(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1面側から第2面側に至る挿通孔が形成されたボディ部材と、該ボディ部材の第1面側に搭載されたセンサ部と、前記挿通孔に挿通された前記センサ部の外部電極と、前記ボディ部材の第1面側で前記センサ部を覆うキャップ部材とを備えるセンサユニットにおいて、
前記キャップ部材の内部に設けられ、少なくとも前記センサ部の周囲を覆い、且つ前記挿通孔を塞ぐように前記ボディ部材の第1面側に接合されており、前記外部電極の一部をなす貫通電極、或いは前記外部電極に接続される内部配線が形成されたセラミックス部材と、
前記キャップ部材の内部において、前記センサ部の上部を覆うように前記セラミックス部材の一端部側に配置され、前記セラミックス部材との間の隙間を介して前記キャップ部材を介した圧力が導かれる封液室を前記セラミックス部材とともに形成する、セラミックスで形成された保護キャップ部材と
を備えることを特徴とするセンサユニット。
前記貫通電極或いは前記内部配線は、前記ボディ部材の第1面側に接合された前記セラミックス部材の端部とは異なる端部において幅広に形成されていることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
前記貫通電極或いは前記内部配線の少なくとも一部に沿うように形成されたシールド部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のセンサユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したセンサユニットは、センサ部が収容されている筐体の内部を密封(封止)するためにハーメチック構造とされている。具体的には、上述したセンサ部の検出信号を外部に出力する外部電極(金属ピン)が、上述した筐体に形成された挿通孔(金属ピンが挿通される孔)に挿通された状態でガラス材によって封着されたハーメチック構造とされている。
【0007】
このようなセンサユニットは、上記のハーメチック構造によって100MPa程度の耐圧性を実現することができるものの、ガラス材の強度を考慮すると、構造を何ら変更することなく、これ以上の耐圧性(例えば、200〜300MPa程度)を実現するのは難しいと考えられる。ここで、金属ピンの大径化或いは挿通孔の小径化を行ってガラス材の厚みを薄くし、或いはガラス材による金属ピンの封着長(ガラス材によって金属ピンが筐体に封着される長さ)を長くする構造の変更を行えば、耐圧性を向上させることができると考えられる。
【0008】
しかしながら、ガラス材の厚みを薄くすると、金属ピンと挿通孔の内壁との間隔が狭くなるため、金属ピンと筐体との間の寄生容量が増大してしまう。また、金属ピンの封着長を長くすると、金属ピンと筐体との間の誘電率が高い部分が増えるため、ガラス材の厚みを薄くした場合と同様に、金属ピンと筐体との間の寄生容量が増大してしまう。すると、ノイズが筐体から寄生容量を介して金属ピンに伝わる虞があるという問題が生ずる。
【0009】
また、センサユニットには、耐圧性の向上のみならず小型化が求められている。ここで、センサユニットを小型化するには、センサユニットを構成する各部材を小型化する必要があるが、各部材を小型化することによって寄生容量が増大してしまうことがある。例えば、筐体を小型化しようとすると、筐体に形成されている挿通孔も小径化する必要が生じ、これによりガラス材の厚みが薄くなって寄生容量が増大してしまう。このように、従来のセンサユニットは、小型化に伴って寄生容量が増大する可能性があるという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、小型で耐圧性を向上させることができ、更には寄生容量を低減することができるセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のセンサユニットは、第1面(S1)側から第2面(S2)側に至る挿通孔(T1、T2)が形成されたボディ部材(17、22)と、該ボディ部材の第1面側に搭載されたセンサ部(11)と、前記挿通孔に挿通された前記センサ部の外部電極(16、23)と、前記ボディ部材の第1面側で前記センサ部を覆うキャップ部材(15)とを備えるセンサユニット(1〜4)において、少なくとも前記センサ部の周囲を覆い、且つ前記挿通孔を塞ぐように前記ボディ部材の第1面側に接合されており、前記外部電極の一部をなす貫通電極、或いは前記外部電極に接続される内部配線(21a)が形成されたセラミックス部材(13、21)を備えることを特徴としている。
