(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する端末装置、変換文字候補同期方法及び変換文字候補同期プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する端末装置、変換文字候補同期方法及び変換文字候補同期プログラムが限定されるものではない。また、実施例において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
[実施例1]
<端末装置の構成>
図1は、実施例1の端末装置の一例を示すブロック図である。
図1において、端末装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、タッチパネル13と、LCD(Liquid Crystal Display)14と、無線通信ユニット15と、アンテナ16とを有する。タッチパネル13とLCD14とは積層されている。
【0014】
メモリ12は、学習辞書121及び同期ウィンドテーブル122を記憶する。学習辞書121及び同期ウィンドテーブル122の詳細は後述する。メモリ12の一例として、SDRAM等のRAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0015】
プロセッサ11は、端末装置10の各種処理を行う。特に、プロセッサ11は、ユーザからのタッチパネル13への入力に基づいて、他の端末装置との間で、学習辞書121の同期処理を行う。また、プロセッサ11は、学習辞書121の内容に基づいて、LCD14に各種画面を表示させる。また、プロセッサ11は、無線通信ユニット15及びアンテナ16を用いて、他の端末との間で、各種情報をやり取りする。プロセッサ11の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。プロセッサ11の処理の詳細は後述する。
【0016】
無線通信ユニット15は、他の端末装置との間で近距離無線通信を行い、アンテナ16を介して他の端末装置との間で無線信号を送受信する。例えば、無縁通信ユニット15は、Wi-Fi(Wireless Fidelity)方式(Wi-Fi(登録商標))またはBluetooth方式(Bluetooth(登録商標))等の通信方式を用いて、他の端末装置と近距離無線通信を行う。
【0017】
ここで、端末装置10として、例えば、タブレット端末、スマートフォン等がある。端末装置10がタブレット端末またはスマートフォンである場合、タブレット端末及びスマートフォンの双方が、
図1に示す構成を採る。また、以下の説明では、スマートフォンの学習辞書を、タブレット端末の学習辞書に同期させる場合を一例として説明する。そこで、以下の説明においてタブレット端末の構成とスマートフォンの構成とを区別するために、タブレット端末の構成の符号に“T”の添え字を付す一方で、スマートフォンの構成の符号に“S”の添え字を付す。またタブレット端末とスマートフォンとを区別せずに「端末装置」としてまとめて説明するときは、各構成の符号には“T”及び“S”の添え字を付さない。
【0018】
すなわち、
図1と同様、タブレット端末10Tは、プロセッサ11Tと、メモリ12Tと、タッチパネル13Tと、LCD14Tと、無線通信ユニット15Tと、アンテナ16Tとを有する。タッチパネル13TとLCD14Tとは積層されている。メモリ12Tは、学習辞書121T及び同期ウィンドテーブル122Tを記憶する。
【0019】
また、
図1と同様、スマートフォン10Sは、プロセッサ11Sと、メモリ12Sと、タッチパネル13Sと、LCD14Sと、無線通信ユニット15Sと、アンテナ16Sとを有する。タッチパネル13SとLCD14Sとは積層されている。メモリ12Sは、学習辞書121S及び同期ウィンドテーブル122Sを記憶する。
【0020】
<同期ウィンドテーブルの具体例>
図2は、実施例1の同期ウィンドテーブルの一例を示す図である。
図2に示す同期ウィンドテーブル122は、同期ウィンドテーブル122T及び同期ウィンドテーブル122Sである。つまり、タブレット端末10T及びスマートフォン10Sは互いに同一の内容の同期ウィンドテーブルを記憶する。
【0021】
同期ウィンドテーブル122は、項目として、機種識別子と、端末タイプと、画面サイズと、同期ウィンドサイズとを有する。
【0022】
「機種識別子」は、端末装置10の機種毎に付される識別子であり、端末装置10の機種を一意に特定する項目である。「機種識別子」は、例えば、各端末装置10の型番で表される。ここでは、スマートフォン10Sの機種識別子が“10S”であり、タブレット端末10Tの機種識別子が“10T”であるとする。
【0023】
「端末タイプ」は、端末装置10のカテゴリを示す項目であり、例えば、「スマートフォン」、「タブレット端末」等のカテゴリで表される。
【0024】
「画面サイズ」は、各端末装置10が有するLCD14の表示サイズを示す項目である。ここでは、一例として、スマートフォン10Sの画面サイズが4.3インチである一方で、タブレット端末10Tの画面サイズが10.1インチであるとする。
【0025】
「同期ウィンドサイズ」は、LCD14の表示領域のうち、タッチパネル13に入力された入力文字に対する変換文字の候補(以下では単に「候補」と呼ぶことがある)を表示可能な領域の大きさを示す項目である。以下では、LCD14の表示領域のうち、タッチパネル13に入力された入力文字に対する変換文字の候補を表示可能な領域は「候補表示領域」と呼ぶことがある。同期ウィンドサイズは、画面サイズが大きくなるほど、より大きくなる。例えば、
図2では、一例として、タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズが、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズの3倍の大きさになっている。
【0026】
ここで、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズ“3”は、スマートフォン10Sの候補表示領域内に、何れかの入力文字に対する変換文字の複数の候補のうち、最大で3個の候補を一覧表示可能であることを示す。同様に、タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズ“9”は、タブレット端末10Tの候補表示領域内に、何れかの入力文字に対する変換文字の複数の候補のうち、最大で9個の候補を一覧表示可能であることを示す。つまり、「同期ウィンドサイズ」は、候補表示領域のサイズに相当する。
【0027】
<学習辞書の同期処理の具体例>
図3及び
図4は、実施例1の学習辞書の一例を示す図である。
図3及び
図4に示すように、入力文字に対する変換文字の複数の候補からなる候補群(以下では単に「候補群」と呼ぶことがある)が見出し文字毎に学習辞書121に登録されている。
【0028】
ここで、候補の番号1〜10は、候補の優先順位を示す。プロセッサ11は、タッチパネル13に入力された文字に対し、この優先順位に従って、つまり、優先順位の順番に、候補群に含まれる複数の候補の一覧を候補表示領域内に表示させる。すなわち、候補の番号1〜10は、候補表示領域内に一覧表示される複数の候補の表示順位(以下では単に「表示順位」と呼ぶことがある)に相当する。よって例えば、同期ウィンドサイズ“9”であるタブレット端末10Tでは、タッチパネル13Tに入力された文字に対し、候補1〜10のうち、候補1〜9が候補表示領域内に最初に一覧表示される。また例えば、同期ウィンドサイズ“3”であるスマートフォン10Sでは、タッチパネル13Sに入力された文字に対し、候補1〜10のうち、候補1〜9が候補表示領域内に最初に一覧表示される。
