(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
【0014】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として上記式(1)で表される染料(以下、「染料(a1)」という。)を含有する。
【0015】
式(1)において、X
-としては、例えば、ハロゲンイオン、ホウ素アニオン、リン酸アニオン、カルボン酸アニオン、硫酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、窒素アニオン、メチドアニオン等を挙げることができる。
【0016】
R
1〜R
4及びQにおける炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10の1価のアリール基が好ましく、より具体的には、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。また、上記芳香族炭化水素基に置換可能なハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子を挙げることができる。
【0017】
R
6における1価の飽和炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び飽和脂環式炭化水素基のいずれでもよい。また、飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよい。上記飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基を挙げることができ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、tert−ドデシル基、ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコサン−1−イル基等を挙げることができる。当該1価の飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−又は−NR
7−で置き換っていてもよく、1価の飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−が−O−に置き換わった基としては、例えば、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、メトキシヘキシル基、エトキシプロピル基、2−エチルヘキシロキシプロピル基等を挙げることができる。
【0018】
また、上記飽和脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数3〜30のシクロアルキル基、飽和縮合多環炭化水素基、飽和橋かけ環炭化水素基、飽和スピロ炭化水素基等を挙げることができる。より具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。中でも、炭素数3〜12の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜8の飽和脂環式炭化水素基がより好ましい。
【0019】
また、上記飽和炭化水素基に置換可能なハロゲン原子としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0020】
−CO
2R
6としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デカニルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基、メトキシプロピルオキシカルボニル基、エトキシプロピルオキシカルボニル基、ヘキシロキシプロピルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシプロピルオキシカルボニル基、メトキシヘキシルオキシカルボニル基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、テトラデシルカルボニル基、t−ドデシルカルボニル基、ヘキサデシルカルボニル基、オクタデシルカルボニル基等を挙げることができる。
【0021】
−SO
3R
6としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、デカンスルホニル基、ウンデシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、テトラデシルスルホニル基、t−ドデシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクタデシルスルホニル基等を挙げることができる。
【0022】
R
7、R
10及びR
11における1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよい。脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。なお、不飽和炭化水素基の不飽和結合の位置は、分子鎖内及び分子鎖末端のいずれでもよく、任意の位置に有することができる。また、R
7において、−O−又は−CO−で連結されている1価の炭化水素基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルカルボニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
R
11における1価の炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基等を挙げられる。置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。なお、炭化水素基に置換可能なハロゲン原子及び炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0023】
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
【0024】
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数3〜18のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等を挙げることができる。これら具体例としては、前述と同様のものの他、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基等を挙げることができる。
【0025】
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が好ましく、具体的には、前述と同様のものを挙げることができる。
【0026】
また、上記炭化水素基に置換可能なハロゲン原子としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0027】
中でも、R
7としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が更に好ましい。かかる芳香族炭化水素基としては、−O−又は−CO−で連結されている芳香族炭化水基も好ましい。
また、R
10としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、R
11としては、芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
【0028】
R
8及びR
9における1価の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよい。上記飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜24の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、具体例としては、前述のR
6における炭素数1〜20のアルキル基の他、ヘンエイコサン−1−イル基、ドコサン−1−イル基、トリコサン−1−イル基、テトラコサン−1−イル基等を挙げることができる。上記飽和脂肪族炭化水素基に置換可能なハロゲン原子としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0029】
−SO
2NHR
8としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ブチルスルファモイル基、イソブチルスルファモイル基、ペンチルスルファモイル基、イソペンチルスルファモイル基、ネオペンチルスルファモイル基、ヘキシルスルファモイル基、ヘプチルスルファモイル基、オクチルスルファモイル基、2−エチルヘキシルスルファモイル基、ノニルスルファモイル基、デシルスルファモイル基、ウンデシルスルファモイル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシルスルファモイル基、ドデシルスルファモイル基、1−メチルウンデシルスルファモイル基、1−エチルデシルスルファモイル基、トリデシルスルファモイル基、テトラデシルスルファモイル基、t−ドデシルスルファモイル基、ペンタデシルスルファモイル基、1−ヘプチルオクチルスルファモイル基、ヘキサデシルスルファモイル基、オクタデシルスルファモイル基、ドコサン−1−イルスルファモイル基等が挙げられる。
【0030】
Qにおける炭素数3〜10の1価の複素環基としては、例えば、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ホモピレラジニル基、モルホリニル基、テオモルホリニル基等の脂環式複素環基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾイル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、ペンゾイミダゾリル基、プリニル基等の芳香族複素環基を挙げることができる。上記複素環基に置換可能なハロゲン原子としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0031】
mは、0〜5の整数であるが、好ましくは0〜3、より好ましくは1又は2である。
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子である。
【0032】
また、染料(a1)は、下記の(i)〜(vi)のうちの1以上の要件を満たすことを要する。
(i)R
1〜R
4のうち1以上が、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7及び−SO
2NHSO
2R
11よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。
(ii)R
1〜R
4のうち1以上が、−SO
2NHR
8及び−SO
2NR
8R
9よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。但し、R
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(iii)R
1〜R
4のうち1以上が、−R
6であるか、又は−R
6、−OR
6、−CO
2R
6及び−SO
3R
6よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。但し、R
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(iv)m個あるR
5のうち1以上が、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7又は−SO
2NHSO
2R
11である。
(v)m個あるR
5のうち1以上が、−SO
2NHR
8又は−SO
2NR
8R
9である。但し、R
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(vi)m個あるR
5のうち1以上が、−CO
2R
6又は−SO
3R
6である。但し、R
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上である。
【0033】
なお、染料(1a)が、要件(i)、(ii)及び(iv)〜(vi)のうちの1以上を満たす場合、要件(iii)の−R
6、−OR
6、−CO
2R
6、−SO
3R
6におけるR
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上であることを必ずしも要しない。
また、染料(1a)が、要件(i)〜(v)のうちの1以上を満たす場合には、要件(vi)の−CO
2R
6、−SO
3R
6においてR
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上であることを必ずしも要しない。
この場合において、R
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
【0034】
更に、染料(1a)が、要件(i)及び(iii)〜(vi)のうちの1以上を満たす場合、要件(ii)の−SO
2NHR
8、−SO
2NR
8R
9におけるR
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上であることを必ずしも要しない。
また、染料(1a)が、要件(i)〜(iv)及び(vi)のうちの1以上を満たす場合、要件(v)の−SO
2NHR
8、−SO
2NR
8R
9におけるR
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上であることを必ずしも要しない。
この場合において、R
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましい
【0035】
式(1)において、aは染料(a1)が電気的に中性となるように定まる整数であるが、aが0である染料(a1)は、R
1〜R
4のうちの1つが−SO
3-で置換された芳香族炭化水素基であるか、又はm個あるR
5のうちの1つが−SO
3-である。具体的には、下記式(1−1)で表すことができる。一方、aが1である染料(a1)は、R
1〜R
4のうち1以上が置換基を有する炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基である場合、該芳香族炭化水素基は置換基として−SO
3-以外の置換基を有しており、かつR
5は−SO
3-でない。具体的には、下記式(1−2)で表すことができる。
【0037】
〔式(1−1)において、
R
1〜R
5及びmは、それぞれ前記式(1)におけるR
1〜R
5及びmと同義である。但し、R
1〜R
4のうちの1つが−SO
3-で置換された芳香族炭化水素基であるか、又はm個あるR
5のうちの1つが−SO
3-である。〕
【0039】
〔式(1−2)において、
X
-、R
1〜R
5及びmは、は、それぞれ前記式(1)におけるX
-、R
1〜R
5及びmと同義である。但し、R
1〜R
4のうち1以上が置換基を有する炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基である場合、該芳香族炭化水素基は置換基として−SO
3-以外の置換基を有しており、かつR
5は−SO
3-でない。〕
【0040】
更に、より好ましい態様として、下記式(2)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0042】
〔式(2)において、
R
1a〜R
4aは、それぞれ独立に、水素原子、−R
6又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基(該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R
6、−OH、−OR
6、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
6、−SO
3R
6、−SO
2NH
2、−SO
2NHR
8、−SO
2NR
8R
9、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7又は−SO
2NHSO
2R
11で置換されていてもよい)を表す。;
R
5aは、それぞれ独立に、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
6、−SO
3R
6、−SO
2NHR
8、−SO
2NR
8R
9、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7又は−SO
2NHSO
2R
11を表す。;
R
6は、1価の飽和炭化水素基(該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−又は−NR
7−で置き換っていてもよい)を表す。;
R
7は、1価の炭化水素基(該炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は−R
11で置換されていてもよく、該炭化水素基は、−O−又は−CO−で連結されていてもよい)を表す。;
R
8及びR
9は、それぞれ独立に、1価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH
2又は−CH=CHR
6で置換されていてもよく、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−S−、−CO−、−NH−又は−NR
6−で置き換っていてもよい)を表す。;
