特許第6028637号(P6028637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6028637
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/02 20090101AFI20161107BHJP
   H04L 12/803 20130101ALI20161107BHJP
   H04L 12/903 20130101ALI20161107BHJP
   H04W 4/00 20090101ALI20161107BHJP
   H04L 12/709 20130101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04W40/02
   H04L12/803
   H04L12/903
   H04W4/00 111
   H04L12/709
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-55009(P2013-55009)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-183356(P2014-183356A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100133570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲徳▼永 民雄
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 清志
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−26947(JP,A)
【文献】 特開2009−206837(JP,A)
【文献】 特開2004−7361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/709
H04L 12/803
H04L 12/903
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう通信制御方法において、
通信を開始する第1の装置が、前記第1の装置の周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して前記第1の装置の通信先の装置である第2の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信し、
通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記通信路確認情報を受信すると、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を前記通信路確認情報に含まれる経路情報に設定して次の転送先に転送し、
前記第1の装置が、複数の前記通信経路それぞれから、前記第2の装置に送信した通信路確認情報の返信を受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てて通信を行なう通信制御方法。
【請求項2】
前記データ伝送装置は、前記通信路確認情報に含まれる経路情報のうち、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況に該当する経路情報に該当する旨の値を設定し、
前記第1の装置は、複数の前記通信経路それぞれから、前記第2の装置に送信した通信路確認情報の返信を受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に設定された前記該当する旨の値の総和に応じて通信経路毎の重み付けを行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記第1の装置は、セッションを確立する毎に、前記セッションを確立した通信経路に前記通信路確認情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項4】
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう端末装置において、
周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して通信先の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信する送信部と、
前記通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を経路情報に設定した前記通信路確認情報を通信経路それぞれから受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てる割当て部と、
前記セッションを使用して通信を行なう通信部と、
を備える端末装置。
【請求項5】
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう通信制御用のプログラムにおいて、
周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して通信先の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信し、
前記通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を経路情報に設定した前記通信路確認情報を通信経路それぞれから受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当て、
前記セッションを使用して通信を行なう、
処理を端末装置に行なわせるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信経路を使用した並列通信の制御を行なう通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの機能を多く取り入れた多機能携帯電話、いわゆる、「スマートフォン」が普及している。それにともなって、スマートフォンにインターネットへのアクセスの手段を提供する形態にも様々なものがある。
【0003】
例えば、モバイルルータやアクセスポイント機能付きの携帯電話を経由して通信を行う場合、WLANのアクセスポイントを経由して通信を行う場合、アドホックNW(Network)を経由して通信を行なう場合など様々な形態がある。
【0004】
上記技術に関連して、全IP無線通信システムにおいてトリガ手段を提供するトリガ手段提供方法が知られている。この方法では、それぞれの通信パスに対応した少なくとも一つのQoSパラメータを得るため、移動端末とコレスポンデントノード間に複数の通信パスが設置される。そして、予め定められた許容可能な水準の動作を提供するそれぞれの通信パスが、その後特定される。そして、移動端末に対し、一番高い水準の動作を提供する通信パスへハンドオフトリガが引き起こされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−179630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、インターネットにアクセスする複数の通信経路が存在する場合、選択した端末毎の電池や通信状況などを確認し、通信経路の優先度付けを行い、最優先の通信経路を選択するなどの作業が必要となる。そのため、インターネットへのアクセスに複数の中継機器が介在する場合、刻々と変化するネットワーク状況の管理を行う必要が有り、全ての中継機器の状況を逐次確認・管理する負荷が大きい。