【0029】
また、プロセッサ11は、ユーザが過去に行った変換の履歴を学習し、学習結果に従って、各候補に優先順位、すなわち、表示順位を付与する。例えば、プロセッサ11は、ユーザによって過去に選択された回数が多い候補ほど、優先順位、すなわち、表示順位をより高くする。
【0030】
そして、
図3及び
図4には、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された候補群において、何れかの候補の表示順位に変更があった場合を示す。また、
図3には、その何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内、すなわち、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にある場合を示す。一方で、
図4には、その何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内、すなわち、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合を示す。
【0031】
まず、
図3の時刻t1では、タブレット端末10Tの学習辞書121Tには、例えば、見出し文字「あ」に対して、変換文字の10個の候補1〜10からなる候補群21が登録されている。すなわち、学習辞書121Tには、時刻t1において、見出し文字「あ」に対して、「明日」,「相棒」,「安心」,「挨拶」,「愛妻」,「赤門」,「荒汁」,「粗塩」,「安全」,「遊び」の表示順に、候補1〜10からなる候補群21が登録されている。
【0032】
一方で、スマートフォン10Sの学習辞書121Sには、時刻t1では、例えば、見出し文字「あ」に対して、変換文字の10個の候補1〜10からなる候補群41が登録されている。すなわち、学習辞書121Sには、時刻t1において、見出し文字「あ」に対して、「明日」,「相棒」,「安心」,「挨拶」,「愛妻」,「赤門」,「荒汁」,「粗塩」,「安全」,「遊び」の表示順に、候補1〜10からなる候補群41が登録されている。つまり、この時点では、候補群41は候補群21に同期している。
【0033】
タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズは上記のように“9”である。よって、時刻t1でタッチパネル13Tに「あ」が入力されると、プロセッサ11Tは、変換文字の10個の候補のうち表示順位が上位9個の候補1〜9を候補表示領域内に最初に、「明日」,「相棒」,「安心」,「挨拶」,「愛妻」,「赤門」,「荒汁」,「粗塩」,「安全」の順で一覧表示させる。
【0034】
一方で、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”である。よって、時刻t1でタッチパネル13Sに「あ」が入力されると、プロセッサ11Sは、変換文字の10個の候補のうち表示順位が上位3個の候補1〜3を候補表示領域内に最初に、「明日」,「相棒」,「安心」の順で一覧表示させる。
【0035】
そして、タブレット端末10Tにおいて、時刻t1で一覧表示された候補1〜9のうち、ユーザによって候補2の「相棒」が選択され、入力文字「あ」に対する変換文字として「相棒」が決定されたとする。また、「相棒」が選択された結果、プロセッサ11Tの学習により、「相棒」の表示順位が「明日」の表示順位よりも高くなったとする。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t1で候補1が「明日」、候補2が「相棒」であった候補群21を、時刻t2で、候補1が「相棒」、候補2が「明日」の候補群22に変更する。つまり、プロセッサ11Tは、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された10個の候補において、「明日」及び「相棒」の表示順位を変更する。
【0036】
プロセッサ11Tは、「明日」及び「相棒」の表示順位を変更したので、「明日」または「相棒」の変更後の表示順位“2”または“1”が、スマートフォン10Sの同期ウィンド31内、つまり、候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断する。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”、すなわち、表示順位“1”〜“3”に相当する。そこで、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位“2”または“1”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあると判断する。
【0037】
変更後の表示順位“1”または“2”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるため、時刻t2で、プロセッサ11Tは、候補群41の候補1〜10を候補群22の候補1〜10に同期させる。換言すれば、プロセッサ11Tは、候補群41を、表示順位の変更後の候補群22に同期させる。つまり、候補群41は、候補群22によって、候補群42に更新される。これにより、見出し文字「あ」に対する変換文字の候補1〜10は、それらの表示順位も含めて、時刻t2で、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。
【0038】
一方で、
図4において、候補群21,41の状態は、
図3に示すものと同様である。但し、
図4では、タブレット端末10Tにおいて、時刻t1で一覧表示された候補1〜9のうち、ユーザによって候補9の「安全」が選択され、入力文字「あ」に対する変換文字として「安全」が決定されたとする。また、「安全」が選択された結果、プロセッサ11Tの学習により、「安全」の表示順位が「粗塩」の表示順位よりも高くなったとする。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t1で候補8が「粗塩」、候補9が「安全」であった候補群21を、時刻t2で、候補8が「安全」、候補9が「粗塩」の候補群23に変更する。つまり、プロセッサ11Tは、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された10個の候補において、「粗塩」及び「安全」の表示順位を変更する。
【0039】
プロセッサ11Tは、「粗塩」及び「安全」の表示順位を変更したので、「粗塩」または「安全」の変更後の表示順位“9”または“8”が、スマートフォン10Sの同期ウィンド31内、つまり、候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断する。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”、すなわち、表示順位“1”〜“3”に相当する。そこで、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位“9”または“8”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にないと判断する。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t2より後のタイミングで、かつ、一定周期、例えば30分周期で繰り返し到来するタイミングに相当する時刻t3で、候補群41の候補1〜10を候補群23の候補1〜10に同期させる。つまり、候補群41は、候補群23によって、候補群43に更新される。これにより、見出し文字「あ」に対する変換文字の候補1〜10は、それらの表示順位も含めて、時刻t2より後の時刻t3のタイミングで、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。なお、一定周期で繰り返し到来するタイミング間では、学習辞書121Tの候補群において表示順位の複数回の変更がなされることがある。
