特許第6028558号(P6028558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6028558情報処理方法、情報処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028558
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   G06F17/30 310Z
   G06F17/30 340A
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-277493(P2012-277493)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-120141(P2014-120141A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105142
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲次
(72)【発明者】
【氏名】光石 豊
【審査官】 齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−012144(JP,A)
【文献】 特開2012−230496(JP,A)
【文献】 特開2012−133583(JP,A)
【文献】 特開2009−008684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
ユーザの現在の位置に関連する情報に基づいて、前記ユーザの利用予定駅の候補を決定し、
前記利用予定駅の候補が属する路線が選択される確率を示す変数と、前記路線が選択された場合に前記利用予定駅の候補が選択される確率を示す変数とを含むパラメータを算出し、
前記パラメータに基づいて、前記利用予定駅の候補のなかから前記ユーザの利用予定駅を決定し、
前記利用予定駅に関連する情報に対応した、前記ユーザへの情報発信を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
決定された前記利用予定駅に対応する広告情報を出力することを更に含むことを特徴とする請求項記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記利用予定駅の候補を決定することは、前記テキストの文字列のうち、前記位置にいることを示す文字列に隣接する文字列を抽出することを含む請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記利用予定駅の候補を決定することは、複数の前記テキストの文字列から、複数の位置に関する情報を抽出することを含み、
前記パラメータの算出は、前記利用予定駅の候補が属する路線が選択され、且つ、前記路線が選択された場合に前記利用予定駅の候補が選択される事象が、前記複数の位置に関する情報に対応する位置の全てにおいて発生する確率を示す確率モデルを生成し、前記確率モデルに含まれる前記パラメータを算出することを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記ユーザの発信情報におけるテキストの文字列は、前記文字列が入力された日時を示す情報と対応付けられて記憶部に格納されており、
前記複数の位置に関する情報を抽出することは、所定の基準よりも新しい前記日時に対応する前記文字列から、複数の位置に関する情報を抽出することを含む請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
ユーザの現在の位置に関連する情報に基づいて、前記ユーザの利用予定駅の候補を決定する利用候補駅抽出部と、
前記利用予定駅の候補が属する路線が選択される確率を示す変数と、前記路線が選択された場合に前記利用予定駅の候補が選択される確率を示す変数とを含むパラメータを算出する確率算出部と、
前記パラメータに基づいて、前記利用予定駅の候補のなかから前記ユーザの利用予定駅を決定する利用予定駅決定部と、
前記利用予定駅に関連する情報に対応した、前記ユーザへの情報発信を行う情報発信部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザの現在の位置に関連する情報を抽出する位置情報抽出部を更に有することを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置に、
ユーザの現在の位置に関連する情報に基づいて、前記ユーザの利用予定駅の候補を決定する処理と、
