装置本体101及び複数の増設給紙ユニットが正常な装着状態となる。
【0038】
図4に示すように、装置本体101に対して複数の増設給紙ユニット80が積層される際に、最も下方に配置された増設給紙ユニット80の底面にスタビライザ190が装着されていない場合には、最も下方に配置された増設給紙ユニット80に係る移動部材94の下端部94bが設置面に押圧されるため、バネ98の弾性力に抗して移動部材94が第2位置から第1位置に移動する(バネ98の弾性力は、増設給紙ユニット80の重量よりも小さく設定されているため、移動部材94が第1位置に移動する)。移動部材94が第1位置をとるため、移動部材94の上端部94aが上方に隣接する他の増設給紙ユニット80の底面に係る規制部分99と干渉し、当該増設給紙ユニット80と他の増設給紙ユニット80とが非装着状態となる。
【0039】
一方、
図5に示すように、装置本体101に対して1つの増設給紙ユニット80のみが積層される際、増設給紙ユニット80の底面にスタビライザ190が装着されていない場合には、増設給紙ユニット80に係る第2位置にある移動部材94の下端部94bが設置面に押圧されるため、バネ98の弾性力に抗して移動部材94が第2位置から第1位置に移動する。移動部材94が第1位置をとるが、移動部材94の上端部94aが装置本体101の底面に形成された第1凹部91に収容されるため、上端部94aが装置本体101に対して干渉することがなく、装置本体101及び増設給紙ユニット80が正常な装着状態となる。なお、増設給紙ユニット80の底面にスタビライザ190が装着されていると、増設給紙ユニット80の移動部材94の下端部94bがスタビライザ190の第2凹部92に収容されて、当該移動部材94が第2位置をとるため、
図3と同様に正常な装着状態となる。
【0040】
プリンタ100の電気的構成について説明する。
図6に示すように、第1給紙コネクタ86は接続線266〜268を介して給紙制御部170に接続されており、第2給紙コネクタ87は接続線265〜267を介して給紙制御部170に接続されている。接続線266,267の各々は、第1給紙コネクタ86、第2給紙コネクタ87、及び給紙制御部170の各間を相互に接続する信号線である。一方、接続線265は、第2給紙コネクタ87と給紙制御部170との間のみを接続する信号線であり、接続線268は、第1給紙コネクタ86と給紙制御部170との間のみを接続する信号線である。
【0041】
第2給紙コネクタ87が装置本体101の給紙コネクタ105に対して接続されたときには、接続線265〜267は装置本体101の接続線205b,206,207に対してそれぞれ接続される。一方、第2給紙コネクタ87が他の増設給紙ユニット80の第1給紙コネクタ86に対して接続されたときには、接続線266,267が他の増設給紙ユニット80の接続線266,267に対してそれぞれ接続されると共に、接続線265が他の増設給紙ユニット80の接続線268に対して接続される。
【0042】
上記の構成により、装置本体101に対して2段目以降に接続されている増設給紙ユニット80においても、当該増設給紙ユニット80よりも前段にある増設給紙ユニット80の接続線266,267を中継して、応答データ等の各種データの送受信を装置本体101との間で行うことができる。
【0043】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ100によると、装置本体101に所定数(本実施形態では2)以上の増設給紙ユニット80を積層しようとしたとき、最も下方に配置された増設給紙ユニット80にスタビライザ190が装着されていなければ、当該増設給紙ユニット80の移動部材94の上端部94aが上方に隣接する他の増設給紙ユニット80の底面(規制部
分99)と干渉することで、装置本体101及び複数の増設給紙ユニット80が非装着状態となる。ここで、所定数とは、所定数の増設給紙ユニット80及び装置本体101を積層した場合に、装置全体が転倒のおそれがあるために、スタビライザ190の装着が必要とされる増設給紙ユニット80の数をいう。非装着状態となると、
図4に示すように、当該上方に隣接する他の増設給紙ユニット80が傾斜した状態となる。当該他の増設給紙ユニット80が傾斜することにより、ユーザに対して非装着状態を視覚的に訴えることができる。そのため、ユーザは電源を投入することなく、装置本体101及び複数の増設給紙ユニット80が非装着状態であることを容易に把握することができる。つまり、ユーザは電源を投入することなく、転倒防止用のスタビライザ190が装着されているか否かを容易に把握することができる。なお、最も下方に配置された増設給紙ユニット80にスタビライザ190が装着されていれば、当該増設給紙ユニット80の移動部材94の上端部94aが上方に隣接する他の増設給紙ユニット80の底面と干渉することなく、装置本体101及び複数の増設給紙ユニット80が正常な装着状態となる。
【0044】