【0040】
<画面表示例>
図5A〜Cは、実施例1のタブレット端末の表示例を示す図である。タブレット端末10Tでは、
図5A〜Cに示すように、文字入力時には、LCD14Tの表示領域が、10T1,10T2,10T3の3個の表示領域に区分される。表示領域10T1は、ユーザにより入力または選択された文字が表示される領域である。表示領域10T2は、候補表示領域である。タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズは上記のように“9”であるため、表示領域10T2には、最大で9個の候補が一覧表示される。表示領域10T3には、ユーザが文字入力をするための入力キーが表示される。入力キー「あ」は「あ行」の各文字の入力の際に用いられ、入力キー「あ」がタッチされる毎に、表示領域10T1に表示される文字が、「あ」,「い」,「う」,「え」,「お」と順に変化する。他の入力キーについても同様である。
【0041】
図5Aには、学習辞書121Tに登録されている候補群が、候補群21(
図3)の状態にあるときを示す。よって、ユーザによる「あ」の入力に対し、表示領域10T2には、候補群21のうちの候補1〜9が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
【0042】
そして、
図5Bに示すように、ユーザにより、入力文字「あ」に対する変換文字として、表示領域10T2に表示された9個の候補のうち、「相棒」がタッチされて選択されたとする。そこで、プロセッサ11Tは、
図3に示すように、候補群21を候補群22に変更する。
【0043】
図5Cには、学習辞書121Tに登録されている候補群が、候補群21から候補群22に変更されて候補群22の状態にあるときを示す。よって、ユーザによる「あ」の入力に対し、表示領域10T2には、候補群22のうちの候補1〜9が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
図5Aと
図5Cとの間では、表示領域10T2において、「明日」と「相棒」の表示順序が入れ替わっている。
【0044】
図6A,Bは、実施例1のスマートフォンの表示例を示す図である。スマートフォン10Sでは、
図6A,Bに示すように、文字入力時には、LCD14Sの表示領域が、10S1,10S2,10S3の3個の表示領域に区分される。表示領域10S1は、ユーザにより入力または選択された文字が表示される領域である。表示領域10S2は、候補表示領域である。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”であるため、表示領域10S2には、最大で3個の候補が一覧表示される。表示領域10S3は、ユーザが文字入力をするための入力キーが表示される。入力キー「あ」は「あ行」の各文字の入力の際に用いられ、入力キー「あ」がタッチされる毎に、表示領域10S1に表示される文字が、「あ」,「い」,「う」,「え」,「お」と順に変化する。他の入力キーについても同様である。
【0045】
図6Aには、学習辞書121Sに登録されている候補群が、候補群41(
図3)の状態にあるときを示す。よって、ユーザによる「あ」の入力に対し、表示領域10S2には、候補群41のうちの候補1〜3が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
【0046】
図6Bには、学習辞書121Sに登録されている候補群が、学習辞書121Tに登録されている候補群22に同期した候補群42(
図3)の状態にあるときを示す。よって、ユーザによる「あ」の入力に対し、表示領域10S2には、候補群42のうちの候補1〜3が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。つまり、
図6Bにおいて表示領域10S2に表示される候補1〜3は、
図5Cにおいて表示領域10T2に表示される候補1〜9のうちの候補1〜3に一致する。
【0047】
<タブレット端末及びスマートフォンの処理>
図7は、実施例1の学習辞書の同期処理の説明に供するシーケンス図である。なお、
図7において、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間の近距離無線通信は、無線通信ユニット15T及び無線通信ユニット15Sによって行われる。
【0048】
タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとが、互いに近距離無線通信が可能な範囲に入ると、プロセッサ11Tが通信確立要求を生成し、無線通信ユニット15Tに通信確立要求をスマートフォン10Sに対し送信させる(ステップS101)。
【0049】
通信確立要求を受信したスマートフォン10Sでは、その通信確立要求に対する応答として、プロセッサ11Sが通信確立応答を生成し、無線通信ユニット15Sに通信確立応答をタブレット端末10Tに対し送信させる(ステップS102)。そして、タブレット端末10Tが通信確立応答を受信することにより、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間に、近距離無線通信の通信チャネルが確立される。
【0050】
近距離無線通信の通信チャネルが確立されると、プロセッサ11Tが学習同期要求を生成し、無線通信ユニット15Tに学習同期要求をスマートフォン10Sに対し送信させる(ステップS103)。この学習同期要求には、タブレット端末10T及びスマートフォン10Sのユーザを一意に特定可能な、各ユーザに固有のユーザ識別子が含まれる。ユーザ識別子は、メモリ12T及びメモリ12Sの双方にユーザにより予め記憶されている。ユーザ識別子として、例えば、グーグルID等を利用してもよい。
【0051】
タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一である場合には、メモリ12Tに記憶されたユーザ識別子と、メモリ12Sに記憶されたユーザ識別子とが一致する。そこで、学習同期要求を受信したスマートフォン10Sでは、プロセッサ11Sが、学習同期要求に含まれるユーザ識別子と、メモリ12Sに記憶されたユーザ識別とが一致するか否かの判定、つまり、ユーザ判定を行う(ステップS104)。
【0052】
ステップS104で双方のユーザ識別子が一致する場合は、プロセッサ11Sは、ユーザ判定“OK”の学習同期応答を生成する。一方で、ステップS104で双方のユーザ識別子が一致しない場合は、プロセッサ11Sが、ユーザ判定“NG”の学習同期応答を生成する。そして、プロセッサ11Sが、無線通信ユニット15Sに学習同期応答をタブレット端末10Tに対し送信させる(ステップS105)。
【0053】
