特許第6028475号(P6028475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6028475連続用紙の製造方法、連続用紙の製造装置及び連続用紙。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028475
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】連続用紙の製造方法、連続用紙の製造装置及び連続用紙。
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/101 20060101AFI20161107BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20161107BHJP
   B42D 15/04 20060101ALI20161107BHJP
   B42C 19/06 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B65H45/101 Z
   B26D7/06 E
   B42D15/04 K
   B42D15/04 B
   B42C19/06
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-200282(P2012-200282)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-55046(P2014-55046A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 孝秋
(72)【発明者】
【氏名】田中 明
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−076049(JP,U)
【文献】 特開昭62−222971(JP,A)
【文献】 特開平01−222900(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0955260(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 33/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
B42D 15/04
B26D 7/06
B42C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の原紙を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り工程と、
前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印に基づいて前記原紙を所定長さに切り出す切り出し工程とを具備することを特徴とする連続用紙の製造方法。
【請求項2】
前記切断目印が、前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法よりも所定寸法長くすることにより設けられる請求項1記載の連続用紙の製造方法。
【請求項3】
前記切断目印が、前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって任意の一の折り目を面方向に突出させることによって設けられる請求項1又は2記載の連続用紙の製造方法。
【請求項4】
前記切り出し工程が、突出させた前記任意の位置の折り目を含む前記原紙を厚み方向に切断するものである請求項3記載の連続用紙の製造方法。
【請求項5】
前記原紙が、連続帳票を構成し得るものである請求項1、2、3又は4記載の連続用紙の製造方法。
【請求項6】
前記原紙が、冊子を構成し得るものである請求項1、2、3又は4記載の連続用紙の製造方法。
【請求項7】
前記交互折り工程に至る前に前記原紙を長手寸法に折る長手折り工程を具備している請求項5又は6記載の連続用紙の製造方法。
【請求項8】
長尺状の原紙を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り機構と、
前記交互折り機構によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印に基づいて前記原紙を所定長さに切り出す切り出し機構とを具備することを特徴とする連続用紙の製造装置。
【請求項9】
短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折られた交互折り部と、
前記交互折り部によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印とを有した連続用紙を備えており、この連続用紙が複数連続している長尺状の原紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続帳票や冊子を製造する過程で利用される連続用紙やその製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺状の原紙を交互に折り畳んだ状態とした連続用紙が、そのまま連続帳票として利用されるか、あるいは裁断、製本を経て冊子を構成するためのものとして幅広く利用されている。そしてこれら連続用紙を効率よく製造すべく、交互の折り畳む工程や、当該折り畳む工程後に所定長さで原紙を切断する切り出し工程を正確に行うための製造装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながらこれらは、折り畳む工程を経た後に所定の長さで切断すべく、折り畳んだ紙の厚み方向における所定位置で原紙を切断するものであるため、原紙の厚みや折り具合により、同じ厚み位置で原紙を切断したとしても切り出された連続用紙の長さにはばらつきが生じる可能性を有する。すなわち、所要の折り畳み数から若干折り畳み数が異なった長さの連続用紙を製造してしまうことがある。