前記利用予定駅の候補が属する路線が選択される確率を示す変数と、前記路線が選択された場合に前記利用予定駅の候補が選択される確率を示す変数とを含むパラメータを算出する処理と、
前記パラメータに基づいて、前記利用予定駅の候補のなかから前記ユーザの利用予定駅を決定する処理と、
前記利用予定駅に関連する情報に対応した、前記ユーザへの情報発信を行う処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やスマートフォン等に代表される端末には、GPS(Global Positioning System)のような測位機能が、一般的に搭載されてきている。そのため、端末のユーザは、端末を用いて、現在位置を測位できると共に、その位置の情報を、ネットワークを介してサーバへ送信することによって、位置に応じた様々なサービス情報を受信することができる。近年では、ユーザの位置情報に基づいて最寄り駅を検索し、検索した最寄り駅の駅周辺の施設やサービス等の広告をユーザに配信するサービスが、サービス提供業者によって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−171876号公報
【特許文献2】特開2008−198132号公報
【特許文献3】特開2009−110159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、端末のユーザは、ユーザの位置情報に基づいて検索された最寄り駅を必ず利用するとは限らない。例えば、移動の容易さや運賃等の要因により、最寄り駅を利用せずに路線の異なる他の駅を利用することも考えられる。ユーザが最寄り駅と異なる駅を利用した場合、サービス提供業者から配信された広告がユーザにとって有用でない可能性がある。
【0005】
本発明の1つの側面では、端末のユーザが利用する駅を推定する精度を向上させることが可能な情報処理方法、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一観点によれば、情報処理装置が、ユーザの現在の位置に関連する情報と、該現在の位置の後の移動先に関連する情報を、該ユーザの発信情報から解析し、前記移動先に関連する情報に対応した、前記ユーザへの情報発信を行う情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一実施態様によれば、端末のユーザが利用する駅を推定する精度を向上させることが可能な情報処理方法、情報処理装置、情報処理システムおよびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態における、情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態における、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態における、情報処理システムによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、入力テキストの情報から位置情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、入力テキストテーブルの一例を示す図である。
図6図6は、位置情報抽出テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、現在位置情報テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、利用予定駅の決定方法を説明するための、各駅の位置を示す地図の一例を示す図である。
図9図9は、駅の位置情報を示す駅テーブルの一例を示す図である。
図10図10は、利用予定駅の推定結果を格納する利用予定駅テーブルの一例を示す図である。
図11図11は、ユーザの利用予定駅を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、対象ユーザの現在位置情報を抽出した結果の一例を示す図である。
図13図13は、現在位置情報毎に利用予定駅の候補を決定した結果の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態における、確率モデルの各パラメータの数値の一例を示す図である。
図15図15は、利用予定駅の推定結果を格納する利用予定駅テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図9を参照して具体的に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態における、情報処理システムの一例を示す図である。図1に示すように、情報処理システムは、情報処理装置10と広告提供装置30とを有している。情報処理装置10と広告提供装置30とは、無線を介して端末50と相互に通信可能に接続されている。
