特許第6028542号(P6028542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028542
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】車両用計器の照明装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20161107BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G01D11/28 L
   B60K35/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-260508(P2012-260508)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-106171(P2014-106171A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋之
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲弘
(72)【発明者】
【氏名】高野 均
(72)【発明者】
【氏名】岩永 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄介
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−325312(JP,A)
【文献】 特開2011−247703(JP,A)
【文献】 特開2005−156180(JP,A)
【文献】 特開2003−254793(JP,A)
【文献】 特開2007−278793(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01843180(EP,A1)
【文献】 特開2012−073057(JP,A)
【文献】 特開2008−010286(JP,A)
【文献】 特開2000−340388(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0212978(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示する表示器と、
この表示器を照明する光源と、
この光源からの照明光を前記表示器に導く導光部材と、
前記光源から所定間隔おいて前記導光部材を保持する保持部材とを備え、
前記導光部材は、
前記表示器側に前記照明光を照射するための反射面を有する板厚が略均一な平板部と、
この平板部へ前記照明光を導入するための光調整部とを設け、
前記光調整部は、
前記光源からの照明光を受光する受光面と、
前記表示器の表示領域外に対応する前記平板部の所定箇所に集光するように前記受光面からの照明光を反射する反射曲面と、を有し、
前記保持部材は、前記平板部を保持する保持部を設ける
ことを特徴とする車両用計器の照明装置。
【請求項2】
前記光調整部の前記受光面は、前記光源に対向し前記光源からの照明光を受光して集光することを特徴とする請求項1に記載の車両用計器の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用計器の照明装置に関し、例えば、液晶表示パネルの表示画面など、所定の表示領域を照明する照明装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示パネルなどの表示器を備えた車両用計器にあっては、夜間等、暗い環境であっても、利用者が表示器を視認できるように、照明用の光源を備えているものがあり、種々提案されている。例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この車両用計器の照明装置にあっては、液晶表示パネルからなる表示器に対して裏面側(表示面と反対側)に設けられるバックライト光源からの照明光を、傾斜した反射面を有する導光体を用いて均一で効率よく透過照明するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−340388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この車両用計器の照明装置にあっては、導光体において大きな傾斜面を有するため、この傾斜面における保持構造が必要となり、導光体やこの導光体を保持するための保持部に発生する成形誤差を考慮した設計が必要となる問題があった。
【0006】
特に、車両用計器の使用環境により、各部品に熱変化による膨張や収縮があるため、熱膨張率の差や厚みの差によって導光体や該保持部との間に隙間が発生し、振動による異音の要因となる虞があり問題であった。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、この問題に着目してなされたものであり、成形などの誤差による振動を防止し、かつ効率よく照明することができる車両用計器の照明構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用計器の照明装置は、車両情報を表示する表示器と、この表示器を照明する光源と、この光源からの照明光を前記表示器に導く導光部材と、前記光源から所定間隔おいて前記導光部材を保持する保持部材とを備え、前記導光部材は、前記表示器側に前記照明光を照射するための反射面を有する板厚が略均一な平板部と、この平板部へ前記照明光を導入するための光調整部と、を設け、