学習同期応答を受信したタブレット端末10Tでは、プロセッサ11Tが、学習同期応答に従って、タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一であるか否か判定する(ステップS106)。すなわち、プロセッサ11Tは、学習同期応答が“OK”である場合は、タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一であると判定する。一方で、プロセッサ11Tは、学習同期応答が“NG”である場合は、タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一でないと判定する。
【0054】
タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一でない場合(ステップS106:No)、プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sとの近距離無線通信の通信チャネルを切断する(ステップS107)。
【0055】
一方で、タブレット端末10Tのユーザとスマートフォン10Sのユーザとが同一である場合(ステップS106:Yes)、プロセッサ11Tが、機種識別子取得要求を生成する。そして、プロセッサ11Tが、無線通信ユニット15Tに機種識別子取得要求をスマートフォン10Sに対し送信させる(ステップS108)。
【0056】
スマートフォン10Sの機種識別子“10S”は、スマートフォン10Sのメモリ12Sに予め記憶されている。そこで、機種識別子取得要求を受信したスマートフォン10Sでは、その機種識別子取得要求に応じて、プロセッサ11Sが、メモリ12Sに記憶されている機種識別子“10S”を取得し、無線通信ユニット15Sにこの機種識別子をタブレット端末10Tに対し送信させる(ステップS109)。
【0057】
スマートフォン10Sの機種識別子を受信したタブレット端末10Tでは、プロセッサ11Tが、
図3及び
図4を用いて説明したような「学習登録判断処理」を行う(ステップS110)。この「学習登録判断処理」の詳細な処理フローは後述する。そして、プロセッサ11Tが「同期要求」を生成し、無線通信ユニット15Tに同期要求をスマートフォン10Sに対し送信させる(ステップS111)。この同期要求には、変更後の候補群が含まれる。同期要求に含まれる候補群は、具体的には例えば、候補群22(
図3)または候補群23(
図4)である。
【0058】
ここで、ステップS111における「同期要求」とは、タブレット端末10Tがスマートフォン10Sに対し、学習辞書121Sに登録されている候補群を、学習辞書121Tに登録されている候補群に同期させることを要求する情報である。また、「同期要求」は、学習辞書121Tに登録された候補群に変更があった場合に、プロセッサ11Tによって、変更後の候補群に基づいて生成されるものである。以下のステップS209,S212における「同期要求」も同様である。
【0059】
同期要求を受信したスマートフォン10Sでは、その同期要求に応じて、プロセッサ11Sが、学習辞書121Sに登録されている候補群を、同期要求に含まれる候補群によって更新する(ステップS112)。これにより、学習辞書121Sに登録されている候補群は、学習辞書121Tに登録されている候補群に同期する。学習辞書121Sに登録されている同期後の候補群は、具体的には例えば、候補群42(
図3)または候補群43(
図4)である。ステップS112での「更新処理」の詳細な処理フローは後述する。更新処理の完了後、プロセッサ11Sが同期完了通知を生成し、無線通信ユニット15Sに同期完了通知をタブレット端末10Tに対し送信させる(ステップS113)。
【0060】
そして、タブレット端末10Tでの同期完了通知の受信によって、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間における学習辞書の同期処理が完了する。
【0061】
図8は、実施例1のタブレット端末の処理の説明に供するフローチャートである。
図8に示す処理フローは、
図7における「学習登録判断処理」(ステップS110)及び「同期要求(候補群)」(ステップS111)に該当する。
【0062】
プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sからの機種識別子が受信されると、一定時間経過後にタイムアウトするタイマー(図示せず)を起動させる(ステップS201)。
【0063】
次いで、プロセッサ11Tは、タッチパネル13Tに対してなされる操作を監視し、入力文字に対する変換文字を決定するための文字決定入力がタッチパネル13Tにあるまで待つ(ステップS202:No)。例えば、プロセッサ11Tは、LCD14Tの領域10T2(
図5B)に表示された複数の候補のいずれかがタッチされたときに、文字決定入力があったと判断する。
【0064】
文字決定入力がタッチパネル13Tにあった場合(ステップS202:Yes)、プロセッサ11Tは、学習辞書121Tに対する学習登録を行う(ステップS203)。この学習登録とは、例えば、プロセッサ11Tが、ユーザが過去に行った変換の履歴を学習し、学習結果に従って各候補に表示順位を付与し、表示順位を付与した各候補からなる候補群を学習辞書121Tに登録することである。
【0065】
次いで、プロセッサ11Tは、学習登録の結果、
図3及び
図4に示すような候補群の変更があったか否かを判断する(ステップS204)。すなわち、プロセッサ11Tは、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された候補群において、何れかの候補の表示順位に変更があったか否かを判断する。候補群に変更がなかった場合は(ステップS204:No)、処理はステップS211に進む。
【0066】
一方で、候補群に変更があった場合は(ステップS204:Yes)、プロセッサ11Tは、
図7のステップS109で受信された機種識別子に基づいて同期ウィンドテーブル122Tを参照する。そして、プロセッサ11Tは、同期ウィンドテーブル122Tから、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズを取得する(ステップS205)。
【0067】
次いで、プロセッサ11Tは、候補群において変更された候補が同期ウィンド内の候補であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0068】
変更された候補が同期ウィンド内の候補である場合は(ステップS206:Yes)、即時に、プロセッサ11Tは、変更後の候補群を含む同期要求を生成し、無線通信ユニット15Tに、その同期要求をスマートフォン10Sに対して送信させる(ステップS209)。変更された候補が同期ウィンド内の候補である場合とは、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にある場合である。
【0069】
一方で、変更された候補が同期ウィンド内の候補でない場合は(ステップS206:No)、プロセッサ11Tは、タイマーがタイムアウトしているか否かを判断する(ステップS207)。変更された候補が同期ウィンド内の候補でない場合とは、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合である。タイマーがタイムアウトしている場合には(ステップS207:Yes)、プロセッサ11Tは、タイマーを再起動させる(ステップS208)。そして、プロセッサ11Tは、変更後の候補群を含む同期要求を生成し、無線通信ユニット15Tに、その同期要求をスマートフォン10Sに対して送信させる(ステップS209)。