【0004】
或いは、連続用紙を所定の枚数毎にマーキングされており、このマーキングされた部分で切断して所定の折畳み数を得ることが通常である(例えば、特許文献2参照)。しかしながら前記マーキングを視認して分離する作業が難しく、当該マーキングを見落とした場合には連続用紙の落丁を招来するという不具合が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2599264号公報
【特許文献2】特開平7−206257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、所定位置で正確に原紙を切断することにより所要の長さで連続用紙を切り出すことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係る連続用紙の製造方法は、長尺状の原紙を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り工程と、前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印に基づいて前記原紙を所定長さに切り出す切り出し工程とを具備することを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る連続用紙の製造装置は、長尺状の原紙を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り機構と、前記交互折り機構によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印に基づいて前記原紙を所定長さに切り出す切り出し機構とを具備することを特徴とする。
【0010】
ここで、「切断目印に基づいて」「原紙を切り出す」とは、必ずしも切断目印の箇所で原紙を切断する態様に限られず、切断目印に隣接する折り目の位置で切断する態様や、切断目印から所定寸法折り返された位置で原紙を切断する態様をも含む概念である。
【0011】
このようなものであれば、原紙を切断すべき位置を折り目の位置から容易に把握し得るので、原紙を正確な位置で切断することができる。その結果、所望の長さで切り出された連続用紙を得ることができる。
【0012】
そして本発明に係る長尺状の原紙は、短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折られた交互折り部と、前記交互折り部によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印とを有した連続用紙を備えており、この連続用紙が複数連続している
ことを特徴とする。
【0013】
切断目印をより視認し易くするためには、前記切断目印を、前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法よりも所定寸法長くすることにより、厚み方向から視た平面視で突出させておくことが望ましい。
【0014】
そして切断目印により切り出しを正確に行い得るようにするためには、前記切断目印を、前記交互折り工程によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって任意の一の折り目を面方向に突出させることによって設けることが望ましい。
【0015】
上記の場合の具体的な切り出し工程の態様として、前記切り出し工程が、突出させた前記任意の位置の折り目を含む前記原紙を厚み方向に切断する態様を挙げることができる。
【0016】
上述した連続用紙は、そのまま連続帳票として利用好適に利用し得る。つまり前記原紙が、連続帳票を構成し得るものとしても良い。
【0017】
また他方、上述した連続用紙はノートや書籍といった冊子を製造する際にも利用することができる。つまり前記原紙が、冊子を構成し得るものとしても良い。
【0018】
そして前記原紙が冊子を構成するものである場合は、前記交互折り工程に至る前に前記原紙を長手寸法に折る長手折り工程を設けるようにしても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所定位置で正確に原紙を切断することにより所要の長さで連続用紙を切り出すことができる連続用紙の製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係る連続用紙の斜視図。
図2】同実施形態に係る製造装置の構成説明図。
図3】同製造装置の模式的な説明図。
図4図2に係る要部の説明図。
図5】同実施形態に係る連続用紙の模式図。
図6】同実施形態の変形例に係る図5に対応した模式図。
図7】同上。
図8】同上。
図9】本発明の第二実施形態に係る冊子の外観図。
図10】同平面図。
図11】同実施形態に係る製造装置の構成説明図。
図12】同製造装置の模式的な説明図。