【0011】
情報処理装置10は、ユーザの現在の位置に関連する情報と、該現在の位置の後の移動先に関連する情報を、該ユーザの発信情報から解析する解析部の一例であり、ユーザが利用する駅を推定する装置である。なお、現在の位置に関連する情報とは、ユーザの発信内容から得られる情報であり、位置に関する最新(最終)の情報である。情報処理装置10は、例えばサーバである。情報処理装置10が実行する処理の方法については後述する。
【0012】
広告提供装置30は、ユーザの移動先に関連する情報に対応した、ユーザへの情報発信を行う情報発信部の一例であり、情報処理装置10が推定した、ユーザが利用する駅の周辺の広告を当該ユーザに配信する装置である。
【0013】
端末50は、広告提供装置30から広告配信サービスを受けるユーザが所有する端末であり、例えば携帯電話、スマートフォンまたはタブレット端末等である。
【0014】
以下、情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2は、本発明の実施形態における、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、ストレージ装置64、ネットワークインタフェース65、及び可搬型記憶媒体用ドライブ66等を備えている。
【0016】
情報処理装置10の構成各部は、バス67に接続されている。ストレージ装置64は、例えばHDD(Hard Disk Drive)である。情報処理装置10では、ROM62あるいはストレージ装置64に格納されているプログラム(情報処理プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ66が可搬型記憶媒体68から読み取ったプログラム(情報処理プログラムを含む)をCPU61等のプロセッサが実行することにより、情報処理装置10の機能が実現される。
【0017】
以下、情報処理装置10を構成する各部の機能について説明する。
【0018】
図1に示すように、情報処理装置10は、第1記憶部11と、第2記憶部12と、入力テキスト情報受信部13と、位置情報抽出部14と、位置情報取得部15と、利用候補駅抽出部16と、確率算出部17と、利用予定駅決定部18と、利用予定駅情報送信部19とを備えている。
【0019】
第1記憶部11は、例えば図2のROM62、ストレージ装置64、可搬型記憶媒体用ドライブ66あるいは可搬型記憶媒体68に対応し、端末のユーザが利用する駅を推定する処理を実行するための情報処理プログラムを記憶することができる。
【0020】
第2記憶部12は、例えば図2のROM62、RAM63、ストレージ装置64、可搬型記憶媒体用ドライブ66あるいは可搬型記憶媒体68に対応し、本発明の処理に用いる各種情報を記憶するためのデータベース(DB;Data Base)として用いられる。
【0021】
入力テキスト情報受信部13は、ユーザが端末50に入力した入力テキストの情報を、端末50から受信する。入力テキストは、例えばユーザがTwitter(登録商標)のサービスを利用する際に入力した文章(ツイートとも呼ばれる)である。Twitterを利用する場合、入力テキストの文字数は、例えば140文字以内に制限されている。入力テキスト情報受信部13は、端末50と相互に通信可能に接続されており、例えば図1のネットワークインタフェース65によって実現される。
【0022】
位置情報抽出部14は、入力テキスト情報受信部13が受信した入力テキスト情報を用いて、第2記憶部12に格納されている位置情報抽出テーブルから、ユーザの位置情報を抽出する。ユーザの位置情報を抽出する方法の詳細については後述する。
【0023】
位置情報取得部15は、第2記憶部12に格納されている現在位置情報テーブルから、ユーザの現在位置情報を取得する。位置情報取得部15は、例えば図1のCPU61あるいはMPU等のプロセッサによって実現される。
【0024】
利用候補駅抽出部16は、位置情報取得部15によって取得されたユーザの位置情報に基づいて、第2記憶部12に格納されている駅テーブルから、ユーザが利用する駅の候補である利用候補駅を抽出する。利用候補駅抽出部16は、例えば図2のCPU61あるいはMPU等のプロセッサによって実現される。
【0025】