【0070】
次いで、プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sからの同期完了通知が受信されるまで待つ(ステップS210:No)。
【0071】
候補群に変更がなかった場合(ステップS204:No)、タイマーがタイムアウトしていない場合(ステップS207:No)、または、同期完了通知が受信された場合(ステップS210:Yes)は、処理はステップS211に進む。すなわち、プロセッサ11Tは、タッチパネル13Tに対する文字入力が終了したか否かを判断する(ステップS211)。例えば、プロセッサ11Tは、
図5A〜Cに示すような文字入力画面がユーザの操作によって閉じられたときに、タッチパネル13Tに対する文字入力が終了したと判断する。また例えば、プロセッサ11Tは、文字入力の対象となっていたアプリケーションがユーザの操作によって終了したときに、タッチパネル13Tに対する文字入力が終了したと判断する。文字入力が終了していない場合は(ステップS211:No)、処理はステップS202に戻る。
【0072】
文字入力が終了した場合は(ステップS211:Yes)、プロセッサ11Tは、変更後の候補群を含む同期要求を生成し、無線通信ユニット15Tに、その同期要求をスマートフォン10Sに対して送信させる(ステップS212)。ステップS212の処理は、タイマーが起動または再起動された後、タイムアウトする前に文字入力が終了した場合等の補完的な同期処理である。
【0073】
そして、プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sからの同期完了通知が受信されるまで待ち(ステップS213:No)、同期完了通知が受信されると(ステップS213:Yes)、処理を終了する。
【0074】
図9は、実施例1のスマートフォンの処理の説明に供するフローチャートである。
図9に示す処理フローは、
図7における「更新処理」(ステップS112)に該当する。
【0075】
プロセッサ11Sは、タブレット端末10Tから同期要求が受信されると、その同期要求に含まれる候補群の見出し文字が学習辞書121Sに登録済みか否かを判断する(ステップS301)。
【0076】
同期要求に含まれる候補群の見出し文字が学習辞書121Sに登録済みである場合は(ステップS301:Yes)、プロセッサ11Sは、学習辞書121S内の見出し文字に対応する候補群を、同期要求に含まれる候補群により更新する(ステップS302)。
【0077】
一方で、同期要求に含まれる候補群の見出し文字が学習辞書121Sに登録済みでない場合は(ステップS301:No)、プロセッサ11Sは、同期要求に含まれる候補群を見出し文字とともに、学習辞書121Sに新規に追加する(ステップS303)。
【0078】
以上のように、本実施例によれば、タブレット端末10Tのメモリ12Tは、候補群21を記憶する。タブレット端末10Tのプロセッサ11Tは、候補群21において何れかの候補の表示順位に変更があった場合、以下の判断を行う。すなわち、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位が、所定の表示順位内、すなわち、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断する。そして、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位が、その最初に一覧表示される表示順位内にある場合に、無線通信ユニット15に、候補群41を記憶するスマートフォン10Sに対して、表示順位の変更後の候補群23を送信させる。つまり、プロセッサ11Tは、学習辞書121Tで何れかの候補の表示順位が変更されても、変更後のその表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にある場合にだけ学習辞書121Sを学習辞書121Tに同期させる。
【0079】
換言すれば、本実施例では、プロセッサ11Tは、候補群21における何れかの候補の変更後の表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合は、無線通信ユニット15に、表示順位の変更後の候補群23を即時に送信させない。つまり、プロセッサ11Tは、学習辞書121Tで何れかの候補の表示順位が変更されても、変更後のその表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合は、学習辞書121Sを学習辞書121Tに即時に同期させない。このため、候補群21において何れかの候補の表示順位に変更がある度に学習辞書121Sを学習辞書121Tに同期させるのを避けることができる。よって例えば、学習辞書121Tの候補群において表示順位の複数回の変更を1回の同期処理で一括して学習辞書121Sに反映させることが可能になる。よって、本実施例によれば、タブレット端末10T及びスマートフォン10Sの省電力化を図ることができる。
【0080】
また、本実施例では、候補群21における何れかの候補の変更後の表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域に最初に一覧表示される表示順位内にある場合は、学習辞書121Sを学習辞書121Tに同期させる。このため、タブレット端末10Tの候補群21において何れかの候補の表示順位に変更があった場合に、スマートフォン10Sでは、即時に、表示順位変更後の候補群を表示することができる。よって例えば、タブレット端末10Tで文字入力が行われている間に、スマートフォン10Sで電子メールが受信され即時に返信のための文字入力が必要になった場合等に、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0081】
また、本実施例では、プロセッサ11Tは、候補群21における何れかの候補の変更後の表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合は、以下の処理を行う。すなわち、この場合、プロセッサ11Tは、一定周期で繰り返し到来するタイミングで、無線通信ユニット15に、スマートフォン10Sに対して、表示順位の変更後の候補群23を送信させる。これにより、候補群21における何れかの候補の変更後の表示順位がスマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合でも、定期的に、学習辞書121Sを学習辞書121Tに同期させることができる。
【0082】
また、本実施例では、プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位の範囲、つまり、同期ウィンドサイズを、スマートフォン10Sの候補表示領域内に一覧表示可能な候補の数として取得する。これにより、プロセッサ11Tは、候補の数に基づいて、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断することができる。
【0083】
[実施例2]
実施例2では、実施例1の時刻t2において、同期ウィンド31内の候補だけを同期させる点が実施例1と異なる。以下、実施例1と同様な点の説明は省略する。
【0084】
<学習辞書の同期処理の具体例>
図10は、実施例2の学習辞書の一例を示す図である。
図10には、