図13図11に係る要部の説明図。
図14】同実施形態に係る説明図。
図15】同上。
図16】同上。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る連続用紙Rは、図1に示すように、輸送の際には箱Bに収納されている、例えばオフィス等において連続帳票として好適に用いられているものである。この連続用紙Rは、長尺状の原紙が短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折られた交互折り部たるミシン目m2と、前記交互折り部によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印9とを有し、この切断目印9に基づいて所定長さに切り出されてなるものである。
【0023】
そして本実施形態に係るこの連続用紙Rの製造方法は、長尺状の原紙を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り工程S2と、前記交互折り工程S2によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目を有する切断目印9に基づいて前記原紙を所定長さに切り出す切り出し工程S3とを具備することを特徴とする。
【0024】
また本実施形態では、斯かる連続用紙Rの製造方法を、本実施形態に係る製造装置Mを用いることによって実現している。この製造装置Mは、長尺状の原紙2を短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り機構M2と、交互折り機構M2によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって形成された厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目Fである切断目印9に基づいて前記原紙2を所定長さに切り出す切り出し機構M3とを具備する。なお当該製造装置Mでは、原紙2を所定速度で送る送り機構や連続用紙Rを搬出するためのベルトコンベア等の搬出機構や原紙2を送る速度や搬出速度を制御するための制御機構を備えているものであるがこれらの機構は既存の構造を種々利用することができるため、詳細な説明を省略する。
【0025】
以下、本実施形態に係る連続用紙Rの製造方法及び製造装置Mについて図2乃至図5に示して説明する。
【0026】
交互折り機構M2は、図2乃至図4に示すように、原紙2に後述する通常間隔α及び切り出し間隔βを形成するように設けられたレジマークrの位置を検知するためのセンサM21と、センサM21によって検知したレジマークrの位置でセンサM21が検知した結果に応じて種々の速度で回転しながら原紙2を押圧することによりミシン目m2を形成するミシン目形成カッタM22と、このミシン目形成カッタM22に押圧される原紙を支持する下ロールM23と、形成されたミシン目m2の位置で原紙2を交互に折り畳む折り板M24とを有している。
【0027】
つまり交互折り工程S2とは、原紙2の短寸方向に所定間隔にジグザグ状に折り畳む工程である。具体的には、原紙2の紙目方向に直交する方向にミシン目m2を形成するミシン目形成手順S21と、ミシン目m2に沿って交互に折り畳む交互折り手順S22とを有している。ミシン目形成手順S21は、原紙2に予め印刷等により設けられたレジマークrの位置に応じてミシン目m2を形成する手順である。そして本実施形態では、図2図3及び図5に示すように、前記切断目印9が、前記交互折り工程S2によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法よりも所定寸法長くすることにより、任意の一の折り目Fを面方向に突出させることによって設けられる。交互折り手順S22は、前記折り板M24によりミシン目m2が設けられた位置で原紙2を交互に折り畳んでいく手順である。
【0028】
切り出し機構M3は、上記のようにして交互に折られた原紙2の一部を面方向に突出させて設けられた切断目印9の位置で原紙2を厚み方向から切断するものである。当該切り出し機構M3を構成し得るカッタ等の形状や具体的な動作については、既存の種々の構成を適用し得るため、詳細な説明を省略する。すなわち本実施形態に係る切り出し工程S3とは、突出させた前記任意の折り目Fを含む前記原紙2を厚み方向に切断するものである。
【0029】
つまり切り出し工程S3とは、所定箇所に設けられた切断目印9の位置で原紙2を短寸方向に切る工程である。ここで本実施形態では、原紙2に設けられた切断目印9の位置で原紙2を厚み方向から切断することにより、1つの連続用紙Rに相当する長さの原紙2を誤り無く切り出すことができる。
【0030】
しかして本実施形態では、最初の頁及び最後の頁における折り目すなわちミシン目m2間の寸法を、隣接するそれ以外の頁5を構成する寸法である通常間隔よりも所定寸法長くすることにより切断目印9が設けられるものとしている。その結果、切断目印9は、交互に折られた原紙2が、所定単位の連続用紙Rを構成する単位毎に同一方向に一の折り目Fが突出するようにして設けられている。換言すれば、連続用紙Rにおける最初の頁5及び最後の頁5の紙目方向の寸法がその他の頁5の寸法よりも大きくなるようにレジマークrの位置を設定している。
【0031】