確率算出部17は、利用候補駅抽出部16によって抽出された全ての利用候補駅と、各々の利用候補駅が属する全ての路線について、ユーザがある路線を選択する確率と、ある路線を選択した場合にある駅を利用する確率とをパラメータとした確率モデル(尤度関数とも呼ばれる)を生成する。そして、確率算出部17は、生成した確率モデルから、ユーザがある路線を選択する確率と、ある路線を選択した場合にある駅を利用する確率とを最尤推定法により算出する。確率算出部17は、例えば図1のCPU61あるいはMPU等のプロセッサによって実現される。
【0026】
利用予定駅決定部18は、確率算出部17によって算出されたユーザがある路線を選択する確率と、ある路線を選択した場合にある駅を利用する確率とに基づいて、ユーザが利用する確率が高い駅を決定する。利用予定駅決定部18は、例えば図1のCPU61あるいはMPU等のプロセッサによって実現される。なお、利用予定駅決定部18が実行する処理方法の詳細については後述する。
【0027】
以下、広告提供装置30を構成する各部の機能について説明する。
【0028】
図1に示すように、広告提供装置30は、第3記憶部31と、第4記憶部32と、利用予定駅情報受信部33と、広告情報抽出部34と、広告情報送信部35とを備えている。
【0029】
第3記憶部31は、ユーザに広告を提供する処理を実行するための広告提供プログラムを記憶することができる。第4記憶部32は、ユーザに広告を提供する処理に用いる各種情報を記憶するためのDBとして用いられ、ユーザに提供する広告情報が格納されている。第3記憶部31および第4記憶部32は、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、HDD等のストレージ装置、あるいはメモリカード等の可搬型記憶媒体である。
【0030】
利用予定駅情報受信部33は、情報処理装置10の利用予定駅情報送信部19と通信可能に接続され、利用予定駅情報送信部19からユーザの利用予定駅の情報を受信する。利用予定駅情報受信部33は、例えばネットワークインタフェースによって実現される受信器である。
【0031】
広告情報抽出部34は、利用予定駅情報受信部33が受信したユーザの利用予定駅の情報に基づいて、当該利用駅に対応する広告情報を第4記憶部32から抽出する。広告情報抽出部34は、例えばCPUあるいはMPU等のプロセッサによって実現される。CPUあるいはMPU等のプロセッサが、第3記憶部31に格納されている広告提供プログラムの命令を実行することによって、広告情報抽出部34が実現される。
【0032】
広告情報送信部35は、広告情報抽出部34によって抽出された広告情報を、ユーザが所有する端末50に送信する。広告情報送信部35は、例えばネットワークインタフェースによって実現される送信器である。
【0033】
次に、本発明の実施形態における、情報処理装置10による情報処理方法について説明する。
【0034】
図3は、本発明の実施形態における、情報処理システムによる情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ユーザの入力テキストの情報から位置情報を取得し、現在位置情報テーブルに登録する(S101)。ここで、入力テキストの情報から位置情報を取得する処理について説明する。
【0036】
図4は、入力テキストの情報から位置情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、入力テキスト情報受信部13は、ユーザがツイッターを利用する際に入力した最新の入力テキスト情報を、端末50から受信する(S201)。そして、受信した最新の入力テキスト情報は、第2記憶部12に格納されている入力テキストテーブルに新規入力テキストとして登録される。
【0038】
入力テキスト情報を受信する方法としては、例えば、端末に入力された入力テキストの情報を所定のサーバに蓄積しておく。そして、情報処理装置10から必要に応じて当該サーバに問合せを行い、未受信の入力テキストがある場合にその情報を取得する、といった方法を採用することができる。あるいは、端末に入力テキストが入力される度に、入力テキストテーブルに順次登録されるようにすることもできる。
【0039】
図5は、入力テキストテーブルの一例を示す図である。入力テキスト情報は、日時、ユーザIDおよび入力テキストの各情報を含み、図5に示すように、入力テキストテーブルには、日時、ユーザID、入力テキスト、および処理済フラグの各情報が対応付けられて登録されている。日時欄には、ユーザが入力テキストの入力を行った年月日、および時間を示す情報が格納されている。なお、図5に示す例では、ISO(International Organization for Standardization)8601に準拠した方法で日時を表記しているが、他の表記法に従うこともできる。ユーザID欄には、個々のユーザを識別するための識別子が格納されている。入力テキスト欄には、端末に入力した上述の入力テキストが格納されている。処理済フラグは、図3のS101の処理が行われたかどうかを示すフラグである。例えば、S101の処理が行われた場合は「1」、S101の処理が行われていない場合は「0」が処理済フラグ欄に格納される。
