特許第6028564号(P6028564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6028564集光型太陽光発電モジュール及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028564
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】集光型太陽光発電モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/054 20140101AFI20161107BHJP
【FI】
   H01L31/04 620
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-285935(P2012-285935)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127699(P2014-127699A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷 和正
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】安彦 義哉
(72)【発明者】
【氏名】前田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤浦 裕二
(72)【発明者】
【氏名】辻石 拓史
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−034134(JP,A)
【文献】 特開昭54−107337(JP,A)
【文献】 特開平02−055325(JP,A)
【文献】 特開2009−088114(JP,A)
【文献】 特開2006−343435(JP,A)
【文献】 特開2008−098237(JP,A)
【文献】 特開2012−058648(JP,A)
【文献】 米国特許第04229087(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0218804(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0133737(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口面を有する筐体と、
前記筐体の底面に設けられた基板と、
前記基板に搭載され、前記底面全体に複数個整列して設けられた発電素子と、
前記筐体の前記開口面を覆うように取り付けられ、太陽光を集光する複数のフレネルレンズが、それぞれの光軸上で、前記発電素子と対応する位置に形成されて成る集光部とを備え、
少なくとも2つの前記フレネルレンズの中心部に、凹レンズとなる中央領域を有する集光型太陽光発電モジュール。
【請求項2】
複数個整列して設けられた発電素子と、太陽光を集光する複数のフレネルレンズがそれぞれの光軸上で前記発電素子と対応する位置に形成されて成り、少なくとも2つの前記フレネルレンズの中心部に凹レンズとなる中央領域を有する集光部と、を有する集光型太陽光発電モジュールの製造方法であって、
前記発電素子に対して前記集光部を位置決めするに際し、前記中央領域を通して得られる視野の中心に、対応する前記発電素子が来るように、位置調節手段を用いて調節することを特徴とする集光型太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項3】
方形の前記集光部の四隅にそれぞれ位置する前記フレネルレンズの中心部に前記中央領域が形成されており、4つの当該中央領域の各々を通して得られる視野の中心に、対応する前記発電素子が来るように、前記位置調節手段を用いて調節する請求項2記載の集光型太陽光発電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を発電素子に集光して発電する集光型太陽光発電(CPV:Concentrator Photovoltaic)に関する。
【背景技術】
【0002】