そして上記の通りレジマークrを設けておくことにより図1図2及び図3に模式的に示すように、任意の一の折り目Fが連続用紙R毎に単一方向に突出し、この折り目Fを含む原紙2の一部を切断目印9として利用している。これにより、切り出し工程S3は、交互に折られた原紙2の一辺に形成された切断目印9の箇所を厚み方向から切断するのみで、交互に折られた原紙2は、それぞれ連続用紙R毎に容易に切り分けられる。
【0032】
以上のように本実施形態では、切断目印9を、前記原紙2に形成された形状により設けるようにしているので、作業者による視覚的な視認や光学センサ等の格別の機構をなんら用いることなく、単純な動作であっても正確に連続用紙Rを切り出し得るものとなっている。
【0033】
そして原紙2から冊子1を生産する工程において切断目印9を設けるための格別の工程を何ら追加することなく切断目印9を設けるべく、本実施形態では切断目印9を、前記交互折り工程S2によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法と異ならせることによって設けられる厚み方向から視て異なる位置に形成された折り目Fとしている。
【0034】
特に本実施形態では外観上も視認し易く且つ機械的な切断による連続用紙Rの切り出しを行い得るように、前記交互折り工程S2によって折られた折り目間の寸法を隣接する折り目間の寸法よりも所定寸法長くすることにより、任意の一の折り目Fを面方向に突出させることによって切断目印9を設けている。
【0035】
これにより切り出し工程S3は、突出させた前記任意の一の折り目Fを含む前記原紙2を厚み方向に切断するようにすれば、効率の良い切り出し工程S3を実現している。
【0036】
<変形例>
上述した本発明の第一実施形態では図5等に示すように、任意の一の折り目Fをそれぞれ同方向に突出させることにより切断目印9を形成する態様を開示したが勿論、図6に示すように任意の折り目Fを平面視で二方向で突出させることにより切断目印9を形成するものとしても良い。斯かる態様は、原紙2に設けたレジマークr間の間隔である通常間隔α及び切り出し間隔βの配置を適宜調整することにより容易に実現することが可能である。
【0037】
このようなものであっても、切り出し工程S3は交互に折られた原紙2を厚み方向に切断するという単純な工程とすることができる。
【0038】
続いて図7及び図8は、通常間隔αで交互に折り畳まれた連続用紙Rを厚み方向に交互に配置している態様を示している。これらの図に示している態様では切り出し工程S3は同図に示すように交互に折られた原紙2の面方向から切断することが望ましいが、切り出し工程S3により切り出された各連続用紙Rを容易に個々の連続用紙Rに分けることができる。
【0039】
<第二実施形態>
上記実施形態では切り出し工程S3により切り出された連続用紙Rがそのまま連続帳票として利用されている態様について開示したが、本発明は連続帳票を製造することに好適に適用し得る他、ノートや書籍といった冊子を構成する際にも好適に適用し得る。つまり原紙が冊子を構成し得るものであっても良い。
【0040】
以下、本発明の第二実施形態について詳述するが、本実施形態について上記実施形態の要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その具体的な説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る冊子1は例えばダイヤリーとして好適に使用され得るものである。
【0042】
この冊子1は、図9に示すように、表裏を覆う表紙6と、表紙6に挟まれた表裏でそれぞれ頁5を構成する紙片4と、これら表紙6及び紙片4を背から覆うクロス7とを有している。そして図10に示すように、表紙6を開いた場合に、見開きの2頁で一週間分の予定が書き込めるよう、各頁5の模様すなわちデザインは、それぞれ異ならせて印刷されている。
【0043】
ここで、本実施形態に係る冊子1を構成し得る連続用紙Rの製造方法は、図11及び図12に示すように、両面が連続的に印刷された長尺状の原紙2を長手方向に沿って折る長手折り工程S1と、長手方向に二つ折りされた前記原紙2を上記実施形態同様に短寸方向に沿って所定間隔で複数回交互に折る交互折り工程S2と、短寸方向に沿って折られた所定箇所で前記原紙2を切り出す切り出し工程S3とを有している。
【0044】
またこの冊子1を製造するためにはその他、長手折り工程S1によって形成された折り線f1の表面を研磨することにより研磨部kを形成する研磨部形成工程S7と、切り出された連続用紙Rの両側に表紙を付与する表紙付与工程と、切り出された前記原紙2の長手方向に沿って折られた研磨部kを有する側縁部を接着剤を塗工する無線綴じを行う綴じ工程S5と、綴じられた前記原紙2の前記側縁部以外の縁部を前記各頁5を綴じ位置以外の位置で分離するために裁断する裁断工程S6とを具備する。そして本実施形態では表紙付与工程、綴じ工程及び裁断工程については既存の技術を適宜適用し得るため詳細な説明を省略する。
【0045】
そして本実施形態では斯かる連続用紙Rの製造方法における、少なくとも長手折り工程S1、交互折り工程S2、切り出し工程S3及び研磨部形成工程S7を、本実施形態に係る製造装置Mによって実現することにより、冊子1を構成する一部である連続用紙Rを製造している。
【0046】
以下、斯かる連続用紙Rの製造方法及び製造装置Mについて、図11及び図12を参照して具体的に説明する。
【0047】