この発明によると、ボディ部材に形成された挿通孔に挿通される外部電極の一部をなす貫通電極、或いは外部電極に接続される内部配線が形成されたセラミックス部材によって、ボディ部材の第1面側に搭載されたセンサ部の周囲が覆われ、且つボディ部材に形成された挿通孔が塞がれるようにされている。
また、本発明のセンサユニットは、前記貫通電極或いは前記内部配線が、前記ボディ部材の第1面側に接合された前記セラミックス部材の端部とは異なる端部において幅広に形成されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサユニットは、前記センサ部が、前記キャップ部材を介して導かれる外部の第1圧力を受ける第1受圧面(11a)と、外部の第2圧力を受ける第2受圧面(11b)とを備えており、前記ボディ部材には、前記第2圧力を前記センサ部の前記第2受圧面に導く導圧路(C1)が形成されていることを特徴としている。
また、本発明のセンサユニットは、前記挿通孔が、前記導圧路の形成位置に応じて偏心した状態に形成されることを特徴としている。
また、本発明のセンサユニットは、前記セラミックス部材が、積層構造であることを特徴としている。
また、本発明のセンサユニットは、前記貫通電極或いは前記内部配線の少なくとも一部に沿うように形成されたシールド部材(41a〜41c)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボディ部材に形成された挿通孔に挿通される外部電極の一部をなす貫通電極、或いは外部電極に接続される内部配線が形成されたセラミックス部材が、ボディ部材の第1面側に搭載されたセンサ部の周囲を覆い、且つボディ部材に形成された挿通孔を塞ぐようにボディ部材の第1面に接合されているため、小型で耐圧性を向上させることができ、更には寄生容量を低減することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるセンサユニットについて詳細に説明する。尚、以下では、差圧・圧力伝送器に設けられていて、圧力、流量等の測定に用いられるセンサユニットを例に挙げて説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるセンサユニットの断面図である。
図1に示す通り、本実施形態のセンサユニット1は、センサ部11、支持台12、セラミックス部材13、保護キャップ14、金属キャップ15(キャップ部材)、金属ピン16(外部電極)、及び金属ボディ17(ボディ部材)を備える構成である。かかる構成のセンサユニット1は、金属キャップ15を介して封液室Rに導かれる圧力と、導圧路C1〜C3を介して導かれる圧力との差圧を測定し、その測定結果を示す信号を金属ピン16から外部に出力する。
【0016】
センサ部11は、金属キャップ15を介して封液室Rに導かれる外部の圧力(第1圧力)を受ける第1受圧面11aと、導圧路C1〜C3を介して導かれる外部の圧力(第2圧力)を受ける第2受圧面11bとを有しており、第1受圧面11aに加わる圧力と第2受圧面11bに加わる圧力との差圧を検出する。具体的に、センサ部11は、例えばシリコン単結晶の基板上に形成され、一方の面が第1受圧面11aにされるとともに他方の面が第2受圧面11bにされた受圧ダイアフラム(図示省略)と、受圧ダイアフラムの中央部及び周縁部にそれぞれ形成された第1,第2振動子(図示省略)とを備えており、第1受圧面11a及び第2受圧面11bの各々に加わる圧力の差圧に応じて第1,第2振動子の固有振動数が個別に変化する性質を利用して圧力(差圧)を検出する。
【0017】
支持台12は、絶縁材で形成された支持部材であり、封液室R内においてセンサ部11を固定支持する。具体的に、支持台12は、内部に形成された導圧路C3がセンサ部11の第2受圧面11bに向けて開口し、且つ封液室R内の液体(具体的には、シリコンオイル)がセンサ部11の第2受圧面11b側に侵入することがない状態にセンサ部11を固定支持する。
【0018】