前記光調整部は、
前記光源からの照明光を受光する受光面と、
前記表示器の表示領域外に対応する前記平板部の所定箇所に集光するように前記受光面からの照明光を反射する反射曲面と、を有し、
前記保持部材は、前記平板部を保持する保持部を設ける
ことを特徴とする。
【0009】
また、前記光調整部の前記受光面は、前記光源に対向し前記光源からの照明光を受光して集光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、車両用計器の照明装置に関し、成形などの誤差による振動を防止し、かつ効率よく照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における車両用計器の表示例を示す平面図。
図2】同上実施の形態における車両用計器の断面図。
図3】同上実施の形態における車両用計器の要部の断面図。
図4】同上実施の形態における導光部材の断面図。
図5】同上実施の形態における導光部材の光調整部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1から図5は本発明の実施の形態を示すもので、オートバイなどの二輪自動車に搭載される車両用計器Aを例にあげて説明する。この場合、車両用計器Aは、指針の指示によるアナログ式計器と液晶表示パネルを用いた表示器を設けている。
【0015】
本実施の形態による車両用計器Aは、例えば、図1,2に示すように、前輪の上部に設けられるコンビネーションメータからなるもので、図1に示すように外装部材である窓部11を備えた筐体1の内部には、速度計(スピードメータ)である周知な指針式の計器からなるアナログ式の指示計器(他の表示機器)2が収納固定されるとともに、この指示計器2の隣りにはフラットディスプレイパネルを備えたデジタル式表示部3が配置されている。なお、筐体1は、アクリルなどの透明樹脂からなる窓部11と、回路基板4などを収納するとともに回路基板4を保持する収納部12とを備えている。
【0016】
この場合、指示計器2を構成する計器駆動源の前面側には表示板21が取り付け固定され、指示計器2に設けられた指針22の指示と表示板21に施された目盛や文字などの表示部21aとが窓部11から臨むようにして対比判読できる。また、表示板21には、中央箇所に開口孔部21bが設けられ、この開口孔部21bを介してデジタル式表示部3の表示形態(車両の表示情報)が読み取れるように設けられている。また、表示板21と窓部11との間に空間Sが設けられており、この空間S内で指針22が回動可能に備えられている。
【0017】
デジタル式表示部3は、開口孔部21bを介して視認可能な略矩形板状からなる液晶表示パネル31と、この液晶表示パネル(表示器)31を収納する保持部材32と、回路基板4とコネクタ接続するための図示しない配線と、液晶表示パネル31の一辺側に対向し導光部材33をともに保持する保持部材32の周壁外側、即ち液晶表示パネル31の表示領域外に対応する箇所に、発光ダイオード(バックライト)34と、液晶表示パネル31と保持部材32との間に配置され、回路基板4に実装された発光ダイオード(光源)34に対向する受光面33aを有する導光部材33と、を備えている。なお、導光部材33の片側面には、照明光の均一性を高めるために、図示しない拡散シートやプリズムシートなどの光学フィルムを設けることもできる。
【0018】
液晶表示パネル31は、マトリクス状に設けられた画素(ドット)を有するドットマトリクス型である。詳細な構成については省略するが(図示せず)、ITOからなる透明電極が形成された前側ガラス基板と後側ガラス基板とを重ね合わせて周囲を封止剤で固定した後、各ガラス基板間に液晶分子を封入し、各ガラス基板に偏光膜を貼ったものである。また、後側ガラス基板の表面側の一端部(四角形の一端)には配線が固着されている。そして、該配線を通して透明電極に信号(電圧)が印加されると、液晶表示パネル31に例えば燃料計、水温計など車両状態を表示したり、表示車両の走行距離(ODO,TRIP)や時刻、外気温などの様々な情報が表示像として表示できるとともに、発光ダイオード34の点灯によって透過照明されるように構成されている。
【0019】
図3,4に示すように、導光部材33は、無色透明なアクリルあるいはポリカーボネートなどの合成樹脂からなり、液晶表示パネル31側に照明光を照射するための反射面31bを有する板厚が略均一な平板部331と、この平板部331へ照明光を導入するための光調整部332とが連続して形成される。
【0020】
平板部331は、液晶表示パネル31に対向する面が平滑で、この面と反対側には、微細な凹部(または凸部)からなるシボ形状が形成された反射面33bが設けられる。この場合、シボ形状は、均一な密度にて設けられるが、液晶表示パネル31への照明を均一化するために濃淡を設けることもできる。
【0021】
光調整部332は、発光ダイオード34からの照明光を屈折させる受光面33aと、この受光面33aからの照明光を平板部331へ反射する反射曲面33cとを有する。この場合、受光面33aは、板厚方向において凸形状で、図5に示すように、板面方向に対して凹形状に形成されている。この凸条の曲面を有する受光面33aによって、照明光を集光し効率よく反射曲面33cへ照射するように作用する。従って、受光面33aの凸形状の曲率は、発光ダイオード34の指向性や、発光ダイオード34と受光面33aとの距離、反射曲面33cの位置や範囲によって設定される。
【0022】