製造装置Mは、上記実施形態同様の交互折り機構M2、切り出し機構M3に加え、交互折り機構M2に処理される前の段階での原紙2を長手方向に沿って折る長手折り機構M1とを具備する。また本実施形態の製造装置Mは上記長手折り機構M1、交互折り機構M2、切り出し機構M3に加え、前記長手折り機構M1によって折られた折り線f1を研磨することにより研磨部kを形成する研磨部形成機構M7を具備させてもよい。なお当該製造装置Mでも、原紙2を所定速度で送る送り機構や連続用紙Rを搬出するためのベルトコンベア等の搬出機構や原紙2を送る速度や搬出速度を制御するための制御機構を備えているものであるがこれらの機構は既存の構造を種々利用することができるため、詳細な説明を省略する。
【0048】
長手折り機構M1は、図11乃至図13に示すように、原紙2の長手方向である、紙目の方向に沿って折り線f1を形成するための金属円板M11aと、この金属円板M11aによって押圧された原紙2を受けるための弾性を有するロールであるゴムロールM11bと、原紙2を折り線f1の位置で二つ折りする長手折り部M12とを有している。すなわち本実施形態に係る長手折り工程S1は原紙に折り線f1を形成する折り線形成手順S11aと、当該原紙2を折り線f1の位置で二つ折りにする折り畳み手順S12を備えている。
【0049】
研磨部形成機構M7は、交互折り機構M2による長手折り工程S1によって形成された折り線f1の位置を研磨することにより原紙2の表面を削ることで、綴じ工程S5において用いられる例えば水性の接着剤が研磨部kから原紙2に染み込みやすくするためのものである。
【0050】
しかして本実施形態では、切断目印9を形成すべく、交互に折られた原紙2が、所定単位の連続用紙Rを構成する単位毎に同一方向に一の折り目Fが突出するようにしている。具体的に説明すると、図14及び図15に示すように原紙2に対して各頁5の内容を印刷する印刷方向が、短寸方向に沿って折られた位置を境に形成された紙片4からなる冊子単位3で各頁5の向きが等しくなる所定の方向パターンPの繰り返しによって行われている。そして同図では便宜上、単一の連続用紙Rを冊子単位3を2つ連ねた、ページ数が計16あるものとして示しているが勿論、連続用紙Rを構成すべく冊子単位3が連なる数はなんら限定されるものではない。そして連続用紙Rを構成する冊子単位3の数に関係無く、連続用紙Rにおける最初の頁5及び最後の頁5の紙目方向の寸法がその他の頁5の寸法よりも大きくなるようにレジマークrの位置を設定している。つまり最初及び最後の頁5を形成するレジマークr間の間隔を切り出し間隔βとし、それ以外の頁5を形成するレジマークr間の間隔を通常間隔αとしている。
【0051】
そして上記の通りレジマークrを設けておくことにより図11及び図12に模式的に示すように、任意の一の折り目Fが連続用紙R毎に単一方向に突出し、この折り目Fを含む原紙2の一部を切断目印9として利用している。これにより、切り出し工程S3は、交互に折られた原紙2の一辺に形成された切断目印9の箇所を厚み方向から切断するのみで、交互に折られた原紙2は、それぞれ連続用紙R毎に容易に切り分けられる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、前記長手折り工程S1において前記原紙2の長手方向に折られた前記側縁部の表面を研磨することにより研磨部kを形成する研磨部形成工程S7を前記綴じ工程S5に至る前に設けているので、上記実施形態同様に多くの接着剤を原紙2に含ませ、綴じ位置の更なる強度の向上を実現している。
【0053】
また本実施形態では研磨部形成機構M7及び研磨部形成工程S7を設けて図16に示すような研磨部kを形成することにより切り出された原紙2がそれぞれ研磨部kの位置でエマルションタイプの接着剤を染み込ませるようにしている。これにより上記実施形態同様に、各紙片4の正確な位置決めによる綴じ品質の担保、そして各紙片4の確実な接着、加えて冊子1の良好な見開き性をそれぞれ高い品質で実現している。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では連続帳票やダイヤリーを構成し得る連続用紙を開示した態様を開示したが、勿論、各頁ごとに同じ内容を印刷したノートとしても良い。また上記第一実施形態に係る連続帳票では交互折り部にミシン目が形成されている態様としたが勿論、交互に折られてさえいればミシン目の有無は問わない。また或いは、各頁には何ら印刷されない態様の連続用紙としたしたものであってもよい。この場合、レジマークは印刷によらず、原紙に形成される物理的な形状により設けられるものとなる。また連続帳票の印刷内容や長さ、或いは冊子の具体的なページ数といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0056】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は連続帳本や冊子を製造する過程で利用される連続用紙やその製造方法及び製造装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
S2…交互折り工程
S3…切り出し工程
F…任意の一の折り目(折り目)
9…切断目印
2…原紙
R…連続用紙
M2…交互折り機構
M3…切り出し機構
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11
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図15
図16