【0040】
図4に戻り、位置情報抽出部14は、入力テキストテーブルから新規入力テキストを読み出す。位置情報抽出部14は、入力テキストテーブルから新規入力テキストを読み出した際に、読み出した新規入力テキストに対応する処理済フラグ欄を「0」から「1」に更新する。そして、位置情報抽出部14は、入力テキスト情報受信部13が受信した新規入力テキストの文字列から、位置情報に関連する文字列を抽出する(S202)。位置情報に関連する文字列を抽出する方法としては、例えば、「に到着」、「にいます」、「なう」等のキーワード(鍵となる文字列)を手掛かりに、それらの文字列の直前の単語を位置情報に関連する文字列として抽出する等の方法を用いることができる。このように、ユーザがその場にいることを示すキーワードに隣接する文字列を抽出することにより、例えば「札幌に行きたい」等のような、ユーザが実際にいない場所に関連する位置情報が抽出されることを防ぐことができる。なお、位置情報に関連する文字列を抽出する他の方法としては、例えば特開2008−198132号公報に開示されている、固有表現抽出と呼ばれる方法を利用することもできる。
【0041】
続いて、位置情報抽出部14は、位置情報に関連する文字列が抽出されたかどうかを判定する(S203)。位置情報に関連する文字列が抽出されたと判定されなかった場合(S203否定)、すなわち、位置情報抽出テーブルから位置情報に関連する文字列を抽出できなかった場合、S201に戻る。例えば、新規入力テキストの文字列が「オープン・インターネットを守ろう。」である場合、位置情報に関連する文字列が抽出されたと判定されない。
【0042】
一方、位置情報に関連する文字列が抽出された場合(S203肯定)、位置情報抽出部14は、位置情報抽出テーブルを参照し、位置情報に関連する文字列に対応する位置情報を抽出する(S204)。
【0043】
図6は、位置情報抽出テーブルの一例を示す図である。位置情報抽出テーブルは、例えば第2記憶部12に格納されている。図6に示すように、位置情報抽出テーブルには、住所または建造物等の目印(ランドマーク)を示す情報と、位置情報とが対応付けられて記憶されている。位置情報は、例えば緯度および経度の情報である。位置情報抽出部14は、位置情報抽出テーブルを検索することにより、位置情報に関連する文字列に対応する位置情報を取得することができる。
【0044】
例えば、新規入力テキストの文字列が「ライブハイスXYZに到着!」である場合、「に到着」の文字の直前の「ライブハイスXYZ」を抽出する。そして、図6に示す位置情報抽出テーブルから、抽出した「ライブハイスXYZ」に対応する位置情報として「33.1322,134.9898」を取得することができる。
【0045】
なお、新規入力テキストの文字列に複数の位置情報に関連する文字列が含まれる場合は、予め設定しておいた方法、例えば、最初に抽出された文字列を採用する方法、最後に抽出された文字列を採用する方法、または複数の位置情報の重心(平均)を採用する方法等に則って抽出された情報を位置情報とすることも可能である。
【0046】
また、抽出された文字列に対する位置情報が複数存在する場合には、例えば特開2009−110159号公報に開示されているように、位置情報に関する任意の曖昧性解消手法を利用することも可能である。
【0047】
なお、抽出された文字列により位置情報抽出テーブルを検索する際、抽出された文字列と位置情報抽出テーブル中の文字列との完全一致による必要はなく、近似マッチングによる検索手法や、抽出された文字列を正規化後に完全一致検索する手法等の、任意の手法を用いることができる。ここで、文字列を正規化する方法としては、例えば「P県Q市R町1丁目1番1号」を「P県Q市R町1−1−1」に変換するような、住所の簡略表記への変換方法を用いることができる。
【0048】
図4に戻り、位置情報抽出部14は、位置情報が抽出されたかどうかを判定する(S205)。位置情報が抽出されたと判定されなかった場合(S205否定)、すなわち、位置情報抽出テーブルに位置情報に関連する文字列が存在しなかった場合、S201に戻る。
【0049】
一方、位置情報が抽出されたと判定された場合(S205肯定)、位置情報を現在位置情報として、第2記憶部12に格納されている現在位置情報テーブルに登録する(S206)。