【0007】
本通信制御方法は、1つの側面では、複数の通信経路を使用して効率的な通信を行なう通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本通信制御方法の1つの観点によれば、本通信制御方法は、装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう通信制御方法である。そして、本通信制御方法は、以下の処理を行なう。
【0009】
通信を開始する第1の装置が、前記第1の装置の周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して前記第1の装置の通信先の装置である第2の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信する。
【0010】
また、通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記通信路確認情報を受信すると、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を前記通信路確認情報に含まれる経路情報に設定して次の転送先に転送する。
【0011】
また、前記第1の装置が、複数の前記通信経路それぞれから、前記第2の装置に送信した通信路確認情報の返信を受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行なう。そして、前記第1の装置が、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てて通信を行なう。
【発明の効果】
【0012】
本通信制御方法は、1つの態様では、複数の通信経路を使用して効率的な通信を行なう通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施例に係る通信制御を実現するシステム100の概要を説明する図である。
図2】端末装置110の構成例を示す図である。
図3】端末装置110がサーバ120に送信する通信路確認フラグ310とIMSI通知メッセージ320の一例を示す図である。
図4図3に示した詳細フラグ400の具体例を示す図である。
図5図4に示した詳細フラグ400の重み付けの一例を示す図である。
図6】端末装置110が通信路確認フラグ310を元に作成する通信状態テーブル600の一例を示す図である。
図7】端末装置110の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】端末装置110の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】データ伝送装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】サーバ120の処理の一例を説明する図である。
図11】サーバ120の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例について、図1図11に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図ではない。すなわち、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で、実施例に記載の技術を組み合わせるなど種々変形して実施することができる。また、図8図10にフローチャートの形式で示した処理手順は、処理の順番を限定する趣旨ではない。したがって、可能な場合には、処理の順番を入れ替えても良いのは当然である。
【0015】
≪実施例≫
図1は、一実施例に係る通信制御を実現するシステム100の概要を説明する図である。
【0016】
システム100には、端末装置110と、サーバ120と、伝送機器130および140と、デザリングなどの伝送機能を有する周辺端末装置150と、無線基地局160と、を含む。また、システム100には、課金サーバ180を含むことができる。なお、図1は、本実施例に係る通信制御を実現するシステムの一例を示すものである。したがって、例えば、伝送機器や周辺端末装置の数や種類などを図1に限定する趣旨ではない。また、端末装置110の通信相手をサーバ120に限定するものではなく、例えば、他の端末装置など様々な装置を通信相手とすることができる。
【0017】
端末装置110は、端末装置110の周辺にある機器、例えば、伝送機器130および周辺端末装置150、や無線基地局160などを経由する複数の通信経路を使用して、通信先のサーバ120と通信を行なう。図1の例では、端末装置110が通信経路101−104を使用してサーバ120と通信を行なう例を示している。通信経路101は、伝送機器130、140およびインターネット170を経由してサーバ120にアクセスする通信経路である。また、通信経路102は、周辺端末装置150、伝送機器140およびインターネット170を経由してサーバ120にアクセスする通信経路である。また、通信経路103は、周辺端末装置150、無線基地局160およびインターネット170を経由してサーバ120にアクセスする通信経路である。また、通信経路104は、無線基地局160およびインターネット170を経由してサーバ120にアクセスする通信経路である。なお、図1では、端末装置110の通信先の一例としてサーバ120を例示しているが、端末装置110は、その他の様々な装置と通信を行なうことができることは当然である。
【0018】
以下の説明では、図1に示した伝送機器130、140、周辺端末装置150および無線基地局160に共通な本実施例に係る処理を説明する際には、伝送機器130、140、周辺端末装置150および無線基地局160を総じて「データ伝送装置」ということにする。
【0019】
端末装置110は、通信経路101−104全てとリンクを確立する際に、通信経路それぞれに対して、後述する通信路確認フラグ310を送信する。一方、各通信経路にあるデータ伝送装置、例えば、伝送機器130、140、周辺端末装置150および無線基地局160などは、受信した通信路確認フラグ310に含まれる各フラグのうち該当するフラグをONすなわち1に設定して通信路確認フラグ310を次の送信先に送信する。
【0020】
また、端末装置110は、各通信経路101−104を経由してサーバ120から返信された通信路確認フラグ310を受信すると、通信路確認フラグ310に含まれるフラグから、通信経路101−104毎に重み付けを行なう。そして、端末装置110は、通信経路毎の重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てて通信を行なう。