集光型太陽光発電では、発電効率の高い小型の化合物半導体素子を発電素子として、これに、フレネルレンズで集光させた太陽光を入射させる構成を基本としている(例えば、特許文献1参照。)。このような基本ユニットを1つの筐体内でマトリックス状に多数並べて構成したものが、集光型太陽光発電モジュールである。また、このモジュールがさらに複数個並べられたものが、集光型太陽光発電パネルである。この集光型太陽光発電パネルを、常に太陽に向けるように追尾動作させることにより、所望の発電電力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,069,812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような集光型太陽光発電モジュールでは、製造時に、フレネルレンズの光軸上に、対応する発電素子の中心が位置するように、位置合わせを正確に行うことが必要である。例えば、共通の筐体に対する取り付け精度によって、発電素子及びフレネルレンズの相互の位置合わせを行うことができる。しかし、それだけでは、微小な個体差が出て、フレネルレンズの光軸と発電素子の中心とが互いにずれることがある。ずれが生じると、発電効率が低下する。
【0005】
本発明は、複数のフレネルレンズと、これらに対応する発電素子との相互の位置合わせを、容易に実現する集光型太陽光発電モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の集光型太陽光発電モジュールは、開口面を有する筐体と、前記筐体の底面に設けられた基板と、前記基板に搭載され、前記底面全体に複数個整列して設けられた発電素子と、前記筐体の前記開口面を覆うように取り付けられ、太陽光を集光する複数のフレネルレンズが、それぞれの光軸上で、前記発電素子と対応する位置に形成されて成る集光部とを備え、少なくとも2つの前記フレネルレンズの中心部に、凹レンズとなる中央領域が形成されている。
【0007】
上記のような集光型太陽光発電モジュールにおいて、中央領域以外のフレネルレンズを通してカメラや肉眼で発電素子を見ようとしても、ぼやけて、明瞭に見ることはできない。しかし、中央領域を通してならば、明瞭に見ることができる。従って、少なくとも2つのフレネルレンズについて、発電素子が視野の中心に来るように集光部を位置決めすることによって、容易に、集光部全体での、フレネルレンズ対発電素子の位置合わせを実現することができる。また、凹レンズとなる中央領域では、中央領域の面積が、発電素子の面積より小さくても、発電素子の輪郭を見ることができ、輪郭を見て容易に位置決めすることができる。
【0008】
(2)一方、本発明は、複数個整列して設けられた発電素子と、太陽光を集光する複数のフレネルレンズがそれぞれの光軸上で前記発電素子と対応する位置に形成されて成り、少なくとも2つの前記フレネルレンズの中心部に凹レンズとなる中央領域を有する集光部と、を有する集光型太陽光発電モジュールの製造方法であって、前記発電素子に対して前記集光部を位置決めするに際し、前記中央領域を通して得られる視野の中心に、対応する前記発電素子が来るように、位置調節手段を用いて調節することを特徴とするものである。
【0009】
集光型太陽光発電モジュールでは、中央領域以外のフレネルレンズを通してカメラや肉眼で発電素子を見ようとしても、ぼやけて、明瞭に見ることはできない。しかし、上記のような製造方法によれば、中央領域を通して明瞭に発電素子を見ることができる。従って、少なくとも2つのフレネルレンズについて、発電素子が視野の中心に来るように集光部を位置決めすることによって、容易に、集光部全体での、フレネルレンズ対発電素子の位置合わせを実現することができる。
【0010】
(3)また、上記()の集光型太陽光発電モジュールの製造方法において、方形の集光部の四隅にそれぞれ位置するフレネルレンズの中心部に中央領域が形成されており、4つの当該中央領域の各々を通して得られる視野の中心に、対応する発電素子が来るように、位置調節手段を用いて調節するようにしてもよい。
この場合、容易に、高い位置決め精度を得ることができる。
【0011】
本明細書にはその他、以下の発明も含まれる。但し、本発明は、特許請求の範囲によって定められる。
(4)さらに、他の発明としては、複数個整列して設けられた発電素子と、太陽光を集光する複数のフレネルレンズがそれぞれの光軸上で前記発電素子と対応する位置に形成されて成り、少なくとも2つの前記フレネルレンズの中心部に凹レンズとなる中央領域を有する集光部と、を有する集光型太陽光発電モジュールについての、前記発電素子に対する前記集光部の位置決め装置であって、前記中央領域を通して、対応する前記発電素子を撮像する撮像装置と、前記中央領域を通して得られる前記撮像装置の視野の中心に、対応する前記発電素子が来るように調節する位置調節手段と、を備えている。
【0012】
集光型太陽光発電モジュールでは、中央領域以外のフレネルレンズを通して撮像装置で発電素子を撮像しようとしても、ぼやけて、明瞭に撮像することはできない。しかし、上記のような位置決め装置によれば、中央領域を通して明瞭に発電素子を撮像することができる。従って、少なくとも2つのフレネルレンズについて、発電素子が視野の中心に来るように集光部を位置決めすることによって、容易に、集光部全体での、フレネルレンズ対発電素子の位置合わせを実現することができる。