セラミックス部材13は、セラミックスで形成された所定の厚みを有する略円柱形状の部材であって、一端部側に支持台12が搭載されるとともに、他端部側に金属ボディ17が接合される。尚、セラミックス部材13の他端部は、金属ボディ17の形状、センサ部11の入出力部の形状、及び金属ピン16の形状に合わせて適宜形状を変更しても良い。このセラミックス部材13は、センサユニット1の耐圧性を向上させるために設けられており、その厚みは高圧(例えば、200〜300MPa程度)で破壊が生じない程度の厚みに設定される。
【0019】
具体的に、セラミックス部材13の一端部には凹部が形成されており、支持台12はセンサ部11を支持した状態でこの凹部内に搭載される。つまり、セラミックス部材13は、少なくともセンサ部11及び支持台12の周囲を覆うように設けられている。また、セラミックス部材13に形成された上記凹部の中心部には、一端が金属ボディ17に形成された導圧路C1に連通し、他端が支持台12に形成された導圧路C3に連通する導圧路C2が形成されている。
【0020】
また、セラミックス部材13の周縁部(センサ部11及び支持台12の周囲を覆う部分)には、金属ピン16が貫通形成されている。つまり、セラミックス部材13には、金属ピン16の一部をなす貫通電極が形成されている。この金属ピン16は、例えばワイヤーボンディングされた接続線を介してセンサ部11と電気的に接続されており、センサ部11の検出信号を外部に出力するためのものである。
【0021】
ここで、金属ピン16は、セラミックス部材13に対して、例えばロウ付け、ハンダ付け、或いは接着剤による接着等がなされて接合されている。また、金属ピン16の端部16a(金属ボディ17が接合されたセラミックス部材13の他端部側とは異なる一端部側における端部)は、他の部分よりも幅広に形成されていてハーメチック構造とされている。これらは、センサユニット1の耐圧性を向上させて、封液室R内の液体が金属ピン16を伝って外部に漏れるのを防止するためである。
【0022】
保護キャップ14は、セラミックスで形成された略円板状の部材であり、センサ部11を保護するために設けられる。具体的に、保護キャップ14は、セラミックス部材13と同様の外径を有しており、センサ部11及び支持台12を覆うようにセラミックス部材13の一端部側に配置される。これにより、セラミックス部材13と保護キャップ14とによって封液室Rが形成される。尚、センサユニット1の使用時には、封液室R内に液体(例えば、シリコンオイル)が充填される。
【0023】
金属キャップ15は、有底円環状の部材であり、センサ部11、支持台12、セラミックス部材13、及び保護キャップ14を覆う保護部材である。つまり、金属キャップ15は、金属ボディ17の第1面S1側でセンサ部11を覆っている。この金属キャップ15は、その開口端の数箇所が金属ボディ17の第1面S1に溶接(スポット溶接)されている。この金属キャップ15の一部(例えば、側面)には、外部の圧力(第1圧力)を封液室Rに導くための導圧孔(図示省略)が形成されている。尚、センサユニット1の使用時には、金属キャップ15とセラミックス部材13及び保護キャップ14との間の隙間部に、封液室R内の液体(例えば、シリコンオイル)と同様の液体が充填される。
【0024】
金属ピン16は、前述の通り、センサ部11の検出信号を外部に出力するためのものであり、セラミックス部材13を貫通するよう形成されている。また金属ピン16は、金属ボディ17に形成された挿通孔T1に、金属ボディ17に接触しないように挿通されており、金属ボディ17の第2面S2側に延在するように形成されている。
【0025】
金属ボディ17は、金属キャップ15よりも大径の円柱形状部材である。この金属ボディ17には、金属ピン16が挿通される挿通孔T1と、外部の圧力(第2圧力)をセンサ部11の第2受圧面11bに向けて導く導圧路C1とが互いに交差しないように形成されている。挿通孔T1は、セラミックス部材13を貫通する金属ピン16の各々に対応した位置に設けられており、第1面S1側から第2面S2側に至るよう直線状に形成された孔である。これに対し、導圧路C1は、金属ボディ17の第1面S1の中央部から第2面S2側に向かって延び、途中で金属ボディ17の径方向に延びるよう形成されたL字形状の流路である。
【0026】