【0021】
サーバ120は、端末装置110と通信する情報処理装置である。例えば、サーバ120は、端末装置110から特定のWEBページを要求されると、要求されたWebページを端末装置110に対して送信する。伝送機器130および140は、例えば、アクセスポイントやモバイルルータなどである。周辺端末装置150は、アクセスポイント機能付きの携帯電話などである。無線基地局160は、移動通信事業者が設置する無線通信装置である。
【0022】
課金サーバ180は、例えば、無線基地局160を介して通信を行なう携帯電話などの周辺端末装置150に対して通信量に応じた料金を算出して記憶する情報処理装置である。課金サーバ180は、IMSIが通知された通信チャネルでの通信について通信元の装置に対して課金を行なう。課金サーバ180は、送信元の装置を、装置固有の装置IDを使用して識別することができる。
【0023】
図2は、端末装置110の構成例を示す図である。
端末装置110には、無線部210と、無線制御部220と、アプリケーション部230と、表示部240と、入力部250と、を含んでいる。また、端末装置110は、アドホック通信を行なうためのアドホック通信部260を含むこともできる。
【0024】
無線部210は、アンテナ211を使用して無線信号の送受信を行なう送受信装置である。無線制御部220は、無線部210で受信した信号を所定のプロトコルにしたがってデコードしてアプリケーション部230に出力する制御装置である。また、無線制御部220は、アプリケーション部230から送られるデータを所定のプロトコルにしたがってエンコードして無線部210に出力する。
【0025】
アプリケーション部230は、CPU(Central Processing Unit)231と、RAM(Random Access Memory)232と、FLASHメモリ233と、を備える。
【0026】
CPU231は、本実施例に係る通信制御、例えば、図7および図8で後述する処理を実現するためのプログラムや所望のアプリケーションを実行する演算装置である。RAM232は、CPU231が実行するプログラムやデータ、例えば、図6で後述する通信状態テーブル600などの一部または全部を一時的に記憶する揮発性の記憶装置である。FLASHメモリ233は、CPU231が実行するプログラムやデータ、例えば、図6で後述する通信状態テーブル600などを記憶する不揮発性の記憶装置である。
【0027】
表示部240は、アプリケーション部230にしたがって所定の情報を表示する表示装置である。入力部250は、キーパットなどの入力装置である。なお、表示部240および入力部250には、タッチパネルディスプレイなどを使用することもできる。
【0028】
アドホック通信部260には、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc) 802.11に準拠した無線LANアダプタなどを使用することができる。
【0029】
なお、図2には示していないが、端末装置110を携帯電話として使用する場合、携帯電話として使用するために必要な装置、例えば、通話時の音声を拾うマイクや通話相手の音声を再生するスピーカなどを備えることができる。また、RAM232およびFLASHメモリ233などの端末装置110に読取り可能な記憶媒体には、非一時的(non−transitory)な媒体を使用することができる。
【0030】
図3は、端末装置110がサーバ120に送信する通信路確認フラグ310とIMSI(International Mobile Subscriber Identity)通知メッセージ320の一例を示す図である。
【0031】
通信路確認フラグ310には、通信路確認フラグ310を送信する端末装置110のIPアドレスである要求元IPアドレスと、通信路確認フラグ310毎に割当てられるフラグNo.と、詳細フラグ400と、を含むことができる。また、通信路確認フラグ310には、必要に応じて、エラー検出コードやエラー訂正コードなどを含むこともできる。詳細フラグ400の具体例については、図4および図5で後述する。なお、図3には、端末装置110が送信する通信メッセージと通信路確認フラグ310とが1つのデータとして送信される場合の例を示したが、通信メッセージと通信路確認フラグ310とはそれぞれ別々のデータであってもよい。
【0032】
IMSI通知メッセージ320には、IMSI通知メッセージ320を送信する端末装置110に割当てられているIPアドレスである自局IPアドレスと、IMSI通知メッセージ320を送信する端末装置110が保持するIMSIである自局IMSIと、を含むことができる。
【0033】
図4は、図3に示した詳細フラグ400の具体例を示す図である。
詳細フラグ400には、通信を阻害する要因や通信性能に影響を及ぼす事象を含めることができる。例えば、図4に示すように、詳細フラグ400には、低速度伝送路フラグ、従量制伝送路フラグ、弱電界フラグ、通信障害フラグ、電源低下フラグ、輻輳状態フラグ、未対応機器検出フラグおよび未応答フラグを含むことができる。例えば、詳細フラグ400には、1バイト(8ビット)のデータを使用することができる。そして、各ビットに、低速度伝送路フラグ、従量制伝送路フラグ、弱電界フラグ、通信障害フラグ、電源低下フラグ、輻輳状態フラグ、未対応機器検出フラグおよび未応答フラグを割当てることができる。なお、図4に示す詳細フラグは一例を示すものであって、本実施例に使用する詳細フラグを図4に示すものに限定する趣旨ではない。
【0034】
低速度伝送路フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置と接続する送信側の通信経路が通信速度の低い通信経路か否かを示す。低速度伝送路フラグに設定される値が「1」の場合、通信速度が低い通信経路であることを示し、「0」場合、通信速度が低い通信経路ではないことを示す。データ伝送装置は、あらかじめデータ伝送装置の記憶装置に記憶されている通信経路の規定速度が所定の通信速度以下の場合に、低速度伝送路フラグに「1」を設定することができる。
【0035】
従量制伝送路フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置と接続する送信側の通信経路が従量制課金により通信量に比例して課金される通信経路か否かを示す。従量制伝送路フラグに設定される値が「1」の場合、従量制課金により通信量に比例して課金される通信経路であることを示し、従量制伝送路フラグに設定される値が「0」の場合、従量制課金により通信量に比例して課金される通信経路でないことを示す。データ伝送装置は、あらかじめデータ伝送装置の記憶装置に従量制課金により通信量に比例して課金される通信経路である旨記憶されている場合に、従量制伝送路フラグに「1」を設定することができる。
【0036】