【0013】
(5)また、上記(4)の集光型太陽光発電モジュールの製造装置において、方形の集光部の四隅にそれぞれ位置するフレネルレンズの中心部に中央領域が形成されており、かつ、撮像装置は4つの当該中央領域に対してそれぞれ設けられ、4つの中央領域の各々を通して得られる撮像装置の視野の中心に、対応する発電素子が来るように、位置調節手段を用いて調節するようにしてもよい。
この場合、容易に、高い位置決め精度を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の集光型太陽光発電モジュール及びその製造方法によれば、複数のフレネルレンズと、これらに対応する発電素子との相互の位置合わせを、容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電パネルを含む、集光型太陽光発電装置の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電モジュールの一例を拡大して示す斜視図(一部破断)である。
図3図2とは異なる基板を用いた集光型太陽光発電モジュールの例を拡大して示す斜視図である。
図4】筐体に集光部を取り付ける場合の位置決め要領の一例を示す斜視図である。
図5】(b)は、1単位のフレネルレンズと、発電素子との位置関係を示す図であり、また、(a)はフレネルレンズの正面図、(c)は発電素子の正面図である。
図6】フレネルパターンの詳細の一例を示すグラフであり、横軸は中心からの半径[mm]、縦軸は、基材からの突出量[mm]を表す。
図7】位置合わせの要領の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《集光型太陽光発電装置・集光型太陽光発電パネル》
図1は、本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電パネルを含む、集光型太陽光発電装置の一例を示す斜視図である。図において、集光型太陽光発電装置100は、集光型太陽光発電パネル1と、これを背面中央で支持する支柱2と、支柱2を取り付ける架台3とを備えている。集光型太陽光発電パネル1は、例えば、支柱2との接続用の中央部を除く、62個(縦7×横9−1)の集光型太陽光発電モジュール1Mを縦横に集合させて成る。1個の集光型太陽光発電モジュール1Mの定格出力は例えば約120Wであり、集光型太陽光発電パネル1全体としては、約7.5kWの定格出力となる。架台3は、図示しない回転機構により支柱2を軸として回転することができ、集光型太陽光発電パネル1を常に太陽の方向へ向けるように追尾させることができる。
【0017】
《集光型太陽光発電モジュール》
図2は、本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電モジュール(以下、単にモジュールとも言う。)1Mの一例を拡大して示す斜視図(一部破断)である。互いに直交する3方向を図示のX,Y,Zとする。図において、モジュール1Mは、Z方向に手前が開口面11aで、X−Y平面における底面11bを有する器状の筐体11と、底面11bに設けられた複数のプリント配線板12と、筐体11の開口面11aを覆うように、蓋のように取り付けられた長方形(一部破断)の集光部13とを備えている。筐体11は、例えば金属製であり、アルミニウムが好適である。金属製であることによって、筐体11は良好な熱伝導性を有する。従って、プリント配線板12から筐体11への放熱性が特に良い。
【0018】
集光部13は、フレネルレンズアレイであり、太陽光を集光するレンズ要素としてのフレネルレンズ13fがマトリックス状に複数個(例えば縦16×横12で、192個)並んで形成されている。各フレネルレンズ13fは、正方形の有効集光領域を成している。このような集光部13は、例えば、ガラス板を基材として、その裏面(内側)にシリコーン樹脂膜を形成したものとすることができる。フレネルレンズ13fは、このシリコーン樹脂膜に形成される。筐体11の外面には、モジュール1Mの出力を取り出すためのコネクタ14が設けられている。
【0019】
プリント配線板12には、基板12s上に、複数個(ここでは8個)の発電素子(太陽電池セル)121が搭載されている。図示の例では、プリント配線板12は、縦4枚×横6枚の、合計24枚のプリント配線板12がマトリックス状に並べられ、プリント配線板アレイを構成している。発電素子121の総数は、24×8で、192個である。すなわち、集光部13のフレネルレンズ13fと同数であり、また、発電素子121はフレネルレンズ13fと対応して、その光軸上に設けられている。