【0050】
図7は、現在位置情報テーブルの一例を示す図である。図7に示すように、現在位置情報テーブルには、日時と、ユーザIDと、現在位置情報(緯度および経度の情報)とが対応付けられて記憶されている。現在位置情報テーブルは、例えば第2記憶部12に格納されている。
【0051】
以上のようにして、情報処理装置10は、入力テキストの情報から位置情報を取得する処理を実行する。
【0052】
図3に戻り、S102において、位置情報取得部15は、現在位置情報の件数が所定の数を超えているかどうかを判定する(S102)。所定の数は、例えば5である。現在位置情報の件数が所定の数を超えていると判定されなかった場合(S102否定)、S104に進む。
【0053】
S104において、利用予定駅決定部18は、ユーザの最新の日時の現在位置情報に基づいて最寄り駅を決定し、この最寄り駅を利用予定駅の推定結果とみなして利用予定駅テーブルに格納する処理を実行する。利用予定駅の推定精度は、現在位置情報の件数が少ないほど低下する。このため、ユーザが利用する可能性が比較的高い最寄り駅を利用予定駅とみなしている。
【0054】
図8は、利用予定駅の決定方法を説明するための、各駅の位置を示す地図の一例を示す図である。図8に示されているA線およびB線は、ともに鉄道の路線であり、互いに略平行して配置されている。A線には、図面の左からa1駅およびa2駅が配置されている。B線には、図面の左からb1駅、b2駅およびb3駅がこの順序で配置されている。
【0055】
図9は、駅の位置情報を示す駅テーブルの一例を示す図である。図9に示すように、駅テーブルには、路線名、駅名および位置情報が対応付けられて格納されている。図8には、a1駅、a2駅、b1駅、b2駅およびb3駅の5つの駅が示されており、図9には、各々の駅の位置情報(緯度および経度の情報)が格納されている。
【0056】
ユーザID「98765」を持つユーザを、利用予定駅を推定する対象ユーザとする。図7を参照すると、対象ユーザの最新の日時における現在位置情報は「33.1322,134.9898」であることがわかる。S102否定と判定された場合、利用予定駅決定部18は、駅テーブルを参照しながら最新の日時における現在位置からの最寄り駅を検索する。具体的には、利用予定駅決定部18は、対象ユーザの現在位置と駅テーブルに格納されている各駅の位置との距離を算出し、最短距離の駅を最寄り駅として選択する。その結果、現在位置情報「33.1322,134.9898」に最も近い位置にあるa1駅が最寄り駅として選択される。なお、最短距離が所定の距離(例えば1km)を超える場合は、最寄り駅なしとの算出結果を出力することもできる。この方法によれば、ユーザが移動する可能性が低い駅が最寄り駅として選択されるのを抑制することができる。
【0057】
図10は、利用予定駅の推定結果を格納する利用予定駅テーブルの一例を示す図である。利用予定駅決定部18は、図10に示す利用予定駅テーブルに、対象ユーザのユーザIDと最寄り駅として選択されたa1駅とを対応付けて登録する。推定された利用予定駅の情報は、図1に示す利用予定駅情報送信部19から広告提供装置30の利用予定駅情報受信部33に送信される。その後、図3に示すS105に進む。
【0058】
一方、S102において、現在位置情報の件数が所定の数を超えていると判定された場合(S102肯定)、S103に進み、利用予定駅を決定し、利用予定駅テーブルに格納する処理を実行する。
【0059】
以下、S103の処理の詳細について説明する。
【0060】
図11は、ユーザの利用予定駅を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
まず、利用候補駅抽出部16は、図7に示す現在位置情報テーブルから、対象ユーザの現在位置情報を過去分も含めて抽出する(S301)。具体的には、図7に示す現在位置情報テーブルの中から、対象ユーザのユーザID「98765」に対応づけられている現在位置情報を読み出している。
【0062】
図12は、対象ユーザの現在位置情報を抽出した結果の一例を示す図である。図12では、以降の説明の便宜のため、抽出した現在位置情報毎に、それぞれc1,c2,c3・・・,c9の位置名称を付与している。図12に示す例では、対象ユーザの現在位置情報を全て抽出しているが、抽出する現在位置情報を所定の日数(例えば7日)以内の情報に制限することもできる。あるいは、直近の所定の件数(例えば50件分)の情報に制限することもできる。過度に古い情報が含まれると誤った推定結果が導かれる可能性があるため、抽出する情報を直近の情報に制限することにより、推定精度の向上を図ることができる。