弱電界フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置とデータの伝送先の装置との間の通信経路に含まれる無線通信区間での電波状況が悪く、通信品質・速度の低下が予想される事を示す。弱電界フラグに設定される値が「1」の場合、通信経路に含まれる無線通信区間での電波状況が悪いことを示し、弱電界フラグに設定される値が「0」の場合、通信経路に含まれる無線通信区間での電波状況が悪いわけではないことを示す。データ伝送装置は、送信先の装置、例えば、伝送機器やサーバ、無線基地局などから受信する受信信号の強度があらかじめ決められた値以下の場合に、弱電界フラグに「1」を設定することができる。
【0037】
通信障害フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置と接続する送信先側の通信路に障害が発生して通信継続が困難な事を示す。通信障害フラグに設定されている値が「1」の場合、通信障害フラグは、データ伝送装置と接続する送信先側の通信路に障害が発生したことを示す。また、通信障害フラグに設定されている値が「0」の場合、通信障害フラグは、データ伝送装置と接続する送信先側の通信路に障害が発生していないことを示す。データ伝送装置は、データ伝送装置と接続する送信先側の通信路に障害が発生したことを検出すると、通信障害フラグに「1」を設定することができる。例えば、データ伝送装置は、送信したデータに対する応答が間欠する、送信したデータに対する応答を受信できずにタイムアウトを検出する、ことなどの事象が一定以上の割合で発生する場合に、送信先側の通信路に障害が発生したと判別することができる。
【0038】
電源低下フラグは、携帯WiFiルータなどのバッテリを使用したデータ伝送装置のバッテリ容量が低下して通信継続が困難であることを示す。電源低下フラグに設定されている値が「1」の場合、電池容量が低下していることを示し、電源低下フラグに設定されている値が「0」の場合、電池容量が十分であることを示す。データ伝送装置は、データ伝送装置に備わるバッテリの容量が所定の値以下の場合に、電源低下フラグを「1」に設定することができる。
【0039】
輻輳状態フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置と接続する送信側の通信経路にあるゲートウェイサーバなどのデータ伝送装置で処理の輻輳が発生し通信性能に影響することを示す。輻輳状態フラグに設定されている値が「1」の場合、データ伝送装置と接続する送信側の通信経路にあるゲートウェイサーバなどのデータ伝送装置で処理の輻輳が発生していることを示している。また、輻輳状態フラグに設定されている値が「0」の場合、データ伝送装置と接続する送信側の通信経路にあるゲートウェイサーバなどのデータ伝送装置で処理の輻輳が発生していないことを示している。例えば、データ伝送装置は、ゲートウェイサーバに対して送信したデータに対する応答が頻繁にタイムアウトとなる場合に、ゲートウェイサーバで処理の輻輳が発生していると判別することができる。
【0040】
未対応機器検出フラグは、通信路確認フラグ310を受信したデータ伝送装置の伝送先の機器が本方式に対応していない機器であることを示す。未対応機器検出フラグに設定されている値が「1」の場合、データ伝送装置の伝送先の機器が本方式に対応していないことを示し、未対応機器検出フラグに設定されている値が「0」の場合、データ伝送装置の伝送先の機器が本方式に対応していることを示す。
【0041】
未応答フラグは、送信した通信路確認フラグ310が戻ってきたか否かを示す。「1」の値が設定されている未応答フラグは、送信した通信路確認フラグ310が所定時間経過するまでに戻ってきていないことを示す。また、「0」の値が設定されている未応答フラグは、送信した通信路確認フラグ310が所定時間経過するまでに戻ってきていることを示す。この未応答フラグは、通信路確認フラグ310を送信した端末装置110が設定して通信経路毎の重み付けの計算で使用する。
【0042】
本実施例では、通信経路毎の重み付けの計算に使用する通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400に対してあらかじめ目的に応じた重み付けを設定することができる。図4の()内に例示した重み付けは、図5で後述する「性能重視の重み付け」である。
【0043】
図5は、図4に示した詳細フラグ400の重み付けの一例を示している。図5の例では、性能を重視した場合の詳細フラグ400の重み付けと、通信費を重視した場合の詳細フラグ400の重み付けと、安定性を重視した場合の詳細フラグ400の重み付けと、についてそれぞれ例示している。なお、図5に示した重み付けは一例であって、詳細フラグ400に対する重み付けを図5に限定する趣旨ではない。
【0044】
図6は、端末装置110が送信先から受信した通信路確認フラグ310を元に作成する通信状態テーブル600の一例を示す図である。
【0045】
通信状態テーブル600には、通信経路毎に、フラグNo.、経路状況、応答時間、通信経路毎の重み付け、通信配分およびセッション数についての情報を含むことができる。また、通信状態テーブル600には、通信経路毎に、通信経路名称などを含んでもよい。
【0046】
フラグNo.には、送信する通信路確認フラグ310毎に割当てる識別番号が格納される。
【0047】
経路状況には、送信して戻ってきた通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400(1バイトのデータ)が格納される。例えば、経路状況が0x06(=00000110(2進数))の場合、詳細フラグ400のうちビット1とビット2に割当てられたフラグ、すなわち、従量制伝送路フラグと弱電界フラグに「1」が設定されていることを示している。
【0048】
応答時間には、通信経路に通信路確認フラグ310を送信してから戻ってくるまでの時間が格納される。
【0049】
通信経路毎の重み付けは、経路状況に格納された詳細フラグ400の各ビットと、各ビットに対応する図5に示した詳細フラグ400の重み付けと、の積の総和を、例えば、後述する式(1)を使用して算出することができる。例えば、図5に例示した性能重視の重み付けを使用する場合、経路状況が0x06(=00000110(2進数))のときの通信経路の重み付けは、6(=1×1(従量制伝送路フラグの重み付け)+1×5(弱電界フラグの重み付け))となる。
【0050】
通信分配率には、後述する式(2)を使用して算出される通信分配率が格納される。
セッション数には、通信分配率にしたがって通信経路に割当てられるセッション数が格納される。
【0051】
図7および図8は、端末装置110の処理の一例を示すフローチャートである。
端末装置110に電源が投入されると(ステップS700)、端末装置110は、無線基地局160から報知情報を受信すると報知情報に含まれる無線基地局160の位置情報等を取得する(ステップS701)。そして、端末装置110は、無線基地局160に対して、端末装置110の識別情報などを送信して位置登録を要求する(ステップS701)。その後、端末装置110は、間欠受信処理を行なって通信開始待ち状態となる(ステップS702)。
【0052】
通信を開始すると、端末装置110は、周辺のデータ伝送装置を検索する(ステップS703)。そして、端末装置110は、ステップS703の検索で検出したデータ伝送装置それぞれとリンク接続処理を行なって、データ伝送装置それぞれを経由する通信先までの通信経路のリンクを確立する(ステップS704 YES、ステップS705、ステップS706 NO)。ステップS703の検索で検出した周辺機器の全てと既にリンクが確立されている場合(ステップS704 NO)、端末装置110は、処理をステップS712に移行する。