セラミックス部材13は、金属ピン16が金属ボディ17に形成された挿通孔T1にそれぞれ挿通されるよう、他端部が金属ボディ17の第1面S1に接合されている。つまり、セラミックス部材13は、金属ボディ17に形成された挿通孔T1を塞ぐように金属ボディ17の第1面S1側に接合されている。ここで、セラミックス部材13は、例えばロウ付け、ハンダ付け、或いは接着剤による接着等によって金属ボディ17の第1面S1に接合されている。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態によるセンサユニットの使用例を示す断面図であって、(a)は実使用状態の一例を示す断面図であり、(b)は実使用状態への組み込み方法を示す断面図である。センサユニット1は、
図2(a),(b)に示す通り、例えば差圧・圧力伝送器に設けられた受圧部Jに組み込まれた状態で使用される。この受圧部Jは、底面B側が流体の流路とされており、流路を流れる流体の流量を測定するために用いられるものである。
【0028】
この受圧部Jには、センサユニット1を収容する凹部Qが形成されている。この凹部Qは、センサユニット1が備える金属ボディ17の外径とほぼ同様の内径を有し、センサユニット1の高さ(金属ボディ17の第2面S2から金属キャップ15の最上部までの高さ)よりも僅かに大きな深みを有するものである。また、受圧部Jには、底面Bから凹部Qの底面に至る圧力流路P1と、底面Bから凹部Qの側面に至る圧力流路P2とが形成されている。尚、
図2では図示を省略しているが、圧力流路P1,P2の端部(受圧部Jの底面B側における端部)には、可撓性を有する隔壁板(ダイアフラム)が設けられており、流路を流れる流体が圧力流路P1,P2に流れ込まないようにされている。
【0029】
ここで、圧力流路P1は、圧力流路P2に導かれる圧力よりも高圧が導かれる流路(高圧側の流路)であって、圧力流路P2は、圧力流路P1に導かれる圧力よりも低圧が導かれる流路(低圧側の流路)である。例えば、受圧部Jの底面B側における流路の途中(圧力流路P1が形成されている位置と、圧力流路P2が形成されている位置の間)にオリフィス板(図示省略)が設けられることによって、圧力流路P1が高圧側の流路とされるとともに、圧力流路P2が低圧側の流路とされている。
【0030】
センサユニット1は、
図2(b)に示す通り、金属キャップ15が下を向くように(金属キャップ15が凹部Qの底面と対向するように)凹部Q内に収容され、
図2(a)に示す通り、金属ボディ17の第2面S2が全周に亘って治具Jに対して溶接等されることによって接合される。このとき、センサユニット1は、金属ボディ17に形成された導圧路C1と受圧部Jに形成された圧力流路P2とが連通するように治具Jに接合される。
【0031】
また、センサユニット1が受圧部Jに接合されることによって、受圧部Jの凹部Qとセンサユニット1の金属キャップ15とによって、圧力流路P1が連通する圧力室R10が形成される。この圧力室R10内には、センサユニット1の封液室R内の液体(例えば、シリコンオイル)と同様の液体が充填される。つまり、受圧部Jに形成された圧力流路P1、圧力室R10、並びにセンサユニット1内の封液室R及び隙間部(金属キャップ15とセラミックス部材13及び保護キャップ14との間)には、液体が充填されている。尚、受圧部Jは、フレームグラウンドFGに接続されている。
【0032】
次に、上記構成におけるセンサユニット1の動作について簡単に説明する。尚、ここでは、
図2(a)に示す差圧・圧力伝送器に設けられた受圧部Jに組み込まれた状態のセンサユニット1の動作を例に挙げて説明する。オリフィス板が設けられた流路に流体が流れると、オリフィス板によって流体に圧力損失が生じ、オリフィス板の上流側が高圧になる一方で、オリフィス板の下流側が低圧になる。
【0033】
オリフィス板の上流側における圧力は、受圧部Jに形成された圧力流路P1を介して圧力室R10に伝わり、センサユニット1の金属キャップ15に形成された不図示の導圧孔(或いは、金属キャップ15と金属ボディ17との間の隙間)、セラミックス部材13と保護キャップ14との間の隙間、及び封液室Rを順に介してセンサ部11の第1受圧面11aに伝わる。これに対し、オリフィス板の下流側における圧力は、受圧部Jに形成された圧力流路P2を介してセンサユニット1の金属ボディ17に導かれ、金属ボディ17に形成された導圧路C1、セラミックス部材13に形成された導圧路C2、及び支持台12に形成された導圧路C3を順に介してセンサ部11の第1受圧面11bに伝わる。すると、第1受圧面11aに加わる圧力と第2受圧面11bに加わる圧力との差圧がセンサ部11で検出され、その検出結果を示す信号が金属ピン16を介して外部に出力される。