【0063】
図11に戻り、S301の処理の後、利用候補駅抽出部16は、図9に示す駅テーブルを参照し、現在位置情報毎に利用予定駅の候補を決定する(S302)。具体的には、例えば、現在位置情報に示されている位置と駅テーブルに示される駅との距離を算出し、算出した距離が所定の距離(例えば1km)以内である場合に利用予定駅の候補として決定することができる。
【0064】
図13は、現在位置情報毎に利用予定駅の候補を決定した結果の一例を示す図である。図13に示すように、位置c3,c5,c9は2つの利用予定駅の候補を有し、それ以外の位置c1,c2,c4,c6,c7,c8は1つの利用予定駅の候補を有している。図13に示す結果をもとに、ユーザの位置c1,c2,c3・・・,c9毎に利用予定駅の候補を点線で結んだ結果が図8に図示されている。
【0065】
続いて、確率算出部17は、ある位置にいるユーザがある路線を選び、且つ当該路線に属する利用予定駅の候補の駅を選ぶ事象が、ユーザが移動する前の位置c1〜c9の全てにおいて同時に発生する確率Pを示す確率モデル(最尤関数とも呼ばれる)を生成する(S303)。ここで、利用予定駅の候補の駅を選ぶことは、利用予定駅の候補の駅へ移動することを意味する。上述の確率モデルは、以下の式(1)により表すことができる。
式(1):
【0066】
Pj:ユーザがj線を選ぶ確率
PjN:ユーザがj線を選んだ後に、j線に属するN駅を選ぶ確率
例えば、
・ユーザがA線を選ぶ確率:PA
・ユーザがB線を選ぶ確率:PB
・ユーザがA線を選んだ後に、a1駅を選ぶ確率:Pa1
・ユーザがA線を選んだ後に、a2駅を選ぶ確率:Pa2
・ユーザがB線を選んだ後に、b1駅を選ぶ確率:Pb1
・ユーザがB線を選んだ後に、b2駅を選ぶ確率:Pb2
・ユーザがB線を選んだ後に、b3駅を選ぶ確率:Pb3
とする。ある路線が選ばれる確率の総和、および、ある路線が選ばれた後に、当該路線に属する駅が選択される確率の総和は1であるので、式(1)の制約条件は、式(2)、式(3)および式(4)により表すことができる。
式(2):
PA+PB=1
式(3):
Pa1+Pa2=1
式(4):
Pb1+Pb2+Pb3=1
位置c1に対応する候補の駅はb1駅であるので、位置c1にいるユーザがB線を選んだ後にb1駅を選ぶ確率は「PB×Pb1」である。また、位置c2に対応する候補の駅はb1駅であるので、位置c2にいるユーザがB線を選んだ後にb1駅を選ぶ確率は「PB×Pb1」である。
【0067】
また、位置c3に対応する候補の駅はa1駅およびb2駅であるので、位置c3にいるユーザがA線を選んだ後にa1駅を選ぶか、あるいはB線を選んだ後にb2駅を選ぶ確率は、各々の確率の和により表すことができ、「PA×Pa1+PB×Pb2」である。また、位置c4に対応する候補の駅はa2駅であるので、位置c4にいるユーザがA線を選んだ後にa2駅を選ぶ確率は「PA×Pa2」である。
【0068】
また、位置c5に対応する候補の駅はa2駅およびb3駅であるので、位置c5にいるユーザがA線を選んだ後にa2駅を選ぶか、あるいはB線を選んだ後にb3駅を選ぶ確率は、各々の確率の和により表すことができ、「PA×Pa2+PB×Pb3」である。また、位置c6に対応する候補の駅はb3駅であるので、位置c6にいるユーザがB線を選んだ後にb3駅を選ぶ確率は「PB×Pb3」である。
【0069】
また、位置c7に対応する候補の駅はb3駅であるので、位置c7にいるユーザがB線を選んだ後にb3駅を選ぶ確率は「PB×Pb3」である。また、位置c8に対応する候補の駅はb3駅であるので、位置c8にいるユーザがB線を選んだ後にb3駅を選ぶ確率は「PB×Pb3」である。また、位置c9に対応する候補の駅はa1駅およびb2駅であるので、位置c9にいるユーザがA線を選んだ後にa1駅を選ぶか、あるいはB線を選んだ後にb2駅を選ぶ確率は、各々の確率の和により表すことができ、「PA×Pa1+PB×Pb2」である。よって、式(1)は、
式(5):
P=(PB×Pb1)×(PB×Pb1)×(PA×Pa1+PB×Pb2)×(PA×Pa2)×(PA×Pa2+PB×Pb3)×(PB×Pb3)×(PB×Pb3)×(PB×Pb3)×(PA×Pa1+PB×Pb2)
と変形することができる。
【0070】
図11に戻り、S303の処理の後、確率Pが最大となる確率モデル内の各パラメータを算出する(S304)。
【0071】
図14は、本発明の実施形態における、確率算出部17により算出された確率モデルの各パラメータの数値の一例を示す図である。パラメータを算出する手法としては、公知となっている種々の推定方法が適用できるが、例えば最尤推定法を用いることができる。式(5)に示す確率モデルの各パラメータを算出すると、図14に示す各パラメータの値を算出することができる。