反射曲面33cは、平板部331の液晶表示パネル31側の面において表示領域(開口孔部21bによって定まる視認領域)以外の箇所と、平板部331の光調整部332から遠方側の反射面33bとに向けて主な照明光が照射するように曲率設定される。従って、反射曲面33cは、平板部331における液晶表示パネル31の表示領域(透過照明範囲)によって、曲率や傾斜角度が設定される。例えば、反射曲面33cは、該表示領域が狭く、より近距離での照射で良い場合には、より大きな曲率が設定される。
【0023】
この光調整部332は、主に発光ダイオードに対応して曲率設定される受光面33aと、平板部331を介した液晶表示パネル31の表示領域に対応して設定される反射曲面33cとによって、平板部331の形状が単純な平板形状であっても、効率よく所定の表示領域を照明することができる。また、光調整部332によって、均一な照明を計ることができる。
【0024】
保持部材32は、合成樹脂材からなり、導光部材33の平板部331を収納して保持する載置部(保持部)32aが形成され、導光部材33を発光ダイオード34や液晶表示パネル31に対して所定の間隔おいて保持する。この場合、保持部材32は、発光ダイオード34からの照明光を余計な箇所に露光せず、液晶表示パネル31へ効率よく照射させるための、白色の遮光素材にて形成される。なお、保持部材32には、反射面33bに沿って平行な平らな面が形成され、この面においても、液晶表示パネル31側へ照明光が反射するため効率の良い照明装置となる。
【0025】
また、保持部材32は、液晶表示パネル31を位置決め保持する表示器保持部32bが設けられ、回路基板4と液晶表示パネル31とのスペーサとして作用する。また、金属性の抑え部材35によって挟み込むようにして液晶表示パネル31及び導光部材33を保持できる。
【0026】
発光ダイオード34は、チップLEDを適用でき、導光部材33の受光面33aに対向するように回路基板4に実装される。
【0027】
回路基板4は、例えば、エポキシ系の樹脂材料からなる基板に銅箔の配線パターンを施した硬質のプリント基板を適用でき、コネクタ41の他に図示はしないが液晶表示パネル31や発光ダイオード34、または指示計器2を駆動させるためのモータ23、これを制御するためのマイクロコンピュータなどからなる制御回路42などの電子部品が実装されている。また、回路基板4には、指針22照明用の発光ダイオード24や、表示板21の表示部21a照明用の発光ダイオード25を設けている。
【0028】
斯かる車両用計器Aの照明装置は、車両情報を表示する液晶表示パネル31と、この液晶表示パネル31を照明する発光ダイオード34と、この発光ダイオード34からの照明光を液晶表示パネル31に導く導光部材33と、発光ダイオード34から所定間隔おいて導光部材33を保持する保持部材32とを備え、導光部材33は、液晶表示パネル31側に前記照明光を照射するための反射面33bを有する板厚が略均一な平板部331と、この平板部331へ前記照明光を導入するための光調整部332と、を設け、保持部材32は、平板部331を保持する載置部32aを設ける。
【0029】
従って、板厚が均一で単純な構造となる平板部331を保持対象とすることができるため、導光部材33の成形誤差や、これを保持する保持部材32の成形誤差、あるいは熱による膨張や収縮による部分的な隙間が発生しにくい構造となる。そのため、該成形などの誤差による振動を防止できる。特に、太陽光が当たり易く熱影響が過酷で、かつ振動の激しい二輪自動車に搭載される車両用計器に好適である。
【0030】
また、光調整部332は、発光ダイオード34に対向し発光ダイオード34からの照明光を受光して集光する受光面33aと、この受光面33aからの照明光を平板部331へ導く反射曲面33cと、を有することによって、単純な平板形状であっても効率よく被照明部材となる液晶表示パネル31を照明できる。
【0031】
また、反射曲面33cは、液晶表示パネル31の表示領域外に対応する平板部331の所定箇所に集光するように受光面33aからの照明光を反射することによって、平板部331の照明範囲に応じた効率の良い照明光の照射を行うことができる。
【0032】
なお、本発明の車両用計器の照明装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0033】
例えば、上述した実施の形態において、照明対象となる表示器として液晶表示パネル31を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、表示板用光源からの照明光を用いて表示板を透過照明する際の照明構造として、上述した平板部331や光調整部332と同様の構造の導光部材33を用いることによって、上述と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器の照明装置として適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
11 窓部
12 収納部
2 指示計器
21 表示板
21a 表示部
21b 開口孔部
22 指針
23 モータ
24,25 発光ダイオード
3 デジタル式表示部
31 液晶表示パネル(表示器)
32 保持部材
32a 載置部(保持部)
32b 表示器保持部
33 導光部材
33a 受光面
33b 反射面
33c 反射曲面
331 平板部
332 光調整部
34 発光ダイオード(光源)
35 抑え部材
4 回路基板
41 コネクタ
42 制御回路
A 車両用計器
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5