図3と同様、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された候補群において、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内にある場合を示す。
【0085】
図10の時刻t1での各候補群の状態は、
図3の時刻t1での各候補群の状態と同一である。また、
図10の時刻t2での候補群22の状態は、
図3の時刻t2での候補群22の状態と同一である。
【0086】
図10において、変更後の表示順位“1”または“2”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるため、時刻t2で、スマートフォン10Sの候補群の更新が行われる。すなわち、
図10に示すように、時刻t2では、候補群41のうち同期ウィンド31内の候補1〜3のみが含まれる同期要求がタブレット端末10Tからスマートフォン10Sに送信される。よって、候補群22のうち同期ウィンド31内の候補1〜3のみによって候補群41が更新され、その結果、候補群41は候補群44に更新される。つまり、プロセッサ11Tは、候補群41の候補1〜3を候補群22の候補1〜3に同期させる。これにより、見出し文字「あ」に対する変換文字の候補1〜10のうち、候補1〜3が、候補4〜10より優先して、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。
【0087】
なお、候補群44では、候補3の「安心」と、候補8の「安心」とが重複している。この重複は、
図8におけるステップS212において、タブレット端末10Tが、候補群22のすべてを含む同期要求をスマートフォン10Sに送信することにより解消される。
【0088】
以上のように、本実施例によれば、プロセッサ11Tは、候補群41のうち、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内に含まれる候補、つまり、同期ウィンド31内の候補だけを通信ユニット15Tに送信させる。これにより、学習辞書121の同期処理にかかる時間を短縮することができる。また、学習辞書121の同期処理の処理量を削減することができる。よって、タブレット端末10T及びスマートフォン10Sの省電力化をさらに図ることができる。
【0089】
[実施例3]
実施例1では、入力文字に対して「かな漢字変換」を行う場合について説明した。これに対し、実施例3では、入力文字に対して「予測変換」を行う場合について説明する。実施例3は、入力文字に対して「かな漢字変換」に代えて「予測変換」を行う点以外は実施例1と同様である。このため、実施例3では、シーケンスの説明及びフローチャートの説明を省略する。
【0090】
<学習辞書の同期処理の具体例>
図11及び
図12は、実施例3の学習辞書の一例を示す図である。
図11及び
図12に示すように、先行文字列毎及び入力文字毎の各候補群が学習辞書121に登録されている。
図11及び
図12には、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された候補群において、何れかの候補の表示順位に変更があった場合を示す。また、
図11には、その何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内、すなわち、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にある場合を示す。一方で、
図12には、その何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にない場合を示す。
【0091】
まず、
図11の時刻t1では、タブレット端末10Tの学習辞書121Tには、例えば、先行文字列「went to」に後続する入力文字「c」に対する予測変換候補として、変換文字の10個の候補1〜10からなる候補群51が登録されている。すなわち、学習辞書121Tには、時刻t1において、予測変換候補として、「city」,「cafe」,「cafeteria」,「cat」,「clear」,「cooking」,「coop」,「corner」,「ccc」,「cia」の表示順に、候補1〜10からなる候補群51が登録されている。
【0092】
一方で、スマートフォン10Sの学習辞書121Sには、時刻t1では、例えば、先行文字列「went to」に後続する入力文字「c」に対する予測変換候補として、変換文字の10個の候補1〜10からなる候補群61が登録されている。すなわち、学習辞書121Sには、時刻t1において、予測変換候補として、「city」,「cafe」,「cafeteria」,「cat」,「clear」,「cooking」,「coop」,「corner」,「ccc」,「cia」の表示順に、候補1〜10からなる候補群61が登録されている。つまり、この時点では、候補群61は候補群51に同期している。
【0093】
タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズは上記のように“9”である。よって、時刻t1で、先行文字列「went to」に続けて、タッチパネル13Tに「c」が入力されると、プロセッサ11Tは、変換文字の10個の候補のうち表示順位が上位9個の候補1〜9を候補表示領域内に最初に、「city」,「cafe」,「cafeteria」,「cat」,「clear」,「cooking」,「coop」,「corner」,「ccc」の順で一覧表示させる。
【0094】
一方で、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”である。よって、時刻t1で、先行文字列「went to」に続けて、タッチパネル13Sに「c」が入力されると、プロセッサ11Sは、変換文字の10個の候補のうち表示順位が上位3個の候補1〜3を候補表示領域内に最初に、「city」,「cafe」,「cafeteria」の順でLCD14Sに一覧表示させる。
【0095】
そして、タブレット端末10Tにおいて、時刻t1で一覧表示された候補1〜9のうち、ユーザによって候補2の「cafe」が選択され、入力文字「c」に対する変換文字として「cafe」が決定されたとする。また、「cafe」が選択された結果、プロセッサ11Tの学習により、「cafe」の表示順位が「city」の表示順位よりも高くなったとする。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t1で候補1が「city」、候補2が「cafe」であった候補群51を、時刻t2で、候補1が「cafe」、候補2が「city」の候補群52に変更する。つまり、プロセッサ11Tは、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された10個の候補において、「city」及び「cafe」の表示順位を変更する。
【0096】
プロセッサ11Tは、「city」及び「cafe」の表示順位を変更したので、「city」または「cafe」の変更後の表示順位“2”または“1”が、スマートフォン10Sの同期ウィンド31内、つまり、候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断する。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”、すなわち、表示順位“1”〜“3”に相当する。そこで、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位“2”または“1”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあると判断する。