【0053】
ステップS703の検索で検出したデータ伝送装置それぞれとリンクを確立すると(ステップS706 YES)、端末装置110は、ステップS703の検索で検出したデータ伝送装置毎にセッションを確立する(ステップS707)。ステップS703の検索により検出したデータ伝送装置のすべてとセッションを確立すると、確立したセッションから1つを選択してステップS708−S712の処理を行なう。以下では、この選択されたセッションを「選択セッション」という。
【0054】
端末装置110は、課金サーバ180にIMSI通知メッセージ320と端末装置110に固有の端末IDを送信する(ステップS708)。
【0055】
選択セッションにおいて通信路確認フラグ310を未送信、または、送信後一定時間経過している場合(ステップS709 YES)、端末装置110は、選択セッションを確立した通信経路を経由してサーバ120に通信路確認フラグ310を送信する(ステップS710)。この場合、端末装置110は、選択セッションにおける通信メッセージとともに通信路確認フラグ310を送信することができる。送信する通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400は0x00とする。
【0056】
そして、端末装置110は、ステップS710で送信した通信路確認フラグ310にフラグNo.を割当てて通信状態テーブル600に登録する(ステップS711)。この場合、端末装置110は、通信状態テーブル600の経路状況に格納する詳細フラグ400の未応答フラグをONにした値(=0x80)に初期化する(ステップS711)。
【0057】
ステップS708−S712の処理を実施していないセッションがあれば(ステップS712 NO)、端末装置110は、ステップS708に移行する。この場合、端末装置110は、ステップS708−S712の処理を実施していないセッションから1つを選択してステップS708−S712の処理を繰り返す。
【0058】
すべてのセッションに対してステップS708−S712の処理が完了すると(ステップS712 YES)、端末装置110は、セッションを確立した通信経路それぞれから通信路確認フラグ310を受信する(ステップS713)。そして、端末装置110は、受信した通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400を通信状態テーブル600の経路状況に格納する(ステップS714 NO、S715)。そして、処理をステップS716に移行する。なお、一定時間経過しても受信しない通信路確認フラグ310がある場合も(ステップS714 YES)、端末装置110は、処理をステップS716に移行する。
【0059】
ステップS713−S716の処理を実施していない通信経路があれば(ステップS716 NO)、端末装置110は、処理をステップS713に移行してステップS713−S716の処理を繰り返す。また、セッションを確立した通信経路すべてについてステップS713−S716の処理を実行すると(ステップS716 YES)、端末装置110は、通信状態テーブル600の通信経路毎の重み付けを算出する(ステップS717)。そして、端末装置110は、算出した通信経路毎の重み付けを通信状態テーブル600に格納する。通信経路毎の重み付けは次の式(1)によって算出することができる。
(重み付け)=(低速度伝送路フラグ) ×(低速度伝送路フラグの重み付け) +
(従量制伝送フラグ) ×(従量制伝送フラグの重み付け) +
(弱電界フラグ) ×(弱電界フラグの重み付け) +
(通信障害フラグ) ×(通信障害フラグの重み付け) +
(電源低下フラグ) ×(電源低下フラグの重み付け) +
(輻輳状態フラグ) ×(輻輳状態フラグの重み付け) +
(未応答機器検出フラグ)×(未応答機器検出フラグの重み付け)+
(未応答フラグ) ×(未応答フラグの重み付け)・・・(1)
【0060】
なお、低速度伝送路フラグの重み付け、従量制伝送フラグの重み付け、弱電界フラグの重み付け、通信障害フラグの重み付け、電源低下フラグの重み付け、輻輳状態フラグの重み付け、未応答機器検出フラグの重み付けおよび未応答フラグの重み付けには、それぞれ図5に例示した詳細フラグ400の重み付けを使用することができる。
【0061】
通信経路毎の重み付けを算出すると、端末装置110は、次の式(2)を使用して通信経路毎の通信分配率を算出する(ステップS718)。そして、端末装置110は、算出した通信分配率を通信状態テーブル600に格納する。
【数1】
【0062】
なお、mは詳細フラグ400に含まれるフラグの総数を示す1以上の整数である。また、nはセッションを確立した通信経路の総数を示す1以上の整数である。また、Ak、Ai,jはぞれぞれ詳細フラグ400に含まれるkビット目またはjビット目のフラグの重み付けを示す。したがって、式(2)の
【数2】
または
【数3】
は、詳細フラグ400に含まれるフラグの重み付けの合計を示している。例えば、図5に例示した性能重視の重み付けを使用する場合、端末装置110は、
【数4】
または
【数5】
にしたがって「41(=1×3(ビット0)+1×1(ビット1)+1×5(ビット2)+1×10(ビット3)+1×5(ビット4)+1×5(ビット5)+1×4(ビット6)+1×8(ビット7)」と算出することができる。また、BおよびBiは、ステップS713で受信した通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400のうち「1」が設定されているフラグの重み付けの合計である。例えば、図6の通信経路No.1の場合、経路状況に格納されている詳細フラグ400は、0x06(=00000110(2進数))となっている。この通信経路No.1に図5に例示した性能重視の重み付けが適用されているとすると、端末装置110は、「6(=0×3(ビット0)+1×1(ビット1)+1×5(ビット2)+0×10(ビット3)+0×5(ビット4)+0×5(ビット5)+0×4(ビット6)+0×8(ビット7))」と算出することができる。
【0063】
通信分配率を算出すると、端末装置110は、通信分配率に応じて通信経路毎に分配するセッション数を決定する(ステップS719)。
【0064】
そして、端末装置110は、ステップS719の決定にしたがって、通信経路毎にステップS719で決定したセッション数だけセッションを割当ててサーバ120にデータ要求を送信する(ステップS720)。そして、端末装置110は、データ要求を送信すると、端末装置110に備わる応答時間カウント用のタイマのタイマ値をクリア、すなわち、0に初期化する(ステップS721)。このとき、端末装置110は、通信状態テーブル600の応答時間も0(msec)に初期化する(ステップS721)。
【0065】