また、装置本体101に増設給紙ユニット80を1つのみ積層しようとしたときは、増設給紙ユニット80にスタビライザ190が装着されていなくても、当該増設給紙ユニット80の移動部材94の上端部94aが装置本体101の底面に形成された第1凹部91に収容されて、装置本体101及び増設給紙ユニット80を正常な装着状態とすることができる。増設給紙ユニット80が多いほど、装置全体の重心が高くなって転倒しやすくなる。上記のように、増設給紙ユニット80を1つのみ積層するような装置全体の重心が所定より低い場合は、スタビライザ190を装着しなくてもプリンタ100使用可能にすることができる。
【0045】
さらに、移動部材94が第1位置にあるとき、筐体81の上面からの上端部94aの突出高さ(距離l)は、位置決めピン81dの突出高さ及び第2給紙コネクタ87の突出高さよりも高くなっているため、増設給紙ユニット80を装着するときに、位置決めピン81dや第2給紙コネクタ87が破損するのを防止することができる。
【0046】
本実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、移動部材94がクランク状に折れ曲がった形状を有しているため、下端部94bが1つのみの構成であるが、上端部及び下端部が形成されていれば移動部材の形状はこれに限られない、例えば、
図7に示すように、移動部材194の下端側が二股に分かれることで、下端部194bが2つ形成されていてもよい。このとき、2つの鉛直貫通孔が形成されたガイド196が2つの下端部194bを同時に摺動自在に保持している。また、筐体81の上面には、下端部194bと対向する2つの第3凹部197が形成されていればよい。
【0047】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、移動部材394及びこの動作機構のみが異なるため、以降、これについて中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部材については第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、
筐体81内に移動部材394が配置されている。移動部材394は、直線状に延在した円柱部材である。移動部材394の上端部394a(第1部分)は、筐体81の天板に固定された短円筒状のガイド95に摺動自在に保持されている。移動部材394の下端部394b(第2部分)は、筐体81の底板に固定された長円筒状のガイド96によって摺動自在に保持されている。移動部材394の鉛直方向に関する長さは、筐体81の鉛直方向に関する長さよりも距離lだけ長くなっている。移動部材394は、下端部394bが筐体81に没入しつつ上端部394aが筐体81から突出する第1位置と、上端部394aが筐体81に没入しつつ下端部394bが筐体81から突出する第2位置との間において移動可能となっている。なお、第1位置には、上端部394aの突出量が互いに異なる第1位置
A、第1位置
B、第1位置Cが含まれる。第1位置
Aは、
図8に示す、下から2段目に配置された増設給紙ユニット8
0の移動部材394の位置であり、上端部394aの突出量が距離lとなる位置である。第1位置
Bは、
図8に示す、最も上方に配置
された増設給紙ユニット8
0の移動部材394の位置であり、上端部394aの突出量が距離2lとなる位置である。第1位置Cは、
図9に示す、最も上方に配置された増設給紙ユニットの移動部材394の位置であり、上端部394aの突出量が距離3lとなる位置である。
【0048】
移動部材394は、上端部394aの下方に形成された円盤状の膨大部であるフランジ94cを有している。移動部材394が第2位置をとるとき、ガイド96の上面は、移動部材394のフランジ94cの下面に当接している。フランジ94cとガイド95との間には弾性部材であるバネ98が配置されており、バネ98が、移動部材394を下方に付勢している。こ移動部材394が下方に付勢されて、移動部材394のフランジ94cの下面がガイド96の上面と当接することにより、無負荷の状態では、移動部材394が第2位置に配置される。移動部材394の上端部394aは、装置本体301の底面に増設給紙ユニット380が装着されているとき、装置本体301の底面に形成された第1凹部391と対向している。また、移動部材394の下端部394bは、増設給紙ユニット380の底面にスタビライザ190が装着されているとき、スタビライザ190の天板に形成された第2凹部392と対向している。第1凹部391の深さd1は距離2lとなっており、第2凹部392の深さd2は距離lとなっている。
【0049】
次に、移動部材394の動作について説明する。装置本体301に対して3つの増設給紙ユニット380が積層される際、最も下方に配置された増設給紙ユニット380の底面にスタビライザ190が装着されている場合には、最も下方に配置された増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bがスタビライザ190の第2凹部392に収容されて、当該移動部材394が第2位置をとる。このとき、第2凹部392の深さd2が距離lとなっているため、上端部394aの先端は