【0034】
ここで、セラミックス部材13は、高圧(例えば、200〜300MPa程度)で破壊が生じない程度の厚みに設定される。また、セラミックス部材13を貫通するように形成された金属ピン16は、セラミックス部材13に接合されており、しかもその端部16aはハーメチック構造とされている。このため、圧力室R10から金属キャップ15等を介してセラミックス部材13に加わる圧力が200〜300MPa程度の高圧であったとしても、破壊が生ずることなく差圧を検出することができる。
【0035】
以上の通り、本実施形態のセンサユニット1は、金属ボディ17の第1面S1側に搭載されたセンサ部11の周囲を覆い、且つ金属ボディ17に形成された挿通孔T1を塞ぐように金属ボディ17の第1面S1側に接合されており、金属ピン16の一部をなす貫通電極が形成されたセラミックス部材13を備えているため、耐圧性を向上させることができる。
【0036】
尚、以上説明したセンサユニット1は、センサ部11を支持する支持台12と金属ボディ17との間にセラミックス部材13が介在する構成であった。セラミックス部材13は、少なくともセンサ部11の周囲を覆うように設けられていれば良いため、必要とされる耐圧性を確保することができるのであれば、セラミックス部材13の支持台12と金属ボディ17との間に介在する部位を省略することが可能である。
【0037】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態によるセンサユニットの断面図である。尚、
図3においては、
図1に示したセンサユニット1が備える部材と同様の部材については同一の符号を付してある。
図3に示す通り、本実施形態のセンサユニット2は、
図1に示すセンサユニット1が備えるセラミックス部材13に代えて積層構造のセラミックス部材21を設け、金属ボディ17に代えて金属ボディ22を設け、更には金属ピン16に代えて金属ピン23を設けたものである。
【0038】
セラミックス部材21は、外形形状が
図1に示すセラミックス部材13と略同一に形成された積層構造の部材であり、その内部には内部配線21aと導圧路C2とが互いに交差しないように形成されている。このセラミックス部材21は、積層した薄板状のシート部材を焼成することによって形成される。尚、セラミックス部材21をなすシート部材は、必要とされる耐圧性を確保し得る厚みを有するものが用いられる。
【0039】
内部配線21aは、セラミックス部材21の一端部から他端部に至るように形成された配線であり、例えばワイヤーボンディングされた接続線を介して一端がセンサ部11と電気的に接続されており、他端が金属ピン23に接続されている。具体的に、内部配線21aは、セラミックス部材21の周縁部(センサ部11及び支持台12の周囲を覆う部分)を通り、セラミックス部材21に形成された凹部の下方に回り込み、その凹部の下方において他端部に至るように形成されている。
【0040】
導圧路C2は、セラミックス部材21に形成された凹部の中心部から他端部側に向かって延び、途中でセラミックス部材21の径方向に延びるよう形成され、更に途中でセラミックス部材21の他端部に至るように形成された流路である。かかる形状に導圧路C2を形成するのは、
図3に示す通り、金属ボディ22の中央部に挿通孔T2が形成されており、直線状に導圧路C2を形成したのでは導圧路C2を金属ボディ22に形成された導圧路C1に連通させることができないからである。
【0041】
上記の内部配線21及び導圧路C2は、例えばセラミックス部材21をなすシート部材に貫通孔や溝を予め形成しておき、積層したシート部材を焼成することによって形成される。但し、内部配線21を形成する場合には、シート部材を積層する前に、シート部材に形成された貫通孔や溝に対して内部配線21の配線材料を充填しておく必要がある。
【0042】
金属ボディ22は、