R
10は、水素原子、1価の炭化水素基(該炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は−R
11で置換されていてもよく、該炭化水素基は、−O−又は−CO−で連結されていてもよい)又は−R
11を表す。;
R
11は、置換基を有しても良い1価の炭化水素基を表す。;
Qは、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の複素環基(該芳香族炭化水素基及び該複素環基に含まれる1個以上の水素原子は、−R
6、−OR
6及び−CH=CHR
6よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されており、該芳香族炭化水素基及び該複素環基に含まれる残余の水素原子は、−OH、−NO
2、−CH=CH
2又はハロゲン原子で置換されていてもよい)を表す。;
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。
nは、0〜4の整数を表す。但し、nが2以上の整数である場合、複数のR
5aは、同一であっても異なっていてもよい。;
但し、当該化合物は、下記の(i)〜(vi)のうちの1以上の要件を満たす。
(i)R
1a〜R
4aのうち1以上が、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7及び−SO
2NHSO
2R
11よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。
(ii)R
1a〜R
4aのうち1以上が、−SO
2NHR
8及び−SO
2NR
8R
9よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。但し、R
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(iii)R
1a〜R
4aのうち1以上が、−R
6であるか、又は−R
6、−OR
6、−CO
2R
6及び−SO
3R
6よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する芳香族炭化水素基である。但し、R
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(iv)n個あるR
5aのうち1以上が、−SO
2−O−N=CR
7R
10、−SO
2NHNHR
7、−SO
2SR
7又は−SO
2NHSO
2R
11である。
(v)n個あるR
5aのうち1以上が、−SO
2NHR
8又は−SO
2NR
8R
9である。但し、R
8、R
9で表わされる1価の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が11以上である。
(vi)n個あるR
5aのうち1以上が、−CO
2R
6又は−SO
3R
6である。但し、R
6で表わされる1価の飽和炭化水素基は、炭素数が11以上である。〕
【0043】
式(2)において、R
1a〜R
4aにおける炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基は、前述のR
1〜R
4における炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基と同義であり、具体的態様は上記において説明したとおりである。また、R
6〜R
11、Q及びMの具体的態様も上記において説明したとおりである。
また、−SO
3-はフェニル基のオルト位又はパラ位にあることが好ましく、オルト位にあることがより好ましい。
【0044】
染料(a1)は、適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、特開2010−254964号公報の実施例と同様の方法を挙げることができる。このようにして得られた染料(a1)は、シクロヘキサノン等のケトンを始めとする種々の有機溶媒に可溶であり、また優れた耐熱性を有する。
本発明において、染料(a1)は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
本発明の着色組成物は、着色剤として、染料(a1)と共に、更に他の着色剤(以下、「着色剤(a2)」とも称する)を含有することができる。着色剤(a2)としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
【0046】
他の着色剤(a2)としては、顔料、染料(a1)以外の染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、有機顔料、有機染料が好ましく、特に有機顔料が好ましい。
【0047】
上記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられるが、中でも、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等のレーキ顔料以外の有機顔料が好ましい。また、レーキ顔料の中では、トリアリールメタン系レーキ顔料、キサンテン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料が好ましく、トリアリールメタン系レーキ顔料およびキサンテン系レーキ顔料がより好ましい。
【0048】
本発明の着色組成物は、青色画素の形成に用いることが好ましい。この場合、(A)着色剤としては、本着色剤と共に、他の着色剤として、青色顔料、青色染料、紫色顔料及び紫色染料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。この場合、本着色剤の含有割合は、全着色剤中、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは1〜80質量%、更に好ましくは5〜60質量%であり、特に10〜40質量%が好ましい。
【0049】
本発明において着色剤(a2)として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0050】
本発明において着色剤(a2)として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0051】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等を、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0052】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0053】
本発明において着色剤(a2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0055】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0056】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0058】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0059】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0060】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0061】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0062】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0063】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0064】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0065】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0066】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0067】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0068】
−(C)架橋剤−