筐体81の上面と同じ高さに位置している。
【0050】
下から2番目に配置された増設給紙ユニット380においては、当該増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bが、最も下方に配置された増設給紙ユニット380の移動部材394の上端部394aに当接している。そのため、バネ98の弾性力に抗して、当該移動部材394の上端部394aの先端は、
筐体81の上面から距離lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置Aをとる(バネ98の弾性力は、増設給紙ユニット380の重量よりも小さく設定されているため移動部材394が第1位置Aに移動する)。このとき、当該上端部394aは、下から3番目に配置された増設給紙ユニット80のガイド96に案内されながら
筐体81内に侵入する。
【0051】
さらに、下から3番目に配置された増設給紙ユニット380においては、当該増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bが、下から2番目に配置された増設給紙ユニット380の移動部材394の上端部394aに押圧される。そのため、当該移動部材394の上端部394aの先端はバネ98の弾性力に抗して
筐体81の上面から距離2lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置Bをとる(バネ98の弾性力は増設給紙ユニット380の重量よりも小さく設定されているため移動部材394が第1位置Bに移動する)。そして、当該上端部394aが、装置本体301の第1凹部391に収容される。第1凹部391の深さは距離2lとなっているため、当該上端部394aと干渉することはない。これにより、すべての増設給紙ユニット380に係る移動部材394の上端部394aが、上方に隣接する装置本体301又は増設給紙ユニット380に対して干渉することがなく、装置本体301及び複数の増設給紙ユニット380が正常な装着状態となる。
【0052】
図9に示すように、装置本体301に対して3つの増設給紙ユニット380が積層される際に、最も下方に配置された増設給紙ユニット80の底面にスタビライザ190が装着されていない場合には、最も下方に配置された増設給紙ユニット380に係る第2位置にある移動部材394の下端部394bが設置面に押圧される。そのため、バネ98の弾性力に抗して、当該移動部材394の上端部394aの先端は、
筐体81の上面から距離lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置
Aをとる。このとき、当該上端部394aは、下から2番目に配置された増設給紙ユニット80のガイド96に案内されながら
筐体81内に侵入する。
【0053】
さらに、下から2番目に配置された増設給紙ユニット380においては、当該増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bが、最も下方に配置された増設給紙ユニット380の第1位置Aにある移動部材394の上端部394aに押圧される。そのため、バネ98の弾性力に抗して当該移動部材394の上端部394aの先端は
筐体81の上面から距離2lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置
Bをとる。このとき、当該上端部394aは、下から3番目に配置された増設給紙ユニット80のガイド96に案内されながら
筐体81内に侵入する。
【0054】
下から3番目に配置された増設給紙ユニット380においては、当該増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bが、下から2番目に配置された増設給紙ユニット380の第1位置Bにある移動部材394の上端部394aに押圧される。そのため、バネ98の弾性力に抗して当該移動部材394の上端部394aの先端は
筐体81の上面から距離3lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置Cをとる。このとき、第1凹部391の深さは2lであるため、当該上端部394aが第1凹部391と干渉し、装置本体301及び複数の増設給紙ユニット380が非装着状態となる。非装着状態となると、
図9に示すように、装置本体101が、下方に隣接する増設給紙ユニット380から浮いた状態となる。装置本体101が浮いた状態となることにより、ユーザに対して非装着状態を視覚的に訴えることができる。
【0055】
一方、
図10に示すように、装置本体301に対して2つの増設給紙ユニット380のみが積層される際、増設給紙ユニット380の底面にスタビライザ190が装着されていない場合には、下から2番目に配置された増設給紙ユニット380においては、当該増設給紙ユニット380に係る移動部材394の下端部394bが、最も下方に配置された増設給紙ユニット380の第1位置Aにある移動部材394の上端部394aに押圧される。そのため、当該移動部材394の上端部394aの先端は