【0097】
変更後の表示順位“1”または“2”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるため、時刻t2で、プロセッサ11Tは、候補群61の候補1〜10を候補群52の候補1〜10に同期させる。換言すれば、プロセッサ11Tは、候補群61を、表示順位の変更後の候補群52に同期させる。つまり、候補群61は、候補群52によって、候補群62に更新される。これにより、先行文字列「went to」に後続する入力文字「c」に対する変換文字の候補1〜10は、それらの表示順位も含めて、時刻t2で、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。
【0098】
一方で、
図12において、候補群51,61の状態は、
図11に示すものと同様である。但し、
図12では、タブレット端末10Tにおいて、時刻t1で一覧表示された候補1〜9のうち、ユーザによって候補9の「ccc」が選択され、入力文字「c」に対する変換文字として「ccc」が決定されたとする。また、「ccc」が選択された結果、プロセッサ11Tの学習により、「ccc」の表示順位が「corner」の表示順位よりも高くなったとする。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t1で候補8が「corner」、候補9が「ccc」であった候補群51を、時刻t2で、候補8が「ccc」、候補9が「corner」の候補群53に変更する。つまり、プロセッサ11Tは、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された10個の候補において、「corner」及び「ccc」の表示順位を変更する。
【0099】
プロセッサ11Tは、「corner」及び「ccc」の表示順位を変更したので、以下の処理を行う。すなわち、プロセッサ11Tは、「corner」または「ccc」の変更後の表示順位“9”または“8”が、スマートフォン10Sの同期ウィンド31内、候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断する。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”、すなわち、表示順位“1”〜“3”に相当する。そこで、プロセッサ11Tは、変更後の表示順位“9”または“8”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にないと判断する。そこで、プロセッサ11Tは、時刻t2より後のタイミングで、かつ、一定周期、例えば30分周期で繰り返し到来するタイミングに相当する時刻t3で、候補群61の候補1〜10を候補群53の候補1〜10に同期させる。つまり、候補群61は、候補群53によって、候補群63に更新される。これにより、先行文字列「went to」に後続する入力文字「c」に対する変換文字の候補1〜10は、それらの表示順位も含めて、時刻t2より後の時刻t3のタイミングで、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。
【0100】
<画面表示例>
図13A〜Cは、実施例3のタブレット端末の表示例を示す図である。タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズは上記のように“9”であるため、表示領域10T2には、最大で9個の候補が一覧表示される。表示領域10T3には、ユーザが文字入力をするための入力キーが表示される。入力キー「ABC」は「a」,「b」,「c」の各文字の入力の際に用いられ、入力キー「ABC」がタッチされる毎に、表示領域10T1に表示される文字が、「a」,「b」,「c」と順に変化する。他の入力キーについても同様である。
【0101】
図13Aには、学習辞書121Tに登録されている候補群が、候補群51(
図11)の状態にあるときを示す。よって、先行文字列「went to」に後続する、ユーザによる「c」の入力に対し、表示領域10T2には、候補群51のうちの候補1〜9が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
【0102】
そして、
図5Bに示すように、ユーザにより、入力文字「c」に対する変換文字として、表示領域10T2に表示された9個の候補のうち、「cafe」がタッチされて選択されたとする。そこで、プロセッサ11Tは、
図11に示すように、候補群51を候補群52に変更する。
【0103】
図13Cには、学習辞書121Tに登録されている候補群が、候補群51から候補群52に変更されて候補群52の状態にあるときを示す。よって、先行文字列「went to」に後続する、ユーザによる「c」の入力に対し、表示領域10T2には、候補群53のうちの候補1〜9が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
図13Aと
図13Cとの間では、表示領域10T2において、「city」と「cafe」の表示順序が入れ替わっている。
【0104】
図14A,Bは、実施例3のスマートフォンの表示例を示す図である。スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは上記のように“3”であるため、表示領域10S2には、最大で3個の候補が一覧表示される。表示領域10S3には、ユーザが文字入力をするための入力キーが表示される。入力キー「ABC」は「a」,「b」,「c」の各文字の入力の際に用いられ、入力キー「ABC」がタッチされる毎に、表示領域10T1に表示される文字が、「a」,「b」,「c」と順に変化する。他の入力キーについても同様である。
【0105】
図14Aには、学習辞書121Sに登録されている候補群が、候補群61(
図11)の状態にあるときを示す。よって、先行文字列「went to」に後続する、ユーザによる「c」の入力に対し、表示領域10S2には、候補群61のうちの候補1〜3が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。
【0106】
図14Bには、学習辞書121Sに登録されている候補群が、学習辞書121Tに登録されている候補群52に同期した候補群62(
図11)の状態にあるときを示す。よって、先行文字列「went to」に後続する、ユーザによる「c」の入力に対し、表示領域10S2には、候補群62のうちの候補1〜3が、それらの表示順位に従って最初に一覧表示される。つまり、
図14Bにおいて表示領域10S2に表示される候補1〜3は、
図13Cにおいて表示領域10T2に表示される候補1〜9のうちの候補1〜3に一致する。
【0107】
以上のように、実施例3では、実施例1の「かな漢字変換」に代えて「予測変換」を行う。よって、実施例3によれば、入力文字に対して予測変換を行う場合に、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0108】
[実施例4]
実施例4では、入力文字に対して「予測変換」を行う場合に、実施例3の時刻t2において、同期ウィンド31内の候補だけを同期させる点が実施例3と異なる。以下、実施例2,3と同様な点の説明は省略する。
【0109】
<学習辞書の同期処理の具体例>
図15は、実施例4の学習辞書の一例を示す図である。