本発明において(C)架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0069】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0070】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0071】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及びビスフェノールAのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及びイソシアヌル酸のプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及びトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0072】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0073】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0074】
本発明における(C)架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0075】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0076】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。
【0077】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、これら化合物の群から選ばれる2種以上を混合して使用してもよい。
【0078】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0079】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0080】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0081】
なお、他の光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0082】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0083】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0084】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0085】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)架橋剤100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0086】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を
含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0087】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0088】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0089】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0090】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0091】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、他のエーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、他のエステル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。溶媒を混合して使用する場合は、少なくとも(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とアルコキシカルボン酸エステル類、乳酸アルキルエステル類と(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とを混合して使用することが好ましい。
【0092】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0093】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0094】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法を挙げることができる。着色剤として染料と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、染料と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0095】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0096】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、染料(a1)を含有する赤色の本発明の着色感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0097】
次いで、緑色又は青色の各着色感放射線性組成物を用い、上記と同様にして、各着色感放射線性組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、赤色、緑色及び青色の画素のうち少なくとも1つが本発明の着色組成物により形成されていればよい。また、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0098】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の顔料が分散された着色感放射線性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0099】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0100】
着色感放射線性組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0101】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0102】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0103】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0104】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0105】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0106】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0107】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、染料(a1)を含有する赤色の本発明の着色熱硬化性組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
【0108】
次いで、緑色又は青色の各着色熱硬化性組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、赤色、緑色及び青色の画素のうち少なくとも1つが本発明の着色組成物により形成されていればよい。また、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0109】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0110】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0111】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0112】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0113】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0114】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0115】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0116】
<本着色剤の合成>
合成例1