筐体81の上面から距離2lだけ突出して、当該移動部材394が第1位置Bをとる。そして、当該上端部394aが、装置本体301の第1凹部391に収容される。第1凹部391の深さは距離2lであるため、当該上端部394aと干渉することはない。これにより、すべての増設給紙ユニット380に係る移動部材394の上端部394aが、上方に隣接する装置本体301又は増設給紙ユニット380に対して干渉することがなく、装置本体301及び2つの増設給紙ユニット380が正常な装着状態となる。なお、装置本体301に対して1つの増設給紙ユニット380が積層される場合は、増設給紙ユニット380の移動部材394が第1位置Aをとる。そして、当該移動部材394の上端部394aが装置本体301の第1凹部391に収容される。第1凹部391の深さは距離2lであるため、移動部材394の上端部394aが、上方に隣接する装置本体301に対して干渉することがなく、装置本体301及び増設給紙ユニット380が正常な装着状態となる。
【0056】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタによると、装置本体301に所定数(本実施形態では3)以上の増設給紙ユニット380を積層しようとしたとき、最も下方に配置された増設給紙ユニット380にスタビライザ190が装着されていなければ、最も上方に配置された増設給紙ユニット380の移動部材394の上端部394aが装置本体301と干渉することで、装置本体301及び3つの増設給紙ユニット380が非装着状態となる。そのため、ユーザは電源を投入することなく、転倒防止用のスタビライザ190が装着されているか否かを容易に把握することができる。なお、最も下方に配置された増設給紙ユニット380にスタビライザ190が装着されていれば、当該増設給紙ユニット380の移動部材394の上端部394aが上方に隣接する他の増設給紙ユニット80の底面と干渉することなく、装置本体101及び複数の増設給紙ユニット380が正常な装着状態となる。
【0057】
また、装置本体301に増設給紙ユニット380を2以下積層しようとしたときは、増設給紙ユニット380にスタビライザ190が装着されていなくても、最も上方に配置された増設給紙ユニット380の移動部材394の上端部394aが装置本体301の底面に形成された第1凹部391に収容されて、装置本体301及び2つの増設給紙ユニット380を正常な装着状態とすることができる。増設給紙ユニット380が多いほど、装置全体の重心が高くなって転倒しやすくなる。上記のように、増設給紙ユニット80を2以下積層するような、装置全体の重心が所定より低い場合は、スタビライザ190を装着しなくてもプリンタを使用可能にすることができる。
【0058】
さらに、移動部材394が直線状に延在しているため、移動部材394を移動可能に保持するための構造が容易になる。また、複数の移動部材394が鉛直方向に連結された長さによって、最も上方にある移動部材394が第1凹部391に干渉するか否かが決定されるため、第1凹部391、第2凹部392の深さを調整することでスタビライザ190の装着が必要となる増設給紙ユニット380の数(所定数:本実施形態においては3)を変化させることができる。例えば、第2凹部392の深さが距離lのとき、第1凹部391の深さが距離lであれば、所定数は2となり、第1凹部391の深さが距離3lにすれば、所定数が4となる。なお、第1凹部の深さd1は、所定数をaとしたとき、l・(a−1)≦d1<l・aの範囲にあればよい。
【0059】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態において、移動部材94、394がバネ98によって下方に付勢される構成であるが、移動部材94、394の構成を上下反転させたり、バネ98を引っ張りバネにすることによって移動部材が上方に付勢される構成にしてもよい。その場合、例えば
図3において、最も上方の増設給紙ユニット80に係る移動部材94の上端部94aが装置本体101の底面に形成された第1凹部91に収容される。また、最も下方及び下から2番目の増設給紙ユニット80に係る移動部材94は、当該増設給紙ユニット80の上方に隣接した増設給紙ユニット80に係る規制部分99に押圧されてバネ98の弾性力に抗して第2位置に移動する。
【0060】
また、上述した実施形態に係るプリンタでは、移動部材を下方又は上方に付勢する付勢機構としてバネを用いた機構を採用しているが、バネ以外を用いた付勢機構を採用してもよい。さらに、移動部材が第1位置と第2位置との間を移動可能であれば、増設給紙ユニットには付勢機構を採用しなくてもよい。
【0061】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う記録装置にも適用可能である。また、本発明は、インクジェット式に限定されず、例えばレーザー式、サーマル式等の記録装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。