図15には、
図11と同様、タブレット端末10Tの学習辞書121Tに登録された候補群において、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの同期ウィンド内にある場合を示す。
【0110】
図15の時刻t1での各候補群の状態は、
図11の時刻t1での各候補群の状態と同一である。また、
図15の時刻t2での候補群52の状態は、
図11の時刻t2での候補群52の状態と同一である。
【0111】
図15において、変更後の表示順位“1”または“2”が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるため、時刻t2で、スマートフォン10Sの候補群の更新が行われる。すなわち、
図15に示すように、時刻t2では、候補群61のうち同期ウィンド31内の候補1〜3のみが含まれる同期要求がタブレット端末10Tからスマートフォン10Sに送信される。よって、候補群52のうち同期ウィンド31内の候補1〜3のみによって候補群61が更新され、その結果、候補群61は候補群64に更新される。つまり、プロセッサ11Tは、候補群61の候補1〜3を候補群52の候補1〜3に同期させる。これにより、先行文字列「went to」に後続する入力文字「c」に対する変換文字の候補1〜10のうち、候補1〜3が、候補4〜10より優先して、タブレット端末10Tとスマートフォン10Sとの間で一致する。
【0112】
なお、候補群64では、候補3の「cafeteria」と、候補8の「cafeteria」とが重複している。この重複は、
図8におけるステップS212において、タブレット端末10Tが、候補群52のすべてを含む同期要求をスマートフォン10Sに送信することにより解消される。
【0113】
以上のように、実施例4では、実施例2の「かな漢字変換」に代えて「予測変換」を行う。よって、実施例4によれば、入力文字に対して予測変換を行う場合に、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0114】
[実施例5]
実施例1では、同期ウィンドサイズを、スマートフォン10Sの候補表示領域内に一覧表示可能な候補数として規定した。これに対し、実施例5では、同期ウィンドサイズを、スマートフォン10Sの候補表示領域内に一覧表示可能な候補の合計文字数として規定する点が実施例1と異なる。以下、実施例1と同様な点の説明は省略する。
【0115】
<同期ウィンドテーブルの具体例>
図16は、実施例5の同期ウィンドテーブルの一例を示す図である。本実施例では、端末装置10は、
図2に示す同期ウィンドテーブル122に代えて、
図15に示す同期ウィンドテーブル123を記憶する。
【0116】
同期ウィンドテーブル123は、項目として、機種識別子と、端末タイプと、画面サイズと、同期ウィンドサイズとを有する。機種識別子、端末タイプ、画面サイズについては、実施例1(
図2)と同一であるため説明を省略する。
【0117】
「同期ウィンドサイズ」は、実施例1と同様、LCD14の表示領域のうちの候補表示領域の大きさを示す項目である。また、プロセッサ11Tは、実施例1と同様にして、同期ウィンドテーブル123Tから、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズを取得する。
【0118】
但し、同期ウィンドテーブル123では、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズ“18”は、スマートフォン10Sの候補表示領域内に、合計で18文字以下の候補を一覧表示可能であることを示す。同様に、タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズ“46”は、タブレット端末10Tの候補表示領域内に、合計で46文字以下の候補を一覧表示可能であることを示す。つまり、「同期ウィンドサイズ」は、候補表示領域のサイズに相当する。
【0119】
そこで、例えば、
図11の候補群51における候補1〜10の合計文字数は48文字であるのに対し、タブレット端末10Tの同期ウィンドサイズは“46”である。このため、
図13Aでは、候補表示領域10T2には、候補1から積算して合計文字数が45文字となる候補9までは表示されるが、候補1から積算して合計文字数が48文字となる候補10は表示されない。
【0120】
同様に、
図11の候補群61における候補1〜10の合計文字数は48文字であるのに対し、スマートフォン10Sの同期ウィンドサイズは“18”である。このため、
図14Aでは、候補表示領域10S2には、候補1から積算して合計文字数が17文字となる候補3までは表示されるが、候補1から積算して合計文字数が20文字となる候補4は表示されない。また、
図11において、同期ウィンド31内には、候補1から積算して合計文字数が17文字となる候補3までは含まれるが、候補1から積算して合計文字数が20文字となる候補4は含まれない。
【0121】
以上のように、本実施例によれば、プロセッサ11Tは、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位の範囲、つまり、同期ウィンドサイズを、スマートフォン10Sの候補表示領域内に一覧表示可能な候補の合計文字数として取得する。これにより、プロセッサ11Tは、候補の合計文字数に基づいて、何れかの候補の変更後の表示順位が、スマートフォン10Sの候補表示領域内に最初に一覧表示される表示順位内にあるか否かを判断することができる。
【0122】
[他の実施例]
[1]上記実施例では、スマートフォン10Sの候補群を、タブレット端末10Tの変更後の候補群に同期させた。しかし、スマートフォン10Sの候補群に変更があった場合に、上記実施例で説明したのと同様にして、タブレット端末10Tの候補群を、スマートフォン10Sの変更後の候補群に同期させてもよい。
【0123】
[2]上記実施例では、端末装置の一例として、スマートフォンとタブレット端末とを挙げて説明した。しかし、端末装置は、スマートフォン及びタブレット端末に限定されない。例えば、端末装置は、携帯型または据え置き型のコンピュータ装置等であってもよい。
【0124】
[3]実施例5のような、スマートフォン10Sの候補表示領域内に一覧表示可能な候補の合計文字数として規定する同期ウィンドサイズを、実施例1の「かな漢字変換」を行う場合にも用いることが可能である。
【0125】
[4]上記説明における各処理は、予め用意されたプログラムをプロセッサ11に実行させることによっても実現できる。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが予めメモリ12に記憶され、各プログラムがメモリ12からプロセッサ11へ読み出されてプロセスとして機能してもよい。また、各プログラムは、必ずしも予めメモリ12に記憶される必要はない。すなわち、例えば、端末装置10に接続可能なフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード、メモリカード等の可搬の記録媒体に各プログラムを予め記録しておく。そして、各プログラムが記録媒体からプロセッサ11へ読み出されてプロセスとして機能してもよい。また例えば、インターネット、LAN、WAN等を介して無線または有線により端末装置10に接続されるコンピュータまたはサーバ等に各プログラムを予め記憶しておく。そして、各プログラムがコンピュータまたはサーバ等からプロセッサ11へ読み出されてプロセスとして機能してもよい。