端末装置110は、全てのセッションに対してステップS720−S722の処理を実行する(ステップS722 NO)。全てのセッションに対してステップS720−S722の処理を実行すると(ステップS722 YES)、端末装置110は、ステップS720で送信したデータ要求に対する各セッションのデータを受信する(ステップS723)。また、端末装置110は、ステップS720でデータ要求を送信してから要求したデータをステップS724で受信するまでの経過時間をタイマから取得して通信状態テーブル600の応答時間に格納する(ステップS724)。
【0066】
端末装置110は、全てのセッションに対してステップS723−S724の処理を実行する(ステップS725 NO)。ただし、データ要求から一定時間経過しても要求したデータを受信できない場合、端末装置110は、一定時間経過したことを示す値を通信状態テーブル600の応答時間に格納する。全てのセッションに対してステップS723−S724の処理を実行すると(ステップS725 YES)、端末装置110は、データ要求から一定時間以上経過しても要求したデータを受信できない通信経路を通信状態テーブル600から削除する(ステップS726 YES、ステップS727)。
【0067】
端末装置110は、ステップS727で削除した通信経路に割り当てていたセッションを他の通信経路に割り当てる(ステップS728)。そして、端末装置110は、他の通信経路に割当てたセッションを使用して、データ要求から一定時間以上経過しても受信できなかったデータを再送する(ステップS728)。
【0068】
ステップS720で要求したデータの一部または全部を受信しない場合(ステップS729 NO)、端末装置110は、処理をステップS703に移行して処理を開始する。なお、ステップS720で要求したデータの一部または全部を受信しない場合(ステップS729 NO)、端末装置110は、異常終了することもできる。
【0069】
端末装置110−サーバ120間の通信が継続する場合(ステップS290 YES、ステップS730 NO)、端末装置110は、処理をステップS702に移行して処理を開始する。ステップS720で要求した全てのデータの受信が完了して端末装置110−サーバ120間の通信が完了すると(ステップS729 YES、S730 YES)、端末装置110は、通信処理を終了する(ステップS713)。
【0070】
以上の説明において、端末装置110は、例えば、セッションを確立する毎に、セッションを確立した通信経路を経由して通信路確認フラグ310をサーバ120に送信する(ステップS707、S710)。しかし、例えば、端末装置110は、セッションが確立されている通信経路それぞれに対して、一定時間毎に通信路確認フラグ310を送信することもできる。また、端末装置110は、通信経路それぞれに対するリンク手順のメッセージとともに通信路確認フラグ310を送信することもできる。
【0071】
図9は、データ伝送装置の処理の一例を示すフローチャートである。
データ伝送装置に電源が投入されると(ステップS900)、データ伝送装置は、通信メッセージ待ちの状態となる(ステップS901)。そして、端末装置110やサーバ120、他の伝送機器などから、通信メッセージとともに通信路確認フラグ310を受信すると(ステップS902)、データ伝送装置は、処理をステップS903に移行する。
【0072】
ステップS902においてデータ伝送装置から見て下位側、すなわち、端末装置110側の通信経路から通信メッセージを受信した場合(ステップS903 YES)、データ伝送装置は、処理をステップS904に移行する。そして、ステップS902で宛先が同じ通信メッセージを複数の通信経路から受信した場合(ステップS904 YES)、データ伝送装置は、ステップS902でそれぞれの通信メッセージとともに受信した通信路確認フラグ310を1つにまとめた新たな通信路確認フラグ310を生成する(ステップS905)。例えば、ステップS902で宛先が同じ第1の通信メッセージと第2の通信メッセージをそれぞれ異なる通信経路から受信した場合を考える。この場合、データ伝送装置は、第1の通信メッセージとともに受信した通信路確認フラグ310に含まれる第1のフラグそれぞれと、第2の通信メッセージとともに受信した通信路確認フラグ310に含まれる第2のフラグそれぞれと、の論理和をフラグにもつ通信路確認フラグ310を生成する。例えば、第1のフラグに含まれる低速度伝送路フラグと第2のフラグに含まれる低速度伝送路フラグとの論理和を新たな低速度伝送路フラグとする通信路確認フラグ310を生成する。
【0073】
データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信路確認フラグ310、ただし、ステップS905で通信路確認フラグ310を生成した場合はその生成した通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400のうち、該当するフラグをONすなわち1に設定する(ステップS906)。
【0074】
データ伝送装置から見て上位側、すなわち、サーバ120側の通信経路を介してデータ伝送装置と接続するデータ伝送装置、以下では「上位装置」という、が本実施例に係る方式に対応しているか否かを確認する(ステップS907)。例えば、データ伝送装置は、上位装置に送信した通信路確認フラグ310に対する応答が上位装置から一定時間内に得られない場合、上位装置が本実施例に係る方式に対応していないと判断することができる。なお、本実施例に係る方式とは、例えば、上位装置が伝送機器の場合には図9に示す処理の方式、上位装置がサーバの場合には図10に示す処理の方式ということができる。
【0075】
上位装置が本実施例に係る方式に対応している場合(ステップS907 YES)、データ伝送装置は、処理をステップS908に移行する。この場合、データ伝送装置は、上位装置に送信する通信メッセージの分割が必要か否かを判断する(ステップS908)。例えば、上位装置に接続する通信経路の通信帯域幅などの制約により上位装置に通信メッセージを一度に送信できない場合、データ伝送装置は、上位装置に送信する通信メッセージを所定のサイズに分割する必要があると判断する。
【0076】
上位装置に送信する通信メッセージの分割が必要と判断すると(ステップS908 YES)、データ伝送装置は、処理をステップS909に移行する。この場合、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信路確認フラグ310、ただし、ステップS905で通信路確認フラグ310を生成した場合はその生成した通信路確認フラグ310の複製を、通信メッセージを分割する数だけ生成する(ステップS909)。
【0077】
以上の処理が終了すると、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信メッセージとともに通信路確認フラグ310を上位装置に送信する(ステップS910)。なお、ステップS908で通信メッセージの分割が必要と判断した場合、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信メッセージを所定のサイズに分割し、分割した通信メッセージとともにステップS909で生成した通信路確認フラグ310を上位装置に送信する。そして、端末装置110は、処理をステップS917に移行する。