【0072】
続いて、利用予定駅決定部18は、パラメータに基づいて、対象ユーザの最新の位置に対応する利用予定駅を決定する(S305)。
【0073】
図7および図12を参照すると、対象ユーザの最新の現在位置はc9であることがわかる。よって、S305では、位置c9に対応する利用予定駅を決定する。図13を参照すると、位置c9にいる対象ユーザの利用予定駅の候補は、a1駅およびb2駅である。このことから、位置c9にいる対象ユーザが駅を利用する確率を、a1駅およびb2駅について算出すると、
・a1駅を利用する確率:PA×Pa1=0
・b2駅を利用する確率:PB×Pb2=0.258
となるので、確率が高いb2駅が利用予定駅として決定される。
【0074】
図15は、利用予定駅の推定結果を格納する利用予定駅テーブルの一例を示す図である。利用予定駅決定部18は、図15に示す利用予定駅テーブルに、対象ユーザのユーザIDと最寄り駅として選択されたb2駅とを対応付けて登録する。推定された利用予定駅の情報は、利用予定駅情報送信部19から広告提供装置30の利用予定駅情報受信部33に送信される。その後、図3に示すS105に進む。
【0075】
S105において、広告提供装置30の広告情報抽出部34は、利用予定駅に対応する広告情報を取得する。第4記憶部32には、ユーザに提供する広告情報が利用予定駅と対応付けられて格納されており、広告情報抽出部34は、S305で決定された利用予定駅に対応する広告情報を第4記憶部32から抽出する。
【0076】
その後、広告情報送信部35は、S105で抽出された広告情報をユーザの端末50に送信する(S106)。これにより、端末のユーザは、駅周辺の施設やサービス等の情報を得ることができる。
【0077】
以上のようにして、情報処理システムによる情報処理を行うことができる。
【0078】
このように、本発明の実施形態によれば、対象ユーザの入力テキストの文字列から、入力テキストが入力された位置を示す位置情報を抽出し、位置情報に基づいて、利用予定駅の候補を決定し、利用予定駅の候補が属する路線が選択される確率と、路線が選択された場合に利用予定駅の候補が選択される確率とを含むパラメータを算出し、パラメータに基づいて、利用予定駅を決定する。この方法によれば、現在位置からの距離の他に、路線が選択される確率と、当該路線が選択された場合に利用予定駅の候補が選択される確率が考慮されているため、ユーザが利用する駅を推定する精度の向上を図ることができる。また、情報処理装置10によって決定された利用予定駅に基づいて、ユーザに対して適切な広告情報を提供することができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は特定の実施例に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、図2では、情報処理装置10と広告提供装置30とを別個の異なる装置として説明したが、広告提供装置30を情報処理装置10に組み込んで、1台の情報処理装置10で構成することもできる。また、例えば、図3において、S102の判定処理を省略し、現在位置情報テーブルに登録されている現在位置情報の件数に関わらず、S103の処理を実行することもできる。また、これまで説明した実施形態では、ユーザがある路線を選択する確率と、ある路線を選択した場合にある駅を利用する確率とをパラメータとした確率モデルを生成することによって利用駅の推定を行ったが、確率に限定されるものではない。例えば、確率を示す変数(スコア)、具体的には、確率に所定の数値(100等)を乗算して得られる変数等を用いて統計モデルを生成し、当該統計モデルを用いて利用駅の推定を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0080】
10:情報処理装置
11:第1記憶部
12:第2記憶部
13:入力テキスト情報受信部
14:位置情報抽出部
15:位置情報取得部
16:利用候補駅抽出部
17:確率算出部
18:利用予定駅決定部
19:利用予定駅情報送信部
30:広告提供装置
31:第3記憶部
32:第4記憶部
33:利用予定駅情報受信部
34:広告情報抽出部
35:広告情報送信部
50:端末
61:CPU
62:ROM
63:RAM
64:ストレージ装置
65:ネットワークインタフェース
66:可搬型記憶媒体用ドライブ
67:バス
68:可搬型記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図15