図1に示す金属ボディ17と同様の径を有する円柱形状部材であり、複数の金属ピン23が挿通される1つの挿通孔T2と導圧路C1とが互いに交差しないように形成されている。挿通孔T2は、金属ボディ22の中央部において、第1面S1側から第2面S2側に至るよう直線状に形成された孔である。導圧路C1は、金属ボディ22の第1面S1において、セラミックス部材21に形成された導圧路C2と連通し得る位置から第2面S2側に向かって延び、途中で金属ボディ22の径方向に延びるよう形成されたL字形状の流路である。
【0043】
金属ピン23は、セラミックス部材21の他端部における略中央部に取り付けられており、セラミックス部材21に形成された内部配線21aと電気的に接続される。具体的に、セラミックス部材21の他端部における略中央部には、内部配線21aと電気的に接続された電極パッド(図示省略)が形成されており、金属ピン23は、この電極パッドに接合されることによってセラミックス部材21に形成された内部配線21aと電気的に接続されている。
【0044】
ここで、セラミックス部材21は、全ての金属ピン23が金属ボディ22に形成された挿通孔T2に挿通されるよう、他端部が金属ボディ22の第1面S1に接合されている。つまり、セラミックス部材21は、金属ボディ22に形成された挿通孔T2を塞ぐように金属ボディ22の第1面S1側に接合されている。ここで、セラミックス部材21は、例えばロウ付け、ハンダ付け、或いは接着剤による接着等によって金属ボディ22の第1面S1に接合されている。
【0045】
本実施形態のセンサユニット2は、第1実施形態のセンサユニット1と同様に、例えば
図2(a)に示す差圧・圧力伝送器に設けられた受圧部Jに組み込まれた状態で使用される。ここで、セラミックス部材21は、高圧(例えば、200〜300MPa程度)で破壊が生じないように形成されおり、その内部には内部配線21aが形成されている。このため、
図2(a)に示す圧力室R10から金属キャップ15等を介してセラミックス部材21に加わる圧力が200〜300MPa程度の高圧であったとしても、破壊が生ずることなく差圧を検出することができる。
【0046】
以上の通り、本実施形態のセンサユニット2は、金属ボディ22の第1面S1側に搭載されたセンサ部11の周囲を覆い、且つ金属ボディ17に形成された挿通孔T2を塞ぐように金属ボディ22の第1面S1側に接合されており、金属ピン23に接続される内部配線21aが形成されたセラミックス部材21を備えているため、
図1に示すセンサユニット1と同様に、耐圧性を向上させることができる。また、本実施形態のセンサユニット2は、全ての金属ピン23が金属ボディ22に形成された挿通孔T2に挿通されており、金属ピン23と挿通孔T2の内壁との間隔を広げることができるため、寄生容量を低減することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
図4は、本発明の第3実施形態によるセンサユニットの断面図である。尚、
図4においては、
図3に示したセンサユニット2が備える部材と同様の部材については同一の符号を付してある。
図4に示す通り、本実施形態のセンサユニット3は、
図3に示すセンサユニット2を全体的に小型化し、これに応じて金属ピン23が挿通される挿通孔T2を偏心させるとともに、セラミックス部材21における内部配線21aの形成位置及び金属ピン23の取り付け位置を変更したものである。
【0048】
図3に示すセンサユニット2の通り、金属ボディ22の中央部に挿通孔T2が形成されていると、金属ボディ22を小型化した場合に、導圧路C1と挿通孔T2との間隔が狭くなって十分な強度が得られず、必要とされる耐圧性を確保できなくなる可能性が考えられる。このため、本実施形態のセンサユニット3は、導圧路C1の形成位置に応じて挿通孔T2を偏心した状態に形成し、これに伴ってセラミックス部材21における内部配線21aの形成位置及び金属ピン23の取り付け位置を変更している。ここで、挿通孔T2の偏心量は、例えば導圧路C1の周りに発生する応力の均衡がとれるか否か等を考慮して決定するのが望ましい。
【0049】
以上の通り、本実施形態のセンサユニット3は、基本的には