【0078】
一方、ステップS907において、上位装置が本実施例に係る方式に対応していない場合(ステップS907 NO)、データ伝送装置は、ステップS911に移行する。この場合、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信路確認フラグ310、ただし、ステップS905で通信路確認フラグ310を生成した場合はその生成した通信路確認フラグ310に含まれる未対応機器検出フラグをONすなわち1に設定する(ステップS911)。そして、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信路確認フラグ310の送信元の端末装置110に、通信路確認フラグ310を送信する(ステップS912)。そして、端末装置110は、処理をステップS917に移行する。
【0079】
また、ステップS902において上位側の通信経路から通信メッセージを受信した場合(ステップS903 NO)、端末装置110は、処理をステップS913に移行する。そして、ステップ902において通信メッセージとともに通信路確認フラグ310を受信した場合(ステップ913 YES)、データ伝送装置は、通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400のうち該当するフラグをONすなわち1に設定する(ステップS914)。
【0080】
一方、ステップ902において通信メッセージとともに通信路確認フラグ310を受信しなかった場合(ステップ913 NO)、データ伝送装置は、未対応機器検出フラグをONすなわち1に設定した通信路確認フラグ310を生成する(ステップS915)。
【0081】
ステップS914またはS915の処理が完了すると、データ伝送装置は、ステップS902で受信した通信メッセージの送信先の端末装置110に通信路確認フラグ310を送信する(ステップS916)。そして、端末装置110は、処理をステップS917に移行する。
【0082】
端末装置110−サーバ120間でのデータの送受信が続く場合(ステップS917 NO)、データ伝送装置は、ステップS901に移行して処理を開始する。また、端末装置110−サーバ120間でのデータの送受信が終了すると(ステップS917 YES)、データ伝送装置は、データの転送処理を終了する(ステップS918)。
【0083】
図10は、サーバ120の処理の一例を説明する図である。
サーバ120に電源が投入されると(ステップS1000)、サーバ120は、通信メッセージ待ちの状態となる(ステップS1001)。そして、データ伝送装置などを経由して、端末装置110から通信メッセージを受信すると(ステップS1002)、サーバ120は、通信メッセージとともに送られてくる通信路確認フラグ310を受信する(ステップS1003)。
【0084】
通信メッセージと通信路確認フラグ310を受信すると、サーバ120は、ステップS1002で受信した通信メッセージに対する応答メッセージを生成する(ステップS1004)。また、サーバ120は、ステップS1003で受信した通信路確認フラグ310に含まれる詳細フラグ400のうち該当するフラグをONすなわち1に設定する(ステップS1005)。そして、サーバ120は、ステップS1004で生成した応答メッセージとともにステップS1003で受信した通信路確認フラグ310を端末装置110に送信する(ステップS1006、ステップS1007)。
【0085】
端末装置110−サーバ120間でのデータの送受信が続く場合(ステップS1008 NO)、サーバ120は、ステップS1001に移行して処理を開始する。また、端末装置110−サーバ120間でのデータの送受信が終了すると(ステップS1008 YES)、データ伝送装置は、端末装置110との通信処理を終了する(ステップS1009)。
【0086】
図11は、サーバ120の構成の一例を示す図である。
図11に示すサーバ120は、CPU1101と、メモリ1102と、入力装置1103と、出力装置1104と、外部記憶装置1105と、媒体駆動装置1106と、ネットワーク接続装置1108と、を備える。そして、これらの装置がバスに接続されて相互にデータの受け渡しが行える構成となっている。
【0087】
CPU1101は、周辺機器や各種ソフトウェアを実行する他に図10で説明した処理を実現するプログラムを実行する演算装置である。メモリ1102は、プログラムを実行するために使用される揮発性の記憶装置である。メモリ1102には、例えば、RAMなどを使用することができる。
【0088】
入力装置1103は、外部からのデータ入力手段である。入力装置1103には、例えば、キーボードやマウスなどを使用することができる。出力装置1104は、データ等を表示装置等に出力する装置である。なお、出力装置1104には、表示装置を含むこともできる。
【0089】
外部記憶装置1105は、サーバ120が動作するために必要なプログラムやデータの他に図10で説明した処理を実現するプログラムを記憶する不揮発性の記憶装置である。外部記憶装置1105には、例えば、磁気ディスク記憶装置などを使用することができる。媒体駆動装置1106は、メモリ1102や外部記憶装置1105のデータを可搬記憶媒体1107、例えば、フロッピイディスクやMOディスク、CD−RやDVD−Rなどに出力し、または可搬記憶媒体1107からプログラムやデータ等を読み出す装置である。
【0090】
ネットワーク接続装置1108は、ネットワーク1109に接続する装置である。
なお、図11にはサーバ120の構成例を例示したが、データ伝送装置も図11と同様の構成要素によって実現することができる。ただし、図11は、サーバ120およびデータ伝送装置の構成の一例にすぎない。したがって、サーバ120およびデータ伝送装置の構成には、必要に応じて、図11に示した構成要素のいずれかを省略してもよいし、図11に示した構成以外の構成要素を追加してもよい。
【0091】
また、メモリ1102、外部記憶装置1105および可搬記憶媒体1107などのサーバ120に読取り可能な記憶媒体には、非一時的(non−transitory)な媒体を使用することができる。
【0092】
以上に説明したように、端末装置110は、端末装置110周辺に検出するデータ伝送装置それぞれを経由する通信経路に対して、通信路確認フラグを送信する(ステップS710)。一方、通信路確認フラグを受信するデータ伝送装置は、通信路確認フラグに含まれる詳細フラグ400に含まれるフラグのうち該当するフラグをONに設定して次の伝送先に通信路確認フラグを送信する(ステップS910、S916)。
【0093】
そして、端末装置110は、送信した通信路確認フラグが送信先のサーバ120から返信されてくると、返信された通信路確認フラグに含まれる詳細フラグ400から通信経路毎の重み付けを算出する(ステップS717)。さらに、端末装置110は、通信経路毎の通信分配率を算出し(ステップS718)、算出した通信分配率に応じた数のセッションを通信経路毎に割当てて通信を行なう(ステップS720)。
【0094】