攪拌子を入れた100mLのナス型フラスコにクロロホルム25.2g、脱水DMF1.72gを加え、窒素気流下10℃以下に冷却し、塩化チオニル2.27g(1.38mL、19.1mmol)を添加して同温度で30分撹拌した。その後アシッドレッド289を3.5g(5.17mmol)を加え窒素気流下35℃で3時間攪拌した後、塩化チオニルを0.246g(0.149mL、2.07mmol)追添加し、同温度でさらに1.5時間撹拌を続けた。反応混合物を5℃に冷却し、同温度でドデシルアミン3.26g(17.6mmol)、トリエチルアミン5.46g(54.0mmol)を添加して10分撹拌後、40℃にて計15時間撹拌を続けた。反応混合物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮後、メタノールを12.3g添加して得られた溶液を液量が約半分になるまで再度濃縮した。次いでメタノール17.8gならびに酢酸1.23gを添加し、得られた混合物を室温で30分撹拌した。その後、前記の混合物を大量の水に滴下して赤色固体を析出させ、吸引ろ過にて濾取し十分に水洗した。得られた固体を少量のジイソプロピルエーテル、次いでヘキサンで十分洗浄後、60℃にて12時間減圧乾燥することにより4.13gの固体を得た(収率97.2%)。MSスペクトルにより、得られた赤色固体は下記式(A1)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−1)とする。
【0117】
【化5】
【0118】
合成例2
合成例1においてドデシルアミンに代えて、メチルエチルオキシムを用いた以外は、合成例1と同様にして着色剤を合成した。MSスペクトルより、得られた固体は下記式(A2)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−2)とする。
【0119】
【化6】
【0120】
合成例3
合成例1においてドデシルアミンに代えて、ベンズヒドラジドを用いた以外は、合成例1と同様にして着色剤を合成した。MSスペクトルより、得られた固体は下記式(A3)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−3)とする。
【0121】
【化7】
【0122】
合成例4
合成例1においてドデシルアミンに代えて、1−ドデカンチオールを用いた以外は、合成例1と同様にして着色剤を合成した。MSスペクトルより、得られた固体は下記式(A4)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−4)とする。
【0123】
【化8】
【0124】
合成例5
合成例1においてドデシルアミンに代えて、p−トルエンスルホンアミドを用いた以外は、合成例1と同様にして着色剤を合成した。MSスペクトルより、得られた固体は下記式(A5)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−5)とする。
【0125】
【化9】
【0126】
合成例6
合成例1においてアシッドレッド289に代えて、アシッドレッド52を用いた以外は、合成例1と同様にして着色剤を合成した。MSスペクトルより、得られた固体は下記式(A6)で表される化合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−6)とする。
【0127】
【化10】
【0128】
比較合成例1
特開2010−254964号公報の合成例1の記載に従って、染料の合成を行った。得られた化合物を着色剤(A−7)とする。
【0129】
溶解性の評価
合成例1で得られた着色剤(A−1)を秤量し、着色剤濃度が0.1重量%、1重量%及び5重量%となるようにシクロヘキサノンを加えた。これらのサンプルを、ミックスローターを用いて25℃で1時間攪拌し、その後速やかに目視にて溶解状態を確認した。その結果、着色剤(A−1)はシクロヘキサノンに対して、5重量%で完全に溶解することを確認した。
同様にして、着色剤(A−2)〜着色剤(A−7)及びアシッドレッド289について溶解性の評価を行った。着色剤(A−2)〜着色剤(A−6)は、シクロヘキサノンに対して5重量%で完全に溶解した。着色剤(A−7)は1重量%では完全に溶解したが、5重量%では溶解しなかった。さらに、アシッドレッド289は0.1重量%では溶解しなかった。
【0130】
<染料溶液の調製及び評価>
調製例1
着色剤(A−1)5質量部と、溶媒として乳酸エチル95質量部とを混合し、染料溶液(A−1)を調製した。
【0131】
調製例2〜6
調製例1において着色剤(A−1)に代えて、着色剤(A−2)〜着色剤(A−6)を用いた以外は、調製例1と同様にして染料溶液(A−2)〜染料溶液(A−6)を調製した。
【0132】
調製例7
調製例1において着色剤(A−1)に代えて、着色剤(A−7)を用いたが、着色剤(A−7)は乳酸エチルに完全には溶解せず、溶け残りが認められた。得られた染料懸濁液を染料溶液(A−7)とする。
【0133】
調製例8
調製例1において着色剤(A−1)に代えて、アシッドレッド289を用いたが、アシッドレッド289は乳酸エチルに溶解しなかった。得られた染料懸濁液を染料溶液(A−8)とする。
【0134】
<顔料分散液の調製>
調製例9
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−1)を調製した。
【0135】
<(B)バインダー樹脂の合成>
合成例7
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
【0136】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
顔料分散液(A−1)13.5質量部、染料溶液(A−1)7.2質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE369)1.8質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)を0.2質量部、及び溶媒として乳酸エチルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。
【0137】
得られた着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m
2の露光量で露光した。このようにして、基板上に青色の評価用硬化膜を形成した。
【0138】
コントラスト評価
硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、各々の硬化膜について、最大値を最小値で除した値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値y=0.080でのコントラスト比を求めた。評価結果を表1に示す。
【0139】
耐熱性の評価
硬化膜が形成された基板を、230℃のクリーンオーブン内で1時間ポストベークした。ポストベーク前後の基板について、色差(ΔEab*)を測定した。そして、ΔEab*が3.0未満の場合を「◎」、3.0以上5.0未満の場合を「○」、5.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0140】
電圧保持率(%)の評価
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成され、さらにITO(インジウム−酸化錫合金)電極を所定形状に蒸着したソーダガラス基板上に、得られた着色組成物をスピンコートした後、100℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの被膜を形成した。次いで、フォトマスクを介さずに、被膜に700J/m
2の露光量で露光した。その後、この基板を23℃の0.04質量%の水酸化カリウム水溶液からなる現像液に1分間浸漬して、現像した後、超純水で洗浄して風乾し、さらに230℃で30分間ポストベークを行い、被膜を硬化させて、永久硬化膜を形成した。次いで、この画素を形成した基板とITO電極を所定形状に蒸着しただけの基板とを、1.8mmのガラスビーズを混合したシール剤で貼り合わせた後、メルク製液晶(MLC6608)を注入して、液晶セルを作製した。次いで、液晶セルを60℃の恒温層に入れて、液晶セルの電圧保持率を液晶電圧保持率測定システム(VHR−1A型、東陽テクニカ社)により測定した。このときの印加電圧は5.5Vの方形波、測定周波数は60Hzとした。ここで電圧保持率とは、(16.7ミリ秒後の液晶セル電位差/0ミリ秒で印加した電圧)により求められる値である。液晶セルの電圧保持率が90%以下であると、液晶セルは16.7ミリ秒の時間、印加電圧を所定レベルに保持できず、十分に液晶を配向させることができないことを意味し、残像等の「焼き付き」を起こすおそれがある。
【0141】
実施例2〜6及び比較例1〜2
実施例1において、顔料分散液及び染料溶液の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0142】
【表1】