図3に示すセンサユニット2と同様の構成であるため、耐圧性を向上させることができるとともに寄生容量を低減することができる。また、本実施形態のセンサユニット3は、導圧路C1の形成位置に応じて挿通孔T2が偏心した状態に形成されているため、必要とされる耐圧性を確保しつつ小型化を実現することが可能である。加えて、挿通孔T2が偏心しているため、セラミックス部材21と金属ボディ22との軸周りの位置合わせを容易に行うことができ、センサユニット3を効率良く製造することができる。
【0050】
〔第4実施形態〕
図5は、本発明の第4実施形態によるセンサユニットの断面図である。尚、
図5においては、
図3に示したセンサユニット2が備える部材と同様の部材については同一の符号を付してある。
図5に示す通り、本実施形態のセンサユニット4は、
図3に示すセンサユニット2に設けられるセラミックス部材21内に、内部配線21aの少なくとも一部に沿うようにされたシールドパターン41a〜41c(シールド部材)を形成して寄生容量を低減したものである。
【0051】
図5に示す例において、シールドパターン41a,41bは、例えばセラミックス部材21に形成された内部配線21aのうち、セラミックス部材21をなすシート部材の面内方向に延びる部分をシート部材の積層方向に挟むように形成されている。このようなシールドパターン41a,41bは、例えば積層構造であるセラミックス部材21の任意の層に金属層をパターニングすることによって形成される。尚、これらシールドパターン41a,41bは貫通電極42によって電気的に接続されている。また、
図5に示す例では、シールドパターン41cが、シート部材の積層方向に延びる内部配線21aの一部に沿うように形成されている。
【0052】
ここで、
図5に示すセンサユニット4では、金属キャップ15の開口端の数箇所がセラミックス部材21のシールドパターン41aが形成された層に溶接(スポット溶接)されている。具体的には、セラミックス部材21のシールドパターン41aが形成された層に円環形状の金属部材が接合されており、この金属部材に金属キャップ15の開口端の数箇所が溶接されている。尚、
図3に示すセンサユニット2と同様に、金属キャップ15の開口端の数箇所が金属ボディ22の第1面S1に溶接されていても良い。
【0053】
以上の通り、本実施形態のセンサユニット4は、基本的には
図3に示すセンサユニット2と同様の構成であるため、耐圧性を向上させることができるとともに寄生容量を低減することができる。ここで、本実施形態のセンサユニット4は、セラミックス部材21内に形成された内部配線21aの少なくとも一部に沿うようにシールドパターン41a〜41cが形成されているため、
図3に示すセンサユニット2よりも寄生容量を低減することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態によるセンサユニットについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態で説明したセンサユニット1〜4は、差圧・圧力伝送器に設けられた受圧部Jに組み込まれて圧力流路P1に導かれる圧力と圧力流路P2に導かれる圧力との差圧を検出するものとして用いられていた。しかしながら、圧力流路P2側を真空状態にし、或いは大気圧開放状態にすれば、センサユニット1〜4を、圧力流路P1に導かれる圧力を検出するものとして用いることも可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、センサ部11が、振動式のもの(圧力の差圧に応じて第1,第2振動子の固有振動数が個別に変化する性質を利用して圧力(差圧)を検出するもの)である場合を例に挙げて説明したが、センサ部11は、振動式以外のもの(例えば、抵抗式のもの、容量式のもの)であっても良い。また、上記実施形態では、圧力、流量等の測定に用いられるセンサユニットを例に挙げて説明したが、本発明は、圧力(差圧)以外の物理量(例えば、温度)の測定に用いられるセンサユニットにも適用可能である。
【0056】
また、上記第1〜第4実施形態を組み合わせることも可能である。例えば、第2,第3実施形態における積層構造のセラミックス部材21に代えて第1実施形態における積層構造ではないセラミックス部材13を設けても良い。また、第2〜第4実施形態における内部配線21aの一端部を、第1実施形態の金属ピン16の端部16aのように、他の部分よりも幅広に形成しても良い。また、第4実施形態のシールドパターン41a〜41cと同様のものを、第1実施形態の金属ピン16に対して設けても良い。