【0020】
図3は、図2とは異なる基板を用いた集光型太陽光発電モジュール1Mの例を拡大して示す斜視図(集光部13の一部を破断している。)である。図2との違いは、基板が、細長い形状で、柔軟なフレキシブルプリント基板12sである点であり、その他の構成は同様である。基板の形状は、図2図3のどちらの形状であってもよい。
【0021】
図3において、プリント配線板12は、フレキシブルプリント基板12s上に、複数個の発電素子121及び、その他必要な回路要素が実装されたものである。例えば、縦方向に1本のフレキシブルプリント基板12sに対して8個の発電素子121が実装され、全体では24本のフレキシブルプリント基板12sが存在する。発電素子121の総数は、24×8で、192個である。すなわち、集光部13のフレネルレンズ13fと同数であり、また、発電素子121はフレネルレンズ13fと対応して、その光軸上に設けられている。
【0022】
《集光型太陽光発電モジュールの製造方法、位置決め装置》
次に、上記の集光型太陽光発電モジュールの製造方法のうち、特に、発電素子121に対するフレネルレンズ13fの位置合わせについて説明する。
図4は、筐体11に集光部13を取り付ける場合の位置決め要領の一例を示す斜視図である。図において、前述のように、発電素子121(図2図3)は、対応するフレネルレンズ13fの光軸上に位置するよう、集光部13を筐体11に取り付ける際に、正確な位置決めが必要である。
【0023】
そのために、例えば、撮像装置として4台のカメラ21〜24を用意し、集光部13の四隅にあるフレネルレンズ13fを通して、対応する位置にある発電素子121を撮像する。カメラ21〜24のX−Y座標上の位置は、対応する四隅にある発電素子121と一致している。カメラ21〜24の出力は、制御装置25に入力される。制御装置25とは、例えばパソコン等の画像情報処理を行う装置である。制御装置25は、カメラ21〜24の画像に基づいて、位置調節器26を動作させ、適切な位置に集光部13に移動させる。位置調節器26は、X,Y方向に集光部13を移動させ、また、集光部13をX−Y平面上で、僅かに回転させることもできる。
上記の、制御装置25及び位置調節器26は位置調節手段27を構成し、カメラ21〜24、制御装置25及び位置調節器26は、集光部13の位置決め装置20を構成している。
【0024】
図5の(b)は、1単位のフレネルレンズ13fと、発電素子121との位置関係を示す図である。なお、各部の寸法は、必ずしも実寸に比例したものではない。また、図5の(a)はフレネルレンズ13fの正面図、(c)は発電素子121の正面図である。例えば、フレネルレンズ13fは、一辺50mmの正方形、発電素子121は、一辺3.5mmの正方形である。フレネルレンズ13fは、前述のように、ガラス板の基材13f1と、レンズ本体を成すシリコーン樹脂膜13f2とによって構成される。フレネルレンズ13fで集光した太陽光は、発電素子121に入射する。なお、発電素子121上には、フレネルレンズ13fで集束させた光をさらに集束させる二次集光部としての二次レンズ若しくは導光部が設けられる場合もあるが、ここでは簡略化のため、二次レンズ若しくは導光部の図示は省略している。
【0025】
図5の(a)に示すように、フレネルレンズ13f(シリコーン樹脂膜13f2)には、同心円状にフレネルパターンが形成されている。フレネルレンズ13fの中心部には、フレネルパターンの無い中央領域13gが形成されている。中央領域13gは、その周りの集光領域13h(斜線部)と異なり、集光には寄与しないが光を通過させる。中央領域13gの直径は、例えば2mm程度である。
【0026】
図6は、フレネルパターンの詳細の一例を示すグラフであり、横軸は中心からの半径[mm]、縦軸は、基材13f1からの突出量[mm]を表す。図示のように、径方向の外側へ行くほど、突出量が大きくなる(凹凸の落差が大きくなる。)。このようなパターン形状により、凸レンズと同様な集光性が得られる。中心部の中央領域13gは、集光には寄与しないが光を通過させる。
また、シリコーン樹脂13f2のフレネルパターンを基材13f1に貼り付けることにより、接着剤の収縮や温度変化等の要因によって、結果的に、元々は平坦な中央領域13gが外側へ引っ張られて、凹レンズ状に中心が最も薄く、外側ほど厚い形状になっている。この中央領域13gはフレネルパターンが無いので、中央領域13gを通して、カメラ21〜24で、発電素子121を見ることができる。
【0027】