このように、通信経路毎に送信された通信路確認フラグそれぞれには、通信路確認フラグを受信したデータ伝送装置によってデータ伝送装置から次のデータ伝送先までの通信経路の状況が反映される。したがって、端末装置110から通信経路を経由してサーバ120まで伝送され、さらに、サーバ120から通信経路を経由して端末装置110まで伝送された通信路確認フラグには、その伝送された通信経路の状況が反映されている。
【0095】
そして、端末装置110は、通信経路から受信した通信路確認フラグに含まれる詳細フラグ400から算出する通信経路毎の重み付けに応じて決められた通信分配率にしたがって通信経路毎にセッションを割当てて通信するので、通信経路の状況に応じた通信量を通信経路毎に割当てて通信を行なうことができる。例えば、弱電界などスループット性能に影響する状況が発生している通信経路にはセッションの割当て数を少なくして通信データ量を抑え、その抑えた分の通信データ量を他の通信経路に配分することができる。その結果、端末装置110は、複数の通信経路を使用して効率的な通信を行なうことが可能となる。
【0096】
また、通信路確認フラグの詳細フラグ400には、図5に例示したように、性能重視の重み付け、通信費重視の重み付け、安定性重視の重み付けなど目的に応じた重み付けを行なうことができる。これにより、端末装置110は、性能重視など目的に応じて各通信経路にセッションを割当てることができる。その結果、端末装置110は、所望の目的にそって効率的な通信を行なうことが可能となる。
【0097】
また、端末装置110は、セッションを確立する毎に、セッションを確立した通信経路に通信路確認フラグを送信する(ステップS710)。そして、端末装置110は、通信経路から受信した通信路確認フラグに含まれる詳細フラグ400から算出する通信経路毎の重み付けに応じて決められた通信分配率にしたがって通信経路毎にセッションを割当てて通信する。その結果、データ通信を行ないながら、刻々と変化する端末装置110の状況に応じて効率的な通信を行なうことが可能となる。
【0098】
また、端末装置110は、セッションが確立すると課金サーバ180にIMSI通知メッセージを送信して課金サーバ180に自局のIMSIを通知する(ステップS708)。これにより、通信経路の途中でデータ伝送装置として動作する、例えば、携帯電話などの機器への課金を防止して通信元の端末装置110に課金させることができる。
【0099】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう通信制御方法において、
通信を開始する第1の装置が、前記第1の装置の周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して前記第1の装置の通信先の装置である第2の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信し、
通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記通信路確認情報を受信すると、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を前記通信路確認情報に含まれる経路情報に設定して次の転送先に転送し、
前記第1の装置が、複数の前記通信経路それぞれから、前記第2の装置に送信した通信路確認情報の返信を受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てて通信を行なう通信制御方法。
(付記2)
前記データ伝送装置は、前記通信路確認情報に含まれる経路情報のうち、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況に該当する経路情報に該当する旨の値を設定し、
前記第1の装置は、複数の前記通信経路それぞれから、前記第2の装置に送信した通信路確認情報の返信を受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に設定された前記該当する旨の値の総和に応じて通信経路毎の重み付けを行なう、
ことを特徴とする付記1に記載の通信制御方法。
(付記3)
前記第1の装置は、セッションを確立する毎に、前記セッションを確立した通信経路に前記通信路確認情報を送信する、
ことを特徴とする付記1に記載の通信制御方法。
(付記4)
前記通信路確認情報に含まれるそれぞれの経路情報には、経路情報の内容に応じてあらかじめ重み付けがされている、
ことを特徴とする付記2に記載の通信制御方法。
(付記5)
前記通信路確認情報に含まれる前記経路情報には、通信速度、通信量に応じた課金の有無、無線通信時の受信電波の状況、通信路での障害の有無、データ伝送装置の電源状態、通信経路の輻輳状態、前記通信制御方法に対応していない機器の有無に関する情報のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする付記2に記載の通信制御方法。
(付記6)
前記データ伝送装置は、転送先が同じ通信路確認情報を複数の通信経路から受信すると、受信した前記通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報をまとめて1つの通信経路確認情報を生成し、生成した前記通信経路確認情報を送信先に送信する、
ことを特徴とする付記1に記載の通信制御方法。
(付記7)
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう端末装置において、
周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して通信先の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信する送信部と、
前記通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を経路情報に設定した前記通信路確認情報を通信経路それぞれから受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当てる割当て部と、
前記セッションを使用して通信を行なう通信部と、
を備える端末装置。
(付記8)
装置間で複数の通信経路を使用して並列に通信を行なう通信制御用のプログラムにおいて、
周辺に存在するデータ伝送装置それぞれを経由して通信先の装置に至る複数の通信経路それぞれ対して、通信経路の状況を示す複数の経路情報を含む通信路確認情報を送信し、
前記通信経路の途中に存在してデータを転送するデータ伝送装置が、前記データ伝送装置と接続する送信側の伝送路の状況を経路情報に設定した前記通信路確認情報を通信経路それぞれから受信すると、受信した通信経路確認情報それぞれに含まれる経路情報に応じて通信経路毎の重み付けを行ない、前記重み付けに応じた数のセッションを各通信経路に割当て、
前記セッションを使用して通信を行なう、
処理を端末装置に行なわせるプログラム。
【符号の説明】
【0100】
110 端末装置
120 サーバ
130、140 伝送装置
150 周辺端末装置
160 無線基地局
170 インターネット
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図1