すなわち、中央領域13g以外のフレネルレンズ13f(すなわち集光領域13h)を通してカメラや肉眼で発電素子121を見ようとしても、ぼやけて、明瞭に見ることはできない。しかし、凹レンズとなる中央領域13gを通してならば、明瞭に見ることができる。そこで、フレネルレンズ13fの中心部の小さな中央領域13gを通して、発電素子121を見ることにより、発電素子121と、対応するフレネルレンズ13fとの位置合わせを行うことができる。
【0028】
すべての発電素子121と、対応するフレネルレンズ13fとの位置合わせを行うことは、能率が悪いので、例えば4隅の発電素子121と、対応する4隅のフレネルレンズ13fとの位置合わせを行う。これにより、高い精度で、かつ、迅速に、位置合わせを行うことができる。
但し基本的には、少なくとも2つ(但し、なるべく互いに離れた位置にある2つ)のフレネルレンズ13fについて、発電素子が視野の中心に来るように集光部13を位置決めすることによって、容易に、集光部13全体での、フレネルレンズ対発電素子の位置合わせを実現することができる。これは、発電素子121及びフレネルレンズ13fは共に、整列して設けられているので、一部で位置合わせをすれば、全体にもその位置合わせの効果が及ぶからである。
【0029】
図7は、フレネルレンズ対発電素子の位置合わせについての要領の一例を示す図である。最初は、あえて、ずれた位置に発電素子121の一部が見える程度の(a)の位置から、中央に発電素子121が見えるように、位置調節手段27(図4)を用いて集光部13の位置を微調節する。そして、(b)の状態を経て、(c)の状態になれば、この発電素子121については位置合わせ完了である。この要領で、4隅の発電素子121が、それぞれのフレネルレンズ13fの中心部の中央領域13gを通して4台のカメラ21〜24により各々の中心に見ることができれば、位置合わせ完了である。
【0030】
なお、図7の(c)に示すように、発電素子121は、輪郭がすべて見えているので、中心へ位置合わせすることが容易である。こうして、容易に、集光部13について、高い位置決め精度を得ることができる。なお、中央領域13gより大きい発電素子121の輪郭が見えるのは、前述のように、中央領域13gが凹レンズになっているからであると解される。
【0031】
なお、上記実施形態では、中央領域13gが発電素子121の輪郭より小さい例を示したが、中央領域13gが発電素子121の輪郭より大きくなるようにしてもよい。すなわち、中央領域13g内に発電素子121の輪郭が収まるように領域の面積を設定すれば、図7の(c)と同様に、輪郭を見て容易に位置決めすることができる。
【0032】
なお、集光部13の4隅で位置合わせをするのは一例に過ぎず、色々なバリエーションが考えられる。基本的には、前述のように、互いになるべく離れた2箇所(例えば対角線上の両端)でも可能である。すなわち、少なくとも2つのフレネルレンズ13fについて、発電素子121が視野の中心に来るように集光部13を位置決めすることによって、容易に、集光部13全体での、フレネルレンズ13f対発電素子121の位置合わせを実現することができる。
【0033】
なお、フレネルレンズ13fは、その全数に共通に中央領域13gが設けられていてもよいし、位置合わせに用いられる一部のフレネルレンズ13fにのみ設けられていてもよい。
また、必ずしも発電素子121の輪郭が全て見えなくても、例えば、発電素子121の中心に、カメラ21〜24を通して視認できる印を予め付けておけば、この印を発電素子121の中心として、フレネルレンズ4との光軸を一致させることができる。
【0034】
また、上記実施形態において集光部13は長方形としたが、正方形でもよい。すなわち、集光部13は、方形(長方形・正方形)であり得る。また、その他、用途に合わせて筐体11の形状と共に、方形以外の形状(例えば四角形以外の多角形、円形、台形等)とすることも可能である。この場合でも、同様な方法で、発電素子に対する集光部(フレネルレンズ)の位置合わせを行うことができる。
【0035】
また、上記実施形態では、位置調節手段27による位置調節の対象は集光部13であるとして説明したが、逆に、集光部13を固定して、発電素子側(筐体11側)を動かすことにより位置調節を行うことも可能である。
【0036】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1M 集光型太陽光発電モジュール
11 筐体
11a 開口面
12s 基板/フレキシブルプリント基板
13 集光部
13f フレネルレンズ
13g 中央領域
13h 集光領域
20 位置決め装置
27 位置調節手段
121 発電素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7